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【女神転生】ノーライフノットキングのようです(・血・)
37
:
◆MxHvQqijkA
:2021/10/30(土) 23:05:34 ID:2D5vX9Ws0
(;・d・)「気にしないでくれ。身体が勝手に動いただけだ。本当だ」
無理に作り笑いをし、残る痛みをごまかす。
(・ハ・)「お前らはどこでつかまってこんなとこまで運ばれてきた?
シンジュクか?」
(・e・)「はい、そうです」
ディーの次に元気がありそうな少年が答える。
(・e・)「あいつら、シンジュクを根城にしてる人狩りグループの一つなんだ。
俺達浮浪児を狙って、寝込みを襲って攫って行くんだ。仲間もいっぱいやられた。
シンジュクの地下にいても、税金が払えないとシセツケイサツが引き渡しちまう」
(;j;)「このっ!このっ!」
痩せた少年が必死に、乱暴だった人狩りの男の死体を蹴る。
(・ハ・)「やめておけ」
痩せて骨ばった肩にそっと手を置く。
(・ハ・)「無駄に体力を消耗するな。もう死んでるんだ」
油を染み込ませた布切れに、ライターで火をつける。
(・d・)「何をするんですか?」
(・ハ・)「火葬する。執念深い奴は悪霊や幽鬼の恰好の人形になる。
ゾンビにならんうちにやる」
燃え布を死体にかぶせると、あっという間に簡易の焚火になる。
(・ハ・)「栄養不足で冷えているだろう。暖まっておけ。
さて、こっちも」
(・殺・)「待ってください」
もう一枚布切れを取り出そうとした時、少女がか細い声で呼び止めた。
(・殺・)「そっちの人は優しくしてくれました。
今焼かれてる人が私を乱暴しようとした時に止めてくれたし、人狩りの事もすまないと謝ってから死んでいきました」
(・ハ・)「わかった。マンティコア」
巨獣が素早く瓦礫をどかし硬い地面を掘る。死体を口にくわえて放り、男が聖水を素早くかけてから土葬した。
(・ハ・)「故郷がどの区か知らんが、まぁ勘弁してもらおう」
38
:
◆MxHvQqijkA
:2021/10/30(土) 23:06:16 ID:2D5vX9Ws0
(・ハ・)「悪い事は言わん。もうシンジュクに戻ろうと思うな」
男は顔のしわを深め、厳しく言った。
(・ハ・)「あそこでジャンク屋をやっている友人からから聞いた話だ。
最近活発になっているマンハントは、オザワの指示らしい。
お前ら浮浪児が目ざわりなので一掃し、人狩りからは上納金をもらえる。嫌なカラクリだ」
(;・殺・)「でも、私達にはほかに行くところがありません。
悪魔に対抗する力なんてありませんから…」
( ■∀■)「じゃあ、お前んとこに居させてやればどうよ」
檻によりかかって焚火で火をつけ葉巻を吸っていた、サングラスの男が口をはさんだ。
(・ハ・)「俺のところ…ですか?」
( ■∀■)「おう。お前子供好きだろ。ちょうどいいじゃん。
しばらくの面倒は俺も見るし生活費も提供してやる。
これ一本に比べりゃ、ガキのメシなんて駄菓子ィみたいなもんよ」
次の葉巻をナイフで丁寧に削っている。
(・ハ・)「…そうですね。ありがとうございます
お前らがこの世の中でも生きていけるように、銃の使い方、悪魔との戦い方、自活の仕方を教えてやる。
悪くない話だと思うが、どうだろう」
焼く前に人狩りから外しておいた機械を調べつつ提案する。
(・d・)「俺の名はディー。俺に、俺に力をください」
(・e・)「俺も!俺はイー!俺も連れてってください!」
(・j・)「僕はジャック。どうかよろしくお願いします」
(・殺・)「あの…何もできない私なんてついていっていいんですか?」
男は初めてきつく目を絞って言った。
(・ハ・)「『私なんて』って言葉を使うな。自分を卑下するな。
それとも君は、そこらの知能皆無の外道どもにも劣るとでもいうのか?」
少女の顔が赤くなった。
( ■∀■)「ヒョウッ!決まりだな。
俺は忙しく遊んでる時もあるからずっとはいられないが、顔見せに言ってやるからなぁ。
とりあえず血まみれのくっせぇ獣に乗るのも嫌だろうし乗せるには足りねえだろ。
みんな行くぜ。トラポートッ!」
奇妙な生活の一年目が始まった。
39
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/03(水) 22:38:58 ID:k0uvcgeo0
サングラス男の転送魔法で連れてこられたのは、上部分の階層が崩れたビルだった。
(;・e・)「でけぇ!」
(・ハ・)「ここが俺の…家かな?家ですか?」
( ■∀■)「住んでんなら家だろう?ヒョウッ!」
周りは森に囲まれ、なかなか見つからないようにできている。
(・ハ・)「この北にトウキョウを守護する四鬼神が一体、ゾウチョウテンの社がある。
そのおかげもあって、この周辺に悪魔が出る事はそうそうない。
もっとも、俺のような強いサマナー相手に襲ってくる悪魔などここらではそうそういないがな」
( ■∀■)「何気に凄い事サラッと言うねぇ!」
(・ハ・)「あなたの方がもっと凄いでしょう。なにせ─」
( ■∀■)「おーっとどうでもいい話はストップゥ!
更にどうでもいいけど、お前らくっせぇから身体洗え。獣さんもな」
(・<_,・。)「相変わらず口が悪いな。どうにかできないのか」
( ■∀■)「人生は楽しく!もっと力抜いて行こうぜヒョウッ!
あ、まずは男子禁制な」
(・殺・)「あっ…」
アヤメの顔がカッと紅くなる。
気が早く、ボロの服を脱ごうとしていた。
やはりそういうところは女のl子なのだろう。
(・ハ・)「お前ら男子はまず、服を身繕え。ついてこい」
男がザッザと歩き出す。ディー達は慌てて後を追う。
ビルの部屋をいくつか通り過ぎると、多量の服や防具が置いてあった。
(・ハ・)「ガキの世話をするとは想定していなかったからな。
大きい時は裾を折るなりなんなりしろ」
(・j・)「やっぱり…僕達なんか迷惑ですか?」
(^ハ^)「そんなわけがあるか。だったら最初から悪魔を追い払った時点で置き去りにするさ。
俺は口下手だから」
男は苦笑いした。
(・d・)「どれを着てもいいんですか?」
(・ハ・)「もちろんだ」
40
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/03(水) 22:39:36 ID:k0uvcgeo0
(・ハ・)「俺が自分で発掘したブツだ。放射能検査もしてあるから安心していい。
あと、外を出歩くならプロテクターを装着しろ。子供用の防具はない。
そしてかならず複数で行動する事。俺がいない時は森の外から出るな」
(・e・)「分かりました!」
イーが早速着替え終わったようだ。
子供用の髑髏が描かれたいわゆるスカジャンに、擦り切れたジーンズをはいている。
(・ハ・)「ワイルドだな」
(・j・)「僕はこれで…」
ジャックは黒のパーカーに普通のズボン。
頭を隠しておどおどしている。
(・d・)「俺は…これがいいな」
無地のTシャツに綺麗めなジーンズ。
(・ハ・)「そんなんでいいのか?」
(・d・)「俺、何かあると体温が高くなるんです。
外行きの服はまた選びます」
(・ハ・)「そうか。風邪をひかんようにな」
(・殺・)「あの…恥ずかしいです」
露になった背中を向け、アヤメが顔を赤くしたままでいる。
( ■∀■)「これがあるから分からんだろが、明後日の方向見てるから心配ねーよ。
それにガキに欲情するほど飢えてねーし。
見張りに女悪魔召喚しとこか?すっげえおっかなくてあいつら覗きにこれねーよ」
男は極黒のサングラスをコツコツと叩いて大笑いする。
( ■∀■)「ん?」
急に裸のアヤメを正面に向かせ、髪の額部分をまさぐる。
第三の目があった。
( ■∀■)「悪魔との混血か…苦労したろう」
(;殺;)「見ないでくださ…うっ…うっ…」
( ■∀■)「恥じるなよ。お前のせいじゃない。それにその三つ目は後利益があるぜえ」
41
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/03(水) 22:40:01 ID:k0uvcgeo0
(;殺;)「え?」
( ■∀■)「インドのすげーつえー神様にも、第三の目を持つのがいるんだ。
それにもし悪魔の血が入ってるなら、魔法が使えるようになるかもな。
四人の中で一番強くなるかもなっ!」
( ■∀■)「俺がこの子になんかしようとしたり覗きしようとしたら、迷わず俺を斬りな」
褐色の鬼女を召喚し、アヤメを安心させる為に命じて男は後ろを向く。
それでようやく、井戸水を組んで体を洗い始めた。
(・殺・)「似合うかな…」
乳首を絆創膏で隠し、ワンピースに身を包んだアヤメが出てくる。
(・d・)(綺麗だ…)
垢を落とした肌は透き通るように白い。
女神という種族にはまだお目にかかったことがないが、きっとこういう類の美しさなのだろう。
く( ■∀■)「すまねえなぁ。ブラとかパンツは後で調達してやっからな」
(・e・)「俺達の分は!?」
( ■∀■)「男は腰巻でいいだろ」
( ■∀■)「…冗談だ!ヒョウッ!」
この一見ふざけた男が、それだけの財力と権力を持つというのか。
(・d・)「そんな事が可能なんですか?
大破壊後にはそういうのを作る会社も軒並み消えたと聞きますけど」
( ■∀■)「別に仕事をしてるわけじゃねえが、色々カネとコネがあんのよ。
黙って世話になっときな。ガキの成長は速いッ!」
全員で外を見て回る。
(・d・)「さっき使った井戸に…畑!
あなたが全部これを!?」
(・e・)「すげーや!」
イーが尊敬の眼差しで男を見上げる。
(・ハ・)「なにも悪魔を戦わせるだけが能ではない。力自慢の仲魔に手伝ってもらうのもまた道だ」
42
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/03(水) 22:40:22 ID:k0uvcgeo0
( ■∀■)「悪魔使いは悪魔遣いが荒いってか!ヒョヒョヒョオッ!」
男が傑作とばかりに一人で笑う。
悪魔使いという名称は大破壊前に使われていて、今はサマナーと呼ぶのがポピュラーになっているはずだ。
この男、相当若そうに見えるが大破壊前から生きていて実はかなり歳を取っているのだろうか。
(・d・)「そうだ、お二人ともなんとお呼びすれば…」
( ■∀■)「俺はなー、キョウ」
男の薄い板のようなものから発信音がする。
(・ハ・)「俺は名を捨てた。おっさんでも爺さんでも好きに呼ぶがいい」
『大哥!今どこにいらっしゃるんですかい!?』
( ■∀■)「おー、ビンビンならぬピンピンよ。心配すんな。
あいつンとこ今日は泊まるから、お前らも好きなもん食って好きなとこで寝な。
あとガムコンに補給はこまめにしとけって伝えとけな」
通話を切る。
( ■∀■)「俺の事もテキトーに好きに呼べよ。ヒョウッ」
(・j・)「では、師匠と兄貴で…」
(・e・)「俺もめんどーだからそれで!」
(・d・)「俺は…親父と兄貴でいいですか」
(・ハ・)「まだ父親が恋しい歳だろうしな。構わんよ。
大破壊前は小学校に通っている年頃か…」
(・殺・)「じゃあ、私は…お父さんとお兄さんで」
( ■∀■)「兄貴票で満杯だな!お前ら見る目あるぜ」
兄貴は一人でに踊り始めた。
(・ハ・)「さて…メシの時間にするか。
キョウさんも食っていってください」
( ■∀■)「お断りだね。俺は高級フレンチしか食わないの。なーんちゃって。
すこしはメシのバランスは改善されたのかよ?
ブロブの15年物缶詰なんて食って、腹ぁ下すのはやめてくれよぉ」
ディー達は驚きの連続で、自分達が空腹なのをすっかり忘れていた。
元浮浪児の腹は、恐怖の中で食べたエネルギーバーなどあまり腹持ちにはならなかった。
アヤメが腹を鳴らして赤くなる。一同は爆笑して和んだ。
43
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/03(水) 22:40:52 ID:k0uvcgeo0
夕方、ビルの一室の簡易食堂に集まった。
全員で、親父が収穫したイモをふかして食べる。
( ■∀■)「まぁシンジュクで漁るゴミよかマシだろうけどよ。
もっとオシャレに調理できねーのかよ?
毎日これじゃガキどもの心が荒むぜぇ」
(・ハ・)「急ごしらえだから許してください。それにみんなうまそうに食ってますよ」
四人とも幽鬼ガキのように勢いよく食べる。
(・ハ・)「夏になったら塩をたんまり調達しよう」
( ■∀■)「…人の汗から抽出したエリート塩とか簡便な?」
細いジャックが一番最初に満腹になり、天井の光を見渡す。
(;・j・)「電気って電力を使うんですよね?」
(・ハ・)「ああ。ここを開拓する時に色々いじった。やろうと思えば風呂も沸かせる。
大破壊前に習っていた資格が活きた。
電力の調達、貯蓄がこんな僻地では面倒なのであまり使わないが。
だが、所帯が増えたし電子調理もできるようにしておくか」
( ■∀■)「電力なら俺のマハジオンガで一発で溜ま─」
(;・ハ・)「キョウさんのは加減しないと強すぎて蓄電器が壊れるので!」
( ■∀■)「もっといいもん調達すりゃあじゃねえかぁ。
ガラクタ継ぎ接ぎしてやるから粗末なもんしかできねえんだよ」
(・ハ・)「…俺の数少ない趣味ですから」
( ■∀■)「お前は遠慮しすぎなんだよ。あの時からな。
金なんて腐るほどあるからもっと頼ってもいいんだぜぇ?」
(・ハ・)「お返しできる事がありませんよ」
( ■∀■)「別に俺の趣味でメンドー見てるだけだしぃ?
敢えて言うなら、俺の趣味の狩りにたまに付き合ってくれるままでいいぜぇ」
(・j・)「か…狩り…」
ジャックが小刻みに震える。
( ■∀■)「ややや、人狩りするほど金に困ってねぇぞ?
腕がナマらねぇように悪魔大虐殺やってんのさ」
(・ハ・)「キョウさん、あまり驚かせないでください。あんな目にあったんだ」
44
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/03(水) 22:41:12 ID:k0uvcgeo0
寝室はビルから少し離れた地下だった。
(・ハ・)「大破壊より更に前、俺が生まれるずっと前に戦争があった。
その時に使われた、敵の兵器から身を守る防空壕というものを発掘して整備した。」
四方八方がセメント、コンクリートで綺麗に塗られていた。
(・殺・)「戦争?」
(・ハ・)「まぁ、今のメシア教とガイア教の争いみたいなものだな。
さあ、各々簡易だが寝床を用意した。今日はもう寝よう。」
( ■∀■)「俺の私物漁る奴はガキ相手でもぶっ殺してすり潰すからなー。
脅しじゃないぞー」
兄貴が横になり、葉巻を吸う。
(;・ハ・)「キョウさん、火はやめてください!火事になったら蒸し焼きになりますよ!」
( ■∀■)「わあってるわあってる。消火はちゃんとすっから」
数分談笑し、兄貴が葉巻の後始末をすると親父が電気を消した。
毛布は少々カビ臭かったが、シンジュクで怯えながら獣のように半寝するよりずっとマシだ。
(・ハ・)「明日は毛布を洗って消毒して干そう。今日は疲れ切っただろうから早く寝よう」
(・d・)「兄貴」
( ■∀■)「ん?」
(・d・)「兄貴は数えきれないほどマッカを持ってるって言いましたよね」
( ■∀■)「おう。大破壊を見越して万能の電子通貨に変えておいたから損失極小!」
(・d・)「そのお金で、シンジュクを助けられません…か?」
( ■∀■)「うーん。オザワの野郎には一銭マッカも渡したくねぇしなぁ。
それにお前らみたいなガキはともかく、大抵の奴は満足して住んでるしな。
今すぐ救ってやる必要も今はいいんじゃねえか?
人狩りやしょけいライダーどもは弱い奴にイキるだけの雑魚だから、潰してくがなー」
(・d・)「…そうですか。
親父、兄貴、今日からありがとうございます。お世話になります」
甘い匂いが鼻を落ち着かせる。
夜目で見ると、アヤメが毛布ごと隣に来ていた。
何故か安心感を得、目が自然と閉じてきて、深い眠りへと落ちた。
45
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/05(金) 23:27:42 ID:4SbSsmmA0
翌日。
(・ハ・)「それ。お前らも成長して背が伸びたら自分でやるんだぞ」
親父は、鉄パイプで拵えた物干し竿に四人の毛布を干してやった。
(・ハ・)「ここら辺の森は、放射能がある程度浄化されている。
それに布団や毛布を日光に干せば、いい匂いがして気持ちよく眠れるぞ」
( ■∀■)「ベッドまでとは言わねえがよぉ、コンクリートにゴザ引いて寝かせるってのもどうかと思うぜ。
敷布団くらい用意してやったらどうだ?」
朝は弱いのか、兄貴はサングラスの上から目をこすりながら起きてきた。
(・ハ・)「そうですね。もう俺一人の暮らしではないのだし。
よしお前ら、朝食が済んだらちょっと出かけるぞ」
朝もふかしたイモだった。
( ■∀■)「飽きるぜ。他のもんも栽培しとけよなぁ」
(・d・)「いえ、浮浪児をやっていた頃より贅沢すぎてありがたいです」
(・ハ・)「そうだな、今までは俺とキョウさんだけだったから適当に済ませていたが。
これからはもっとバリエーションを増やしてみよう」
( ■∀■)「おいおい、男同士で同棲やってたような言い方すんなよなぁ。
ケツ狙って来たら殺す!」
(;・ハ・)「…行くぞ」
早々に子供達が満腹になったら、兄貴を無視して立ち上がる。
ブッカブーなどの悪魔が近寄ってくるが、親父とマンティコアの姿を見るや否や逃げ出していく。
シンジュクから東のヨツヤに向かった。
男子三人はマンティコアの背に乗り、親父は自分で走り、兄貴はアヤメをお姫様抱っこして尋常じゃない速さで走っていた。
ディーの心に、何かむっという感情が沸き上がった。
(・ハ・)「いたな」
人面獣、アツユの群が現れた。
有無を言わさず機銃を掃射する。
急所は避けていたようで、数体は灰にならず息があった。
(・ハ・)「さて」
腰からアタックナイフを取り出し、生きたまま皮をはいでいく。
赤ん坊のようなおぎゃあおぎゃあという声が響き、四人はいやな顔をして耳を遮った。
特にアヤメは女の子だからか、赤ん坊のような声にいたたまれないようだった。
46
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/05(金) 23:28:02 ID:4SbSsmmA0
更に肉を切り取る。甲高い声が上がる。
ぎょろつく目で睨む人面を見て、親父は
(・ハ・)「すまんな」
片手で軽く謝罪をし、トドメを刺していった。
( ■∀■)「ヒョウッ!俺の出番なしかよ」
兄貴はそこら辺の凶鳥をジャンプで捕まえては裂いていた。
(;・ハ・)「駄目です!キョウさんの力では灰すら残らないではないですか!」
(・ハ・)「ほら、これを四人で触ってみろ」
親父はアツユの灰から出てきた、輝く鉱物を差し出す。
触れてみると、慣れない獣の背に乗ってきた疲れが吹き飛んだ。
(・e・)「すげえ!師匠、これは?」
(・ハ・)「悪魔の宝物の一つ、宝玉というものだ。
そこそこ貴重だからむやみやたらに使うものではないが、今回は勉強がてらだ。
さあ帰るぞ」
布袋に血抜きをした肉と皮を入れ、親父は歩き出す。
( ■∀■)「トラポートッ!」
一瞬でビルの中に戻ってくる。
(・ハ・)「さて、別に覚える必要はないが。
見ておいて損はなかろう」
狩ってきた妖獣の肉から皮下脂肪をそっと削ぎ落す。
そして、何か液の入ったケースに浸しておく。
(;・e・)「うげ…」
( ■∀■)「そう怖がるなって。肉もあるし今日は馳走だぜ?」
(;・j・)「悪魔の肉を食べるんですか!?」
( ■∀■)「じゃじゃーん」
どこからか、コショウ等の調味料を取り出す兄貴。
大破壊後ではそういった贅沢品は希少だとされている。
シンジュクではそういったものを巡って殺し合いすら起きていたのを見た事がある。
(・ハ・)「さて。明日まで漬けて干せばひとまず仕上げだ。
すまんが今日も毛布で我慢してくれ」
47
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/05(金) 23:28:22 ID:4SbSsmmA0
(・d・)「贅沢は、言いません」
兄貴が火を起こし、フライパンという丸薄い機器で肉を焼いてパッパと味付けをしてくれた。
獣肉のステーキの完成だ。
四人とも、水を飲みながらがっつく。
アヤメは少しペースが遅いようだ。
(・ハ・)つ「待て」
厳粛に親父が食事を止めさせる。
(・ハ・)「まず、食べ物を食べる前には『いただきます』と言うんだ。
荒んだ大破壊の世界では廃れた文化だがな」
( ■∀■)「ヒョウッ!大先生!」
(・e・)「すたれ…?」
(・ハ・)「食べ物を食べるということは、なんらかの命をもらうということだ。
悪魔相手とて、感謝を忘れてはいけない」
(・d・)「とにかく、食べ物にありがとうと言えばいいんですね」
「いただきます」
食事が再開された。
( ■∀■)「嬢ちゃん、やるよ」
兄貴が食事用ナイフでステーキを半分切って渡す。
(・殺・)「え…」
( ■∀■)「低級悪魔の肉なんて俺の口にはあわねえな。
それよかもっと肉付けていい女になりな。ヒョウッ!」
むむっ。ディーの感情がまた昂った。
(・d・)「じゃあ、俺もあげる!」
(・ハ・)「お前はいい。男だから筋肉をつけて強くなれ。
もう少し大きくなったら、悪魔と戦う訓練をする」
(・殺・)「あ、改めて、いただきます」
アヤメは親父を真似て両手を合わせ、一生懸命にちびちびとステーキにかじりつくのを再開した。
48
:
名無しさん
:2021/11/06(土) 17:37:32 ID:9CtudkQw0
ヒョウッ!乙!
49
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:43:16 ID:vmwGTQ5U0
親父は根はやさしい男だった。
綺麗な読み書き、算数から数学、咄嗟の身の守り方、逃げ方をまず教えた。
イーが勉強が苦手な上に飽き性で居眠りなどするが、親父は怒らず優しく起こした。
(^ハ^)「しょうのないやつだ」
しかしイーには戦闘の才能はあった。
親父の仲魔のマンティコアやホブゴブリンとの模擬戦で、一番ダメージを与えたのは彼だった。
(・く・)「強いなーお前!アニキには及ばないけどな!」
(・e・)「るせー!まだガキだからだっての!」
様々な紋様を書いた全身をタプタプと揺らしながら妖精は笑った。
(・く・)「その意気だ。男ならでかくなってアニキみたいに強くなれ!」
やがて夜がきて、アツユ肉の残りの食事を済ませ休憩の腹休めに入る。
(・ハ・)「キョウさんほど料理がうまくなくてすまんな」
(・d・)「いえ、親父がやってくれたのもおいしいですよ。
料理好きなんですか?」
(・ハ・)「まぁ、気が向いた時に適当にやってただけだがな。
大破壊前にはコンビニで適当に食べ物を買っていた」
(・殺・)「コンビニ?」
(・ハ・)「まぁ、いつの時間も開いていて食べ物や便利なものが売っている店だ。
まぁシンジュクの闇市みたいなもんか。
武器は流石に置いてなかったがな」
(・e・)「いつでも食べ物食い放題!?すげー!いいな!」
目を輝かせるイーに、親父は苦笑する。
(・ハ・)「まぁスーパーというところと違って、狭いし物価は高いしいい事ばかりではないぞ
そうだ、外の荒野で赤ん坊の鳴き声がしても近付くな」
(・j・)「何故ですか?」
(・ハ・)「俺達がさっきまで食っていた妖獣アツユ。
あれは助けを求める赤ん坊の声を真似、助けようとした人間を襲い食う狡猾なものだ。
それにこの世の中、子捨てをするならマトモな親なら街中に捨てていく。
外に放り出されたらミルクを飲めなく餓死する前に、速攻で凶鳥のエサだ」
親父はアゴに手を当てる。
50
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:43:36 ID:vmwGTQ5U0
(・ハ・)「あのアツユも、元はチュウゴクという大きな国のいい神様だったそうだ。
だが同胞の神に殺されてしまい、英雄コウテイに蘇らせてもらったがプライドが傷ついて自らあんな妖獣になってしまったわけだ。
そして今度は人間の英雄、ゲイに殺されてしまう。
かわいそうな奴なんだよ」
(・d・)「でも襲い掛かってきたら倒すしかない。そうですよね?」
(・ハ・)「まぁ、そうなるな。
そうだ、眠くなるまでこれで遊びながら悪魔の勉強をするといい」
親父は二台の小さい板を差し出した。
(・d・)「これはなんですか?」
(・ハ・)「スマホ、というものだ。
昔は悪魔召喚にも主流で使われていた。
そこの絵をタップ、つまり指で押してみろ。」
液晶を押すと、何かの注意書きと共にアー、アー、という不気味な音と共に画面が変わる。
一人の少年の後ろに、大勢の悪魔がいる絵だ。
(・ハ・)「真ん中のSTART、というボタンを押して好きに遊んでみるといい」
(・j・)「これは…なんなんですか?」
(・ハ・)「ゲームというものだ。
昔は勉強や仕事などが終わった後の暇つぶしにやるものだったがな。
そのD2リベレーションズというゲームは、STEVENという人物が大破壊前からずっと運営している」
(・殺・)「うん・・・えい?」
(・ハ・)「まぁシンジュクにおけるオザワのようなものだな。アレよりはずっと良心的だが」
(・ハ・)「大破壊前、悪魔が本格的にトウキョウに現れる前に配信が開始された。
割と悪魔のデータは現実とは異なるが、悪魔合体の法則はだいたいあっている。
いわばシミュレーションゲームといったところか
一台は俺のだが、好きに遊んでみてかまわない」
(・d・)「もう一台は誰のですか?」
(ハ)「まぁ…弟のだ。
とにかく興味があったらやってみるといい」
その弟の事は聞かないことにした。
きっとこの場にいないということは…。
二台しかないので、ディーとアヤメ、イーとジャックで共有することにした。
ディーの側は親父のだったようで、かなりのゲーム内マッカがたまっている。
ストーリーも進んでいるようなので、アーカイブで見てみる。
タイトル画面の少年を中心に、悪い悪魔やそれを操る組織と戦うストーリーのようだった。
51
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:44:00 ID:vmwGTQ5U0
イー達のデータはまっさらのようで、親父のアドバイス通りに「リセマラ」という行為を互いに繰り返している。
いい悪魔が「ガチャ」で召喚されるまでゲームを最初からやり直すテクニックらしい。
(・d・)「すごい…正義の味方みたいだ。こんな人達が現実にいれば…」
男女いろんな仲間達が、スマホから悪魔を召喚し戦う。
(・ハ・)「STEVENも当初はその話通り、事態が収まるのを想定していたのかもな。
だが現実はご覧のありさまだ。
メシア教の富裕層なんかはこのゲームを数少ない楽しみにしているらしいが」
(・殺・)「でも、悪魔だけを戦わせるなんてちょっとひどい気がします。
これなら師匠達の方がかっこいいです」
(・ハ・)「そう思うか?ならこれをやってみるといい」
親父は一旦スマホを取り上げ操作し、『未来分岐』というメニューを出した。
横顔の少年が、剣を持って鋭い目つきをして立っている。
どうやらこのモードは主人公の少年も戦闘に加わるようだ。
ストーリーを流し見してみる。
(;・d・)「これは…」
(;・ハ・)「そう。こっちは現実通り、ICBMによって大破壊が起きた状態だ。
しかも現実の大破壊が行われるだいぶ前に実装されている。
それが薄気味悪いんだよ。STEVENとやらは予言者かなにかなのか」
(・d・)「親父でも怖いものがあるんですね」
(・ハ・)「まぁな。人間だからな。
今までは向こう見ずで命を投げ捨てて戦ってきたが、お前らがいると慎重にもなるさ。
まぁそれも悪くないがな。おっさんの数少ない楽しみが増えた」
未来分岐をやってみる。
敵悪魔がバリアを張って、なかなかダメージが与えられない。
(;・d・)「強い!」
主人公がやられて死神が現れる。
(・ハ・)「ここは現実と同じだな。悪魔がピンピンしていてもサマナーがやられれば終わり。
もっとも、対価を払えば死神がやり直させてくれるなんて事は現実にはないがな。」
(・ハ・)「バリアを壊してから一斉攻撃に入るブレイクモードも、不評だったが現実の理にかなったものだった。
頭のいい悪魔や大物悪魔なんかは、自分のテリトリーに入って結界を張ってしまう。
それでノコノコ入ってきた奴はいいカモって事だ。
調子に乗ったサマナーが悪魔の巣に入り込んで食われたという例は後を絶たん」
52
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:44:20 ID:vmwGTQ5U0
翌日。
度重なる勉強、模擬戦闘による疲れを癒すために一日自由時間の休みになった。
(・殺・)「見て!昨日お師匠が話してくれた、英雄コウテイよ!」
先に起きていたアヤメが興奮して画面を見せる。
険しくも優しい顔をした黄色の服の男性が、立派なヒゲと黄色い服を来て爪先立ちしている。
(・d・)「かっこいいな」
早速戦闘に入れてみる。
応龍撃破という奥義で、次々と敵悪魔を薙ぎ倒していく。
(・e・)「見せて見せて!すげー!」
(・ハ・)「俺も大破壊前にはずいぶんハマっていたからな。
今はそんなにやっていないが、そこそこ悪魔や英雄は集まっているはずだ」
( ■∀■)「ヒョウッ!いいもんやってんじゃねえか!」
音もなく兄貴がやってくる。
画面を見る。
( ■∀■)「お前サボってたのかよ。俺ランカートップ維持してんぜ!
課金しほーだいっだからな!ヒョヒョヒョ!」
子供のように画面を見せびらかす。
『デュエル』というユーザー同士の戦闘ランキング一位に、「キョウイチ」という名前が載っていた。
(・ハ・)「キョウさん、ご無沙汰しています」
親父が頭を下げる。
( ■∀■)「そうでもねえだろ。今日はいいもんを持ってきてやったぜぇ。
まずはマンモン、アマイモン!」
立派そうなバッグからお菓子をばら撒く。
(・e・)「うめえうめえ!」
いただきますもなしに包装ごとかじりつくイー。
( ■∀■)「全部食うんじゃねーぞ、あと包装取れよっ。
嬢ちゃんはちょっとこっち来な」
(・殺・)「はい」
アヤメは兄貴に連れられてビルの奥へ入っていく。
53
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:44:45 ID:vmwGTQ5U0
(・殺・)「ありがとうございます、兄貴」
少しして二人が出てくる。
(・d・)「兄貴!いったい何を…!」
( ■∀■)「ブラ、パンツ、あとは新しいお服だよぉ!」
(;・ハ・)「こんなに早く手に入るとは。
しかしキョウさん、、まさか採寸はあなたが…」
( ■∀■)「んなわけねぇーだろ!
ちゃんと女悪魔に測ってもらったわ」
ディーの感情が少し落ち着く。
だがモヤモヤは収まらない。
とりあえず感謝といただきますを言い、チョコレートを頬張る。
(・殺・)「おいしいね」
いつの間にかアヤメが隣に来ていた。
(・ハ・)「朝からお菓子ですか…」
( ■∀■)「歯磨きさせりゃあいいじゃねーか。
お前も食えよ。疲労が取れるぜ」
(・e・)「おおー!強そうなのが出たー!」
イーが大声を張り上げる。
初心者召喚ガチャでいい悪魔を出せたようだ。
(;・j・)「イー、うるさい」
( ■∀■)「ガルーダかぁ。俺も大好きだぜぇ。
いっぱい持ってる」
イーの肩を抱き、ゲーム内でのガルーダまみれの悪魔ストックを見せる。
七色の羽根で、爪を研ぎあげている『異世界ガルーダ』という悪魔もいた。
(・e・)「兄貴すげー!やっぱガルーダ強いの?」
( ■∀■)「まぁなぁ。龍殺しのプロでスピードスターだからな。
それに俺は鳥が大好きだ」
(・θ・)「初めまして、みなさん」
いつの間にか、黄金の小さい鳥が兄貴の肩に止まっていた。
(・殺・)「かわいい!」
54
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:45:09 ID:vmwGTQ5U0
( ■∀■)「セキセイインコって種類だ。よろしくな。
元々うちの稼業はちょっとしたヤクザもんでな。
敵対組織のチンピラそもが、雑魚の分際で屋敷に忍び込んでうちの兄弟インコどもに八つ当たりしやがった。
クソチンピラどもをすり潰して、瀕死の兄弟たちを必死に悪魔と合体させて力を集結させたのがこいつよ」
(;・j・)「えっ、じゃあ…悪魔…」
( ■∀■)「なぁにビビってんだよ。お前らを襲ったりしねーから。
兄弟どもが幼い時には、俺もよくピーピーチューチュー鳴いて遊んでたもんだ」
(・θ・)「話通り、本当に美しい人ですね」
小鳥がアヤメの指先に止まる。
(・殺・)「あら」
( ■∀■)「オスメス混ぜて合体したから、今は無性だぜ。
オスなんかは交尾が美しくてな、羽根を綺麗に広げてメスを包んで─」
(・殺・)「交尾ってなんですか?」
(;・ハ・)「キョウさん!
…アヤメはまだ知らなくていいからな」
(・e・)「やったぜ!黄色い星5と強そうな目玉いっぱいの奴が出た!」
(;・j・)「勝手に回すなよ…まぁいいか」
( ■∀■)「どれどれ。黄色いのは女神アナトだな。
魔神バアルの奥さんで、滅茶苦茶獰猛な女よ。
旦那が冥界王モトに殺された時なんか、ブチギレで殺戮の電撃ぶち込みまくってやっちまった。
目玉いっぱいは邪鬼ヘカトンケイルか。
脚は遅いがパワーと守りはピカイチだ。バケモノ的な見た目もイカスだろぉ?
こいつが気に入ったって事はセンスあるぜ。
何せギリシャの偉い神様ゼウスが、戦争に利用した後はビビって閉じ込めちまうくらいだからな!
リセマラはこんなもんでいいと思うぜ」
兄貴はベラベラと夢中になってまくしたてる。よほどこのゲームが好きなようだ。
(・e・)「兄貴すごいっす!いつか兄貴みたいな色々強い男になりたいです!」
( ■∀■)「そりゃあいいが、親父殿はいいのか?ヒョウッ!」
(・e・)「やべっ。もちろん親父みたいな優しくて強い男になりたいです!」
( ■∀■)「あれぇ〜俺は優しくないのかなぁ〜?」
その日は就寝時間になるまで、イーがいじられつつもゲームの指南を受けていた。
アツユの毛皮に綿をつめた敷布団は、臭みもなく気持ちよかった。
今夜はディーがアヤメの隣に行って寝息をついた。
55
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:45:30 ID:vmwGTQ5U0
拾われた春から夏にかけて、ディー達は更に色々な指南を受けた。
トウキョウ湾から塩を汲み上げ除染する作業。
発掘作業。
発掘物を洗って磨いて売れるようにする作業。
兄貴がときたま持ってきてくれる種を植えて育てる作業。
勉強はイーには特別にスマホの計算機を使わせた。
(・ハ・)「まぁ、人には向き不向きがあるからな」
親父はそう笑った。
ある休みの日。
(・殺・)「ねぇ、ディー…」
(・d・)「なんだい?」
(・殺・)「あの時、人狩りに運ばれてきた時、庇ってくれてありがとう」
(・d・)「大した事はしてないよ、それに身体が勝手に動いたんだ」
(・殺・)「本当に優しいんだね、ディーは」
(・d・)「そうかな?正直言うとあの檻で一緒になった時は
こいつらめそめそして情けないな、って思ってしまったんだ」
(・殺・)「でも、見捨てて逃げたりなんかしなかった。そうでしょ?」
(・d・)「まぁ、そうなる、かな?」
(・殺・)「心では思っても、咄嗟に身体が動いちゃうのが本当に優しい人だと思うよ」
(・殺・)「ねぇ、見て」
手にしていたスマホから、D2のスクリーンショットを見せてくる。
アウラゲートという、異界にできたダンジョンの中でのNPCの会話だ。
「き、君!かわいい!かわいすぎる!
け、結婚しよう!俺は君にとって運命の虚人だぜ!」
「でもあなた、自由の為に、旅に出たって言ってた。」
「君に比べたら自由なんてクソ!頼む、俺と結婚してくれ!」
「……結婚したら、私のこと守ってくれる?」
56
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 17:45:55 ID:vmwGTQ5U0
(・d・)「これを見せてどうしたの?
結婚ってなんだろう?」
(・殺・)「よくわからないけど、好きな人同士が一緒に暮らす事らしいよ。
あとはお父さんとお母さんになる事もあるんだって」
(・d・)「へえ。でもお父さんとお母さんにはどうやってなるんだろう?」
(・殺・)「わからない。でも私はディーと結婚してみたいな。
好きだよ、ディー」
(・d・)「俺も」
口づけをまだ知らぬ二人は、手を繋ぎ合った。
出会って一か月ほどで、二人は幼馴染のように仲良くなっていた。
ビルの大広間に行くと、ジャックとイーと親父が小話をしていた。
(・j・)「ところでD2ということは、D1もあったんですか?」
(・ハ・)「いい点を突くな。あったよ。パソコン用のオンラインゲームだった」
(・e・)「ぱそこん…?」
(・ハ・)「これを大きくして、持ち運べないもしくは持ち運びづらい代わりに性能を上げたものだ」
腕に巻かれているハンドベルトコンピューター、COMPを見せる。
(・ハ・)「俺がお前らかそれより少し小さいころに始まってな。夢中になってやってたよ。
楽しかったといえば楽しかったんだが、ガチャがひどかったのと色々不祥事が起こってな…」
(・j・)「どんな感じですか?」
(・ハ・)「D2では悪魔召喚にジェムを使うが、D1は装備を手に入れるのにガチャを使った。
D2ではログインしていればジェムが自然にたまっていったが、D1は現金のみだった。
D1のガチャがまたひどくてな…例えばシンジュクの店で装備を買うだろう。
運が良ければ望んだ装備が出に入るが、大抵は出した金の数十分の一の価値しかない傷薬みたいなものしか当たらないといったところだ」
(;・e・)「それはひでえ」
(・ハ・)「D1の運営は普通の会社だったんだが、運営側が贔屓したユーザーにこっそり当たり装備を渡していたり
戦って競うイベントなんかでは運営側が最高の装備と通常あり得ないスキルの仲魔を使って暴れたりしていた。
顔を焼いて抗議したユーザーなんかもいたらしい」
(-ハ-)「そんなんでも一緒に遊んでいるプレイヤーとは仲が良かったし、楽しかった部分もある。
ついにどうにもいかなくなってサービス終了したところにD2が来たってわけだ」
(・ハ・)「シンジュクの話をしたら行きたくなった。
明日も休みだ。午前中だけシンジュクへ買い出しに行く」
57
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:39:02 ID:vmwGTQ5U0
翌日。
親父を先頭、マンティコアを殿にし、北のシンジュクへ。
(・ハ・)「戻れ」
(・<_,・。)「御意」
マンティコアはCOMPに戻った。
(・d・)「なんで戻してしまうんですか?」
(・ハ・)「オザワは用心深い性格でな。
せっかく悪魔が入らないように封鎖したから、地下街での悪魔連れを禁止しているのさ」
(・j・)「なるほど。サマナーらしき人を見た事がないのはその為なんですね。
せっかく悪魔を使役できるのに、わざわざ高い税金を払ってでも留まる理由がない」
(・ハ・)「お前は頭がいいな。ジャック。
そう、力ある悪魔使いなら自力で住処や集落を作ったりできるからな
オザワに守ってもらう必要がない」
ジャックの頭をなでる。
(;・j・)「や、やめてください恥ずかしい!」
(・ハ・)「はっはっは…
退け!」
手を払う仕草をすると、遠方から火球が飛んできた。
(;・d・)「危ない!」
アヤメを押し倒し、ディーが伏せる。
背中を炎が掠める。
(;・d・)「ぐうう…!」
(・ハ・)「イー、ジャック。二人を下がらせろ。俺がやる」
赤き馬に乗った漆黒の甲冑、堕天使べリスが三体突っ込んでくる。
親父は素早く二体の馬の足を撃ち、転倒させる。
別方向から会心の一撃が迫る。
七星剣を抜き、槍の股に挟んで食い止める。
親父は頭のゴーグルを起動し、べリスの槍を弾き飛ばすと身振り手振りで話し始めた。
やがてべリスはマッカを手渡し、立ち去っていった。
(;・e・)「すげえ…何言ってんのか全然わからねぇ…」
(・殺・)「私…なんとなくわかる」
58
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:39:23 ID:vmwGTQ5U0
(・j・)「なんだって!?」
(・殺・)「あの悪魔が『吾輩の名声を聞いてここまでやってきたのか?』って聞いて
お師匠が返事をしたら気分がよくなってお金をくれたみたい」
(;-d・)「アヤメ…君は一体…ぐぅ!」
(;殺;)「あっ!ごめんなさい!私のせいで…」
(・ハ・)「服が焼け焦げてるな。あと少し深くいってたらまずかった」
魔石を握り潰して背中にかける。
少し痛みが引いた。
(;・d・)「親父…ありがとう…ございます…」
(・ハ・)「次が来ないうちに下るぞ。」
シンジュク東口から降りる。
「我がメシア教会へようこそ。迷える子羊よ、祈りなさい
何の御用かな?」
(・ハ・)「こいつの治療を頼む。それと免罪符40枚、チャーム40個」
「神への気持ちを差し出せば、聖なる品物が与えられよう」
司教が治療を行い、他の教徒が免罪符の枚数を数える。
「終わりました。神への感謝は欠かさぬように」
「うちの品は掘り出し物ぞろいさ、ホントに掘り出してきたものもあるけどね。
っていっても今日はあんたが掘り出したものを売りに来たのか!はっっはっは!」
鎧防具屋の陽気な店主が出迎える。
(・ハ・)「イー、リュック中を全部出せ」
言いながら、自分も手荷物の発掘品を全て出す。
「おや?大将いつから子持ちになったんだい?ははは
いま軽く査定をするから待っててよ」
(・ハ・)「…まぁ、色々あってな。
ガキ用のプロテクターを4つ欲しい」
「買取金額から差し引いてあげとくよ。
とりあえず差し引き31000マッカでどうだい?」
(・ハ・)「納得した」
59
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:39:43 ID:vmwGTQ5U0
四人は服の上から胴体用プロテクターを装着する。
(・ハ・)「また物がたまったら来る。元気でな」
「おい待ちなよ!そこの子…」
(・d・)「え?」
「服の背中だけボロボロじゃないか。穴が開いてる。
そこの古いジャケットでいいなら着ていきなよ。子供手当ってわけさ」
(・ハ・)「ふ…懐かしい用語だ。感謝する」
「子育て頑張れよー」
ハットを揺らし、陽気に手を振る。
(・殺・)「よかったね。いい人で」
(・d・)「ああ。大事に着よう」
隣のジャンク屋へ寄る。
「客か?…なんだ、あんたか」
(・ハ・)「よう、ディス系各種40個、金丹4個を頼む」
「ガキ連れか…まぁ理由は聞かんよ」
店主は手早く品を用意し、発掘品を入れていたリュックやバッグに詰め込んでいく。
「用が済んだらさっさと帰れ」
(・ハ・)「相変わらずだな。じゃあまたな」
外に出る。
(・e・)「愛想悪いおっさんだな!あれじゃ客こねえだろ」
(・ハ・)「防具屋が異様に人がいいだけだ。武器屋なんかもっとひどいぞ。
最初から人を盗人だと決めかかってくるからな。
この時代、客でも疑ってかからなきゃいけない哀しい時代なんだよ」
(・j・)「なるほど…」
(・ハ・)「さて、お前らに少し小遣いをやる。
だいぶ時間が余ったから、正午までに戻ってこい。
シンジュク東口で集合だ」
(・d・)「はい。ありがとうございます」
60
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:40:03 ID:vmwGTQ5U0
(・ハ・)「ただし、メシア教会近くの扉と東側の最も南の建物には近付くな。
何か重要なものでもあるのか、護衛なのか、オザワが悪魔を放ってるんだ」
(・j・)「了解しました」
昨日のうちに書き上げた簡易地図をもらい、四人は自由時間を満喫した。
ディーとアヤメは、回復道場に行きおみくじを買った。
その後、小さいバーでソフトドリンクを飲んでイチャついていた。
(^殺^)「二人ともダイキチでよかったわ。神主さんによると、いい事なんだって」
(^d^)「そうだな!」
その後、11時半を過ぎた頃に他のバーの外でホステスに介抱されていたイーを回収した。
どうやら、武器屋の店員の威圧感など気にせず憧れの武器を見て回り
気分上々になって安酒をイッキしてべろんべろんになってしまったようだ。
西口まで連れて行き、メシア教会で酔いの状態異常を治してから親父に軽く優しくゲンコツを喰らった。
(・ハ・)「馬鹿野郎。ガキがまだ酒なんて飲むんじゃねえ。この不良め。
内臓が悪くなるし、背が伸びなくなるぞ」
(;・e・)「うわぁー!それはいやだぁー!」
そんなこんなでもうCOMPは正午を過ぎていた。
ジャックが最後に戻ってきた。
(・ハ・)「おい。時間厳守と言っ…」
ジャックの後ろには6人の子供達がいた。
みんなシンジュクの浮浪児にありがちな、あってないようなボロボロの服装だ。
(・d・)「ジャック、その子たちは…」
(・j・)「無理を承知で言います。僕の妹や仲間達です。
既に数人、飢えや人狩りにさらわれていなくなりました。
冬になればもっといなくなるでしょう」
(;j;)「どうか僕の仲間達を仲間に加えてください!お願いします!」
ジャックは土下座をした。
(・ハ・)「単刀直入だな。俺は気に入ったが」
(・d・)「…」
(;・e・)「マジかよ…」
61
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:40:23 ID:vmwGTQ5U0
イーは戸惑ったようだ。
両手を落ち着かなげにあわあわと揺らしている。
(;・e・)「今の人数だけでもそこそこカツカツなんだぜ!?
これ以上増えたら…」
こういう時の食糧計算だけは頭が回るようだ。
(・ハ・)「イーの言いたい事もわかる。
俺は単刀直入の態度が気に入った、と言っただけだ」
腕を組んで冷徹に親父は言う。
(;j;)「…」
(・d・)「…」
ジャックとふと目が合う。
このうえなく哀れな懇願と媚びの態度だ。
まるで人狩りに捕まった時に戻ったような絶望感を味わっているだろう。
(・ハ・)「ディー、アヤメ、お前らはどう思う」
ディーも少し悩んでいた。
今のところはなんとかやっていけているが、一気に人数が増えると困る。
ジャックの妹らしき女の子はまだしも、年端もいかない子もいる。
その子たちまで食わせるとなると、労力と時間が足りなくなるかもしれない。
(・殺・)「ディー」
気が付くと、アヤメが両手でディーの左腕をつかんでいた。
(・殺・)「お師匠や兄貴が私達を拾ってくれた事を思い出して。
あの時、お師匠は迷ったりした?」
(・d・)「ああ、そうだな」
親父に振り向いて真摯な眼差しを向ける。
(・d・)「親父、この子達も拾って構いませんか!?
ジャックの妹や仲間なら俺達の妹や仲間と変わりありません!
まだ幼い子もいるみたいですが、その分は俺が食い扶持を補います!」
親父がニヤリと笑った。
(・ハ・)「まさか おんなを えらぶとはな」
(;・d・)「え?」
く(・ハ・)「冗談だ冗談。キョウさんのが感染ったかな…」
62
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:40:43 ID:vmwGTQ5U0
(・ハ・)「これから忙しくなるぞ」
(・d・)「はい!ジャックも顔上げろよ」
(;j;)「ありがとうございます!ありがとうございます!」
東口を上がりいよいよシンジュクを出る時、白服の私設警官に呼び止められた。
「人狩りの連中か!?許可は取ったのか!上納金は!?」
(・ハ・)つ「俺がそう見えるなら、これが答えだ」
背中に背負っていた機銃を構え、とっさに妖獣を召喚する。
「あ、よく見ると護送用の乗り物もなにもないな。ただの観光者か。どうぞどうぞ」
(・e・)「ざまーみろってんだ!」
シンジュク帰りも同じような隊列で歩を進める。
(・ハ・)「しかしこの人数では歩きは厳しいな…小さい子もいるし…ン!」
親父は帰り道から少しそれた方向に何か鉄塊を見つけた。
(・ハ・)「マシンT-95CPみたいだな。壊れている。
これはな、かつての愚かな警察組織が密かに作っていた起動兵器だよ」
アナライズと手探りで判別する。
(・ハ・)「マンティコア。こいつに何人か子供達を入れて引っ張ってくれ。
お前が先頭で俺が殿だ」
(・<_,・。)「フォッフォッフォ!人使いの荒い」
(・ハ・)「お前は悪魔だろうが」
マンティコアとマシンに紐をつける。
屍鬼コープスを召喚し、引っ張るのを手伝わせる。
ホブゴブリンも召喚し、筋力増強用にタルカジャをかけさせつつ小さな子供を一人抱かせる。
「わーおにいちゃんでぶーい!」
(・く・)「あはは。子供は元気が一番だねアニキ」
(・ハ・)「そうだな」
親父も小さな子を一人引き受け、笑顔で抱っこする。
63
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:41:04 ID:vmwGTQ5U0
ラン ゚ -゚)「ジャックの妹のランです。よろしくお願いします」
( ■∀■)「へえ、ジャックとランたんでジャックランタンか!ヒョヒョヒョオッ!」
(;・ハ・)「…キョウさん、開口一番それですか」
暇だからと家に遊びに来ていた兄貴が、スマホでD2を遊びながら大笑いする。
( ■∀■)「そう言うなってぇ。今日も甘味と…新鮮で綺麗な水!」
どう持ってきたのか、子供一人分はありそうな体積のチョコレート群と
ビル内には今や貴重な未汚染の飲料水のボトルが山ほど置かれていた。
(・d・)「いつもありがとうございます」
( ■∀■)「お前はいつも偉いなぁ。お前も真っ先にお礼言えるようならんちゃうといかんかぁ?」
(;・ハ・)「は、はぁ…そうします」
(;・d・)「俺達はお世話になってばかりだから…いてて」
ラン ゚ -゚)「どうしました?ちょっと見せてください」
ランが無遠慮にディーを脱がし、見る。
ラン ゚ -゚)「ひどい火傷。ちょっと水をかけますね。」
染みて悶えそうになるのを堪える。
ラン ゚ -゚)「何か軟膏でもあればよかったのだけれど…ありませんよね
多少は跡になってしまうかもしれません」
(・ハ・)「君は何か医術の心得でも?」
ラン ゚ -゚)「はい。昔、弟を病気でなくしまして…
兄だけは何かがあっても助けたいと思い、捨てられていた医術書を懸命に読んでいました」
( ■∀■)「いいじゃねぇか即戦力・メディック・ヒョウッ!
今度簡単な薬も持ってきてやるからなぁ」
ラン ゚ -゚)「ありがとうございます。兄から聞きましたが、兄貴さんとお呼びすれば…?」
( ■∀■)「兄貴でいいよ。やっぱ若い女の子はものわかりがいいねぇ
さて採寸ばかりだ。ジャック、ちょっと借りるぜ」
ラン ;゚ -゚)「きゃ!?」
ランをお姫様抱っこし、ビルの奥へと向かって行ってしまった。
(;・j・)「…」
64
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:41:26 ID:vmwGTQ5U0
(・ハ・)「慣れろ慣れろ。騙して取って喰うようなお人だったら俺はとっくに縁を切ってるさ。
さて、ディスポイズン、ディスパライズ、ディストーンは一人4個で持て。
金丹は高いから、年長のお前らが一つづつ持っていろ。
この金丹はかの英雄コウテイの祖国、チュウゴクで錬丹術というもので作られたのが始まりだ」
(・e・)「レンたん…?」
(・ハ・)「詳しく覚えなくてもいい。古代では飲んだら死ぬ水銀を使い非常に危険な代物だったが
今流通してるものは材料も多少変わり、瀕死者の蘇生くらいならできるようになった」
(・j・)「蘇生!なんてすごい」
(・ハ・)「だがそれはあくまで、大人か大人に近いくらい成熟した体力のある者に限る。
お前らのような子供ではまだ耐えきれずそのまま死んでしまうだろうが、気休めと御守りに持っておけ
さて、悪いが俺は機械の修復に入る。幼い子達の面倒を見てやってくれ」
(・殺・)「わかりました。でも少しだけ寝室で休ませてあげてもいいですか」
アヤメはディーを伴って地下へ降りた。
イーとジャックは子供達に菓子の包装を解いてやったりし始めていた。
地下へのカギががっちりと閉められる。
(;殺;)「ごめんね…ごめんね…!また私のせいで…
しかも今度は跡が残るかもって!」
(;・d・)「気にするなよ。アヤメに直撃して死んでたよりマシだよ。
まだ俺達は金丹を使えない。だから生き残るのが最優先だよ」
アヤメは唐突に上半身の服と下着を脱ぎ、毛布の上に寝そべった。
(;・d・)「アヤメ…何を!?」
(・殺・)「静かにね。今…ディーが考えてる事…わかるよ。
痛みの中で昔捨てられたお母さんに心で助けを求めてる」
(;・d・)「っ…」
読みは的中した。
まだちょっと燃えるような痛さのなかで、ディーは昔の事を思い出していた。
辛いシンジュク生活で己を捨てたか生き別れた母の事。
寝そべった少女の膨らみが誘う。
(・殺・)「いいよ。来て」
(;d;)「うっ…」
ディーは泣きながら吸い付いた。心の飢えと愛に包まれながら。
アヤメは母のように、頭を撫でながら優しく抱きしめていた。
65
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/06(土) 23:49:15 ID:vmwGTQ5U0
読んでる方はいるのかな?
読まなくても本編にちょっと絡むよ程度のものなので、読まずとも大丈夫です。
メガテン「らしく」なってくるのはもうちょっと先になると思います。
なんかお色気シーンばっかだけど偽典とかあるしいいよね!?
66
:
名無しさん
:2021/11/06(土) 23:58:00 ID:i9FK8bbQ0
乙!
本編もこっちもちゃんと読んでるよ!
更新早くてうれしい
67
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 11:02:10 ID:wm/pKi2Y0
>>66
ありがとうございます!
時間と元気があるうちとインスピレーション湧いた時はモリモリやるようにしています。
D2のモデルは言わずもがな、D1は例の『想像』を英語にしたアレですね…。
ゲーム自体は粗削り&テキトーすぎましたが、カスタマイズ性と真Ⅰ、真Ⅱっぽい雰囲気
やはりフレンド達との思い出は代えがたいものでした。
68
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 22:58:41 ID:wm/pKi2Y0
2年目。
無事に冬を越し、春を迎えようとしていた。
その間に子供達の数は30人を越えようとしていた。
(>■∀■)>「ヒョウゥ!」
地下の寝床は狭くなったので、兄貴が腕を悪魔に変化させ、削岩機のように一瞬のうちに掘り進めた。
腕に金のリングをはめ、爪は鋼鉄のようだった。
こんなもので貫かれたら、上級悪魔も息の根が止まるだろう。
( ■∀■)「せめんと!」
(・ハ・)「はい!」
(・d・)「はい」
練った液体を、兄貴が丁寧に削ってくれた壁面に塗りつける。
( ■∀■)「うわーくっせぇ。扉は開けたまま、換気しつつ乾くのを待つ。退散ッ!」
乾いたら砕けた前の壁の破片と土を取り除いていく。
( ■∀■)「本当は生コン使いてーんだが、なかなかこれは手に入らなくてな。
メシア教の奴ら、何かくそでけー建物を建てるらしい。
その金を迷える難民とやらに使ってやれよなぁー」
(・ハ・)「同感ですね」
(・d・)「そういえば親父、最初のシンジュク買い出し以降はメシア教会で回復を使いませんね。
あそこが一番安いのに、どうしてですか?」
( ■∀■)「安モンには安モンなりの理由があるのさ。なぁ」
(・ハ・)「ああ、メシア教会はあらゆるものが格安だが、それには理由がある。
治療時に、洗脳用の薬剤を少し使うんだ」
(;・d・)「えっ、じゃあ俺…」
(・ハ・)「一回きりならまだ大丈夫だ。いきなり神の教えに傾倒されても不自然だからな。
安いからと徐々に利用していくと、やがて神の教えの説法が心地よく聞こえてくるという。
シナガワの本部なんかは、傾いたやつばっかりになっているだろうよ」
(・殺・)「非道い…」
( ■∀■)「つっても、下っ端にはそういうのは知らされてねぇはずだぜ。
あくまで『治療を助ける薬』って本部から配られてるんだろうよ。
通ってる奴が頭メシアになっちまったら、神のお力だ!って大喜びだろうさ」
(・e・)「下っ端って大変だなぁ」
69
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 22:59:01 ID:wm/pKi2Y0
(・ハ・)「お前らももう、下っ端ではなくなる」
(・j・)「え?」
(・ハ・)「人数が増えたかな。我々の集団に名前をつけようと思う。
これでも夜中悩んだのだ。
ク・リトル・リトルはなんか不気味だし…
エンブリオンはどうだろう」
(・d・)「響きがなにかいいですけど、名前の意味は?」
( ■∀■)「エンブリオは胚っていって、生まれてくる前の赤ん坊の意味さ。
俺もお前らも通った道だぁな。
ク・リトル・リトルってのはクトゥルー神話っていう作り話の主神の一つさ。
最初の書き手は冗談半分で書いてたんだが、引き継いだ奴がガチで信仰しちまった。
それで広まって、ガチで現実のものになっちまったわけさ。
元仲間がトチ狂って召喚したデカイカ野郎と戦ったが、なかなか強かったぜ。
ここらの悪魔と比べると、一秒差で倒れるかどうかって差だけどな」
(;・ハ・)「キョウさんの魔腕の斬り刻みの前では、まずどんな悪魔も持ちこたえられないですって」
兄貴のうんちくは長い。
( ■∀■)「ま、だからク・リトル・リトルは縁起が悪いといいたいんだろう。
ガキを育てるって意味の組織では、エンブリオンはいいんじゃねえの?
鐘三つってとこか」
(・ハ・)「兄貴の許可は下りた。今日からここはエンブリオン拠点だ!
お前達始まりの四人は幹部とする」
(・e・)「よっしゃ!俺達はカンブ!要するに偉いって事ですね?」
(・ハ・)「まぁ、新入りや下級生の面倒が主な任務だがな」
(;・e・)「ありゃ!」
イーは勢いよくずっこけた。
(・ハ・)「そう焦るな。子を育てるのが我々エンブリオンの役目だ。
もっとも文字通りのエンブリオ=赤子は無理だがな。
乳飲み子にやるミルクの確保も、キョウさんですらそうそうできないと思う」
( ■∀■)「言ってくれるねぇ。
牛の悪魔から取れる牛乳や生成した粉ミルクはできるがな。
赤ん坊ってのは母親からの最初のオッパイを飲むか否かで丈夫になるかが決まっちまう。
やっぱ人工物だけで育てるのは難しいわな」
ディーは一年前の夏前、恥も外聞もなしにアヤメに吸い付いたのを思い出した。
自分は母親からミルクをもらっていたのだろうか?
70
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 22:59:21 ID:wm/pKi2Y0
( ■∀■)「それでよぉ、インコの餌やりなんかかわいいもんなんだよ。
産んだ卵をがっちりとホールドしつつ暖める。
孵化したら、親鳥が身体で雛を包んで隠しつつ器用にクチバシで餌をやって…」
(・ハ・)「そしてもう一つ。お前らにもそろそろこれを渡してもいいだろう」
三つのCOMPとスカウターのセットをテーブルに出す。
(・d・)「これは…親父が使っているのと同じ…?」
(・ハ・)「そう。これがなければ普通の人間は悪魔と会話できない。
昔はスマホにプログラムを入れていたが、落としただけでも壊れやすい。
お前らを助けた時に人狩りから手に入れたものと、かつて一緒に行動していた奴の遺品だ」
(・ハ・)「COMPは男三人が装備しろ。
アヤメは…そうさな…アイテムをたんまり持って回復係に」
( ■∀■)「じゃあ、嬢ちゃんはこれを使いな」
兄貴は、数本の試験管のようなものとホルスターを出してきた。
(・殺・)「これは…?」
( ■∀■)「うちのご先祖の親戚が使ってたっていうやつさ。
魔力がある奴にはこっちの方がいいかもしれねぇ。
弱った悪魔に向けて押し当ててキューッと吸い込むだけだから簡単よ。
もっともやられた側は不満たらたらだろうけどな。そこは女の魅力で懐かせちまいな」
(・殺・)「ありがとうございます。でもいいんですか?そんな大事なもの…」
( ■∀■)「まだまだ腐るほどあるから心配すんな。
ちなみにその親戚筋、14代目は歴代最強クラスの超優秀だったが行方不明。
それ以降はひ弱でどんどん倒れてって今は30代目突入くらいだっけな。
だから気にすんな」
(・殺・)「ありがとうございます」
アヤメは一礼し、ワンピースのスカートの腰部分にベルトとホルスターをつけた。
(・殺・)「似合うかな?」
(・d・)「うん、いいと思う」
(・ハ・)「戦闘に赴く際にはそれなりの装備をしていけば大丈夫だな」
( ■∀■)「腰が締まってボディラインがヒョウッ!セクシー!」
(;・d・)「…」
アヤメが褒められて自慢ではあるが、何か複雑な感情が湧いた。
71
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 22:59:55 ID:wm/pKi2Y0
翌日朝。
(・ハ・)「では、留守を頼んだぞ」
(・<_,・。)「ふぉふぉふぉ。任せておけ」
ラン ゚ -゚)「はい」
四人の次に年長のランに、おさない子供達を任せ、五人はシンジュクへ歩き始めた。
(・e・)「街の中ですかい?」
(・ハ・)「ああ。街の地下ではなく上階には、外で生きていけないような悪魔達が身を寄せ合って暮らしている。
残酷とは思うが、そいつらで慣れておけ」
ディーは模造刀をギュッと握った。
イーは釘付き棍棒のスパイクロッドを肩に乗せてイキっている。
ジャックは名前通り、アタックナイフの柄の中身を空洞にして身軽にしたジャックナイフ。
アヤメはありったけの回復道具をリュックに抱える。
(・ハ・)「まだ交渉はしなくていい。俺のやり方を見ていろ。
お前らが力をつけてから、悪魔との会話をさせるからな」
(・d・)「はい」
(・j・)「来た!」
地霊コボルトがスパイクロッドを掲げて走ってくる。
(・e・)「目には目を!歯には歯を!」
この一年間で、コトワザを言えるほどには賢くなったようだ。
お互いのスパイクロッドが交差し、ぶつかり合う。
(・ハ・)「埒が明かん。一旦引いて転ばせろ」
(・e・)「はい!」
あえてロッドごと身を下げる。
力を入れすぎていたコボルトがつんのめって前のめりに倒れる。
(・e・)「おらっ!おらっ!」
ひたすらぶっ叩き、頭を陥没させ、灰になるまで徹底してやる。
(・殺・)「これが…戦い…」
(・e・)「へへっ、どうです?」
(・ハ・)「いい感じだ。模擬戦闘で一番馬鹿力なだけある」
72
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:00:16 ID:wm/pKi2Y0
「ムド!」
(;・j・)「えっ…」
親父が立ちはだかり、御守りで呪殺魔法を吸収する。
御守りは砕け散った。
(・j・)「うわあああああ!!」
恐怖と怒りで、ジャックは俊足で馬型の堕天使、ガミジンの四肢の健を切った。
「ぎゃあああ!いっでえええええええ」
(・d・)「油断するな!」
模造刀で首を狙う。
硬すぎて切り落とせない。
ガミジンが暴れ、模造刀が刺さったまま吹き飛ばされる。
(・e・)「もうひとおし!」
イーがロッドで叩き、無理矢理刀を押し込める。
首の斬り落としが一丁出来上がり、ガミジンは絶命し灰をぽろぽろとこぼす。
(・ハ・)「危なかった。恐らく今のガミジンがここ一番の格上だ」
砕けた御守りを踏みすり潰す。
シュウウ…と呪力が漏れる。
(・殺・)「お師匠、今のは…?」
(・ハ・)「今のは一撃必殺の呪い魔法、ムドだ。
マトモに喰らえば一発であの世逝き。
呪いの力で殺されれば、いかな金丹でも治せない」
(・d・)「そんな危険な魔法があるんですね」
(・ハ・)「ちょっと下に降りよう」
親父についていき、東口から西口に移動する。
「力こそ全て!ガイア神殿へようこそ」
(・ハ・)「こいつら全員の治療と、ペンタグラムとタリスマンを20個づつ」
「金を十分持ってくるのだ。この世に混沌をもlたらさん」
(・d・)「全員治療完了しました」
腕を組んだガイア司祭のもとから立ち去った。
73
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:01:00 ID:wm/pKi2Y0
(・d・)「ガイア神殿もなるべく利用はするな。
メシア教は薬を混ぜた洗脳をするが、ガイア教は魔による力を注ぎこんで混沌中毒にさせてしまう。悪気はないんだろうが」
(・d・)「四人で分けろ。
ペンタグラムは一人が喰らった魔法をそのまま反射、さっき使ったタリスマンは呪殺吸収硬化を持つ。
ペンタグラムは応用が利くが呪殺を反射しても吸収回復はできん。うまく使いこなせ」
(・殺・)「わかりました」
アヤメは両手に五芒星と御守りを持ち、違いをよくよく目に焼き付ける。
狩りが再開された。
(・ハ・)「倒した悪魔はデビルアナライズ機能で情報を見られるはずだ。
できれば暗記しておけ。敵は勉強を待ってはくれないからな。」
(・d・)「はい!」
手早くささっとガミジンの情報を見る。
呪殺反射、魔法全体に強い。
物理にも僅かながら耐性があるようだ。
自分の力がまだ弱いのもあるが、一撃で首を落とせなかったのはそのせいか。
地霊コボルトは物理攻撃に耐性こそないが、火炎、氷結、電撃といった温度魔法に強いらしい。
「地」霊だけに、特に電撃はアースのように受け流してしまうのだろう。
おそらく他の地霊族も似たような感じに違いない。
フクロウの顔をした堕天使アンドラスに斬りかかる。
翼を斬り、たじろいだところで腹を一閃する。
数時間戦いを終え、夕刻になろうとしていた。
(・ハ・)「闇夜の魔物は恐ろしい、と言う。成果物を持ち帰ってずらかるぞ」
(・e・)「ラジャ!」
手早く荷物をまとめ、シンジュクを後にする。
ラン ゚ -゚)「ジャック兄さん!」
(・j・)「ラン!無事だったか!」
ラン ゚ -゚)「大丈夫よ。悪魔一匹来てないわ。
今日は子供達と薬草を摘んで、傷薬に調合していたの」
(・ハ・)「よくやったな、ラン。
お前は医療班リーダーに任命する。まだ一人だけだからリーダーも何もないがな」
ラン ゚ -゚)「ありがとうございます」
74
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:01:21 ID:wm/pKi2Y0
夏が過ぎて秋。
エンブリオン結成初めての、悪魔の襲撃があった。
いつも通りシンジュクでの狩りを終えたディー達は驚愕する。
地霊ブッカブーなどの低級悪魔の死体が血の海と共に乱雑していたのだ。
(;・j・)「ランは!?」
ラン ゚ -゚)「無事よ」
血まみれのマンティコアに抱き守られ、返事をした。
(・<_,・。メ)「数時間前じゃったかのう。
行き場を失った雑魚どもが森に入ってきた。
そこまではいいんじゃが、ニンゲンの匂いに気が付いたようでな」
(・ハ・)「一体たりとも逃しちゃいないだろうな?」
(・<_,・。メ)「当たり前じゃ。
悪態をつくのはやめとけ、このひよっこが!」
ガァと吠え、乱暴に、誇らしげに尻尾に刺さった死体を抜き捨てる。
途端に灰になった。
他の悪魔もグズグズと崩れ落ちていく。
ラン ゚ -゚)「ありがとう、マンティコアさん。
おかげで私も無傷だし、子供達も地下にいて無事でした」
頭を下げ、傷口に薬を塗る。
(・j・)「『ワシの傷は大したこたぁない。下級からの攻撃なんぞ舐めれば治る』と言ってるよ。
マンティコアさん、僕からもありがとうございました」
(・ハ・)「じじいの心配はいい。心配事はこれからだな。
秋を過ぎ冬になると、外の悪魔もマグネタイトや肉を求めてやってくるかもしれん。
防護策を考えよう」
(・ハ・)「ディー、お前はスマホでキョウさんに連絡を取ってみてくれないか。
俺はガラクタどもをいじってみる」
言って、この一年間で拾い集めたマシン達の修理に取り掛かる。
他の幹部は怯えて泣いている子供達をなだめたり、夕食の準備に取り掛かる。
ここ一年でバラエティも増えた。
古米のおにぎりに、疑似小麦粉で作ったパン。
浮浪児として生きてきた子供達には大きな喜びだった。
夜、簡易ライトをつけながら作業をしている親父に、アヤメがおにぎりを持って行った。
(・ハ・)「ありがとう、お前も早く寝なさい。明日から新しい狩場だ」
75
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:01:46 ID:wm/pKi2Y0
( ■∀■)「ヒョッ」
見慣れた顔が、聞きなれたひょうきんな声を出して朝早くやってくる。
(・ハ・)「お待ちしておりましたキョウさん。それは…」
緑基調のマシンに乗りながら、色とりどりの鉄を引っ張ってやってきていた。
( ■∀■)「そこにたんまりたまってる…クククッ、我ながら最高センス!
T95CPの上位互換、T95Dの最新モデルだよ。
知り合いの科学者に無理矢理言ってもらってきた。
去勢済みだから即戦力として使えるぜ。それっ」
マシンの中からパーツをバラバラと投げてよこす。
( ■∀■)「回路やらの互換性はコイツと大差ないはずだ。
俺はそこまで甘やかさねぇから、とりあえずお前が解析して修理しな」
(;・ハ・)「じゅうぶん甘やかしてくれてるじゃないですか。ありがとうございます
ホブゴブリン、マンティコア」
親父は一礼しつつ、鉄類の運搬に仲魔を召喚する。
( ■∀■)「紐は切って構わねえぜ。ジャック」
すぐさま、十八番のジャックナイフ捌きでマシンと鉄を繋ぐものを両断した。
二体の巨魔が紐を引っ張り、ビル近くの奥へ置く。
( ■∀■)「あれでバリケー…砦を作るんだろ?
まったく夕方に無茶な連絡してきやがるぜ。
ディーの坊主だからまだ許したけどよォ」
ケケケと笑う。
( ■∀■)「メシアの連中も鉄を集めるのに必死みたいだ。
かっさらわれないうちに、また持ってきてやるよ。
とりあえず今日は疲れたからこっちで寝るわ」
(・ハ・)「キョウさん、ありがとうございます。
朝食も食ってってください」
アヤメとランが子供達を起こし、朝食の支度を手伝わせる。
「いただきます!」
( ■∀■)「ヒョウッ、少々味は落ちるが米なんざ食ったのは久々だなぁ。いいもんだ。
炊くのにも電力使うんじゃないか?」
(・ハ・)「大丈夫です。キョウさんから頂いたマハジオストーンで蓄電してありますから。
それにいざとなればシンジュクからこっそり盗電できるように地下配線も敷いてあります」
76
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:02:07 ID:wm/pKi2Y0
(・ハ・)「さて、今日からシンジュク入口は卒業だ。
その東のイチガヤ、ヨツヤ方面でやる」
(;・d・)「…」
(・ハ・)「そう、お前らと最初に出会った場所だ。
トラウマ払拭にもちょうどいいだろう、
それに個々の戦い方は板についてきたが、集団戦はちくはぐだ。
統率について学んでいこう」
( ■∀■)「ヒョウ!いってらっしゃい!」
五人に弁当を投げる。
( ■∀■)「小さなドクターの嬢ちゃんが作ってくれたんだ、味わってくえよー!」
マンティコアとホブゴブリンは昨日の事を考え、防衛に残しておいた。
警戒して歩きながら親父は話す。
(・ハ・)「ゆくゆくは幹部のうち一人を防衛の指揮にまわすかもしれん。
他のおさない子供達は戦えもしないし、万が一医療幹部のランが斃れれば一気に守りは瓦解する。
冬の前にある程度た稼いで、食糧を貯えねばならんしな」
(・d・)「はい、親父!」
(・ハ・)「各自、銃の準備はしてきたな」
ディー、イーはアサル?MP5マシンガン。
ジャックはかつての警察組織の基本武装、ニューナンブ。
アヤメは更に小さな拳銃を持っていた。
(・e・)「ジャックもアヤメも小っせえ銃でやんの!だっせー!」
指をさして冗談で笑い飛ばす。
(・j・)「僕は銃よりナイフ捌きの方が得意なの、知ってるくせに」
(・ハ・)「こら。アヤメのデリンジャーを馬鹿にするもんじゃない。
女性がよく暗殺用に使う銃だ。昔たくさんあった映画というものにもよく出ていた。
最近は話を聞かないが、人間専門の伝説のバウンティハンター、サラも愛用していたらしい」
(・d・)「バウンティハンター?」
(・ハ・)「賞金稼ぎだ。依頼を受けて標的を倒し、お金を受け取るんだ」
(・e・)「おもしれえ!将来は悪魔のバウンティハンター部隊でも立ち上げようかな?
悪魔に恨み持ってる奴なんざごまんといるだろ」
77
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:04:25 ID:wm/pKi2Y0
(・ハ・)「ははは、それは頼もしいな。
ここら辺は凶鳥フリアイという不吉を呼ぶという鳥の住処だ。
総じて鳥族には近接の武器による攻撃は不利だ。空を飛ぶからな。
銃で撃ち倒し、仕損じたら落としたところをぶったぎるんだ。
アヤメはとりあえず銃はいい。マハストーンを投げてけん制を頼む。
マハジオ、マハブフのストーンは当たれば敵を凍り付かせたり感電させて動きを止められる」
(;・殺・)「や…やってみます。」
袋の中にはどっさりと色とりどりの石が入っていた。
マハラギとマハブフは自分達で妖精ジャックフロスト、ランタンのコンビを狩って集めたものだが
マハジオストーンは前々から蓄電用に兄貴に買い付けをお願いしていたものの一部だ。
(・ハ・)「だが堕天使べリス…そう、初めて狩りに行った日に襲ってきたやつだ。
あいつにマハラギストーンは投げるな。吸収されて元気になってしまう。
逆にそれ以外には存分に使え。獣系には銃と火がよく効く」
さっそく凶鳥フリアイ達が出た。
ディーとイーはマシンガンを乱射する。
翼だけ撃たれて落ちてきたものはジャックがとどめを刺す。
勇敢に突っ込んでくるものはアヤメがおそるおそるストーンで凍らせる。
外した場合は親父がライフルでフォローしてくれた。
(・ハ・)「散開!」
邪龍コカトライスが大挙して襲ってくる。
(・ハ・)「奴らは麻痺爪による引っかきと石化噛み付きをしてくるぞ!
分断されてそれら状態異常になったら死んだものと思え!」
思わぬ高レベル悪魔の襲来に、親父も参加した。
五人で取り囲み、銃を撃ち、燃える石を投げる。
灰のなかからいくつか、ディストーンを見つける。
(・d・)「店で売ってるだけじゃないんですね」
(・ハ・)「大概は誰かががこうやってたまたま拾ったものをジャンク屋に売って日銭に変えてるのをまた売ってるだけだがな。
地味にディス系のなかであれだけ高いから助かるよ。
だがこれが必要となる局面は、もう既にこちら側が壊滅に近いと思った方がいい」
(・ハ・)「それと龍族は耐久力が高い。
基本的に長期戦は覚悟して、弱点があるならそれをついて早めに処理しろ」
邪龍ワームのテールスイング攻撃で、イーが吹き飛んだ。
すかさずアヤメが回復し、親父がライフルで眉間を撃つ。
(;・e・)「うっ…ちくしょう…」
(#・d・)「だあああああああああああ!」
78
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:04:48 ID:wm/pKi2Y0
それでも倒れぬ巨大ミミズの口の中に、ディーが刀を突きさし貫通させる。
幾多もの戦いをし、いつの間にか午後を過ぎていた。
(・ハ・)「飯にしよう」
親父が周りを見渡して言う。
途中で仲魔にした魔獣ストーンカに見張りを命じる。
自分の分のおにぎりを分け与える。
(・d・)「見張りが増えましたね、親父。
でもなんでいきなりそいつを…?」
(・ハ・)「魔獣ストーンカは前に話した妖獣アツユと違い、ストレートな強さを持つ。
こいつが発するバインドボイスで全員金縛りになんてなれば、全滅は免れん」
(・d・)「バインドボイスにバインドボイスで対抗をするって事ですか?」
(・ハ・)「お前らにもそのうちわかる」
(・e・)「ふうん」
(・ハ・)「ウン万マッカは稼げたな。節約すれば冬は越せるだろう。
もう今日は引き払って、シンジュクで買い出しをしていこう」
(・e・)「また小遣いっすか!?」
目を輝かせる。
(・ハ・)「まぁ1000マッカな。あと毎度言うが酒はまだ禁止」
(・j・)「ははは!」
シンジュク地下街にやってきた。
ディーとアヤメは入場料はかかるが広いクラブで少し贅沢な食事を楽しんだ。
イーは相変わらずまだ手が出ない武器に目を輝かせる。
ジャックは親父と一緒に食糧の買い出しに出た。
「買わないならジロジロ見るな」
(・d・)「これはなんですか?」
「ガキにはわかんねぇのか。ニワトリの卵だよ。孵化間近のな」
(・殺・)「ニワトリ?悪魔かしら」
(・d・)「親父に連絡を取ってみよう」
79
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:05:10 ID:wm/pKi2Y0
COMPによる通信で親父を呼ぶ。
両手に買い物袋を抱えたジャックが細身できつそうに歩く。
(・ハ・)「ニワトリの卵というのは本当か!?
大破壊で淘汰されたと思っていたが…」
ぼろを着た男が大声でがなる。
「本当さ。買わないなら帰れ」
(・ハ・)「いくらだ」
「一万マッカポッキリ。これでどうだ」
(・ハ・)「高い賭けだな。いいだろう、乗った」
代金を払い、ディーに大きな卵を渡す。
(;・d・)「わとと」
大荷物はストーンカに乗せ、一同は帰る。
(・ハ・)「帰ったら、暖房器具あったっけな…?
それで孵化まで待つ」
(・e・)「えっ帰ったら卵料理にするんじゃないんですか!?」
(・ハ・)「はは、気が早いな。
ニワトリっていうのは大破壊前に人々の食糧供給を担っていた生き物でな。
こいつが孵化してメス、つまり女の子だったら卵を産む。
そしたら…わかるな?」
(・e・)「卵食い放題!?」
目を輝かせよだれを垂らす。
(・ハ・)「ふふ、そうなるな。
卵は栄養価も高いから病人が出てもいい薬になる。ランが喜ぶぞ、ジャック」
(・j・)「それはいい土産ですね!」
帰り道、森入り口周辺1キロは焼け野原と化していた。
(・ハ・)「何があったんだ!?キョウさんがいるから中は大丈夫だと思うが…
これだけの火炎を使えるのなら相当の大物悪魔だぞ…」
親父が真っ先に走る。
(;・d・)「親父!待ってください!」
80
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:05:30 ID:wm/pKi2Y0
( ■∀■)「よヒョウッ」
汚れの一片もないマオカラースーツを着た兄貴が涼しい顔でマシンに座っていた。
(・ハ・)「キョウさん!?外の様子は一体!?」
兄貴の背後には、更に大量の鉄があった。
( ■∀■)「ガラクタ集めがてら、そこらの雑魚どもをフッ飛ばしてきたのよ。
これで当分、森周辺に悪魔はわいてこないはずだぜ」
(;・ハ・)「しかしこれだけ目立つ事をすれば…」
( ■∀■)「安心しな。ちゃんとシブヤのターミナル経由で来たし
焼き払った後は焼け残ったグールのコスプレしてう゛ーう゛ー言いながら這って森に入ったから。
カモフラージュは完璧よ」
(;・ハ・)「グールはそんな口調じゃないでしょう確か…」
( ■∀■)つ「あ、すまん。召喚権返すわ」
(・く・)「アニキ!」
(;・ハ・)「ん!?まさかキョウさん…」
( ■∀■)「そ。一旦おでぶちゃんと契約して魔力底上げしてやってから表にマハラギオン一発ぶちかましたの」
陰陽系のデビルサマナーは仲魔の能力をブーストできると聞いたが。
マカカジャを最大までかけてから、魔力が切れるまで連発してもああはならない。
この人はどれだけ底無しなのか?
親父は内心、戦慄していた。
ラン ゚ -゚)「皆さんお帰りなさい。あれ、ディーさんそれは?」
(・d・)「ああ、ニワトリっていう悪魔じゃない鳥の卵さ。
こいつが産む卵は栄養がいいから病人に最適なんだって」
ラン ゚ -゚)「それは助かります!まだまだ痩せ気味の子もいるから…」
( ■∀■)「ん〜?それマジにニワトリの卵かぁ〜?
贔屓目に見てもダチョウの卵に見えるんだが」
(;・ハ・)「き、きっと、放射能の影響で突然変異した種なんですよ」
やはり親父は兄貴には頭が上がらない。
(・ハ・)「さあ、暖房の前に置いておいて、夜は抱いて寝てやろう。
とりあえず飯だ」
早めの夕食をとり、その日は寝た。
81
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:06:13 ID:wm/pKi2Y0
翌朝。
(・ハ・)「しばらく数日間は狩りは休みとする。
みんなできる範囲で、鉄を利用し砦を作り上げよう」
(;・く・)「うんしょ、うんしょ」
朝早くから、ホブゴブリンがタルカジャをかけながら鉄を森入り口の付近に埋めていた。
仲魔を含めた皆で定刻通りにおにぎりの朝食を済ませ、皆ができる範囲での作業を始めた。
兄貴は早朝にはいなかった。本当に神出鬼没だ。
幼い子供達は少しづつ穴を掘り、そこにタルカジャがけのディーとイーが穴に鉄を埋める。
アヤメは暖房の前で卵を抱き、ジャックは専用ナイフで鉄の溶接面をなめらかにしている。
ゴーグル付きマスクを被った親父が、マハラギストーンで鉄をいい塩梅に溶かしつつ溶接していく。
ランは昨日兄貴に教えてもらったという医術を必死に復習していた。
焼け野原を作るついでに、どこかから多少の医療器具も調達してくれたらしい。
ラン ;゚ -゚)「いつ怪我人が出るかわからないんだから、今のうちに…!」
親父と相談し、あまり物音が響かない一階最奥の空き部屋が医療室になった。
ある程度ビル回りに鉄を並べると、
(・く・)「マハラギオン!」
ホブが手加減をした火炎で一斉に溶接してしまった。
ひとまず囲いの砦は完成した。
(・ハ・)「みんなお疲れ。昼にして午後は休みだ」
あらかじめ作っておいた塩パンをたいらげる。
(・d・)「ひとまず完成したね。あとは何が必要か…」
(・e・)「秋のうちにもっとためこんでおきてぇな」
(・j・)「そういえば使われていない鉄の高台がありましたよね?
あれを見張り台にするのはどうでしょう」
(・ハ・)「まぁ、おいおいな。
それとジャック、飢え死にしそうな浮浪児を見かけたら保護する事を任命する。
冬になる前でないと手遅れだ」
く(・j・)「了解しました」
(・殺・)「これからお世話が大変になるね。
あ、孵化したんだ。今寝室に寝かせているよ」
(・d・)「すごいな!」
82
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:06:35 ID:wm/pKi2Y0
子供達がワイワイ遊ぶ中、幹部と親父は地下寝室へ赴く。
「ピィピィ!」
ラン ゚ -゚)「かわいい!これがヒヨコですか?」
(;・ハ・)「あ、ああ…。だが色がピンク?
大破壊よりはるか前、俺が生まれる前に流行っていたというカラーヒヨコならともかく…
普通ヒヨコは黄色のはずだ
それにやはり、でかすぎる」
(・e・)「突然変異?ってヤツじゃねーの?」
(・j・)「ご飯は何をあげればいいのかな」
(・d・)「確かあの胡散臭い売り屋からマニュアルもらってたな。
小さいうちは保温して、煮た穀物をあげればいいってさ」
(・ハ・)「大破壊前は専用の配合飼料なんかも売ってたんだがな。
無事に育つのを祈るしかないか。
幹部アヤメ、頼む」
く(・殺・)「了解しました!」
その日からアヤメは自室にありったけの湯入りの容器を持ち込み、大事に保温した。
「腹が減った!」とピィピィ鳴いた時には起きてご飯を与えた。
子供達が増えてからというもの、幹部たちには私室が与えられた。
各々二階に一部屋づつもらっている。
子供達は地下が自室兼寝床だ。
アツユ狩りで毛皮をしこたま作っているので、敷布団にも困らない。
(・d・)「アヤメ」
(・殺・)「ディー。どうしたの?」
(・d・)「いや、急に顔が見たくなって」
(・殺・)「ふふ。顔だけじゃないでしょ?」
(・d・)「ああ。いいか?」
ディーはアヤメの胸に顔をうずめ、抱きしめる。
(-d-)「なんかヒヨコを育てているアヤメを見てると、お母さんってこういうのかなって」
(・殺・)「かもね」
今度はディーがアヤメの上を脱がせ、吸い付いた。
83
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:06:55 ID:wm/pKi2Y0
三年目。
餓死者も凍死者も出ず、無事に冬を越せた。
数日おきにイチガヤ周辺で狩りを続け、マッカと食糧を備蓄しておいたおかげだった。
兄貴がきてくれる頻度は減った。
それでも時たま、甘いものを土産に持ってきてくれたり
幼い子達の下着類を調達してくれたりした。
(#・e・)「だーっ!ニワトリどころかコカトライスじゃねーか!
鳥じゃなくて龍!龍ですよーっ!」
イーが地団太を踏んでいた。
半年以上育てた結果、体色はピンクのままで頭に兜のようなものとトサカが生えていた。
そして龍族のあかしともいえる、立派な緑の尻尾までついていた。
(;・ハ・)「トサカだけは合ってたな…
今度シンジュクで業者に会ったら抗議して返金してもらうか」
(・殺・)「でも外で見るコカトライスより目つきが険しくないし、丸っこくてかわいいですよ。
今朝卵を産んでたんですが、ほら」
業者から買ったものと同じサイズの卵を持ってくる。
(・d・)「アヤメが一生懸命お世話したからだよ、きっと。
外の邪龍コカトライスと区別して、コカトリスって呼ぼう」
(・j・)「万が一やられるとまずいから、防衛用としては使えないね」
ラン ゚ -゚)「でもこれだけの大きさがあれば、子供達全員にちょっとした卵料理が作れるわね。
それに病人が出た時に卵粥が作れるわ」
ランはあれからも兄貴が遊びに来るたびに医術や民間医療というものの勉強を教わってたらしい。
( ■∀■)『俺は一流大学で色んな学科学びまくってたからな!
窮屈な旧ニホンと違って成績良けりゃ飛び級もすぐだし博士号ももらえる!ヒョウ!』
要するに兄貴はあのナリでも、とても頭がいいということなのだろう。
親父曰く、そういう頭がとびぬけていい人の事をインテリと呼ぶらしい。
ラン ゚ -゚)「それとキョウさんが、卵を産ませるなら栄養とカルシウム必須だっていうから。
骨型の悪魔の骨をいっぱい持ってきてくれました。
これを砕いてすり潰せばいいって」
(;・ハ・)「まるで鳥博士だな」
早速朝食で硬い卵を割って焼いてみた。
フライパンを何回も使ったが、全員に小さな卵焼きを振舞う事が出来た。
(・殺・)「子供達もおいしいおいしいって好評で、よかったわ」
84
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/07(日) 23:09:57 ID:wm/pKi2Y0
コカトリスはデビルチルドレンのを想像してください。(未プレイの方はググってみてね)
真Ⅰのコカトライスは厄介な特技持ちなのに低耐久、貧弱耐性のせいでかみ合わなくてかわいそうな子。
でも3Dだとやたらでっかくて威圧感マシマシ。
85
:
名無しさん
:2021/11/08(月) 00:47:14 ID:p/dCuzhA0
乙!
86
:
名無しさん
:2021/11/08(月) 16:22:00 ID:W1Zr0OZA0
乙です
87
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:44:31 ID:E1owwmEc0
幹部たちが会議室のテーブルに腰を落ち着ける。
(・ハ・)「さて、今日はお前らにいよいよ悪魔交渉を教えに行く」
(・d・)「やった!ついに!」
(・ハ・)「嬉しいか?」
(・e・)「お師匠とようやく少し並べるんだ!嬉しくないわけがねえ!」
(・ハ・)「悪魔というのは恐れすぎてもナメられるし、侮りすぎても隙を突かれる。
常にバランスを保ち、接していくのだ」
(・d・)「はい」
(・ハ・)「俺とて交渉に失敗し手痛い目を見る事はある。
俺が知る中で、悪魔を無理矢理捻じ伏せてしまう悪鬼はキョウさんくらいだ」
(・j・)「兄貴が…ですか?」
(;・ハ・)「そう…あの人は少なくとも、俺と出会ってから一度も傷ひとつ負っていない。
悪魔を瞬殺してしまうからというのもそうだが、不意打ちを受けても後ろに目がついてるようにカウンターで仕留める
まるで戦いを踊りのように楽しんでいる」
(・殺・)「お師匠のように強い人でも失敗する事はあるんですね…」
(・ハ・)「アヤメは今回は見学としておく。
その管の使い方は、今度キョウさんに教わるといい」
(・殺・)「はい」
マンティコアとホブゴブリン、兄貴の手土産のマシンを守備にまわし、シンジュクへ発った。
(・ハ・)「いいな。外の悪魔とは交渉するな。オザワのオフィスや地下の悪魔ともだ
お前らにはまだ荷が重すぎる」
シンジュク入口すぐの弱小悪魔と交渉を試してみることにする。
スカウターをセットし、近くの地霊コボルトに『TALK』コマンドを選び話しかけてみる。
「ニンゲンか?今日の俺は気分が悪いんだ!
今すぐ地獄に送ってやるぜー!」
ロッドを振り回し暴れてくる。
ドン。
一発、威嚇射撃する。
「ぐ…もう一度チャンスをやろう」
88
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:44:53 ID:E1owwmEc0
上から目線が妙にむかつくので、また銃を構える。
「わあ、今のは無し。俺が悪かった!
な、何でも致します!」
コボルトは土下座し、一方的にCOMPに入ってきた。
(;・d・)「え…?」
あっさりすぎた。
(・ハ・)「ここらの悪魔は弱く、外の悪魔に駆逐されて追われた身だからな。
かと言ってお前ら子供にいきなり話相手をさせるわけにもいかん。悪魔だからな。
ここ一年ほど狩りという名目で修行させていたのはその為だ」
(・j・)「なるほど!」
(・ハ・)「実力差がついてくると、ああやって悪魔を服従させてタダで仲魔にできるわけだ」
(・殺・)「なんかかわいそう…」
(・ハ・)「大概は実力差がありすぎると、そそくさと逃げようとする。
今のはあいつから向かってきたんだ。自業自得だ」
悪魔情報を見る。ラクカジャとスクカジャという魔法を持っている。
親父がディーのコンプを覗き込んで、アドバイスを授ける。
(・ハ・)「そうだ、まだ教えていなかったがな。
膠着した状況を打破する、または格上の敵に挑むのならカジャ系を使え。
味方全員の能力を一時的に上げてくれる。俺もよく大破壊前にそれで局面を切り抜けた。
持つ悪魔は少ないが、敵の能力を下げてしまうンダ系も揃えておくと役に立つだろう」
(・d・)「なるほど。ホブゴブリンもマカカジャを持っていましたね」
(・ハ・)「いい観察力だ。その好奇心は役に立つ。忘れるな。
ギンザというところにはホブゴブリンの大群がタルカジャマカカジャとマハラギオンの波状攻撃を仕掛けてくるぞ。
俺の連れているのは合体で作ったんだがな」
次々と悪魔を脅して仲魔にしていった。
「ひぎっ…お、オイラはそんなつもりじゃあ…
みんなを愛しています、お許しください!」
(・d・)「カジャ、ンダ系の魔法持ちが多いみたいですね」
(・ハ・)「だがそのままでは弱すぎて戦力にならんな。
下に行くぞ」
(・殺・)「あ、ここ、回復道場!」
89
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:45:15 ID:E1owwmEc0
(;・d・)「…の隣だね。こんな施設だったのか」
(■┏┓■) 「悪魔が集いし邪教の館へようこそ。久しいな」
(・ハ・)「ああ」
(■┏┓■) 「捨て子でも拾ったのか?ずいぶんと多人数で…」
(・ハ・)「まぁな。こいつらに悪魔合体を頼む」
(■┏┓■) 「まかせておけ。
おお、なかなかのバリエーションではないか。
色々な悪魔が作れるぞ」
(・殺・)「悪魔を合体して別物にしてしまうのですか?なんかかわいそう…」
(・e・)「お前そればっかりなのな」
(・ハ・)「案ずることはない。大抵の悪魔は力に貪欲で、合体で強くなるのをむしろ望んでいる。
悪魔によっては、かわいい悪魔と合体させてくれと自分から懇願してくるのもいるほどだ」」
(■┏┓■) 「さて、ためしに何かやってみるかね?」
(・ハ・)「といっても弱小同士ではたかが知れてるが」
(・d・)「精霊だ。精霊を作ってみたいです」
(■┏┓■) 「ほう、初めてにしては目の付け所がいいな。
精霊は様々な技能を持ち、精霊以外と合体させるとより強い同種族にランクアップもできる。
ランクダウンもしてしまう場合もあるがな…」
(■┏┓■) 「では、合体させるぞ」
次々とデータを送り、堕天使のガミジンとアンドラス、ジャックブラザーズが液体に溶けていく。
そして魔法陣からは…
「私たちは精霊フレイミーズとエアロス。今後ともよろしく」
(・d・)つ「こちらこそよろしく」
精霊二体の希薄な手を両手で取り、握手を交わす。
「ニンゲンは救われねえんだよ…お前もそう思うだろ?」
(・d・)「ああ…救われないな」
「だから、俺が救ってやるって」
笑顔で堕天使アンドラスが仲魔になった。
90
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:45:35 ID:E1owwmEc0
(・ハ・)「悪魔の機嫌がよければこんな時もある。
爺さん系悪魔は酒を持っていると交渉が捗るぞ」
合体に早速ハマり、次々と悪魔を仲魔にしていく。
ジャックは己の腕を信じるようで、脆弱でも補助魔法を多く持つ仲魔を作る。
イーはひたすら力が強そうな悪魔を作る。
アヤメは…
(;・殺・)「むううううう…!」
兄貴の師事も待たず、管による吸引を試していた。
マグネタイトに引き寄せられ、スポッと、コボルトが吸い込まれていった。
「オレの力に惚れ込んだってワケか…
かわいいくせに見る目あるじゃねえかよ。
よっしゃ!腹ぁくくって仲魔になってやるぜ!」
(;・ハ・)「おお。それが正しい使い方なのかわからないが、すごいな」
続いて近くのインプも吸い込む。
「そんなに強くスッたら、アタマがのびちゃうじゃないか!」
(;・殺・)「ごめんね。次からは加減するから」
各々が集めた悪魔を合体させる。
「わたしは悪霊 シェイド 今後ともよろしく…」
(■┏┓■) 「いきなりダーク悪魔とは渋いのう。
合体法則がD2アプリとは違うから気を付けるんじゃぞ」
(;・e・)「悪霊かよ…趣味悪くね?」
(・j・)「でもシバブーやら便利な魔法を持っているよ」
ディーは手頃な妖精と堕天使で天使エンジェルを光臨させた。
サラサラヘアーと簡素な服、清楚な顔、まさに天使。
(・殺・)「綺麗!ねぇ、エンジェルさん私がもらってもいい?」
(・d・)「構わないよ(君の方が綺麗だよ、アヤメ)」
後で帰ったら告白しよう。
はしゃぐアヤメ。かわいい。
ドリアード「悪魔でも、アイしてくれる?」
(・d・)「ああ」
91
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:46:20 ID:E1owwmEc0
女悪魔もアヤメに譲った。
幹部が男所帯のエンブリオンでは、いい友達になれるかもしれない。
(・d・)「そうだ、精霊合体も試してみよう」
みんなの下級悪魔と照らし合わせて、邪教の主にデータを見せてもらう。
悪魔の種族との組み合わせによって、ランクが上下するようだ。
(・e・)「すげえ!筋肉がかっこいいぜ!」
ジャックが拠点の改築に使えそうで作ったブラウニーと精霊の組み合わせを見る。
ヘラクレスと相談し、あえてリンゴ園を抱え持つことになった誇り高き大巨人アトラス。
(;・e・)「こっちはD2で見た通り、全身武器って感じですげえ!
アイアンフィストって特技使われたらどんな悪魔も砕けそうだぜ!」
胸部に豹の頭、人間でいう頭頂部には剣を刺し拳に棘を生やした地獄の豹公フラロウス。
(・j・)「タルカジャが使えて攻撃力も高い…鬼に金棒ってやつですかね?師匠」
風神ヴァーユの子であり、ヴィシュヌ神の化身の英雄ラーマと共に戦った妖魔ハヌマーン。
(・殺・)「エンジェルさんとはまた違う感じだけど、かわいくて強そう!」
全身金で尻尾をはためかせ、緑の鬣と羽根を戴く智天使ケルプ。
(・殺・)「それにほら、兄貴の持っている悪魔に似てるわ!」
ランダム三身合体では、褐色でいかにも強そうな、いや強そうという次元を越えた鬼女が現れる。
(・d・)「これみんな、合体させてください!」
(;■┏┓■) 「残念じゃが、お主らの今の力量では手に負えんよ」
(;・ハ・)「いずれもその種族の最上級悪魔だろうな。
俺ですら仲魔にするのはまだまだ無理なのだ
無理に従えても、反逆されて殺されるのがオチだろう」
(・ハ・)「それと今のうち伝えておくとな、人間と悪魔の合体もできるのだ。
だが絶対に自分で体で試そうとするな。
ガイア教徒とっこうたいなんかは、よくやろうとするな。
合体して人間と悪魔の合わさったものができることは、できる」
(;・d・)「何か裏がありそうですね」
(・ハ・)「そう、人間は肉体も精神も悪魔より遥かに脆弱だ。
合体しても、人間側の精神が破壊されるか悪魔側に吸収されてしまうのがオチだ。
悪魔の意識を掌握できたとしても、その確率は千か万分の一だろう。
ゆめゆめ、自分がその特別な人間などと思うな。
驕るな」
92
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:51:07 ID:E1owwmEc0
吉祥寺でたまたま見つけたランダム三身合体で、まだ見ぬ高レベル悪魔を見て興奮するのは真Ⅰプレイヤーの通る道。
最下級悪魔をランクダウンさせてオーバーフローで最上級悪魔の合体結果を見て驚愕するのも、きっと通る道。
なお、ショボン達のセーブデータを使って実際にシンジュク入口で色々作ってみました。
93
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/08(月) 23:56:30 ID:E1owwmEc0
なお、真Ⅲでバフォメット、魔神Ⅱでアスモデウスを合体結果で見て興奮したクチでもあります。
メガテニストの方の中には好かない人もいると思いますが、某異聞録ではいきなりLV88の大物が出てきたりしましたね。
真Ⅴにも序盤から結果で魅せてくれる高レベル見掛け倒し悪魔がいるのを楽しみにしています。
switch届きました。ヒョウッ!
94
:
名無しさん
:2021/11/09(火) 01:10:49 ID:8pB55H520
乙!
95
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:48:55 ID:jCgkNQ4I0
帰り際、ストーンカに先頭を任せながら親父が話す。
(・ハ・)「焦る事はない。徐々に力をつけて、強い悪魔を手にしていけばいい。
それと、交渉の際にはマッカとマグネタイトを忘れるな」
(・d・)「散々狩りをした後に、気のように出てきてCOMPにたまるアレですか?」
(・ハ・)「そうだ。悪魔はこの世界にいる時は生体マグネタイトがないと肉体を維持できん。
超高位悪魔や実体のない悪霊は別のようだが」
(・ハ・)「実力差がそんなにない悪魔は、脅しや威嚇で従いはしない。
仲魔になる見返りとしてそれらを要求する事が多い。
やりすぎるな。マッカは悪魔召喚に必須の報酬にもなる。
マグネタイトも仲魔を連れ歩いて行動するのに必要なものだ。」
親父が腕をやると、マグネタイトが少量ずつ減っていくのがCOMPの表示でわかる。
(・ハ・)「そして宝石なんぞ求められたら断り、相手が怒ったら諦めるふりをして引き留めさせろ。
宝石はこの時代では貴重な財源だ。マニアに売ればマッカになる」
(・d・)「わかりました。ゆめゆめ渡しはしません」
戻り夜になり、アヤメの自室。
(・殺・)「ねえディー。お師匠から何か悪いお話を聞いてない?」
(・d・)「どうしたんだい、いきなり?」
(;・殺・)「昔からよく変な夢を見るの。特に最近は。誰かが死んでしまう夢」
(・d・)「ぞっとしないな」
(;・殺・)「エンブリオンは大丈夫よね?崩壊したりしないよね?」
(・d・)「君の予知夢がどうだかは分からないが、俺はみんなの事を守る。
アヤメの事も、これまでも、これからも」
(^殺^)「ありがとう」
(・d・)「正直に言うよ。アヤメは天使エンジェルより美しい。約束通り、いずれ結婚しよう」
幽鬼おしちを狩って出たアメジスト─安らぎ、平穏の石をこっそり手渡す。
(・殺・)「大好きよ、ディー」
(・d・)「俺もだ」
アヤメの胸により深く顔を押し付け、抱き合った。
96
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:49:17 ID:jCgkNQ4I0
冬のある日の事だった。
貯蓄は十分だが、数日ぶりに狩りと悪魔集めに赴いた時だった。
昼間にランから切羽詰まった叫び声がした。
(;・j・)「ラン!ランが危ない!」
(・d・)「待て!一人で駆けだすな!」
五人は息継ぎをしつつ急いでシンジュクを出る。
拠点は惨劇にと絶望に飲み込まれようとしていた。
十体以上もの邪鬼ウェンディゴの群れ。
飛び散っている肉片と子供達の死体。
恐らく、昼間のうちに子供達を遊ばせていたうちに襲撃されたのだろう。
鬼類は人の匂いや血を特に好むという。
寒い寒い冬には、氷結魔ウェンディゴの恰好の暴れ舞台だった。
(;・く・)「えいっ!えいっ!」
ホブゴブリンが巨体で数人子供達を庇いつつ、マハラギオンで確実に邪鬼に致命傷を与えていく。
しかし魔力が切れればそれでチェックメイトだ。
マンティコアは体中に凍傷を負いつつ、必死に一体一体を噛み砕き、刺していく。
(#・j・)「ランぅぅぅぅぅぁ!」
ジャックが補助魔法の得意なアーシーズを召喚して各種カジャをかけさせる。
(・e・)「アクアンズ!全部吸収してやれ!」
水の精霊を召喚するが、持つのは電撃を跳ね返す特性だった。
仕方なく電撃と回復魔法による補助をまかせる。
(・殺・)「エンジェル!ドリアード!」
回復が得意で耐性に優れた二体を呼び、ひたすら怪我人や仲魔の回復を任せる。
(;・ハ・)「畜生が!」
親父はひたすら機銃を撃ち、弾が尽きれば七聖剣で斬りにまわる。
しかし一番の頼り手のマンティコアは身をかばうので精一杯。
鍛え抜かれた腕と膂力で数体の中に潜り込んで切り捨てる。
だが後続の群れがやってきてブフーラを浴びせかかる。
(・d・)「親父ですら駄目なのか…兄貴もいない…もう駄目か…?」
97
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:49:43 ID:jCgkNQ4I0
「諦めるな!」
威厳のある声が聞こえる。
(・南・)「南部隊、彼らを援護するぞ!」
「了解!」
緑の軍服を着た厳つい男が指示を出す。
軍用トラックから出てきた部下達が一斉掃射で鬼達を薙ぎ倒す。
指揮を取る男の腕前もすさまじかった。
アサルトライフル一発一発でヘッドショットを決める。
強すぎる増援に逃げ出すウェンディゴ達。
(メ・ハ・)「一匹たりとも畜生どもを逃がすな!」
(・<_,・メ)「わぁっとるわい!」
砦入り口を飛び越え、残党に無数の麻痺針を撃ち込む。
(・く・メ)「よくもおおおおおお!!」
謎の男達の奇襲の隙にマカカジャをかけ終えたホブゴブリンが、麻痺した一団をマハラギオンで溶かす。
(・<_,・メ)「ワシを巻き込むんじゃないわい!危ないのう」
獣特有の俊敏さでとっさに巻き添えを避ける。
(・南・)「君達のような民間人が、いったいどうしてこんなところに居を構えて?」
ディー達はいきさつを説明した。
(・南・)「そうだったのか。子供達を育てつつ悪魔に戦いを挑むとは…
いや、大したものだ。その若さで。
しかし女の子連れで悪魔退治とは、あまり賛成できないな。
危なすぎる」
(・ハ・)「これは我々の問題だ。加勢はありがたいが口を出さないでもらいたい。
それにあなたは何者だ?」
(・南・)「ああ、これは失礼。名乗るのが先だったな。
私は南一等陸佐、自衛隊悪魔討伐部隊の任務にあたっている身だ」
98
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/09(火) 23:50:34 ID:jCgkNQ4I0
(・ハ・)「この時代に自衛隊が残っていたというのか!?」
(・南・)「一応大破壊からの生きのこりがいる。
リーダーらしき方よ、きっと私の言い様に気分を害されたと思う。
しかし、子供が悪魔を倒すなどという事は
到底簡単にできるものではない。
我々の部隊の規模ではとても追いつかないであろう。
残念な事だが、シェルターに引きこもった上層部はそれが分かっていないのだ・・・」
ため息をつく南。
(・南・)「だが、果たせぬと分かっていてもやらねばならぬ。
それが、ニホンを守る我々の使命だからだ。
…うむ、何も言うな。君達にも色々理由があるらしいからな。
止めはしない。だが。決して命は無駄にするな。
いいか、必ず、生きて会おう。
いざとなれば少し北の、ゾウチョウテンの社に身を隠すといい」
南部隊はいくつかのレーションやカンパンを残し、去っていった。
(・殺・)「こんな時代にお師匠や兄貴以外にもこんな立派な人がいるなんて…」
(;e;)「「ちくしょう!ちくしょう!俺にもっと力があれば!」
飛び散る肉片の前で地団太を踏んで泣き叫ぶイー。
(・e・)「…そうだ、それだ」
(・j・)「イー、君も生きのこった怪我人の手当を…」
(・e・)「俺は行くぜ。邪教の館に」
(・ハ・)「この非常時に、何のためにだ」
(・e・)「へへへ、力を得るんだよ。俺がありったけの悪魔と合体する。
今の俺の仲魔どもじゃ役に立たないようだからな」
ディーの鉄拳が飛ぶ。
(・e・)「ぐはっ…何すんだよ!」
(#・d・)つ「馬鹿野郎!今まで何のために、三年間歯ァ食いしばってやってきたんだ!
みんなで生き残っていくためだろう!
親父の忠告を忘れたか!」
(;e;)「ちくしょう!ちく…ぢょう!」
(-ハ-)(…本当は俺の役目なんだが、すまんな。ディー)
99
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:12:10 ID:QUsKNLBE0
ラン ;゚ -゚)「幸いというべきか、身体欠損した子は皆死んでるわ…
私は出血がひどい人に輸血をしてみます、兄さん。
でも血液型を測定する機械も薬剤もないからわからないの。
だからいちはばちかになるわ」
(;・j・)「ああ、頼むぞ」
(・ハ・)「死んでしまった奴らは火葬にするしかないな。
悪霊や幽鬼などの恰好の憑代になるからな…」
(・殺・)「死体、私が貰ってもいいですか?」
(;・e・)「何考えてんだ!イカれてんぜ!
やっぱりこの女、頭がおかしいな」
(・d・)「イー!気が立つのはわかるが言いすぎだ!
アヤメ、どうする気なんだ?」
(・殺・)「邪教の館よ。
何もしないより、いいじゃない」
(・ハ・)「何か考えがあってのことだろう。
俺も行く。マンティコアとホブは回復し次第、警護に当たってくれ。
イーは仲魔を出したまま見張り番。ジャックはランのそばにいてやれ」
(・j・)「了解です」
腕に半透明の管が刺し込まれた、シガツという少女が運ばれていく。
ジャックはランと一緒に担架を運ぶ。
ストーンカにリヤカーいっぱいの肉片を運んでもらい、三人で発つ。
血の匂いにつられてやってきた凶鳥を険しい目と銃口を向けて親父が追い払う。
(■┏┓■) 「邪教の館へようこ…ここは死体安置所でもないのだが?」
(・殺・)「街の中でも同じ反応をされたわ。ここでは子供の死体なんて見慣れてるでしょうに
おじさま、悪魔と人間の合体自体はできるんですよね?」
(■┏┓■) 「ああ。できるが」
(・殺・)「これらは今日悪魔に襲われて死んだ私達の仲間です。
無念が消えないうちに…」
(■┏┓■) 「悪魔と死体の合体か。
興味はそそられるが、ちゃんと悪魔ができるかの保障はできんぞ」
(・殺・)「構いません。お願いします」
「わたしは悪霊レムルース。今後ともよろしく…」
100
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:12:54 ID:QUsKNLBE0
人の頭に細い手足がついた、もじゃもじゃの悪魔が仲魔になる。
(■┏┓■) 「ほう。アンデッド系とは相性抜群のようじゃな。
たまたまかもしれんが」
(・殺・)「今後とも、よろしくね。
おじさま、無理をありがとうございました」
深く礼をする。
(■┏┓■) 「いや、構わんよ。
酔狂で貴重なデータが取れた」
(・ハ・)「相変わらず邪教の親父っていうのは悪趣味だな。まったく」
ディーは真意を測りかねていた。
エンブリオンの仲間。
苦痛を経由して死んでいった仲間を悪魔合体に使うなんて!
(;・d・)「おい、どこに行くんだ。
そこは親父に行くなと言われていた─」
メシア教会横、地下街の更に地下への扉。
シンジュクの中でも特に、オザワオフィス以上に禁じられた地。
(・ハ・)「俺同伴ならなんとかなるだろう。
奥にはオザワの信頼する仲魔が番を張っているが、手前までなら大丈夫だろう。
何をしようとしているんだ?」
地下には外ほどではないが、シンジュク入り口よりは強い悪魔がぞろぞろといた。
親父の威嚇で怯まぬ者は容赦なく倒した。
否応なしに、ディーも親父も仲間の死のはけ口が欲しかったのかもしれない。
そのうち、悪霊レムルースの群体が現れた。
(・ハ・)「悪霊、ゾンビには話など通用せん。倒すぞ」
親父が対幽鬼悪霊用に聖水をかけた七星剣を握る。
(・殺・)「お師匠、待ってください」
管からレムルースを出す。
そして敵がざわめき始める。
一斉に涙を流し、仲魔のレムルースと握手をしたりする。
そしてやがて、紙のこすれたような声で
「仲間ヲ タノム」
と言い残し、少なくないマッカを手渡して崩れ落ち蒸発した。
101
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:13:30 ID:QUsKNLBE0
(・ハ・)「信じられん…悪霊なんぞとコミュニケーションを取れるなど…」
(・殺・)「何故かわからないけど、この地下にも無念で成仏しきれない霊がいっぱいいるのがわかります。
オザワがどんな非道な事をしているのか知らないけど、悪魔に守られている奥には相当数の死体があるはず」
(・d・)「アヤメ…?」
(・殺・)「『悪』霊」なんて言われているけど、生前のそれに惨い事をして悪霊にした者こそ真の悪だわ。
霊的存在という意味では、自然から生まれた精霊と肉体的にはそう変わらないもの」
翌日。
夜明けまで付き添っていたランが泣き出し、アヤメが静かに泣いた。
シガツの脈が止まったのだ。
ラン; -;)「ああ!輸血なんかしない方がよかったのかもしれない!
きっと、血液が違ったんだ!」
(・j・)「ラン…」
親父は泣きじゃくるランの肩に手をかける。
(・ハ・)「お前はよくやってくれた。誰もお前を責めはしない。
むしろ最善を尽くしてくれてちょっとでも長く生きられたんだ。
シガツもきっと喜んでいるだろうよ」
ラン ; -;)「お師匠っ…先生!?」
( ■-■)つ「慰問金だ。ひとまずこれで足りるか」
兄貴がいつの間にか医療室内にいた。
珍しく笑顔ではなく、マッカの札束を親父に押し付ける。
(・ハ・)「カネの問題ではない!強すぎるアナタにはわからないのか!?」
( ■-■)「なんだと…」
親父がカッとなって殴りかかる。
その拳をわざと紙一重でかわし、腕が折れそうなほど締め上げる。
(;・ハ・)「うぐぐぐぐ…!」
( ■∀■)「俺に当たるなよ。金はいくらあっても損はねぇ。
それよか、これ以上犠牲を抑える為に最善を尽くすことだ。
お前もわかってたはずだよな。ガキが増えすぎると、その肉を狙うクズ悪魔だって寄ってくるって」
(;・ハ・)「う…」
102
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:13:50 ID:QUsKNLBE0
( ■∀■)「ハリボテでも砦を作っておかなかったら、もっと被害は増えてたはずだぜ。
ジャック、死傷者何人だ」
(・j・)「死者9人です。傷だけ負った者はいません」
( ■∀■)「この先、もっと助けを求めるガキの声が増えるはずだ。
全員拾って守るつもりなら、もっと防護策やできる事を考えな。
お前が自棄でどうすんだ。おっぱいの嬢ちゃんなんかもう動き出してるぜ」
アヤメはディーと一緒に、シガツの死体を運び出していた。
(;・ハ・)「何を…」
(・殺・)「お師匠。ストーンカを貸してください」
力なくCOMPをいじり、アヤメに付き従わせる。
マンティコアもついてきた。
(・<_,・。)「美味そうな肉じゃのう。…冗談じゃ」
リヤカーを獣達に引かせ、南のシブヤに向かう。
(#・e・)「うでに覚えのあるヤツァでてきやがれー!」
森から離れた場所で、イーがボロボロになりながら悪魔との戦いをしていた。
「い…遺体ご供養の依頼で?」
顔を引きつらせるメシア教徒を無視し、邪教の館に向かった。
(■┏┓■) 「シンジュクのから話は聞いておるぞ。死体合体マニアがおるとな」
話は早い。アヤメはシガツに手を合わせ、合体素材用のシリンダーに入れた。
( ■∀■)「ククク、俺に向かって『邪魔をするな』が第一声だった生意気野郎が今やガキを率いる大将ねぇ」
ソファのカウチに腰かけて葉巻を吸う。
(・ハ・)「…歳は俺のほうが上じゃないですか」
( ■∀■)「お前と同じ名前だったから、あそこまで気にかけてんのか?
命なんて毎日毎秒生まれては死んでいく。この世の中では特にな。
わざわざガキなんて一から育てて熱心なこった。
俺にはまるで、何かの贖罪でもしてるかのように思えるぜ。
なぁ、『ディー』さんよ」
103
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:15:00 ID:QUsKNLBE0
ある日、ジャックに留守を任せてシンジュクに買い出しに行った時だった。
親父はあの日から「全て俺の責任だ」が口癖になり、眠る間もなく機械整備をしていた。
兄貴の知り合いだという科学者を派遣してもらい、大規模な改造をしたりもしている。
(□月□)「この私、D.rバクタにできない事があるという科学的根拠はないのだぁ!」
(-□〇□-)「ヘイ!メシア教徒狩りのボランティアでーす」
悪名高いガイア教徒の狂犬、しょけいライダーの一団だ。
バイクで脅しをかけ、金品、更には命まで強奪するチンピラ。
(・d・)「俺達がメシア教徒でないことは、恰好でわかるはずだが」
(-□〇□-)「どうかな?ガキにしてはいいもんぶらさげてんじゃねーか。
あのおっさんも最近見ないし。ここらで灸をすえておこうと思ってよ」
(・d・)「お灸だと?俺達が何をした」
(-□〇□-)「へへへ。弱いくせにハンドベルトコンピュータなんて持ってよう。
ちょっと見せてくれよ。ついでにシマ荒らしの迷惑料として…」
(・d・)(なんてくだらない!悪魔には手も足も出ないくせに)
(・殺・)「テンタラフー」
アヤメが詠唱すると、うねった不可視の波がライダー達を襲った。
(-□〇□-)「あひゃひゃはひゃ!」
(;-□〇□-)「お前ら、どうしたんだ!?」
(・殺・)「次はマハザンマで精神ではなく身体を壊しますよ。本気です」
(-□〇□-)「目がイッてるメスガキだぜ!逃げるぞ!」
リーダーらしき男は仲間を引っ張ってバイクで逃げて行った。
(・e・)「やりい!置いてったバイクは換金しようぜ」
(・殺・)「移動手段として使うのもいいかもね。一旦持って帰ってお師匠に相談しましょう」
拠点に戻ってきた。
(・d・)「親父。なぜなんでしょうね」
(・ハ・)「何故、とは?」
(・d・)「悪霊ですら同族を思いやりました。でも人間同士は殺しあって足を引っ張ってばかり」
104
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 00:15:32 ID:QUsKNLBE0
今日は真Ⅴ発売日だヒャッハー!
イズンちゃんイズンちゃん!
105
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 22:02:22 ID:QUsKNLBE0
4年目。
ある一団がイチガヤ方面を、トラックを飛ばし悪魔から逃げていた。
(・五・)「もっとスピード上げて!ボクがやる!」
男勝りな女の子が、運転手の男を押しのけてハンドルを握る。
「馬鹿言ってんじゃねえ!しょけいライダーどもに奪われてガソリンもろくにねえんだぞ!」
(-□〇□-)「ヒャッハー!ついでに命もいただこうかぁ!」
悪魔に便乗し、しょけいライダー達もジャッカルのように狐を追う。
(・五・)つ「追い込まれた狐は、ジャッカルより狂暴だよ!
何の動物か知らないけどね!」
少女が助手席から貧相なマシンガンを撃つ。
まともに頭に喰らい、ロクデナシが一人転倒する。
(-□〇□-)「てめぇー!」
怒り心頭のライダーリーダーが、ドラゴンATMを投げつける。
爆発で窓が割れ、後部座席に乗っていた狙撃手が燃える。
(・五・)「テメェはこっちが言いたいよ!ガソリンに引火したらどうすんだ!」
黒いタンクトップ一丁の少女は応戦し、次に投げられてくる投擲物を撃ち狙う。
手ごと爆発し、ライダーのうち一人が喚きながら転倒する。
途端、獰猛な魔獣のうち一体の標的がそれに変わる。
断末魔をあげながら食われていく。
(・五・)「追いつかれたら次の獲物はボクらだよ!どこか街に逃げ込んで…」
「シンジュクは既に支配者がいるって話だぜ!受け入れてくれるわけがねえ!」
(;・鼠・)「追いつかれちゃうっすー!」
後部座席の前方に転がっていた、出っ歯の男が悲鳴を上げる。
(-□〇□-)つ「オラァ!」
鉄パイプ銃が撃たれ!後部のタイヤがパンクする。
「やったらぁー!」
元運転手が拳銃を持ち特攻するが、あえなく悪魔の群れに踏みつぶされる。
(;五;)「ボクは最期まで戦う!こんな奴ら相手に…」
「悪党、成敗ッ」
106
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 22:02:46 ID:QUsKNLBE0
(・五・)「え?」
トラックを取り囲んでいたライダーと悪魔達が、ニヤけながら三体の戦車に轢き潰される。
三体が一斉掃射で上空の妖鳥、凶鳥を片づける。
銀のT95CPが二体と、T95Dが一体だ。
確か奴らは警視庁がかつて作り、大破壊によるショックで手に負えなくなり暴走し
地上で悪魔人間問わず攻撃を仕掛けてくる虐殺マシンのはずだ。
(・d・)「地上型の数が多いな」
(・e・)「合体だ!」
(・j・)「単調すぎますよ!」
(・d・)「いや、一気にカタをつけた方がいい。人が狙われてる」
人型のマシンT93Gが戦車の一体の中から躍り出る。
三体の戦車が可変し、銀のマシンが腕のような変形をする。
緑のマシンは脚のようになり、T93Gを中心に結合していく。
(・d・)「チェンジ!オオツキィー!ワンッ!」
人型ロボを頭部とし、全長3メートルはありそうな巨大ロボットが砂煙と共に立ち上がる。
一蹴りでアツユを一体飛ばし潰す。
両腕の前腕にあたる部分から出てきた機銃が、邪龍ワームどもを蜂の巣にする。
(;・五・)「す、すごい…」
出っ歯の少年と共に、トラックの中に戻り震えあがる。
ミキサーの歯のような掌が、タムズを握り潰し投げ捨てる。
(・d・)「プラズマァッシャー!」
掌の奥から、破魔矢を原動力とした光線を放つ。
いやしきグールどもを蒸発させる。
ブッカブーの群れがブフーラの連発で脚を凍らせる。
(#・e・)「うざってぇ!」
片腕から出てきたイーが、マハラギストーンをありったけ投げつけて黙らせる。
(・d・)「来るぞ!」
邪龍ワームが互いを喰らい始め、やがて無数の触手を持つ怪物になった。
さながら龍王ヤマタノオロチの出来損ないのようだ。
(・五・)「うげぇ!なんだあれ…」
107
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 22:11:16 ID:QUsKNLBE0
鉄の拳でしょけいライダーどもの残党を握り潰していたロボに触手が迫る。
絡め取られ、押し倒され衝撃が来る。
(;・j・)(;・e・)「うわあっ!」
(-□〇□-)『マたてめぇらか!邪魔ばっかりしヤがって!
ハラ決めたゼ、決着つけてヤる!ナメられたままじゃなア!』
以前見逃したしょけいライダーチームのリーダーだろう。
ワーム群に自ら喰われ、意識を融合させている。
(・d・)「オォープンゲットォ!」
ディーがボタンを押し、緊急回避を作動させる。
マシン達は分離し、触手を無理矢理千切り飛ばす。
『いでえいでえいでえいでいでいでおおおおお』
(・d・)「手数はあっちの方が上だ!
パワーで一気に押しつぶせ!」
(・e・)「了解!
オオツキ、チェンジ、スリー!」
マシンが再び集結する。
今度は銀のマシンがキャタピラの両足になり、緑の太い腕が現れる。
「ムド!」
フリアイの一羽がねばつく梵字を当てる。
(・e・)「マシンに呪いなんざ効く科学的根拠はないのだぁ!」
フリアイをリーチ差で殴り潰す。
キャタピラの推進力で一気に突進し、ワーム融合体の顔にナックルを入れる。
(;・e・)「でぉやあああああああああああああ!」
『いでえいでえお前らオマエハにクダ…喰ってやる喰ってやる喰ってやるるるるる』
しょけいリーダーは哀れにも自我を侵食され、自己崩壊し始めているようだ。
手あたり次第に機体の隙間から触手を侵入しようとしてくる。
ジャックの悲鳴が上がる。
(#・e・)「ハンマーァ!パンチ!」
両腕を固め、渾身の降り下ろしを喰らわせる。
触手の顫動が徐々に止まり、うめき声と共に巨大な炎が上がり灰ができあがり始める。
(;・五・)「た…助かった…?」
108
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/11(木) 23:17:05 ID:QUsKNLBE0
しばらく更新が遅れるかもしれません。
真Ⅴ、フィールドの荒れっぷりがすごくて魅了のバステ入りました。
真Ⅰの大破壊後を3Dにしたら、こんな感じだろうなと。
https://www.youtube.com/watch?v=v08Qfrj07jA
今回の戦闘はこれを1.25倍にでもして聞いてください。
耐性に優れたマシンが電撃以外でやられる科学的根拠はないのだ!
109
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:32:46 ID:H6GnHuAs0
三年目も終わり、四年目の始め、旧ニホンでいう正月を迎えた頃だった。
仲間達を喪った哀しみも徐々に癒え、エンブリオンは冬前に更に大所帯になり50人を越していた。
親父の提案で、希少度の高いもち米を買いそれを蒸して餅というものを作っていた。
これを固め、鍋に入れて色々なものと混ぜたものを「雑煮」といい、年始めにはこれを食べるのが昔の習慣だったらしい。
何故わざわざ柔らかく仕上がった餅を硬くしてしまうのか、ディーにはいまいち意味がわからなかったが。
年の終わりは、ディーとアヤメは自室で抱き合い、吸い付いた。
( ■∀■)「ヒョウッ!あけましておめでとさん!」
兄貴が、紙の小さな袋にマッカ札を入れたものをエンブリオンメンバー全員分作って持ってきた。
(・ハ・)「俺の分もですか…年上なんだけどなぁ」
( ■∀■)「お前も三が日くらい休めよぉ。爆田のジジイもヤサ帰ってゆっくりしてるぜ」
(・<_,・。)「ワシらも休んでいいのかのぉ。いつもいつも防衛と運搬で疲れるわい」
(・く・)「マシンも休ませてやらないとな!」
(・ハ・)「キョウさんには本当に感謝しています。ドクターを紹介してくれたおかげで…」
( ■∀■)「堅苦しいのはいい。ヤれよ」
兄貴は大袋の中からどっさりと、剣になりそうにない木の板とカイトを取り出した。
ハゴイタという板で玉を打ち合い勝負し、凧と言われるカイトを糸で引っ張っり、うまく風に浮かせて遊ぶのだそうだ。
兄貴の周りに子供達が群がり、遊び方を教わると夢中になってやり始めた。
(・ハ・)「…俺も久々に、やるか」
兄貴に誘われ、親父もやり始めた。
ディー達も。
( ■∀■)「そういや嬢ちゃん、悪霊を降ろししまったんだって?
それで正気を保ってるってなかなかだな!ヒョウッ
おっと、俺はこれでも土をついた事はねぇ!」
(;・ハ・)「テニスじゃないんですよ!」
隕石の如き勢いの玉を撃ち出して勝負を終わらせる。
(・殺・)「ええ。悪霊ファントムです」
管から、美しい緑色の歪んだ顔の霊が顔を出す。
だが苦痛に歪んだ顔ではない。
「アヤメ イッショニ イル タノシイ。 チカラ カス」
110
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:33:07 ID:H6GnHuAs0
( ■∀■)「ほう。ここまで忠誠度…いやその言葉は嫌いだ、懐かせるとはねぇ。
歴代ライドウのお付きのクソ猫の座右の銘は『仲魔と仲間をはき違えるな』で、
仲魔を道具として割り切るのを推奨してたようだが。
それじゃあオザワの腐った糞や、悪魔を使い捨ての爆弾扱いしたっていう初代葛葉狂死と変わりねぇ。
召喚にマッカやマグを払うし合体にも使う契約上の関係とはいえ、
仲魔は粗末にしたくねぇもんだな。
もっとも、初代狂死の我武者羅すぎる狂った生きざまはソンケーしてるんだがな」
(;・e・)「そうだ、アヤメ姉。改めてごめん。
姉ぇの気持ちも知らず、『頭のおかしい女』なんて…」
(・殺・)「もういいのよ。一月に一度土下座に来られてもこっちが困っちゃうわ」
アヤメは苦笑する。
(・殺・)「それにやっぱり、死体とはいえ仲間を悪魔合体素材に使うなんて…」
(・j・)「それはある意味において、とても有効的な手段だ」
子供達が新鮮な遊びに興じているなか、幹部たちは次々と集まってきた。
(・d・)「どういう意味だ、それは」
(・j・)「死体を火葬して灰にして肥料にするというのも、『燃やす』というリソースが発生する。
土葬というのも悪霊の類が憑依しないように聖水をかける手間と費用、
新鮮な血と死体の臭いに敏感な種の悪魔に拠点を嗅ぎつけられる可能性がある。
死体という『痕跡』を丸々残さず、戦力も強化できるなら一石二鳥…」
(#・e・)つ「ジャックてめえ、アヤメ姉の気持ちを…」
イーが詰め寄って胸倉を掴む前に、ジャックナイフを素早く出して牽制した。
(・j・)つ「こんな事は言いたくない。だがエンブリオンの存続の為だ。わかってくれ」
最初のウェンディゴ襲撃以降、たびたび住処を追われた悪魔の襲撃があった。
少数の死者を出しつつ、それらを切り抜けてきたジャックの目つきは冷徹なものに変わりつつあった。
更に兄貴に精力的に勉強や効率のいい組織運営方を学び、もはやエンブリオンの参謀(ビショップ)になりつつある。
( ■∀■)「瓦割り〜」
兄貴が二人の頭をチョップで軽くはたいた。
( ■∀■)「三が日くらいは暗い話はなしにしようや。
頭切り替えて考えねぇと、ぶっ壊れちまうぞ」
(・ハ・)「あの手法はアヤメが自分で決めた事だ。それを俺は止めはしなかった。
つまりリーダー公認ということだ。
ガキどもの死に意味を持たせるためにも、そういう弔いもアリだとは思う」
111
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:33:28 ID:H6GnHuAs0
(・ハ・)「そういえばドクターは?こんな時だからこそ礼はしたいのですが…」
( ■∀■)「一斉に餅を食うって聞いて、『餅が詰まらない科学的根拠はないのだ!』って元警視庁のラボにこもりっぱよ。
ちゃんと研究費は余分に渡してあるから気を遣うなよっ」
三が日が過ぎた後。
子供達は自室や寝室で休ませておいた。
(・ハ・)「さて、これで無事に四年目を迎えた事になる」
(・d・)「はい!新年もよろしくお願いします」
(・ハ・)「さて、お前らへのお年玉がある」
(・月・)つ「そんな科学的根拠はないがな」
バクタ博士が、豪快に大きな布を取り払う。
(・j・)「これは…」
(・e・)「防衛用のマシンじゃねえか。これがなんなんだよ爺さん?」
(・ハ・)「爺さんはやめろ。偉大なる恩人だ。
お前らにはこの三機に乗って戦ってもらう」
(;・j・)「ば…馬鹿な!
確かに生身で戦うよりは安全ですが、もし故障や最悪爆発があったら…」
(・月・)「そんなアクシデントがないという科学的根拠は」
(・d・)「ないって言うんでしょ。ドクター」
(・月・)「話の腰を折るなぁぁ!
いいか、これはただのマシンではない。
男のロマン、合体ができるのだ!」
(・d・)「合体?邪教の館にでも行くのですか?」
(・ハ・)「ドクター、彼らに言ってもわかりませんよ。
何せこの時代には、モデルとなった漫画やアニメがないんですから。
メシア教徒の説法放送や広告なら腐るほどありますがね」
(・月・)「よろしい。ではオートパイロットで見せよう」
博士がリモコンを押すと、倉庫から鉄塊が三つ出て行った。
そして外に出ると、形状を徐々に変形させ人型になる。
足元には元マシンのタイヤがローラーブレードのように付いている。
112
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:33:48 ID:H6GnHuAs0
「すげー!なんだあれ!」
「ピカピカのでかい悪魔ー!」
主に男の子達が防空壕から頭を出し、顔を輝かせている。
ラン ゚ -゚)「今は外に出ちゃだめよー!」
二階の医療室から、ランが子供達に呼びかける。
(・ハ・)「こんな時代でも、男は変形物や変身物への憧れがあるのか。
何か遺伝子に刻み込まれてるのかもな…フッ」
巨大な人型ロボが、半膝立ちで立っている。
(・月・)「これは私が大破壊前に思い浮かべていた、マシンの限界を越えた究極形態だ。
生半可な悪魔なら踏みつぶせるし殴り殺せる」
https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/shinmegamitenseiif/attach/263/885/0274.gif
(・d・)「しかし人型にしては、頭部がないようですが…」
(・月・)「ああ、これは合体機構なしで当時想定していたものだ。
私の肉体を頭部、中核とし直接制御する。
だが流石にそれでは人間部分を狙い撃ちされて終わるわな」
(;・j・)「欠陥品じゃないですか!そんなもので悪魔と戦えと!?
ブレインとしてはこんなものは承認できませんね」
(・月・)「お前の意見など聞いておらん。
チェーンジ、オオツキィー、ワンッ!」
ドクターが大声を出すと、巨大な人型が分離し三つの戦車に戻る。
そこに等身大のマシンT93Gが躍り出る。
それを中心に再合体が始まる。
(・d・)「おお…」
ちゃんと頭部のついたロボットが姿を現す。
鉤爪状の腕を振りかざし、第二の監視塔予定地の地面を大きくえぐる。
(;・e・)「すげえ!この力ならみんなを守れる!
これが俺達のものになるんですか?」
(・ハ・)「最初の大襲撃で思った。このままではいけないと。
しかし焦って力を手に入れるのもいけない。
故に、悪魔合体に頼らない『護る』力をキョウさんに相談したのだ」
(・月・)「御立派だがまだフレームだけで完成形ではない。
これから操縦を覚え、必要に応じて装備を追加して整えていく」
113
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/13(土) 20:34:26 ID:H6GnHuAs0
(・ハ・)「キョウさんによると、アヤメには超能力者の兆しがあるようだ。
頭部となるコアにはアヤメの念を少し補充しておく」
(;・d・)「アヤメを…コアに?」
(・月・)「安心せい。命を注ぎ込むということではない。
超能力者が日常で漏らす過剰な念力を注いでおくということじゃ。
ハンバーグでいうつなぎというところか。
科学的根拠はないがな!だって私の専門外だもん!」
次の日から、三人の訓練と装備の調整が始まった。
どのような技術か、操縦レバーやスイッチなどはなく音声認識で変形、分離するようになっていた。
厳しめの訓練のせいで、衝突する事もしばしばあった
(・月・)「お前の頭が悪い科学的根拠はある!」
(#つ・e・)つ「うるせーくそじじー!」
殴りかかったイーを、プラズマを帯びた博士の右腕が殴り飛ばす。
ずっと巨大な包帯で隠されていたものは、ハサミ状のメカアームだった。
(・月・)「言っただろう。このマシンは私の考えうる究極の完成形だと。
私は大破壊前に研究していたのよ…自分の体でな!」
遊びに来ていた兄貴以外、皆引いていた。
(・月・)「その馬鹿力を活かさんか!お前の短刀はオオツキスリーじゃ!
他の形態と違い、走行とパワーを特に重視したものだ!
ジャックのオオツキツーは飛行スピード型だが火力が足りん!
オープンゲット、つまり分離を活かして悪魔の弱点を突け!」
(・e・)「チェンジオオツキ!スリー!
いいじゃねえか!気に入ったゼ!」
無骨な人が付いた巨大戦車のような体躯に惚れこむ。
( ■∀■)「何とかとハサミは使い様ってな。
イーは直情だけど正義感あっていいと思うぜ」
(・ハ・)「そうですね。暴走気味になるのがタマにキズですが」
( ■∀■)「問題なのはジャックだな。
少し物事について冷ややかになりすぎじゃねー?
そのうちエンブリオンの為なら、仲間殺しでも平気でしそうなテンプルナイトみたいな目だぜ。
お前もここずっと作業しすぎだ。目にクマできてんぜ、そろそろあいつらに任せて少し休めよ。
何のための幹部指名よ?」
ラン ゚ -゚)「そうです。お師匠、ここ数か月休みを取っていません。医療室で休養と栄養を取ってください」
(#・月・)「よし!仕上げにプラズマ・パワーの投入だ!」
114
:
名無しさん
:2021/11/14(日) 03:50:03 ID:qMGcUu260
乙!
115
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/15(月) 21:56:03 ID:ddb0iw8o0
ご愛読ありがとうございます。
学園の悪魔使い、ぼった…新装版買いました。
結局デビチルも全巻紙も電子も買っちゃうもんなァ…
やっぱり人間が悪魔にザクザク殺されていく無常さは
https://sm.ign.com/ign_jp/screenshot/default/02-25_re2e.jpg
https://www.4gamer.net/games/368/G036838/20210830016/SS/027.jpg
https://sm.ign.com/ign_jp/screenshot/default/01-3-p3-01_ffpx.jpg
('A`)「しかしショウヘイとかいう奴、まだ会ってはいないがかなり小物臭いな。
悪魔は不幸しか呼ばんから狩るといいつつ、女悪魔はべらせてイキってやがる。
刀使いなら、モノも腕もナマクラじゃないかどうか一度お手合わせしてみてェもんだぜ」
http://blog-imgs-62.fc2.com/c/h/e/chemrea/2014021223483170a.jpg
レインはショウヘイさんをパクったわけではありませんッ!
そもそも思いっきり楽しむ為に前情報ほぼ仕入れずプレイしているので。
元ネタは超マイナーなメガテン小説のキャラをベースに、某ライダーのカイザを悪魔合体した感じです。
カオスヒーローと戦えるDLCが欲しい…
116
:
名無しさん
:2021/11/16(火) 22:04:58 ID:VRDjVrV.0
乙!
117
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/18(木) 22:35:47 ID:eBWhILH60
ご愛読ありがとうございます。
投下できず続きで申し訳ないですが、一日一レスは書くように心がけています。
( <●><●>)「そういう場でないのはワカッテマスが、少し愚痴を書かせてください」
二次創作とはいえ書き手が人を批判するのもどうかと思うのですが…
D2の新シナリオもやっぱり正直アレでした…
やはり味方人間のメイン人数が多すぎると、各々に見せ場を作らなければと思って冗長のグダグダになってしまうのでしょうか。
3人で旅する真Ⅰが一番バランスがいいと思います。
イキリ大司教のモナークも、これのどこがifだ!とつまらなすぎてクリア後にカード割りました。
メガテン始祖の西谷先生と伊藤龍太郎先生は尊敬していましたが、泥船に乗せられてしまってかわいそうだと思いました。
学園の悪魔使い復刊は、真Ⅴ記念と同時にモナーク如きにこれが本物だと現実を見せつけるというのもあったのかな、と今は思います。
真Ⅴは少しづつしか進められてないですが、今のところ面白いです。
真Ⅳの尻すぼみ感がなく、ハードでやっていると少しのミスでぶっころなので悪魔との命の殺りあい感があっていいです。
悪魔もデザインがいい!
真Ⅲまでのメガテンをドキドキしながら初見プレイしていたのを思い出します。
反省がちゃんと活かされているな、待った甲斐があったなと感じています。
明日には5年目突入くらいまで怒涛で書き溜めてICBMの如く投下できればと思います。
今後ともよろしく…
118
:
名無しさん
:2021/11/18(木) 23:46:06 ID:aZPOpK.s0
正直長く楽しみたいからゆっくりしていってね
119
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/19(金) 21:06:09 ID:ZdS1ai6I0
ありがとうございます。ゆっくりしてるぜ!
今日は部分月食は、メガテン的には悪魔の反応どうなんでしょうね。
120
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:51:41 ID:REAIZM..0
(・ハ・)「実戦はもう問題ないな。
トラックは牽引し、ガソリンはマシンに」
(・j・)「生きのこったのは二人だけか。オオツキ1号、3号にの乗せていってくれ」
(・e・)「大層な口聞くじゃねえか。てめぇはどうすんだ」
(・j・)「私には私でやる事がある。突っかかるな。
チェンジ!オオツキツー!」
霊鳥のような姿に合体変し、中波したトラックを釣り上げる。
シンジュクに戻る途中で、カメラがズームされる。
離れの小さな森に、赤きマントを外した邪鬼ウェンディゴ数十体の群れがある。
(・j・)「先日に偵察悪魔を出したところ、奴らは何者かの飼い悪魔ということが判明した。
ここで繁殖、増殖を繰り返して尖兵を増やしていると思われる」
(・d・)「何をする気だ?
あの数相手では親父を含めてもきついぞ。
それに動きを封じる氷結魔法の使い手ということを忘れるな」
(・j・)「あの周辺に爆薬をいくつか包囲するように埋め込めさせておいた。
これも私の小遣いの自費から出したものだ。エンブリオンには影響はない」
オオツキ2の腹部が開き、いくつもの地獄玉が降り注ぐ。
(#・j・)つ「鬼(イレギュラー)がぁぁぁ!」
連鎖爆裂で一瞬のうちに草、木が燃え盛り更地になる。
すぐさま溶けていくもの、溶けかけたり大やけどを負いながらも灰をこぼし逃げようとするもの。
(#・j・)「逃がすかァ!」
ありったけの破魔矢ビームを投下。完全にトドメを刺す。
(;・鼠・)「う、うわああああ!降ろしてくれえええええええええ!」
出っ歯の少年は機内で暴れる。
(・d・)「落ちつけ。これから君達を我々の拠点に連れて行く」
拠点。
(・d・)「ようこそ、エンブリオンへ」
(;・五・)「よ、よろしく…」
二人の子供はおぼつかなげに会議室のソファに座る。
121
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:52:03 ID:REAIZM..0
(・五・)「ぼ、ボクはサ…」
(#・e・)つ「どういうつもりだ勝手な事すンじゃねぇ!」
二人の自己紹介が始まる前に、頬を殴る鈍い音が鳴った。
(・j・)「よりにもよって君にそんな事を言われるとはね」
吹き飛ばされたジャックが静かに立ち上がり、
(#・e・)「もし逃がした奴がいたらどうすんだ!
ステルス機能?ってのもないし拠点に帰るのも丸見えなんだぞ!」
(・j・)「私が自力でマッカを貯めて実行した作戦だ。
奴らが集まってエサを一斉に食い始める時間は把握している。
何も考えずに君みたいに直情でやったと思うかね」
(・e・)「てめ…」
(・d・)「二人ともやめろ。二人ともビビってる。
イーも今後悪魔掃討をする時は親父や俺、兄貴やドクターがいれば誰かに相談してくれ」
(・j・)「すまない。喰われた中には私の教え子もいたのでな。
今後また育てた者が犠牲になったら時間の無駄だと判断した」
冷徹に言いつつ、握る手が震えているのを一人だけ見逃さなかった。
(・d・)「いきなりすまない二人とも。あれが日常茶飯事だし、二人は実は仲はいいんだ。
落ち着いてからでいいから、自己紹介と出身地、何故逃げる事になったらいきさつを教えて欲しい」
ソファに座ったまま、両手を組んでディーが諭す。
(・鼠・)「オ、オイラはネズミと言いやす!
き、金の女がいきなり現れてみんなおおおおおおおお鬼に…」
タンクトップの女がネズミと名乗る少年をゲンコツで上から殴る。
(#・五・)「アンタは挙動不審りすぎなんだよ!
ボクが説明する…スーハー…」
(・五・)「改めて、僕はサツキ。
まずは助けてくれてありがとう。
五月に生まれたからこんな名前らしいんだ」
金髪の少女は深呼吸をしてタンクトップをめくり顔の汗を拭く。
対してないが、下乳が見えそうだ。
(・j・)「で?」
(・d・)「急かすな」
122
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:52:24 ID:REAIZM..0
(・五・)「ボク達はアカサカに、小さいけど地下コロニーを作って暮らしていたんだ。
ある時、メシア教のシスターが来たんだ。訪問っていうのかな?
食糧とか色々くれたよ」
(・ハ・)「シブヤ支部からの支援か?唐突だな」
(;・五・)「でも今日の朝にいきなりでかい音が響いたと思ったら…思ったら…」
サツキは声を詰まらせる。
(;・五・)「コロニーの半分くらいが、鬼になってて、噛まれた奴も顔が変わって鬼に…」
─
「救済よ!愚かな者たちに救済を!」
(・・・)「ククク!」
(;・五・)「シスター!助けてください!」
「助けてあげるわ…見苦しく生きている貧しい浮浪児は…
死ねばいいのよ!」
サツキの隣の少年の頭が爆ぜる。
(;・五・)「そんな…」
(・黒・)「下がれ!」
コロニーリーダー、クロエが銃を乱射する。
(・・・)「テトラカーン」
黒き悪魔が障壁を張ると、ありったけの銃弾がクロエを襲う。
戦闘慣れはしているらしく、顔面だけは手で覆う。
だが血が全身をしたたる。
(;・黒・)「武器庫に走れ!トラックに乗れ!」
銃をサツキに放り投げ、ナイフで黒い悪魔に斬りかかる。
黒悪魔はすんでで避け、住人だった鬼を差し向ける。
数体はナイフ捌きで首を切って無力化したが、背後の鬼に肩を噛み付かれ血が滲む。
(;・五・)「クロエ姐ぇー!」
(;・鼠・)こっちでやんす!
ありったけの武器を持ち越した仲間を連れたネズミに先導され、緊急避難ダクトを通る。
(φ黒・)「ああああああああああ…ガアアアアアアア…逃げロ…」
123
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:52:47 ID:REAIZM..0
(;五;)「クロエ姐を置いていくなんて!」
先頭のネズミの背をポカポカと叩く。
(;鼠;)「いつもみたいに力が入ってないでやんすよ。
せめて逃がしてもらったオイラ達が生き延びないと…」
「ぎゃーあ!」
殿の子供が鬼の腕に引き込まれ、ずり落とされる。
(;・鼠・)「早く逃げるでやんす!
ハンスが先に行ってトラックの発進準備をしているはずでやんす」
地下エレベーターに、トラックのエンジンをかけた大人の男が待機していた。
「遅いぞ。早く乗れ!」
エレベーターが昇降し、地上に出る。
カモフラージュ用の土が吹き飛ぶ。
(;・五・)「これからどうすりゃいいのさ」
「シブヤに向かって、保護してもらうついでにあの狂人シスターのやった事について問い詰める。
本当はシナガワ本部に行きたいんだが、瓦礫の山が越えられん」
(;・鼠・)「誰かいるでやんす!」
しばらく走らせると、バイクに跨った複数の人影が現れる。
(;・五・)「避難者かな?一緒に逃げよう!」
「馬鹿野郎!ガイアのクソ野郎どものしょけいライダーだ」
(-□〇□-)「よう。ここを張ってりゃいい獲物があるってリークがあったよ。
今日はあの糞生意気な女リーダーもいないようだな?え?」
「ごちゃごちゃうるせえ!」
ハンスがトラックを急発進させ、ライダーの一人を跳ね飛ばす。
(-□〇□-)「やってくれたな!お代はてめぇら全員の首だ!
男はオザワに売ってガキは臓器用に卸し、女は俺らの慰みモンだァ!」
リーダーが銃でむき出しのエンジンタンクに穴をあける。
そのまま走り去る。悪魔もわらわらと追ってくる。
「希望は…ないのか…
いや、行けるとこまで行くぜぇぇぇ!」
124
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:53:09 ID:REAIZM..0
─
(;五;)「そこで、そこで、助けられて…
ハンスも皆も…うううううう…あああああ!!!」
(;鼠;)「クロエ姐ェ…!ラット、マウス…!」
二人ともおいおいと号泣しはじめた。
(#・五・)「助けてもらってありがとうだけど、今からコロニーに戻る!」
(・d・)「何をするつもりだ?」
(#・五・)「みんなの仇を取る!まだ生きのこってるヤツもいるかもしれないんだ!」
(・e・)「面白れぇ!俺も乗るぜ!」
(・d・)「ラン、鎮痛剤と鎮静剤を。医療室に運んでくれ」
ディーが少女を押え、部屋の隅に控えていたランが首筋に慎重に薬を打つ。
(・五-)「君達もあいつらの手先!?うっ…」
(・d・)「まず落ち着いて疲れを癒せ。ネズミ君と言ったな。
君も疲れているところすまないが、コロニーの見取り図はあるか」
(;・鼠・)「武器以外は置いてきちゃったから今、書くでやんす」
サツキはあっという間に眠りについた。
ラン ゚ -゚)「あら、キョウ兄貴に連絡取れるかしら」
搬送中に、少女のタンクトップから突起が浮き出ているのを見た。
(・e・)「どういうつもりだディー兄ぃ。生存者を助けたくねぇのか」
(・d・)「親父、俺の判断は間違っていると思いますか」
(・ハ・)「策もなくいきなり突っ込むのは無謀だ。鬼…悪魔だろうが、がどれだけ強いかわからん。
感染能力があるようだから、無策で突撃してエンブリオンメインメンバー全滅は避けたい」
(・j・)「同感です。私も数か月かけてウェンディゴどもを一掃する機会を待った」
(・ハ・)「それに恐らく…人間としての生存者はいない。
深夜の次に無防備な朝方の突然の奇襲、そしてリーダーが閉じ込められたままとなれば猶更だ」
会議室を重い沈黙が覆う。
125
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/20(土) 22:53:31 ID:REAIZM..0
翌日。
(^五^)「ふースッキリした!」
朝食の古米チャーハンを貪りながら、サツキは笑顔ではしゃぐ。
(・j・)「熱くなってすぐ冷える。まるで鉄だな。
イッポンダタラという悪魔がいれば、さぞいい材料にされていただろう」
食事のあと、神出鬼没な兄貴が女悪魔に採寸を測らせていた。
( ■∀■)「ヒョウッ!新顔さんのお出ましかい」
(・ハ・)「キョウさん、ご無沙汰しております」
( ■∀■)「嬢ちゃん、上級悪霊とうまく共生してるみてぇだな。
ファントムは強い魔法を持つが魔力がからっきしですぐ弾切れだ。
そこを嬢ちゃんの強い魔力で補って、それを俺から教わらずにやるとは、ヒョウッ!」
(・殺・)「そ、そんな、私はそんな…」
アヤメが赤面する。ディーの心にまた黒いものが走った。
(・五・)「…わかった」
昼前に会議室。
(・d・)「今すぐ突撃しても返り討ちにあうのがオチだ。
慎重にメンバーを選定し、二日後に行ってみる。
君には悪いが、不利と思えば一時撤退も考える」
(・鼠・)「力を貸してくれるだけでも、ありがたいでやんす」
ネズミが一礼した。
(・d・)「かしこまらなくていい、よかったら我々エンブリオンに─」
(・j・)「早計だ。これ以上無駄な食い扶持を増やすのは」
(#・e・)「てめぇ」
ラン ゚ -゚)「兄さん。エンブリオン、いや師匠が私達を見返りなしで受け入れてくれた事を忘れないで」
(・j・)つ「私は無駄に怪我人が出て、お前の負担が増えるのも危惧しているんだよ」
ジャックはかわいい妹の頭を撫でる。
(・e・)「まるでお前マシンにでもなっちまったみたいだな」
126
:
名無しさん
:2021/11/21(日) 02:44:06 ID:p8k9qAuA0
乙!
127
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:43:09 ID:vTVKzP0.0
(・j・)「悪魔相手に人間の感情丸出しで接する君よりマシだよ。さて」
ジャックは目を細めて二人を睨みつける。
(・j・)つ「選定は師匠、私を含めた三幹部、お前達二人とする。
そしてサツキとやら、我々幹部やリーダーがアカサカに赴くとして、どれだけ罠でない保障があるのかな。
お前達二人が悪魔の擬態でないとも限らない」
ナイフを向ける。
ラン ;゚ -゚)「兄さん!」
(・五・)「これでいいのかな」
おもむろにジャックに近づき、ナイフの切っ先を二の腕に当てる。
細く、赤い血が流れる。
(・鼠・)「サツキ!?」
(・五・)「ボク達は悪魔なんかじゃない。赤い人間の血が流れてる。
なんならこの血を調べてくれても構わないよ」
(・j・)「結構だ。ラン、血液の採取と成分分析を」
ラン #゚ -゚)「止血が先でしょ!」
ランは急いで腕に包帯を巻く。
滴り落ちる血を薬剤入り試験管に入れるのも忘れない。
管を揺らし掻き混ぜる。
懐からありったけのマッカをテーブルに出す。
(・五・)「これがボクらの有り金全部だ。
コロニーに行けば、まだ少しはマッカも物資もあるはずだよ」
(・j・)「持ち込んできた銃も、使い慣れた一丁以外は置いていけ」
(・五・)「ボク達が裏切ったり逃げ出したりしたら、即撃ち殺してくれてかまわない」
(・j・)「当然だ」
(・d・)「すまないが、今回アヤメは防衛も兼ね、マシンに魔力を込めておいてくれ。
アカサカにいる相手が膂力のある鬼族だとすると、体力的に不利なのもある」
(・殺・)「…了解」
ラン ゚ -゚)「解析できたわ。悪魔の血は混じってない」
128
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:43:36 ID:vTVKzP0.0
夜、ディーの自室。
(・殺・)「ねぇ、私も行かせてよ」
今夜はアヤメがディーの胸板に縋りついていた。
(・d・)「駄目だ。誰かが残って防衛していないといけない」
(・殺・)「…わたし、最近また夢を見るの。
たくさんの子供達が死んだ夢」
(・d・)「俺の事もかい?」
(・殺・)「…」
身体を離し、目を背けてうつむく。
(・d・)「俺は命に代えても君を死なせるわけにはいかない。
頼む、わかってくれ」
今度はディーがアヤメに抱きついて胸に顔をうずめる。
最近は女性としてのラインがくっきりしてきて、何かこみあげてくるものがある。
(・殺・)「私だって同じよ。あなたや皆を死なせたくないから悪霊の力、子供達の力を身に着けたの」
朝。
(・ハ・)「おい」
(;・d・)「…」
一団の群れの後ろを、合体用ではないマシンがゴツゴツを音を立ててついてくる。
(・殺・)「マシンに念を込めるのは、朝方早く終わらせてきました。
ホブゴブリンさんの他に、エンジェル等の私の仲魔を置いてきたから防衛は大丈夫」
(;・d・)(朝ベッドにいなかったのはそういうことかよ)
(・ハ・)「…まぁついてきてしまったものは仕方ない。
今日は新月、幸いにも悪魔は沈静化する…と思いたい。
ネズミ君、あのマシンくらいなら昇降機に入るか」
(・鼠・)「小型トラックが入るくらいだから大丈夫でやんす」
(・五・)「見えてきたよ!」
129
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:43:57 ID:vTVKzP0.0
明らかに不自然に溝がついた地面が見える。
サツキが手慣れた手つきでスイッチを押すと、隠し扉が開き昇降機が上がってくる。
(;・e・)「ひっ!」
(・d・)「どうした」
(;・e・)「い、いやいきなり鬼がお出迎えかと思ってたから拍子抜けしただけでい…」
(・j・)「君にも怖いものがあるんですね」
(・e・)「う、うるせぇっ!」
イーを皮切りに、各自武器を構え突入する。
鬼の感染を防ぐため、サツキも流石に肌の露出を抑えた重装備になっていた。
電気のついていない薄暗いコロニー内は予想以上に不気味だった。
(・ハ・)「妙だな。COMPのエネミーソナーにも気配がない。セーフティの青のままだ
コロニーの人員はどれくらいだったんだ?」
(・鼠・)「100人前後だったと思うでやんす」
(・d・)「うちのエンブリオンと同程度かそれ以上の規模がお隣のお隣にあったなんて!」
灰の塊はそこら中に散らばっている。
(・ハ・)つ「そこだッ!」
幽鬼ガキに筋肉をつけたような『鬼』が飛び掛かってくるのを、親父は銃撃で腕を吹き飛ばした。
しかしすぐさま立ち上がってくる。腕が瞬時に生えてくる。
(・五・)「それっ!」
サツキが頭を撃ち抜いて追い打ちをかける。
(・五・)「ごめんね…」
(・ハ・)「どういうことだ?」
(・五・)「クロエ姐が戦ってたのを少し見たのを思い出した。
胴体にいくら撃ち込んでも、弾を吐き出して傷が治ってしまうんだ」
(・j・)「頭を破壊しないと不死ということか。まったくウェンディゴの方がまだマシだな。
余計な事を持ち込んでくれたものだ」
(・e・)「へっ、お前もやる気満々だから来たんだろ!」
130
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:44:17 ID:vTVKzP0.0
(・j・)「戦況が不利になっても撤退しなさそうな馬鹿がいるから仕方ないだろう」
(・殺・)「本当に仲がいいわね」
アヤメが殿のマシンの中から笑う。
「ウガアアアアア!」
(#・e・)つ「オラっ!」
飛び出してきた鬼の頭をロッドを陥没させる。
「ア゛あああああああああ…ヤメテ…」
(・d・)「待て。攻撃の気配がない。何か変だぞ」
「タスケテ…タスケ…」
(;・五・)「イザク!何があったの!」
(;・ハ・)「おい!」
どうやら仲が良かったメンバーだったのだろう。
噛まれて感染するのを恐れず、瀕死の鬼の肩を揺さぶる。
「クロエネエと…シンプが…コワい…」
「リカーム」
「ヒギャアアアあ!?」
サツキと話していた鬼が紙のように身体をくしゃりと曲げ、消滅する。
「あーあ、失敗でしたか。申し訳ないですお」
(・d・)「誰だ!」
剣を構え、ディーが肉薄する。
その前に腹に一撃を喰らい、少し吹き飛ばされる。
(黒^Ω^)「落ち着いてくださいお。神の祝福を」
肌の黒い神父がニコニコしながら立っていた。
131
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:44:39 ID:vTVKzP0.0
鬼のいないエリアに結界を貼り、話をする。
(黒^Ω^)「いやあ、この地で異様な気配を感じて駆けつけたのはいいですが閉じ込められてしまってましてお」
神父は頭をかき、バツが悪そうに笑う。
(・五・)「妙に入口が見えるようになっていたのはあんたの仕業か。
灰になっている鬼もあんたの仕業?」
(黒^Ω^)「いやあ、私はガクガクと震えているのが精々でしたお。
悪魔達は殺しあってああなったみたいですお」
(;・鼠・)「鬼達が同士討ちを!?」
(・ハ・)「未感染者がいなくなって見境なくなったか、飢えて喰らいあったか。
この数日間、あなたは生き延びていたというのか?」
(黒^Ω^)「ご覧の通り、気配を消したり結界魔法だけは得意なんですお。
さっきの人、救えなくてごめんなさいお」
蘇生魔法リカームは、真の奇跡とされているサマリカームより数段劣る。
死者を蘇らせるのに失敗すればロストする。
体力のないものに使った場合の末路は、金丹と同じだ。
(;五;)「いや、イザクも楽になれたと思う。
ありがとう、神父様」
サツキが感謝を述べる一方、ディーは銃口を握っていた。
(・d・)「得体が知れねぇな。黒人とやらならともかく、
漆黒の人間なんてこの近辺じゃ見た事もねぇ。
あんた何者だ」
(黒^Ω^)「ほう。さっきのアレを根に持っているのですかお?
聖職者に銃を向けるとは。気に入りましたお。
私はナイトウ神父。ナイ神父と気軽に呼んでくれても構いませんがお」
(黒^Ω^)「そうそう、ひときわ巨大な鬼が他の鬼を屠りながら奥へ向かっていきましたお。
襲ってくる前に逃げた方がいいですお」
(・e・)「冗談だろ坊さん!逃げるのはきれえなんだよ!」
(・j・)「鬼の特性が他の悪魔と著しく違う為、その巨大な鬼がどれだけの力があるのかだ。
鬼は軒並み殺害されていてサンプルも取れない。分が悪いようなら撤退を」
(・d・)「ああ、わかっている。死ぬか感染して鬼になれば元も子もないからな」
アヤメを、守る。生きて、帰る。
(・鼠・)「奥と言えば…物資庫でやんすね」
132
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:45:03 ID:vTVKzP0.0
ひときわ広い物資庫。
(φ黒φ)「ア嗚呼アああああああ!」
(・五・)「アヤメ姉…やっぱりか…一番強かったもんな…」
(φ黒φ)「怖い怖いコワいクルナ来るな食いtuくなア嗚呼あああああ!ァ」
右腕は骨と化していたが、異様に巨大化していた。
腹部と胸部には蠢くものがある。
崩れかけた脚で駆け、腕を振りかぶる。
(・ハ・)「サモン!マンティコア!」
素早く指をCOMPに伸ばし、妖獣を召喚する!
(・<_,・。)「悪魔遣いがあらいんじゃぁ!」
蠍の尻尾で骨巨椀を押し返す。
(φ黒φ)「ア嗚あゝあああああ!!!!!!!」
マンティコアが押されている。
(・<_,・。)「なんてぇ馬鹿力ぢゃ!援護せんかぁ!」
(・e・)「おうよ!」
マシンガンを矢鱈めったら撃ちまくる。
頭に当たり裂けるが、すぐさまチンケな通常弾は弾き飛ばされて排出される。
ストーンカが召喚され、マンティコアと正反対に突進して押しつぶすが、腹部の触手に叩かれる。
(;・鼠・)「あ…あ」
(・ハ・)「蟲毒のごとき戦いの中で独自進化したのか!?
あの人が『生前に』どれだけ立派だったかは分からんが、今は『鬼』だ!その事実は受け入れろ!」
仲魔達に魔石を使いつつ、腕の一振りの囮になって避け続ける親父。
(・d・)(どこまでも果てしなく、続く人間同士の争い。
また明日も俺は殺しながら彷徨うのか)
急に虚しくなり、鋭い骨の先に胸を差し出してしまいたい気持ちになった。
ストーンカが貫かれて炎を上げはじめる。急いでCOMPにRETURNのコマンドを打つ親父。
(・殺・)「みんな離れて!」
アヤメがマシンの機銃をブチ放つ。
133
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:45:23 ID:vTVKzP0.0
様々な物資と共に、クロエが蜂の巣にされていく。
(φ黒φ)「守るマモルまもらなきゃア嗚呼あああああああ!!!!!!!!!!!」
崩れた右足を潰し、とてつもない再生能力でマシンに迫り猛攻の骨攻撃をかます。
マシンが金属音を立ててたわみ、アヤメが悲鳴をあげる。
(・d・)「クソが触るああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
ヤケクソにアタックナイフを腹部に突きさす。
(φ黒φ)「ぐえア嗚ああああああまもるまもまも」
振り向きざまの一撃を、きりもみ回転で咄嗟に避ける。
この状況で生きのこっている自分に、自分に驚愕する。
手ごたえのあるシナリオなら、いつか自分を死に場所に導くだろう。
死んでいないなら、今は死ぬ時じゃない!アヤメを置いて!
(・<_,・。)「無茶しおって!悪魔なら感染しないからええものの!」
足を捻って倒れる身体をゴツゴツした獣の体が支え背に乗せる。
(つ・j・)つ「くらえ!」
両手から次々とマハブフストーンを投げつけるジャック。
イーに降り下ろされた骨の腕が凍り付く。
(;・e・)「なんだ参謀様よォ!不利な時は撤退じゃなかったのかよ!」
(・j・)「勝機は見えた。胸部、腹部だけ再生が極端に遅い。
頭部は無敵だがあそこが実質中枢だと判断する。」
(・e・)「そうかよッ!」
スパイクロッドで凍った骨を砕く。
怯んだ隙にマンティコアが尻尾で胸部を貫く。絶叫が上がる。
(;鼠;)「うああああああああああ!!」
投げナイフをひたすら投げ、注意を逸らす。
(・殺・)「テンタラフー!」
いつの間にかマシンから降りたアヤメが、うねった波をクロエの頭部にブチ当てる。
(・黒φ)「ぎイあああああ!?…ネズ…ミ?」
(#・d・)「うおああああああああああ!!!!!!!!!」
無銘の刀を腹部に突き立て、力任せに引き裂く。
134
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/22(月) 01:45:52 ID:vTVKzP0.0
2メートルはある巨鬼はついに斃れた。
コアを散々に弄ばれ、再生可能エネルギーも残っていないようだった。
(φ黒・)「サツキ…か…?そうか…悪魔に…あのシスターに…」
異形の眼で愛しき弟子を見上げる。
目が人間のものと鬼のものに交互に変わる。
(・黒φ)「混乱魔法で、逆に意識を戻してくれたのか…ありがたい。
自分が強い、このまま皆をまもって行けると慢心してこのザマか…グっ!」
とっさに左腕でナイフを降り下ろす。
(;・五・)「しまっ…」
クロエは蠢きつつある自分の腹部をナイフで掻きまわした。
顔色が大きく変わり牙が生えつつある。
人間としての生が終わり、完全に鬼になりつつあるのだ。
(φ黒●)「サツキ…自分がなくなっていくのがコワい。
気がクルいそうだ…
私の意識が…残ってる討ちにィィィ”!!!!!!!!!!!」
(黒^Ω^)「アーメン。哀れな子羊に神の導きを。リカー」
(・d・)つ「手を出すな」
いつの間にか現れていたすまし顔の神父の頭に、ディーが銃を当てていた。
(黒^Ω^)「ふふふ。二回目ですかお。面白い。ではおやりなさいな、救済を!」
(φ鬼φ)「是異状はもタンぞ…!
私の屍を越えてイケー!強クなれー!」
(五)「先に地獄で…」
かつてもらった、秘蔵のドラゴンATMを取り出す。
何歩か下がる。
投げる。
(;五;)「待ってやがれええええええええええええええええ!」
怒りに任せて投げつける。
私はお前達だけでも守れただろうか…?
そんなつぶやきが聞こえた気がした。
物資庫が燃える。
一行は無慈悲に内部炎上していく基地、いや墓地を去る。
135
:
名無しさん
:2021/11/23(火) 20:16:36 ID:a0fHS5co0
乙!
136
:
◆MxHvQqijkA
:2021/11/26(金) 07:11:02 ID:Fe/YYh7Y0
イズンちゃん!イズンちゃん!
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