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【ミ】『ヨハネスブルグの明星』 その1
545
:
『小角 宝梦は火種となる』
:2015/10/30(金) 03:43:34
>>539
(エイノー)
突進するサイから、エイノーは冷静に能力を読み取る。
怪我は最悪だが、痛みが麻痺している分、
かえって頭は冴え、回転している。
『フィストフル』を前にしても、サイの動きに変化はない。
猪突猛進──まさにこの言葉のままだ。
そこに『知性』や『使役側の意思』は感じられない・・・・
ありていにいれば、極めて大雑把な攻撃なのだ。
ド ド ド ド ド ド
───ゴ ア!
ド ゴ オ ッ !
故に──『フィストフル』の拳が、
狙い通りに角の根元にめり込むのは、当然の結果だった。
流石の突進力、エイノーもろとも壁に背を押し付けられたが、それだけだ。
ボジュウウウウウ・・・・!
急所を突き破られ、巨獣は声もなく崩れ落ちた。
大量の血が床とサイの白い皮膚を染めるが、
横たわったサイが動かなくなると、まずサイが、ついで血も薄れ、消え去った。
後には足を投げ出したエイノーだけが残される・・・・
ようやくにして、痛みが蘇り始めた。
>>543
(高遠)
紫に迫る一匹目を追うのは無理だ。
壁の穴の向うに現れた二匹目のカバに狙いを定め、踊り始める。
机を片し、アンテナが解除されたおかげで、『踊り』に十分な床は確保されている。
──♪ ギュン!
──?
ギュン!
圧倒的な芸術性と破壊力。
それを体現する『不滅の踊り子』を前に、カバは悠然と穴を潜る。
そこへ──
ギャ ルンッ!!
遠心力をたっぷりと乗せた回し蹴りが、逆袈裟に炸裂した。
狙いは『下顎』。
草食獣の中でも特筆すべき強度と骨格、そして脂肪を備えたカバの顎は──
ボギ! ベギン!!
ベシャァア!
『オッガァアアアア────ッ』
渾身の一撃の前に、あっけなく破壊され、血と肉をばらまいた。
顎が馬鹿になったのだろう。開きっぱなしの口に、へし折れた牙。
床に顎を垂らしたまま、さすがの巨獣も穴を数歩戻り──
『ブォロォオオオオオ〜〜〜〜ッ!!!』
──そのまま、高遠へと突っ込んでくる!
その速度は落ち、離脱していた高遠には余裕十分。
だが、回転中一瞥した、紫側の状況は最悪だ──
カバもろとも、北の壁を窓ごとぶち抜いて、飛び出している!
>>540
(青田)
────バッッ!!
風切り音に反応し、素早く右に飛びのく青田。
ゴギ ィィ ン!!!
耳を奮わせる殺人的な音に戦慄しながら、
左足の『八木アンテナ』の先端を引っかけるように払い、足払いを狙う。
一つ間違えれば、残された足を砕かれる危険な賭けだったが──
ス
予想外──!
アンテナは何の感触も伝えず、空を切る。
『モナ・リザ』の視界から想定される間合いから考えて、外すとは思えない。
視界のブレから、跳躍したり避けた様子もないが・・・・攻撃は『空振り』した。
『モナ・リザ』の目が、ポールの突き刺さった床から、青田へと移る。
ガゴォ!
ガララ……
これはポールを抜いた音か。
青田の背を伝う、冷たい汗。
今の攻撃は、前兆があったから避けられた。
だが、敵の攻撃は、すべてが視界に収まるものではない。
見ない位置からあの凶器を振られた時──確実に避けられるのか?
そして何故、自分の攻撃は空ぶったのか──?
「敏捷ですね。ネズミのように」
ゴ ゴ ゴ
「ネズミは──嫌いです。
すぐに潰して差し上げます」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
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