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レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
( ^ω^)百物語のようです2013( ω )
1
:
◆Rsp62tAaew
:2013/06/28(金) 14:17:25 ID:PjQGMrTo0
( ^ω^)おいすー。ここは夏の祭り、百物語専用スレだお!
祭り開催まではルールの確認等自由に使ってほしいお!
( ^ω^)とりあえず今決まっているルールは
以下の通りだお!
・開催日は八月九日(金)から十八日(日)まで
※ただし投下できるのは金土日のみ。投下期間以外の本スレは作品の感想などご自由に使用してください
・作品はホラーでなくても幽霊、妖怪、人外などが出るならギャグでもなんでも可
・レス制限は一作品30レスまで。それ以上は個別スレ建てをお願いします。
・ながらはNG。個別スレを建ててそこでやるのは可。
※個別スレ参加の場合
レス制限無し。
スレ立て
↓
百物語スレにて投下開始報告、URLを貼る
↓
投下終了後、百物語スレにて投下終了報告(その際、前の人の数字を引き継いで話数宣言)
・1人何話でも投下可!
※連続投下→次に投下する人がいないか確認を取り、無ければOK
※作品の投下間隔についてはルールはありませんが少し間を開けることを推奨します
・イラストでの参加も可!一話としてカウントします。
※ただし作品への支援絵は作品としてカウントしない
・開催時間は18時から翌朝7時まで
・話が終わったら本スレ(自分でスレを立てた人はそのスレでも可)で蝋燭のAAを貼る
前回百物語のスレ
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1344607128/
( ^ω^)百物語のようです2012 in創作板( ω )
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1345353530/
( ^ω^)他に変更点、疑問点ある方はなんでもいってほしいお!
202
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:04:26 ID:MEdF3iio0
投下したいのですが、次は二本目ですか?それとも三本目なのでしょうか。
203
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:06:12 ID:Q1o6fwKsO
二本目でよろしいかと
204
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:07:43 ID:MEdF3iio0
了解しました、投下致します。
.,、
(i,)
|_|
二本目
「仕事が終わるようです」
205
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:07:46 ID:E8kaiRf20
なんだただのドジっ娘か
206
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:08:45 ID:MEdF3iio0
ざあざあと大粒の雨が降り頻る中、仕事が終わり自宅への帰路に就き始めた。
('A`)「さぁて…自宅へ急がなきゃ」
('A`)「服汚れたし、早く風呂入って着替えたいわ」
('A`)「それにしても相変わらず、今日はどしゃ降りだ」
('∀`)「まあ 、こーやって誰にもつぶやき聴かれないからいいんだけど」
('A`)「そういやここら辺、夜は通行人あまり通らないよな」
('A`)「……さて、さっさと帰っちまおうか」
('A`)「………」ア…
タ…ス…
('A`)「……………」
タ……ス…ケ…
('A`)「反応するな、早くいけ」
タス…ケ…テ…クレ…オ…
('A`)「早くいかなきゃな」
タ…ス…ケ…
('A`)「ふぅ、静かになったか?」…
………
('A`)「まだ駄目か…」タ…ス…
これは、ある男の話である。
次の日の朝、男が死体となって発見された。
207
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:10:56 ID:MEdF3iio0
(
)
i フッ
|_|
二本目 了
1レスですが、これで終わりです。
208
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:16:05 ID:Q1o6fwKsO
「早く逝け」、か…
読み返して理解した。恐い
乙
209
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 19:17:04 ID:N6S5eX7k0
ろうそく借りてくよ
ナイトメア交響曲のようです
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376043272/
210
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:02:27 ID:Q1o6fwKsO
三本目いく
.,、
(i,)
|_|
( ^ω^)猫又のようです
211
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:03:48 ID:Q1o6fwKsO
ざあ、ざあ
ざあ、ざあ……
(・∀・ )「はあ、旅のお方。こんな山奥の寺までようこそ……。
雨のなか大変だったでしょう」
( ^ω^)「今夜だけ、一晩だけ、雨風を凌がせてくださいお」
(・∀・ )「ええ、ええ。薄っぺらな布団しか用意出来ませんが……」
( ^ω^)「充分ですお。……ああ、お腹が空いた」
(・∀・ )「おじやしか残っていませんが、それで良ければ」
( ^ω^)「是非お願いしますお」
(・∀・ )「では少しだけお待ちくださいね」
( ・∀・)「ええと、椀と匙は……」ゴソゴソ
∧ ∧ ニューッ
( ^ω^)
212
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:04:55 ID:.SbzcZBA0
なんかはえたぞ
213
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:05:25 ID:Q1o6fwKsO
∧ ∧
( ^ω^)( ・∀・)「おっ……」
(・∀・ )「あったあった、小振りなもので申し訳ありませんが。
──どうしました? 何だか妙に近くていらっしゃる」
( ^ω^)「いえ、いえ。探すのを手伝おうかと思いまして。
いらぬ気遣いでしたお」
(・∀・ )「お客人は、どうぞごゆっくりなさって。それではおじやを温めますね」
( ・∀・)「まずは囲炉裏に火をつけねば……。火種、火種」
∧ ∧
((( ^ω^( ・∀・)つ
(・∀・ )「さあ温めますよ──っとと。危ないじゃありませんか。
危うくあなたに火がつくところでした」
( ^ω^)「これは驚かせてしまって申し訳ありませんお。
……ああ、美味しそうな匂いがする」
(・∀・ )「手前味噌ですが、私の作るおじやは評判がいいのですよ。
こんな山奥にいては、食べさせる相手など滅多に来ませんが」
( ^ω^)「ええ、ええ、実に美味そうですお……。
はあ、腹が減って堪らない」
(・∀・ )「もう少しで温まりますからお待ちを」
214
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:06:57 ID:Q1o6fwKsO
(・∀・ )「……そういえばお客人。猫又の噂をご存知ですか?」
( ^ω^)「いいえ。猫又というと、猫が化け物になったあれですか」
(・∀・ )「それです。最近、ここらに猫又が出るそうで。私は一度も見たことないんですがね。
明日の朝、お帰りになる際はお気を付けて」
( ^ω^)「化け物は、朝になったら眠るものですお。そう聞いています」
(・∀・ )「何だ、それなら安心ですね」
( ^ω^)「ところでその猫又、何か悪さでもするのですかお?」
(・∀・ )「さあ……私は噂しか知りませんので。
何かに襲われ、命からがら逃げ出したという方なら、この間ここに転がり込んできましたが……
その『何か』が猫又だったのかどうか」
( ^ω^)「人を喰らったりするのでしょうかお」
(・∀・ )「まさか。猫が好きなのは魚の類でしょう」
( ^ω^)「猫というのは、魚より肉の方を好むものなのですお」
(・∀・ )「そうなのですか? ……さ、おじやが温まりましたよ。
どうぞ召し上がって」
( ^ω^)「や、や、これはどうも。いただきますお」
215
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:08:27 ID:Q1o6fwKsO
(・∀・ )「……」
( ^ω^)「……」
(・∀・ )「……食べないのですか?」
( ^ω^)「熱いのが苦手で。少し冷ましていますお」
(・∀・ )「やや。それは気が利かないことで」
( ^ω^)「いえ、そんな。
……ああ、腹が減った。腹が減った。早く食べたい。食べたいお」
(・∀・ )「おじやは逃げませんよ」
( ^ω^)「逃がして堪るかお……」
(・∀・ )「冷めるまでゆっくりお待ちになってください」
( ^ω^)「待つお、待ちますお、まだまだ夜は明けませんから」
216
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:09:17 ID:Q1o6fwKsO
( ・∀・)「そうだ、お茶を入れましょう」
∧ ∧
((( ^ω^)( ・∀・)「お湯が熱くなりすぎないように気を付けますね……」
∧ ∧
( ^ω( ・∀・)
「いただきます」
ざあ、ざあ
ざあ、ざあ……
*****
217
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:12:12 ID:Q1o6fwKsO
(;'A`)「ああ、参った参った」
( ・∀・)「おや、あなたは」
(;'A`)「お久しぶりです」
( ・∀・)「この間、化け物に襲われてここへ逃げてきた方ですね。
また何かに出くわしましたか?」
(;'A`)「いえいえ、あのとき食わせてもらったおじやの味が忘れられなくて。
もう一度だけ食いたくなったもんで、やって来たんですが……。
突然の雨でしょう。ろくに前も見えなくて、迷いながらやっと到着いたしました」
( ・∀・)「それは災難でございましたな。
でも幸い。丁度おじやが出来たところでございます」
(*'A`)「お……たしかに、いい匂いが」
( ・∀・)「お掛けください、いま用意いたしましょう」
(*'A`)「ありがたい。──ん、この間とは何か違うな。
こいつは……おじやに肉が入ってるんですか?」
( ・∀・)「その通り。……寺で肉を食べているなんて、誰にも言わないでくださいませ」
(*'A`)「構いません構いません、俺は僧ではありませんし。
あなたはよく肉を食うんですか?」
( ・∀・)「こんな山奥にいると、たまに人間以外の輩が……獣が迷い込んできましてねえ……。
それがまた美味いもんですから、ついつい」
(*'A`)「なるほどなるほど。こいつは兎ですか?」
( ・∀・)「さてね。猫──に似た何かでしたよ」
ざあ、ざあ
ざあ、ざあ……
218
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:14:41 ID:Q1o6fwKsO
(
)
i フッ
|_|
おわり
まぜこぜブーンのところにあったタイトル例をお借りしました
期間中に全部のタイトル書けるように頑張るんば
219
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:20:10 ID:0JxpZBX.0
やっべえ超おじや食いてえ
220
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:22:04 ID:aN0QJVGs0
そっちか
乙
221
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:24:30 ID:HhqTdajA0
乙
まあ人間を食べたわけではないし、ね?
222
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:25:28 ID:MEdF3iio0
オチが効いてるな、あとおじや食べたくなった
乙
223
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 20:27:49 ID:tUoM7.KQ0
おつ
どちらが怖いかって話だね
224
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 21:07:45 ID:iOSNGfOs0
乙
これは出来るモララー
225
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 21:18:07 ID:wRVGkxXU0
乙
モララーが破ァ!!ってしたのか
226
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 23:05:59 ID:oB2iRQPQ0
そんじゃあ、投下していきますかね
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376057071/
227
:
名も無きAAのようです
:2013/08/09(金) 23:07:09 ID:oB2iRQPQ0
やべえタイトル忘れてた
『ジェイソン・クールのようです』
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1376057071/
228
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 00:08:34 ID:uzIuPMl.0
4本目いただきます 絵で
.,、
(i,)
|_|
ゾンビ从'ー'从(閲覧注意かもしれない)
http://imefix.info/20130809/211229/rare.jpeg
229
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 00:10:20 ID:uzIuPMl.0
(
)
i フッ
|_|
おわり
絵ってどう投下すればいいんでしょ…
230
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 00:11:53 ID:L8EnzUKE0
今のでいんじゃない?
もしくは一レスで点けて、消すとか
231
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 00:13:22 ID:QV4w7Nmw0
--------
蝋燭AA
絵のアドレス
吹き消したAA
-------
ってのでいいんじゃないか?
んで乙
ぞわっときた
232
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 00:27:43 ID:iyguycrY0
>>228
かわいい
ぶちこみたい
233
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 00:41:47 ID:QV4w7Nmw0
人がいるなら
>>183
をちょっと支援してくれ
猿に捕まった……
234
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 01:13:19 ID:QV4w7Nmw0
(・∀ ・)タタリのようです
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1376038940/
(
)
i フッ
|_|
五本目終了しました。
猿よけ支援してくださった方、ありがとうございました!
235
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 01:13:46 ID:.5uan/7Q0
>ぶちこみたい
お前らのほうが数段怖いわ
236
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 01:13:57 ID:vMSbw6KA0
乙
悲しいホラーだった
237
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 01:21:52 ID:6kcADDtk0
初日から飛ばしてるのおおいな
238
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:00:21 ID:3gCn.meg0
作品自体は30レス以内に収まったけど、前後にローソクAA入れたら30越えるわ
これっておk?
239
:
◆Rsp62tAaew
:2013/08/10(土) 02:04:58 ID:dm1rMnw20
>>238
>>98
>>102
辺りを参照してくだしあ
240
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:05:33 ID:3gCn.meg0
把握したスマソ
241
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:45:12 ID:60bLqRSc0
盆も近いし水辺に行けばなんかに遭えるかね
ちょっと河原走ってくるわ
242
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:49:07 ID:3gCn.meg0
待てそれは死亡フラg
243
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:51:02 ID:Wwo71gg20
初日間に合ったー!
次いただくよ〜
244
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:52:55 ID:Wwo71gg20
.,、
(i,)
|_|
六本目、lw´‐ _‐ノvバイト先で起こった出来事のようです
245
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:54:40 ID:Wwo71gg20
( ・∀・)「じゃあ、しーさん休憩行って」
lw´‐ _‐ノv「はい」
(; ・∀・)「いや、気を抜くのはいいんだけど、せめて売り場ではまだシャキッとしててね」
lw´‐ _‐ノv「あ、はい」
亡霊か何かのように背をまるめ肩の力を抜いていた私は、もう一度気合を入れる。
それでもすっかり緊張の糸は緩み、どこかふわふわとした気持ちでレジを離れた。
お客様に、「いらっしゃいませ」と声を掛けながら店奥の事務所へ向かう。
品定めの最中のお客様は、私の掛け声にまるで無関心だ。
必要最低限の人数でまわしている小売業が私のバイト先だ。
けれど、そういうところも含めて自分に合っている気がしている。
('A`)「どうも……」
lw´‐ _‐ノv「おつかれさまです」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
246
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:56:11 ID:Wwo71gg20
事務所に入り、パイプ椅子に座ったところで私はやっと全身の力を抜いた。
沈黙が気まずかったのか、先輩のドクオさんが突然語り始めた。
('A`)「シューさん、血みどろの卵焼きって知ってる?」
lw´‐ _‐ノv「血みどろの卵焼き?」
ドクオさんは肌が青白く痩せていて、まるで幽霊のようにひっそりしている。
私は勝手なイメージで、猫とか好きそうだなと常日頃から思っていた。
('A`)「うん、ちょっと怖い話しなんだけどね」
lw´‐ _‐ノv「……」
それまで飲んでいたコーラのふたを閉め、ドクオさんはゆっくりと話し始める。
案外ペルシャ猫とか撫でてるのが似合うんじゃないかな、と私は考え始めていた。
('A`)「休憩終わりまで時間もあるし、それじゃ話すね」
lw´‐ _‐ノv「はい」
設定温度は一緒なのに、エアコンの送る風がいつもより冷たく感じる。
私は風邪をひきかけなのかも知れない。体調に気をつけなければいけない。
247
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:57:29 ID:Wwo71gg20
('A`)「商店街の入り口に、どこか古臭い喫茶店があるでしょ」
lw´‐ _‐ノv「猫カフェですか」
('A`)「それは公園に向かう階段のとこの喫茶店でしょ」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……あっ」
秘密がばれてしまったかのような驚いた表情で、ドクオさんは言葉を詰まらせた。
どうやら私のハッタリがきいたらしい。
lw´‐ _‐ノv「猫のことが好きなんですか」
(;'A`)「いや、それは今の話しとは関係ないんだけど……」
lw´‐ _‐ノv「三毛猫とトラ猫、どっちが好きですか」
(;'A`)「どうして好きな前提で話しを進めてるの?」
lw´‐ _‐ノv「教えてくれたら、私の好きな主食も教えます」
(;'A`)「パンか米か、大体その辺だよね!?」
数ある主食の中から二択に絞り込むとは、ドクオさんもなかなか勘がいい。
先にドクオさんの答えを知るべく、私は探偵になったつもりで語りかける。
248
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 02:59:00 ID:Wwo71gg20
lw´‐ _‐ノv「もう全て分かってますから」
(;'A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「隠さなくても大丈夫です」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……よく分かったね」
lw´‐ _‐ノv「はい」
('A`)「僕が、猫好きなのにペット禁止のアパートで一生を遂げた男だと」
lw´‐ _‐ノv「トラ猫のシマシマ模様が好……、えっ?」
lw;´‐ _‐ノv「し、死んでる?」
('A`)「うん」
猫が好きなことは確信していたが、まさか幽霊だったとは思いもしなかった。
勘のいい私でも、さすがにそこまでは分からない。
思えばドクオさんが働いているのを見たことがない。
それに二人同時に休憩に入れるほど、人手があるわけでもなかった。
249
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:00:27 ID:Wwo71gg20
lw´‐ _‐ノv「……幽霊ですか」
('A`)「そう」
lw´‐ _‐ノv「例えば、地縛霊のような」
('A`)「そんなもの、かな」
私は横を向き、うっすら微笑んでいる彼の顔を眺める。
肌は変わりなく青白いものの、向こうが透けて見えるわけではなかった。
バイト先の狭い事務所の中で、足のある、透けてもいない幽霊と二人きり。
サイダーやキャンディ、チョコを一緒に口に含んだような、おかしな気分だ。
('A`)「さっき僕が話そうとしたこと覚えてる?」
lw´‐ _‐ノv「……ええと、何でしたっけ」
('A`)「血みどろの卵焼きだよ」
lw´‐ _‐ノv「食欲が引いていきそうな料理……」
('A`)「せっかくだから今話すよ」
lw´‐ _‐ノv「幽霊が怖いお話しをするんですね」
おかしな状況に拍車がかかり私は笑いそうになりながら、どこか不安だった。
そんな私を待たずしてドクオさんは話し始める。
250
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:02:28 ID:Wwo71gg20
('A`)「喫茶店の一人娘は、何でも料理ができる父親にあこがれていたんだ」
('A`)「だけど彼女は病弱で」
('A`)「働くことはおろか、キッチンに立つことすら許されてなかった」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「ある日彼女は、こっそり卵焼きを作る」
lw´‐ _‐ノv「……ドクオさんはどんなトラ猫が好きですか」
('A`)「簡単なものなら大丈夫だと思ったんだろうね」
lw´‐ _‐ノv「このお話しやめませんか」
('A`)「……買出しに行っていた父親が、帰ってきて見たのは」
('A`)「彼女の吐血で真っ赤に染まった卵焼きだったんだよ」
lw;´ _ ノv「もう、やめて!」
251
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:03:43 ID:Wwo71gg20
部屋いっぱいに響いた自分の悲鳴に、私は酷く動揺した。
まるで喉から勝手に言葉が飛び出してきたように感じる。
胸の内側がしくしくと痛み、息苦しい。
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「君は……、しぃさんという女の子に取り憑いた幽霊なんだ」
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
lw´‐ _‐ノv「そっか」
lw´‐ _‐ノv「私も死んでいたんですか」
252
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:07:02 ID:Wwo71gg20
通りでお客様は私に気にかけないわけだ。
過去のことはおぼろげで、生きていたときのことなどもう覚えていない。
思えば私は、ずっとドクオさんの話しをそらしてばかりだった。
きっと無意識に、この瞬間を恐れていたのだろう。
けれど、他人様に取り憑くことがいいことではないと私も分かっていた。
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「しぃさん、ごめんなさい」
意識を全身に集中すると、次第に自分の体が二重に見えてきた。
やがて私の体は離れ、私が取り憑いていたというしぃさんが見える。
しぃさんは椅子に座ったまま、うつむいている。
私は申し訳ない気持ちで、彼女の横にふわふわと移動した。
('A`)「……そして、しぃさん」
('A`)「君も僕の話が聞こえてるよね?」
(*゚ー゚)「……」
253
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:08:58 ID:Wwo71gg20
lw´‐ _‐ノv「……しぃさん」
('A`)「……」
(*゚ー゚)「……お父さんの誕生日だったんです」
(*゚ー゚)「卵焼きを作ったのは」
(*゚ー゚)「私は元気だよって伝えたかったから……」
('A`)「そうだったんですか」
lw´‐ _‐ノv「えっ」
なんだか事の成り行きがおかしい。
幽霊だと自覚した時からもやもやする頭が、さらに混乱する。
おかしな出来事が、周りの風変わりをせっせと召集している。
このことは私の死後哲学に加えて、忘れないようにするべきなのかもしれない。
254
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:10:19 ID:Wwo71gg20
lw;´‐ _‐ノv「あの……、病弱で色白な猫好きの」
lw;´‐ _‐ノv「ええとつまり、死んだ喫茶店の娘って……」
(;'A`)「いろいろ混ざってますよ……」
(*゚ー゚)「はい、私のことです。生前は三毛猫が好きでした」
(*'A`)「あっ、奇遇ですね」
見ると、ドクオさんの青白い頬がピンクに染まっていた。
なんだかいいムードのなか申し訳ないが、私はそれどころではなかった。
lw´‐ _‐ノv「どうして私に、その血みどろの卵焼きの話しを?」
('A`)「手っ取り早く二人に話したんだ」
相手が死んでいることを伝えるのに、そんな横着をしていいのだろうか。
話しから察すると、私は霊に取り憑いた霊だったらしい。
知らずに霊となっていた私が言うことではないが、これでは死者のオンパレードだ。
そんなことを考えていると、ふとある疑問が浮かんだ。
255
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:12:04 ID:Wwo71gg20
lw´‐ _‐ノv「そういえば、店長のモララーさんはしぃさんが見えていて」
lw´‐ _‐ノv「休憩に入るように言って……」
('A`)「うん」
lw´‐ _‐ノv「……あれ?」
そもそも私は、このお店は、一体何を売っていたのだろう。
過去の出来事の細かい部分が思い出せないように、何もかもあやふやだ。
必死にレジの前に立つ自分を思い浮かべる。
けれどバーコードがついている商品は、何かもやもやした物体だ。
lw´‐ _‐ノv「まさか」
(*゚ー゚)「どうしたんですか?」
lw´‐ _‐ノv「モララーさんは……」
('A`)「その通りだよ」
('A`)「彼もお客さんも、みんな幽霊さ。この場所はすでに取り壊された空き地なんだよ」
256
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:14:17 ID:Wwo71gg20
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「そろそろ彼にも伝えようと思うんだ」
(*゚ー゚)「私も一緒に伝えます、ずいぶんお世話になりましたし」
lw´‐ _‐ノv「……」
モララーさんは時々厳しくも、良い店長だった気がする。
まさか彼まで死んでいたなんて、少しショックだった。
(*゚ー゚)「時々厳しくも良い店長でした……、そんな気がします」
さすがは私が取り憑いた人だ、まるで同じ感想を抱いていたらしい。
lw´‐ _‐ノv「……」
('A`)「……」
(*゚ー゚)「……」
257
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:17:24 ID:Wwo71gg20
lw´‐ _‐ノv「……ところで、どうして私は死んだのですか」
('A`)「残念だけど、僕は知らないよ」
私は一体どんな人だったのだろう。
どんな死に方をしたのだろう。
本当に何も思い出せやしない。
悲しいと感じる思い出もないほど、私の全身は空洞だった。
lw´‐ _‐ノv「……」
lw´‐ _‐ノv「しぃちゃん、今まで取り憑いていてごめんね」
何となく言い辛かった敬語をやめた。
どうやら私には、この方が自然らしく感じる。
(*゚ー゚)「いえ、シューさんがいなければ、弱い私はきっと成仏していました」
(*゚ー゚)「自分が消えてなくなる前に、ちょっと働いてみたかったんです」
どうしてしぃさんに取り憑いたのかすら覚えていない。
けれど案外私は、このしたたかな女の子に、逆に取り憑かされていたのかもしれないなと思った。
258
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:18:25 ID:Wwo71gg20
('A`)「さてと」
('A`)「シューさんも一緒に行きます?」
lw´‐ _‐ノv「ううん」
lw´‐ _‐ノv「……これから私は」
lw´‐ _‐ノv「旅に出て、自分が何者だったのか探すことにする」
('A`)「そうですか。人に取り憑いてはダメですよ」
(*゚ー゚)「お気をつけて」
二人に手を振って挨拶をし、事務所のドアに手をかける。
ふと、あることを思いついた。
私はドアから手を離して、反対側へと振り返った。
前にあるのは、ダンボールやら机や椅子が置かれた壁だ。
そのまま私は本当の自分の足で、ふわふわと壁を抜けていった。
終わり
259
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:19:08 ID:Wwo71gg20
(
)
i フッ
|_|
六本目終わり
260
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:20:58 ID:3gCn.meg0
乙乙
ラストのシューは幽霊らしく振る舞ってみたくなったんだろうか
261
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:33:18 ID:DIY1n3BQO
ご想像にお任せしますー
さあさあ、どしどし投下きたまえー!
262
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:38:20 ID:1DDNx4iE0
和む話だった おつ
263
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 03:47:55 ID:Cokg5EdE0
今年の百物語はクオリティ高いな
264
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:43:20 ID:mRsRQcBsO
七本目。まぜこぜブーンのタイトル例その2
.,、
(i,)
|_|
ξ ⊿ )ξ枕元に佇むようです
265
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:44:10 ID:mRsRQcBsO
一週間ほど前に、少し古いアパートへ越してきた。
早々に後悔している。
ξ ⊿ )ξ
(;^ω^)(……来た)
毎夜毎夜、女が現れるのだ。
僕が眠る布団の周りをふらふらぐるぐる歩き回り、
3周ほどすると枕元に立ち尽くす。
放っておくといつの間にか消える。
これだけ。
害は無い。
ただ急に現れて、急に消えるだけだ。
266
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:45:03 ID:mRsRQcBsO
その程度なら、僕が寝ている間に好きなだけやっててくれ──とも思える。
しかし困るのは、彼女が現れる直前になると必ず目が覚める上、
いわゆる金縛りのような状態になり、視線が勝手に彼女の動きを追ってしまうことだ。
彼女が消えれば解放されるし、その後は朝まで邪魔されずに眠れる。
友人に話すと、決まって「夢だろう」と返されてしまうのだが、
彼女が消えた後も寝るに寝られず朝を迎えたことが数回あったので、
夢ではないと思う。
267
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:45:20 ID:7ZGwsD7I0
よおし支援だ
268
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:45:58 ID:mRsRQcBsO
ξ ⊿ )ξ ズル ズル
(;^ω^)(これ今後も続くのかなあ……やだなあ……)
女の顔は見えない。
ベージュの服や、色素の薄い巻き髪は視認出来る。
顔だけが分からない。
俯き気味なせいか、影で隠されているように暗いのだ。
それでも、ぽっかり開いた口だけは見えた。
ξ ⊿ )ξ ズル ズル
(;^ω^)(うーん)
その日も彼女は3周目に枕元で足を止め、数分後にいなくなった。
*****
269
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:47:01 ID:mRsRQcBsO
('A`)「塩置いとけ塩」
(;^ω^)「塩?」
('A`)「霊への対抗手段っつったら塩かお札と相場が決まってるだろ」
遊びに来た兄に相談してみたところ、投げやりな答えが返ってきた。
酒が入っていたせいもあって、彼は僕の冷ややかな視線を無視し、
「結界」なる物を作ってくれた。
まず、小皿や小さめのコップ、他にも適当な器をいくつか用意する。
それらに食塩を乗せる。
僕の布団の周りに並べる。終わり。
実に頼もしい結界だ。
あまりに頼もしすぎて、「壮観だ」と大笑いする兄の背中を軽く蹴ってしまったほどである。
270
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:48:09 ID:mRsRQcBsO
('A`)「これでお前は守られる……」
( ^ω^)「はいはい。
そういや兄ちゃん泊まってくかお? ずいぶん酔ってるけど」
('A`)「や、帰る。家で仕事片付けねえと」
果たして仕事など出来るのか、そもそも無事に帰宅出来るのか怪しい足取りで、兄は帰っていった。
1人になった途端、部屋の静けさが身に染みる。
僕は空き缶を捨て、軽くシャワーを浴びて歯を磨き、
塩に囲まれた布団を眺め、悩んだ末にそのまま床についた。
結界なんて馬鹿らしい。
でも、試してみてもいいか──そんな諦め半分期待半分の気分だった。
.
271
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:50:35 ID:mRsRQcBsO
結局、夜中に目が覚めた。
姿勢は仰向け。体が動かない。
目を閉じようとしても、瞬き以外の目的で瞼を下ろすことが出来なかった。
いつも通りである。
( ^ω^)(やっぱ塩の意味なかった……)
──その瞬間。
僕の頭側から何かが飛び出し、視界の中を真っ直ぐ過ぎ去って、足側の壁にぶつかり、派手な音をたてた。
一瞬思考が止まる。
(;^ω^)(……塩? 皿と塩飛んだ?)
そのことに気付いたのと同時に、
暗い風景に変化が生じた。
枕元に、あの女が佇んでいた。
272
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:54:53 ID:mRsRQcBsO
ξ ⊿ )ξ
無言。微動だにしない。
けれど、怒っている雰囲気は感じ取れた。
ぞわりぞわり、寒気が背中を駆け巡る。
どうしよう。
謝るか。どうやって。口が動かない。
数秒。
唐突に、女の首が落ちた。
あるいは物凄い素早さでしゃがみ込んだのかもしれない。
とにかく女の顔が一瞬で、僕のすぐ目の前にまで下がってきた。
その距離になって、ようやく分かった。
顔は、影で隠れているのではなかった。
無数の目が顔中にくっ付いていて、しかも全てが黒目がちなものだから、
ぱっと見では真っ黒に感じられただけだった。
目に囲まれた女の口がより一層開いてどす黒い液体が垂れて僕の顔を伝って女の手が僕の頭を掴んで爪が食い込んで
ξ:::⊿:::)ξ 〈グギギギィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ〉
273
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:55:37 ID:mRsRQcBsO
(
)
i フッ
|_|
おわり
274
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 06:58:20 ID:7ZGwsD7I0
うわあ……複眼娘は守備範囲外だよお……乙
275
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 11:55:01 ID:NpN5ArHo0
こう見えてほのぼのなんじゃないかと思ったらストレートにホラーで辛い
276
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 12:48:46 ID:Mx07OxjQ0
想像したら鳥肌たったわー
乙!
277
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 18:10:52 ID:r6Fl.5Dc0
二日目始まったよー
278
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 18:24:48 ID:lKjnCvOw0
実は去年の参加者は全員、行方不明になっているのである……
279
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 18:30:48 ID:L8EnzUKE0
そうか、俺は行方不明だったのか
280
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:14:13 ID:MpiqjW.k0
おいまだ七本目だぞ
こんな調子で百いくのか?
281
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:24:22 ID:7ZGwsD7I0
これはアレだ、最終日付近でどかっと投下があるパターンだろう
282
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:41:40 ID:vIbiF2zE0
おいおいどうした
なんだよこの人のいなさは
283
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:44:01 ID:L8EnzUKE0
人はいるが作品は無い
まあこんな時もあるさ
284
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:54:14 ID:BUDFfaqo0
じゃあ後でいいかととっといた俺の作品を投下するか
285
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:54:57 ID:Hyt2ts1c0
作品出来上がらない人ばっか集まってんだな
俺とか
286
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 20:58:41 ID:Zfm9nmZ2O
八本目投下します。
閲覧注意。
.,、
(i,)
|_|
287
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:00:16 ID:Zfm9nmZ2O
――北の山には絶対に行ってはいけないよ。
どうして?
――鬼がいるからさ。
鬼? 鬼って、お伽噺に出てくる?
――そうさ。お前はまだ子供だからね。鬼に会ったら最後、ぺろりと食べられてしまうよ。
ふーん。
――信じていないだろう。
うん。
――ばあちゃんもな、昔、怖い思いをしたからきつく言ってるんだよ。
…………。
――さあ、もうそろそろ友達の来る頃だろう。
( ゚д゚ )「遊びに行っておいで、ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「うん!」
私はお婆ちゃんに手を振って部屋を飛び出した。
ξ゚⊿゚)ξ人と鬼の異文化交流のようです(^ω^ )
.
288
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:02:34 ID:Zfm9nmZ2O
庭に面した長い廊下を走る。
今日は雨だから湿っぽい。
でも今年は雨が少ないみたいだから、これで米が育つとお父さんたちは喜んでいた。
(;'A`)「ちょっとツンさま、廊下は走らないでくださいって言ってるじゃないですかー!」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、あんたも来る? 今からクーと遊ぶんだけど」
私を止めたドクオは箒を持っている。
ここに来た頃は貧相すぎる体付きにちゃんと働けるのか心配だったけれど、それは心配しすぎだったらしい。
奉公人のドクオは、今では立派な働き手で私の友達だ。
だから誘ったんだけど、私は箒を見落としていた。
うちはあまり使用人に厳しくないが、遊び惚けるのはドクオの立場を悪くする、らしい。
ドクオには悪いことをしてしまった。
('A`)「ありがとうございます。もうすぐ終わりますのでお供します」
ξ゚⊿゚)ξ「え……」
('A`)「間抜けな顔してどうしました?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや……ドクオがいいならいいんだけど、ね」
そういえば使用人の頭のモナーさんはドクオに優しかった。
都に住んでいる孫に少しだけ似ていると言っていた。
289
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:03:45 ID:Zfm9nmZ2O
('A`)「あまりツンさまの誘いを断ってるとモナーさんに怒られるんです。
『子供は風の子、もっと外で遊ぶモナー!』って」
ξ*゚⊿゚)ξ「やっぱり、モナーさんのお墨付きなのね。なら遠慮なく遊びにいきましょ!」
私は嬉しかった。
変に真面目なドクオは私の誘いを断ることも多い。
久しぶりに一緒に出かけられる。
三日前には新しい傘を買ってもらったばかりだ。
ドクオとクーにたっぷり自慢しよう。
しとしと、小雨が降っている。
門のすぐ外にはクーがいた。
真っ黒な傘は烏の羽のような色だ。
川 ゚ -゚)「おや、今日はドクオもいるのか。ツンのお守りは大変じゃないか?」
(;'A`)「いや、そんなことは……」
ξ゚⊿゚)ξ「クー、せめて私の前では言わないでよ」
川 ゚ -゚)「冗談だよ、冗談」
クーは手を口元に当てて控え目に笑った。
傘から水滴が落ちる。
290
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:04:55 ID:Zfm9nmZ2O
川 ゚ -゚)「今日の傘はいつもと違うな。新調したか?」
ξ*゚⊿゚)ξ「うん! 蛇の目っていってね、都で流行ってる柄なんだって」
川 ゚ -゚)「きれいだな。ツンによく似合ってる」
ξ*゚⊿゚)ξ「そ、そう? あんまり褒めてもなんも出ないわよ?」
クーは話上手で褒め上手だ。
読書や算術も得意で頭の回転が早いと大人たちによく褒められている。
それに素直に思ったことを口にしてくれるから、一緒にいて気楽だ。
川 ゚ -゚)「それにしても……今日は雨だが、どこに行く?」
ξ゚⊿゚)ξ「北の山の方よ。この前きれいな花が咲いてるのを見つけたの」
川 ゚ -゚)「それは楽しみだ。でも地面がぬかるんでるからゆっくり行こうな」
ξ゚⊿゚)ξ「もちろんよ」
私とクーは並んで歩きだした。
後ろにはドクオ、つかず離れずついてくる。
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオも隣歩きなさいよ」
('A`)「この先、道が狭いじゃないですか。三人では並べませんよ」
川 ゚ -゚)「今は広いだろう。君は私たちの友人だろう、そんな遠慮されると気持ち悪い」
そう言って、クーは強引にドクオの手をとった。
291
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:05:55 ID:K5cYOggE0
ミルナがばあさまか
292
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:06:19 ID:Zfm9nmZ2O
(;'A`)「うわっ……!」
川 ゚ -゚)「しっかりしろ」
ぬかるんだ地面にふらついたドクオをクーが支える。
クーの方が背も高いし、二人は友達というより姉弟みたいだ。
ξ゚⊿゚)ξ「もう少しよ」
ドクオを真ん中にして三人で並んで歩く。
晴れていたら手を繋ぎたかった。
きっともっと互いを近くに感じられて楽しい気分になれたのに。
道が狭くなる頃には縦一列で歩いていた。
花の場所を知る私が先頭だ。
真ん中を歩くクーが私やドクオの知らない面白い話をたくさんしてくれた。
('A`)「ツンさま、どこまで行くんです?」
一番後ろのドクオが言った。
雨にかき消されないように大きな声だ。
ξ゚⊿゚)ξ「たぶんあと少しー」
私も大声で返す。
この辺りは私の庭みたいなものだから迷うはずはない。
今歩いているのもよく知った道だ。
心当たりを見渡す。
たしかに咲いていた、炎のような真っ赤な花。
鮮やかできれいで、大好きな二人に見せたかった。
293
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:07:38 ID:Zfm9nmZ2O
川 ゚ -゚)「たしかにこの辺りなのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「そのはずなんだけどなぁ……」
いくら見渡しても花はない。
その代わり、私は変なものに気付いた。
ξ゚⊿゚)ξ「……?」
目の前には小さな横穴がある。
あれは見慣れたものだ。
お婆ちゃんが小さい頃からあると言っていた。
だけどその横穴の近くに、何かがあった。
('A`)「ツンさま?」
ξ゚⊿゚)ξ「しー! 何かいるかも」
ドクオとクーは顔を見合わせて首をひねった。
でも私には見える。
横穴の前の浅い水溜まりの中に、足跡が。
そろりと、足音を立てないように動きだす。
クーたちもそれに倣ってくれる。
しとしとと降り続く雨、空は暗い。
横穴の中は真っ暗なはずだ。
近くで確認すると、それはやっぱり足跡だった。
294
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:08:44 ID:Zfm9nmZ2O
ξ゚⊿゚)ξ「……!」
さらに近づいて、私はついに横穴を覗き込んだ。
そして息をのむ。
中には何か、私たちと歳は変わらなそうな子供がいた。
でもそれは普通の子供じゃなかった。
まるい頭の上には二つの突起がついていた。
川;゚ -゚)「な、なんだあれは……」
クーは小声だった。
雨音にかき消されそうな小さな声だった。
( ^ω^)「……」
なのに横穴のそいつはくるりと振り返った。
(;'A`)「ひっ!」
ドクオが小さな悲鳴をあげる。
( ^ω^)「……君たち、誰だお?」
目があった。
私は乾いた喉をなんとか動かして、言った。
ξ゚⊿゚)ξ「ツン、私の名前はツンよ。……あなたは?」
( ^ω^)「僕は……」
.
295
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:09:59 ID:Zfm9nmZ2O
頭に小さな角を持つ子供はブーンと名乗った。
クーとドクオもおそるおそる自己紹介をして、私たちはブーンのことを知った。
ブーンは気付いたらここにいたらしい。
自分は角を持つ忌み子なのだと言っていた。
忌み子というのは村の嫌われ者のことだとクーが教えてくれた。
たまに大人が食べ物を運んでくる、ブーンはそれを食べているらしい。
ブーンのことは絶対に秘密で、それを知った私たちは殺されてしまうかもしれないと言われた。
ξ゚⊿゚)ξ「そんなの、ひどい」
それが私の感想だ。
ブーンは私より年下かもしれない。
なのに、ずっとひとりぼっちだったなんて。
( ^ω^)「ひどい、のかお?」
川 ゚ -゚)「ああ、ひどいさ。君は何も悪いことをしていないんだろう?
ならこんな場所にいなければならない理由なんてないさ」
クーは右手を差し出して笑った。
川 ゚ー゚)「君の隣には私たちが立とう」
振り返って、私とドクオに向けて手を差し出す。
296
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:11:25 ID:Zfm9nmZ2O
ξ゚⊿゚)ξ「そうね」
('A`)「……」
私はドクオと手を繋いでブーンを見る。
ブーンはなにがなんだか分かっていないようだ。
ξ*゚ー゚)ξ「ブーン、友達になりましょう」
ブーンは迷って、ついに私たちの手を取った。
.
297
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:13:01 ID:Zfm9nmZ2O
それから私たちは四人で遊ぶようになった。
雨の日はみんなで横穴で過ごした。
クーの好きな書物の話を聞いたけれど、私には難しかった。
ブーンはすぐにクーの話が分かったようだった。
梅雨が終わってから沢に行った。
そこにいる小さな蟹がおいしいのだと教えてあげた。
ブーンは誰よりも蟹を捕まえるのが上手になった。
みんなでブーンの家になっている横穴を掃除した。
ドクオはさすがな箒さばきだった。
ブーンも熱心に壁の汚れを落としていた。
毎日のようにブーンと遊んだ。
クーとドクオはいないこともあったけれど、どちらかが会う時に私は必ずブーンに会った。
山の木々は黄や紅に染まっていた。
最近風が肌寒い。
よく晴れた日に、私とクーとドクオはブーンに会いに行った。
( ^ω^)「こんにちはだお! 今日は何して遊ぶお?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうしようかなぁ……」
落ち葉を足で払いながら考える。
昨日は歌をうたった。
一昨日は鬼ごっこをした。
その前はお手玉で遊んだ。
298
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:14:11 ID:Zfm9nmZ2O
川 ゚ -゚)「久しぶりにかくれんぼなんてどうだろう?」
('A`)「かくれんぼって……クーさん、前は事前に穴掘ってましたよね」
川 ゚ -゚)「今日はなんの準備もしていないぞ。正々堂々勝負だ」
クーは何をするにしても、ひとりでこっそり準備をしていたりする。
だからドクオは嫌がったのだけど、クーは正直者だ。
今回は本当に何もしていないだろう。
ξ゚⊿゚)ξ「私はいいわよ。ブーンは?」
( ^ω^)「僕もいいお。今日こそ最後まで見つからないように頑張るお!」
私とクーとブーンは賛成だ。
三人でドクオをじっと見つめる。
('A`)「三人がやりたいなら俺は反対しません。いいですよ」
私は知っている。
ドクオは絶対に私とクーには逆らわない。
だからクーがかくれんぼを提案した時、何をするかは決まっていたのと変わらない。
最初の鬼は言い出しっぺのクーに決めて、私たちは散り散りに隠れ場所を探した。
日はすっかり落ちて、空は橙色。
最後の鬼のブーンが全員を見つけて私たちはまた集まった。
299
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:15:28 ID:Zfm9nmZ2O
(*^ω^)「今日は楽しかったお!」
ブーンは全身で喜びを表現してくれた。
ξ*゚⊿゚)ξ「そうね。今日のクーは弱かったもんね」
川 ゚ -゚)「たまたまだ。私の真の実力はこんなものじゃないぞ」
('A`)「小細工なしで勝ってから言ってください」
いつものようなやりとりをして、私たちはブーンと別れた。
もう秋だ。
ブーンと出会った頃に比べると夕方は少し冷える。
私は着物の袖に手を引っ込めて体を擦りながら先頭を歩いた。
狭い一本道を真ん中くらいまで進んだ頃、ドクオは唐突に立ち止まった。
それに気付いたクーに肩をたたかれて私も立ち止まる。
川 ゚ -゚)「どうした?」
('A`)「忘れ物をしたみたいです」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ、手ぶらじゃなかった?」
みんなで遊ぶ時は基本的に手ぶらだった。
最初の頃こそブーンにいろいろなものを持っていったが、もう持っていくものが思いつかない。
ブーンの住む横穴には私たちの思い出がたくさん詰まっている。
300
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:17:08 ID:Zfm9nmZ2O
('A`)「お屋敷の蔵の鍵を預かっていたんですけど……」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ、ドクオ、あそこの掃除任されてるもんね」
うちには大きな蔵がある。
一度お父さんに連れられて入ったことがあるけれど、面白そうなものはなくてがっかりしたのを覚えている。
難しそうな書物がたくさんあったから、もしかしたらクーには楽しめるかもしれない。
とにかく蔵には大量にいろんなものがしまわれている。
屋敷の使用人のうちモナーさんが任命した三人には合鍵が渡されて、いつでも掃除をできるようになっている。
ξ゚⊿゚)ξ「あそこの鍵ならモナーさんたちも持ってるじゃない」
('A`)「そのモナーさんが信用して預けてくれた鍵です。そう簡単になくせません」
ドクオは下を向く。
影になって顔は見えない。
川 ゚ -゚)「なら私も一緒に戻ろう。もっと暗くなったら道を見失いかねないからな」
('A`)「それは出来ません。ここいらは獣もいます。俺は対処できますから、絶対についてこないでください」
ξ゚⊿゚)ξ「あ……」
私が伸ばした手が触れる前に、ドクオは走りだしてしまった。
川 ゚ -゚)「珍しいな。ドクオが私たちに、あんなはっきりものを言うなんて」
ξ゚⊿゚)ξ「……」
301
:
名も無きAAのようです
:2013/08/10(土) 21:18:29 ID:Zfm9nmZ2O
赤くて暗い森の向こうにドクオの影が消えていく。
川 ゚ -゚)「どうした、ツン?」
ξ゚⊿゚)ξ「なんでもない」
寒気がした。
まるで山にドクオが食べられてしまうようだった。
そう考えてしまう自分が嫌だ。
追い掛けようか、そう思ったけれど、ドクオの態度を見たらそれはいけないように感じた。
クーと顔を見合わせて、二人で帰り道を急いだ。
だんだん暗くなるのが、初めて怖いと思った。
結局その日、ドクオは帰ってこなかった。
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