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('A`)姥捨川のようです

1 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:01:51 ID:XDMznai60





2020年(令和2年)。


水難による死者・行方不明者は、


722人。(前年対比+27人)





このうち、65歳以上の者。


369人。(構成比51.1%)





【警察庁生活安全局生活安全企画課 「令和2年における水難の概況」 より抜粋】

2 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:02:47 ID:XDMznai60








('A`)姥捨川のようです







                             .

3 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:04:01 ID:XDMznai60



いつまで、こんな生活を続けなければならないのだろうか。


('A`)「…………」


そんなことをぼんやりと考えながら、俺は台所で昼飯の準備をしていた。



炊飯器から茶碗へ少なめに米をよそう。
それと、毎朝配達される宅食の弁当、少し冷ました茶をお盆に乗せ、食卓へと運ぶ。

これで用意はできた。
俺はいつものように一室へ向かう。


('A`)「お袋、昼飯」


母の部屋の襖を開け、俺は短くそう告げた。
事務的で、必要最低限の台詞だった。


「あぁ、ドクオ」


母が、ゆっくりとこちらへ振り返る。

六畳一間のその部屋は、いたって簡素な内装だった。
24型のテレビ。
畳の間には不似合いな、大型のベッド。
そして―――父の仏壇。

家にいる間、母はずっと、この部屋にいる。

4 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:05:48 ID:XDMznai60
母はベッドに腰掛けた体勢のまま、何も言わずにじっとこちらを見つめている。
先程の言葉が聞こえていなかったようだ。
俺はもう一度、


('A`)「昼飯」


と、一言。


「あぁ……はい、お昼ね。ごめんなさい。すぐ、行くからね」


母は、よっこいしょ、と声を上げながら立ち上がる。
俺は踵を返し、食卓へと戻った。

椅子を引いて、母が座りやすいようにしておく。
廊下の方を見ると、母はまだ部屋の前で襖を閉めている。
俺は心の中で溜め息をつくと、のそのそと動く母の姿をただ黙視した。

それからたっぷりと時間を使い、母はようやく俺が引いていた椅子に腰掛けた。
ガタガタと椅子を押しやって良い位置に調整し終えたら、俺は食卓の横に設置されたソファーに飛び乗るように座った。
ズボンのポケットからスマホを取り出し、SNSを何とはなしに巡回する。


「準備してくれてありがとうね。じゃあ、いただきます」


母はスプーンを手に取り、ご飯を掬い取る。
しばらく前から母は、箸が上手く扱えなくなってしまっていた。

5 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:08:01 ID:XDMznai60
「ドクオ。あんたは一緒に食べないの?」

('A`)「俺は後で食べるよ」


母からの問いかけに、俺はスマホの画面から目を離さずに答える。


「一緒に食べた方が片付けとか楽でしょう?」

('A`)「……今はまだあんまり腹減ってないから」

「そう……。なら、しかたないねえ」


それで会話は終わった。
それからは、部屋には食器の音だけが絶えず鳴るだけだった。



さして興味のないネットニュースをざっと眺める。ふと、食器が擦れる音が止まり静寂が訪れた。
顔を横に向けると、母はスプーンを置いていた。食べ終わったようだ。
俺は立ち上がり、小棚から錠剤を取り出すと母の前に置いた。


「ありがとうね」


母はそう言って、数種類ある錠剤を一つずつ口に運んでは繰り返しお茶で流し入れていた。

6 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:10:38 ID:XDMznai60
母を自室へ戻し、俺は後片付けをしながら思考を巡らせる。


('A`)(今日はまだ、安定してる方、か……)


今からおよそ三年前、母は認知症と診断された。
始まりは一つの電話からだった。







('A`)「え……。母が、ですか?」


当時、都心で一人暮らしをしていた俺の元に、警察から連絡が入った。
なんでも、俺の母を保護したので身元引き受けをしてほしい、とのことだった。


('A`)「あ、でも……。俺、いま別の県に住んでいまして。ちょっとすぐに向かうのは……」


結局その日は警察の方から家に送ってもらう、ということで話がついた。


('A`)(なにやってんだよお袋……)


どうも、明かりも消えた深夜の畦道を、一人でフラフラと歩いていたとのことだ。
別に散歩好きでもなかったはずの母の行動に疑問を覚える。


('A`)(仕方ないか……。しばらく帰ってなかったし、一度帰ろう)


父の初盆。
最後に帰ったのがそれだから、もう五年は帰郷していなかった。

7 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:12:34 ID:XDMznai60
父は癌だった。
発見されたときはもう手の施しようがなかった―――らしい。
らしい、というのは、俺はその頃は既に都心にいたから。

入院して、痩せて細くなった、でも息子の姿を見て嬉しそうに笑っていた父を、俺は一度見舞っただけだった。
その後に俺が再び実家に帰ったのは、父の葬儀を執り行うためだった。



葬儀の間、母はずっと泣いていた。
息子の俺から見ても、父と母は仲の良い夫婦だった。


('A`)「元気出せよ、お袋」


葬儀が終わっても尚、泣いていた母にその一言だけを残して、俺は都心へと戻っていった。



或いは、もしも俺がこの時、もう少し母に寄り添えていられたのなら、母の認知症は発症しなかったのだろうか?
今、改めて思い返せば、父の死が認知症の引き金になっていた事は間違いないだろう。

でも、俺は何もしなかった。
初盆は帰って墓参りはしたものの、それ以降俺が母に会いに行くことはなかった。

8 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:13:57 ID:XDMznai60


警察から連絡を受けた翌日、母へ電話をかけることにした。
そういえば、電話すら久しぶりだな、と思った。

数回のコールの後、電話が取られる。


「……はい、もしもし」


低く、くぐもった声だった。
記憶の中にある母の声とは違っていた。


('A`)「あ、お袋? 俺だけど」

「……どちら様でしょうか?」

('A`)「……?」


違和感を覚える。
何故、俺だと分からないのだろうか?
電話がかかってきた時に俺の名前が携帯に表示されたはずだ。
それに、俺は一人っ子だ。母を「お袋」と呼ぶ人間は、俺だけしかいない。


('A`)「いや、俺だって。ドクオ」

「…………」


数刻の沈黙の後、


「…………ああ! なんだ、ドクオかい。久しぶりだねえ」


明るい声が通話口から出力される。
記憶の中の声に、近づいた気がした。

9 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:16:49 ID:XDMznai60
('A`)「ああ……。それでさ、昨日警察から電話がかかってきたんだけど―――」


それからしばしの間、母と会話をした。
母が言うには、買い物で遅くなっただけで特別変なことはしていないのだと。

しかし、俺が週末に帰郷するつもりだと告げると、母は大歓迎だった。
「お父さんのお墓にも顔見せてあげなさいね、きっと喜ぶから」と。



そして週末、俺は新幹線に乗り込み、数年振りの帰路に就く。

窓から流れ行く風景を眺めつつ、考える。
母と電話した時―――もしそこで、特に何も察知しなければ、わざわざ帰る必要も無かったかもしれない。
しかし俺は、その時に漠然とした不安を抱えていた。
「まさか……」と思う反面、きっと思い過ごしだろうと、半ば強引に楽観視していた。



だが、そういう時の不安というものは、往々にして当たってしまうのだろう。
本人の希望に反する形として。



新幹線から普通電車に乗り継ぎ、さらに揺られること数時間。最寄りの駅に到着した。
駅を出て、家までの道のりを歩いていく。
幅の広い川に沿って進んだ。幾百とも見てきたその景色に、思わず舌打ちをする。


('A`)(ちっとも変わらないな……。まるでこの一帯だけが時代に取り残されたようだ。それが嫌で、俺は―――)


この町を捨てて、都会に出た。
もはや俺にとって、ここは帰ってくる場所では、無いのだ。

10 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:18:35 ID:XDMznai60
歩くこと二十分。実家に到着する。
「宇津田」と書かれた表札は、随分と色褪せて見えた。
家の前で、俺は少しばかり二の足を踏む。無論、自分の家なのだから遠慮なく中に入ればいいのだけれど。

これまでの嫌な予感。
もしそれがただの取り越し苦労ならば問題ない。一泊でもして明日また都心に戻ればいい。

しかし、仮にそうではないのであれば―――


('A`)(……ここで考えても、仕方無いな)


意を決し、俺は玄関へと歩を進め、扉を開けた。


('A`)「ただいま」


そこまで声を出した後、


('A`;)「―――っ」


俺は絶句することとなった。
玄関から見える廊下。少しだけ窺える部屋の中。そのどちらもが、まるで泥棒に押し入られたかのように荒れていた。
衣類は散乱し、新聞紙の山は崩れ落ちたまま放置され、あちこちに薄く積もった埃は屋内の空気を最悪にしている。

本当に、ここは俺がかつて住んでいた家なのか。
あまりにも荒れ果てた実家の姿に、俺は何とも言い表せないほどのショックを受けていた。

11 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:20:20 ID:XDMznai60
「あらあら、帰ってきてたのねドクオ。そんなところに立ってないで、早く上がりなさいな」


玄関先で凍りついている俺の元に、母が何気ない様子で部屋の奥から歩み寄る。
その極々自然な母の様子と異質な環境が、俺をますます混乱させた。


('A`;)「お袋……。何だよ、コレ……?」

「え? まあ、いいから上がりなさい。疲れたでしょう?」

('A`;)「いや待って。何だって言ってるだろ、この家の中は!」

「ああ……、そうね、ごめんなさいね。少し汚れているでしょう?」

('A`;)(『少し』? コレが、少しだって―――?)


当然、許容できる範囲を明らかに大きく越えた様相だ。
俺が子供の時の母は綺麗好きで、毎日の掃除を欠かしていなかった。


「お父さんがいなくなってから、つい手を抜いちゃうのよねぇ」

('A`;)「……」


もう、疑いようがないのだろう。
薄々勘づきながらも、その事実から目を逸らせたくて、深く考えないようにしてきたのに。



きっと母は、認知症になってしまった。

12 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:21:46 ID:XDMznai60
今すぐにでも母を病院へ連れていきたかったが、その日は土曜日だった。月曜まで待つしかない。
後で会社に有給申請をしなければ、と思い、ひとまずは部屋の掃除をしようと考えた。
恐らく母に掃除を手伝ってくれと言っても意味がないのだろう。母は置いておいて、まずは家の中の状況を把握するために見て回ることにした。

台所は特に汚れているようだった。生ゴミが放置されているのか、どこからか異臭が漂ってくる。
冷蔵庫の中を見てみる。黒ずんだ野菜と、何故か使い終わった後の食器が入っていた。

トイレはトイレットペーパーが散り散りに床に落ちている。
風呂場の浴槽には洗濯物が大量に浸かっている。

何処もかしこも、見ているだけで頭が痛くなってくる状況だ。
ただ、その壊滅的とも言える家の中で唯一。





父の仏壇。
まるで聖域であるかのように、その場所だけは綺麗に整えられていた。




                             .

13 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:22:59 ID:XDMznai60
二日後の月曜日。

戸惑う母を無理矢理タクシーに乗せ、病院へ行って医師に診てもらう。
診察の結果、認知症である可能性が極めて高いと診断された。
初期と中期の中間くらいの進行度だと聞かされる。


「これからは、介護が必要になってきます」


医師から放たれたその言葉が、俺の脳内で反響する。

介護。
母を介護しないといけない。
誰が?
当然、俺だ。
他に頼れる人なんていない。
でも俺は都心での仕事があるのに。
週末はともかく、平日の仕事終わりに毎日実家まで帰るのは無理だ。
ならばどうする?



仕事を―――辞める?



                             .

14 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:24:45 ID:XDMznai60
('A`)「あの、施設に入れさせてもらうことは出来るんですか?」


俺の質問に対して、医師は難しい表情を見せる。
曰く、母の現在の症状から推察すると、施設に入居するほどの補助金を受けることは期待できず、金銭的負担がかなり大きくなる事が一点。
もう一点として、そもそもこの近辺の施設に空きがほぼないという事。
この地域は高齢者が多く、順番待ちの状況が長らく解消されていないらしい。


('A`)「そうですか……」

「ひとまず、お母様にはより詳細な検査が必要になりますので、しばらく入院していただきます。
 その間に今後のことについて、お考えください」

('A`)「……」


入院の手続きを済ませ、病院を出た俺は一度家に戻って荷物を手に取り、そのまま帰りの電車に乗った。
揺れ動く車内で一人、俺は考える。
行きの移動でも考え事をしていたが、悩みはより大きな種となって舞い戻ってきてしまった。


('A`)(…………クソッ)


医師は考えろと言った。
だが何を考えろというのか。
母は俺が介護しなければならない。都心に住みながら介護は出来ない。
だったら。


('A`)(選択肢なんて、元から在りはしないじゃねえか……)


考えることなど何も無い。
決めるべきは覚悟だ。
『諦める』という、覚悟を。

15 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:26:38 ID:XDMznai60


そして俺は会社に退職届を出し、住んでいたアパートを解約した。
あれほど嫌っていた田舎に、戻ることになってしまった。

実家に帰った俺は、前回十分に出来なかった掃除から始めることにした。
この際だからと、不要なものは徹底的に処分した。高価そうなものがあれば売りにでも、と思っていたが、あいにくそんなものは無かった。
それなりに整頓が済んだら、次に介護用ベッドを探した。どんなものだろうと思ってネットで検索したら、案外安いものがあったので、それにした。

そうしていると、母が退院して家に帰ってきた。
母は俺にしきりに謝っていた。自分のせいで仕事を辞めることになって申し訳ない、と。

俺は、


('A`)「仕方無いだろ。俺以外にお袋の面倒見ることが出来る奴がいないんだから」


と言った。
母は悲しそうな顔をして、もう一度「ごめんなさい」と謝った。



週三回でホームヘルパーを雇うことにした。ヘルパーには主に入浴補助をお願いした。

16 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:28:51 ID:XDMznai60
ある程度態勢が整いつつあったので、仕事を探すことにした。
父の保険金や母の年金などはあったが、将来を思うと働かざるを得なかった。

以前の会社ではIT系に勤めていた。しかし田舎では当然そんな求人など在るはずもない。
となると別業種への転職となる訳だが、経験もなければ若さもないので、仕事を選べる立場にはなかった。
とにかく片っ端から履歴書を送り、連日のように面接を受けたことで、ようやく小さな町工場での仕事に就くことが出来た。

採用が決まった後に分かったことなのだが、どうやらここの社長は俺の父と古くからの付き合いがあったらしい。
父はかつて建設関連の仕事をしていて、この工場を建てるときに懇意にしてもらったとのことだ。
まだ幼い頃の俺とも会ったことがあると聞いたが、あいにくと俺はまるで覚えていなかった。

母の介護のために地元に戻ってきたことを告げると、社長は気の毒そうな顔で、


「そうか、奥さんが……」


と呟き、


「ドクオ君、もし何か困ったことがあったら私に言いなさい。出来るだけ力になるから」


と、俺の顔をしっかりと見ながら言った。


('A`)「……ありがとうございます。お世話になります」


とは言え身内の問題をあまり外に持ち出したくない俺は、曖昧な表情で返事をすることになったのだった。

17 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:30:58 ID:XDMznai60


そして、三年の月日が経過した今。

母の病状は良くなる気配を一向に見せず、緩やかではあれど悪化の一途を辿っている。
認知症は治らない。故にどれだけ進行を妨げるかが焦点になる訳だが、果たしてその行為が報われる時は来るのか。



例えるなら、盆に入った水のようなものだ。
こぼさないように慎重に取り扱っても、ふとした時に少しずつ落ちていってしまう。
いつかは全て無くしてしまうのなら。今ここで己の神経をすり減らす必要性を、どうしても考えてしまうのだ。



「覆水盆に返らず」なのは母の記憶か。
それとも、俺の人生なのだろうか。

18 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:33:01 ID:XDMznai60


とある日の昼時。

俺は工場業務の昼休憩中、コンビニで買ってきた弁当を黙々と食べていた。
ふと、携帯から着信音が鳴る。画面を見ると家の近所の交番からだった。
嫌な予感を覚えつつも、出ないわけにもいかないので携帯を耳に当てる。すると、若く快活そうな男の声が聞こえた。

男は交番に勤める警察官で、母の件で度々お世話になっている人だ。
やはり今回もそうで、どうやら母が全くの他人の家に侵入、家主が通報したために母は保護されたようだ。


('A`)(クソッ。またかよ……)


母の徘徊癖は色々在る悩みの内の一つだ。
いくら勝手に出歩くなと再三言っても聞かず、こうして毎回警察の厄介になる。
その尻拭いをするのは、一体誰だと思っているのか。

何にせよ警察から呼ばれては無視することも出来ない。しぶしぶ俺は社長の元へ行き、説明する。


「そうか、分かった。業務は気にしなくていいからすぐに向かってあげなさい」

('A`)「済みません……。ご迷惑かけます」

「いいからいいから」


社長の許可を貰い、俺は仕事を抜け出して車で母を迎えに行く。
交番に着くと、先程電話に出ていた警察官と、椅子に座った母がいた。母は俺の顔を視界に収めると、ばつの悪そうな顔をして目を背けた。
俺は警察官に平謝りしたあと、母を車に押し込んで家までの道を走った。

19 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:34:03 ID:XDMznai60
('A`)「あのさあ、何度も言ってるよな。勝手に一人で外に出るなって」


運転中の俺は前方から視線を外さずに、後部座席にいる母を責め立てる。


「お買い物に行っていたのよ。今日の晩御飯の分の」

('A`)「は? いやもうお袋は料理しないだろ」


母は長らく料理をしていない。
少なくとも俺が田舎に帰ってきてからは、一度も台所に立たせていない。


「でもアナタ、いっつもスーパーのお惣菜ばかりでしょ? 駄目よ揚げ物ばかりとか摂っちゃ―――」

('A`)「いいから、そういうの。余計なことしないでくれよ。大体買い物に行ったのに何で余所の家の敷地に入るんだ?」

「それは……、ちょっと道に迷っちゃって」

20 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:35:26 ID:XDMznai60
('A`)「それに第一、お袋は金持ってないだろ。買い物なんて出来ないんだよ」


家の金は全て俺が管理している。
母には一円も手渡してはいない。


「持ってるわよ、お金くらい」

('A`)「……ああもう、いいって。ほら、着いたぞ」


家に到着した。
母の手を引いて、部屋まで送る。


('A`)「いいから家でじっとしていてくれよ。俺いま仕事抜け出してここに来てるんだからな。早く戻らなきゃいけないんだよ」


母は俺の言葉に対し、無言だった。
きっと納得がいかないのだろう。
だからまた、徘徊を繰り返すのだ。

俺はその場で大きく溜め息をついてから、車に戻った。



職場へと帰る道を走りながら、思う。
ピントの合わない会話を続けるのはストレスが溜まるな、と。

21 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:36:34 ID:XDMznai60


別の日の夜。

翌日も仕事がある俺は、日が変わる頃には布団の中に潜り込んでいた。
最近の疲れもあってか、すぐに眠りに落ちていた。


('A-)(…………?)


だが、俺は目を覚ます。
誰かの喋り声のような音が耳に入ってきたからだ。


('A`)(何だ……?)


それはどうやらテレビの音のようだ。
音源は、俺が今いる二階の下、一階の母の部屋からと思われる。

辺りはまだ暗い。時計を見ると午前二時を回ったところだった。

22名無しさん:2021/10/16(土) 19:36:57 ID:d9419uZs0
支援

23 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:38:49 ID:XDMznai60
('A`#)(クソッ、こんな遅くに!)


階の違う俺の耳にも会話の内容が伝わるくらいの大音量だ。
眠りを妨げられた事、そしてそれが最近の疲れの原因となっている母の仕業だという事が、俺の怒りを一気に最高潮まで引き上げる。
布団から飛び起き、大股で階段を降りて母の部屋の襖を力任せに開ける。


('A`#)「うるせぇよ!! いま何時だと思ってんだ!!」


いきなり現れて大声を出した俺に驚いたのか、母はポカンとした表情でこちらを見てきた。
その間も何らかのバラエティー番組を映したテレビは爆音を鳴らし続けている。
司会者と思われる男の下品な笑い声が、俺の怒りをより一層高めた。


('A`#)「テレビだよテレビ! 早く音量下げろ!」

「なによ急に。ちょっと聴こえづらかったから音上げただけじゃないの」

('A`#)「ちょっとじゃねえんだよ! いいからさっさとそのテレビ消せよクソボケババア!!」

「ちょっとアナタ、母親に向かってそんな汚い言葉を―――」

('A`#)「あークソッ!!!」


母と問答してても埒があかないと判断した俺は、ずかずかと部屋に入っていき、テレビのコンセントを思いっきり引っこ抜いた。
当然テレビは消え、一気に辺りは静寂に包まれた。


('A`#)「近所迷惑なんだよ! いいからとっとと寝てろ!!」


俺は母の反論など聞く間も与えず、そのまま二階へと上がっていった。
ようやく静かになったところで布団に潜り込むも、興奮のせいで眠れるわけもない。
結局俺は、次の日寝不足で疲労感に襲われながら仕事に向かうはめになってしまった。

24 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:41:33 ID:XDMznai60


さらに別の日。

日も落ちた頃、仕事から帰宅した俺は明かりもなく暗い我が家に入る。
母は自分の部屋の中にいるのでそこだけぼんやりと光が灯っているが、それ以外のところは真っ暗だ。


('A`)「……」


「ただいま」とは言わず、無言で玄関を上がる。
極力、母とは顔を合わせる機会は減らしたかった。


('A`)(トイレ……)


帰りにスーパーに寄って買ってきた弁当を玄関棚に置いて、トイレへ向かう。
面倒なので明かりは点けずに進んだ。

トイレまで続く廊下を歩いていると、


('A`;)「うわっ!?」


足元で、ぴしゃっ、という音が鳴る。
水だ。廊下に水が溜まっている。
思いっきり踏んづけてしまったせいで、右の靴下はすっかりびしょ濡れになってしまった。

25 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:44:32 ID:XDMznai60
('A`;)(なんだよ、なんでこんなところに水が?)


とにかく確認してみなければ。引き返して廊下の明かりを点け、戻ってくる。
一体これは何の水だろうと、顔を近づけてみると、特有の異臭を嗅ぎ取った。


('A`#)(これ……っ! ションベンじゃねえか!!)


謎の水の正体は小便だった。
当然だが、俺はこんなところで用を足した記憶はない。
ならば、犯人は一人だけだ。


('A`#)(あのババアっ!!)


怒鳴り付けてやろう。そう思い足が母の部屋へ向かいかけたが、はたと止まる。
怒りは煮えたぎった湯のように沸々と上がってくるが、例えここで母に罵声をぶつけたところで改善などは起こらない。
であれば、ここで怒鳴ったところで体力の無駄遣いというものだ。

心を鎮めるために一度深呼吸をする。


('A`)(……よし)


怒りはまだ残っているが、ひとまず落ち着きは取り戻せた。
とにもかくにも掃除をしないといけない。俺は風呂場に赴き、雑巾を手に取った。

26 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:45:56 ID:XDMznai60
それから、丹念に廊下を拭き取って、汚れた靴下を水洗いしてから洗濯機に突っ込んでおいた。
全てを終えて居間に帰ってくる。食欲はすっかり無くなってしまい、買ってきた弁当はテーブルの上に放り投げた。
明かりも点けない暗闇の中、俺はソファーにもたれ掛かって目を閉じる。肉体的にも精神的にも疲労のピークに達していた。


(-A-)(あー……。しんどいなぁ……)


いつまで、だろう。
いつまでこの生活は続くのか。
今の俺は、母の介護をして、母のために働き、母のために生きている。
俺個人の自由など、まるで無い。


(-A-)(都心で暮らしていた頃は、良かった)


別に都心での暮らしが充実していたとは言い難い。嫌なことなんていくらでもあった。
しかしそれでも、「不自由」は感じていなかった。
今思えばそれが「自由」だったということなのだろう。

27 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:47:37 ID:XDMznai60
(-A-)(俺はいつまでこんな田舎に縛られて……。一人で、結婚も出来ずに……)


と、そこまで思いを巡らせて、ふと違和感を覚える。


('A-)(ん……? 『結婚』? 結婚って考えたか、いま俺?)


正直、これまでの人生で女っ気があったことなど一度もない。
でもそれでいいと思ってた。一人でいることが好きだし、たぶん向いてないだろうし、結婚なんて不要なんだと。
少なくとも都心にいた時は結婚願望なんて全く無かったはずだった。


('A`)(なのになんで今さら結婚なんでワードが出てきたんだろ……?)


その理由を考え、物思いに耽り、そして行き着く。
『何故俺は急に結婚がしたいと思ったのか』。その答えが判明し、思わず俺は笑ってしまった。


('A`)(ああ、そうか。要は、俺の代わりにお袋の介護をしてくれる人が、欲しかったんだな)


欲しかったのは人生の伴侶ではない。
母の世話をしてくれる、自分が自由に遊び回るための、奴隷が欲しかっただけ―――。


('A`)(まさか、ここまで腐ってたとはなぁ、俺)


自分のあまりに身勝手すぎる思考に、笑わずにはいられない。
そろそろ限界が近いのかもな、と、どこか他人事のように俺は自身を分析していた。

28 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:48:40 ID:XDMznai60


明くる日。

どんなに疲れを感じていても朝は来る。
いつもの時間通りに俺は出勤し、今日もただただ無心で体を動かす。


('A`)(しんどいけど……考えたら余計に疲れる。とにかく目の前に作業に没頭しよう)


集中、集中と自分に言い聞かせる。
とりあえず昼休憩まで。そこまで頑張ろう。そう思い、鉛のような体に鞭を打った。



始業から二時間ほど経過した頃。
社長がドタドタと足音を鳴らし、作業場へ走り込んできた。


「ド、ドクオ君! ドクオ君はいるかっ!?」

('A`)「あ、はい、ここですけど……。どうしたんですか社長? そんなに慌てて」

「ドクオ君! 実は、その……。君の家で、ボヤ騒ぎがあったと警察から連絡があったんだ」

29 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:50:27 ID:XDMznai60
('A`)「――――――」


ボヤ騒ぎ。
というと、つまり、ええと。


('A`;)「―――っ、はああっ!!? ボヤ? え、火事ぃっ!?」

「れ、冷静になろうドクオ君。大丈夫、既に消火済みとのことだ。ただ、何というか―――」


社長は何やら言いよどむ。
この時点で俺の脳内に悪い想像が廻っていく。


「―――とにかく、すぐに家に向かいなさい。今日はもう退社していいから」

('A`;)「あ、でも……。いや、そうですね。分かりました。ありがとうございます」

「ああ、落ち着いて帰るんだよ。事故を起こさないようにね」


俺は社長に一礼して、急いで作業着から私服に着替えて車に乗り込む。
工場から家まではそんなに遠くないが、それでも赤信号で止まる度にやきもきした。


('A`;)(クソッ、何があったんだ―――)



('A`;)(―――違う! 何を『した』んだよっ、お袋!!)

30 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:52:44 ID:XDMznai60
大慌てで家まで辿り着く。
家の前にはパトカーが二台停まっていた。消防車の姿は無かったから、大事になってないのは確からしい。

車を降りる。すると、わめき声が聞こえてきた。母の声だ。
声のする方を向くと、複数の警察官が集まっている。母は警察官に囲まれているようだ。


('A`#)「お袋! 何やってんだよ!!」


声を張り上げながら集団へと近づく。
警察官たちがこちらに振り向いた。その中にいつもの若い警察官の姿も見えた。

母は俺の顔を見るやいなや、更にトーンを上げてわめき散らした。


「ドクオ! この親不孝者めが! あんな嫌がらせをするだなんて、そんな息子に育てた覚えは無いよ!!
 そんなに私に死んでほしいのか!」

('A`#)「はあ? 嫌がらせ? 何ワケわかんないことを―――」


俺と母の言い合いがヒートアップする、その直前。
例の若い警察官が制止するように間に入ってきた。


「宇津田さん、落ち着いてください。まずは、私から経緯をお話ししてもいいですか?」

('A`;)「っ、あ、はい。済みません」


流石に警察を無視して口喧嘩も出来まい。
母はまだ何やらブツブツ言っているが、とりあえず俺は彼の話を聞くことにした。

31 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:54:24 ID:XDMznai60
「我々は通報を受けてこちらに赴きました。いわく、隣の家でボヤが起きた。消火は済んでいるが、その家のお婆さんが興奮しているので来てほしい、と」

('A`)「お隣さんが通報されたのですか……」

「消火もその方がされたようです。焦げ臭い匂いがしたので外の様子を見てみたら、煙が上がっていたので、慌ててバケツを持って家に上がり込んだ、とのことです」


なるほど、現在に至るまでの状況は理解できた。
しかしまだ一番の謎が残っている。
そもそもの原因。すなわち『何故母は家に火を着けたのか』だ。

すると一度は沈着していた母がまた大声を上げだした。


「お父さんは何処にいるの! 早くお父さんに逢わせて!」

('A`)「は? お袋、何を言ってんだ。親父はもうとっくに―――」


ここで、気付いてしまった。
母は何故火を着けたのか。母は一体『何に火を着けたのか』。


('A`;)「っ!!」

「宇津田さん!? 何処へ!」


気付いたと同時に俺は走り出した。
警察官が止めるのも聞かずに一直線に家へ向かう。

32 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:55:51 ID:XDMznai60
('A`;)(お袋は錯乱してるのか、親父が生きていると思い込んでいる。それに、さっきのお袋の『嫌がらせ』って言葉―――)


玄関から中に入る。
靴を脱ぐのがもどかしい。脱ぎきれなくて危うくすっ転びそうになる。


('A`;)(今のお袋に、『あれ』はどんな風に見える―――?)


母の部屋。その襖を開けて、中を見る。
そこには。


('A`)「―――」


水に濡れ、あちこちが黒く焦げ付いた、父の仏壇があった。
母は、ここに火を着けたのだ。



その光景を見た俺の足は力を失い、俺はその場にへたり込んだ。
家事が出来なくなっても、綺麗に保たれていた仏壇。
認知症が診断された後でも、母は毎日の線香だけは欠かしていなかった。
聖域。あるいは最後の砦。母の僅かに残った理性は、この仏壇で繋ぎ止められていると、俺は思っていた。



でも、それももう―――。



外では母のわめき声がまた聞こえだした。
母の盆に、きっともう水は、残っていない。

33 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 19:58:05 ID:XDMznai60



ボヤ騒ぎの翌日。
俺は有給を使って、仕事を休んでいた。今の気力では、まともに働くことも出来ない。

母は興奮が収まらないので病院へ強引に連れていき、二、三日ほど入院してもらうことにした。
良かった、と思う。いま母と二人きりになったら、俺は何をしてしまうか分からない。

仏壇はもう母の部屋には置いておけない。ひとまず使っていない部屋に移動させた。
燃やされたとのことだが、そこまでボロボロになっていたわけではなかった。
少なくとも今すぐ崩れ落ちそうという感じでも無いし、位牌も多少汚れていただけでほとんど無事だった。



居間で一人。俺はソファーに座っている。
時刻は昼前。家の中は静寂に支配されている。
外からも何も聞こえない。無音だ。



何も音が無いと……、色々と考えてしまう。

どうしたら今の生活から抜け出せるか。
どうしたら母の介護をしないで済むか。
どうしたら母がいなくなってくれるのか。
どうしたら母を―――。





テレビを点けた。普段はすっかり見なくなったテレビを。
無音は、ダメだ。変なことを考えてしまう。取り返しのつかないことを考えてしまう。
何でもいいから、音を。気の迷いを埋め尽くすような、声を。



テレビには、数年前の洪水被害のドキュメンタリーが映っていた。
その番組を目にした俺は、思い付く。
思い付いて、しまった。

34 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:00:05 ID:XDMznai60
('A`)(大雨による川の氾濫。死者・行方不明者多数。一度濁流に飲み込まれれば―――人は、助からない)



('A`)(家の近くにも、一本、町の真ん中を通り抜ける大きな川が流れている。
  大雨が降った時には、川の流れる音が家の中まで聞こえてくるほどに激しい流れになったりもする)



('A`)(近場での水難事故も、毎年のように聞く。そういう『事故』は、近所ではあまり珍しくないんだ)



('A`)(……………………)



('A`)(俺は、何を考えている?
  何をしようとしている?
  きっとそれは、駄目だ。最低なことだ。
  ―――罪を、犯そうとしている)



('A`)(でも―――)



('A`)(恐らく、『事故』に偽装することが出来る。
  お袋は徘徊癖がある。もしも、大雨が降った夜に、お袋が徘徊して、そして『運悪く』川に転落してしまったとしたら―――)



('A`)(……………………)



('A`)(……きっと、俺はもうこれ以上、今の生活に耐えられない)



('A`)(だから、俺は―――)




                             .

35 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:00:37 ID:XDMznai60









('A`)(お袋を、川に落として殺そう)









                             .

36 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:02:24 ID:XDMznai60



数日後。

母が病院から帰ってきた。
俺の姿を見ても何も言わなかったので、十分に落ち着いたらしい。まあ頭の中がどれほど滅茶苦茶になっているかは分からないが。
とにかく、これまで通り母の介護を続けた。俺の『計画』にはタイミングが必要だ。そのチャンスが来るまでひたすら待つ。



ある日、大雨が朝から間断なく降り続いた。
夜になって川を見に行くと、かなり流れが急になっている。
だが計画を実行するにはまだ足りない。狙うのは『台風直撃の日』だ。


('A`)(でも、下見をするには丁度いい日だ)


そう思い、まだ降りやまない雨の中を車で走る。
川沿いに下流へと進んでいき、『現場』に使えそうな所を探していく。


('A`)(この辺りは……、橋の手すりに隙間があって落としやすいな。でも近くに家がある。NGだ)


一番に重視しなければいけないのは「目撃者を出さないこと」。
この辺りは夜の十二時を跨げば明かりもほぼ無くなるところがほとんどだが、それでも民家の近くでは行動に移せない。


('A`)(あ、この辺いいかも。一番近くの家からも死角になっている。ここなら、見られない)


一応他の場所も見回ってみるつもりだが、この場所が条件を満たしていて良さそうだ。
自分の家からもほどよく離れているし、人通りも特に少ない地点だ。
今は夜で周りがあまり見えないので、昼にもう一度来て地形を確認しておこう。

37 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:04:29 ID:XDMznai60
('A`)(計画の日、やっぱりレンタカーを借りておいた方が良いかな?
  当日に俺の車が周辺を走っていた、ってのが目撃されると不味いしな)


場所も決まったので家路に就く。
帰る間も更に計画を煮詰めていく。


('A`)(……いや、事件の日に俺がレンタカーを借りていたのが警察にバレると怪しまれるかもしれない。
  多少のリスクはあっても自分の車を使うしかないか)


計画の日のシミュレートを脳内で進めていく。
穴は無いか。必要なものは準備できるか。
バレたら正真正銘人生終了だ。何回も何十回も頭の中で犯行を繰り返す。


('A`)(……もし、全てが終われば。都心に戻ろう。
  家は売ってしまえば良い。向こうでの再就職は苦戦するかもしれないけど、キャリアのあるIT系を探せば、何処かには引っ掛かるだろ)


自由を。人生を取り戻す。
その為なら俺は、何だって捨ててみせる。
故郷だろうが、実の母親だろうが、だ。

38 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:06:05 ID:XDMznai60



そして、遂にやって来た。
大型台風。直撃コース。しかも都合が良いことに通過する時間帯は深夜から明け方にかけて。
ここまで好条件なのは、もうやってこないだろう。



日も暮れて、夜。
外は随分と雨と風が強くなってきている。川の様子も確認したが、水位は順調に増してきている。
計画は十二時を回った頃にする予定なので、その時には充分すぎるほどの水流となっているだろう。

今、俺の心は外で揺れる木々のようにざわついている。
あと数時間もすれば、俺は母を殺す。心穏やかでいられるはずがない。
「見つかったらどうしよう」。そんな不安は計画を立てたときから現在までずっと付きまとっている。
それでも、やる。やるんだ。もう後戻りなんてできない。





俺の人生は、俺だけのために。
他の誰にも、邪魔なんてさせるかよ。

39 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:07:48 ID:XDMznai60



時計をずっと睨み付けている。
秒針が進むのが遅い。
チク、タク、という音が脳内でリフレインしている。

それでも時は過ぎて、機は熟した。
雨風も、耳障りなほどに窓を叩いている。
これならば外を出歩く人影など皆無だろう。
俺はすっと立ち上がり、母の部屋へと向かった。



襖を開けて部屋に入る。
母はまだ起きていた。部屋の明かりは落としていたが、テレビを点けてじっと見ていた。
まあこの頃は昼夜逆転していたのを知っていたので予想内だ。却って都合が良い。


('A`)「お袋」


自分でも驚く程に冷たい声だった。
母は俺の声に反応してこちらを向く。
そういえば、母とちゃんと口を利くのはあのボヤ騒ぎ以来だったか。

いや。
そもそも俺は、田舎に帰ってきてから今まで、母とまともに話し合ってきたことがあっただろうか。
もし。もしも俺が、母と、母の病気に正面から向き合っていたら。
今から起こる結末は、避けることができていたのかもしれない。



でも、それも今更だ。
もうどうでも良いことなんだ。
今日で全てが終わるのだから。



俺は、母を外へ誘い出す言葉を続けて口にした。

40 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:08:13 ID:XDMznai60










「親父に、逢いに行こう」









                             .

41 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:09:39 ID:XDMznai60



車を走らせて、下見していた場所に到着する。
車は川から少し離れたところに路駐しておく。この周辺は同じように路駐してある車がいくらかあるので、特に怪しまれることもないだろう。

車のエンジンを落として、辺りを見回してみる。
人の姿は見えないし、遠くにある民家に照明は点いていない。


('A`)(よし、大丈夫だ。行こう)


俺は車を降りて、助手席側に回り込み、母に手を添えて降ろした。
外は相変わらず雨風が激しく飛び回っている。少し立っていただけで俺も母もすっかりずぶ濡れになった。
レインコートを用意しなかったのは、僅かでも証拠になり得るものを可能な限り排除したかったからだ。

横に立ち、母の腰に腕を回して、半ば担ぎ上げるようにしながら川へ向かって歩き出す。
ここに来るまでもそうだったが、今も母は全く文句も言わずに俺に着いてきている。
未だ理性が曖昧になっているのか。

それとも、父に逢うことを、それほど望んでいるのか。

42 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:11:45 ID:XDMznai60
川の縁に立つ。
コンクリートで固められた護岸壁から下を覗き込めば、うねり狂った川が轟音を立てて流れている。
落ちたら俺ですらひとたまりもなく溺れるだろう。高齢の母であれば、言わずもがなだ。

心臓が早鐘を打つ。
これからの行動に失敗は許されない。
俺は今から罪を犯す。そのシミュレートは何度もしてきたが、それでもいざその場に立ち合わせると、膝の震えが止まらない。

だがここで引き下がる訳にはいかない。
母の介護をするだけの生活に、戻りたくはない。
俺は母に向かって声を掛けた。


('A`)「お袋。川の向こう岸だ。親父は、向こうにいる」


母を川岸の限界のところにまで連れていき、川の反対側を指差す。
当然そこには誰もいないし、そもそも真っ暗で何も見えない。
ただこれで「川のへりに立つ母」と「その背中側に立つ俺」の構図が出来上がった。

43 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:13:09 ID:XDMznai60
全て整った。
後はこの小さな背中を押してしまえば、それで完了。
造作もない、簡単なことだ。





なのに、それでも。





( A ;)(―――押せ、ないっ……!
   腕が、固まって……、動かないっ!)





背中を押す。
母を、人を殺す。
その恐怖。嫌悪感。
まるで自分が立っている床が崩れ落ちるスイッチを、自ら押すような感覚。

44 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:14:35 ID:XDMznai60
押せば戻れない。
ただの人には戻れない。
仮にその犯行がバレなかったとしても。
俺は、俺自身が殺人犯だと知っている。
その事実に俺は―――耐えて生きていけるのか?



( A ;)(うっ……ううう…………)



どうする?
怖い。
早く押さなきゃ。
長引けば長引くほど目撃のリスクが上がっていく。
でも足が、腕が動かない。
止めるのか?
今ならまだ間に合う?
でももう嫌なんだ。
俺は一人で生きていきたい。
誰かを背負って生きるのは、辛いんだ。





だから、殺さなきゃ。

45 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:15:22 ID:XDMznai60
その時。



こちらに背を向けていた母が。



ゆっくりと、振り返って。










「ドクオ」










俺の名を、呼んだ。

46 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:16:12 ID:XDMznai60





( A ;)「あっ…………」





その声に、突き動かされるように。





俺は、母の体を押し込んだ。





母は、一気に濁流に飲み込まれ、俺の目の前から消えた。




                             .

47 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:17:28 ID:XDMznai60
( A ;)「…………」


母が消えた後も、俺はずっと下流の方を眺めていた。
母の姿など見えるはずもないのに。
もう二度と、生きて俺の前に現れることはないのに。





俺が―――、俺が母を、殺して―――。





( A ;)「あ、う、」







( A ;)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!!!」





取り乱した俺は逃げるようにその場から走り去り、車に飛び乗った。
震える手でエンジンを掛けて発進させる。

48 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:18:53 ID:XDMznai60
( A ;)「ふーっ、ふーっ、ふーっ……!」


呼吸が粗い。意識が定まらない。
俺、何をした?
殺した。母を、殺したんだ。
何をやってるんだ。何で俺は人殺しなんてやってるんだよ。

ハンドルを持つ手が震えている。
自分が恐ろしくて堪らない。
どうして、俺は母を殺すしかないと考えていた?
まともな思考をしていればそんな結論には至らなかったはず。
でも遅い。思い直すのが遅すぎる。
だってもう俺は、こ、殺し―――!



( A ;)「ああっ、ああああああああああああああああああああ!!!!」



車はぐんぐんスピードを増していく。
アクセルを踏む足を戻せない。
目の前の光景が、ハイスピードでぐるぐる回っている。
体内の血液が目まぐるしく循環しているような感覚に陥る。



嫌だ。
嫌だ。
嫌だ。
なんで、こんな。
俺は、どうして―――。

49 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:21:28 ID:XDMznai60
( A ;)「…………」


気付けば、家に辿り着いていた。
どうやって戻ってきたのか全く記憶にない。
事故を起こさなかったのが不思議で仕方がない。

よろよろと車から降り、家の中に入る。
一目散に自分の部屋に戻り、頭から毛布を被って身を丸めた。
全身は濡れてないところがない程で、布団もお構い無しに水浸しになるが、だからって今は風呂に入ることなんて出来ない。
溜まっている水に身を沈める行為なんて、今の俺に出来るはずがない。


( A ;)「っ、……ぅ、ぁ…………!」


今にも叫びだして暴れまわろうとする体を必死になって押さえつける。
体はガタガタと震え続け、体の奥底から何かが溢れだしそうになるのを堪える。


( A ;)「ごめん……。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめん、なさい……っ」


謝る。
謝罪の言葉を口にする。
誰に謝っているのか。母だろうか。
分からないまま、ただただ謝っていた。

50 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:24:07 ID:XDMznai60
( A ;)「…………」


もうどのくらいこうしていただろうか。
暗闇の中、毛布にくるまり、かと言って眠れるはずもなく。
頭の中ではずっと、母を押した瞬間を繰り返していた。



あの時。
母は振り返って俺の名を呼んだ。
どんな感情で、俺を呼んだのだろうか。
押された時、母は、何を思って―――。


( A ;)「……っ」


押して、母を川に落として。
そういえば大声で叫んでしまった。
もしかしたら、あの時近くに人がいたのではないだろうか。
もしも、全てを見られていたのなら。
今頃、目撃者が通報していたら。
今にも、パトカーが家の前までやってくるかもしれない。


( A ;)「いや、だ。怖い。捕まりたくないっ……!」


後悔している。
ずっと後悔している。
殺人なんて、そんなことをしてはいけない、なんて。
小さな子供でも分かるようなことを。



ああ。捕まれば、俺はどうなる?
殺人だ。重罪だ。情状酌量の余地もない。
刑期は十年か? 二十年か? 無期懲役? まさか死刑まで?

嫌だ。
逃げなきゃ。
でも逃げるって何処に? 海外?
そんなの無理だ。俺なんかが海外で一人で生きていけるものか。



詰んでいる。もう詰んでいるんだ。
俺の人生は、終わってしまったんだ。
終わりだ。終わり…………。

51 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:25:47 ID:XDMznai60



('A`)「…………」


気が付けば、外から光が差していた。
いつの間にか朝になっていたらしい。あれほど騒がしかった雨風の音もすっかり止んでいた。

のそり、と立ち上がる。
服はまだ濡れている上に体に張り付いていて、気持ち悪いことこの上ない。
ひとまず着替えることにする。



着替え終えたら俺はそのまま外へ出て歩き始めた。
この時には、俺は一つの決心をしていた。



向かう先は交番。
俺は、自首をすることにした。
これ以上罪の意識に耐えることは出来なかった。

交番内に入ると、一人の警察官が机に座って何か書類のようなものを書いているところだった。
俺の存在に気付き、こちらを向く。いつもの、若い警察官だった。
見慣れた人だったので、俺は少し安心した。自首するなら、この人が良い、とすら思っていた。

52 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:26:40 ID:XDMznai60
('A`)「あの……」

「っ、宇津田さん!? どうしたんですか、ひどい顔色ですよ!?」


俺の姿を見た彼は、とても驚いた表情をしていた。
どうやら、今の俺は相当やつれてしまっているらしい。


('A`)「……それが、その……。俺、母を……。母が……」


さあ、言おう。
言ってしまおう。
母を殺しました、と。
俺を逮捕してください、と。


('A`)「母、が…………」





('A`)「母が、いなくなったんです」





―――?
あれ?
おかしいな。
そうじゃない。
殺しましたって、言わないと―――。

53 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:28:55 ID:XDMznai60
「っ! お母様が、いなくなったんですか!? まさか、昨夜の台風の中、出歩かれたんですかっ!?」

('A`)「……夜、ふと目が覚めて。なんだか胸騒ぎがして、母の様子を見に行ったら、何処にも、いなくて」


いや待て。
違うだろう。
俺は何を言っているんだ?
なんて嘘をついている?


('A`)「車に乗って辺りを探したんですが、何処にも見つからなくて……。
   朝になっても、帰ってこなくて……」

「それは、大変じゃないですか!
 わ、分かりました。すぐに他の交番とも連携してお母様を捜索します!」


俺の話を聞いた警察官は、焦りながらも電話で何処かに連絡をし始めた。
待って。待ってくれ。違うんだ。
俺は……。自首を……。


「宇津田さん。心配なのは分かりますが、今は休みましょう。一晩中探し回ったのでしょう?
 休まないと宇津田さんが倒れてしまいますよ。大丈夫です、我々が必ずお母様を見つけ出しますので―――」


そう言って警察官は、一旦俺を家に帰るように促した。
俺は踵を返して帰宅する。

家に辿り着き、俺は玄関で靴も脱がずに立ち尽くした。
いつの間にか、俺は両目から涙を流していた。

ああ、なんだよ、畜生。
自首をする勇気すら、俺には無いっていうのかよ。

54 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:31:12 ID:XDMznai60



その後。

家に警察から電話が掛かってきて、母が遺体で発見されたと聞いた。
死因は溺死だった。あの現場からおよそ2kmほど下ったあたりで水草に引っ掛かっていたらしい。

身元確認のために呼び出されて、母の遺体と対面した。
変わり果てた母を見て、俺はその場で泣き崩れた。
濁流に飲み込まれたからか、あちこちが傷や痣だらけの母の体を見て、自分がしでかした事の重大さにただ怯えるしかなかった。



それから、母の葬儀が執り行われた。
俺がまるで動けなかったため、遠方に住んでいた母の弟にあたる叔父が代わりに喪主となって式を進めてくれた。

通夜では工場の社長も弔問に来ていた。
憔悴しきっていた俺の前に座り、


「ドクオ君。しばらく、仕事は休みなさい。
 こちらのことは気にしなくていいからね。
 何か助けが欲しかったら、いつでも私に言うんだよ」


そんな言葉を掛けてくれた。

55 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:32:03 ID:XDMznai60



式の後、警察から母の死は事故でほぼ間違いないと報告を受けた。
台風の夜に、いつもの徘徊癖によって出歩いた母は、強風に煽られて川に転落。流されてしまったのだろう、と。



俺はこの連絡を聞いて、警察の捜査も案外杜撰なんだな、と思った。
確かに俺が目論んだ通りの結末ではある。そうなのだが。
それでも、何処か穴を見つけて、そして俺を捕まえて欲しかった。



自首することも出来ない情けない俺を、裁いて欲しかった。

56 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:34:16 ID:XDMznai60



母の葬儀から一週間が経った。
俺は何もすることが出来ず、ずっと家の中に閉じこもっている。



ここ数日、よく夢を見るのだ。
俺がまだ子供だった頃の、夢だ。

内容は他愛ない、普段の日々。
晩御飯。俺と、父と、母が食卓に座る。
目の前には母の手料理が並ぶ。三人揃って「いただきます」と言う。
俺がその日小学校であった出来事を話して、父はそれに相槌を打ちながら笑って聞いてくれて、母は俺と父を見ながら微笑んで―――。

そんな、夢。



別の日には、運動会で俺が走っているところを父と母が応援してくれてた夢を。
他にも、クリスマスの日にプレゼントを貰って喜ぶ俺の頭を、父と母が撫でてくれた夢。

毎日、色んな過去の夢を見た。
でも毎回、終わり方は同じなのだ。
急に目の前が、ガラスに亀裂が走ったようにひび割れて、そして景色ごと粉々に崩れ落ちる。
俺は一人、暗闇に取り残されて―――そして、目が覚める。

目が覚めると、俺はいつも涙を流している。
それは、昔の思い出が懐かしてく泣いているのか。
それとも、思い出ごと俺が壊してしまったことが悲しくて泣いているのか。
俺自身でさえ、分からなかった。

57 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:35:46 ID:XDMznai60
悔やんでいる。
あの日のことを。俺が犯した過ちを。
悪魔に唆され、悪魔となった俺。
壊れてしまった母を捨てようとしていた俺こそが、実は壊れていたのだと。



あの時、最後に、母は振り返って、俺の名を呼んだ。
母は、何を思っていたのだろう。どういう気持ちで、俺の名を呼んだのだろう。
今にも殺そうと迫っていた息子の顔を見て、何を思ったのだろう。



その時の母の顔が網膜に貼り付いて、離れない。
目を開けていても閉じていても、いつだって浮かんでくる。
まるで訴えかけてくるかのように。まるで、呪いのように。



自由を求めて俺は母を捨てた。
後先など何も考えない、愚行だった。
人を殺して、手に入れられるものなんて在るはずもないのに。



今でも俺の両肩には母が乗っている。
それがお前の罪だと、一生を懸けて償えと、背に乗る母が四六時中呟いている。

58 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:37:08 ID:XDMznai60










俺は、いつか何処かで野垂れ死ぬその時まで、ずっと母を背負ったまま歩いていかねばならない―――。








                             .

59 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:37:39 ID:XDMznai60

















                             .

60 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:38:06 ID:XDMznai60





2020年(令和2年)。


水難による死者・行方不明者は、


722人。(前年対比+27人)





このうち、65歳以上の者。


369人。(構成比51.1%)





【警察庁生活安全局生活安全企画課 「令和2年における水難の概況」 より抜粋】

61 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:38:30 ID:XDMznai60









       それらは、全て―――









                             .

62 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:39:10 ID:XDMznai60










          ―――本当に、『事故』なのか?









                             .

63 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:39:42 ID:XDMznai60
















                             .

64 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:40:08 ID:XDMznai60



















('A`)姥捨川のようです
                 終

65 ◆SvZ5lqBEjM:2021/10/16(土) 20:40:58 ID:XDMznai60
投下は以上となります。
お付き合いいただき、ありがとうございました。

66名無しさん:2021/10/16(土) 20:45:35 ID:d9419uZs0
あまりに生々しすぎる……乙

67名無しさん:2021/10/16(土) 22:49:36 ID:OfWgR.aM0
乙です、

68名無しさん:2021/10/16(土) 23:24:59 ID:xysNfqLY0
素晴らしい

69名無しさん:2021/10/16(土) 23:51:44 ID:T6dyu4eM0
たいへん狂おしい

70名無しさん:2021/10/17(日) 10:36:14 ID:T7Tl81S.0
これはかなりリアル鬱…
あまりにも身近で誰にでもありそうで、いやあるんだろうな
おつおつ

71名無しさん:2021/10/17(日) 11:32:49 ID:mhM21lVI0
エグい……

72名無しさん:2021/10/17(日) 23:10:52 ID:LxXpfktk0

タイトルのセンスが良いなと思いました

73名無しさん:2021/10/19(火) 13:38:44 ID:8tzEEJxc0
結局母を背負って生きるしか道が無かった虚しさよ


74名無しさん:2021/10/22(金) 22:53:29 ID:JRxp7kBE0
おつ
協力してくれる人がいて場所を選ばなければグループホームとか入れたろうに…

75名無しさん:2021/10/27(水) 18:14:37 ID:iMXlgk7.0
おつ
辛い辛いまじ辛い
あらゆる理由が辛い

76名無しさん:2021/10/28(木) 16:19:42 ID:wTC1s3lg0

介護中イライラして追い詰められていくところとかすごい生々しかった…

77名無しさん:2021/11/01(月) 14:16:23 ID:f4frwl1I0
全然他人事じゃない。
親が大事だとしても、どこまで自分を削れるものなんだろうと考えてしまった
乙でした

78名無しさん:2021/11/09(火) 17:05:54 ID:aKaLSVfY0
おつ
終わり方ぞっとした
ドクオもカーチャンもあまりにも人間らしすぎる

79名無しさん:2021/11/28(日) 12:17:07 ID:mb6oV/mM0
加筆修正した投票絵です。
カーチャン……
https://downloadx.getuploader.com/g/3%7Cboonnews/217/%E7%84%A1%E9%A1%8C2-1.jpg

80名無しさん:2021/11/28(日) 22:43:09 ID:BnQXPWnU0
>>79
いい。とてもいい

81名無しさん:2021/11/28(日) 22:43:34 ID:hezGB6pk0
すばらい


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