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SSスレ

109F猿:2004/07/03(土) 20:24 ID:qUq6iUEM
「・・・今、なんとおっしゃいました?」
「交渉の正使として福地殿を任命する、と言ったのだ。…気持ちは分かる。奴の傲慢さは有名だからな。だが、我慢してくれ。」
狩野は先ほどの暖かい空気から突然氷の張った湖に叩き落された気分であった。
「…はい、それがご命令ならば従います。」
「すまないな、軍人が政治的交渉をするわけにはいかないのだよ、この国ではな・・・。」

狩野が振り返るとやっと健康状態も回復しかと思われる福地が立っていた。
通信を福地に渡す。
「・・・ウム、どうした?・・・ああ、そうか。ああ、任せておけ。」
そう短く済ますと福地は通信を切った。

「狩野君はもう聞いているようだな、まあ、そういうことだ。補佐を頼むよ、…まぁ、いらないとは思うがね。」

いつもの人を見下した、嫌味ったらしい顔でこちらを見る。
もし自衛隊員ならば宮野から鉄拳が飛んでいるところなのだが、そういうわけには行かない。相手は文民様である。
「どうした、不満そうな顔をしているが?・・・軍人などに外交を任せられるわけが無いだろう、少なくとも君よりはこの仕事に精通しているつもりだが?」
「はい。」
狩野は答え、不満を顔にあらわにしていた隊員をチラリと見た。隊員はあわてて顔を取り繕う。狩野は申し訳なさそうに笑った。

「それで、遭遇は何分後だ?」
「はい、早くて5分前後と思われます。」
「そうか、では早めに段取りを決めておくとするかな。」

仮にも補佐役である自分に相談もせずにさっさと行ってしまう福地を狩野は不安な面持ちで見つめていた。


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