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( ^ω^)は伝説になるようです
1
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 17:21:09 ID:lttvRft2O
壁。
まだら模様の、苔むす岩壁と金属により築かれた、垂直な壁。
総長二十キロメートルにもおよぶ長大な絶壁を、今一人の若者が登っていた。
2
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 17:23:49 ID:lttvRft2O
彼は岩場の切れ目に指をかけ、全身の力を用い体を押し上げてゆく。
遮るもののない青空からは絶え間無く太陽が照りつけ、汗ばむその身体には疲労が蓄積されてゆく。
過酷な道のりはまだ序盤の域であり、常人ならば既に心折れそうになる険しさを秘めていたが、この若者はそれすら征服せんとする強靭な意志を持っていた。
3
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 17:26:53 ID:lttvRft2O
彼の名はブーン。
まだ二十代と若くはあるが、この世界では名の知られた凄腕のクライマーだ。
気を抜けば滑落して即死の危険な岩場で、ブーンは巧みに手を伸ばし、次の足場へ身体を運んでゆく。
歩みは鈍足であり、だが極めて慎重。
それでも運が悪いことに数日前ザイルが切れてしまい、現在命綱なしにここまで登坂してきた彼の熟達した技術は、ひとえに才能であり、またそれを導いてくれた恩人たちのおかげでもあった。
4
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 17:28:54 ID:lttvRft2O
あと数十メートル登った先に、梁のよう突き出した奇妙な構造物が見える。
ふっ、と浅い息を吐き、全身に力をみなぎらせてより近くまで接近する。
根元の梯子まで手が届いた時、ようやくそこでアンテナの形を取っていることが判った。
( ^ω^)「おお……播種船の遺物だお」
視界いっぱいにそれをおさめながら、感嘆まじりにブーンは呟いた。
5
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 17:32:52 ID:lttvRft2O
播種船――はしゅせん。
この壁の正体は遠い昔星々の彼方より訪れた移民船なのだ。
長い年月を経て老朽化したものの、船内の電源はまだそこかしこで生きている。
ステップに腰を降ろし、休憩もそこそこに早速荷物をほどくや、ブーンはそこから蛇にも似た一台の機械を取り出した。
6
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 17:45:18 ID:lttvRft2O
背中に覗く電源スイッチを入れると、とぐろを巻いていた蛇がしゅるりと一本の紐へ変わる。
( ^ω^)「行け! 僕のスクワーム!」
主が命じると、するすると蛇が壁の亀裂へと潜り込んでいった。
ブーンの目的は、この船内に眠る超古代文明の遺物を探すことにある。
たとえ発見できなくとも、どこかで充電が出来ないかと期待しなから報告を待っていると、しばらく後に相手からの通信が入った。
('A`)「おーいブーン、ちょっと来てくれないか?」
どうやら蛇がなんらかの遺物を探し当てたらしい。
( ^ω^)「何かあったのかお? ドクオ」
彼が所有するスクワームに搭載された疑似人格AI・ドクオにブーンは応じた。
('A`)「ああ。なんか人らしきモノが倒れているんだけれどよ。
さすがに俺の力じゃ運べねぇんだわ。手伝ってくれ」
( ^ω^)「おkおk。じゃあ直ぐに向かうお。さて、取りあえずは……っと」
壁面に半ば埋もれるように設置されていた、ハンドル式のドアに指をかけて回す。錆び付いていて硬いドアだが、ブーンの鍛えてられた腕力ならばそれすら容易にこじ開ける事ができる。
7
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 19:55:21 ID:gRudsYgY0
構わん続けたまえ
8
:
名無しさん
:2019/04/24(水) 21:47:05 ID:lttvRft2O
( `ω´)「フッ!」
一息で回したドアが奥へと開いて、そのまま室内へとブーンは侵入する。ドクオの報告にある例の人物のものなのか、埃がつもる床の上に、何者かの足跡が奥へ向け続いていた。
一旦屈んで、その足跡をよく調べてみる。埃の厚さから察するに、この足跡はまだ新しい。
どちらにせよ、こんな辺鄙な場所を訪れるなんて余程の物好きに違いない。
( ^ω^)(ま、僕もその内の一人なんだけれどさ)
思索にふけるのを程ほどに切り上げ、ブーンは更に奥へと進んでいった。
9
:
名無しさん
:2019/04/25(木) 13:54:38 ID:PIF6Hy02O
数分後。ドクオのビーコン反応が強まってきた。そろそろだな、とブーンは彼へもう一度通信をつなぐ。
( ^ω^)「ドクオ」
( 'A`)/「おう、こっちこっち」
居場所を告げるためコツコツとドクオが壁を叩いた。首を巡らしようやく彼の下へ辿り着くと、そこには確かに一人の女性が仰向けに倒れている。
川 )
眠っているのかそれとも気絶しているのか。整った顔立ちをした彼女はぴくりとも動かない。その姿を見下ろしながら
「……死んでる?」と相方に訊ねてみるも
('A`)「さぁな」
蛇は首を振るばかり。解らない、というリアクションが返ってきた。
('A`)「取りあえず放っておくのもアレだし運んでやろうぜー」
あとで目覚めたら相手に何者か訊ねてみよう、と二人で決め、ブーンは彼女を背中におぶってやった。
10
:
名無しさん
:2019/04/26(金) 20:12:01 ID:YH88/GiIO
広い、広い大きな背中────
記憶の奥に眠っていた、なにか懐
かしい感覚を呼び覚ます優しいぬくもりがある。
(……父上)
( ^ω^)「お?」
( 'A`)「気がついたみたいだな」
休憩地点へもう間もなくというところで、それまで背負っていた女性の目が覚めた。
川;゚ -゚)「ん……?」
目覚めるや否や、突然目の前に見知らぬ男の顔があり彼女は混乱した模様である。
川;゚ -゚)「……えっと」
( ^ω^)
川;゚ -゚)「……どちらさまでしょう?」
11
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 06:31:17 ID:YXJvIZpIO
そう訊ねる他なく、不安げに発した彼女に対し、肩越しに振り返った男――ブーンはにこやかに自己紹介する。
( ^ω^)「僕はブーンだお」
そう名乗ってから視線を降ろし、
「で、こっちが相棒のドクオ」
と足下を這う金属の生き物を彼が紹介する。
( 'A`)ノ「ヨッ。別嬪だなねーちゃん。
あんたが倒れていたところを俺が発見していま運んでいる最中な訳よ。ここまではおk?」
川;゚ -゚)「あ…ああ……なるほど把握した」
軽口を叩く奇妙な機械と、同じく妙な男──とはいっても、相手の素性をまだ知らぬ所為ではあるか。説明されるがままこくんと彼女は頷いた。
( ^ω^)「別に怪しいものではないからそう緊張しなくてもいいお」
川 ゚ -゚)「……だろうな。君の顔を観るからにどうみたって私を襲う程の度胸があるとは思えない」
(;^ω^)「ちょwwヒドスwww」
突然冷静になるや辛辣な言葉を浴びせられずっこけそうになるブーン。
川 ゚ -゚)「ああ済まない。自他共に私は表裏のない性格と呼ばれているのだ」
(;^ω^)「……ああハイハイそういう事ね。オーケーオーケイ、その様子なら命に別状はなさそうだお。もう降ろしてもいいかお?」
川 ゚ -゚)「君はこんなうら若き乙女に歩けというのかい? なんと鬼畜な……」
(;^ω^)「もうやだなんなのこのひと……」
12
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 06:35:20 ID:YXJvIZpIO
冷却水のながれるパイプが無数に走っている。その中の適当な一本に傷をつけ、こぼれ出た水を組み茶を沸かす。
自分と相手のために用意したコーヒーを目の前の人物に手渡し、「さて、それじゃ君のことを聞かせてもらうお」とブーンは話を切り出した。
( ^ω^)「いったい君は何者なんだお? どうしてあんなとこに倒れていたんだお?」
川 ゚ -゚)「うん、そうだな。話せば長くなるが」
いれたての熱い飲み物にふうふう息を吹きかけながら、クーと名乗る少女は自分の身にこれまでに起きた出来事を語りはじめた。
川 ゚ -゚)「私の故郷はこの壁のすぐ麓にあってな、君みたいな探索者が持ち帰ってきた遺物の復旧を産業にしていたんだ」
('A`)「おお、ひょっとしてヴィップ村のことか? あそこの技術者たちは凄腕だからな。俺も修理で何回か世話になったことがあるぜ」
川 ゚ -゚)「そうだ。知ってるなら話が早い。私の両親はそこでも名の知れたマイスターでね。特にエンジン関係の修復に定評があるんだ。村だけでなく国中に弟子がいるんだぞ」
( ^ω^)「ほう。それはそれは立派な方だお。素晴らしいご両親をお持ちで君も鼻が高いんじゃないかお?」
川 ゚ -゚)「うん、私は両親をとても尊敬していたし、いずれは後を継ぐつもりでいた。ところが──」
13
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 13:36:41 ID:YXJvIZpIO
「あれは一昨年の秋のことだった。
私の父の腕を聞きつけ、どうにか動かせないものかと王都からとある品が運び込まれてきた。
でもそれはこれまで私たちが扱ってきた機械とは全く異なる代物だった。
まるで人間だ──本当に人間そっくりの素材で作られた、眠った妊婦だったんだ。
気味悪がりながらどうにか調査を進め、一年がかりで機動までこぎつけた……そこまでは良かったのだか、目覚めると同時にそいつは村人たちへ襲い掛かってきた。
ある者は首をもがれ、またある者は腹を裂かれて死んだ。奴は殺戮機械そのものだった。
私は、両親に庇われなんとか生き延びたのだか……」
すると突然、言葉を切ったかと思いきやクーは上着を脱ぎはじめた。
14
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 13:41:15 ID:YXJvIZpIO
(; =ω=)「!? ちょ、ちょっと君なにしてんの?!」
あわてて視線を逸らそうとするブーンに、「見てくれ」と彼女が落ち着いた声で言う。
(;^ω^)「い、いや、でも……」
川 ゚ -゚)「良いから。頼む」
動揺するブーンの腕を強引に剥ぎ、クーは素の上体を彼の眼前に晒す。
(; //ω//)「ちょおおおおおおお…………って、え?」
遮るものを奪われ、赤面するブーンの表情が突然、固まった。
( ゜ω゜)「何だ……それは……」
彼は──視た。
クーの白い肌の下で蠢く、異様な隆起の存在を。
麻疹のように点在するそれらが絶えず煽動をくりかえし彼女の身体を作り替えている。特に左脇腹から両胸元にかけてがそれらが顕著で、女性らしき腰のくびれも、膨らみも──何もかもが醜く失われている。
('A`)「化け物かよ」
機械だからだろう。歯にも着せぬ物言いでドクオが感想を告げると
川 ゚ -゚)「そうだ。化け物だ」
言われた当人であるクーもまた、それに憤することなく、ただ頷きかえしていた。
15
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 16:21:48 ID:kzathJR60
ちょい昔のブーン系みたいでいいな
支援
16
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 19:20:15 ID:YXJvIZpIO
コメントどもです。
二瓶勉とか飛浩隆みたいなSFが好きなので、そういうの目指して頑張ります
≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒≒
(; ゜ω゜)「……」
ブーンは動揺を隠しきれなかった。
侵食型の攻性生物──噂くらいは耳にしたことがあるが、まさかその被害がこれほど酷いものであったとは。
(; ゜ω゜)「その……なんだ、苦しくはないのかお?」
川 ゚ -゚)「は? なにを言っているんだ君は。苦しいに決まっているだろう」
だから倒れていたんだと、呆れた表情のままにクーは返事をする。
(;^ω^)「……いや、ゴメン。失言だったお。それにしても放置したままという訳にはいかない筈だお。何か治療の手立ては?」
川 ゚ -゚)「ああ、まさにそれを今探しているところなんだ。この壁の何処かに住むと云うハイ・フロスガーの噂を聞いたことはあるか?」
('A`)「んぁ? 知らねぇな……何者だい、そいつは?」
17
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 19:27:33 ID:YXJvIZpIO
川 ゚ -゚)「壁が出来た当時、我々ヒトにに知識を与えたという賢者の末裔さ。
莫大な知識を持つ彼等なら治療法を知っていると思う。
だから、そいつらをまずは探さねば」
('A`)「ほほう。しかしだだ闇雲に探している訳ではあるめぇ」
川 ゚ -゚)「うむ。そこのピザと違って聡いな、君は」
「ちょおまw」
思いがけぬ毒舌にまたもやブーンはずっこける。
彼の名誉のため云うが、ブーンは決して肥満体ではない。むしろ鍛えあげた肉体故の肉太りなのだか、相手はそれを理解していない様子なのだ。
川 ゚ -゚)「知らぬ。存ぜぬ。だから君はピザ」
(♯^ω^)「ぶっとばすぞてめぇ」
(;'A`)「いいから話を進めろ」
18
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 19:34:02 ID:YXJvIZpIO
喧嘩腰になる主人をどうどうとドクオが宥め、クーに説明を促す。
川 ゚ -゚)「おお、済まないな君。えっと、どこまで話したっけか」
( ^ω^)「ハイ・フロスガーを探す手立てがあるという所までは聞いたお」
川 ゚ -゚)「うむ、そうだったな。で──だ。私はこの壁の内部を記した地図を持っているんだ。今は大体このあたりかな」
胸元のポケットから端末機を取り出し、それの画面を映してみせる。
( ^ω^)「おお、これは便利そうだお。これも発掘品かお?」
川 ゚ -゚)「うん。完全ではないが6〜7割はカバーしているはずだよ。少々値は張るがこういうのは大概都に行けば買える。もっともコネは必要だがね……」
('A`)「あんた意外に顔が広いんだな」
「まぁそこは親のコネって奴さ」
もういないけどな、と憂いを含めた表情のまま彼女は乾いた笑みをこぼす。
19
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 20:51:44 ID:YXJvIZpIO
それからカップの残りに口付け、「ふう……」と一息。
川 ゚ -゚)「旨いな……おかげで喉の乾きも癒えたよ。ありがとう」
クーからのはじめての礼に機嫌を良くし、お代わりをブーンは奨めてみたが、「いや、これでもう充分だよ」と微笑みを返された。
川 ゚ -゚)「うん、身体の具合も良さそうだ。もう少し休んだら私はもう行くよ」
( ^ω^)「おっおっ。無理は禁物だお。本当に大丈夫かお?」
川 ゚ -゚)「なんの、これくらい慣れているさ」
('A`)「おうおう。痩せ我慢は禁物だせねぇちゃん。なぁブーン?」
ニィ、と意味深な笑みをこぼし、足元のドクオは同意を促す。無論その意図が解っているブーンもまた
( ^ω^)「だお」
と一つ頷き、「クー、君さえ良ければ一緒に行かないかお?」と同行を持ちかけてみた。
川 ゚ -゚)「ふぇ?」
20
:
名無しさん
:2019/04/27(土) 20:58:14 ID:YXJvIZpIO
思いがけない申し出にクーはきょとんとなる。
「どうかお?」
川; ゚ -゚)「い、いや……それは実に有難いというか、楽しそうな申し出だが……その、なんだ、君達はそれでいいのかい?
そっちにはそっちの用事があるのでは?」
そんな心配に対し
( ^ω^)「もーまんたいだお」
そう即答するブーン。
('A`)「だって、……なぁ?」
( ^ω^)「うん、実際僕のやっている事なんて道楽の延長みたいなものだし……それなら人助けでもした方が余程有意義というものだお」
('A`)「──だとよ。さぁ後はお前さん次第だ。どうする、お嬢ちゃん?」
ここまで言われればもう断る理由などない。
川 ゚ -゚)「ああ……そうだな。しばらく一人旅ばかりで疲れたよ。君達となら随分楽しめそうだ」
──よろしく頼むよ、とクーはほっそり白い指を差し出した。
('∀`)「よっしゃ! 決まりだな!」
( ^ω^)「こちらこそよろしくだお!」
嬉々とした表情を浮かべ、ブーンは彼女と握手する。
こうして彼らの旅に新たな仲間が加わったのであった。
21
:
名無しさん
:2019/04/28(日) 07:37:14 ID:FUb9byxQO
■log.2■
播種船は生きている。
それは周囲の環境を取り込み、そこから老朽化した船体の保持に必要な物質を吸収、加工する。
精製された各種燃料及び部品は『蜘蛛』あるいは『百足』などと呼ばれる自動機械によって運び出され、補修作業が行われている。
時にそれらを捕獲し、解体して下界の住民らに売りさばくのが狩人(マタギ)の仕事だ。
手製のスピアガン表面には無数に貼られたうさぎのステッカー。
プリズム加工されたそれらが天井の照明を反射しキラキラ光る。
ξ#゚⊿゚)ξ「目障り」
二人組の若い女性が瓦礫の森を歩いている。不機嫌そうに顔をしかめ、金髪の少女は相方への不満を洩らした。
从'ー'从「ふええー? ツンちゃんなに怒ってるのぉ?」
22
:
名無しさん
:2019/04/28(日) 08:52:16 ID:FUb9byxQO
ツンの不満の対象――後輩のワタナベはいつも能天気な娘だ。
丁度この時はおやつをかじっており、喋る側からビスケットの破片がぽろぽろこぼれ落ちてゆく。
きたない。
そしてムカつく。
ξ# ⊿ )ξ「お・ま・え・は・やる気あるのかaaaaaaaaaaaaa!?」
とうとう堪忍袋の尾が切れ声を荒げて叫ぶ。
从;'ー'从「ふえっ!? ツンちゃん顔が恐いよ! そんなにおやつ欲しかったのならまだまだ沢山あるから怒らないでよ!? 私食いしん坊だけどそれくらいは気が回るよ!」
ξ# ⊿ )ξ「黙れ汚荷物!」
从;'ー'从「どいひぃぃぃ!?!?!?」
怒りまかせにツンは相手の尻を蹴飛ばした。
23
:
名無しさん
:2019/04/30(火) 09:31:22 ID:PBCHM9tQ0
続けたまえ
24
:
名無しさん
:2019/04/30(火) 17:16:51 ID:8ylKk.TcO
>>22
修正
从;'ー'从「ふえっ!?」
さすがにこれにはびくりと手が止まるワタナベ。
从;'ー'从「ツンちゃん顔が恐いよ! そんなにおやつ欲しかったのならまだ沢山あるから分けてあげ――」
ξ# ⊿ )ξ「黙れ汚荷物!」
从;'ー'从「どいひぃぃぃ!?!?!?」
ツンは豪快に彼女の尻を蹴飛ばした。
ちょうどコンテナの隅に腰掛けていたワタナベは、その勢いで宙へと放り出されて急勾配の斜面を転がり落ちてゆく。
从;'ー'从「目がーあああああ?!?目が回るうううううううううう!!」
ξ゚⊿゚)ξ「気合いで止めろー」
ソンナゴムタイナーーッ
暫くして、ゴン!と派手な激突音が下から聞こえてきた。
ξ;゚⊿゚)ξ「やべ、力強すぎた」
どうみても後の祭である。
「はぁめんどくせぇ」
自業自得を嘆きながら、ツンは身体をローブにくくり、ワタナベの後を追った。
25
:
名無しさん
:2019/04/30(火) 17:44:35 ID:8ylKk.TcO
赤錆の浮いた斜面。
遥か彼方には複雑に絡み合う鉄柱が覗き、谷の狭間には朽ちたまま放置された大橋。どこかから轟々と風の唸り音がきこえる。
ここは一体どこなのか。
予想以上に深いところへと迷い込んでしまったらしい。
川 ゚ -゚)「ナビが反応しない……」
困り果てた顔を浮かべ、クーはこの時出口を探していた。
26
:
名無しさん
:2019/04/30(火) 18:57:26 ID:8ylKk.TcO
赤錆の浮いた斜面。
遥か彼方には複雑に絡み合う鉄柱が覗き、谷の狭間には朽ちたまま放置された大橋。どこかから轟々と風の唸り音がきこえる。
ここは一体どこなのか。
予想以上に深いところへと迷い込んでしまったらしい。
川 ゚ -゚)「ナビが反応しない……」
困り果てた顔を浮かべ、クーはこの時出口を探していた。
( ´ω`)「えぇー……そんなぁ……こまるおー」
彼女の隣にはブーンがいて、同じく画面を見つめている。
('A`)「何だろうな。恐らく特殊な地場が働いているのかも知れないぞ。お陰で俺も変型出来なくなっちまってるし」
川 ゚ -゚)「八方塞がりという訳か」
( ´ω`)「だお」
('A`)「おいおい、若者がすぐに諦めるなっての」
( ´ω`)「そうは言ってもなぁ」
27
:
名無しさん
:2019/04/30(火) 20:16:18 ID:8ylKk.TcO
彼らは何故こんな事態に陥ったのか?
それを説明するには、およそ半日前まで遡らねばなるまい。
クーを仲間に加えて以来、ブーン達は彼女のナビを従い頂上を目指していた。
川 ゚ -゚)「腹が減ったな……」
仲間が増えれば当然食糧の減りも早くなるもので、それまでの蓄えがわずか数日で無くなってしまった。
クー曰く、少し寄り道となるが最寄りの集落で食べ物が調達できるらしい。
さっそく表示された座標へ向かう途中で、彼らはゴンドラを発見する。
28
:
名無しさん
:2019/04/30(火) 21:04:44 ID:8ylKk.TcO
ゴンドラは壁内の階層を結ぶ交通手段だ。遥か古代に造られたものであるため、老朽化して動かないものが大半であるが、どうやらこの路線は使用可能らしい。
中へ乗り込むと自動的にドアが閉まり、そのまま希望の階へ連れていってくれる。
( ^ω^)「凄い眺めだお」
ゴンドラは高速で上昇してゆく。
普段は壁の外側ばかり移動するため、こうして内部を旅するのはブーンにとって新鮮だった。
窓から足下を眺めてみれば、浄水槽を兼ねた巨大な人工湖が広がっている。壁の一部がゆっくりと展開してゆき、外から射し込む光が水面の表面を照らしてゆく。
浮島には停まったままの風車と廃墟が幾つも並んでおり、かつてはそこに人が暮らしていた面影を遺していた。倒壊した風車の根本から伸びるケーブルは、岸から湖の中へ水没し時折スパークを散らしている。
あの箇所に万が一落ちたら命は無さそうだ。
29
:
名無しさん
:2019/05/01(水) 13:13:19 ID:aI8XAmocO
倒壊した風車の根本から伸びるケーブルは、湖の中に浸かり時折激しいスパークを散らしている。あそこに落ちたら命は無さそうだ。
退屈しのぎにそんな事を考えていたその時、突然ガクンとゴンドラが停まった。
( ^ω^)「ん?」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
クーと二人で顔を見合わせた次の瞬間、ずるずると車体が下がり始めそのまま急降下していったのだ。
川;゚ -゚)「うわあああああああ!?」
咄嗟に二人は手摺を掴み、屈んで衝撃に備えたものの、想像以上に降下の速度が速すぎてこのままでは不味い。
('A`)「脱出するぞ!」
ドクオは身体を伸ばし二人の手首を絡めると、そのまま反対方向にあった窓を突き破り、勢いよく宙と身を躍らせる。
( °ω°) 「ふぉぉぉおおおおおお!」
なにせこの高度だ。全身を叩く風圧が凄まじい。
('A`)「喋んな!舌噛むぞ!」
声をあげそれを制するや、ドクオは関節の隙間から空気を取り込み、それを圧縮して噴出する。反動効果で落下の速度を緩める狙いだ。
さらに高度を下げるや今度はバルーンを射出。それが破裂したかと思えば中からパラシュートが開いて展開。ぐい、と強引に身体が上方へ引き上げられる衝撃に一瞬襲われた後、そのまま風に流されるようにブーン達は身体が軽くなったのを感じた。
('A`)「このまま降下するぞ」
ドクオの視線が着陸箇所を捕えていた。
30
:
名無しさん
:2019/05/01(水) 13:32:06 ID:aI8XAmocO
随分岸の方へ流されていた。
いや、より正確に表現するならば、ここは密閉空間なので『縁』というべきか。
側壁はもう間近にせまり、それが造る影が深い闇を落とす。
( A )「おい。聞こえるか」
蛇が仲間へと声を掛ける。
川 - )「ああ。だがドクオ。君の姿が見えない」
( A )「悪りぃな。今ので大分バッテリー使っちまった。電池節約したいからライトは勘弁してくれ」
川 - )「成程。構わないさ。それは致し方ない」
おいピザ、起きてるなら返事をしろよとクーは相棒を読んだ。
( XωX)「ウェッぺっ……水飲んじゃったお……」
('A`)川 ゚ -゚)「「汚ねぇな」」
(#^ω^)「何故そこだけ意気投合するのか甚だ理不尽なんですけど」
川 ゚ -゚)b「大丈夫だ。問題ない」
( ^ω^)「解せぬわ」
31
:
名無しさん
:2019/05/01(水) 14:09:47 ID:aI8XAmocO
暗がりに目が慣れるまで少し待ち、再び行動を再開する。
川 ゚ -゚)「まずはなによりも飯だな……」
( ^ω^)「ああ。全くそれには異論なしだお」
言ったそばから腹が鳴る。
Σ川 ゚ -゚)「閃いたぞ!」
( ^ω^)「お?」
川 ゚ -゚)「幸い目の前には湖が広がっている」
( ^ω^)「フム」
川 ゚ -゚)「そこでこのピザを餌に魚を釣るというのはドゥーデスカ? オキャクサーン!」
( ^ω^)「やめろおいやめろ」
川 ゚ -゚)「ドゥーデスカー、オマイサーン」
(#^ω^)「聞けよ」
川 ゚ -゚)「ドゥーデスカー、オマワリサーン」
(#^ω^)「ねぇ聞いて。お願いだから聞いて。あと国家権力持ち出すな」
テリィート
ドッリィダーヨ
フタリハ ナッカヨーシ♪
(#^ω^)「その口笛もやめろおおお!!」
川 ゚ -゚)「ええ、埒があかないので無理矢理突き落とします」
(;^ω^)「なんという鬼畜!」
32
:
名無しさん
:2019/05/02(木) 18:37:30 ID:gTEzkx120
期待
33
:
名無しさん
:2019/05/03(金) 07:48:12 ID:THdV51NwO
川 ゚ -゚)+「そして〜ェ!」
「――おおっとォ!突如理由なき大外刈がピザ(笑)を襲ゥゥ!」
(;^ω^)ファッ!?
そおぃ!という掛け声と共にブーンの片足が払われ、派手な水しぶきを上げて水面へ叩き込まれたのである。
川 ゚ -゚)「決まりました! さぁ、判定の結果は!?」
(;'A`)【10.00】
(;'A`)【10.00】
(;'A`)【10.00】
(;'A`)【10.00】
(;'A`)【10.00】
(;'A`)【10.00】
(;'A`)【もう好きにして】
川 ゚ -゚)「出たああああ!!
史上最高記録の更新です!」
(;'A`)【いいからはよ助けてやれ!】
それにしてもこの女
本当にノリノリである
34
:
名無しさん
:2019/05/04(土) 20:40:25 ID:xTgmCUV.O
(;^ω^)「モガッ! ブグッ! ちょ、オボッ! 溺れ――」
クーが一人漫才に溺れる一方で、件の犠牲者であるブーンは本当に溺れていた。
川 ゚ -゚)=3
「なんだおまえ……
だらしないな、ピザなのに泳げないのか? 尤も溺れようが何だろうが私には関係ないんですけど……」
(;^ω^)「違ッ! 本当に溺れてるんだっての! 何かが僕の足を引っ張って――」
そう言って懸命に抗議を訴えた次の瞬間
「「あ」」
クーとドクオ二人の目の前からブーンの姿が消えた。
(;'A`)「おいお前ェェェェェェェェェェ!!!? 一体どうすんだよバカああああああああ!! ブーン喰われちまったぞ!? 囮どころか本当に餌になっちまったじゃねぇかああああああああああああ!!」
川 ゚ -゚)「……」
川 ゚ -゚)「うし、閃いた」
川 ゚ -゚)「これは見なかったことにしよう」
(;'A`)「罪悪感をね!
君は罪悪感という感情を覚えようね!? こっわ! なにこのひとめっさ怖っわッッ!!
――って……」
35
:
名無しさん
:2019/05/04(土) 20:56:13 ID:xTgmCUV.O
ドクオははたと動きを止めた。
(;'A`)「う」
水面が突如隆起した。
そこから現れた首長竜を思わせる巨大な機械。
ショベルカーにも似た金属製の歯の内側にはブーンの姿が。
(;°ω°)
捕われていたブーンはこちらと目を見合わす。直感――コイツは『ヤバい』。
「クー!」
言うが早くドクオは腕を引く。
逃げろ。
それを伝える間もなく二人もまた触碗に捕らわれ、バケットの中に閉じ込められてしまう。
川;゚ -゚)「くっそ! なんだこいつ! わっ、馬鹿! 沈むな! 水が――」
水が滝の様に注ぎ込まれてゆく。
それと同時に機械全体がブルブルと震え出す。
(;'A`)「コイツは――」
そのまま機械は、突如光と化し空間を転移したのだ。
36
:
名無しさん
:2019/05/04(土) 21:25:46 ID:xTgmCUV.O
眼も眩むばかりの激しい光と、鼻腔をツンと刺激するオゾン臭。
( ーωー)「ウッ……」
頭の奥には鈍い痛み。
立ちくらみを覚えながら、それでも徐々に目を慣らしてゆくと、いつのまにか知らない空間に来ていた。
( ^ω^)「何が……起こったんだお……?」
自分と同様に身を起こすクーに手を貸し、それから冷静に周囲を見渡した後でブーンは呟く。
('A`)「空間……転移させられたらしいな……こりゃどうも」
川 ゚ -゚)「まさかのイリュージョン」
( ^ω^)「それな。……ってどうするお? こんな場所僕は見覚えがないお」
川 ゚ -゚)「そりゃ私もだよ。しかし参ったな……」
37
:
名無しさん
:2019/05/05(日) 06:24:28 ID:KSs2zg7QO
静電気で乱れた髪を整えた後に、クーは荷物から端末機を取り出す。早速起動し地図を立ち上げようとしたのだが、この場所は該当するデータがなく、空白地帯と表示されたのだ。
( ^ω^)「アチャー……」
ブーンは失望に天を仰ぐ。視界一面を覆うのは赤錆の浮いた鉄骨の群れ。それが上下一面規則的に、途中からは珊瑚の森のよう複雑に絡み合い、奇抜な谷を形成しているのだ。
('A`)「こりゃ飯どころの話じゃねぇよ。早いとこ抜け出さないと延々迷っちまう」
川 ゚ -゚)「そうだな……はぁ……なんだか災難続きだ」
(;^ω^)「僕はクーと出逢ってから得にそれが顕著な気がするお」
川 ゚ -゚)「気のせいだ」
(;^ω^)「アッハイ」
川 ゚ -゚)「オラ、さっさと出口に案内しろバトラー」
(;^ω^)「執事にクラスチェンジした覚えは無いんですけれど……」
川 ゚ -゚)「うるせぇ黙れ」
(;^ω^)「罵倒されるのがデフォとか僕悲しい。ごめん、ちょっと泣いてもいいかな?」
川 ゚ -゚)「うるせぇ黙れ」
( ;ω;)「運命って残酷ゥ!」
38
:
名無しさん
:2019/05/07(火) 18:06:30 ID:LWVxTDP2O
(;'A`)「泣くなよ」
僕(しもべ)の同情を受け、「ドックンだけが味方だお……」とブーンは顔を拭い歩き始める。
バッテリーを持たせるため、ドクオにはスリープモードに入るよう命じた。
川 ゚ -゚)「いいのか?」
( ^ω^)「いざという時の切り札になるから今は休ませておくべきだお」
川 ゚ -゚)「成る程。そりゃ確かに」
その後、二人は会話もなく宙に掛けられた橋を渡る。機械の壁に囲まれた世界は絶えず明滅を繰り返している。
まず一本目の橋を渡りきり、それから少し階段を登ってまた橋を渡る。途中で途切れた箇所は無理をせず引き返し、新たなルートを探る。
( ^ω^)「……」
黙々と歩き続けるが一向に進めている実感が湧かない。徐々に苛立ちが募り始め、気の短いクー等はおいまだなのか、何時になったら着くんだと執拗に彼の背中に声を浴びせていた。
( ^ω^)。oO(クソ面倒臭い女だお)
39
:
名無しさん
:2019/05/07(火) 18:25:09 ID:LWVxTDP2O
配管から汚水が染み出ており、それの作るあぶくが床を濡らす。
時に酸性の成分が含まれており、床が脆くなっているからとクーへ注意を促す。
( ^ω^)(……しんどくなってきたお)
半日――いや、もう二十四時間を経過している筈だ。その間碌に水分すら摂れていないのだ。全身にだるさを感じ始めている。
後ろを歩くクーの様子が心配で、ブーンは足を止め彼女の方へ振り返った。
ξ゚⊿゚)ξ「――」
( ^ω^)「……お?」
ξ゚⊿゚)ξ
( ^ω^)「……ありゃ?」
何時の間にか見知らぬ女の子が背中に立ち、こっちを見つめている。
ξ゚⊿゚)ξ「……誰よ、あんた」
こっちが聞きてぇよ。
40
:
名無しさん
:2019/05/07(火) 18:40:33 ID:LWVxTDP2O
気配を全く感じなかった。だから気づけなかった。いや、もしかした疲れの所為なのかも知れないが、それにしてもこの娘は何者だろう。
( ^ω^)「お?」
臆しもせず、こちらをじっと見つめる彼女をブーンもまた見つめ返す。
ξ゚⊿゚)ξ「……何よ」
流石に警戒心はあるのか、相手が一歩退き腰に吊るした武器と思わしき何かに手を伸ばしかけた。
(;^ω^)「ちょっ、ちょっとちょっと待った! 別に怪しい者じゃないからそれは降ろして欲しいお! それにこっちも聞きたい事があるんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「…………。どうやら敵ではないみたいね」
鞘から引き出しかけた刃物を少女は仕舞う。
(;^ω^)「話が通じる相手でよかったお。ええと……はじめまして。僕は登山家のブーンという者だお」
41
:
名無しさん
:2019/05/07(火) 19:18:06 ID:LWVxTDP2O
やや強張ったままに自己紹介を済ますと、
ξ゚⊿゚)ξ「ツン」
と素っ気なく相手も名乗った。付け加えるように「マタギのツン」と。
聞き慣れない単語に「お?」とブーンは首を傾げる。マタギ? それは姓かなにかだろうか?
( ^ω^)「ええと……ごめん、知らないから教えて欲しいんだけどマタギってなんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「これで」
ツンと名乗る少女は背中に回していた長銃を取りだし、
ξ゚⊿゚)ξ「獲物を駆る。要するにハンターよ」
ブーンの目の前でそれを構えてみせる。声には自信がみなぎり、眼光共々修羅場を潜ってきた気配が窺えた。
42
:
名無しさん
:2019/05/08(水) 12:09:21 ID:zkVMhEBgO
あまり見かけぬ銃だった。
物珍しさに興味を惹かれ、「ちょっとそれ、見せてもらってもいいかお?」とブーンはツンに頼んでみた。
ξ゚⊿゚)ξ「まぁ……いいけど。壊さないでよ」
( ^ω^)「ありがとだお」
礼を言いそれを受け取ろうとする――
(;^ω^) 「……って、ちょっ! 重っ!」
それは見かけに反してとても重かった。腕力に自信のあるブーンは、虚をつかれ一瞬たたらを踏んでしまう。
ξ゚⊿゚)ξ「ああゴメン。言うの忘れてた」
武骨なフォルムをした彼女の猟銃は、どうやら単発式でその上通常の弾丸ではなく、内部に収納された杭を打ち込むものらしかった。
いつの年代に作られたものだろう。照準器共々、外側は随分古びており、破損の酷い箇所には所々テープが巻かれていた。
( ^ω^)「いや……これは本当に凄い銃だお……」
ほへー、と感心した様子でまじまじとそれを見つめるブーンである。
ξ゚⊿゚)ξ「もう帰してもらっても?」
(;^ω^)っ「あっハイ。長々と借りちゃってごめんね」
43
:
名無しさん
:2019/05/08(水) 12:28:27 ID:zkVMhEBgO
催促され慌てて持ち主へと銃を返す。
ξ゚⊿゚)ξ「ふう……これ背負うと肩が凝るのよね」
くすんだ金色の髪をした少女は、そうこぼしながらスリングを腕に通し、軽々と肩に担いだ。華奢な見た目に反して相当鍛えられているようだった。
「さて」軽く手の埃を払った後で、彼女は向き直りブーンを見上げた。
ξ゚⊿゚)ξ「聞きたいこと」
( ^ω^)「お?」
ξ゚⊿゚)ξ「聞きたいことがあるんでしょ。さっき言ってた」
( ^ω^)「ああそれね、えっと……実は連れが行方不明になってしまったんだお。歳は二十歳くらいで、身長は君よりちょっと上かな? 全体的に無表情な感じで……長い黒髪が印象的な女の子なんだけれど――」
川 ゚ -゚)「お前の目は節穴か」
Σ(;^ω^)「ノウわァっ!」
突然背中から声が聞こえた。
ぎょっとして振り返ってみれば、そこには正に今探している当人がいるてはないか。
44
:
名無しさん
:2019/05/22(水) 21:26:49 ID:yfF0yQFsO
>>43
突然背中から声が聞こえた。ぎょっとして振り返ってみれば、いままさに探しているその人が立っているではないか。
45
:
名無しさん
:2019/05/27(月) 13:03:15 ID:Y0.MJ4ekO
(;^ω^)「クッ、クー! 今まで何処に行ってたんだお!?」
探していたんだお、とまだ驚きのせいで上擦りの残る声でたずねてみれば、
川 ゚ -゚)「なに、ちょっと飯を探しにな」
そうけろりと言ってのけた。
(;^ω^)「飯ィ〜?」
川 ゚ -゚)「そう。飯だ」
これな、と彼女がその首根っこを捕まえあるものを見せる。
从;+ー+从←コレ
(;○ω○)「人じゃねぇかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
川 ゚ -゚)+「クーたんはとんでもないものを捕まえてきたようです」デデーン!
( ^ω^)「タイトルコールみたいなドヤ顔止めて。ねぇお願い止めて」
46
:
名無しさん
:2019/05/27(月) 13:56:16 ID:Y0.MJ4ekO
さっき知り合ったばかりの男がすっ頓狂な声をあげる一方、「あ!」とマタギの少女は女が掴んでいるその人物を見るやこちらも叫んでいた。
( ^ω^)「おっ? ツンさんこの娘を知っているのかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、知っているもなにもウチの馬鹿相棒なんだけど」
気絶中のワタナベを指さしそう教えるや
ξ゚⊿゚)ξ「あー…………ここで処分された方が奴のためかもね」
飯、と言っていたクーの発言に反応したのかそんな事を言ってのける。
川 ゚ -゚)「ん? 君は見ない顔だか……良いのかい? 私は許可が降りればホイホイ食っちまう怖い女だぞ?」
ξ゚⊿゚)ξb「大丈夫だ。問題ない」
( ^ω^)「こえーよおめーら」
なに意気投合してんだお、と流石に全力でツッコミを入れざるを得ない状況に、すかさずブーンは横槍を入れた。
川 ゚ -゚)「話の解らない奴はモテないぞ、ピザ」
(#^ω^)「うるせぇ黙れ」
むんずと彼女の腕から少女を引ったくるや、相手を庇うようにクーから遠ざける。
(#^ω^)「全く……君が言うと冗談が本気になるから怖いお……っと、あ、こりゃ唯の捻挫だお。気絶してるうちに治しておくお」
_,
ξ゚⊿゚)ξ「チッ、死んでねーのかよ」
(;^ω^)「君なにかこの娘に恨みでもあるの?」
物騒な発言を聞き流し、手早く湿布を取り出すや処置を施す。
47
:
名無しさん
:2019/05/27(月) 16:26:02 ID:NdM.RFJM0
見てるぞ
48
:
名無しさん
:2019/05/27(月) 19:19:27 ID:Y0.MJ4ekO
いやんえっち
原作ありだと筆早いんですがねぇ
遅筆で申し訳無いっすわー
49
:
名無しさん
:2019/05/27(月) 19:19:59 ID:Y0.MJ4ekO
いやんえっち
原作ありだと筆速いんですがねぇ
遅筆で申し訳無いっすわー
50
:
名無しさん
:2019/05/29(水) 18:41:18 ID:sWTNH2LgO
川 ゚ -゚)「ほう……馴れたものだな」
手際がいい。
手持ちぶさたとなり、ブーンの背後からその様子を観察していたクーは、鮮やかな手つきに心から感心する。
( ^ω^)「そりゃもう怪我の絶えない仕事しているからねぇ。こういうのは嫌でも憶えてしまうものだお……っと。はいおしまい」
患部を包帯で包んでワタナベをツンに返す。
ξ゚⊿゚)ξ「あ、うん。ありがとね……」
流石にここまでしてくれた相手を邪険にすることはできず、ツンは素直に礼を述べた。
( ^ω^)「どういたしましてだお。あ〜……しっかし腹へったぁ……」
川 ゚ -゚)「うむ、全くだな」
言うや否や、二人の胃袋が同時にぐぅと音を鳴らす。
51
:
名無しさん
:2019/05/29(水) 20:33:20 ID:sWTNH2LgO
川; ゚ -゚)「うう……やばい、言ってる側からこれだ……このままでは本気でお腹と背中がくっついてしまいそうだな……」
遂には胃がしくしくと鳴き始めた。胃酸のせいで気持ちが悪い。
(;^ω^)「ツンさん、申し訳ないんだけど何か食べ物持ってないかお?」
ブーンはすがる様少女にそう訊ねる。
ξ゚⊿゚)ξ「何? あんた達お腹空いてるの?」
(;^ω^)コクコクコクコクコクコクコクコク!!川; ゚ -゚)
(;^ω^)「いやもうヤバイ。全力でヤバイ。どのくらいヤバイかって言うと宇宙ヤバイ。俺の空腹で宇宙滅ぶ。即行で滅ぶ。絶体絶命きぶみー飯飯飯飯飯飯飯ィィィィィィ!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「わ、わかった。わかったから顔近いって」
川; ゚ -゚)「めーーしーーだーーめーーしーーをーーくーーれーーーー!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ヒィィーー!」
52
:
名無しさん
:2019/06/01(土) 07:35:45 ID:XRDcXb96O
その様。恰も餓鬼の如し。
狂気すら漂う二人に囲まれツンは慌てて逃げようとした。
( ^ω^)「あっ! 隊長こやつ逃げようとしているであります! 怪しいであります! 絶体何か隠し持っているでありますゾ!」
川 ゚ -゚)「ナヌ! よっしゃ拿捕だ拿捕! ふんづかまえて搾り上げちまえ!」
( ^ω^)「Yes sir !」
ほんとどうしてこうなった。
いやもうアレが悪い。
全ての元凶はアレなんや。居でよ空腹大明神!
川 ゚ -゚)「搾る時搾れば搾れよ秘密戦隊搾レンジャー!」
( ^ω^)「アッソーレ搾りゃんせったら搾りゃんせ! びーちくびーちく濃厚ドーン!」
姉さん大変です狂気です!
ξ;⊿;)ξ「いやああああああこっちくんなばかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
53
:
名無しさん
:2019/06/01(土) 07:42:12 ID:XRDcXb96O
=┌川 ゚ -゚)┘「ダッシュだーっしゅダッシュ」
=┌川 ゚ -゚)┘「キックえーんどダッシュ」
=┌川 ゚ -゚)┘「何時か決めるぞアへ顔シューーートォーーーー」
( ^ω^)「なにそれ恐いわ」
54
:
名無しさん
:2019/06/01(土) 08:39:41 ID:XRDcXb96O
=┌川 ゚ -゚)┘「そんときー おーれーがー」
=┌川 ゚ -゚)┘「一発退場ーやー」
( ^ω^)「当然ですねわかりますだよこんバカタレが」
┌川 ゚ -゚)┘「コンバカターレV! コンバカターレ!」
(;^ω^)「えっまだ続くの?」
┌川 ゚ -゚)┘「地球の平和をしらんぷりー
大阪府民がないているー♪
はたらけー♪
はたらけー♪
窓際戦隊コンバトリャー
レッドは君だ!だが拒否する!
ブルーは今日も!出社拒否!
イエローの腰痛!ぶり返す!
グリーンはえっと……
あ、もういいや。適当にその辺生えている草で代用ね。
ピンクさんもそれでイイデスね?
異論ない?
おっけおっけーい!
よっしゃ朝までSEXXXXXXXXXXXXXXX」
(;^ω^)「滅べ」
55
:
名無しさん
:2019/06/04(火) 13:08:03 ID:Zv37Y6QMO
な……
なんなんだこいつは。
物凄い馬鹿な歌詞を堂々と歌いながら此方へ迫る女にツンは恐怖を感じた。
馬鹿だ。馬鹿に関わると脳が汚染されてしまう。
ξ#;⊿;)ξ「こっち来るんじゃねぇぇぇぇ!」
少しでも相手を遠ざけようと、闇雲に銃を射ちまくった。だが碌な狙いも着けずに放ってみれば、当然それらは当たる筈もなく弾の無駄遣いになる。
川 ゚ ∀゚)「ふひひひ捕まえたぞ子猫ちゃあああん!」
ξ;X⊿X)ξ「ぎゃん!」
スライディングの姿勢から獲物の足首を蹴り倒し転倒させた。
川 ゚ ∀゚)「剥かれろ! さぁ観念して私にお前のすべてをさらけ出すのだ!」
ξ///)ξ「ちょっ!? やっ、なに服の中に手ぇ突っ込んでんのよぉぉぉぉぉぉぉ」
(;^ω^)←蚊帳の外のひと
从;'ー'从「なにボーっと突っ立っているんですか助けてあげてよぉ……」
いつの間にか介抱された少女が目を醒ましていた。
56
:
名無しさん
:2019/06/04(火) 13:46:26 ID:Zv37Y6QMO
(;^ω^)「えぇ……正直関わりたくない……」
从;'ー'从「だって頼れるのはお兄さんしかいないよぉ……ビスケットあげるからさぁ」
( ^ω^)「任せろ」←現金
( ^ω^)っ●+「クー! これを見るおー」
ワタナベから貰ったビスケットを頭上へと掲げ、ブーンは彼女へ向け大声を放った。
川; ゚ -゚)「そ……それはッ……!?」
クーはそれを目にした途端血相を変えブーンの下へ駆け寄る。
川; ゚ -゚)ハッハッハッハッ
( ^ω^)「クー、待て!」
川; ゚ -゚)ハッハッハッハッ
( ^ω^)「待て!」
川; ゚ -゚)ハッハッハッハッ
( ^ω^)「お座り!」
川; ゚ -゚)「は、早くそれを……」
( ^ω^)「お座り!」
川; ゚ -゚)「くっ……!」
( ^ω^)「よーしよしよし」ナデナデ
川; ゚ -゚)キャインキャイン!
( ^ω^)「じゃあこれは僕がたべるー」
川# ゚ -゚)「おいざけんなテメェ」
57
:
名無しさん
:2019/06/04(火) 18:23:19 ID:Zv37Y6QMO
(#^ω^)「は? まだあげるなんて一言も言ってないんですけどー。折角僕が貰ったんだから貰った人が食べるのが筋なんですー。礼儀なんですー。それをキレるなんてお門違いもいいところだおwww」
散々嫌味を述べた早速ブーンは口に頬張ろうとする。
( ^○^)「あーん」
川;゚ Д゚)「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!」
現実はあまりにも非情だ。
卒倒する彼女を気にも留めず、ブーンは遂にそれを咀嚼、そして嚥下したのだ。
(*^ω^)「ンマーイ!」テーレッテレ-☆
川 ; Д;)
滂沱のままに固まってしまったクーを誰が責めることが出来よう。
ξ;゚⊿゚)ξ「うっわぁコイツ鬼畜ゥ……」 从'ー';从
その一部始終を目撃したツンとワタナベは声を揃えて言う。
( ^ω^)「父ちゃん、俺は、俺は遂に一矢報いたどーーーー!」
クーを出し抜きブーンは高らかに叫んだ。
ξ;゚⊿゚)ξ。oO(やべぇなんだこいつら……)
唯でさえワタナベの一件で頭が痛いのに、益々面倒な事に巻き込まれそうな気がしてしてツンは頭を抱えていた。
58
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 16:52:48 ID:3fRexFGY0
超スローテンポやな
読んでるけど
59
:
名無しさん
:2019/06/07(金) 18:47:14 ID:rbIr7iIUO
世界観ガバカバだからなー
起承転結の承と転に関するアイデアが全然思い浮かばねぇ
60
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 10:16:33 ID:ZkQyrMyQO
■log.3■
川 ゚ -゚)「あいをこめーてーアナたまをーおおげさだけーどーぶぅちこんンンンでぇー。りゆうなぁーんてぇーきぃーかぁないでぇーよーねー」
ξ゚⊿゚)ξに「いまだけすべてわぁーすぅれぇぇてぇ。わらわらないでーーうーけとめてー。てーれーていないでぇぇぇ――
ξ#゚皿゚)ξ「……って出来るかボケェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!
お前の頭がSuperfryだよッッ!」
川 ゚ -゚)「か〜ら〜の〜〜」
川 ゚ -゚)「ふたりでー写真をとーろーう(意味深)」
おいやめろほんとうにやめろ
(;'A`)「なんというヤマシイレボリューション」
61
:
名無しさん
:2019/06/08(土) 10:24:34 ID:ZkQyrMyQO
川 ゚ -゚)「……ごめんよ、まだ僕には帰れる所があるんだ。こんなに嬉しいことはない。
わかってくれるよね? ラ●ァにはいつでも会いに行けるから」
( ^ω^)「何処だよわかんねーよ赤い水性で額に『GEKIBAKA』って書いてやろうかついでに突き刺したるわ」
川 ゚ -゚)「やだ……カッコいい……」
从;'ー'从「奥さんこいつ手遅れです」
62
:
名無しさん
:2019/06/09(日) 13:41:43 ID:UVe5h9CcO
(;^ω^)「うん、知ってる。超知ってる」
ξ゚⊿゚)ξ「逝ってよし」
川 ゚ -゚)+「残念ながら中々死ねない体質なんだなぁコレが!」
――HA〜HAHAHAHAHA!と馬鹿みたいに……いや、実際馬鹿丸出しの高笑いをする当の本人に、「あぁ……」と横の二人は一斉に頭をかかえた。
(;^ω^)「……ほんと死んでくれねぇかなぁ……本当に死んでくれねぇかなぁ!」
川 ゚ -゚)「これこれはっつぁんよそんな簡単に人に死ねとか言うもんじゃないよズズズ……うむ、しかしなんだな……この『蕎麦』って奴はメチャクチャ旨いな! おじーちゃんざるそば御代わり!」
63
:
名無しさん
:2019/06/09(日) 15:07:36 ID:UVe5h9CcO
( ,'3 )「アイヨォ!」
威勢のよい声が厨房の奥から返ってきた。
(;^ω^)「まだ食うんかい」
ξ#゚⊿゚)ξ「オメー食い方汚ねぇんだよ」
川 ゚ -゚)「気にしたら負けだってばっちゃが言ってた(キリッ)」
碌でもないばーさんである。
ξ゚⊿゚)ξ「ダウト」
川 ゚ -゚)「なぜバレたし」
( ,'3 )「ハイよ、ざる盛り追加お待たせィ!」
川*゚ -゚)「ウッヒョーktkr!」
ここぞとばかりに蕎麦をかっ込むクーと、それに呆れるブーンとツンの二人。ここはツン達が暮らす集落の一画である。
先の縦穴に架かる橋を基軸とし、それに上下方向へコンテナを繋げたもの。補強用の梁が至るところに突き出し、天井はかなり低い。
節電のために設けられた燭台は青白い燐光を放っており、その原料は何か訊ねてみれば生物の体液だと言う。
ξ゚⊿゚)ξ「物資が乏しいところだからね。使えるものはなんでも利用しているのよ……って、汁跳ねたわよ汚ぇなこのボケ!」
川 ゚ -゚)「汚いのはそうやって人を罵る君の心ではありませんこと?」
ξ#゚⊿゚)ξ「あ゙・ん・だ・と !?」
( ´ω`)「ごめんおー。ほんとこいつ失礼な馬鹿でごめんおー」
川* ゚ -゚)「止せやい照れるじゃないか」
( ´ω`)「最早ノーコメント」
64
:
名無しさん
:2019/06/09(日) 15:38:39 ID:UVe5h9CcO
ξ゚⊿゚)ξ「本気で悪いと思ってるならさっさと消えて欲しいんだけど」
ツンからの辛辣な非難に
(;´ω`)「うん、本当にその通りですお重ね重ね申し訳ない。ただ、生憎道に迷ってしまってどこをどう帰ったらよいやら」
川 ゚ -゚)「なんだよズルズル……いい大ズルズズズ人がズルズル迷子なんてなさズルけズズズズズズズズズズズズー」
(#°ω°)「食うか喋るかどっちかにしろォォォォォォ!」
お前だけには言われたくねぇんだよ死ねヴォケ!と流石に堪忍袋の尾が切れ叫んだ。
川 ゚ -((=(^ω^#)「営業妨害。ダメ。絶ryぐあへぶ」
ブーンの怒りの鉄拳が炸裂した。
65
:
名無しさん
:2019/06/09(日) 16:24:18 ID:UVe5h9CcO
勢いあまって椅子ごと倒れながらも、しぶとくクーは立ち上がってこう言う。
川 ゚ ∀メ)「ふ……フヘへテメー良いの持ってんじゃry
川 ゚ ∀((●=(^ω^#)
>ぐあへぶ!
川 ∀メ)「……ちょ、人のはなry
●=(^ω^#)
●=(^ω^#)
川 ((●=(^ω^#)
●=(^ω^#)
●=(^ω^#)
ξ*゚∀゚)ξ「効いてる!効いてるぞジョー!やっちまぇブッ倒せ!」
(^ω^ )「御意」
御覧くださいなんということでしょう!
意気投合した二人は見事クソヒロインをぶちのめしたのです!
('A`)――被告人、何か言いたいことはありますか?
川 メ -メ)「まだだ!まだ終わらry」
●=(^ω^#)〜♪
教訓:口は災いのもと
66
:
名無しさん
:2019/06/09(日) 16:51:32 ID:UVe5h9CcO
( ^ω^)「――ええ。我々は最善の手を尽くしました。そして今日、遂に勝利という名の栄冠を手にしたのです!」
ξ^⊿^)ξワー!パチパチパチパチパチ!
( ^ω^)「有難うございます! 有難うございます! まずはこの感動を温かく見守り、そして祝福してくださった皆様にもう一度心からお礼を申し上げたいと思います。本当に有難うございました!」
ξ^⊿^)ξヨッオトコマエ-!
川 ゚ -゚)「それではブーンさんの勝利を祝いましてパイ投げならぬ丼投げダアアアアアアアア!」
(#°ω°)「テメェ復活するの早すぎんだよコノヤロウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴヴヴヴヴ!!」
川 ゚ -゚)「しかたがないじゃない。だってギャグほせいだもの。みつを」
( ^ω^)「ねぇお願い空気読んで。頼むから空気読みやがれったら読めや」
gdgd書いてて疲れる
67
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 18:08:27 ID:t3hW/Y/wO
( ,'3 )「ちょいとお兄さん方や」
( ^ω^)「……お?」
暴れ出しそうなブーンを止めたのは、背中から呼び止めた店主の声だった。
( ,'3 )「孫の恩人にあんまりきついこと言いたくはないんじゃか……。もうちょい静かにしとくれんかの。ほれ、周りの迷惑になっとる」
言われて視線を辿ればこちらに突き刺さる複数の非難の目。
(#<●><●>)
(#<●><●>)
(;^ω^)
川;゚ -゚)
はっと我に返った二人は慌てて口を閉じ気まずさに身を縮める。
ξ゚⊿゚)ξ「荒巻さんごめんねーすぐこいつら追い出すからさぁ。
オラ!とっとと出やがれ!」
(;^ω^)「サーセン……」
お代を置き一行はそそくさと店を後にする。
68
:
名無しさん
:2019/06/16(日) 20:19:49 ID:t3hW/Y/wO
橋の中央部分。
全長数百メートルの往来を人々が行き交う。そこから足下へと視線を移せば、床は光沢を放つメタリックな素材。
ガラス繊維の含まれたそれを指先で弾きつつ、クーは隣のブーンへと話し掛ける。
川 ゚ -゚)「……とりあえず腹は膨れた」
( ^ω^)「……うん。さて、これからどうしようか」
二人はまだ蕎麦屋の前にいる。
先程は店主の好意でドクオの充電もさせてもらえた――と、此処までは順調だか、そこから先はまだ未定のまま。
( ^ω^)「まずはここから出る方法を調べる事が最優先」
('A`)「で、そのついでに食料と水を調達しておかなきゃな」
川 ゚ -゚)「なるほど。じゃあブーン、とりあえず私は村人に話を聞いてみることにするよ。君はどうする?」
( ^ω^)「ん……。僕も一緒について行くお。買い物はその最中にも出来るでしょ」
川 ゚ -゚)「よし、決まりだな」
69
:
名無しさん
:2019/06/22(土) 13:23:46 ID:bm4ZyTpoO
二人は連れ立って歩き始めた。
雑踏に人影はまばらで、ふと時計に目を落としてみれば時刻は真夜中を過ぎている。
それでも人の気配が絶えぬのは、ここが外界と隔離された一種の密閉空間であるからだ。
自然光が届く範囲は極々限られ、それも集落からは相当に離れている。
更にすべての作物は人工灯で育てられているため、太陽そのものを知らぬ者もまた多い。
(-゜3゚)「外? 外ってなんだ?」
驚いたことにここが船内であることすら知らぬ者さえ居た。
改めてとんでもない僻地へ飛ばされたことを実感する。
(;^ω^)「……参ったおこりゃ」
川 ゚ -゚)「うむ……どうやらここの連中はあまり外に出たがらない質みたいだな。その割には生活が安定している様子だが――」
川 ゚ -゚)「お、あれは何だ?」
ふと、頭上から光が射してきてそれに釣られてクーは視線を上げた。
('A`)「船だ」
70
:
名無しさん
:2019/06/22(土) 13:40:27 ID:bm4ZyTpoO
青白いイオン・フライトの光が家々の屋根を照らした。
ドクオがぼそり呟いた間にも、徐々に降下して接近しつつある。
(;-゜3゚)「た……大変だ!」
ジャンク屋の若い店主が突然血相を変え家の奥へと駆け込んだ。
川 ゚ -゚)「?」
(;-゜3゚)「姉さん退いてくれ! ほら、あんたらも危ないよっ!!」
突き飛ばすような勢いで外へと飛び出た彼の腕には、ツンに見せられたあの猟銃が握られていた。
男は大声を張り上げ叫ぶ。
(;-゜3゚)「みんな起きろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 襲撃だ!!」
71
:
名無しさん
:2019/07/23(火) 18:00:34 ID:JafY2t6UO
悲鳴。
怒号。
逃げ惑う人々に混じって、様々な声が錯綜する。
応戦開始からわずか数分後に村は炎に包まれていた。
人々が殺到する橋の両端へ向け、飛行艇は容赦なく砲撃を繰り返している。
青白いビームが発射されると、それに巻き込まれた建物がまたも爆炎を噴き上げた。
72
:
名無しさん
:2019/07/23(火) 18:17:31 ID:JafY2t6UO
(;-゜3゚)「チクショウ! 燃料庫がやられた!」
店主が思わず叫んだ。
油に火が着いた所為で炎が猛烈な勢いで膨れ上がってゆく。
ξ゚⊿゚)ξ「消火班! 急いでこっちに来て!」
負けず声を張り上げツンが仲間達を誘導している。
( ^ω^)「ツンさん!」
その姿を見てとるやブーンは彼女に駆け寄った。
ξ゚⊿゚)ξ「あっ、あんた達まだ居たの!? ここは危ないから早く逃げなさい」
( ^ω^)「手伝うお!」
相手の言葉を遮りブーンは直ぐ様手を貸すと申し出た。
川 ゚ -゚)「私も手伝うぞ! 指示をくれ。まずはどうしたらいい?」
73
:
名無しさん
:2019/07/26(金) 21:09:30 ID:AQ.y.01UO
ξ;゚⊿゚)ξ「……っ。すまない。じゃあ早速だけれどあっちへホースを繋ぐのを手伝って。給水口のバルブは左に捻れば開くわ」
川 ゚ -゚)「左だな。よし、わかった。行くぞ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「気を付けてね!」
川 ゚ -゚)「ああ、君もな!」
ツンに背中を見送られ二人は消火栓の下へと走った。だが、この混乱の最中に上からの攻撃を警戒しつつ、重たいホースを抱えて移動するのは容易な事ではない。
川 ;゚ -゚)「あっ!」
クーの目の前で一組の親子が敵の攻撃に撃たれた。
川 ;゚ -゚)「くっ……何なんだあいつらは!? やりたい放題じゃないか!」
74
:
名無しさん
:2019/07/27(土) 22:19:07 ID:hIjhHaeoO
>>73
誤:
クーの目の前で一組の親子が敵の攻撃に撃たれた。
↓
訂正:
クーの目の前で一組の親子が敵の攻撃に倒れた。
75
:
名無しさん
:2019/07/28(日) 10:56:46 ID:Z4HLZk/oO
為す術がないもどかしさを感じただ見上げている間にも、更に被害は拡大してゆく。
从;'ー'从「このおぉぉ!!」
見知った顔の少女がすぐ目の前の路地で船に応戦していた。ワタナベは機関銃を持ち出し船底を狙っていたものの、威力が足らぬのか弾かれるばかりで敵の動きを止められない。
川 ;゚ -゚)「!」
破壊された燃料庫から漏れだしたオイルが彼女の足下まで迫っていた。船の砲頭がこちらへ旋回し、ワタナベ目掛けて銃弾を放ってきた。
川 ;゚ -゚)「危ないっ!」
クーが飛び出しワタナベを突き飛ばしたのとほぼ同時。間一髪の差で着弾した箇所が火を拭いた。
猛烈な勢いで二人は吹き飛ばされ、危うく桟の端から放り落とされそうになる。
(;^ω^)「……ッ。あっぶねぇ」
ブーンの額に冷や汗がどっと噴き出す。咄嗟にドクオを縄とし二人の足に絡ませたことで、落下をぎりぎりのタイミングで食い止めてみせたのだ。
76
:
名無しさん
:2019/07/28(日) 13:46:23 ID:Z4HLZk/oO
川 ;゚ -゚)「……ナイスフォロー」
(;^ω^)「……我ながら最高に見事なファインプレーだったお」
余裕のない表情のまま二人を引き上げた後に、ブーンは息を調えた。
从;'ー'从「お陰さまで助かりましたぁ……。あっ、でも銃が――」
ちらりワタナベの首が何もない虚空へと向けられる。吹き飛ばされた拍子に武器が手を離れ谷底へ落ちてしまった。
川 ゚ -゚)「今はそんなものほっとけ。命があるだけ儲けものだ」
77
:
名無しさん
:2019/07/28(日) 14:22:06 ID:Z4HLZk/oO
未練があるのかワタナベは中々動けない。
川 ゚ -゚)「さぁ、急げ!!」
クーは無理やり彼女を引き起こしてそのままブーンの方へと預ける。慌ててブーンはたたらを踏んだ。
(;^ω^)「ちょっ、おま!?」
川 ゚ -゚)「いざとなったらそいつを盾にして構わんぞ」
从'ー'从「あ……なーる」
よろしくお願いしますと言わんばかりにペコリと頭を下げた。
(;^ω^)「ねぇちょっと僕の人権は!? 僕の人権はどうなるんだお!?」
川 ゚ -゚)「こまけぇこたぁいいんだよ!」
(;^ω^)「いやそこスルーしちゃ駄目でしょ」
「頼んだぞヒーロー!」と分厚い胸を小突いてクーは脱出を先導する。
(;^ω^)「こういう時だけ行動力を見せるとかあの娘ずるい……」
色々文句はあるが一刻の猶予はない。ままよ、と覚悟を極めブーンは彼女の後に続いた。
78
:
名無しさん
:2019/07/28(日) 14:25:05 ID:Z4HLZk/oO
>>77
一部抜けていたので修正
クーは業火に巻かれた建物の方を見る。誘爆が次々と橋の上で起こり、このまま此処に留まっている訳にはいかない。
もう消化は間に合わないとクーは見切りを着けた。
川 ゚ -゚)「逃げよう」
从;'ー'从「でもっ!」
川 ゚ -゚)「悔しいだろうが今は生き延びる事が何よりも先決だ」
未練があるのかワタナベは中々動けない。
川 ゚ -゚)「さぁ、急げ!!」
クーは無理やり彼女を引き起こしてそのままブーンの方へと預ける。慌ててブーンはたたらを踏んだ。
(;^ω^)「ちょっ、おま!?」
川 ゚ -゚)「いざとなったらそいつを盾にして構わんぞ」
从'ー'从「あ……なーる」
よろしくお願いしますと言わんばかりにペコリと頭を下げた。
(;^ω^)「ねぇちょっと僕の人権は!? 僕の人権はどうなるんだお!?」
川 ゚ -゚)「こまけぇこたぁいいんだよ!」
(;^ω^)「いやそこスルーしちゃ駄目でしょ」
「頼んだぞヒーロー!」と分厚い胸を小突いてクーは脱出を先導する。
(;^ω^)「こういう時だけ行動力を見せるとかあの娘ずるい……」
色々文句はあるが一刻の猶予はない。ままよ、と覚悟を極めブーンは彼女の後に続いた。
79
:
名無しさん
:2019/07/28(日) 16:13:54 ID:Z4HLZk/oO
ワタナベいわく、敵の襲撃に備え村の至るところにシェルターが設けられているらしい。秘密の扉を開け中の通路を伝い、橋の真下へと出たブーン達はそこから斜めに伸びる非常階段を下っている。
途中設けられた銃座はどれもみな破壊されていた。
大穴が穿たれた箇所に上半身を失った歩哨の遺体が横たわっており、鉄骨が危うい軋みを発している。もうここも長くは持ちなそうだ。
急ぎ足になりながらブーンはワタナベに尋ねた。あいつらは一体何者かと。
从'ー'从「流石族っていう盗賊の一味だよ。あいつら周囲の村を襲っては物資を根刮ぎ奪ってゆくんだ」
ワタナベの集落は船内工房の付近に築かれた良質な狩場なので、それを目当てに襲撃が絶えないのだという。
从'ー'从「……折角みんなで頑張って村を大きくしてもすぐ奴らに奪われる。あいつらはゴミ以下の糞虫! まさに寄生虫だよ」
憎々しげにそう言い放った時、三人は接近する船の光を感じた。
(;^ω^)「っ! 伏せろ!」
咄嗟に女性二人を庇いブーンが身を屈める。腹ばいの姿勢のまま、金網の張られた彼らのすぐ真下を黒い戦闘艇が通り抜けてゆく。 針鼠のごとくびっしりと砲門が並んで見てとれた。
80
:
名無しさん
:2019/07/28(日) 17:03:12 ID:Z4HLZk/oO
「――こぉのぉおおおお!!!!」
ふと、聞き覚えのある声が耳に飛び込んだ。
おや、と思い視線をそのままずらしてゆくとなんとツンが船の舳先にしがみついているではないか。
(;゚ω゚)「!? ツンさん一体なにをやってんだお!?」
ξ#゚⊿゚)ξ「ふざけんなゴラァ!!
そんなとこに閉じこまってないで出てこいやゴラァ!」
奇声を上げ船体に撃ち込んだ銛を足掛かりに甲板へよじ登ると、風圧を物ともせず彼女は一直線ブリッジ目掛けて駆け出している。
川 ;゚ -゚)「あのバカっ! あんなとこ張りついて居たらすぐ振り落とされるぞ!!」
クーの不安どうり船体が急に傾きツンの体がよろめいた。
从;'ー'从 「ツンちゃんッッ!」
ξ#゚⊿゚)ξ「嘗めるなぁッッッッ!」
腰に刺していた電磁ナイフを引き抜きギャリギャリ尾を引きながら無理矢理それを突き立てる。
宙に泳いだ足を素早く元の位置に戻すとツンは猟銃の撃鉄を引き戻した。
ξ゚⊿゚)ξ「食らえ!」
仰け反りながらもブリッジ目掛けて銃をブッ放す。ドンッッ!と腹の底に響く衝撃音が空を貫いた。
川 ;゚ -゚)「やった!?」
弾着と同時装甲の表面が瘤のように膨れ上がった。弾頭の先端部に埋め込まれていた信管が起爆し、強烈な爆風を撒き散らしたのだ。
ξ゚⊿゚)ξ「ヘッ!」
ざまあみろと云わんばかりに口許に笑みが湧いた。
だが結果を目に収めるよりも速く、爆風はツン自身をも巻き込み船は谷底目掛けて墜落してゆく。
(;゚ω゚)「ああああああっ!!」
从;'ー'从「ツンちゃあああああああああああああああんんん!」
彼らの悲鳴も爆風と闇の中に吸い込まれた。
81
:
名無しさん
:2019/08/03(土) 02:10:54 ID:b77NwnJw0
どこで感想や支援を挟むか考えるなこれは
支援
82
:
名無しさん
:2019/08/03(土) 10:27:11 ID:rppIKGggO
しかたがない
だって低クオリティなんだもの
みつを
83
:
名無しさん
:2019/10/01(火) 17:15:07 ID:uU3Ea2mYO
落下する。
落ちてゆく。
落ちてゆく――――――――……。
84
:
名無しさん
:2019/10/02(水) 13:08:13 ID:Ai8OZrCUO
異臭。
そして、「キシュン、キシュン」とリズミカルに音を奏でる何かの作動音。
それらが気を失っていた彼女の覚醒を促した。
ξ゚⊿゚)ξ「――!」
ξ゚⊿゚)ξ「ここは……?」
目を開いた直後、ツンの視界に真っ白な天井が映ってみえた。
背中には衣擦れの感触。清潔なシーツが敷かれたベッドの上に寝かされていて、空調器のフィルターから静かに風がこぼれている。
ξ゚⊿゚)ξ「ここ……何処……?」
85
:
名無しさん
:2019/10/02(水) 13:42:38 ID:Ai8OZrCUO
視線をさ迷わせつつ、見当のつかない彼女は独りこじた。
窓もなにもなく、位置を調べる手がかりはない実に殺風景な部屋。
見るものが見ればそれを病室のようだ、と印象を抱くかも知れない。
だが、産まれてこのかた自分の集落以外ろくに接触をはかった事のないツンにはそんな物があることさえ知らず、ただ困惑してしばらく記憶を思い出そうと試みるばかりだ。
ξ;ー⊿ー)ξ「あー……ダメだ……なんにも憶えちゃない……」
参ったなこれは、とため息をこぼし、それからふと目元にむず痒さを覚え手を持っていこうとした時、奇妙な変化に気付いた。
_,
ξ゚⊿゚)ξ「ん?」
86
:
名無しさん
:2019/10/02(水) 14:25:32 ID:Ai8OZrCUO
毎回AAずれるの何でだろう
半角入力だと空白は認識されないのかな?
87
:
名無しさん
:2019/10/02(水) 19:17:02 ID:Ai8OZrCUO
ξ゚⊿゚)ξ「なにこれ」
はたと手を止めた彼女の指先――右手側の人差し指の裏に、人の顔を思わせる奇妙な点模様の刺青が彫り込まれている。
ξ゚⊿゚)ξ「トライアングル?」
逆三角を描いて配置されたそれには何らかの意図が込められているのかも知れないが、生憎ツンにはそれらに関する知識の持ち合わせがない。
ξ゚⊿゚)ξ「やぁねぇ乙女の餅肌に」
そう言うにはいささか手荒れが酷いが。
ξ゚⊿゚)ξ「まぁいいか。それより本当にここは何処なのよ?」
取り合えずは状況確認をね、と刺青の事は後回しとしてツンはベッドから体を降ろした。
88
:
名無しさん
:2019/10/03(木) 06:17:34 ID:4o6p4TmsO
寝ている間にブーツを脱がされていたらしい。素足のまま足を降ろす。
服は元の格好のままだ。船を攻撃した時スーツを破損していたが、そちらはまとめて床の上に置かれている。
ゴーグル、そしてなにより肝心な得物である銃。それらを用心しながら急ぎ身に付ける。
ξ゚⊿゚)ξ「……うん、まだ弾もバッテリーも残ってる」
そして少し体を動かしてみる。軽い。どういう意図かは解らぬが随分丁寧に処置してくれた模様だ。
少し気味が悪いけれども。
89
:
名無しさん
:2019/10/03(木) 08:45:59 ID:4o6p4TmsO
準備を整え、ツンは正面に見えるドアへと近づいた。ロックされているかに思えたそのドアは意外にもするりと開いた。
ということは、別に監禁するつもりはないという事か。
油断はせぬよう、注意深く観察をしてからドアを跨いだ。廊下は真っ直ぐ奥へと続いている。
ξ゚⊿゚)ξ(……人気を感じない)
廊下の左右に設置されたライトが心細げに進路を照らしている。
ξ゚⊿゚)ξ(この壁の素材は…………何かの樹脂?)
ライトだけではなくそれ自体が微弱に発光している作りとなっていた。
試しにナイフで削れぬものかと傷を付けてみたが、うっすら線の跡が残るばかりだった。見た目以上に強度を持つものらしい。
90
:
名無しさん
:2019/10/03(木) 13:22:50 ID:4o6p4TmsO
>>89
一部修正
見た目以上に強度を持つものらしい。→想像したよりも強度があるらしい。
91
:
名無しさん
:2019/10/03(木) 18:02:05 ID:4o6p4TmsO
ξ゚⊿゚)ξ(壁をくり抜く事が出来ればもしや……と思ったけれど流石にそう上手くは行かないか)
得物を鞘に戻し引続き探索を再開する。
直線の続く廊下は数十メートル先で折れ曲がり、そこから下り坂となっていた。緩やかな傾斜だ。そしてこちらの壁には何かの生物を模したレリーフが埋め込まれている。
ξ゚⊿゚)ξ(一見人のよう……。
でも、所々形が歪んでいる。なんだろう。人から別な物へ生まれ変わる過程を描いているの……?)
いったいこの施設は何なのだろう。
92
:
名無しさん
:2019/10/04(金) 13:05:16 ID:FcJXgw/.O
なにか手掛かりを得られぬものかと、ツンは注意深く観察を進めた。
ξ゚⊿゚)ξ(瘤が膨れて……これは角……こっちは翅みたいな形になっている……まるで化物だわ)
ξ゚⊿゚)ξ(あ、ここに文字みたいなものがあるけどなんて読むんだろ?)
ξ;゚⊿゚)ξ(ううん……駄目だ、さっぱりわからん!)
どうにもなにかを伝えるためのものらしいが、生憎肝心の所が解らない。自分の知識不足が実に悔やる。
ξ;ー⊿ー)ξ「うーん、あたしホントこういうの苦手……考古学者じゃねぇっつーの」
「ハッ! オメー見るからに頭悪そうだもんな」
ξ゚⊿゚)ξ「誰?!」
突然背後からかけられた声に驚き、はっと振り向いた。
93
:
名無しさん
:2019/10/04(金) 18:44:28 ID:FcJXgw/.O
>>92
脱字修正
自分の知識不足が実に悔や【まれ】る。
94
:
名無しさん
:2019/10/09(水) 07:29:50 ID:NCtiS2osO
ξ;゚⊿゚)ξ「ヒッ」
そして次の瞬間、ツンの喉から上擦った悲鳴が漏れた。
丱゚゚゚*゚゚゚丱
そこにいた生き物をなんと形容すればいいのだろう。
先ず――最初に目についたのは顔の両側面に生える奇抜な角。
昆虫の複眼と蛸の口を思わせる醜い顔面はまさしく怪物そのもので、そいつが唇(?)から粘液を垂らしながらこちらに歩み寄ってきているではないか。
95
:
名無しさん
:2019/10/10(木) 07:30:24 ID:46A7480MO
後ずさるツンを無視して更に相手はこちらへと近づき、彼女の目の前に立つ。
ξ;||⊿||)ξ「ひっ……」
そして怪物は口を開き
丱゚゚゚*゚゚゚丱 「指」
と、そう一言。
ξ;||⊿||)ξ「ゆ、指?」
丱゚゚゚*゚゚゚丱 「そうだ。指、ちょっとこちらへ見せてみろ。
なんだ、ちゃんとマーカーあるんじゃねぇか。
じゃあもうビビらせる必要はねぇな」
そう言うや否や怪物は自分の顔面に手をかけビリッ!と皮膚を破り捨てた。
_
( ゚∀゚)「ふぃー。このマスク暑っついのなんのって……」
中から現れたのはツンと変わらぬ人だ。
ξ;゚⊿゚)ξ「……に、人間……?」
_
( ゚∀゚)∩「そういう事。よ、姉ちゃん。ビビらせて悪かったな。
俺の博物館(ミュージアム)へようこそ。客は歓迎するぜぇ」
96
:
名無しさん
:2019/10/10(木) 08:13:28 ID:46A7480MO
悪びれもせずにツンをからかった後、「あ、俺はここの館長のジョルジュな」とウインクを交え名乗った。
ξ゚⊿゚)ξ
なんだこのチャラい男は。
_
( ゚∀゚)「いや、久々にこの層へ降りてきたらなんと女の子が倒れているではあーりませんか!
俺ぁ運命ってやつを感じたね!」
_,
ξ゚⊿゚)ξ
いや、ねぇから。勝手にそういう運命の糸みたいなの結ぶなや。
しっかしコイツ声うるせぇなぁ、とツンは思う。
_
( ゚∀゚)「いや俺っては外見に似合わず優しいって言うか? むしろ紳士って言うか? 兎に角こうズキューン!と来ちゃったの。やばい、助けなきゃ!って」
_
( ゚∀゚)「うんそれでメディカルルームへ君を運んでいった訳よ。あとは簡単スイッチオーン!
いや、誓って言いますけどそれだけですからね!? 服脱がせて変な事とはしてませんからね?! そこんとこ大事ですからね! だから頼むその銃降ろして!?」
ξ#゚⊿゚)ξ「やかましいわボケ」
_
(;゚∀゚)「アッ、ハイ……サーセン」
陽気な若者は一睨みで萎縮した。
97
:
名無しさん
:2019/10/12(土) 13:21:47 ID:cE8bF/rYO
まだ信用が置けぬと、背中に銃を突きつけられながら、ジョルジュは館内を歩いていた。
_
(;゚∀゚)「やれやれ……そんなに俺怪しい奴に見える?」
ξ゚⊿゚)ξ「どこからどうみても胡散臭いわよ」
_
(;゚∀゚)「さいですか……」
ツンからの回答はにべもない。
レリーフの回廊はまだまだ奥へと続いていた。壁の両側に刻まれているのはやはり例の怪物たち。
ちょうど気になっていたところなので、ツンは訊ねた。
ξ゚⊿゚)ξ「ねぇ、さっきから気になっていたんだけどこれって何を表してるの」
_
( ゚∀゚)「ああ、そいつらは生け贄だ」
ξ゚⊿゚)ξ「生け贄?」
思いもよらぬ答えが返ってきた。
_
( ゚∀゚)「おう。
俺も詳しい理由は知らないが、大昔この船内で大規模な反乱があったらしくてな。
その時鎮圧用に作られた生物兵器がそいつらって訳だ。
ひでぇ話だが当事その兵器の材料には見せしめに捕われた生身の人間が用いられたらしいぜぇ……?」
ジョルジュはわざとらしく妖しげな口調で話を締めた。
ξ゚⊿゚)ξ「ふーん……。ぞっとしない話ね」
_
( ゚∀゚)「ああ。胸糞悪い事を考える奴ってのは何時の時代も変わらねぇってことさ」
ξ゚⊿゚)ξ「あ、そうだ。胸糞悪い奴らで一つ思い出したわ」
98
:
名無しさん
:2019/10/12(土) 19:37:57 ID:cE8bF/rYO
自分が撃墜した例の船はどうなったのだろう。残骸を見かけなかったとツンはジョルジュに訊ねてみた。
_
( ゚∀゚)「船の残骸? いや、見かけなかったけれどそれが何か?」
ξ゚⊿゚)ξ「私の村を襲いに来た奴らなのよ。私が返り討ちにしてやったけれど、しぶとい連中だから念の為確認しておかないと」
_
( ゚∀゚)「はぁ、あんた若いのに苦労してるんだなぁ」
ξ゚⊿゚)ξ「いや歳はそう変わらないでしょ。あんた幾つ?」
_
( ゚∀゚)「幾つだと思う?」
ξ゚⊿゚)ξ「意外と歳食ってるわけ? じゃあ三十台半ば〜四十台前半ってとこかしら」
_
( ゚∀゚)「ブーツ! 大ハズレ〜wwww
こう見えても1000歳越えてまーすwwwwwww」
ξ゚⊿゚)ξ「なん……だと……」
99
:
名無しさん
:2019/10/12(土) 20:12:16 ID:cE8bF/rYO
作者の健忘録を兼ねたここまでのまとめ
●これってどんな話?
「壁」とよばれるクソデカイ構造物の中を、ブーンとその仲間が旅する話です
●ざっくり粗筋を教えて!
登山家であるブーンが、冒頭で出逢ったヒロイン・クーの治療法を求めて壁の上層部にいる賢者「ハイ・フロスガー」を探すのが主な目的。
旅の途中、クーのいたずらで転移装置に巻き込まれた一行は、「マタギ」と呼ばれる狩人の少女・ツンとワタナベに出会い、彼女らの集落へ案内される。
ところがその晩、村が襲撃者に襲われ混乱の最中ツンが谷底に落とされてしまった。
ツンは「博物館」と呼ばれる場所で目覚め、そこで怪しげな男、ジョルジュから過去、この壁の正体である星間移民船の中で起こったとある事件を知る。←いまここ
100
:
名無しさん
:2019/10/27(日) 06:46:20 ID:UPvSraSwO
想定外な答にあんぐりと口を開ける一方、みごと騙してやったとばかりにゲラゲラと腹を抱えてジョルジュは笑っている。
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( ゚∀゚)「やーいやーい!! 騙されてやんのーwww」
ξ゚⊿゚)ξ「若作りしたジジイに馬鹿にされるのもなんだなぁ……」
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( ゚∀゚)「いやジジイじゃねぇし唯のアンドロイドだし」
ξ゚⊿゚)ξ「……先にそれを言いなさいよ紛らわしいわね」
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( ゚∀゚)「いやだってからかった方が絶対に面白いじゃん?」
ξ;ー⊿ー)ξ「……アンタを作った奴に文句を言えないのが尚更悔しいわ……まぁどうでもいいけど」
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( ゚∀゚)「うん。俺こういう仕様だから諦めてくれ」
ξ;ー⊿ー)ξ「わかったわかった。分かったからさっさと出口まで案内して。
あたし用事があるから急いで帰らないといけないのよ」
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( ゚∀゚)「ん?そうなのか?」
なんなら途中まで送ってゆくぞ、とジョルジュは気さくに訊ねてきた。
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