したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【ワーフリ】 アルク 「はい、あーん」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2020/09/25(金) 01:47:30 ID:HfzvEcmQ
………………星見の街 食堂

ミノ 「アルク、あーん、ってしてほしい」

シウエ&シルティー&フィリア 「「「!?」」」

アルク 「はいはい。仕方ないなぁ。はい、あーん」

シウエ&シルティー&フィリア 「「「!?!?」」」

ミノ 「あーん……はむっ」

ミノ 「おいしい……」 トローン

シウエ 「……あ、アルク〜?」

アルク 「ん? どうかした? 味付けおかしかった?」

シウエ 「い、いえ〜。いつもどおり、とっても美味しいご飯ですよ〜」

シウエ 「ご飯は美味しいのですが、あの〜……」

アルク 「?」

シルティー 「あ、アルク兄さま! どういうことですか!?」

72以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:06:30 ID:otU81kQk
………………星見の街

フィリア 「セシリアさんとアーリィさんにチョコをあげたいんです!!」 バーーーン!!!

アルム 「です!」 バババーーーン!!!!

アルク 「あ……そ、そうなの?」

フィリア 「はい!」

アルク 「う、うん。わかった。わかったから……えっと……」

アルク 「ちょっと、近すぎるから、離れてもらえると……///」

フィリア 「あっ……/// す、すみません……!」

スススッ……

フィリア 「ちょっと、興奮してしまって、つい……ごめんなさい……」

アルク 「いや、謝らなくてもいいけど……あと、アルムも、ごめん。重いから下りて」

アルム 「はーい!」 オリオリ

アルク 「それで、セシリアとアーリィにチョコをあげたい……だっけ?」

アルク 「それってひょっとしてヴァレント・フェスの?」

73以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:07:10 ID:otU81kQk
フィリア 「はい、そうなんです。今日、アルムちゃんとパルペブラを歩いていたら、偶然耳にしてしまって……」

フィリア 「義理チョコ、って言うんでしたっけ?」

フィリア 「日頃お世話になっている方にチョコを渡して、感謝を伝えるイベントだと聞いて……」

フィリア 「あ、あの、私できれば……」

フィリア 「……手作りをして、おふたりにチョコを渡したいな、って」

フィリア 「あの、それで、アルクさんにお手伝いいただけたら、と……」

フィリア 「……す、すみません! アルクさん、急がしいですよね! 忘れてください!」

アルク 「いやいやいや! 一方的にまくし立てて一方的に結論を出すのはやめようか!」

アルク 「セシリアとアーリィに手作りチョコで感謝を伝えたいんでしょ?」

アルク 「そんなの、手伝わない理由がないよ! 一緒に作ろう、フィリア!」

アルク 「せめてふたりが食べて卒倒しない程度には食べられるものを……!!!」

フィリア 「アルクさん……」 パァアアアアアア……!!!

アルム 「えー! フィリアちゃん、アルムにはー!?」

フィリア 「もちろん、アルムちゃんにもチョコをあげたいです!」

アルム 「わーい! やったー!!」

74以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:08:13 ID:otU81kQk
………………星見の街 食堂前

アルム 「………………」 ヌーーーーーン

チャリオット 「………………」 ヌォーーーーーン

アーリィ 「――じゃあ、あのジェラールって奴は、あなたの知ってるジェラールとは別人なのね」

セシリア 「ええ。ジェラール卿はあんな愉快な方ではありませんでしたから。ん……?」

セシリア 「おや、アルムさん。そんなところでどうしたのですか?」

アーリィ 「? あんた、なんで食堂の前で立ちんぼしてんのよ。チャリオットまで出して……」

アーリィ 「また何かのイタズラ? あんまり人に迷惑かけるんじゃ――」

アルム 「イタズラじゃないもん。今はね、極秘任務を実行中なの」

アーリィ 「は? 極秘任務」

セシリア 「ごっこ遊びでしょう。可愛いじゃないですか、アーリィ」 クスクス

セシリア 「食堂の中の誰かを守っている、というところでしょうか?」

アルム 「!? す、すごい! さすがはセシリアお姉ちゃん……!」

アルム 「ポンコツなお姉ちゃんと違って、鋭い!」

アーリィ 「誰がポンコツよ誰が!!」

75以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:14:46 ID:otU81kQk
セシリア 「ふふふ。それで、一体中に誰がいるのでしょう?」

アルム 「な、内緒だもん。フィリアお姉ちゃんと約束したんだから……」

セシリア 「フィリア様? 中にフィリア様がいらっしゃるのですか?」

アルム 「ぎくっ!? せ、セシリアお姉ちゃん、ひょっとして名探偵……!?」

アーリィ 「自分で言ってたじゃないのよ……」

アーリィ 「何? フィリアが中で何かやってるの?」

アルム 「……言わないもん。ポンコツのお姉ちゃんには、特に」

アーリィ 「またポンコツって言ったわねあんた!!」

セシリア 「ま、まぁまぁ、落ち着いて、アーリィ」

セシリア 「……というか、アルムさん。我々は敵ではありませんから、中に入れてもらえませんか?」

アルム 「だめ! フィリアお姉ちゃんからお願いされてるんだから!」

76以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:15:43 ID:otU81kQk
アルム 「フィリアちゃんに……」


―――― フィリア 『セシリアさんとアーリィさんに、驚いてもらいたいんです』

―――― フィリア 『なので、アルムちゃん。ふたりが中に入ってこないように止めてもらってもいいですか?』


アルム 「……セシリアお姉ちゃんとお姉ちゃんを絶対中に入れるなって言われてるんだから!!!!」

セシリア&アーリィ 「「!?」」 ガガガーーーン!!!!

セシリア 「そ、そそそ、それは、どういう……?」 ヨロ……

アーリィ 「えっ? わ、私、何かしちゃったかしら。嫌われるようなこと、何か……」 フラッ……

セシリア 「は、反抗期でしょうか? 反抗期ですかね、アーリィ!?」

アーリィ 「あの子ちょっとズレてるから、ひょっとしてこのまま、グレて……!?」

アーリィ 「アルム!! ちょっとそこどきなさい!! フィリアと話をさせてちょうだい!」

セシリア 「アルムさん! お願いします! フィリア様と話を……!」

アルム 「あー、もう! だめだったら!!」

アルム 「チャリオット!! ふたりを向こうへやっちゃって!!」

77以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:17:26 ID:otU81kQk
………………食堂 キッチン

ドタンバタンドタン……

フィリア 「!? なんか外が騒がしいですね?」

アルク 「まぁ、いつものことだよ。この街は賑やかな人ばかりだからね」

フィリア 「ふふ。そうですね」

アルク 「じゃあ、次はチョコを刻んでいこうか」

フィリア 「チョコを刻む……よーし」

スッ……

フィリア 「シルフィリア・チョコレート・カッ――」

アルク 「――ちょっ、まっ、ストップ!!!」

フィリア 「? 刻むんですよね? お野菜と同じようにすればいいのでは……?」

アルク 「いやいやいや、野菜と違うから! チョコレートだから!」

アルク 「溶けたりして飛び散って悲惨なことになる未来が見えたよ!!」

フィリア 「な、なるほど……」

78以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:18:02 ID:otU81kQk
………………食堂 外

アーリィ 「まったく、アルムったら、手加減を知らないんだから……」

セシリア 「食堂には正面からはまったく近づけなくなってしまいました。ですが……」

アーリィ 「ええ。あの子単純だから、裏の窓は警戒してないわ」

アーリィ 「せめて、裏からフィリアの様子を見てあげないと……」

セシリア 「うう。こんなこそこそと、何か悪いことをしているような気分ですね……」

アーリィ 「仕方ないでしょ! あなたもフィリアが心配なんでしょ!?」

セシリア 「それはそうですが、こんな覗きのようなまねは……」

アーリィ 「今さら言ったってしょうがないでしょ。ほら、ここからなら中が見えそうよ」

セシリア 「ええ……」

スッ……ヒョコッ

フィリア 「……」

アルク 「……」

アーリィ 「? 何か、キッチンで作ってるみたいね」

79以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:21:42 ID:otU81kQk
セシリア 「ええ。なんでしょう、あれは……ん……?」 クンクン

セシリア 「甘い香りがしてきましたね」

アーリィ 「これ……チョコレートっぽいかしら?」

アーリィ 「チョコケーキでも焼いてるのかしらね」

ハァ

アーリィ 「なーんだ。アルクに手伝ってもらって、チョコを作っているだけだったのね」

アーリィ 「心配して損したわ。アルム、ただごっこ遊びをしたかっただけだったのかしら」

セシリア 「………………」

アーリィ 「……? セシリア? ちょっと、どうしたの? そんな青ざめた顔しちゃって」

アーリィ 「確かにあの子は料理下手だけど、アルクがつきっきりで、しかもお菓子でしょ?」

アーリィ 「そんなひどい劇物はできないでしょ?」

セシリア 「……そんな、まさか……」

ガクッ

アーリィ 「……!? セシリア!? ど、どうしたのよ!?」

80以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:22:42 ID:otU81kQk
セシリア 「……アーリィは、知らないのですか?」

アーリィ 「は? 何の話?」

セシリア 「今の時期、チョコレートが何を意味しているか……」

アーリィ 「はぁ? えっと……」

アーリィ 「ヴァレント・フェスだっけ? パルペブラでお祭りをやることくらいは知ってるけど……」

セシリア 「今年は、それにあわせてあるブームが起こっているんです……」

セシリア 「曰く “意中の相手にチョコレートをあげて、告白しよう” とか……」

アーリィ 「は……?」

ハッ

アーリィ 「えっ!? う、うそ!? ってことは、フィリアがお菓子を作ってるのは……!」

セシリア 「意中の殿方に、プレゼントして、告白を……」 ゴフッ

アーリィ 「ちょっと、大丈夫!? あなた死にそうな顔してるわよ!?」

セシリア 「おのれ……! フィリア様をたぶらかすのは、どこの馬の骨……!!」

アーリィ 「なるほど。好きな男にチョコをプレゼントするのが恥ずかしくて、」

アーリィ 「私たちに知られないために、アルムを食堂の入り口に置いたのね……」

81以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:23:16 ID:otU81kQk
セシリア 「ど、どうしましょう!? どうしたらいいですか、アーリィ!!」

アーリィ 「はぁ!? どうしたらって、そんなの、どうしようもないでしょ!!」

セシリア 「や、やはり、どこの馬の骨か知りませんが、フィリア様に手を出す男を……」 チャキッ

セシリア 「斬るしか……!!」

アーリィ 「ちょっと!! 物騒すぎるでしょ! 柄から手を離しなさい!!」

ワーギャーワーギャー

ハナビ 「………………」

ハナビ 「……あー、なんか騒がしいなーと思って来てみれば」 ハァ 「おふたりさん、なにやってんの?」

セシリア 「! ハナビさん!」

アーリィ 「あっ、ハナビ! ちょうどよかったわ! こいつ止めるの手伝いなさい!!」

ハナビ 「ええー……」

セシリア 「そういえば、ハナビさんは、凄腕の諜報員でしたよね!!」

セシリア 「フィリア様に近づく悪漢を調べて、爆破していただけませんか!?」

セシリア 「悪・即・爆です!!」

ハナビ 「えええー……」

82以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:24:09 ID:otU81kQk
………………

セシリア 「……お、お恥ずかしいところを。少々取り乱しました」

アーリィ 「あれで少々って言うのかしら……」

ハナビ 「まー、なんていうかさー」

ハナビ 「おねーさんたちふたりとも、結構ポンコツぽんのポンだよね」

セシリア 「……!? ぽ、ポンコツ……!? わ、私が……」

セシリア 「アーリィと、同じレベルの、ポンコツ……。ショックです……」

アーリィ 「ちょっとそれどういう意味よ!?」

ハナビ 「ちびっこがドアの前で張り切ってるし、おねーさんたちは騒がしいし……」

ハナビ 「何事かと思ったけど、なるほどねぇー」

ニヤリ

ハナビ 「風のおねーさんが、チョコを、ねぇ」

アーリィ 「!? そ、そうなのよ! フィリアがお菓子を作ってるの!」

セシリア 「私たち、どうすれば……」

ハナビ 「いや、なんでそんな深刻そうな話になるの……」

83以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:24:58 ID:otU81kQk
ハナビ 「いーじゃん、べつに。あのおねーさん、美人さんだから問題ないでしょ」

セシリア 「も、問題ない、とは……?」

ハナビ 「へぇ? いや、だから、もし告白でもするなら、成功するでしょ、って」

セシリア 「うぐっ……」 グサッ

アーリィ 「セシリア!? ちょっとハナビ!! 少しは手心を加えなさいよ!!」

ハナビ 「あー、もう、めんどくさい……。事情はわかったし、わたしは失礼するね」

ガシッ

ハナビ 「……あー、物理的に引き留めてくるかー」

セシリア 「ちょっと待ってください! もう少し相談に乗ってくれてもいいじゃないですか!」

アーリィ 「そうよ! こういうことに関しては確かに私たちとんでもなくポンコツよ!? 見捨てるつもり!?」

ハナビ 「あー……めんどうなことに首突っ込んじゃったなぁ……」

ハナビ 「……っていうか、魔族のおねーさんは、そんなにショック受ける必要なくない?」

アーリィ 「えっ? ……まぁ、私はセシリアほどショックは受けないけど、」

アーリィ 「友達が恋人を作るって想像すると、ちょっと複雑ね……」

84以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:30:37 ID:otU81kQk
ハナビ 「? そういうもん? わたしにはちょっとわかんないけど」

アーリィ 「本当に? 例えば、あの剣鬼の子に恋人ができたらどう思うのよ?」

ハナビ 「はぁ? おシルさんに?」

ムムムム……

ハナビ 「……いや、ちょっとおシルさんに恋人ができる未来が見えない」

アーリィ&セシリア 「「確かに」」


………………パルペブラ

シルティー 「……くしゅん!!」

ステラ 「? シルティーさん、大丈夫ですか? 風邪ですか?」

シルティー 「いえ、違うと思いますが……? なんか、悪い噂をされているような気がします……」

ステラ 「?」

シルティー 「ま、気にしてはいけませんね! ささ、ステラ姉さま! 素敵なチョコをたくさん買いましょう!」

ステラ 「……はい!」

85以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:31:26 ID:otU81kQk
………………

アーリィ 「じ、じゃあ、ステラはどうなのよ! ステラに恋人ができたら!」

ハナビ 「ステラに……?」

ハナビ 「………………」

ハナビ 「………………」

フラッ……

セシリア 「!? は、ハナビさん!?」

ハナビ 「……たしかに、ちょっと、嫌な気分かも」

アーリィ 「ちょっとってレベルじゃないわよ、あんた。私より顔真っ青じゃない……」

ハナビ 「いや、ごめん……ちょっと、行くね……」

フラフラ……

アーリィ 「ええ……?」

アーリィ 「ちょっと悪いことしちゃったかしら……」

セシリア 「そうですね。私たちの問題にハナビさんを巻き込んでしまいました」

86以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:32:14 ID:otU81kQk
アーリィ 「……! それはそれとして、フィリアよ……!」

ヒョコッ……

セシリア 「!? き、キッチンからいなくなっています!!」

アーリィ 「ええっ!? じゃあ、フィリアはもうチョコを持って男のところに!?」

セシリア 「そ、そんな……――」


  「――――えっと、あの……」


セシリア 「!?」 ビクッ

アーリィ 「ひゃあ!? ……って、フィリア? アルクも……」

フィリア 「は、はい。あの、こんなところで何を……?」

アーリィ 「へぇ!? べ、べつに!? ちょっとセシリアと遊んでただけよ!」

アルク 「こんな食堂の裏で……?」

クスッ

アルク 「まぁ、気になるよねぇ」

87以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:32:56 ID:otU81kQk
アーリィ 「う、うるさいわね……!」 カァアアアア……

フィリア 「?」

セシリア 「フィリア様……――」

フィリア 「――あ、あの、セシリアさん、アーリィさん!」

セシリア 「は、はい! なんでしょうか、フィリア様!」

フィリア 「よかったら、これ、受け取ってください!!!」

アーリィ 「へ……? リボン……? なに、これ……?」

アルク 「やぁ、とりあえず開けてみなよ。ふたりとも」

セシリア 「え、ええ……」

ハラハラ……パカッ……

セシリア 「……!? こ、これは……」

アーリィ 「チョコケーキ……?」

フィリア 「はい。あの……」 ペコッ 「いつも、お世話になってます! お礼の気持ちです!!」

フィリア 「えっと……」 ニコッ 「ハッピー・ヴァレント! です」

88以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:38:29 ID:otU81kQk
セシリア 「あっ……」

アーリィ 「じゃあ、フィリアがチョコを作ってたのは……」

アルク 「ふたりにプレゼントするため、だよ」

セシリア 「……そう、だったのですね」

アーリィ 「はぁ……」

フィリア 「? あの、セシリアさん、アーリィさん……?」

セシリア&アーリィ 「「よかったぁ……」」

フィリア 「へぇ!? よ、よかったって、何が……?」

アーリィ 「……なんでもないわ。ごめんなさいね、フィリア。それと、ありがとう」

セシリア 「ええ、なんでもありません。ありがとうございます。……申し訳ありませんでした」

フィリア 「な、なんでふたりとも謝るんですか〜〜〜〜???」

アルク 「ま、いいじゃない。ほら、みんなで食堂で食べようよ」

アルク 「僕、お茶入れるね。アルムもみんなで一緒に食べるって、食堂で待ってるよ」

89以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:39:12 ID:otU81kQk
アーリィ 「はぁ。どっと疲れたわ……」

セシリア 「すみません、アーリィ。私が惑わしてしまったようで……」

アーリィ 「謝ることじゃないわよ。私も同罪だし」

フィリア 「? あの、おふたりとも疲れていそうですが、大丈夫ですか……?」

アーリィ 「大丈夫よ」

クスッ

アーリィ 「……ねえ、フィリア。私たち、ずっと友達よ?」

フィリア 「へぇ!? は、はい……///」

セシリア 「もちろん、私もです。フィリア様。アーリィも」

アーリィ 「ええ。だから、もし好きな男でもできたら、真っ先に教えなさいよ?」

フィリア 「へぇえ……? す、好きな男って……///」

セシリア 「そうですね。真っ先に教えてくださいね」 チャキッ

アーリィ 「あー……」 コソッ 「あいつは危険だから教えない方がいいわよ」

セシリア 「ちょっと、アーリィ!! 聞こえていますよ!!!」

ワイワイワイ……

90以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:40:14 ID:otU81kQk
………………パルペブラ

ステラ 「むむむむ……」

シルティー 「どれも美味しそうで、迷ってしまいますね、ステラ姉さま」

ステラ 「はい。種類が多くて、どれもきれいで、素敵で、全部ほしくなります」

シルティー 「それは、また家計が火を噴いてアルク兄さまが大変になるので、難しそうですね」

シルティー 「……と、それはいいとして、あの、ハナビさん?」

ハナビ 「………………」 ギューーーーッ

シルティー 「今日はパス、と言っていたのに、急にやって来て……いえ、それはいいのですけど」

シルティー 「なぜそんなにステラ姉さまにくっついているのですか……」

ハナビ 「………………」

ハナビ 「……べつに」

おわり

91以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/13(土) 23:41:37 ID:otU81kQk
>>1です。
読んでくださった方ありがとうございました。
アニバキャラもりもりで書くことができて楽しかったです。
勢いで書いたので誤字脱字が怖いですが。

また投下します。

92以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 09:58:36 ID:6pHruymQ
乙です。続きますか?

93以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:19:28 ID:d.CSb/0k
>>1です。
またヴァレント・フェスネタですが、投下します。

【ワーフリ】 メイミー 「ハッピー・ヴァレント!」 イナホ 「なのじゃ!!」

94以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:20:28 ID:d.CSb/0k
………………パルペブラ

メイミー 「はぁ〜……」

住人女 「あの、これ……」

住人男 「えっ、俺に……!?」

住人女 「もしよかったら、私と……///」

住人男 「あっ……よ、喜んで……///」

ピッポ 「へぇ〜、話には聞いてたけど、なんかすごいことになってるね」

メイミー 「はぁ〜……///」

ピッポ 「メイミー……? ってのぼせてる!? 顔真っ赤だよ!?」

メイミー 「だ、大丈夫だよ、ピッポ。なんか照れてきちゃって……」

ピッポ 「……まぁ、メイミーも一応女の子だもんね。そういうの、気になるよね」

メイミー 「むー? ちょっと、ピッポ。“一応” ってどういう意味?」

ピッポ 「そのままの意味だよ。ほら、それより、早く買い物を済ませようよ」

メイミー 「………………」

ピッポ 「……? メイミー?」

95以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:21:18 ID:d.CSb/0k
メイミー 「……あたしも、チョコ、あげたいな」 ボソッ

ピッポ 「……!?」

ピッポ 「め、メイミー……?」

メイミー 「アルクくんと、ステラさんに」

ピッポ 「へ……? あ、ああ……」 ホッ 「なんだ、好きな男の子でもできたのかと思ったよ……」

ピッポ 「“義理チョコ” だっけ? そっちの方の話ね」

ピッポ 「いいじゃない。ふたりにはすごくお世話になってるしね。ついでに買って帰ろうよ」

メイミー 「……んー」

ピッポ 「? メイミー?」

メイミー 「できれば、手作りしたいな」

ピッポ 「……て、手作り!?」

ピッポ 「それは、やめておいた方が……」

メイミー 「むー! あたしだってできるもん!」

96以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:22:05 ID:d.CSb/0k
ピッポ 「わ、わかったよ。でも、お菓子作りなんて初めてでしょ?」

アセアセ

ピッポ 「それなら、経験者に教えてもらいながら作った方がいいんじゃない?」

メイミー 「うーん。たしかに、それもそうかも……」

メイミー 「でも、アルクくんに教えてもらうのは、なんかなぁ」

ピッポ 「たしかに。プレゼントする相手に教わるのは、ちょっとね……」


………………星見の街

アルム 「……くちゅん!!」

アーリィ 「っ……!? ち、ちょっとアルム!! 人の顔にくしゃみしないでよ!!」


………………

ピッポ 「じゃあ、他の人かぁ。パルフェとか?」

メイミー 「魔物チョコは、ちょっと……」

ピッポ 「あー……そうだね。うーん、それなら、あと頼れそうなのは……」

97以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:23:22 ID:d.CSb/0k
………………星見の街 キッチン

シラノ 「……なるほど。それで私に白羽の矢が立った、ということですか」

ピッポ 「はい。もしシラノさんがよろしければ、ですが……」

メイミー 「どうかお願いします!!」

シラノ 「……はぁ」

シラノ (まったく。お守りをする相手がどんどん増えますね)

クスッ

シラノ 「いいですよ。私でよければ引き受けましょう」

シラノ 「……とはいえ、ワの国には “猪口齢糖” なる甘味はありません。私もどこまで教えられるやら」

メイミー 「一応、あたしのお母さんのチョコケーキのレシピなら、ここにあります!」

シラノ 「ほう。ちょっと拝見させていただきますね」

シラノ 「……ふむふむ。なるほど。ふむ……」

メイミー&ピッポ 「「………………」」 ドキドキドキドキ……

98以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:24:20 ID:d.CSb/0k
シラノ 「……ふむ。よくわかりました」

ニコッ

シラノ 「丁寧に書かれた素晴らしい教本です」

シラノ 「あなたのお母さまは、本当にあなたのことを愛していらっしゃるのですね」

メイミー 「へぇ……!? あ……」 カァアアアア……

メイミー 「そ、そうですかね。えへへ。嬉しいです……」

シラノ 「これなら、私でも教えられそうです。では、張り切って作りましょうか」

メイミー 「はい! よろしくお願いします!!」

ピッポ 「お願いします!!」

シラノ 「……と、その前に、と」 スッ 「そろそろ来る頃合いでしょうか」

メイミー 「???」 (食堂の入り口に網なんか張って、どうするんだろ……?)

ドドドドド……!!!! バーーーーン!!!!

イナホ 「シラノー!! “ちょこれいと” を作るというのは誠か!? わしも食べたぎゃわっ!?!?」 バサッ!!!

シラノ 「……見本のような罠へのかかり方。さすがは姫様です」 クスクスクス

イナホ 「な、なんじゃこれはー!? 網!? わし、網にかかっとるのか!?」

99以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:25:23 ID:d.CSb/0k
メイミー 「………………」 ポカーーーン

ピッポ 「……えっと、あの、シラノさん?」

シラノ 「ああ、騒がしくしてすみませんね」

シラノ 「さ、姫様。猪口齢糖を食べたいのでしょう? でしたら、一緒に作りましょう」

シラノ 「姫様もそろそろ、炊事場に立つ経験くらい積んでおくべきですので」

イナホ 「わし!? なぜわしが作るのじゃ! わしは食べる係がいいのじゃ!!」

シラノ 「そうですか。でしたら、ずっと網の中でもがいてらしてください」

イナホ 「ひどっ!? シラノ、お主一応わしに仕えておるのじゃろ!?」

シラノ 「私が仕えているのは母君様です」

イナホ 「ぬーーーー!! わ、わかったのじゃ!! わしも作る! 作るから下ろしてほしいのじゃーー!!」

シラノ 「ふふふ♪」 クスッ 「……と、いうわけで、せっかくですので、姫様の花嫁修行も兼ねても、よろしいですね?」

メイミー 「は、はい……」

ピッポ 「も、もちろん……」

ピッポ (……怖ぁ。絶対怒らせないようにしよう……)

100以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:26:21 ID:d.CSb/0k
………………チョコケーキ作り

シラノ 「ええ。いいですよ、メイミーさん。チョコは少しずつ小さくなるように、刻んでください」

メイミー 「は、はい……!!」

ザク……ザク……

シラノ 「ふふ。その調子です」

シラノ (包丁の持ち方に危なっかしいところはない。少々あわてんぼうではありますけれど……)

シラノ (メイミーさん。この娘はきっと将来、いいお嫁になるでしょうね)

シラノ (……それに引き換え)

イナホ 「……ええい!! まだ溶けるでない!! ベタつくじゃろうが!」

シラノ (うちの姫様は……まったく……)

シラノ 「何をやっているのですか、姫様」

イナホ 「シラノ! このチョコが言うことを聞かんのじゃ!!」

イナホ 「せっかくわしが懇切丁寧に刻んでやろうとしているのに、どんどん溶けていくのじゃ!」

イナホ 「うー! イライラするのじゃーーー!!」

シラノ 「……はぁ」

101以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:27:04 ID:d.CSb/0k
シラノ 「姫様は怒ると体温が上がりますからね。それでどんどん溶けるのですよ」

シラノ 「落ち着いて切ってくださいな」

イナホ 「これが落ち着いていられるかーーーー!!!」

イナホ 「こうなれば、稲妻で、ドロドロに溶かしてくれるわーーーー!!!」

ピッポ 「!?」

ササササッ

ピッポ 「い、イナホ!! 僕がチョコをおさえるよ! 僕の手なら溶けないから!!」

イナホ 「ぬ……?」

ピッポ 「イナホは、包丁だけ持って、チョコを刻めばいいでしょ? ね?」

イナホ 「むぅ……」

ザク……ザク……

イナホ 「……うむ! これなら難なく刻めるぞ! ないすあしすとじゃ、ピッポ!」

ピッポ 「あ、あはは……。どういたしまして……」

ピッポ (こんなところで稲妻なんて呼ばれたらたまったもんじゃないよ〜〜〜!!)

102以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:28:09 ID:d.CSb/0k
シラノ 「あらあら。すみませんね、ピッポさん」

ピッポ 「いえ……」

シラノ 「……姫様? 誤ってピッポさんの手を切ったりしないでくださいね?」

イナホ 「わかっておるわ!! ……まったく。いつまでも子ども扱いして、口うるさい……」

シラノ 「聞こえていますよ」

イナホ 「……それに比べて、メイミーはよいのう。お主のような従者がおって」

ピッポ 「へ? いや、僕はべつにメイミーに仕えてるわけじゃ……」

ピッポ 「それに……」

イナホ 「うん?」

ピッポ 「よくわからないけどさ、シラノさん、イナホのことが心配なんだよ」

イナホ 「……心配? なぜじゃ?」

ピッポ 「えっ? いや、うん……まぁ、僕もメイミー相手だとついつい口うるさくなっちゃうし」

イナホ 「そういうものかの。わしには分からん……」

ピッポ 「……うん。だろうね」

103以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:28:55 ID:d.CSb/0k
………………

シラノ 「次は、湯煎したチョコに生クリームを混ぜていきますよ」

シラノ 「ガシャガシャとやたらめったらにかき混ぜないようにしてくださいね」

シラノ 「ゆっくりと、切るように混ぜるのがコツです」

メイミー 「ゆっくり、切るように……」 スッ……スッ……

イナホ 「ゆっくり? こんなもの、がしゃがしゃーっとかき混ぜてしまえばよかろうに」

ピッポ 「そうすると口当たりが悪くなっちゃうんだよ」

ピッポ 「美味しいケーキを作るには大事なこと……みたいだよ」

イナホ 「ふむ……美味しいけえきを作るためであれば致し方ないのじゃ……」

メイミー 「………………」

スッ……スッ……

イナホ 「……ふむ。メイミーはまじめじゃの」

メイミー 「へ? まじめ?」

イナホ 「わし、もう飽きてきてしまったのじゃ」

104以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:29:43 ID:d.CSb/0k
メイミー 「あはは。イナホさんは食べる方が得意そうだもんね」

イナホ 「そうなのじゃ。わし、食べるのは大得意じゃ!」

シラノ 「恥ずかしいことを大声で宣わないでくださいな。まったく……」

メイミー 「でも、作るのも楽しいよ? 作ったものをあげたら、どんな顔をするかな、とか……」

メイミー 「喜んでくれるかな。美味しいって言ってくれるかな……とか、そういうことを想像すると」

メイミー 「……ねえ、イナホさんも、楽しくなってこない?」

イナホ 「あげる……? 喜んでくれる……? へ……?」

ハッ

イナホ 「これ、自分で食べるためのお菓子ではないのか!?」

ピッポ 「……あー、うん。そうだよね。そうなるよね」

メイミー 「あ、あたしはみんなに配ろうかなって思ってるけど、イナホさんは自分で食べてもいいんじゃないかな……?」

イナホ 「むぅ……」

イナホ 「………………」

105以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:30:32 ID:d.CSb/0k
イナホ 「作ったものをあげたら、喜んでくれるか。美味しいって言ってくれるか……」

イナホ 「………………」

メイミー 「イナホさん?」

イナホ 「……いや、なんでもないのじゃ。シラノ、混ぜ終わったぞ。次はなんじゃ?」

シラノ 「……?」 (姫様から次の工程の催促とは……一体どんな風の吹き回しでしょうか)

シラノ 「はいはい。では、次にいきましょうかね」

シラノ (ふふふ。ですが、これは……)

メイミー 「ねぇ、ピッポ。まだら模様がなくならないよ。どうしたらいいかな」

ピッポ 「ゆっくりやり過ぎなんだよ。切るようにってことは、混ぜる瞬間だけ丁寧に早くするんだよ」

メイミー 「ええー!? 難しいよ……」

シラノ (……あのおふたりのおかげ、でしょうか)

シラノ (感謝しなければなりませんね。ふふふ♪)

106以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:31:12 ID:d.CSb/0k
………………焼き上がり

ババババーーーーーン!!!!

メイミー 「おおおおおーーーーー!!!」

ババババーーーーーン!!!!

イナホ 「おおおおおおおおーーーーーーーーーー!!!!!!」

イナホ 「すごいのじゃ!! ちょこけえきがたくさんなのじゃ!!」

ピッポ 「美味しそうな匂いだねぇ。これは味も期待できそうだ」

シラノ 「当然です。なにせ、この私がご指南差し上げたのですからね」

メイミー 「うん!! 本当にシラノさんのおかげだよ!! ありがとう!!」

シラノ 「いえいえ。これくらいお安いご用ですよ……っと、姫様」

イナホ 「ぎくっ。な、なんじゃ、シラノ?」

シラノ 「なんじゃ、じゃありませんよ。どさくさにまぎれてつまみ食いしようとしないでくださいな」

イナホ 「つまみ食いなどせぬわ! ちょっと……味見をだな……」

シラノ 「はぁ……まったく、はしたない……」

107以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:31:59 ID:d.CSb/0k
シラノ 「まぁ、できたてを食べるというのも大切な経験ですね」

シラノ 「皆さんに差し上げるものは冷蔵庫に入れて冷やすとして、」

シラノ 「味見も兼ねて、少しずついただくとしましょうか」

イナホ 「そうじゃの! それがいいとわしも思うぞ!」

メイミー 「やった! 焼きたてのケーキだよ、ピッポ! 絶対美味しいね!」

ピッポ 「そうだね。その一番大きいのにするのかい?」

メイミー 「え……?」

アセアセアセ

メイミー 「え、えっと、これは……その……」

メイミー 「えへへ。人にあげるつもりだから、冷やしておこうかな!」

ピッポ 「……?」

ハッ

ピッポ (ひ、ひょっとして、あの大きいチョコケーキは……)

ピッポ (本命用……!?)

108以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:32:40 ID:d.CSb/0k
………………味見後

イナホ 「ぷはーっ! めちゃくちゃ美味しかったの、メイミー! ピッポ!」

メイミー 「うん! 焼きたてだと生地がやわらかくて、ふわっふわだったね!」

ピッポ 「またポトフみたいなことにならないか心配だったけど、うまくできてよかったよ」

ピッポ 「本当に助かりました。ありがとうございます、シラノさん」

シラノ 「いえいえ。こちらこそ、飽き性の姫様に最後までお付き合いいただきありがとうございました」

シラノ 「……では、ケーキが冷えるのを待つ間に、化粧箱でも用意しましょうかね」

シラノ 「ええと、らっぴんぐ、というのでしたか」

メイミー 「ラッピングだねっ! 任せて!」

ドサッ

メイミー 「色紙とか、リボンとか、たくさん用意してあるから! 箱、きれいに飾り付けよ!」

シラノ 「ふふ、実に女の子らしくてよろしいですね。では、やりますか」

イナホ 「………………」

シラノ 「……? 姫様?」

109以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:33:22 ID:d.CSb/0k
シラノ 「……姫様、まさか、残りのケーキ、全部ご自分で食べるおつもいではないでしょうね?」

イナホ 「そ、そんなわけあるかーっ! ただ、ちょっと……」

シラノ 「……?」

イナホ 「な、なぁ、シラノ、ちょっと、頼みがあるんじゃが……」

シラノ 「はぁ……? 頼み、ですか?」

イナホ 「うむ……」

メイミー 「ふんふんふーん♪ アルクくんのは、こんな感じの包装で〜♪」

メイミー 「ステラさんはこんな感じかな〜〜♪」

メイミー 「で……あれは、っと……」

ピッポ (あっ、大きい箱。あれ、アルクとステラにあげるやつとは別なのか……)

ピッポ (や、やっぱりあれは本命用……!)

ピッポ (うーん……メイミーももうそんな年頃かぁ……)

ピッポ (嬉しいような、寂しいような……なんというか……)

メイミー 「〜〜♪」

110以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:35:37 ID:d.CSb/0k
………………翌日

アルク 「えっ、これを僕に?」

メイミー 「うん! で、こっちはステラさんのだよ!」

ステラ 「まぁ。とても可愛らしい箱です」

アルク 「で、中身は……うわぁ、チョコケーキだね。見た目もきれいだし、いい匂いだ!」

ステラ 「すごいです。炭化したにおいがこれっぽっちもしません」

ピッポ 「味見もしっかりしたから安心してね。結構美味しいから」

アルク 「やぁ、嬉しいなぁ。ありがとね、メイミー、ピッポ!」

ステラ 「ありがとうございます」

メイミー 「ううん。こちらこそ、いつもお世話になってるから」

メイミー 「ハッピー・ヴァレント! アルクくん、ステラさん!」

アルク 「じゃあ、さっそくいただこうか、ステラ。お茶でもいれてくるよ」

ステラ 「はいっ」

ピッポ 「………………」 (うーん……まだ、あの大きなケーキの入った箱、あるんだよなぁ)

ピッポ (あれはいつ、誰にあげるんだろう……?)

111以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:36:33 ID:d.CSb/0k
メイミー 「あ、そうそう……」

ヒョイッ

ピッポ 「ん……? あっ、それ……」

メイミー 「うん。一番大きくて、きれいにできたケーキ」

ニコッ

メイミー 「はいっ、ピッポ。いつもありがとうっ」

メイミー 「ハッピー・ヴァレント!」

ピッポ 「へっ……?」

ピッポ 「……こ、これ、僕に!?」

メイミー 「うんっ! 星見の街のみんなもそうだけど、あたしが一番お世話になってるのは……」

メイミー 「やっぱり、ピッポだから!」

ピッポ 「あっ……」 クスッ 「……なんだ、そっかぁ」

メイミー 「……? ピッポ? どうしたの?」

ピッポ 「ううん。なんでもないよ。僕の早とちりだったみたいだ」

メイミー 「……?」

112以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:37:08 ID:d.CSb/0k
ピッポ 「ありがとう、メイミー。こちらこそ、いつもありがとう」

メイミー 「えへへ。なんか、改まってこういうことすると、照れるね」

ピッポ 「昨日の味見、ちょっとだけだったでしょ?」

ピッポ 「これ、一緒に食べよう。僕には少し大きすぎるからさ」

メイミー 「うんっ! そう思って、ちょっと大きめに作ったんだっ!」

ピッポ 「まったく。ちゃっかりしてるんだから……」

メイミー 「えへへ〜。しっかりしてるって言ってほしいな」

ピッポ 「はいはい……」

ニコッ

ピッポ 「ねぇ、メイミー」

メイミー 「うん、ピッポ!」

メイミー&ピッポ 「「これからもよろしくねっ!!」」

113以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:38:27 ID:d.CSb/0k
………………ワの国

スイゼン 「……いきなり陰陽連に押しかけてきて、何事かと思えば」

スイゼン 「有無を言わせず連れ出すとは、まったく……何を考えているのですか、あなたは」

スイゼン 「時世が時世なら戦争が起きているところですよ……」

イナホ 「ふふん♪ 周到に根回しをしておいた甲斐があるというものじゃな」

スイゼン 「そうですね。まさかミズチやクグイまでこのじゃじゃ馬姫の味方をするとは思いませんでしたよ」

ミズチ 「あ、あはは……。すみません、スイゼン様。ですが……」

クグイ 「スイゼン様は、ここのところ働き過ぎです。たまの休暇くらい、いいでしょう?」

スイゼン 「……まぁ、そうですね。せっかく気を回していただいたというのに、それを無下にする気はありませんよ」

スイゼン 「それで、どこに向かっているのです?」

イナホ 「もう着くのじゃ。ぬふふ、向こうも準備できておるようじゃの」

スイゼン 「……?」

アワ 「あっ、ひめさま〜!」

ソウシロウ 「おや、うまくスイゼン殿も連れ出せたようですね。さすがはイナホさんです」

スイゼン 「……なるほど。向かう先はソウシロウ殿の長屋でしたか」

114以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:40:06 ID:d.CSb/0k
スイゼン 「まったく。あなたも懲りませんね、狐娘? 恋心は消えませんか?」

イナホ 「たわけ抜かせ小童! そんなんじゃないわっ!」 フシャーーーッ!!!

リョウキ 「クグイちゃーん! お母さん来てくれたんだねー!」

スイゼン 「……お母さん?」

クグイ 「あっ、ちょっと、リョウキ! それは言っちゃダメだって……!」 アセアセ

ミズチ 「そ、そうですよ、リョウキさん。それは、ちょっと……」 アセアセ

リョウキ 「あっ、そっか」 テヘッ


リョウキ 「クグイちゃんとミズチさんがスイゼンさんのこと “お母さんみたい” って言ってるのは内緒だったっけ!」


ミズチ&クグイ 「「!?!?」」

スイゼン 「……ほぅ」

スイゼン 「なるほど? お母さんみたい、ですか……」

リョウキ 「あっ……あはは〜……。わたし、やっちゃったかも……?」

クグイ 「リョウキ〜〜〜……」  ミズチ 「リョウキさん〜〜〜……」

115以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:41:07 ID:d.CSb/0k
ソウシロウ 「ははは、それだけあなたのことを信頼しているということでしょう、スイゼン殿?」

スイゼン 「……まぁ、そういうことにしておきますか」

ミズチ&クグイ 「「……!!」」 ホッ

スイゼン 「それで、一体これはなんの集まりです? 何やら甘い香りがしますが……」

イナホ 「ふっふっふ〜〜〜。よくぞ聞いてくれたのじゃ、陰陽師!!」

イナホ 「刮目するがよいぞ! 今日は、わしからけえきのプレゼントがあるのじゃ!!」

スイゼン 「はぁ。ケーキ、ですか? 星見の街で見た事がありますが……」

スイゼン 「いやしかし、なぜ急に……?」

イナホ 「なんせ、う゛ぁれんと・ふぇすの真っ最中じゃからな!」

イナホ 「……まぁ、迷宮天蓋都市での話じゃが」

スイゼン 「ははぁ。なるほど。パルペブラでの催しを輸入したということですか」

ハァ

スイゼン 「わかりました。せっかくのご厚意ですし、ありがたくご相伴に与ります」

リョウキ 「イナホちゃんに影響されて、わたしたちもおはぎをたくさんこしらえたので、そちらもどうぞ!」

リョウキ 「クグイちゃんもミズチさんもがんばったんですよ!」

116以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:42:11 ID:d.CSb/0k
ミズチ 「は、はいっ! あの、お口に合うかはわかりませんが、ぜひ……」

クグイ 「精いっぱい頑張って作りました!」

クグイ 「……シラノさんに手伝ってもらって、ですが」

スイゼン 「なるほど。まぁ、あの水狐の乳母が監修したのなら間違いないでしょう」

イナホ 「ぬっふっふ。わしのけえきもシラノに見てもらったからの!」

イナホ 「大変美味に仕上がってるのじゃ! 刮目して食すがよいぞ!」

イナホ 「……と、いうわけで……」

イナホ 「はっぴー・う゛ぁれんと! なのじゃ、皆の者!!」

スイゼン 「………………」

クスッ

スイゼン (まぁ、悪くはない、でしょうか。こういう未来があったのであれば、あるいは……)

スイゼン (いえ、考えても詮無い事。それより……)

スイゼン (件の水弧はどこに……?)

117以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:43:29 ID:d.CSb/0k
………………ワの国 ???

シラノ 「………………」

スタスタスタ……

シラノ 「……?」

シラノ 「おや、母君様。珍しいですね。すでに顕現していらっしゃるとは思いませんでした」

クズノハ 「……大したことではない。遅咲きの梅でも見ようかと思っただけだ」

クズノハ 「それで、何用だ? わざわざ私のところに出向くようなことが起こったのか?」

シラノ 「いえ、特には。相変わらず姫様は自由ですし、あの街は退屈しません」

クズノハ 「そうか。では、何だ?」

シラノ 「ええ。これを。姫様から渡すようにとお願いされまして」

クズノハ 「……なんだ、これは? 菓子折か?」

シラノ 「そんなところでございます。姫様の手作りですよ?」

クズノハ 「あやつの手作り? 大丈夫なのだろうな?」

シラノ 「はい! 私もお手伝いしましたから。味も保証致しますよ?」

118以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:44:16 ID:d.CSb/0k
クズノハ 「ふん……」

クズノハ 「顔も見せずに菓子折だけ寄越すとは、相変わらず礼儀はわきまえておらぬようだな」

シラノ 「はい。誰かさんのお若い頃にそっくりにございますね」

クズノハ 「……お前の口が減らぬのも相変わらずのようだな。安心したよ」

シラノ 「それから、姫様から言づても預かっております」

シラノ 「“今はまだ戻れない。じゃが、いつか戻って、きちんと話をするから――」

クズノハ 「………………」

シラノ 「――じゃから、首を洗って待っておれ、母上様!!” ……だそうです」

クズノハ 「……言づてというよりは果たし状だな。まったく」

クズノハ 「菓子折も言づても確かに与った。お前は早く戻って、あのバカ娘の手綱を握っておけ」

シラノ 「……クズノハ様。何か姫様に伝えることはございますか?」

クズノハ 「ない。どうせ、私のことなど忘れて遊びほうけておるのだろう。あやつは」

シラノ 「あらあら。拗ねちゃって……」

クズノハ 「拗ねてなどおらぬわ。たわけめ」

119以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:44:47 ID:d.CSb/0k
シラノ 「……分かりました。では、私は戻ります」

クズノハ 「うむ」

シラノ 「………………」

シラノ 「……これを言うと姫様に怒られそうなので、あくまで独り言ですが」

クズノハ 「……?」


―――― 『作ったものをあげたら、喜んでくれるか。美味しいって言ってくれるか……』


シラノ 「姫様はそう言ったときに、母君様のことを想ったようですよ?」

クズノハ 「………………」

クズノハ 「……ふん」

シラノ 「姫様はいつか戻ると言ってはおりますが……」

シラノ 「……ひょっとしたら、母君様の方から出向いた方が、早いやもしれませんね?」

シラノ 「おっと、口が過ぎましたね。それでは、また。クズノハ様」

120以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:45:23 ID:d.CSb/0k
クズノハ 「………………」

クズノハ 「……ふん。本当に、相変わらずだな。シラノめ」

シュルシュルシュル……パカッ……

クズノハ 「……ふむ」

スッ……モグモグモグ……

クズノハ 「………………」

モグモグモグ……パクッ……モグモグモグ……

クズノハ 「……ふん」

クスッ

クズノハ 「……甘過ぎだ。バカ娘め」

おわり

121以下、名無しが深夜にお送りします:2021/02/14(日) 21:48:27 ID:d.CSb/0k
>>1です。読んでくださった方ありがとうございました。

メイミーとピッポをメインで書いていたつもりがシラノさんを出すにあたりすべてイナホに持って行かれた気がします。かわいい。

あといくつか、VDの後になってしまうかと思いますが、ヴァレント・フェスネタを投下したいです。書ければ、ですが。

また投下します。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板