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SSスレ

1魔術師1 </b><font color=#FF0000>(zbg2XOTI)</font><b>:2004/03/16(火) 06:06 ID:5tGeSj8I
比較的硬派なSSを投下するスレッドです。
本スレとほぼ同じ、詳細かつ綿密な設定を練ってSSを書いてください。


ハイテク兵器VS剣と魔法

戦国自衛隊のノリでいて新たなジャンルを開拓すべし
銃を手に、ファンタジー世界で生き残れ!

・sage推奨。 …いや、sageる必要ないか。
・書きこむ前にリロードを。
・SS作者は投下前と投下後に開始・終了宣言を。
・SS投下中の発言は控えめ。
・支援は15レスに1回くらい。
・嵐は徹底放置だ。反論は許さん!…スレ住人が。
・以上を守らないものは………

本家スレ(2004 3月時点)
http://hobby3.2ch.net/test/read.cgi/army/1079351585/

133名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:16 ID:qUq6iUEM
「福地さん、すみませんね。本当ならAS332Lでお連れしたいのですが。」
「フン、軍人にそんな気の効いたものは期待していない。」
ズンズンと効果音を立てそうな調子でヘリに乗り込んでいく福地、
「宮野君、後は頼むよ。」
「は。」
そして狩野は福地に続いて乗り込んでいった。
「さあ、セフェティナさんも早く。」
未だ躊躇するセフェティナに対し佐藤は手を握って誘導しようとした、が。
「ひゃあああっ!」
セフェティナは慌てて手を振り払い飛びのく。

そんなこと佐藤は知る由も無かったが、元来エルフと言うものは男性も非常に女性的な、というより両性外見が変わらないのだ。そのために森で純粋培養されてきた彼女にとって人間の男と言うものは彼女を非常に戸惑わせるものであった。
(佐藤はおしおきとして天野にプロレス技を食らったらしい。)
その後なんとかしてなだめてセフェティナをヘリに乗り込ませ、狩野一行はジファンの船へと飛び立っていった。

134名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:16 ID:qUq6iUEM
「うおおっ!なんだあれは!?」
「か、神の使いか!?悪魔の使いか!?」
「落ち着け!ジファン様によるとアレが交渉相手らしい!」

バリバリバリバリバリバリ!
激しい音を立てて二台のヘリが甲板へと舞い降りる。
ヘリから降りた狩野一行はジファンと向かい合った。
一応胸に手を当てている(こちらの世界の敬礼の様な物らしい。)とは言え、
周りからは奇異、好奇、恐怖、様々な感情の視線がこちらに向けられている。
しかしその中に「侮蔑」の感情が含まれているのは何故だろうか?
艦長レベルの人間と交渉する相手はたとえ敵であっても尊敬してしかるべきなのだが。

135名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:17 ID:qUq6iUEM
「やあ、良くぞいらっしゃいました。この船の船長を勤めさせていただいておりますラーヴィナ候ランヴァーナ家の執事、ジファンと申します。
このたびはセフェティナ=バロウの救助をしてくださって、心から御礼申し上げます。」
「こちらこそ、私は経済産業省エネルギー庁福地と申します。」
福地が狩野たちに対する態度とはうって変わって満面の笑顔で握手を求める、そしてジファンもそれに答えた。
「私は日本国海上自衛隊護衛艦隊司令、狩野と申します。」
「さあ、このようなところで立ち話もなんですから、船長室へどうぞ。」
日本人達の聞きなれぬ肩書きに戸惑うことも無くジファンはニコリと笑うと狩野たちを手招きした。
しかし狩野はその顔に一瞬浮んで消えた軽蔑の表情を見逃しはしなかった。
「(この男、見かけほど好人物でもお人よしでもなさそうだな。)」
狩野は自らの腰にささっているSIG9mm拳銃を確認した。
「よし、それじゃあ佐藤と沢松、村田の三人はここでヘリの警備をしていてくれ。」
「はっ!」
「(・・・隊長)」
「(ああわかっている、あの男だけじゃない、この船全体、臭いな。)」
狩野だけではなく、青島と天野もまた、この不自然さを感じ取っていた。

136名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 22:18 ID:qUq6iUEM
展開が遅くなってますが投下終了です。
ご意見、ご感想、心からお待ちしております。

137名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 23:25 ID:MTBbKnPA
イイヨイイヨ〜
づづきを楽しみに待ってますよ。

138名無し三等兵@F世界:2004/07/12(月) 23:42 ID:MgC.CLEA
続きマダー?(チンチン)
って早すぎですか
期待age

139S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/13(火) 00:24 ID:LgjpIS.M
は、早い!うーむ。
しかし帆を畳んでいるとはいえ、帆船の甲板にヘリってのはいい絵ですなw
しかも二台・・・上から見ると、変なブレードが生えた船に。天界船?

期待しつつ、佐藤はなにを喰らったのか考えてみます。
卍固めとかコブラツイストだろーか。

140名無し三等兵@F世界:2004/07/13(火) 15:06 ID:z6YPz/so
続きが楽しみです。
福地はここで現実を理解できずに殺されそうな予感・・・。
それとバルト帝国はいつごろ出てくるのでしょうか?

141F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:09 ID:qUq6iUEM
皆様ご意見、ご感想ありがとうございます。やる気の源です。

>140さん、バルト帝国ですか、もちろん出しますが、
時期を言うだけでもかなりのネタバレになっちゃうので勘弁してください。

それでは投下行きます。

142F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:10 ID:qUq6iUEM
天使を信じていた。いや、今も信じている。
アシェナの神は言った。「世が乱れ、罪無き者が死に、罪深き者が生きる世となった時、私は我が僕を遣わし、罪深きものを滅し罪無き者を救うだろう。」と。
今がその時ではないのか、罪の無い異世界人が無理やり呼び出され、虐待される。
アシェナの神に仕えるはずの我々はそうして暴利をむさぼる。
私は天使が来る、来てくれると信じていた。

143F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:10 ID:qUq6iUEM
「どうぞ、こちらへ。」
幾つもの脇道を持つ少々長い廊下を通り、通された先は船長室であった。
日本側全員は息を飲んだ、床一面に張られた金で縁取りされた紅い絨毯、壁に張られている白く美しい模様を持つ壁紙、棚にはおそらく酒と思われるボトルが所狭しと置かれていて、その棚の上には美しい女神像がおかれていた。まるで王侯貴族の部屋である。
「見事な絵だ・・・。」
そして狩野の目を一番引いたのは美しく巨大な油絵だった。この世界の宗教画だろうか、神聖な雰囲気の漂う男性(神だろうか?)が幾人もの光を放つ槍を持った騎士達(天使?)を従えていた。しかし、これだけの部屋をなぜ一船の船長程度が持てるのだろうか。なにか財源があるのだろうか?
「どうしました?お座り下さい。」
「あ、ああ。」
ジファン殿と机をはさんで福地と共に豪華な細工のされた椅子に座る。
座り心地はあまり良くは無かった。
まあ、中世レベルの技術をこちらの技術と比べても仕方ないが。

144F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:10 ID:qUq6iUEM
「どうぞ。」
「あ、結構です。」
「うむ、頂こうか。」
美しい女性が先ほどの棚から酒のボトルを取り出し、こちらに酒を勧める。
福地は受けたようだが、こちらは万一に備えて断った。
しかしこの女性、確かに美しいことは美しいのだが、どこか悲しげで、・・・体中に痛々しい赤い傷跡がある。これはなにかで叩かれた跡・・・。鞭、だろうか。
「どうしました、その女が気に入りましたかな?よろしかったら差し上げてもかまいませんが。」
「いえいえ、まさか。」
「ほう、随分と太っ腹な船長様のようだ。」
福地の言葉でハッハッハとジファンと彼が笑い出す。しかし、ジファンは目が笑ってはいかった。

145F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:11 ID:qUq6iUEM
まず行われた事は情報交換であった。
当然である。日本側の至上命題は情報収集なのだから。
ジファンは少々焦っていた。
まず一つにセフェティナが生き延びたこと。これで奴は相当警戒するようになるだろう。
元々この船で一番の魔法の使い手なのだからあまり暴れさせることは出来ない。
そしてさらに大きな理由として、目の前の異世界人共の予想以上の文明レベルの高さであった、どうやっているのかは知らないが、やたらパリッとしている、黒い服(背広)
物腰の丁寧さ、キチンとした上下関係から言って教育も相当行き届いている。
そして何よりもあの魔法を使っているとしか思えない空を飛ぶ鉄の箱と巨大な船、いくらなんでも魔法を使って沈められないことは無いだろうが―――後に彼はこれが大きな誤算だったことを思い知る―――船員達が皆萎縮してしまっている。

146F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:13 ID:qUq6iUEM
「(私の使命は3つある、セフェティナの抹殺と、こやつらの言う「ニホン」の情報の収集及び奴らの船の奪取、そしてこの人間達の抹殺。そのためにはまずは快く迎えるフリをしなくてはならない。まあ所詮は魔法も使えぬ野蛮人、騙す事くらいわけも無いが)
それではお聞きしたいのだが、ニホン、と言う国は何処にあるのですかな?」
「はい、ユーラシア大陸の東の島国です。」
「ユーラシア大陸?どこでしょうか、そこは」
「・・・やはりお知りになりませんか。」
福地はため息をついた。
「実は我々はこの世界のものではないようなのです。」
「・・・やはり、そうですか。」
ジファンの「やはり」と言う言葉に福地は意外そうな顔をした。
「何か知っておられるので?」
「ええ、我が国、アジェント王国、と言いますが、は年に一度昼に出た月が黄金に輝く時に召還の儀式を行います。そして異世界の島々を呼び出すのです。」
「では!あなた達が我々を呼び出した!そういうことですか!」
福地が顔を真っ赤にしてガタンと立ち上がった。グラスが倒れ酒がこぼれる。
「はい、・・・遺憾ながらそういうことになりますな。」
「いったいなぜ・・・!そしてどうやって・・・!っ・・・ゴホゴホ!」
目の前の男達が魔法について知らないことを確認できた、ジファンはほくそえんだ。
「それではお話しましょう。」

147F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:13 ID:qUq6iUEM
ジファンはそれから一呼吸した。
「その前に一つ質問させてください。あなた達の乗る巨大な船と空を飛ぶ箱、あれらはどうやって動いているのですか?」
「あれは機械で動いているのですよ。」
咳き込む福地の変わりに狩野が答える。
「!」
「!」
ジファンの顔色が変わり青島と天野は64式自動小銃に手をやった。と同時にセフェティナも息を呑む、アシェナ教が禁止する機械に今まで乗っていたのだ。
「機械・・・ですか。つまりあなた方は帝国の仲間、ということですか?」
「帝国、とは?」
唇をふるわせながらジファンは首を横に振った。
「ご存知ありませんか、バルト帝国。機械文明を推進し、今我が国と対立している国です。
そして我が国アジェントの国教、アシェナ聖教は機械を禁止しているのですよ。」
「・・・そうですか。」
福地と狩野は思わず顔を見合わせた、国と深く結びついている宗教が機械を禁じていると言うことは完全な機械文明である日本とはあまり親密な関係は結べないと言うことなのだ。

148F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:13 ID:qUq6iUEM
「・・・おっと、といっても我々はあなた達と敵対するつもりはありませんよ。」
ジファンはニコリと笑い立ち上がって右手を差し出し握手を求めた。
福地と狩野も笑ってそれに答えようとする。
「司令、福地さん!危ない!」
猛烈に嫌な予感がしてセフェティナが叫んだ時、彼女の目の前を何かが通り過ぎた。
次の瞬間、船長室に血飛沫が舞った。

149F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/13(火) 23:14 ID:qUq6iUEM
いやな所で以下次回。すんません。
ご意見、ご感想お待ちしています。

150名無し三等兵@F世界:2004/07/14(水) 01:07 ID:Ew6Q62u2
次回戦闘の予感・・・
楽しみにしてます

151S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/14(水) 01:33 ID:LgjpIS.M
取り敢えずこれで、バルトとニホンがアジェンドと対立する構図が
できたわけですな。

さて次回は、血飛沫の舞う戦闘が!

152名無し三等兵@F世界:2004/07/14(水) 14:15 ID:NpTRDIPM
やはり日本は帝国側と組むんでしょうか

153F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/14(水) 22:04 ID:qUq6iUEM
すんません。魔法の設定に矛盾が生じたことを今更発見。
現在大幅書き直し中の為毎日更新は無理でした。

国家レベルの話はこの章が終わったら入ります。
どこがどう動くかは、プロットを一応組んであるので
期待・・・しないでお待ち下さい。

154名無し三等兵@F世界:2004/07/14(水) 22:15 ID:0F/hz0KI
明日には投下できますか?

155F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/14(水) 22:45 ID:qUq6iUEM
イエッサー、努力します。

156名無し三等兵@F世界:2004/07/15(木) 00:09 ID:0F/hz0KI
楽しみにしているので頑張ってください。
ただし矛盾しているようですがあまり無茶はしないようにお願いします。

157F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/15(木) 23:01 ID:qUq6iUEM
すいません。
リアルが忙しくて、ちょっと今日は無理・・・というか明日も無理かも・・・。

158名無し三等兵@F世界:2004/07/18(日) 22:02 ID:o69u.trA
矛盾点とは何だったんだろう?

159名無し三等兵@F世界:2004/07/19(月) 09:28 ID:LgjpIS.M
>>158魔法が通らない「鉄」製のはずの艦内で魔法の通信が出来たところですかね?
ガラスが透過できるなら、そこを通ったのかもしれませんが。

160F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:55 ID:qUq6iUEM
どうも、お久しぶりです。というかすみませんでした。
矛盾点、と言うのは今書いていたので出来てしまった物です。
どんなものかは恥ずかしいんで秘密。
ってな訳で投下、行きます!

161F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:56 ID:qUq6iUEM
青島は夢中になってジファンと狩野達の間へと飛び出していた。
自動小銃では間に合わない、と判断してのことである。
見えたのだ、ジファンの左手の中に幾つもの黒い釘のような物が浮いているのを。
「司令っ!」
ジファンが黒い釘のようなものを浮ばせる左手を下手投げの要領で振り上げようとした時には、青島はジファンと机越し、狩野の目の前へと移動していた。
「(間に合った!)」
そして青島はすぐ自分に降りかかるであろう激しい痛みを覚悟した。
そして青島の身体は真っ赤な血で染められた。
青島自身の血ではなく、天野の血によって。

162F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:56 ID:qUq6iUEM
くそっ、この坊やが!
天野は自分よりも早く飛び出していく青島を見てそう叫びたい気持ちでいっぱいになった。
確かにベテランである自分を上回る反応速度と上官のために命を捨てるその覚悟は素晴らしいものだ。
しかし、自分の体がどれだけ大切なものであるかを知らない以上、ヒヨッコなのだ。
このような仕事は自分や佐藤、そう下の仕事なのだ、青島のような将来の高級幹部の仕事ではない。
机を踏み台替わりにしてジファンに飛びつく、机の上のワイングラスが踏みつけられ粉々に砕け散る。
そして天野は腹部を何かがすり抜けたように感じた。
そして、激痛。
天野は自らの防弾チョッキ――チタン製防弾プレートで貫通力重視のライフルでもない限り防げると言う触れ込みのはずだったが。――
に三つ銃の跡のような丸い穴が開いているのを見て、倒れた。

163F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:57 ID:qUq6iUEM
天野を貫通し、背中から生えてくる「黒い釘」は青島の防弾チョッキの表面に当たって弾けて消えた。
「ばっ、バカな・・・。」
この呪文はあらゆるものを貫く、庇ったからと言って防げるものではない、のにもかかわらず傷を負ったのは飛び出てきた男一人。
「ええい、もう一度撃てば済むこと!」
ジファンが叫び指を鳴らす、すると後ろに侍っていた三人の男が青島たちの方を向き、ぶつぶつと何かを言いながら右手を前に出す、その手の中でまた「黒い釘」が形成されていく。
倒れ行く天野の後ろで呆然となった日本側一行、その中で唯一動いた人間が居た。
青島であった。

164F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:57 ID:qUq6iUEM
彼は本来ならば一番動揺していてもおかしくない位置であった。
しかも体中あちらこちらが血で染まっている。
しかしこれをキレた状態と呼ぶのだろうか、青島は恐るべき冷静さ、恐るべき速度で護身用の9mm拳銃を引き抜き、安全装置を外す、そして倒れる天野を支え、その身体を盾のようにして男の一人の肩に拳銃を向け、引き金を引いた。
ガンパウダーに火がつき、炸裂し、弾が、あらゆるものの命を問答無用で奪い取る死神が打ち出された。

165F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:58 ID:qUq6iUEM
男の一人、魔術師は篭手を構えた。
幸い敵は呆然としている、自らの精神力を媒体としてマナを手中にかき集め、圧縮する。
そしてそれは自分の魔法詠唱によって比類なき貫通力、殺傷力を持つ。
それを目の前に居る人間達、いや、エルフも一人居るが、の司令官らしき人間の心臓に狙いを定めて放つ。
今までそれで何人もの人間を殺してきたか、ジファンがこの地位に上り詰めるために、同じラーヴィナ候の部下を撃ち殺してきたこともあったが、皆例外なく倒れ伏した。
しかし、何かが破裂するような音がした、そう思った時には魔術師は肩に強烈な痛みを感じていた。
「がっ!…なんだ・・・熱・・・い・・・?」
と呟いた時には視界には天井しか映ってはいなかった。

166F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:58 ID:qUq6iUEM
ジファンの横を風が通り過ぎた。
「がっ!」
悲鳴と共に部下の一人が仰向けに床に倒れる。
振り向くまもなく又一人が足を何かで撃ちぬかれ倒れる。
目の前のひ弱そうな男が握る黒い鉄の塊から煙が出ているのが見える。
「新型の弓矢か!?」
そう叫ぶと同時に自らの命の危険を感じ取りジファンは横に跳び、非常で入り口に向かって走りだした。
「逃がすか。」
青島はいったんジファンに狙いを定めるが、すぐに我に帰って最後の魔術師へと銃を向けた。
魔術師の黒い釘がこちらに向けて放たれようとしている――反応が遅れた――青島は身を強張らせた。

167F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:59 ID:qUq6iUEM
ダァンッ!
手がはじけ飛ぶ、魔術師の腕が。肩から千切れた腕が地面に転がる。
青島が後ろを見ると部下の一人、出雲が64式自動小銃を構え、呆然とした顔で自らの煙を吹く銃を眺めていた。
「お、俺・・・は?」
「よくやった、出雲。天野の応急処置をしてやってくれ。」
呆然とする出雲の肩を青島はポンポンと叩いて、狩野たちのほうを向いた。



「ご無事でしたか?狩野司令、福地さん、セフェティナさん。」
「ああ、大丈夫だ・・・。ありがとう。」
狩野が未だにショック症状の福地の代わりに答える。
「今ならまだ、敵指揮官を潰せると思いますが。」
「いや、良い。怪我人の処置が先だ、船に戻る。それに我々は自衛隊、自分から攻めてはいけない。」
「は。」
青島は敬礼をすると天野の怪我の処置をおどおどとする出雲に代わりてきぱきとやっていく。

168F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 14:59 ID:qUq6iUEM
「天野・・・、大丈夫か?」
「隊長、心配・・・なさら・・・ないで下・・・さい。」
「何が・・・何が大丈夫なものか!」
突然叫びだす人間が居た、福地である。
「おい!ああいう人間を片っ端から殺すのがお前達の仕事だろう!なんだこのザマは!」
狩野に掴み掛からんばかりの勢いで攻め立てる。
狩野はその福地の襟をぐいと掴んだ・
「な、何をする・・・?」
「ここはもう戦場です、生き残りたければ軍人の指示に従ってください。」
「き、貴様らにそんな指揮権は・・・。」
「それに、まだ正体も知れぬ相手の握手にニコニコと無用心に応じたのはだれでしょうか?」
「ぐっ・・・。」
狩野は襟を放した時、青島に通信が入った。

169F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 15:00 ID:qUq6iUEM
ヘリ防衛部隊からであった。
「どうした佐藤?」
「た、大変です!船員達が突然矢や剣で我々に攻撃を!威嚇射撃だけでは防ぎきれません。正当防衛射撃の許可を!」
「代わりたまえ。」
狩野は青島の通信機を持つと叫んだ。
「我々も攻撃を受けた、敵船団には明確に我々に対する攻撃の意思があると見られる、正当防衛射撃を許可する。撃て!これは戦争だ!」
「・・・了解。」

異世界に転移してから約2日後、日本は戦後初めての戦争の口火が切られようとしていた。
日本では後に異界戦争、異世界側からは第一次アジェンド大戦と呼ばれる戦いの始まりであった。

170F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/19(月) 15:01 ID:qUq6iUEM
投下終了しました。
次回はいつかは未定です。けど今週中には必ず・・・。

ご意見、ご感想待ってます。

171名無し三等兵:2004/07/19(月) 16:23 ID:oX1OywGc
乙カレー

172名無し三等兵@F世界:2004/07/19(月) 21:38 ID:d58Vxv6s
GJ!

173名無し三等兵:2004/07/22(木) 18:16 ID:oX1OywGc
ところで今週中って日曜の12時までっことか?

174F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:39 ID:qUq6iUEM
僕のSSを待ってくれている人が居る、こんなにうれしい事は無い。
とまあ某ネタを使って今の気持ちを表現したところで、

投下いきます。

175F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:39 ID:qUq6iUEM
「具合はどうなんだ?」
「はい、出血等から見るに幸い臓器の損傷は無いみたいです。」
天野の応急処置を終え青島は答えた。
そして倒れている魔術師達のほうをチラと見る。
「あの・・・殺さないんですか?」
セフェティナがおずおずと青島に尋ねる。彼女の世界、いや青島たちの居た世界にとって敵は必ず殺すべき存在である、常識である。尋ねるまでも無い事なのだが、しかし、彼ら自衛隊はその点世界の非常識であった。
証拠に彼は明らかに殺さないように魔術師達を攻撃した。それもセフェティナの常識を揺るがすものであった。それに元々同じ国の民である、傷つくのは見ていて気分の良いものではない。
セフェティナの言葉に答える代わりに青島は叫んだ。
「出雲!止血と消毒だけでもしてやれ。」
「!」
セフェティナは息を呑み、その表情が少し明るくなる。
青島はその顔を見て少し口元を緩めるとまた真剣な表情になり狩野に向き直った。

176F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:39 ID:qUq6iUEM
「ヘリコプターは自動小銃があれば確保できるとは思いますが、天野二曹の怪我もあります。あまり時間はありません、甲板に急ぎましょう。」
「ああ。そうだな、大丈夫ですか福地さん。」
「・・・ああ。少なくとも船に戻るまでは君たちに従うとしようか。・・・船に戻るまでだがな。」
「十分です。」
笑って言う狩野に福地は渋い顔をした。

177F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:40 ID:qUq6iUEM
長い廊下を歩いていく、異様なまでに静かなその一本道。
「いったい、あの攻撃はなんだったんだ?あの黒い釘のような・・・。」
沈黙を紛らわすかのように青島がセフェティナに尋ねる。
「はい、ネイルと言います、呪文詠唱がほとんど必要ない上、マナの干渉波もほとんど無いから良く暗殺用に使われる魔法です。」
「へえ・・・。え?」
少しだけ感心して、止まる。聞きなれない言葉、いや子供のころには何度も聞いたが―――が当然のように出てきた。
「・・・今何て言ったの?」
「え、・・・ネイルと言って」
「いやそっちじゃなくて、魔法?」
「はい、魔法です。別におかしくともなんとも・・・あ。」
彼らの居た世界にはマナが無い、それに今更セフェティナは気づいた。
「話すと長くなるので、後でお話します。」
「ああ・・・頼むよ。」
魔法。魔法、子供のころ猿のようにハマったRPGに良く出てきていた。
まさかこの世界には月が紅いだけじゃ飽きたらず魔法まであると言うのか。
舐めていた、この世界を。
青島は自分が置かれた状況を改めて思い知らされた。

178F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:41 ID:qUq6iUEM
「・・・おかしいな。なぜこうも攻撃が無い?」
狩野は一人つぶやいた。
当然の疑問と言えば疑問である。ここで後ろからの追撃も無い、前からの攻撃も無いとなればいつわれわれに攻撃を仕掛けてくるのか。甲板で一網打尽にする気なのか。
「ジファンは・・・ここでみすみす私達を逃すような人間ではありません。」
ダダアンッ!!セフェティナが呟くのが早いか、何かが弾けるような音がして、だいぶ離れたところにおいてあった樽が木っ端微塵に弾ける。
「げうっ!」
と、同時に鈍い悲鳴が上がり、陰に隠れていたのか、バンダナに剣と言う海賊スタイルの男が血を流して倒れた。

179F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:46 ID:qUq6iUEM
「くそおっ!」
倒れた男の影から、もう一人、右手に篭手を付けている――魔術師である証拠――がヤケクソ気味に青島たちに手を向ける。
ダアンッ!
「があっ!」
しかしそれもまた足を撃ちぬかれ、地面に倒れる。
音のしたほうをセフェティナが恐る恐る見ると、青島の持っている自動小銃が煙をまるでタバコのようにふかしていた。
「天使・・・様?」
その悪――セフェティナの価値観で、だが――を容易くなぎ倒すにもかかわらず、不殺を貫く彼を、セフェティナはある種の憧れの視線で見つめていた。

「良い判断だ、青島二尉。」
「いえ、もし自分が敵ならここに間違いなく伏兵を配置する、そう思っただけです。」
「ほう・・・。」
狩野はなぜこの一見軟弱に見える男が何故将来の高級幹部に選ばれたか、それが分かった様に思えた。
一方青島は、セフェティナの自分に対する視線が変質してきているのに気づいていなかった

180F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/24(土) 22:46 ID:qUq6iUEM
投下終了!
ご意見、ご感想、お待ちしております。

181名無し三等兵@F世界:2004/07/24(土) 23:05 ID:hz/whlgs
キタキタキタキター!

182名無し三等兵@F世界:2004/07/24(土) 23:05 ID:hz/whlgs
キタキタキタキタキタキター!

183名無し三等兵@F世界:2004/07/24(土) 23:13 ID:BTjRvT6Y
この調子で続編を期待しています。

184F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:29 ID:qUq6iUEM
投下、いきまーす!

185F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:30 ID:qUq6iUEM
一方佐藤は血溜りの中に居た。自分を襲おうとしていた人間は大半がその血溜りでピクリとも動かない。鉄の殺人兵器「64式自動小銃」人を殺す、そのことだけを追い求めた人類技術の結晶はその威力を佐藤の眼前でまざまざと証明した。
「し、死んでる・・・人が・・・?」
「落ち着け、佐藤。止血するぞ。」
肩から流れる血に気がつきもせずに呆然とする佐藤の頭を鉄兜越しではあるが村田三曹がポンと叩いた。
しかし治療をしている村田もまた足に浅くない傷を負っていた。

186F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:31 ID:qUq6iUEM
「明らかに火炎瓶や銃と思われる攻撃があった・・・。しかし何故だ?この船の文明レベルを見るにそんなものはあったとしても火縄銃ぐらいだが・・・。ええい、沢村!ヘリに故障は無いか!?」
考えるのをそこで打ち切ってヘリの点検をしている沢村に声をかける。
「はい!表面が少し火にあぶられた程度です!飛行に支障はまったくありません!」
「そうか。」
明るい沢村の声に少し安心、少し苦笑して通信機を取り出し狩野へと連絡を取る。と言っても向こうには青島と天野が居る、滅多な事はあるまい。
「司令、ヘリの確保に成功しました。こちら側は軽傷、自分を含む二名、重傷、死亡者はなし。敵方は死亡者8人軽傷者6名です。・・・司令、我々は人を殺してしまいました・・・。」

187F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:31 ID:qUq6iUEM
「・・・。」
通信機を通しても狩野が奥歯を噛みしめたのが分かった。それだけの意味があるのだ、この自衛隊が始めて人を殺した、と言うことは。
「・・・よくやった。その場でヘリの確保、敵軽傷者の治療を行ってくれ。」
「了解しました。」
通信機を切って村田は自分の手を見た。血で汚れた、人を殺めた手。
「もうこの手じゃお前は抱けないな、真由美?」
村田は一人苦笑して、未だ呆然とした敵の応急処置に向かった。

佐藤には彼が泣いているように見えた。佐藤も沢村も実は銃を撃っていない。
二人が呆然としている間に村田が一人でこの血溜りを作ったのだった。
まだ若い二人に人殺しを経験させたくない、という村田の配慮だったのだろう。
佐藤は漠然とそう思っていた。

188F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:33 ID:qUq6iUEM
「たいしたものだな・・・。」
狩野は目の前に倒れ、呻いている男達の姿を見ていった。
これらは皆青島の先読みによって奇襲することすら許されなかった人間達であった。
「いえ・・・、無駄弾もいくらか使いましたし。それより早く行かないと、天野が危ない。」
「ああ。」
甲板への扉を抜けるとそこには血溜りが広がっていた。
「うっ・・・。」
セフェティナと福地が同時に呻く。二人とも戦いには慣れていないのだ。

「ご無事で何よりです、狩野司令、福地様。」
「ああ、ありがとう。ヘリの用意は出来ているか?重傷者が一名居る。」
「重傷者・・・『天野さん!?』」
村田の言葉を遮り佐藤が飛び出る。
「なぜ?天野さんが!?」
「やめろ佐藤。」
村田が佐藤をぐいと引き戻す。
「とにかくすぐこんごうに戻りましょう。ここは危険です。」
「ああ。・・・このままだと海戦になるか?」
「おそらく。ただ海戦になればこちらが圧倒的有利です。」
「わかった。」
ヘリコプターが浮き上がる。
「おお・・・、鉄が、飛ぶ・・・。」
甲板の怪我をした敵兵は呆然とその様子を見つめていた。

「くそっ!くそっ!」
何故こうも思い通りに行かない。
「・・・待てよ?もともとは野蛮人どもの恫喝用に持ってきたが・・・あれなら・・・。」
ジファンは隠し扉から甲板のすぐ下にある大きな隠し部屋に入った。
そしてそこに存在するのは赤い瞳、大きな翼、鋭い牙、真っ赤な鱗。
この世界最強の生物、ドラゴンであった。

189F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:34 ID:qUq6iUEM
ドラゴンと一口に言っても様々な種類が存在する。
地方伝承では神などと言われている程の力を持ち、その長い寿命で人間の歴史の傍観者となってきた「竜」。

基本的に山高くに少数で住みある程度の知能を有するため人間と対立したり手を組んだりしてきたブラックドラゴン、ゴールドドラゴンなどの正統ドラゴン族。

その他様々な種類があるのだが、ジファンが目の前にしているのは知能は高くないが集団で群れる性質があり、それを利用して人間に軍事目的で飼育されている、高い飛行能力を持つ種族。ワイバーンであった。
ドラゴンの中では低級と言われるがその力は人間に対して圧倒的なものがあり、このワイバーンによる竜騎士団はアジェントの軍部の一角を担っていた。

「ええい、アジェント王国の力を、元・王下竜騎士であった私の力を見せてくれる!」
自分の周りにマナの壁を張り巡らし風除けをする、といってもジファンの、と言うより普通の人間の魔力では多少の風は来るのだが。しかしそのマナの壁ゆえに竜騎士は高速移動による一撃離脱の戦法を可能としていた。

ワイバーンのブレスにより甲板をぶち抜きワイバーンは空高く飛び上がった。
目の前に自分に背を(といってもどちらが前か良く分からないが)向けて自らの船へと逃げていく巨大な空を飛ぶ鉄の塊が見えた。
ジファンはニヤリ、と笑みを浮かべた。

190F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 08:37 ID:qUq6iUEM
投下終了しました!
次々回あたりで決着かな。
ご意見、ご感想待ってます。

191S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/29(木) 10:00 ID:LgjpIS.M
乙です。ワイバーンvsヘリコキター!
ドラゴンフライとドラゴンもどき、という対比は面白いですね。
ワイバーンの特性から行くと、能力はレシプロ可変翼機って所でしょうか。

自衛隊の初めての戦闘、というのは歴史ですねえ・・・

192名無し三等兵@F世界:2004/07/29(木) 10:55 ID:43sYsfPc
GJ!
ヘリはSH-60ということは
やっぱり母艦からの攻撃となるのかな?

続きお待ちしております

193F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 21:29 ID:qUq6iUEM
間がほとんど空いてないけど進行が遅いもんだから投下します。

194F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 21:30 ID:qUq6iUEM
敵はこちらには気づいていないようだ。
先程は舐めたまねをしてくれたが、所詮野蛮人が我々に敵う訳は無いのだ。
目の前に居る鉄の竜モドキに篭手をはめた腕を向ける。
たとえ鉄製でマナが通らないと言っても、鉄自体にダメージを与えることは出来る。
空気中に存在しているマナを自分の手から竜モドキの尾へと凝縮し紐のようにつなげる、それと同時にワイバーンにファイアブレスの指示を出す。
「終わりだ!」
俺の詠唱によりマナは俺の手元のほうから強い熱を帯び炎のような赤い光を放つ。
最後の一瞬竜モドキがわずかに動いたように見えたが、遅い。
赤い光とファイアブレスは竜モドキを確実に捉えていた。

195F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 21:31 ID:qUq6iUEM
「マナの干渉波!?」
セフェティナは悪寒を感じ叫んだ。これは見紛うことも無い、誰かが魔法を発動したしかもすぐ近く。
「司令!後方に未確認飛行物体!…なんなんだ、これは!?」
セフェティナは自分の嫌な予感が当たってしまったことを確信した。
船の中で一度だけ見た、一船を一騎で潰すと言われる王下竜騎士、その竜を。その赤い翼を。
「まさか・・・いや、間違いない、ワイバーン! 沢村さん!攻撃が来ます、避けて!」
「攻撃!?了解、旋廻する!」
必死に操縦桿を倒す。
しかし沢村の努力むなしくなにかが尾の部分に当たり、さらにヘリ全体をファイアブレスが包み込む。海にヘリの欠片が降り注ぎ大きな水しぶきを立てた。
激震と共に一気に灼熱化する機体内。
「ううっ!」
その場に居る全員が呻いた。

196F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 21:31 ID:qUq6iUEM
「こんごうへ、こちら沢村、未確認飛行物体の攻撃を受けた!敵への攻撃を求む!」
「いや、今撃てばそちらにも当たる、なんとか敵から離れてくれ。」
「そんなこと・・・できるわけが・・・!。」
沢村は操縦桿を握りなおす、尾の部分は完全にイカレている上、炎の熱でブレードがゆがんでいる。
「機体のバランスが・・・保てないっ!司令、こんごうに不時着します、対ショック防御を!」

キインッ
―――どうだ?セフェティナ、今船と持っている武器全てを明け渡せば命は助けてやる。そうあちらの司令官、カリノだったか?に言え。―――
突然セフェティナの頭に響く共振通信、そのジファンの声は完全に勝ち誇っていた。
それを伝えたセフェティナに狩野はボソリと呟いた。
セフェティナは目を丸くし、そして狩野にに確認を取る狩野は首を縦に振った。
―――か、狩野司令官の言葉をそのままそちらに申し上げます。『我々はいつでもあなた達の降伏を受け入れる用意が出来ている。』との事です―――

ジファンの精神状態が大きく揺れ動いたのを感じセフェティナはおもわず身震いした。
底知れない怒り、共振通信が途切れる。
「なぜ?この状況であんな言葉が・・・?」
セフェティナは唖然として狩野を見た

197F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 21:31 ID:qUq6iUEM
「死んでもらうとしよう。」
ジファンはワイバーンの手綱を持ち、ヘリに一気に接近する。
竜モドキはもはや死に体でふらふらと母艦への進路をとっていた。
近くで見れば見るほどどうやってこんなモノが空を飛ぶのか不思議になるが、今はそんなことを考えている場合ではない。
ワイバーンの炎が再びヘリを包み込む。
しかしさすが鉄、といったところか、致命的な損害を与えている様子は無い。
だが、これには耐えられまい。
再びマナを凝縮し竜モドキへとマナの糸を繋ぐ、今度はガラスを通して直接内部へと。
ここは海面からはるか上空、脱出のすべは無い。間違いなく蒸し焼きになって死ぬだろう。
「これで、さよならだな?」

198F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/29(木) 21:37 ID:qUq6iUEM
今日中にここまで書いときたかった・・・。
てなわけで投下終了。
感想(ガソリン)の補給待ってます。

199名無し三等兵@F世界:2004/07/29(木) 22:09 ID:z9hr/42c
「こんごう」の活躍に大期待です!
ところで、余計な事かもしれませんが、
状況描写がもう少しある方が良いのじゃないかと思いました。

200S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/07/29(木) 22:19 ID:LgjpIS.M
乙です。しかしジファン強っ!前の甲板をぶち抜くシーンも合わせると、
今のところジファンは「ダークヒーロー」って感じですな。

しかし自分の前レス、ちょいと書き方がまずかったかな・・・(汗
実はドラゴンもどき=ワイバーンと言う意味で書いていたのです。

まあ異人の目からすると、ジェットやレシプロは尾がぶっとすぎて
鳥に見えるだろうし、竜もどきと言える飛行機械はヘリだけでしょうな。

201名無し三等兵@F世界:2004/07/30(金) 01:07 ID:sgzlJ/cE
気になって眠れませんw

202F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:54 ID:qUq6iUEM
うお!ご感想、ご意見有難うございます。
状況描写・・・戦闘描写が苦手なもので、逃げてました、すんません。
竜モドキは・・・このままでいっちまいます(汗

ではなぜか書くスピードがやたら早いですが、投下いきまーす!

203F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:54 ID:qUq6iUEM
激震の続く機体、ほとんどの人がしがみつくだけで精一杯であった。
窓の外は真っ赤な炎に覆われ敵の攻撃の激しさが伺われる。
そして温度は上昇し続ける。チリチリと頬を焼く空気、青島たちの頬をダラダラと汗が流れた。
「こんな振動・・・天野さんが・・・天野さんが!」
佐藤が奥歯をギリッ、と噛みしめる。汗の中には涙が混じっているようにも見受けられた。
自衛隊内で彼の自衛隊員としての全てを叩き込んできた男、それが今、命の危機に瀕しているのだ。
「こ、これは・・・ど、どうなって・・・ガッ!」
叫ぼうとした福地が舌を噛む、しかし今はそんなことにかまう余裕のある人間は居ない。

204F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:55 ID:qUq6iUEM
セフェティナは生き延びる方法を必死で考えていた。
ジファンは今すぐにでも魔法の追撃を仕掛けてくるだろう。この鉄の箱がいくら頑丈だとはいってもそう何発も持つまい。ジファンは自分に魔力で劣るとは言え、熱・炎系統の魔法を得意としている、その威力ならもってあと二発だろう。
そして魔法の対処法を知っているのは自分だけ、つまり今の状況を変えられるのも自分だけなのだ。
ピクン・・・。マナの干渉波が窓の外側から感じられた。
そしてマナの糸(爆弾で言えば導火線の役割を果たす。)がガラス(と言ってもこんな純度の高いものは見たことが無いが)を通ってこちらに入ってきて、青島の目の前で止まる。
「な、なんだ・・・光る、糸・・・?」
青島は触ろうとするがそれはかなわず手はすり抜けてしまう。

205F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:55 ID:qUq6iUEM
「いけない・・・。」
目の前で光る糸はもう間も無く灼熱を発し、この機体内のあらゆる物を焼き尽くすだろう。
しかし、ジファンには誤算があった。それはヘリの中には自分以上の魔法の使い手が居ることを忘れていたことである。
セフェティナは魔法の篭手をはめなおした。
そして窓を通るマナの糸に自らの魔法の被害を機体内に及ぼさないように窓に手を押し付けるようにして触れる。
そしてジファンがこれから魔力を通すであろうマナの糸に魔力干渉をし、詠唱を始める。
ジファンの熱と炎の呪文と反対である冷却と氷の呪文の詠唱を。

206F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:56 ID:qUq6iUEM
図解
ジファン:炎魔法→――――――――マナの糸――――――――←氷魔法:セフェティナ

207F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:56 ID:qUq6iUEM
青島は呆然としてセフェティナを眺めていた。
突然もうかなりの熱を持っているだろうガラスに手を押し付けた彼女が何かを囁くように唱えるのを。唱えると同時に彼女から何か威圧感のような物が発される。
彼女の篭手に埋め込まれた大きな宝石が光り、それに呼応するようにマナの糸が輝きを増す。
「セ、セフェティナ・・・さん?」
「大丈夫です。」
ただ聞くだけの青島にセフェティナは手を焼かれながら少し苦痛に歪んだ笑顔で答えた。

208F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:56 ID:qUq6iUEM
一方ジファンもマナの干渉波を感じていた。
紛れもなく自分が攻撃しているあの竜モドキの中から、である。
しかし惜しむべきは彼にセフェティナほどの魔法知識がなかったこと。
自分の作り出したマナの糸が利用されているなど夢にも思わなかった彼は、セフェティナの作り出した糸が自分のほうに来ていないことで安心しきっていた。
「とどめとなるな?これは。」
詠唱が完成し、魔法を放つ。
再び手元から赤い火線が竜モドキへと空中をすべるように接近する。
そしてそれと、同時に見える。
竜モドキ付近のマナの糸が霜を纏い、その部分がどんどんこちら側へと近づいてくるのが。
「な、なんだ!?あれは。」

209F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:57 ID:qUq6iUEM
赤い光と霜を纏う光はぶつかり、打ち消しあい消滅する。
それどころか霜の光は竜モドキを覆う炎までかき消してしまった。
「ぐぐっ・・・冷気系かっ!」
確実に勝利したと思い込んでいただけにショックも大きい、ジファンは歯軋りし、それと同時に相手にセフェティナが居ることを思い出した。
奴は小賢しい事に自分よりも断然魔法発動が早い。
「あまり近くに居ては追撃を食らうか。」
ジファンはワイバーンをヘリから放し、新たな魔法を唱え始めた。
しかし、ジファンにはここにも誤算があった。
異世界の戦力―――日本の兵器を舐めすぎていたことである。

210F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:57 ID:qUq6iUEM
ガガガァンッ!
「!?」
激しい音がし、何かが来る、そうジファンが気づいた時には54口径127ミリ単装速射砲が彼とそのワイバーンの身体をもはや原形も残さぬほど木っ端微塵に砕いていた。
「あ・・・あ・・・。」
―――こちらこんごう、敵アンノウンの撃墜に成功。―――
呆然と海に落ちていくジファンの肉塊を見つめるセフェティナの耳にただ無機質な通信手の声が響いていた。

211F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/07/30(金) 23:58 ID:qUq6iUEM
任務完了!
前々回の終わりには次々回で決着とか言ってたくせに大嘘こいてる・・・。
まぁそれはそれとして・・・。

ご意見、ご感想 お待ちしております。

212名無し三等兵@F世界:2004/07/31(土) 01:23 ID:.inmUfB6
乙ー。
でも対空なら近接信管だから、木っ端微塵にはならないはず。
安全率見込んだバースト射撃でも原型は残るでしょう。
つうか、敵と認識したらアンノウンではないのでは。

213名無し三等兵@F世界:2004/07/31(土) 07:52 ID:LgjpIS.M
>>212「敵対行動を取る」未確認飛行物体を撃墜、って意味なのかも。
「敵竜撃墜!」とかいきなり言われても、それはそれでどうかと思うし。

214名無し三等兵@F世界:2004/07/31(土) 11:14 ID:defVbuY6
更新早くてうれしいです。

>>212
127ミリ砲よりは20ミリ機関砲のほうが良かったかもしれませんね
地味なので私はこちらの方が良いですが

215F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/01(日) 10:49 ID:qUq6iUEM
や、やっちまった・・・orz
アンノウンというのは>213さんの解釈のつもりで書いたんですけど、
そうか・・・木っ端微塵にはならないんですね・・・。

ぐあ、もっと資料を調べておくべきだったか。
精進します。

216名無し三等兵@F世界:2004/08/01(日) 11:21 ID:v5xyI0sA
直撃した場合は近接信管が作動せずに命中時に炸裂すると思うけど。

217F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:35 ID:qUq6iUEM
では懲りずに投下。

218F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:36 ID:qUq6iUEM
アルクアイはこれを千載一遇の機会と捉えていた。
あの目の上のたんこぶだったジファンが死に、今船団の指揮権は自分にある。
さらに自分の居る船は異世界人の船から一番離れた位置にあるのだ。
今ここでラーヴィナに帰ればジファンの地位がそのまま自分の地位となるだろう。
そもそもあの異世界人たちに勝負を挑むのが間違いだった。
あれほど大きな船、たとえどんな魔法があるからと言ってその戦力差がひっくり返せるわけは無い。王下正規軍ならともかく我々の様な奴隷収穫用の船団では勝てる訳が無い。
アルクアイはジファンほど魔法を過信しているわけではなく、更に状況を把握能力、たぐいまれな指揮能力に恵まれていた。
「今私がすべきことはなるべくこちらの損害を少なくして、本国に帰ることだ。」
右腕の篭手で各船にもぐらせている部下と共振通信を繋ぐ、自分と通信手段を持っている人間を全ての船に配置しておく、この点だけでもアルクアイはジファンよりも上回っていると言えるだろう。
「今からこの船団の指揮は私が取る!」
完全なパニックに陥っていた船員達にとってこの言葉はまさに地獄に仏、だっただろう。
船員達はすぐにアルクアイの言葉に従いその混乱は収束して行った。

219F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:36 ID:qUq6iUEM
一方青島たちは何とかこんごうの甲板にたどり着いていた。
「無事ですか、皆さん・・・。」
「ああ、すまない。」
狩野、福地と降りて行き、最後にセフェティナが青島の手を借りてヘリから降りた。
そして村田と佐藤が怪我をした天野を背負って降りる。
そこにすぐさま担架を持った担任たちが駆け寄った。
「怪我人がいるそうですね、早く担架に!」
その時、青島は自分の上を光る糸が通っているのに気がついた。
「危ない、伏せろ!」
青島はセフェティナと福地を抱えるようにして倒れこんだ。

220F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:37 ID:qUq6iUEM
倒れこむ青島のそのすぐ上を赤い光が肌をチリチリと焼くような灼熱の炎を撒き散らしながら通って行き、甲板で激しい火柱を作る。火柱、と言っても厳密には火ではないのだが。
「な、なんですか・・・今のは。」
事情を知らない隊員が担架を持ったまま口をパクパクさせる、
「ここまで届くのか・・・、なんて射程だ。・・・後で説明する!今は天野を!」
青島はセフェティナと福地を下敷きにうつ伏せにはいつくばったまま叫んだ。
「は、・・・はい!」
その勢いに飲まれその隊員は担架を持って甲板から消えていった。

221F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:38 ID:qUq6iUEM
「すいません、大丈夫でしたか二人とも・・・。」
「ああ・・・、次助ける時はもう少し丁寧にしてもらいたい物だがな。」
「・・・あ、はい。」
人間の男、佐藤に触られるだけでもショックを受けていた彼女だ、
押し倒されるなんてよほどの衝撃だろう、顔を真っ赤にしている。
しかし今はそんなことに構っている場合は無い。
「司令、敵の頭は潰しましたが、今なお敵からの組織的、かつ激しい攻撃が続いています。
おそらく敵No2が指揮を執っているものと思われますが。」
「No2か、セフェティナさん、心当たりはありますか?」
セフェティナは顔を真っ赤にしたままコクリとうなずいた。
そして「No2」の人物に考えを巡らし、その顔は急に凍りついた。
「はい、名前を・・・。」
そこで言葉に詰まる。
「どうしました?」
「あ、はい。名前を・・・アルクアイ、といいます。」
アルクアイ、人間にもかかわらずセフェティナ以上の魔力を持つ魔術師で、そのジファンとは質の違う氷のような非常さにセフェティナは恐れを抱いていた。
「その人物と前のジファンとのように通信を持てますか?」
「いえ、彼の篭手の波長は知らないので・・・。」
「そうですか、・・・もう正当防衛射撃の条件は整っているな、ならば威嚇射撃の後に正当防衛射撃を実行せよ。」
「了解しました。」

222F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:38 ID:qUq6iUEM
狩野が無線で宮野に通達を送る。一方青島は妙な違和感を覚えていた。
「なぜだ・・・?トップをやられて混乱した部隊を立て直せるほどの人間ならば勝ち目が無いことくらい分かるはず。しかし、玉砕覚悟の攻撃にしては飛んでくる弾数が少ない。
というよりもジファンが乗っていた船以外からの攻撃が無い・・・?」
その青島のすぐ横を赤い光が通り抜けた。的になっているらしい。
「隊長!何をやっているんですか、早く中に!」
「あ、ああ。」
青島は慌てて中に入った。

「威嚇射撃実行します。」
その言葉と共に54口径127ミリ速射砲がジファンの船の鼻先に黒い雨を降らせる。
と、同時にミサイル艇から通信が入る。
「敵船全船、捕捉しています。いつでも撃てます。」
「いや、いい。なるべく沈めずに情報源となる捕虜が欲しい。」
「了解。」
敵船を前にして狩野は思った。
これが「血が騒ぐ」と言う物か、と。

223F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:39 ID:qUq6iUEM
「我々は威嚇射撃を実行しました、これ以上攻撃を続けるようなら正当防衛射撃を実行します!」
ジファンの居た船を囮とし、敵がもたもたしている内にようやく旋回を終えた自船の後方から巨大な声が聞こえてくる、内容は良く分からないがおそらく降伏しろ、と言ったたぐいの物だろう。
「接触する前のあの鳴き声の正体、これだったか。」
アルクアイはクックッ、と笑った。
しかし降伏を求めるとは笑わせる、捕虜にされたら何をされるかたまったものではない。
拷問地獄の挙句に処刑がせいぜいだろう。
―――ゼナ!―――
元・ジファンの船の指揮を執っている部下に共振通信を繋ぐ。
―――は。―――
―――攻撃をやめ降伏しろ。―――
―――降伏するふり・・・ですか?―――
我が部下ながらよくわかっている。
―――それで奴らの船に近づいたら、自爆しろ。―――
―――はい、了解しました。―――
いともあっさりと答え通信が切られる。
良く出来た部下だったが、仕方が無い。
「おい!奴隷達にもっと急いで漕ぐように言え。」
「はっ!」

224F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:40 ID:qUq6iUEM
アルクアイは部下に諸々の指示をした後に甲板に出た。
大分遠くにある元・ジファンの船は青い布――こちらの世界における白旗――をはためかせている。
アルクアイは篭手を付けなおし、目の前に巨大なマナの壁を作り出す。
誤解しないで欲しいのだが、これほど大規模な魔法が使えるのは彼を入れてごく一部だけである。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
長い詠唱の後にアルクアイは目を見開き魔法を開放する。
使った魔法は実体の無い幻を作り出すだけの初級の幻覚魔法。
しかしアルクアイはそれでジファン以外の三船の幻を作りだした。
これで自分達がこの海域から離れてもそうばれることも無いだろう。
「うっ・・・。」
精神力の使い過ぎで軽い脱力感と目眩を覚える。
「ここで気を失うわけにはいかないな。」
アルクアイは椅子に座り全船に全速前進を指示した。

225F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/02(月) 19:42 ID:qUq6iUEM
投下終了。
新キャラ登場。
こいつは結構重要な役だったりそうでなかったり。
魔法はこの戦いが終わったらまとめて分かりにくい説明をしますorz。
ツッコミ、感想待ってます。

226名無し三等兵@F世界:2004/08/02(月) 21:00 ID:2rJNboew
こんごうが沈まないことを祈る。

227名無し三等兵@F世界:2004/08/02(月) 22:14 ID:3p4Yp2bI
自爆ボートで大破したアーレイバーク級のコールとほぼ同スペックのこんごう。
どんなダメコンの差を見せてくれるのでしょうか。
魔法の方も気になりますね。
エルフよりも強力な人間がいるということは、能力の差は遺伝子に由来しないということでしょうか。
多少わかりにくくても理解できるよう頑張ります。定量定性的に考証できる設定だといいなあ。

>誤解しないで欲しいのだが、これほど大規模な魔法が使えるのは彼を入れてごく一部だけである。
本文中で作者自身の言い訳はちょっとアレっす。

228S・F </b><font color=#FF0000>(7jLusqrY)</font><b>:2004/08/02(月) 22:32 ID:LgjpIS.M
乙です。しかしガレー船の自爆とは、随分凄い絵を考えましたねえ。
自爆した瞬間、寿司詰めの奴隷たちは何も分からずに肉片になったり溺れたり、
折り重なって木片に突き刺されたり・・・ヒィィ。

まあ爆発は上層か中層からでしょうから、こんごうに死体が乗ったりは
しにくそうですが。むしろ木片の方が怖いかな?

229名無し三等兵@F世界:2004/08/03(火) 12:10 ID:tmm8Qyr.
喫水線ギリギリで爆発されたら・・・ガクブル

230名無し三等兵@F世界:2004/08/07(土) 22:23 ID:L2wgNX9E
禁断症状が・・・
続きマダー(チンチン)

231F猿 </b><font color=#FF0000>(BfxcIQ32)</font><b>:2004/08/08(日) 21:34 ID:qUq6iUEM
すいません。
ここんとこずっと出かけてたもので、書き込みが遅れました。
と言ってもまだ更新は遅れそうです・・・。

なるべく早くなるよう頑張ります。

232名無し三等兵@F世界:2004/08/08(日) 22:47 ID:LgjpIS.M
この時期ということは、お盆の帰省ですかね?何にせよお帰りなさい。
続きを待っております。


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