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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議
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雑談、キャラクターの情報交換、
今後の展開などについての総合検討を主目的とします。
今後、物語の筋に関係のない質問等はこちらでお願いします。
規約はこちら
>>2
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「これより、第七回放送を行う。死者は無い。以上」
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(御陵透子に放送させれば定時に放送されたのだと「読み替え」られたろうに、
その透子をも謁見に同席させるとはオリジナルは何を考えている?
この放送の遅れは主催側にアクシデントが発生したのだと、
参加者どもに宣言してやったようなものではないか)
オリジナル智機に毒づき情動振幅をいくぶん抑制させたN−22が、
バックグラウンドでの情報吸い上げを終えた。
N−22は直ちにデータの解析を開始する。
精査すべきは東の森での戦闘及び火災の状況。
しおりの紅涙。双葉の幻術。智機の判断。レプリカの爆散。透子の警告。
重要度の高い情報を抽出し、それらをキーに再走査。
―――N−22の情動波形が大いに乱れる。
目覚めて3分、放送して1分。
N−22は楡の木広場を中心とした事態の深刻さをようやく認識した。
(ザドゥらの安否も気遣わしいところだが、
火災の進行具合によっては全島焼失の危惧すら視野に入る。
これではゲームの進行どころではない)
そして、N−22のこの危惧は高い現実性を帯びていた。
朽木双葉の強引かつ大量の能力行使による東の森の木々の枯死が、
結果として延焼速度を大きく早めてしまっているが為に。
『椎名! 何が起きた!? 辺り一面が火の海だ。
状況の報告……ではない! 救助だ! 至急救助を寄越せ!』
N−22の動揺を断ち切るかの如くザドゥからのコールが飛び込んだ。
彼らしくない切羽詰った声が、幻術から醒めたことを伝えていた。
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=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
(PM6:08 東の森・楡の木広場西部)
広場の草地を舐めるように這いずる炎は
すでに東の森の主、楡の巨木を蹂躙していた。
双葉のゆりかごだったその巨木は既に殆どの水分を失っていた。
故に瞬く間に炎を纏い、
故に瞬く間に倒壊した。
その振動で、式神の亡骸は散った。
散って、舞った。
一瞬で全てが解けて風に溶けた。
儚くも美しい漆黒の花火が如く。
―――第七ピリオドに死者は無い。
↓
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【レプリカ智機・N−22】
【現在位置:本拠地・管制室】
【スタンス:管制管理の代行】
【所持品:内蔵型スタン・ナックル】
※式神星川が埋めた「何か」は燃えずに済んだようです。
※楡の木広場西部付近の「足跡」の場所に埋まっています。
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>>334のメール欄②については、
今回はこういう扱いにさせて頂きました。
また、透子が智機と共に謁見に向かったと書かれていますが、
謁見話が智機単独によるものなら該当部分を変更しますので
その旨レス下さい。
次回投下は「大きな楡の火の下で」。
楡の木広場のメンツを動かします。
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>>284さん、仮サイトの作成者さん
それと……
自分の書いた話の誤字脱字重複etc.を修正した.htmlファイルを
以下にアップしました。
もしよろしければ次回更新時にでも該当ファイルの差し替えを
お願い致します。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org4635.zip.html
パス無しです。
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仮投下&修正乙です。
放送7分遅れですか、楡の木以外にいる参加者はどう動くやら。
細かい感想は後ほど。
修正稿ロードさせていただきましたので、次回更新の際に上げさせていただきます。
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帰宅。
明日は休みなので推敲できます……。
>>357
智機単独です。
此方の投下を待っていたのはこういう理由だったのですね。
申し訳ない。
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地図へのリンクと追跡表とリンク関連の修正をしたまとめが完成したので上げます。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1649.zip.html
パスワードは rowa です。
>>358の修正稿ありがたく使わせてせていただきました。
次回からはSSと一緒に徐々にコンテンツを追加していく予定です。
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もうすぐ睡眠なので感想と報告を
>第七回放送 PM6:07
星川だけでなく、長老も逝ってしまわれたか……良く頑張ったよ。
焼失の様子が情緒深く書かれていて余韻に浸れました。
伏線使ってくれてありがとうございます。
新智機のキャラもオリジナルとやや違う感じで新鮮でした。
他にも別タイプの機体があったのかー。今回もGJでした。
地図のチェックをしていたら色々と見落としがあったので、再度アップします。
SSも7回放送とアナザーを一つずつ追加しました。
小屋の数が多いいいいいいいいいい。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2108.zip.html
パスは rowa です。
それと、いくつかアイデアが浮かんだのでキャラ予約します。
6人組か、知佳単体で。予約が被ればそっちの方を取り下げます。
それでなくても明日の月曜日にはどちらか決めます。
内容は6人の方はメール欄①で、知佳の方はメール欄②にする予定です。
今度の日曜日の午後までには本投下できると思います。
それを過ぎたら破棄します。
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以下9レス、「大きな楡の火の下で 〜windward〜」の
仮投下とさせていただきます。
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>>414
(二日目 PM6:08 東の森・楡の木広場方部)
最初にそれに気づいたのは素敵医師だった。
「あひーあひーひあああああああ!!」
激しい頭痛に体が慣れ始めたザドゥが彼の狼狽ぶりを見て訝しむ。
(なぜ長谷川は俺やアインではなく、頭上を見て怯えているのだ?)
解答は一挙動で得られた。
素敵医師に倣い上空を見上げたザドゥの眼前に、
真っ赤で巨大な質量が迫っていた。
「芹沢、こっちだ!」
ザドゥはぺしぺしと自分の額を叩いている芹沢の腰を抱き、横っ飛び。
直後、彼らが先ほどまでいた位置に楡の巨木が倒れてきた。
ずぅぅぅん!!
内臓まで響く地響き。接地時の風圧はさながら台風の如し。
誰もが堪らず目を閉じる。
突風が去った。
目を開けた。
彼らを取り巻く世界が劇的に変化していた。
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嗅覚を支配するのは煙と煤の刺激臭。
触覚を支配するのは肌を焦げ付かせるかの如き熱気。
聴覚を支配するのは木々と炎とが奏でる破裂音。
味覚を支配するのは込み上げる吐き気の酸味。
視覚を支配するのは眼前に立ち昇る炎の赤。
倒壊した楡の巨木からは、
あちらとこちらを隔てる結界の如き炎の壁が立ち昇っていた。
「あはははは! ざ・きゃんぷふぁいやー♪」
はしゃぐ芹沢を片手で抱え込み、ザドゥは周囲を見回す。
少し離れた地点でアインがえずいている。素敵医師の存在は確認できない。
白煙に遮られて視界は不明瞭であるが、
どうやら楡の木広場をぐるりと炎が囲っているように見受けられる。
(いつの間に……?)
ザドゥは管制室にコールをかける。
その手が震えているのは一酸化炭素中毒によるものか、
あるいは流石の彼にとってもこの状況が恐怖に値するためか。
「椎名! 何が起きた!? 辺り一面が火の海だ。
状況の報告……ではない! 救助だ! 至急救助を寄越せ!」
『確約しかねます』
対する無線の向こうからの返答は簡潔にして非情。
ザドゥは思わず頭を振る。
流麗なサンディブロンドの髪に付着していた煤が辺りに散った。
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『ザドゥ様、勘違いしないで頂きたい。
朽木双葉の幻術は解けたようだし、わたしとしても救助を出したい。
しかし、わたしは管制管理の代行権しか持たないレプリカです。
他のわたしたちを起動したり指示を与えたりすることが出来るのは
アドミニストレーター権限を有するオリジナル智機ただ一機。
透子とケイブリスに救助依頼をかけてはみようと思いますが、
果たして彼女らが素直に応じてくれるかどうか……』
「お前では話にならん。本体を出せ」
『No。オリジナルはプランナーと謁見中ですので、わたしには手出しできません』
プランナーを理由にされてはザドゥであっても口を噤む他にない。
皮膚が悲鳴をあげるほどの熱気に包まれているにも関わらず、
ザドゥの背が寒気に震えた。
ザドゥは改めて周囲を見渡す。
広場の西から火の手が迫っていた。
彼が思考のために費やせる時間が、刻一刻と削られてゆく。
(自力脱出しかないのか……)
脱出は可能だ。ザドゥはそう判断している。
特に根拠も計算も無いが、彼の尊大な自負心は揺ぎ無い。
ただし、腕の中できゃらきゃらと笑っている芹沢のことを考えなければ。
故に、ザドゥは救助要請を諦めぬ。
(椎名と俺の立場…… 代行…… オリジナルの不在……
指揮命令系統…… アドミニストレーター権限……
俺の権限!!)
辛抱強く思考を転がすザドゥに、ひらめきが宿った。
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既に猶予はない。
おそらく通信に時間をかけられるのはこれが最後だろう。
焦りも苛立ちも恐怖も飲み込んで、ザドゥは代行レプリカに問う。
「アドミニストレーター権限、と言ったな。
首魁である俺がそれを与えることは可能だな?」
『そのようなルールはありません。が、それを否定するルールもまた然り。
緊急避難の概念から考察するに、
本来のアドミニストレーター・オリジナル智機が不在の今、
代行者として権限の一時委譲を受けることは可能であると解釈します』
「わかった。権限など幾らでもくれてやる。救助を寄越せ。至急だ」
『Yes。権限の一時委譲を確認。至急救助プロセスを構築、実行します』
答えたレプリカの声が、喜びに震えているように感じられた。
ザドゥは己の見通しに誤まりが無かったことに胸を撫で下ろす。
『今、学校待機の4機の私をそちらに救助に向かわせました。
また、救助物資を持たせた1機をカタパルトより射出すべく準備を進めます』
「どのくらいかかる?」
『カタパルト射出については10分以内にて。
この10分だけ、なんとか自助努力にて命を繋いで頂きたい。
その通信機はビーコン機能もついています。
それが壊れない限り、こちらがそちらをロストする心配はありません』
「わかった。―――頼んだぞ、智機」
『……最善を尽くしましょう』
通信は切れた。条件は明確になった。あとは行動だ。
ザドゥの胸に気力が満ちる。
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胃液を吐けるだけ吐き、ようやく落ち着きを取り戻したアインへ
ザドゥが厚い掌を差し伸べた。
同じ素敵医師を追った者として相通じるものを感じたからだろうか。
彼の表情にらしくない気遣いが見て取れる。
「ファントム、立てるか?」
しかしアインは手を取ることなく、嗚咽に枯れた声でこう告げた。
「忠告するわ。むしろ立たないほうがいい。煙は高いところに昇るものだから」
ザドゥはアインの忠告に従い腰を落とす。
煙の量が少ないのか視界が広がり、呼吸も幾分楽になった。
「10分で救助が来るが、ここでは10分と保つまい。
風上になんとか活路を見出して、火の手を掻い潜りながら待つことになる。
ついて来い。脱出までの間は保護してやる」
「あなたはもう、長谷川を追わないのね?」
「長谷川が楡の木の下敷きになった今、追うも追わぬもなかろうよ」
「下敷きに? 憶測で物を言ってはいけないわ。
わたしは見たの。
楡の木が接地する瞬間、あの男が向こう側へ転がったのを」
「そうだとしても、だ。
長谷川とてこの炎の中、風下に身を置いていては助からんだろう。
懲罰の必要はくなった」
そう。風は強く吹いていた。
北東から南西へ。
炎の壁のこちらから、あちらへ。
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ザドゥの見通しは正しい。
アインが見た光景が願望からくる幻影ではなく事実だったとしても、
気力破壊暴発の後遺症に身の自由を奪われている素敵医師が、
今後数分のうちに焼死することは明白だ。
だというのに。それがわかっていてもなお、アインはこう告げた。
「それは間違いないでしょう。でも―――
私が追いつくまで生きていてくれれば、それでいい」
呼吸が止まった。視線が交錯した。
アインの体がしなやかに後方へと跳ね、ザドゥの伸ばした腕が空を切った。
あくまでも素敵医師を追うのだと、アインの行動は語っていた。
おまえを助けたいのだと、ザドゥの行動は語っていた。
追跡のその先に待つは身の破滅なのだと、2人は悟っていた。
「―――お前に願いはないのか?
涼宮遙を、よみがえらせなくても?」
その問いは単にアインの思いを問うているだけではない。
復讐に頑なになっているアインに別の目的意識を与えたいだけではない。
愛妾チャームを蘇らせるという彼自身の渇望―――
アインの態度が、その自らの根本を否定しているかの如く感じられた。
だから、彼は問うた。
短い言葉に、ゲームに賭けた己の全ての思いを乗せて。
「……高みから見下ろす者の何を信じるの?
アリが人に何を求めるの?」
返答は冷めていた。ザドゥは否定された。
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アインはさらに追い討ちをかけるかの如く言葉を紡ぐ。
「……あなたは信じているのね。
対等でもなく利害関係の一致もない契約を。
破棄することが相手の不利益とならない約束を。
そういう生き方も幸せだとは思うわ」
小娘に己を否定されるは愚か、哀れみすらかけられた。
傲慢とも思えるプライドの高さを誇るザドゥが黙っていられるはずがない。
はずがないが、しかし。
彼が取った行動は、眉間に深いしわを寄せ、沈黙を保つことに留まった。
それほど激しくザドゥの芯は激しく揺さぶられていた。
問いを発した本人が、問われていた。
(恃むは己のみ――― それは本来俺が言うべき台詞ではないか?)
自問の渦中にあるザドゥへ、アインの回答は結ばれてゆく。
「それでも、そうね―――
もし、何かを願わなくてはならないのだとしたら。
願いは、こう」
一呼吸。そして射抜くような視線をザドゥに向けて。
「―――わたしの邪魔をするな」
声量は少量。声質は穏やか。
しかしその声には、百戦錬磨のザドゥを震え上がらせるだけの迫力―――
あるいは覚悟が備わっていた。
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もう交わす言葉は無い。
低い姿勢のまま、アインが駆ける。広場中央へと向けて。
足元に低く燃え盛る草々を気にもとめず。
炎の壁を迂回して、あくまで素敵医師を仕留めるべく。
「ふぁいやー♪ ふぁいやー♪」
ザドゥは童女の如くはしゃいでいるカモミールの手を引く。
アインに背を向け、北東方向へと。
素敵医師の懲罰を諦め、己の命を守るべく。
胸に去来するはアインへの圧倒的な敗北感。
(ファントム――― おまえはこの森で命を落とすだろう。
しかし、必ずその思いを遂げるだろう)
↓
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【グループ:ザドゥ・芹沢】
【現在位置:東の森・楡の木広場東部 → 北東方向】
【スタンス:炎から逃げつつ救助を待つ】
【主催者:ザドゥ】
【所持品:ボロボロのマント、通信機】
【能力:我流の格闘術と気を操る、右手に中度の火傷あり、疲労(大)、ダメージ(小)】
【備考:軽度の一酸化炭素中毒】
【カモミール・芹沢】
【所持品:虎徹刀身(魔力発動で威力増大、ただし発動中は重量増大、使用者の体力を大きく消耗させる)
鉄扇、トカレフ】
【能力:左腕異形化(武器にもなる)、徐々に異形化進行中(能力上昇はない)、死光掌4HIT】
【備考:アッパートリップ。禁断症状沈静化。中度の脱水症状だが、一応戦闘可能。
疲労(大)、薬物の影響により腹部損傷】
※ カタパルトによる救助は10分後、学校からの救助は到着時間未定
【アイン(元№23)】
【スタンス:素敵医師殺害】
【所持品:小型包丁2本】
【備考:軽度の一酸化炭素中毒、左眼失明、首輪解除済み、
肉体にダメージ(中)、肉体・精神疲労(中)】
※ 魔剣カオスは楡の木広場北東部外れに放置
※ アインの他の放置アイテムは焼失
【素敵医師:生死不明】
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以上です。
長くなりすぎたのでパートを二つに分けました。
次回予定は明晩、「大きな楡の火の下で 〜leeward〜」。
素敵医師と朽木双葉です。
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>284氏
素早いご対応ありがとうございます。
今後どんなコンテンツが追加されていくのか非常に楽しみです。
それと、6人組の件なのですが、
当方が準備している次々回投下予定「バンカラ夜叉姫・雌伏編」の
投下後にお願いできませんでしょうか?
内容的には紗霧が>>373のメール欄①〜③について思考したり、
放送が死者ゼロだったことに他のメンツが沸いたり、
???だったタイガージョーの配布武器が>>374のメール欄④で、
魔窟堂にメール欄⑤は可能かと聞いたりするものなので
やりようによっては283さんのアイデアと共存できると思います。
かぶっている部分、それはやめてという部分がありましたら修正します。
共存できそうにないようでしたら当方の分を破棄します。
お手数ですがレスの程を。
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カツンと音が幾重にも響いた。
管制室から遥か下。
一つの影が光を灯して動き出した。
音の主は、智機……の分体の一つ。
しかし、その智機は他とは少し違う。
メインと何ら変わりない瞳。
分体特有の機械的な器質とは違った少々人間臭い光りが目に宿っている。
何故なら……メインたる智機の思考は今この時この機体にあるからだ。
(この奥にいる……)
彼女の前に門がある。
ルドラサウム達が待ち受けている空間へと繋がる入り口。
ゲームのために、島のためにある四つの門の内の一つ。
この先に彼らが存在する空間ある。
その空間を介して智機らはこの島に連れて来られた。
しかし、今智機が潜ろうとしている門は、それとは違う。
この四つの門の内の一つであるこれは、プランナーしか所在を知らない。
元々『見る』という視聴者のフェイズに移行したルドラサウムの預かり知らぬ所で用意された門。
プランナーの管理において智機のみの知り得るゲートだった。
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(ここをくぐれば後には退けない……!!)
管制室には智機のメイン意識が抜けた本体が今も尚作業を行なっているだろう。
彼女はメインを門の手前に用意した謁見用の分体へと一時的に移したのだ。
何故か。
ルドラサウムは舞台を見る時に配役の思考までは読まない癖がある。
よほど意識し、意図して覗く時以外は、ぷちぷちを見て楽しんでるだけなのだ。
それは彼の大陸の時からの癖であるとプランナーから伝え聞いていた。
故にルドラサウムからすれば、覗いたとしても智機は怒りと共に作業を行なっているとしか見えていなかった。
現にルドラサウムはこのことにまだ気づいていない。
プランナーから言われなければ気づかぬだろう。
完全に智機とプランナーのみに許された時が始まるのだ。
そして意を決して門の奥に足を踏み込んだ。
「くっ!?」
眩い光がセンサーを覆い尽くす。
強烈な光は映し出す映像を白い世界へと導いた。
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<<良く来た……>>
ずっしりとした声が智機のセンサーに、空間に響き渡る。
<<歓迎しよう……>>
光が少しずつ弱まっていく。
不思議なクリスタルのようなものに囲まれた空間。
光が明けると智機の目の前に黄色く輝く巨体が浮かび上がる。
<<さて……何のようだ?>>
彼こそが三超神が一人にして、このゲームのメインクリエイター。
―――プランナーである。
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「……お聞きしたいことがあって参りました」
傅く。
本心ではバカバカしいと判断しながらも、相手もそのくらい見破っているだろうと判定しながらも
雇用主であるプランナーへと智機は雇用者としての構えを取りつつ音声を出した。
<<……何をだ?>>
ばかばかしい、と智機は思った。
プランナーはルドラサウムと違って今この目の前の自分が何を演算しているかくらい読む性格だ。
そうでなくても当たりをつけているはずだった。
「まず確認したいことが一点……」
<<ほう……?>>
「つい先程、私の分体が二体“破壊されました”。
あれは、プランナー様かルドラサウム様、どちらかの手によるものなのでしょうか?」
-
ピクリ。
プランナーの顔が一瞬動いた。
ここに来るまでの間に智機はアレはどちらかの二神が行なったに違いないと予見していた。
智機といえど透子の能力を全て把握してるわけではない。
しかし、それでもあの爆発は歪なものに見えた。
まず、超能力……ひとえに言っても念動力、発火能力、電磁波、様々なものがあるがどれも該当する形跡がなかった。
超能力者が対象や空間を爆発させる時は、大きな力……不自然な磁場等が計測できる。
機体に何か大きな力がかかった節はなし、発火後である熱源もなし、電磁気の狂いもなし。
では、逆操作による自爆ないし暴走だろうか。
それもありえなかった。
もし逆操作を起こされたなら記録が残るはずである。
飛び散ったチップからはそのような記録は一切残っていなかった。
その他にも考え得る能力を幾つもシミュレートした。
しかし、どれもが当てはまらなかった。
記録を何度も計測しても何の痕跡もない。
機体でも空間でもない、歪な爆発。
まるで存在の否定。
こんなことができるのは、二神を置いて他にあろうか。
-
<<……そうだ>>
プランナーは認めた。
ここで嘘を言う必要性も透子への義理も彼にはない。
「……やり過ぎではないでしょうか?」
智機の言わんとしてることは、これにより運営側の貴重な戦力を欠けたということ。
他にやりようがあったのではないか、ということ。
そしてもう一つは……自分のスタンスと行動はそれだけに値するものなのかということ。
<<解った……説明しよう>>
智機の思惑を理解したプランナーは透子の能力に関して説明を始めた。
彼女の『読み替え』について。
そしてプランナー自身は、智機のことについて特段思ったわけでもなく、彼女の能力に対して『許可』を与えたに過ぎない、と。
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「私は……『願い』という代価の元に契約を結び、代償として持てる労力を全身でつぎ込んでいるつもりです」
プランナーの説明を聞き終えた智機がぽつぽつと切り出し始めた。
「……貴方様方の盤上を進行する駒であることも重々に承知しています」
所詮、己も盤上の駒の一つでしかない。
精々クィーンでしかないのだ。
今までの思い上がっていた智機からすれば、とても想像できない認識。
「ですが、今回、定められた動きを果たしても『願い』が叶うという可能性が見えなくなりました」
―――ゲームの終了が運営者による反乱者の始末の場合は、運営陣に課せられた条約は達成されていない。
「だからこそ問います……私は……いや、私達は何をすれば良いのですか!?」
<<………>>
智機の叫びをじっと見つめるプランナー。
「駒! そう、私は駒の一つでしかない! しかし、それでも私は意思を持っている! 叶えたい願いがある!
そのための契約であったはずです! それがもはや既に叶わないと言うのであるならば、私は何のために存在しているのでしょうか!?
ボーンであった参加者達は昇格し、もはや自由に動ける! しかしキングである我々は逆に枷が増えた!
それでもゲームを成功させるためならば、私は全力を持って尽くす!
何故なら、これにすがる以外に願いは叶わないのだから!
しかし、あなたは今言った! 何事を思ったわけでもなく、ただルール通り透子の要請を許諾しただけだと!
願いがもはや叶う段階でないなら、運営をする意味はないはずだ!
今一度、教えていただきたい! このゲームの有り方を! 我々の役目を!」
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無謀なことだった。
この暴言で智機は消されてもおかしくない。
しかし、願いの叶わない以上は、彼女は存在価値を見出せなかった。
怒り。
透子の時とは比べ物にならない程の感情が智機を支配していた。
プランナーの何気ない一言に智機は臨界点を超えた。
何のために尽くしてきたのだ。
既に願いが叶わないなら、運営をする意味がない。
対して参加者は何を目的にしてもいい、枷が外された存在である。
希望を携えた参加者と崖っぷちに立たされた自分。
戦力と言う差はある。
しかし、目的と言う道は参加者達に広く与えられている。
溜まった感情をぶつけ終えた智機をプランナーは見つづけた。
じろりとした彼の黄色い巨体が智機を上から見下ろす。
<<主を楽しませることだ……>>
少しの沈黙の後、プランナーは口開いた。
<<主を楽しませること、それ以外に何の目的も理由もない……。
お前も、ザドゥも、素敵医師も、透子も、参加者も……そして私も>>
-
「ならば!」
プランナーの答えに智機が続けようとする。
しかし、
<<好きにするといい>>
遮って放たれたプランナーの言葉は智機にしては意外なものだった。
<<お前のやりたいように、望むように、『ゲームを成功させればいい』。
それが契約を果たすことだ>>
「それは……」
<<今後は、『許可』は行なわない。お前がどのような行動に移ろうと役目を果たしているのならば好きにするがいい。
私は『お前達』に今後『干渉』しない……>>
「では……!?」
プランナーに問い返そうとする智機のセンサーが再び眩い光に包まれた。
「くっ……!? お待ち下さい!?」
<<覚えておけ、お前達の役目はルドラサウムを楽しませることだ。精一杯もがけ。
それが何よりのルドラサウムの楽しみになるだろう>>
そう言い残し、プランナーの姿は消えた。
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「…………」
光が過ぎ去った時、智機は門の向こう側にいた。
扉は閉じられている。
「はは……はははははははっはははは!!!!!!!!」
誰もいない。『誰も』見てない。
智機は声を上げて笑った。
「やってやろうではないか! 役目を守れというのなら守ってやる!」
彼女は気づかない。
段々と人になりつつあるのを。
「私の持てる力全てを以ってして! このゲームを成功させよう!」
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お待たせしました。
中編以上です。
当初プランナー視点もいれるのを考えていたのですが、
前にも言った通り、中編か後編後にメール欄を入れる考えが出来たのでそちらでカバーした方が良くなりそうなので省きました。
次は、後編前にそのままメール欄の予定です。
後編の方はザドゥ達がどうなったか森の騒乱がどうなったか決着ついてから書いた方が良いと思うので
その後に入るつもりです。
以上、遅れて申し訳ありませんでした。
問題がなければ明日の夜に本投下します。
-
>>366
>『No。オリジナルはプランナーと謁見中ですので、わたしには手出しできません』
233話に
>そう。ルドラサウムとは別にプランナーは彼女にひっそりと接触していたのだ。
中略
>だが、彼女は唯一プランナーと連絡できる手段を持つ者だった。
てっきりザドゥとかその他はこのことを知らないものかと思ってました。
智機が「私はプランナーに連絡が取れる」とザドゥ達に伝えてあるケースのようなので
該当の下りを修正しようと思います。
-
修正のために色々と読み返してたら
218話で
>『私はゲームの管理者だ。他の主催者には知らされていないルールも把握している」
233話で
>>386のものと
>智機がケイブリスに言った台詞は、ハッタリだけではなかった。
とあったのでザドゥ達が知ってる方が逆におかしかったorz
接見を伝えたら、逆にザドゥは最低でも「今また何かあったのか?」と酷く驚くと思いますが
それさえ除けば、ルドラサウムに接見することがばれてるだけで済みそうなので、その方向性で良ければ修正します。
(接見自体はルドラサウムは覗かなかったことにする流れの感じです)
-
>>362
>ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2108.zip.html
>ERROR
> [!] ファイルがありません
>2108.----./uploda/2108._/2108. ファイルが存在しません。
あぎゃー、パス入力画面は出るのに入れてもダメでしたorz
何か小屋が凄い多いようですね、お疲れ様です。
今週末にそろそろ新作分の更新をしようとと思うので、次のアップデートの時に一括をお願いできないでしょうか?
-
執筆&仮投下お疲れ様です。
細かい感想は本投下の時に
>>274
「>バンカラ夜叉姫・雌伏編」の投下後にお願いできませんでしょうか?
OKこちらは一向に構いません。心置きなくご執筆を。
次回作と次々回作の放送の6人の反応が楽しみです。
ひとまず知佳の方を考えて見ます。
>>388
どうやら流れてしまったようですorz
長持ちするアップローダーを探さねばならないですかね。
流れてしまったのと同じ内容のまとめをアップします。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org0301.zip.html
パスは rowa
念のために今夜もう一度アップすると思います。
カオスや小屋関連で地図を修正するので最新版を手に入れたい方は
今夜のファイルをロードした方が無難だと思います。
-
>>386でのご提案については、
自分の方を訂正したほうがよいと思いますので、
「大きな楡の火の下で 〜windward〜」にて、
以下の修正を行おうと思います。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
>>366の9行目から
『No。現在オリジナルは誰にも連絡が取れない状況となっています』
「どういうことだ?」
『お察し下さい…… としか申し上げられません』
プランナーと智機が裏でつながっていることは当人たち以外誰も知らぬ。
故に、智機の歯切れの悪い返答からザドゥが思い浮かべたのは哄笑する巨大な鯨。
それは勘違いだが、これ以上の追求が不可能な相手である点では勘違いとも言い切れぬ。
どのみちザドゥが選べる対応は沈黙しかないのだから。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
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歪な磐石の駒・中編 の書き手さんにお願いがあります。
>>376の 管制室には智機のメイン意識が抜けた本体が今も尚作業を行なっているだろう。
この一文を変更していただけませんでしょうか。
と、申しますのも。
当方の「第七回放送〜」や「大きな楡の〜」でN−22なるレプリカを出してしまっており、
当該機がまっさらなレプリカかつ管制代行機であることを割と大きく取り上げておりますので、
上記一文にあわせて当方の2作を修正するのは少々ホネでして……
勝手言って済みませんが、ご検討の程を。
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SS分更新は本投下待ちにします。
今回、地図は二つあります。
地図・仮更新分を直接クリックすれば修正版が見れます。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org0633.zip.html
パスは rowa です。
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以下11レス、「大きな楡の火の下で 〜leeward〜」の
仮投下とさせていただきます。
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>>414
(二日目 PM6:08 東の森・楡の木広場方部)
最初にそれに気づいたのは素敵医師だった。
「あひーあひーひあああああああ!!」
それは、頭上に猛烈な勢いで振り下ろされる真っ赤で巨大な質量。
気力尽き果てし素敵医師は指先一つとて動かせぬ。
即ち彼にとっての楡の巨木は、決して避け得ぬ死の実像。
(シシしし死ヌのは嫌がよ!! 助けとおせ! 誰かっっっ!!?)
間近に迫る巨木の恐怖に目を閉じ祈る素敵医師。
その瞼の裏に目眩くは薄ら汚れた人生走馬灯。
苦悩がくるくる。転落がゆらゆら。
罪と快楽と汚濁と狂気が、ドドメ色の灯りに照らされる。
(―――こんなモン見とる場合じゃないがよ!?)
往生際の悪いこの男が、黄泉路の送りの走馬灯を拒否する。
その時感じた、強烈な衝撃。その時失われた、天地の認識。
ずぅぅぅん!!
すぐ脇から発生した内臓まで響く地響き。そして突風。
突風が去った。
目を開けた。
彼を取り巻く世界が劇的に変化していた。
-
「……地獄、やか?」
素敵医師が呆けた口調でつぶやく。
彼の周囲は熱気と煙と炎とで満ちていた。
ここが地獄だとするならば、それは焦熱地獄か。
「地獄、ね。確かにあんたに相応しい場所だけど……
残念、ここはまだ森の中。
あんたは生きてるの。あたしの式が助けたから」
素敵医師に語りかけながら近づいて来たのは朽木双葉。
こんな状況下にありながら、心もち声が弾んでいる。
焦りも恐怖も感じられない。
その様子から素敵医師は直感的に悟った。
「こ、こん火事ば…… 双葉の嬢ちゃんの仕込みがか?」
「火事自体は偶然だけどね。
あんたたちがそれに気づかなかったのはあたしの幻術」
双葉がようやく素敵医師の視界に入った。
その姿を見て彼はなるほどこれは用意周到だと感心する。
双葉の左右に侍るは大きな人型式神。
彼らは肩を組み、背を曲げ、双葉を炎と熱気から守っている。
そして口元には小型の式神。
遠目にもわかる十分に潤んだ式神は、双葉の渇きを癒し、
また、煙や煤を吸い込むのを防ぐフィルターになっているようだ。
さらに周囲を飛び回る数体の飛行型式神は、
火の粉や爆ぜる木の枝を、その身を以って防いでいる。
-
「それにしてもあんたの救助は高くついたわ」
双葉が指差すその先には楡の巨木と炎の壁。
その木の下に、潰れて焼け焦げた飛行型式神が翼のみを見せていた。
協力依頼がこんなところで生きてくる―――
素敵医師は己の悪運の強さを噛み締める。
「あんた、楡の木に気づいてのに逃げようとしなかったじゃない?
仕方ないからアレを使ってあんたを弾き飛ばしたんだけど、
腰でも抜かしてたの?」
「へけ、へけけ。お恥ずかしい話じゃけど、
センセは気力が尽きて動けんようになってしもたがよ」
「えー、ならあんたを式で運ばなきゃいけないってこと?
勘弁してよね。
こういう環境で式をコントロールするのって大変なんだからさ」
文句を垂れながらも双葉に素敵医師を放置するつもりは無いようだ。
左側の人型式神が空いている左肩に素敵医師を担ぎ、さらに風下へと、
広場の南西の外れへと移動する。
「どこに向かってるがか?」
「最終ステージ」
進む先に、道があった。
広場をぐるりと囲んで立ち上る炎に穿たれた亀裂。
燃え残っている潅木の緑が眼に鮮やかに飛び込む。
それは、双葉が森の木々に鞭をうち剣をふるい作成した、
アインを誘い込むための専用通路。
-
式神の肩に揺られながら、素敵医師は知恵を巡らせる。
身動きが全く取れない自分がひとまずこの煉獄から生き延びる為には、
朽木双葉を言葉のみで操る必要がある。
その双葉が何故自分を助けたのかといえば―――
(センセを囮にアインの嬢ちゃんば仕留める為。
じゃけん、双葉の嬢ちゃんはセンセをそこで使い捨てても、
ふところばちくとも痛まんち。それがこじゃんとマズかよ。
なにか双葉の嬢ちゃんに捨てられんよーな方法は……)
そして、素敵医師が他人を篭絡する手段と言えば決まりきっていた。
(おクスリをぶっこむしかなか)
バカの一つ覚えとの謗りもあろう。
しかし、今回の方策は今までとは一味違った。
(ただし、ただし―――
今回に限っては副作用の無い、効能の高い、
つまらないおクスリをお勧めするのがええがよ。
センセがアインの嬢ちゃんへの囮以外にも役に立つことを、
どうにかして双葉の嬢ちゃんに判って貰わんと、
センセ、こんどこそオシマイじゃき)
邪道の医師が正道の医療でアピールをかける。
しかし、そこに改心があるわけではない。
あるのはただ打算のみ。
-
双葉の道はL字構造だった。
その行き止まりの袋小路に素敵医師は乱雑に下ろされた。
並んで腰を下ろした双葉に彼はプッシュを開始する。
ここぞ好機と言わんばかりに。
「双葉の嬢ちゃん、その顔色はなんちゃー?
そんな疲れた顔ばしちょったら折角のお美人系のお顔が台無しがよ」
「こんな状況でなに言ってんの?」
「センセ、仲間の健康状態を気にしてるがよ。
な、ちくとセンセのウエストポーチを開けとおせ。
ぎっちり効く栄養剤が入ってるがよ」
会話は、自然な流れだった。
双葉はウエストポーチに手を伸ばすだろう。
素敵医師はそう思っていた。
しかし、双葉はそれ以前の意外なところに食って掛かった。
「はぁ? 仲間? 何言ってるの?
あんたはあたしの部下。そうでしょう?」
確かに以前、そのような約束を交わした。
ここが勝負所。
序列を気にする相手には謙って尽くせばよい。
素敵医師はそう思っていた。
-
「けひゃひゃひゃ、忘れちょらんよ。言葉の綾じゃき許しとおせ、な?」
この後、上司を気遣う素振りを1つ2つ見せ、栄養剤を自ら打たせる。
素敵医師はそう思っていた。
「部下である以上は私の指示に従う事。 あんたはそれを呑んだわね?」
双葉が続けたのは更なる約束の確認。
こういう手合いはとことん肯定してやらないといけない。
逆に全ての確認に淀みなく肯定すれば、強い信用を得られるはず。
素敵医師はそう思っていた。
「お手だってちんちんだってやって見せるが」
「そう? なら早速命令してみようかしら?」
双葉の目に点る喜悦の色。もう受け入れられたのか。
素敵医師はそう思っていた。
「センセに出来ることならなんだって!」
調子のいい返答に、双葉が笑顔を向ける。
所詮小娘、ちょろいもんだが。
素敵医師はそう思っていた。
だから、双葉の最初の命令が最後の命令でもあることに、
すぐには気づけなかった。
「死になさい」
-
処刑は即座に行われた。
人型式神の一体が素敵医師を羽交い絞めにし、
もう一体が腰を押さえつけた。
人型式神の一体が素敵医師を上方に持ち上げ、
もう一体が下方にひっぱった。
全てが瞬間で、全力だった。
「へけ?」
みちちちち…… ぱん。
素敵医師は腰から2つに引きちぎられた。
この男もまた、オリジナル智機と同じ思い違いをしていた。
双葉はアインを殺して生き延びようとしていると。
生き汚いこの男には思いも寄らなかった。
双葉が選んだのが無理心中なのだと。
つまり、最初から双葉に素敵医師を生かす気は無かったのだ。
生存への期待を繋いだ分、
素敵医師にとって結果はより無残だった。
-
「へべべべべ!!」
上半身からは大量の血液が零れ落ちる。
下半身からは大量の血液が吹き上がる。
5秒と待たずに出血量が致死量を超えた。
「セ、センセ、まっぷたつがよ!!!?」
神に与えられた異常再生力の影響は凄まじい。
両の切断面から伸びる血管が、神経が、背骨が、内臓が。
千切れた先のパーツを探し、結合しようと蠢いた。
うねうね。にょろにょろ。
うねうね。にょろにょろ。
血塗れている分、ケイブリスの触手より遙かにグロテスクと言えよう。
「ちょ、なにそれ。キモい。
なんかくっ付いたら復活でもしそうだから、
下半身は捨てといて」
忠実な飛行型式神がくちばしに下半身をくわえ、引きずる。
引きずって燃え盛る炎の中に放り込んだ。
「センセの下半身!! センセの下半身!!」
炎の中に横たわり、微動だにしない下半身。
炎の中で踊り、あくまで接続先を探そうとゆらめく臓器。
この時点で希代の道化師の死亡は確定した。
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
―――結果から述べると、素敵医師は12分後に絶命した。
通常の人間であれば胴を引きちぎられた時に即死していたであろう。
意志の強さと温度条件などが整っていても1分と意識は保つまい。
しかし、素敵医師にそのような安楽な死は与えられなかった。
神から贈られた異常再生力。
それが彼の死を徒に先延ばししていた。
故に確定している死を、死に等しい痛みを友に待ち続けることになった。
また、痛みに遠くなる意識をも異常再生力が引き戻すため、
素敵医師は絶命の間際まで正気を保っていた。
最初の1分の間、彼は死にたくないと思っていた。
2分めには既に、早く死にたいと願うようになっていた。
3分経つ頃には双葉にトドメを刺して欲しいと懇願していた。
しかしその懇願は声にならず、双葉に届くことはなかった。
その後の8分間もがき続け
その後の8分間苦しみ続け
その後の8分間死を望み続け
12分を迎えて蘇った2度目の走馬灯は
最後まで彼の記憶を映し、回った。
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
血の匂いは炎と熱に飛んだ。
血の色も炭と灰に飲まれた。
その場で起きた惨劇の跡は全て失われた。
偵察に放っていた飛行型式神が、アインの接近を伝える。
朽木双葉は素敵医師の上半身を燃え残った茂みの中に隠す。
少しだけ、ほんの少しだけ包帯をほどいて。
わざとらしくない程度に、しかし、それに気づかれる程度に。
「ようやく追い詰めた憎い憎い憎いカタキが、
既に殺された後だと気付いた時に、
あんたはどんな顔を見せてくれるかな?」
朽木双葉は、身を潜める。
素敵医師の死体を隠した茂みの近く、炎の中に身を潜める。
胸を躍らせて、身を潜める。
最後の招待客の到着を、今か今かと待ちわびながら。
形ある破滅・朽木双葉の影が炎に揺らめく。
↓
-
【朽木双葉(№16)】
【現在位置:東の森・双葉の道】
【スタンス:火災による無理心中遂行】
【所持品:呪符7枚程度、薬草多数、自家製解毒剤1人分
ベレッタM92F(装填数15+1×3)、メス1本】
【能力:植物の交信と陰陽術と幻術、植物の兵器化
兵器化の乱用は肉体にダメージ、
自家製解毒剤服用により一時的に毒物に耐性】
【備考:式神たち 双葉を保護。持続時間(耐火)=20分程度】
素敵医師(長谷川均)死亡――――
主催者 あと4名
-
>>391
ありがとうございます。
>管制室には智機のメイン意識が抜けた本体が今も尚作業を行なっているだろう。
該当部分を以下のように変更しました。
これならば大丈夫と思いますがどうでしょうか?
了解が得られれば、本投下したいと思います。
>管制室には智機のメイン意識が抜けた本体がある。
>彼女はメインを門の手前に用意した謁見用の分機へと一時的に移したのだ。
>何故か。
>ルドラサウムは舞台を見る時に配役の思考までは読まない癖がある。
>よほど意識し、意図して覗く時以外は、ぷちぷちを見て楽しんでるだけなのだ。
>それは彼の大陸の時からの癖であるとプランナーから伝え聞いていた。
>現在、代行権を同じく分機であるN-22に渡し、
>彼女の本機は先の件による演算思考の繰り返しによる回路の過剰な負荷、その他諸々の理由をつけ必要のない小メンテナンスを行っている。
>ルドラサウムからすれば、覗いたとしても智機はメンテナンスのために小停止しているとしか見えなかった。
-
感想を
>大きな楡の火の下で 〜windward〜
ここまで来てもアインはクールかつドライで刹那的だなあ……。
会話にそれぞれ“らしさ”が出ていてよかったです。ザドゥも。
芹沢は……まあw 本体と違って素直な智機は新鮮だ。
アインの所持アイテムは焼失ですか。
バズーカでさえも恭也の噛ませに終わるとは支給品に厳しい世界だw
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>>405
これでばっちりです。ご対応ありがとうございます。
ご返答遅くなりましてすみませんでした。
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二日程覗けない日々が続いたので投下遅れました。
これにて中編完了です。
次作の予定は>>385の通りです。
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申しわけありません。
知佳パート中々纏まらないので一旦破棄します。
予約入れたい方は先にどうぞです。
使用するネタは大分先でも大丈夫だと思うので、完成したら仮投下します。
その間は他キャラの予約は控えます。
>歪な磐石の駒-再び-
透子恨まれてるなあ……智機に一番嫌われてないか、これw
高飛車だった智機の追い詰められ具合が上手い。
これからの彼女の行動にますます注目できる一作でした。
コンテンツ更新は月曜日になりそうです。
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「大きな楡の火の下で 〜leeward〜」を本スレに投下してきました。
毎度の支援感謝です。
次回「バンカラ夜叉姫・雌伏編」、明晩仮投下いたします。
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>>466
やあ、久しぶりだね、みんな。
また会えて嬉しいよ。
―――おっと、ぼくのキモチなんてどうでもいいか。
皆が知りたいのは小屋組の様子だもんね。
小屋の中はね、今、さっきの放送でちょっとしたフィーバー状態なんだ。
だって、死者がゼロなのは7回目の放送にして初めてだもの。
知佳ちゃんとかアインちゃんとかの安否も気になってたしね。
おや?
そんな中で一人、難しい顔をして考え込んでいる人がいるね。
なんだか醒めた目で喜ぶ仲間たちを見下してるしさ……
ずっとこのロワを読んでくれてた皆なら、これが誰だか判るよね?
そう、彼女はバンカラ夜叉姫・月夜御名紗霧。
二つ名を神鬼軍師。
彼女は何を面白くないって感じてるんだろう?
ちょっと様子を見てみようか。
-
<紗霧の思考>
はぁ…… 皆さんお人のよろしいことで。
死者が出なかったことを喜ぶなとは言いませんよ。
風が主催者打倒に方向に吹き始めたのだと、私も感じていますし。
でも、もうすこし、こう、考えることがあるでしょうに。
例えば――― 放送が7分も遅れた事について。
一日四回、六時間ごとの定時放送、と宣言されているんですよ。
その遅れの理由が気にならないんですか?
主催者側になんらかのトラブルがあったとは考えられませんか?
シンプルに過ぎる放送にも逆に取り繕いが感じられますよね。
もしかしたら彼らに楔を打ち込むチャンスなのかも知れないんですよ?
それの可能性を調査・追求しようとは思わないのですか?
例えば――― 今の放送の声について。
あの声、病院で戦ったあのロボットの声でしたよ?
戦って完全に破壊したはずのロボットの。
そりゃ、複数のロボットを破壊した実績はありますよ。
あの時いなかったランスやジジイも合流していますよ。
私がわざわざ指揮しなくても、あの程度の連中、いくらでも撃退できるでしょうね。
でも、もしあと100機いたらどうするんですか?
そいつらが一斉に攻撃してきたら?
あるいはがこの小屋を取り囲んで兵糧攻めをしてきたら?
そうなったらもう、私の策略をもってしても「詰み」なんですよ。
そんな程度のことに気づきもしないくせに、
よく主催者打倒なんて恥ずかしげも無く囀れるものですね!
-
ギャンブルに喩えてみましょうか?
こちらは場慣れぬカモ。
あちらは場慣れたディーラー。
こちらの手札の殆どはオープン。
あちらの手札の殆どはクローズ。
こちらのチップは底が見えている。
あちらのチップは天井が見えていない。
数少ないこちらのクローズな手札を切り札に、
あちらのクローズされた手札をどうにか読み解いて、
こちらの少ないチップの賭け処を絞って、
少しずつあちらのチップを崩してゆく……
主催者を倒す戦いとは、そういう戦いなんですよ?
それだというのに、もう……
なんでこうも思考の反射速度が日の光を浴びる前の変温動物並みにすっとろいんですか?
あなたがたはカメなんですか?
ドジでノロマが売りなんですか?
爬虫綱で主竜形下綱でカメ目なのですね?
そんなあなたがたは学名Testudinesなのです!!
-
はぁ…… いいですよ、もう。
結局、作戦立案やら下準備やら権謀術数やらの種々雑多は私の仕事なんですね、ここでも。
もう、あなたがたに自律思考してもらおうなんて高望みはやめにします。
私が刻むリズムに合わせてアホみたいに踊ってて下さい。
それが一番効率いいですから。
だからせめて、私の提示する策くらいは完璧に飲み込んで従順に従って下さいね。
それすらできないというのでしたら、私、勝ち残り方向に軌道修正しますよ?
言っておきますけど、私にとってはそっちのほうが簡単なんですからね。
その為の策だって10策以上用意できてるんですよ。
そこのところ、わかってます?
……なんでしょう。
なにかこう、背筋がぞわりとしたような?
<紗霧の思考、中断>
-
「なんですかジジイ。人の顔をじろじろと…… 惚れましたか?」
「……ぴーぴーぷー♪ ぴーぴーぷー♪」
「半端に上手い口笛でごまかしてるんじゃありません」
「うう…… その…… おぬしの荷物を見ておったのじゃよ」
「荷物を?」
「わしが持ち帰ったスピーカーとまひる殿の集音マイクセットだけでは
通信機を作るには少々部品が足りぬようでの。
紗霧殿はなにやら方々でモノを拾い集めておるようじゃし、
他に部品を調達できそうなものを持っておらんかと思ったのじゃ」
「それならそうとさっさと言いなさい、このウスノロジジイ。
確か女性型ロボットの残骸が…… このへんに……(がさごそ)」
「(じーっ……)」
「女の子のカバンの中を覗くもんじゃありません。このセクハラジジイ」
「セクハラとは失敬な! わしは既に三次元からの解脱を果たした……」
「なんだかこの部屋暑いですね。スカートの内に熱が篭っていけません。(ちらっ)」
「おおっ!」
「……どの口が解脱などと抜かしますか」
「違う! これは孔明のワナじゃ!」
「選択肢をあげましょう。
このロボットの部品で思い切り殴られるか(ガツン!)、
思い切り投げつけられるか(ドカッ!)。
どちらにします?」
「あうあう…… せめて選択してから攻撃してくれい……」
「ご心配なく。体験版です。さ、それを返しなさい。そして選びなさい」
「こ、これが壊れては本末転倒じゃでの。わしが預かっておくのじゃ。
よーし、頑張って分解するぞい!」
「ちっ。逃げたかジジイ」
-
<紗霧の思考、再開>
ジジイ、甘いですね。
誤魔化しは及第点あげてもいい出来でしたけど、最後にホッとした顔をしたから台無しです。
単独行から戻ってからのぎこちない態度も気にかかってましたが、ようやく確信が持てました。
ズバリ、私に不信感を抱きましたね?
まあ、疑われるのなんて慣れっこです。
疑われてから意識を逸らすのも、疑いを信用に変えるのも慣れっこです。
人の顔色と呼吸を読んで泳ぎ続けた私ですから、もう習性として染み付いてます。
ジジイの疑念も「何を気にしているか」さえ把握できればなんとかなるでしょう。
広場まひるとランスはなんとでもなるでしょう。
ユリーシャもランスさえ抑えておけば問題無いでしょう。
ただ…… 高町恭也。
ああいうタイプは初めてです。
初めて会った頃は単に生真面目でナイーブな体育会系かと思ってましたが、
どうもそれだけではない奥深さと安定感を見せ始めています。
―――俺は月夜御名さんを信用していない―――
―――でも、月夜御名さんという才能を信じることはできます―――
なんですか、その空前絶後のばっさり感は?
私個人のことなんてどうでもいいっていう風にも取れますよ?
それってちょっと失礼じゃないですか?
逆に猛烈に信用させたくなったんですけど?
-
……なんだか感情的になってしまいましたね。
頭を冷やす為にこの小屋で見つけたアイテムでも吟味しましょうか。
さて―――
使い捨てカメラと香辛料、日用品。これはユリーシャに持たせましょう。
戦力として勘定できないんです。
せめて荷物持ちくらいはやってもらわないと。
でも、失ってもそれほど惜しくない物しか持たせられませんね。
次、人死にが出るとしたらまずこの子でしょうから。
釘セットは恭也さんに渡しましょう。
飛針とやらは釘のような形状とのことですから、代用品として使えるはずです。
工具一式は…… 既にジジイに渡してましたね。
あとは…………
…………
……
<紗霧の思考、終了>
-
あれれ、意外にも夜叉姫は対主催も視野に入れているんだね。
てっきりステルス100%だと思ってたよ。
それにしてもパーティーにとっての彼女の存在は難しいところだよね……
敵に回しても味方につけても厄介なのは間違いないけど、
このパーティーを集団としてまとめられそうなのって彼女しかいないしね。
恭也くんの判断はけっこう良いトコ突いてると思うよ。
おや?
まひるくんがきゃあきゃあ言ってるね。
ああ、なるほど。
目覚めたランスくんが、スラックスを突き破らんばかりの朝勃ちを、
まひるくんとユリーシャちゃんに誇示してるからなんだ。
がはは、と高笑いしながらね。
いいのかな、そんな下品なバカをやっても。
夜叉姫はそういうの嫌がるよ?
しかも思考中は静かにしてたいタイプだし。
あーあ。
ランスくん調子に乗って、夜叉姫に向けて突き出しちゃったよ。
ほら、彼女が不機嫌な顔して後ろ手にバットを握ったよ?
まあ、フルスイングしてもランスくんは死なないと思うけど……
同じ男としてバットにバットを叩きつけるのは勘弁してあげて欲しいな。
……ダメ?
「目障りです」
「ぅぎゃぁぁああああああァ!!」
↓
-
【グループ:紗霧・ランス・まひる・恭也・ユリーシャ・野武彦】
【現在位置:西の小屋】
【スタンス:主催者打倒、アイテム・仲間集め、包囲作戦】
【備考:全員、首輪解除済み】
【ユリ―シャ(元№01)】
【所持品:生活用品(new)、香辛料(new)、使い捨てカメラ(new)】
【高町恭也(元№08)】
【所持品:小太刀、鋼糸、アイスピック、銃(50口径・残4)、保存食、
釘セット(new)】
【魔窟堂野武彦(元№12)】
【所持品:軍用オイルライター、銃(45口径・残7×2+2)、
白チョーク数本、スコップ(小)、鍵×4、謎のペン×7、
ヘッドフォンステレオ、まじかるピュアソング、
スピーカーの部品、智機の残骸の一部、集音マイクセット、工具(new)】
【月夜御名紗霧(元№36)】
【スタンス:反抗者を増やし主催者へぶつける、計画の完遂、モノの確保、
状況次第でステルスマーダー化も視野に】
【所持品:スペツナズナイフ、金属バット、レーザーガン、ボウガン、
スコップ(小)、メス1本、指輪型爆弾×2、小麦粉、
文房具とノート、白チョーク1箱、謎のペン×8、
薬品数種類、医療器具(メス・ピンセット)、対人レーダー、解除装置】
※ 魔窟堂はスピーカーの部品、智機の残骸の一部、集音マイクセットの
改造・組み合わせで、通信機的なモノが作れないかと検討中
-
>>419 に以下一文を追加
※ タイガージョーの支給品は集音マイクセットでした
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
以上です。
問題なければ土曜あたりに本スレに投下します。
-
多忙&風邪につき、更新が大幅に遅れてしまってすみません。
風邪は治ったので明晩くらいにSSは更新できそうです。
コンテンツはいつになるか分かりませんが。
>大きな楡の火の下で 〜leeward〜
ついに主催陣に死者が。
双葉の行動はえげつないのに、不快感を殆ど感じないのは標的が素敵医師だからかなw
芹沢と双葉を使い潰すつもりが、逆に振り回されて終わるとは道化に相応しい最後でした。
素敵医師の回想話とも繋がっていて上手いと思いました。アインどうするんだ?
残り主催者は4名ってことは、透子はカウントしないのかな?
仮投下も含めて乙でした。
仮投下分の内容は問題ないと思います。
こちらのまとめはSS仮投下時にアップします。
-
>>420
此方も問題なしです。
むしろ創作意欲が広がって、メール欄を書こうと思い立ったくらいでした。
>>284さんの作品が投下終了後、よければ書きたいと思います。
此方の例の話は連休明けに仮投下を予定してます。
その次にメール欄、決着がつき次第、後編へと移ろうと思います。
-
大変遅れてしまいましたが、新作仮投下します。
-
サイレンの音が聞こえる。
わたし……いつの間にかねちゃったんだ。
「……!」
その意味を理解してわたしの胸を不安と恐怖が覆いつくす。
恭也さんの顔が頭をよぎり、わたしはきゅっと眼をつぶった。
『これより、第七回放送を行う。死者は無い。以上』
放送は唐突で簡単だった。
その朗報に不安が消え、安堵がじわじわとわたしの心を満たしていく。
よかった……。
いまのわたしにはそう思うのがやっとだった。
あの手帳を読んだ後、わたしはまた力をコントロールできなくなったからだ。
透子さんと別れたあと、近くの『蓋』の先を確かめようと蓋を開けた。
-
開けた下には通路があって、おの先には扉があった。
鍵が掛かっていたので、上へ引き返し、それからあの手帳を読んだ。
それがわたしの力が暴走しかけたきっかけだった。
いくつか力の暴走の痕跡を残しながら、昔の事やリスティのこと恭也さん達のことを思い出しながら
わたし自身を落ち着かせて、かろうじておさえることができた。
ようやく荷物を持てる様になった時にはわたしはへとへとに疲れていた。
そして、気がついたらこの家の前にいた。
わたしは頭の中を整理するために頭を動かし、部屋を見渡した。
幸い、部屋は荒れてない。
疲れは残ってるけど、たいしたことない。
窓のほうを見る、まだ日は暮れてない。
次に首を左の方へ向けると、そこには表紙が少し焦げてる一冊の手帳があった。
あの後何気に拾った、先日に亡くなった北条まりなさんって人の手帳。
それを見てとくんとくんと、わたしの心の鼓動がまた早くなった。
-
―――――――――――――――――――――――――――――――
―――情報提供者による参加候補者達(今大会不参加)
神崎愁、鳴海孝之、天城小次郎、沢村司、遠場透、槙原耕介
加えて、高部絵里、フィアッセ=クリステラ、レティシア、八車文乃、綾小路 光、天上 照
―――――――――――――――――――――――――――――――
わたしの目はひとつの名前にふたたび釘付けになる。
――槙原耕介
わたしたちの住むさざなみ荘の管理人であり、わたし達にとって大事な人。
殺し合いが始まったあの時、わたしがこの島から逃げ出そうとしたのは、わたしの知ってる人が参加者にいなかったからだ。
恭也さん達がいたから、今は逃げきれなくてよかったとおもってる。
「……」
さっき確認したとき、女の人らしき参加者候補の情報は前のページにあった。
情報提供者のとまりなさんが勤めていた組織の情報のとで二つに分けられてる。
例えば共通する情報ではフィアッセさんて人は恭也さんの知り合いだった。
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ちょっと興味あるけど、今は“槙原耕介”がわたしの知ってるおにーちゃんかどうか確認するのが先。
力を暴走させないように意識しながら、わたしは覚悟を決めて手帳を読み続けた。
□ ■ □ ■
わたしは手で目をこすりながら、手帳から目をはなす。
途中から小さな字でびっしり書かれているので読みにくい。
わたしは深呼吸をしながら、ひとつの事に結論をつけた。
……少なくても、その手帳に書かれていた“槙原耕介”って人は、わたしの知ってるおにーちゃんとは違う。
年齢、背の高さ、などはわたしの知ってる限りのおにーちゃんと同じ。
データを取った時期もあの夏の日とほぼ同じ。
だけど、さざなみ荘の管理人じゃないし、性格もわたしの知ってるのとは違う。
愛お姉ちゃんの事も少し書かれてるけど、それもわたしの知ってる人とちょっと違っていた。
何より海鳴市の事が書かれてない。
「……………………」
すべて嘘だと思えばかんたん。
だけど、この島で起こってることを考えればまったく嘘だと思えない。
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わたしは混乱した頭を落ち着かせようと深呼吸をしようとした瞬間、ある単語が頭にうかんだ。
――平行世界
この島には色んな異世界にいたとしか思えない人が多くいる。
だけどもし、よく似た……よく確かめないとわからないくらいくらいの世界があるなら……。
まりなさんがいた世界にまた違うおにーちゃんやわたしがいてもおかしくない。
じゃあ……わたし達は勘違いで連れさられたの?
も、もしかしたら恭也さんも……!
わたしは慌てて別のページをめくった。
そのページにはまりなさんの仲間の前に何度か現れ、情報を提供したレイって名乗った人の事が書かれていた。
彼自身の情報は乏しく、わたしと同じ超能力者らしいって事と、容貌くらいしか書かれてない。
(まりなさんはこの人を犯人の一味と思ってたらしい)
これだけじゃ何で選ばれたのか……恭也さん達がわたしのいた世界の人かどうか分からない。
「!」
わたしは力の暴走の危険に気づき、振り返った。
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「はあ……」
暴走の兆候はない。
高まる動悸を意識しながら、今度は参加させられた人のページを探して、見つけた。
木ノ下泰男・日本・夏
法条まりな・日本・春
高橋美奈子・日本・夏
涼宮 遙・日本・夏
伊頭遺作・日本・夏―――
何人か放送で聞いた名が載ってた。 でも先のページをめくる。
首輪を解除できるかも知れない人のリストも載ってたけど、後回し。
「!」
――高町恭也
見つけた。
わたしは恭也さんの――別人かもしれないけど、彼の項目を読み始めた。
-
□ ■ □ ■
「………………」
恭也さんも違ってた。
風芽丘に通ってなかったから。
手帳を閉じてわたしはベッドに寝転がった。
わたしの胸に不安とわずかな安堵が胸を満たす。
整理しながら、全部読むのは時間がかかりそうだ。
怖いけどやっぱり、恭也さん達と会わなきゃいけない。
それと、あまりやりたくないけど……主催者からも情報を集めなきゃいけない。
まりなさんの世界だけかも知れないけど、すでに何度も殺し合いの大会が開かれてる。
もしかしたらわたしのいた世界でも行われてるかもしれない。
……それでなくてもいつさざなみ荘のみんなが巻き込まれるかわからない。
何もこの殺し合いの元凶が別の殺し合いのと同じとは限らないから。
わたしは手帳をかたく握り締めた。
紛失しちゃったらいけえない、必要な分メモしよう。わたしは筆記具を探す。
すぐにメモ用紙と鉛筆を見つけたわたしは、窓の方を見た。
もうすぐ日が沈そう。
疲れを少しでも取るために、光合成をしようとわたしは出入り口の前に立ち、ノブを握った。
「……」
些細だけど、気になることを思い出した。
まりなさんのいた世界の恭也さん、わたしよりも年下だったんだ。
↓
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【仁村知佳(№40)】
【現在位置:廃村・井戸付近の民家】
【スタンス:恭也達との再会、主催者達と場合によっては他の参加者達の
心を読んでの情報収集
手帳の内容をいくつか写しながら、独自に推理を進める
恭也が死ねばスタンス変更を考える】
【所持品:???、まりなの手帳、筆記用具とメモ数枚】
【能力:超能力、飛行、光合成、読心】
【状態:疲労(小)】
【備考:まだ知佳は森林火災の事や定時放送のズレには気づいていません。
大会不参加のキャラや手帳記載の対象参加者の中には
いわゆる“同一の別人”が何人か混ざってます】
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仮投下終了です。
内容説明等で色々書きたいのですが、今日は用事があるので続きは今夜に。
SSまとめをアップしました。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org11621.zip.html
パスは rowa です。
連休中にもう一度上げると思います。
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本投下時には多少描写を追加しますが内容の大筋は変わらないです。
現生存者などの情報が、これ以上記載されてるかどうかは、今後の展開次第ということで。
前にしてた6人組SS予約は一旦取り下げます。他の人にお任せします。
問題が無ければ今度の月曜日の夜に本投下します。
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>>421でご指摘の件の修正と本投下、終了しました。
次回予定は「絶望20:00」。
透子と紳一、レプリカN−22が登場、
週末に仮投下を予定しております。
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>>431
質問を一つしたく。
このケースに限らずなのですが
まりなのいた方はスパロボのように世界が一緒の所にいる同一人物
(知佳のいた世界にはまりながいない原作準拠orまりながいない世界、まりながいた世界は別の知佳がいるスパロボのような世界)
と
両者とも同じ構成の世界、どの世界から誰が連れて来られてあっちでは連れて来られてない世界
(無限にある木の枝のような可能性の平行世界Ver)
と
まりな世界ではまりなと知佳が混在してるけど知佳世界はまりなはおらず知佳とファントムが混在してるみたいに組み合わせが複数ある
(あくまで例なので事実とは違います)
のどちらでしょう?
基本存在を知ってたりと混在してる参加者達も多ければ、仮にAを認知してそうなの立場にいるのに知らない人もいるので
2番目の人達もいれば3番目の人達もいる(ファンタジー系は絶対にそうですね)だと思うのですが
どうでしょうか?
あぁ、自分でも何だか書いてて混乱気味ですみませんw
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質問の一番基本な意図を忘れていたorz
どういう平行世界関係か、です。
もうちょっと解りやすく変えてみました。
まりなの世界はスパロボ基準は確定
他の人達は別である(一番目と三番目)
基本構成は同じ(二番目)
のどれかかな?
で二番目と三番目の混在かな、と思いました。
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携帯からなので長いレスができませんが。
まりなと知佳に限らず大体の現代風の世界には現代風限定でのキャラがいてもおかしくないという感じで書きました。
当然、ファンタジーキャラはいませんし、時代が大きく違うキャラもいません。居てもおかしくないのに存在しないケースも選択できるように現生存のキャラの名前を出しませんでした。電池が残り少ないので、
詳しい説明はまた夜9時に。
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帰還しました。
>まりな世界ではまりなと知佳が混在してるけど
知佳世界はまりなはおらず知佳とファントムが混在してるみたいに組み合わせが複数ある
>まりなの世界はスパロボ基準は確定
他の人達は別である(一番目と三番目)
どちらかと言えばこっちのつもりで書きました。
ただ、>>429で挙げられたのを加えた分で、まりな世界住人は全員出揃ってしまうかもしれませんね。
現生存者や紳一のは扱いが難しそうなので。
それと追加・修正の為に、すいませんが本投下と素材UPは一日延長させていただきます。
明日の夜8時頃に本投下させていただきます。
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>>438
了解しました、ありがとうございます。
頭の中がごっちゃになっていたのですみませんでした。
此方のルドプラ会話は明日または明後日の夜に試験投下いたします。
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これから本投下します。
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投下終了です。
>バンカラ夜叉姫・雌伏編
予約時、状況は前より良くなってるのに何故雌伏?と思いましたが……なるほど。
苦労性だなあ……紗霧の一人称見ていてちょっとムカつきましたがwwww
魔窟堂の評価、話が進む度に低下の一途を辿ってるなあ……遅刻続きだからだろうか?
恭也は地味ながらに貢献してるのが印象的。
そしてランスとまひる合掌。
それぞれのキャラが立っていて面白かったです。
今回のを収録したまとめは明日UPします。
その時に次の予約を入れる予定です。
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参加者配布用の地図ができました。
それに加え、一部修正したまとめをUPしました。
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org16773.zip.html
パスは negi です。
ケイブリス単体を予約します。
内容はメール欄の予定ですので、こちらの本投下が後の方になっても大丈夫だと思います。
今週の土曜日には仮投下ができると思います。
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メール欄忘れてました。
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少々遅れ気味です。
日曜の夜には……
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以下17レス、「絶望20:00」改め「絶望+」を
仮投下させて頂きます。
問題なければ火曜晩に本スレに投下しようと思います。
次回は「( ゚∀゚)o彡゚ おっぱい!おっぱい!」。
カモちゃんとカオス、ザドゥが登場。火曜晩の仮投下予定です。
-
>400
(二日目 PM6:23 E−8・漁協付近)
夕陽が遠く水平線へと溶け、宵月が薄ぼんやりと浮かび上がる。
その月の化生の如きなま白い少女が、集落から漁協詰所へと歩みを進めていた。
彼女は監察官・御陵透子。
楡の木広場にて検索網に掛かった勝沼紳一の有り得ぬ記録に違和感を覚え、
その理由を探るべく、彼の足跡を辿っている。
(わたしの直感も当てにならない)
(これ以上の追跡に意味なんてないかも)
ここまで追跡してきた紳一の記録は、透子の常識を揺さぶるに十分なものだった。
しかし、その彼が行ってきたことや今後行うと予想できることは、
ゲームの進行にはなんら影響はないと、透子は考えていた。
(それに…… この男はくだらなすぎる)
(―――頭痛い)
透子はうんざりした表情でため息をつく。
無表情・無感動で以って知られる透子からこれほどの反応を引き出すとは、
ある意味、紳一は快挙を達成したといえよう。
(それでもここまで来たのだし)
(漁協詰所での記録までは読んでおこう)
透子は歩きながら、拾い集めた紳一の記録を思い出す。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
-
(一日目 PM4:18 D-8地点・衣装小屋付近)
前後の記憶ははっきりしない。
気付けば俺は真人と一緒に走っていた。
磯で転倒したとき足元から広がった黄緑色のガスに包まれたこと。
それが記憶にある最後の情景。
おそらくあれは毒ガスで、俺は一旦そこで気絶したのだろう。
その時点から、集落の入り口までの記憶が欠落している。
まあいい。
その辺りは腰を落ち着けてから真人に聞こう。
それにしても宙に浮いているかと思えるほど体が軽い。
心臓の痛みも息苦しさも無い。
それに引きかえ、真人はかなり不調のようだ。
俺があいつのペースに合わせて速度を落とさなくてはならないのだから、
よほどあの毒ガスを吸い込んでしまったのだな。
《追ってくる気配は無いな。適当な民家に入ってお前の怪我を手当てをしよう》
「……」
《真人、聞こえないのか?》
「……」
返答はなく、真人の足も止まらない。
どうやら返事をする余裕もないらしい。
それとも、鼓膜がやられたのか?
俺は時折咳き込みながらやや後方を走っている真人に目線を送る。
-
その時、俺は初めて気づいた。
真人がその背に小柄な男を背負っていることに。
ああ、なるほどな。
幾ら俺が絶好調とはいえ、走りでお前に先行するなんておかしな話だと思っていた。
しかし、なぜ背負っているんだ?
女を運ぶなら判るが、そんな男を助けてやる義理や余裕はないだろう。
それとも、俺の途切れた記憶の中のどこかで、
その男を助けなくてはならない事情が発生したのか?
必勝はちまきなぞを巻いている妖しげな男を助けねばならない事情が。
ん?
必勝はちまき……
!!
待て。
待て待て待て待て。
ソレは無い。
流石にソレは無いだろう。
見覚えのあるスーツだ。見覚えのあるパンツだ。見覚えのある革靴だ。
全てオーダーメイドだ。俺が身に着けているはずのものだ。
だからといって、そんな。
幾らなんでも、お前が背負っているソレが俺だなどと……
だとしたらお前の隣を走っている俺はなんなのだ!?
まるで俺は―――
《亡霊、みたいじゃないか》
-
どのくらい立ち尽くしていたのだろう。
気付けば真人を見失っていた。
俺はあいつを求めて手当たり次第に集落の家々を覗いて回った。
ドアノブに触れられないことが判ったとき「まさか」と思った。
扉を通り抜けられることが判ったとき「もしや」と思った。
そして横たわる自分の肉体を発見したとき―――
俺は「やはり」と思わざるを得なかった。
《ふ、ふははははははははははははははははは……》
笑うしかなかった。
あまりに惨めで滑稽な死に様だったから。
だってそうだろう?
俺はまだこの島でまだ一枚の処女膜すら破っていない!
あっちからもこっちからも処女の匂いが漂ってくるというのに!
ははっ…… つまりはそういうことか。
処女を犯すことなく絶命した俺の絶望が未練となり、
成仏できずに亡霊と化したのだな。
ならば為すべきは明白だ。
死してなお犯す。
少女を犯さなければ、死んでいる甲斐も無いというものだ。
《ははっ》
右頬がいやらしく吊り上がり、俺らしい歪んだ笑みが浮かんだ。
-
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
つまり有り得ない記録とは死後の記録。
つまり辿るべき足跡とは亡霊の足跡。
その予想を超えるイレギュラーな存在のあり方は透子に衝撃を与えた。
しかし。
(くだらない)
透子は紳一の執着の源を思い出して思わずそう呟いた。
(でも、とても厄介)
透子は、亡霊そのものを見ることはできない。
感じることも話すことも出来ない。
なぜなら彼女が行使できる能力は、記録の検索/閲覧。
生者の残した思いを読み取るが如く、亡霊の発した残留思念を読み取ったに過ぎない。
例えば目の前に紳一の亡霊がいるとして、その存在に透子が気づくのは、
周辺の空間検索をして紳一の情報を拾った上で、その内容を読み解いて後となる。
時間にして分単位のタイムラグが発生してしまうのだ。
しかも、明確な位置は捉えられない。
それを指して透子は厄介だと判ずるのだ。
そしてまた、このゲームの全ての記録を司る智機にも紳一は捉えられない。
集音マイクにも赤外線カメラにもサーモグラフィにも引っかかることは無い。
それは紳一が己が亡霊だと認識してから5分後に、
ほかならぬ智機自身の手によって証明されていた。
=-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-= ・ =-=-=-=-=
-
かちゃり。ドアノブか静かに回転し、ゆっくりと玄関が開いた。
「こちらP−4。現在地、D-8地点・衣装小屋1F」
現れたのは白衣に身を包んだ眼鏡の少女だった。
ボリュームたっぷりの硬質な銀髪は寸分の狂い無く切り揃えられている。
一瞬、彼女と目が合ったように感じられて身じろぎしたが、
彼女は俺の存在に気づくことなく遺体のそばまで寄ってきた。
そうか。俺の姿は見えないのか。
「これより、ナンバー20:勝沼紳一の遺体検分と記録を開始する」
少女は白衣のポケットから取り出した医療器具を用いて遺体を調べ始めた。
独り言をぶつぶつと呟く様は、トランス状態に陥っているかのようだ。
俺はしばし彼女を観察することに決めた。
彼女の後頭部からは排気口のような2本の筒が出ている。
青い手袋を両腕に嵌めているのかと思っていたが、あれは自前の腕だ。
そして首筋と指先の関節部分を曲げたとき、僅かに走る亀裂のようなライン。
この少女、もしやロボットか?
―――まあいい。
人か機械かの違いなど些細なこと。
問題は処女か非処女か。
この一点に尽きる。
俺はしゃがみ込んでいる彼女の正面にポジションを移し、
警戒心なく開かれた両膝の付け根に目を凝らす。
そこには金属の光沢を持った下着が装着されていた。
《貞操帯…… だとっ!?》
-
俺はあまりのショックに思わず声を上げてしまった。
気づかれたか!?
慌てて少女を見やるが、彼女は俺の焦りなどどこ吹く風で検分を続けている。
そうか。声も聞こえないのか。
真人からの返事がなかったのも、そういうことだったのか。
しかし…… 貞操帯か。それはいい。
すなわち導き出される真実は2つ。
1つ この少女ロボットはセックスが出来る。
2つ この少女ロボットは処女である。
ははは、これは洒落が効いている!!
アイアンメイデンをファントムペニスがレイプとはな!!
「それにしてもこの男、期待はずれもいいところだ。
聖エクセレント女学院バスジャック事件の主犯という経歴から、
もうすこし活躍してくれるものと思っていたのだが……」
検分を終えたらしい少女はまたぶつぶつと独り言。
俺ほどの男を前に随分勝手なことを言っているが、それがいい。
生意気な女を恥と苦痛と快楽で堕とすことこそが至高の快楽なのだから。
《ならば今こそ期待に応えよう!》
リビドー、装填完了。剛直、レディーセット。
俺は両腕を広げ、がばりと彼女を抱きすくめた!
―――すかっ。
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