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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

1『語り部』:2015/06/05(金) 00:13:53
『ヨハネスブルグの虹』専用スレッド。


関連スレ:
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544『小角 宝梦は火種となる』:2015/10/30(金) 02:52:27
>>534(紫)
暴走──まさにその言葉がふさわしい、赤銅の突進。
紫には知識がある・・・・だが、当然、カバと対峙したことはない。
だが、知識を足場にし、戦いを有利にすることは出来る。
銃を構えなおし、照準を残されたカバの目へ。

       ジャキ
                ズギュゥ────ン!
                                     バス!

目前に迫る、死と同義の猛獣にも怖気づかず、
『明智小五郎』の腕前で放たれた弾丸は、見事、カバの目を貫き通した。
即座に、西方向へ回──


                ド ド ド   ド ド ド

眼前を覆う赤いカバの頭部を見た瞬間、紫は理解した。
これはもう、避けられない。
近距離で突っ込む大型の獣に対し、
銃撃を浴びせた上で回避するというのは──虫が良すぎた。

「野生の獣のほとんどは、目に頼らない。
 嗅覚と聴覚で獲物を捕らえ、襲い掛かる」

                                ── ド ゴォオ !

わずかに体をずらし、直撃を避けるのが精一杯。
左腕、左肩、左胸がひしゃげ、無数の肉と骨が断末魔を叫ぶ。

背中に感じる壁の圧力。挟まれる。潰される。
その剛圧が、突如にして解放された。


                  ゴッバァ ア ア ア ア ア ン !!!

眼前にはぶち抜かれた壁の穴。
勢いあまり、脚の下を通過していくカバ。
靴の下には、何もない。
手も足も、何にも触れていない自分がいる。

──重力に引かれる。
ここは校舎の外だ──壁ごとぶち抜かれ、放出された!
(壁までの距離、『2m』。落下開始直前)


>>532>>537(小角)
愛川の叫びから、自身の失敗に気付く小角。
至近距離では、『液蜘蛛』の良さはスポイルされてしまう。

だが・・・・状況はかつてないほどに逼迫している。
ミスを引き摺る余裕すら、与えてはくれないほどにだ・・・・!

紫に突進するカバと銃声。
最大限の注意を払いながら、小角は『今、出来ること』に方針を切り替えた。

         「……テーマ変更だ!」

新たなテーマは、『現在のスヴァルトの居場所について』。

『コイン』に指を置き、テーマを決める。
他に頼む余裕はない。一周目は小角だけだ。

>『スヴァルトは現在、この秋映学園内のどこかにいる』

ルルル・・・・

                  ──『YES』。

『コイン』は迷うことなく、真実を告げた。

スヴァルト:
「ルンクスの調査を止め、オレに敵対するか。
 調査の終わりを待つ約束は、これで破棄だ。
 ──オレに従わぬ者には、死あるのみ」

「ルンクスの『嫁』や、他の連中の邪魔が入る前に・・・・だ」

>>535>>536>>538(愛川)
自身の非力さに切り裂かれながら、その痛みを小角にぶつける愛川。
その刃が自身に向けられている自覚はあるが、
やり場のない感情を吐き出さずにはいられなかった。

そんな愛川の言動を、スピーカーの声は冷然と嗤う。

「調査は失敗。護衛は油断。
 挙句の果てに、敵前で仲間割れか。
 『ヨハネスブルグ』なら、一夜も明かせず全滅する程度だな。

 ──脆弱な国土には、脆弱な民族が生まれる。
 『ジニ』がまさにそうだ・・・・
 まして、戦いを拒絶した連中の『力』など」

「愛川・・・・だったか?
 おまえは、そこで唯一人、己の無力を噛みしめて・・・・・・・『死ね』」

545『小角 宝梦は火種となる』:2015/10/30(金) 03:43:34
>>539(エイノー)
突進するサイから、エイノーは冷静に能力を読み取る。
怪我は最悪だが、痛みが麻痺している分、
かえって頭は冴え、回転している。

『フィストフル』を前にしても、サイの動きに変化はない。
猪突猛進──まさにこの言葉のままだ。
そこに『知性』や『使役側の意思』は感じられない・・・・
ありていにいれば、極めて大雑把な攻撃なのだ。


         ド  ド ド  ド ド ド

   ───ゴ ア!
                     ド ゴ オ ッ !

故に──『フィストフル』の拳が、
狙い通りに角の根元にめり込むのは、当然の結果だった。
流石の突進力、エイノーもろとも壁に背を押し付けられたが、それだけだ。

              ボジュウウウウウ・・・・!

急所を突き破られ、巨獣は声もなく崩れ落ちた。
大量の血が床とサイの白い皮膚を染めるが、
横たわったサイが動かなくなると、まずサイが、ついで血も薄れ、消え去った。
後には足を投げ出したエイノーだけが残される・・・・
ようやくにして、痛みが蘇り始めた。

>>543(高遠)
紫に迫る一匹目を追うのは無理だ。
壁の穴の向うに現れた二匹目のカバに狙いを定め、踊り始める。

机を片し、アンテナが解除されたおかげで、『踊り』に十分な床は確保されている。

  ──♪      ギュン!
                       ──?
                                ギュン!

圧倒的な芸術性と破壊力。
それを体現する『不滅の踊り子』を前に、カバは悠然と穴を潜る。
そこへ──

                   ギャ ルンッ!!

遠心力をたっぷりと乗せた回し蹴りが、逆袈裟に炸裂した。
狙いは『下顎』。
草食獣の中でも特筆すべき強度と骨格、そして脂肪を備えたカバの顎は──


               ボギ! ベギン!!
                              ベシャァア!
                              
            『オッガァアアアア────ッ』

渾身の一撃の前に、あっけなく破壊され、血と肉をばらまいた。
顎が馬鹿になったのだろう。開きっぱなしの口に、へし折れた牙。
床に顎を垂らしたまま、さすがの巨獣も穴を数歩戻り──

             『ブォロォオオオオオ〜〜〜〜ッ!!!』

──そのまま、高遠へと突っ込んでくる!
その速度は落ち、離脱していた高遠には余裕十分。

だが、回転中一瞥した、紫側の状況は最悪だ──
カバもろとも、北の壁を窓ごとぶち抜いて、飛び出している!

>>540(青田)

────バッッ!!

風切り音に反応し、素早く右に飛びのく青田。

   ゴギ ィィ ン!!!

耳を奮わせる殺人的な音に戦慄しながら、
左足の『八木アンテナ』の先端を引っかけるように払い、足払いを狙う。
一つ間違えれば、残された足を砕かれる危険な賭けだったが──

                     ス

予想外──!
アンテナは何の感触も伝えず、空を切る。
『モナ・リザ』の視界から想定される間合いから考えて、外すとは思えない。
視界のブレから、跳躍したり避けた様子もないが・・・・攻撃は『空振り』した。

『モナ・リザ』の目が、ポールの突き刺さった床から、青田へと移る。

                 ガゴォ!
                           ガララ……
これはポールを抜いた音か。

青田の背を伝う、冷たい汗。
今の攻撃は、前兆があったから避けられた。
だが、敵の攻撃は、すべてが視界に収まるものではない。
見ない位置からあの凶器を振られた時──確実に避けられるのか?
そして何故、自分の攻撃は空ぶったのか──?


「敏捷ですね。ネズミのように」

         ゴ   ゴ ゴ

「ネズミは──嫌いです。
 すぐに潰して差し上げます」

                   ゴ ゴ ゴ   ゴ ゴ ゴ


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