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( ω )千年の夢のようです
1
:
◆3sLRFBYImM
:2016/01/19(火) 20:21:37 ID:gSZtJVr60
投下日程が決まり次第、ご報告します
前スレ
>( ^ω^)千年の夢のようです(1スレ目)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1401648478/
( ^ω^)千年の夢のようです(2スレ目)
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1411483057/
まとめサイト様(以下敬称略)
> ブンツンドー
> グレーゾーン
※URLはNGワードが含まれているようなので省略しました
いつもありがとうございます
2
:
名も無きAAのようです
:2016/01/19(火) 20:32:08 ID:XGPwEc9w0
立て乙
web.fc2がNG引っかかるのはhttp://抜けばなんとかなるはずよ
3
:
◆3sLRFBYImM
:2016/01/19(火) 20:41:03 ID:gSZtJVr60
前スレ誤字脱字のご指摘について
>>915
の最初の弟者の台詞に」がない→脱字
>>918
の遮えられぬ→遮られぬ
>>919
の代わり海底→代わりに海底
>>928
のTtips→Tips
>>936
のシュー許可→シューの許可
>>自分に化した→自分に課した
>>953
のれーす→レース
>>954
のガナー眼差し→ガナーの眼差し
>>970
のいなくっても→いなくなっても
>>975
の時間も事例が→時間も事例も
>>986
の声主→声の主
>>988
のそこんな→こんな
>>過去話の方でも
( ^ω^):その価値を決めるのはあなた
>>562
の
確かかなのお→確かなのかお
ミ,,゚Д゚彡:時の放浪者
>>474
の
データムロム→データムログ
( ^ω^):白い壁 黒い隔たり
>>332
の
二度と国に足を運びいれることは必ず→二度と国に足を運びいれることは叶わず
>>342
の
飛び出していきく→飛び出していく
上記を
(指摘)→(正しい言葉)
として記載します
遡り教えていただき本当にありがとうございます
なんとかこのスレでは誤字を減らすべく頑張ります
4
:
◆3sLRFBYImM
:2016/01/19(火) 20:42:57 ID:gSZtJVr60
>>2
おお、そうなのですか
これだとマップを載せるときにどうしようか悩みましたが、症状が出た際はそのようにやってみます、ありがとうございます!
5
:
名も無きAAのようです
:2016/01/19(火) 20:44:21 ID:XGPwEc9w0
> ブンツンドー
buntsundo.web.fc2.com/long/sennen_yume/top.html
> グレーゾーン
boonzone.web.fc2.com/dream_of_1000_years.htm
分かってんならお前が貼れよってツッコミが聞こえてきそうなので
6
:
名も無きAAのようです
:2016/01/19(火) 22:13:15 ID:do5697pEO
千年の夢待ってたー
楽しみにしてる!
7
:
名も無きAAのようです
:2016/01/19(火) 23:02:31 ID:Gp6OFqHY0
また大喜利スレ?
8
:
名も無きAAのようです
:2016/01/20(水) 00:46:07 ID:vqRkkonc0
新スレたったか!待ってるぜ
>>7
酉もついてるし今度は本物だろう
9
:
名も無きAAのようです
:2016/01/20(水) 11:51:48 ID:6OSHSUBI0
http://ssks.jp/url/?id=348
10
:
名も無きAAのようです
:2016/01/31(日) 16:40:10 ID:CpdrRl2s0
わくわくすっぞ
11
:
名も無きAAのようです
:2016/01/31(日) 20:35:29 ID:D4s.bZ9s0
大喜利スレは酷かったな
12
:
名も無きAAのようです
:2016/01/31(日) 20:58:10 ID:HeDv0XAw0
キタワァ
13
:
名も無きAAのようです
:2016/02/09(火) 23:27:47 ID:Bz4T4Pig0
まだか
14
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 08:12:56 ID:kplcTHvk0
本日の夜か週末に、少し投下していきます
よろしくお願いします
15
:
名も無きAAのようです
:2016/02/19(金) 15:10:23 ID:uXiijq9A0
やったぜ!
16
:
名も無きAAのようです
:2016/02/19(金) 15:16:14 ID:4avyquJEO
よっしゃきたか!
17
:
名も無きAAのようです
:2016/02/19(金) 17:03:53 ID:N96v9.gI0
よし来た
18
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:15:29 ID:WEBAMmVw0
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
只今ディスクを入れ換えています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
19
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:16:40 ID:WEBAMmVw0
蒼い海の上を羽ばたく生き物はいつもどこへいくのか。
同属ですら、すれ違う一瞬、挨拶もなく、
ただ元気な姿をみることで想像するしかない。
今日をつつがなく遊回し飽きた頃、
彼らは巨大な夕日に身を焼き尽くされるがごとく姿を消しはじめる。
おそらくは存在意義…その酷使した翼を休めるべく、彼らは彼らの住まう世界へと戻るのだろう。
去りゆく眼下に広がった、いつもと同じ日常を過ごす地上の者たちにも同じことがいえた。
一時を共有し、夜の帳と共に眠りについたとしても…
陽が昇れば多くを忘れ、一握りの思い出を胸に今日という一日をまた生きる。
そんな一週間前に食べたものすら曖昧な記憶力に、人間はすべてを頼ろうとする。
誰がどうした? 彼がそうなった?
好奇心がなければ言葉も交わさず、興味がなければ瞬く間に忘却してしまうくせに、
人間はやたら多くを知りたがる。
……どこへ辿り着くかもわからぬ、虚しく残酷な好奇心。
20
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:18:08 ID:WEBAMmVw0
愚かしいことに。
知ろうとすれば知るほど今度は、
指をくわえて結末を待つだけの無謀さを嫌でも思い知らされる。
あらゆる想定に行動を備える者もいれば、
本能のまま、来るものを拒まぬ姿勢で過ごす者もいる。
����だがそれすら。
等しく自分の世界でしか物事を見ない証拠に他ならぬことを、いつか気付ける日がくるのだろうか…?
川 ゚ -゚)
《コツ…コツ…》
たったいまブーツを鳴らして歩くクーは、ずっと考えている。
少なくとも…記憶のあらん限り。
人間のもつ、他の動物とは恐らく決定的に異なる部分。
ヒトという種のためでなく、自分のためでもない…。
昨日まで何も知らなかった隣人のために、
今日を共に生きるための感情を分け与えるという性質。
川 ゚ -゚) 「少し遅くなってしまったな」
自己を犠牲にしてでも誰かに寄り添う心。
誰もが大なり小なり抱えていて、ある日、不意に湧き上がる "情" だ。
はみだし者のチンピラも、性を自覚する前の幼子も、
死を控えた老人にも、それはいつか芽生えるものだ。
だからこそ悩み、病み、時に自ら命を投げ出してしまうこともあるかもしれない。
幸い生き永らえたとしても知らず知らずのうちに歪み、
その気もないのに周囲を傷付ける刃を研いでしまう者もいるかもしれない。
誰かと時間を共にするからには、そういったリスクもある。
喜びと哀しみは表裏一体だ。
21
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:23:43 ID:WEBAMmVw0
しかして天道様の明るみに晒されてすらそんな有り様なのだ。
陰に残る、止まないざわつきも居場所を変えるだけで本質は何も変わらない。
いくら声高らかに正義を唱えても、
見失った到着点には永遠辿り着くことはない。
ならばせめて、自分のために堂々と生きられるだろうか?
どういうわけか、月下であれば赦されることも、
なぜか陽の下では憚られるような錯覚に陥るのも人間の性だった。
(゚- ゚ 川 「…」
川 ゚ -゚) 「……」
だからこそ、というべきか。
人は新しいものなどありはしない、言い尽くされた日常を求める。
飽き飽きしつつも不満のない生活を望む。
クーが歩いているこの西の都も、それを反映するかの如し同じ風景を映し出す。
宵に紛れて往来する人は徐々に少なくなっていく。
幸せの総数が限られているのか、
都に入ったときよりも表情に微笑をたたえる者が増えている気がした。
それはまるで…この場にいない者の分まで笑っているかのように見えた。
22
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:25:22 ID:WEBAMmVw0
《コツ…コツ…》と、低めのヒールを取り付けたブーツ底が鳴らす鐘。
無限の夜空に点在する星のように、空白とリズムを刻む。
(( 川 ゚ -゚)
クーとすれ違う、通りすがりの見知らぬ男が振り向いた。
道端で毛繕いする野良猫すらチラリと彼女の機嫌を窺い、
しかし警戒に値しないと判断したのか野生の習性へと身を戻す。
両端に建ち並ぶ商店のシャッターはすでに閉じていた。
裏路地からは食材を煮込んだ残り香が漂っている。
勝手口からまばらに出てくるのは…
例外なくあくびを噛み締め、帰路につく直前の店主たちだろうか。
…そんな彼らも思わず口を塞ぐことを忘れ、クーに視線を注ぐ。
歓楽区の灯りに佇む美女――いやそれどころか、
娼婦には持ち得ない美しさと高貴さが滲むその雰囲気に、思わず唾を飲み込んだ。
23
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:28:10 ID:WEBAMmVw0
そんな住人たちの反応など意に介さず、なおも踵を鳴らして彼女は歩く。
すでに刻は日を跨いでいた。
辺りから人の影が見えなくなっても、ひたすらに商業区内を奥へ…奥へと。
《コツコツコツコツ…
コツコツコツコツ…》
何度も路地を曲がり、目的地となる行き止まりに辿り着く頃には
彼女の歩調は大きく、そして速くなっていた。
いつの間にか手には錫杖が握られ、シャラリと尖った音をたてる。
川 ゚ -゚) 「…」
足を止めて仁王立つ。
上下に揺れる肩が、荒くなった息を整えようと空に訴える。
ゆったりなびく黒髪の毛先と裏腹に、忙しなく巡らせる視線に飛び込むのは
[closed factory]の文字を掲げるモナー工房…。
しかし掛けられたその札の意味も虚しく、
扉は薄く開かれ、中からは暖かな空気と灯りが漏れる。
コンコンッ
川 ゚ -゚)つ|´
一見して風景は周囲に溶け込んでいる…、ノックの音だけを空回らせて。
待ってみても、工房内からは一切の物音もしない。
…時刻はもう真夜中になるのだから当たり前なのだが。
川 ゚ -゚)
24
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:28:59 ID:WEBAMmVw0
――不安。
だけでなく、違和、異物、焦燥と…。
ぞくぞくと胸中が騒ぎだしていることを知るのは主たる彼女だけだ。
川 ゚ -゚) 「【シールド】、【バリア】」
表情を引き締め、物理防御壁と魔法防御壁を同時に張る。
幾何学模様のプリズムが亀の甲羅を象り、その上からオーロラを纏った。
別々の魔導力を行使したことで錫杖に付けられた二つのリングが発光し、
溜め込んでいた魔導力が一時的に失われる。
川 ゚ -゚) 「モナー、入るぞ?」
25
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:31:19 ID:WEBAMmVw0
モナー工房に静寂は滅多に訪れない。
クーの知る彼は、灯りをつけっぱなしで眠りこける癖など無いし、
まして依頼人を待たず、更に迂闊に工房を留守にするような意識の低い者ではない。
舞い込み続ける依頼の陰で、
余暇があれば職人としての技量を研ぎ澄ませるような…良くも悪くも堅物だ。
クーは扉をゆっくり押し、その身体ごと進入すると中の様子を窺う。
(゚- ゚ 川 「…」
そうやってエントランス、客間を順番に開け放ち、工房奥の扉に手を伸ばした直後のことだった。
《ガダ
ダッ!!》
強い衝撃が建物全体を襲う。
異物を排除するかのような人為的振動。
::川 ゚ -゚)つ:: 「…【フォース】!」
《ギィン!》
崩れ落ちようとする脚に力を入れ、
クーは伸ばしていた手のひらをそのままに魔導力を解き放った。
もう一方に握る錫杖のリングからは耳障りな金属音が鳴り響くも、
先の衝撃で既にひび割れていた壁の倒壊に紛れた。
しかし、クーの身を離れた魔導力はそれだけに止まらない。
収まりつかぬ暴力へと変換され、残る内部の物質を砕く。
川 ゚ -゚)つ 「何者かは知らないが表に出ろ。 ここはモナーだけの聖域だ」
声に呼応するかのようにひらけていく風塵…。
ぶら下がる鎖や竈に傷はなく、
しかし横殴りに吹き飛ばされた工具が反対側の壁へと散らばっていた。
見れば部屋の隅でうつ伏せに倒れたモナーの姿。
����同時、その傍らに佇む男の姿があった。
26
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:32:03 ID:WEBAMmVw0
川 ゚ -゚) 「……お前」
モナー以外の…向こう側にいた存在もろとも破壊しようと先制に放った魔法だったが、
その目論みは果たされなかった。
それどころか。
川 ゚ -゚) 「いつ以来か…久し振りだな。 だがこんなところで何をしている?」
(^ω^ )
半壊した部屋の中心に佇む不死の仲間。
無傷のブーンは平然とそこに立ち、クーを見つめていた。
大剣デュランダルを無造作に握って。
川 ゚ -゚) 「モナーに何をした」
(^ω^ )「僕じゃないお…来たときには、もう」
川 ゚ -゚) 「だったら尚更だ、どうしてここに――」
(;メメ ∀ )「…ぅ」
川 ゚ -゚) 「モナー!」
ブーンの脇を抜け、クーは駆け寄った。
抱き抱えたモナーの身体には赤黒い痣が浮き、細かな切り傷が無数に浮かぶ。
間違ってもそれは【フォース】のダメージ痕ではない。
(^ω^ )
27
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:34:46 ID:WEBAMmVw0
川 ゚ -゚) 「大丈夫か、なにがあった?」
(;メメ´∀`)「……ぁ、ぁ…クー?」
川 ゚ -゚) 「良かった…事故か、それとも…?」
(;メメ´∀`)「ゃ………槍」
川 ゚ -゚) 「槍?」
クーは辺りを見回す。
短めにぶら下がる照明はまだ少し揺れている。
指向性の強い光が当てられた両壁にはこれまでモナーの拵えてきた、
種類豊富な武器やアクセサリーがところ狭しと並べられ、
そのすべてがスライド式のクリアケースに収められている。
そのなかには槍も置いてある。
いずれも定期的に手入れされているのか、刃の部分は鞘に被せられ、しかし埃汚れなどは見受けられない。
隙間なく、綺麗に陳列されている。
川 ゚ -゚) 「すべてあると思うが…」
モナーは首を振ってそれを否定した。
代わりに震える手で指したのは……作業場の中央に鎮座する竈。
上部から挿し容れられるよう、
天井の四方から繋ぐための鎖が設置されているものの、いまは所在なさげに宙を泳いでいた。
(;メメ´∀`)「…うぅ……」
川; ゚ -゚) 「…」
28
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:37:26 ID:WEBAMmVw0
項垂れるモナーの瞳を覗くも、彼から窺えるのは驚愕の表情だけ。
次に思い浮かべたのはブーンだが、
彼がそれらしいものを気にしたり、持っていた様子はなかった。
槍は携帯性の悪さからひどく目立つ。
たとえば持ち出すにしても、隠し持てるような得物ではない。
そこでやっとクーは気が付いた。
ブーンの姿が見当たらないのだ。
目を離したほんのわずかな間に、工房はクーとモナーの二人だけが息している。
川; ゚ -゚) 「なんだというんだ」
ともかく錫杖を脇に【ヒール】を詠唱。
淡い光がモナーを包み、傷を癒やそうと魔導粒子が収束していく。
しかし、痣を避けるその流動はクーの不安を煽った。
川 ゚ -゚) ( これは呪術の傷…だがモナーは )
(;メメ´∀`)「…ご…ごめん、指輪はまだ…」
川 ゚ -゚) 「そっちはいいよ、それよりもまずは状況を話してくれないか。
痛みがひいてからゆっくりでいい」
(;メメ´∀`)「槍が……生きてたモナよ」
(;メメ´∀`)「不死者を出せ……そう言ってた」
川 ゚ -゚)
川; ゚ -゚) 「…なんだと?」
29
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:42:17 ID:WEBAMmVw0
工房を出たクーは夜の【ロータウン】を走る。
数分前に比べれば強く叩かれるブーツの底が、整備されていない路地のタイルをガツ、ガツと削る。
『化け物モナ…。(´∀`メメ;)
気を失う前にみえたのは、黄色い瞳と����』
( 化け物… ) 三 川 ゚ -゚)
慣れない疾走に長い黒髪がなびく。
手入れ済みの艶やかさが宵の寒気を吸い込み、張り詰めた緊張を演出した。
はためく外套は防寒具の役目を忘れ、口元からは白い息が流れた。
槍が化け物なのか…。
( アサウルス……? ) 三 川 ゚ -゚)
自然とその単語を思い浮かべ、クーは首をかしげた。
……どこで知ったのだろう?
名前は知っているのに、記憶からは何も引き出せない。
こんな時、クーは思考をさっさと切り替える。
自分の記憶ほどあてにならないものはない。
現状を把握するならば、客観的に見直してみるのだ、と。
…モナーの赤黒い痣は呪術の跳ね返り。
…魔導力そのものによるダメージ。
それはまるで "偽りの湖" における穢れのような����
「!!」 (゚- ゚ 川
����今まさに街のどこかで膨張し続けている、
赤黒い魔導力…【ウラミド】の波動と同じものだ。
(推奨BGM:Fire Above the Battle)
https://www.youtube.com/watch?v=GmR3AALCPzo
30
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:43:28 ID:WEBAMmVw0
----------
( <●><●>) 「……不完全な魔法で貴方をきちんと始末できなかった "私達" の責任ということはわかってます。
……申し訳ありません」
いまは昔、赤い森の惨劇から続く怨念。
かつてナナシはショボンを庇い、
闇のブリザード…【リベンジフロスト】をその身に受けてしまった。
生粋の呪術師にも制御できない【ウラミド】の暴走によって。
( <●><●>) 「今の私であれば、もっと完璧に仕上げてみせます。
……この、未完成だった身体に託された先祖達すべての魔導力で」
ナナシという青年の人生も、ずいぶんと永く停められていた。
それなのに…やっと目覚めて間もなく。
この日、悲劇と報復が再開しようとしている。
かつては土塊だったワカッテマスの怨念が、赤い森の一族を騙る。
ワカッテマス。
生まれもった使命に奔走し…
����見せかけの自意識に踊らされて����
定められた呪いを遂行するだけの "哲学ゾンビ" と成り果てつつある泥人形。
ミ,,゚Д゚彡 「でやあああっ!」
時を加速させたように、ワカッテマスの眼前まで全身を運ぶ。
ナナシ。
生まれ堕ちた境遇ゆえか…
����運命に翻弄されては未だ幸を掴めぬ����
定められた不可視の呪いに抗いながらも、今を必死に生きるひとりの人間。
それは獣よりも速く、
それは獣よりも力強く、
ツヴァイヘンダーを突きだした。
31
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:46:09 ID:WEBAMmVw0
川 ゚ -゚) 「!」
クーの瞳が彼らを捉えたのはまさにその時。
塀の下…視程に収まっているのはどちらも人間の形をしていたが、洩れる波動は偽れない。
川; ゚ -゚) 「…ちっ」
本来ならば詠唱すら惜しみ、すぐにでもリングに溜め込んだ魔導力を放ちたかった。
だが手前にいる青年が邪魔をして、強力な魔法は躊躇われる。
時間はない。
( <●><●>) 「……【リベンジフロスト】」
川 ゚ -゚)つ 「封じろ…っ、【サイレス】!!」
32
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:47:06 ID:WEBAMmVw0
33
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:48:12 ID:/giCWiAc0
( <●><●>) 「……まさか、」
ミ,,゚Д゚彡
ワカッテマスは、フラりと身体を後ろによろめかせ……一歩下がっただけでまた立ち尽くす。
ナナシのツヴァイヘンダーの切っ先は、届かなかった。
( <●><●>) 「まさか私が冷や汗というものをかけるとは知りませんでした」
( <●><●>) 「……詠唱を途中で止めなければ、倒れていたのはこちらの方でしたね」
ミ,,゚Д゚彡
前傾姿勢でツヴァイヘンダーを長く前に突き出したナナシは動かない。
…………その全身は、蝋で塗り固めたように凍っていた。
( <●><●>) 「……中途半端な詠唱と魔法ゆえに、いずれまた目覚めてしまうことはわかってます。
……ですから」
この時、ワカッテマスは思い違いをしていた。
彼の詠唱と魔法が中途半端だったのではない。
クーによって魔導力の噴出を留められた結果なのだ。
【サイレス】は対象となる者の魔導力の出入り口を塞ぐ。
指先、手のひら、身体全体に至るまで。
真逆のベクトルをぶつけることで、一時的に波動を相殺することができる。
( <●><●>) 「【フォース】」
34
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:49:35 ID:/giCWiAc0
魔導力の波は確かにワカッテマスの身を巡った。
だが発動には至らない。
( <●><●>)
( <●><●>) 「……?」
…その結果、彼はナナシに止めを刺せない。
文字通り静寂が場を支配する。
いうことを利かぬ我が手を不思議そうにまじまじ眺めていた。
( <●><●>) 「……なぜ?」
辺りから聴こえる硬い足音。
彼がそれに意識を向けた時にはもう遅い。
【サイレス】は魔法の出入口を塞ぐだけだ。
種類を選ばない代わりに、
身体に内包される魔導力の流れそのものをコントロールすることは出来ない。
真の意味で魔法の仕組みを理解できるのは、好奇心あふれる研究熱心な魔導師に限られた。
だから����経験値のない、土塊だったワカッテマスは自身の異変にすら気付けない。
"哲学ゾンビ" に、未知の体験は突破することができない。
川 ゚ -゚) 「間に合って良かった。
あんな特殊な魔導力ならどこにいても見付けられるさ」
(<●><●> ) 「!」
ワカッテマスの頭上、不死の女王が錫杖を振るう。
その姿は愚か者に天罰を与える女神の如く。
川 ゚ -゚) 「アイツに頼んだ依頼が後回しにされてると思えば…
どうりでキナ臭くてたまらないわけだよ」
35
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:50:39 ID:RR8t2NkE0
整備されていないロータウンの地形は入り組んでいる。
最短距離を駆けたクーだったが近接叶わず、そのまま少し離れた塀の上からワカッテマスを威圧した。
( <●><●>) 「……」
《ズキッ����》
妖しく光る闇色の眼。
モナーの言葉を思い出しながら、
吸い込まれそうなほどに大きな瞳孔を見たとき、クーの後頭部に走る痛み。
川 ゚ -゚) ( モナーのいう槍…とは違うだろうが )
向かい合う瞳には見覚えがある。
ワカッテマスから放たれる赤黒い魔導力…【ウラミド】の残滓が如実に物語る。
( <●><●>) 「……これはこれは女王様」
《ズキッ����》
川 ゚ -゚) 「…」
( <●><●>) 「……まだ貴方の出番ではありませんよ。
引っ込んでいてください、まだ一人足りていないのですから」
あれは三十年前だったろうか…。
大陸中を苦しめた流行り病があったのは。
《ズキ ンッ》
そして同時に思い出す。 七十年前の大陸戦争を。
_, 《 ズ キ ン ����》
川 ∩ -゚) 「…っ」
眼球より奥から打ち響く頭痛が激しさを増していく。
ハンマーのような鈍器で、鉄の扉を叩きつけるような…。
ロックされた鍵穴に、見当違いの針をぐりぐり刺し込まれるような…。
36
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:52:05 ID:RR8t2NkE0
_,
川 ∩ -゚) 「…不思議なものだ、こうも真逆に感じるとは」
( <●><▲>) 「……はあ?」
_,
川 ゚ -゚) 「以前お前に見せてもらった呪術とは全然違うな」
( <●><●>) 「そうですか、お会いした憶えは私にはありませんが……
かつての "私" がお世話になったのかもしれませんね」
口許を弧月に歪ませるワカッテマス。
…そんな彼を見ている間は激痛も受け入れられた。
この程度を痛がる権利は無いのだと、どこかで誰かの声がする。
・・・・・・・・
…だからクーに、今のワカッテマスと会話するつもりは更々ない。
( <●><●>) 「ああ、それとも【ウィルス】をばら蒔いた頃ですかね」
_,
川 ゚ -゚)
流行り病の蔓延した当時…確かに人命が多く失われた。
そのなかに含まれる賢者達……彼らの死を思い出して、頭痛はさらに悪化していく。
37
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:53:18 ID:RR8t2NkE0
_,
川 ゚ -゚) 「モナーには最低限の治療をしておいた。
こいつが片付いたらお前にも手伝ってもらうぞ」
クーは思う。
ブーンはどうしてなにも告げず姿を消したのか。
動機が判らない。
ブーンがクーを避ける理由に見当がつかない。
( <●><●>) 「モナー…? はて、存じませんが」
_,
川 ゚ -゚) 「それにしてもなんだ、その薄汚れた格好は」
( <●><●>) 「……??」
さすがに悦に入っていたワカッテマスが怪訝な顔をし始める。
彼女の目的はモナーに依頼した指輪の回収。
ブーンのことも、ワカッテマスのことも、気にならないといえば嘘になる。
だがそれは同時に、解決するに適した人物が自分以外にいることを知っている。
_,
川 ゚ -゚) 「…そろそろなにか喋ってくれないか? 手元の材料だけではなかなか判別がつかないんだ」
( <●><●>) 「……なんなのですか、一体」
「…んー悪い、ちと考え事してたもんで」
そう、たとえばこの男のように。
_
( ゚∀゚)∩ 「…よう」
38
:
◆3sLRFBYImM
:2016/02/19(金) 21:55:12 ID:RR8t2NkE0
再会����と形容するかは分からないが����、
ただでさえ大きな瞳を見開き、驚きを隠せない様子のワカッテマス。
ジョルジュも同じ気持ちなのだろう。
歯切れ悪く、彼の名を呼んだ。
本来、二人が現実に対面することなどあり得なかったのだから当然かもしれない。
_,
川 ゚ -゚) 「久しぶりだな。 しかし、お前までどうしてこんなところに」
_
( ゚∀゚) 「いやぁちょいと野暮用で…って、どうした、大丈夫?」
今の今まで、ジョルジュは自身で破壊したダットログの設備修復に追われていた。
…いつもならばビシッと着こなすはずのブランドスーツは袖が綻び、裾も黒ずんでいる。
ワカッテマスが二人を交互に睨み付けた。
_
( ゚∀゚) 「…二人してそう睨むなよ…」
_,
川 ゚ -゚) 「ふむ、やはりコイツがお前の言っていた片割れか」
クーの錫杖がシャラリと鳴った。 彼女の警戒は解かれない。
ワカッテマスにとって…前門の虎、後門の狼。
ナナシという餌に釣られた結果、喜ばしくない状況を生み出してしまった。
( <●><●>) ))
_
( ゚∀゚) 「おーっとあまり動くなよ…【ドッジ】!」
_,
川 ∩ -゚)
《ズキン…ッ》
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