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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1

544『小角 宝梦は火種となる』:2015/10/30(金) 02:52:27
>>534(紫)
暴走──まさにその言葉がふさわしい、赤銅の突進。
紫には知識がある・・・・だが、当然、カバと対峙したことはない。
だが、知識を足場にし、戦いを有利にすることは出来る。
銃を構えなおし、照準を残されたカバの目へ。

       ジャキ
                ズギュゥ────ン!
                                     バス!

目前に迫る、死と同義の猛獣にも怖気づかず、
『明智小五郎』の腕前で放たれた弾丸は、見事、カバの目を貫き通した。
即座に、西方向へ回──


                ド ド ド   ド ド ド

眼前を覆う赤いカバの頭部を見た瞬間、紫は理解した。
これはもう、避けられない。
近距離で突っ込む大型の獣に対し、
銃撃を浴びせた上で回避するというのは──虫が良すぎた。

「野生の獣のほとんどは、目に頼らない。
 嗅覚と聴覚で獲物を捕らえ、襲い掛かる」

                                ── ド ゴォオ !

わずかに体をずらし、直撃を避けるのが精一杯。
左腕、左肩、左胸がひしゃげ、無数の肉と骨が断末魔を叫ぶ。

背中に感じる壁の圧力。挟まれる。潰される。
その剛圧が、突如にして解放された。


                  ゴッバァ ア ア ア ア ア ン !!!

眼前にはぶち抜かれた壁の穴。
勢いあまり、脚の下を通過していくカバ。
靴の下には、何もない。
手も足も、何にも触れていない自分がいる。

──重力に引かれる。
ここは校舎の外だ──壁ごとぶち抜かれ、放出された!
(壁までの距離、『2m』。落下開始直前)


>>532>>537(小角)
愛川の叫びから、自身の失敗に気付く小角。
至近距離では、『液蜘蛛』の良さはスポイルされてしまう。

だが・・・・状況はかつてないほどに逼迫している。
ミスを引き摺る余裕すら、与えてはくれないほどにだ・・・・!

紫に突進するカバと銃声。
最大限の注意を払いながら、小角は『今、出来ること』に方針を切り替えた。

         「……テーマ変更だ!」

新たなテーマは、『現在のスヴァルトの居場所について』。

『コイン』に指を置き、テーマを決める。
他に頼む余裕はない。一周目は小角だけだ。

>『スヴァルトは現在、この秋映学園内のどこかにいる』

ルルル・・・・

                  ──『YES』。

『コイン』は迷うことなく、真実を告げた。

スヴァルト:
「ルンクスの調査を止め、オレに敵対するか。
 調査の終わりを待つ約束は、これで破棄だ。
 ──オレに従わぬ者には、死あるのみ」

「ルンクスの『嫁』や、他の連中の邪魔が入る前に・・・・だ」

>>535>>536>>538(愛川)
自身の非力さに切り裂かれながら、その痛みを小角にぶつける愛川。
その刃が自身に向けられている自覚はあるが、
やり場のない感情を吐き出さずにはいられなかった。

そんな愛川の言動を、スピーカーの声は冷然と嗤う。

「調査は失敗。護衛は油断。
 挙句の果てに、敵前で仲間割れか。
 『ヨハネスブルグ』なら、一夜も明かせず全滅する程度だな。

 ──脆弱な国土には、脆弱な民族が生まれる。
 『ジニ』がまさにそうだ・・・・
 まして、戦いを拒絶した連中の『力』など」

「愛川・・・・だったか?
 おまえは、そこで唯一人、己の無力を噛みしめて・・・・・・・『死ね』」


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