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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

851名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:23:02 ID:45y81Xzo0

(´・_ゝ・`)「……彼女か、とりあえず彼女は盤面を下りたよ。
      もう彼女は現れない。その辺の心配は無用だ」

(´・_ゝ・`)「昼間の二人については……まあ保留だな。
      その内、適当な時に何とかしとくから安心してくれ」

(´・_ゝ・`)「あれは緊急措置として別ルートに放り投げた。
      敵にあいつらを利用されると本当に厄介になる。まぁ大丈夫だから、ほっとけ」

ξ;゚⊿゚)ξ「……はぁ」

 それっぽい事を言いつつ、しかし死ぬほど曖昧な物言い。
 最早この物語に呆れつつある私は溜め息をつき、デミタスの言い分を仕方なく呑んだ。
 この適当な納得ですら、彼の性質による根拠の無い判断なのだろうけど……。


ξ;-⊿-)ξ「……とりあえず、とりあえずとしか言いようがないけど……」

ξ;゚⊿゚)ξ「私達は昼間の事は忘れないし、貴方達への信用も半疑のままよ。
       だから引き続き王座の九人はもちろん、私達は勇者軍との敵対を続ける」

(´・_ゝ・`)「……それで?」

ξ;゚⊿゚)ξ「……貴方のことは情報源として見逃してあげる。
      だけど、少しでも余計なことしたらその時点で敵だから」

(´・_ゝ・`)「いいね。それぐらいが楽でいい」

.

852名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:24:05 ID:45y81Xzo0

ミセ*゚ー゚)リ「――で、ここまでの情報の対価として、あなたは我々に何を要求するのかしら。
       ここまでの言い振りを顧みるに、……お金?」

 ミセリさんが全裸で言う。
 全裸でなければ心強いのにな、つらいな。

(´・_ゝ・`)「俺個人が相手ならそれで正解。まぁ大したことも言ってないし、金も取らんが」

 盛岡は気だるそうに天井を見上げる。
 行間を埋める為だけに喋るのは飽きてるんだ、と俺は世界に介入する。

(´・_ゝ・`)「俺はただの仲介役だよ。点と点を結ぶだけの仲介役。
      『彼女』とあんたらの縁を結んだように、今度もまた別人を紹介するだけだ」

ミセ*゚-゚)リ「……その、『今度』というのはどういう意味ですか?」

 ミセリさんは『彼女』の存在を強く警戒しているようで、より一層語気を冷たくして言った。
 それでもデミタスは意に介さず、自分のペースで話を続ける。

(´・_ゝ・`)「安心しろよ今度のは話が通じる善人だ。『彼女』みたいなゲテモノじゃない」

ミセ*゚ー゚)リ「……」

ξ;゚⊿゚)ξ(信用できねえ……)

.

853名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:24:45 ID:45y81Xzo0


(´・_ゝ・`)「まぁ今のあんたらには何も要求しないさ。
      どうせもう詰んでるルートだし、聞き流してくれればいい」

ξ゚⊿゚)ξ「一言一句すべて聞き流してるから安心して」

(´・_ゝ・`)「そこまでされると困る。せめて『伊藤』って名前は覚えといてくれ」

ξ゚⊿゚)ξ「わかった」

(´・_ゝ・`)「よし」

.

854名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:25:41 ID:45y81Xzo0

(´・_ゝ・`)「……ま、重ねて言うけど言葉は通じる。だから安心してくれ
      あと手土産は美味いものにしておけよ。酒があるともっといい」

 美味いもの、と聞いて今日の夕飯を思い出す。
 そういえばミセリさんには揚げ物を注文していたのだ。手土産にも丁度いいだろう。

ξ゚⊿゚)ξ「なら夕飯の揚げ物とかよくない?
       ミセリさん、今日どんぐらい作るつもりだった?」

ミセ*゚ー゚)リ「今日はドクオ達も居るので大量に準備してますよ。
      よければ盛岡さん持って帰ります? 伊藤さんとこ」

(´・_ゝ・`)「嬉しいけど対応が家庭的すぎる」

ミセ*゚ー゚)リ「とりあえず時間も時間ですし作り始めますね。
      30分もあれば山盛りできますから待っててください」

ξ゚⊿゚)ξ「あーい」 ピッ
  つ[]

 ミセリさんは席を立ってキッチンの方へ歩いていった。
 私も手隙になったので、テレビを点けて暇を潰すことにした。


(´・_ゝ・`)


(´・_ゝ・`)「……魔王城ツンは、面倒臭くなるとマジで露骨に態度変えてくるよな」

ξ゚⊿゚)ξ「だってもう話は終わったでしょ?
      今日は疲れたしさっさと思考停止したいのよ」

(´・_ゝ・`)


(´・_ゝ・`)「話が終わった、っていうのは面白い冗談だな」

(´・_ゝ・`)「これから※パーフェクト・検閲※が始まるってのに」

.

855名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:26:22 ID:45y81Xzo0

ミセ*゚ー゚)リ「盛岡さんビール出しますかー?」

(´^_ゝ^`)「あ、飲みますぅー!」

ξ゚⊿゚)ξ「私にも一本ちょうだーい!」

 ミセリさんが持ってきてくれたビールを開け、私達はささやかに乾杯した。
 なお魔界に未成年飲酒を禁じる法はない。合法飲酒である。


.

856名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:27:46 ID:45y81Xzo0


  *  *  *  *  *




 そんなこんなで数十分後、誰かがうちに帰ってきた。
 「ただいま〜」と言いながらリビングに入ってきた人は、間違いなく私の父・ロマネスクだった。


( ФωФ)「おお〜やっているな。今夜は大所帯であるか」

ξ゚⊿゚)ξ「おかえり。こちら盛岡デミタスさん、要約すると誤解製造機よ」

(´・_ゝ・`)「座ったままで失礼、お構いなく」

( ФωФ)「……うむ。久し振りであるな」

(´・_ゝ・`)「……おやおや何を仰る。我々、初対面ですが」

ξ;゚⊿゚)ξ「……ああそっか。お父さん、あのね……」

 『久し振り』という誤認を解こうと、私はまた最初から盛岡の性質を説明しようとした。
 しかしお父さんは聞く耳を持たず、当然のように盛岡と握手をしてみせる。

( ФωФ)「安心しろ。こいつの力は知っている。
        ツンちゃんは知らんだろうが、こいつは元魔王軍で顔馴染みだ」

(´・_ゝ・`)「そんな覚えはございませんがね」

 盛岡はビールを煽って目を逸らす。
 嘘八百を背負ったこの男にも、どうやら弱点と呼べる過去は存在するようだった。

ξ;゚⊿゚)ξ「貴方、どれだけの組織を股にかけてるのよ……」

(´・_ゝ・`)「必要最低限」

( ФωФ)「何十代にも渡って魔王の側近をやっている男だ。
        上手く付き合うコツは直視しないこと、真に受けないこと」

ξ゚⊿゚)ξ(盛岡デミタスの年齢計算が大変なことになった)

(´・_ゝ・`)「やめろやめろ、この展開はもう無いんだよ」

 それ以上追求するなと言わんばかりに、彼は小さく呟いた。

.

857名も無きAAのようです:2020/09/29(火) 23:29:52 ID:45y81Xzo0

突然続きを投下してごめんね。でも本当です
次回は終末くらいに投下します。それで3周目は終わりです
以降はファイナル板でやります

1周目
>>2-26 >>39-61 >>74-87 >>101-135
>>176-213 >>223-229 >>280-295 >>368-374

2周目
>>389-414 >>519-553 >>559-592 >>622-648
>>651-654 >>669-681 >>718

3周目
>>728-733 >>742-761 >>768-803
>>819-856 (今回)

858 ◆gFPbblEHlQ:2020/10/04(日) 22:15:23 ID:BRHqwzuo0




     【IntervEnd:終末解除(オープンワールド)】



.

859名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:16:30 ID:BRHqwzuo0




ξ゚⊿゚)ξ「お父さん、ミセリさん、おやすみ」


( ФωФ)「うむ。今日はよく眠るのだぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「お嬢様、おやすみなさい」

 ブーンとドクオ、それから幼馴染みのデミタス君も帰っていった夜遅く。
 私はお父さん達におやすみを言ってから自室に戻り、この長い長い一日の最後を過ごし始めた。


.

860名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:18:00 ID:BRHqwzuo0


 ――魔王軍と勇者軍の戦いは、これからもっと熾烈になるのだろう。
 そこに介入してきた始末屋だって、未だに目的が分からない。
 今は本当に分からない事だらけだ。胸がざわついて、私はどうしようもなく無力を感じる。

ξ;-⊿-)ξ(……自問自答でもしようかな)

 不安に駆られた私はちょっとだけ魔力を使い、私自身の力であるゼノ――


ξ゚⊿゚)ξ「……あれ」

 ――おかしい。魔力が上手く巡らない。
 というか、そもそも私は何をしようとしてたっけな。

ξ゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ「……ゼノ、ゼノグラシアだ。そうだ」

 私はハッキリと、確かにその名前を口にした。
 ゼノグラシア。ウサギさんのような見た目をしていて、とても頼りになる私の相棒。
 能力は、確か、……可能性がどうこう、みたいな……。

.

861名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:19:16 ID:BRHqwzuo0


 『――――何者かが、この世界の筋道を壊そうとしている』


 不意に、言葉を思い出す。

 学校の屋上で『彼女』が最後に放ったセリフ。
 それを今、この瞬間に思い出したのはなんでだろう。思考が上手く噛み合わない。

ξ;-⊿-)ξ(ダメだ、始末屋のせいで支離滅裂になってるのね……)

 自分を説き伏せながら布団に身体を埋める。
 おかしい、まるで世界に一人ぼっちになったような気分だ。
 メンヘラか? 思春期とはいえ魔王の娘だぞ。

 こんなに不安が募るのは、とても気味が悪い……。

.

862名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:21:57 ID:BRHqwzuo0


 ――ダメだ、やっぱり起きよう。


ξ;゚⊿゚)ξ(たまには夜更ししていいわよね。
       今日はちょっとグロいのも見ちゃったし、いいわよね……)

 私は布団を脱いでベッドを降り、足早に部屋を出ていった。
 階段の電気も点けずに一階へと駆け降り、リビングの明かりに急いで飛び込む。

ξ;゚⊿゚)ξ「……あれ、」

 だが、リビングには誰も居なかった。

 部屋の電気とテレビは点けっぱなしで、そこに人の気配は残っていない。
 まさかお父さんとミセリさんが一緒にお風呂に入っているはずもないし、そんな音も聞こえない。
 喧騒はテレビのみ。それがなぜか、ひどく不気味に思えてしまった。

ξ;゚⊿゚)ξ「……ちょっとー! お父さんテレビー! 点けっぱなしー!」

 私は無理をして、家中に響く大声でお父さんを呼びつけた。

 というか、私はリビングにまで何をしに来たんだっけ?
 早く寝たいと思ってた筈なのに……。

.

863名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:23:29 ID:BRHqwzuo0



  「……ああ、悪い悪い」


ξ;゚⊿゚)ξ

 廊下の方から返事がして、私はドアの方に目を遣った。
 一人ぼっちの感覚が薄れて安心を覚える。
 この声はお父さんだ、きっと書斎に居たのだろう。


ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっとお父さん! テレビ点けっぱなしはダメよ!」

(;´・_ゝ・`)「……ああ、悪いね。どうも……」

 しかし、リビングにやってきたお父さんはとても酷い顔色をしていた。
 今にも死にそうなくらい顔が青ざめていて、来ている黒スーツはボロボロで。
 片足を引きずっていて、血だらけ、傷だらけで。

ξ;゚⊿゚)ξ「――ッ」

 その姿を簡単に言い表すとしたら、お父さんは『死にかけていた』。

.

864名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:24:55 ID:BRHqwzuo0

ξ;゚⊿゚)ξ「待って、何があったの!? 敵!?」

(;´・_ゝ・`)「察しがよくてありがたいな。特に今は……」

 お父さんはそんな軽口を吐きながら、呆気なく床に倒れ込んでしまった。
 私が二階に居た時間はそう長くない。
 ましてやその間、一階からの物音なんて一つも聞こえてこなかった。

ξ;゚⊿゚)ξ「なんなのよ……どうしてこんな……!」

 私が目を離したのはほんの一瞬、たった一瞬なのだ。
 なのに、いったい何が起これば、あの魔神ロマネスクがここまで――

(;´・_ゝ・`)「……魔王城ツン、ゼノグラシアを出せるか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ゼノッ……なによそれ!?
       とにかく救急車呼ぶから動かないで!」

(#´・_ゝ・`)「――俺の話を聞け!!」

Σξ;゚⊿゚)ξ ビクッ

 今まで聞いたこともない張り裂けるような怒声。
 私は思わずよろけてしまって、その場に腰を落とした。

(;´・_ゝ・`)「……って、怒鳴るのはガラじゃねえんだ。
      頼む、俺の話を聞いてくれ」

ξ;゚⊿゚)ξ「ご、ごめんなさい、お父さん……」

(;´・_ゝ・`)「……運がいい。その誤認は、利用しやすい」

 お父さんは不敵に笑って居直り、近くのソファに寄りかかって大きく深呼吸をした。

.

865名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:25:57 ID:BRHqwzuo0

(;´・_ゝ・`)「もう一度言うぞ、ゼノグラシアを出せ。今すぐにだ」

ξ;゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ「……あの、ごめんなさい、分からない……」

 ゼノグラシア――という『モノ』は、一体なんだろう。
 お父さんの言うことは聞きたいのに、言ってることがまるで分からない。

 そういえば、私は『なんなんだ?』
 今までどこで何をしたんだっけか。

(;´・_ゝ・`)「……分かった。なら『伊藤』は覚えてるか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、それなら……」

(;´・_ゝ・`)「……ならいい。あとは向こうが分かってくれるはずだ」

ξ;゚⊿゚)ξ ?

(;´・_ゝ・`)「ほんとはこんな手筈じゃなかったんだが、唐揚げ持って帰って正解だったな……」

ξ;゚⊿゚)ξ「昨日のやつ、本当に持ってったの?」

(;´・_ゝ・`)「好評だったぜ。あの女、料理の腕はピカイチだな……」

 あの女、というは誰のことだろう。
 朽ちた客席のイメージが脳を埋め尽くした。

.

866名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:29:35 ID:BRHqwzuo0


(;´・_ゝ・`)「……いいか、魔王城ツン」

(;´・_ゝ・`)「お前は次に行くんだ。俺達はここに残る」

ξ;゚⊿゚)ξ「……なんの話?」

(;´・_ゝ・`)「『2周目の俺達』だけじゃ守りきれなかった。
      バッドエンドの世界だろうが、一応ちゃんと機能してたんだがな……」

ξ; ⊿ )ξ「――分かる、ように、」

(;´・_ゝ・`)「分からなくていい。ゼノグラシアって確かそういう感じだろ」


* * *

ゼノグラシア(英語 xenoglossia)

真性異言 - 学んでいない外国語や意味不明な言語を操る超自然的な言語知識および現象を指す、超心理学の用語。
アイドルマスター XENOGLOSSIA - 2007年に放送されたテレビアニメ。 -wikipedia

* * * 


(;´・_ゝ・`)「……この世界はもう終わりだ。
      あとはせめて、時間稼ぎに使わせてもらう」

(;´・_ゝ・`)「本当はゼノグラシアも残したかったが、まぁ、そこは妥協だ……」

.

867名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:30:16 ID:BRHqwzuo0



━━━*━━━━━━━━━*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 大小なりに事件はあるが、とにかく世界は平和である。
 知らない所でなにかは起こっているけれど、私の周りはすごく平和。


 私は今日も学校に行く。
 市立VIP高校で、すごく平和な日常を送るために――

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━*━━━━━━*━━━━


.

868名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:35:55 ID:BRHqwzuo0


(;´ _ゝ `)「――……クソッ」

(;´・_ゝ・`)「……時間が無い、ここで強制終了だ」


ξ; ⊿ )ξ「……だからっ……!」

ξ;゚⊿゚)ξ「――分かるように言ってってば! 私が誰だか分かってるでしょ!?
       私がどれだけ強いか、私達がどれだけ強いか!
       どんな敵が来たって大丈夫よ! お父さんだって覚えてるでしょ!?」

(;´・_ゝ・`)「誰も覚えていないよ」

ξ゚⊿゚)ξ


━━━━━━━━━━━**━━━━━━━━━━━━━━*━━━━━━━━━━━

( ^ω^)「正義の味方とか悪者の人って、すごいパワーがあるお?」

('A`)「まあ、色々あるな」

(; ^ω^)「じつはそれ、誰にでもありうる話らしいんだお」

('A`)「……ありうるって、誰でもスーパーパワーに目覚めるってことか?」

 ブーンは私とドクオにだけ、ひそひそと続きを話した。
 覚えていますか?

━*━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━**━━━━━━━━


(;´・_ゝ・`)「……いいか、これは俺達の戦いなんだ。
      お前はただ、お前が望むものを大切にすればいい。それだけが真実だ」

ξ;゚⊿゚)ξ「なによ、それ……」

(;´・_ゝ・`)「……綺麗事だよ」

.

869名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:37:05 ID:BRHqwzuo0


━━━━━━━━━━━━X━━━━━━━━━━X━━━━━━━━━X━━━━━━


从 ゚∀从「引き込まれる、って感覚は恐らく正しい。
      人は人にこそ恐怖するが、人外に対してはそういうことを思うんだよ」

从 ゚∀从「その感覚の正体は好奇心、怖いもの見たさ。
      人間ってのは理解できないものには恐怖と同時に興味を持つ。
      いや、近付かなくて正解だったぞ。お前は利口だ」


━━━━X━━━━━━━X━━━━━━━━━━━XXX━━━━━━━━━━━━━━


 この世界――というとまるで別世界があるような言い方だが、
 とにかく私が生きてるこの世界における、大体の歴史をおさらいする。


 端的に言うと、この世界には超能力があった。
 文字どおり過去形で、今はリストアップされた極少数の人しか超能力は使えない。
 そして五十年くらい前に超能力を用いたすごい戦争があり、色々あった。
 それ以降、超能力の発生は減ってって今はすごい少ない。そして今に至る。
 覚えていますか?

━━━━━━━━━━━━━V━━━━━━━━━━━━━━v━━━━━━━━━━*


   ,、,,..._
  ノ ・ ヽ 『ここは市立ハトサブレ学園。俺の名前は鳩サブロウ』
 / :::::   i 
/ :::::   ゙、


━***━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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870名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:38:30 ID:BRHqwzuo0





━━━━━━━━━*━━━━━━━━━━━━W━━━━━━━━━━━━━━━━


                <<業務連絡:進捗は良好です。>>


━X━━━━━━━━━━━X━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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871名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:39:22 ID:BRHqwzuo0








 <<パーフェクト・ワールドを作成中。パーフェクト・ワールドを作成中。。。。。。。>>







.

872名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:40:04 ID:BRHqwzuo0







 ――で、>>15の現実に戻る。


ξ゚⊿゚)ξ

 全部に飽き飽きした人のためにAAも出す。




ξ゚⊿゚)ξ(……ちょっくら出掛けるかい)

 迷ったが、私はトラウマ払拭を兼ねて決心した。

 日本中が秋になろうとしているこの季節、私は渾身の赤マフラーを巻いて外に出た。
 目的はコンビニの肉まんである。あれは値段以上に青春の味がするから不思議だ。
 あんなものでしか青春を感じられない不感症で本当に親に申し訳ないと思う。



.

873名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:40:50 ID:BRHqwzuo0


 さりとて私は歩き出した。
 夜風が生脚をなぞり、体温をごっそり奪っていく。(ツンはスカートをはいているぞ)

 しかし私は寒さに負けず勇猛に歩いた。
 テクテクよりザッザッという擬音が合う歩き方をした。

 顔付きは自然と険しくなっていった。
 そう、この時点で私はなんとなく分かっていたのだ。
 同じことをすれば、同じ場所で同じことが起きると。


 ……そして、現実は私の思ったとおりに、



ξ::⊿゚)ξ


ξ゚⊿゚)ξ(……もう一人の、私?)


 ――思ったとおりには、ならなかった。


.

874名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:43:09 ID:BRHqwzuo0


ξ:::⊿゚)ξ


 いくつか先の街路灯の下に、私とまったく同じ見た目の誰かが立っていた。
 しかし『あれ』と私は根本的に違う。そういう確信が私の胸を貫いていた。

 生きている世界が違う、力の差がありすぎる、お話にならない。
 視界に入れてしまった時点でおしまいだった。
 もう、なにかを考えることすら無意味な気がしてしまう。

ξ;゚⊿゚)ξ(……ヤバい) ジリッ

 ……全身に魔力を通し、ゼノグラシアを十割の力で即時呼び出す。
 私の魔力、赤いオーラが夜に迸る。

(;メ._⊿)「……なんなのだ、あれは」

 程なく兎めいた実体を得たゼノグラシアが私の傍らに立ち、私と同じ動揺を見せる。
 なにせ相手は自分自身。更には正体不明で自分より強そうときている。
 そんな意味不明な存在、全力を出したところで対処に困るのは必然だった。

 ――詰んだ、詰んだ、詰んだ、詰んだ。
 ただその一言だけが思考を埋め尽くす。

 ……だとしても、『戦わない』だけはありえない。
 それだけは魔王城ツンの意思が許さなかった。

ξ;゚⊿゚)ξ「何がなんだか分からないから呼んだのよ。
       とにかくやるわよ。あとは生きて逃げ延びて、みんなと合流……!」

(;メ._⊿)「……心得た」

ξ;゚⊿゚)ξ「戦わない。逃げる、逃げ切る……!」

 私達は一歩ずつ、確実に『あれ』から遠ざかっていった。
 全力ゼノグラシアの能力は『可能性の同時実行』。
 万全の状態で発動したこの能力が真正面から破られる事は絶対に、無い、はずだ。

 ゲームで言えば『逃げる』と『戦う』を同時選択できるようなブッ壊れ能力。
 たとえ無限の選択肢があろうと、その全てを同時選択できる『全選択』の能力。

 だから、私のゼノグラシアは絶対に無敵なのだ。
 たとえ相手が自分だろうと、なんだろうと、絶対に大丈夫だから――


.

875名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:47:13 ID:BRHqwzuo0




  「――笑わせる。まったくもって『ノン・パーフェクト』だ」



ξ;゚⊿゚)ξ「――誰ッ!?」 バッ!!

 どこかから声だけが聞こえた。
 私の狼狽を嘲笑うような口振りに気を取られ、思わず私は『あれ』から目を離してしまった。

ξ:::⊿゚)ξ「『Xenoglossia』」

 瞬間、『あれ』は私と同じ能力名を口にした。
 しかしやっぱり何かが違う。
 気配は僅かに似ているけれど、『あれ』には何かが混ざって――

ξ;゚⊿゚)ξ「――ゼノグラシア!!」

(;メ._⊿)「分かっている!!」 ダッ

 急げ、思考を巡らせている余裕は無い。
 ゼノグラシアは私の言葉を待たずに動き出しており、『あれ』が動く前に決着をつけにいった。

 『可能性の同時実行』とは『無限』そのものを相手に押し付けるような行為。
 私達が行動に移った時点で発生する無限の分岐――その全てを一瞬に凝縮して攻撃する規格外。
 それは同時に私の逃走経路すらも試行し、『絶対に生き残るためのルート選択』を完璧な形で実行する。

 この能力を破る方法なんてありはしない。
 もしそんなものがあるとすれば、それは――



.

876名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:48:34 ID:BRHqwzuo0




 ――――カクン、と力が抜けた。


ξ゚⊿゚)ξ

 私は抗う間もなく膝から崩れ落ちる。
 私は咄嗟に眼下を一瞥する。
 視線の先には血飛沫にまみれた地面。


 しかし、なにか、おかしい。


.

877名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:49:36 ID:BRHqwzuo0


ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚⊿゚)ξ「……ここ、は……?」


 私は周囲を見渡し、言葉を失った。

 今、なぜか私は立体駐車場に居た。
 たぶん>>573辺りのイオンだと思う。


ξ;゚⊿゚)ξ「なに、何が起こって……!」

 空の模様は夕方頃。
 さっきまで夜だったはずだ。
 住宅街に居たはずだ。

 なのに、時間と場所が噛み合わない。
 それはもう、私の世界そのものを取っ替えられたような――

.

878名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:51:01 ID:BRHqwzuo0


ξ;゚⊿゚)ξ「……これは……」

 さっき、私の膝をなにかが貫いた。
 激痛はそれを自覚した直後にやってきた。

ξ; ⊿<)ξ「――い゙ッ!!」

 すっかり気が抜けていた、甘かった。
 本気で私を仕留めるつもりなら、敵が一人で来る訳がないのに――


ξ; ⊿゚)ξ(……完全に油断した……ッ!)


 ――違う、これは私の思考ではない。
 少なくとも『今の私』はこんな事を考えていない。

ξ; ⊿ )ξ

 なにかされている。私は『あれ』の攻撃を受けている。
 さっきまでギコと戦っていた気がするけど絶対に違う。

 そこまでは分かる。なのに、なのに――


ξ; ⊿ )ξ(この『攻撃』がなんなのか、少しも理解できない……!)


 理解を遠ざけられている。
 私を置いて世界が展開する。
 白紙が広がり続けている。


(´・_ゝ・`)「お前が思ってる以上にこの世はオープンワールドなのよ」


 誰だ今の。

.

879名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:51:44 ID:BRHqwzuo0

ξ; ⊿゚)ξ「……」

(メ._⊿)「……大丈夫か?」

 咄嗟にゼノグラシア・ウサたんモードを召喚し、私はぺたんと座り込んで体勢を維持した。
 もはや傷を見返す必要もない。私は三月兎の背後に隠れ、彼に命令を下した。

ξ;゚⊿゚)ξ「……私達は今、どこで何と戦ってる?」

(メ._⊿)「……王座の九人、ギコとの戦いを終えた。
     そして今は闇討ちを仕掛けられ、キミは足を撃ち抜かれた」

 この一瞬、どの判断が遅れても私は確実に命を落としていた。

 最悪の敵――そうだ、これが敵なのだ。
 これに比べればギコとの戦いはまさに王道だった。

ξ;゚⊿゚)ξ(……いや、そんな奴だから囮にされたのね……)




ξ; ⊿゚)ξ


 ――という、私ではない私の思考が脳を埋める。
 気持ち悪い感覚だった。乖離している、私自身のなにかが乖離している。

 私は今、私自身がどこで何をしているのか理解できなかった。

 これはどこのシーンで、どこの描写で、どこのルートの物語なのか?
 私は思い出せなかった。それこそが物語の終末だった。

.

880名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:52:33 ID:BRHqwzuo0




  「確か、こんな名前だったな」


 またしても、声が聞こえた。余裕をブッこいている男の声。
 間違いなくこの声が敵だ。

ξ;゚⊿゚)ξ「……来る」

 今度は声だけではない、足音も聞こえてくる。
 私はその足音の方を見て、そして――


( ^ω^)


ξ;゚⊿゚)ξ「えっ、……?」


 ――そこに、内藤ホライゾンの姿を見つけてしまった。


.

881名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:54:45 ID:BRHqwzuo0


( ^ω^)「シン、ゼノグラシア、ガルシオンレクイエム」

( ^ω^)「いつかのバッドエンドに偶発した力。
      そして、お前がいつか至る筈だった極致の断片」

( ^ω^)「攻略には随分と手こずったが……」

 敵は、内藤ホライゾンの顔をひどく歪めて笑顔を作った。


( ^ω^)「……『補完』すればこのとおり、『パーフェクト』だ」


ξ;゚⊿゚)ξ(……違う。ブーンと同じ見た目だけど、あれは絶対に中身が違う……!)

 もう頭がグチャグチャになりそうだった。
 ブーンみたいなヤツの隣には私と同じ姿の『あれ』も居る。
 シンゼノグラシア、ガル…ガルなんとか。
 とにかく私のゼノなんとかの色違いっぽいのも後ろに控えている。

ξ; ⊿゚)ξ「……ぁ……」

 胸が締めつけられる感覚、自分の詰みを読み切ってしまった感覚。
 手遅れ、手遅れ、手遅れ……『これ』とは戦いようがない。
 絶望的な言葉が私を埋め尽くしていく。また、なにかされたようだ。

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882名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:55:44 ID:BRHqwzuo0




ξ;゚⊿゚)ξ


ξ; ⊿゚)ξ



ξ: ⊿ )ξ「…………」



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883名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 22:58:59 ID:BRHqwzuo0


ξ; ⊿ )ξ「……もう、いい」

(;メ._⊿)「なッ――」

 ……私は、魔力を絶ってゼノグラシアを消した。

 私にはもう『可能性』が無い。戦ったとして勝てるわけがない。
 永遠に放置された物語のように、私にはもう、前進する為の力が湧いてこなかった。

 もう続けることができない。
 ただそれだけの絶対的な、そして無責任な感覚が、私をちょっと楽にする。


( ^ω^)「……これも、真実には到達していないか」

( ^ω^)「あとはパーフェクトにやっておけ、パーフェクト・魔王城ツン」


ξ:::⊿゚)ξ


 音も、衝撃も、なにもなく。

 私はただ無に還るように、次の瞬間、すべてを失っていた。


【IntervEnd:out】
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884名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 23:02:41 ID:BRHqwzuo0







 ×   ×   ×   ◯   -   -   -   -






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885名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 23:03:21 ID:BRHqwzuo0





                 【リザルト:?周目】




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886名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 23:04:32 ID:BRHqwzuo0




       <<業務連絡:完璧な世界が創造されています。>>



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887名も無きAAのようです:2020/10/04(日) 23:10:34 ID:BRHqwzuo0

以上です
続きはファイナル板でやります


1周目
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2周目
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>>651-654 >>669-681 >>718

3周目
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>>819-856 >>857-886(今回)

関連スレ:ξ゚⊿゚)ξパーフェクトAAが生まれるようです
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read_archive.cgi/internet/21864/1503381514/l50

888名も無きAAのようです:2020/10/05(月) 20:51:40 ID:KlwUPZUs0


889名も無きAAのようです:2020/10/06(火) 00:29:44 ID:rbW//64Y0
今゛気゛付゛い゛た゛乙゛

890名も無きAAのようです:2020/10/06(火) 09:25:42 ID:9DkRP7vI0
来てたあああああああ

891名も無きAAのようです:2020/10/06(火) 22:11:46 ID:1XatfL1k0
なんかもうよくわからんけどがんば

892名も無きAAのようです:2020/10/14(水) 20:16:20 ID:x8gwT5/c0
次スレ
https://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/21864/1602664126/

893名も無きAAのようです:2020/10/28(水) 11:37:31 ID:lZxRXz/.0
き、きてただと...


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