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『両儀式』(セイバー)「魔力供給?」

6名前なんか必要ねぇんだよ!:2019/09/02(月) 00:02:59 ID:uoKfB3Uo
どちらが言い出すでもなく俺と『両儀式』は同時に縁側から立ち上がる。冷たい手を繋いだまま、ゆっくりとした彼女の足取りについていく。 
まるで幽霊だ。 体温どころか脈すらないように思える。 一瞬でも目を離してしまえば虚空へ消えて行ってしまいそうなほど、彼女は朧げだ。
いろいろな疑問はある。だがそれ以上に、胸を占めるのは謂れもない不安感だ。何かがおかしい。何かが…怖い。

「…立香… 少し、痛いわ」

『両儀式』が物憂げな顔で振り返る。自分でも気づかない内に、彼女の手を強く握り込んでいたらしい。

「…ごめん。でも… こうしていないと、その…」

「…ええ。わかっているわ」

あなたが消えてしまいそうだから、という言葉を紡ぐ前に、『両儀式』の足が止まる。気付けば、いつの間にかもう彼女の寝室の前だ。

「…本当に、いいのね?」

恐らく、後戻りができるとしたらここで最後だ。俺は何も言わず、ただ頷いた。

「ありがとう…」

こちらに向いてないはずの両儀式は感謝の言葉を述べると、寝室の襖を静かに横へ滑らせた。
寝室の中は行灯で妖しく照らされていた。 確かにあつらえたかのように、和室の中心に布団が綺麗に一枚敷かれている。
今まで誰かが入っていた形跡はない。『両儀式』は今までずっと、俺が起きて来るまであの縁側に座っていたのだろうか。


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