[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
901-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。
●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●
1
:
tun
:2011/08/11(木) 01:48:49 ID:???
プロバイダー規制や本スレの空気などでSSを投下できない人が、
本スレの代わりにこっちでSSを投下するスレ。
sageるとIDが???になるので恥ずかしい人にはお勧め。
159
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/06(木) 21:56:26 ID:???
>>158
これはいいファザコン
GJ!!
160
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/07(金) 17:28:48 ID:???
>>158
こういう禁断チックなのも悪くないっていうか断然いいよねGJ!
161
:
1/4
:2011/10/08(土) 20:58:24 ID:SU88urw6
●月×日
今日は一日中雨。特に何もなし。つまらない。
●月△日
今日は雨は降らなかったけど、どんよりしてた。ゆううつ。←これの漢字考えた人って、文字の存在意義考えたことあるの?
●月□日
窓の外の木にカラスが止まってた。くちばしまで黒いってなんなの。
●月○日
今日は天気がよかったから、中庭を散歩してみた。といっても看護婦さんに車いす押してもらってだけど。
そしたら、前は誰もいなかったはずの病室に人がいた。
男子だった。私よりちょっと年上?
目が合っちゃったから「こんにちは」ってあいさつしてあげたのに、向こうはこっち見るだけで何も言わなかった。
無視?感じ悪い。
●月#日
昨日の男子は無視したんじゃなくて、しゃべれないんだって。
看護婦さんが先生にきいたところ、なにかの病気らしい。
感じ悪いって思ったのはちょっと悪かったと思う。
でも看護婦さん、「会いに行ってみる?」ってきくのやめて。興味ないから。
●月☆日
結局あの男子に会いに行くことになってしまった。
最近入院してきたけど、この病院子供少なくて寂しいだろうから、友だちになってあげたら?って言われて。
どうせ看護婦さん、むしろ私に友だちがいないからってそんなこと言ってるんだ。
興味ないって言ってるのに。
で、会ってきたんだけど、最初手をなんか動かしてて意味わからなかった。
手話っていうらしい。
私にはわからないから、言いたいことは紙に書いてもらうことにした。
それでわかったこと。
・名前は別府タカシ君
・年は私の1個上
・病気で声が出なくなったのは2年ぐらい前。最近体調も少し悪くなってきたから入院した
・親はいなくて、親戚が病院代払ってくれてる
親がいないっていうのは私と同じだ。
なんだか流れでこれからもよろしくってことになってしまった。
そういうの興味ないのに・・・。
●月$日
今日はタカシ君の方から私の病室にきた。
よく考えたら向こうは一応歩けるんだから、その方が普通だと思う。
入り口でつまづいてたけど。
何話していいかわからないから、お互いの好きなものの話をした。
タカシ君は宇宙とか星とか好きらしい。
うわー、いかにも暗い男子の好きそうな感じ。
光速以上の速さで進む粒子が発見されたかもとか言われてもよくわからない。
地球を7回り半するのに1秒かかろうが0.5秒だろうがどうでもいい。
私なんか病院の廊下の端から端まで行くだけでも大変だ。
私は何が好きなんだってきかれたから神話が好きって答えたら、ギリシア神話とか?って言われた。
なんてベタな。まあギリシア神話も好きだけど。
一番好きなのは北欧神話。
でも、ギリシア神話ならタカシ君もちょっとはわかるらしい。
そうか、星座つながりか。
・・・きっかけは昔のマンガらしいけど。コス○石油がどうとか。
そんな感じで1時間ぐらいしゃべった。
162
:
2/4
:2011/10/08(土) 20:58:50 ID:???
●月%日
今日もタカシ君がきた。
昨日も持ってきてたけど、今日もノートを持ってきた。
タカシ君はしゃべれないからそのノートに書く。
字が汚いから読みにくいって言ったら、「ごめん」って汚い字であやまった。
なんだかなぁ。
●月&日
タカシ君はいつも3時頃くる。
ちょうどヒマな時間帯。
今日は寝癖ついた頭のままきた。
なんでこんな時間に寝ぐせついてるのってきいたら、昼寝してたらしい。
昼寝はいいけど、寝ぐせぐらいなおしてからくればいいのに・・・。
私に会うのなんか寝ぐせなおすまでもないってことかな?
失礼な。
●月!日
今日はいつもの時間になってもタカシ君がこない。
別にこなくてもいいけど、ヒマでしかたないのでこっちから行ってやった。
そういえば、タカシ君と会う前ってどうやってヒマつぶししてたんだろう。
行ってみたら、寝ぐせを必死になおしてた。
・・・寝ぐせのままも失礼だけど、私を待たせるのはもっと失礼って言ったら、
また汚い字で「ごめん」ってあやまられた。
だーかーらー。
●月@日
明日は流星群が見える予定の日らしい。
タカシ君が言ってた。
夜晴れたら屋上で一緒に見ないかって言われたけど、屋上にはエレベーターで行けないから私は無理。
大体屋上には勝手に行ったらダメだし、夜に行きたいなんて先生は許してくれないに決まってる。
そう言ったら、タカシ君、それじゃしかたないねって。
がっかりした顔で。
なんでだろう。なんでタカシ君のその顔見たら、胸が苦しかったんだろう。
●月*日
まだちょっと心臓ばくばくしてる・・・。
なんだろう、これ・・・。
結局屋上に流星群は見に行かなかったけど、せめて私の病室の窓から見ようっていう話になった。
方角的に、私の病室だともしかしたら見える可能性があるんだって。
夜おそいから、先生にも看護婦さんにも当然ナイショ。
11時ごろタカシ君はこっそりやってきた。
こんな時間にタカシ君に会うのは初めて。
というかこんな時間に人に会うことがほとんどないし。
なんだかワクワクする。修学旅行って行ったことないけど、こんな気持ち?
タカシ君と並んで窓の外見てたら、心臓がばくばくしてきた。
きっと流星群が楽しみだからだ。そうに決まってる。
タカシ君の横顔を初めて間近で見たせいじゃない。
結局、流星群は私の部屋からは見えなかった。
流れ星が見えてる間に3回願い事を言うとかなうらしいけど、タカシ君は何かお願いするつもりだったのかな。
163
:
3/4
:2011/10/08(土) 20:59:14 ID:???
●月+日
(空白)
●月=日
昨日はちょっと風邪で熱が出ちゃってずっと寝てて、日記も書けなかった。
おととい夜ふかししたせい?
今日はもう大丈夫だけど、今度はタカシ君が体調良くないらしい。
・・・はやく良くなってもらわないとヒマでしかたない。
心配とかじゃなくて、ヒマだから。
●月?日
(空白)
●月※日
昨日は日記書けなかった。それどころじゃなかったから。
タカシ君が意識不明になった。
とりあえず命に別状はなかったけど、まだ意識戻らなくて面会しゃぜつ。
このまま会えないなんてこと・・・ないよね?
どうしたらいいかわからなくて、*日のこと先生に話した。
そのせいで倒れたのかもしれないから。
泣きながら話した。
おこられると思ったけど、おこられなかった。
元々、タカシ君は入院してきた時からかなり悪かったらしい。
でも私と会うようになってからは、頑張って立って歩くようにしてたって。
なにそれ・・・なんでそんな体なのに無理して私の病室に来たの?
知ってたら私から行ったのに・・・。
●月ヾ日
まだタカシ君の意識戻らない。
看護婦さんからノートを渡された。
タカシ君が、私と話す時に使ったノート。汚い字ばっかりのノート。
中を見たら、「ごめん」って言葉がいっぱいあった。
いつも汚い字の「ごめん」。
このノート使い始めてからそんなにたってないのに、何回も「ごめん」って出てくる。
私、そんなにあやまらせてた?
ごめん・・・。私の方こそ、ごめん・・・。
(以下、ページの残りは空白。紙が濡れている)
●月◎日
やった!タカシ君の意識が戻った!
良かった・・・。
昼からは会ってもいいって言われた。
会いに行ったけど、会ったらびっくりした。
もともと細かったタカシ君はさらにやせていて、すごく弱々しかった・・・。
でも笑ってくれた。私の顔見て、笑ってくれた。
なんか胸がすごくいっぱいになって、なんて言ったらいいかわからないから、人の顔を見て笑うなんて失礼だって思わず言っちゃった。
そしたら、なんか書くジェスチャー。
いつものノートを渡してあげたら、ちょっと震える手で、いつもより汚い字で、「ごめん」って。
また私、あやまらせた・・・。ごめんなさい・・・。
私がうつむいたら、タカシ君は何かノートに書き足して、私に見せてきた。
「かぜだいじょうぶ?」って・・・。
こういう人なんだ、タカシ君は。
自分はやっと意識とりもどしたばかりで、まだ鼻にチューブとか入れられてるのに、私がちょっとひいただけの風邪なんか気にして・・・。
そんなのとっくに治ったから、早く自分も治して。
じゃないと、私、ヒマでしかたないんだから・・・。
もうタカシ君がいない時間のつぶし方なんか、わからないんだから・・・。
164
:
4/4
:2011/10/08(土) 21:00:22 ID:???
●月£日
今日もちょっとだけタカシ君に会いに行った。
でも、タカシ君は寝ていてお話できなかった。
しばらくはタカシ君の体調も不安定らしいけど、回復はするだろうって先生は言ってた。
しょうがないからこれからも様子は見にきてあげる。
ヒマだから。
●月ゝ日
今日は少しタカシ君とお話できた。
でも疲れるみたいで、ちょっとしか話せなかった。
それ以外の時間はヒマだ。
ヒマだから、色々考えた。
決めた。
●月℃日
まだタカシ君に会える時間は限られてる。
ヒマだから、歩くためのリハビリをすることにした。
先生も看護婦さんもびっくりしてたけど。
今までリハビリすすめられても、もう歩けるようになんてならなくていいって言ってたんだから、当たり前か。
でも今は歩きたい。
歩けるようになって、タカシ君と星空見て、星座の神話の話とかしたい。
それから、来年こそタカシ君と流星群を見たい。
そして流れ星に願い事をしよう。
「ずっとタカシ君と一緒にいられますように」って。
fin.
165
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/08(土) 21:00:42 ID:???
おしまい。
会話文形式しか書いたことなかったから違うのに挑戦してみたけど、難しいね。
166
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/08(土) 21:53:26 ID:???
gj!
なんか切なくて泣きそうになるような話だなぁ。
こういうの好き。
167
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/08(土) 22:18:23 ID:???
うひょーーーー
168
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/08(土) 22:31:48 ID:???
>>164
切ないけど好きだ、GJ! (´;ω;`)ブワッ
169
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/08(土) 23:03:19 ID:???
こういう話好きだ
GJ
170
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/09(日) 13:49:28 ID:???
切ない(うω;`)
こういうベタなの大好きだGJ
171
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/10(月) 22:38:14 ID:???
いいね。
二人には是非幸せになって欲しい
172
:
1/6
:2011/10/14(金) 00:57:12 ID:???
【お目当ての物が品切れでがっかりなツンデレ】
そろそろ秋も深まってきたのでコンビニの品揃えも相応になってきた頃だろう、といったことを友人と話していると、何やら目を輝かせたまつりが寄ってきたのでこっそり逃げようとしたら捕まった。
「なんでわらわが近寄ったら逃げるのじゃ! しつれーなのじゃ!」
後ろから俺に抱きつき、ふがーふがーと鼻息も荒くまつりが叫ぶ。
「また厄介ごとに巻き込まれそうな気がしたので、やれやれ系の主人公としてこれ以上やれやれと言いたくないので、前もってトラブルを避けただけなんです」
「貴様などやれやれ系の主人公ではないわ! そも、貴様などが主人公になれるはずがなかろう? なれてせいぜいわらわの物語の脇役に決まっておろう! にゃーっはっはっはっは……こら! 逃げるな!」
気持ちよさそうに笑ってるスキに逃げようとしたら、また見つかった。しかも、俺が知らず注目を集めてるスキに友人は姿を消してるし。くそぅ。
「はぁ……。んで、何用ですか猫姫さん」(なでなで)
「姫ではあるが、わらわは猫ではない! なでるな、たわけ!」
「なでやすい位置に頭があるのでなでてるだけだ、気にするな。ただ、猫姫なんだからちゃんと猫耳を用意しておくように。次回までの宿題です」
「だから、わらわは猫ではないと言っておろうがっ! 何度言えばわるかのじゃ!?」
「なでなでなで」
「にゃっ、にゃにゃにゃ……にゃふー」
「ほらみろ、猫だ」
「猫じゃないわいっ! 貴様に強めになでられると、なんかにゃふーって鳴いちゃうだけじゃっ!」
「馬鹿丸出しですね。いや、誤解されがちですが、褒め言葉ですよ?」
「褒めてる要素がないのじゃばかものうわーんっ!」
「ああごめんごめんなさい」
何やらうにゃうにゃ泣いてしまったので、頭をなでて慰める。この姫さんは打たれ弱すぎる。
「ぐしゅ……うう、貴様は今日もいじわるなのじゃ。すぐにわらわをいじめるのじゃ」
「基本的に人とのコミュニケーションが苦手なんだ。許せよ乙女」
「うにゅ……わらわじゃから許してやるが、次泣かしたりしたら許さんのじゃよ?」
小さな両手で俺の手を包み込み、小さく首を傾げるまつりさん。どこで覚えた、そんな殺人技。
「分かった、結婚しよう」
「そ、そんなこと言ってないのじゃっ!」
顔をべちべちべちっと叩かれた。
「ああ、いやその、混乱してましたスイマセン」
「ま、まったく! 貴様には困ったものなのじゃ! ぷんぷん、なのじゃ!」
顔を赤くしながら、まつりは腕を組んでそっぽを向いた。あまりの分かりやすい怒りのポーズに笑いがこみ上げる。
173
:
2/6
:2011/10/14(金) 00:57:34 ID:???
「な、何を笑っとるのじゃ! わらわは怒っとるのじゃぞ!?」
「や、悪い悪い。あんまりにもあんまりなので、こらえ切れなくて」
「う〜……今日も貴様は嫌な感じなのじゃ。……あっ、そ、そうじゃ! わらわを怒らせた罰なのじゃ、わらわにあんまんをおごるのじゃ!」
「唐突だな。肥え太りたくなったのか?」
「……本当に嫌な感じなのじゃ」
じろーっとした感じの目でにらまれた。確かに、デリカシーの欠けた発言だったか。
「冗談だが、悪かった。でも、お前はもうちょっと飯食った方がいいぞ。軽すぎる」
まつりの両ワキに手を通し、持ち上げる。さほど力をいれずとも、簡単に持ち上がった。
「わ! お、下ろすのじゃ、ばかものっ!」
「まあ落ち着け、窓の外まで手を持っていたら離してやるから」
「それじゃわらわだけが引力に引かれてミンチよりも酷くなってしまうのじゃ! 普通に教室の床に下ろすのじゃ!」
「わがままだなあ。姫の本領発揮といったところか」
「姫関係ない欲求じゃ! 生存本能なのじゃ!」
とまれ、俺も知り合いのミンチなんて見たくはない。その場にストンと下ろしてあげる。
「うむ。それでよいのじゃ」
「よかったよかった。じゃあ俺はこれで」
「うむっ♪ ……ではないっ! 普通に解放しそうになっちゃったのじゃ! なんという策士じゃ!」
「いや、策士ではなく、単にまつりが馬鹿なだけだよ」
「冷静に説明するないばかものうわーんっ!」
また泣かせてしまい、おろおろする俺です。
「さて、コンビニまで来ましたよ、姫さん」
「うむ」
なんとか泣き止ませた俺だったが、その後もスキあらば逃げようとするので手を握られてます。
「わらわを二回も泣かせた罰なのじゃ。おなかいっぱいあんまんを食べさせるのじゃ」
「え、一個じゃなくて?」
「わらわをいっぱい泣かせたのじゃから、それくらいの罰はとーぜんなのじゃ!」
「いや、おごるのは別に構わんのだが、あんま量食ったら晩飯入らないんじゃないのか? お前そんな健啖な方じゃねーだろ」
「う。……じゃ、じゃあ、二個だけにしとくのじゃ。それも、一個は今食べて、もう一個は食後に温めなおして食べるのじゃ。それなら平気じゃよ……ね?」
コクンと小首を傾げ、俺に訊ねてくるまつり。だから。気軽にそれを使うない。
174
:
3/6
:2011/10/14(金) 00:57:58 ID:???
「そうだな、子供は二人くらいほしいな」
「何の話じゃっ!?」
「まあとにかく、入ろう」
「わ、わわっ! ひ、引っ張るでない!」
自動ドアに念力を送ってドアをこじ開け、店内に入り、レジの前へ行く。
「……む? な、なんじゃとおおおおお!?」
しかし、運命の神は俺たちに微笑まなかったようだ。
「あの。ひょっとして、あんまん売り切れですか?」
店員さんは申し訳なさそうな顔をしながらうなずいた。
「ふむ。しょうがない、帰るか、まつり……まつり?」
まるでこの世の終わりのような雰囲気をまとわせ、力なくうつむいているまつり。そんな食いたかったのか。
「んー……あの、すいません、これください」
「ぬ……?」
店員さんに包んでもらい、レジで清算して店を出る。
「のう、のう。何を買ったのじゃ?」
俺の手をくいくいと引いて、まつりが訊ねる。
「ん、ああ。これこれ」
「ぬ? ……これは? 肉まん、かの?」
「あんまんがなかったからな。何もナシってのも寂しいし。一個しかないけど、よかったら食え」
「……ふ、ふんっ! わらわはあんまんが食べたかったのじゃ! こんなの食べたくないのじゃ!」
「そっか。残念だ」
「……で、でも、どーしてもわらわに食べてほしいのなら、食べてやらなくもないのじゃよ?」
チラチラと俺を見ながら、まつりが虚勢を張る。
「な、なんで笑うのじゃ!? 今日も貴様はしつれーなのじゃ!」
「いや、なんつーか……もう逆にそこがチャームポイントにしか見えねえ。しょうがない、結婚するか!」
「す、するわけないのじゃっ! どーして貴様はすぐにわらわに結婚を申し込むのじゃ!? と、とっても不愉快なのじゃ! ぷんぷんっ!」
まつりは顔を赤くしたままそっぽを向いた。もっとちゃんと叱ってほしいものだ。
「いやはや。とにかく、お前のために買ったんだ。できれば食ってほしいのだけれど」
「……そ、そこまで言うなら食べてやるのじゃ。……と、特別なのじゃ!」
「そいつぁありがたい。んじゃ、ほい」
175
:
4/6
:2011/10/14(金) 00:58:21 ID:???
まつりに包みを渡す。俺の手を離し、まつりはごそごそと中を探った。まだ湯気の立っている肉まんが姿を現す。
「んしょ、んしょ」
と、突然それを二つに割り出した。何をしているのかと思ったら、その片割れを俺に差し出した。
「も、元々あんまんを食べたかったのじゃ。お腹がそれ用になっちゃってるから、一個丸まるなんて入らないのじゃ。じゃ、じゃから、半分やるのじゃ。……他意なんてないのじゃっ!」
なんだか半分怒りながら、ぐいーっと俺に肉まんを押しつけるまつり。
「そか。じゃ、ありがたくもらおうか」
「そ、そうじゃ。ありがたがるがいいのじゃ」
俺に肉まんを渡し、まつりは即座にその手で俺の手を握った。
「……な、なんじゃ。貴様が逃げてはいかんから握っただけじゃ! 他意などないっ!」
「何も言ってません」
「へーきな顔をするでないっ、たわけっ!」
「一体どうしろと言うのだ」
「ぐぅぅぅぅ……も、もーよいのじゃ! そこの公園で一緒に食うのじゃ!」
まつりに引っ張られ、以前も来た気がする公園へ。そこのベンチにまつりと並んで座る。
「もぐもぐもぐ。……あ、おいしーのじゃ」
「ふむ。確かにうまいな」
「うむっ♪」
よほど気に入ったのか、まつりは足をパタパタさせながら肉まんを平らげた。子供みたいで行儀が悪いが、見た目が子供なので問題ないとも言えよう。
「もぐもぐもぎゅ……ぷはーっ! ごちそーさまなのじゃ。思ったよりもおいしかったのじゃ!」
「気に入ったようで何よりだ」
「うむっ♪ ……でも、ちょびっと足んないのじゃ」
明らかにまつりの視線が俺の食べかけの肉まんに注がれている。
「そ、そうか。でも、もうすぐ夕飯の時間だし、大丈夫だよな?」
「……わらわ、ちょこっとだけ足りないのじゃよ?」
稚気をふんだんに織り交ぜ、まつりは甘えた声で囁いた。ごくり、とノドが鳴る。なんだその新技。
「一個全部は食べられないんじゃなかったのか」
しかし、これ以上篭絡されるわけにはいかない。俺は目をつむって効いてないフリを試みた。
「あ、あの、あののの? ……な、なんでわらわを抱っこするのじゃ?」
「へ? ……おおおおおっ!?」
心は平静だったが、身体はその制御を失い、宿主が願う行動を取っていた。まつりを膝に乗せ、抱きかかえている。どういうことだ、俺!
176
:
5/6
:2011/10/14(金) 00:58:47 ID:???
「い、いやあの、ち、違うんデスよ? こ、これはその、なんつーか」
「……に、にゃー」
「えええええ!?」
「お、おぬしは以前からわらわのことを猫じゃ猫じゃと言うからの。そ、その、猫のフリをすれば肉まんをもらえるかと思ったのじゃ。……そ、それだけじゃからの?」
「な、なるほど。それなら猫の鳴き真似をするのも仕方ないですね」
「そ、そうなのじゃ。仕方ないのじゃ。にゃーなのじゃ」
「うーむ。これはなでざるを得ない」
「にゃ。にゃにゃにゃ。ふにゃー。にゃ」
リズムをつけてなでると、鳴き声にも変化が出て面白い。これはやみつきになる。
「もうっ! 人で遊んではいけないのじゃ!」
ニコニコしながらまつりが俺のなでなでを制止する。
「や、なんかもう楽しくて楽しくて」
「全く……困ったものなのじゃ。こ、こんなところを誰かに見られたら、恋人だと思われてしまうではないか」
怒ったような拗ねたような顔で、まつりが俺を見る。何かを期待している目だ。
「心の中ではお互い蛇蝎のごとく嫌ってるけどな」
なんか心の中に選択肢が出たんだけど、間違ったのを選んだ気がする。
「違わいっ! ……あ、いや、違くないけど、違うのじゃ! え、えと……そ、そこまで嫌っておらんってことなのじゃ……よ?」
「じゃあ俺が一方的にまつりを死ぬほど嫌ってるんだよ」(なでなで)
「ものすっごく優しい目&手つきのなでなでなのに、言ってる台詞が酷すぎなのじゃ!」
「わはははは。まつりは愉快だなあ」
「うぅー……貴様は冗談ばっかで、どれが本音なのか分からないのじゃ」
「うーん。行動からある程度察してください」
そう言いながら、まつりの黒髪を手で梳く。シルクのようなさらさらとした髪は、何の抵抗もなく俺の手の平を滑っていった。
「……あ、あぅ」
「赤くなるな。逆にこっちが恥ずかしい」
「っ! わ、わらわは! 貴様なんか嫌いじゃ! 嫌いじゃからな!」
「悲しい話だ」
「……で、でも、その肉まんをくれたら、ちょっとだけ好きになってやってもいいのじゃよ?」
「ふむ。それは心惹かれる提案だもぐもぐごっくん」
「あーっ!? もぐもぐごっくんって全部食べちゃったのじゃ! わらわの肉まん!」
177
:
6/6
:2011/10/14(金) 00:59:34 ID:???
「あ。……でも、まあ、いいか!」(ぺたぺた)
「ぬーっ!? 晴れやかな笑顔でわらわの顔に手をなすりつけるでないっ、たわけ!」
「ベタベタするんだ」
「だからと言ってどうしてわらわの顔で拭くのじゃ! こんな素敵な雰囲気でそんなのするって、貴様頭がおかしいのじゃ!」
「舐めてベタベタを取ってください」
「絶対嫌なのじゃ! ていうか明らかにベタベタ取るのと別の目的なのじゃろ!?」
「ななな何の話だか! 決して指フェラさせようとなんて!」
「今日も貴様は隙あらばえっちなのじゃーっ!」
ごばーっと怒られたが、なだめすかして舐めさせはしました。はい、変態です!(ちょお晴れやかな笑顔で)
「ちゅ、ちゅう……うー、今回だけじゃよ?」
俺の指を口内に入れながら、少しだけ困ったような顔でまつりがつぶやく。喋るたびにまつりのちっちゃな舌が指にあたり、腰骨がゾクゾクと。
「ウヒヒィ」
「ひぃーっ!? 気持ち悪いのじゃ、気持ち悪いのじゃ!」
「し、失礼な! あまりの気持ちよさに声が漏れただけですよ!?」
「それが気持ち悪いと言っとるのじゃ!」
「なんだとコンチクショウ!? 分かった、それなら明日も一緒に買い食いしよう!」
「こやつ今日もまるで話を聞いておらん!?」
「あ、別にこうやって指を舐めてもらうだけでも俺は一向にかまいません」
「わらわが一向にかまうのじゃ! 絶対に嫌なのじゃ!」
「なんと。それよりまつり、もうちょっと舐めてください」
「どんだけ変態なのじゃ貴様!? ……あ、あとちょっとしか舐めないからの?」
俺の手を両手で持ち、ぺろぺろと舐めるまつり。上目遣いで俺を見ながら、ねっとりと舌を俺の指にからめる。
「フヒヒィ」
そりゃ再度声が漏れますよ。
「ぴぃーっ!? 何度聞いても気持ち悪いのじゃーっ!」
人気のない公園にまつりの声が響くのだった。
178
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 02:52:38 ID:???
>>177
どうしてお前の手に掛かるとツンデレが全てバカになるのかwwwwww
いや。ちなみさんだけは妙に狡猾ですけどね
179
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 04:46:50 ID:???
>>177
符丁もげろ
180
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 06:13:35 ID:???
お馬鹿まつりん可愛いのう
181
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 06:50:54 ID:D54wChMw
やっぱり纏さんは最高だわ
GJ!
182
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 08:22:37 ID:???
>>177
GJ!
183
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 12:34:36 ID:???
>>177
アホな纏さんも可愛らしいじゃないか
GJ
184
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/14(金) 12:52:13 ID:???
>>177
まつりんバカで猫でかわいいwww
185
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/25(火) 16:06:48 ID:???
cmplex━━入り組んだ、錯綜した、複雑な
複合体、合成物
私は胸が小さいのがコンプレックスだ
身長が低いのがコンプレックスだ
そして何よりも色素の少ない体がコンプレックスだ
だが、これら諸問題は何一つ複雑なものはなく「体質」だの「遺伝」といった言葉で片付いてしまう単純な問題だ
しかし私はまがりなりにも青春を謳歌する女学生、悩める乙女でありたいと願うのも若さ故にしょうがないのだ
いや、一つあった
複雑怪奇で理解不能な男が一人いた
私が何度邪険にしようが、何度悪態をつこうが気にせずに親しげに話し掛けてくる男
嬉しくない、と言えば嘘になる
先天性の遺伝子障害で白人のソレよりも白い肌
生まれ持って、と言うには信じがたい銀髪
186
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/25(火) 16:07:51 ID:???
そんな奇抜を通り越しもはや異端ともいえる見た目をした私に話し掛けてくるどころか、笑いかけてくれた人を嫌いになれるはずがない
しかし私に関わってあの男の評判が悪くなるのも気に入らない
良き人なのだから良き人でいてほしい
「朱に交われば赤くなる」などと言うが私と関わったせいで鮮やかな色彩を持つあの男を白濁とした薄い色のつまらない人にしてしまうかもしれない
などという私の気持ちなど露ほど知らないあの男は突然こんなことを言い放った
『髪、綺麗だね』
真っ白でどこまでも真っ白で、何もなかった私の心
そんな何もない世界に一つ色が着いた気がした
187
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/25(火) 16:08:36 ID:???
私に関わってほしくない
今日も明日も話し掛けてきてほしい
周りと違うこの髪が嫌いだ
あの男が綺麗と言ってくれたこの髪が好きだ
悩めば悩むだけ悩みが増える
複雑だ本当に複雑だ
あの男は私の抱える唯一のコンプレックスだ
悩める乙女とはこんなにも辛いものとは思ってもみなかった
あぁ複雑で大変だ
コンプレックス━━精神分析で使われる概念
自分が他者よりも劣っているという感情
好きと嫌いが入り混じった感情
188
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/25(火) 16:55:56 ID:???
GJ!
189
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/25(火) 21:54:25 ID:???
>>187
GJ!!
新シリーズですか?
この作風大好きだ。
190
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/26(水) 00:08:50 ID:???
>>189
これで終わりです
最後にちゃんと書いておけばよかったですね
191
:
189
:2011/10/26(水) 00:40:54 ID:???
>>190
了解です。
また個性的な主人公だったのでちょっと残念ですが、次回作に期待www
あと、避難所にも書いたけど本スレまとめwiki
http://www45.atwiki.jp/viptndr/
にこのスレのまとめも載せました。
最新作まで挙がっているので、タグ付けが気に入らんとかあったら修正願います。>all
192
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/26(水) 00:54:20 ID:???
>>187
いい雰囲気の作品だ
GJ
>>191
大変な作業お疲れ様でした
193
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/28(金) 20:05:02 ID:???
本スレ
>>7
――スカイプ通話中。
タ「なんだっけ、ナグラロクオンラインだっけ? ダウンロードできたぞ。パッチも当たった。」
ち「うむ、よろしい……。では、画面指示通りに……キャラを作る」
タ「よしよし。じゃあタ、タ……タカシウスだな!」
ち「……ださ」
タ「ほっとけ!!」
――。
ち「じゃあ、今から君のキャラのところに、行く。西門前で、待て」
タ「あいよ。……って、この、”†聖猫堕天使ち〜な†”……さん、です……か?」
ち「うん」
タ「………………」
ち「……何か?」
タ「い、いや何でも……。で、何処に行けばいーんだ?」
ち「ん。……ついて来い」
――。
ち「……今の君は、最弱のボリーンにも負けるゴミクズ……以下の汚物。汚穢。」
タ「滅茶苦茶言うねお前」
ち「なので……」(ポイ)
タ「あ、なんか出た」
ち「私の数多あるアイテムの中から、それをやる……。今の君には、その程度で十分」
タ「えー、もっとこうさ、凄い武器とか無いの?」
ち「我侭を言うな……。レベル制限とか、色々制約が、ある……。……さ、ありがたく拾え」
タ「え、落ちてるの拾うの? 道具のやり取りとか、ちゃんとコマンドみたいなのが確か……」
ち「拾うの……。ちゃんと、感謝の言葉と共に、ね……」
タ「わ、分かったよっ! ……お恵み有難うございますよ!」
ち「……っ!」(ゾクゾクッ)
タ「な、何だよ」
ち「何でもない……。さっさと装備したら、狩場に行く……よ(これは中々……新しい快感……。楽しい)」
後に、彼らのギルドがこのサーバーにおいて伝説になるのだが、そこまで書くのは面倒臭い。
194
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/10/29(土) 12:45:32 ID:???
>>193
GJ!
だが本音出過ぎだろww
195
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/01(火) 00:25:21 ID:2AVmqMXg
何のかんのとしてる内にハロウィン終わった上に規制っぽいんでこっちに
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2429.jpg
はろいんちなみん
お菓子くれないと所望したお菓子の金額相応のエロい物を叩き壊す系のいたづらをする
主にコスプレ等でできた妖怪
希望するお菓子が基本的に一箱5000円のやつを二桁とかの無理ゲーなので出現したら大体諦める
その後深夜まで悲しみに暮れる男の膝の上に居座って持ってきたお菓子をボリボリ貪る
しかし泣いてると申し訳なさそうにお菓子を分けてくれるので、そこまで悪霊な感じではないようだ
あと、かぼちゃパンツのバックのジャックオーランタン顔はプリントじゃなく切り抜きなので
正直に生尻うひょひょって指摘すると撲殺される超理不尽仕様
196
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/01(火) 01:52:44 ID:???
>>195
ちなみんの生尻ふにふにふにふに
197
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/01(火) 07:29:26 ID:???
>>195
お? 超久し振り
ちなみんかわいすなあwwww
198
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/01(火) 07:42:13 ID:???
>>195
ひさしぶりだなー
そして生尻うひょひょw
199
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/04(金) 12:37:04 ID:???
アク禁
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2431.jpg
200
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/04(金) 17:43:01 ID:???
>>199
脚
201
:
1/5
:2011/11/19(土) 20:49:13 ID:???
【男が「あー、うざってえな、もう」って言ったのをツンデレが自分の事と勘違いしたら】
11月だというのにまだ蚊がいる。しっかりしろ、季節!
「あー、うざってえな、もう」
耳元でぶんぶんうるさいので、手でパタパタとあおぎつつ文句を垂れる。全く、困ったものだ。
とか思ってたら、何やら目の前に驚愕の表情を浮かべた娘が現れた。どうしたのだろう。
「……これは驚いた。タカシがとうとう私に反逆の狼煙を」
目をまん丸にしたちなみが俺に奇妙なことを言う。
「何の話でしょうか」
「ここは一つ二度と逆らわないよう、爪を剥がす必要がありそうだ」
「そんな必要はないです!」
平成の世だというのに拷問に遭う羽目になりそうだったので、必死で説得する。
「……タカシのくせに、私にうざったいとか酷いことを言うから、お返しに酷いことをするしかない、と心に誓っただけだ」
「いやいや、いやいやいや! 思いっきり言葉にしてた! 超怖かったです! やめてください!」
「……分かった。次からはいきなり実行する」
「しまった、対処したら悪化した!」
このままでは俺の指が大変危険なので、ちなみの頭をなでて大人しくさせる。
「……ぷしゅー」
大人しくなった。
「ていうかだな、うざってえと思ったのは蚊に対してであり、ちなみに対しては思っていない」
「……しかし、私はタカシをうざってえと思っている。……困った、これでは両想いになれない」
「そんな両想い聞いたことねえ」
ちなみの頬をむいむい引っ張りながら言う。
「むいむい」
「別に擬音を口に出す必要はないです」
「口に出す?」
202
:
2/5
:2011/11/19(土) 20:49:47 ID:???
「そういう単語だけ抜き出すな!」
『聞いた? 別府くん、ちなみの口に出したんだって』
『うわ、別府くん幼女無双……』
ほら、早速周囲の女学生が俺達を見てひそひそと囁きあってるし。あと、ちなみはちっこいだけで、別に幼女ではない。ていうかなんだ、幼女無双って。
「……世間で話題のカップル?」
「カップルと言うか、俺だけな。しかも、悪い意味で話題のな」
蔑むような視線を背に感じながら、ちなみの頭をなんとなくなでる。
「……幼女無双奥義、なでなでが出た」
「勝手に必殺技にしないでください」
「……これを受けると、どんな幼女も意のままという噂」
「ちなみ、全く理由はないが今日遊びに来ないか!? 素敵な洋服がいっぱいあるぞ!」
「……私は見た目が幼いだけで、実際には幼女ではないので効かないが」
「しまった、俺のコスプレ願望が漏れ出ただけで終わってしまった!」
周囲の囁き声が増えた。これ以上ちなみと関わっていては俺の学校生活がとんでもないことになってしまう。
「……しかし、タカシがどんなコスプレが好きなのか興味があるので、遊びに行ってやってもいい」
「着てくれるの!? じゃ、スク水着て、スク水! ブルマでも可! 裸ランドセルとかもいいなあ! あ、その際にはもちろん靴下着用のこと!」
「……さすが幼女無双、どんな時でも情欲を忘れないそのポリシーには脱帽だ」
周囲の囁き声が囁き声のレベルを超えだした。ていうか、ちなみではなく俺が悪いような気がする。
「ちょっと落ち着こう」
「……私は常に落ち着いてる。タカシが勝手に墓穴を掘っているだけだ」
「ぐぅの音も出やしねえ」
「……タカシいじりを堪能したので、その礼というわけではないが、今日本当に遊びに行ってやってもいい。思うがまま私を着せ替え人形にすればいい」
「マジかっ!? どんな服着てもらおうかなあ!」
「……ただ、裸ランドセルだけは勘弁な」
203
:
3/5
:2011/11/19(土) 20:50:10 ID:???
「ほう。詳しく聞かせてもらおうか、別府」
偶然にも教室に入ってきた教師が冷たい声で俺に伝える。ちなみを見ると、口元だけ笑っていた。罠でした。畜生。
放課後、先生方にたくさんの絞られ、職員室を出ると廊下でちなみが待っていた。
「……おっす、変態」
「誰のせいだ、策士」
「……何のことやら」
「はぁ……いつものことだし、まあいいや。待っててくれたんなら、一緒に帰ろうぜ」
「ん。……約束通り、コスプレしてやる」
「え。……あの、ネタじゃなかったのか?」
「……貧乳のコスプレショーなど見たくない、とタカシは言う」
「言ってねえ! あ、いや、してくれるなら大変嬉しいですが、その、いいのか?」
「……裸ランドセルの際、ばんそうこうを三枚貼る許可をくれるなら」
「しなくていいっ!」
その単語のせいで死ぬほど絞られたんだ、しばらくはいい。ていうか、そもそも冗談だし。
「……ともかく、帰ろ?」
「ん、ああ」
そんなわけで、ちなみと一緒に帰宅。そして。
「……魔女っ子ちなみ、爆誕」
我が家で変な魔女っ子が嬉しそうにポーズを決めているわけで。
「ていうか、元々変な着ぐるみばっか着てたし、そういうの好きだよな」
「……べ、別に好きじゃないし。タカシがどしてもやってほしいって言うからやってるだけだし」
「へーへー」
「……馬鹿にすると、裸ランドセルの状態で叫ぶ」
「ち、ちなみのコスプレはとってもいいなあ!」
この年で捕まりたくない。必死こいてちなみを褒める。
204
:
4/5
:2011/11/19(土) 20:50:35 ID:???
「……これは困った。どうしても私のばんそうこうをできるだけゆっくり剥がしたい、とタカシは言う」
「言ってねえ! そもそも魔女っ子のコスプレだし! それを言うならせめて裸ランドセルになってから言え!」
「……タカシは高校の同級生に裸ランドセルを強要する」
言葉だけ抜き出すとなんて台詞だ。
「お前はさながら悪魔だな」
「……変態に言われても、痛くもかゆくもない。……それより、どう?」
スカートの端を小さくつまみ、ちなみが尋ねる。
「何が」
「……感想を言え、と言っている」
「ん、ああ。大変可愛いです」
「う。……た、タカシって、そういうこと普通に言うよね」
「? 感想を、と言われたから言っただけなのだが……何かまずかったか?」
「だ、だから。……か、可愛いとか」
「ふむ。よく見たら可愛くない」
「えい」(さくり)
「おおおおおっ!?」
ノーモーションで目潰しをされ、痛さのあまり部屋をごろごろ転がる。
「……別に可愛くないと言われたいわけじゃない」
「だからと言って目潰ししないで!」
「……うるさい。ばか」
「いたた……難しい奴め」
「ふん。……でも、そっか。……可愛いと思うんだ」
「見た目は性格を反映しないからいいよね」
「ふっ。ふっ。ふっ」
「やっ、はっ、とっ」
繰り出される目潰しを鮮やかに避ける。
「……よけるな」
「来ると思ってたからな。分かってれば避けるのは容易い」
205
:
5/5
:2011/11/19(土) 20:50:55 ID:???
「……えい」(ちらり)
「おおおおおっ!?」
「……えい」(さくり)
「おおー」
スカートが少しまくりあげられ太ももが露わになった瞬間、目潰し炸裂。おめめがいたいので、またしても部屋をごろんごろん転がる。
「……今日もタカシは馬鹿だ」
「だってあんなことされたら誰だって注視しちゃいますよ!」
「……ごろごろ転がらない。邪魔」
「痛いんです、痛いんです!」
「……じゃ、邪魔だから、これで大人しくなれ」
「お?」
転がってるところを捕獲され、何か柔らかなところに頭が誘導された。
「これはまさかよもや可能性を吟味すれば」
「……長い」(ちょっぷ)
「──膝枕ですかっ!?」
「…………」(ちょっぷちょっぷちょっぷ)
「痛い痛い。鼻を付け狙うな」
まだ視界がぼやけているのでよく分からないが、ちなみの顔がやけに赤いような気がする。
「……と、とにかく。このままじっとしてるなら、もうちょっとだけしてやる」
「任せろ、心臓だって止めてやる!」
「……それは好都合。今すぐ死ね」
「言い過ぎたのを加味したとしても、この魔女っ子は冷たすぎる」
「しね。しーね」
何やら楽しげに人の頬を引っ張るちなみだった。
206
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/19(土) 21:34:18 ID:???
ちなみんかわいいお
207
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/19(土) 22:27:04 ID:???
>>205
GJすぎる可愛すぎる
ただ、こういう強気で偉そうなダウナーさんだと、声が悠木碧で再生されるのはほぼヴィクトリカのせい
208
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/21(月) 23:16:33 ID:???
>>205
ちなみんの裸ランドセル見たい!
>>207
ダウナーなら福圓さんとかもいいと思います!
209
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/22(火) 23:54:33 ID:???
むりやりいい夫婦の日ネタ
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2448.jpg
気づいたら裸を描いている…
210
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 00:05:01 ID:???
gj
211
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 00:06:43 ID:???
>>209
俺も背中流してもらいたい
GJ
212
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 07:08:27 ID:???
可愛いいいいいいいいい
髪下ろしてるとこにぐっときた!
213
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 07:12:43 ID:???
>>209
GJ!!
リナ可愛いよリナ
さすがは俺の嫁だ
214
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 16:18:22 ID:???
いや俺のだ
215
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:23:51 ID:VoPSYPf.
なんか無駄に長くなったのでこっちに投下
午後4時49分。今日も妹のおっぱいはちっぱい。
「……とう」
ぶちぶちぃっ!
「ぎゃああああ!!」
いきなりもみあげを千切られた。なんたる理不尽。
「なにすんだこらぁ!」
「……こっちの……セリフ……乙女の……胸をいきなり……触るな……」
あれ? 見ていただけのはずだったのに、いつの間にか誰かに操られていたらしい。くそぅ。
「黒幕は誰だ!」
「……紛れもなく……おにぃ……」
「ばかな! 俺は操られていただけだ!」
もみもみ。
「………………」
ぶちぶち。
「ぎゃあああああああ!」
今度は反対側を千切られた。もの凄く痛い。
「なにすんだ! これじゃあルパン三世になれないじゃないか!」
「……おにぃに……あんな甲斐性も度胸も……ないから……大丈夫……」
今日も妹は厳しい。
「なんだよぉ……ちっぱいなんだからちょっと揉んだって減るどころか増える一方じゃんかよぉ……」
「…………」
「前髪だけは! 前髪だけはご勘弁を!」
迫り来る魔の手から必死に逃げる。
「はぁ……本日も……ウチのおにぃは……バカおにぃ……」
216
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:25:03 ID:VoPSYPf.
おい、なんか川柳みたいになってるぞ。
「……なかなかいい出来……コンクールにでも……応募しよう」
「やめて! 俺のダメさを世間に知らしめないで!」
「……しょうがない……穀潰しに免じて……善処してやる……」
善処ってあれだよね、政治家がやるって言うふりしてやる気がないって言ってるのと同じあれだよね。
「うぅ…………妹が冷たいです……父さん、母さん……」
俺の心はズタボロです。
「…………あ」
「え?」
「……今日……」
「ん?」
「…………」
なにやら突然考え込む我が妹。
と思ったら、いきなり立ち上がってコートを手にとった。
「……腹痛が痛いので……薬局に行ってくる……」
「え? いや具合悪いなら」
「いってくる!」
コートを着てマフラーを巻いてさっさと家から出て行くちなみ。
元気に見えたけど……大丈夫なのか?
〜〜〜〜〜
現在時刻日本標準時間の午後10時。
「………………」
帰ってこない。
電話にも出ない、と言うか奴は電話を置いて行ったので、連絡が取れない。
217
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:26:33 ID:VoPSYPf.
出かけたのが午後の5時ぐらいだったので、とりあえずご飯やらなんやらの準備はしたし、やらなければいけない家事は一通りこなしたが、今だに帰って来ない。
妹の友達とかいろいろ電話してみたが、全員『知らないです』と返された。
心配で近所も探してみたが見つからず、とりあえず家に帰ってきて待機している。
「なにやってんだ……」
事故?病気?事件?拉致?誘拐?レイプ?犯罪に巻き込まれてるとか犯罪を犯したとか……。
警察でも病院でも誘拐犯でもいいから、取り敢えず妹の消息が知りたかった。
〜〜〜〜〜
「……ただ…………いま……」
午後11時16分。
玄関から聞こえた声に一目散に飛んで行った。
「ぁ……ご」
「どこほっつき歩いてたんだこのボケっ!」
いろいろと混乱していた俺は、思わず平手打ちを繰り出していた。
「なにしてんだどこいってたどんだけ心配したかわかってんのかこんな時間まで! せめてケータイぐらい持ってけなんの為にこれがあると思ってんだバカっ!
どっかの駅で公衆電話なりなんなり使って連絡出来ただろうが! 何考えてんだ!」
玄関開けっ放しで大声で怒鳴る。近所迷惑だけどしょうがない。そんなことにかまってる余裕は今は無い。
ちなみは某然として、ぶたれた頬を抑えながら俺を見上げていた。普段こんなに本気で怒ったことがないから、驚いているのかもしれない。
俺が言いたいことを言い切ると、ちなみは俯いて、「……ごめんなさい」としか言わなかった。
バツが悪くなって、へたり込んでるちなみを抱き起こして、テーブルの上に置きっぱなしだったすっかり冷めたメシを食わせて、
汗だくで冷え切った状態のちなみを風呂にいれて、明日は学校があるし早く寝ろとだけ言って俺は自分の部屋にもどった。
ちなみは、一言も話さなかった。
布団に潜り込んで目を瞑ると、さっきの光景が目に浮かぶ。
理由もきかずにぶったりして、あれはダメだった。いくら心配してたからと言って、そのあとのフォローもしなかったし、ぶったことについて謝罪もしなかった。
最低だ。嫌われたかも。今まで結構仲良くやってきたが、もともとそんなに高くもなかった妹の中の俺の評価はガタ落ちだ。
もう明日からは、口も聞いてくれないかもしれない。
そう思うとなんだか辛かった。
〜〜〜〜〜
218
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:27:35 ID:VoPSYPf.
〜〜〜〜〜
午前2時16分。草木も眠る丑三時。
さっきのことでもんもんとして眠れずにいると、誰かが部屋に入ってきた。どうやら妹のようだ。
「……おにぃ……」
「…………」
「……ごめんなさい……」
「…………」
「……今日……じゃなくて昨日……おにぃの誕生日……だって……気付いて……それで……」
「…………」
「……プレゼント……探してたんだけど……いいのが無くて……」
「…………」
「いろいろ……探し……回って……」
「…………」
「……でも……ごめんなさい……遅くなって……心配かけて……」
「…………」
「…………」
「…………」
「……嫌いに……ならないで……ください……」
黙って聞いていられたのはそこまでだった。
布団の中から手を出して、ちなみの腕をつかむ。そしてそのまま、布団の中に引きずりこんで、思いっきり抱きしめた。
「……お、にぃ……?」
「大事だから……あんなに心配してたんだろうが……バカ」
強く、強く、強く。痛いぐらいに、抱きしめる。
「ちなみ、ぶってごめん。痛かったろ」
「……うん……でも……大丈夫……ごめんね……」
「大好きだからな」
「……うん……大好き」
そう言えば、昔も喧嘩した時は、こうやって布団の中で仲直りしたっけなぁ……。
〜〜〜〜〜
219
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:28:23 ID:???
〜〜〜〜〜
翌朝。午前8時35分。
あのまま二人して爆睡してた俺たちは見事寝坊して、兄妹揃って遅刻する羽目になった。
「……おにぃ……遅い……」
「だってお前が髪とかしてくれって言うから……」
「……うるさい……」
「ケータイ持ったか?」
「……ん……そっちこそ……」
「持ってるよ。じゃあ、行くか」
俺の左手と、妹の右手に握られたケータイには、ペアのストラップ。
透明で薄い板状のそれをかさねると、いいものが見れるらしいが、ちなみは結局見せてくれなかった。
そのうち、こっそりと重ねてみようと思いつつ、妹を後ろに乗せて、駅まで自転車を漕ぐ。
220
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:28:50 ID:VoPSYPf.
♡ I LOVE YOU ♡
221
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:29:25 ID:VoPSYPf.
おわり
ほのぼの書こうとしてたのになんなんだ一体
222
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/23(水) 21:48:38 ID:???
ひょひょひょええええええええええええ
223
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/24(木) 00:49:38 ID:???
GJ
224
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/24(木) 00:54:34 ID:???
いい兄妹じゃないか
GJ
225
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/24(木) 02:50:54 ID:???
ニヤニヤするのと同時に目から汗が
ちくしょう、ちなみん可愛いよう
226
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:34:56 ID:???
また長くなったー
本スレも落ちてるしこっちに投下
「ただいまー……」 ソロー
「自宅に帰るのにこそこそしおって、何か疚しいことでもあるんかのう?」
「ま、纏……待っててくれたのか?」
「ふん、たまたま目が醒めてしまっただけじゃ」
「ごめんな、部下がデカい失敗して、最近はその後始末で忙しいんだ。多分あと一週間ぐらいはこんぐらいの時間になると思う」
「別に聞いてもおらん言い訳をベラベラと。別にお主がいつ帰ってくるかなんぞ儂には関係ないわ」
「そ、そうか…………悪いけどもう寝るよ。明日も早く出ないといけないから」
「……夕飯はどうするんじゃ」
「あ、ごめん。それも外で食って来たんだ」
「ふん、そうか。ならさっさと寝ろ。明日早くから起こすのも面倒じゃからな」
「そうするよ。おやすみ」
「……おやすみ」
227
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:35:20 ID:VLZRr3oQ
〜〜翌朝〜〜
「ん…………もうこんな時間か……お弁当と朝食の用意を……ん?」
おはよう
ご飯の用意はしておきました
昼は適当に外で食べるから気にすんな
今日も遅くなるから晩飯も先に食べてていいし
わざわざ起きて待ってなくてもいいからな
いってきます
(タカシ)
「…………ふん」
「ご飯どころか、洗濯もしてあるとは、殊勝な心掛けじゃな」
「アイロンも自分でかけられるようになるとは、儂の教育の成果じゃの」
「…………」
「…………ふん」
228
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:35:46 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「…………」
「…………」
「…………」
「ただいまー……」
「……遅いぞ、うつけ」
「あれ、待ってなくてもいいってかいておいたのに……」
「主人の帰りを待つのは嫁の勤めじゃ。それにお主に『旦那の帰りも待てない駄目女』などと噂を立てられてはたまらんしの」
「そんなことしねーよ。ほら、もう寝ようぜ。今日もくったくただからさ」
「風呂には入らんのか」
「ああ、朝にでもシャワー浴びるから大丈夫。もう眠いしさ」
「…………ふん」
229
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:36:14 ID:???
〜〜早朝〜〜
「…………」
今日は昨日よりもっと遅くなりそうだから待ってなくていいぞ
昼も晩飯も適当に食うから心配すんな
(タカシ)
「…………」
「朝ご飯も、の間違いじゃろうが……」
「洗濯も、ついでに風呂まで洗って行きおったな……」
「…………ふん」
230
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:36:43 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「ただいま……」
「…………」
「はぁ……待ってなくていいってば」
「……うるさい」
「仕事のことでお前に迷惑かけたくないんだよ。わかるだろ?」
「…………」
「はぁ……ごめん、もう寝よう」
「…………朝……」
「ん?」
「朝、明日は何時じゃ」
「あー……明日はそんなに早くないから大丈夫だ」
「何時じゃ」
「……えっと、まあ六時半ぐらいに出る感じかな」
「……そうか」
「じゃ、寝るか」
「…………そうじゃな」
231
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:37:24 ID:VLZRr3oQ
〜〜早朝〜〜
「…………」
「こんなもんか……ってあれ、もう起きたのか?」
「……まだ五時じゃぞ」
「ん、ちょっとやること思い出しただけだ。もう少し寝ててもいいぞ」
「…………お主は、そんなに儂が……、…………」
「ん?」
「……もういい、行かねばならんのじゃろう。はよう行け」
「おう、わかった。じゃ、行って来ます」
「…………待て。今日は何時に帰ってくる?」
「ん? え、あー…………わからん、帰ってこないってこともあるかもしれないから、本当に無理して待ってなくても良いからな」
「…………そうか」
「ん、じゃ、いってくる」 バタン
「…………」
「…………」
「……なんで……」
232
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:38:12 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「……はぁ……」
「…………」
「だからさ、ホントに大丈夫だから、待ってなくても。お前みたいな良い嫁さんにケチつけるやつなんていないから」
「…………」
「な? だからさ、明日からは無理して待ってないで先に寝ててくれ」
「……無理などしておらん」
「してるよ。そんなにつかれた顔して、無理してないように全然見えないよ」
「儂は…………無理など……しておらん」
「……わかった。ほら、いいからもう寝よう。な?」
「…………そうじゃな」
233
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:38:32 ID:VLZRr3oQ
〜〜早朝〜〜
「…………」
行って来ます
多分帰れないから戸締りしっかりな
(タカシ)
「…………まだ五時にもなっとらんのに……」
「…………」
「……無理してるのはどっちじゃ…………バカタレ」
234
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:38:52 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「……ただいま……」
「はぁ……今日は流石に先に寝たか……」
「取り敢えず麦茶でも……」 ガチャ
「……これ……夕飯か? わざわざ作って……しかも二人分残ってるし……」
「…………ふむ」
235
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:39:37 ID:VLZRr3oQ
〜〜早朝〜〜
「ん………………、……!」 ガバッ
「タカっ……!」 ガチャ
「…………」
行って来ます
晩飯うまかったよ
ごめんな
(タカシ)
「…………っ……」
「…………ばか……」 グスッ
236
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:40:01 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「…………」
「…………」
「……遅いのう……」
「…………」
「…………」 カクッ
「っ! ……いかんいかん」 フルフル
「…………」
「……早く……来てくれ……」
「…………」
「…………寂しい……」
237
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:40:25 ID:VLZRr3oQ
〜〜深夜〜〜
「…………」
「すぅ…………すぅ…………」
「……待ってなくていいって言ったのに……」 ナデナデ
「ん…………すぅ…………」
「ごめんな……」
238
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:40:47 ID:VLZRr3oQ
〜〜朝〜〜
「ん……」 パチ
「……? 玄関でタカシを待っていたはず……」 キョロキョロ
「…………」
無理すんなって言ったろ
風邪引くぞ
多分今日で一段落するから
晩飯作っておいてくれ
(タカシ)
「……!」
「…………ふ、ふん。しょうのない亭主じゃ。仕方ないから作ってやるとするかの」
「さて、久々に買い物でもいくとするかのう……」
239
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:41:09 ID:VLZRr3oQ
〜〜夜〜〜
「……つ、つくりずぎたかの……」
「…………」
「ま、まあ良かろう。ウチの亭主は食いしん坊じゃからな。このぐらいペロリと……」
prrrrrr
「なんじゃ? 電話? ……もしもし……あっ、た、タカシか? きょ、今日は何時ごろ」
『ホントにごめん……トラブルがあった先の重役の人に偉い気に入られて……食事に誘われたんだ……』
「は…………は?」
『ホントに悪い……埋め合わせは絶対するから! な? せっかく関係修復したのに下手なことでまた悪化させたら困るからさ……ごめん! ホントに!』
「で、でも…………晩ご飯……」
『ごめんっ! 呼ばれてるからもう切るぞ! ごめんな!』
ブツッ
「…………」
「…………」
「…………」
240
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:41:29 ID:VLZRr3oQ
〜〜深夜〜〜
「ふぃー……ただい、ま……」
「…………」
「な、こ、これ……晩飯?」
「……そうじゃ」
「あの、だからさ、出先で食べるって電話……」
「お主が……お主が作ってくれと言ったんじゃ」
「ごめん……でも……こんなに食えねぇよ」
「そうじゃろうな……知っておる」
「な、ならなんで……」
「…………」
「ほ、ホントにごめん……でもさ、ほ、ほら! お前が前欲しいって言ってたぬいぐるみ! 買ってきたからさ、これで機嫌直してく」
「っ!」
ばしぃっ!!
「いっ…………!? な……」
「……わからんか……そうじゃろう……なぜ儂が怒っているか……わからんじゃろうな」
241
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:41:59 ID:VLZRr3oQ
「だ、だから……約束すっぽかしたから……」
「このうつけが!」
「…………」
「儂が…………儂がどんな思いで……この数日過ごしたと思う……! 無理して働く夫の手伝いをすることもできず……愛する者と触れ合うこともできず……儂が…………
儂がどんなに苦しかったか……! お主にはわかるまい! このうつけ! うつけ! うつけ!!」
「ぁ…………」
「それを……それを……やっと帰ってきたと思えば……ぬいぐるみ……? 儂が欲しがってた……? そんなもの儂は欲しくない!儂が本当に欲しいものがなんだか知りもしないで! 理解しようとも!
考えようともせずに! 女ならプレゼントに釣られてあっさり許すとでも思ったか! このたわけが!」
「…………」
「儂が……どれだけ寂しかったか……虚しかったか……! 何も無かった……何も出来なかった……お主がいないだけで……お主と触れ合えないだけでこんなに……こんなにも……」
「…………」
「そんなもので儂が満たされると思ったか……馬鹿者…………お主でなければ……駄目なんじゃ……お主がいなければ……儂は……儂は…………死んでしまうぞ……ばか……」
「……ごめん」
「……許さんわバカタレ……ばか……ばか……」 グスッ
「…………」 ギュ
「ぅっ…………ぅ……ぅう…………」 グスグス
「ごめんな……お前の気持ち、考えてやれなくて……」 ギュー
242
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:42:34 ID:???
「………………」 グスッ
「どうしたら許してくれる……? なんでもするから……一番大事なのは……纏だからさ」 ナデナデ
「…………明日から一週間休みを取れ」
「……わかった、一週間で良いんだな?」
「そしてずっと儂といて、儂の頼みを何でも聞くんじゃぞ。わかったか?」
「わかった」
「ではまず始めに、あれを全て食べろ」
「え」
「なんじゃ、許して欲しくないのか?」
「いやさすがに今あの量は……」
「そうか……では捨てるしか無いのぅ……せっかく愛する夫のために、腕によりをかけて作ったんじゃがの……食べる者がいないのならそれはもう料理では無いのと同じじゃし……はぁ……捨てるしかないのか」
「わ、わかった! 食べる! 美味しく食べさせていただきます!」
「それで良い。きちんと感想も聞くから、存分に味わって食すように」
「わ、わかった……」
「ふん、まだ許したわけではないんじゃから、勘違いするなよ?」
「わかってるさ……愛してるぞ、纏」
「…………ふん……///」
243
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:43:15 ID:???
おわりー
なんかいっぱい書いてると思ったけど文字数的にはそうでもなかった
244
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/11/30(水) 22:45:14 ID:???
ぐううううううじょぶ!
可愛いー
さぁ一週間のデレデレを書くんじゃ!
245
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 00:35:44 ID:???
GJです
翌日からの一週間はどんな風に過ごしたのか気なるな〜
246
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 00:38:28 ID:???
>>242
なんという嫁だ
これは人生を賭けて幸せにせざるを得ない
247
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 06:49:47 ID:???
>>242
乙ですGJです
まつりさんは何だかんだで一生懸命尽くしてくれるいい嫁だ
248
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/01(木) 13:46:54 ID:???
まつりん可愛すぎるし言い嫁すぎるよおおおおおおおお
249
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 03:48:48 ID:???
『寒い』
「……」
『寒い寒いさむーい!』
「……お前なんでついてきたんだよ」
『あによ、一人さびしく天体観測なんて可哀想に思って付いてきてやったのにその言い草ー』
「別に俺一人でいいって言ったろうに……」
『むぅー、ありがとうぐらい言いなさいってのよもう! ……ああ、さむっ』
「はぁ、まったく……ほら」グイッ
『えっ……わひゃっ』マフッ
「こうして一緒に羽織れば寒くないだろ」
『あ、うぅ、でも、その……』
「大丈夫だよ、月しか見てねえし、その月ももう隠れる」
『なっ、なにかっこつけてんのよ……ばっかじゃない……』ギュゥ
「ははは……。……ありがとうな、わざわざ付き合ってくれて」
『……ん』マフマフ
夜の静かな時間に二人きりってさぞロマンチックなんだろうなという脳汁だ止まらなかった
書いたはいいがスレが落ちたのですまんがここで供養させてもらう
250
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 12:38:50 ID:???
まさに
月が綺麗ですね
だな
251
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 13:30:57 ID:???
>>249
可愛い
GJ!!
252
:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
:2011/12/11(日) 17:42:17 ID:???
>>249
こういう雰囲気いいなあ…GJ!
253
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:08:01 ID:5JjDN8AM
なんか書ける気がしたから書いた
いくよ!
254
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:08:47 ID:5JjDN8AM
一日目
ピピピピピピピ
「んぁ……今何時…………って、まだ3時じゃん……最近この時間が普通だったからなぁ……」
「流石に纏も起きてないだろうし……寝るか」
〜8:00〜
「…………ぅ」
「…………」 スヤスヤ
「ん…………?」
「…………」 スヤスヤ
「……? なんで纏がここに……?」
「…………ん……ふ……えへへ」 ニヘラ
「…………」
「ぅん…………」 ムニャムニャ
「…………」 ナデナデ
255
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:09:33 ID:???
〜11:00〜
「ふぁ……?」 パチクリ
「ん、起きた?」 ナデナデ
「ん……あれ……? 仕事……」 ペタペタ
「休むって言ったろ? これから一週間ずっと一緒だぞ」 ナデナデ
「そうか……うん……良いコトじゃ……」 ギュウ
「うん、そうだな」 ナデナデ
「…………ん? ……あれ、今何時じゃ?
」
「11時過ぎ」
「!? なんじゃあ!?」 ガバッ
「おう!?」
「馬鹿者! 何故起こさんのじゃ!」 ワタワタ
「いや、今日は家でゆっくりする予定なのかなと……」
「そんなわけあるかもったいない! 儂の完璧な計画が初日でグダグダじゃ!」
「ん? もったいないってなにが?」
「たった一週間しか一緒におれんというのに初日で昼近くまで寝るなど……はっ!」
「ん?」 ニヤニヤ
「んんっ! ごほん! ……今のは違うぞ? 一週間しかこき使えないと言おうとしたんじゃ」
「へー」 ニヤニヤ
「ニヤニヤするな! さっさと着替えろ!」 ベシッ
「あだっ! どっか行くのか?」
「もちろん、こき使うと言ったじゃろう? ショッピングじゃ!」
256
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:10:18 ID:5JjDN8AM
〜12:40〜
「どうじゃ? 似合うかの?」
「うん、白い着物もやっぱ似合うな。綺麗な黒い髪がよく映える」
「そうじゃろうそうじゃろう」 フフン
「成人式用ですか? だいぶお気が早いですね〜」 ←店員
「ん? え? あ、いえ、こいつは」
「誰が成人式じゃ! 儂は2○じゃぞ!」
「ぅえっ!? うそっ! あ、いえ! も申し訳ありません!」
「ふん!」
「まあそう怒るなって、纏がそれだけ若くて綺麗ってコトだろ?」
「……ふん……! ///」
「(なんか惚気始まった……)」
257
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:11:09 ID:5JjDN8AM
〜13:30〜
「思ったよりずっと美味いなこの店」
「そうじゃな」 モグモグ
「ほれ、こっちも美味いぞ」
「んむ……しかし、こんな洒落た店、いつの間に見つけたんじゃ?」 モグモグ
「ん〜昨日までここら辺ぐるぐるあっちいったりこっちいったりしてたから、そん時に見つけたんだよ」
「ふーん……」 モグモグ
「纏も気に入ってくれたみたいだし、忙しいのも悪いコトばっかりじゃなかったかな、なーんて」
「……」 ギリギリギリギリギリギリギリ
「いでででででで!! ごめん!ごめん! そんなコトなかった! ごめん!」
「ふん……反省が足りんようじゃの?」
「ごめん、無神経だった、ホントにゴメンなさい」
「これは儂をほったらかしにした埋め合わせじゃぞ? まだ許していないというコトを忘れるな」
「肝に命じておきます」
「宜しい。では、そろそろ帰るかの」
「あれ? まだ着物しか買ってないけど、良いのか?」
「本当はもうちょっといろいろあったんじゃがの、ま、本来この時間には家に帰る予定じゃったし、明日や明後日に回しても問題ないじゃろうて」
「そっか、じゃ、帰るか?」
「うむ」
258
:
老成嫁と一週間
:2011/12/12(月) 01:12:01 ID:5JjDN8AM
〜14:40〜
「ふう、で、家でなにするんだ?」
「暫し待っておれ、準備をしてくる」
「わかった」
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板