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SSスレ

1魔術師1 </b><font color=#FF0000>(zbg2XOTI)</font><b>:2004/03/16(火) 06:06 ID:5tGeSj8I
比較的硬派なSSを投下するスレッドです。
本スレとほぼ同じ、詳細かつ綿密な設定を練ってSSを書いてください。


ハイテク兵器VS剣と魔法

戦国自衛隊のノリでいて新たなジャンルを開拓すべし
銃を手に、ファンタジー世界で生き残れ!

・sage推奨。 …いや、sageる必要ないか。
・書きこむ前にリロードを。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。
・SS投下中の発言は控えめ。
・支援は15レスに1回くらい。
・嵐は徹底放置だ。反論は許さん!…スレ住人が。
・以上を守らないものは………

本家スレ(2004 3月時点)
http://hobby3.2ch.net/test/read.cgi/army/1079351585/

33F世界猿:2004/06/14(月) 21:28 ID:qUq6iUEM
投下終了です。
現実逃避の産物なんで
見苦しいと思いますが許して…( ;´Д`)

34F世界猿:2004/06/14(月) 21:29 ID:qUq6iUEM
次回(三話)には遭遇を書けるといいなぁ。

35F世界猿:2004/06/15(火) 21:21 ID:qUq6iUEM
前回の出来の悪さに愕然。
読んでくれている人はいるのかと思いつつ投下。

イージス艦「こんごう」艦橋の一角にある艦長席。
狩野海将補はそこで一人物思いにふけっていた。
長い長いエネルギー庁の官僚との打ち合わせを終えて少し休憩、と言ったところでもある。
今でも少し目を閉じるだけで軍人と言って見下した態度をとっていた
二人の男の顔が悪夢のように思い出された。
と、いっても軍人が見下される国など世界どこを探しても日本だけだろうが。

36F世界猿:2004/06/15(火) 21:22 ID:qUq6iUEM
「実りの多い穂ほど頭を垂れる、と言ったものだが。」
少なくともあの二人の頭には実りが少ないと思われた。
この艦隊の司令としてああはなるまい、と心に誓う。
もはや外には太陽の光はなく、代わりに満天の星が輝いていた。
日本ではこんなものは見れないな。と、ベテラン隊員の誰かが感慨深げに言ってたことが思い出される。
「私の故郷ではアレくらいは見れたんだがな…。」
今の季節だと見られるのはふたご座、北斗七星、オリオン座、そして北極星を含むこぐま座、言ったあたりか。
ずいぶんとロマンチックになっている自分に気がつき、狩野は一人苦笑した。

そのとき自分がこの星空を明日から見られなくなることを狩野は知る由も無かった。

37F世界猿:2004/06/15(火) 21:22 ID:qUq6iUEM
時刻7時。
「気象レーダー、ブラックアウト…?」
こんごう内戦闘情報センター(CIC)で担当員が「この世で最もありえないこと」の一つを呆然と呟いた。
なんだ…、こりゃあ?
青島は甲板の上で呆然と空を見上げていた。
星が、無い。それどころではない、月すらも無いのだ。
まるでこの艦隊全体が真っ暗な箱の中にすっぽりと入れられたようだった。
始めは雲のせいか、と考えた。しかし、それならばこの船からの光でかすかでも雲は見えるはず。
ひとまずこういうときはどうするべきか、決まっている。上官に報告である。
青島は慌てながら艦橋へと急ぎ、佐藤二士に出くわした。
彼も負けず劣らず慌てた顔をしているが、今の自分の見た状況以上の異変はあるまい。
そう思った青島の思いは容易く破られた。
「あ、佐藤二士!聞いてくれ!」
「こんな所に居た!それどころじゃないっす二尉!レーダー系統が全部ブラックアウト、衛星からの反応も無いんす!」
「何!?」
冗談ではない、レーダー、衛星によるGPS、これらを失うということは「目」を失う、ということである。
そしてそれはすなわち漂流を意味する。
もしや、今見た状況と関係があるのかもしれない。
上司として出来る限り混乱の極みにある自らを落ち着かせようとする。
「佐藤二士、司令部に伝えてくれ。全ての星、月が消滅している。」
「は・・・?」
呆然とする佐藤の横を通って青島は艦橋へと歩を進めた。

38F世界猿:2004/06/15(火) 21:23 ID:qUq6iUEM
「どうなっているんだ!先ほどから聞く報告は皆悪いものばかりじゃないか!」
エネルギー庁の官僚の一人、福地が狩野司令を掴み掛からんばかりの剣幕で怒鳴りつけていた。
しかし狩野はそれを馬耳東風と聞き流し、入ってくる報告を聞きつつ、警戒命令を出していた。
「聞いているのか!?」
その様子に腹を立てたのか福地は狩野の肩を掴む。
しかし瞬時にその腕は一部でサイレントゴリラとあだ名を付けられている宮野副長に捻りあげられた。
「…。」
「な、何をするんだ!…ハン!所詮は軍人と言うわけか?」
「やめたまえ、宮野副長。」
「は。」
「はぁっ!はぁっ!…貴様、何のために4兆円も防衛費を割いていると思っているんだ、こういうときの為だろう!」
宮野が手を放すと同時に福地が狩野に食って掛かる。
それに対し狩野はずい、と福地に近寄った。福地は大男ではないが小柄な狩野とはずいぶん体格差があった。
「な、なんだね…。」
しかしそれでも狩野の眼力は福地をうろたえさせる強さがあった。
「いま、状況把握をしています。これ以上口を出さないでくだされますか。」
そして口調こそ丁寧だったが、狩野の一言は福地を黙らせるのには十分な迫力を持っていた。
「(全員無事で居てくれよ…。)」
普段は無神論者の狩野だったが今はどんな神にでも祈りたい気持ちであった。

39F世界猿:2004/06/15(火) 21:25 ID:qUq6iUEM
投下終了、次回からはペースが落ちると思います。
元々遭遇はF世界視点でやりたいから切る予定だったんだが
遭遇どころか転移すら書ききれてない…orz

40F世界猿:2004/06/17(木) 19:43 ID:qUq6iUEM
なんか迷惑になっている気がする。
読んでいて更に続けても良いというお前ら手を上げてください。
もうやめろカス、という人は遠慮なくおっしゃってください。

41名無し三等兵@F世界:2004/06/18(金) 14:17 ID:b59.LLtU
管理者がほおりっぱなしの分家にようこそ! 続けてていいんじゃないかな?

42名無し三等兵@F世界:2004/06/18(金) 14:23 ID:LgjpIS.M
最初に読んだ物ですが、続けてもよろしいかと。
自分も書きかけでやめちゃったの多いですが・・・

43F世界猿:2004/06/18(金) 21:07 ID:qUq6iUEM
ありがとうございます。
じゃあ続けます、ご意見、ご感想頂けると嬉しいです。

てなわけで投下。

44F世界猿:2004/06/18(金) 21:08 ID:qUq6iUEM

それから何時間たったであろうか、数日とも、数年とも感じられるような時間であった。
しかし時計は星が消えたその瞬間から時間が一秒もたっていないことを表していた。
残酷にも人間の文明においてありえないことを文明の粋が証明したのだ。

45F世界猿:2004/06/18(金) 21:09 ID:qUq6iUEM
この事故に自衛隊員達は実戦を経験していない危機に弱い部隊と散々馬鹿にされてきた自衛隊の今までの風評を覆し、比較的おちついて対処した。
しかしそれも自衛隊史上、いや、人類史上初めての経験に疲れ切った彼らにはどうでも良いことであった。
空には星が戻り、狩野の元にもレーダーの復帰などの明るい報告が次々と飛び込んできた。
先ほど宮野も隊員達の労をねぎらうために艦橋から出て行った。
「レーダー類回復しました。」
「僚艦、全艦健在!死傷者はなし!」
狩野は安堵のため息をついた、仲間が無事、これほど喜ばしいことはあるまい。
まあ福地だけが極度の興奮と恐怖で失神してしまったが。

46F世界猿:2004/06/18(金) 21:09 ID:qUq6iUEM
「まだ衛星は回復しないのか?」
「はい、というよりもまったく反応がありません。」
もう慣れてしまったのかまったく事務的に言うCIC。
「と言うことは当然GPSも―――」
「使えません。」
狩野が言い終えるよりも早く言われ狩野は苦笑し、艦橋内には笑いが起こった。
しかしそう笑ってばかりもいられない、GPSが使えないのだ。

47F世界猿:2004/06/18(金) 21:10 ID:qUq6iUEM
「とりあえず本国に連絡する―――」
「司令、本国、佐世保基地から通信です。」
―今日はずいぶんと先手を取られる日だな―
と思いつつも本国が無事なことに安堵する。嵐で片付けるには大規模だが何かの間違いだったのだろう。
「はい、イージス艦「こんごう」艦長、狩野海将補です。」
「狩野海将補か、そちらは無事か!?」
「はい、日本でも何かあったのですか?」
「いや、それが―――」
基地からの通信を要約するとこうであった。
・本土でも艦隊と同じように真っ暗闇に閉ざされた。
・戻ったは良いが急に海外との連絡が取れなくなった。
・日本領空内の飛行機は向こうの管制官の応答も無いのでとりあえず戻した。
・海上保安庁に見回らせているが日本領海内は特に異変は無い。
・衛星の反応が無い(こちらも知っている)
・急に大規模な核戦争でも起こったのかと思ったが、放射能の反応も無い。
・そして

48F世界猿:2004/06/18(金) 21:10 ID:qUq6iUEM
「そして?」
「そちらでも分かるはずだ、空を見てみたまえ。」
「は?」
空に星は戻ってきた、とい報告を受けている、何を今更、と言うものなのだが。
「し、司令!」
沈黙の巨獣、と一部部下の間で呼ばれてさえいる宮野が慌てたような声を上げる。
「どうしたのかね宮野副長。」
「それが甲板に出たところ…」
動揺を抑えきれないと言った調子で宮野は続けた。
「月が、血のように赤いのです、そして自分は天体観測が趣味なのですが…。」
月が紅いことよりもこの巨体が天体観測が趣味と言うほうが意外なのだが。…と思わず声に出しそうになる。
「星座が一つも一致しないどころか北極星すらありません!」
「そうか。」
立て続けに起こる信じられない事態に対し急に冷静になってきた自分を感じる狩野であった

49F世界猿:2004/06/18(金) 21:10 ID:qUq6iUEM
「そちらでも見たようだな。」
「はい。それでこの事態に対する政府の結論は?」
夜で民衆の間で大規模な騒ぎになっていないのが唯一の救いだが、と前置きして次の言葉は紡がれた。

「内閣は、この日本は地球以外のどこかに転移した。と言う結論を出した。」

50F世界猿:2004/06/18(金) 21:11 ID:qUq6iUEM
投下終了、あんま自衛隊のことには詳しくないから、こうも自衛隊サイドが続くと
ちっとキツかったり。
自衛隊に詳しい人からのツッコミが欲しい…。

51名無し三等兵@F世界:2004/06/18(金) 22:06 ID:4Xq42jzs
本スレなら陸自限定で頼めば突っ込みをくれる酔狂な人がいるけど、おすすめしない

52S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/06/18(金) 22:20 ID:LgjpIS.M
さて、いい加減名無しもやめますかね。
更新早いですネー。どうぞ頑張って下さい。
議員先生が嫌キャラ候補ですが、どんな感じで働くことやら・・・

53F猿:2004/06/18(金) 23:10 ID:qUq6iUEM
うお!S・Fさんがレスくれた!
最近の風潮に反して自衛隊=正義物で行く予定なんで、
そうですね国内に嫌キャラ作らないと一方的な話になっちゃうし…。
当面の自衛隊の敵はF世界というよりも…。

てなわけで頑張ります。

54政府広報課 </b><font color=#FF0000>(.iwy/iJk)</font><b>:2004/06/22(火) 03:19 ID:wzKBz.I2
がんがれ〜!

55F猿:2004/06/22(火) 21:01 ID:qUq6iUEM
「冗談は程ほどにして下さりませんか?」
狩野は思わずそう口に出していた。
「冗談?頭の固い奴らにしてはなかなか的確な判断ではないか。」
「……。まあ、そう仮定しましょう。どちらにしろそれに似た状況であることには変わりは無い。」
狩野は頭痛がしてきた頭を抑えながら答えた。
「それで、政府の対策は?」
向こうの声が急にまじめな口調に戻る。
「ああ、食料はこれから休耕田を必死に復帰させるらしい。今が冬だったのが幸いしたな、比較的うまくいきそうだ。
問題は…資源。特に石油だな、これは君達にかかっている。」
「では、我々の任務は…。」
「ああ、続行だ。一秒でも早く施設を完成させてくれ。」
どんなに急ピッチで作ったとしても尖閣の石油の供給体制が整うまでには最低でも一年はかかる。
そして備蓄石油はもって6ヶ月。残りの分は備蓄石油が持っている間に石炭を使った人口石油で食いつなぐ。
とのことだった。
「そしてもう一つ任務がある、この世界の情報を任務の途中、出来うる限りでかまわない、収集してくれ。」
「了解しました。」
「成功を期待する。」
ずいぶんと大変な任務になってしまったな、狩野は苦笑が癖になってしまったようだった。

56F猿:2004/06/22(火) 21:01 ID:qUq6iUEM
「青島二等海尉。」
次の日の朝、青島は寝所から起きだすとすぐに声がかけられた。
「ん?天野二曹、どうしたんですか、こんな早くに。」
「いえ、昨日、二尉の近くから離れてしまったので、」
「ああ、そのことですか。」

天野二等海曹はベテラン中のベテラン隊員で、佐藤など若い隊員が多い中、青島部隊の要となっていた。
その身にも色々噂が多く、イラクで人を殺したことがあるとか、海外の外人傭兵部隊にいたことがあるなど、
しかし彼の身にまとう武士的な雰囲気はそれらの噂を肯定こそすれ、否定するものではなかった。
そして昨日彼は混乱する現場において、何人もの幹部に代わって指揮を執っていたのだ。
「天野さんは、昨日現場で混乱を収めていたじゃないですか。」
そして青島は彼に、普通の任務だけではなく、もう一つの任務が課されている事に薄々感づいていた。
「いえ、混乱した現場だからこそ、二尉の傍にいるべきでした。」
そして青島はそれに少なからずコンプレックスを抱いていた。
「……。」
「……。」

57F猿:2004/06/22(火) 21:07 ID:qUq6iUEM
「あっ!二人とも!」
気まずい沈黙を破ったのは横から入ってきた佐藤であった。
「どうした佐藤、大声を出すな。」
「あ、天野さん、聞いて下さい!」
余談だが、ここまでの性格の違いがあるにもかかわらず佐藤は天野を慕い、天野は佐藤を可愛がっていた。
佐世保基地七不思議の一つに数えられているとかいないとか。
「漂流者が見つかったんです!」
「…。」
「…。」
「…。」
再び沈黙が流れる、多少先程と意味合いが違うが。

こいつはバカかと、アホかと、と小一時間問い詰めたい、といった顔をして二人は佐藤を見た。
「いや、漂流者くらい普通だろう。今度の混乱で沈んだ船もあるだろうし。」
青島の突っ込みに佐藤はもう一度叫んだ。
「いや、それが漂流者の耳が長いんです!」

ナ・・・ナンダッテー(AA略)

58F猿:2004/06/22(火) 21:18 ID:qUq6iUEM
政府広報課さんまで・・・イヤッホウ!!
投下終了です。
最後の方のは気にせんでください。

59F猿:2004/06/24(木) 06:40 ID:qUq6iUEM
「そんなことより鮫の話しようぜ。」
「あ、青島さん?」
「・・・あれ、何を言ってるんだ俺は。」

F世界編です。

60F猿:2004/06/24(木) 06:41 ID:qUq6iUEM
日本転移頃、キャラベル船「シャンク」船長室。
ラーヴィナの領主の部下、ジファンは我が世の栄華を味わっていた。
与えられた任務は「奴隷の収穫」
5年前に召還した島から奴隷をまた再び収穫してくるのが彼の任務であった。
しかしこんな任務など子供でも出来るような任務であった、何しろ召還された島―奴隷島と呼んでいるのだが、
には魔法が無いのだ、魔法が無い以上、使えるものはせいぜい弓矢のみなのだ、
今までもファイアーボールあたりを遠距離から連発してやればあっという間に降伏してきた。
何よりも一度制圧した島達は我が国の圧倒的な力に怯えきっている。すぐに奴隷を差し出すだろう。

61F猿:2004/06/24(木) 06:41 ID:qUq6iUEM
いままで6回の召還を行ったのか、マナの存在しない世界の島を呼び出すこれは、いずれも程度の差こそあれ成功していた。
一度大規模な鉄山が見つかって王家の連中が大喜びしていた事もあったし、
最後まで必死に抵抗する連中共で、結局ほとんど皆殺しにしてあまり奴隷も取れないことがあったか。
しかしそれも即物的、刹那的人生を送る彼にとってはどうでも良いことだった。

62F猿:2004/06/24(木) 06:41 ID:qUq6iUEM
「魔法が使えないと言うのは不便なものだなぁ?」
「あぐっ・・・。」
隣にいた奴隷の女を無理やり抱き寄せる。
最初は抵抗した女ももはや抵抗する気も失せたようだった。
その態度が気に入らずジファンは女の長い耳を千切らんばかりにつねりあげた。
「うぐぅっ!」
さすがに浮かべる苦痛の表情、それがジファンの心を満たした。

この女の種族の特徴は外見がエルフ、そうあの忌々しい高慢なエルフ共にそっくりなのだ。
同盟などという、訳の分からないもののため、エルフ達への手出しは禁止されている。
ジファンはエルフ達への憎しみをこの女にぶつける事で晴らしていた。
「恨むんだったら、奴らにそっくりな自分達を恨むんだな?」
思い切りナイフを振り上げる、女の身が強張った。

63F猿:2004/06/24(木) 06:42 ID:qUq6iUEM
「待ってください。」
ジファンがナイフを女の胸に目掛け突き刺すその寸前、掛けられた声にジファンは顔を上げた。
見るとちょうどその忌々しいエルフ、「セフェティナ」とか言ったか?
が強張った顔をしてこちらを睨みつけていた、大方自分達にそっくりなこの奴隷が嬲られているのを見て我慢ならなかったのだろう。
「どうしました?セフェティナ魔術士官殿。」
ジファンの出す猫撫で声にセフェティナは嫌悪感をあらわにした。

64F猿:2004/06/24(木) 06:42 ID:qUq6iUEM
「奴隷への虐待は程々にして置かれたらどうですか?兵への士気に響きます。」
「ほう?セフェティナ殿には私の行動に意見する権利は無かったはずですが?
船の上では食料が自由には行かないのです、女くらい自由にしても良いでしょう?」
なるべく凛とした口調で話そうとするセフェティナに対し、ジファンは気味の悪い厭味ったらしい声を出した。
「いえ、クーディビッヒ大神官様と、エスフィリーナ魔術大臣補佐様に極度の虐待が有った場合止める様に、
とのご命令を受けましたので。」

65F猿:2004/06/24(木) 06:43 ID:qUq6iUEM
ジファンは片眉をピクン!と上げ女を苦々しげに床にほうり捨てた、ドスッ、という鈍い音が響く。
弱き者への慈愛を説くアシェナ聖教にとって奴隷への虐待はあまり推奨できるものではなかった。
そしてまたジファンも、いやアジェント王国国民のほとんどはアシェナ聖教の教徒である。
その大神官の命令となれば、聞かないわけにはいかなかった。
「はん、これでいいのか?さっさと行け!」
「・・・、それでは。」
船長室から出て行くセフェティナをジファンは苦々しげに見つめていた。

66F猿:2004/06/24(木) 06:43 ID:qUq6iUEM
「ふぅ・・・。」
甲板に出たセフェティナは潮風にその金の髪を任せながら月を眺めていた。
真紅の月は海面に美しい像を映し、またセフェティナはこの月がなによりも好きだった。
この月がストレスも何もかも洗い流してくれる。そう思えさえした。
「なぜ・・・あんなことができるのだろう。」
ふと口をついて出る言葉、子供のころからアシェナ聖教を教え込まれながら(同族には)優しいエルフの中で育ってきた彼女には、
ジファンのするようなことは信じられないことだった。
セフェティナが魔術士官として森を出てから大して時間は経っていなかったが、
彼女は自分がいかに恵まれた環境に生きてきたかを痛感していた。
国中いたるところで劣悪な条件で働かされる奴隷達、どれもアシェナの教えに反するものではないのか、
とりとめもなく物思いが続いてしまう。

67F猿:2004/06/24(木) 06:43 ID:qUq6iUEM
「エルフも、人間も、奴隷も、ダークエルフもドワーフも、皆幸せに暮らすことは出来ないのかな・・・。」
多種族を嫌うエルフの中ではセフェティナのこの考えは異端であり幼い考えであった。
「きっとその内アシェナの神様が私達に天使様を遣わしてくれるはず・・・。」
この世界では世間知らずの貴族のお嬢様くらいしか言わないようなアシェナの神話を呟いた時、
不意に後ろに気配を感じセフェティナは後ろを振り返ろうとした、が。

68F猿:2004/06/24(木) 06:44 ID:qUq6iUEM
ドン!
「え…っ?」
強い衝撃を背中に受け、セフェティナの身体は宙に踊り、そのまま海へと叩きつけられていた。
「あうぐっ!」
盛大な水しぶきがあがり体中に強い痛みが走る。


「・・・何故?」
最後に見えたものはニヤニヤした薄気味悪い笑顔、ジファンの腰巾着である船員の一人であった。

69F猿:2004/06/24(木) 06:45 ID:qUq6iUEM
投下終了です。
長いな・・・。
二つに分けたほうが良かったかもしれない・・・。

70名無し三等兵:2004/06/24(木) 20:36 ID:BgBAZcJE
これほど良い話なんて随分と久しぶりです。
これからもこんな感じで続きを期待しています。

71S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/06/25(金) 08:03 ID:LgjpIS.M
乙です。ジファンは後で爽快に吹き飛ばされてくれそう。
もしくはバレて大司教からの破門コース?

では、頑張って下さい。

72名無し三等兵@F世界:2004/06/26(土) 08:23 ID:vRjiTcVc
まれに見る良作キター!
続き期待してます

73F猿:2004/06/26(土) 18:49 ID:qUq6iUEM
青島「オレが天野さんに守ってもらえるのは主人公特権だからだ!」
佐藤「んなわけないだろ青島さん。というよりあんた主人公だったんですか?」
青島「佐藤お前!言って良いことと悪いことがある、歯を食いしばれ、修正してやる!」
佐藤「エゴだよそれは!」
天野「なんなんだこのテンションは・・・?」

というわけでやっと、やっと遭遇編に入ります。

74F猿:2004/06/26(土) 18:51 ID:qUq6iUEM
甲板にはすさまじい人だかりが出来ていた。
「なんだよもう漂流者はいないのかよ、すっげぇ美人だって聞いてきたのに。」
「なんでもこんな大きな宝石を着けた篭手みたいなのを右手に付けてたらしいぜ?」
「中国人とかじゃないのか?偶然密入国してたとか。」
「それはないだろ、だって耳がすっげー長いんだろ?」
「あのメルヘン国家中国だったらありえるんじゃね?」
甲板では若い野次馬隊員たちが口々に勝手なうわさを立てている。

そんな気楽な彼らに対し狩野、宮野、福地など上層部が願った彼女が中国人や韓国人なのではないか、という考えは
彼女の長い耳と、その妙な服装にいとも容易く打ち砕かれていた。

75F猿:2004/06/26(土) 18:53 ID:qUq6iUEM
青島たちが甲板に着いた時には、もう漂流者は医務室に運ばれた、とのことで、甲板にはもうまばらにしか人はいなかった。
「もう漂流者は運ばれたみたいだな。」
「そのようです、青島二尉。」
青島は手で前髪を掻きあげる、それは青島が考え事をする時の、いつもの癖であったのだが。
「天野さん、どう思う。この漂流者。」
「どうもこうも見てみない事には分かりませんが、ただ昨夜全艦放送であったようにこの世界が今までと別の世界なら」
「その世界の人間と見たほうが妥当、ってことか。」
「はい。」
「・・・これでいよいよ疑いようも無くなったな。この世界は俺達の世界じゃない。」

76F猿:2004/06/26(土) 18:54 ID:qUq6iUEM
「こんごう」内医務室
「ここ・・・は?」
セフェティナが目を覚ますとそこはベッドの上であった。
見知らぬ天井、それらは見たこともない素材で出来ていた。
生きていたことに安堵し、何よりも早く、自分の右腕を確認する。

あった。

マナをコントロールするための制御石を埋め込んだガントレット。
もちろんエルフ製でこれさえあれば多少のことがあっても何とかなるだろう。
というよりもこれが無くては高度な魔法は扱えない。
腕が千切れでもしない限り外れないようにしておいたのは正解だった様だ。
元々はジファンに奪われないための処置だったのだが。

77F猿:2004/06/26(土) 18:54 ID:qUq6iUEM
「おや、目が覚めたようだね。」
「えっ?」
白衣の男に突然声を掛けられセフェティナは飛び起きた。
「いや、別に驚く必要はない、ここは日本自衛隊護衛艦隊旗艦「こんごう」の医務室だ。」
ジエイタイとかゴエイカンとか良く分からない言葉が出るが、ここは船の中のようだ。
しかし船にしては全然揺れが無い、もしかしたら艦と呼ばれる屋敷の中かもしれない。
「と、言葉は通じているのかな?」
そしてもう一つのことが分かった。
「はい、通じています。」
言葉が通じる、これはあることを表していた。
この人たちは、召還されたんだ。
よく分かっていない天変地異の力を利用する召還だが、なぜか召還されたものたちは皆言葉がこちらと通じるのだ。
そしてそれはすなわち遅かれ早かれ奴隷となる人々、と言うこと。

ジファンに虐待されていた奴隷の女性を思い出し胸が痛む。
罪も無いのに殺されそうになっていた人、彼女は無事なのだろうか?

78F猿:2004/06/26(土) 18:55 ID:qUq6iUEM
「良かった。何で言葉が通じるのかは置いておいて、少し質問したいことがあるんだけど、いいかな?」
セフェティナがそれに答える前に黒い箱が鳴いた。
「!!!?」
「はい、こちら医務室、沙良田ですが。」
それを白衣の男が手に取ると箱は鳴くのを止め、男は朗々と一人芝居をはじめた。
「(びっくりした・・・。)」
「はい、はい。」
「???」
何に返事をしているのか見当がつかない、が男は何かと会話しているようだった。
魔法ということはありえない、
魔法の素となるマナの無い世界から来た彼らにはマナを操る術が無いのだから。

79F猿:2004/06/26(土) 18:56 ID:qUq6iUEM
セフェティナが不思議がっている間にも男の一人芝居は続いていた。

「え?レーダーに艦隊が映った?」

「ーーー!!!」

艦隊

セフェティナの脳裏にはっきりとジファンの顔が映った。あの気味の悪い蛙の様な笑顔。
「けど・・・木造船だって?一体なんで・・・で、はい、彼女の元いた船の可能性もありますね」
男の話している言葉はもはやセフェティナの耳には届いていなかった。

80F猿:2004/06/26(土) 18:58 ID:qUq6iUEM
投下終了です。
感想&声援有難うございます。
少し間が空いたのに展開遅くてすみません。

来週中には・・・に入るはず。

81名無し三等兵@F世界:2004/06/26(土) 19:05 ID:Gu0Gep4w
乙デス

82名無し三等兵@F世界:2004/06/26(土) 20:21 ID:wCy2IFCE
F猿さんお疲れです
展開が速くて良いですね

83F猿:2004/06/27(日) 09:30 ID:qUq6iUEM
すんません、番外編なんで読み飛ばしても結構です。
本編は>73〜>79にあります。

84F猿:2004/06/27(日) 09:30 ID:qUq6iUEM
「地震・・・?」
その知らせを聞いてから一週間も経たないうちに俺は葬式会場にいた。
写真の中で微笑んでいる父さんと母さん。
二人でちょっと旅行に出かけてくる。
そう言って出かけていった二人は変わり果てた姿で帰ってきた。
「偶然」起こった地震に巻き込まれ。
「ん、いってらっしゃい。」
なぜあんなぶっきらぼうな見送りをしてしまったのか。
なぜもっと話しておかなかったのか。
涙ももう枯れ果てていた

85F猿:2004/06/27(日) 09:31 ID:qUq6iUEM

返ってきた成績表に目を通す。
順位の欄には見慣れた「1位」の文字がある。
そしてこれを褒めてくれた二人はもういない。
教師達のわざとらしい賞賛ばかりが耳障りだった。
教師も友人も皆、「テンサイサマ」と俺に距離を持っていた。
あの二人がいないんだったらこんな頭要らない、邪魔になるだけなんだ。

86名無し三等兵@F世界:2004/06/27(日) 15:41 ID:qUq6iUEM
しかし教師達は大反対をした。
それだけの頭脳を持ちながらもったいない、と。
もったいない・・・っとはなんのか。
人殺しの大学って何なんなのか。
お前達が父さんたちを助けてくれようとしたのか?
ただお前らは学校の箔付けに俺に東大に入ってほしいだけだろう?

あの人たちは瓦礫の中で父さん達を必死に助けようとしてくれた。
お前達はこの悲しみを受験勉強で忘れろなんて言っただけだ。

87F猿:2004/06/27(日) 15:42 ID:qUq6iUEM
自分に向けられる理不尽な期待、誰も助けてくれようとはしない。
あの人たちなら助けてくれる?自衛隊なら・・・。
淡い期待もあった。


どこの組織も変わらないのだろうか?
俺を将来の幕僚として期待しているのか、俺はどこへいってもお客様扱い。
直属の部下という建前まで使って護衛がそばについている。

88F猿:2004/06/27(日) 15:43 ID:qUq6iUEM
そして俺は今、紅い月を眺めている。
ここがどこなのか誰にもわからない。
ただ分かることがある。
ここなら俺は、俺でいられる。
生きるか死ぬか、その境界線でなら。

俺の名は青島、青島秀司。
俺は64式7.62mm自動小銃を敵へと向けた。

89F猿:2004/06/27(日) 15:45 ID:qUq6iUEM
途中で書き込めなくなったんで、間が開いちゃいました。

これは今書いてる奴の一番最初に書いた奴なんで、
今の話とちょっと矛盾してるところもあるんですが投下強行。

90名無し三等兵@F世界:2004/06/27(日) 21:11 ID:qUq6iUEM
防衛大学に入ったのは学費を払う余裕が無いからでもあった。
準国家公務員として給料が貰えるここしか選択肢が無かったのだ。

85と86の間にこれ入れといてください。

91S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/06/27(日) 21:31 ID:LgjpIS.M
初期設定からすると、青島は「やばいことを考えつく嫌参謀」系の
キャラですかね?政治的に配慮され、それでいて一発逆転な案が
出てきそうな危なさ。

92F猿:2004/06/28(月) 19:03 ID:qUq6iUEM
青島は初期設定よりかなり明るく前向きになってます。
最初は善悪を考えなければ最良の手段をためらい無く実行していくキャラのつもりだったんですが。

さすがにそれが主人公はまずいだろう、と。

93F猿:2004/06/30(水) 19:55 ID:qUq6iUEM
レッツ投下。

94F猿:2004/06/30(水) 19:55 ID:qUq6iUEM
「木造船・・・?」
「はい、おそらく木造船団と思われます。技術レベルは13〜15世紀、形状、大きさから排水量は50トン前後かと。」
観測員の言葉に狩野は又起き始めた頭痛に頭を抑えながら、いい加減これは現実なんだと自分に言い聞かせた。
「何隻だ?」
「・・・4隻、ですねまあ標準な数でしょうか。この距離からでは分かりませんが、武装もしているのではないでしょうか。」
狩野はいたって冷静な観測員をすこし奇異の目で見た。もしかしたらとっくのとうに慣れきっているのかもしれないが。
「宮野副長、どう思う?」
「は。なんにせよ、接触をとってみるべきだと思われますが。」
まあ、やれることはそれしかないのだ。情報収集も任務の一つとなっているし、あの少女と関係のある船かもしれない。
「向こうが敵意を示さないことを祈るばかりだな・・・。」

95F猿:2004/06/30(水) 19:56 ID:qUq6iUEM
「司令、漂流者の女性を連れてきました。」
「ああ、ご苦労。」
「・・・ほぅ。」
誰とも無く簡単のため息が漏れる。それだけこの少女は美しかった。
特に女性を見ること自体ほとんど無いこの状況では。数人女性自衛官がいないことも無いのだが、
それは少々女性としては・・・、いや、止めておこう。

狩野は目の前に立つ少女を眺めた。
流れる水のような金の髪に白い肌、碧の瞳、顔の作りはまるで神が全力で作り上げた石造のように端整だった。
どちらかと言うと顔のつくりは色素に反してモンゴロイド系のようだ。
そして嫌でも目に付くその長い耳がその少女が自分達とは違う存在であることをはっきりと示していた。
見た目では18かそこら。
病人服では少々分かりにくかったが胸の辺りの膨らみははっきりと女性のものであった。

外見としてはこのくらいだろうか。

96F猿:2004/06/30(水) 19:56 ID:qUq6iUEM
医務室から連れていかれた所は「カンキョウ」というところだった。
船長室の様な物だろうか。しかしそれにしてもここは広い、彼らは船だというが絶対に嘘だろう。
そこに居たのはオークのような男、そしてそれの隣に座っている大人しそうな小柄な老人だった。
オークのような男がきっと艦長で、老人のほうは執事だろうか。
しかし、艦長にしてはずいぶんと普通の服を着ている。
様子からして彼らは軍人らしいがそれにしては誇りを示す勲章も、序列を表すマントも付けては居ない。

「どうも、私がこの船の艦長、そしてこの艦隊の司令官の狩野海将補です。」
最初に口を開いたのは老人のほうであった。・・・って艦長!?
「は、はぁ・・・。」
この上なく間抜けな声が出てしまう。本当にこのひ弱そうな男が?さすがに疑ってしまう。
「・・・どうしました?」
「い、いえ!私はアジェント王国魔術仕官、セフェティナ・バロウです。お目にかかれて光栄です、狩野閣下。」
とりあえず知っている限りの礼を尽くして対応する。
こんなことなら士官学校でもっと礼儀の授業を聞いておくべきだったと深く後悔するがそんなことを言ってもしょうがない。
「どうも救助いただき有難うございました。」
「いえ、それが自衛隊の任務ですから。」
ジエイタイとはなんなのか、気になるが聞くのも無礼かもしれず、うかつな事はしゃべれなかった。

97F猿:2004/06/30(水) 19:56 ID:qUq6iUEM
しかし、この船は一体何なのか?
今まで召還されて来た島々はほとんど文明といった文明も持っておらずせいぜい弓矢で襲い掛かってくる程度。
しかし今自分の目の前に居る彼らは違う。アジェントの船の何倍もの大きさの船を持ち、トイレ、ベッドなど高度な文明が発達している。
特にベッドに掛けられていた布は今までに無い手触りと美しい光沢を持っていた。
もしこれが国内に流入したら信じられないほどの高値で売れるだろう。
特に驚いたのは鉄をふんだんに使用していること。
鉄はマナを遮る性質を持つのでアジェントではあまり使われていないのだが、この船は良く見ると鉄そのもので出来ているではないか。
魔法も使わず何故沈まないのか、なぜ魔法も無いのにこれほどの文明を持つのか。

なによりもアジェントはこんな船を大量に持つ国にもうすぐ攻め込むのだ。

いくら魔法があるとはいえ、魔法はそこまで万能ではない、魔法に精通するものほどそのことを良く知っている、
逆に知らないものほど魔法の力を過信しているのだ、あのジファンのように。
もし攻め込もうものなら勝敗は目に見えている。
背筋に冷たいものが走った。脂汗が流れるのが自分でも分かった。

98F猿:2004/06/30(水) 19:57 ID:qUq6iUEM
相手はひどく緊張している様子だった。
無理も無い、まったく知らない軍人達に囲まれているのだ。しかしそうしてばかりいる訳にもいかない。
「それで、まず聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか。」
「は、はい!」
飛び上がるような声を出す少女。
なぜか出会ったばかりの時の妻を思い出してしまった。
こんな風に可愛らしく初々しかったのは始めの一週間だけ、すぐに自分を尻に敷いてしまった人だったが、元気だろうか?

「まず、我々は日本国、という国に属しています。日本国をご存知ですか?」
「ニホンコク・・・?すみませんが知りません。」
少女は首をかしげる。一筋の期待はあったのだが、予想通りの答えであった。
本当はこれから日本の状況を事細かに説明したいところだが、この少女の国が敵に回る可能性もある為、そううかつな行動は出来ない。
さらにもう三十分もしないうちに未確認木造船団とぶつかるだろう。あまり時間も無い。

「詳しい説明は後でしますが、今この船の進路上に船団があるのです。心当たりはありませんか?」
少女はしばらく考え込んだ後、少し目を背けて言った。
「・・・あります。」

99F猿:2004/06/30(水) 19:57 ID:qUq6iUEM
少女からあの船団に関する全ての事情――自分がつき落とされた可能性がある――も含めて、を聞いた時には、
未確認船団はあと、10分という距離に迫っていた。

100F猿:2004/06/30(水) 19:58 ID:qUq6iUEM
投下終了!
ご意見ご感想お待ちしております。

101名無し三等兵@F世界:2004/06/30(水) 20:21 ID:Gu0Gep4w
Good Job
ワクワク

102名無し三等兵@F世界:2004/06/30(水) 21:47 ID:6DkgH/I6
日本人がアジェントの奴隷制度を見て自分達も下手をすればその中に入るかもしれなかったと知ればバルト帝国を同盟を結ぶかもしれない・・・。
規模は違えど同じ機械を使っている国家だし、ともかく続編の投下を期待しています。

103S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/06/30(水) 22:51 ID:LgjpIS.M
鉄が魔法遮断物質と言うことは、少なくとも高機動車に籠もっていれば
幻惑や精神介入なんかは喰らわない、ということですか。
魔法の巻き起こす物理現象までは止まらないでしょうけど。

そうなってくると、幌トラックや随伴歩兵が一番危険か・・・

アジェンド艦隊は、風を無視して突っ走る船をどう叩くのか?
風の精霊で帆船コントロール?海戦に期待しつつ待っております。

104名無し三等兵@F世界:2004/07/01(木) 23:04 ID:.DRH/B7E
しかしこんごうの搭載兵器では何使っても相手が沈みそうですな
自衛隊の駆け引きに期待

105F猿:2004/07/03(土) 20:18 ID:qUq6iUEM
投下、行きまーす!

106F猿:2004/07/03(土) 20:19 ID:qUq6iUEM
「怪我人だ!早く医務室へ!」
何でこんなことになってしまったのか。
俺の手は血で真っ赤に染まっていた。目の前の部下の身体を今さっきまで流れていた血で。
かすかに震えているこの手。
なぜ、あんなことをしたのか。
目の前の船から真っ赤な炎の玉がこちらに飛び込んでくる。

「魔法」
イッタイナンナンダコレハ。

俺は慌てて身を伏せ、甲板で激しい火柱が巻き起こった。

107F猿:2004/07/03(土) 20:19 ID:qUq6iUEM
「つまり、あの船はアジェント王国所有の・・・」
「はい、奴隷商船です。といっても実際はラーヴィナ候が管理されてますが。」
思わず宮野と顔を見合わせる、まさか奴隷を国家が売買しているとは。
確かに木造船などの文明レベルを見れば理性では分からなくも無いのだが。
「どうしました?別に何の変哲も無い奴隷商船です。多少、いや、かなりの武装が施されていますが。」
「いや、そうではなくてね・・・。」

「私達の国では奴隷は認められていないのですよ。」

「え?」
狩野の言葉にセフェティナは目を丸くする。
「じゃあどうやって国家が成り立っているのですか?」
「私達を含め全ての国民が平等に人権を持ち、平等に勤労の義務を負っています。
そして彼らの納める税によって国が運営されているのです。」

108F猿:2004/07/03(土) 20:20 ID:qUq6iUEM
「・・・よく分からないのですが、国民全てが平等なんて・・・きっと素晴らしい王によって治められているのでしょうね。」

「いやいや、我が国の王・・・天皇と言いますが、は政治に関わる事を禁止されているのですよ。」
「は?」
間の抜けた声を出すセフェティナを狩野は娘を見るような目で見つめた。
彼女は元気だろうか、大学生活を謳歌していて最近会う暇も無かったが、もし帰ったらこの話をたっぷりと聞かせてやろう。
そう思う。

「さ、この話は又今度にしましょう。そろそろこちらも交渉の準備に入らなければなりません。
あなたも漂流している時に来ていた服を乾かしておいたので着替えて下さい。」
「あ、はい。わかりました。」
隊員に誘導されていくセフェティナの背中を見ながら狩野は基地と通信をつなげた。

109F猿:2004/07/03(土) 20:24 ID:qUq6iUEM
「・・・今、なんとおっしゃいました?」
「交渉の正使として福地殿を任命する、と言ったのだ。…気持ちは分かる。奴の傲慢さは有名だからな。だが、我慢してくれ。」
狩野は先ほどの暖かい空気から突然氷の張った湖に叩き落された気分であった。
「…はい、それがご命令ならば従います。」
「すまないな、軍人が政治的交渉をするわけにはいかないのだよ、この国ではな・・・。」

狩野が振り返るとやっと健康状態も回復しかと思われる福地が立っていた。
通信を福地に渡す。
「・・・ウム、どうした?・・・ああ、そうか。ああ、任せておけ。」
そう短く済ますと福地は通信を切った。

「狩野君はもう聞いているようだな、まあ、そういうことだ。補佐を頼むよ、…まぁ、いらないとは思うがね。」

いつもの人を見下した、嫌味ったらしい顔でこちらを見る。
もし自衛隊員ならば宮野から鉄拳が飛んでいるところなのだが、そういうわけには行かない。相手は文民様である。
「どうした、不満そうな顔をしているが?・・・軍人などに外交を任せられるわけが無いだろう、少なくとも君よりはこの仕事に精通しているつもりだが?」
「はい。」
狩野は答え、不満を顔にあらわにしていた隊員をチラリと見た。隊員はあわてて顔を取り繕う。狩野は申し訳なさそうに笑った。

「それで、遭遇は何分後だ?」
「はい、早くて5分前後と思われます。」
「そうか、では早めに段取りを決めておくとするかな。」

仮にも補佐役である自分に相談もせずにさっさと行ってしまう福地を狩野は不安な面持ちで見つめていた。

110F猿:2004/07/03(土) 20:25 ID:qUq6iUEM
投下終了です。間があいた上短くてすみません。
次回は来週の土曜以降かも・・・。その代わり戦闘一気に終わらせます。

ご意見、ご感想お待ちしています。

111_:2004/07/03(土) 21:43 ID:oX1OywGc
期待して待ってます。

112F猿:2004/07/09(金) 17:54 ID:qUq6iUEM
あああああ!
時間が無い!
レポートにテスト多すぎる!
福地がうまく動かせない!青島ただの嫌キャラ化してる!佐藤影薄い!種2って何だ!
魔法の設定がうまく生かせない!

っと、取り乱してすみません。
てなわけで明日の夜投下したいと思います。

113名無し三等兵@F世界:2004/07/09(金) 22:03 ID:XFwU2gsc
お待ちしております
でも、無理は禁物ですぞ

114F猿:2004/07/11(日) 14:30 ID:qUq6iUEM
遅れてすみません、投下します。

115F猿:2004/07/11(日) 14:30 ID:qUq6iUEM
初対面の時、何故こんな任務を自分が受けたのか分からなかった。
部下兼護衛。
「青島海尉の身に危険が迫った時は、左官よりも優先してその安全を確保しろ」
噂には聞いたことがある。
「世界各国の首脳、官僚と渡り合えるだけの幹部を養成する計画。」
青島は本人には秘密で行われるらしいこの計画の被験者らしかった。

将来の幹部。どんな若者か楽しみにしていたが、
目の前に居たのはふざけた軟派な男、佐藤―――実際はそうでもなかったが、と
それに舐められた口を聞かれてもへらへらと笑っているどこか陰のある男、青島だった。
「こんな人間のために命を賭けろと?」
俺はそう思った。
しかし俺は自衛官、下された命令はなんであろうが必ず遂行する。

116F猿:2004/07/11(日) 14:31 ID:qUq6iUEM
「我々に交戦の意思はなーーーい!」
「漂流者を一人保護しているぞーーーお!!」
すさまじい音量で放送が流されていた。
「な、なんだこれは?」
天野は耳を押さえながらうめいた。
ビリビリとあたりが音によって震える。
「な、なんでも――――これから接触する船に――呼びかけているらしいです―――」
佐藤の声も半分近くかき消されてしまう。
「なら――無線を使えばいいんじゃ――ないのか―――」
「それが――通じないら――しいんです――」

「こーしょーをもちたーい!」
放送も半ばやけくそに近くなっているようだった。

「それにしてもうちの隊長上によばれてったけどどうしたんだろうなぁ?」
隊員の一人がこれ又耳を塞ぎながら呟いた。

117F猿:2004/07/11(日) 14:32 ID:qUq6iUEM
「あの・・・」
セフェティナがおずおずと狩野に話しかける。
この放送が始まった時はずいぶんと、まるで子供の様に驚いていたがだいぶ落ち着いたようだ。
「なんですかセフェティナさん、すいません。少し騒がしくて。」
「いえ、けれどこれは向こうの船に呼びかけるためにしているのですよね。」
「はい。」
「なら、私に通信手段があるのですが・・・。」
艦橋に死にすらも似た沈黙が流れた。
放送がとめられたのはそれから30秒と経たなかった。

118F猿:2004/07/11(日) 14:32 ID:qUq6iUEM
ジファンは一人でほくそ笑んでいた。
うるさかったエルフの女も始末した。
後は奴隷達を収穫して持っていくのみ。多少の横領も許されている。
「クク・・・。」
ニヤニヤしながらジファンは自分の右手に付けられた篭手を見た。
制御石が組み込まれた篭手。魔法国家アジェント隆盛の象徴。
「そういえばこれを作ったのがセフェティナだったな。戻ったら新しいのを作らせるか。」
ジファンの足元にはセフェティナが安否を気にしていた女性奴隷の冷たくなった身体が倒れていた。
それを無造作に蹴飛ばしジファンはすくりと立ち上がった時、一人の船員が部屋に慌てて飛び込んできた。
「た、大変です!ジファン様!」
「どうした?」
「そ、それが・・・、前方に鳴き声を上げる船のようなものが。」
「鳴き声・・・?鳴き声をあげる船があるわけないだろう。」

・・・
あった。
甲板に出て、望遠鏡で見ると、紛れも無く船の形をしたものが、ここからでは聞き取りにくいが鳴き声をあげていた。しかし、マストも無い、あんなにも巨大。船とは言いがたい。
「な、なんだ。あれは・・・?海竜の一種か?とりあえず総員戦闘配置。特に魔術師隊は巨大生物相手の海戦の用意をしろ。」
ジファンはそれから呆然と目の前のモノを見た。

119F猿:2004/07/11(日) 14:34 ID:qUq6iUEM
セフェティナは右手を自分の顔の前に持ってきて、篭手を見た。
「(あの篭手・・・、救助隊員からどんなことをしても外れなかった、と聞くが。)セフェティナさん、我々はこの国のことには疎いのですがその篭手が何か通信に関係が?」
「あ、・・・はい。」
そうだ、そういえばこの人たちは魔法のことを知らないのだった。
ジファンの持っている篭手は自分が作ったもの。篭手の制御石の波長、というか特徴を知っておけば、普通は微弱なマナの振動を強めて意思を伝えることが可能なのだ。
魔術師はこれを共振通信と読んでいる。
といってもごくごく近い距離でしか出来ないが、相手の船が視認可能なこの距離なら十分だろう。
・・・アルヴァール魔術大臣だけは圧倒的な魔力でマナを振動させ、城から国中の魔術師に命令を伝えることが出来る。と聞いたことがあるが、どうせ眉唾物の話だろう。
だいたいいつも彼はエスフィリーナ様に仕事を押し付けてあっちへふらふらこっちへふらふら・・・。
「どうしました?」
「あ、すみません!・・・は、はい。詳細は省きますがこの篭手でわずかですが意思の疎通が出来るのです。」


キィン!!
「!?」
ジファンは突然頭の中が震えるような感覚に陥って、慌てて辺りを見回した。
誰も居ない。
・・・キコエ……マス・・・カ・・・
「声?・・・共振かっ!?馬鹿なっ!」
もう、自分に共振通信を繋げられる人物はこの周辺には居ない。
奴はもう今頃海の藻屑のはず。
・・・オウトウ・・・オネガ・・・イシマス

といってもここで通信をしないわけにはいかない、奴を生かしてアジェントに返せば、
良くて追放刑、最悪「破門」奴が生きている可能性がある以上、必ず見つけ出して消さねばならない。

120F猿:2004/07/11(日) 14:34 ID:qUq6iUEM
―――聞こえている、無事だったようだなセフェティナ。お前が海から落ちたと聞いて、エスフィリーナ様になんと報告すればいいか、不幸な事故だったな。―――
―――事故っ!?―――
向こうの気持ちが手に取るように分かる。共振通信は精神に依存する魔力でマナを動かす物だから具体的な言葉よりも相手の精神状態のほうがよりクリアーに伝わるのだ。
―――それより・・・今、船が見えますか?―――
―――船のようなものなら見えないことも無いが・・・。―――
―――私は今、その船に保護されているんです。―――
―――本当にそれは船なのか?―――
―――はい、現在私が乗っていることが何よりの証拠です。―――
どこの船かは知らないが余計なことをしてくれる。
そう、アレが船なら相手は何者なのか。あんな船アジェントには存在しない。
―――相手は何者だ?もし、帝国ならば今頃お前は八つ裂きにされているはずだが―――
―――はい、それが良く分からないのですが・・・、おそらく召還された人々かと―――
―――なに?―――
・・・そういえば、今日は召喚の儀式の次の日だったか?
しかし奴隷を召喚するとは王家やアシェナの連中もえぐい事を考える。
特にアシェナの連中は「アシェナの神の庇護を受けられない哀れな異世界人達を救い出す」
などという綺麗ごとを言って自己正当化しているが、自分達の奴隷欲しさというのは火を見るより明らかだ。

121F猿:2004/07/11(日) 14:35 ID:qUq6iUEM
―――しかし、そのドブネズミ共があんな船を持っているのか?―――
―――ドブネズミ、なんて・・・。―――
―――そうだろう、奴隷になるしか道の無い奴ら―――
―――彼らの持っている力は侮れないものがあります。くれぐれも刺激するようなことは―――
―――魔法も無い奴らが我々に傷を付けると?それで、身柄を引き取ってやる、どうせ交渉しろというのだろう?大体の異世界人はそうだ。井の中の蛙だからか?―――
―――有難うございます。交渉場所は―――
―――こちらの船でだ。それ以外は認めん。―――
―――はい。―――・・・ブツッ。
通信は切られたようだった。
ジファンは篭手をはめなおした。
「もう一度、これにお世話になる必要があるようだな?セフェティナ。」

122F猿:2004/07/11(日) 14:36 ID:qUq6iUEM
とりあえず投下終了。
レポートやテストがあるし、大体続きも書き上がってるんで、次は早いと思います。

123名無し三等兵@F世界:2004/07/11(日) 19:49 ID:Gu0Gep4w


124_:2004/07/11(日) 20:15 ID:oX1OywGc
奇態age

125S・F </b><font color=#FF0000>(g/XuFmDQ)</font><b>:2004/07/11(日) 22:28 ID:LgjpIS.M
>>122乙です。しっかし籠手でのやりとりで心が見えるとは、ジファンが知らない
のかセフェティナがお目付役だからか・・・どっちもですか。

精神の伝達レベルは、両者の魔法力の差に依存するのですかねえ?
この辺の状況によっては、通信の序列やらいろいろ有りそうですね。

126F猿:2004/07/11(日) 23:20 ID:qUq6iUEM
いえ、あそこで気持ちが分かる、と言ったのはジファンがセフェティナの気持ちを読み取ったんです。
それで「ははん、動揺してやがるなこの小娘が。」といった感じです。
魔力に差があったとしてもセフェティナの精神的均衡が崩れればジファンにも読み取れてしまうわけで。
考えていることが見える、と言うより喜怒哀楽が分かるという程度です。
あと、―――←って言うのは通信会話用のカギ括弧です。
分かりにくくてすみません。

あと、一人重要人物が名前だけですけど登場しているので覚えていてくれるとずっと後に楽しめるかも。

127S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/12(月) 09:25 ID:LgjpIS.M
遅レスですが、ジファンの方が読んでましたか。いや、セフェティナの台詞
直後だったものでつい・・・カギカッコはちゃんと分かりました。

喜怒哀楽って事は、電話で言う声音とかそういう感じですか?まあ精神に直通
している以上、いわゆる「声の調子」なんてのは無いですしね。

重要人物が一人って事は、幾つか出てきた他の名は?って
それも後の楽しみですね。

128F猿:2004/07/12(月) 22:12 ID:qUq6iUEM
ただいまから投下します。
3・・・2・・・1・・・

129名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:13 ID:qUq6iUEM
「ええっ!?じ、自分が、ですか?」
青島は狩野、福地、宮野という艦隊首脳のまえに呼び出されていた。
「ああ、君の隊に私と福地さんの二人を護衛してもらうこととなった。本当は我々の船で交渉を行いたかったんだが先方が絶対に自分達の船で、と言い張るらしい。」
「狩野君!」
青島が何かを言うより早く福地が怒鳴った。
「何を考えているか分からん未知の連中との交渉に行くのに何故こんな若造を!」
「彼は優秀な指揮官ですそれは保障いたします。それに・・・。」
上からの「青島に少しでも多くの現場を経験させろ」などという命令が無ければ私も彼を選んだりはしない。そう狩野は言いかけてやめた。
「それに?」
「いえ、なんでもありません。」
未だ不満そうな福地から狩野に向き直る。
「ということだ、青島君。君には期待している。大丈夫、そんな危険な任務ではない。」
「・・・はっ!了解いたしました。」
青島はどこかやるせない気持ちを抱きながらも敬礼をした。

130名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:14 ID:qUq6iUEM
「ということになった。」
こんごう甲板の空いたスペースに40名近くの小隊員が並んでいる。
「『ということになった』じゃわかりませんよ隊長。」
「読者の方々は分かってくれているだろうからいいんだ。」
「誰ですか読者って・・・。」
緊張した空気が一瞬や和らぐ、しかし青島が真剣な顔に戻るとまたすぐに空気は張り詰めた。
「我々の小隊で司令一行の護衛をすることになった。といっても先方の船の大きさから考えると行けるのは我々の中から行けるのはせいぜいヘリ一台分だがな。よし、今から行くものを読み上げる。天野!」
「は!」
まず名前を呼ばれた天野が一歩前へ出る。続けて呼ばれた者もそれに従った。
「・・・佐藤!」
「はっ!」
最後を佐藤で締めくくると青島は目の前に並ぶ5人の部下を見据えた。
青島自身を含め皆、緊張した面持ちで立っている。
「これは我々の艦隊だけではない、今後の日本の将来すら占う重要な交渉だ、それだけに護衛も重要な任務である。各自、最善の行動を期待する!」

131名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:14 ID:qUq6iUEM

「はっ!」
青島の顔はしっかりと指揮官のそれになっていた。
「(この男・・・、思ったよりも見込みがあるようだな。)」
天野は守るべき対象が二つあるこの任務に対し、微かな喜びを抱き始めていた。

132名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:15 ID:qUq6iUEM
「うひゃあああっ!」
セフェティナが突然尻餅をつく。
「どうしました?」
「・・・・なに、何あの化け物?」
セフェティナが指をさす先には風を巻き起こしながらたたずむヘリコプター(SH-60J哨戒ヘリ)があった。
「ああ、あれはヘリコプターと言って、あれで空を飛んで先方の船に行くんですよ。」
佐藤がここぞとばかりに紳士を装ってセフェティナに話しかける。
「空を・・・?信じられない・・・。」
「(こっちからしたら篭手で通信が出来るほうがよっぽど信じられないんだが)」
セフェティナは未だに立ち上がれないままヘリをぼんやりと眺めていた。


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