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『両儀式』(セイバー)「魔力供給?」

1名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/01(日) 23:57:04 ID:BWySsB6I
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https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/20196/1565269091/l50の続きです。

ぐだ男(ん…今は…2時半か…)

ぐだ男(…眠れないなあ)

ぐだ男(…最近、変な夢も見るし)

ぐだ男(少し水でも飲もう…)


ぐだ男「あ…」

縁側に座って月を見上げている両儀式(セイバー)「…」

ぐだ男「…綺麗だ…」

両儀式(セイバー)「あら… 立香? …ふふ、お褒めにあずかり光栄だけれど、随分と唐突ね?」

ぐだ男「え…あっ…」

ぐだ男(しまった…口に出てた…)

ぐだ男「その…そう、月が!月が綺麗だなあ、って…」

両儀式(セイバー)「!…まあ… お上手だこと」

ぐだ男「あ、はは… そういうつもりじゃないんだけど… その、俺はちょっと水を飲みに来ただけで…」

両儀式(セイバー)「あらあら… 煽っておきながらさっさといなくなるなんて。 酷いわよ、立香」

両儀式(セイバー)「眠れないのでしょう? …ねえ、少し座ってお話ししていかない?」

ぐだ男「え…う、うん。 分かった」

2名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/01(日) 23:58:28 ID:BWySsB6I
両儀式(セイバー)「静かで…月明かりが綺麗。とてもいい夜ね。そう思わない? 雪が降っていないのが少し残念だけれど」

ぐだ男「そう、だね… こうして両儀式姉さんと2人きりでゆっくり話すのも久しぶりだね」

両儀式(セイバー)「そうね…」

両儀式(セイバー)「…ねえ立香。 いつか前に、この生活が好きかって聞いたこと、覚えてるかしら」

ぐだ男「うん… あれは両儀式姉さんが俺にその…み、耳かきしてくれたときだよね」

両儀式(セイバー)「…今でもその想いは、変わらない? 今でも、いえ、これからも私と一緒に居たいと願ってくれる?」

ぐだ男「もちろん、当然だよ。…そんなに簡単に心変わりするような薄情な人間に見えるかな、俺って」

両儀式(セイバー)「そんなことないわ。 ただ少し… 寂しいの。 ほら、兎は、寂しいと死んでしまうって言うじゃない?」

ぐだ男「…? なんで兎が…?」

両儀式(セイバー)「いえ、ただのたとえ話。 私は…あなたがいなければ、こんな世界に居る理由も、こんなことを続ける理由もないもの」

ぐだ男「…両儀式姉さん? 何を言ってるの?」

両儀式(セイバー)「…本当に… 月が綺麗ね、立香…」

3名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/01(日) 23:59:54 ID:BWySsB6I
両儀式の長く冷たい指が、立香の手に触れる。それは蛇のようにするりとその手の甲に登り、指の合間へと侵入していく。
俺がぎょっとして顔を上げると、そこには月光に照らされた『両儀式』の青白い横顔があった。

「…姉さん?」

両儀式が、そのままふらりと俺にもたれかかった。
その華奢の身体を受け止める。

「え…」

俺はぞっとした。指だけではない。彼女の身体からはおよそ温もりというものが感じられない。長い髪の向こうに見える瞳は虚ろで、月明かりに照らされた顔に血の気はない。

『両儀式』がゆっくりと手を伸ばし、俺の頬に触れる。

「お願い…」

「私を、抱いて…」

「………わかった」

長い沈黙の後、俺は黙ってうなずいた。聞きたいことは山ほどある。困惑もしている。けれどそれ以上に、その願いを聞いてあげなければならない使命感のようなものを感じた。
彼女は性欲や愛欲を満たすためにこんなことを言っているのではない。きっと何か理由があるはず。そう思い込むことにした。

4名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:00:32 ID:qyQlaUOU
お前の続きを待ってたんだよ!

5名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:02:55 ID:TVPLyKvI
剣式はもっとやれ

6名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:02:59 ID:uoKfB3Uo
どちらが言い出すでもなく俺と『両儀式』は同時に縁側から立ち上がる。冷たい手を繋いだまま、ゆっくりとした彼女の足取りについていく。 
まるで幽霊だ。 体温どころか脈すらないように思える。 一瞬でも目を離してしまえば虚空へ消えて行ってしまいそうなほど、彼女は朧げだ。
いろいろな疑問はある。だがそれ以上に、胸を占めるのは謂れもない不安感だ。何かがおかしい。何かが…怖い。

「…立香… 少し、痛いわ」

『両儀式』が物憂げな顔で振り返る。自分でも気づかない内に、彼女の手を強く握り込んでいたらしい。

「…ごめん。でも… こうしていないと、その…」

「…ええ。わかっているわ」

あなたが消えてしまいそうだから、という言葉を紡ぐ前に、『両儀式』の足が止まる。気付けば、いつの間にかもう彼女の寝室の前だ。

「…本当に、いいのね?」

恐らく、後戻りができるとしたらここで最後だ。俺は何も言わず、ただ頷いた。

「ありがとう…」

こちらに向いてないはずの両儀式は感謝の言葉を述べると、寝室の襖を静かに横へ滑らせた。
寝室の中は行灯で妖しく照らされていた。 確かにあつらえたかのように、和室の中心に布団が綺麗に一枚敷かれている。
今まで誰かが入っていた形跡はない。『両儀式』は今までずっと、俺が起きて来るまであの縁側に座っていたのだろうか。

7名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:04:06 ID:uoKfB3Uo
しゅるり、と背後で衣擦れの音がする。鼓動が速くなっていくのが聞こえる。
もう後戻りはできない。急すぎる展開だが、もう覚悟を決めるしかない。俺は背後で衣擦れの音を聞きながら、必死で高鳴る胸を抑えつける…つけようとする。
そうだ、俺も服を脱ぐべきか。何しろ経験がないのだからよく分からない。
微かに震える手でシャツのボタンに手を伸ばした時、背後からぬるりと伸びてきた両儀式の手が俺の肩に触れた。

「立香…」

『両儀式』の艶やかな声がすぐ真後ろで聞こえる。音源はかなり近い。 近いはずなのに、吐息も気配も感じられない。

「こっちを…」

声に導かれるままにぎこちなく振り返ると、そこには着物を脱ぎ捨てた『両儀式』がいた。月明かりに照らされていた青白い顔とは違い、彼女のきめ細やかな肌は今は桜色に染まっている。

「…綺麗だ…」

つい先刻と同じ言葉が零れ落ちる。確かに綺麗だ。綺麗なのに。

「ほら…触って」

『両儀式』が俺の手を取り、ゆっくりとそれを自らの胸へと手繰り寄せる。 柔らかな双丘。女性の象徴。健全な男子としては、こうして触れられるのは喜ばしいことなのだろう。
けれど…彼女の胸は暖かさも、それどころか心音すらない。

「姉さん…あなたは…あなたは一体…」

「大丈夫…怖がらないで」

彼女がそのまま俺に歩を進めてくる。こうして間近に見て、今まで感じていた違和感の正体がわかった。
彼女の後ろの襖がわずかに透過している。 透けているのだ。微かではあるが、胸の上に置かれた俺の手と比べればその違いは明瞭だ。

8名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:07:18 ID:uoKfB3Uo
「私を…助けて…」

怖がらないで、と言われても、つい昨日まで姉として親しく接してきた女性の身体が透けているのを見ても冷静さを保つのは難しいものだ。
それに、こんなにしおらしい『両儀式』を見るのは初めてだ。 ましてやこの女性の口から「助けて」という言葉が出るとは思いもしなかった。

「…っ!」

俺は意を決して、彼女の唇を奪うとそのまま布団へと押し倒した。
彼女を助けたい。彼女に消えて欲しくない。彼女を抱くことでそうできるなら、いくらでもそうしよう。

「さあ…来て…」

『両儀式』の薄い唇が微笑んだ。相変わらず胸の中に居座る不安感から逃げるように、俺は『両儀式』の身体に沈んだ。







白くなりはじめた東の空が、薄暗かった寝室を少しずつ照らし出していく。

「…お疲れ様」

『両儀式』の手が俺の後頭部を優しく撫でる。彼女の吐息を感じる。彼女の体温が伝わる。

「…暖かい」

再び彼女の手を握る。暖かい。血が通う、人間の手だ。彼女は生きている。彼女はここにいる。

「両儀式…」

「ええ…もう大丈夫。私たちはずっと一緒よ…」

再び『両儀式』の唇が俺の唇に重なると、急激に瞼が重くなってきた。 けれど、彼女と身体を重ねている間にもずっと苛まれていた不安感はもうない。このまま眠っても大丈夫だ。だって、『 』がそう言ってるんだから。

「今は、おやすみなさい… マスター…」

マスター。その言葉の響きに奇妙な懐かしさを覚えるが、もうそれを深く考えるだけの体力は俺に残っていない。 
寝室の窓の向こうで白雪が舞っている。 降りしきる季節外れの雪に奇妙な安心感を覚えながら、俺は『両儀式』の中で眠りに就いた。

9名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:07:57 ID:uoKfB3Uo
両儀式(セイバー)「おはよう、オルタ。よく眠れた?」

邪ンヌ「おかげさまで。 今までで一番の快眠だったわ」

邪ンヌ「…まるであの晩だけ私がこの世から消え去ってしまって、翌朝何事もないようにまた布団にいた。そんな眠りだったわ」

両儀式(セイバー)「ふふ… 世界五分前仮説かしら?」

邪ンヌ「世界が何分前にできたかなんて興味はないんだけど。 …あいつはどうしたの?」

両儀式(セイバー)「どうもしないわ。今は眠っているだけ。 起きたらまた身支度をして、学校へ行って、帰ってくる。 そうやって私たちの小さな世界は続いていくの」

邪ンヌ「…随分とまあ調子に乗っちゃって。 おあつらえ向きに雪まで降らして、全く… ま、その様子だとやることはやったみたいね」

両儀式(セイバー)「ええ…まあ…そうね。 とても…素敵だったわ…」

邪ンヌ「あーあー。 ノロケなんて聞きたくないわ。…ったく… なんでこんな面倒なことに…」

両儀式(セイバー)「これでも私、あなたには感謝しているのよ? もしあなたに忘却補正のスキルがなければああやって私の背中も押してくれなかったでしょうし。」

邪ンヌ「皮肉なものね。 サーヴァントじゃない身になったこの期に及んで復讐者のクラススキルで褒められるなんて」

10名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:09:19 ID:uoKfB3Uo
邪ンヌ「皮肉なものね。 サーヴァントじゃない身になったこの期に及んで復讐者のクラススキルで褒められるなんて」

両儀式(セイバー)「もう、相変わらず素直じゃないわね。 忘却補正のスキルは通常、復讐の原因や対象のみに適応される。 それなのにあなたが『 』の力の影響下にあってもカルデアの記憶を保持しているということは…」

両儀式(セイバー)「あの地で立香と過ごした時間が、あなたの霊基に刻まれたフランスやその人々への憎しみよりもよほど大事だった…ということじゃないかしら?」

邪ンヌ「なっ… そんなわけ…! そんなわけ… あるわね、正直。 大体、私はあいつの……」


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