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( ^ω^) 2012年芸術の秋ラノベ祭りのようです

1名も無きAAのようです:2012/11/22(木) 23:10:10 ID:.UzZnagU0
( ^ω^)ラノベ祭り投下及び報告スレだお


開催期間
11月18日(日)0時〜25日(日)23時59分


スレ立てを行った作品については、

作品URL
作品名
使用した絵のURL(任意)

以上のテンプレを使用して投下報告を行うこと
これがなければラノベ参加作品と見なされない
絵のURLについては、RESTさんのところからhを抜いて記載してくれればおk
スレタイに【ラノベ祭り】などの記載をするかは任意(宣伝効果はあるかもわからんね)

次スレは>>950を踏んだ人が立ててくれ

初代スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1348068145/

前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/13029/1353163378/

10名も無きAAのようです:2012/11/22(木) 23:22:39 ID:WmohpwWg0
No. 89のイラストをなんとしても使いたくて無理したらこんなんになっちまいましたが、ありがとうございました

11名も無きAAのようです:2012/11/22(木) 23:24:04 ID:.UzZnagU0
乙! ハインこえぇぇ

12名も無きAAのようです:2012/11/22(木) 23:26:48 ID:0flbA15Q0
おおお乙!
悲しいヤンデレだな…むなしくて切ない

13名も無きAAのようです:2012/11/22(木) 23:39:26 ID:5YvwPnZ20
ヤンデレと聞いてかけつけた
>>9 乙乙!

14名も無きAAのようです:2012/11/22(木) 23:44:15 ID:71Lss4Ws0
なんとヤンデレ・・・!
乙!怖いけどハイン可愛い

15名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 00:38:18 ID:cKNwt71c0
>>10
わぁい!イラスト描いた者ですヤンデレMADなハインちゃんありがとうございます!
あんなパッパラパーな絵がこんなどシリアスヘヴィラヴな作品になるとは作者様恐ろしす

1610:2012/11/23(金) 00:45:37 ID:ke5zvKHU0
反応あって嬉しいなぁ
前スレの724のときみたいにトチらなくてよかった

さあ!自分は支援にまわるから誰か書こうよ!

17名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 00:48:13 ID:TCZ108Zc0
では投下します

18名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 00:51:11 ID:TCZ108Zc0
積み重ねって大事だと思うっぽ。最初から掛け算ができる人はとても珍しいっぽ。
みんなみんな足し算と引き算を一杯勉強してできるようになったんだっぽ。
ちゃんとみんな努力してるんだっぽ。
なりたい自分のために、もしかしたら他の誰かのために。
でも世の中、そんなにうまくいかないっぽ。
一杯努力してもだめなことがあるっぽ。
どうしてもできないことだったり、やっちゃいけないことだったり、色々だっぽ。
困ったものだっぽ、やりたいことができないってとても辛いものだっぽ。
少し時間が経てばできるようになるものもあるっぽ。
だから我慢我慢・・・我慢しきれない時もあるっぽ。だからそういう時は・・・

(*‘ω‘ *) の秘密のようです ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/41.jpg

19名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 00:54:08 ID:TCZ108Zc0
( ><)「ちょっと何言ってるかわかんないんです!」

(;*‘ω‘ *)「え?これ今日の授業のやつなんだっぽ」

( ><)「え?じゃあ覚えてるはずなんです」

(*‘ω‘ *) 「いやお前完全に忘れてたっぽ」

( ><)「僕もそこまでバカじゃないんです」

(;*‘ω‘ *)「ちょおま・・・ まあいいっぽ。ここの数値がここに入るっぽ」

( ><)「えーっと、こっちで使って出たxをこっちに持ってきて・・・」

10畳位の私の部屋で、今日の例題にうんうん唸っているこいつはビロード。
家が隣で幼稚園から今の高校までいつも一緒だっぽ。
身長は私と同じくらいで、バスケをやってる私よりも細いっぽ。
短髪もサラサラで、私より女の子になってるっぽ。
でもこいつすごくバカだっぽ。
遊んでるから勉強してなくて頭悪いってわけじゃなくて、なんか頭に入ってないみたいだっぽ。
きっとこいつの頭の中はメロンパン入れになってる可能性が高いっぽ。
ほっといたら留年しかねないっぽ。
だから毎日、部活が終わったら私の部屋で勉強会だっぽ。
勉強は毎日やれば身につくっぽ、一日だけならそんなに多くないんだっぽ。
それと楽しくやることも大切だっぽ、怠ける工夫よりも楽しくする工夫のほうがいいっぽ。
まあ、私も楽しむために、っぽ。

20名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 00:56:27 ID:TCZ108Zc0
( ><)「できたんです!」

(*‘ω‘ *) 「本当かっぽ?この前、できたんです><とか言って書いた解答は次の問の完全な解答だったっぽ」

(;><)「あ、あれは問題を読み間違えただけなんです」

(*‘ω‘ *) 「どうやったら次のページの問題と読み間違えるんだっぽ・・・ぽ!正解だっぽ!」

(*><)「やったー!」

(*‘ω‘ *) 「よしよし」

細いなりに筋肉のある腕でビロードの細い首に支えられた頭をわしゃわしゃと撫でる。
やばいっぽ、こいつの首の細さはやばいっぽ。
蜜柑で殴ったら折れるんじゃないかって思えるくらい細いっぽ。
そして髪もサラサラだっぽ、どんなリンスを使ってるのか聞いてみたら、使ってないんです><。
こいつふざけやがってと、一時間くらい撫で回したことがあるっぽ。

(*><)「えへへー」

一番問題なのはこいつの仕草だっぽ。
撫でられるとわかるとちょっと頭を下げて、素直に撫でられる。
そしてえへへーって本当にお前は高校生なのかと小一時間・・・・・・・は!危ないところだったっぽ。
まだ九時じゃないっぽ、自分で作ったルールくらい守らなきゃいけないっぽ。

(*‘ω‘ *) 「次はこっちだっぽ。これはさっきの問題と同じやつだっぽ」

( ><)「数字が違うんです!」

(*‘ω‘ *) 「そうだっぽ、逆に考えれば数字だけが違うんだっぽ」

( ><)「つまり・・・どういうことなんです?」

(*‘ω‘ *) 「え?」

( ><)「え?」

(;*‘ω‘ *) 「いや・・・うん。数字が違うだけだから、解き方は待ったくおなじだっぽ」

( ><)「なら!簡単なんです!」

(;*‘ω‘ *)「お、おう」

( ><)「やってみるんです」

21名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 00:59:55 ID:TCZ108Zc0
幼稚園も小学校も中学校もずっと一緒だったっぽ。
そして将来のためには大学に進まなきゃならんっぽ。
しかしこいつと私と同じ大学に入れるにはこいつだけじゃ無理っぽ。
私はそこそこできるほうだから、復習がてらこいつに教えてやるんだっぽ・・・。

(。><)「ふぁぁ・・・ちょっと疲れたんです」

(*‘ω‘ *) 「ぽ?九時だっぽ。きゅーけーだっぽ」

( ><)「みかん茶が出てくることはわかってるんです」

(*‘ω‘ *) 「それはまだわからんっぽ。飲み物取ってくるっぽ」

( ><)「はーい」

これもいつもの習慣だっぽ。
九時になったら休憩、軽い飲み物と食べ物を食べるっぽ。
連続で勉強するのもいいけれど、適度に休憩を取らないと効率が悪くなるし、なによりやる気が無くなるっぽ。
部屋を出て下の階に行くっぽ。
ビロードが私の部屋をあさる心配もないっぽ。長年の付き合いでもう何があるかよくわかってるっぽ。
それに見られちゃいけないものは見つからないようにしてあるっぽ。
誰にも見つけられないっぽ。
我が家特性のみかん茶を淹れて部屋に戻るっぽ。
戸を開けると机にへにゃーっとへばりついてるビロードが見えるっぽ。

( ><)「この香りはみかん茶なんです、読みどおりなんです」

ああ、全く持ってお前の読みどおりだっぽ・・・いくつかを除いて。

(*‘ω‘ *) 「ほいほいっと」

お盆から机に茶碗を二つ置く。
香しきみかんの香りがするお茶だっぽ。
みかんの絵柄の入った茶碗は私ので、青い飛行機の絵柄が入った茶碗がビロードの。
これはビロード専用のだっぽ、小学生のとき一緒に買ったんだっぽ。
大事に大事に使ってるっぽ、きっと大学生になって酒を注ぐのもこれだっぽ。

22名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:04:23 ID:TCZ108Zc0
( ><)つ旦「なんかこの味にも慣れたんです」

(*‘ω‘ *) つ旦「全人類が飲みべきだっぽ」

お前のはお前専用だけど・・・っぽ。

(。><)「ふぁぁぁぁ・・・ほっとすると眠くなるんです・・・」

(*-ω- *)「ぽっぽ・・・ちょっとだけ休憩だっぽ・・・」

チクタクチクタクと時計が秒針を揺らしている。
よくあること、昔からよくあることだっぽ。
遊びつかれて私がビロードの部屋で寝ちゃったり、ビロードがお腹一杯になってそのまま私のソファーで寝ちゃったり。
本当に、よくあることだっぽ。

チクタク

( --)

チクタク

(*-ω- *)

チクタク

( --)

チクタク

(*‘ω‘ *)

(* ω *)「ビロード、起きてるかっぽ?」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「まあ、無理っぽね。いつも通りだっぽ」

ビロードは熟睡してるっぽ、おかしいくらいに。
そりゃそうだっぽ、私がお茶に薬を混ぜたんだから。
味も変わらない、本当にいい薬だっぽ。
まずある程度の即効性、飲んで15分くらいで効いてくるっぽ。
そしてかなり深い睡眠になるみたいだっぽ、なかなか起きないっぽ。
面と向かって、できるわけ無いことだってあるっぽ、少なくとも今は。
だから我慢してるっぽ、でも我慢にも限界はあるっぽ。
どうしても我慢できないときは、こうして眠らせたほうがいいっぽ。
少なくとも、これでビロードに嫌われることはないんだっぽ。

23名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:05:56 ID:zIlqNIR.0
支援

24名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:06:31 ID:TCZ108Zc0
(*‘ω‘ *) 「・・・ビロード」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「なあビロード、私をどう思ってるんだっぽ?」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「私はいっつもお前と一緒にいるっぽ、邪魔に思ったりしないのかっぽ?」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「いっつもお前は成績が悪いっぽ、一体どうしてそんなにバカなんだっぽ?」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「まあバカだから、こうして勉強を教えるっていう口実ができるから、そんなに困ってないっぽ」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「私がいつも側にいるっぽ、そろそろ気付いてほしいっぽ」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「お前が好きだから一緒にいるんだっぽ、お前を信頼して好いているからここまでしてやれるんだっぽ」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「なあビロード、大好きだっぽ。愛してるっぽ。でも今言ってもしょうがないんだっぽ」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「今色恋沙汰になっても、これからに支障が出るだけだっぽ。大学まで我慢我慢」

( --)zzzzzz

(*‘ω‘ *) 「でも我慢できないこともあるんだっぽ」

ゆっくりと刺激しないように、眠りこけてるビロードの髪に触れるっぽ。
混じり気の無い純粋な黒髪、私と同じくらいの耳が少し隠れる短髪、ふっと顔を近づけると汗のにおいがするっぽ。
汗だけでなく、なにか形容しがたい男くさいと言えばいいのか、そんな女の子のような外見に似合わないにおいもするっぽ。
ああ、心が安らぐっぽ。こう、たまっていた汚れが吹き払われるような、流し清められるような。
自分の髪とは全く違う材質なんじゃないかって疑ってしまうっぽ。
ビロードとの子供は、なるべくビロードの髪を受け継いでほしいっぽ。
私の髪はちょっと柔らかくて、やっぱりビロードには勝てないっぽ。
聞いてみたら櫛を通してなんかいないと言うんだっぽ。
ある意味女性の敵だっぽ、全く女性がどれだけ髪に気を使ってるか教えてやりたいっぽ。
すっと、手で髪をすくとサラリと指が通るっぽ。
すいた手でそのまま首元を撫でる、男子の肌ってそんなにサラサラなのかというほどに摩擦が少ないっぽ。

25名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:07:22 ID:c7BGPkOk0
支援

26名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:07:48 ID:cKNwt71c0
ヤンデレ祭りじゃー

27名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:08:41 ID:TCZ108Zc0
(*‘ω‘ *) 「女性ホルモンでも取ってるのかっぽ?」

細く、目立つ鎖骨のくぼみを指でなぞる、暖かく自分の指でちょうどいいくらいに小さい。
首を登っていく、小さなのど仏がある、これが無いと本当に女に見えるくらい中性的だ。
当たり前だが脈がある、命の振動がよくわかる。
ほっそい首を伝い、小さな顔にまで手を這わせる。
スベスベでにきびすらない顔、そばかすも無い。
まるで人形だっぽ。

(*‘ω‘ *) 「・・・」

立ち上がり、ビロードの後ろに立ち脇に手を通す。
これでもこいつは起きない、それほど強力な睡眠薬なのだ。
このままでは堪能できない、くてんとしたビロードの服を手馴れた手つきで脱がしていく。
別にこれが初めてではない、兄に睡眠薬の可能性を提示されてから、昔からやってることだ。
さすがにそれ以上には、道徳的にも進めない。
部屋は適温より少し高め、脱がせたのだから風邪をひかれては困る。
いい加減、手順は染み付いてきたっぽ。

(*‘ω‘ *) 「・・・白っ!」

ビロードの体は細い、病的ではないが標準と比べれば細い。
最低限+α程度の筋肉しかない、よくこれで生きていられるものだ。
そして肌が白い、アルビノというわけではないがその辺の女子くらいは白いのではないだろうか。
顔を撫でていた手を首から下へ、胸へ当てる。
心臓の鼓動がわかる、今度は耳を当ててみるとドクンドクンと安心させてくれる音が聞こえる。
きっと完璧な人形はこれくらい美しいのだろう、胸を撫であばらを指で数えながら下がっていく。
臍の辺りにわずかな毛が見える、毟り取ってみたいが流石に起きるだろうから撫でるだけ。
臍が白い、そして小さい、自分のと比べてもやはり小さい。
それより下は・・・一線であると判断し太ももまで手を伸ばす。
普通の男子はこれくらいの年齢なら、足にも体毛がありそして濃いはず。
なのにビロードにはほとんど無い、薄く短くやわらかい毛がわずかにあるだけ。
太股から下がってひざ、ひざから腿をモミモミしながら足首。
どこにも痣もないし傷も無い、ビロード、お前は大切にしてるっぽ。

(*‘ω‘ *) 「・・・おいしそう」

28名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:10:01 ID:ke5zvKHU0
支援じゃー

29名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:10:08 ID:TCZ108Zc0
ビロードの細い指を見ていると、どうしても手羽先を連想してしまう。
あの手羽先の骨に似ていると思うのだ。
右利きのビロード、右手の中指の第一間接にペンダコができている。
そこだけすこし膨れていて、硬い。
よかったビロード、お前はちゃんと勉強してるんだ、きっと私の見えないところでも。
顔を近づけると普段は気にならない前髪が邪魔だ。
黄色の髪留めで前髪を上げておく。
パクっとその細い指を口に含んでみる。
若干しょっぱいのは手汗だろうか、細くなんとも舐めやすい。
ちょっとだけ口の中で転がすと、しょっぱさは無くなった。
代わりにビロードの味というか、皮膚の味というか、なにか難しい味がわずかにする。
と、危ないふやけてしまうところだった。
中指をゆっくりと味わいながら開放する。
後で拭いておこう、匂いとかでばれるかもしれない。
手首からちろちろと、蛇のように下を出しながら登っていく。
やっぱりすこしだけしょっぱい。
男のほうが汗をかきやすいのだろうか、あとで自分を舐めてみるか。
いやバスケをした自分はどうしても汗をかいてる、部活が休みの日に試してみよう。
肩まで舐めて、首を登る。
こういうところに男性ホルモンを出す器官があるのだろうか、舌が触れる距離まで近づくと男の匂いがする。
すべすべの頬をペロリ、目尻あたりまでペロリ。
顔は神経が多い、なんかの拍子で起きたら大変なことになる。
まああの薬は脱がせて動かしても起きないくらい強力だけど。
浮かび上がるあばらを一つ一つ舌でなぞっていく。
私の唾液に色が付いていたら、どこか南の民族が体に染料を塗るような、そんなビロードが見れただろう。
乳首は、そのピンク色の乳首はアウトラインに入るのかどうなのか、長年脳内会議で議論されてきた。
今日は・・・久しぶりだし、特殊な例外だと思う。
よって悪いことじゃないと思う。
ペロリ、あんまり味はしないが、少し固い。
ここはしっかり男らしい。
口をつけて、まるで赤ん坊のようにちゅーっと吸って見る。
ちょっとだけ、乳首が暖かくなった気がするが、気のせいだろう。

(*‘ω‘ *) 「なんか犯罪な気がするっぽ」

(*‘ω‘ *) 「・・・・バレなきゃ犯罪ではないっぽ!」

(*‘ω‘ *) 「もう採寸は完全だっぽ」

机の鍵のかかった引き出しを開ける。
中には、ずいぶん金がかかった、年齢に見合わないもの。

30名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:12:01 ID:TCZ108Zc0
鎖、八個の鎖とビロードの手首にぴったりの輪、手錠。
ビロードの首にぴったりの赤い首輪、もちろん鎖でつないで引っ張れるようになってる、持ち手の輪も赤。
そっと、ゆっくり、あっさり、パチリ、カチリ。
できた。
子供のように眠るビロードと、それに手錠をして首輪をつけて、笑っている私。
引っ張ることは許されない、首を絞めることも許されない。
でも私はこうして、彼を繋ぐだけで、とても安心する。
繋いでるだけでいい、その持ち手を私が握ってるだけで充分。
穏やかに眠るお前を持ってるだけでいい、それだけで満たされる。

(*‘ω‘ *) 「似合ってるっぽ。やっぱりビロードには赤が似合うっぽ」

似合ってる、本当にこれは似合ってる。
白い肌、黒い髪、純粋無垢な顔、女性のような骨格、赤い首輪と鉄の手錠。
最高に、まさにビロードだと、確信してしまう。

(*‘ω‘ *) 「よっこいしょっと」

ビロードを抱えて、ソファーに寝かせる。
本当に軽いが、身長も体重もしっかり記録してある。
体に異常はない、ただ私の筋肉とこいつの痩せっぷりのせいだ。
白いソファーに白いビロード、赤い首輪。
このまま裸で寝させたら間違いなく風邪を引く。
ピンク色の毛布をベットから取って、肩までかけてやる。
これで私はかがまなくてもビロードをじっくり見ることができる。
可愛いビロードをずっと見てられる。
世の中の高校生がどう考えてるか知らないが、私は早く大人になりたい。
早く、ビロードと結ばれたい。
でもそうもいかない、社会はそんなに簡単に上手くはいかない。
だからその時を充分な環境を待っている、待ちきれないからこうしている。

(*‘ω‘ *) 「ビロード・・・愛してるっぽ、誰よりもお前を愛してるっぽ、愛してるっぽ」

(*‘ω‘ *) 「私は待ってるっぽ、その時が来るまで待ち続けてるっぽ」

(*‘ω‘ *) 「全部予定通り進めば、きっと私たちはもっと幸せになれるっぽ」

(*‘ω‘ *) 「ねぇ・・・愛してるって、言って欲しいっぽ」

無理な注文だ、少なくとも今は。
愛してくれと言える環境じゃない、でも愛してるとは言える。
不思議な関係、この一瞬だけの、不思議な環境。

コンコン

聞きなれたノックの音。
私の部屋のドアの音。
軽い、ノックの音は一人だけ。

31名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:14:33 ID:TCZ108Zc0
( <●><●>)「入りますよ」

(*‘ω‘ *) 「しーっ」

( <●><●>)「む、これは失礼」

(*‘ω‘ *) 「どうかしたのかっぽ?」

( <●><●>)「いえ、我が妹の奇行の様子見を」

(*‘ω‘ *) 「それに絶大な協力をしてる兄貴も兄貴だっぽ」

( <●><●>)「まあ大事な妹の幸せのためですからねしかたないですね」

(*‘ω‘ *) 「まあそれはありがたいっぽ」

( <●><●>)「・・・・・・あなたは歪んでます」

(*‘ω‘ *) 「今だけだっぽ。いつか私たちは結ばれるんだっぽ。そうすればこんなことはしなくて済むようになるんだっぽ」

( <●><●>)「・・・まあ好きにしなさい、使いすぎないように」

そういって兄貴は小さな薬瓶を置いてこっそりと出て行く。
次の分の睡眠薬、薬剤師の兄にはこれくらい簡単なのだと言う。
薬瓶を鍵つきの引き出しに入れて、大急ぎでビロードの前に戻る。

(*‘ω‘ *) 「あぁビロード。今は一緒になれないっぽ。でも、ふふふ」

右手で赤い持ち手を優しく持って左手でふわりと、ビロードの髪を撫でる。
きっと幸せになれるっぽ、二人なら絶対に。

(* ω *)「ふふ・・・ふふふふふふ」

いつまでも一緒だっぽ。
いつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも

32名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:16:18 ID:TCZ108Zc0
おしまい 
感想、質問などあればどうぞ

シリアスになりきれなかった感があります・・・

あ、すこし過激な描写があるので気をつけてください

33名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:18:45 ID:LuO/hzm20
おつ
ビロード視点も見てみたいなぁ

34名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:19:19 ID:Z6FKIeZM0
乙!
ヤンデレ大好きだ!

35名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:19:56 ID:c7BGPkOk0

ヤンデレなちんぽっぽかわいいわ

36名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:21:07 ID:ZHpMYeNA0
乙!
こういうちんぽっぽ初めて読んだから楽しかった

37名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:21:11 ID:A6aw38hI0
ふわわ絵を使っていただきありがとうございます!タイトルまで!
想像以上に最高なやんでれで動機が高鳴っております
乙でした!

38名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:21:18 ID:TCZ108Zc0
>>33
ビロード視点ですか、ラノベ祭りが終わったら書くかもしれません

39名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:21:48 ID:ZHpMYeNA0
>>38

楽しみ

40名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:24:44 ID:LuO/hzm20
>>38
おお 楽しみにしてる!

41名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 01:25:18 ID:TCZ108Zc0
>>37
素敵な絵をありがとうございました
何時間も見続けました

感想などありがとうございます
では、次の方どうぞ

42名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:06:50 ID:Yx23OjVg0
それでは投下します

43名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:08:06 ID:Yx23OjVg0
ξ゚⊿゚)ξ 
昔々あるところに、一人の魔法少女がいました
魔法少女と言ってもみなさんが思うようなピチピチのソレではなく、既に二十歳を超えてしまったソレです
察するのが優しさというものです、察しましょう


ξ゚⊿゚)ξ ぶどうは、ぶどうはいりませんか?

自称魔法少女はぶどうを売り歩いていました
長くて黒いローブをずるずると街を練り歩き、熟れたぶどうをみんなにすすめます
しかしそこは常識ある街の人達、魔女の売るものなんて怖くて食べれません
誰にもぶどうが買われることはありませんでした


ξ゚⊿゚)ξ 売れないわね、んもうっ

彼女に他意はありませんでした
つまるところ、ただただ普通に、自分の作った美味しいぶどうを食べてもらいたかったのです
ジュースやお酒にしてみたらもしや、と考えたこともありましたが結果は代わりません
世間はボジョレー・ヌーヴォー一色です、老いも若きもボジョレー色に染まっていました


一粒でも食べてもらえたらなあ、そんなことを考えながら今日も彼女は売り歩きます


みんなの絵本『ξ゚⊿゚)ξぶどう売りの魔女とぶどう哲学のようです』
ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/35.jpg

44名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:09:11 ID:Yx23OjVg0
ξ゚⊿゚)ξ ぶどうはいりませんかぁ! 美味しい美味しいぶどうですよ!

魔女(仮)は街角で声をはりあげます
しかし人々は無関心にその場を通り過ぎていくばかり 都会とはそういう所なのです
無口な他人と街に置き去りにされた人々で溢れかえった、ロンリロンリー切ない場所なのです


ξ゚⊿゚)ξ どうして誰にも買ってもらえないのかしら こんなに美味しいおぶどうなのに・・
       こいつらみんな舌がアホなのかしら、クソどもめ

ξ゚⊿゚)ξ あっ そこの子供、おぶどういらない?

( ・∀・) うわっ 魔法少女のおばさんだ・・ いらないよー 

ξ゚⊿゚)ξ ぶっ殺すぞ いっぱい食べないと大きくならないわよゥ

( ・∀・) 毒とか入ってそうだし・・

ξ゚⊿゚)ξ なんだと、お前を毒人間にしてやろうか

(; ・∀・) 毒人間って何!? 怖いぞこの人、うわーん!

ξ゚⊿゚)ξ あのやろう今度あったら剥製にする

魔女は心優しい人でしたが、少しばかり人付き合いが苦手でした
そのせいもあって売れないぶどうはますます売れず、結局一人で消費するばかり

45名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:10:22 ID:Yx23OjVg0
ξ゚⊿゚)ξ 今日も売れなかった はぁ、おいしいのになぁ・・ んーんまい
モグリモグリ

結局一つも売れず、自分で美味しいぶどうを頬張る魔女
一粒噛むごとに甘い香りが鼻から抜け出し、とっても幸せな気分になります
だけどこの想いが共有出来たら、もっと幸せになれるでしょう


ξ゚⊿゚)ξ 明日もまた来ようっと そんであのガキ見つけたらこr・・ ん?



  ヾヽヽ
  (;;::゚∋゚) ドゥードゥー
   ミ#__ノ
   ″″

ξ゚⊿゚)ξ あら、まぁ


魔女が明日の幸せ計画を立てている時、一匹の小鳥が目に入りました
体は傷つき目は淀み、今にも死んでしまいそうな状態
人間で言うなら落伍者といったところです 君たちみたいですね

46名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:11:18 ID:Yx23OjVg0
ξ゚⊿゚)ξ 可哀想に・・ そうだ、この小鳥にぶどうを食べさせてあげましょう ほら、おいで

(;;::゚∋゚) ドゥドゥ

魔女は小鳥にぶどうを食べさせてあげました
お腹の空いた小鳥は大喜び、目にはみるみる精気が宿ります
魔女の作るぶどうには、生き物を元気にさせるほどの美味しさがあったのです


(;;::゚∋゚) ドゥドゥ! ドゥドゥ!

ξ*゚ー゚)ξ ふふふ

小鳥さんに喜んでもらえて、魔女はとっても嬉しい気持ちになります
人には食べてもらえなかったけれど、それでも魔女は大喜び
お腹いっぱいになるまで食べさせてあげました


(;;::゚∋゚) ドゥードゥ! ドゥードゥ!

ξ゚⊿゚)ξ あら、懐かれちゃったかしら

(;;::゚∋゚) ドゥー!

ξ ゚ー゚)ξ ・・いいわ、飼ってあげる うちに来なさい

こうして魔女は小鳥を拾い、育ててあげることにしました
そんなにお金は無いけれど、自分が作ったぶどうならたくさんあります
たんせいこめて作ったぶどうで、小鳥を元気いっぱいにしてあげようと思ったのです

47名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:11:53 ID:nGAgifBo0
こr・・・コロス・・・!?

48名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:12:14 ID:Yx23OjVg0
そして数ヶ月──
小鳥はぶどうを食べながら、すくすくと育ちました




                   ヾヽヽ
          ,,.ィ'''フ''''=、r'"~ ( ゚∋゚) '''''", `ヽr''"`ヽ、 < ドゥー
        ,r'"´ ノ"    )=、 ̄ ̄,,..ィ'"´i       ヽ、
         (       ノ  ´ ̄ `Y"´            i
           )     __,,..         レ      _,,,,、       j、、
        r''ヽ. ,.ィ'''i"        J   ,,.ィ'"~  `'ヲ''ー-、ノ、 ヽ、
       / ,,.イ')'"  人        ,,l、        ノt   ) `ヽヽ
     /   /   / `ゝ、       人       ,,イ  jt、 ヽ    i
    f ,   ノ   /、   `ー--;::-ニ"_,ゝ=---‐''"    ノ ヽ、 ヽ  t、、
     )'  f   ノ ヽ、 r  、 f"   `i´ ̄` Y  `ヽ /   ゝ-,ヲ'''   )
  .   ( ,.ィ''ーr"~    ヽj  ミi      !    j'   | /       ,r"    ft
    ノ、,ノ   ヽ,     `i  、〉、.__,人,___,..イ、,i" j''       (   ,ノ j
   ( t、    l      i  ヽf     Y    ,j,.  ,/      ) ,.イ´ ノ
   fヽ ヽ、   l      l ヽ、    .|   ノ ,. /     ,.イ '"ノ   ノ
   t i   l、.  t      l  、j`ー‐‐'`ー="レ' j'     // / ,/



ξ゚⊿゚)ξ どういうことだよ


元気に育った小鳥を見て、魔女も手放しの大喜び!
魔女の作るぶどうには不思議な力があり、小鳥はいつしか大きな翼を生やすほどに成長したのです

ξ゚⊿゚)ξ 一ミリも喜んでねぇよ、翼退化してるぞおい

49名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:13:15 ID:c7BGPkOk0
ちょwwこれはwwwwwwww

50名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:13:23 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 魔法少女様 数ヶ月前、私の様な畜生を救けて頂き真に嬉しゅう御座います

ξ゚⊿゚)ξ しかも人語解しやがる・・ どうなってんだってばよ

( ゚∋゚) 貴方様の作った葡萄を食べてからというもの、全身に力が溢れるようです
     どうか私めに恩返しをさせて下さい

ξ゚⊿゚)ξ 別にいいけど・・ じゃあ家事とかよろしく
       あとぶどうの収穫も手伝ってもらおうかしら

( ゚∋゚) 有難き幸せ

こうして回復した小鳥は魔女のため、身を粉にして働きました
どの仕事も一生懸命にこなしましたが、ぶどう畑で働いている時の顔は本当に幸せそうでした
彼にとって魔女とぶどうは自分の恩人なのです、彼はこの二つを心の底から愛しました


そして彼は気付きました、魔女が本当に望んでいることを
そう、たくさんの人にぶどうを食べてもらいたいという魔女の願いです
小鳥は魔女に切り出しました

51名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:13:24 ID:TCZ108Zc0
しえんwww

52名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:14:03 ID:Yx23OjVg0
                      ヾヽヽ
                     (  ゚∋゚)  < 魔法少女様、お話があります
                 __,,.= '"::l:. ':: : : :::'' .:': : : . .  ヘ
                ,r.''" 、:`' : : :;:. ゙;:.:.:'",:':.:.:: : : : ' '   .`ヽ、
                / , ' ..: :' '゙ ' 、.,:レ ' ". : ' '  :'  .:    : ::. :Y
             l .: ,.':..    .,;'     ゙':、..   :  .'   . . :.::..:.:l
              人::'´   `'::'⌒     `:.::::l、..'  . . : :.:.:.:.:./
  .          /,  ゙f : : : : : ::'l、..  .. . . : : : : /⌒ヽ .,r‐.ィ"´ .i'
           ,'.,'  : ゙i、: : : : ;,l、: : : : : : : : ,-i'  : r   .:. . .: :.ノ
          ,イ i:. . : ⊥::'__  :'  `'': : :' '"彡}: : : ;' :  ::' :.:.:,:':/
        y'.ィ'"゙ヘ": : : : :  ̄ ''''=-..、∠ニl´‐-〈  .:' .:'´ :〃
         ,!.:.. .::'"''X.、:. : . .      `' :..   `: ´ .:' //
       i' `' :  .,‐- ..,≧、'':: .., : : : . ..  -_゙ー ::- '.:' //
       ゙!、:.:.:.: : : : :..:,.;.,: : `ト、: : : :,,: : . .   `''" ./::/
        `¨¨'' ‐- +-‐ ''¨´l::'"`ト .,,_:_: : : : ::,.. _/:::/
             ,!: i':..: : :{": : : : : : : :~7''‐-'ー'l:.:.:./
 .              / .::r'' '''tr‐-:: : 、: : :::,': : : : :.:,':.:.:.l
             / ゙: ::'.  :'    : : :,:': : : : .:,::': :.:.:{



ξ゚⊿゚)ξ おいやめろ、無駄に行数使うんじゃねえ

53名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:14:55 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 魔法少女様、お話があります 実は私めに葡萄売りのお手伝いをさせてほしいのです

ξ゚⊿゚)ξ え? そんなの別にいいわよ、もうたくさん働いてもらってるし・・

( ゚∋゚) 魔法少女様 私はあなたのもとで、葡萄哲学を学びました

ξ゚⊿゚)ξ ぶ、ぶどう哲学?

( ゚∋゚) 人間、一人では生きてゆけません

( ゚∋゚) そう 葡萄の様に、互いが一つの房で実を結び、コミュニティを形成していかねばならぬのです

( ゚∋゚) コミュニティ、それは助け合い

( ゚∋゚) 私は葡萄の様に、貴方様の力になりたいのです どうか働かせて下さいませ

ξ゚⊿゚)ξ (なに言ってんだコイツ)

魔女は小鳥の発言にいたく感動してしまいました
ぶどう哲学! 荒んだ世界でうしなわれてしまった大切なことを、この小鳥は一人で学んだのです!
我々人類の最後の希望! それがぶどう哲学!!

54名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:15:46 ID:TCZ108Zc0
小鳥じゃないよもうwww

55名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:16:07 ID:Yx23OjVg0
小鳥は魔女とともに街角に立ち始めました
何とか魔女を喜ばせてやろう、その一心で声をだします

ξ゚⊿゚)ξ ぶどうは、ぶどうはいりませんか?

( ゚∋゚) いりませんか

(; ・∀・) うわっ・・ 魔法少女のおばさんが妙なの連れてきた・・

ξ゚⊿゚)ξ あ? なんだいつもの糞ガキか どう、今日はぶどう食べたくない?

(; ・∀・) いらないよ・・ ていうかその隣のキメラみたいなのは何なの?

ξ゚⊿゚)ξ ぶどう食わせてたらこうなったのよ どう、君も肉体改造しない?

(; ・∀・) このぶどう食ったらこうなんの!? 誰がこんなの食うか、言いふらしてやろっ!

ξ#゚⊿゚)ξ あぁん!? この糞ガキマジでぶっ殺す! 待ちやがれ! 内蔵えぐりだす!!

( ゚∋゚) お待ち下さいませ魔法少女様 殺生はいけませぬ

ξ#゚⊿゚)ξ 何でよ! 一人ぐらいどうってことないじゃない!


子供をバラそうとする魔女を小鳥は丁寧にさとします
(バラすとは殺して解体するという意味です)

56名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:17:10 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 魔法少女様、たわわに実ったこの葡萄を御覧ください

ξ゚⊿゚)ξ は?

( ゚∋゚) 葡萄は一つの房に沢山の実をつけます

( ゚∋゚) しかし決して粒同士が争い合うことはありません
     一つの粒だけが大きな主張をし、巨大な実となろうとはしないのです

( ゚∋゚) 一粒一粒が互いに遠慮しあうことで、そこには調和が保たれます

( ゚∋゚) それ即ち、和を以て貴しと為す譲り合いの精神

( ゚∋゚) 思い通りにならないことがあっても、こちらから譲歩するのです 相手もいずれ分かってくれるでしょう
     葡萄がそう教えてくれました

ξ゚⊿゚)ξ (本格的になに言ってんだコイツ)

魔女は驚きのあまり声が出ませんでした
そう、自分が忘れてしまっていた道徳心を小鳥から、ひいてはぶどうから再認識したのですから!
ぶどうにこんな素晴らしい知恵が隠されていただなんて! なんという叡智!
ああ、ぶどう哲学! 素晴らしいぞぶどう哲学!

57名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:18:32 ID:Yx23OjVg0
さて、それからも彼らは街角に立ち続けました
時には積極的に売り込もうともします
しかし一向ににぶどうは売れません


ξ゚⊿゚)ξ やっぱりだめみたいね はぁ

( ゚∋゚) 魔法少女様 物事、酸いも甘いもあって当然です

( ゚∋゚) いずれ甘き成果となるでしょう そう、葡萄の様に・・
     全ての物事は葡萄の仮象に過ぎないのですから

ξ゚⊿゚)ξ (だから意味わかんねーんだよコイツ)


落ち込む魔女を、小鳥はぶどう哲学を以って励まします
葡萄哲学は生活のちょっとした一場面にも有効なのです
なぜなら人生とは生活の積み重ね、日々の生活にも有効な思想こそが真の力ある思想
痒い所にも手が届く、それがぶどう哲学!



しかし来る日も来る日も売れないと、ぶどうの叡智を吸収した小鳥も焦ります
頑張って売り込もうとしますが、彼の肉体を見ると人々は恐れをなして逃げていくばかり
彼の大きな体は、ぶどう売りの邪魔になるだけだったのです

58名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:18:34 ID:nGAgifBo0
こんなになっても小鳥という表記を変えるつもりはないというのか……ッ!
しかし葡萄ってこんなに深い果物だったんだな

59名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:19:30 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) (私は魔法少女様の力に、それも真の力になりたい)

( ゚∋゚) (しかし私の大きな肉体がその障害となる)

( ゚∋゚) (どうすれば良いのだろう・・ 葡萄様、私めに知恵をお与え下さい・・)

小鳥がぶどうに祈っても、ぶどうは何も答えてくれません
ぶどうの偉大なる知恵は我々が汲み取らねばならないもの
だからこそ、得られた知識は我々に深く身につくのです
時には厳しさを以って我々に立ちはだかる、それがぶどう哲学


彼は悩み続けました
結局自分は魔女の力になれない、周りの手伝いはできても真に望んでいることを叶えてやれない
いつしかそれは絶望にも似た色合いを帯び始めます


ξ゚⊿゚)ξ ぶどうは、ぶどうはいりませんかー

( ・∀・) 今日もいらぁ

ξ゚⊿゚)ξ 買ってけクソが

( ・∀・) いーらね

( ゚∋゚) ・・・・・・


そうして小鳥はある日、大きな決意をしました

60名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:19:37 ID:cKNwt71c0
おい地の文ブッ飛んでんぞwwww

61名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:20:33 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 魔法少女様 少し時間をもらってよろしいでしょうか

ξ゚⊿゚)ξ え? 別にいいわよ、いようがいまいが変わらんし

その言葉を聞くと、小鳥は少しだけ悲しそうな顔をしました
だけどすぐに力強い表情に戻ると、どこかへと歩き出します


ξ゚⊿゚)ξ ぶどうは、ぶどうはいりませんかー

( ・∀・) ねぇ、マッチョ戻ってきたよ

ξ゚⊿゚)ξ あら本当ね、なんなのかしら

戻ってきた小鳥の手の中には、謎の液体の入った瓶がありました
そしてすぐさま魔女に切り出します


( ゚∋゚) 魔法少女様 私は貴方様に恩返しがしたかった

( ゚∋゚) しかし私は木偶の坊、貴方様の力になるどころか邪魔をしてばかり

ξ゚⊿゚)ξ まぁ邪魔っちゃ邪魔だけど・・ お前汗臭いし・・ ムワッとするし・・

( ・∀・) いい香水知ってるよ

( ゚∋゚) そこで私は決意しました ・・いえ、葡萄が決意させてくれました

ξ゚⊿゚)ξ は?

( ・∀・) ?

62名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:21:42 ID:Yx23OjVg0
( ゚∋゚) 葡萄の役目とは、それ即ち食べられること 自身の身を捧げる、自己犠牲の精神

( ゚∋゚) これぞ究極の葡萄哲学 貴方様ならお分かりになってくれるはず

ξ゚⊿゚)ξ だからしらねーよ、なんなんだよぶどう哲学って お前と私の温度差がさっきからすげーんだよ

魔女は目を見張りました
ああ、どうしてこの小鳥はこれほどまでに賢いのだろう! そして私のことを考えてくれているのだろう!
感極まって目には涙がきらめきます 葡萄哲学は感動の哲学なのです


( ゚∋゚) 私はずるずると貴方様に迷惑をかけたくはない ですから

( ゚∋゚) バシャッバシャッ

ξ゚⊿゚)ξ !?

( ・∀・) !?

小鳥は、持ってきた液体を頭からかけました
そう、それは────食用油

63名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:22:33 ID:Yx23OjVg0
ξ;゚⊿゚)ξ えー・・ ちょ、ちょっと待って・・ あんた何・・ 何してはんの・・ えぇ・・ まさか・・

( ゚∋゚) 魔法少女様 貴方様に貰った命、お返しします・・ どうか美味しくお食べ下s
シュッ

(;;:从∋从 
ボッ

(; ・∀・) うぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!

ξ;゚⊿゚)ξ (ええええ・・ なんか・・ なんか知らんけどマッチョ自殺した・・!)

(;   ∀) うわ、な、なんか臭・・ おええええぇぇぇ!! 人肉の焼ける匂いがするよー!!
ゲボシャアァァ

ξ;゚⊿゚)ξ (くせぇ・・)

魔女は大きな悲しみのあまり、膝から崩れ落ちます
側で見ていた子供は、小鳥のその犠牲心に心を打たれて泣き叫びます
小鳥は… 小鳥は自身の命を、心優しい魔女に捧げたのです…



燃えゆく炎の中、小鳥はこう願いました
もし生まれ変わったら、美味しい美味しいぶどうになりたい、と それだけを願いました…
こうして小鳥の悲しい、けれどもぶどうに満ち溢れた生は幕を閉じたのです────



ξ゚⊿゚)ξ (なんで死んだんコイツ)

64名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:23:39 ID:Yx23OjVg0
ボオオオオォオォォォ

(; ・∀・) おええぇ・・ なんか壮絶な場面に立ち会っちゃったよう・・! ぐええぇぇっぷ・・!

ξ゚⊿゚)ξ (わけわからん・・ いいや、全部忘れてどうぶつの森やろ)
スタスタ

(; ・∀・) !? うわ、無表情で帰ってく! 後始末しろよおい! 公共の場所だぞ! なんてぶどう売りだよ、もう!
       幼い子供にグロテスクな光景みせつけやがって!

(; ・∀・) 全く、変なトラウマ植え付けられちゃったよ! 焼身自殺するマッチョなんて一生見たくな・・

(; ・∀・) (・・うん? マ・・ マ、マッチョ・・?)

( ・∀・) (マッチョ・・ マッ・・ マ、マッチ・・ョ)

( ・∀・) (マッチ・・ 魔法少女・・ 魔法・・ 少女・・ おばさん、少女・・ 燃える・・ マッチ・・ 少女・・ おばあさん・・)

( ・∀・) !!!!


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川 ゚ -゚) ──こうして小さなアンデルセン少年が見たワンシーンが
     のちの「マッチ売りの少女」となりました ぶどうとマッスルに感謝しましょう

('A`) ばかやろう


〜Fin〜

65名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:24:27 ID:.a/p/E0c0
地の文がwww温度差激しいwww

66名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:24:30 ID:nGAgifBo0
ほんとばかやろう
乙!!!!!

67名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:24:34 ID:Yx23OjVg0
おわりです
幼きアンデルセン少年と炎上するマッスルが一緒に描かれている絵も最後に使おうと思ったんですが
RESTさんを穴が空くほど探しまくってもアンデルセン少年がいませんでした ふざけるなよ貴様等、なんなんだこの祭りは
それはそうとNo.35の方、素敵な絵をありがとうございました

68名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:25:01 ID:TCZ108Zc0
壮絶な終わりかた・・・乙です!!

69名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:25:19 ID:c7BGPkOk0
またお前かwwwwwww
乙乙ww

70名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 02:26:44 ID:0GMkeeZE0
またあんたかwwww乙!
深夜に笑わせんなばかやろうwwwww

71名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:03:31 ID:ToTp39p60
>>67
小鳥じゃねぇwwww
まさかこんな面白ギャグになるなんてwww描いてる時はwww思いもしなかったwwww
ありがとうございまwwwww

72名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:41:15 ID:jLb9rTIk0
投下します!

73名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:43:12 ID:jLb9rTIk0

さっきまで、ネオン煌めく駅前の繁華街を闊歩していたものだとばかり思っていたのに、いつの間にか住宅街に迷い込んでいた。
周りは薄暗く、申し訳程度に備え付けられた電灯がぽつぽつと道を照らしていた。

私は迷子になっていた。



( ^Д^)影のお前のようです (^Д^ )

ttp://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/172.png ◆No.172

74名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:44:34 ID:jLb9rTIk0


見当をつけようと辺りを見回すが、どこかで見た事があるような家が立ち並んでいる。
道を聞こうにも、静まり返ったこの道で歩いているのは私だけだった。


良い年をしてみっともない限りだが、私はしたたかに酔っていた。
歩いているうちに酔いが回ったらしく、足取りは少し覚束ない。
これで妻に手渡す土産の品を提げれば立派な酔っ払いの出来上がりだ。


たしか、仕事帰りに一杯引っ掛けて行こうと思って居酒屋の暖簾をくぐったはずだ。
しかし、手の平にはいつも持ち歩いている皮鞄がどこにもなかった。
まさか店に置いてきてしまったのか、はたまた路上でうっかり居眠りをして忘れてここまで歩いてきてしまったのか。
慌ててポケットを探れば、貴重品の類は持っているらしい。
ならば家に一旦帰って、また街に繰り出したのか。

75名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:46:02 ID:jLb9rTIk0


( ^Д^)「俺も若いなぁ。」


そう、独りごちた。

冷たい風が頬を掠め、火照った体を冷やす。
それにしてもどうも先程から記憶が曖昧で居心地が悪い。
歩き続けても住宅街は終わりを見せず、まるで同じ所をぐるぐる回っているような気がした。


そんなまさか――。


考えただけでぞっとした。
この道の端と端をメビウスの輪のように繋げてそこを延々と歩かされる、そんな様子が簡単に想像できた。
私は少しだけ歩調を速め、何か目印になりそうなものを探した。

76名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:47:42 ID:jLb9rTIk0



かなりの距離を歩いたはずなのに、景色は一向に変わる気配がなかった。
依然としてブロック塀で囲まれた民家が立ち並ぶ。
家は一様に古かった。
本当に人が住んでいるのだろうか ?耳を澄ましても、衣擦れの音すら聞こえない。
私はほとほと困り果て、歩くのを止めて道の真ん中で立ちつくしていた。

77名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:48:41 ID:jLb9rTIk0


( :::;.:. )「あんた、迷子だろう。」


不意に声を掛けられた。
ぎょっとして振り返ってみれば、サラリーマン風の中年の男が私の真後ろに立っていた。
あと少し踏み込んでいれば、私の肘が男の頭にぶつかるところだった。


(;^Д^)そ「わぁ! あんた、一体いつからそこに !?」


明らかに異様ななりをしていた。いや、見た目に変わった所はない。
違和感を感じさせるのはその奇妙な姿勢だ。
頭を下げ、俯いたままこちらに話し掛けている。
顔には暗い影が落ち、よく見えない。
取り立てて身なりに特徴がない分、余計に気味が悪かった

78名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:50:04 ID:jLb9rTIk0


( :::;.:. )「なぁ、あんた、迷ったんだろう?」


再度同じ質問をする。
こういう手合いに長く付き合ってはいけない、手っ取り早く言いくるめてこの場を立ち去らねば。


(;^Д^)「あぁ、お気になさらず。もうしばらく歩けば家に着きますので。」


そう答えて早足で歩き出す。
大体アイツは足音もたてずにどうやって俺に近づいた ?


( :::;.:. )「年甲斐もなく、飲むからだよ。だから迷子になったんだ。あんたは酒が弱いのに。」


一定の距離を保って、男がついてくる。
早く――この男から離れなくては。


( :::;.:. )「大人しく家にいれば良かったんだ。早めに布団に入って寝れば良かった。もしくは、家に帰らなければ良かった。」


嘲るような声が後ろから響く。
額に玉のような汗が浮かんでいた。
かなりの距離を取ったのに、声は肩越しから聞こえた。


( :::;.:. )「あんな女のこと、放っておけば良かったのに。」

79名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:51:18 ID:jLb9rTIk0


早足だったのが駆け足に変わり、駆け足だったのが全力疾走へ変わる。
コートがはだけるのも構わずがむしゃらに走った。


(;^Д^)「はぁ、はぁ、はぁ。」


どこかに出口はないのか、何かここから抜け出すきっかけのようなものは――。

周りの景色は目紛るしく動き回り、線状の渦を描いていた。
私はめまいにも似た不快感に捕らわれながら走り続けた。


( :::;.:. )「あ、踏切。そっちに行っちゃいけない。危ないんだせ、そっちは。」


アイツの罠かもしれない、だか行かない訳にもいかない。
男の声はすぐ耳元で聞こえていた。

80名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:52:10 ID:jLb9rTIk0



カンカンカン――。

         カンカンカン――。

81名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:53:07 ID:jLb9rTIk0


私は絶望していた。

確かに踏切はそこにあったが、すんでのところで遮断機が道を閉ざしたのだ。
轟々と音たて、車両が分厚い壁を作り出した。
あと少し、あと少しでくぐり抜けられたのに、私はどうしていつもタイミングが悪いのだ。


早く、早く、開いてくれ。


( :::;.:. )「血がカーテンまで飛び散ってた。」


( :::;.:. )「つい、かっとなったからって灰皿でめった打ちはないよなぁ。」


( :::;.:. )「出掛けて、また帰れば、全部なかった事になると思ったんだろ ?」


男があと数歩のところにいた。

82名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:54:57 ID:jLb9rTIk0


(;^Д^)「あんた、一体何なんだ !?ペラペラ喋っているが、俺の何を知っている !?」


( :::;.:. )「俺 ?俺は……。」


男が私に近づくと、素早い動きで私の頬を両手で捕えた。
頭をがっちりと固定され、視線を逸らすことができない。


男がぎくしゃくと不自然に首を震わせながら面を上げた。


ハ,;';::;゚ )「俺はお前だよ。」

83名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:56:37 ID:jLb9rTIk0


濁った瞳が私を見つめていた。


((; ゚Д゚))「は……あ、あぁ……おま、えは」


男の太い首筋から一回り小さい女の顔が据え置かれていた。
眼窩はえぐれ、凹んで中からドロドロとした液体が零れ出していた。
前歯は殆ど折れており、腫れ上がった口はただの黒い穴のようだった。


( ^Д^)「お前は俺じゃないよ……」


首を振って答えた。
彼のおかげで私は今まで忘れていたことをすっかり思い出していた。

それは私がついさっき殺したはずの妻だった。

84名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:57:03 ID:QfGKROsQ0
こええええやめろよこの時間に!!

85名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 03:57:29 ID:jLb9rTIk0


【TV】< 八時のニュースをお伝え致します。
昨夜深夜、VIP町の自宅マンションで、28才の主婦が死亡しついるのが発見されました。


【TV】< 同日未明、VIP署に被害者の夫が出頭し、殺人容疑で逮捕されました。


【TV】< なお男性は「妻の夜遊びを咎めた所口論となり、かっとなって殺した。」と供述して……。

86名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:03:08 ID:jLb9rTIk0
以上です。

読んで下さった方、そして素敵なイラストの作者さん、
ありがとうございました。

シリアスを希望されていたのですが、
作者さんのご期待に添えたのか甚だ不安です。
絵を見てたらどうしても書きたくなっちゃったので、
もしイメージ違うようでしたらゴメンナサイ!!

87名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:07:32 ID:QfGKROsQ0
>>78あたりマジで怖かった
乙だけどこの時間に読むんじゃなかったくそ

88名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:07:34 ID:HtPnMyH.0
続けて投下しちゃうね
こんな夜だから人いないもんね

89名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:08:17 ID:HtPnMyH.0












                           星を、食べる












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90名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:09:02 ID:HtPnMyH.0


男は口を開いた。

( ・∀・)「プラネタリウムで星を探す程度には、僕たちは星を忘れてしまったのかも知れない」

静まり返ったプラネタリウムに、男の声は小さく響く。
女はその響きに対してこう答えた。

o川*゚ー゚)o「なんで忘れてしまったの?」

暫く時間をおいて、再び男は口を開く。

( ・∀・)「生きてるから」

o川*゚ー゚)o「……そう」

二人の頭上には狭い夜空が永遠に広がっていた。


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91名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:11:11 ID:HtPnMyH.0
その晩、女は夏草の茂る草原で星を仰いだ。

o川*゚ー゚)o「……見えない」

街の明りは星々の命を殺していた。
女の目の前から星々が次第に消えていく。

o川*゚ー゚)o「ん……」

女は星に手を伸ばす。
すると、右手に柔らかな温かみを感じた。

掌の上には星が一つ、ふわりと浮かんでいた。

小さな輝きを見つめ、女はこう言った。

o川*゚ー゚)o「あの人が言ったの。私たちは星を忘れてしまったって」

星は黙って聞いている。何か考えているようだった。
女は、再び言葉を発する。

o川*゚ー゚)o「悲しい?」

女の問いに対して、星は一言だけ答えた。

「それは君たちが決める事だよ」

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92名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:12:40 ID:HtPnMyH.0
夏草が風に揺れる。潮の匂いに交じって星々の残り香がふわりと舞った。

o川*゚ー゚)o「そう」

「何故そんな事を聞くの?」

o川*゚ー゚)o「君達が消えてしまいそうだから」

女の言葉を聞いて星は笑う。

「消えないさ。この星ではなく、また宇宙に生きるだけ」

o川*゚ー゚)o「それって寂しい?」

「それは君たちが決める事だよ」

そう。と女が一言添えた。続けて、瞬きをすると星の姿は消えた。

女の掌から、温もりも何もかもが消えた。
そして、風は秋の足音をさせた。


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93名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:13:33 ID:HtPnMyH.0
秋になってもプラネタリウムは美しかった。

( ・∀・)「あれはアンドロメダ」

o川*゚ー゚)o「うん」

( ・∀・)「古代エチオピアの王家は偽物の宇宙で今も輝いているんだ」

女は男の顔をじっと見ていた。頭上には星々が輝いている。

男は狭い宇宙を覗いた。空は裂け、月が顔を覗かせた。
偽りの宇宙は喜びを表現した。

( ・∀・)「二匹の魚は永遠に離れる事は出来ない。幸せ者だ」

女はかぶせる様にして言った。

o川*゚ー゚)o「どうして?」

すると男は、すこしだけ微笑んでこう答えた。

( ・∀・)「だって、みんな一人じゃないか」

o川*゚ー゚)o「そっか」

この日、これ以上二人が会話を交わす事は無かった。

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94名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:14:39 ID:HtPnMyH.0
ある日の晩、女は星を見に行った。

o川*゚ー゚)o「おいで」

固く結んだ拳を解くと、そこには星があった。
星は何も言う事無く、女の顔を見つめている。
女も星を見つめ、しばらくは喋る事が無かった。

o川*゚ー゚)o「アンドロメダはカシオペアの兄弟」

突然、女が消えた声で呟いた。
声は消えていたにもかかわらず、星に伝わる。

「そう。ペルセウスとケフェウスも」

星も消えた声で呟いた。

o川*゚ー゚)o「君は誰の兄弟?」

女の問いに対して、星は二、三秒考えたふりをして口を開いた。

「君たちの兄弟だよ」

星の声に誘われたように風がなびいた。女の髪が、さらりとたなびく。秋の声がこだまする。

95名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:15:31 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「だとしたら、君はお兄さん? それとも弟?」

星は、またしても二、三秒考えたふりをして口を開いた。

「弟さ」

女は訊ねる。

o川*゚ー゚)o「私より後に生まれたから?」

「そうじゃない」

o川*゚ー゚)o「なら、どうして?」

「それは、僕が星だからに決まってるじゃないか」

その答えに、頭上の星々が声を立てて笑い始める。
風は止み始めた。

女は風が止むのを見計らった様に口を開く。

o川*゚ー゚)o「宇宙から生まれたから?」

星は自慢げに、こう答えた。

「そうだよ」

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96名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:16:13 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「なら、私は何から生まれたの?」

笑っていた星々が顔を見合わせる。
再び風が吹き、木々がざわめいた。星の残り香はしない。

「簡単な事じゃないか」

星は呆れた風に俯いた。

o川*゚ー゚)o「え?」

「人さ」

女が瞬きをすると星は消えていた。
頭上の星々の声も聞こえなくなった。

o川*゚ー゚)o「変なの」

静かになった星空にオリオン座の声が響いた。


    「もうそろそろだね」


風が冷たくなり、冬がのしかかった。

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97名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:17:09 ID:HtPnMyH.0
プラネタリウムは冬の寒さを感じる事は無い。
何故なら、宇宙だから。

女はプラネタリウムを羨ましく思った。

( ・∀・)「君は星を食べた事があるかい」

男は女に問う。

o川*゚ー゚)o「無いよ」

女は満天の偽物を見上げながら続ける。

o川*゚ー゚)o「アナタはあるの?」

( ・∀・)「もちろんさ」

男の声にプラネタリウムは身を震わせた。
次第に空が落ちてくる。ゆっくりと降りてくる星々は、まるでくしゃくしゃにしたティシューのようだった。

( ・∀・)「ほら、食べてごらん」

男は燻った星を女に手渡す。

98名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:17:58 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「うん」

女は星を口に含んだ。
降りてきた星々は、ゆっくりと宇宙へ帰っていく。
宇宙が、おかえり、と言った。星々は、偽物の癖に、と笑った。

( ・∀・)「おいしいかい?」

女はその問いかけに答えない。
しかし、それに構うことなく男は続ける。

( ・∀・)「今君が食べたのは木星」

o川*゚ー゚)o「違う。これはリゲル」

女は否定する。

( ・∀・)「何故そう思うんだい?」

男の問いかけに女は、こう答えた。

o川*゚ー゚)o「私はとても双子になれそうもないから」

99名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:19:22 ID:HtPnMyH.0
( ・∀・)「でも、僕たちは皆双子だ」

男の言葉に星々は頷く。

o川*゚ー゚)o「だとしても、私は星と双子になりたい」

頷いていた星々が驚き、今度はざわめく。

( ・∀・)「星は弟でしかないんだよ」

そうだそうだ、と言った風に星々は再び頷いた。

o川*゚ー゚)o「それでも一緒にありたい」

女はそういうと、口を大きく開け星を戻した。
ぽろん、と音を立てて落ちる星に男は視線を移す。


プラネタリウムに風が吹いた。
風の匂いに、生えているはずの無い夏草を感じた。

男はただ一言、

( ・∀・)「星を忘れたくないんだね」

と漏らした。

100名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:20:21 ID:HtPnMyH.0
その夜、女は星を見に行った。
雪の混じる大地は、星々の輝きを受けて青白く光っている。

冬になっても人の灯りは暖かく星々を殺していた。

o川*゚ー゚)o「……ん!」

女が星空に手を伸ばすと、一筋の光が指先に落ちる。
次第にそれは球体となり、喋り始めた。

「今日も来たんだね」

o川*゚ー゚)o「うん」

ついに、星は常々疑問に思ったことを聞いた。

「夏も秋も冬も君は来る。何故?」

女は答える。

o川*゚ー゚)o「消えてしまうような気がするから」

星は再び口を開いた。

「消えないよ。宇宙で生きるだけ」

101名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:21:13 ID:HtPnMyH.0
冷たい風が吹く。

o川*゚ー゚)o「夏に言ったこと覚えてる?」

その風は星々を巻き上げてゆく。

「それは君たちが決める、って事?」

巻き上げられた星々は、レエスのカァテンの様に薄く伸びて行った。

o川*゚ー゚)o「うん。だから、決めるね」

カァテンは色鮮やかに染まり、オーロラとなる。

「そうか。決めちゃうんだ」

ゼウスがオーロラを纏い始めた。

o川*゚ー゚)o「ちょっと怖い」

そして、ゼウスは口を開く。おお、ベテルギウス。こっちへ来なさい。

「聞かせてよ、決めた事」

君たちはもう、この星には居られないよ。

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102名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:22:05 ID:HtPnMyH.0
o川*゚ー゚)o「それは……」

女が真実を言いだそうとした時、猫になった男が女の隣に座った。

  ∧∧
( -∀-)

o川*゚ー゚)o「君も聞きたいの?」

  ∧∧
( ・∀・)”

女の問いに対して、猫になった男は大きく頷いた。


その時。     びゅう、と冬の風が星の声を

o川*゚ー゚)o「じゃあ、言うね」


  運んで  いって


「うん。聞くよ」



        その        こえは





.

103名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:22:49 ID:HtPnMyH.0



      しだいに





                   まんてんのほしぞらを





                          あらたな        うちゅうへ




                  だれもしらない



      うちゅう      
                        へ




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104名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:23:50 ID:HtPnMyH.0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

可愛キュートは買って間もない缶コーヒーを開けた。
缶から上っていく湯気は、冬の澄んだ空気に色を染める。

  ∧∧
( ・∀・)

その湯気に覆いかぶさるように野良猫が頭の上から顔を覗かせた。

o川*゚ー゚)o「まだ飲めないよ。熱いもん」

可愛は、早く冷めろと言わんばかりに飲み口に息を吹きかける。
時間は経てど、着ているコートから電話の着信音が鳴りやむ事は無い。

o川*゚ー゚)o「あ」

ふと気が付いた様に、可愛が空を仰ぐ。
そこには満点の星空が広がっていた。

o川*゚ー゚)o「……綺麗」

缶コーヒーから伸びていた湯気は消えてしまった。
野良猫は、飲み口から少しだけ除く星々をじっと見ていた。

http://boonrest.web.fc2.com/maturi/2012_ranobe/e/53.jpg
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

105名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:24:44 ID:HtPnMyH.0


      「食べていいよ」

o川*゚ー゚)o「え?」

         「星」

o川*゚ー゚)o「本物の星を?」

         「うん」


 ほしは ゆっくりと おりてきました

 おんなは おりてきた ほしを つかみとります

  ∧∧
( ・∀・)

 ねこになったおとこは そのようすを みていました

 ただ、そこには

 ほしの においだけが ただよっていました



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106名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:25:48 ID:HtPnMyH.0












                        女が星を見る事は、二度と無かった。












                               星を、食べる

                                ―了―



.

107名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 04:27:51 ID:QfGKROsQ0
おお…終わり?

なんかナンセンス文学読んでるような明晰夢見てるような不思議な感覚だな…


108名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 12:36:33 ID:3N9zxaIE0
>>73
ふおおおお絵使ってくれてありがとうございます!!
ホラーで不思議な感じがとても好みです!遅レスすみません

109名も無きAAのようです:2012/11/23(金) 13:02:44 ID:K.Khobl6O
いい浮遊感だ
日常と幻想の狭間でふわふわしてる感じ


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