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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議
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胃液を吐けるだけ吐き、ようやく落ち着きを取り戻したアインへ
ザドゥが厚い掌を差し伸べた。
同じ素敵医師を追った者として相通じるものを感じたからだろうか。
彼の表情にらしくない気遣いが見て取れる。
「ファントム、立てるか?」
しかしアインは手を取ることなく、嗚咽に枯れた声でこう告げた。
「忠告するわ。むしろ立たないほうがいい。煙は高いところに昇るものだから」
ザドゥはアインの忠告に従い腰を落とす。
煙の量が少ないのか視界が広がり、呼吸も幾分楽になった。
「10分で救助が来るが、ここでは10分と保つまい。
風上になんとか活路を見出して、火の手を掻い潜りながら待つことになる。
ついて来い。脱出までの間は保護してやる」
「あなたはもう、長谷川を追わないのね?」
「長谷川が楡の木の下敷きになった今、追うも追わぬもなかろうよ」
「下敷きに? 憶測で物を言ってはいけないわ。
わたしは見たの。
楡の木が接地する瞬間、あの男が向こう側へ転がったのを」
「そうだとしても、だ。
長谷川とてこの炎の中、風下に身を置いていては助からんだろう。
懲罰の必要はくなった」
そう。風は強く吹いていた。
北東から南西へ。
炎の壁のこちらから、あちらへ。
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