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SSスレ「マーサー王物語-ベリーズと拳士たち」第二部
1
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/09(土) 21:28:16
SSスレ「マーサー王物語-サユとベリーズと拳士たち」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/20619/1430536972/
SSログ置き場
http://jp.bloguru.com/masaoikuta/238553/top
2
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/09(土) 21:28:46
前スレの続きの話をこのスレで書いていきます。
第一部をすべて読み終えることを前提にしていますので
前スレか、あるいは後に更新するSSログ置き場を御覧いただくことをお勧めします。
3
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/09(土) 21:32:16
【第二部:berryz-side】
我々の住む地球から時空を超え宇宙を超えたところにある、とある世界。
そこにはモーニング帝国と呼ばれる大国が存在していた。
その帝国を護る少女剣士集団であるモーニング帝国剣士らは今日も訓練に勤しみ、
正午には食堂でランチを楽しもうとしていた。
「やったーごはんだー!」
帝国剣士の中でも最も若い新人、アカネチン・クールトーンは大はしゃぎだ。
成長期だからか、今が一番ご飯が美味しい時期なのだろう。
急いで定食を取りに向かうが、それを同期のハーチン・キャストマスターに制止される。
「こらあかんやろ!先輩方が先や。」
モーニング帝国剣士には厳しい鉄の掟が定められていた。
いくつかある中でも代表的なのは「料理を選ぶのは先輩から」というものだ。
まずは最も先輩であるQ期団のエリポン、サヤシ、カノンから。
次は天気組団のハルナン、アユミン、マーチャン、ハル。
続いて同じく天気組団だが先の4人より後輩であるオダが定食を運んでいく。
そして最後に新人ハーチン、ノナカ、マリア、アカネチンが選択することを許されるのだ。
人気の焼肉定食などはすぐに無くなってしまうため、新人4人の選択肢はほぼ無いに等しかった。
ボリュームの少ない野菜だらけの定食を運びながら、アカネチンが寂しそうな顔をする。
「はぁ、もっとたくさん食べたかったなぁ。」
「ほんまにアカネチンはしょうがないな。じゃあウチの分も食べ。」
「え!?ハーチンいいの!?」
「ウチは氷さんだけあればそれで満足なんや。」
「ハーチン大好き!」
アカネチンは両手をあげて喜んだ。
ハーチンがご飯を分け与えることなんて日常茶飯事なのだが、
それでもとても嬉しく思えるくらい、食べたくて食べたくて仕方ないのである。
だが、その行為に対して先輩から注意が入る。
「ダメよハーチン。ご飯は自分で食べなさい。」
「「ハルナンさん……」」
指摘をしたのはモーニング帝国の剣士団長兼、天気組団の団長兼、新人剣士の教育係である
ハルナン・シスター・ドラムホールドだった。
新人のことを思って、剣士たるもの体調管理も重要だというありがたい話をしてくる。
「食事制限も行き過ぎると逆効果よ?訓練と任務をこなすためのエネルギーはちゃんと摂取しなさい。」
「はぁい……」
「そしてアカネチン。成長期とは言え定食を2つも食べるのは絶対にダメ。
身体が重かったら実践で思うように動けないでしょ?」
「でも……」
アカネチンはQ期団の座るテーブルをチラッチラッと見た。
そこでは恰幅の良いカノンと、昨年より大幅にスケールアップしたサヤシが食事をとっている。
「あの二人は……」
「それ以上言うのは許しません。」
「はい、ごめんなさい……」
4
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/09(土) 22:10:19
「ごちそうさまでしたー。」
アカネチンは、食事が終わると決まってハルナンの後をついていく。
彼女らは重要な任務を任されているため、日に三回、とある場所に向かわねばならないのだ。
「アカネチン、ちゃんとお弁当は持った?」
「はい!カバンの中に入れています。」
「じゃあ行くわよ。サユ様のお部屋へ。」
ハルナンとアカネチンの任務。それはこの国の先代の王であったサユの元に食事を届けることだった。
この国では昔からのしきたりで、元帝王はモーニング城の地下で隠居することが義務づけられている。
地下室に缶詰めという訳ではないが、なるべくは外に出ないほうが望ましいとされているのである。
その目的や詳しいことは末端の剣士であるアカネチンにはまったく分からないが、
研修生時代に比較的サユと仲が良かったということもあって、給仕係に任命されたのだ。
朝、昼、晩のご飯を届けるために、唯一サユにアクセス可能なハルナンについていくのが日課になっている。
「それにしてもサユ様がこんな庶民的な料理を食べるなんて意外でした。」
アカネチンが運ぶ料理は、ご飯の上に焼鳥つくねを乗せて、その上から甘いタレをかけた丼ぶり料理だった。
このいかにもB級グルメな見た目の丼ぶりを先代の王サユが好むというのは有名な話であり、
信奉者も「サユ丼」と呼んで、食堂の在庫が切れるくらいに食べまくったという。
それを運んでいると、アカネチンもヨダレが出そうになってくる。
「お腹減ったなぁ……」
「アカネチン。さっきお昼ご飯を食べたでしょ?」
「思ってません!サユ丼を食べたいなんて思ってません!」
「あなたがサユ丼って言ったらダメでしょ。立場的に……」
そんなやり取りをしながら、ハルナンは厳重に施錠された扉のカギを開けていく。
ここから階段を下ればサユの部屋はすぐそこだ。
さっさとサユ丼をお届けしようと思っていたところに、とんだ邪魔が入る。
「アカネチンばっかりズルい!ハルナンさん、マリアも連れていってください!」
「「!?」」
登場したのはアカネチンやハーチンと同期の新人剣士である、マリア・ハムス・アルトイネだ。
ハルナンとアカネチン以外の帝国剣士らは城外の監視を行っているはずだというのに、
こちらの任務を羨ましく思うあまり、本業を疎かにして尾行してきてしまったのである。
「マリア?あなたの仕事はエリポンさん達と一緒に城門を見張ることでしょ?」
「ハルナンさん!アカネチンばっかりズルいんです!」
「まったくもう……」
この時アカネチンは、マリアが仕事熱心すぎるからこんなことを言うのだと考えた。
研修生時代のマリアは相当なエリートだったため、いろんな仕事をこなしたいのだろうと推測したのである。
当時はともかく今は同格。アカネチンも言いたいことは気にせず言うようにしている。
「マリアちゃんは監視任務の方に行きなよ、ここは私がちゃっちゃと終わらすからさぁ」
「ズルい!アカネチンがそうするならマリアはドゥーさんにベッタリくっつくことにする!」
「ちょっと!?なんでそこでドゥーさんが出てくるの?意味が分からないんだけど……」
「とにかくマリアも地下室に行きたいんです!ハルナンさんお願いします!」
「ハルナンさん!こんな訳分からないこと言うマリアちゃんなんか放っといて早くいきましょうよ!」
新人二人の喧嘩にハルナンは頭を抱えてしまった。
天気組団のハルやマーチャンを超える問題児はそうそういないと思っていたが、現にこうして二名存在している。
後輩育成の難しさを改めて痛感する。
5
:
名無し募集中。。。
:2016/01/09(土) 22:11:25
スケールアップ…そこいじるのかw
祝二部スタート!楽しみにしてます
6
:
名無し募集中。。。
:2016/01/09(土) 22:22:18
やっぱり誘惑に勝てなかったかーw
7
:
名無し募集中。。。
:2016/01/09(土) 23:39:33
サユ王はほぼ缶詰状態でもあまり気にしなさそう
日がな一日ネットパトロールしたり
美少(幼)女の画像や動画を鑑賞したり
8
:
名無し募集中。。。
:2016/01/10(日) 00:30:58
どうせ地下にいても王国中の監視カメラで美少女漁るんでしょw
てか昔のサユはただのナルシストだったのにいつから幼女好きになったのか・・・
9
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/11(月) 01:19:36
「しょうがない、今日だけマリアもついてくることを許可します。」
「本当ですか!?マリア、とってもとっても嬉しいです!」
「ハルナンさん甘いなぁ……」
このまま喧嘩が長引いても埒があかないため、ハルナンは自分が折れることにした。
本来は誰彼構わず地下に入れるのは望ましいことではないのだが、
新人を一人加えたところで大きくは影響しないと判断したのである。
「さて、早くお食事を届けないとね……あら?」
「どうかしたんですか?」
「鍵が、開いている……」
「「え!?」」
サユの部屋へと続く扉が施錠されていないのは、かなりの一大事だった。
大したことないように思えるかもしれないが、これは場合によっては国際的な問題にも発展しうる緊急事態なのである。
詳しくは知らないマリアとアカネチンも緊迫した雰囲気を感じ取ったのか、途端に慌てだす。
「えっと、えっと、サユ様が外出しているとかじゃないんですか?……」
「この扉の鍵はサユ様も持ってるの。外出する時は必ず鍵をかけるはずよ。」
「鍵のかけ忘れは考えられないんですか?」
「ありえない。地下室の重要性を理解されているサユ様に限って、そんなミスはありえないわ。」
「うぅ……」
鍵の行方を議論するのも良いが、まず優先すべきはサユの安否だ。
ハルナン、マリア、アカネチンは覚悟を決めて扉を開こうとする。
ところが扉を開けようとしたその時、思いもしなかった出来事が起こった。
「わっ!!」「誰!?」
なんと扉の中から謎の人物が飛び出してきたのだ。
いや、正確には「謎の人物」と「謎の馬」。
馬に騎乗した女性が突如現れたのである。
そして更に信じがたいことに、そいつは気を失っていると思わしき黒髪女性を脇に抱えていた。
その黒髪女性のことは誰もが知っている。
マリアは思わず大声でその名を叫んでしまう。
「サユ様!!」
謎の騎馬兵が運ぶのはモーニング帝国の先代の王、サユだった。
その緊迫した様子からはとても乗馬遊びをしているようには見えない。
「人さらいだ。」と、マリアもアカネチンもすぐに感じ取ることが出来た。
「サユ様を放せ!」
人さらいを倒すため、サユを助けるため、マリアは両手剣を握って騎馬兵に斬りかかった。
この状況ならば帝国剣士は誰もがそうするべきかもしれない。
しかしアカネチンは瞬時に動くことが出来なかった。
人さらいのことを知っていたため、恐怖で身体が凍りついてしまったのである。
「あなたは……!!」
10
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/11(月) 01:21:26
この世界にはネットも監視カメラもありませんが、
それに近い情報を得る手段ならサユは持っているかもしれませんねw
11
:
名無し募集中。。。
:2016/01/11(月) 10:59:02
サユ王拉致!?犯人は『馬に乗っている』・『アカネチンと顔見知り』・・・あの人以外考えられないなw
まさか一部の 366 がネタではなく伏線になっていたとは…
12
:
名無し募集中。。。
:2016/01/11(月) 20:29:26
ついにあの部隊が登場か!
13
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/12(火) 08:38:51
ハルナン達が人さらいと遭遇したのと同時刻。
残りの帝国剣士らも、城門前で信じ難い光景を目にしていた。
「マイミ様!?その怪我はいったい……」
帝国を訪ねてきたのは、マーサー王国のキュート戦士団団長であるマイミだった。
それ程の大物がやって来るだけでも一大事だというのに、
そのマイミの鋼鉄で出来た義足が両方とも折れ、
更に腕が真っ赤に腫れているのだから一同は大騒ぎだ。
そんな人間が無事であるはずが無いと思った新人剣士は特にパニックに陥っている。
「い、今すぐ誰かにDoctorを呼んできてもらいます!」
ノナカ・チェル・マキコマレルは門の中にいる兵士らに助けを求めようとしたが、
それを帝国剣士団長兼、Q期団団長であるエリポン・ノーリーダーが制した。
「待って!」
「What's!?」
「騒ぎを起こすのはまずい。なるべく他の人には知らせないようにしよう。」
「でも急がないとその人が死んじゃいますよ……」
「私なら大丈夫。それよりも頼みを聞いて欲しい……そのために走ってきたんだ!」
マイミの言葉に帝国剣士らは息を飲んだ。
走ってきたとは言うが、義足の破損した今のマイミに脚はない。
つまりは、二本の腕だけでここまで来たということになる。
いくらモーニング帝国とマーサー王国が隣国とは言え、ここまで手押し車で来るなんてレスリング選手もビックリの体力だ。
霊長類最強女子とはマイミのことを言うのかもしれない。
そんなマイミがこれだけボロボロになっているのだから、一同は興味を引かれずにはいられなかった。
「頼み……とは?」
「結論から言う。キュート戦士団が倒され、マーサー王がさらわれたから助けて欲しいんだ!
我々キュートだけでは……王を取り戻すことが出来ない!!」
「「「「!?」」」」
マイミの口から飛び出したのは、本日最も信じられない事実だった。
マーサー王がさらわれることの重要性はもちろんのこと、
化け物のような強さを誇るキュート戦士団が壊滅したということにも驚かされた。
マイミだけでなく、ナカサキ、アイリ、オカール、マイマイと言った超一流戦士が揃っているというのに
敗北を味わうなんて現実味が無いにもほどがあった。
「い、いったい誰にやられたんですか?……」
マーサー王国の守護戦士、いわゆる食卓の騎士の強さを身をもって知ったことのあるサヤシがおそるおそる訪ねた。
キュートと同格と言われているベリーズ戦士団の恐ろしさに泣かされた経験から、
それに相当する強さを誇る人物がいるなんて未だに信じられていないのだ。
だが、そこでサヤシは気づいてしまった。
キュート戦士団を壊滅に追いやる、キュート戦士団に匹敵した実力者集団の存在を理解してしまったのだ。
「え!?まさか、いや、そんな……」
その存在を思い出すだけでサヤシの身体は重くなる。
あまりの重圧に吐き気がしそうになってくる。
サヤシが勘付いたのを悟ったマイミは、本件の全貌を明らかにする。
「あぁ、我々キュートを倒すことが出来る強者なんて、彼女ら以外には存在しないだろう。」
14
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/12(火) 08:40:28
皆さんの予想は半分アタリ半分ハズレです。
なんともコメントしにくいのでとにかく更新を急ぎますねw
次回は夜頃に更新します。
15
:
名無し募集中。。。
:2016/01/12(火) 12:42:58
マジか・・・色んな意味でマジか!?
色々気になるけど今夜の更新を待つ事にしよう…
16
:
名無し募集中。。。
:2016/01/12(火) 13:20:12
まーたマーサー王さらわれたのかよw
17
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/12(火) 20:18:09
マーサー王国で起きた事件の日まで時は遡る。
その日のマイミは訓練場にて3時間にも及ぶ自己鍛錬を終えた後、
ジョギングがてらパトロールに行こうとしていた。
いつもの平穏な日常ならば、42.195kmを2時間ほど走ることでマイミの1日は終わるはずだったのだが
この日に限ってはジョギングの一歩目から異変が起きていた。
訓練場を少し出たところにキュート戦士団の一人であるオカールが倒れていたのだ。
それも、血まみれで。
「オカール!?いったいどうしたんだ!」
団員の無事を確かめつつも、マイミは自然とファイティングポーズをとっていた。
まだ見ぬ敵を警戒しているのだ。
オカールはこの国で、いや、それどころか近隣諸国を含めても十二指に入るほどの実力者のはず。
特にアウェーでの戦いに強く、マーサー王国に刃向かう小国でもあればたった一人で制圧する程だった。
そんなオカールが無惨に散るなんてまったくもって考えられ無い。
それを可能にした敵とはどれだけの強者なのだろうか。
「俺のことは良いから早く王のところへ……」
「王だと!?敵は王を狙っているのか!……くそっ、ベリーズ全員が遠征に行っている時に攻めてくるなんて……
よし!今すぐナカサキとアイリ、そしてマイマイを招集して対抗しよう!」
「ダメだ!それは無駄なんだ……」
「無駄だと?……それはどういう……」
「やられちまったんだよ、キュートはアンタ以外全員な……」
「!!?」
この時受けたマイミのSHOCK!は尋常ではなかった。
キュート戦士団は全員が超一流。
一騎当千どころか一騎当万にも値する実力の持ち主だ。
そんな彼女らが4人も敗北するなんて有り得なさすぎる。
いったい相手はどれだけの戦力なのか、マイミの頭では想像することも出来なかった。
「敵はどんな奴らなんだ?……数十万の軍隊でも押し寄せてきたのか?……」
「6人だよ……」
「は?」
「これ以上言わせないでくれ……察してくれよ!!俺だってもう言いたくないんだよ!」
「待つんだオカール!敵が6人だなんて、それはまるで……」
マイミが叫んだちょうどその時、背後からの凶撃によって右脚の義足が破壊される。
これによってマイミは全てを理解した。
鋼鉄の脚を一撃で粉砕する程の破壊力を持ちながら、
且つ微塵も殺気を悟らせ無い達人なんてこの世に一人しか存在しないのである。
そして、そいつが束ねる化け物集団が攻めてきたとするのならば
キュートの4人がやられてしまったのも納得できる。
「シミハム!何故っ!?」
「……」
そこに居たのはベリーズ戦士団の団長、シミハム。
第二部:berryz-side
ベリーズ戦士団が事件を起こす物語。
18
:
名無し募集中。。。
:2016/01/12(火) 20:41:46
前作の主人公が敵に回る
王道やね
19
:
名無し募集中。。。
:2016/01/12(火) 21:17:10
王道・・・なのか?何気にshockなんだがw
考えてみたらファクトリーはベリーズの魂を受け継いでいるんだからこの展開は予想すべきだった・・・
20
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/13(水) 08:38:41
旧知の友であるシミハムが牙を剥いたことに驚きを隠せ無いマイミだったが、
だからと言ってやるべきことは変わらなかった。
「我が国に、そして我らが王に仇なすならば排除するのみ……それを分かっているんだろうな?」
「……」
シミハムから返事は返ってこなかった。
正確には返事をしたくても出来ないのだ。
ベリーズ戦士団のシミハムとキュート戦士団のマイミは
数年前の大事件の末、それぞれ声と両脚を失ってしまっている。
ゆえに以降は不便な生活を強いられることになったのだが、
だからと言って2人の強さは変わらない。それどころか当時より数段増している。
「洗脳されているのか、何か考えがあるのか……そんなのは分からないが関係ない。
キャプテンであるお前を捕らえて、ベリーズを一網打尽にしてやる!!」
マイミは暴風雨の如き殺気を全開にし、片脚のハンデを感じさせない程の速度でシミハムに殴りかかった。
素手でも鉄扉を捻じ曲げるパワーの持ち主であるマイミが、
本来の武器であるナックルダスターを拳に装着しているのだから威力は絶大だ。
彼女が本気を出せば岩石さえもクラッシュしてみせることだろう。
しかし、その攻撃はシミハムには届かない。
確実にヒットさせる自信が有ったというのに、鉄拳はシミハムの数㎝前で止まってしまう。
「!!……相変わらずのキレだな。」
マイミが目測を誤ったのではない。むしろ非常に正確だった。
当たらなかったのは衝突する直前にシミハムがほんの少しだけ後退したからなのだ。
それも顔色や上半身の動きをまったく変化させず、
ただ爪先だけのちょっとした移動で回避したのである。
全てを破壊するパンチを、シミハムは必要最低限の動きで避けてみせたということになる。
全ての攻撃は、シミハムの前では「無」になる。
そして、キャプテンの真骨頂はこれから披露される。
「はっ!!……しまった!」
事もあろうに、マイミはさっきまで目の前にいたはずのシミハムを見失ってしまった。
一対一の状況で敵を見逃すなんて致命的すぎる。
だがこれはマイミが間抜けだという訳ではない。
シミハムが特殊能力を発揮しただけの事なのだ。
とは言っても瞬間移動や透明化などの超能力の類を発動した訳ではない。
彼女がやったのは、パンチを当てるくらい接近したマイミの右斜め後方にピョイと跳びこんだだけのこと。
それだけで十分死角に入ることが出来たのである。
ではこれの何が特殊能力か?
それは、シミハムの放つオーラの特性ににあった。
(くっ……何も分からない!!)
闘争心のある者であれば誰もが大なり小なり殺気やらプレッシャーを放つものだ。
マイミだけでなく、食卓の騎士に属する者は長年の経験からそのようなオーラを任意に知覚することが出来ている。
それによって背後からの不意打ちから身を守ることが可能になっているのである。
ところが、シミハムからはそのようなオーラが全くと言っていいほど感じ取ることが出来ない。
矛盾した表現になるかもしれないが、シミハムは「無」を放っている。
大した人物に見えない大した人物。
それがシミハムだ。
21
:
◆V9ncA8v9YI
:2016/01/13(水) 08:39:58
第二部はベリーズを倒しに行くお話です。
結末はずっと先かもしれませんが、どつかお付き合い願います。
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