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( ^ω^)はアスキーアートのようです
1
:
◆5gz722XaY.
:2021/10/22(金) 22:24:13 ID:7KotvZMk0
内藤ホライゾンはアスキーアートだった。
「アスキーアートって何?」
「顔文字とどう違うの?」
そんなことを疑問に思う人もいることだろう。誰もが一度は考えてみる筈だ。
アスキーアートと呼ばれる自分と、顔文字と呼ばれるあの子と、いったい何がどのように違うのだろうか? と。
しかしわざわざそんな疑問を口にする大人はどこにもいないし、子供の頃からそう言い聞かされるわけだから、そのうち誰もが考えることを止め、受け入れる。
自分はアスキーアートなのだと。
あるいは、自分は顔文字なのだと。
アスキーアートとして生まれたからにはアスキーアートとしての人生を歩まなければならないし、顔文字として生まれたからには顔文字としての人生を歩まなければならないと、誰もがいつか受け入れる。
当然内藤ホライゾンもそうだったし、ドクオも、ツンも、素直クールもそうだった。
27
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:02:12 ID:7KotvZMk0
そんなことを頭に遊ばせ、次の一歩を前に出す。
( ^ω^)「・・お?」
それはなかなか頑固な障害だった。木の根か何かが地面から飛び出ているのだ。もちろんあまりに頑強なものであれば内藤ホライゾンも無理せずスルーしてきたのだが、太さといい長さといい色合いといい、絶妙な雰囲気を醸し出していた。
( ^ω^)「よ、っと。むむ? なんだか頑張ればイケそうな気がするお」
ξ゚⊿゚)ξ「本当? 無理するのはよしなさいよね」
( ^ω^)「大丈夫だお、このくらい。ふん!」
と、ツンの声掛けについつい気合を入れて足を踏み出した時のことだった。
( ;^ω^)「おお!?」
その衝撃が最後の一押しとでもなったのか、割れるようにして地面に大きな穴が開いたのだ。完全にその片方の足に体重を預けようとしていた内藤ホライゾンに踏み留まることは不可能だった。慣性に従い、そのままその穴の方へと体が流れる。
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!?」
声をかけ、ツンが精一杯手を伸ばす。
なんとか残った地面に足をつき、バランスを崩しながらも体を捻って伸ばし返した内藤ホライゾンの右腕は、しかし何もない空間を掴むことしかできなかった。
内藤ホライゾンとツンの目が合う。何十分の1秒かの間、彼らは互いに見つめ合う。
そして内藤ホライゾンはそのまま穴へと落ちていった。
28
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:03:22 ID:7KotvZMk0
○○○
頭部を保護するように体を丸めて落下する。覚悟を決めた自由落下はおそらく1秒にも満たないものだったのだろうが、内藤ホライゾンには非常に長く感じられた。
衝撃。肩からの着地となったことが痛みでわかる。
( ^ω^)「いてて・・ 骨を折ったりは、してないお?」
呟きながら内藤ホライゾンは手足を動かし、体に異常がないことを確認していく。
( ^ω^)「どうやら五体満足のようだお。それにしても・・」
ここは一体どこだろう?
手足を動かしたところで地面以外の何にも触れない空間に内藤ホライゾンは寝転んでいた。
大の字になって空を眺める。自分がそこから落ちてきたのであろう穴から光がわずかに差し込んでいる。周囲の様子を伺えるほどの光源とはならないが、どうやらこの暗闇が自分が失明していることによるものではないことだけが内藤ホライゾンには救いだった。
( ^ω^)「お〜い ツ〜ン 聞こえるかお〜?」
その光に向かって声を上げ、耳を澄ませて待ったところで、何も返ってはこなかった。
29
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:04:18 ID:7KotvZMk0
( ^ω^)「やれやれ、どっこいしょ」
やがて寝転んでいるのに慣れて飽きると、内藤ホライゾンは身を起こしてその場に座りこんだ。大きくひとつ息を吐く。地面の感触が土ではないことに気がついた。
( ^ω^)「う〜ん めっちゃ平たいお」
地面というより床だな、と内藤ホライゾンは右手で感じる。その固く滑らかな床は板張りのようにも感じられた。
明らかに洞窟のような自然にできた空間ではない。人の手が加わっているとしか思えなかった。
( ^ω^)「ここはいったい・・ うわ!?」
閃光。
言い終わらない内に強烈な光を感じ、内藤ホライゾンは反射的に全身を硬直させる。
閃光ではなかった。非常に強い光だと感じただけで、その強度は一定なのだ。次第に目が慣れてくる。内藤ホライゾンがゆっくりと目を開けると、そこにはひとりの男が立っていた。
ジョルジュ長岡だ。
ジョルジュ長岡はその立派な眉毛をクイと上げ、人工的な直方体の空間で内藤ホライゾンを見下ろしていた。
30
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:05:31 ID:7KotvZMk0
_
( ゚∀゚)「よう少年。怪我はないかい?」
そしてジョルジュ長岡はそう訊いた。何から何まですべてが驚きな内藤ホライゾンはしばらく反応を返すことができなかったが、黙ってただジョルジュ長岡を見つめ続けることをやがては止めた。
( ;^ω^)「・・あなたは、誰ですお? ここは一体?」
_
( ゚∀゚)「おれか、おれはジョルジュだ。ここはそうだな、おれの秘密基地とでも言ったらいいかな、そういう感じの空間だ」
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「ハ! そんなことが訊きたいんじゃねぇって感じの顔だな、少年。わかってる、わかってる。まずお前に伝えておくべきことは、そうだな、おれにお前をどうこうしようって気はないってことかな。害意はねえ。お前がここに落ちたのも、おれが狙ってそうしたわけじゃあないからな」
完全な事故だ、とジョルジュ長岡は笑って言った。
_
( ゚∀゚)「いやビックリしたね、おれは。ここの天井って脆かったんだな。お前、もう少し踏み抜く場所がズレてたら、感電死してたかもしれねえぞ」
( ^ω^)「かんでんし・・」
_
( ゚∀゚)「その若さでこんなところで死んだらお前のペアも浮かばれねえってもんだろ? よかったな」
31
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:07:16 ID:7KotvZMk0
ジョルジュ長岡の口から発せられた“死”という単語と“ペア”という単語が耳に届くや、内藤ホライゾンは目の色を変え、その言葉の発声元を凝視した。ジョルジュ長岡はそんな視線にはまるで気づいていないかのように木製のカップを差し出し訊いた。
_
( ゚∀゚)「飲むか、少年? 落ち着くぞ」
( ^ω^)「・・いただきますお」
内藤ホライゾンはそのままの姿勢でカップを手に取ると、軽く中を覗き込むようにしてその匂いを嗅いだ後、ゆっくりと口まで運んだ。
匂いからも予想された温かいミルクの甘みが口に広がる。緊張を強いられていた体中から力が抜けるような心地になった。
_
( ゚∀゚)「さてと。おれは正直お前に用なんかないんだが、こうして会ったのも何かの縁だ、ちょっくら話でもしていくか。もしお前の方に何か用でもあったんだったら、聞けることならまあ聞いてやっても構わんぜ」
そう言い、ジョルジュ長岡が顎で示した方向には、簡単なテーブルと椅子が置かれていた。そこに座って話そうというのだ。
示されてその存在に初めて気づいた内藤ホライゾンは、ゆっくりと床から立ち上がり、改めて体に負傷がないことを確認しながら椅子へと歩いた。その様子を観察するジョルジュ長岡の表情が再び笑顔の形になる。
まあ座れよ、と促されるままに内藤ホライゾンはそこに腰掛けた。
32
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:08:11 ID:7KotvZMk0
_
( ゚∀゚)「さ〜てと。まずは何かな、目的でも訊いとこか。少年、名前は?」
( ^ω^)「・・内藤ホライゾンですお」
_
( ゚∀゚)「長えよ! ペア・ネームは?」
( ^ω^)「ブーンと」
_
( ゚∀゚)「ブーンね。内藤ホライゾンでブーン、全然関連性ねえな、最近はそういうのが流行ってんのか?」
( ^ω^)「まあそうですお。もちろん名前から取ってる人もいますけど」
_
( ゚∀゚)「ほーん。それで、ブーン、お前何しに山のこっち側まで入ってきたんだ? 普通はここまで来ねえだろ」
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「・・おれを、探しに来たのか?」
( ^ω^)「!」
_
( ゚∀゚)「ふ〜ん、あっそ、やっぱりそうか。おれを探して、何なら捕まえてこいとでも、どっかの大人に言われたのか?」
33
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:09:43 ID:7KotvZMk0
静寂。そしてわずかな緊張感が内藤ホライゾンとジョルジュ長岡の間に漂った。
何と答えればいいものか、と内藤ホライゾンは考える。その考えを見透かしたようにジョルジュ長岡は肩をすくめた。
_
( ゚∀゚)「おう、さっさと腹割って話そうぜ。勘ぐりなんてのは時間の無駄だ。仮におれがお前を警戒していたとしたら、こんな形にはしてねえだろう? そこに倒れてたお前を縛り上げるなり、ぶん殴って問い詰めるなり、何とでもやりようはあるからな。大体、お前、おれを警戒するならそんなミルクは飲んじゃあいけねえよ」
普通何か入れとくだろ、と笑って話すジョルジュ長岡を、信じられないような目で内藤ホライゾンは見たのだった。
手にあるカップとジョルジュ長岡を交互に見比べる。その今さらながらの警戒心をジョルジュ長岡は再び笑い飛ばした。
_
( ゚∀゚)「だから、そこには何も入れてねえって。まあ言われたところでもう怪しいか。ま、もう飲まないなら飲まないで構わんからさ、とりあえずできるだけ警戒しないで話してみろよ。それが無理ならもう帰れ、かわいいあの娘も心配そうに待ってるぞ」
( ^ω^)「! ツンのことかお!?」
_
( ゚∀゚)「お、ツンって言うのか。お前がアスキーアートであの娘が顔文字だよな、まさか自分からここまで降りることもできねえだろうし、でも仲間を呼ぶにもこの場を離れるわけにいかねえだろうし、あいつ、相当困ってんじゃねえかな」
かわいそうに、と、完全に他人事の声色でジョルジュ長岡はそう言った。
34
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:10:47 ID:7KotvZMk0
それでもしばらくの間はその空間を沈黙が支配した。
やがて、意を決したように内藤ホライゾンがまっすぐ前を見て口を開いた。
( ^ω^)「・・僕は、僕たちは、“ハグレ”を探して山の奥までやって来ましたお。あなたがその“ハグレ”ですかお?」
_
( ゚∀゚)「そう呼ばれることもあるかもな。しかし、定義によってはそうじゃあない。おれは顔文字ではなくアスキーアートだったからな」
( ^ω^)「・・顔文字ではなく、アスキーアート」
_
( ゚∀゚)「その通りだ。ハ! 早速期待外れですまんことだな!」
やはり笑い飛ばされた内藤ホライゾンは、しかしそのままじっとジョルジュ長岡の顔を見つめた。いわゆる“ハグレ”ではないにせよ、この謎の大人は誰なのだろうと考える。
訊いてみるほかにその疑問を解消する手段が内藤ホライゾンにはまったく思いつかないのだった。
( ^ω^)「あなたはその、何ていうか・・ 何なんですかお? 街の大人たちとはまったく違った存在のように僕には見えますお」
_
( ゚∀゚)「何、ねえ・・ おれも普通の大人のひとりだけどな、まあ違うといえば違うかな。一番そこらの大人たちと違うのは、訊かれたら何でも答えちゃいそうなところくらいかな。ハハ!」
35
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:12:17 ID:7KotvZMk0
_
( ゚∀゚)「まあ本来ならお喋りが過ぎると色々怒られたりすんだがな、おれには関係のないことだ。お前がつまらないやつじゃない限り、おれが知ってることなら何でも答えてしんぜよう」
( ^ω^)「・・・・」
怪しい。
と、内藤ホライゾンは、そう思ったに違いない。
たとえどこからどのように見たとしても、ジョルジュ長岡は紛れもなく怪しかった。
ただし同時に、質問に何でも答えると話すこの大人が、内藤ホライゾンの目にはとても魅力的に映るのだった。これまで大人に答えてもらえなかった多種多様な疑問や質問が、この少年の胸の奥底に澱のように積み重なっているからだ。
( ^ω^)「・・“ハグレ”は、本当にこの山にいるんですかお?」
_
( ゚∀゚)「ハグレってのはあれか、大人の年齢になった顔文字だよな。そうだな、おれの知る範囲で、という話になるが――」
もったいぶった語り口から、いない、とジョルジュ長岡はハッキリと言った。
_
( ゚∀゚)「この山のみならず、そんな存在はこの世にいないな。そうなっている筈だ」
36
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:14:17 ID:7KotvZMk0
内藤ホライゾンはしばらくジョルジュ長岡の立派な眉毛をじっと見つめ、冷めてしまったミルクのカップを口に運んで小さく啜った。
( ^ω^)「いない、んですかお」
_
( ゚∀゚)「いねえな。特にこの山にはいない。他は知らんが、おそらくよそにもいないだろう」
( ^ω^)「・・それは、どうしてそう言えるんですかお?」
_
( ゚∀゚)「そういう風にデザインされているからだよ。この山について強めに言えるのは、おれがこの山をコントロールしているからさ。何らかの事情で成人式後も生きているような顔文字がいるとして、この山にたとえば隠れ住もうとしたのなら、おれにはきっとわかる筈だ」
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「お前や、あのお嬢ちゃん、そしてお友達のこともおれは把握している。だからお前がこの部屋に落っこちてきた時、おれはゆっくりとホット・ミルクを用意し、こうして助けに来られたわけだ。助かっただろ?」
( ^ω^)「確かに助かりましたお。そうか、“ハグレ”はいないのですかお・・」
_
( ゚∀゚)「つ〜か、ハグレがいたらどうするつもりだったんだ? 大人に突き出すつもりだったわけじゃあねえだろ?」
37
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:15:39 ID:7KotvZMk0
( ^ω^)「・・僕は、お話を聞こうと思っただけですお。どうして、どうやって成人式を切り抜けたのか、その後大人たちから追われることになるのか、今はどんな生活をしているのか、そして――」
“ハグレ”が幸せに暮らすことはできるのか、と内藤ホライゾンは呟くようにして言った。
ジョルジュ長岡はすぐには答えず、面白半分、不信感半分、といった様子でしばらく内藤ホライゾンを眺めた。立派な眉毛が寄り合い、眉間に浅い皺が形成される。
しかし口元は笑っていた。
_
( ゚∀゚)「――お前、あの娘を生かすつもりか?」
( ;^ω^)「そんな、ことができるとは思ってませんお。ただ、やった人がもしいるのなら、その話を伺ってみたかっただけですお」
_
( ゚∀゚)「ほ〜ん、つまりは、生かすことができるかどうか、知りたかったってわけだな。いやあこれは問題発言ですね」
確かに普通の大人には訊けねえや、とジョルジュ長岡はニヤニヤ笑った。
( ;^ω^)「・・僕を、報告しますかお?」
_
( ゚∀゚)「なんで? そんなつまらんことおれはしね〜よ」
38
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:19:24 ID:7KotvZMk0
むしろ応援したいくらいだ、とジョルジュ長岡は無責任な顔をして言った。
_
( ゚∀゚)「気持ちとしてはな。ま、流石にそんなことはできねえけどよ」
( ^ω^)「・・やっぱり、できないですかお?」
_
( ゚∀゚)「できねえな。・・何より、その娘のためにならねえ。たぶんな」
( ^ω^)「――」
どうして、と内藤ホライゾンは訊きたかったのだった。
これまでもずっとそうだった。それは内藤ホライゾンが大人たちにこれまで訊けないでいたことだった。
アスキーアートと顔文字は、幼少期にペアとなり、成人するまで共に過ごす。それが世界の常識だ。
そして共に迎えた成人式で、顔文字は血と心臓を奉納し、アスキーアートはそのペアの血を飲み心臓を食らうのだ。
それが世界の常識だった。
そして、それが顔文字にとっての最大の幸福であると、誰もが当然考えていた。
39
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:21:06 ID:7KotvZMk0
○○○
“大人”とは、成人式を経て一人前となった人間のことを指す言葉だった。
顔文字を食い、アスキーアートに食われ、彼らはひとつの人間となるのだ。それが一人前になるということだ。誰もが知っていることである。
子供たちは大人からそう教えられる。大人たちは誰もがそう言う。そして周りの友人たちもそう考えているわけだから、内藤ホライゾンも自然とそのように考えていた。
初めて自分のペアとなる女の子、ツンと会った時もそうだった。
( ^ω^)「は〜 この娘の心臓をゆくゆくは食べることになるのかお」
自己紹介の言葉を並べながら、内藤ホライゾンはそのようにぼんやりと考えたものだった。ほんのりとした素朴な興奮を彼は覚えていたことだろう。
なにしろツンはとても可愛らしかったので、すぐに内藤ホライゾンは彼女のことを気に入った。たまたまその時近くにいたドクオのことを眺めては、
( ^ω^)「可愛い女の子とクソ外見をしたしょぼくれ男子、その心臓の味に違いはあるのかお?」
なんてことを頭に浮かべたものだった。
もちろん食べ比べたいわけではないし、万が一味が劣っていたとしても、内藤ホライゾンはツンの心臓の方を希望したことだろう。素直クールがペアの交換を示唆するようなことを言い出した時には内心とても焦った筈だ。
40
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:22:37 ID:7KotvZMk0
そんな自分の中の常識を、疑うわけではないにせよ、決まり事でなければよかったのになと内藤ホライゾンが思うようになったのは、一体いつからのことだろう?
元来ペアはそれらの相性がよくなるようにデザインされているものなのだが、内藤ホライゾンにとってのツンの存在は、いつしかとても大きくなっていた。
( ^ω^)「・・ツンは、成人式のことを想像したりすることあるお?」
そんなある日、そのようなことを訊いてきた内藤ホライゾンに、ツンはうっとりと答えたものだった。
ξ゚⊿゚)ξ「もちろんよ、すごく楽しみ。あんたはどう?」
( ^ω^)「・・僕も、すごく楽しみだお」
その時、内藤ホライゾンはツンのゆるゆるふわふわとした金髪の頭を撫でてそう言った。頭の中ではまったく異なることを考えながらだ。
ペアであるふたりにとって、成人式はそれまでの関係性の結晶のようなものである。成人式を経て彼らは一人前の大人となり、それまでの名前を捨てて、ペア・ネームを正式に名乗るようになる。だからペア・ネームはそれぞれのペアで考えなければならないのだ。
ほとんど形骸化している部分があったとしても、それが決まり事だった。
それが世界の常識であって、ツンは成人式で内藤ホライゾンに心臓を捧げて食べられることを最大の喜びであると考えていたし、内藤ホライゾンもまた、捧げられたツンの心臓を食べることが最高の名誉と考えている筈だった。
( ^ω^)「・・しかし、僕は」
と、内藤ホライゾンは考える。ペアとして巡り合ったあの日に比べてずいぶんと近づいて来た成人式のことを頭に浮かべると、それに対する憧れや期待に劣らず、ツンを失うことへの恐怖感や忌避感、大きな抵抗を心に抱いてしまうのだった。
41
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:23:27 ID:7KotvZMk0
同じ悩みを抱えているかもしれないアスキーアート同士として、それとなく素直クールに相談してみたこともある。
( ^ω^)「クーは、その、成人式についてどう思っているお?」
内藤ホライゾンはそれとなく訊いたつもりだったのだが、その文言はストレートなものだった。素直クールが内藤ホライゾンを真顔で見つめる。
川 ゚ -゚)「なんだい藪からスティックに」
( ;^ω^)「いや〜、僕たちも結構長い付き合いになってきて、成人式も近いっちゃ近くなってきたお。どうなのかな〜って思ってお。だめ?」
川 ゚ -゚)「別に咎めているわけではないさ。・・成人式について? 何を訊きたいのかよくわからんな」
( ^ω^)「・・クーは、ドクオと仲良いお?」
川 ゚ -゚)「それはもう。ヒイヒイ言わせてやってるさ」
( ^ω^)「ひいひい!?」
川 ゚ -゚)「方法は想像に任せるよ。それで、仲が良かったら何なんだ? ペアが仲睦まじいのはむしろそうあるべきことだろう」
( ^ω^)「・・クーは、成人式でドクオとお別れしたくないな〜とか、思ったりはしないかお?」
42
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:24:47 ID:7KotvZMk0
その質問にすぐに答えることはせず、素直クールはしばらく黙って内藤ホライゾンを眺めた。内藤ホライゾンもまた黙って素直クールを見つめる。
大きくひとつ息を吐いてその沈黙を破ったのは、素直クールの方だった。
川 ゚ -゚)「・・やれやれ、わざわざ口に出すべきことじゃあないと思うがな、訊かれたから答えるとするならば、もちろんそんなことを考えることはあるさ。この世に成人式なんてものがなくて、このままずっと今の調子でドクオやツンと一緒に暮らしていければいいのにな、と」
( ^ω^)「やっぱりそうだお!? 僕もだお!」
川 ゚ -゚)「やっぱりというか、それは誰でもそうだと思うぞ。しかしわざわざ言うことではないだろう、だって、そんなことは無理なのだから」
( ^ω^)「・・無理、かお」
川 ゚ -゚)「そうだろ。何だ、ツンとふたりでどこかに逃げ出そうとでも考えているのか? 友人として一応忠告しておくと、そんなことはすべきでないぞ」
( ^ω^)「・・やろうと考えているわけではないお。ただ、どうなのかな、って」
川 ゚ -゚)「趣味で勝手に考えるのは別に悪いことではないと思うがな、やるなら思考実験程度にするべきだ。・・ツンにその考えを話したことは?」
( ^ω^)「・・ないお」
だろうな、と素直クールは冷たく言った。
43
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:25:45 ID:7KotvZMk0
川 ゚ -゚)「それはそのまま胸に押しとどめ、ツンには言わない方がいいだろうな」
( ^ω^)「・・そう、思うかお?」
川 ゚ -゚)「思うね。そんな考え、生命への冒涜だと捉えられても仕方のないものだと思う」
( ^ω^)「でも、クーも考えることがあるって――」
川 ゚ -゚)「あるさ。彼らにとってはとても残酷なのかもしれないことを、勝手に考え、わたしの自己満足を押し付けて悦に入るようなことを頭に浮かべることは、ある」
( ^ω^)「――」
川 ゚ -゚)「ただ、わたしの場合はそれだけだ。実行することは決してないし、口に出すようなこともない。表に出したらただの妄想ではなくなるからな。妄想や思考はどんな内容だろうと個人の自由だとわたしは思っているけれど、表に出すのはせめて慎重になるべきだ」
それは自分のためにもな、と素直クールは言った。
( ^ω^)「・・自分の?」
川 ゚ -゚)「言動と思想は互いに干渉するだろう? 危険な思想を表に出せば、きっとエスカレートしていってしまう。誰かに話し、その話す自分の声を聞き、相手との会話、エピソードとなる。それに抗うのはおそらくとても難しい」
44
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:26:59 ID:7KotvZMk0
( ^ω^)「――」
川 ゚ -゚)「これまでツンに話したことがないのは、ブーンもそれが内心わかっているからじゃあないのか? そして今こうしてわたしに話したのは、ただ背中を押してほしいだけだろう。ひょっとしたら同じアスキーアートとして同調行動を期待しているのかもしれない」
よくないことだよ、と素直クールはお姉さんが弟を論すような口調で言った。内藤ホライゾンは唇を噛みしめるようにして頷いた。
大きくひとつ息を吐き、素直クールもそれにゆっくり頷いて見せる。
川 ゚ -゚)「もっとも、個人的には、そういった様々な不適切であろうことをも、色々考えておいた方がいいんじゃないかとは思うがね。顔文字について深く考え、諸々を悩み抜いた上で彼らとひとつになった方が、より良い大人になれる気がする」
ただの自己満足かもしれないけれど、と唇の端に薄い笑みを浮かべ、素直クールは静かに言った。
内藤ホライゾンは考える。
ツンやドクオはこのアスキーアートと顔文字の関係性に疑問を持ちはしないのか?
しかし、そうした疑問を持ってしまうこと自体が既に、彼らに対する裏切りのようにも確かに思えてしまうのだった。
45
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:28:06 ID:7KotvZMk0
○○○
( ^ω^)「・・アスキーアートって、何なんですかお?」
しばらく考え込んだ末、内藤ホライゾンはそう訊いた。それを聞いたジョルジュ長岡は立派な眉毛をピクリと上げた。
_
( ゚∀゚)「んん? なんだ、哲学的な質問か?」
( ^ω^)「顔文字って何なんですかお? ・・僕には、僕らと彼らの違いがあまりよくわかりませんお」
_
( ゚∀゚)「――おれは、生物学者じゃねえからな、詳しいことはわからねえ。受け売りでしかない説明ならできるけどよ」
( ^ω^)「僕も、習ったことなら知っていますお。僕らは何番目かの染色体のアレがどうにかなってて、それを基にしてアスキーアートと顔文字に産まれた時点で分けられるんですお。僕らはそれぞれとっても不完全な人間だから、ペアを作って成人式でひとつにならないと、共倒れになってしまうんですお」
_
( ゚∀゚)「わかってんじゃねえか」
( ^ω^)「本当にそうなんですかお?」
_
( ゚∀゚)「――知らねえよ」
( ^ω^)「僕は、それを知りたいと、思うんですお」
46
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:29:43 ID:7KotvZMk0
ふうん、とジョルジュ長岡は呟くようにして言った。
普通の大人だったら回答の代わりに説教を返してきそうな話をした内藤ホライゾンは、しかし即座に質問が却下されないことにわずかな希望の種火のようなものを感じ、それが風に吹かれて消えてしまわないことを祈るようにジョルジュ長岡をじっと見つめた。
沈黙。返答に困っているというよりは、言葉を選んでいた様子のジョルジュ長岡が、やがて大きくひとつ息を吐いた。
_
( ゚∀゚)「――知りたい、ね。言うのは簡単だけども、行うのは難しい代表格のような希望だな」
( ^ω^)「・・というと?」
_
( ゚∀゚)「たとえばおれが何か、真実のようなことをここで語ったとして、お前にはそれを確認しようがないってことさ。適当なことを言うことはできるさ、適当でいいんだからな、おれとお前の間には大人と子供の知識量の差があるわけだから、お前の疑問にもっともらしいことを言って誤魔化すのはそんなに難しいことじゃない」
たっぷり説得力も付けてやる、とジョルジュ長岡は言った。
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「本当に知りたいと思うのならば、方法は大きくふたつだ。自分でそれを研究するか、もしくは、研究結果が手に入る立場に自分がなるかだよ」
47
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:30:56 ID:7KotvZMk0
_
( ゚∀゚)「適当なことをひとつ言っておいてやろう。お前らが大人たちから教え込まれたアスキーアートと顔文字の違いな、ありゃあほとんど嘘っぱちだ。いや、なるべく正確に言うと、まんざら嘘じゃあないんだが、実は情報の評価として正しくないといったようなところかな」
( ;^ω^)「?? よく、わかりませんお」
_
( ゚∀゚)「う〜ん、そうだな、染色体の問題はおそらく因果関係ではなく相関関係に過ぎないようなんだ、と言ったらわかるやつにはわかるだろうけど、お前にはちょっと難しいかな」
( ^ω^)「ちょっとも何も、綺麗サッパリわかりませんお」
_
( ゚∀゚)「そうだなァ ・・お前、口笛吹けるか?」
( ^ω^)「口笛!? ええと、そんなに上手くはないけど吹けますお」
_
( ゚∀゚)「お、素晴らしい。じゃあさ、雨の日って、口笛がちょっぴり上手に吹けるだろ」
( ^ω^)「あまり考えたことないですお」
_
( ゚∀゚)「正直だな。おれも考えたことはないんだけどよ、たぶんデータを取ったらそんな結果が出ると思う。口笛を上手に吹くコツのひとつは唇の乾燥を防ぐことだから、湿度の高い雨の日は、比較的上手に吹ける筈だ」
( ^ω^)「そう言われたらそうかもしれないような気がしますお」
_
( ゚∀゚)「だろ」
48
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:32:49 ID:7KotvZMk0
_
( ゚∀゚)「でさ、雨の日って虹が出ることがあるだろう? 雨の日っていうか雨上がりか、まあどっちでもいいや。ここで、この主張は正しいとお前は思うか? 『虹を見ることには口笛を上手に吹かせる作用があるに違いない』」
( ^ω^)「虹と口笛・・」
_
( ゚∀゚)「そんなわけがないだろう? まあ確かに虹は好きなやつの方が多いから、気分が上がって上手に吹けるようになるかもしれねえが、そんな作用は本来虹にはない筈だ。ただし、これを研究しようとして、データを取ると、おそらくこの主張を裏付けるような結果が出てくることだろう」
しかしその原因は虹ではなく湿度だ、とジョルジュ長岡ははっきりと言った。
_
( ゚∀゚)「だから口笛を上手く吹こうとするやつが、そのために虹を探したり自分で水を撒いて作ったりするっていうのは、ナンセンスなようにおれには思えるわけですよ」
_
( ゚∀゚)「・・お前の疑問な、アスキーアートと顔文字の間に実際のところどんな違いがあるのか、アスキーアートとは、顔文字とは何なのか」
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「わからん。というのがもっとも正直な回答だ。わかってないんだ。それでも時間は止まってくれなくて、不十分な理解のままおれたち大人は社会を回さなければならない。それで今のところ一番良いと考えられているのが一応今の形、ってわけだな」
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「どうして今のおれたちの社会が今の形になっているかは、科学というより歴史の話になるだろうから、それこそ完全におれの専門外になっちゃうな。ハハ!」
49
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:34:13 ID:7KotvZMk0
( ^ω^)「・・なんとなくは、わかりましたお」
『適当なこと』と銘打ってジョルジュ長岡の口から発せられた、やけに信憑性があるように聞こえるその話を聞き、内藤ホライゾンはぼんやりと言った。
正確に理解できた自信はないが、最後に言われた結論のようなものがおそらく理解すべきことなのだろう。
わかってないのだ。
そして、その、真実のようなものがわかるようになるのはずっと先のことなのだろうということが、その口調から内藤ホライゾンに伝わっていた。
( ^ω^)「・・わかっていない」
_
( ゚∀゚)「そうだ。是非とも知りたいもんだがな」
( ^ω^)「わかりましたお。ありがとう、ございますお」
小さく頷いて内藤ホライゾンはそう言った。ジョルジュ長岡もその視線を受け止め、大きくひとつ息を吐いて頷いた。
そして、話はこれで終わりだ、というムードがふたりの間に漂いかけた。それを邪魔したのは、この期に及んで思い付きの疑問を口にした内藤ホライゾンの一言だった。
( ^ω^)「・・じゃあ、本当に成人式をしないとペアが共倒れになるのかも、わかってなかったりするんですかお?」
_
( ゚∀゚)「お、気づいたか。それ訊いちゃう?」
からかうような口調でジョルジュ長岡はニヤリと笑った。
50
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:35:32 ID:7KotvZMk0
これはデリケートな問題だからな、とジョルジュ長岡は前置きをする。
_
( ゚∀゚)「なんせ人の命や人生がかかってるからよ、あまり適当なことは言えないし、言いたくもねえ。しかし、それじゃあお前は納得できないか」
( ^ω^)「・・できませんお」
_
( ゚∀゚)「そうか〜 まいったな、こりゃ」
_
( ゚∀゚)「・・こっちについては諸説ある、というのが一番正直なところかな。なんせ大規模な実験ができるようなテーマじゃないからな、仮説が色々立ってはいるけど、証明するのは難しい」
( ^ω^)「仮説、ですかお」
_
( ゚∀゚)「そうだ。仮説と言ったら聞こえがいいが、こうなんじゃないかと勝手に自分が思ってることを、それぞれが勝手に言ってるようなもんだよ。仮説というより持論かな、ほとんどの説の根拠が貧弱だ」
( ^ω^)「――」
_
( ゚∀゚)「ただし、根拠が貧弱だからといって完全に否定するというのもまた、何というかデリケートなんだ。だから諸説が絞られない、慣習を変えることもできない。わかるかな?」
( ^ω^)「わかりませんお。ただ、僕がひとつ訊きたいと思うのは――」
ジョルジュさんにも持論があるんですかお? と、内藤ホライゾンは意を決したようにまっすぐ訊いた。
51
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:36:33 ID:7KotvZMk0
数秒間の沈黙が流れた。
その間に内藤ホライゾンは改めて椅子に座り直して何か大切なことを聞き取る態勢を整え、ジョルジュ長岡は一度目を逸らして大きくひとつ息を吐いた。
_
( ゚∀゚)「・・まいったね。ま、仕方がないか」
おれの考えを話してやろう、とジョルジュ長岡はゆっくり語る。その目は内藤ホライゾンをまっすぐ見ていた。
_
( ゚∀゚)「あくまで個人的にそう思う、というレベルの話だが、試してみる価値はあるんじゃないかとは思うんだよな」
( ^ω^)「! 何を、ですかお?」
_
( ゚∀゚)「もちろんペアに成人式を施さず、その後もふたり仲良く面白おかしく暮らしていってもらうことだよ。試してみる価値は、おれは個人的にはあると思う」
( ^ω^)「本当ですかお!?」
身を乗り出してそう訊く内藤ホライゾンに、しかしジョルジュ長岡は冷たい視線を投げかけた。
_
( ゚∀゚)「――本当かどうかは、わからねえ。根拠もほとんどないようなものだ。おれが勝手にそう考えているだけだよ、少年」
そしてジョルジュ長岡は突き放すようにそう言った。
52
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:37:42 ID:7KotvZMk0
○○○
木の陰からひょっこりと顔を覗かせた内藤ホライゾンを発見したツンは、飛び上がるほどに驚いた。そしてすぐさま彼に駆け寄り、近づき、本当に内藤ホライゾンがそこにいることを確かめるようにその胸に手を重ねたのだった。
内藤ホライゾンはその手に自分の手を重ね、ゆっくりとツンに頷いて見せた。
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン! よかった、大丈夫!?」
( ^ω^)「大丈夫だお、ツン」
ξ;゚⊿゚)ξ「怪我とかしてない!?」
( ^ω^)「してないお。・・心配かけてすまんかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「そんなのはいいのよ。もう、気をつけてよね」
( ^ω^)「すまんかったお」
内藤ホライゾンはツンのふわふわとした頭に手を乗せ、そこに少しだけ力を入れてツンの頭を引き寄せた。
ツンの頭は内藤ホライゾンの腕が力を入れて引き寄せただけの距離をそのまま動く。内藤ホライゾンの胸部にツンの頭が薄く重なり、ふたりはそのまま動くことなく、木の葉が風に揺られて擦れる音をしばらく聞いた。
53
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:39:07 ID:7KotvZMk0
( ^ω^)「・・もう、暗くなりかけてるお。川辺に戻った方がよさそうだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね、帰りはあたしが先に歩いてペースを作るわ。火でも焚いて暖まって、もう一度怪我していないか確認しましょ。今は痛くないだけなのかもしれないし」
( ^ω^)「今ならまだ毛皮も残ってるかもしれないお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね。今日はもう幸運を祈る気にはならないけれど、残っていたらいいわねえ」
( ^ω^)「おっおっ、残ってたら小遣い何に使うお?」
ξ゚ー゚)ξ「そうねえ――」
内藤ホライゾンが無事帰ってきたこともあってか、いつもの勝ち気そうな顔を綻ばせ、ツンは笑っていくつか皮算用をして見せた。内藤ホライゾンはそのひとつひとつに反応をする。彼らはふざけ合うようにして互いの愛情を確かめ合った。
そして内藤ホライゾンは考える。
今なのではないのか、と。
この上機嫌な空気の中こそが、自分の中にふつふつと沸き上がっているこの欲望の是非を、自分のペアに判断してもらう好機なのではないかと、彼は思ってしまうのだった。
54
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:40:21 ID:7KotvZMk0
今なのではないか、という考えと、今ではないのではないか、という考えが互いに内藤ホライゾンの頭に浮かんでは消える。
どちらにも、いくらでも、理由付けはできるのだ。
今訊くべきだという根拠を挙げろと言われれば内藤ホライゾンはすぐにできたことだろう。
同時に、今は訊くべきではない根拠を挙げろと言われても、内藤ホライゾンにはただちにできた。
ずっと訊かずにこのまま過ごす気ではないにせよ、何も今この瞬間ではないのではないか。いや、いずれ必ず訊くつもりであるのなら、それを本格的に決意した今この瞬間を逃してどうするのだ――
そんなことがぐるぐると頭を巡るのだ。時間だけが過ぎ、川辺までの距離だけが短くなっていく。
しかし、そのきっかけは向こうの方からやってきた。
ξ゚⊿゚)ξ「ねえあんた、さっきから一体何考えてるの?」
と、歩く足は止めず会話も続けているつもりだった内藤ホライゾンの、いつもと違う様子にちゃんと気づくペアがそこにはいたのだ。内藤ホライゾンの数歩先を歩くツンが大きく振り返り、心配半分興味半分といった様子でそう訊いていた。
内藤ホライゾンは顔を上げ、改めて自分のペアであるツンを見た。
55
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:41:59 ID:7KotvZMk0
夕陽が彼らを照らしていた。
まるで初めて見るような気持ちで内藤ホライゾンはツンを見た。
そのふわふわとした癖の強い金髪を、汗ばんだ頬が光を反射し輝いて見えるその様を、自分に向けられた意志の強そうな視線の元である大きな瞳を、内藤ホライゾンはじっくりと見た。
ξ゚⊿゚)ξ「・・なによ?」
( ^ω^)「ツンはとってもかわいいお」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なによいきなり!? どうしたの」
( ^ω^)「いや、何考えてるのって言われたから、今考えてることをそのまま口に出してみたんだお。失礼失礼」
ξ//⊿/)ξ「こんなところで何なのよもう・・」
からかわないでよね、と咎める口調を作って言うツンを、内藤ホライゾンはじっと見つめる。
そして、動いていた口が躊躇に追いつかれて止まる前に、そのままの思いを口にした。
( ^ω^)「僕はツンのことがとっても好きだから、成人式なんかこの先もなければいいのにな〜って思ってしまうお」
56
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:43:23 ID:7KotvZMk0
その言葉を聞いたツンが浮かべたのは苦笑いに似た微笑みだった。
ξ゚ー゚)ξ「・・そう」
( ;^ω^)「・・ツンは、そんなことを考えたりしないかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「まったくしないと言ったら嘘になるけど、まあしないわね。ふざけてそんなことを愚痴る顔文字もいるけれど――」
内藤ホライゾンの表情を探るように話したツンは、やがて怪訝そうに言葉を続けた。
ξ゚⊿゚)ξ「まさか、本気で言ってるの?」
( ;^ω^)「――」
ξ゚⊿゚)ξ「呆れた。冗談でもあまり言ってほしくはなかったわね」
それまで彼らの間に漂っていた仲睦まじい雰囲気ごと吐き捨てるようにそう言うと、ツンは進行方向を向いて強く足を前に進めようとした。
( ;^ω^)「ツン、待つお!」
内藤ホライゾンが伸ばした右手が今度はツンの左手を掴むことに成功する。そのままその手に力を込めて、内藤ホライゾンはツンが行こうとするのを押しとどめた。
彼らの体だけが向かい合う。
夕陽がその身を隠しかけ、じきに世界に闇が訪れようとしていた。
57
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:45:11 ID:7KotvZMk0
( ;^ω^)「――僕にはよくわかんないんだお。ツン、僕はただこのままずっと、僕の大好きなツンと一緒にいたいと思っているだけなんだお。そんなにいけないことなのかお!?」
ξ ⊿ )ξ「――」
( ;^ω^)「さっき僕が穴に落っこちていった先には、僕らがこれまで見たことないような明るくてきっかりとした部屋があったお。そこには色々教えてくれるおじさんがいて、この山に入った僕らやドクオやクーのことを観察してたと言ってたお。そんなことができるなんて信じられなかったし、この山にあんなところがあるなんて僕には信じられなかったお。これまで誰からもそんなこと、聞いたこともなかったお。きっと大人が子供に隠していることが他にも色々あるんだお」
( ;^ω^)「そのおじさんは、成人式をやらなかったとしても、僕らが共倒れにならないこともあるかもしれないと言ってたし、試してみる価値はあると言ってたお。僕にはおじさんが嘘を吐いているようには見えなかったお」
( ;ω;)「僕は、ツンもそれを望んでくれるのなら、何とかしてツンと一緒にずっと暮らせるようにできないだろうかと思ったんだお。強制したいわけでもなくて、それについてのツンの考えを聞いてみたかっただけなんだお――」
向かい合わせにツンの肩を抱き、すがるようにそう語る内藤ホライゾンの言を、ツンはただ黙って聞いていた。
やがて内藤ホライゾンの言葉が途絶える。言うべき言葉を失い、顔を上げた内藤ホライゾンは、自分のペアが静かに涙を流しているのに気がついた。
58
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:46:45 ID:7KotvZMk0
( ;ω;)「ツン――?」
ξ ⊿ )ξ「ブーン・・ あんた、自分が今、何を言ってるかわかっているの?」
( ;ω;)「わ、わかってるつもりだお」
ξ ⊿ )ξ「そう? まったく気持ちがわからないわけではないけれど、あんたが今言ったことは、あんたはあたしのことを実は愛してなんかいなかったし、顔文字としてのあたしにはまったく価値がないってことよ・・?」
( ;^ω^)「なッ!? そんなこと、まったくないお! 僕はツンのことを好きだし、愛しているし、ツンに価値がないなんてことは絶対ないお!」
ξ ⊿ )ξ「・・だったらなんで、あたしと一緒にならなくても生きていけるだなんて思えるのよ!」
( ;^ω^)「!? 僕はツンと一緒にいたいんだお!?」
ξ ⊿ )ξ「ちがうでしょ!」
ξ ⊿ )ξ「顔文字は、成人式をすることによって、アスキーアートと一緒になるんでしょ! ひとりの人間として、ずっと一緒に生きていくんでしょ!?」
ξ ;⊿;)ξ「なんで、あんたがそれを、否定するのよ・・」
59
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:49:27 ID:7KotvZMk0
太陽が完全に沈もうとしていた。
夕方が夜へと移行する。夕陽を反射し輝いて見えたツンの顔もそのほとんどが闇に覆われてきており、その細かな表情を内藤ホライゾンが窺い知ることはできなくなっていた。
しかし内藤ホライゾンに沈黙は許されない。
1歩の距離を隔てたツンを抱きしめようにも、向かい合わせに肩を抱いているその両腕に力を込めることが、今の内藤ホライゾンにはどうしてもできないのだった。
( ;^ω^)「ごめんお、ツン、そんなつもりじゃなかったんだお。僕はただ――」
成人式までの間じゃなくて、もう少し長く、内藤ホライゾンとツンとして一緒にいたいと思っただけなんだお、と内藤ホライゾンは重ねて言った。
それを聞いたツンは上着の袖で涙を拭い、仮に暗闇の中だったとしてもわかっただろう鋭い視線で自分のペアを睨みつけた。
ξ゚⊿゚)ξ「もう少し長く? あんた、それって、一体いつまでそうしようと考えているの?」
( ;^ω^)「え・・」
60
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:51:53 ID:7KotvZMk0
ξ゚⊿゚)ξ「不老不死にでもなるつもりなの? もしそうじゃないのなら、あんたは一体あと何年間生きているつもりなの? 10年? 20年? もっとずっと長いのかもしれないけどね、誰であっても、どうせいつかは死ぬんでしょ?」
( ;^ω^)「――」
ξ゚⊿゚)ξ「もしいつか必ず死ぬんだとしたら、それが早いのと遅いのにどんな違いがあるっていうの? どうせいつかは死ぬんだったら、あたしは、いつかは死ぬことを前提として、一番良い死に方をしたい!」
ξ゚⊿゚)ξ「それにはあたしのもっとも愛するアスキーアートにこの血を与え、心臓を捧げ、ひとりの人間として一体化することよ。そうしてあたしはあんたとその先ずっと一緒になって、暮らして、生きて、いつかはひとりの人間として一緒に死んでいくんだ、って思ってた・・」
( ω )「・・・・」
( ^ω^)「・・怖くは、ないのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「怖いわ! ううん、怖かった。今でも怖くなることはある。それでも、その怖さを超越するような愛をあんたと育めていることがその度に実感できて、それがあたしにとっては何よりの幸せだった」
それもあたしの勘違いだったのかもしれないけれど、とツンは呟くようにして言った。
61
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:54:40 ID:7KotvZMk0
沈黙と闇が彼らの周囲を支配した。
光源と呼べるものはわずかな月明りと星の瞬き、そして、少し歩いたところに見える小さな炎の塊だけである。
焚火がおこされているのだろう。内藤ホライゾンとツンは、素直クールとドクオとの集合場所である慣れ親しんだ川辺のスペースまであと少しのところまで迫っていたのだった。
彼らと交わした約束では日が暮れる頃には戻っていることとなっていた。その炎の光が目に映る。自分とツンに残された時間がとても少ないことを内藤ホライゾンは再認識する。
( ^ω^)「――ツンは、勘違いなんかしてないお」
そして内藤ホライゾンはそう言った。
( ^ω^)「勘違いしていた、誤解していたのは僕の方だお。ツンがそんな気持ちでいたなんて、僕には想像できてなかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン・・」
( ^ω^)「ごめんお、ツン、僕はツンのことが大好きだお。愛しているお。もちろんツンとひとつになりたいお。それが僕にとって最大の幸せで、名誉で、かけがえのないことだお」
ξ゚⊿゚)ξ「――本当?」
もちろんだお、と内藤ホライゾンはまっすぐツンを見つめて言い、肩を抱き寄せ、ふたりを隔てていた1歩の距離をゼロにした。
62
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:56:22 ID:7KotvZMk0
ξ゚ー゚)ξ「――うれしい」
こぼれるようにそう言うツンを内藤ホライゾンは強く抱きしめキスをした。これまで何度も重ねてきた筈の唇の感触を、この時まるで初めてのもののように感じたことが内藤ホライゾンには不思議だった。
至近距離で見つめ合う。
周囲に漂うわずかな光を集めてツンの潤んだ瞳に浮かべているようだと、内藤ホライゾンは抱きしめられるままにしているツンを見て思う。
心臓の位置にわずかに触れると確かな鼓動が確認された。
ξ゚ー゚)ξ「・・クーとドクオが待ってるわ」
そう言い抵抗して見せるツンの、力の入っていない手をゆっくりと押しのけ、内藤ホライゾンは再びツンにキスをした。
63
:
名無しさん
:2021/10/22(金) 23:59:01 ID:7KotvZMk0
○○○
内藤ホライゾンがジョルジュ長岡の顔を再び見たのは彼らの成人式でのことだった。ジョルジュ長岡は儀式に連なる大人のひとりとしてそこにいた。
そして彼らが再び会話をしたのは、内藤ホライゾンがツンの血を飲み、心臓を食らい、正式に彼のペア・ネームであるブーンを名乗るようになった後でのことだった。
成人した彼らはそれぞれの生業に向けて進路を選択しなければならなかったのだ。
数多くある選択肢の中から内藤ホライゾンと素直クールは共に研究職を希望していた。そしてその念願が叶って最初の1日目となる説明の場で、内藤ホライゾンはジョルジュ長岡に改めて再会したわけだった。
_
( ゚∀゚)「――今年の研究職員は2名、クーとブーンか。おれはジョルジュだ、よろしくな。これからしばらくは研修期間みたいなもんだ、お前らの配属や研究テーマが決まるまでは、とりあえずおれがお前らの直属の上司のような扱いとなる」
川 ゚ -゚)「よろしくお願いします、クーです」
( ^ω^)「ブーンですお。お願いしますお」
_
( ゚∀゚)「あいよ。しかし、正直ブーンがここに来るとは思ってなかったな、大変だったろ」
( ^ω^)「・・頑張りましたお」
内藤ホライゾンは深く頷いてそう言った。
64
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 00:00:52 ID:ofi59KLA0
実際のところ、“ハグレ”を探しに山の奥まで入ったあの日以降、内藤ホライゾンは同期の中でもっとも勤勉なアスキーアートのひとりとなった。それまでの、どちらかというと純朴で、必死になったり何かに執着したりすることの少なかった振舞いからは意外なほど貪欲に、周りのすべてを学んでいった。
( ^ω^)「僕は、生物学者になるお」
ある日の勉強を教えてもらう合間の時間に内藤ホライゾンはそんなことを口にした。
その場の教師役を務めていたツンは勉強の合間の休み時間にしか許さない柔らかな笑みを浮かべ、内藤ホライゾンへ見上げるような視線を投げる。
ξ゚ー゚)ξ「・・そう。だから最近そんなに頑張ってるの?」
( ^ω^)「そうだお。成人後の進路の希望は成績順に叶うからお」
ξ゚⊿゚)ξ「あんたが学者ね。全然似合わない気がするけれど、ま、あたしと一緒だったら意外とやっていけるかもね」
( ^ω^)「・・そこんとこよろしくお。今は僕が頑張らないといけないから、仕方なく頑張るお」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、成人した後も、基本はあんたが頑張りなさいよね」
( ^ω^)「僕はたくさん頑張るお!」
65
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 00:02:36 ID:ofi59KLA0
素直クールにツンにドクオと、内藤ホライゾンの周りには優秀な子供が揃っていたので、内藤ホライゾンは彼らからそれぞれの得意分野について学んでいった。その結果、成人式を迎える頃には駆け引きの必要なく自由な職業選択が可能となる数少ない子供のひとりとなっていた。
その急激な成績の上昇をみせた内藤ホライゾンが研究職を選択したのに周りの子供たちは驚いたものだった。直接の実入りが少ないにも関わらず優秀な学力が必要とされる研究職は、俗っぽい欲求にさほどの興味を抱かない、いわば物好きの行う選択と子供たちに見なされていたからだ。
その点、同じ進路を望んだ素直クールの選択は、ある意味すんなりと受け入れられた。
おそらくあの日以前の内藤ホライゾンであったならば、たとえ進路の自由な選択が許されていたとしても、研究職を選ぶことは決してなかったことだろう。内藤ホライゾンは狩りが好きで、獲物を捌くことが得意で、傷ひとつない毛皮の作成が誰よりも上手だったのだ。
その技術は成人式でも発揮された。
意識を保ったままで刃物からの苦痛を消失させる、特殊な薬剤が投与された顔文字たちは、それぞれがそれぞれのアスキーアートから生き血を抜かれる。盃に受けた自分の血液を飲むペアの様子を、血圧の下がりつつあるふわふわとした意識の中で確認するのだ。
66
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 00:05:26 ID:ofi59KLA0
そして彼らはペアの手によって生きたままに胸部を開かれる。
成人式に向けて揃えられた儀式用の煌びやかなナイフを扱うのもまた、内藤ホライゾンは同期の誰よりも上手かった。手際よく内藤ホライゾンが自分の体に刃物を潜らせる様をうっとりと眺めるツンは潤んだ瞳で愛の言葉を囁いた。
ξ゚ー゚)ξ「ああブーン、とっても好きよ、あんたがあたしのアスキーアートでよかった」
( ^ω^)「・・ツン。ツンはとっても綺麗だお」
美しく血にまみれるツンに内藤ホライゾンはそう言った。
意識を保っていられるだけの血圧が顔文字に残っている内に心臓を取り出し、その鼓動を最期に見せてやるには熟達した技術が必要とされた。これを成人式の場で成功させられるアスキーアートはきわめて少ない。
しかし、もちろん内藤ホライゾンにはこれができた。取り出された自分の心臓にキスをする内藤ホライゾンの姿を恍惚の表情で眺めるツンは、一体どのような感情でいたことだろう?
ややナイフ技術が拙い素直クールの作業に辛抱強く付き合い、その血と心臓を捧げたドクオは?
いずれもアスキーアート達には決してわかり得ないことだった。
67
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 00:08:17 ID:ofi59KLA0
内藤ホライゾンはアスキーアートだった。
「アスキーアートって何?」
「顔文字とどう違うの?」
そんなことを疑問に思う人もいることだろう。誰もが一度は考えてみる筈だ。
しかし誰もがいつか受け入れる。アスキーアートとして生まれたからにはアスキーアートとしての人生を歩まなければならないし、顔文字として生まれたからには顔文字としての人生を歩まなければならない、と。
自分がアスキーアートであったことや、ツンが顔文字であったことを内藤ホライゾンは受け入れた。
( ^ω^)「・・しかし、僕はやっぱり知りたいお」
内藤ホライゾンはそう思う。知らなければならないと思うのだった。
大人となった初日の仕事を終え、帰りの道のりを素直クールと並んで歩く。世界は明るく日の光に包まれていて、内藤ホライゾンは遠くに慣れ親しんだ山を見る。
そしてじんわりと思い出す。
そこからツンと見上げた空は、終わりなどないように見える、眩暈を覚えるような青さをしていた。
おしまい
イメージソング:ポロメリア/Cocco
https://www.youtube.com/watch?v=f8MPJEBCy9o&ab_channel=GuyritchieKr
68
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 00:14:11 ID:rEqq0NDs0
乙。リアタイで読み切ってしまった
読み出しからは予想のできない展開に引き込まれました
69
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 01:13:10 ID:Q.7hz3ls0
乙。
70
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 18:38:07 ID:5DlntLkU0
顔文字とアスキーアートの曖昧さを巧く利用してる良作だった、乙
71
:
名無しさん
:2021/10/23(土) 19:37:51 ID:meIBMc6o0
すごく良かった、乙
72
:
名無しさん
:2021/10/24(日) 00:02:08 ID:dGLvPCmI0
綺麗だ
73
:
名無しさん
:2021/10/26(火) 21:53:21 ID:WibnueVs0
乙
世界観に引き込まれた
これはすごい
74
:
名無しさん
:2021/10/29(金) 08:49:02 ID:m./r4bQY0
乙
クードクの関係性がめちゃくちゃ刺さってしまった
75
:
名無しさん
:2021/10/29(金) 11:05:00 ID:F4DeK6Mo0
乙です、めっちゃ面白かった
76
:
名無しさん
:2021/11/05(金) 22:36:38 ID:UObOviRE0
乙、面白かった
見た目で言えば猟奇的なのかもしれないけど、綺麗だと思ってしまった
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