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男「モテる代わりに難聴で鈍感なキミたちへ告ぐ 〆!」

1以下、名無しが深夜にお送りします:2016/10/18(火) 23:24:07 ID:KppNpej6
ここが墓場だ



1、男「モテる代わりに難聴で鈍感になるんですか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1379798915/

2、男「モテる代わりに難聴で鈍感になりましたが」
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1380372236/

3、男「モテる代わりに難聴で鈍感になった結果」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1385750291/

4、男「モテる代わりに難聴で鈍感になったけど質問ある?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1397082375/

5、男「モテる代わりに難聴で鈍感になるのも悪くない」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1406541846/

6、男「モテる代わりに難聴で鈍感になるならどうする?」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1420921537

7、男「モテる代わりに難聴で鈍感だった日々より」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1446919295/l50

202以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/05(日) 22:38:57 ID:BafRgheY
男(ショートヘアーの毛先を撫ぜ、愁う彼女の横顔は暴力染みた魅力があった。ギャップ萌えというか味のあるキャラブレの良さの真髄をリアルで目の当たりにす)

転校生「……埃っぽくて長居したくないんだけど」

男「やれやれ 何を贅沢な。サボるっていうのは背徳の行為だ、つまりはだな!」

男(場所も相応に低ランクを、と熱弁を語りたがった俺を制止させるそのジト目である。OK、実は俺もこの部屋が何なのか知らないのだ、転校生)

男(適当に『あ、それっぽい』場所を徘徊して探し当てれば、このザマ。至って人の手も行き届いていない珍しいステージを引き当てたまでは良いが)

男「宿直室ってやつだな。昔は警備員を雇って夜間の巡回をしてもらっていたと友人のお兄さんの友人から聞いた」

転校生「えぇっ、あんた友だちって呼べるの私たちの他にいなかったわよね!?」

男「お前日本語ばかりで気遣いの精神は学んでないの? しかし、あながちウソじゃないな (通常なら錠をされるか、別の用途にされていた部屋が偶然使い放題……お楽しみが、いっぱい)」

転校生「悪いけどカビ臭い所で話す気になれって難しいわ、ていうか無理! この空間が無理!」

男「どこのお嬢様だお前は。どうでもいいから、話の続きを聞かせてくれないか?」

男「いや……そうじゃなくても、俺の方から転校生に尋ねたいことがある」

転校生「あっ…………たぶん、あんたが聞きたいことと私が今から話すこと、同じになると思うわ」

男「何? よく分からん、どういう意味――――オッ」

男(どうした、どうかしたのか 美少女よ。その健康的なおみ足を飾るニーソックスへ手を伸ばして、あ、すごいなぁ)

転校生「凝視しないでド変態!!///」  男「だって!!」

203以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/05(日) 23:15:04 ID:BafRgheY
男(女子の絶対領域、すなわち禁忌とされたパンドラの箱が今開かれてしまうような物。目を背けていられる方が狂気の沙汰ではないか)

男(何を思って彼女がこんなアメイジングを発起したかは他所に、膝小僧? 膝裏? 脛? 足の指? 指股? 気持ち悪い? 構わん、二の次だ)

男「まさか誰もいない場所を選ばせたのは、俺の前で痴女になり切ろうと……」

転校生「ちがうっ!!」

転校生「あんたに、あんただけには見てもらっておきたかったのよ。怖いけれど、証拠になるんじゃないかと思って」

男「は?」

転校生「引かないでよ。いきなり見せようとしておいて今更だけど、きっと男なら」

転校生「わかってくれると思って、こうしようって決めたんだから――――――」

男「…………転校生?」

男(つい先程まで興奮を露わに荒くさせていた鼻息が、静かに冷めていった。併せて 息が詰まる。あれだけ胸躍った禁忌の先へ、俺は目を伏せていた)

男(だって、彼女の右足が無かったのだから)

転校生「変でしょ? 触っても感触とかないのに上から靴下は履けちゃうんだもん」

転校生「丁度太もものこの辺りまで無くって、上手く隠せてるから……男?」

男「アイツか、名無しのバカがやらかしたんだな、大体想像ついてる。許すなんて生易しい真似止めだな、もう我慢できない」

男(神よ、罪深い小心者へ殺めの許可証を与えたまえ)

204以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/06(月) 00:01:21 ID:SlBRxEuY
転校生「        」

男(頭に血がのぼっていく意味を初めて刻み込まれた気がする。儚げな美少女の声はまったく耳に届かず、だが台詞は綺麗に読み取れていた)

男(明日、また少し身体の一部が消え、明後日、また消え、いつの日か 彼女そのものが世界から失われる。判然としていた)

男(転校生が現象に蝕まれる自らを明かしたのは、決して俺に悔恨を抱き続けろと言いたかったのではない。これで良かったのだと伝えようとしているのだと)

転校生「あんたには何もしないで欲しいの。その上でこんな物見せるなんて残酷かもしれないけど」

転校生「元々無かったものが、こうなるんだもの。全然おかしいことなんかじゃないわ」

男「俺にお前がいなくなった世界で生きろって言うのか!?」

男「じょ、冗談じゃない!! お前や、お前以外の誰かが一人でも欠けたらここでも頑張る意味を失うだけだ! 俺は次に何に縋ったらいい!?」

男「残る選択なんて“死ぬ”以外ないじゃねーかよぉ!?」

転校生「……驚いた。あんた結構 色々思い出して来たんじゃない? それともあの神さまの手回し?」

男「もう過去の記憶なんてどうだっていいだろアホ! 俺は今が欲しいっ、お前らと一緒に過ごせる時間だけが欲しい!!」

男「こんな、こんな安直なバッドエンドルート直行なんて見え透いた罠、辿るなんていやだ……やめてくれよ……」

転校生「良い悪いは考えるあんた次第じゃないのよ。それに」

?μk?生「最モ翫實ノыェn択肢ね、mう一つ娯#いあっても罰はあたrないと思うw@よ。男」

男(透けた手が、俺へ差し伸ばされた)

205以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/06(月) 00:49:21 ID:SlBRxEuY
男(名無しの想定した『終末』を辿る一歩は残酷で堪らない一歩であった。マイナスへマイナスの掛け合わせは僅かもプラスへ変わりはしなかった、現実も虚構でさえも)

男(笑って受け止めきれる甲斐性のなさは、自分の未熟からか? 潔く最後を迎えることが正しいのか? まだ青い感性には尊いイベントである)

男(自分へ降りかかった話とはいえ、随分上から目線じゃないかだって? それもその筈 この未熟な一人語りは――――略)

男「――――完璧じゃないか。ほぼ人前で晒しても恥ずかしくない」

委員長「だってよ、みんな!」

クラスメイトたち「「「優秀賞取ったも同然よね! 俺らの努力が世間を動かす、時は来た! 衣装も完璧だもんねー!」」」

男の娘「はぁはぁ、ど、どう? 男、僕の演技とか……だ、大丈夫だったよね!? そうだと言って! お願いしますから!!」

男「ああ、毒を飲まされて倒れるシーンは迫真すぎて危機迫る感覚になったぞ。立派な役者だな、男の娘」

男の娘「え、えへへっ、男から太鼓判押されちゃった〜! みんなみんなぁ〜!」

先生「うふふ、無関心な君が言うなら間違いないって思うけど 本番前のお世辞かな?」

男「俺 椅子に縛り付けられてまで見せつけられてたんですよ? 冗長なら気分関係なしに寝てましたから早く縄ほどいて」

先生「そっかぁ〜、うん、良いじゃない! コレはこれで……あ、ところであんたたちの部活の出し物は?」

男「気にするの遅過ぎじゃありませんか、顧問の先生」

男「ご心配なら夕方 部室に遊びに来てみたら良いじゃないですか! 来てビックリ 持て成し不十分ですよ!」

先生「ほ、報告ご苦労さま……っ」

206以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/06(月) 20:57:13 ID:SlBRxEuY
男(いつのまにやら皆クラス最優秀賞の座を狙う姿勢なのは文化祭効果というヤツだろう、現実でもカップル誕生のタイミングとして絶好と耳にする。陰の者には関係ないが)

男(俺とて、疎ましかったお祭り騒ぎが楽しくなってくる。その後も何度かの予行練習を経て 仕上げへ近づけて行くワクワク感と来たら……)

男の娘「ねぇ、男。僕たちなんか今を生きてるって感じがするよね!」

男「あんなに戸惑ってたお姫様役をここまでこなすぐらいだからな、お前」

男の娘「んー、そうじゃなくってさ、よく分かんないけど楽しい♪ 色んな辛いこともあったけど」

男の娘「みんなとの気持ちが一体化してるみたいな、こういうのって気持ちいいよねぇ〜」

男「そろそろ日陰者同盟解散の危機か?」

男の娘「えっ、あ、あれ? 男はあんまり楽しめてなかったりする!?」

男「違うって、そうじゃないんだが、こんな俺が真っ当に学生生活謳歌して良いのかなぁーと」

転校生「何言ってるのよ?バカ変態が謙虚になってると雨の代わりに隕石落ちて来そうじゃない」

男「そんなに普段ふてぶてしいかよ、俺は」

男の娘「え〜っと、とりあえずお昼にしよっか! ごはーんっ!!」

男(というか元よりそのつもりで三人は動いていたと忘れていないか、男の娘よ。今日は珍しく教室を離れ 校内の食堂へ訪れてみた)

男(残念ながら世間は日曜日ということであり、学食のお姉さま方は不在であるが、広々としたスペースを活用することができるのが大きい)

\ガヤガヤガヤ/ 転校生「これのどこが広々なのよ!?」 \ガヤガヤガヤ/ 男「ワチャワチャしてるな」

207以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/06(月) 21:26:00 ID:SlBRxEuY
男の娘「あちゃー、完全に誤算だったよぉ……漫研とアニ研のTCG大会やってるとか」

男「まぁ、席はいくつか残ってるみたいだが」

男(常日頃教室で昼食ばかりだったからと男の娘が提案しての食堂であったが、これでは落ち着いて食事どころの話ではなかろう)

転校生「ここのかき揚げおソバ安くてチープだけど美味しいって聞いてたんだけど、断念か……」

男「だから食堂牛耳るお姉さま方が留守なんだってば。話聞いてんのかお前」

男の娘「うーん、このまま教室に戻ってっていうのも味気ないし……あっ、そうだよ!」

転校生「何なに? まだ気になってたところがあったりするの?」

男の娘「へへ〜っ! あるんです、これが! 三人が満足できて落ち着く事ができる場所が!」

男「当ててやろうか? ラーメン愛好会の部室だろ」

男の娘「男ぉ! 空気読まなきゃ[ピーーー]だよぉ!?」

男(俺たちの行く当てなど始めから決まり切っているだろうに。それにしても、難聴スキル。この期に及んでまだ頑張るというのか)

男(一時は放っておいてみたものの、残すは男の娘・不良女・オカルト研、か。やり残しは性分に合わないじゃないか)

男の娘「えへへー、部室のカギ簡単に借りてこられちゃった〜♪ フフん!」チャリン

男「やったな、さすが転校生の色仕掛けは一味違う」

転校生「勝手に変なねつ造しないでくれない!?」

208以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/06(月) 21:57:40 ID:SlBRxEuY
男の娘「ん〜、たまには静かな部室でお昼ってのも悪くないよね。静かな」

転校生「約一名が聞いてもわかって貰えそうにないわね、それ、ふふっ!」

男(ママさんがこしらえてくれた弁当を広げつつ、両手に花。悪くないじゃないか。さて、肝心の弁当の中身は、顔面が蒼白になるほど愛情たっぷりである)

男の娘「どうしたの、男? 汗なんて掻いちゃって。具合悪い?」

男「時に、便所飯なる行為を俺は未だに味わった事がない。これはチャンスだ。孤独の悲しみを味わいつつ」

転校生「トイレで食べるとか作ってくれた人の気持ちも考えて非常識よ、マジ変態。……ていうか!」

男(途端に声を荒げ、窓際のハンガーへ掛けられたコスプレ衣装なる物を指差す転校生。バニーガールはお気に召さない?)

転校生「どう見たって際どすぎよー!! こんなのを私に着せようっていうんでしょ!?///」

男「良い客寄せパンダになるんじゃないか」  男の娘「女装より良心あると思うんだけど」

転校生「無理無理むりっ!! 特にこことかヤバいじゃない! Vラインとか、更に網タイツ!? いやぁぁ〜!///」ブンブンッ

男・男の娘「……」

転校生「無視してお昼食べないでってば!?」

男の娘「えぇ、何も本当に転校生さんが着なくちゃいけないってワケじゃないんだからそこまで……」

転校生「オーダーメイド仕立てたとかメール来ちゃったのっ、ここに! ほら、ほらぁーっ!!」

男「(笑)」  転校生「あ゛?」

209以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/07(火) 21:39:20 ID:0l8H470c
一行に別のキャラの台詞連続させると漫画らしいテンポに近くなるな

210以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/11(土) 19:19:42 ID:UGBstVwg
たまに読んでるが、さすがに細かい伏線とか忘れてるな。いつの間にか大長編になってたわ。

211以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/11(土) 21:26:45 ID:WSAk1RMo
かれこれ3年?4年は続いてるのか

212以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/12(日) 01:43:23 ID:ktkflY1k
多少延びてもかまわないので伏線とかキャラ紹介をまとめた振り返り編みたいなのがあってくれてもよいような気はする

213以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/12(日) 17:26:55 ID:M9wOEU9U
そんな事したらまた延びるから、終わったら誰かがまとまればいい

214以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/12(日) 21:29:40 ID:Z2qDD8LQ
男(転校生から肘やら膝で小突き回される俺を見て困り顔で笑う男の娘。この三人だからこそ叶う究極のバランスが昼食の一時を飾る、至高なのだ)

男(そんな中だろうとお構いなく、転校生はきっとアレを着られないのだ、と邪険に愁う自分が心の内に存在する。美少女は騙せても……本当の敵は挙句ホニャララさんである)

男(彼女、転校生は俺に約束させた。「何もしないで」、「黙って時が過ぎるのを待つの」、「”今“を楽しもう」。終末へ備える為の、そうでなければ、供える為の三原則を)

男(やれやれ、参ったじゃないか。この強欲者が抱いた淡い夢と心中し≪不適切な表現が含まれているため 表示できません。≫)

男(≪不適切な表現が含まれているため 表示できません。≫)

不良女「ち〜ッス……って、この挨拶なんかデジャヴ感じんな。時間通りだしょ?」

男の娘「あっ、来たきた。待ってたよ〜!」

転校生「どういうこと?」

男(前触れなく開いた部室の戸から覗かせたのは、辛うじて素行悪そうに魅せる棒付きアメを口に頬張る不良女。転校生と顔を見合わせ、男の娘へ尋ねれば)

生徒会長「失礼する。おや、既に全員が揃っていたとは感心だな」

先輩「やっほー! ラーメン愛好会放課後部活動の延長みたいなの始めちゃいますんで、各自お座りください。おすわりっ!」

男の娘「実は二人には内緒で部室に連れて来るように頼まれたんだ。ご、ごめんね! 騙す様なことしちゃって!」

転校生「だ、騙すって、そもそも私たちに秘密にする意味ある?」

先輩「ウッフッフーン、騙し打ち的なぁ〜?」  生徒会長「抜き打ちと言いたいそうだ」

男「いや、実際何のですか……」

215以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/12(日) 22:07:03 ID:Z2qDD8LQ
男(呆れた素振りでドッキリ成功をアピールさせるメンバーへ目で訊くも、皆 同じ様に含み笑いであった。一体何の企みだと)

不良女「ま、玉には驚かせる側にあたしらが回っても罰は当たらないんじゃないの?」

男「やれやれ、気味悪いな。ここに全員が集まったってことは文化祭の出し物の相談でしょうか」

先輩「ソダネー。わたしたち何にも準備してないからネー」

生徒会長「コスプレ喫茶まがいの詐欺ラーメン屋……これで金銭を巻き上げようと言うのだから其処らの俗な処より悪質」

生徒会長「というか この私が見逃すとでも思ったのか?」

先輩「な、仲間じゃないですかっ、お上!!」

転校生「変な事やらかす巻き添いなんてマトモなら誰だってごめんよ!」

男の娘「だけど構想段階から仕切り直すにも時間足らないよぉ。我慢してこの路線を上手く利用してあげなきゃ、もう まずくない?」

男「そりゃ十中八九不味いに決まってるだろ。やるって言い出して承認貰った上での話なんだしな」

不良女「ん……要はブラックなのに触れなけりゃ問題ないんだろ?」

男(何故そこで俺を見たのか理解しかねるが、努力してみよう)

男「……ならば、提供するのはカップ麺で誤魔化すとしましょう。しかし無銭飲食にしてはお話にならない。ならば」

男「ここは可愛いコスプレに全て委ねてみるべきではないだろうか!?」バッ

男の娘「[ピッ]、[ピーーー]男のコスプレにっ///」  男「客の目が腐り落ちるわ」

216以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/12(日) 22:44:02 ID:Z2qDD8LQ
男「ライブハウスのシステムは知ってますか? チケットを購入していてもハコの中へ入るには謎のドリンク代が発生しますよね」

不良女「あ〜、飲食店と同じ扱いになってるからとかバイトのオーナーから聞いた事あるかも。つーか まさか」

男「喫茶店、不純の無い響きですが カップ麺提供に重点を置きましょう。入店時に500円でワンカップを」

転校生「どう見ても詐欺の他ないじゃないのよ!?」

男「詐欺? いやいや、断じて違います。我々はお客様へ飲食物を提供しその対価としてお金を得る必要があるのです」

生徒会長「し、しかし 客が500円を支払ってまでコンビニやスーパーで売っている物を欲しがるか?」

男「そこで“コスプレ喫茶”の名前が生きるんじゃありませんか、生徒会長」

男「……客は15分間、好みの店員とのチェキを楽しめるサービスを手に入れられる」

男(はっちゃけた一名を除き、猫も杓子も机に項垂れる。俺とて最悪な策である。誰が好きこのんで半所有物を変態へ接近させたいか)

不良女「まずラーメンへの侮辱じゃん……」

生徒会長「そういう問題ではないと思うのだが……どうしたい、部長」

先輩「そうだね、500円なら切りもいいからレジもスムーズに済みそうだよ! ナイスアイディア!」

転校生「だめ……黙ってたらクズの舞台にしかならないわ……」

先輩「えぇ!? 待ってって、そうでもないよ! これなら準備も大分省けるし、最悪カップ麺に拘る必要もないよ?」

先輩「身体張るのは何のため? ザッツ \マネ〜!」  男の娘「ノーノーっ!!」ブンブンッ

217以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/12(日) 23:23:30 ID:Z2qDD8LQ
後輩「……で、私たちにサクラをお願いする先輩の立場は何なんですか」

男「女子すら虜にする美少女たちが働くコスプレ喫茶に興味を持って頂こうと思ってな」

男「まぁ、俺も如何にもな展開をしてやれば都合良くモブどもが飛び付いて満員御礼も目じゃないと睨んでいるワケだが」

後輩「でしたら最初から無駄な頼みとかする意味ないじゃないですか。私も妹ちゃんも暇じゃありませんので」

男「部活動での出し物は二日目なんだからお手暇じゃないですかー?」

男(説明しよう、我が校の文化祭スケジュールは二日間に渡るのだ。俺たちのクラスが張り切って準備しているクラス発表は一日目に披露される)

後輩「先輩と違ってそこそこ付き合いがありますから! それに誰が喜んで恋敵の巣に突入したが」

後輩「っ〜〜!!///」ブンブンッ  男「全身で否定しないでくれないか」

男「ところでウチの呑気な妹はどこにいる? 一緒にお化け屋敷の準備じゃなかったのか」

後輩「い、妹ちゃんはお化け役として演技指導を叩きこまれてる最中です……」

男「ちなみにどんな役を」

後輩「聞いてないんですか? 途中お客さんに『疑似コックリさん』をやらせるんですけど、その最中に机ひっくり返す怒り狂ったお狐様ですよ」

男「(そして現れた瞬間を狙って捕獲した後ハグしたくなるのか)お前は?」

後輩「受付ですよ。あとは兼ねて、写真撮影係ですかね」

男(写真だと?)

218以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/13(月) 20:04:56 ID:nL8RpUos
後輩「どうかしましたか、先輩?」

男「いや、お前が写真なんか撮るんだなと何となく思って」

男(特別変な話でもなかろう。希望した入場者の驚きの一場面を陰から収めて渡す為だとか、何を意外に感じたのだ俺は)

後輩「せーんぱい」パシャ

男「……あのな、お前被写体に許可なく勝手に撮るのはマナー違反だろ」

後輩「えへへ、ごめんなさい。クラスの子から借りたポラロイドカメラなんですけど 案外使い勝手良くってつい」

男「やれやれ、準備が出来てたらもっと決め顔でポーズしてやれたのに」

後輩「ん? 写りは結構悪くないと思いますよ。自然体の先輩が一番なんですから」クスッ

男(狙っていると言わんばかりのあざとさを振り撒く小悪魔っぷり、逆に照れるな。嫌味を感じないのは彼女の涼しげな雰囲気がそうさせるのだろう)

後輩「はい、記念に一枚どうぞ。先輩も良ければ当日私たちのクラスに遊びに来てくださいね?」

後輩「次は ビクビクしてる先輩のことを撮らせて欲しいんですから、ふふっ」

男「(身も心もその悪戯へ委ねてみたい) アホか、性悪めが。それじゃあ妹にサクラバイトの話伝えておいてくれ」

男(というか帰宅してから直接俺が頼み込めば良いだけである。気恥ずかしに負けて早々撤退を余儀されたものか、負け犬の遠吠え的な)

男「……写真か」

男(あの夜、正気に戻る以前と仮定した、後輩が俺の部屋から持ち去った写真たち。彼女が例のアレに関し頑なに話題に出そうとしないというのは、実に気になる)

219以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/13(月) 20:48:40 ID:nL8RpUos
男(失った記憶が再び降りてくる奇跡、様変わりした後輩の姿を見て切に願った。この世界で成し遂げた過去が何の拍子かで戻りはしないのかと)

男(もはや何を忘れ、何を覚えているのか曖昧な自分が酷く不完全な存在に思えて仕方ない。今を全力で楽しみたくても、過去を辿りたい、贅沢だろうか?)

テンプラ「あ葡キ飼負oイTァ0」

男「う゛、わおおおぉぉ!? あんたっ!! な、何平然と廊下で突っ立って……」

男(惜しかったじゃないか後輩よ、後を漬けていれば難なくシャッターチャンスを、なんて)

男(俺があげた絶叫に周囲のモブが振り向き立ち止まっている。例外を除けば、この怪神を認識する事は不可能なわけだ)

男(とにかく、この様な平凡な背景に佇まれていても心臓に悪いだけである。外へ連れ出すべきだろう。大方コイツもそれを望んでいる)

男「ここじゃ返って息が詰まる……来てくれ」

テンプラ「縺ェ繧薙〒譁・ュ怜喧」

男(了承したのか俺の背中を重たい体を引き摺るようにしてテンプラは追ってくる。どんなホラーだと肝を冷やしつつ、改めて俺の前に現れた理由を予想範囲内で模索してみた)

男(一つ、礼を言いに来た。二つ、名無しを手放しにするなと忠告に。三つ、次の厄介事を運んできた。止そう、胃がキリキリしてくる)

男「この辺なら校舎からも離れているし、誰かに見られる事ないだろう。何の用だ?」

テンプラ「……(喋れない)」パクパク

男「不便だなっ、筆談は!?」

テンプラ「……!」ガッ  男「ミミズ這った後より最悪じゃねーか」

220以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/13(月) 21:34:50 ID:nL8RpUos
男(携帯電話を手渡しても碌に字も打てず、神々の形骸化に挫けそうになる。これでは日が沈むぞ。埒が明かん)

テンプラ「……」

男「いや、俺だってあんたが伝えたがってる気持ちとか読み取れればと思ってるよ。だけど人間相手と同じにはいかなくて」

男「表情もなければ仕草からも何もわからん、侮辱じゃなくてな。手っ取り早く用事を済ませられないか?」

テンプラ「……」

男「いつぞやに幼馴染へ代弁させたことがあったろう。アレが現実だったのか夢なのか見当つかな――――」

『復旧までもうしばらくお待ちください。繰り返します、大変申し訳ございません。お客様には……』

男「――――い…………この精神世界みたいなヤツ、ありきたりじゃないだろうか」

テンプラ「二度もお招きしてしまい申し訳ありマセン。迅速な対応を求められてしまったものデスカラ」

男(線路の上で立ち往生する電車の中、向かいの席に腰掛けるは瞳からハイライトの失せた幼馴染と思わしき美少女である。やはり)

男「本題へ移る前に訊きたかったんだが、どうして幼馴染なんだ。ここが現実でないなら、直接憑依してるわけじゃないだろ」

テンプラ「イイエ、この子であるからこそワタシを体現させられるのデス。男」

男「は?」

テンプラ「器、いえ、それ以上にコレはワタシの意思を継ぐ者である。深く、深く貴方を愛する隣人としテ」

男(手の中に包んでいた紫色のエゾキクの花を嗅いで、彼女はこちらへ綺麗に微笑んでみせた。ゾッとするぐらいに)

221以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/13(月) 22:11:46 ID:nL8RpUos
テンプラ「マズは、名無しの件につきまして改めてお礼を言いたく思いマシテ」

男「お、おぉ……だがあんた目線じゃ根本的な解決にまだ結び付いていない筈じゃないか? あんたはあの男を」

テンプラ「その根本を覆さんとする事象がアナタへ降りかかってしまッタ。ワタシの望みは男の真なる幸福デス」

テンプラ「ぶっちゃけ歯痒い思いをされているのでございマショウ!? ネェ!?」ガバッ

男「何だよ何だっ!? いきなり跳び付くんじゃねーよ!!」

テンプラ「アナタ内心穏やかではない筈! 大切な幸福を一つ手放す、ノット! そんな物全然ハッピーじゃないデースッ!」

男(このエセ外国人の様な突然変異した言動は何ぞや、と一歩引いて待てば、テンプラは腰に手を当て世迷言を連ね、俺へ提言してきた)

テンプラ「アナタが、この世界の”神“となれば良いのデス。男!」

男「……何だって?」

テンプラ「ご自身が望む世界の在り方を求めるのでアレバ、それは自身が管理し 時の流れを牛耳るべきではありませんカ!」

テンプラ「ワタシは男の水鏡でアリタイ。どんなに隠し通したいという想いすら、このワタシには留まりなく流れ込んできマス……悲哀デス」

テンプラ「男はコレマデにどれだけの逆境を跳ね返してきましタカ? ピンチこそが強味、背水の陣を味方につける悪運の持ち主ではありませんカ?」

男「……もう、冗談は休みやすみで……頼めないか テンプラ。意味不明なんだが……」

テンプラ「聡明なアナタならば理解し終えているに違いありまセン。かの庭を統べる主となるのデス、男」

テンプラ「ココに生ずる現象を凌駕シ、システムを掌握する万能の存在ヘ。――――あの娘を救う奇跡は、アナタが起こすのデス」

222以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/13(月) 22:47:54 ID:nL8RpUos
天使「――――じゃん、けん!」

天使・名無し「ぽんっ!! ……あいこでしょ、あいこでしょ! あいこでしょ!!」

天使「お、大人しく自分に譲らねーってんなら酷い目見るだけです。この学生ニートめが」

名無し「縦に裂けて死ね。こっちは昼飯後のデザートが掛かってる、死活問題だ。お子さまの別腹事情と一緒にすんな」

天使「ぐぅぅぅぅわぁ〜!! この不浄な巻きグソを楽園に招き入れたのはどこのバカ野郎ですか!? チ○カスがぁ!」

ママ「もうケンカしないの! プリンならもう一つ別のがあるから、ここは年上の君が我慢してほしいなぁ〜、ね?」

天使「やーい! やーい、ぶぁあぁあぁか!!」  名無し「脳漿ぶちまけて派手に死ね、糞ガキ」

幼馴染「……ていうか、名無しくんはどうしてウチにご飯食べに来てるの?」

名無し「昼食も用意してあると冷蔵庫開けたらラップに包まれた冷や飯とのりたまが添えられてあった。あんたならどうする?」

幼馴染「厚かましいよ……あたしはよく知らないけど、君って思ってた感じと全然違うかも」

名無し「へぇ、気に食わないと真っ先に否定に走るのか? 貴重なお利口枠かと思いきや、まんまと騙されたよ」

天使「べーっ、だ! お前なんかに誰が優しくしてやるもんですか、早くどっかに消え失せやがれですよ!!」

ママ「こら天使ちゃん! ごめんねぇ、私は名無しくんもい〜っぱいお持て成ししたかったんだけれど……名無しくぅーん?」

名無し「…………邪魔した。腹ごしらえに着いて来いよ、ガキんちょ」グイッ

天使「はぁ!? ちょ、何ですか! 今度は自分を誘拐して身代金をっ! お、男くんヘルプミ〜!?」

223以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/19(日) 21:00:17 ID:r5/KfTsw
男(間近まで迫られていた顔が離れた。こちらを見下ろす表情は恍惚としており、先程まで鼻息荒くさせていたテンプラは何処へ行ってしまったのかと)

テンプラ「男、アナタには素質がありマス。コレでも控え目にお話させて頂いたつもりデスが」

男「……神? 奇跡だと? ある意味新世界に召喚された俺が神さまか?」

男(聞こえは良いが、非常に臭い。理由はわからないが簡単に首を縦に振ってしまえば 代償に何かを失ってしまいそうな)

男「(危険なオファーが身に降り掛かったと直感が告げている) すまん、そういうのウチ間に合ってるんで」

テンプラ「怪しい宗教か新聞勧誘と同等にされては困りマス!」

テンプラ「アナタを長く見守ってきた者としテ、至高の提案であるとワタシ自負していマス。一から十、百をもコントロール可能となるのデスから」

男「この俺はクリエイター志望じゃなく、常にプレイヤー側でありたい。大前提から勘違いしてるぞ」

男「そんな仰々しいのじゃ、まずお門違いだろうよ。テンプラ?」

テンプラ「はぁ、勉強にナル…」  男「メモんな」

男「胡散臭いネーミングの奴からされる妙ちくりんな話に乗りたがる物好きに俺が見えるかよ。一昨日忘れた頃に聞かせてくれ」

テンプラ「……デスガ、男。実は惹かれてマスよね? ビ少女を救う手立てとシテ」

男(神か天使の名を冠する色者には思考読取能力がデフォで備わっているとでもいうのか?)

男(プライバシーの侵害を他所に背中から浴びせられた甘言である。実際転校生の為にも助言を仰ぎたくあって、テンプラを誘ってみたが)

テンプラ「ただただ起こる悲劇を見送るのが男デスカ? 心を苦痛に蝕まれながラ」

224以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/19(日) 21:42:11 ID:r5/KfTsw
男「て、転校生は、俺から助けられたいだなんて望んでいない……放っておいてくれないか……」

テンプラ「彼女が滅びを受け入れたがっていると思えないノでショウ?」

テンプラ「そして大人しく誤りへ辿る道を歩みたがるアナタではありマセン。お人好しは主人公の専売特許ではありませんカ?」

男「放っておけって言ってるだろっ!!」

テンプラ「失礼しまシタ」

男「俺がそうするって決めたんだ、ぽっと出のモドキに喧しくされる筋合いなんてこっちにはないんだよ!!」

男「テンプラなんてふざけた名前名乗りやがって気が狂ってるとしか思えないな、あんた! 面白い自虐ネタだ!」

『復旧までもうしばらくお待ちください。繰り返します、大変申し訳ございません。お客様には……』

男「うるさい! もう十分だ、帰らせろ! 畜生……俺の中を土足で踏み込んで来たのが間違いだったんだよ、テンプラ」

テンプラ「ほらマタ迷っていマス、男」

男「何!?」

テンプラ「葛藤を胸の奥に隠すことが愚かと一度はあの子ラから気付かされたのデショう。過ちを繰り返してはなりマセン」

テンプラ「ワタシはアナタの良き理解者であり、良き隣人デス。ならば 破滅を回避したく考える男に味方するのが道理であれ、ト……」

テンプラ「覚悟が決まり次第、ワタシへその身を委ねるのデス 男」

テンプラ「我が存在を賭けテ、かの力を託しマス。授けましョウ。アナタの理想たる世界ヲ――――」

225以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/19(日) 22:35:20 ID:r5/KfTsw
男「――――――自己犠牲が美徳とでも語りたいのか、やれやれ」

男(ストレートに受け取って反応すれば、テンプラはこの俺に人間をやめろと言うのだろう? 苦肉の策か最後の手段かも馬鹿らしい方法だ)

男(奴の言う事が正しければ 念願であった美少女ハーレム酒池肉林パーティも難なく叶うやもしれない。煩わしいだけの難聴スキルに振り回される事もなくなる)

男「(望めば、更なる美少女の追加だって) 待てよ、割と良い事尽くめにならんでもないのか?」

男(いやいや、あんな啖呵を切っておいて脛擦りでお願いしますでは恰好がつかない所ではなかろう。ドラマがない。凌駕したカスが誕生するだけである)

男(そういえば テンプラはまた何処かに消えたのか。あの奇妙な電車の中から一転し、小さな公園のベンチに置き去りされた様にして俺は座っていた)

男「何が気に食わなかったんだ、俺」

男(立ち上がって学校へ戻ろうとしたにも関わらず、再び制止した俺が放った独り言である。何って、テンプラの神提案じゃないか)

男(まずどんな異常をきたすかに対する恐怖がないとは勿論言い切れない。だが、神となったところでこうして主人公となり、自身が楽しむスタイルを保つ事も可能ではないかとテンプラの口振りから想像できる)

男(どうせ現実では捨てた生活を送っていた。このまま気持ちの良い毎日を美少女と面白楽しく過ごせるのであれば、多少の変化あれど、悪くないのでは?)

男「……ていうか俺死にかけの状態だった、でいいんだっけ? 確か……うん、そうだったはず」

男「未練も、特になければ……そうだ。俺って死ぬんだぞ。思い出せたじゃないか! つまりあの世みたいなものだ!」

男「死ぬ!?」

先輩「は、早まるなーっ!」ドンッ

男「ぐえ!?」

226以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/20(月) 19:58:09 ID:3j6RFTDk
男「先輩さ、んぐぐぐ……ぐへへ……! (顔面を圧迫するヘビーな武器、質量を持ったたわわの果実も時として凶器である。覚えのある感触から名前を言い当てれば)」

先輩「へ? あ、あぁー! ごめん! 男くん苦しかったよね!?」

男「く、苦しい以前にとりあえず上から退いて貰えたら助かる、か、と」

先輩「えぇ? 何って言ってるの?」  男「ロープ! ロープ!」バンバンッ

男(ラッキースケベに変わりないがこの桃園を堪能すればするほど窒息から逃れられないのだ。幸せ固めここに極まれ)

男「……つまり偶然通りかかったら死に急いだ男子生徒を見掛け、衝動に駆られてしまったと」

先輩「そうなんだよ! ていうかそれが男くんだったなんて思いもしなかったんだから!」

先輩「で、でも男くん。死ぬなんて簡単に考えちゃダメだよ? わたしはまだまだ男くんに生きて貰わないと、こ、困るんだもん……!」

男「だから別に死にたがってたんじゃないと言ってるでしょう。先輩さんの早とちりですよ、まったく」

先輩「そう? 何だぁ〜だったら早く言ってよ、もう! ……ムネ///」

男(今 何と仰られたのか尋ねてもよろしいだろうか)

男「はい?」  先輩「わーわー!! 何でもないよ、全っ然!?」

男「何でもない人の誤魔化し方じゃないでしょう? 俺で良ければ勘違いさせた罪滅ぼしに」

先輩「はぁ!? セクハラするつもりなの!?///」バッ

男「そんなの濡れ衣すぎるじゃないですか」

227以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/20(月) 20:31:53 ID:3j6RFTDk
男(何故見計らったタイミングで彼女とのイベントが発生したかを説明すれば、部の出し物に使う備品の買い出しに外へ出ていたらしい)

男(イベントと呼べるほど濃厚な会話をする事なく、荷物持ちとして校内へ戻ってきたわけであるが)

先輩「男くんに会えて助かっちゃったよ。わたし、こう見えて非力な女子なものでして! えへへっ!」

男「箸より重いぐらいで音を上げる先輩さんとは思えませんけどね。この程度ならお安い御用なぐらいです」

男「そんな事より……本当にコレ全部必要になる物ですかね」

先輩「当たり前〜♪ 部室の中も適当に華やかに飾りたかったし、備えあれば憂い無し! だしょ?」

男「明らかに不要じゃないかってアイテムが混ざってるのは触れない方が良いんですか。よっこらせ」

先輩「いまのオッサンみたいだネ」  男「真顔で指摘しないでくれません?」

男(授業も無いのに放課後とすれば違和感たっぷりであるが、各々のクラスの準備を終え次第集合を掛けると先輩は言う。余所余所しいぐらい)

男「あれ、もう行っちゃうんですか?」

先輩「わ、わたしも忙しいんだよ〜! 男くんだっていつも忙しそうにしてるじゃーん、ここはお互い様ってことで!」

男(何かを隠す素振りであるのは一目瞭然。欺くにしても早々俺から逃れたがるのは常日頃の先輩を知る俺として、矛盾を感じざるを得なかった)

男(先程のラッキースケベの恥じらいの延長であれば可愛らしいものだが、どうにも不穏を秘めた作り笑顔を取り落とせというのは、性分じゃない)

男「待ってください、先輩さん。どうしたんですか?」

先輩「えっ……い、いやぁ〜 そ、そこで止めちゃうかなフツー……」

228以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/20(月) 21:05:42 ID:3j6RFTDk
男(捉えた、と言うべきだろう。戸惑う彼女へ接近しながら言葉を投げる。混乱させないよう、掻き乱さないようゆっくりと慎重に)

男「悩みがあるなら伝えて欲しいと言ってくれたのは先輩さんたちじゃありませんか。俺では不十分ですか?」

先輩「よ、世の中には触れないでおいた方がいい事もあると思う、ような……昨日みたいな」

男(確かに不条理から離れた位置にある彼女たちにしては、先日合わせてしまったような目から遠ざけるべきである。非日常とは理不尽に位置する)

男(これ以上振り回したくないと思う気持ちが彼女の心のケアに俺を走らせているのだろうか。残念ながらコレでは真逆の行動じゃないか)

男「……昨日見たものは全部ウソだったんですよ。廃墟に侵入してテンションが振り切れたせいもあったと思えませんか?」

先輩「そうじゃないよ!! そうじゃなくって、男くんまだわたしたちに何か隠してるんでしょ!?」

男(成る程、アレで真髄を目撃した気でいる。クラスメイトは宇宙人的なファンタジーに胸踊らせる気分は誰しも胸弾ませる設定だろう)

男(だが、このまま先輩や他の美少女たちまで引き返せない場所まで引き摺りこむのは得策ではない。巻き込んでしまったとはいえ、どうにか――――)

先輩「――――転校生ちゃんのあの足、何なの!?」

男「え?」

男(ではなかろう、が、頭が一瞬にして真っ白と化す。転校生の足だと。どう考えても例の事象に関する訴えだ)

男(転校生が、俺以外の人間に晒した? バカな、彼女はそこまで軽率な行動を取るタイプではない。な、ならば、何故 先輩が!)

先輩「……わたし 見ちゃった。転校生ちゃんが、男くんに見せてるとこ」

先輩「ご、ごめんなさいっ!! ごめんなさい!!」

229以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/20(月) 21:50:47 ID:3j6RFTDk
男(幾度となく反覆される「ごめんなさい」だけが部室の中を木霊していた、のだろうか。……見られていた?)

先輩「あ、あそこはわたしもよく使ったりする隠れスポットの一つで、今日もコーヒー飲みに入ろうとしたら」

先輩「み……見ちゃった……怖くなって二人の前にも出て行けなくなって、あとで部室に呼んで色々聞き出そうと思ったんだけど……こ、こわくて」

男(俺の、平穏が乱される。グルグルと不穏と共に掻き混ぜられて、そうして世界に、ヒビが)

先輩「さっき男くんが『死ぬ』なんて言ってたのも、本当に怖かった! だ、だからわたし、わたしね……っ!?」

男「うわあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ!!!?」

先輩「ひっ!?」

男(緩やかに悲鳴を上げていた精神がポッキリと折れた音がした。善も悪の区別がつかず、自己を確立できず、揺らぎにただ身を任せて、絶叫していた俺)

男(引き金なんて何であろうと関係なかった。端から脆弱な精神を強靭に見せつけるべく保った易い自己暗示も、大袈裟な自信でも、勝ち目なんてなかったのだ。器が悪かった)

男(気が気ではない。床に崩れて頭を押さえ込んだまま我を失う自分を客観視してみた感想を述べよう。ここに美少女も好感度もありません。ガラスのハートが壊れました)

男(常人でいられる境界線を越えた……鋼の意思は? 妥協を知らないと豪語した過去の自分は何処へ。……未熟すぎる、ついに壊れた)

先輩「       」

男「やめろ! やめろやめろやめろ、もう止めてくれ! 嫌だ! 俺が何したっていうんだ!? 俺は何も悪くないのに!!」

男「どうして、どうして悪い方向ばかりに進むんだ!? お、俺がこんなの望んでるか!? 楽しく生きられたらそれで良いのに! 何で!?」

男(失敬、醜態を晒してしまった。悪いがこっちは建前だ)

230以下、名無しが深夜にお送りします:2017/02/27(月) 18:01:29 ID:.JZxIexQ
お酒の場に呼ばれたのでちょっとお休み。来週日曜日再開

231以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/03(金) 03:26:31 ID:IsXw2vGs
やっと現行に追い付いた。
乙!

232以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 17:00:13 ID:ZA81pPsA
神になればハーレム作り放題だな

233以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 21:00:41 ID:xvh/q99o
男(完璧に怯え切った先輩を放って取り乱していた。無我夢中に声を荒げ、吠えて、周りの物に当たり散らす、これぞ獣の有り様だろうか)

男(通常なら美少女へ即取り繕おうと『男くん』の仮面を被ろうものが、冷静ではいられなかった。いきり立つでは済まされない)

男(ただ一言で表せられるならば、崩壊に等しい)

先輩「あっ! お、男くん待って!! どこ行くの!?」

男(制止を求めた声に応える余裕も無しに、パニックから視界が真っ白に染まりつつある恐怖から部室を逃げる様に飛び出した俺)

男(彼女が伸ばした、差し出した手が救いに見えたらどれほど良かったものか。正気を失った自身の状態に気付きながら、彼は絶望を加速させた)

男「――――――がっ!?」

男(ぶち当たったのは大きな壁でもなければ……床である)

「男くん、急に飛び出してくるなんて危ないわ。怪我はない?」

男(怪我、怪我らしいと言えば鼻の奥から熱い液が垂れて来る感覚があるぐらいだ。転んだ? 足元を確認すれば見覚えある特徴的な杖が、いや、それよりも)

オカルト研「そんなに私の顔を覗こうとされても、困る、わ……」

男「お前……」

オカルト研「大変、鼻血が出ている。そこの一般人 すぐに救急箱を用意して」

先輩「い、一般人ってまさかわたしの事言ってる?」

オカルト研「早くしなさい。男くんの命に関わる一大事よ」

234以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 21:44:05 ID:xvh/q99o
先輩「鼻血止まったかな? ごめんね、わたしが変なこと口走ったりしちゃったから」

男(介抱、というか 渡されたポケットティッシュを使って自分で止血しているだけであったが、血が流れたお陰か幾分頭がスッと黒い靄を払っていた)

男「……オカルト研はしばらく自宅謹慎だったんじゃなかったのか?」

オカルト研「そのつもりだったけれど、眠っている間に揉み消されていたわ。よくあるの」

男(突っ込む元気は、あと少し失せたままでいようか)

オカルト研「冗談よ、安心して欲しい」

先輩「うーん、冗談なら尚更どうしてここにいるのか気になるというか〜……これ野暮っぽい?」

男「(野暮ったいだ) とにかく事情はどうあれ教師たちに見つかったら問題だぞ。俺たちは見なかった事にするから、すぐに」

オカルト研「その前にお詫びさせてくれないかしら。男くん、そこのあなたや、他の人にも」

男(反応を待つより先に深々と頭を下げてみせたオカルト研に、虚を突かれる。すぐに先輩が近寄り肩を支えるが、一体何が起きた?)

オカルト研「この程度で許されるとは到底思えないし、私自身も許せない。それだけの迷惑を掛けてしまったわ」

先輩「も、もういいよっ! 事情はよく知らないけど反省してるって気持ちはすごく伝わったから頭あげてさ、ほらっ!」

オカルト研「男くん……ごめんなさい、何と謝っていいか。謝罪がこんな形になるなんてあなたも納得してくれないと思っている」

先輩「男くんもとりあえずいいよね!?」

男「……判らない、もう」

235以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 22:22:38 ID:xvh/q99o
先輩「そうそうっ、全然意味わかんないって――――何でさ!?」

男「……」

オカルト研「ええ、当然の回答だわ。私としても偽られて励まされるよりずっと嬉しい」

先輩「か、換気しよう! そうだ、換気しましょう! 悪い空気を外へ逃がせば二人も落ち着くと思うなぁ〜っ!!」

オカルト研「悪いけれど一般人さん、少しばかり男くんと話がしたい。お願い」

先輩「っー! ……いいけど、難しい話はなるべく避けてあげて欲しいかな」

オカルト研「心配要らないわ。シンプルすぎて逆に突拍子もないぐらいだもの」

オカルト研「ありがとう、素敵な部長さん」

男(有り有りと不満を浮かべながらも退出してくれた先輩と目が合うも、俺の方から視線を落とす。最適解なんて最早存在しないのだ)

男「……何だ、その何でも分かった気でいるみたいな雰囲気」

オカルト研「不満かしら?」

男「不満? 気に食わないなら突っ掛からないだろう。このタイミングで都合良く現れたことに関してもだ」

男「名無しのお人形になり下がった自覚はあるかと尋ねたらウケるかね? まぁ、解放されていようがいまいが、俺には元のお前の記憶がない……」

男「まだこんな哀れになった俺を追い込むのか? ……修正が必要だな」

オカルト研「悪霊の仕業ね、男くん」

236以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 23:13:49 ID:xvh/q99o
男(悪い事をすべて悪霊のせいだと責任転嫁してしまえば楽になれるのかと、その不思議言動に唆されてしまいたくもある)

オカルト研「覚醒に伴い男くんの精神が弱まっている。悪霊はそのままあなたの身体を自由に奪うつもりよ」

オカルト研「器として最適という認識が深まってしまったのね、男くんは男くんが思う以上に強大な力の持ち主なのだから」

男「このままじゃダメだ、このまま進んだところで結末なんて知れてる……望まない終わりだ」

男「だから、修正するしかない……やり直すことは罪じゃない。1が0に戻るだけじゃないか」

男「こんな辛い思いと心中するぐらいなら、俺は――――」

男(神を名乗り、完全なる支配をこの手にする道が示された。限りなく立場も現状も大きく変化し、終わりすらも永遠に訪れないルートが)

男(“救い”を縋った先にあったのは、やれやれ、最終的に自己犠牲ではないか。テンプレよ)

『 覚悟が決まり次第、ワタシへその身を委ねるのデス 男 』

男(…………)

オカルト研「抵抗しているのはあなたの本心だわ、男くん」

男「え?」

オカルト研「悪霊の囁きは正に甘い汁。それでも受け入れられないのは、あなたがその先に答えを見出す事ができていないから」

オカルト研「男くんは真の選択に迫られている。それこそ、やり直しが利かない、これが正真正銘の最後よ」

⇒ これより先の選択に よって セーブデータを 失う場合があります。

237以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 23:21:24 ID:xvh/q99o








⇒ 記憶を リセットして カミになりますか ?






⇒ 現状を 維持しますか ?

238以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 23:40:26 ID:xvh/q99o


⇒ 記憶を リセットして カミになりますか ?


 快楽を追求するあなたに相応しいENDになるでしょう。


嫌悪という感情から遠い視点から見られる天にも昇る心地良さを獲得し、爽快間違いなし。


ヤキモキとした思いを味わうことなく、快適な カミライフ を お送りできること必至!


深刻な悩みや問題に振り回される心配はもうありません! あなたこそが この世の カミ !




Yes  or  No

239以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/05(日) 23:53:10 ID:xvh/q99o



⇒ 現状を 維持しますか ?


 警告:実に愚かしい選択項目だと思われます。非常に推奨できません。


どう足掻いても絶望の未来を免れません。あなたは 極度のマゾヒスティックの持ち主でしょうか?


ガソリンの味を知りたい気持ち悪いぐらい変態でどうしようもないあなたに捧げる唯一の選択肢であることに違いありません。


< memento mori >



Yes  or  No

240以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 08:23:48 ID:IHPFj6J2
memento moriか…
カミENDならおそらくリセットがセーブ消去だろうし、男さんはどちらを選ぶのだろうか

241以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 09:48:01 ID:QAa3022.
ゾクゾクする

242以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 19:11:10 ID:EzUQHzok
memento moriって死を忘れるなという意味のほかに、今を楽しめという意味もある

243以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 20:01:45 ID:c/tiJbOQ



⇒ 本当に これで よろしいですか ?



   『 Yes 』



⇒ 二度と 繰り返されません。あなたの 選択は これで よろしいですか?



   『 Yes 』



⇒ 受諾されました。

244以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 20:38:37 ID:c/tiJbOQ
天使(――――ゴゴ、ゴゴゴゴ、地鳴りにも似た音が全身を震わせました。一度や二度じゃ収まらず、音は唸り続けて、それは まるで悲鳴のような)

名無し「そら、直に限界がくるぞ」

天使「はぁ?」

名無し「分からないのか、と言っても お子様には関係無いかもしれないな。無限は創造できる物じゃない」

名無し「この世界の管理者である主が耐えられなくなったのさ。飽きるぐらい時の流れに逆らい続けてもみろ、神すら狂う」

天使「サッパリ何言いてーのかなんですが! そのカッコつけた言い回し疲れねーんですか、おえっ!」

名無し「無意識だろうが神殺しに近い行いに奴は手を染めていたわけだ。……その神は大層お前のオヤジをお気に召しているぞ」

天使(男くんの事を? コイツの言う『神』とは、元主を? いや、そうじゃないんだとすぐに思い知る)

名無し「やー、お子様を散歩に連れて来た意味 見せてやろうか?」

天使(ここは男くんたちが毎日通っているガッコーなる場所。名無しは自分の頭を鷲掴むと 無理矢理壁から その光景を見せつけた)

天使「……男くんは、どーしてあんなに苦しんでるんですか!?」

名無し「そりゃあ苦しみもするだろう。アイツはここへは何の為に存在する? ただ自分が良い思いをしたかったからだぞ」

名無し「理想が叶う筈であろう場所で、地べた這いずって苦汁を啜るのが望みだと思えるか?」

天使「し、知りませんよ!! 大体悪いのはお前が男くんに変な事をしたのが原因じゃねーですか!!」

名無し「勿論。でも オレは最後まで主の意思に基づいた行動しか取っちゃいないんだぜ、恨むなよ」

245以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 21:19:18 ID:c/tiJbOQ
天使(この男を恨むのがお門違い? 戯言に頭が割れる程 怒りを覚えた。ならばあの人の痛みは誰が齎したのか)

名無し「簡単だろう。全部アイツが自分で勘違いした道を走り続けたからこその始末じゃないか」

天使「あぁん!?」

名無し「自業自得とでも言えば、納得してもらえるか? そもそもお前と出会った時点で奴は裏側に片足を突っ込んだんだぞ」

名無し「覗く必要もなかった月の裏側だ。常人が知る余地もないブラックボックスを抉じ開けたからこそ……矛盾が生じた」

天使(その意味とは、幸福を追求せざるを得ない状況を蹴ってまで未知を追ったあの人が証明となるのだろう)

天使(男くんは終始色惚けているべきだったのだ。己を取り巻く環境に疑問を感じず、祭り上げられ、理想を胸に死ぬべきであった)

名無し「何の為に施した『難聴』なんて仕掛けだ? アレの過去を反映した産物なんて神の苦しい言い訳に過ぎない」

名無し「あえて 遠ざける為に用いた処置だろうが。……それを、あの女が壊したことで 神を揺らがせてしまった」

天使「違う……そんなの……」

名無し「理想は理想であるからこそ尊くて、夢見がちになれるな。いいか? もう後戻りできないぞ」

名無し「オレも お前も、他の連中だって同じだ。みんな巻き込まれた。……姉さんは奴を排除することで維持を狙ったが」

名無し「どう足掻いても遅すぎる……よく見ろよ、ガキ。お前のオヤジが世界の行く末を決める選択者であることを」

天使「う、あ……」

天使(世界がもう持たない。その限界が訪れた。私の小さな掌に ノイズが走る。世界共々に消去されるのだ、と)

246以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/06(月) 22:07:52 ID:c/tiJbOQ
名無し「……オレたちが存在できるのはこの場所だけらしい。奴が次に否定すれば、二度と修復される事なく全員仲良く無になる」

天使「……」

名無し「オレはそれを心から望んでいた、主の意思から男の記憶を際限なく削って復旧を願っていなかったワケでもないが」

名無し「あの時 姉さんがこれ以上奴に余計な事をして、何かしでかしてしまう前に消してやれたら……あんなに感情的になったのは初めてだ……」

名無し「主と決別できた事で、怖いと思えた……感情だ、オレが憎悪の次に覚えた感情は恐怖だった……」

名無し「……なぁ、オレは破滅願望なんてくだらないと考えている。消えたくない」

天使(震える体を自らさすって恐怖を静めようとした名無し。飄々とした態度の化けの皮が剥げれば、やはり人間を模倣した何か)

天使「――――自分は、私は、破滅とか難しいことわかりません。だけど 男くんがこのまま苦しいよ、苦しいよ、と悶え続けるのなら」

天使「二度と、全部無かったことにできないのなら……」

天使「ここから あの人を 追放してやりたいと思うのです!!」

名無し「……ダメだ、話にならない。自分が言った意味を理解しているのか? 糞ガキめ」

名無し「アイツがいない世界に存在意義なんて一片も無くなるぞ。つまり オレたちは用無し、消えるんだ」

天使「消えねーです。ううん、たぶん生き続けられると思うのですよ」

天使「男くんの中で……こんな不確かな箱庭で一日一日を送るより、ずっと有意義に代わるんじゃないかな」

天使(儚いよりも意味のある足跡を残す方法、お父さんを生かして帰すのです)

247以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/13(月) 19:55:21 ID:1pJLe.cw
報告、PCちゃん死亡PCちゃん死亡
しばらくお休みなさいします……うぅ

248以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/13(月) 22:33:00 ID:8UglLi5Q
こんな良いところで殺生な…
でも何年も追っかけて来た身としては今更数十日開いたところで誤差の範疇なので復帰楽しみに待ってます!

249以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/13(月) 23:00:46 ID:Doy8CNzI
データ削除されたのは他でもない作者だった

250以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/16(木) 22:30:17 ID:N6QWSS8k
ちゃんと完結するなら俺がパソコン買って送るけど?

251以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/17(金) 01:37:32 ID:N6CqXxFc
PC南無……
完結に向かっていること自体は明らかだな

252以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/19(日) 20:17:25 ID:lltc2Qzo
男(ーーーー閉じた瞼をおもむろに開き、急かす事もしなければ 沈黙を保ったままの彼女へ眼差しを向けた。実直に)

オカルト研「心が決まったみたいね」

オカルト研「こんなに綺麗な瞳をしている。きっと後悔も生まないわ、私が保証する」

男「・・・・・・なぁ、お前は何者なんだ? とか尋ねるのは野暮かもしれないな。それに俺もせっかく決めた覚悟を揺らがせたくないし」

男「チッポケだとからかわれても、アホだと罵倒されようと、この気持ちに嘘はない。俺のやり方は最初からいつだって」

男「妥協しない、なんて」

オカルト研「そう・・・・・・じゃあ諦めない不屈の精神の持ち主くんは、これから何をしてくれる?」

男「文化祭の準備に戻るんだよ。あー、ダルいダルい。どうせまたクラスの奴らか文句言われるんだろうな・・・・・・」

オカルト研「[ピーーーーーー]」

男「おい、何やってるんだ? オカルト研もさっさと後ろ着いてこい」

オカルト研「えっ? ・・・・・・この私を連れて一体どうしようと、まさかエロスをたっぷり醸し出すサバトの儀式的な行為を」

男「相変わらず妄想振り切ってるな、お前」

男「違うだろ。アイツらに謝りたいと申し出たのは誰だった? みんな心配してたんだ、お土産代わりに良い面見せて来い」

オカルト研「男くん、私は・・・・・・」

男「俺の前に無防備で現れたのが運の尽きだったな、大人しく観念してもらおうかね?」

253以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/19(日) 21:06:57 ID:lltc2Qzo
男(待ちに待った文化祭を目前にと浮き足だったモブたち、目に悪い色した手作り感満載の装飾が校内を延々と飾る。そんな中を堂々歩ける)

男(個人が想像する至高の幸せとは何か。今更テーマを立てて悩んでみるのは煩わしいが、俺はいま胸を張って歩いている。『気持ちが良い』じゃないか)

男(楽しいが渦巻く世界の中、こんな小さな喜びを見出だせたことに余裕を感じさせた。最近はノイズでしかなかったモブ生徒が起こす騒音も軽快に思え、ここにいるリアリティを無償で与えてくれている)

男「恵まれてまだ求めるのって貪欲な自分カッケーの演出気取りだったが、所詮 甘えだな」

オカルト研「それ、私に言ったの?」

男「バカめ、俺がいきなり失礼を吹っ掛ける奴か? そうじゃない。自分自身に言い聞かせたくなっただけだ、気分で」

男「・・・・・・なぁ、オカルト研。俺色々悩んだよ。悩んで悩んで、悩みきって、答えも見つけられないまま空気みたいに流されっぱなしだった」

男「どうせ上手く決着つけられるって無理矢理自分に言い聞かせてな、トラブルを先延ばしさせて・・・・・・とりあえずこの場所に執着できていれば、それで良かったんだって」

男「終わりさえ迎えなければ、十分なんじゃないかって」

オカルト研「・・・・・・終わり。生を全うする者 誰しも自らの終わりなんて想像したくないわ」

オカルト研「死って人生のゴールだもの。自分が上手くいってる時には敬遠したくもなる。無に帰るのだから」

男「俺・・・・・・実はまだまだやりたい事あるかもな、って・・・・・・!!」

男「ここでも、ここじゃない別の場所でも、心残りみたいな・・・・・・・・・・・・すまん。もう行こう」

オカルト研「気にしないで欲しい。私はやっと男くんの本音を聞けて嬉しいのだから」

オカルト研「気にすること、全然ないわ」

254以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/19(日) 21:42:49 ID:lltc2Qzo
男「散歩してたら偶然拾ったから連れて来てみた。俺たちが作った芝居に興味あるらしい」

男の娘「ぞ、って何他人事みたいに言っちゃってるのさ 男!?」

男(当然と言えば当然の反応である。男の娘と転校生は俺の背中に隠れるオカルト研を見て目を丸くさせまくりんぐ)

男の娘「オカルト研さんなんだよっ!? どど、どうして・・・・・・!!」

転校生「説明して。適当にはぐらかそうとしたって私たち納得できないわ、男」

男(俺とて、偶然、は間違った事を言ったワケではないというに。あーだ こーだと言い訳を模索していた所、オカルト研が)

オカルト研「退学する前に一目かつてのお供たちを見ておきたかったと何故察しない?」

男「は」

男(思考停止へ追い込みを掛けてくる発言であった。俺が頭を抱える中、他の二人は受け止めきれないと 背後の彼女へ飛び付くのである)

転校生「ま、前々からどうかしてるって思ってたけど、どうかしてる!! バカじゃないの!?」

男の娘「そうだよぉ! 嵐どころのレベルじゃないっ、荒らしだよ オカルト研さん!? どうしたの!」

男「お、おい・・・・・・今のは俺も初耳なんだが」

オカルト研「ごめんなさい。だけれど他に償いの仕方が思い付かなかった」

男「償いだ!? ふざけるな! そもそもの原因はーーーーーー・・・・・・あっ」

男(この場の転校生はともかく、すべて名無しに責任があると謳ったとして 誰が 信じる材料と汲み取れるだろうか)

255以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/19(日) 22:23:02 ID:lltc2Qzo
オカルト研「別に、引き留められたいと考えてわざわざ忌まわしい地に再び訪れたんじゃない」

オカルト研「私はここへ今日決別をしに来ただけ。二度と会う事はないわ、その他大勢さん」

転校生「待ちなさいよ・・・・・・あんた、あんなに大好きだった部活も捨てるの? 逃げるの!? 自分がやらかした事から!?」

男「転校生! 違うよな、オカルト研。照れ隠しのつもりでつい余計に口滑らせちまっただけだよなっ?」

オカルト研「元々、父から財閥の後継に指名されていた。この学舎では学べる範囲が狭すぎる」

オカルト研「色々あなたたちには迷惑をかけたわ。何もかも父への反発心が起こした私の迷い、どうかしていた」

男「どうかしてるのはお前の方だぞ、オカルト研!! (これで良い。不意に交わった彼女の瞳は訴えていた。まるで俺の動揺すら計算尽くで、読み通りなのだと)」

男(・・・・・・オカルト研、彼女が再復帰するには状況が悪化を辿る一方であった。故に身を引く選択)

男の娘「こんなの絶対おかしいよ。変だよ。僕たち分かり合う前にお別れしなくちゃいけないの? 何でだよ・・・・・・」

オカルト研「愚問だわ。なるべくしてなった、勝手に私を友情ごっこの駒の一つにしないで」

転校生「うそよ、寂しいだけじゃない・・・・・・そんなの」

オカルト研「・・・・・・・・・・・・わ、私、は」

オカルト研「これ以上、耐え切れそうにないから」

男の娘「え? ご、ごめん、いま何て言ったの? よく聞こえ」

オカルト研「ーーーーーー男くん あとは任せるわ」

256以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/19(日) 22:26:46 ID:lltc2Qzo
ここまで
ヤケクソでPS4使って書いてみたがどうだろう?何か問題あれば教えてくんさい

257以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/22(水) 20:56:16 ID:nzo79Trk
男(捨て台詞を最後、オカルト研は走り去るでもなく、二人から隠れるようにこの情けない背中の裏ですっかり小さくなり、額を当て俯くのだ)

男(そうか、ならば『任せる』の意味は。男の仕事の八割は決断であり、残りはおまけみたいな物だと誰かが言っていたのは記憶に新しい・・・・・・一本筋、通させて頂く)

男「少なくとも俺は反対派だからな、オカルト研」

男「俺だけじゃないぜ。他の奴らだってお前がここから去って行くのを黙って見送ったりしない。そうだろ?」

転校生「当たり前よ・・・・・・いつでも人を強引に振り回しておきながら、こんなのってズルいんだから」

転校生「しっかり私たちと向き合ってよ、オカルト研さん。じゃなきゃ一生恨んでやるわ!」

男の娘「うわっ、さ、サラッと怖いこと言わないで! でも僕も男や転校生と同じ意見。僕ら、まったく知らない仲ってわけじゃないんだもん」

男の娘「うーー、あぁ〜〜じ、実は正直苦手なタイプだと感じてたけどさ!! それでも僕 オカルト研さんとの付き合い方、段々わかってきた気がするんだ! え、えへへ」

転校生「ねぇ、私たちと友達でいるのは不満? オカルト研さん」

男「・・・・・・この質問ばかりは、俺任せにも無理があるんじゃないか?」

オカルト研「・・・・・・怖いわ」

男(震えた息とともに吐き出された短い言葉、どれほどの感情が凝縮されていたのだろう。俺という盾を通し、彼女は囁くように続けるのだ)

オカルト研「昔話よ、つまらないけれど。私に友人と呼べる人は少なかった。少なかったけれど、それでも満足はしていたの」

オカルト研「でも、結局アイツら。愚かしいわね、気づいた時にはもう遅い。私は体良く扱われる便利なATM代わりでしかなくなっていた」

男の娘「そんな・・・・・・」

258以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/22(水) 22:21:30 ID:nzo79Trk
オカルト研「家が何? お金持ちの生まれだから? 違う、人から肯定されたいと願った私の弱さが唯一の原因」

オカルト研「自分が生まれ持った特別を利用して勝手に孤独に成り果てたのは、この私」

男(タカられた過去があると話には聞いていたが、彼女は他人よりも自己の否定に基づいた思想感に囚われていた。俺が見る美少女の中ではトップクラスの危うさを誇っているだろうか)

オカルト研「寄り添おうとする事こそが、悪。肩を寄せ合おうとすればするほどに、私の中にある穢れは増していってしまう」

転校生「それじゃあ部活にわざわざいる理由がわからないわ。現に交流深めてたじゃない・・・・・・矛盾してる」

オカルト研「ふフ、彼らが持ってる趣味へ対する熱意は純粋で本物よ。利害の一致がもたらしてくれた関係は、こんな私にとって居心地が良い」

オカルト研「・・・・・・だけれど、あなたに。男くんに出会ったわ。男くんは好き、何よりも私自身を見ていてくれる」

男(いつのまにか腰に回された彼女の手が、強く俺を抱きしめていた。何が彼女を惹かせたというのか?ロマン抜きで 主人公補正である)

オカルト研「こんな気持ちは初めてだった。こんなに誰かを[ピーー]おしいと感じたこともなかったもの、夢中に追いかけてた」

オカルト研「追いかければ、追いかけるほど邪魔な小バエが次々沸いて出て・・・・・・あなたたち 私にとって鬱陶しいだけでしかない筈なのに、それなのに」

オカルト研「・・・・・・お、お願い。私にもう優しくしないで」

男の娘「な、何さそれ!?」

オカルト研「っー・・・・・・!」ガタガタ

転校生「・・・・・・怖いのは、私たちとの距離が狭まっていくあなた自身? それとも」

転校生「今を またいつか失ってしまわないか、不安?」

259以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/22(水) 23:20:15 ID:nzo79Trk
男(背後で震えるオカルト研へ転校生が一歩一歩ゆっくりと歩み寄り、遂には膝をついた彼女を優しく包み込む。赤子をあやす慈愛に満ちた母の如く、さながら女神を彷彿させる絵図がここに)

オカルト研「嫌・・・・・・いや・・・・・・!!」

転校生「一人ぼっちになるのが嫌だったね、人と寄り添うのが悪いなんて寂しいこと言わないで。もう大丈夫よ」

男の娘「・・・・・・男、僕はオカルト研さんみたいな難しい考え方できないよ。何だか平凡に暮らしてた自分が間違ってたかなって」

男(それは己を取り巻く環境や性格次第なのではないかと自問自答だ。転校生の胸の中、床へ点々と涙を溢す彼女を見つめ 打ち明けた物語の真意を 噛み砕き、受け止め、俺だけが解釈していた)

男「オカルト研」

転校生「あー バカ変態、お願いだから今だけは余計な声かけないであげて? 話は後で良いじゃない」

男「うるさい止めるな。オカルト研、孤独が恐ろしいんじゃないんだろ。お前は自分の目に写る、何から何まで、尊い物が消えて無くなるところを見届けたくないんだ」

オカルト研「・・・・・・」

男(好意の対象を除けば虫けらのようにあしらうオカルト研。その心は自ら黒歴史を戒めるべく誓って立てた礎が動かした自動防衛本能。本来誰にでも分け隔てなく優しい美少女であった)

男(彼女は、俺の『選択』を知っている。その『選択』によってこの世界が辿り巡る行く末も。彼女は、なし崩しでここまで俺へ着れて来られたわけではなかったのだろう・・・・・・遠からず、この幸の箱庭は)

男(ーーーー彼女はオカルト研として、隣人たちへの決別を伝えようとしている)

オカルト研「[ピーーーーーーーーーーー]」

男「退学の意思は変わらず、か?」

転校生「えっ!?」

260以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/22(水) 23:23:42 ID:nzo79Trk
書いた文章が何度も消えると笑うしかねぇ
ここまで

261以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/23(木) 00:41:04 ID:srHwm4SQ
強く生きろよ。

262以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/23(木) 02:00:20 ID:K85fUI0k
大丈夫だ 貴方ならきっとやれる そう信じていますよ

263以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/23(木) 21:04:44 ID:SISyOUNk
捨てキャラが本当にいないねぇ
素晴らし

264以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/26(日) 16:58:18 ID:u7mh7wlg
男(女子に対して女々しさを説く気はないが、オカルト研は俺や美少女たちから別れを惜しんで貰うつもりは無いのだろう、か)

男(足らぬ頭で推測を立てよう。こうして直接今生の別れを伝えに現れたのは、何も引き止めて貰うことが目的ではなかった。ならば潔く黙って去ればと? 否)

男(自分を押し殺すことが出来なかったそのワケは、今しがた彼女が語ってくれた昔話のヒロインが答えてくれていた。情に薄いと誤解されがちであった、かの美少女が)

男の娘「か、考え直そう! 一時の迷いで止めちゃっても、後悔した時にはもう遅いんだよっ?」

男の娘「僕や男、転校生さん。そ、それから不良女さんだって! オカルト研さんの力になるって約束するから、ねっ!?」

男「どうした? やけに粘るじゃないか (酷い事を思うようで心痛むが、彼の性格上 恋の競争相手が少しでも減るのを喜ぶ場合がある。これすらあざとい演技である・・・・・・と、簡単に嫌な癖は治ってくれないものだ)

男の娘「あ、当たり前だよ!! だってオカルト研さ・・・・・・う、ううん」

男(何、どうしちゃったの 男の娘きゅん。今の意味深く受け取れた妙な間は。性分で突っ込み入れたいが、場をややこしくさせそうな展開が潜んだ予感しかない。つまり、スルー)

転校生「男の娘くんの言う通り、今すぐ決めないで話し合ってからでも遅くはないんじゃない?」

男(なんて、あくまでも右倣えを貫く転校生も転校生だ。彼女らしい振る舞いであると言われてはそこまでだが、恐らく離脱を望むオカルト研の気持ちを知らないワケでもなかろうに)

男(ーーーー創造の物語で不自由なく暮らしていた美少女キャラたち。ある女子は設定を受け入れ 終着までを『変わらない自分』として生きることを誓った)

男(そしてまた、ある女子は 自らを取り巻くもの、メタに疑念を抱き、ほどなく訪れる オワリ を 恐れ、逃走を選んだ)

男(神すらも是非など問える筈がない、だからこそ 最後として、オカルト研は俺へ自身の辿る選択を委ねた。俺からの注文は 否が応でも 通すつもりか、オカルト研)

オカルト研「・・・・・・[ピーーーーー]、[ピーー]」

男「そうだな、わかったよ。オカルト研」

265以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/26(日) 20:27:53 ID:u7mh7wlg
男(そういえば、オカルト研の難聴フィルターは解いていないままだったのだな、と 今更ながら思い浮かべた。しかし、それにも関わらず彼女の言葉を理解できた俺は何だというのだ)

男(ふむ・・・・・・勘違いというオチよりも、今は気休めで構わない。この奇妙な感覚の正体を正当かするならば、そう)

男「(心で、理解した)本当なら俺とお前二人切りの場面で言うべきじゃないかって、少し照れ臭くもあるが、伝えようと思う」

転校生「・・・・・・」

転校生(私の腕の中にあったオカルト研さんが、ゆっくりと離れていく。小さく咳払いした男は、今だけは、と私たちに釘を刺したかのように思えて仕方なかったわ)

転校生(言い渋るアイツの表情は、これまでのどんな時よりも 真っ直ぐで、大人びてたかもしれない)

男「行かないでくれ。寂しすぎる」

オカルト研「・・・・・・」

転校生(あぁ、やっぱり。その言葉を待っていたんだ、って 疑る前に彼女の様子はあるがままを現していた。それでも口許は決して綻ぶ事はなかったけれども)

男「前々からオカルト研には好かれてた自覚もあったんだが、いつも俺が好意に甘えて楽しんでかもしれん。多分何度もやきもきさせてたんじゃないかと思っている」

男「お前がやけに積極的に攻めてくるものだから、俺も素直になれなくて、毎回誤魔化してたことは謝る。悪かった、オカルト研」

オカルト研「気にしないで。私こそ あなたの迷惑も考えず形振り構わないで馴れ合おうとしたわ。[ピッ]、[ピーー]を隠し切れないあまり、に///」

オカルト研「甘えていたのは私も同じ・・・・・・依存してたの。私の中で[ピーー]の存在は日々[ピーーー]なっていってしまうばかり」

オカルト研「たとえコレが報われない[ピー]でも構わない、私が男くんの日常になれたら良いなと願い続けた。・・・・・・そして、頷くわ。行かないでと[ピーー]が望むのならば」

男(俺の真の目的は? ハーレムだ。すべての美少女を集らせて酒池肉林・この世の楽園・欲望を満たすべく行動してきたのだ)

266以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/26(日) 21:17:04 ID:u7mh7wlg
男(では、すべからくこの俺がやるべき事とは。人よ、本能に忠実であれ。野望とは叶えてなんぼ、男の子に生まれたならば)

男「屈服したな? 遂に服従まで誓ったな、お前」

オカルト研「えっ」

男「お前は俺が望むことを正しいと納得して、頷くんだろう (ここに自我なんて物は無くて 意思は意味を持たない無価値と変換される)」

男(決断を他者へ委ねるという行為は、自分を殺すに等しいと俺は好きに解釈している。すなわち彼女は俺に忠実であろうとする人形に成り下がった)

男(好意ある人間の声ならば意思を曲げるのだ、見方を変えれば健気な薄幸美少女。違う、自称薄幸美少女である。その輝きを一気に鈍らせる)

男「都合の良いように振り回されても、俺になら・・・・・・なんて考えるのか?」

オカルト研「わ、私は男くんに任せたかったっ・・・・・・!」

男「昔と変わらないまま 自分から逃げたいだけだろ?」

オカルト研「っー!!」

転校生「こ、このっーーーーーー・・・・・・大事な言葉ぐらい、選びなさいよ」

男(選んだとも。俺は俺の信念を曲げるつもりはないぞ、転校生。誰にだってゲームの進行で攻略する美少女には好みがあるだろうが)

男(何処までも自分に都合が良いキャラクター、大いに結構。だが 何かを言い聞かせるたび不安の色を纏われてちゃ鬱陶しい限りじゃないか)

男「俺は行くなとハッキリ反対したが、どうだろう オカルト研」

男の娘「・・・・・・オカルト研さん」

267以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/26(日) 22:06:16 ID:u7mh7wlg
男(献身を理由に身勝手を許す度量はこの俺にない。気は長いと自称しようと、取って付けたような後付けに揺らぐ優しさも持ち合わせていない)

男(俺の後ろをついてくるならば、好きにしろ。悪いが俺はお前を見ない。理由なんぞたった一つでシンプルである)

男「(お前は選ばれなかった) 今後の付き合いに関しては一切保証する気はない。これが俺から提示するお前が持ち掛けた提案に対する条件」

オカルト研「[ピーーー]・・・・・・」

男「以上、どう思われようと関係ない。俺の日常は俺が選ぶ。そっちはそっちの好きにしろ、俺は好きにしたんだから」

男(これは熱い説教じゃない。ツンデレ染みた訴えであるつもりも、無い。自分が選び、進む道を振り返ったケジメの押し付けである)

男(ここまで来て媚を売る必要があろうか。好感度を気にしてやる事があろうか。美少女ハーレムなんぞ俺の好みでいつでも左右される)

男(ならば すべてを愛し、すべてを繋ぐのが正解ではない。己の欲望に忠実であろうとするあり方こそが筋だ)

男の娘「やっぱり男は・・・・・・ううん、そうじゃない、おかしいよ! 男を頼ったオカルト研さんがあんまりじゃない!!」

オカルト研「男くん、あなたの言い分はきっと間違いじゃないと私は思っている」

男の娘「間違ってるよ!! 素直になっていい事と悪いことだってあるっ、オカルト研さんは」

オカルト研「結局、優しさに甘えようとしていた私が優しさに跳ね返されてしまっただけだった。非情だなんて感じないわ、だって」

オカルト研「男くんは 最後まで 私の本当の声を聞こうとしてくれたんだもの」

転校生「・・・・・・大丈夫?」ギュ

オカルト研「さよならする勇気をもらった。だから、平気」

268以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/26(日) 22:46:22 ID:u7mh7wlg
男(距離は縮まれど、縮まれど、遠いと感じられた出来事もある。俺にとって今日は様々意味を持した格別を与えてくれた、他ならぬ彼女が)

オカルト研「男くん、聞いてくれる? 私やっぱり逃げるわ、自分の意思で。ここで言うのは憚られるけれど どう足掻いても耐えられそうにない」

オカルト研「責めるつもりはない。男くんが選んだことだもの、世界の行く末は最初からあなたの自由。例の悪霊は・・・・・・」

オカルト研「・・・・・・克服したみたい、男くん自身の手で。もうあなたを陰から見守らなくても大丈夫みたい」

男「やれやれ。陰っていうのは何の冗談だ? オカルト研」

オカルト研「ふふ、何だって良い。私はこれからもあなたの幸福を祈っている。だから、どうか最後まで諦めないで欲しい」

オカルト研「どこまでも追い求めて、男くんだけの・・・・・・・・・・・・!」

男「あいよ」

男の娘「・・・・・・文化祭、一緒に楽しみたかった。僕たちもっと長い時間いられたんだ。なのに、こんなの」

オカルト研「じゃあ どうすればキミが満足したのか教えてくれないかしら」

男の娘「そ、そんなのっーーーーーーーーひぅ!?」

転校生「ちょッ!! えぇぇ〜〜〜〜っ!?///」

男の娘「・・・・・・ち、ちゅー・・・・・・され、ちゃった 僕・・・・・・・・・・・・お、男ぉ〜///」

オカルト研「・・・・・・友情表現としては過激すぎた。でも」ペロ

男(男の娘ノンケ説)

269以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/27(月) 20:27:45 ID:6rytKCIk
男(俺はまた一人の美少女を手放した。不穏な空気は丸く収まったように思えても、この事実を受け止めねばならない。泣いても笑っても 彼女の意思を尊重した結果なのだから)

男(オカルト研曰く、これ以上は別れを告げて回るつもりはない、後はこのまま静かに去ろうというのだ。俺たちとの連絡も完全に絶つ、そうだ)

転校生「せめて不良女ちゃんぐらいには最後に顔見せてあげたら? 本気であなたの事心配してたもん。一生懸命探し回ったりしてたわ」

オカルト研「余計なお世、暑苦しい人なのね 彼女」  男の娘「えっ、わざわざ言い直す必要あった!?」

オカルト研「私とはまるで真逆の人よ。不品行であるなら獣らしく動物園でチンパンジーの群れと戯れているのが相応しい」

男「アイツ お前の親の仇か何かかよ」

男「でもな、アイツだって普段から友達だ仲間だと張り切る奴じゃない。どちらかと言えば興味がなければドライな方だと思うんだが?」

オカルト研「・・・・・・そう、そうなの。始めて親近感が沸いたわ」

転校生「ちょっと待ってて! いまここに呼び出すから。すぐに駆け付けてくれると思うわよ」

オカルト研「やめて、頼んでいない」スッ

オカルト研「もう会う必要はないと言った。あとでどう悪く思われようと、お願いだからこのまま行かせて欲しい」

転校生「け、けど、最後のお別れにしたいなら尚更じゃない? 行き過ぎた真似してたとしても私は」

男「別に良いんじゃないか。本人が決めたことだし、俺たちが余計な気を回したところで 何か違うだろう」

男(本音としては、幼馴染にだけは真面目に彼女の前で頭を下げてもらいたかった、が 要らぬことを言うところだったみたいである)

幼馴染『メール本文:さっきオカルト研さんがウチに来てくれたよ。怪我させたこと謝りたかったみたい。高そうなメロン頂いちゃいました〜♪』ピロン

270以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/27(月) 21:21:22 ID:6rytKCIk
男「やれやれ、こういう所ばかりトントン拍子で進む・・・・・・」

男の娘「男 どうしたの?」

男「気にするな、何でもない。おい、学校側にはまだ説明してないんだろ? まさか今日お前だけで済ませようとか考えちゃいないだろうな」

オカルト研「流石にそれは無理。これから家に帰って両親と話し合うわ、決定するまでは相変わらず自宅謹慎で大人しく過ごすつもり」

男の娘「そ、それなら今日をお別れにする事なんてなかったじゃない!? やっぱり気が早すぎるよ!」

男(薄ら目に涙を浮かべて抗議する男の娘を気にかけた、と言うようにオカルト研は寂しげに笑った。順に転校生、そして俺へ視線を写して行き)

オカルト研「名残惜しさに足を掴まれて、最後の瞬間を私は悔やみたくないわ」

転校生「あの、ずっとさっきから言ってる最後が何の事か知らないけど、奇跡とか、起きてくれるかもしれないんじゃない?」

オカルト研「奇跡は何度も起こらないから奇跡。転校生さん、あなたこそ今後の事をよく知ってるはず」

転校生「!! ど、どうしてオカルト研さんが・・・・・・えっ、と」

男の娘「何の話? 転校生さん? 顔、なんだか青くない?」

転校生「気のせいっ!! き、気のせいだからっ、ほら! 私すっごく元気よ! ねっ!?」

オカルト研「彼女の調子も良くないみたいだから、ここまでにしておくべき。貴重な時間を私の為に有り難う」

男の娘「うぅ・・・・・・ほんとうの、本当におしまいなの? またいつか会おうよ。またみんなで一緒に遊びに行こう・・・・・・?」

オカルト研「ええ、そうね」

271以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/27(月) 21:56:59 ID:6rytKCIk
男(小指をおもむろに差し出す男の娘と契るオカルト研。これが約束以上の約定となれたらと切に想う。ハッピーエンドを望むのは傲慢なのか? 神よ)

オカルト研「男くん 外までエスコートしてもらえないかしら」

男「何だよ? 急にお嬢様気取っちゃって。小っ恥ずかしいな」

男(あえて頬を掻いてみせながら手を取れば、前髪の向こうに隠れた可愛い顔がようやく綻んでくれた。まったくやれやれである。俺の方が気持ちを揺らがしてしまいそうになるではないか)

オカルト研「私は男くんから初めてを奪われた、覚えてる?」

男「ぶっっっ!!」

男「い、一体何の話だよ!? 俺がお前の、何!? ハァ!?」

オカルト研「ここ、ファーストキスされてしまった」クスッ

男(いやいや待て、わざわざプリっとした唇をアピールされてもまったく身に覚えがないぞ。いつだ? 記憶よ 甦れ、起きろ不思議なことよ)

オカルト研「ほとんど偶然に近い形だったけれど。男くんからしたら事故かしら」

男「あ、ラッキースケ、ゲホンコホンッ!! そ、そんな事もあったなー・・・・・・」

オカルト研「ふふ、他にも男くんは私の初めてを何度だって奪ったわ。そうね、諸々の責任 どう取って貰えば」

男「お、おい! このタイミングで何をバカなーーーーーーんぐぅ」

男(一瞬の出来事であった。首元のネクタイを掴まれた俺は為す術なく、引き寄せられ、オカルト研の不意打ちにしてやられた)

オカルト研「ん・・・・・・///」

272以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/27(月) 22:35:24 ID:6rytKCIk
男(想像を容易く越える唇の感触に触れ、鼻息は荒ぶる一方、この様な人目につく場所で他の美少女に見つかってはと、未だご健在な働くこのいやしい心。やんわりと彼女を押し返そうとすれども、その力は強く、そして)

オカルト研「っむ、ふ・・・・・・ぁ・・・・・・にゅ///」トロ

男(舌ァ!!)

男(にゅるりにゅるりと穏やかさを破壊する暴力的にも感じられる異物の口内侵入。蹂躙されよと俺の中を漁り、粘膜を擦り合わせてくる。い、息、鼻息、が、ふぉおおおお!?)

オカルト研「っはぁ! はぁー、はぁ・・・・・・ここまで、よ・・・・・・///」

男「あ、あっ・・・・・・!!」

オカルト研「責任を取ってもらう代わりに堪能させてもらった」

男(言い返す気力を起こすより先に、壁へ背を付いたまま俺はズルズル床へとへたり込んだ。見上げれば色気を感じさせるほど赤く上気させたオカルト研が、唇を一舐めし 恍惚とさせていたのだ)

オカルト研「ごちそうさま、男くん」

男「じゃ、ねーよ!! するならするって事前に教えてからやれっ! 言われても困ったけれども!!」

オカルト研「ごめんなさい。だけど、これで唯一の心残りをやっと晴らすことができた」

男(言い終えるとオカルト研は俺に近寄り、手の中にリボンの付いた包装紙に包まれた何かを持たせてきた。尋ねてみると)

オカルト研「あの目付きが悪いお節介焼きに渡して。言い残すことは何もない、けれど」

オカルト研「・・・・・・立てる? 男くん」ス

男「誰のせいで腰抜けたと思ってるんだ、っと!」ググッ

273以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/27(月) 23:24:55 ID:6rytKCIk
オカルト研「さぁ、ここを抜けたら本当のお別れ。見慣れた学校の中も男子トイレも今は狂おしいほど素敵に思えたわ」

男「男子トイレに感動を覚えるのは台無しすぎるだろ」

男「やれやれ、なぁ オカルト研。お前みたいな変わり者はこの先二度と拝めないんだろうな」

オカルト研「当たり前よ、私は唯一無二の存在なのだから。そんな私をあなたは最後まで手中に収めなかった」

男(・・・・・・ダメだ、堪えろ俺)

オカルト研「さっきの気が晴れたって言ったこと、ウソなんかじゃないの。あなたの思い出になれた気がしたから」

男「バカだなぁ、あんな激しい事されなくても簡単に忘れられるようなキャラしてないんだよ。オカルト研って奴は」

男「いつもお前は俺の予想斜め上を行くことばかりやりやがる。だから、本っ当に 特別な、変わり者だ、マジで」

オカルト研「気に入ってもらえてて私も良かった、フフ」

オカルト研「ここを出たら私何があっても振り向くつもりないわ・・・・・・もう男くんの顔を見ない」

男「あ、ああ、そうか。その方がいいぞ! こんなブサイク面はもう御免だろう。それに」

男「振り向いたらもっと酷いブサイクな面してるだろうから、もう 見ない方がお前の為だ! ほら、行け・・・・・・!」

男(この手が繋いでいた時間は、切り離された。躊躇いを気づかせそうな彼女の足取りは、次第に前へ前へと別離の一歩へ変わって行った。これで)

オカルト研「・・・・・・ばいばい、私の[大好きな男くん]」

⇒ 美少女 オカルト研 が 攻略対象から 外れました。

274以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/28(火) 07:33:11 ID:VOBqBZ0I
マジか…

275以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/29(水) 01:22:57 ID:i7wwzdXU
この展開は...

276以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/29(水) 23:01:46 ID:hLnie1pU
せつない

277以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/30(木) 16:51:38 ID:QX58wIms
文化祭でガチ終わりか!?オカルト研いい子やったなぁ…

278以下、名無しが深夜にお送りします:2017/03/30(木) 23:16:26 ID:4jDLpAus
オカルト研、何者であったのか……

279以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/01(土) 23:29:10 ID:JIBq50dw
なんや…

280以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/02(日) 22:29:47 ID:mt.p2Yj6
(記録:人間である証明とは何か?)

(感情。他者及び物事等、周囲へ対して抱く意識の動きとする。人の情とは天候のように気まぐれであり、環境や生まれ育ちに左右されるとする)

(犬猫と人間、動物としての彼らを分けるとするならば、感情の有無とする。個体別による思考パターンをここでは考慮しない)

(人間。目下に広がる肥えた下界を我が物顔で闊歩する、その数の多さから生物として非常に成功した部類である。多い、人間は溢れている)

(人間は成長過程において、恋を知る。後世へ彼らの血を残していく為に名付けられた、生殖活動を正当化させた名称とする)

(数多の生物同士の中で、雄と雌が出会い、生殖のパートナーを組む。では、動物である本能に従うことが特定の何者かを選択させるのか?)


【ーー後述:仮説。人間の恋とは、自らが持つ感情に大きく作用される】


(主の命によって再び人間の雄の監視 及び 仮特殊型オトシゴによる業務遂行の手助けを任命された。今回のテーマは“恋愛”である)

(例に従い、偽装世界へ暫時身を置く。両対象への接触行動は回避が望ましいと判断・・・・・・疑問。我々の身体は何故人間に類似しているのか?)

(彼らと寄り添う為にとは想像し難い。この身体を偽りであり私とする器へ選択したのは、他でもない主である)

(模した身体に宿れど、人間では無い。我々は、何者になることを許されない不確かな存在とする。ならば、この器に意味はありえないのか?)

(意味・・・・・・。我々とは・・・・・・)

(人ならざるモノは、永遠に感情を理解することは不可能か?)

(人間に倣い、ここに手記を残す。しかしながら、あえて他媒体へ記録する行為に無駄を思う)

281以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/02(日) 23:15:30 ID:mt.p2Yj6
名無し「ーー寂しい背中じゃないか。お前にはあの女を追い掛けて抱きしめる権利があるよ?」

男「・・・・・・人の恋路を盗み見られてたまるものか」

名無し「やー、オレの目はついお前ばっかり追っちゃうんだなぁ。何処にいても」

男(哀愁の余韻も最中、土足で踏み込んできた奴がいる。下駄箱付近なだけに、とか 寒い事考えもしたが)

名無し「オイオイ、嫌な顔しないでくれ! オレは男を慰めに来たんだぜ? 気分どう?」

男「最悪に決まってるだろ。一々訊かないとわからないのか、残念だな」

男(コイツには俺を癒せやしない、否、俺が徹底して癒させないのだ。名無しも俺が挑発に乗って食って掛かるのを想定したような素振りだ)

名無し「じゃあ、あの女がどうして正気に戻ったかの話をしよう。気になってたんだろ? 慰め代わりになる」

男「いや、去った後となればどうでも良い。少なくとも決別しようとしたオカルト研の意思が偽物じゃないって事は」

名無し「黙って聞けよ、死に損ないの屑。死ね」

男(本性を暴いてから発言が辛辣に変動しすぎだろう。が、仮面が剥げた剥げていないの状態の区別がしやすくはある)

男「後輩にやられた時にお前の洗脳能力みたいな不思議パワーが解けたんじゃないか? ありがちだけど」

名無し「だから、静かにオレの話を便所の穴みたいな口塞いで聞けよ。死ね・・・・・・」

男「だから、口悪いって」

名無し「死ね」  男「すまん。条件反射で突っ込みたくなるんだ」

282以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/03(月) 00:03:42 ID:uUZ9M9us
名無し「前にも話したが、アイツらはお前が失った過去同様にその記憶を受け継がないまったく新しい別物だ」

名無し「洗脳、どうこうは置いておくとして、オレの支配下から仮に逃れたとしても」

男(これまで俺たちと築き上げてきた思い出が甦る事はありえない、らしい。これを凄まじい奇跡だと熱く語ろうとすれば、名無しは苦虫を噛み潰したかの如しよ)

名無し「奇跡は低脳な人間様が思い付く都合の良い解釈だな。オレたち側からすれば、一種のバグだ」

男「だったら早急な対処を、とか提案しても無駄だって言い返すのか? 名無し」

名無し「そうだ。いいか? 死神が介入している線は、もうあり得ない。アイツはこことの干渉を完全に拒まれた」

男(誰に? 察することもなく、あのテンプラという機械仕掛けの神によってであろう。やれやれじゃないか)

男(何が、奴は、デウスエクスマキナ様だろうか? テンプラ自身が都合の良い終幕をこの場所から追放したのだから)

名無し「オレが残された時間でやるべき事は対処でも対応でもなく、原因の追求だ」

名無し「この世界がもしシナリオ通り消滅して、オレもお前も跡形もなく消えたとしても、死神は同じ“救済ごっこ”を繰り返す」

名無し「なら、その後に関わりかねない不具合の報告と原因を報告してやらないプロテクトはいないだろう?」

男「プロテクト? どうして自分の主でもないあの神に、何でお前が媚びる必要があるんだ・・・・・・っ?」

名無し「証明」  男「へ?」

名無し「名無しが存在した証明、その爪痕を残すには悪くない仕事を見つけただけだって。わからないのか? 汚物まみれのゾンビ野郎」

男(いきなりブ男からゾンビにランクダウンとは思わなんだ)

283<削除>:<削除>
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284以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/03(月) 21:19:51 ID:uUZ9M9us
名無し「その不細工な顔ぶら下げてりゃ、ある意味生物災害、か」

男「おい!! ひ、人を追い払うにも言葉を選べ、言葉を!!」

名無し「・・・・・・気持ち悪いノリだなぁ〜、どうしてオレに着いてくるんだ? まだ話の続きが聞きたいか」

男「急に自分の話を振るだけ振ってサヨナラ噛ます奴が何処にいる? この俺を慰める気分とやらは?」

名無し「始めからお前みたいのに持ち合わせてるワケないだろ。コイツ脳細胞死んでるぜー、ご愁傷さまですにゃあ」

男(人をコケにするのが生き甲斐みたいな嫌味たらしい嘲笑だ。俺とて貴重な時間を美少女以外に割くのは苦痛だというに)

男「待ってくれ、名無し。俺はお前のご主人について話がしたいだけだぞ」

名無し「元っしょ? アレは今も一目惚れしたヒーローに没頭したまま。今度はそいつと一つになりたがって、重症患者だな」

男「知って、たのか?」

男「アレが、テンプラが俺にとんでもない話を持ち掛けてきた事・・・・・・い、いや、見たのか」

名無し「さぁ、ベテラン美少女ハンターの男くんはどんな手を使って神様を攻略してくれるのか、見物ですナ」

男「頼むから最低限人の形したのを用意してくれ」

男(テンプラのあの醜さでは文字通り腐ってもラスボスであり、美とは程遠い。そしてだ、テンプラとの接触こそ名無しが部屋から出た理由ではと睨んでいたが)

男「やっぱり、見てたんだな お前・・・・・・だけどな、俺は!」

名無し「厄介者払いが散々ここで良い思いをしてきた奴がやることか?」

285以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/03(月) 22:02:41 ID:uUZ9M9us
男(名無しの台詞に、某有名死神代行漫画チックに驚愕を込めた一言を、呟くより先に彼は続けた)

名無し「退治するのか? 誰よりもお前を歓迎して迎え入れた、祝福してくれた恩人を?」

男「いや・・・・・・」

名無し「誰のお陰であれだけ醜く朽ちられたと思っている? 他人事だと思い込んだまま自分が被害者だって主張したいんだな、男は?」

男「名無し、落ち着いてくれ。俺は」

名無し「ラスボスだ? 逆上せてるじゃないか、まだ自分を世界の救世主か何かと勘違いしてるのか?」

名無し「気が付いてないなら、オレが親切に教えてやるよ。お前自身が破滅の魔王だ」

男「・・・・・・そんな大それた称号、勘弁してくれ」

名無し「裏事情を知らなかっただなんて今更自己弁護したって遅いよなぁ!? お前、全部知り尽くしたんだから!!」

名無し「知らなくて良いことに頭突っ込んで来て、挙げ句の果てに赤の他人に干渉して滅茶苦茶に弄くり回して、踏みにじって、貪って!!」

名無し「テメェの独り善がりがこの有り様を作った結果だなッ!! あぁ!?」

男「そう・・・・・・すまん、返す言葉もない。認める事で責任を負えるのなら」

名無し「本気で責任取れるのかよ!?」

男「取れ、ません・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」

男「・・・・・・ごめんなさい」

286以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/03(月) 23:01:44 ID:uUZ9M9us
男(胸ぐらを掴まれてディープなキッスをされた後は、胸ぐらを掴まれて顔中に唾を飛ばされ 怒鳴られる。どちらにせよ、戸惑う)

男(きっと端から見ても情けない姿だったと認識はありつつも、全ての被害者代表に見立て名無しへ平謝る俺だった。プライドなどここにあってならない)

男「・・・・・・協力、して欲しいんだ」

名無し「何に? オレがお前を心底憎んでいた事を知りながら、それでもすがり付くのか!! 大した度胸だっ、死ね!!」

男「恥知らずで構わない! ここまでやったら我を通す覚悟がこの俺にはある、だから!」

男「俺を■■■■欲しい!」

男「他でもない、この俺を本気で憎んで恨み続けた名無しの手で。・・・・・・■して欲しいんだ」

男「■■■を、奪ってくれ。なぁ 親友、最初で最後に俺からお前へのワガママ、聞いてくれないか」

男「この世界が、全員が“幸福”に救われる正真正銘最後の駄策を!」

名無し「・・・・・・やー、その全員の中にお前は含まれているんだな。とんでもない」

名無し「どう足掻いてもお前の独り善がりだったな、糞虫。救いようない鈍感バカだ、周りの声も届いていない」

男「俺は、妥協だけは絶対しない。破滅の魔王? 上等じゃないか」

男「強欲の限りを尽くす魔王に相応しいハッピーエンド、そいつへ引導を渡すのは」

名無し「おい、美少女のハーレムはどうした?」

男「大事な彼女がいる」

287以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/04(火) 21:26:27 ID:sIVWFU3.
男の頑張りが半端じゃない

288以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/06(木) 03:25:05 ID:EPlLWMc.
そこら辺のラノベより数十倍面白いわ

289以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/06(木) 22:56:12 ID:FhmEjJc6
>>280
後輩の記録でいいんだよね?

290以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/09(日) 22:22:30 ID:OkaohEok
「事故なんだってー」  

「わーっ、酷い。車グッチャグチャじゃない?」  「あれじゃあ乗っていた人の方がヤバい」

「誰か引かれたのかな」  「ほら見て あそこ、血の跡とか」

「・・・・・・凄惨ですよね。いつもの通勤通学路があっという間に異次元空間に早変わり、みたいな」

「同じ時間、同じ場所での同時事故ですよ。向こうの車の自損事故はまだ分かるとして、片や・・・・・・まるで狙い澄ました様な物でしょう」

「衝突した衝撃でベランダの縁に置かれた鉢植えが落下、それが、なんかじゃあ報われませんがね。あの子も」

「口を閉じろ、重体患者の前じゃないか。搬送先はどうなってる? やっぱり、損傷具合が芳しくない。ご親族には?」

「はい、全て済ませております」

『大学病院へ向かいます。病院側は直に迎え入れ準備 お願いします、これより到着予定時刻は・・・・・・』

「あぁ、副士長さん。彼って高校生ですよね? 制服何か見覚えあるなと思ったら、甥っ子が通ってる学校のだ」

「もう良いだろう? さっさとその口閉じて黙っていろ、何年目の仕事だ。気が抜けてるぞ」

「あの、お言葉ですが、副士長さん」

「ご具合が悪いのでしたら、私 代わります。いえ、すぐ代わってください。様子が変です」

「・・・・・・娘の、彼氏だ」

「は?」

291以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/09(日) 23:18:54 ID:OkaohEok
「娘が、あの子が、初めて誰かを連れて来たんだ。後ろ姿ぐらいしかろくに見ちゃいなかったが」

「私には分かるぞ。・・・・・・あの時の。・・・・・・あー 私情は、持ち込みたくないなぁ」

「副士長さん、他でもない娘さんの為にも、彼自身の為にも我々が出来る事を尽くしましょう。きっと間違いありませんよ」

「娘、私の娘か。恥ずかしい限りだよ。何にせよ私はあの子と」

「・・・・・・君の言う通りだ、せめて責任を果たさなくては。職務を全うする事でしか私は、彼女へ、会わす顔がないのだから」

「サイレン鳴らします。急ぎましょう」





ニュースキャスター『次のニュースです。某日未明、○○県××市内で多発事故が発生しました』

通行人インタビュー『うわ、なんか車(事故者)フラフラしてるなぁ〜と思ったら信号無視して。電柱にドーンッ!! って・・・・・・』

通行人インタビュー2『音ですよね。大きい音してビックリして振り返ったら煙上げてる車が、えー、怖くなっちゃって』

通行人インタビュー3『声とか出ませんでしたよ。運転してる人、皆無事なのかって心配してたと思います』

ニュースキャスター『車を運転していた○×高等学校所属教師[ピーー]さん(38歳)は死亡。同○×高等学校の生徒、男さん(17歳)は重体の模様です』

ニュースキャスター『警察は、教師[ピーー]さんに関し、死体解剖による・・・・・・』

ニュースキャスター『さぁ、今日のあなたの運勢は? 占いランキングぅぅ〜♪』

292以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/10(月) 21:05:33 ID:6vCtUKXg
不良女「ーーーーな、なぁ、あたしに用事って何だよ? や、やんのかコラぁー!?」

男「どうしてケンカ腰だ。まぁ、こんな所に呼び出して悪かったな」

不良女「別にっ!! ぜ、全然、気にしてたりとか・・・・・・おい、まさか[ピーーーーーー]///」

男(先ほどの詫びには紛らわしい真似をしてしまっての意味を含ませた。彼女が想定する胸キュンとは真逆を今から突き付けねばならないのだ、人気がある場所は選びたくなかったのでな)

不良女「[ピッ]、[ピーーー]! [ピーーーーーーガーーーーー]!? ・・・・・・ふへ? 何だコレ」

男(皆まで言わず不良女へ握らせたのは、言わずもがなオカルト研から託された品である。中身を確認するような真似までは外道を自負する俺としても、兎にも角にも)

男「俺も知らん、オカルト研からお前に渡してくれって頼まれたんだよ。誕生日おめでとう、不良女」

不良女「いや、三ヶ月も前に迎えてるし。マジであの陰気女があたしにだって? んぅ〜?」

不良女「ネズミの死体、かなぁ」  男「先に好意を受け取ってやれんのか、お前は」

不良女「だ、だって真面目にアイツからこんな物貰える覚えとかねーしっ。何か言ってたんだろ? 隠してないで教えろー、男ぉー」ブンブン

男(包みを縦横左右に振って、中身の音に耳を傾けながら問う不良女。答えても構わんが、その行為は善意となるか、非情となるか。いかん、ただただ苦しい)

男「と、とりあえず! 開けて、みたら良いんじゃないか・・・・・・きっと悪いようにはならないぞ・・・・・・?」

不良女「あ〜もぉ〜、あんたの口振りからして怪しさMAXだから!! 絶対お前らグルであたしハメようって考えてるでショ・・・・・・はいはい」

男「それは違う!! ・・・・・・あっ、じゃなくて、だな? いや、あの」

不良女「はぁ? つーかなぁ、あたしも暇じゃないの。ガキの悪戯に構ってられる余裕とかーーーーあ?」

293以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/10(月) 21:53:16 ID:6vCtUKXg
男(プレゼント片手に、おもむろにシャツの内ポケットから携帯電話を取り出すと、通話し始めた。話の様子からアルバイト先とのやり取りだと思われるが)

不良女「あ、ゴメン。何かバイト先で急に病欠出ちゃったから今日代われないか〜って、あたし どうしたら良い?」

男「第一に俺に訊いちゃうのかよ」

不良女「ぶっちゃけ放課後辺りのシフト任されそうだからさぁ、そうなっちゃ部活の方の準備に参加できなくなるだろ。ていうか、今日だとダルいし!」

男「結論自分で出したじゃねーか、お断りの一択じゃない? 貴重な時間を『お弁当温めますか?』で割くのもアホらしいだろ」

不良女「そ、それもそうだけど、困ってるみたいだったしっ!」   男「普通に良い子か貴様」

不良女「じゃあ、あんたがあたしにバイト行く気無くさせること言ってくれ! 考えるから、多分!」

男「アホみたいな無茶振りホント好きだな!? ・・・・・・了解、一言で諦めさせてやろうじゃないか」

男(こうしてノリノリになれる俺がここにある。だが、俺の目的は手渡したプレゼントへ彼女が再度注目してくれる事。戯れもその前座と変わってくれれば)

不良女「おーしっ!! ドカンとかかって来ーい!」クイッ

男「当日先輩さんから悲惨なコスプレさせられたくなかったら、マジで来い。俺 助けられねーから」

不良女「・・・・・・あ、もしもしオーナーぁ」

男(別名:破天荒の異端旋風、色々省略、“天災”美少女の名を出すだけで片付く始末か。実際やりかねんのがあの人の怖いところではあるが、チョロすぎる)

男(しかし、目的へ誘導させるとまでは行っていない説得だ。俺にも意地がある。出来る事なら包みの中身を拝んで、涙涙のイベントを乗り越えたCGを拝みたいではないか)

男「ていうか、開けてみないか。それ」

294以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/10(月) 22:34:10 ID:6vCtUKXg
不良女「え? あのなぁ、別にあんたに関係ないんでしょ、だったら後でゆっくり自分の目で」

男(ご明察、とはいえ俺には彼女がアレを開封してからを見届ける権利があると勝手に主張する。そしてオカルト研の別れを告げるのだ、収拾をつける尤も最適なアクションだ)

男「俺はいない者として気にせず中身を確認してくれ。悪ふざけなんかじゃない、大真面目にだ 不良女」

不良女「ななっ、何なんだよ!? 急にやり辛くしやがって・・・・・・あぁ〜〜、もう!!」

男(と、乱暴な台詞回しと裏腹に彼女は丁寧に包装を解いていく。包みが無くなれば、長方形型の白い箱だった。別段大きくもなければ小さくもなく、それは)

男「・・・・・・何だ?」

不良女「何って、さ? どう見てもコレ」

不良女「ただの小さいノートだよ。これアイツの書いた文字? ね、ね〜、『ねこのみころん』!」

男「『ネクロノミコン』じゃないか? ノートというよりメモ帳だぞ。いや、スケジュール帳? 違いが分からんが、とにかくは」

男(どう見ても明らかに新品の物ではない、使い古したオカルト研その者の所有物だったと思われる。不良女がペラペラと中を拝借する隣で俺も同じく内容を目にする)

不良女「日記っぽくね? あぁ? あかしっくれこーど、ってのは意味不明。何かとりあえず書き留めてみたみたいな?」

男「ああ・・・・・・黙示録。悪霊、それとこの俺の関係?」

不良女「なぁ、やっぱり日記だよ! アイツこんなのに一々色んな事書いて残してたんだな、律儀っつーか、マメな性格してるっつーか・・・・・・!」

不良女「ーーーーあんた、転校生といつから付き合ってたの!?」

男「は?」

295以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/10(月) 23:13:22 ID:6vCtUKXg
不良女「だってここに書いてあるんですけど! 『男くん、遂に私へ振り向かず他の泥棒猫へ揺らぐの巻』 ・・・・・・はぁ!?」

男「それはこっちの台詞だっ、何なんだここに書かれてある事!! お、俺は知らない! 一体何だコレ!?」

男(闇の記録一段に重苦しく称された綴りを読み進める。この俺が、転校生との交際を始め、それを公言して回っていた、と)

男(目が離せなかった。教えてくれ、この記録は何なのだ? 手帳へ悲哀の篭る文章が連なる中、唐突に)

男・不良女「日付、飛んだ?」

不良女「ちょ、ちょっと待って! 書き始めとかいつなんだよ!? 適当に捲ったページだぞ今のって・・・・・・!!」

不良女「・・・・・・あ?」

男(怪訝そうに小さく声を漏らした不良女から手帳を奪い、書き記された日付を確認すれば)

不良女「な、なぁ? あたしらが出会ったのって今年に入ってからだよネ? 何か時系列、っていうの、おかしくね?」

男「さ、最後付近のページの内容を読みたい!! どんな事が書かれてある!?」

不良女「えっ・・・・・・わ、『私の証明』?」

不良女「『最初は夢見と思い込んでいた。だが、時空は確かに歪み、異なった過去を繰り返し続けている』」

不良女「『このネクロノミコンを振り返るたびに、私の中へ覚えのない過去が甦ってくる。かつて崩壊したセカイの悲劇をも。降り注ぐ空の破片が街を壊し、白く染め上げた事も』」

不良女「『観測者であると自惚れるつもりはないが、この現象に説明がつかない・・・・・・。起点、男くん。彼が謎を握る鍵とし、現象“悪霊”の発端であると睨んでいる』」

不良女「『・・・・・・ここ数日の記憶がない。残念ながら、私が異常を来したと思われ』」

296以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/18(火) 21:05:50 ID:/SbDuRuo
不良女「ーーーー何つーか、日記、で良いのかな? コレって」

男(改まった質問である。しかし、どう考えても奇をてらった同人誌の内容としか思えない、オカルト研という人間を知った上でなら尚更に)

不良女「おい、今度こそマジに答えて欲しいんだけど 男はあたしにこんなの渡してどうしたいワケ?」

男「何度も返すが、知らない。お、俺は、アイツがお前にコイツを託した意味も、何も・・・・・・」

男(荒唐無稽な妄想が綴られた記録、である筈と片付けるには気が早い。というか 手離してはならないだろう)

男(『過去』だ、この日記の中には今となっては曖昧でしかなかった確かな記憶が記されているのだ。第三者視点であるが故に多少の見落としはあるとしても)

不良女「ていうか、あの野郎も悪趣味っつーか・・・・・・よくもまぁ自分の好きな[ピーーーーーーーーーーーーーー]」

男「何だ?」

不良女「な、何でもないしっ! それよりあんたが説明できないなら、もう本人に訊くしかないだろ。オカルト研に!」

不良女「今回ばっかしはマジで意味不明なんだって!! いや、いつもだけど!!」

男「・・・・・・・・・・・・なぁ、お前はこれを読んで何か感じられるか」

不良女「はぁ? あ、何だそれ? ・・・・・・具体的に、何を?」

男「少しばかり気になってな。読め、ここの『ネクロノミコンを振り返るたびに、私の中へ覚えのない過去が甦ってくる』って」

男「覚えのない過去は、思い返したりしたか、不良女」

不良女「・・・・・・・・・・・・」

297以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/18(火) 21:46:09 ID:/SbDuRuo
不良女「えっ、いや、全然なんだけど・・・・・・」

男(眉間にシワを寄せて美少女から引かれる気持ちをご存じだろうか、俺はたった今覚えた)

不良女「覚えのない事って、つまり自分の知らない事でしょ? フツー知らないは知らないで通すんじゃねーの?」

男「い、いや、それは!! そうかも、しれない・・・・・・がっ!」

男「興味とか出てこないか!? デジャブとも言えない感覚があなたを襲う、その正体とは何ぞや!?」

不良女「男なぁ〜、そんなのに構ってるほどあたしら暇かよ? もっと時間大切にしよーぜ、な」ポンポン

男「あー、わかった! お前に欠けているのはロマンだなっ、不良女さぁーん!!」

不良女「わああああぁぁ近いちかいっ、顔近い!!/// 汚ねぇー! 唾飛ばすな!?」

男「だって不良女さんよ!!」

不良女「うるせっ! だってもクソもあるかよ! っあぁ〜、もう、あんたのアホは死んでも直んないわ・・・・・・」

不良女「ハァ、とりあえず コイツはあたしが預かっとくから。今度会った時に頭電波子に突っ返しとく」

男「(そうはさせるものか) 実は、さっきのお前の読み聞かせで俺の中にある記憶が思い浮かんだ」

不良女「は?」

男「俺、転校生と付き合っていた気がするんだよ。鮮明とまでいかないが コレに書かれた通りの事をやっていたような」

不良女「あ、あたしをまだからかってるのかよ!?」

298以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/18(火) 22:43:59 ID:/SbDuRuo
男(残念ながら、口から出任せに決まっている。文章を読み上げられようと、日記を手に取ろうが脳みそに電流など走りもせず、記憶が呼び覚まされることもあらず)

男(だが、俺はオカルト研が最後に残した記しを、記録を疑う真似をできない。Q:男くんは転校生と特別な関係にありましたか?)

男「いつも適当に思われていても否定できん、だけどお前にだけは信じてほしい。まだこのプレゼントの意味をわかっちゃいないが・・・・・・」

男「この手帳に書かれた内容は絶対に間違っていたりはしない。不良女、オカルト研もお前にコイツを通して何かを伝えようとしている気がするんだよ、俺は」

不良女「じゃ、じゃあ何なんだよそれ・・・・・・あたしたち今何の話してんだよ?」

男(ーーーー繰り返す。これは実体験による、現在進行における独り善がりでも、一人語りでもない)

男(『  』、彼自身の記録である。)

男「すまん。そいつを貸してくれ、遡ろう」

不良女「な、何でだよ!?」

男「日記だぞ、わざわざくれた意味を俺たちで考えてみよう。こんな物他人に読まれて気持ちがいいワケない」

男「頭から読み直すんだよ、不良女。プレゼントって贈り物だぞ。意味のない贈り物があって堪るか」

不良女「いやっ、もう何か恥ずかしいだろ!? 日記だし!!」

男(日記、彼女の制止を無視して読み進めたページの数々を指でなぞりながら、思念という物を想像してみた。思念って、感情による一種の執着である)

男(執着、欲が、実に欲が現れた読物じゃないか。本当に彼女は俺みたいなのを好いてくれていたのだな、設定通り)

男「あのさ、キルミーベイベー覚えてるだろ?」

299以下、名無しが深夜にお送りします:2017/04/19(水) 04:57:53 ID:8H.aeSos
ワサワサしてきた

300<削除>:<削除>
<削除>


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