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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』 その3

551大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/10/13(木) 19:09:04
>>550
「じゃねー!」

オオカミさんはりんちゃんとわかれて、自主トレに向かうのでした。

552甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/22(土) 10:13:58
深い樹海の中
ここは、自殺の名所星見樹海

自然公園の範疇ではないかもしれないが、
自然という事でここで語る

1本の木の枝に縄を吊るし、首を吊った

553谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/22(土) 11:13:05
>>552

   
 
「   ギャ

             ア

                     アァ―――zノァアッ!!!!!!」


楳図 か〇お的な顔で悲鳴を上げようぞ♰♰

 クックックッ 皆よ、待たせたな
闇ノ♰黒姫♰の帰還である!
 とは言え最近だと街でゲートボール娘(※ソラ)やら愛しの君(※赤月)に
色々刺激的な事をされ、自然と触れ合って心休ませたくて散歩してたものの
その黒い♰過去♰を凌ぐようなぶっ飛んだ衝撃を今しがた味わったZE☆!!

554甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/22(土) 12:32:57
>>553
久しぶりの登場がこんなんで良いのか、黒姫
心休ませるために自然と触れ合いたかったのは分かる
だがそこで自殺の名所を選ぶのはどういう事だよ!?

誰もいない森の中に木霊する谷の絶叫
応えるものは誰もいない
木の枝にぶら下がるあま公の目が谷を見下ろすだけだった

あま公が首を吊ってからまだ時間はそう経っていない
窒息に至るまでまだ十数秒は余裕がある

555谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/22(土) 20:26:13
>>554

>だがそこで自殺の名所を選ぶのはどういう事だよ!?

 「うっせぇ馬鹿!!
そもそも星見町に自殺スポットを勝手に捏造して、おまけに
出だしで自殺してんじゃねぇよっっ(迫真)」

 これ、余が正論だよな? まごうことなき正論だよな?

「つーわけで、喰らえ!!

闇ノ♰小麦粉ボンバーアター---っク!!!」

   ボシュゥゥゥバゴォ!!

説明しよう!

闇ノ♰小麦粉ボンバーアタックとは、闇ノ♰黒姫が放つ手作りの
小麦粉の塊を相手の頭に浴びせると共に。その高速の(パス精:EAC)
手刀により、相手の触れてる部位の道具などに対して『闇属性』にするのである!

これによって、相手の頭から方にかけて真っ白!

余の『闇属性』は効果てきめん! 『首つり縄』に対しても闇属性が
働きかけて、首つりは失敗に終わるって寸法って事だってばよ!

「更に駄目押しのー--闇ノ♰正気に戻れあたー---っく!」

       ブゥン!!

説明しよう!

闇ノ♰正気に戻れアタックは、本体である闇ノ♰黒姫が黄金の右の掌から
繰り出す、13歳の身体能力を活かして力のあらん限りを手の平に込めて
相手の頬にかけて掌底を放つ!!  ――謂わばビンタである!!!

556甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/22(土) 21:00:41
>>555
このPC、天の声と会話をしているのか…?

   ボシュゥゥゥバゴォ!!

闇ノ♰小麦粉ボンバーアタック
ネーミングはともかく、相手の属性を変更する技は有用だ

闇ノ♰小麦粉ボンバーアタックをまともに喰らったあま公は真っ白に染められた
黒姫の闇属性によって縄が無力化され首吊り失敗!

…まぁ、元々縄に切れ目が入っていて
危なくなったらスタンドにポケットのナイフで切らせるつもりではあったが

       ブゥン!!

黒姫の闇ノ♰正気に戻れアタックがあま公の頬に炸裂する!
13歳の少女とはいえ全力ではたけばそれなりの威力にはなる!

黒姫の掌底を受けてぶっ飛ばされるあま公
その際首の縄もその勢いで切れるかもしれない

おれは しょうきに もどった!(ガリ)

だが実はこいつ、最初から正気ではあった
いやこんな事する奴が正気かというと正気ではない気がするが
それは元からこいつがおかしいだけだ

頬を擦りながら起き上がり谷を見る

557谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/23(日) 10:55:31
>>556

こっから先の展開はどうすればいいのか・・・?
 谷は闇ノ♰黒姫であるが。その心の中身は年相応の13歳児である。

自殺をしようとした人間に対し、説得を行おうとしても良い言葉が見つからないZE☆

どうすれば良い、余よ!? プリーズ! 助けてsiri! ヘルプ!

脳内siri『とりあえず、漫画の名言を告げてみたらいいんじゃね?』

 サンクス! てな訳で、スンッ…てした顔で見下ろしつつ、こう告げようぞ。


 「――お前はなぜ(自分の命を)奪う? なぜ命を踏みつけにする?」

 「何が楽しい? 何が面白い?」

 冷ややかな目線と声が甘城を襲うだろう。

 「 命を何だと思っている」


 これまで数々の漫画の偉人を見てきた! この言葉は
自殺志願者(と谷は思ってます)にも効くだろうと心の中でドヤ顔しつつ
表情は超然とした澄まし顔で見据えてるぞ!

558甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/23(日) 13:13:53
>>557
取り合えず頭にかかった白い粉を落とし
自分を澄まし顔で見下ろし漫画の名言を並べ立てる谷に回答する

「臨死体験がしてみたかった」

動機は単純な好奇心だった
スポーツの秋だし、スポーツしなきゃね

「でも途中で止められたから出来なかった」
「あんまり面白くない」

臨死に至るには死ぬギリギリの所まで自分を追い詰めなくてはいけない
それを途中で谷に邪魔されたから…臨死を体験出来なかった!

死んだらどうするのか?
その時はそれまでの命だったという事だ


運動(首吊りチャレンジ)も終わった事で、そろそろ腹が減ったあま公
そこの木(首吊りしてた所)に置いてあるバッグから弁当を取り出そうとする

559谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/23(日) 15:53:49
>>558

>臨死体験がしてみたかった

「やだ……何この人……こわい(素)」

繰り返す言うようだが。闇ノ♰黒姫は闇に相応しい装飾はしていても
心の中身は13歳相応である。
 だから、思わず普段の厨二的な喋り方も縁壱スタイルな
台詞すら忘れて呟いた。

>置いてあるバッグから弁当を取り出そうとする

(なに!?
 ま、またこいつは余が助けた折角の命を無碍にするように
バックから自殺用の刃物なり何なりを使って死のうって言うのか!
やらせん! やらせんぞォ〜〜〜うぉぉぉぉおおおおあああ!!!」


 パァン!! と言う擬音が付きかねない形で
『フォビドゥン・エンチャントメント』で相手のバックを『闇属性』へと変える!

これによって、相手はバックを使用出来なくなった! 命の危険は去った!!

560甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/23(日) 16:19:57
>>559
『フォビドゥン・エンチャントメント』で『闇属性』に変えられたバッグ
いきなり谷が自分のバッグに何かしかけたようだが、何をされたか分からない

『闇属性』になったバッグを開けようと…
あ、開かない…
何故かバッグが開かない

あま公は困った
中の弁当を食べなきゃ餓死するし、
樹海の中で迷わないためのコンパスなんかもバッグの中に入っているのだ

「何したの?」

谷がバッグに何かをしたのは分かっている
解除してもらわなきゃ逆に命の危険だぞッ!

561谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/23(日) 21:16:52
>>560

>何したの?

「クックックッ……余は闇より出でし無色の産声が紡ぎし
白を弾き傅く黒の女王(プリンセス)」

 片方の手で片目を隠しつつ邪眼の目つきと嘲笑で名乗る。
やだ! いま余ってば最高に輝いてるんじゃね!?

「その答えは貴様自身がよく知っている筈……命の重みを軽視し
夢現の境界を踊り狂う帥(そち)の手は今や既に余の許可が無ければ
地獄にも天国にも旅立てぬ愚かな子羊になったのだよ
クックックッ……!」

要約すると、私の力で自殺も出来なくなったんだ!
と威張り散らかしつつ、低く相手を威圧するように告げるぞ!

562甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/24(月) 16:26:13
>>561
邪気眼っぽい言葉を読解するのに苦労したが
文面から自殺出来なくしたという所は読み取る事が出来た

バッグから自殺道具を取り出そうとしていたと勘違いされたのか

スッ

バッグを谷に突き出して、バッグに指差して言う

「弁当」

563谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/25(火) 11:01:47
>>562

「……?? (´・ω・`)??」

甘城はバッグを指して弁当と言われた。

だが、闇ノ♰黒姫からすれば。なんか自殺しようとした人間が
バックをこじ開けようとしてたら、急にそのバッグを目の先に出して
ベン・トーと発音したのだから、よく理解が出来ない。
 
いやさ。ふつー死のうとしてる人間が行き成り食欲取り戻して
弁当食べたいですなんて意思表示しても分からん! 分からんぞぉ!

(どう言う事だ? バック指す→弁当と発音する→現在詳細キボンヌ。

……駄目だ、やっぱ自殺志願者の思考とかヤベー頭の中身は
幾らコナンや金田一を読んできた余からしても今ひとつ霧は晴れたなんて
言えねぇよ。こいつはどう言う意味でバッグを弁当って言ってんだ??

……はっ!?

ま、まさか!?

てめーの所為で私は命をフライアウェイ出来なくなったんだ。
だから、貴様を我が食材にしてやるとか言うサイコパスな意志宣告!??

いや、有り得る! 樹海なんぞで首吊ろうとしてるような
既に人生を半ば辞めかけてるクレイジー野郎ならば
そんな行動を突如起こしても可笑しくない!! 
ジッチャン! 謎は全て解けたZE☆!!」

(※思考がほぼ口から零れ出ている)

 「喰われてたまるか! ダーク・フィンガーアアアァ!!!」

 『フォビドゥン・エンチャントメント』で
右ストレートパンチ!(スC)

尚、スタンド使いが相手だとまだ知らぬ故に、ある程度手加減はしてる。

564甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/25(火) 16:27:26
>>563
言葉足らずのあまも酷いが、谷も発想の飛躍が凄い!


「めんどくさ…」

ダーク・フィンガーを『BSS』で受け流す(パス性CCC)
手加減されてるし、出来るよね?

このスタンドの射程距離はどれくらいか考える
このスタンドの能力でバッグが開けられないのなら
スタンドの射程距離から出ればいいだけだ

「もういい」

突っかかって来た谷をいなして、谷から離れようと適当に歩き出す

現在地を確認出来ない状況で歩き回るのは危ないといえば危ないが

565谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/26(水) 09:11:54
>>564

 BSSは華麗に谷のスタンドを右から左へ受け流した。

「わっΣ お前もか!」

甘城がスタンドを出した手前、驚いた顔をするも
谷に背を向けて歩き出したのを見て、焦り声で告げる。

「おいっ、そっちは樹海の奥だぞ!
 戻れなくなるぞ!」

……そう言えば、谷だって何の当てもなく歩いてきた訳でない。
多分、彼女が来た道を戻れば。ちゃんとした町に行きつく方角に
辿り着ける筈だ。


だが、谷も引き止める声かけをしたものの。絶賛、死のうとした
ヤバい奴であると認識してる為、これ以上の制止しても
死のうとするのならば、止む無しであろうとも思う。

「まぁ、無理に止めはしないとも。無理にはな」タンッ!

そう言って、甘城から離れて森林浴と共に自然との調和をする為に
入った森から慣れ親しんだ星見町の中心へと戻ろうと走る事にする。

何故走るかって? ヤバい奴と、これ以上一緒の空気を吸うのは怖いからさ!

566甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/26(水) 16:33:19
>>565
谷が走って町へ帰り去る事で
『フォビドゥン・エンチャントメント』に『闇属性』されたバッグは元に戻るだろう

自殺に飽きたあま公は歩みを止めて、そこらの木に腰を掛けた

スポーツ(自殺)の後で腹が減っているあま公は
バッグから弁当のサンドイッチを取り出して食べ始めた

秋らしい、きのこが沢山入ったサンドイッチだ
森の奥深く、木々に囲まれ、自然を感じながらの食事は実に美味い

ただ一つの要素を除いては…

近くの木の枝に吊り下がっている物を見ながら食事をする
目の前の物にどうしたものかと頭を悩ませる

567谷『フォビドゥン・エンチャントメント』:2022/10/26(水) 17:37:06
>>566(お付き合い有難うございました。楽しかったです)

谷こと闇ノ♰黒姫は激怒した。かの狂人なる甘城をどうにかせんと
あの時は小麦粉ボンバーアタックで狂気を止めようと何とか頑張ったんだが……。

「はぁ……はぁ……あのスタンド使ってた女
ちゃんと家に帰れるのか……それとも、あのまま世を儚んで」

ぶるるっと身を震わせ、その先の暗い想像を振り払おうとするが
多少谷の心に傷は負っただろう。冗談でも自殺は止めましょう
傷つく奴は大勢いるんだからな! 私のPL知ってる人たちからすれば
おま言うだけどさ!

「こう言う時は黒き闇の食事を行い、忘却の波にさすらうのみだ♰」

そう言って、谷はよく通うブラックラーメンが売ってる一軒の
ラーメン店に行くのだ。その先にある苦難の未来を今は知らず。

トゥ ビー コンティニュードだ……

568甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2022/10/26(水) 20:52:16
>>567
谷がラーメン店に向かっている時、
あま公は黙々とそれを見ながら食事をしていた

あま公はとうに自殺に飽きていて
道に迷わないための道具をバッグにちゃんと入っているので
谷の心配は杞憂だった

そして、谷は樹海からさっさと出て行って正解だったかもしれない
谷が見るには刺激が強過ぎる光景が、そこには広がっていた


デザートの洋梨のフルーツサンドを食べながら
目の前の物について考えていた

これはどういう思いでここに来て、こうなったんだろう
何でここを選んで、この方法を取ったのか
ここに来るまで、何があったのか

そんな事を考えた所で、何か意味があるわけでもないのだが
見ているとつい考えてしまう

やがて弁当を食べ終えて、そっとスマホを出し110番をする
思い出に写真でも撮ろうかと思ったが、流石に不謹慎過ぎるかと思いやめた

帰り際、何か背後に気配を感じた気がするが、気のせいだろう

569勇者『リィン・カーネイト』:2022/11/26(土) 12:29:56
とある山の頂上
公園の範疇ではないが自然という事でここで語る事にする

ガキィィィン
      ガキィィィン

とある大岩をロングソードで斬り付ける勇者

570宗像征爾『アヴィーチー』:2022/11/27(日) 18:44:50
>>569

ある日、山を訪れていた。
遠くから妙な物音を聞き、歩いていった先で、
『剣を持った少女』を目撃する。
異様な光景を見つめていた視線が、
やがて少女から『剣』に移っていく。

「『作り物』にしては良く出来ているな」

『勇者の剣』を眺め、感想を呟く。
以前、森の中で『鍛錬』を行う少女に出くわした事がある。
しかし、その時の彼女が手にしていたのは『木刀』だった。

571勇者『リィン・カーネイト』:2022/11/27(日) 21:02:15
>>570
まだ駄目だ
この岩を斬れるようにならなくちゃ


岩を剣で斬り付ける勇者の動きは
お世辞にも洗練されているとは言えない
ごく一般的な中学生の剣道部レベルの動き

だが凄いのは剣だ
あれだけ岩を何度も斬り付けていたというのに
刃こぼれが一切していない

宗像はどれくらいの距離で見ていたのだろう?
恐らく、勇者には宗像の呟きは届いていない

「うーん、まだ駄目かー」

今日の修行は終わり、といった感じで
手にしている聖剣を仕舞う

仕舞うと言ったが、宗像には剣が消えたように見えるだろう
実際消えたのだ

572宗像征爾『アヴィーチー』:2022/11/27(日) 21:31:46
>>571

『木刀』を振っていた少女の動きは、
訓練を積んだ人間の所作であり、
若いながら『完成されたもの』さえ感じた。
一方、こちらは『それ程でもない』ように見える。
少なくとも、『練度』に関しては、発展途上というところか。

「今、『剣』を持っていたようだが」

   ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ

足を止めず、少女に向かって歩き続ける。
『スタンド使い』というのは、案外どこにでもいるようだ。
それは俺自身にも言える事だろう。

「――『練習』をしていたのか?」

『スタンド』を手にした人間は、その力を試す傾向があった。
ある種の自然な成り行きだ。
同時に、先程まで斬りつけられていた『岩』を間近で眺め、
どうなっているかを確認する。

573勇者『リィン・カーネイト』:2022/11/28(月) 17:55:30
>>572
「?」

今の今まで宗像の存在に気付いていなかった勇者
これが敵であったなら不意打ちを喰らってやられていたかもしれない
勇者としては失態だがあまり気にしていない

しかし、相手は子供とはいえ
刃物(スタンド)を持っている不審者に不用意に近寄るのはどうなのだろう
むしろ子供だからこそ危ないかもしれない

「剣?」

宗像が剣について尋ねると
勇者は再び、その手に聖剣を出した

「これ?」

手にした聖剣を宗像に見せる
鍔に淡く光る宝石が埋め込まれているロングソードだ

「この岩を斬れるようにならないと、って」

宗像が岩を見て見ると
何ヶ所にも切り傷が付けられている
今日の分だけではない、前から切り付けられているような痕跡が見受けられる
だが、この岩は非常に硬いようだ
そう簡単に斬れそうにはない

574宗像征爾『アヴィーチー』:2022/11/29(火) 00:08:49
>>573

再び現れた『聖剣』に視線を向ける。

「――『それ』だ」

岩の表面に刻まれた傷の深さから判断すると、
人間以上の膂力はあるように思えた。
だが、それでも頑丈な岩を砕くのは容易ではない。
斬るというなら尚更だ。

「その岩を斬るのは、『こいつ』の腕力でも難しい」

言葉と共に、『アヴィーチー』を発現する。
右腕から生えているのは、長さ1mの『鋸』だった。
また、右腕全体が、
『ノコギリザメ』を思わせる意匠を持っていた。

「どんなに硬い物でも斬る事の出来る奴がいた」

脳裏に思い浮かんだのは『青山流星』だ。
『片刃の剣』を持つ人型スタンドの『ルイゾン』は、
『光が当たらない場所にあるもの』を、
本来の強度を無視して切り裂いた。
今は、青山自身が『光の当たらない場所』にいる。

「俺も『能力』を使えば、その岩を斬れる」

この少女が岩を斬りたがっている理由は知らない。
それを尋ねるつもりもない。
しかし、何故か助言する気になった。

「何が出来るかによるが、『能力』を活かしたなら、
 もっと斬りやすくなるだろう」

同じように『刀剣』を扱う青山が、
人知れず命を落としたせいかもしれない。

575勇者『リィン・カーネイト』:2022/11/29(火) 14:23:17
>>574
「おわっ!?」

宗像の体から現れた『アヴィーチー』を見て驚く
スタンド使いに出会った事はあるが
こういうタイプのスタンドを見るのは初めてだ

「えーっと、それ、スタンドって言うんだよね」
「貴方もそれ、誰かに貰ったんですか?」

勇者の現時点の認識では
スタンドとは誰かがくれる道具という認識になっている

『リィン・カーネイト』に託された聖剣が勇者のスタンドなのか
そもそも、『リィン・カーネイト』が勇者のスタンドなのかも微妙に疑わしいものだが

>どんなに硬い物でも斬る事の出来る奴がいた
「どんな硬い物も!?」
>俺も『能力』を使えば、その岩を斬れる
「斬れるの!?」

自分がずっと前から修行を続けていても斬れないというのに
あっさりと「斬れる」と言う宗像の言葉に驚く
聖剣も大木を両断出来る程の切れ味を誇るが
性能的には、切断力よりも守りに特化しているタイプだろう

「能力かぁ…」

岩の近くに聖剣を突き刺し、少し離れて一呼吸を置く
すると、勇者の体が一瞬のうちに聖剣の方へ移動し
聖剣を手に取り岩に斬りかかる

ガキィィィン

が、不意を突いた所で岩は斬れはしない
そもそも岩に不意打ちなど何の意味も無い

「だよねぇ…」

576宗像征爾『アヴィーチー』:2022/11/29(火) 20:45:32
>>575

「スタンドというのは、基本的に『人型』が多いようだ」

道具の形をしたスタンド。
以前、『銛』のスタンド使いと戦った事がある。
しかし、そうしたタイプは多くはない。

  「俺のスタンドは、『ある女』が引き出した」

      「『アヴィーチー』という名前だ」

           「『無間地獄』という意味らしい」

規則的に並んだ『鮫の牙』を思わせる『鋸の刃』が鈍く光る。

「昔、似たような手で背後に回られた事がある」

『瞬間移動』を目撃した時に思い出したのは、
『レインコートの女』だ。
かつて戦ったスタンド使いの一人だった。
その時は『雨天』であり、『水音』で判別できたが、
目の前で起きた現象には予告がない。

「『剣』を真上に投げて移動できないのか?」

もし可能なら、常人を超えた腕力で『聖剣』を放り投げた後、
本体を『剣』の近くに移動させ、
落下の勢いを乗せて振り下ろせばいいだろう。

「その『剣』は『実体』を持っているようだな」

「『瞬間移動』に『条件』があるなら、
 より『高い位置』から振り下ろすか、
 『剣』そのものの『重さ』を増して威力を上げるか」

「すぐに考えられる手は、この辺りだろう」

ある程度の『高所』から飛び降り、そのまま振り下ろす。
もしくは、『実体化』している事を利用し、『剣』に錘を付ける。
その二つを併用すれば、さらに衝撃力は増す。

577勇者『リィン・カーネイト』:2022/11/30(水) 16:19:23
>>576
「剣を真上に?」

宗像の助言を聞いて
常人を超える怪力で上方向に聖剣をぶん投げる

空に放り上げられた聖剣の元に転移を試みる勇者
がっ、駄目・・・っ!

聖剣はそのまま重力に従い落下

ガンッ

岩にぶつかるが、岩はやはりびくともしない

「やっぱり駄目かー」

転移をする時、勇者と聖剣、どちらかが動いていてはいけないのだ
移動能力としては、微妙に不便な能力かもしれない

「アドバイスありがとうございます
 でもまだ斬れそうにないかな」

再び聖剣を仕舞いこむ勇者
何時間も続けていたようで、大分疲れが見える
荷物が置いてある場所まで歩いて座り込む

578宗像征爾『アヴィーチー』:2022/12/01(木) 00:55:19
>>577

本体が不在の状態で落下してくる『聖剣』を眺め、
発動に『条件』がある事を理解した。
敵に投擲した後で、手元に戻すには便利な能力だ。
だが、その機会に出会わない方が幸せだと言えるだろう。

「その『腕力』の他に、何か身に付く事はないのか?」

座り込んだ少女の代わりに、岩の手前まで歩いていく。

     ブ ォ ン ッ

             ――――――ガキィンッ!

おもむろに『鋸』を振り下ろすが、やはり斬るには至らない。

          「『これ』は縮む」

    ギャリギャリギャリギャリギャリィッ!!

言葉通り、一気に根元まで『鋸』を縮める。
岩に接触した刃が擦れて火花が散り、激しい音を立てた。
『斬撃』から続く『追撃』。
かつて請け負った仕事では、
これと同じ手で二人分の足を纏めて抉り、機動力を奪った。
しかし、頑丈な岩が相手では分が悪い。

「能力を活かせないなら、『他の特性』を利用すればいい」

刻まれたばかりの新しい傷を見下ろし、少女に告げる。

579勇者『リィン・カーネイト』:2022/12/01(木) 15:17:02
>>578
「わぁ、凄い…」

『鋸』の縮む勢いで
大岩をガリガリと削る『アヴィーチー』を見て
その圧倒的に暴力的な力に驚嘆する
それでも、成人男性よりも二回り程も大きな岩をぶった切るには至らないが

自分には出来ない技を見て
スタンドという物は色々応用が出来るんだなと学ぶ

しかし、自分の聖剣はどう応用すれば良いのだろう?

宗像は「その『腕力』の他に、何か身に付く事はないのか?」と聞いて来たが


「うーん、体が頑丈になるくらいかなぁ」

勇者と聖剣は一心同体
聖剣を手にしている間、勇者の肉体は聖剣と同等の頑丈さになる
ビルの屋上から転落しても恐らく無事に済むだろう
戦いにおいても、所謂スーパーアーマーのような運用が出来るかもしれない
だが、これを攻撃に応用…それもこの巨岩を斬るような技に応用するのは難しい
少なくとも、現段階の勇者には新しい技を閃く事は出来そうにない

ガシャ ガシャ

コーヒーのセットを用意して湯を沸かす
12月に入った冬山の頂きに冷たい風が吹いてくる

580宗像征爾『アヴィーチー』:2022/12/01(木) 20:54:02
>>579

『体が頑丈になる』という言葉から、
不意に『カリヤの話』を思い出した。

「スカイモールから飛び降りて死ななかった奴がいるらしい」

おそらくは、それもスタンド能力の産物だろう。
スタンド使いになって間もない者は、
力を試そうとする場合が多い。
『無鉄砲』という共通点で、
飛び降りた誰かと目の前の少女が、意識の中で重なった。

「状況は限られるが、それくらいの高さからの一撃なら、
 相当な衝撃を加えられる」

少なくとも、人間は容易く殺せる。
極端な話、敵と一緒に飛び降りればいい。
そうすれば相手だけが死ぬ。
剣で斬る事に固執しなければ、十分に強力な能力だ。
まもなく岩から離れ、湯を沸かし始めた少女に歩み寄る。

「スタンドの扱いに慣れていく内に、
 新しい応用を思い付くケースは珍しくない」

「今の状態で無理なら『経験』を積む事だ」

「そうすれば、いずれ斬れるようになるかもしれない」

冷えた風に吹かれながら、少女の正面に腰を下ろす。

「大した事は出来ないが、手助けが必要な時は呼んでくれ」

電話を携帯していないため、
口頭で『仕事先の番号』を伝える。

「――『宗像征爾』だ」

燃え尽きた後の灰を思わせる虚無的な瞳が、
寒空の下で確かに燃える火を見つめていた。

581勇者『リィン・カーネイト』:2022/12/02(金) 18:41:27
>>580
>スカイモールから飛び降りて死ななかった奴がいるらしい

「そんな人居るの!?」

驚いているが
恐らくそれは宗像の目の前に居る勇者本人の事だろう
しかし勇者はその話の人物が自分だとは思っていないようだ

あの時、後ろから突き飛ばしたのは誰だったのか…未だに分からない
高所から落下する息苦しさ、文字通り死ぬ程の痛み
あの苦痛は今でもはっきり覚えている

「うん、やっぱり、地道に修行するのが良いよね」

こと こと

宗像の話を聞きながらコーヒーの準備をしていた勇者

2つの紙コップを出し、ブルーマウンテンを注ぐ

「ユウリ・桃園・シャルロットです」

ブルーマウンテンの注がれた紙コップを宗像に差し出す

「宗像さんは…どうしてそんなに親切にしてくれるんですか?」

当然の疑問をぶつける
こんな山の中で見かけただけの、刃物を振り回してる危ない奴に
懇切丁寧にアドバイスをしたり、連絡先まで教えるのは正気とは思えない

582宗像征爾『アヴィーチー』:2022/12/02(金) 20:35:44
>>581

一礼し、紙コップを受け取った。
使い込まれた革の手袋越しに、コーヒーの熱が伝わる。
かつて持っていたが、今は失われたものだ。

「強いて言うなら、『知り合い』が死んだからだ」

「そいつのスタンドも『剣』を持っていた」

         グイッ

「『どんなに硬い物でも斬れる剣』だった」

熱いブルーマウンテンを飲みながら、おもむろに口を開く。

「『青山流星』――スタンドを使う仕事で知り合った少年だ」

「一度しか会う機会はなかったが、もし彼がいなければ、
 俺は殺されていただろう」

「しかし、その恩を返す前に、青山は命を落としてしまった」

黒い水面を見下ろす視線が、やがて桃園に注がれた。

「『理由』があるとすれば、それくらいしかない」

事実、理由はあってないようなものだ。
普段であれば、ここまで気に掛けなかったかもしれない。
だが、『剣』という共通点が、心の片隅に引っ掛かっていた。

583勇者『リィン・カーネイト』:2022/12/03(土) 15:01:05
>>582
『どんなに硬い物でも斬れる剣』という言葉に反応する

「それって…さっき言ってた?」

「そっか…」

角砂糖を3つ程入れたブルーマウンテンを飲む
冷たい風に撫でつけられて冷えた体に、熱いコーヒーが体に染み渡る
青山…今飲んでいるコーヒーがブルーマウンテンなのが全くの偶然だろう

どれだけ強い力を持っていても、死ぬ時は死ぬもんだ

宗像の話を聞いて、勇者は改めてそう思った

「じゃあ私は、なるべく死なないように頑張るよ」
「勇者になるまではね」

584宗像征爾『アヴィーチー』:2022/12/03(土) 18:34:36
>>583

『同じ名』を冠するブルーマウンテンを口にしながら、
青山が発した『最後の言葉』を思い出す。

 正義は悪には負けねーって決まってんのよ。

   最初から勝つことがわかってる戦いなんて楽なもんさ。

それが別れ際に目にした奴の姿だった。

「『人間の生死』は読めない」

「拍子抜けな程に呆気なく死ぬ時もあれば、
 思いもよらないしぶとさを見せられる事もある」

「君も俺も、どこでどうなるかは誰にも分からないだろう」

青山は強かったが、それでも命を落とした。
『エクリプス』の五十嵐は、致命傷を負いながらも、
死の手前で踏み止まった。
予想していた結果は、いつも裏切られる。

「だが、俺は君が死なない事を願っている」

桃園を後押しするように同意を示し、紙コップを持ち上げる。

「出会ったばかりで悪いが、君に頼みたい事がある」

「青山流星という人間が生きていた事を覚えておいて欲しい」

「そして――『流星』のように生きた男のために乾杯してくれ」

585勇者『リィン・カーネイト』:2022/12/04(日) 16:28:36
>>584
「青山さん、か…」

青山というのがどんな人物かは分からない
ただ、『どんなに硬い物でも斬れる剣』を使っていたという話
剣という共通点と、凄い剣を持っている事に羨み
そこから青山の事を想像する事は出来た

実際の青山がどうなのかは全く知らないが

「青山さんがどういう人かは分かんないけど
 宗像さんの話は、忘れられないと思うよ」

紙コップを持ち上げ、宗像の物に合わせる

「乾杯」

586宗像征爾『アヴィーチー』:2022/12/04(日) 22:29:10
>>585

青山とは、同じ仕事を引き受けただけの間柄だった。
理解の度合いに関しては、桃園と大した差はないだろう。
だが、たった一度であっても、
互いの命を預けた事には変わりない。

「青山流星は『正義感』の強い男だったように思う」

「正義は悪には負けない。
 最初から勝つ事が分かっている戦いは楽なものだ」

「俺が聞いた『青山の最後の言葉』だった」

死んでしまった人間に対して、
生きている者が出来る事は少ない。
何かあるとするなら、
『そういう人間がいた事実』を伝える事くらいだ。
それが、せめてもの『供養』に成り得るのかもしれない。

        「乾杯」

                 グイッ

ブルーマウンテンを一気に飲み干し、頭上の空を見上げる。
そこには何もない。
ただ澄み渡る冬の空が広がっていた。

「――俺は『町』に戻る」

やがて紙コップを置くと、静かに立ち上がる。

「『勇者になるまでは』と言っていたな」

「君の『目的』が果たされる事を、俺も祈らせてもらおう」

改めて一礼し、来た時と同じように、
桃園の前から歩き去っていく。

587勇者『リィン・カーネイト』:2022/12/05(月) 18:40:08
>>586
「正義かぁ」

宗像の話によれば、青山という人物は正義感が強い男だったらしい
自分はどうだろう?

ユウリは正義の味方を目指しているわけじゃない
ユウリは勇者を目指しているが、勇者が正義かというと分からない

けど、なるなら悪い勇者よりも、良い勇者になりたい
少なくとも今はそう思う

「ありがとう、宗像さん」

夢の成就を祈ってくれた宗像に礼を言う

「またね」

まだお互いに生きていたら、また会うかもしれない


高い山の上から、青い空を眺めながら飲むコーヒーは
修行の後の勇者の体を爽やかに癒していくのだった

588ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/12/20(火) 22:28:30

「うおおお」


本来は、白百合の柄が入った浴衣。
それを何着もミイラのように巻き付けて、
布のオバケのような物体になった、よくわからないものが歩いていた。
背丈からして子供。


「『寒い』っ……!」

589ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/12/21(水) 20:49:23
>>588

「こんな季節に外に出るもんじゃないの……」


帰っていった。

590りん『フューネラル・リース』:2022/12/31(土) 12:21:50
年末年始の竹林地帯

カン   カン

   カン    カン

「もーいくつ寝ると〜
       お正月〜♪」

竹を切る音が竹林に鳴り響く
鉈を片手に立っ家を切っているのは、頭に鈴蘭が咲いた10歳程の少女だ
竹取の翁ならず、竹取りの鈴蘭

591美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/12/31(土) 16:55:16
>>590

せっせと竹を切るりんのスマホに『メッセージ』が届く。

    [りんちゃん、元気にしてる?
     今年はバレンタインの買い物したり、
     流しそうめんしたりしたわね。
     とっても楽しかったわ。
     来年も、また一緒にお話しましょう]

  [ラジオも聴いてくれてると、もっと嬉しいな★]

ちゃっかりと宣伝を交えた『年末の挨拶』だった。

592りん『フューネラル・リース』:2023/01/01(日) 20:40:41
>>591
カン
   カン

りんが割った竹の中を覗いてみると、
たっぷりと水が溜まっていた

これは竹水
竹が根から吸い上げた水分が内部に溜まったものだ

阿部マリア「おっ、美味そうな水が入ってますわね」
りん「分けるから2人とも御猪口持って来て」

竹水を御猪口に入れて、3人で分け合って飲む
ほんの少し、竹の青臭さがあるが
すっきりとして、ちょっと甘い後味がする
自然が育んだ水の味を味わう

ユウリ「美味しいねこの水」
マリア「ただの水でしょ」
りん「もう1本いっちゃおうかな」
ユウリ「じゃあ、あの大きいのにしよう!」

勇者ことユウリが剣を思い切り、一際大きな竹に振るう

ズバンッ
一刀両断

ユウリ「あれ?これ水?」
りん「あっ、これは」

竹から溢れ出したのは…ただの水ではなかった

マリア「うおぉ…これは」

ジュルリ

マリア「さ、酒ですわ!竹から酒が出て来ましたわ!」

竹から溢れ出す酒を飲み狂喜乱舞するマリア

マリア「流石ゆうちゃんですわ!竹酒を当てるとはやりますわねぇ!」

竹に溜まった水は、樹液の糖分によってアルコール発酵する事がある
そしてこの寒さによって、竹酒はシャーベットのような状態で凍っていた

輝夜姫ではなく酒を見つけてしまったりん達
年明け早々にこれは演技が良い

この竹酒の写真を、スマホで撮影して美作に送るりん

[あけおめくるみちゃん!
 去年はくるみちゃんと遊べて楽しかったよ
 新年に飲む竹水を探してたら、酒が出て来たよ
 この酒は取っておくから、今度飲みに来て]

お屠蘇の代わりに3人が飲んだ竹酒はウイスキーのような味だった
その後、悪酔いしたマリアを介抱するために元日が潰れたりんとユウリだった

593勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/07(土) 12:33:02
デイキャンプ場

バーベキューの準備をする勇者

ザクッ ザクッ

切り味の鋭い聖剣で肉をスライスする
この肉は何の肉だろう?
それは>>594が知っているはずだ

594真白『ユキカゼ』:2023/01/07(土) 20:07:38
>>593
「美味しそうだね、その『鹿肉』・・・」

寒さが身に染みる季節。
白い息を吐きながらやるバーベキューは良いものだ。
防寒着に身を包み、勇者とともに支度をするのは、中学生くらいの女子だ。

「『鹿肉』ってさァ〜〜。
 私も初めて食べるけど・・・『高タンパク』『低脂肪』で体に『スゴクイイ』らしいよ」

『鹿』の『肉』・・・らしい。

595勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/08(日) 14:48:20
>>594
「よいしょ」

ザクッ!

美味しそうな鹿の首を聖剣で切り落とす
角が無い事から雌鹿である事が分かる

「やってて良かったねー、ふるさと納税」

この鹿肉は、ふるさと納税の返礼品として送られてきたものらしい

「鹿肉は初めて食べるから楽しみだよ」

鹿の顎を外してタンを切り取る
そして硬い頭蓋骨を聖剣で綺麗に切って、脳味噌を取り出す
これが雄の鹿だったら記念に角を取りたい所だが、無い物は仕方がない

「けど、鹿肉って紅いけどもみじには見えないよね」

「準備出来た?まずはこれから焼こうかなー?」

グサッ

聖剣に肩ロースを突き刺す
肩ロースは鹿肉でもおすすめの部位らしい

596真白『ユキカゼ』:2023/01/08(日) 23:15:21
>>595
「食べたい! って思ってもさァ〜。
 スーパーなんかじゃ絶対売ってないしね」

保温性の弁当箱から、温かいご飯と赤いピリ辛スープを取り出し、二人分を分ける。
飯盒を使って本格的にやることも少し考えたが・・・。
より間違いなく『鹿肉』を美味しく食するために、『ご飯』と『スープ』はしっかり用意した。

「でも驚いたし・・・助かってるよ。
 めちゃくちゃ手慣れてる。私も動物のさばき方は知らないからさ」

勇者の剣捌きに舌を巻く。
眼の前で解体ショーが見れるとは思わなかった。

597勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/09(月) 15:33:50
>>596
鹿肉が食べたかったら、狩猟免許取って捕まえるか
ジビエ料理やってる店に行くかネットで取り寄せるかすれば良いが
スーパーでお気軽に買えるような肉ではなく、ちょっと手に入れるのが面倒な肉なのは確かだ

「っしょっと」

ザグッ

勇者は鹿肉の以外にも、硬いパイナップルをカットして
鹿肉と交互にパイナップルを聖剣に刺している
パイナップルの酵素が肉を柔らかくするという効果を期待しての事だ

「じゃあ焼くよー」

ジュー

肉とパイナップルが刺さった聖剣を火にかける
鹿肉の焼ける匂いとが煙と一緒に漂い出す

「鹿だけじゃなくて色々届いたから食べ比べてみようよ」

故郷のうぜいで届いたのは鹿肉だけではなかった
色々なジビエの食べ比べセットだ
その中には、今年の干支である兎なんかも入っていたりする

「そろそろ良いかな?」

聖剣から肉の一枚を取ってご飯の上に乗せる

598真白『ユキカゼ』:2023/01/09(月) 21:12:16
>>597
「うわっ。豪華ジビエセットじゃん。
 どれだけ納税したのさ」

聖剣の陽性はBBQの串扱いされて怒らないのだろうか。
いや、真白はそんなことは知らないのだった。

「うまそ〜・・・」

ごくり、とツバを飲み込む。
タレにつけて、トントンとホカホカのご飯の上でバウンドさせる。

「頂きます」

さて、お味の方は・・・。

599勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/10(火) 19:26:17
>>598
「いただきまーす」

ガブ

よく焼けて熱くなった鹿肉を口に入れる
歯で肉を噛み潰すと溢れる肉汁
牛肉とは違い野生の肉だったからか、少々筋肉質で若干硬めではある
だが決して硬すぎる事はなく、程よい硬さだ

「ちょっと硬いけど美味しいねぇ」

牛肉よりもあっさりとしていて、且つ野生の力強さを感じさせる
少し独特の獣臭があるので、ハーブ等で匂いを消すのも良いかもしれない

「うん、ご飯にも合うよこれ」

ここで、ピリ辛スープを一口飲む勇者

「これ、スープに合いそうかな」

そして、さっき取った脳味噌の一部をスープに入れて溶かしてみる

「真白ちゃんもどう?」

600真白『ユキカゼ』:2023/01/10(火) 20:53:04
>>599
「いやぁ・・・私はお肉だけで良いよ。
 ゆーちゃんはワイルドだね」

哺乳類の脳みそはゲテモノ感覚が強い。
ただ、確かに濃厚な味の脳みそは辛めのスープにあう・・・『かも』。

「うん、うまい。噛みごたえがあるって、ご飯がすすむ感じ。
 ・・・よし、次はこっち焼いていおくよ」

真白は詰め合わせセットから『熊肉』を取り出し、火にかける。
串に刺さった大きめの肉を、ワイルドにかじりつくタイプのモノだ。

601勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/11(水) 18:26:02
>>600
「うーん、そう?」

イワシなんかは頭ごと齧り付いてバリバリ食べたりするのに
哺乳類の脳なんかはゲテモノと認識して忌避するのだから
人間の食肉の基準はよく分からないものだ

脳味噌がスープに全体的に溶けて広がる
ピリ辛ミソスープを飲んでみる勇者

「あっ、やっぱりこれ合うよ」

脳味噌は白子のようにクリーミーで、まったりまろやかだ
スープの辛さを程よく抑え、飲みやすくしてくれる

「ご飯を入れてもいいかも」

脳ミソスープにちょっとご飯を入れて食べてみる
ご飯がスープの辛さと脳味噌の旨味を吸い取って美味い

「今度は熊だね
 熊の手って高級なんだよねー」

熊肉は鹿よりも歯応えがあり食べ応えがありそうだ
部位はどこら辺だったりするのだろうか?

602真白『ユキカゼ』:2023/01/11(水) 20:17:48
>>601
より人間に親しいほど忌避感が生まれるのではないだろうか。
哺乳類の部位は、魚よりも人間に似ている・・・と、思う。

「『ロース肉』らしいよ。霜降りの入った高級品・・・って書いてあるね」

じゅうじゅうと音を立てて炙られる肉の表面では、油が飛び跳ねている。
なんとも食欲をそそる匂いが漂ってきた。

「肉や豚よりも噛みごたえが有り、味も濃厚――だって」

603勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/12(木) 18:21:24
>>602
ロースはやはり、大抵の肉で安定して美味い部位なのだろう

「硬い肉は煮込みにしたりするのも良いよね」

猪の肉なんかは鍋にして煮込むと柔らかくなって美味い
熊肉も熊鍋が有名な食べ方で高級料理だ

「あー、良い匂いだね
 熊って焼けるとこういう匂いになるんだ」

熊が焼ける匂いなんてそうそう嗅げるもんではない
ヒグマは火を恐れないと言うが
肉塊にされてしまえば結局焼かれてしまうのだ
もっとも、この熊はヒグマかどうかは分からないが
日本で一般的に流通している熊肉はヒグマかツキノワグマだが
2種類とも肉質や旨味が違うという
この熊はどちらだろうか?

焼き熊の匂いを嗅ぎながら、合間のパイナップルを食べる勇者
焼けて熱々になったパイナップルの甘味と酸味が
肉の脂を洗い流しリセットして、次の肉を食べる準備をしてくれる

「あっ、この間に次の準備しとこ」

兎肉と鍋を取り出す

604真白『ユキカゼ』:2023/01/13(金) 19:08:26
>>603
「ん、そろそろ良い感じ・・・いただきまーす」

良い感じに焼けてきた熊串を手に取り、
フーフーと冷ました後、ガブリと食いつく。

「あふ・・・あふい・・・。
 いや、ウマ・・・ヤバイよこれ。ヤバ・・・」

噛んで、噛んで、噛んで。
歯ごたえは抜群! 噛むたびにお肉から旨味が溢れ出てくる。
ガバッとご飯を書き込み、合わせて飲み込んだあと、スープで流し込む。

「は〜こういう肉もあるんだね・・・ハマりそう。
 ・・・・・・って、ウサギ肉の鍋? 良いね、そろそろシメ?」

605勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/14(土) 16:40:09
>>604
「うん
 うさぎ料理は得意だから任せて」

勇者の出身国であるフランスでは、
うさぎは一般的に食べられている肉だが
今現在作っている兎鍋は日本の東北地方でよく食べられる郷土料理だ
もっとも、普通の兎鍋とは少し作り方が違うようだが

しかし、それにしてもだ

「今更だけど、私星見出身じゃないのに
 星見にふるさと納税して良いのかな」

勇者の出身は星見どころか、日本ですらない異国なのに
ふるさと納税で返礼品を貰って良かったのだろうか

いつの間にか刺さっていた肉やパイナップルを食べ終えていた聖剣で
うさぎの肉を綺麗に解体していく
取り外した骨を鍋にぶち込んで、出汁に使い
聖剣で斬った人参等の野菜とローズマリー等のハーブと兎肉を一緒に煮込む

しばらく煮込み、肉とハーブの香りが混じった兎鍋の匂いが立ち込めて来た
もう食える

606真白『ユキカゼ』:2023/01/14(土) 19:39:35
>>605
「まあ・・・・・・良いんじゃない? そもそも・・・」

(収入がないならふるさと納税するより普通に買った方が安いんだけど――って事は言わないでおこう)

もしかしたら何かで稼いでいるのかもしれないし。
おこぼれに預かっているのだから、黙っておく。

なお、勇者がお肉を用意した(事になった)ので、
自分はバーベキュー用品やご飯等を担当した(事になった)。

「うわ、いい匂い・・・。
 ウサギって確か鶏肉に近いんだっけ?」

器に肉と野菜、スープをとりわけ、食べ始める。

「ん、うまい!」

肉の旨味が染み出したスープ、柔らかいながらも、噛みごたえのある兎肉。
食べる手を止めることなく、(おかわりもして)一気に食べきる。

「・・・・・・ごちそうさまでした!」

607勇者『リィン・カーネイト』:2023/01/15(日) 18:37:10
>>606
「うん、やっぱりうさぎは美味しい!」

ラパン…食用に育てられたうさぎはともかく、このうさぎはジビエ
野生だったうさぎだ
野生のうさぎはややパサついている
それを、汁物にする事でパサつきを解消して
ハーブと一緒に煮込む事で臭みを取ってある

じっくり煮込まれたうさぎ肉からは、ハーブの良い香りが映っており
食べると柔らかく口の中でほぐれ、甘めの肉の味がする
確かに、うさぎの肉は鶏肉に近く、獣と鳥の中間と言った感じがする

「ご馳走様」

卯年の新年からうさぎ肉を食べる
こんなおめでたい事があるだろうか?

今年の干支動物のパワーを体に取り込み、今年こそは勇者になるぞと意気込むユウリであった

608小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/15(日) 21:00:08

湖の近くに座り、自然の風景を眺めていた。
手元には魔法瓶の入ったバスケットがある。
中身は自家製の『ラベンダーティー』だ。

          ヒュォォォ……

  「――あ……」

不意に風が吹き、帽子が飛ばされる。
幸い湖に落ちる事はなかったが、高い木の枝に引っ掛かってしまう。
頭上を見上げ、どうすべきか思案していた。

609朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/15(日) 22:17:24
>>608
「おや?」
ふと近くから声が聞こえてきた。

「どうもこんにちは。
 こんなところで出会うなんて、偶然ですねー。」
そう言って笑美は手を振り、小石川に微笑みかける。

「帽子、取りましょうか?」
そう言って枝の方に手を伸ばす…

610自称臨床心理士:2023/01/15(日) 22:55:09
こんにちわ、私は臨床心理士と申します。しかし、其は、嘘です。臨床心理士と言えばカッコ良いと思いそう言い続けてきました。ほんとは只な小学生です。私には虚言癖があります。中々治りません。有りとあらゆる嘘を付いてきましたが、流石に罪悪感は消せません。その為此処で懺悔して罪の意識から逃れたいと思っています。此から沢山懺悔して心を清めたいと思いますのでどうかよろしくお願いします。皆さんに読んで頂ける事で少しでも私の罪が軽減される事を願っています。

611小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/15(日) 22:56:19
>>609

  「笑美さん……」

声の主に振り向き、そちらを見つめる。
特に意識せずとも表情は柔らかくなっていた。
ここに来るのは初めてではなく、何度も通っている場所だ。
一人で訪れた事も多い。
しかし、今は『誰かに会いたかった』――のかもしれない。

  「ええ……『嬉しい偶然』ですね」

交流を重ねた信頼できる友人の一人。
『朱鷺宮笑美』の事は、そう思っている。
だから、きっと彼女を頼っていいのだろう。

  「……『お願い』出来ますか?」

軽く頭を下げ、笑美の様子を見守る。

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614朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/15(日) 23:32:58
>>611
「ちょっとお散歩をしに来た所だったんですよ。
 今日はいい天気みたいですし」
どうやら彼女、笑美は普段どおりのようだ。
散歩用なのか少し動きやすそうなワンピースである。

「こういうのも他生の縁ですからね。
 了解しました。」
そう言って彼女は手を伸ばす…

「…このままだと届かないですね…
 せっかくですから」
どうやら、笑美も届いてないようだ。
すると

ドギュン!!
「お願いしますね、『トループス・アンダー・ファイア』」
笑美は自身のスタンドを出現させた。
そのまま帽子をキャッチすると本体の元へと手渡した。

「ふう、どうぞー。」
そう言って彼女は小石川に近寄り、帽子を差し出した。

615小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/15(日) 23:55:56
>>614

現れた『工兵』のようなヴィジョンに目を細める。
既に知っていたとはいえ、やはり力強い。
それは自分にはないものだ。

  「――ありがとうございます……」

         ソッ

両手で帽子を受け取り、元通り被り直した。
つばの大きな黒いキャペリンハット。
それによって生じた影が、顔の上に薄く掛かる。

  「笑美さんにお話したい事があるのですが……」

  「……聞いていただけますか?」

そう言って、地面に敷かれたレジャーシートに腰を下ろす。

     コポポ……

  「――……どうぞ」

バスケットから魔法瓶を取り出して、カップにお茶を注ぐ。
以前、自宅に招いた際に出したものと同じ。
ラベンダーティーの入ったカップを笑美に差し出した。

616朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/16(月) 00:05:14
>>615
「いえ、どういたしまして
 …大事にしているものみたいですね。
 その帽子は。」
そう言って彼女はうなずいた。

「お話したいことですか?」
小石川からの話と聞いて、少し驚いた様子を見せる。
色々と小石川とは話すことはあったが…どんな話をするのだろうか。

「…分かりました。
 お話聞きましょう。」
そう言ってレジャーシートに入り、座り込む。

「懐かしい香りですね。
 このラベンダーティー、美味しいですよね。」
そう言って持っていたカバンからなにか取り出した。

「せっかくだから一緒にどうですか?
 手作りじゃないですけど…」
出てきたのはハムと卵のサンドイッチの袋。コンビニで売っているもののようだ。

617小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/16(月) 00:50:26
>>616

湯気の立つカップから、優しく上品な香りが漂う。
もう一つのカップを用意し、そちらにも同じようにお茶を注いだ。
ラベンダーの鎮静作用は、気持ちを落ち着けてリラックスさせてくれる。

  「……『お茶の時間』には丁度いいですね」

出てきたサンドイッチを見て、穏やかな微笑を返した。

  「――私は『一人でも多くの人を助けたい』と思っています……」

  「でも……『それは間違っている』とおっしゃる方がいたのです」

温かいカップを両手で持ちながら、ぽつりぽつりと語り始める。

  「『全てを選ぼう』とするのは『何も選ばない事』と同じだと……」

  「『大切な相手』と『そうでない相手』を『分ける』べきだと……」

一旦、そこで言葉を止める。

  「ただ……私はこう思うのです」

  「どんな人であっても『その人を大切に思う人』がいるはずです」

  「私にとっては『他人』だとしても『誰かにとっての大切な人』なのです」

  「『愛する人が傷付いた時の痛み』を思うと……私には『分ける事』は出来ません」

  「笑美さん――私の考えは間違っているのでしょうか……?」

打ち明けたのは、相手が『笑美だから』だった。
信頼できる友人だからこそ、正直な胸の内を明かせた。
だからこそ、こうして頼る事が出来た。

618朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/16(月) 19:19:30
>>617
「どうも、こちらもひとついただかせてもらいますね。」
そう言ってお茶が注がれたティーカップを手に取った。

「あなたが何を思うか…聞かせていただきますね。
 まぁ…私にいいことが言えるかわかりませんけど…」
と言いつつも、小石川の言葉には真摯に耳を傾けた。

「一人でも多くの人を助けたい…ですか…」
そしてその言葉はどこか、弱気になったようにも思えた。
彼女は何を経験したのだろうかと、そして、自分の意志を折ってしまいそうになっているのではないかとも思えた。

「……」
彼女の言葉を一通り聞いて、そして少しお茶を傾ける。

「なるほど…」
そして、ティーカップを一旦置いて、言葉を紡ぐ。

「私にも難しい話ですが…
 一つわかることはあります。」
あくまで持論だ。笑美は感じたままのことを言うことにする。

「一人でも多くの命を助けたいと思うこと、それは間違っては居ません。」
じっと小石川の顔を見る。

「かと言って、命を選ぶこともまた間違っているとは居ないでしょう。
 …どちらも…人を救いたいという思いに偽りはありません。」

「多くの命を守ろうとしても、伸ばせる腕にも、掬える手のひらにも限りがあります。
 全てを拾おうとしても、指の隙間からこぼれ落ちてしまうでしょう。
 私も、正直家族を守るだけで手一杯な気がしますよ。」
どこか自虐的に笑いかける。

「…でも、一人だけでなければ…
 より多くの手のひらがあれば、零れた命も救えると思うんです。」
笑美は、一人だけで護れないものも
多くの協力があれば出来るかもしれない。と考えていたようだ。

619小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/16(月) 20:37:27
>>618

押し黙ったまま、笑美の言葉に耳を傾ける。
相槌も打たず、一つ一つを噛み締めるように。
彼女が話し終えた後も、しばしの沈黙が続いた。

  「――……ずっと考えていました」

  「私は『何も出来なかった』のではないか……」

  「これから先も――『何も出来ない』のではないかと……」

  「理想を語っても、結局は口だけで、何も……」

カップに視線を落とし、そこに映る『自分自身』を見つめる。
内心の迷いが表れているかのように、深い憂いを帯びた表情だった。
きっと笑美からも、そんな風に見えているのだろう。

  「だけど、どうしても捨てられなくて……」

実現できない理想など、いっそ忘れてしまうべきなのだろうか。
そう思った事もある。
だが、やはり手放す事は出来なかった。

  「――笑美さん……」

おもむろに顔を上げて、笑美の方へ向き直る。

  「私も『同じ気持ち』です……」

『一人でなければ』――それは当たり前の事かもしれない。
しかし、改めて聞かされると、その『重さ』が身に染みる。
自分よりも大人である笑美の言葉だからこそ、より強く心に響いた。

  「私は……『その言葉』を忘れません」

        クイ……

静かにカップを傾け、お茶を飲む。
水面に映った『自分の弱さ』を、自らのものにしようとするように。
カップを下ろした時、その表情は、以前の穏やかさを取り戻していた。

  「……一人でなければ『お茶会』も出来ますね」

             ソッ

微笑みながら、サンドイッチの一切れを手に取る。

620朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/16(月) 20:56:42
>>619
「…少しは役に立てたでしょうか?
 ちょっと恥ずかしくなりました…。」
そう言って彼女はまたお茶を口に運んだ。

「あなたがどんな思いをしてきたのか、
 私にはわからないですが…それでも思います。」
じっと笑美を見ながら言う。

「自分が決めた道は、思いっきり先まで進んじゃえば良いんですよ!」
力強く、元気に彼女は目を輝かせた。

「…ちょっと大げさすぎましたかね?」
そう言って軽く笑った。

「他にも人が居たら出来ることはいっぱいありますからね。
 大体の遊びも、出来るようになりますよ。フヒヒ。」
彼女もサンドイッチを手にとって答えた。

621小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/16(月) 21:41:02
>>620

崩折れてしまいそうだった自分にとって、彼女の言葉が、
どれだけ支えになってくれたか。
その大きさは、とても言い表せない。
いくら感謝しても足りないだろう。

  「ええ――とても……」

      ニコ……

  「とても……『励み』になりました」

だからこそ、今の素直な気持ちを込めて、心からの微笑みを返した。

  「……笑美さんは、どうして『スタンド使い』になられたのですか?」

サンドイッチを口にしながら、ふと思った事を尋ねる。
振り返ってみれば、そういった話題が出た記憶はない。
深い理由はなかったものの、この時は不思議と気に掛かった。

  「私は……『音仙』という方に引き出していただきました」

初めて対面した時の事は、まるで昨日のように覚えている。
当時と比べると、随分と変化があったように思う。
『あらゆる意味』で。

622朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/16(月) 22:14:18
>>621
「どういたしまして、ですね。
 お悩み相談とまでは行きませんけど
 何かあった時はお話だけでも聞きますよ?」
そう言ってサンドイッチをもぐもぐと食べる。

「小石川さんの笑顔も、なかなか素敵じゃないですか。」
彼女の言葉もおそらく心からのものなんだろう。

「私がスタンド使いになった理由ですか?」
ふと、彼女から続いた言葉を聞いて、ふと視線を再び小石川に向ける。

「あなたもなんですね。私も『音仙』さんから能力を引き出していただいたんですよ。」
能力を引き出す人間が何人いるかは笑美は知らない。
だが、なかなかの偶然かもしれないと思った。

「私は、娘が不幸になってる原因は私にあるんじゃないかなって思ったのがきっかけで
 風のうわさで立ち寄ったんです。
 私は幸運で、娘が不幸…もしかして私が運を吸い取ってるんじゃないかって不安になりまして、ね。」
少しさみしげな表情で笑美は語る。
娘といえば、夏の魔物との決着の際に行動をともにした彼女だろう。

「でもビックリでした。
 まさか娘が私より先にスタンドを持っていたなんてね。」
すぐに表情は嬉しそうなものに戻っていた。
どうやら彼女の家族にも色々あるようだ。

623小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/16(月) 22:56:51
>>622

  「――笑美さんも……?」

意外かどうかは分からない。
しかし、『スタンドを目覚めさせる刀』の存在は知っていた。
以前、『旅行中に遭遇した事件』で、そういう話を聞いた事がある。
だから、『音仙』のような人物が複数いたとしても、何ら不思議はない。
そう考えていた。

  「……涙音さんの『フォートレス・アンダー・シージ』も、
   笑美さんのスタンドと似た雰囲気がありましたね」

二人のスタンドを、頭の中で思い起こした。
どちらも『屈強な兵士』を思わせるヴィジョンを持っている。
やはり『親子』だから、精神の象徴であるスタンドにも、
『共通点』が生まれるのだろうか。

  「私が最初に自覚したのは――『こちら』でした」

軽く持ち上げた左手に『ナイフ』を発現する。
『第一の刃』である『スーサイド・ライフ』。
その能力は、笑美も知っている通り。

  「旅行で『ある町』に立ち寄り、その時から『これ』が……」

続いて、今度は右手に『ナイフ』が現れる。
『ビー・ハート』と名付けられた『第二の刃』。
これに秘められた力も、笑美には周知の事実だ。

  「『音仙』さんは『新しい音』だと……そうおっしゃいました」

鋭利な切れ味を宿す二本の刃は、綺麗に磨かれた鏡のように、
曇り一つなく美しい輝きを放っている。

624朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/16(月) 23:49:50
>>623
「はい、私も同じ人に目覚めさせてもらいました。」
意外な共通点のようで、どこか笑美は嬉しそうであった。

「そうなんですよねー。
 あの子のスタンドもかなりパワーが有りましたよ。
 私のと同じくらいかしら。
 能力はちょっと違いますけど。」

「あの子も目覚めさせてもらったみたいなこと言ってたかしらね…」
そう言って少し考える表情をした。

「それがあなたのスタンドでしたね。
 …最初は刃が一つだけ…そして新しい刃が生まれた。」
そう言って少しうなずいた。

「新しい音とは、きっとあなたの力の成長なのでしょうね。
 カラダを鍛えることで成長するように
 スタンドもまた、成長するのかもしれません。」
果たして自分も成長するのだろか。と内心で笑美は考えた。

625小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/17(火) 01:09:48
>>624

  「初めて『柄』を握ってから……長い時間が経ったように感じます」

『二振りの刃』を見下ろしながら、改めて考える。
『自分に出来る事は何か』を。
そして、自分自身の中から、『これら』が生まれた理由について。
スタンド使いになる前から、自傷用の『果物ナイフ』は持ち歩いていた。
スタンドを得た今、ナイフは文字通り体の一部のようなものだ。

  「普段の生活で使う場面は多くありませんが――」

  「……お料理をする時などには便利ですよ」

『魔物事件』の際にも『達人の技量』は発揮されていた。
笑美や涙音のような人型スタンドとは違い、
日常でナイフが必要になる機会は少ない。
しかし、場合によっては重宝する事もある。

  「――もし宜しければ、いつか一緒に『お弁当』を作りませんか?」

           ニコ……

  「その時には『手作りのサンドイッチ』を詰めましょう……」

もし次があるなら、今度は手作りを用意したいと思った。
そうすれば、より有意義な時間を過ごせるだろう。
作る過程も楽しめれば、言う事はない。

626朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/17(火) 18:55:29
>>625
「そのスタンドもとても頼りになる相棒なのでしょうね。
 日常生活でも使えるっていうのは便利ですよねー。」
そう言ってその刃を見つめる。
戦うだけがスタンドの使い道ではないのだと思う。

「私のスタンドも力持ちだから、家事仕事の手伝いをするときに便利なんですよー。
 まぁあまり器用じゃないので細かいことは出来ませんけど。」
人型のスタンドはそれだけで人間二人分の作業ができる。
彼女もそれでとても助かっているようだ。

「一緒にお弁当を、ですか。」
その言葉を聞いて、笑美も嬉しそうにうなずく。

「いいですね。ぜひともお願いします。
 手作りのサンドイッチはとても美味しいですし、ね。」
そう言って笑った。

「お弁当を作ったら、ピクニックに行くというのも悪くなさそうですね。
 私の娘たちも一緒に行ったら楽しいと思いますよ。」
彼女も楽しそうにプランを考えているようだ。

627小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/17(火) 19:48:25
>>626

両手を開くと同時に、二振りの刃が霧散する。
精神の象徴である刃を解除し、肉体という鞘に収めたのだ。
薬指にはまった銀の指輪だけが、空っぽの両手に残された。

  「……涙音さんの他にも、お子さんがいらっしゃったのですね」

『娘達』という言葉を、そのように解釈した。

  「ええ――大勢の方が楽しいですから……。
   その時は、私からもご挨拶をさせて下さい」

小石川文子は、今の自然公園のように静かな場所を好む。
しかし、それとは対照的な賑やかさも好きだった。
誰かと出合い、語り合う事は、心の中に根付いた寂しさを慰めてくれる。

  「――今、おいくつですか?」

『涙音の姉妹』という事は予想できるが、それ以外は分からない。
スタンド使いなのかどうかも。
もっとも、家族だからといって、
必ずしもスタンドが目覚める訳ではないだろう。

628朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/17(火) 20:43:13
>>627
「ええ、もう一つ下に妹がいます。
 だいぶ歳は離れてますが…」
そう言って笑う。
涙音は見る限り高校生くらいだろう。となると幼稚園に行くようなくらいだろう。

「ありがとうございます。
 その時にはぜひご連絡いただければと思います。」
そう言ってもう一つサンドイッチを食べた。

「そうですねー。小さくて可愛い子なんですよ。」
そう言って微笑みかけた。

「今の年齢は確か…5歳くらいだったかしら。
 涙音よりも9つ下なんです。」
どうやら妹の年齢は涙音よりも離れているらしい。

「あの夏の魔物の事件解決のときに、
 サンタさんが来たって嬉しそうに私に言ってくれたんですよ」
氷山のスタンドがサンタとして動いていた頃の話だろうか
どこか楽しそうにその時のことを語った。

「多分、妹はスタンドを持ってないと思います。
 もし持ってたら、嬉しそうに見せてくれると思いますし。」
笑美の言葉を聞く限り、スタンド使いでなく
親と姉との関係も良好であるらしい。

629小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/17(火) 22:41:42
>>628

  「……お会いするのが楽しみです」

まだ会った事のない『妹』の姿を想像すると、微笑ましく感じられ、
自然と口元が綻ぶ。

  「彼女達も……いつかは『大人』になるのですね」

  「私達に『子供』の頃があったように……」

自分や笑美にも子供の時代があった。
しかし、今は二人とも大人になっている。
笑美の子供達も、同じように年月を重ね、成長していくのだろう。

  「何だか――懐かしい気持ちになりました」

幼かった日々の記憶が、無意識に思い起こされる。
その中に印象的な光景があった。
かなり薄れてしまっているが、微かに覚えているのは、
『誰か』と遊んだ思い出だ。
少なくとも、女の子だったのは間違いない。
当時の自分にとっては大人に思えたが、客観的に見ると、
まだ少女と言える年齢だった。
おそらく一回りくらいは離れていただろう。
しかし、『それが誰だったのか』は思い出せない。

  「――あれは確か……」

笑美と向き合った姿勢のまま、考えを巡らせる。
だが、やはり分からなかった。
あれから数十年が経過しているのだから、無理もない。
色々な事が大きく変わってしまった。
もし今ここで再会していたとしても、お互いに分からないだろう。

630朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/17(火) 23:03:51
>>629
「可愛い子たちだから、楽しみにしててくださいね。」
彼女の微笑みに合わせて、笑美もまた嬉しそうな顔をした。

「そうねー、いずれあの子達も立派なおとなになるんだと思います。
 まぁ、こういうふうになってほしいとかまでは言わないけど…」

「少なくとも、幸せになってくれればそれでいいなと、思います。」
笑美の告げた言葉は、愛情がこもっていた。
そんな気がする。

「子供の頃ですか…
 私も少し、子供の話をすると…
 私も昔は色々あったなーと思えてきます。」
そう言って少し空を見上げる。
そしてまた小石川に視線を向けた。

「若い頃は、ほんとにやんちゃでしたから。
 …ちょっと小石川さんの子供の頃、気になりますね。」
今は深窓の令嬢のようにも見える彼女の子供の頃
一体どんなものだったのだろうと耳を傾ける。

「なにか印象に残ってることとかを考えてみたら
 子供の頃のこと、思い出せるかもしれませんよ?」

631小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/18(水) 00:15:11
>>630

       コクリ……

笑美の申し出を受けて、小さく頷いた。

  「……以前お伝えしたかと思いますが、あの別荘は『母方の実家』なのです」

  「私の母は結婚を反対されて、父と共に家を出ました。
   つまり……『駆け落ち』したのです」

  「その先で生まれたのが『私』――という事になります……」

おそらく自分は『母親似』なのだろう。
自分が母の立場でも、きっと同じような行動を取っていた。
今になって、そう強く感じられる。

  「両親は『トマト農園』を営んでいました。
   糖度の高い『フルーツトマト』を作っていたのです」

水分量を意図的に減らす事で、果実に栄養が蓄積されていく。
そうして育てられたトマトは、
通常よりも遥かに甘いフルーツトマトに仕上がる。
辛さや苦しさを乗り越えるからこそ、美味しい実が出来上がるのだ。

  「私も収穫を手伝う時がありましたが……
   『トマトは野菜なのか果物なのか』と質問して、
   両親を困らせてしまった事もありました」

  「両親が作ったトマトは、とても甘かったもので……」

  「ただ、はぐらかされてしまったので、
   結局どちらなのかは分かりませんでした」

          クス……

昔の出来事を思い出し、ふわりと笑う。

  「一度だけ遊んでくれた人がいたのですが、
   その時にも『同じ質問』をしたような覚えがあります」

  「私は、お気に入りだった白いワンピースを着て……
   白い帽子を被っていました」

そこまで話した時、相手の事を少しだけ思い出せた。
髪の色は金色で、表情も威圧的だったような気がする。
しかし、どこか寂しそうに見えた。
だから怖いと思わなかったのかもしれない。
実際、彼女は一緒に遊んでくれたのだから、
本当は優しい心の持ち主だったのだろう。

632朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/18(水) 19:16:54
>>631
「そうだったんですね…お二人はそこまでお互いを愛し合っていたのですか。
 駆け落ちの結婚…なかなか素敵かもしれません。」
そう言って微笑んだ。
笑美はきっと昼ドラも好きなのかもしれない。

「小石川さんはどっちに似てるんでしょうねー。
 なんか気になります。」

「ふーむ、フルーツトマトはどちらに分類されるか…
 それはとても難しい命題ですね。
 …きっと愛情込めた美味しいトマトだったんでしょうねー。」
ラベンダーだけでなくトマトの農園もあったと知り、
少し興味が湧いてきているようだ。

「へぇ、同じ質問を…
 一体誰なんでしょうね。」
少し不思議な感覚を覚えながらも話を聞いた。

「さぞやかわいい女の子だったんでしょうねー…
 小さい頃の小石川さん…?」
少し小石川の幼い頃の姿を連想する…と、
なにか記憶の底に見覚えのある光景が見えたような気がした。

「その時のこと、もっと聞いてみたいですねー」
なんとなく気になって、もっと詳しく聞いてみることにした。

633小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/18(水) 20:37:20
>>632

  「その時に遊んでくれた人は、『年上のお姉さん』でした。
   ずっと不機嫌そうな表情をしていましたが、
   私には悲しんでいるように見えて……それが印象に残っています」

そういえば、彼女が着ていたのは『制服』だったのではないだろうか。
しかし、きちんと着用しておらず、着崩していた。
世間的な見方をするなら、いわゆる『非行少女』だったのかもしれない。

  「私に『両親の話』をしてくれました。
   『二人とも来てくれなかった』と……」

記憶が正しければ、彼女は次のように話していたはずだ。
学校の窓ガラスを割って、先生から厳しい注意を受けた。
だけど、お父さんもお母さんも来てくれなかった。
娘の自分より、世間体の方が大事なんだと。
まだ幼かった小石川には、あまり理解できていなかったが、
両親からの愛情を感じられない悲しさは、子供ながらに共感する部分があった。

  「私は――『私が一緒にいるから』と言ったような気がします」

彼女の寂しさを少しでも埋めたいと思って、自然と口にした言葉だった。

  「別れ際に、彼女は笑顔を見せてくれました」

一緒に遊んだ小石川が帰る時に、明るい顔で見送ってくれた。
それが彼女の本当の顔だった――という考え方も出来る。
実際の所は分からないが、鋭い眼光の下にも、
穏やかで優しい一面があった事は確かだろう。

  「私には、彼女の名前も分かりません。
   今どこで何をしているのかも……」

  「ただ、私が一緒に遊んだ事で、
   少しでも元気を取り戻してもらえたのなら良かったのですが……」

カップのお茶を一口飲んでから、改めて笑美に目線を合わせる。

  「――笑美さんは、どう思われますか?」

  「その人は……ほんの少しでも救われていたのでしょうか?」

634朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/18(水) 20:54:01
>>633
「年上のお姉さん…ですか。
 それで…?」
ふと、彼女の言葉を聞き続けて、
なにかおぼろげだった記憶が思い出されてきた。

「ふたりとも来てくれなかった…と…?
 それであなたは、その人に…」
その言葉を聞いたときに、なにか稲妻が走るような感覚を覚えた気がした。

(そういえば…あの時…)
モヤがかった記憶になにかはっきりとしたものが見えた気がする。
それは自分が一番荒れていた時期のことだった。
自分の両親はどちらも実業家のお金持ちだった。
だが自分に教育を施すのみで遊んでほしいと言っても
仕事仕事と言って聞いてくれなかった。
段々と愛情を得られないことで心がひどくささくれ始めていた。
…自分が問題を起こせば両親は怒ってくれるかもしれない。会いに来てくれるかもしれない。
そう思って、学校の窓ガラスを壊した。
…だが両親は来なくて…

(まさか…?)
その時に自分は、一人の少女に出会って…
一緒に遊んだ。その子と遊ぶと、なんだか心が軽くなるように思えた…

「……なるほど」
まだはっきりとはいえない。だがそれはきっと…

「多分、いや、絶対…」
眼の前に居るのかもしれない。

「救われたと思います。
 …今、幸せですよ。」
笑美の顔はきっと、とても素敵な笑顔なのだろう

635小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/18(水) 21:57:22
>>634

あの時、偶然『二人の少女』が出会った。
それから二十年以上の月日が経っている。
お互いに大人になって、それぞれの人生を歩んできた。
その間には、多くの出来事があったはずだ。
変わった部分もあり、変わらない部分もある。

  「私も……そんな気がします」

もし――もしも、『あの時に出会った二人』が、
今この場で語り合っているとしたら。

  「あの人は『幸せでいてくれる』と……」

それは、きっと『今日の自分達』に似ているのだろう。

  「……そうだとしたら、私も『幸せ』です」

           ニコ……

朱鷺宮笑美に向けて、小石川文子は安らかに微笑んだ。
この様子を誰かが見ていたなら、笑い合う二人に重なるようにして、
一瞬『二人の少女の姿』を幻視したかもしれない。
それは『遠い過去の幻』に過ぎなかった。
しかし、『過去』は『現在』の礎。
そして、その先にある『未来』に繋がっている。

  「――よろしければ、『乾杯』しませんか?」

          コポポ……

空になった二つのカップに、お茶を淹れ直す。

  「これからも、互いに『良い友人』である事を願って……」

        スゥッ

再びカップを持ち上げ、笑美に申し出た。

636朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/18(水) 22:51:42
>>635
「そうですね。
 ほんのちょっとした人と人とのつながりが
 その人の運命を変えてしまうのかもしれません。」
そう言ってにっこり笑った。
彼女の笑顔が、その時見た少女に似ていたものだから。

「家族もいたり、でしょうね。」
もしかしたら、笑美が踏み出せたのも
あの出会いがあったからかもしれない。
そう思うと、なんとも不思議な縁だと思えた。

「どうもありがとうございます。
 お茶をもう一杯ですね。」
そう言って、注がれたカップを手に取った。

「はい、今までもこれからも良き縁であることを願いまして。」
そう言ってカップを持ち上げた。

「乾杯。」

637小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/01/18(水) 23:25:26
>>636

数十年前、荒んでいた少女の心を癒やしたのは、白いワンピースを着た少女だ。
そして今、黒い喪服を着た女は、一人の大切な友人に救われた。
それらが同一人物であるなら、互いに助け合った間柄と言える。

  「この『縁』に心から感謝しています……」

          ソッ……

  「――これからも宜しくお願いします」

ささやかな祈りを込めて、静かに乾杯を交わした。
この町で生きている限り、今後も『二人の縁』は続いていくだろう。
かつての『少女』が『大人』になった今も、『あの時』と同じように――。

638朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/01/18(水) 23:42:25
>>637
「私も、この『友人』との出会いを
 心より嬉しく思います。」
そう言って確かにカップを打ち合わせた。

「ええ、こちらこそ。
 この結ばれた縁がこれからも続きますように。」
静かにつぶやきながら笑った。
きっとかけがえのない絆となったに違いない。

今日という日は笑美にとって
あの日からほつれていた縁が、たしかに結ばれた記念日になるだろう。

639りん『フューネラル・リース』:2023/01/28(土) 12:41:00
10年に1度の寒波で雪が降り積もった公園
雪をかき集めて作られた小さな家、かまくらが建てられている

「とーれとれぴーちぴち蟹料理♪」

中からは湯気が立ち込め、真ん中には鍋が置かれている
頭部から鈴蘭が咲いている少女、りんが用意した物だ
りんと一緒に鍋を囲んでいるのは>>640

640夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/01/29(日) 16:19:34
>>639

   「『ユキ』だ」

 ダダダダダダダダダダダ

      「『ユキ』だ!!」

    ダダダダダダダダダダダダダ

            「『ユキ』だ〜〜〜〜!!」

                 バフッ

無邪気にはしゃぎ、そこら中を駆け回り、勢い良く雪の中に倒れ込む。
ここまで降り積もった銀世界を目の当たりにするのは、生まれて始めてだ。
ひとしきり新鮮な景色を堪能してから、りんの待つかまくらに入る。

「いや〜〜〜〜スッゴイたのしい!!
 こんなのハジメテだから、アリスもコーフンしちゃったぜ!!
 お??そろそろイイんじゃない??」

      ズ ギ ュ ン ッ

「『あじみ』のコトならまかせとけ!!」

傍らに『人型スタンド』を発現する。
以前りんが目撃した『ドクター・ブラインド』ではない。
輝く金髪とカラフルな光のリボンが特徴的な『ドクター・アリス』。

       「どれどれ??」

          スウッ

手元の箸に『超人的味覚』を移植し、鍋の中に差し入れる。
常人を遥かに超えた精密な味覚によって、
『鍋奉行』の如く煮込み具合をチェックするのだ。
『ユウザイ』か??それとも『ムザイ』か??
『カニナベ』にかくされたカズカズのショウコと、
それらがものがたるシンジツとは??
このナンジケン、『ナベブギョウ』として、わたしがさばく!!

  「ふんふん、ほうほう、なるほどなるほど」

        「――――――『よさそう』っぽいよ」

はんけつは『たべごろ』だ!!

641りん『フューネラル・リース』:2023/01/29(日) 18:35:06
>>640
初めて見た雪にはしゃいで駆け回る
犬かな?

真っ白が広がる冷たい銀世界から、かまくらの中に入ると
雪の中とは思えない温かさを感じる
ど真ん中に鎮座する鍋から発する熱がかまくらの中を温めている

>『あじみ』のコトならまかせとけ!!

「あっ、アリスちゃん
 スタンドちょっとイメチェンした?」

『ドクター・ブラインド』から『ドクター・アリス』になったスタンドを見て言う
スタンドはイメチェンしようと思って出来るものじゃないが
そういう事はよく知らないりんはちょっとお気軽に髪型変えた?程度に聞く

>手元の箸に『超人的味覚』を移植し、鍋の中に差し入れる。

「えっ、それで分かるの?」

ぐつぐつ煮える鍋に箸を突っ込んで味を確かめる
一口に蟹鍋と言ってもいくつか種類があるわけだが
これはカニすきだ

昆布の出汁が効いていて、鍋の底には蟹の甲羅が敷かれている
甲羅からも出汁を取っているようだ
そこに豆腐や葱等のすき焼きの具材と、メインとなる蟹の足はたっぷりと浮かべられている
この蟹はどうやらズワイガニのようだ

ズワイガニの旨味が染み出したカニすきの味を箸が味わう
まさに今が食べ頃って感じだ

「あっ、アリスちゃん蟹酢要る?」

蟹酢で蟹を食べるか、それともすき焼きらしく溶き卵で食べるか

642夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/01/29(日) 19:34:59
>>641

おいしいだけじゃなく、『ダンボウ』もかねそなえているとはかしこいな!!

「イエェ〜〜〜〜ス!!
 そろそろチョットかえてみようかな〜〜って!!」

かつての『ドクター・ブラインド』は、
本体のイメージとは全く似ていなかった。
どこか事務的で無機質な雰囲気が漂っていたのだ。
おそらくは『医者』の要素が強かったのだろう。
それとは対照的に、現在の『ドクター・アリス』は、
客観的に見て本体と重なる部分が多い。
『スタンドが本体に追い付いた結果』と言える。

「アリスの『アリス』はデキるコだから、
 マジでイロイロできちゃうんだなコレが。
 フハハハハッ!!」

「しかも『グルメ』!!
 いいトコのズワイガニをつかってるな〜〜〜〜。
 せがたかくてハンサムで、ネンシュウがよくて、
 タワーマンションぐらしってカンジのエリートっぷりだ」

         ヒョイッ

鍋に突っ込んでいた箸を引き上げる。
味覚だけ移植しているので、熱さは感じない。
たとえグツグツ煮えたぎっていたとしても、
純粋に味だけを調べられるのだ。

「ドッチもすてがたいけど、まずはナニもナシで、
 『そざいのよさ』をタンノウしよう」

         ソッ

カニの脚を一つ掬って身を取り出し、少し冷ましてから口の中に入れる。
ついでに、自分自身に『超味覚』を移植。
これにより、まるで『グルメ評論家』のように、繊細な分析を行う事が可能だ。
食材本来の旨味を、細部に至るまで味わう事にしよう。
りんちゃんレストランの『ホシ』はいくつになるかな??

643りん『フューネラル・リース』:2023/01/30(月) 16:22:29
>>642
「アリスちゃんは通だねぇ〜」

カニ脚を口の中に入れる
ズワイガニは柔らかいのが特徴だが
よく煮込まれているからか、更に柔らかくなっており
一口で簡単に身がほぐれてしまう
繊細な蟹の味に昆布が効いた出汁を吸った身は
何もつけなくてもしっかりとした味があって美味い

りんも夢見ヶ崎に倣って、そのままの蟹を味わってみる

「あち…」

夢見ヶ崎と違って冷まさずに食べたためにちょっと熱かったが
熱いが故に美味さも増す

「美味しいねズワイガニ」
「かにかまも美味しいけど、やっぱりたまには本物も良いよね」

最近のかにかまは非常に完成度が高く
高価な蟹を買うよりもかにかまの方が良いという意見が多い
実際、品質のハズレの蟹よりかにかまの方が美味かったりするのだが
カニすきにするのならやはり本物の蟹でなければ出来ないだろう

「よし、次は特製蟹酢で…」

そのままの蟹を味わったりんは
蟹酢に刻んだ鈴蘭を加えた物を特製の蟹酢を出す

644夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/01/30(月) 18:54:05
>>643

「――――――『ウマい』!!」

昆布ダシの旨味とズワイガニの甘味は至高の組み合わせ。
それを『超人的味覚』で味わう。
お口の中はパラダイスだ。
全国各地のありとあらゆるお祭りが、
いっぺんに開催されたかのような大盛り上がり。
まさしく『食のエンターテイメント』!!

「ホシ『いつつ』といいたいトコだけど、
 さらにオマケして『むっつ』あげよう!!」

          ビシィッ

『ドクター・アリス』が、両手の指を3本ずつ立てる。
グルメでユウメイな『アリスのアリス』も、
これにはナットクせざるをえない。
りんちゃんレストラン…………あなどれないな…………!!

「さいきんのカニカマはリアルだもんな〜〜〜〜。
 ホンモノとイッショにしても、ゼンゼンわかんないもん」

    「でも、わたしだったらわかっちゃうね!!
     なんたって『アリス』だから!!」

カニカマと同じく、近年のコピー食品は非常に精巧に出来ている。
大豆を使った代替肉など、本物と見分けがつかない物も少なくない。
しかし、『超人的四感』を用いれば、ほとんどの品を見破る事が出来るのだ。

「『ミネラルウォーターのシュルイあて』とか、けっこうトクイだしさぁ」

        ヒョイ ヒョイ ヒョイ

喋っている間も箸を動かす手は止まらない。
カニだけでなく、ちゃんとネギや豆腐も小皿に取っていく。
よく味が染みているだろう。

  「あ、わたしも『ソレ』で――――」

          チラッ

     「いや、やっぱ『フツーのヤツ』でイイや」

一瞬、『特製カニ酢』をもらおうとしたが、
超人的な嗅覚が『不穏な匂い』を嗅ぎ取った。

        トポポポポ

よって、『普通のカニ酢』でいただく。
カニと他の具材を交互に味わっていこう。
ナベのダイゴミだ。

645りん『フューネラル・リース』:2023/01/31(火) 18:42:21
>>644
特製カニ酢に混じる鈴蘭の匂いを嗅ぎ取り回避する
何でも試してみるチャレンジ精神は大事だが
それで命を落としてはどうしょうもない
今の所、鈴蘭を食べられるのはりんだけの特権だ

>ホシ『いつつ』といいたいトコだけど、
>さらにオマケして『むっつ』あげよう!!

「えへへ、6つももらっちゃった〜」

限界突破した数値の星をもらいご満悦のりん
まぁ鍋なんて、余程変な作り方しなきゃ不味くする方が難しいのだが

>さいきんのカニカマはリアルだもんな〜〜〜〜。
>ホンモノとイッショにしても、ゼンゼンわかんないもん

「人間って面白いよね〜、本物の蟹が高価だからって
 蟹もどきを作って本物より美味しいの作っちゃうんだから」
「偽物が本物を超えるって…何かかっこいい!」

中々食べる事が出来ない食材に似せたもどき料理が、時に本物を超える事がある
人間の食に対する拘りに感動するりん
まぁ尤も、雁とがんもどきとかお前味覚障害か?ってくらい似てない物もあるが

>『ミネラルウォーターのシュルイあて』とか、けっこうトクイだしさぁ

「あっ、それならうちも得意だよ!
 水の事なら自信あるからね!」

花なので水に拘りのあるりん
りんも全国の水を飲み比べをした事があるくらいだ
この鍋の水も、カニすきに合う水を態々厳選して用意したのだ


シャクシャク


そんな会話をしている間にも、蟹や野菜は二人の胃袋に飲み込まれていく

「ぷはぁ〜、やっぱり鍋にはこれだね〜」

いつの間にか御猪口に入った熱い透明な飲み物を飲んでいるりん
鈴蘭が散らされたそれを飲むりんの頬は仄かに赤く染まっている

646夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/01/31(火) 20:07:44
>>645

カニすきは素材の長所を活かすシンプルなメニューだ。
誤魔化しが効きにくい。
鍋料理は単純ではあるものの、それゆえの難しさもある。
このカニすきが美味なのは、りんの手際が良かったからなのだろう。
『超人的味覚』というフィルターを通しているからこそ、
普通は気付かない些細な違いも明確に分かる。

「おっ、ココにも『みずソムリエ』がいたかぁ〜〜〜〜。
 りんちゃんの『オススメのミズ』とかあったら、こんどおしえてよ」

      「アリスには『チガイがわかる』!!」

かまくらの外に広がる雪景色を背景に、もりもり食べていく。
もちろんカニは美味いが、豆腐やネギも美味い。
途中から溶き卵を絡めて『味変』し、さらに楽しむ。

   「ナニそれ??」

            ――――チョンッ

未使用の爪楊枝を取った『ドクター・アリス』が、そこに『超味覚』を移植。
先端部分を御猪口の水面に触れさせて『味見』する。
これが体内に入ったら大変な事になるが、実際に飲む訳ではないので安全だ。
そんな事をせずとも『超嗅覚』を使えば、大体の見当はついたかもしれない。
わざわざ味を見る事を選んだのは、『好奇心』からの行動だった。

「あ!!りんちゃんってスマホもってる??
 『レンラクサキこうかん』しようぜ!!
 トモダチはイッパ〜〜〜〜イほしいから!!」

         ゴソッ

ポケットからスマホを取り出す。
『不思議の国』に導いてくれる『白ウサギ』は、多ければ多いほど嬉しい。
そもそも、目の前にいるりん自体が、大いに興味をそそられる存在なのだ。

647りん『フューネラル・リース』:2023/02/01(水) 18:31:41
>>646
如何にりんが水マニアで水に自信があっても
『超味覚』を持つ『ドクター・アリス』には敵わないかもしれない
その『ドクター・アリス』の『超味覚』を移植された爪楊枝が
御猪口に注がれた鈴蘭酒を味見する

好奇心は猫をも殺すというが、
危険を冒さずに好奇心だけを満たす事が出来る
『ドクター・アリス』はなんと便利な事か

爪楊枝を通して味わう液体の味は、
すっきりとして雑味が無い清酒に、じっくりと漬け込まれた鈴蘭の味が溶け込んでいて
人間にはやや刺激がある味わいかもしれない
これは毒の味なのか?植物の青臭さなのか?

>『レンラクサキこうかん』しようぜ!!

「いいよぉ〜、しようしよう!」

ほろ酔い気分で少しテンションがおかしくなっているりん
かまくらで一緒に鍋を突く仲なのに、未だに連絡先も交換していなかったというのも変な話だが
鈴蘭柄のカバーに入ったスマホを取り出して連絡先を交換する

鍋の減り具合を見て、そろそろ頃合いかなって感じの顔で

「そろそろシメ入れようかな
 雑炊とうどん、どっちにする?」

648夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/02/01(水) 20:05:35
>>647

もしかすると、りん以外が『鈴蘭料理』を味見できたのは、
今回が初めてかもしれない。
他の感覚と比べて汎用性に乏しい為に、
『超味覚』が活かされる機会は少なかった。
その代わり、特定のシチュエーションにおいては、
絶大な威力を発揮する。

  「ん〜〜〜〜〜〜」

    「なんとなく『ピリッ』とするような…………。
     コレがウワサの『スズランあじ』か??
    『スリリング』なフウミがするな!!」

普通なら死んでいる所だが、
『未知の味』を感じられて満足した。
試してみようと思えば、
あらゆる毒物を安全に味見する事が出来る。
別の意味で、これも『食のエンタメ』と言えるだろうか。
ただ、明らかにマズいものを好んで口にしたいとは、
さすがに思わない。
それでは娯楽ではなく苦行になってしまう。

「――――よし!!また『ウサギ』がふえたぞ!!」

連絡先の交換を済ませ、満足げに画面を眺める。
ちょくちょく一緒に遊んでいる『ナイ』の連絡先も、
知ったのは最近になってからだった。
目の前に対する興味が先行しがちな為、
その辺りを忘れる事が多い。
ちなみに『ハナがはえたウサギ』はめずらしいぞ。
『ウサギがはえたハナ』にもまけないくらいレアだ。

「せっかくだしさぁ、
 かるくうどんをたべてから、
 ぞうすいでシメるっていうのは??」

どちらも定番なだけあって、難しい選択だ。
幸い、まだ胃袋には余裕がある。
いいカニを使っているし、いっそ両方味わってみたい。

649りん『フューネラル・リース』:2023/02/02(木) 18:10:37
>>648
>コレがウワサの『スズランあじ』か??
>『スリリング』なフウミがするな!!

「分かる?分かる?
 鈴蘭の味!ちょっと刺激的で良いよね〜!」

初めて鈴蘭の味を人間と共有出来た事に
ほろ酔いで判断能力が鈍っているりんは気付いていない
もし素面だったら、初めて鈴蘭を味わってもらえた事にもっと感動しているかもしれない
りんがこの事実に気付くのは、この出来事からもうちょっと後の事だった

>せっかくだしさぁ、
>かるくうどんをたべてから、
>ぞうすいでシメるっていうのは??

「おぉ〜、いいねそれ
 二兎追うものは二兎とも取れだね!」

昔見た特撮番組からの引用だが、意味が合っているかは微妙な所だ

カニすきの残り汁に、真っ白で美しいうどんが投下される
標準の物よりもやや細目で、この後雑炊をする事からちょっと少な目だ

グツグツ グツグツ

しばらくすると、白いうどんはカニすきの汁を吸って色が染まって行く
もちもちのうどんも良いが、煮込まれてとろとろに柔らかくなったうどんもまた美味い

650夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/02/03(金) 00:48:07
>>649

一見さり気ない光景に思えるが、
『超味覚』の底力が遺憾なく発揮された瞬間だった。

  「――――ぼちぼちイイかな??」

        ズズズズズ

          「『ウマすぎる』…………!!」

カニと昆布の合わせダシを吸ったうどんを皿に取り、
遠慮なく啜る。
常識的に言って、これがマズい訳がないのだ。
柔らかくなったうどんは食べやすく、
スムーズに喉を通り、胃の奥に流れ込んでいく。

「ジャンジャンもりあがってきた!!
 ラストの『ぞうすい』いっちゃおう!!」

最後に待ち受ける『カニ雑炊』に、否が応でも期待が膨らむ。

      「と、そのマエに――――――」

            ピッ

  「りんちゃんにアリスからの『プレゼント』だよ」

『ドクター・アリス』が、りんに『超味覚』を移植する。
常人離れした精度の味覚を獲得したりんは、
『カニ雑炊の旨味』を、存分に堪能する事が出来るはずだ。
ただでさえ美味な『シメ』を、心行くまで味わい尽くせるだろう。

651りん『フューネラル・リース』:2023/02/03(金) 18:25:47
>>650
あっという間だ
ものの数分でうどんを平らげてしまった
柔らかく煮込まれたうどんは胃にも優しく、シメとしては最適だった
だが、本当のシメはこれからだ

>りんちゃんにアリスからの『プレゼント』だよ

「?」

『ドクター・アリス』に何かをされたが、
何をされたのかはこの時点では分かっていない
何も知らずにいきなり『超味覚』でカニ雑炊を味わったら
あまりの美味さにショック死してしまうかもしれない
それぐらい、これから食う雑炊は美味い…!

「よく分かんないけどありがと〜」

取り合えず、何かしてもらったという事だけは分かったのでお礼を言うりん
何のお礼かは分かってない

「じゃあ、最後行くよぉ…!」

このかまくらを構成する雪と同じくらい白く美しい白米
それを鍋に投下し、そこに少量の日本酒を足していく
もし食べるのがりん一人だったら、鈴蘭酒を入れていた所だが…

そして最後に、残しておいた蟹味噌を加える!
蟹味噌をここまで温存しておいたのは、最後の勝負にかけるためだった

蟹と昆布出汁の旨味、そして溶け込んだ蟹味噌と絡まったカニ雑炊

「うへへ、いただきま〜す」

器に盛ったそれに、溶き卵をかけて口の中に入れる
『ドクター・アリス』に移植された『超味覚』でいきなり味わうそれに、
りんの精神は耐えられるだろうか?

652夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/02/04(土) 17:04:49
>>651

や…………やりやがった…………!!
意外ッ!!それは蟹味噌!!
濃厚なコクが、カニ雑炊のポテンシャルを最大限に引き出し、
これでもかというくらいに旨味を底上げさせる。
まさに『シメ』と呼ぶに相応しい究極の一品が完成した…………!!
もし美味さのあまり死人が出たら、
『鍋奉行』として事件を解決せねばなるまい。

「『アリスとくせいスパイス』をプラスしといた!!
 さっき『スズランあじ』おしえてもらったからさぁ。
 『いままでタイケンしたコトのないアジ』を、
 りんちゃんにもおしえてあげたいとおもって」

   「ヒトコトでいうと、
    『しょくのエンターテイメント』ってヤツだな!!」

ただでさえ『絶対に美味い』と思えるカニ雑炊を、
『超人的味覚』で味わう…………。
普通なら『美味い』で終わっていたかもしれない。
しかし、今のりんは『超味覚』の力によって、
雑炊を構成する要素の一つ一つに至るまで、
精密な分析が可能になっている。
一口食べた瞬間、その『凄まじさ』を理解できるだろう。
最初のカニすきの段階で、
『全国各地のお祭り』が一斉に始まったような勢いがあった。
しかし、最早そんなレベルを遥かに越えている。
ありとあらゆる『世界中のお祭り』が、
全て同時開催されているかのような『壮絶かつ鮮烈な美味』!!

「コレ、オイシイね〜〜〜〜!!
 こんなウマいゾウスイはじめてたべたよ〜〜〜〜。
 りんちゃん、どう??」

りんと同じように、溶き卵を加えたカニ雑炊を頬張る。
こちらは常人の味覚なので、
単純に『美味い』で終わっていた。
それでも十分な旨さを感じられるのが、
『りん特製カニ雑炊』の素晴らしい所だ。
マフユのカマクラにオープンした『りんちゃんレストラン』。
さいしょのキャクとしてやってきたのは『びしょくかアリス』だった。
ふたりのサイカイがうみだしたのは、
『キュウキョクのカニぞうすい』…………!!
グルメしじょうにのこる、
ショウゲキのラストシーンをみのがすな!!

653りん『フューネラル・リース』:2023/02/05(日) 17:55:28
>>652
「スパイスかぁ〜、雑炊に合うかな…」

ちょっと不安を感じながら匙を口に入れる

「!!??」

美味い料理はただ一言、美味いの一言で済ませれば良い
しかし、『超味覚』によって研ぎ澄まされた味蕾は
食材一つ一つの味を敏感に感じ取り分析を始めてしまう

身、殻から滲み出す蟹と昆布の海の味わい
忘れてはいけない脇役、豆腐や野菜
そこに蟹味噌が溶け込む事でコクが一段と増している
それら全てを受け入れる白米の懐の広さ
そんな白米を包み込む優しさを見せてくれる卵
全てが絶妙に調和が取れた最強の雑炊だ
大袈裟な表現だが、舌が敏感になったりんにはそう感じられた

「これ、どんなスパイス入れたの?
 手が止まらないよ!」

一口一口をしっかりと味わいながらも、雑炊を口に運ぶ手は止まらない
目をグルグルさせながら残る雑炊を食べ勧めていくりん

やがて雑炊は無くなり、最後の一口を名残惜し気に口にする

「…うち、人間やって良かったって思うよ…」

予備知識無く与えられた『超味覚』はりんには刺激が強く、
天に昇るかのような感覚を覚え昇天―――気絶した

ここまで食事を楽しめる生き物、人間以外に存在するか?
改めて人間って良いなと思うりん

死ぬ時は美味しい物を食べて幸せに死にたいと思いながら眠りにつくのだった

654勇者『リィン・カーネイト』:2023/03/18(土) 11:37:13
何故かロングソードを片手に持ちながらベンチに座り込んでいる勇者
隣には小銭が入っている箱が置かれている
そこには「殴られ屋」のプラカードがかけられている
1発毎に500円らしい

友人のまほに言われて殴られ屋のバイトを初めたのだ
痛みに耐えて忍耐力を鍛える修行であり
同時にお金が貰える一石二鳥の仕事だ
ドラえもんの道具にもいやな目に合うとお金が貰えるいやな目メーターという道具があるし
苦難に見合った報酬が貰えるのは修行のモチベーションに繋がる

655勇者『リィン・カーネイト』:2023/03/19(日) 20:36:11
>>654
合法的に人を殴れるのはやはり気持ちが良いらしい
おかげで商売は大繁盛
もう箱の中には500円玉が大分溜まっている

さあ、次のお客さんは…

まほ「ゆうちゃん!何やってんの!?」
勇者「あっ、まほちゃん
   この前言ってた殴られ屋のバイトやったら大繁盛でさ
   もうこんなに溜まっちゃったよ」

ジャラジャラ

まほ「溜まっちゃったよじゃないよ!
   冗談で言ったのに本当にやる奴があるか!」

いくら頑丈な勇者といえども
何百発も殴られれば流石に痛い

勇者「このお金で何か美味しい物食べに行こう」
まほ「ゆうちゃん、食べ物は食べたら一瞬で終わりだよ?
   折角体張って痛い思いして稼いだお金なんだから、もっと有意義な事に使おうよ」


勇者「有意義かぁ…」


後日


まほ「それで高級サンドバッグを買ったの!?」
勇者「うん、最近ちょっとストレス溜まる事多いし
   修行の相手にも良いかなって思って」

まほ「サンドバッグにされてた奴がサンドバッグを買うのか…」

           終
         制作・著作
         ━━━━━
          ⓃⒽⓀ

656りん『フューネラル・リース』:2023/03/25(土) 11:05:57
「さくら さくら 今、咲き誇る」

今年は妙に暖かい日が続いたせいもあってか
例年よりも桜の開花が早い

頭に鈴蘭が咲いた少女が花見の場所取りをして>>657を待っている

657大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/25(土) 15:02:50
>>656
そこへ来たのは、黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳 女子)のオオカミ少年の大神さんだ。

>「さくら さくら 今、咲き誇る」
「今なら言えるだろうか 偽りのない言葉
 輝ける君の未来を願う 本当の言葉」
返しの句を述べた。

「場所取りありがとう、待った? 揃った?」
手にはバスケットを持っている。お弁当かもしれない。

「追加のシートなら『毛皮』があるから任せておいて」

>>658 せっかくのお花見だし、もう一人くらい来てもいいかもしれないし、隣の席から乱入するくらいが楽しいかもしれないし、このまま始めてしまってもいいかもしれない。

658りん『フューネラル・リース』:2023/03/25(土) 18:42:45
>>657
「あ〜、こっちこっち〜」

シートの上に弁当箱と酒を展開して、一人で既に始めていたようだ

                 ハラ ハラ

りんが持っていた御猪口の桜リキュールにハラリと桜の花弁が一枚舞い落ちる
クイっと一口飲むと、桜の香りがふわっと口の中に広がる

はらりはらりと落ちる桜の花弁はりんの頭にも降り注ぐ
鈴蘭と桜、どちらも春の花だが共演する事はあまりない
中々レアな光景かもしれない

659大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/25(土) 21:24:49
>>658
「場所取り悪いねぇ。早起きさせちゃったかい?」
大神さんもシートに座りました。

「そっちはお弁当かな。
ボクが持ってきたのは、サンドイッチだからバランスいいかも。」
大神さんがバスケットを開けると、中にはお茶(水筒)とサンドイッチが入っていました。
一言にサンドイッチと言っても、ガッツリ系・あっさり系・ヘルシー系・甘味系……色々あるようです。
(そちらで適当に決めてヨシ、取ってヨシ)

「ボクはマジシャンでトランプ好きでサンドイッチ伯爵のファンだから、こういう時はだいたいサンドイッチなんだ。」
本当か嘘か大神さんはそんなことを言いました。

>中々レアな光景かもしれない
その光景を大神さんは画家のように両手の親指と人差し指で四角(アングル、アタリ)を作って見つめました。

「りんちゃんは絵になるねぇ。前に月夜の写真撮らせてもらったけど」

↓この話↓
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1630107603/73-87

「こりゃあ将来美人さんになっちゃいそうだ、ヨヨヨ」
事情を知ってか知らずか、大神さんはそんなことをつぶやきました

660りん『フューネラル・リース』:2023/03/26(日) 18:18:13
>>659
「あっ、サンドイッチ良いねぇ!
 じゃあこれ貰おうかな?」

サンドイッチは買って来た物か、大神の手作りか?
分からないが勝手に決めて良いのなら勝手に決めさせてもらうが…

フルーツサンド
白桃・黄桃・桜桃(さくらんぼ)の果実と
さくらんぼ味のクリームがサンドされている

あむっ
むぐ むぐ

ふんわりして甘めの食パンにジューシーな果物の果汁が絡み付く
不味いわけがないはず…だが
もしこれがセブンイレブンとかのだったら中身スッカスカで悲しい事になるかもしれない

「うちの弁当も食べて」

弁当箱には桜餅
道明寺粉と長命寺粉の2種類がある
それに馬肉の肉巻きおにぎりもある
馬肉…所謂さくらだ

661大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/26(日) 22:24:04
>>660
>買って来た物か、大神の手作りか?
手作りの手料理よん。

>フルーツサンド
いいね!

>それに馬肉の肉巻きおにぎりもある 馬肉…所謂さくらだ
「わ!すごい豪華なおにぎり!もらうね!」
肉巻きおにぎりを手に取りました。

「ヒャア!ニクだぁ!」 ガツガツ!
そしてオオカミのように食べ始めました。 グワァッグワァッ!

「ところで※『スタローンとヴァンダムとロックとシュワルツネッガーとセガールのうちで誰が一番強いのか?』くらい他愛のない話なんだけど……」(※戦争が起こりそうな話だ)
食べながら大神さんは聞きました。世間話くらいの雑談のようです。

「この『桜』って『りんちゃんの友達』だったりしないの?
そこの木陰に『さくらの妖精さくらちゃん』みたいなカワイイお花の子がひょっこり隠れてたりしないの?」
桜の木を指さしながら大神さんは聞きました。

662りん『フューネラル・リース』:2023/03/27(月) 18:07:18
>>661
フルーツサンドを肴に桜リキュールを飲みながら上を見上げる
実に美しいソメイヨシノだ
こんな花を見ながら飯を食う、日本に生まれて良かったと思える時間だ
花より団子なんて言葉があるが、りんは花も団子もだ

そんな綺麗な桜を眺めながら大神の話に耳を傾ける

「アッハハ、面白い事言うなぁ」

大神の指差す先の桜の木を見て笑う
そこには残念ながら桜の妖精も何もいない
いるとしたらガの幼虫とかそんなとこだろう

「流石に桜の友達はいないかなぁ」

鈴蘭を家族と呼んでいる女だが、桜の友達はいないらしい

「何でそんな風に思ったの?」

まぁ、本当に他愛の無いただの冗談なんだろうが
万が一本気で言っているとしたらこいつやべぇな…って話だ

663大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/27(月) 21:51:29
>>662
>「何でそんな風に思ったの?」
「や、大した理由じゃないから笑い飛ばしてくれたっていいんだけどね。」

「だって、りんちゃんってまるで『すずらんの妖精』みたいじゃん。
それだったら『さくらの妖精』みたいな子もいるのかなぁって思ったのさ。
りんちゃんには『そういう仲間』がいるのかなぁ、って」
大神さんは1つ目のおにぎりを食べ終えながらそう言いました。

664りん『フューネラル・リース』:2023/03/28(火) 17:57:30
>>663
「うちが鈴蘭の妖精?
 そんな事言われたの初めてだよ〜」

大神の話を聞いてケラケラ笑う
何故自分が妖精呼ばわりされるのか分かっていない

「そういう仲間はいないし聞いた事も無いな〜」
「でも、居たら面白いね!」

少し強い風が吹く
すると桜の花弁はより一層、バラバラと勢いよく舞い散る
そんな花弁の舞を眺めながら、御猪口のリキュールを飲み干して

「そう言えばさ」
「綺麗な桜の木の下には死体が埋まってるって言うよね」

リキュールを御猪口に注ぎ足して、馬肉おにぎりに手を付ける

「この木の下にも埋まってたりするのかな?」

唐突な話題転換
ちょっとにやにやしながら、自分達の上の桜の木に言う

665大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/28(火) 21:51:57
>>664
>「でも、居たら面白いね!」
「それそれ、その感覚」

>御猪口のリキュールを飲み干して
「ボクはりんちゃんのこと、とても妖精っぽいと思うけどねぇ。
その飲み方『お神酒』みたいじゃん。
ああ、でも『妖精』の好物は『蜂蜜入りのミルク』だっけか」

>「綺麗な桜の木の下には死体が埋まってるって言うよね」
りんちゃんのその言葉を聞くやいなや、大神さんは突然シルクハットを取ると、
なにかに取り憑かれたかのように、歌うように劇のように話し始めました。

「 『桜の樹の下には屍体が埋まっている!』 」(いいこえで)

「 『これは信じていいことなんだよ。
   何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。
   俺はあの美しさが信じられないので、この二・三日不安だった。
   しかしいま、やっとわかるときが来た。
   桜の樹の下には屍体が埋まっている。
   これは信じていいことだ。』

 〜〜〜中略〜〜〜

  『ああ、桜の樹の下には屍体が埋まっている!
   いったいどこから浮かんで来た空想かさっぱり見当のつかない屍体が、いまはまるで桜の樹と一つになって、どんなに頭を振っても離れてゆこうとはしない。

   今こそ俺は、あの桜の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑のめそうな気がする。』

…………おしまい。」
大神さんは数分間、劇のような調子で話し続けると、そう〆ました。

「出典:梶井基次郎『桜の樹の下には』」
ttps://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/427_19793.html

「……そんな短編が『その話の大元』らしいよ。
『数分で読み上げられる程度の短いお話』の『キャッチーなフレーズの一文目』だけ広まっちゃったんだとさ」

「…………という『芸』を披露しようと思ってたんだよね。
『花見』と言ったら『宴会芸』・『隠し芸』だもの」

「ビックリした?ドッキリした?」
大神さんは無邪気な笑顔とともにそんなことを言っています。

「ちなみにシルクハットの中には『カンニングペーパー』。
『種も仕掛けもありません』(嘘)。」
言いながら大神さんは『カンニングペーパー入りのシルクハット』をくるりと回しました。

666りん『フューネラル・リース』:2023/03/29(水) 18:05:14
>>665
「お、おぉ…」

突然始まった劇はどれくらい続いたのだろうか?
中略されてるし、結構短いのか?
いやまさか全部やったのか?

何かに取り憑かれたように朗読する大神の話をじっと聞き
終わり頃にパチパチと拍手を鳴らす

ほんとは知ってるけどせっかく気持ち良く語ってるし黙っとこ
と、内心そんな事を考えていた

>ビックリした?ドッキリした?

「うん、ビックリしたよ…」

そりゃいきなり朗読劇が始まればビックリするし
え?いきなりどした?大丈夫か?と心配にもなる

「でもこれ…芸かな?」

一言一句違わず原文を読み上げる芸…という事なのか?
それとも突然何かに取り憑れたような演技をする憑依芸なのか?
いずれにしろ、ビックリはするだろうが困惑の方が強いだろう


パラパラ
    パラパラ


そんなやり取りをしていると、空から小雨が降って来た
本当に細かい雨で、空を見上げても全然明るい
それに幸いここは大きな桜の樹の下だ
ここに居れば濡れる事は無いだろう

667大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/29(水) 20:58:06
>>666
>「でもこれ…芸かな?」
「ゲイかも?」
怪しい発音で答えた

>そんなやり取りをしていると、空から小雨が降って来た
「わ、大変。

雨で冷えるといけないということはつまり合法的に暖め合うチャンス」(漏れ出る心の声)
合法的にりんちゃんに肩を寄せる(破ス精CCC)

668りん『フューネラル・リース』:2023/03/30(木) 18:36:49
>>667
>ゲイかも?
「?」

PL的にも全く意味が分からなくてどう返せば良いのか分からない…

>合法的にりんちゃんに肩を寄せる(破ス精CCC)

「あっははは…」

特に抵抗する事も無く、大神の接触を受け止めるりん
コロナ渦なら触んないでください!って感じで突き飛ばしてるかもしれないが
マスクの義務化も解除されて徐々に緩和されている昨今
まぁこれくらいは良いのだろうか

こうして密着していると、鈴蘭の甘い香りが漂ってくる

しとしとと降る雨に桜が濡れる
濡れた花を伝って雨の雫が滴り落ちる
そんな桜雨を楽しむ花見も、風情があるのではないだろうか

濡れる桜を眺めながら桜餅を食べていたりん
だが、雨はそんなに長くは続かなかった
やがて雨が止んだ空は地を照らし、雨に濡れた桜や草花がキラリと輝く

「綺麗だねぇ」

立ち上がり、辺りを見回すようにゆっくり歩くりん

669大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/30(木) 21:22:25
>>668
>>ゲイかも?
>PL的にも全く意味が分からなくてどう返せば良いのか分からない…
 『これって芸かな?』という問い
 →『芸かも?』というアンサー(芸かもしれないし、そうではないかもしれない)
という流れだが、基本的にはその後の身体接触に繋げるためのジョークなのでそこまで深い意味はないのだ……。

>「綺麗だねぇ」
「そうだね、りんちゃん」(りんちゃんはきれいですね、の意味)
そう言うと大神さんも立ち上がり、スマホのカメラをりんちゃんに向けました。

「すずらん畑の時みたいに、写真撮っていい?」
どうも大神さんは、桜の下にいるりんちゃんを撮りたいようです。

670りん『フューネラル・リース』:2023/03/31(金) 18:10:37
>>669
「良いよ〜」

写真を撮るからといって
何かポーズを取るわけでも目線をカメラに向けるわけでもなく
桜を眺めながらぶらっと歩く
撮るならお好きどうぞというところだろうか

水に濡れて光る桜を見ながら思考を巡らす

桜の樹の下に死体が埋まっていると綺麗に咲くなら
他の植物はどうなんだ?
鈴蘭の下に死体が埋まっていたら鈴蘭は綺麗に咲くのか?

まぁ、この桜が綺麗なのは確かだから
死体がどーたらこーたらなんてどうでも良い事かと
りんは思考を止めてただ、目の前の花を楽しむ事にした

671大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2023/03/31(金) 20:33:38
>>670
>撮るならお好きどうぞというところだろうか
「お、自然体でいいネェ〜、イイヨイイヨ〜」

 パシャパシャパシャ!

「今日はどうもありがとうね、りんちゃん!
桜も見れて、鈴蘭も見れて、元気なりんちゃんも見れた!
いいお花見だったよ!」

「そうだ。食べ切れなかった分のお弁当、取り替えっこしない?
自分の家の味もいいけど、他人の家の味も時々食べたくなるじゃん?
サンドイッチとおにぎり交換してお持ち帰りしたいな」
……そんなこんなで楽しくお花見を満喫した大神さんなのであった……。

 その時、ふと閃いた!このアイディアは、スタンドとのトレーニングに活かせるかもしれない!
  やる気が上がった!
 体力が20回復した!
 おはだのつやが5上がった!
 『春一番』のスキルLvが1上がった!

おしまい。どっとはらい。

672夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/04/01(土) 11:49:08

春は桜の季節。
ここ数日の自然公園は、思い思いに楽しむ花見客で賑わっていた。
そして、ここにも一人いる。

「いやっはっはぁ〜〜!!ヒジョーにキレイですな〜〜!!
 『サクラ・オブ・サクラ』ってカンジ!!
 サクラみてるとさぁ、なんかココロにうったえかけてくるモノがあるんだよね。
 こう…………『ココロのトビラをノックしてる』っていうかぁ…………」

           ゴ ロ ン

持参したレジャーシートを敷いて寝転がり、満開の桜の花を見上げながら、
『一緒に来た相手(>>673)』に感想を語る。
桜を初めて見た時の興奮は忘れられない。
初めてではなくなった今だって、こんなにもワクワクさせてくれる光景なのだ。

「このキモチをヒョーゲンするとしたら、どんなコトバがイイとおもう??
 『ばんざーい!!』か??『ヤッホー!!』か??『うひょーい!!』か??
 ムズカしいな!!『きょうのネイルのイロ』くらいナヤましいぞ」

      ヒラリ ヒラリ ヒラリ…………

頭上から落ちてきた花びらを摘み上げる。
両手の指には『トランプ』をデザインしたネイルアート。
今日は『桜の色』を意識した『薄桃色』を使っていた。

673夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』&『チェシャ』:2023/04/03(月) 19:04:50
>>672

     ――――――ヒラリ

桜の花びらに混じって、空中から『別の何か』が舞い降りてくる。

          「フミィ」
               パ サ ッ

顔面に覆い被さったのは、『ハーリキンチェック』のハンカチだった。
猫の形に切り抜かれたようなシルエット。
平面の体を持つ『ハンカチ猫』だ。

「おん??『チェシャ』もテンションあがってる??
 いつもより『ヌクい』ぞ??」

       ヒョイッ

傍らに出した『ドクター・アリス』を使い、
『チェシャ』と名付けたハンカチ猫を摘み上げ、顔の上から退かす。

「なんてったって『アリス』は『ニオイ』もたのしめちゃうのがイイよね〜〜!!」

常人を超えた『超人的嗅覚』を通して、桜の木や花から漂う香りを感じると、
全身が『春』に包まれているような気分を堪能できる。
様々な『色』に溢れた『多彩な世界』にアクセスできる『アリス』の特権。
サツタバでイッパイのバスタブにドップリつかってるみたいなカンジだな!!
この『アリスのネイル』をかえば、キミもオクマンちょうじゃになれるぞ!!
イマなら『100マンえん10カイばらい』でオーケーだ!!

「コレは『ソメイヨシノ』、ソッチは『コマツオトメ』、アレは『ソトオリヒメ』」

昔から交配が重ねられてきた桜は種類が多い。
もちろん外見から判別する事も出来るが、注意して嗅ぐと『匂い』も微妙に違う。
その細かな違いが分かるのは『超嗅覚』の賜物だ。

「もしかして『チェシャ』もキョーミあったりする??」

        チョンッ

『ドクター・アリス』で触れて、ハンカチ猫に『超人的嗅覚』を移植。

「じつは『アリス』もキョーミあったんだよねぇ〜〜。
 『チェシャのみてるセカイ』にさぁ〜〜」

        ツンッ

さらに『視覚共有』を発動させ、『チェシャの視界』を共有する。
その時、少し強めの風が吹いた。
再び空中に舞い上がるハンカチ猫は、金色に輝く『光のリボン』で、
『ドクター・アリス』と繋がっている。
まるでドローンによる『空撮』のようなものだ。
『空から見下ろす桜』を心行くまで楽しみ――――。

674夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/04/03(月) 19:08:37
>>673

夜――――静かになった自然公園で、一人『夜桜』を眺めていた。
街には明かりが灯っているものの、ここまでは届かない。
月明かりと星々の煌めきだけが輝いている。

「やっぱりキレイだなぁ」

『サングラス』は外していた。
これくらいの暗さなら、裸眼でも視力を失う事はない。
レンズを通した桜ではなく、生の桜を見てみたかったのだ。

675夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/04/06(木) 17:03:16
>>674

今、自分は『光』を得て、闇の中から抜け出した。
けれど、本当の意味で『自らの目で世界を見る』には、この世界は眩しすぎる。
いつかは『完全な視力』を得られるかもしれないし、このままなのかもしれない。
もし変わらなかったとしても、決して悩んだり嘆いたりはしないだろう。
一生を『闇の世界』で過ごすより、ずっと良かったと思うから。

        ――――――ジッ

夜桜から視線を外し、両手で持った『サングラス』を見下ろす。
『リボン』のような形をした『バタフライ型』のフレームに、
『アリスの瞳』を思わせる『ブルーのレンズ』が収まっている。
新鮮な驚きに満ちた『光の世界』は『不思議の国』であり、
そこにやって来た『夢見ヶ崎明日美』は『アリス』なのだ。

「あしたはドコにいこっかな」

今日も明日も明後日も、この世界がある限り、『アリスの冒険』は続いていく。

676りん『フューネラル・リース』:2023/04/29(土) 13:09:21
自然公園内にある鈴蘭畑
見事に咲き誇る鈴蘭達の中心に置かれた椅子に座り
優雅に鈴蘭茶を飲む少女
鈴蘭に囲まれていて気付きにくいかもしれないが、この少女…
頭 に 鈴 蘭 が 咲 い て い る

677斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/04/30(日) 06:09:58
>>676

例えばの話をしよう。

植木鉢にスズランの花が咲いている。
うん、例え桜の花が散って、同級生の爪を同じ色に染めても
まだ今は春なのだなぁと思えるだろう。

人型の植木鉢にスズランの花が咲いている。
まぁ……芸術作品とかかな?
草〇彌生の作品ですって言われたら信じれるかもしれない。

芸術家とは往々にして、大衆には理解不能なものを作り出すものだ。
それで人の心を動かそうというんだから、凡人の僕にはまねのできない所業である。

少 女 の 頭 部 に 鈴 蘭 が 咲 い て い る 。

…………? ???

脳内にクエスチョンマークの春一番が吹き荒れる
かろうじて動いた脳内CPUが、古いmacの起動速度で考えついた回答は以下だ。

最新のヘアスタイル。

この前本屋で購入したファッション誌には、残念ながら記載されてなかったが
最新の流行りという物は前触れのない嵐と同義だという。

ピ〇ミンの親戚。

毒のある白いのとかいたよね、鈴蘭も根に毒があるという話だ。
なるほど?きょつうてんがあるのだからなにもおかしくはない。

わけない。

暖かな陽気につられて散歩をしていた僕は。
驚愕1割、疑問2割、興味3割、彼女の優雅な所作4割によって
脚を釘づけにされ、口をこじ開けられてしまった。

 「こんにちは。」

678りん『フューネラル・リース』:2023/04/30(日) 17:50:41
>>677
頭鈴蘭ファッションなんてわけのわからないものが流行り出したら世も末って感じだし
白ピ〇ミンに似ているといえば似ているが、土台となっているのはどう見ても人間
親戚ではなさそうだ

>こんにちは。

「!」

斑鳩の声に反応して、テーブルにカップを置き声の方に振り向く
どうやら人型植木鉢でもないらしい

「こんにちは〜」

声の主を見つけて、
人懐こそうな笑顔を見せて気の抜けそうな声で挨拶を返す
手を振る度に頭の鈴蘭が体の動きに合わせて揺れる

そして徐にテーブルに置かれたクッキーを人齧りする

679斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/04/30(日) 19:29:29
>>678

春風がジャケットに括られたスカーフを撫でつけ
同時にかぐわしい紅茶の香りを運んでくる。

そんな心中で俺は呆れ果てていた。
少なくとも、オジギソウの親戚になったつもりはなかったからだ。

挨拶に対し手寧に礼をすると
坊主は女に向き直る。

 「いい天気ですね。」

ここで俺が吹き出さなかったのはほぼ奇跡だ。
なにせ坊主ときたら視線を女の顔に頑張って向けてるのが目に見えてたからな。

 「此方には……ピクニックで?」

我が事ながら、迂遠な物言いだと思うか?俺もだ。
もっと早く事を解決する手段がその手どころか全身に巻きついてるっていうのに。
『それ』をを取らないのは理解に苦しむ。

680りん『フューネラル・リース』:2023/05/01(月) 17:54:43
>>679
何か頑張って自分の顔を見て来る目の前の男に
変な感じを覚えるが、そこまで気にする事も無いかと思うりん

「う〜ん、ピクニックといえばピクニックかなぁ」
「庭先でお茶してるみたいな感じだけど」

ピクニックとは野外に出かけ、飲食したり遊んだりすることらしい
外に出て茶をしばいてるならこれもピクニックかもしれない

庭先でというが、ここが自分の庭だとでもいうのだろうか?
家屋らしき建築物といえば、この鈴蘭畑のすぐ近くに小屋が見える

「貴方は何しに?」

普通に考えれば散歩だとかそんなところだろうが

681斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/02(火) 00:14:10
>>680

視線を右上に一瞥し、すぐに鈴蘭畑に向き直る。

 「この前まで、僕の後輩が花粉症で苦しんでてね、」

滑らかに舌先を回す、不安も動揺もなく。

 「やっと開けたと思えば中間テストがもう目の前で。」

咲いている数多の鈴蘭へ手を添えると
鈴なりに開いている花弁を撫でた。

 「あまりに悔しそうに、代わりに見てきてくださいとか言うのさ、おかしいだろ?
  ……こんなに奇麗な光景だから、気持ちもわかる気がするけど。」

心の底からどうでもいい頼みだったし、無視して自分の予定を実行することもできたが。
ふと、この坊主も、桜なりを見るのを思い出さないようにしていた事に気づいたのだ。
嘘を事実のように話すのはこの坊主の十八番だが、偶には現実に目を向ける事もできるらしい。

 「……ところで、さっきからずっと気になっていたんだけど。その……ええっと……」

おっと、しどろもどろになりながら、ようやく核心を突こうという気になったらしい。
視線を無数の鈴蘭から、一本の鈴蘭の方へむけ始めたぞ……。

682りん『フューネラル・リース』:2023/05/02(火) 18:24:25
>>681
鈴蘭には全草に毒があるため、素手で触れるのは危険だ
触っただけでかぶれる恐れもある

「へぇ〜
 後輩さんのために花を見に来たの?」
「貴方は良い先輩だね」

しかし代わりに見に来たと言っても、見るだけか?
写真とか撮らないのか?
マジで見るだけ見て、後輩に見た来たぜと報告でもするんだろうか?
そうだったら、他人の見て来た報告聞いて面白いか?って話だが…
こういうのは自分で見なきゃ意味無いだろうし、やっぱり写真の一つでも撮った方がいいのではないだろうか?

>……ところで、さっきからずっと気になっていたんだけど。その……ええっと……

「?」
「ひょっとして、これ?」

言い澱みながら1本の鈴蘭に視線を向ける斑鳩に
自身の頭に咲く鈴蘭を指差して言うりん

「うぇへへ、綺麗でしょ?」

683斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/02(火) 22:13:44
>>682

斑鳩は迷っていた、花の美しさは不変だが
それだけに疑問点が強調され、不安に所在のない手先が自分の顎をさする。
 
 「んー……うん。」

幻覚の類とかではなかった点を喜ぶべきか。
MIB2(メン・イン・ブラック)に出てくる超大型ミミズの親戚でなかったことを悲しむべきか。

 「奇麗だとは思う、でも普通ぅ……頭には、咲かないとは思うんだけど……?」

それとも、この世界の映画にも出てこない『スタンド』の類か判別がつかなかったからである。
地下鉄を暴走されても麻酔薬を打ってくれるエージェントはここにはいないのだ。

 (こうして間近で見ても、やっぱり解らないな。身についた所作といい、いいとこのお嬢さんなら、
 僕の耳にも入ってきていい筈なんだけど……。)

斑鳩は生徒の知り合いに聞いてたかどうか、考えを巡らした。

684りん『フューネラル・リース』:2023/05/03(水) 19:00:56
>>683
りんの頭の鈴蘭はどう見ても本物にしか見えない
非常に精巧に出来た造花としても、香りまで再現は出来ないだろう
残念なのかどうなのか分からないが幻じゃない

「うーん
 普通、頭に咲かないのは分かってるけど…
 咲いちゃってるのはしょうがないし」

普通じゃないなんて事は言われなくても分かっている

「別に困った事も無いしね」

実際には鈴蘭絡みで命を狙ってくる賞金稼ぎとか何かがいるのだが
鈴蘭はりんにとってのアイデンティティなので
むしろ無くては困るものだ

>斑鳩は生徒の知り合いに聞いてたかどうか、考えを巡らした。

ひょっとしたら、鈴蘭畑の下に埋まっている少女の幽霊の噂を聞いた事があるかもしれない
それと目の前の少女が関係あるかどうかは定かではないが…

「お兄さんもクッキー食べます?」

斑鳩が何か考えてる最中だが、唐突にクッキーを勧めるりん

「頭使う時は糖分が良いんだよね」

という事らしい

685斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/03(水) 23:53:35
>>684

斑鳩の正直な感想を言えば、『肩透かしを食らった』が近いであろう。
当人も理解していない謎では梯子を外されたに等しい。
実体化したスタンドかとも一瞬考えたが、そうなると益々手を出す選択肢が無くなってしまった。

 「そう?まあ、僕も頭に花が咲いた経験はないし。」

思考を切り替える、当人が問題に思って無ければ問題にあらじ
幽霊の正体は枯れたススキと相場が決まっていて……ふと、頭によぎる。

 (おや?そういえば……)

斑鳩が通う学校にも七不思議という物は有る。
もっとも、小中高大一貫というマンモス学校なので
その七不思議も(主に面白がる)年齢層により多岐にわたる物なのだが……

 「お菓子?有難う。」

その中に『鈴蘭の下に埋まる少女の死体』なる物を
部費削減しようとしたオカルト研から聞いたのを思い出した。

 「でも、お気持ちだけありがたく。一方的に貰うのは……まぁ、主義に反するからね。」

だがアレは幽霊の話だ、苦し紛れのでっち上げな気もしていているし
今更な気もするが、なにより目の前の人間に『あなた幽霊ですか?』と聞くのも躊躇われたし。

今、最も異性との出会いと糖分を欲しているであろう、学業にて瀕死な後輩に、
無情な追い打ちをかまさないくらいの気まぐれが斑鳩にもあった。

「次があれば、此方も茶菓子の一つくらい持ってくるよ。それじゃ。」

笑顔で別れを告げて、散歩を続けようとする。

686りん『フューネラル・リース』:2023/05/04(木) 18:36:30
>>686
「そっか、主義じゃしょうがないよね」

というか、さっき素手で鈴蘭に触ったし
洗ってないその手でクッキーを摘まんで食ってたらヤバいだろう
毒が付着してる手で触ったクッキーを食べたら食中毒待ったなしだ
それを分かってて回避したのかは不明だが

「じゃあ待たね〜」

別れを告げる斑鳩に気の抜ける笑みを浮かべて手を振って見送るりん
斑鳩が色々と思考しているのに呑気なもんだ
彼が去ると、再びクッキーを齧り、鈴蘭茶を飲み午後のひと時を過ごす


ところで、りんもうっかり失念していた事だが…
りんが今食べているのは鈴蘭を練り込んだ鈴 蘭 ク ッ キ ー ☆だ
斑鳩が鈴蘭を触ったかどうかなんて関係無く食ったら地獄行きだ!

クッキーを食べないという選択をした斑鳩の判断は…正しかった!

687斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2023/05/04(木) 21:18:19
>>686

鈴蘭の園を抜け、川べりに歩を進めた所で
坊主は肩を震わせた。なにか感じたのかと、定型文の如く聞いてやると
 
「何か寒気がするというか……差し迫った危機を紙一重で躱したというか……」

この坊主の悲観主義は何時もの事だ
論じるに値しなければ考える必要もない。

そんな事より備えるべき事がある筈だ
あの蒸し暑い季節はすぐそこまで来ている。

春一番が何をこの町に呼び込むにせよ。
俺達にはやる事があり、それを諦められない事に変わりがないのだ。
悩むことが人生のタスクであるかのような顔をした坊主が真剣な様相で口を開いた。

 「鈴蘭と同じような淡い色のマカロンが繁華街にあったね、どう思う?」

勝手にしろ。

688一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/05(月) 00:32:10
早朝の霧深い湖畔で何やら木に何かを穿つ音がする。
斧によるものではなく刃物を直接突き立てる音。

「まだだ。まだ威力が全然足りてない…」

白髪の少年が木に向かって鋭い突きのようなことをしている。

689咲輝島明音『ヘルブリンガー』:2023/06/05(月) 01:15:37
>>688

一心不乱に木に突きのような動きをしているのを見たとき、人はどんな行動を取れば正しいのか。

わたしの場合は見なかったことにしたい。
のだが、おそらくはそうはならないだろう。
見てしまった以上、わたしは『何か』に巻き込まれることが決まってしまったのだから。

690一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/05(月) 01:29:03
>>689
よく見ているとただ木を突いているのではない。
明らかに近距離パワー型の人型スタンドが木に拳が当たる直前で何かをしている。
その絶大な破壊力のせいか木は穿たれグラグラと揺れているが倒れそうにない。

「いつまで経ってもこれだけじゃ駄目ですね…」

涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年が独り言を零す。
透き通った肌は血管が薄く見えて、淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳。
ウルフカットの白髪。総じて生命印刷コピーの失敗と言える奇妙な外見。

「……ん? 誰か居ますか?」

691咲輝島明音『ヘルブリンガー』:2023/06/05(月) 01:37:08
>>690

ああ、巻き込まれてしまった。
そんなことを考えながら、黒髪セミロング、高校に通ってる人間なら分かるであろう今のものよりも古い真っ黒な制服を着た女性もとい少女が姿を見せた。
少年漫画で言うなら、旧校舎にいがちな生徒の幽霊がそのままそこにいるようなものだ。

「すみません、盗み見するつもりはなかったのですが。空手か何かをしてるのでしょうか」

692一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/05(月) 01:49:29
>>691
「いえ、構いませんよ」

「空手じゃないですね。もっと鋭利で突き刺すような…」

喋っている間にまた木が穿たれた。
今度こそはハッキリ見えた。木に拳が着弾する瞬間に掌から刃が出ている。
同時に当てることで威力を高めているのだ。
見たところ『ヘルブリンガー』より力は強く精密動作性は髙いがスピードは劣る。

「もっともっと強くならないと…」

693咲輝島明音『ヘルブリンガー』:2023/06/05(月) 02:00:37
>>692

ーーーああ、視えてしまった。
紛れもなくその刃は常人には見えないものだろう。
それが見えるということは、わたしのものも見える人、ということだ。

彼は、できれば幼い少年であってほしい彼は、刃を研ぐように穿っていたのだ。
何かを、あるいは誰かを貫くために。
それがわたしか、わたしの『ヘルブリンガー』になるかは、この後のわたしにかかっている。

「確かに、空手にしては鋭すぎますね。それにしても精が出てますね。何か悩み事でも?」
そう言いながら、腰掛けた丸太にステッカーを一枚。『ヘルブリンガー』によるステッカー。

わざとらしく貼ったそれは、この状況ではわたしが起爆しなければ起爆しない『取り扱い注意』を表すもの。
青髪のメイド服の少女が思いっきりハンマーを叩きつけてるイラストが書かれている。

見せるように貼ったそれを、自分で見て解除する。
視えるなら、見えたはずだ。
見えなければ、多分暗器の練習中の子供だろう。
あるいは、わたしの見間違いだ。

できれば見間違いであってほしい。

694一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/05(月) 02:16:16
>>693
「虚空からステッカー。中距離型スタンドですね。
まぁまぁ、そう警戒なさらずに…」

「悩み事。近頃あったことで後悔が…と言っても分かりませんか…」

「『エクリプス 』。スタンド使いの犯罪者集団がまた台頭してきているとか…
こう見えても戦闘経験だけは豊富でして…」

「あなたもスタンド使いなら惹かれ合うでしょう。経験則で分かっているはずだ」

少年は汗一つかかず咲島に近寄る。スタンド使いという一点を除けばちいさな子供だ。

「もし、どうしても戦わなきゃいけなくなったらどうします?」

695咲輝島明音『ヘルブリンガー』:2023/06/05(月) 02:22:42
>>694

『エクリプス』はわからない。
しかし『スタンド使い』という単語で彼が、目の前にいるこの子供がわたしと同じものであることが確定してしまった。

こんな早くも『惹かれ合う』ことがあるというのか

「どうしても戦わなければ、ですか。自分を語るのですが、わたしは、平穏に暮らしたいだけの無害な一般市民をやってるつもりです。でももし、害が戦わなければ逃げれないのであれば」

「わたしは、その最中かその後に後悔しても、戦うと思います」

696一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/05(月) 02:40:21
>>695
「 一度出逢えば戦いは避けられません。
と、言うことで連絡先を交換しておきましょう」

「何かあればお互いに駆けつけて何とか…何とかできるかもしれません」

夏のクリスマスの時もそうだった。
一見不可能なことが数多のスタンド使いの手で成し遂げられたのだ。

697咲輝島明音『ヘルブリンガー』:2023/06/05(月) 02:48:41
>>696

何やら達観したような、あるいは諦観しているような、見た目以上に苦労しているのだろう。
正直、真面目に答えたわたしが場違いなまである。自分で言って恥ずかしくなってきた。

「連絡先ですか、できれば『トラブル』がないときに取り合えたらいいですね」
言いながらスマートフォンを取り出す。
「わたしは咲輝島明音。咲いて輝く島と書いてさきじまと読みます。あかねは明るい音です。咲輝島でも明音でも、覚えやすかったり呼びやすい方で構いません」

「あるいは、『ヘルブリンガー』とでも。さて、あなたはなんて名前ですか?」

698一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/05(月) 03:03:25
>>697
「私の名前は一抹 貞世。覚えていただけたら幸いです」

また新しく仲間を手にしたことで心強さが増した。
この意気でどんどん増やせると良いのだが…

「スタンドの名前は『インダルジェンス』。触れた者の悪感情を鎮静したり、頭に触れると完全に無力化できます」

「遅くなると義父が心配してしまう。またお会いしましょうね!」

そう言うとお辞儀をして湖畔の寂れた協会に戻っていく。

699咲輝島明音『ヘルブリンガー』:2023/06/05(月) 03:12:51
>>698

立ち去っていく彼を見送り、わたし一人となる。

『それらしい雰囲気』の人は見かけるようになったけど。『スタンド使い』だと明確に分かったのは今日が初めてだ。

「できれば、彼とは『平穏』に過ごせる関係になればいいな…」
そして、ここに来た本来の理由であるーーー

自然の中での読書を始めようと思ったが、もしかしたら別のスタンド使いに遭遇するかもしれないと思ったので、やや足早に家に帰ることにしたのであった。

700小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/09(金) 21:23:32

森の中に佇み、静かに深呼吸する。
木々に囲まれていると、気持ちが安らぐ。
自分にとって、最も落ち着ける場所の一つだ。
まもなく開けた空間に出た。
おもむろに目を閉じ、意識を集中させる。

 スラァァァァァ――――――z______

次の瞬間、両手に『ナイフ』が現れる。

  『左』で突く。

        『右』で薙ぎ払う。

                『左』を振り下ろす。

しなやかに身体を回転させ、静寂に包まれた小さな世界で舞う。
その光景は『演武』に似ていた。
『短剣』を握っていなければ、
『ワルツ』を踊っているようにも見えたかもしれない。

701朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/10(土) 21:16:14
>>700
何げなく公園の散歩をしていた笑美は
森の中に足を運んでいた。
なんとなく以前来た別荘のことを思い起こしたのかもしれない。

「…?」
ふと、森の中を覗くと
そこにはよく見知った人の姿がある。

その姿はまるで踊っているかのようであり、
何処か微笑ましそうにその様子を見ている

702小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/10(土) 23:10:43
>>701

一人だけの観客の前で、しばらくの間、その演武は続けられた。
一分の隙もない流麗なナイフ捌きと、それに付随した巧みな足運びは、
一つの身体芸術のように完成された動きだ。
一言で言い表すならば、まさしく『達人の技量』。

      そして――『迷いがない』。

             スゥゥ……

やがて動きを静止させると、
両手に短剣を構えたまま、元の姿勢に立ち返る。
ふと、自分に向けられた気配に気付く。
そちらを振り返ると、そこに友人の姿を認めた。

  「――笑美さん……?」

スタンドを解除し、丁寧に会釈を送る。

703朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/10(土) 23:32:00
>>702
「ああ、すみません。つい…」
そう言って近くまで歩いてきた。

「なんというか…
 ちょっと見るのに夢中になっちゃいましたね。
 なんともきれいな舞に見えたものですから」
どうやら先程のナイフ捌きを見ていたようだ。
はたから見ればそれは舞に見える代物のようだ。

704小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/10(土) 23:58:52
>>703

森の中に立つ姿は、いつも通りの『喪服姿』だった。
ただ、『キャペリンハット』は動かない。
『撫子』は家で眠っているので、今日は『普通の帽子』だ。

  「いいえ……気にしないで下さい」

          スッ

  「……少し身体を動かしていたのです」

笑美に合わせるように、こちらからも歩み寄っていく。

  「『いざという時』の為に……」

ここ最近はスタンドを使う機会がなかった。
正確には使わないようにしていたのだ。
自分自身を休ませる為に。

  「――涙音さんと由楽さんは、お変わりありませんか?」

いつの間にか、『朱鷺宮家』とは幾度も交流を重ねている。
笑美も涙音も由楽も、小石川文子にとって決して小さくない存在だ。
親しく接してくれている事には、大きな感謝を抱いている。

705朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/11(日) 00:19:43
>>704
「今日は猫ちゃんと一緒ではなかったみたいですね。」
何気なく頭の方を見てから答える。

「いざという時、ですか。
 色々とありますからね。この街は。
 先の夏の魔物の事件もまたそうですし。」
笑美はそう言ってうなずいた。
この街にはスタンド使いがおり、その全てが善良ではないのだ。


「それはもう元気ですよ。涙音も、由楽も。
 以前小石川さんのお家に預かっていただいた時以来
 由楽はもう、『またカラスのおねーさんのおうちにいく!』って何度も言ってるくらいです。
 お騒がせしましたけど、由楽に良くしていただいて、感謝してます。」

706小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/11(日) 00:53:53
>>705

  「――『いつでも遊びに来て欲しい』と……由楽さんにお伝え下さい」

          ニコ……

一緒に料理を作ったりトランプをした時の事を思い出し、自然と穏やかな微笑が浮かぶ。

  「実は、折り入って笑美さんにお話したい事が……」

  「少し前に、『小角さん』に連絡したのですが、返答がないのです。
   もしかすると何か危険に巻き込まれているのではないかと心配で……」

  「『朝山さん』と『烏丸さん』と『涙音さん』には、既にお伝えしてあります。
   彼女達は『清月生』で、小角さんと『同学年』でもありますので、
   この件に関して協力をお願いしました」

いったん言葉を切る。

  「……『部外者』の私が一人で学園内に立ち入る事は容易ではありません。
   ただ、場合によっては、『入る必要性』が出てくる可能性も考えられます」

そう、一人では無理があった。
自らを『解体』してバッグに入れば侵入は簡単だが、あくまでも『最終手段』。
しかし、『堂々と学園内に入る方法』はあるのだ。

  「その時は……『付き添い』をお願い出来ますか?」

涙音は『清月学園の生徒』であり、笑美は『涙音の母親』だ。
『生徒の保護者』なら、学園に入る事は何の問題もない。
そして、その『親族』という事にしてしまえば、
強引な手を使わずとも学園内に踏み入れる。

707朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/11(日) 01:09:07
>>706
「ええ、もちろん。
 あなたがそう言っていたと聞けばきっと由楽はとても喜ぶと思います。」
そう言ってお礼のように頭を下げた。

「いいですよ。
 どんな相談でも聞きます。」

「小角さん…お返事が来ていないんですか。
 あの人も色々頑張ってようですし…
 単なる養生であるならばいいんですけど…」
笑美も少し不安になる。
学生になにかあるというのは笑美としてはいい気分ではない。

「涙音もその話を聞いていたんですね。
 きっとあの子も役に立つと思います。」

彼女のことをじっと見る。
「…学園内も危ないかもしれませんね。
 もし、小角さんを狙っている誰かがいるのだとしたら…」
学園内に立ち入るということを聞いて考える。

「……わかりました。
 きっと私と一緒で…そうですね。
 私の家の人だと言えば、通してもらえるでしょうね。」
そう言ってうなずいた。

「私の旧姓を名乗れば信じてもらえると思いますよ。
 結構名前が知られてる方ですから。」

708小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/11(日) 01:35:40
>>707

  「――ありがとうございます……」

心からの『謝意』を込めて、深々と頭を下げる。

  「私の考え過ぎであれば、それに越した事はありません。
   ただ、小角さんの『力』を考えると、万一の可能性はゼロではないでしょう。
   彼女を守る為の用心はしておきたいのです」

端的に言って『イル・ソン・パティ』は絶大だ。
目立たないように気を遣ったとはいえ『魔物事件』では屋外でも使っている。
良くない事が起きたとしても不思議はないだろう。
何より、そうさせたのは自分自身だった。
だからこそ、『小角の安否』には少なからぬ『責任』がある。

  「まだ使う時が来るかどうかは分かりませんが……
   笑美さんの『旧姓』を教えていただけますか?」

709朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/11(日) 14:21:18
>>708
「まぁいいじゃないですか。
 考えすぎだったら『あーよかった!』でおしまいでいいんです。
 彼女のスタンド能力は、夏の魔物の一件で知っている人も多いでしょうし
 用心しすぎるくらいがちょうどいいですよ。」
笑美は気を使うように答える。
小石川は背負い込みすぎるところがあることをなんとなく笑美も察している。
肩ひじを貼りすぎないように呼びかけているのかもしれない。

「了解です。
 まぁ、旧姓を名乗るのは久しぶりですけど」
そう言って声をかける。

「学校に居たときの名前は『鵲(かささぎ)』という名字でした。
 結婚前の名前です。
 今と昔だと恥ずかしながら、私自身もだいぶ違うんですけどね。」
彼女は何処か恥ずかしげに答える。
笑美の旧姓は鵲というらしい。
セレブ系の家として周辺地域では割りと有名かもしれない。

710小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/11(日) 16:07:31
>>709

  「ええ――そうである事を願っています……」

笑美の言葉に頷いて、あらゆる意味で『同意』を示す。

  「……『昔の笑美さん』は、とても元気のある方だったようですね」

            クス……

  「でも、『子供』には優しく接してくれていましたよ。
   笑美さんが笑美さんである事には変わりありません」

微笑みながら、『あの時』の出来事を思い出す。
幼い頃、笑美に遊んでもらった記憶を。
その中の彼女は、一見すると近付きにくい雰囲気を持っていたが、
本当は心優しく、どこか寂しさを抱えていた。

  「『小林さん』についても改めて調べたいと思っていますから、
   その為にも学園の事を知っておくのは無意味ではないでしょう」

笑美のお陰で、学園内に立ち入る手段は確保できた。
まだ必要になるかは分からない。
しかし、それは小林の真実を知る事にも繋がるだろう。

711朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/11(日) 16:43:58
>>710
「昔の…?
 うーん、あったことがありましたっけ…?」
ふと昔のことを思い浮かべる。
すぐにピンとこないのは無理はないかもしれない。
あったときにお互いの見た目は違ったからである。

「はぁ…そうでしたかね?
 …ん、そういえば…
 小さな子と出会ったことはあったと思います…」
そう言ってふと考え事をするように首を傾げる。

「あの子と何となく一緒に遊んで…
 そうしてるうちに私も前に進もうと思うようになった
 …と、私は記憶しています。」
もしかして…と思うように小石川をじっと見た。

「…と、そうですね。
 結構大きい学園ですからね。
 同じ学生さんのスタンド使いが大勢いる可能性は
 十二分に考えられます。」

「悪い人が紛れ込むこともありえますね。」
そう言ってうなずいた。
学校内でもスタンド使いがいるならば
正直安心はできないかもしれないのだ。

712小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/06/11(日) 18:47:38
>>711

笑美は勿論、小石川の風貌も大きく変わっている。
そして、それは当然の変化だった。
なにしろ『20年以上前』なのだから。

  「ふふ……どうでしょうか?
   もしかすると、どこかで会った事があるのかもしれませんね」

花が開くように、ふわりと笑う。
以前ここで昔の話(>>629-638)をした事がある。
その後で、また少し『記憶の一部』を思い出したのだ。

  「『迷子になった女の子』と……」

あの日、幼かった自分は両親とはぐれてしまい、
心細く思っている所を『金髪の少女』に助けられた。
そして、両親が迎えに来るまでの間、一緒に遊んでもらったのだ。
少女は、『自分の両親が来てくれなかった事』を打ち明けてくれたように思う。
だからこそ、『両親とはぐれた自分』と重ねて、
『彼女の孤独』を感じ取る事が出来たのではないだろうか。
金髪の少女が『前に進もう』と思えたのは、
『小石川の両親が娘を迎えに来た光景』を見届けたせいかもしれない。
もちろん、これらの全ては『小石川の記憶』だ。
必ずしも事実と一致しているとは限らない。

  「……『今の話』に戻りましょう」

         スゥッ

視線を移し、緑の葉を茂らせた初夏の木々を見やる。
『生命力』に溢れた姿を見ていると、『生きる力』を分けてもらえる気がした。
だから、ここに来ると『落ち着く』。

  「笑美さん、ご一緒に少し散歩しませんか?
   『森林浴』をするのが私の趣味の一つなのです」

気を張ってばかりいると疲れてしまう。
今日は晴天。
絶好の『森林浴日和』だ。

713朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/11(日) 19:28:34
>>712
「…そう、ですね…」
笑美はどこか、頭の中で繋がったような感じがした。

「きっと今、元気に暮らしてるんでしょうね。
 『その子』は」
そう言って小石川を見た。
両親を探していた少女と、両親が来てくれなかった自分。
なにか重なったのかもしれない。
それが、とても素敵な光景であったことを…

「いいですね。
 私もちょうど散歩したいと思ってたんです。
 せっかくだから一緒にいきましょう。」
微笑んだ笑美は一緒に歩きだす。

その日はとても晴れやかであった。

714氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/17(土) 20:33:16
   ゴソ
       ゴソ

薄手のジャケットに、デニムのホットパンツを履いた少女が、公園に備え付けられたゴミ箱を漁っている。
よく見れば、ジャケットは所々穴が開き、引っ掛けているサンダルは、靴底が剥がれかかっている状態だ。
相当身なりに無頓着か――あるいは、選択肢がないのか。

「――あぁ、クソっ」

顔をしかめて、悪態をついている。

715百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/17(土) 20:51:14
>>714

白いパンツスーツを着た女が通りかかった。
四十代ほどに見える年嵩の女だ。
両耳には白百合のイヤリングがあり、口元には煙草を咥えていた。

(あの身なりと行動――随分と若いようだけど『ホームレス』かねぇ)

(ここ最近『風歌』みたいなのが増えてるのか……)

以前『家』に呼んだ『宿なしの少女』を思い出し、足を止めた。

716氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/17(土) 21:08:00
>>715
ゴミを漁る少女は十代半ばと言った所だろうか。
理由がなければ、そんな事をしているような年齢には見えない。

「・・・・・・へへ、あったあった」

 ズボッ

少女がゴミ箱の奥から引っ張り出してきたのは、『漫画雑誌』だ。
日本で一番売れている――そんな謳い文句の少年誌があったのを思い出すかもしれない。

「あ〜あ・・・メシと一緒に捨てんなよ・・・」

雑誌を持つ少女の手に、『ケチャップ』がついている。
ゴミの中に纏めて何かが捨ててあったのか、漁ってる時についたのだろう。
水道を探してか、周囲をキョロキョロと見回した時に――。

「うえッ・・・」

足を止めていた女性の姿を見て、小さな声を漏らした。

717百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/17(土) 21:26:39
>>716

(…………『雑誌』?
 てっきり食い物か金になる物でも探してるのかと思ったが……。
 なら、あれは単なるファッションの類かねぇ)

(――――にしても『雑誌』か。
 公園のゴミ箱をかき回してでも欲しくなる代物とも思えない)

(ま、当人にとっちゃあ大事なのかもしれないけどねえ)

思考を巡らせながら、水飲み場が設置されている方向を指差す。

         スッ

「お節介かもしれないけど『水道』は向こうだよ」

それと同時に、身に付いた『癖』で少女の表情を観察する。
妙な行動ではあるが、今の所それだけだ。
だが、『気になる』のも事実だった。

718氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/17(土) 21:53:12
>>717
「うる、せえなァ・・・。
 ・・・知ってんだよッ」

睨みつけ、牙を剥く、というべきだろう。
抱きしめるように雑誌を抱え、警戒も露わに吠え立てる。

「・・・・・・捨てられたンならアタシのモンだぞ」

何も聞いてないのに、そこに言及してきたのは、『納得できないから』と言った所だろうか?
純粋に『水飲み場』を教えてきた理由を思いつかず、自分の行動を咎められると感じたのだろう。

719百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/17(土) 22:38:38
>>718

「ハハハ、別に取りゃしないよ。
 捨てる方が悪いんだ。それは確かにアンタのもんさ」

軽く笑いながら肩を竦め、自分の中で一つの『答え』を出す。

(――――――臭いね)

どうにも『引っ掛かる』。
風貌や言動だけでも『不審さ』は十分だが、直感に訴えかけて来るものがあるのだ。
ただの勘かと言われればそれまでだが、『見過ごせない何か』を感じる。

「大事な物なのかい?
 手をケチャップまみれにする値打ちがあるくらいだからねえ」

とはいえ『勘は勘』だ。
それ以上ではない。
今は、だが。

「おっと、また余計な事を言っちまったよ」

軽口を叩く『振り』をしながら、少女の反応を窺う。

720氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/17(土) 22:54:23
>>719
「ハ――わかッてるじゃん。
 そんならアタシは手ェ洗って帰るから――」

『アンタのもん』と言う言葉を聞き、
笑ってその場を立ち去ろうとする――が。
続く言葉に、再び少女は目線を鋭くした。

「大事な物・・・だァ?
 知るかよ。こんなマンガの価値なんてよォ〜。
 読み方だって知らねェ〜・・・・・・アタシは・・・」

少女は目線を地面に落とした。
よく見れば、何か言葉を続けようとしたようだが、途中で止めた、と気づくだろう。
また、別の方向を向いて、言葉を続ける。

「だが、世の中にはアタシの知らねえ価値を知ってるヤツがいる。
 マンガを持ってくりゃ、『見返りをくれる』――ッて言うんだ。そんならゴミ箱だって漁るッての」

721百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/17(土) 23:17:16
>>720

『見返り』――それが目的でゴミ箱に手を突っ込んでいたなら、やはりホームレスか。
この少女も匂うが、むしろ『取引相手』の方が臭い。
拾った品物を渡すだけなら犯罪行為とは言えないが…………。

「――――なるほどねぇ。
 そんな商売があるなんて、ちっとも知らなかったよ」

紫煙を燻らせながら、納得したように頷いてみせる。

「よかったら、もう少し話してくれないかい?
 その人の事をさ。
 ひょっとしたら、アタシにも引き取ってもらえる物があるかもしれないからね」

「大した物は出せないけど、教えてくれたら礼はするよ。
 そうだね――あっちの『自販機』で飲み物でも奢ろうか」

ポケットを漁り、財布を取り出す。
自販機は水道の近くだ。
つまり一緒に歩く為の口実でもある。

722氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/17(土) 23:32:56
>>721
「アンタ・・・・・・胡散臭い。アタシらには『つながり』と『ルール』がある。
 そいつを破ったら、アタシみたいなガキでも容赦はされないンだよ」

一見して『ホームレス』と分かる相手の、繋がりを探る行為・・・。
少女は、警戒色を強めたようだ。
走ってでも、逃げ出すか――目線が後ろに泳いだ瞬間。

何かに反応するかのように、少女が目の色を変えた。

「――『約束』かい?」

ともすれば、飲み物欲しさに、『奢る』という言葉に反応しただけに思えた。
だが、『それだけ』ではない・・・・・・『圧』を感じた。
いや、より正確に言うなら――『寒気』――か?

723百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/17(土) 23:54:41
>>722

「ハハハ、年を取ると色んな事が気になってねえ」

無法に思える世界にも守られるべき『掟』がある。
百目鬼小百合は、その事実を十分に理解していた。
それを破った者が『制裁』を受けるという事も。

「なぁに、言えない事を教えてくれとは言わないよ。
 なにせ『自販機の飲み物』だからね。
 それと釣り合う程度で構わないさ」

(警戒するって事は、そうしなきゃならない理由がある)

    「『教えてくれたら飲み物を奢る』」

           「――――『約束』するよ」

目の前に立つ少女から『妙な気配』を感じる。
怪しさ自体は、さっきから感じていたのだが、ここに来て更に強くなった。
『勘』が間違っていなければ、『これ』は――――。

724氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/18(日) 20:03:16
>>723
「――ハ。言ったからには、奢ってもらうよ」

簡単な、『口約束』――。
それを交わしただけで、少女は自販機の方へ歩き出す。
先程までの警戒が嘘のようだ。

「『約束』ならさァ〜・・・・・・アタシも教えるけど。別に、大したことじゃあ無い。
 アタシらみたいな連中を使って本を集めて、纏めて売ってるンだよ。
 『古雑誌』で売れるし、その後、『古い紙』としても引き取ってもらえるンだと」

「分かる? 儲かる仕組みも、場所も、『おさえてる』奴が結局強いンだよな・・・」

725百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/18(日) 20:37:48
>>724

この時期には相応しくない『寒気』にも似た気配。

(さっきまでピリピリしてたってのに、コロッと態度が変わるじゃないか)

一瞬感じた『それ』が、心の隅に引っ掛かる。

(まるで自分が『優位』に立った事を確信したみたいに――――)

少女と歩調を合わせながら、財布を開いて『硬貨』を取り出す。

「ははぁ、なるほどねぇ。
 いい勉強になるよ。
 人間いくつになっても学ぶ事はあるもんだ」

『それだけ』なら特にどうという事もない。
だが、所詮は『自販機の飲み物』と引き換えの情報だ。
全て話す訳がない事は最初から分かっている。

「『元締め』がいるって事かい?
 アンタの言う通り、どんな商売でも同じだねえ」

相槌を打ちながら、『自販機』に向かって近付いていく。

726氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/18(日) 21:24:35
>>725
「所詮、同じ『ホームレス』だけど。年季の違い――ッてヤツだよ。
 アタシは『最近』こうなったから・・・・・・フン」

余計なことを言った、という風に鼻を鳴らした。

「ま、話せるのはこんなモンだよ。
 『どこ』で『だれ』が、なんて言えないし、言うつもりもない」

「こんなクソ情報でも、『約束』は『約束』だ。馬鹿なことしたね」

自販機にたどり着く。
結局、少女がこぼしたのは、特に価値のあるものでは無かったが・・・。

727百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/18(日) 22:32:39
>>726

「ハハハ、一発で『当たり』は引けやしないさ。
 『ハズレ』かどうかは引いてみなきゃあ分からない」

それに、まだ『ハズレ』とは限らない。
どこかで繋がる事も有り得る。
先程この少女から感じた『寒気』も含めて。

「アタシとしては、お嬢ちゃんの話はタメになったよ」

(一応、目をつけておくとするか)

     ――――――チャリン

手にした硬貨を投入口に滑り込ませると、ランプが灯った。
全ての商品が買える状態だ。
おもむろに自販機の前から後退し、少女の後ろに下がる。

  「さ、『約束』だ。どれでも好きなのを選びな」

      「もし『当たり』を引けたら、それも『アンタの』だ」

いわゆる『当たり付き』の自販機。
ルーレットで数字が揃えば、もう一本が『タダ』になる。
言うまでもなく確率は低いが、運が良ければ『当たる』かもしれない。

728氷音『ストーミー・トランクウィル・ヘイヴン』:2023/06/19(月) 03:24:34
>>727
「それじゃあ、遠慮なく・・・」

少女が選んだのは、一本のオレンジジュースだ。
荒れた指先がピカピカと光るボタン押すと、ガタンと缶が取り出し口に落ちる。

 ピ ピ ピ    ピ ・ ・ ・
『7  7  7     8』

「ハズレ! こっちも『当たり』は無かったみたいだね」

少女が取り出し口から缶ジュースを取り出すと、
その瞬間、何やら『解放』されたような・・・そんな気がした。

729百目鬼小百合『ライトパス』:2023/06/19(月) 05:13:32
>>728

「いや、惜しかったねぇ。
 なかなか当たらないだろうけど、一度くらいは見てみたいもんだよ」

形のない『何か』から『解放』されたような感覚。
さっきの『寒気』と合わせて『ワンセット』と考えるべきだろう。
次に考えるのは『切っ掛け』だ。

  (『始まり』は『念を押された時』。
   『終わり』が『ジュースを取り出した時』。
   『鍵』は『その間』にある)

      (お嬢ちゃんが喋った…………。
       アタシが飲み物を奢った…………)

         (『取引』、『交渉』――――――その類か)

            これが『能力』とすれば、だが。

「ハハ、お互い今回は『ハズレ』ちまった訳だ。
 いつか近い内に『当たり』を引ける事を期待したいねえ」

      フゥゥゥゥ――――…………

煙草を指の間に挟み、青空に向けて細長い煙を吐き出す。

「それじゃ、ぼちぼちアタシは消えるとしようか。
 『仕事』の邪魔して悪かったね」

        ザ ッ

革靴の底が地面を力強く踏みしめ、少女の前から立ち去っていく。

  (今日に限っては少なくとも――――)

          ザッ ザッ ザッ

           (――――『無駄』じゃあなかったね)

730レゼ『サクラメント』:2023/06/19(月) 19:33:41
「湖………」

夕暮れ時のH湖周辺の散歩道。
物珍しそうに周囲を見渡しながら、白い小柄な人影がゆっくりと歩を進めている。
やがて煌々と明かりのついた自販機を見つけると、
その脇の暗がりに寄り添うようにしゃがみ込み、目深にパーカーのフードを被りなおして動かなくなった。

731ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/20(火) 00:22:32
>>730

 カランカラン 

    ジャリ……

「……」

 湖から上がるようにして、二つのゴミ袋。
一つの中身は、投棄されたらしい空き缶。もう一つには、ある程度の大きさの
アジを入れて上がって来る。

 ジャリジャリ 

 ピタ

 「……?」

無言で、歩いてたが。自販機の陰で座り込む、フードの人物に気づくと足を止めた。

逡巡するように、数秒無言だったものの。袋を下すと
跪いて声を掛ける。

 「どうした……大丈夫か?」

奇縁ながら、声をかけた人物もフードで顔がわからない。
 声は男のものだ。

732リゼ『サクラメント』:2023/06/20(火) 00:46:28
>>731
声を掛けられた人影は少しだけ身震いをして、
ゆっくりと顔を上げる。

「……………大丈夫です、だいじょうぶ。
この町には、善い人が多いですね……」

人影は女だった。不健康な程に蒼白な顔と同じ色の髪が揺れ、
青色の瞳がノエを見つめる。どこか『既視感』のある相貌だった。

733ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/20(火) 11:30:19
>>732

  ――ジジ……

 

       小林さん

   ――ジジ…………

( 一    抹……  )

 思い起こさない筈がない。

  面影が何処かにあるのなら、何時であれ振り返らない訳がない。

それ程、何時であれずっと悔いていて、胸が締め付けられる程に会いたくて……。

 謝りたくて 抱きしめたくて 労いたくて

今まで十分頑張ったなと褒めちぎってやりたくて 

 どれだけ どれだけも 想い続けても

  君に、触れも掛ける言葉も この手と口に資格など無く


 「ぐ……ぅ……っ」

 両手が震える。膝から抜けるように力が地面へ流れていく。

それでも、なけなしの意識を振り絞って大きく息を吸い込んで、新たに力を籠める。

 「すぅぅぅぅ    はぁあああああ・・・」

 霞かけた景色が、再び鮮やかに緑が広がる湖畔の馴染み深い風景と
その彼を思い出した女性を目に留めた。

 「……日射……病か?」

「……出来る事があるなら……言ってくれ。
 出来る限りの事は……する」

 途切れ途切れに、謎の男は貴方へと声をかける。
目が合った瞬間に、何処か乾いた瞳を大きく震わせ身震いした挙動不審な
顔も隠してる謎の男だ。

 もしかすれば危険人物かも知れない。顔を隠してる時点で
『怪しい人物』であるのは間違いないのだろう。

734リゼ『サクラメント』:2023/06/20(火) 20:50:56
>>733
「………いえ、わたしは……別に。
心配させてしまってごめんなさい。
それより、あなたの方が……そう。具合が悪いように見えるけれど」

顔を上げて、観察するようにノエの相貌を見つめる。
両手を震わせるノエに触れられる距離へと近づいていく。
不思議と危険な気はしなかった。

「手も震えているし、息も荒い。
そんな様子で、わたしのことを心配するなんて、
あなた……きっと、すごく善い人ですね。
ええと………………ダイジョウブ?」

物珍しそうにノエの様子を伺い、そっとノエのフードに手を触れる。

735ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/21(水) 13:50:37
>>734(レス遅れ失礼しました。本日も午後に1レス出来るかどうかの
遅レスとなります)

>ダイジョウブ?

    パサッ……

 ――脱色したような、『白い髪の毛』がフードから零れ出る。

顔は、包帯で覆われていて素顔は見えない。夏の日差しに鈍く輝くように
その白髪と、琥珀色の瞳だけが貴方の目には映る。

 タンッ  ガバッ

 少し遅れて、男は貴方から一歩飛びのいてフードを被りなおした。

「すまない……すまないがっ」

 「……顔は、見られたくない」

怒りはしないが、確実な『拒絶』を以て、そう告げる。

 「……わ……オレが、善い人?」

「はは……はは」

 「……悪い冗談だ」

 
「……あんたは、何で湖畔の自販機の隅に?
 森林浴するにしても、体調が悪いなら少し戻った所の自然公園で
休んだ方が良いだろう」

 それ以上、自分の事柄に踏み込まれたくないようで。
半ば強引に、貴方が座り込んでいた理由を聞く……。

736リゼ『サクラメント』:2023/06/22(木) 01:20:17
>>735
「しろい……髪の毛」

フードを触る手を飛び退いたノエへと伸ばし、
小さく呟く。

「自販機は……孤独で明るくて、あたたかい……から。
あなたは、あなた……あ、っ」

ノエへと数歩近づこうとし、
つんのめったように前方へと身体が傾く。
支えようとすれば、ぎりぎり届く位置だ。

737ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/23(金) 21:16:34
>>736(遅くなりました、申し訳ありません。配慮有難うございます)

 グラァ……ガシッ。

 自然と、その躓くように自分へ倒れ掛けそうになった貴方『リゼ』を
目の前の男は、避けるでもなく受け止める事となった。

 琥珀色の目は、見開くようにして君に視線を下ろしている。

 (……何故だ?)

(見れば見る程に、この女性から……彼を……『一抹』を)

 彷彿とさせる。

ノエになる前の自分であれば、その衝動のままに彼女に矢継ぎ早に
質疑応答をしていた可能性はある。

 だが、今の自分は『ノエ』だ。人の居る場所から遠ざかり
星見町の社会から隔絶しつつ、自分自身の『答え』を……正しいと思える事を
為す為に、他の人間との干渉を極力減らしているのが自分だ。

 「……そう、か」

「オレも、孤独だ……似てる、な」

 姿勢を直す。女性が、もう転ばないように、躓かないように支えなおす。

「…………送っていくよ、あんたが転ばない場所まで」

 危なっかしい人物だと、思えた。こんな正体不明の自分に優しいと告げる女性に。

似たような感性を宿す女性にも、以前は会った。例えば、小石川……彼女や
他の人たちは、未だ小林を、探してるのだろうか? 
 それを思うと、心苦しさで胸の奥底が縛られる。

738リゼ『サクラメント』:2023/06/23(金) 21:43:32
>>737
ガシィッ!

「あなたは善い人だから。
きっと支えてくれると思いました……」

支えた体は病的に軽かった。
体勢を崩して倒れ込んだ筈の女は、そのままノエの後頭部へと手を回した。
睫毛が触れそうな程の至近距離で囁くように言って、その眼を覗き込む女の瞳のアップだけがノエの目に映る。

  カリ カリ

「『瞳』が違いますね……
でも、あなたの顔も見せてください。
あなたはきっと、わたしの子じゃあないですけれど、ね」

がっしりとホールドされて動けないノエの、本人に明確に拒絶された事を全く意に介していないように、
巻きついた包帯を剥がしてその素顔を見ようと、長い爪が包帯を剥がしていく。

739ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/23(金) 22:13:26
>>738

 >でも、あなたの顔も見せてください

「それだけは止めてくれ」

 静かな口調だった。だが、有無は言わせない調子はリゼには理解出来る。

男は、包帯に掛けられた手首に自分の手を添える。
 握りしめたり、痛めつけたりするような事はしないようだが
弱弱しかった色は薄れ、僅かに細められた目元は貴方の視線に
たじろぐ事なく見返している。

 「人には『境界線』がある。踏み込まれたくない部分が必ずある」

「あんたが善か悪かなんて、初めて会ったオレが知る由もないし
オレはあんたの子で無いのは確かだろう。
 オレは両親の記憶はあるが……随分昔の記憶だ。
本当に一応、生み落とした両親は父母ともに健在だが。
オレにとって『家族』は、この世で、そう想えるのは只一人だけだ」

「そして、それは決して。あんたで無い。
 無遠慮に、人の顔を暴こうとしないでくれ。お願いだ」

740リゼ『サクラメント』:2023/06/24(土) 07:53:47
>>739
「素敵な瞳ですね。
ふふ、やめてくれ……なんて」

一度包帯を剥がそうとする手が止まり、
真っ直ぐにこちらを見るノエの包帯越しの頬を細い指が撫でる。

「この町のひとは善い人だから、
あなたの言う境界線を踏み越えるようなことはしないんでしょうね。
優しくて、思い遣りのある善い人たち……
ーーーでも、わたしは違います」

そしてノエの拒絶の意思を踏み躙るかのように、
指をかけた両手によって包帯を引き下げる。
勿論、突き飛ばしたり手に力を掛けることで物理的に拒否することはまだできそうだ。

741ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/24(土) 18:19:28
>>740

「再三になるが、言わせて貰う」

「――止めてくれ」

 手首へと掛けられたノエの手には力が更に加わり
包帯を引き下げるのは更に難しくなるようだ。

 更に、湖のある水場の方へ後退するように歩いていく。
腕が伸ばし切った状態になれば、力を加えるのは難しい。
 
「……なんで、そんなにオレの顔が見たい?」

「オレに関わる事に、あんたにとって何の意味がある?」

 本当に、理解できないと言う色の目だ。

リゼが、なぜそう頑なに自分の顔を見たいのか……ノエには分からない。

742リゼ『サクラメント』:2023/06/24(土) 20:31:52
>>741
「だって」

「だって……あなたの白い髪は、わたしと同じ色でしょう?
瞳の色は違うけれど……カラーコンタクトを入れているのかも。
年齢だってそう、こうやって顔を隠されていたらわからないし、
声の感じは、若いように感じます。
もしかして、わたしに見つからないように、包帯で隠していたんじゃあないですか?」

支離滅裂なことを言いながら、狂気を孕んだ瞳でノエを見据える。

「わたしは、確かめなくちゃいけませんから。
この町のどこかに必ずいるんです。
わたしの殺したわたしの子供が……」

手を掴まれたままで後ずさるノエに体重を預けて抱きつき、耳元で囁く。

「離してもらえますか……?
手が痛いんです。
ね、お願い……なんでもしますから。
確かめさせて……?」

743ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/25(日) 12:11:02
>>742

>わたしは、確かめなくちゃいけませんから


  ・・・・
  似ている


>この町のどこかに必ずいるんです。


  ・・・・
  この感情


>わたしの殺したわたしの子供が


  ・・・・
  こいつは



 ずっと、ただ一人の『星』を追いかけ、手を伸ばしても。
すり抜けた、あの淡い光が墜ちると知った時、私は私で無くなる事を厭わなかった。

あの子が、『弟』が私を人にしてくれた。

あの子が、心を私にくれた。だから、全てを捧げて構わないと思えた。

 ――例え、それ以外


      ・・・・・・
      どうなろうと


 「――うぅおぉお応ッッッ゛」  ガシィッ

   「ㇻァアッッ――zノッ」  ヴゥン!

 
 しがみつかれる、好都合だ、何故か?

 小林なら、そのまま歩みを止めていた。だが、オレは『ノエ』だ
『ゼロ』の、ノエだからこそ下がり続け、後ろに倒れ込む。

 ――そのまま、女(リゼ)も『巻き込んで』

 柔道で言う、謂わば『裏投げ』だ。

 無論、地面には落とさない。この辺の地理は把握してる。
何処ら辺で相手を投げれば、水面に入れられるかも計算してだ。

 「はぁ……はぁ……!」

 投げて、水音が聞こえれば。そのままフードを被り直し
荒い息で、投げた女(リゼ)へ向き直るように立ち上がる。

744リゼ『サクラメント』:2023/06/25(日) 20:21:50
>>743
「あっ………」

あっさりと投げられたリゼは、
特に抵抗する子もなく激しい水音を立てて、湖へ落下する。
バシャバシャと音を立てて、水の中からずぶ濡れのリゼが這い上がってきた。

「……ひどい人ですね、投げるなんて。
どうして、そこまで拒絶するんですか?」

髪に滴る水を絞りながら、恨めしそうな瞳でノエを見る。

745ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/26(月) 19:43:40
>>744

「あんたは……あんたは、そっくりだ」

荒い息を、同じぐらい揺れ動く感情を鎮めようと努力しつつ呟く。

「『たった一人への妄執の想い』
それ以外に目が向けられず、その為なら誰かの痛みも平然と無視するか
無自覚に傷つけても気づかない。それが、今のあんただ。
 オレには分かる……『オレだから』わかるぞ……っ」

ノエの目には、怒りかあった。それは、リゼに向けてるのか、己に向けてなのか。

それ以外の感情も幾つも込められていた。血を吐くように、手を震わせつつ
フードを深く被りなおして、リゼに吐き捨てるように告げる。

「その感情のままに突き進んで……死んだ奴を知ってる。

馬鹿な奴だった。頼れる人も、助けてくれる人も大勢居たし恵まれてたのに
関わらず、そいつは最後の最後まで他人を哀しませて怒らせて死んだよ。

あんたは……あんたは、そんな奴に似ている。

オレは、二度と。そいつが辿った道をオレの目に映る範疇で
同じように歩く奴を目にするのは御免なんでな」

 ――だから、あんたは頭を冷やせ。と物理的にも精神的にも
水を浴びせるように、ノエはリゼに言う。

746リゼ『サクラメント』:2023/06/27(火) 22:04:03
>>745
「……わたしは、違います。
そんな恵まれたひととは違う。
信じているのも頼れるのも助けてくれるのも、
心を許したのも寄り添ったのも……愛してくれるのもこの人生でたったひとり。
そして、そのひとも今はもういない。わたしが、自ら手放してしまった……。
そんな『馬鹿な人』と一緒にされても、不快です」

ぽたぽたと水を滴らせながら数歩近寄っていき、
冷めた目でノエを見て薄く笑う。
卑屈で、人を利用しようとするだけの悪意の籠った眼差しを向けて。

「それじゃあ………ふふ、あなたが助けてください。
わたしはたったひとりで、誰にも顧みられることもなく、
きっとこのままだと、遠くない未来に行き倒れてしまいます。
妄執に囚われた馬鹿な女を、あなたが救ってください。
わたしの子に、あなたが引き合わせて。
この町の善い人であるあなたが……ふふ」

身構えるノエの方向へとすたすたと近づいていく。
そのまま何もせずに横を通り過ぎて振り返り、
自販機に寄りかかるようにしてしゃがみ込んで自嘲気味に笑う。

「なんて…………冗談です。
あなたはお人好しの善い人だけれど、馬鹿じゃあないのはわかります。
きっと、わたしに利用されたりはしないでしょう?
ふぅ……もう、放っておいてください。
いままで色々な目に遭ってきましたけれど、水浸しにされたのは久々です。
気持ちも冷めてしまいました。本当に酷いひとですね。
それとも、あなたの素顔を確かめさせてくれますか?」

ひとしきり喋った後にノエから目線を外し、
ポケットから濡れてしまった紙幣と名刺のようなものを取り出して、
一瞬悲しそうな表情を見せ、水気を払って地面へと置いた。

747ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/06/29(木) 19:07:21
>>746(長く付きあわせていただき申し訳ありません、有難う御座います。
宜しければ、こちら〆とさせて頂きます)

 「助けてくれって言うんなら、助けるさ」

濡れた紙幣や名刺にも一瞥もくれない。踝を返して歩く場所は森の奥へと。
 今のリゼに、これ以上ノエが干渉する気は何ひとつなかった。

「だが、今のあんたじゃない。
これから先の、あんたが変わるならな。
 ……今のオレも、あんたと大して相違なんて無い」

「…………変わろうとしている最中だ。
 手放したものを、取り戻せるかどうか。そんな先の先の事よりも
まず手前勝手な自分が変われなければ、何も本当の意味で得られないんだからな」

 水槽の中で揺れる柔らかな水は、罅割れて零れ落ち。
代わって詰められたのは氷のように硝子のように硬く寄せ付けない意思ばかり。

「オレは……ノエ」

「…………少なくとも、あんたと出会った事はない
ただのノエ(放浪者)だよ」

 それを最後の言葉にして、ノエは去る。

残されたのは、湖畔を取り巻く風と少しばかり切なく聞こえる鳥の囀りと
虫の音ばかりだ……。



748リゼ『サクラメント』:2023/06/29(木) 19:49:47
>>747
「かわる…………?」

ノエの言葉を不思議そうに繰り返した後、
立ち去るノエの背を見ずにうつむいて、ぼそぼそと一人呟く。
その言葉はもう、立ち去ったノエには届いていないだろう。

「わたしはわたしです。
諫早理世に、これより『先』はない。
あるのは過去と、あとは終わりだけですから。
そうでしょう? 御子神くん、貞世………」

そして、愛おしそうに自販機に寄り添い、静かに目を閉じた。

749一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/29(木) 22:27:56
湖畔の寂れた古教会の古井戸で水を汲む少年が一人。
涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年がヨタヨタとバケツを教会内に持ち運んではモップ掃除をしている。

「なんか、なんだ、うん、よくわからないけど胸がそわそわする…
 最近は平和だし凶兆の前触れとかも無いのに…」

透き通った肌は血管が薄く見えて、淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳。ウルフカットの白髪。
日本人には見えないが日本語を流暢に話している。

「はぁ…はぁ…行き帰りがしんどい…」

「『インダルジェンス』ッ! はい、手伝って!」

小柄な少年が持つには大きいバケツを近距離パワー型と見て分かるスタンドが持ち上げる。

750朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/29(木) 22:53:09
>>749
とたとたと、湖畔を歩いている女性がいる。

「おや…?」
そこでバケツをよたよたと持ち歩いている少年の姿を見て
気になって、一抹に対して歩いてくる。

「お手伝い…しましょうか?」
ちらりとスタンドの方を見る。
彼女には見えているようだ。

751一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/29(木) 23:05:19
>>750
「いえ、大丈夫ですよ! この通り!」

『インダルジェンス』と重なるようにしてバケツを持ち上げているが若干の不自然さはある。
淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳が朱鷺宮を見つめる。

「ここに来たということは懺悔でしょうか? 生憎ですが父は出掛け
てしまっているのです」

「それとも私のスタンドが気になりますか?」

見るからに近距離パワー型で満杯に近いバケツの中身は一切揺れることがない。
人間以上のパワーにそれなりの器用さを併せ持ったスタンドなのだろう。

752朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/29(木) 23:24:15
>>751
「いらぬ心配でしたかね?
 ともあれ、大丈夫そうでよかったです。」
どこか心配そうな顔をしている。
見るからに線が細いので心配なんだろうか。

「懺悔は…今のところ予定はありませんね。
 このあたりはよく散歩してるので、こうして出くわしたのはたまたまでしょうか」

「まぁ、ちょっと気になると言えばそうでしょうかね。
 見るからに力強そうで、頼りになりそうな感じがします。」
彼女は穏やかな表情で答える。
パワー型のスタンドを見てもあまり物怖じはしていないようだ。

753一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/29(木) 23:34:46
>>752
「こう見えても食べてるから大丈夫ですよ、雀とか」

「私は一抹 貞世。この教会の老夫婦の義理の息子です」

一応、自己紹介をしてお辞儀をする。
歳の割には落ち着いて礼儀正しい少年のようだ。

「力強い…確かにそうですね…」

「それだけなんですが…」

褒めたというのに目に見えて落ち込み始めた。
どうやら強さにコンプレックスがあるようだ…

754朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/29(木) 23:51:19
>>753
「スズメ…ですか?
 鶏肉とかの方が栄養が有りそうですけど…」
少し目を丸くしている。
まるで野生児のような生活をしてるのだろうかと思ってしまった。

「一抹さん…?
 もしかしてあなたが夏のスタンドの一件の…?」
その名前はどこか記憶に新しい。
夏のスタンドに取り憑かれていた人と聞いていたのだ。

「あ、すいません。こちらも自己紹介を…
 朱鷺宮笑美と言います。」
そう言って頭を下げた。

「?…何かスタンドに関して悩みがあるんですか?」
心配そうな顔で視線を向ける。
一抹が何故落ち込むのか、気になっているようだ。

755一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/30(金) 00:06:05
>>754
「お金が無いので…ははっ…」

「教会の維持費で結構持ってかれるんですよ…」

少し照れ恥ずかしそうにしているが笑い事ではない。
まぁ、生きているから大した問題ではない…はずだ。

「あぁ! 夏のクリスマスを開催してくださった方の一人ですか!
 人柱の身からこうして無事に人間らしい身体に戻れました!」

「朱鷺宮さんですね! 本当にありがとうございます!」

白髪で不思議な瞳の色をしている子供は星見町で探しても一抹のみだろう。
深々と一抹は朱鷺宮にお辞儀をすると暗い顔をして語り出した。

「夏の魔物に隙を見せて人柱にならざる得なかったこと。
 刃二振りの力と精密動作性が頼りの『インダルジェンス』でこれ
 からも星見町に巣食う『エクリプス』から人々を守れるのかと…」

「はっきり言って自信が無くなってしまったのです。
 何人ものスタンド使いと戦い勝ってきたのもまぐれなんじゃないかと…」

756朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/30(金) 18:33:42
>>755
「…そんなに大変なんですね。
 その教会も結構大変そうですし…」
ちらっと教会の様子を見る。
すっかり寂れているのだ。

「その、私がやったことと言えば小石川さんのお手伝いをしたくらいですよ。
 他にも色んな人が頑張っていました。夏の魔物との戦いに決着をつけるために。
 人柱、というのは話に聞いていましたが、大変だったようですね。」
そう言ってから、一抹の暗い顔を覗き込む。

「人柱になったという話…私は詳しくは聞いていませんけど…
 しかし…」
そう言ってじっと見つめる。

「それが誰かを守る力になれたのではないかと、私は思いますよ。」
優しい声で問いかける。

「人々を守るのが一人で無理なら
 力を合わせましょう!」

757一抹 貞世『インダルジェンス』:2023/06/30(金) 19:55:13
>>756
かなり年季の入った教会だ。ボランティアも来ているのだろうが無理がある。

「人柱と言っても対応をミスったから急いで時間稼ぎをしたまでで」

「ん? 小石川さん? 夕立先輩から聞いた人…!」

「そんなに大勢の方々に助けられていたのですね…」

自分なんか助けに来ない。自分は要らない存在だと思っていた。
だが、しかし、確かに星見町は自分を助けた…

「なんて言うのでしょうか…これでも弱いつもりはありません…」

「多くのスタンド使いを斬ってきました。それは確かなんです」

「それでもやっぱりいつも誰かが守ってくれるわけじゃない。
 そんな時にちっぽけな私が悪に勝てるか不安で…」

「……ああっ、弱音を吐いてしまいました。お恥ずかしい!」

758朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/30(金) 20:51:35
>>757
「でも、そのおかげで助かった人も多いと思うんですよ。
 みんなが命がけでしたし、悔やむことはないです。」
そう言って微笑んでいる。
詳しくはなくとも一抹を励ましたい思いは伝わってくるかもしれない。

「小石川さんが色んな人に呼びかけて、夏の魔物退治に乗り出してくれたんです。
 夏のクリスマスも結構楽しかったですよ。」

不安そうな顔を見てうなずく
「弱音は自分を見つめて、自分の弱い部分を認めて強くなるところがあるのかもしれませんね…」
以前小石川と向き合った時のことを思い出す。

「大丈夫ですよ。
 その不安は、限界に気づいてステップアップする事ができるということです!
 これからもっと成長できますよ。きっとね。」
その不安を聞いてそれに対して励ます姿勢を見せる笑美は
何処か、良妻賢母な雰囲気を漂わせている。

759一抹 貞世『インダルジェンス』:2023/06/30(金) 21:28:03
>>758
「みんなそんなに集まってくれたんですね! 私なんかのために…」

「小石川さんに感謝しなければいけませんね」

血色の悪い一抹の顔が笑顔になる。自己肯定感が高くないだけにそれだけの人々に救われたのが嬉しいようだ。

「成長ですか。私は夏の魔物の影響で四人ものスタンド使いを傷つ
 けました。だからまだ何か足りないんです」

「このままではマイナスのまま。プラスにならないと駄目なんです」

「もっと強くなって並大抵のスタンド使いにも負けない存在に…」

一抹は強迫観念に駆られたように独り言を呟く。
まるで戦いを求めているように感じるかもしれない。

760朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/30(金) 22:33:13
>>759
「ええ、小石川さんにもお知らせしていただければ。
 きっと喜ぶと思いますよ。」
そう言って笑美は微笑みかけた。
少しでも前向きになれば良い、と考えている。

「そんなに激しい戦いがあったんですね…
 きっとその人達も、あなたを助けたかったんでしょうね。」

「しかし…」
彼の独り言を聞いて、少し不安そうな顔になる。

「あまり思い詰めすぎると大変なことになりますよ。
 強くなりたいという思いはわかりますけど…」

「やはり他の人の協力があったほうが
 それは実現できるんじゃないでしょうかね?」
一人で考え続けてるように見えて心配になったようだ。

761一抹 貞世『インダルジェンス』:2023/06/30(金) 22:50:55
>>760
「いや、何時までも助けられるようでは私の存在価値が…!」

一抹が少しばかり声を荒げるとすぐ側で佇んでいた『インダルジェンス』が動き僅かばかり水が落ちた。
何やら強さというものにとてつもない執念があるようだ。

「あぁ、いや、熱くなってしまいました。すいません…」

「小石川さんにお礼をしたくても会えないから連絡先を知ってませんか?」

「それとこうして会えたのも縁ですし連絡先を交換…駄目でしょうか…」

次第に一抹の声がか細くなっていく。
自己肯定感が低いのに加えて自信も無いようだ。

762朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/06/30(金) 23:02:01
>>761
「…すいません。こちらこそ。
 あなたが強くなりたいのはわかりますが…
 助けられるのは弱さでは…ないと思います。」
彼に対して言えるのはそこまでかもしれない。
しかし彼の様子はどこか不安にさせるものがあった。

「…大丈夫ですよ。
 小石川さんとあと、私の連絡先。これからお教えしますね。」
そう言ってスマホを取り出した。
どうやら連絡先の交換をしてもらえそうだ。
この調子なら、小石川と笑美の連絡先を受け取ることが出来るだろう。

笑美の表情はどこか心配そうであった。

763一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2023/06/30(金) 23:30:58
>>762
「いつでも助けてもらえるなんて有りえないんです。
だから私はもっともっと強くなるべきなんです」

一抹の声は硬く強い強迫観念のようなものが感じられた。
小林さんを失ってからそれはより強くなった気がする。

「はい、連絡先ありがとうございます。これでお礼が言えます!
 そして、貴方にも。助けてくれてありがとうございます」

深々と一抹は礼をするとモップを持って教会の中に入っていく。
果たして一抹の強さへの渇望は何処にたどり着くのか…

764朱鷺宮笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/07/01(土) 00:27:57
>>763
「強くなる…ですか…」

「小石川さんもきっとあなたに会えたら嬉しいと思いますよ。
 …じゃあまた。」
そう言って教会に入る一抹を見送ると
彼女も散歩を続ける。

(なんだかあの子…行けるところまで突っ走りそうで心配…)
少し去りゆく時に不安を感じていた。

765パンドラ『ブレインボックス・P』:2023/07/01(土) 12:20:16
白い布を纏った見た目10歳くらいの銀髪の女
クレープ屋の前で立ち止まりクレープを見ている

766パンドラ『ブレインボックス・P』:2023/07/02(日) 21:16:48
>>765
これが、パンドラが封印が目覚めて最初の食事だった
生クリームを巻いた上に、冷たいマンゴーアイスが乗っているクレープ
暑い夏の日に、アイスの冷たさが染み渡る

クレープを食べると、エクリプスの事を思い出す
エクリプスの仲間と、よく一緒にクレープやアイスなんかを食べに遊びに行ったものだ
孤独だった自分を引き取ってくれて、暖かい居場所を与えてくれた
みんなで和気藹々として楽しかったなぁ…

ある日突然、封印されて目覚めた時には全て無くなっていた
長い時間だったが、パンドラにとってはほんのひと時の眠り
ほんの一瞬にして、家族を、居場所を全て奪われていたのだ

もう、あそこには帰れないんだなぁ…

クレープとともに思い出を噛みしめたパンドラは歩み出した
自分から全てを奪ったスタンド使いを探して
もう、この世にはいない仇を討つために

767功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/22(土) 21:42:24

自然公園は広大なレジャーエリアで、
少し入り込めば人気の少ない『林』等もある。
管理の手はあるのだろうが、それは厳しいように思えない。

そこに、いた。

     ペタ
          ペタ

木の肌に触れ、体重をかける。びくともしない。

「けほっ……」

自然の環境に、その少女は驚くほど馴染まない。
黒が二房混ざった白髪、目を縁取る赤いメイク。
洋に和を折衷したような服装と、装身具――――

               そして。

    ズ 
      ズ

開いた手に、唐突に――滲みだすように表れる、白い『小刀』。

        人気のない林だ。人がいないのを確認した。
        だが偶然、誰かが通りかかる可能性はあるだろう。

768小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/23(日) 00:26:52
>>767

この『自然公園』には、よく訪れる。
大抵は『森林浴』の為だが、最近は『刃』を鈍らせない目的で来る事もあった。
今日は前者であり、いつも通るコースを緩やかなペースで歩く。

      ザッ

   ――『あれ』は……。

まず人影を見て、次に少女の手元を見た。
意識せずとも『小刀』に視線が向く。
それが何に由来するかとは関係なく、妙に気になるものがある。
あの『ヴィジョン』。
違いこそあれど、ここまで近い『形』を目にした事はない。

  「……こんにちは」

      スッ

楚々とした『喪服』に身を包んだ女が、少女に会釈を送る。

769功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/23(日) 00:53:08
>>768

突如かかった声に、ゆっくりと…………振り向いた。

「こんにちは。…………………いえ」

女の足先から頭に眼鏡越しの視線を走らせつつ、
発現させていた『小刀』を背に隠し、
木に添えていた手の、袖を口元に添えた。

「御愁傷様と言った方が良かった、かしら?」

自分を棚に上げるわけではないが、
喪服姿の女というのは、
葬儀場の近くでもなければ『不審』だ。

「『葬儀場』を探していらっしゃるのなら、
 おあいにく、『左官の垣根』だわ。
 けほ……この辺りの地理には、余り詳しくないから」

物語の中のような芝居がかった口調で言葉を続けるが、
それは芝居ではない。口調も、その中身もだ。

この辺りだけでなく、地理には疎い。
出歩くことは余り多くなかった。家の周り以外は余計に。

770小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/23(日) 01:31:56
>>769

場所にそぐわないというのは、こちらの服装も例外ではなかった。
自分自身では疑問にも思わなくなっているが、
常識的な感覚から言えば十分に異質だろう。
ゆえに、少女の反応は自然なものだと理解できる。

  「――お気遣いなく……」

  「『森林浴』をしていただけですので……」

黒いキャペリンハットの下から少女を見つめ、それとなく風貌を意識に留め置く。

  「……素敵なお召し物ですね」

和洋折衷というのだろうか。
『和装』を着る事もあるが、こうした複雑な装いには、あまり縁がない。
ただ、物珍しくはあったものの、『小刀』程は惹かれなかった。

  「急に声を掛けてしまって……ごめんなさい」

そのせいか、無意識に『隠された手』に注意が向いてしまう。

771功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/23(日) 02:06:24
>>770

「森林浴ぅ? …………ふぅん。
 ま…………『不幸』が無かったなら良いことだわ」

一旦は納得する。
口元に当てていた袖を、優雅さを意識するように、
ゆっくりとたなびかせながら胸元に下げた。

「……『着飾る』ことは『芸術』
 誰の言葉かは忘れたけれど……心から賛同する。
 貴女もファッションには一家言ありそうだし……
 この羽織を買った呉服屋になら、案内も出来るわ」

         「もっとも」

       スッ

「……同性だからといって、
 あまりジロジロ見るのは感心はしないけれどぉ」

『それを見られている』のは十分にわかる。
だが、その『意図』が分かりかねた。
『危険物への注視』とは違うニュアンスを感じる。

「声を掛けたのは『軟派』な目的って訳かしらぁ?」

警戒が口調に出るのを自覚しつつ、『小刀』の握りを強める。

772小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/23(日) 02:28:38
>>771

少女の『警戒』を見て取り、その場から『一歩』下がる。
害意のない事を態度で示す。
初対面の相手に対して言葉で取り繕おうとするよりは、
その方がいいだろうと判断した。

  「……気に障ってしまったのなら謝らせて下さい」

         ス

  「ただ――『見えた』ものですから……」

視線を真っ直ぐに戻し、改めて少女を見つめ直す。

  「私も……『あなたと似た物』を持っています」

『スタンド使い』である事を明かす行為は、時として大きな『危険』を伴う。
それが見ず知らず同士であれば尚更だ。
しかし、この時は気持ちを抑える事が難しかった。

  「『心の力』が形作る『刃』を……」

『銀の指輪』が光る手の中には、まだ何も握られていない。

773功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/23(日) 02:46:53
>>772

「へぇ……? なるほど、それは、否が無いわねぇ。
 危ないものほど見てしまうのは……人間のサガ」

『力』を持つ人間がいるのは『理解している』が、
知った上で目にする経験はこれが初めてだ。
一歩下がる『良識』に鼻を鳴らし、警戒を緩める。

「けれど……『見せあう』のが流儀なのかしら?
 これが『心』だと定義するなら……けほっ。
 それは、いささか奔放な在り方に思えるわね」

         シュン

           「だから」

『小刀』を解除し、『手』だけを前に出した。

「持っていた、のは見ていたのでしょう?  
 刃を見せびらかす趣味もなし。
 『消した』ことをもって証明とさせていただくわ」

『指輪』の光る指先に視線を向けながら、返答を待つ。

774小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/23(日) 03:18:13
>>773

『解除』が為されたという事は、ひとまず『警戒』は緩められたのだろう。
それを察し、謝意を込めて頷いた。
ただ、先程からの咳き込む様子は少し気に掛かる。
身体が丈夫ではないのだろうかという考えが浮かぶが、
軽々しく表に出すのは却って失礼に当たりかねない。
しかし、完全に隠す事は出来ず、気遣わしげな表情として表れてしまっていた。

  「……私は『あなたの刃』を拝見しました」

          ス ゥ ッ

  「『礼儀』として――『私の刃』をお見せします……」

おもむろに『左手』を持ち上げていく。
自分の『利き腕』だ。
いきなり出さず、『事前の予告』を挟む事で、相手に分かりやすくする。

     スラァァァァァ――――――z______

『指輪』が木漏れ日を受けて輝いた瞬間、そこに現れる一振りの『ナイフ』。
その刃渡りは『25cm』。
少女の『小刀』よりは、やや小型になるだろうか。

  「――これが私の『心の刃』です」

『右手』の薬指にも『同じデザインの指輪』があった。
しかし、そちら側には何も現れない。
ここで『全て』を明かす必要はないのだから。

775功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/23(日) 22:54:32
>>774

「一方的に見られるよりは……確かに、
 そちらの方が『礼儀』らしいわね…………けほっ」

『スタンドの世界』の常識、その多くを知らない。
この『喪服女』はごく自然にそれを披露している。

        『予告』や『腕の仕草』
         わざとらしく無い程度に、
        『配慮』がある事を感じられる――

「とはいえ…………見たところで感想は無いわね。 
 『褒め合う』のも礼儀だったり、するのかしら?」

『二刀目がある』という発想は浮かばないし、
その『ナイフ』に特別何かを思うこともない。

「どちらにせよ、あなたが……
 意外と、まともな大人の人なのは分かったけれど。
 つまり話しかけてきた目的は『これ』という事?」

      「……『果たし合い』でもお望みぃ?」

    ジリ

『スタンドを見せ合うだけ』が目的というのは、
この慣れた立ち振る舞いからすると逆に考えにくい。

『その先』に目当てがあることも考え、木に背中を預けた。

776小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/23(日) 23:32:22
>>775

木に寄り掛かる少女を見つめながら、心の中で思う。
どんな人間も、最初から全てを知っている訳ではない。
彼女からは、力を得た頃の自分と近い雰囲気を感じる。

  「……強いて言うなら個人的な『挨拶』です」

       ク ル リ

『スーサイド・ライフ』を手の中で回転させる。

  「今まで多くの『力』を目にしてきましたが、
   私と似た『形』は見た事がありません」

            フ ッ

その所作と共に『ナイフ』が霧散した。

  「失礼は承知ですが……あなたに『親近感』を抱いてしまいました」

      スゥッ

  「『それだけ』です」

さらに一歩下がる。
先程『小刀』を出していたのは、何かする所だったのだろう。
『隠した』という事は、きっと見られたくなかったのだ。

  「――それでは、これで……」

丁寧に一礼し、その場から立ち去り始める。

             ……ピタ

  「一つだけお聞きしてもよろしいでしょうか?」

不意に足を止め、音もなく静かに振り返った。

777功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/24(月) 00:24:50
>>776

「ふぅん……『先達』というわけねぇ。
 『果たし合い』もやぶさかではなかったけれど、
 この服は気に入っているから、汚したくもなし」

           スゥ ー ・・・

手首を返し、袖の陰に隠すように『小刀』を発現する。
その刀身の大部分は見えないだろうが、それでいい。

「『証明』にひとつ、まけておくとしましょう。
 『長い物には巻かれろ』とは思わないけれど、
 私も、『礼節』は重んじる方だから」

      シュラ ・・・

そして『ナイフ』の霧散に合わせ、再び解除した。

「こんな『刃物』一つで親近感も無いとは思うけれど、
 それは……『無知』だからそう思うだけかしら」

    「あなたのような『使い手』と交わり、
     知っていけば共感できるのかしらね」

この辺りは未だ未知数だ。
この『小刀』を得たのはごく、最近のこと――

「……何かしら。今は、それほど気分が悪く無いわ。
 たいていのことは答えてさしあげるけれど?」

木の肌から背中を離し、立ち去る『喪服女』に返答する。

778小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/24(月) 01:05:12
>>777

『証明』に対しては、声を発しない『目礼』で応じる。

  「……消息の分からない知人を捜しているのです」

自分が『先達』と呼ばれるようになる日が来るとは思わなかった。
同時に、目の前の少女から学ぶ事もある。
常に『初心忘れるべからず』という事を。

  「街の何処かで『小林丈』という名前を耳にした事はありませんか?」

  「年齢は18歳で、背丈は180cm前後。
   髪は黒く、目は琥珀色……」

  「『清月学園』に在籍していた柔らかな物腰の礼儀正しい方です」

おそらく知らないだろうとは予想していた。
しかし、『スタンド使い』の間には『引力』が存在する。
今は聞き覚えがなくても、いつか耳にする機会が出てくるかもしれない。

  「もし彼に会う事があれば、『小石川文子』が捜していたと……」

だから『種』を蒔くのだ。
ほんの微かな望みであり、芽吹かない可能性の方が遥かに高いだろう。
それでも、どんな『花』であっても、種を蒔かずして『咲く事はない』のだから。

779功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/24(月) 02:23:10
>>778

「はあ、そう。……悪いけれど聞いたことがないわ。
 私はあまり……出歩く方でもないから」

実際問題知らない名前だった。

「けほっ。『目的』の詮索は……しない方がいいかしらぁ?」

苗字の違う学生を『喪服の女』が探しているのは、
普通に考えて『不穏』な事だ。

    この女は常識人にも映るが、『おかしい』。
    服は自らを飾り、魅せ方を選ぶ『戰装束』。
    ゴシックファッションが好みなのだとしても、
    『喪服』を選ぶ事実に『ズレ』が垣間見える。

      それは『弱さ』という意味ではなく、
      予測不能の『危険性』という意味だ。

「……ま、覚えてはおきましょう。
 これでも清月に通ってはいるし、
 あなたよりは耳に挟む可能性が高いだろうからぁ」

鼻を鳴らし、ひとまず要望を飲み込んで。

「……ああ。一方的に知る、
 というのは『礼儀』に反するわね」

「『功刀 初雪』 あなたの『知人』の末席にでも、加えておけばいかがぁ?」

企図せず知った『喪服女』の名に、『礼儀』として返礼する。

780小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/07/24(月) 03:02:28
>>779

『返礼』として告げられた『名前』に、穏やかな微笑を返す。
どこまでも優しい微笑みだった。
意識して作られた笑顔とは違い、内側から滲み出るような品位の漂う表情だ。
無論、感じ方は人それぞれだろう。
どう解釈するかは個人によって異なり、
そこに『明確な正解』と呼べるものはないのかもしれない。

  「――功刀さん……ありがとうございます」

           スッ

先程よりも深く頭を下げ、慎ましい所作で身を引いた。

  「ここは私も散策に訪れる事が多いので、また機会があれば……」

最後に改めて会釈を送り、今度は立ち止まる事なく歩き始める。

        ザッ ザッ ザッ …………

謎めいた空気を纏う『黒い女』の背中が、林の向こう側に消えていく。

781功刀 初雪『サクラ・ブルース』:2023/07/24(月) 10:28:46
>>780

「ま、あなたに会いに来るつもりじゃあないけれど、
 私もここに来ることは増えそうだから…………
 もし見かけたら、探し人が見つかったかぐらいは」

実際に伝えるかどうかは、もちろん、
見つかった上で『小林丈』の言い分も聞いてからだ。

流石に積極的に探すつもりはないが……

「けほっ…………伝えさせていただこうかしら。
 ご機嫌よう、良い出会いだったわ、小石川さん。
 縁があるのなら、またお会いしましょう」

『スタンド使い』として経験の深そうな相手と、
コネクションを紡ぐのは悪くない選択のはずだ。

立ち去った『小石川』の背が消えれば、今度こそ、『鍛錬』を始める。

782りん『フューネラル・リース』:2023/08/19(土) 12:24:17
夜中の湖畔

パチパチパチパチ

火が弾ける音がする
頭に鈴蘭が咲いている10歳程の少女
その手には線香花火が握られている
今日は>>783と色んな花火で遊んでいるのだ

783小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/20(日) 03:13:27
>>782

「すぐに落ちてしまいますから……あまり動かさないようにしましょうね」

一緒に花火を楽しんでいたのは、黒い着物の女だった。
和装の喪服だ。
りんと同じように線香花火を手にして、
どこか憂いを帯びた横顔で弾ける火花を眺めている。

        パチ パチ パチ

「……線香花火の燃え方には、名前が付けられているそうです」

球状になった火が消えないように注意しながら、りんの頭に咲いた鈴蘭を見る。

「蕾から牡丹、牡丹から松葉、松葉から柳、柳から散り菊……」

784りん『フューネラル・リース』:2023/08/20(日) 14:14:44
>>783
こんな所で喪服で花火やってるのは、色んな意味で目立つが
お盆シーズンなら喪服もアリか?
いや、お盆もう終わったが…

りんの頭の鈴蘭を見る小石川
暗闇の中で、火花に照らされる白い鈴蘭
鈴蘭は春に咲く花だ、夏のものではない
それを、こうしてこの時期に花火と一緒に見られるというのは中々レアだ

「人の一生を花で例えてるんだよね」
「そう思って見ると、この花火も人の人生を見てるみたいで
 何か…、綺麗だね!」

手元の線香花火をよく観察するりん
今の花火の状態は松葉と柳くらいか

「鈴蘭だったらどういう感じかな」

小石川からしたらそんな事言われてもなって感じだろう
牡丹、松葉、柳、散り菊で完成されてるんだから鈴蘭なんて入り込む余地無いだろう

785小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/20(日) 15:10:51
>>784

  「ええ……とても綺麗ですね」

人の一生を花で例えるという言葉を聞き、穏やかに口元を綻ばせる。

  「……私も線香花火が好きですよ」

小石川は湖畔を訪れる事が多い。
そして、りんも同じ場所を生活の拠点にしている。
特に何か変わった事がなくとも、いつか二人は出会っていただろう。
そして、今夜ここに来たのは、夏を楽しむ為でもあった。
今年の夏が終わりを迎える前に。

  「――鈴蘭は……」

りんの事を、まだ深くは知らない。
頭から咲いている花も含めて。
しかし、それが彼女にとって大切であろう事は理解できた。

  「可憐で儚いけれど、強く印象に残る……」

  「……そんな花火を鈴蘭と呼ぶのかもしれません」

786りん『フューネラル・リース』:2023/08/20(日) 18:18:00
>>785
「可憐で儚い、かぁ…」

小石川と話しているうちに、
花火は散り菊に、次第に灯火は小さくなっていく

ポトリ

「終わっちゃった」

人生は儚いというが、この花火も儚い

「何か、人生と花火を重ねるの分かるなぁ…」

一本の線香花火が終わってしまった
火と付けてから消えるまで、
短い時間だが、確かに一つの人生を見ているかのようだった
最後まで落とさずに天寿を全うする事が出来た

「次どれにしようかな?」

用意しているのは線香だけではない
ヘビ花火やネズミ花火、ロケット花火なんかもある

ここは湖畔、火消し用の水はいくらでもある
多少の事ではボヤ騒ぎにはならないだろう

787小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/20(日) 19:24:49
>>786

りんの花火と同時に、小石川の線香花火も消えてしまった。

  「……りんさんは、とても感受性が豊かなのですね」

線香花火は燃え尽きたが、人生は続いていく。
その人生も、やがて終わる時が来るのだ。
最初は後を追うつもりだった自分は、
彼の分まで生きるという約束をして今を生きている。
地面に落ちた小さな球のように天寿を全うし、
胸を張って彼と再会する事が出来るだろうか。
ほんの短い間、そんな考えが脳裏を過ぎ去った。

  「それでは――」

     スッ

  「……こちらにしてみましょうか」

おもむろに取り上げたのは、ねずみ花火だった。
全体的に静かな雰囲気の線香花火と比べ、また違った趣のある花火だ。
安全な地面の上に置いて、りんの方を振り返る。

  「不規則に動きますから、少し離れていて下さい」

りんが十分に離れた事を確認してから、花火に火を点ける。

788りん『フューネラル・リース』:2023/08/21(月) 15:16:34
>>787
「はぁーい」

小石川が呼びかられ少し離れた

バチ バチ バチ バチ バチ

ねずみ花火は、
名前通りねずみのように地を這いながら
激しく火花を撒き散らす

カチッ シュー

小石川が着けたねずみ花火に対抗するように、
ねずみ花火に火を点けるりん

バヂ バヂ バヂ バヂ

二つのねずみ花火は地を這い廻りながらかち合ってお互いを弾き飛ばす

「うわぁ、ベーゴマみたい」

789小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/21(月) 16:35:40
>>788

もう一つの花火に着火したりんを見守り、
別々の方向に弾き飛ばされる花火を視線で追う。

  「ええ……独楽を回している子が見えるような気がします」

無邪気なりんの姿を見ていると、自然と笑顔になれる。
実際、小石川は微笑んでいた。
どこまでも穏やかで、全てを受け入れるような微笑。

  「でも――通りかかる人がビックリしてしまいますから、
   次からは一つずつにしましょうね……」

ただ、ぶつけ合うのは本来の遊び方ではないだろう。
ねずみ花火の動き方は予想できず、ある意味では事故に近い状況だ。
しかし、火の扱い方を間違えると、怪我に繋がる恐れもある。
楽しむ場だからこそ、必要な注意はしておかなければならない。
何かが起きてしまってからでは遅いのだから。

  「……りんさんは同年代のお友達はいらっしゃいますか?」

今度は仲良く回転し始めた二つの花火を眺めながら、りんに尋ねる。

790りん『フューネラル・リース』:2023/08/22(火) 16:06:00
>>789
鼠は結構獰猛な生き物だ
縄張り意識が強く、自分の縄張りに入って来たら
同じ鼠だろうと襲い掛かり食い殺してしまう
ねずみ花火も同じようなものかもしれない

>でも――通りかかる人がビックリしてしまいますから、
>次からは一つずつにしましょうね……

「あう、ごめんなさい」

いくらここが水だらけの湖畔だからといって、やり過ぎは危ない
素直に小石川の注意を聞き入れれるりん

しかし、通りかかる人、居るか?
まぁ、居るかもしれないか

>……りんさんは同年代のお友達はいらっしゃいますか?

同年代の友達というと、10歳くらい人物という事になるか

「うん、居るよ?」

バチバチと音を立てながら適当な距離を保つねずみ花火
これが近付き過ぎればお互いに弾き飛ばし合うだろう

791小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/22(火) 17:22:33
>>790

きちんと反省するりんを見て、微笑を絶やす事なく小さな頷きを返した。

  「私にも……りんさんと同じくらいの年頃のお友達がいますよ」

りんと花火を楽しんでいると、同年代の少女の姿が思い浮かぶ。

  「薄い金色の髪で青い目の……」

無邪気で、それでいて不思議な雰囲気を漂わせている所は、りんの印象とも近い。
彼女と知り合ったのも自然公園だった。
その後、家に呼んでケーキを振る舞った事もある。

  「……ナイさんという女の子です」

友達くらいの好きだと言ってくれたナイ。
幼いゆえに偽りのない素直さが、胸に響いた事を覚えている。
今、りんと同じ時間を共有している小石川は、あの時と似た感慨を抱いていた。

  「りんさんを見ていて――その子の顔を思い出しました……」

            パ ン ッ

回転の最後に、ねずみ花火は音を立てて破裂し、弾けた火花が散った。

792りん『フューネラル・リース』:2023/08/23(水) 16:47:42
>>791
金髪で青い目の女の子でナイという名前、りんにも覚えがある
いや、正確にはナイという名前ではなく名前が無いからナイというらしいが

「あっ、それって交換屋のナイちゃん?」

別のナイという可能性も無くはないだろうが
こんだけ特徴的なのもそうはいないだろう
意外な所で共通の知り合いが居たものだ
世間は結構狭いものなのか?

「最近会ってないけど、元気にしてるかな?」

パンッと弾けて散った花火
人間もいずれ、こんな感じで最期には弾け散るのかもしれない
ナイはこの花火みたいに散ったりしちゃいないだろうか
元気にやってればいいものだが

「ねずみも終わっちゃった、次何にしよう?」

793小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/23(水) 17:22:09
>>792

散り際の花火が残した白煙が、夜の空気に溶けるように消えていく。

  「……りんさんも彼女に会った事があるのですね」

確かに同じくらいの年頃に見えたが、二人が知り合いなのは意外だった。

  「そう――交換屋さんのナイさんです」

  「少し前に私の家へ遊びに来てくれました」

  「名前のない灰色の猫さんも一緒に……」

          ソッ

  「次は……これにしましょうか」

会話を続けながら、ヘビ花火を手に取った。
ねずみ花火の印象が動だとすれば、こちらは静になるだろうか。
メリハリをつけるには丁度いいかもしれない。

  「りんさんはナイさんと、どんなお話をされたのですか?」

黒い花火に着火すると、細長い燃えカスが蛇のように伸び始める。

794りん『フューネラル・リース』:2023/08/24(木) 16:13:21
>>793
「この前はぁ、うちの血と色々交換してぇ」
「そしたらナイちゃんが血を吐いちゃってぇ」
「うちが転んで二人とも血塗れになっちゃてぇ」

何一つ嘘は言っていない
花火を眺めながらにこやかに話す事じゃない
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1614349479/286-321参照)

シュー…

ねずみ花火に比べていまいち地味な感じは否めないへび花火
燃えカスで出来た黒い蛇が火で発光する姿は、まぁ…何かキモイ

「文子さんはナイちゃんとどういう知り合いなの?」

795小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/25(金) 00:18:09
>>794

りんの話から凄惨な光景を想像し、思わず言葉を失ったが、
目の前に当人がいるという事実が救いだった。

  「……良かったです」

  「二人とも無事で……」

ナイからは何も聞いていない。
しかし、普段と変わらず元気な様子だった。
おそらく大事には至らなかったのだろう。

  「私とナイさんは、ここで知り合いました」

  「その時はトンボと香り袋を交換して……」

       ス……

  「――こういった物です」

クラッチバッグを開けて、そこから布製の小袋を取り出すと、
ほのかにラベンダーの香りが漂う。

  「以前、事情があってクリスマスを広めた時にも、
   ナイさんにはお手伝いしてもらいました」

最終的に盤石の布陣を整える事が出来たのは、
彼女の助力による所も大きかった。

  「りんさんは……夏のクリスマスをご存じですか?」

        シュゥゥゥ…………

徐々に広がる煙の中で、ヘビ花火が長く伸びていく。
鮮やかに夜を彩る花火のイメージとは全く違う。
地味ながら異彩を放つ個性派といった趣だろうか。

796りん『フューネラル・リース』:2023/08/25(金) 20:45:43
>>795
小袋から漂うラベンダーの香りがりんの元にもやってくる
心を穏やかにしてくれるラベンダーの香りだが、
花火の匂いと混じって、良い香りなのだが複雑な事になっている

「あ〜、良いね〜この香り」

だが、ラベンダーの良い香りはちゃんとりんに伝わった

「良いねぇ、香り袋
 鈴蘭の香りとかもあるかな…」

>りんさんは……夏のクリスマスをご存じですか?

「夏のクリスマス?うん、知ってるよ
 あの時はねぇ、うちも神社をクリスマス仕様にしたりしたよ」

無許可で
それも直後に撤去されたが

「他にも、巨大な鮭を釣ったり、ライブしたりしたなぁ…」

797小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/26(土) 06:52:01
>>796

まもなくヘビ花火が終わり、すすき花火を取る。
その名の通り、すすきの穂に似た火花を吹き出す手持ち花火だ。
説明書きによれば、長めの燃焼時間で多彩な変色が楽しめるらしい。

  「りんさんも沢山お手伝いしてくれたのですね」

           ニコ……

りんにも同じ花火を差し出し、話を続ける。

  「――夏のクリスマスを広めた理由は、
   夏の魔物と呼ばれる存在を止める為でした」

  「夏の魔物は人間に夏を楽しませて、
   その人を夏の風物詩に変えてしまうのです。
   反対に冬らしさが苦手なので、夏にクリスマスを催して弱らせました」

           シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

着火すると花火の先端が燃え、勢い良く火花が吹き出す。
最初は黄緑色だ。
やがて、青みを帯びた色に変わっていく。

  「……魔物は退治されました。
   大勢の人を苦しめたのですから、仕方のない事だったのかもしれません」

  「でも……魔物にも心があったのです。
   私は魔物と言葉を交わした時、それを知りました」

今度は桃色に変色し、前方に吹き出す火花の中に、
弾けて飛び出す火花が混ざり始める。

  「元は人間だった魔物は、夏が大好きな男の子でした。
   ある時、その命を奪われてしまったのです」

  「きっと、もっと生きて夏を楽しみたいという願いが、
   その子を魔物として留まらせたのだと思います……」

火花は鮮やかなエメラルドグリーンに変わり、
眩しい程の明るさで夏の夜を照らしている。

798りん『フューネラル・リース』:2023/08/26(土) 16:45:37
>>797
手渡されたすすき花火に火を点ける
ねずみ花火を複数同時に点つけるのは危ないが、
これは別に問題は無いだろう

「うぅん、生きて夏を楽しみたかった、か…」

二つの花火が闇夜をカラフルに彩る

「ちょっと、何か分かる気がするな…」

魔物からすれば只々生きて夏を楽しみたかっただけ
夏の風物詩にしてしまうのも、魔物にとっては純然たる善意の行為
熊のような野生動物か、自然災害のような存在だが
なまじ会話が可能だったために、情が沸いてしまいそうな相手だったかもしれない

だが、その価値観は人間とは決定的に違っていた
全てにおいて夏が優先され、他者も永遠に夏を楽しむ事が幸せだと絶対的に確信していた
会話が出来ても意思の疎通はほぼ不可能、人間と相互理解の及ぶ存在ではない

人間に害が無ければ、別に放っておいても良かったのだろうが
だがそれが人間にとって有害になれば、人間が魔物を退治しにかかるのは仕方がないのかもしれない
魔物からすればそんなつもりは毛頭無かったのだろうが、謂わば戦争のようなものだったのかもしれない

ただ、『生きたい』という点に置いては
ほぼ誰もが共感出来る所なのではないだろうか?
誰がどんな想いをもって、そう思っているかは人それぞれだが、生きたいと思う事はみんな共通のはずだ
ただ生きてるだけで災害となるので殺される、こんな悲しい事があるか?

「…せめて、最期は満足していけたら良いね」

魔物は理不尽に災厄を振り撒いていたが、魔物側からしても理不尽に殺されたのだ
満足は出来ていないだろう
それでも、そう祈ってしまうりん

りんは目の前で激しい火花を散らす花火を見つめる

799小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/26(土) 18:28:10
>>798

鮮やかな火花によって、小石川の横顔が照らし出される。
その表情は現実を受け入れているようでもあり、
哀悼の意を表しているようでもあり、決意を新たにしているようでもあった。
手にした花火と同じく、多くの色が含まれた複雑な面持ちだ。

  「私も――そう思います……」

りんの言葉に頷いて、彼女の言葉に同意する。
同時に、魔物の最期を思い出す。
第二の死を迎えた瞬間を。

  「最後に……私は言いました」

記憶を辿りながら、緩やかに言葉を発する。

  「『ずっと覚えています』」

  「『『あなたの心を』」

最後の時、魔物――『サマー・フォーエヴァー』は能力を解除した。
解除を強制されたのではなく、自分の意思で解除したのだ。
『サマー・フォーエヴァー』の能力は一括でしか解除できない。
一度解除してしまえば、それまでの全てが水の泡になってしまう。
たとえ滅ぼされる事が分かっていたとしても、その前に解除する意味はない。
しかし、解除した。
それは彼にも心があったからだと信じたい。

  「彼は、こう答えてくれました」

  「『しんじるからね』――と……」

そう言い残し、星見町に災厄を招いた一つの魂は、この世から永遠に消え去った。

  「生きている時は……あの子も夏を楽しんでいたのでしょう」

花火の色は黄色から赤色へ、赤色から青色へ変わっていく。
弾ける火花は勢いを増し、白い火玉が混じり始める。
まさしく夏の風物詩と呼ぶに相応しい。

  「……私達は彼の分まで夏を楽しみましょうね」

何よりも、それが一番の供養になるだろう。

800りん『フューネラル・リース』:2023/08/27(日) 19:07:47
>>799
「『覚えています』か…」

誰かが覚えている限り、その人の中で生き続けるというが
本当にそうなのか…
それは本人に聞かなきゃ分からないが、死人に口無し
居なくなった者から話を聞く事は出来ない
だがまぁ、生きている人間が死者にしてやれる事なんて、
記憶しておいてやる事くらいしかないだろう

「文子さん、
 もしも…もしもうちが死んじゃったら…
 今のこのうちの事、覚えててほしいな」

「いやもしもの話だよ?
 うちは死ぬ気なんて絶対無いからね?」

話を聞いただけだが、
魔物に対して一方的だが妙な親近感を覚えるりん

801小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/08/27(日) 20:58:49
>>800

何故りんに魔物の事を語ったのか。
この夏の花火という状況が、
『サマー・フォーエヴァー』を思い出させたからというのもある。
それとは別に、頭に鈴蘭を咲かせた少女に対して、
何か『サマー・フォーエヴァー』と似たものを感じたせいかもしれない。

  「……ええ、もちろんです」

りんの顔を正面から見つめながら、柔らかく微笑みかける。

  「私は決して、りんさんの事を忘れません……」

          シュゥゥゥ…………

  「だから――りんさんも私の事を覚えていて下さいね」

すすき花火から吹き出る火花が弱まり、その火が消えて辺りは静寂を取り戻す。

  「……ロケット花火を打ち上げましょうか」

       ボッ

  「夏が好きだった魔物――」

          ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………………

  「いえ――男の子にも見えるように……」

                   パ ァ ン ッ

打ち上がった花火が空中で弾け、夏の夜空に一輪の花を咲かせた。
その花は長持ちせず、すぐに散ってしまう。
しかし、記憶に残す事は出来る。
お互いに覚えている限り、今夜の出来事も同じように残り続けるだろう。
夏の夜に、二人で花火を楽しんだ思い出として。

802りん『フューネラル・リース』:2023/08/28(月) 18:21:49
>>801
花火は夜空に大輪の花を咲かせ、そして散る
そっとスマホを取り出し、その様子を撮影するりん
その目に刻み込んで、脳に焼き付けて思い出を残す事も出来る
けど、こうやって確かな形で残す事も可能だ

「そうだね」
「うちも文子さんの事忘れないよ」

「それに…会った事は無いけど、その男の子の事も忘れない」

花火が散り、消えて行った夜空を見上げるりん
今日は良い天気だ、夏の夜空に数多の星々がキラキラと輝いている
こんな光景もまた、夏の風物詩の一つかもしれない

803アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 11:07:01
「ふぅ……」

木の幹に腰掛け、両手で頬を突きながら物憂げに呟く女性。
その視線の先には、地面に突き刺さった――女性の身の丈ほどありそうな――真っ白な『大剣』があった。

「う〜ん……『スタンド』……『スタンド』、ねぇ……」

誰に言う訳でもなく、独り言ち、先日訪れた奇妙な場所での出来事を思い出す。

(『心の声を聴いてくれる(しかも無料で)』――なんて言うから、
ぶっちゃけ『占い』だとか『カウンセリング』だとか……なんかそういう『人生相談』かなのかと思ってたのに
……いやまあ、『才能』に『目覚める』とかは聞いてたわよ? 聞いてたけどさ――)

(――まさか『超能力』に『目覚める』とは思ってないじゃない)

       ジィィィ――――・・・

ジッと、目の前に鎮座するバカでかい『大剣』を見やる。

(でもどうせならもっとこう……可愛くて、綺麗で、『ファンシー』なの期待してたんだけど……)

「――『大剣』って、どういう事よ」

  ハァアアア〜〜〜〜〜ッ

バツが悪そうに、ため息が漏れる。

804夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 12:03:23
>>803

目の前を『アリス風ファッション』の少女が通りかかる。
アリスブルーの『サングラス』を着用し、
両手の爪にはカラフルな『ネイルアート』が施されていた。
『パンキッシュ』な方向に『アレンジ』されているようだ。

    トッ トッ トッ

通り過ぎたかと思うと――――。

    トッ トッ トッ

後ろ歩きで戻ってきた。

  ジィ――――――――――ッ

バカでかい『大剣』を上から下まで余す所なく眺める。

「ナンだコリャぁ――――――――――!?!?」

そして、飛び上がるような勢いで派手に驚いた。
『コレ』は『アレ』しかないな!!
ウワサの『ジャバウォック』をタイジしたっていう…………。

「コレがレイの『ヴォーパルソード』か??
 いがいとガッシリしてるな〜〜〜〜〜〜!!
 『ジャバウォック』もやっつけられるワケだ!!」

         ズ イ ッ

躊躇なく『大剣』に近付き、もっと近くで観察しよう。
ついでにグルリと一周してやろう。
ユメはでっかくセカイいっしゅうだ!!

805アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 12:31:16
>>804
    トッ トッ トッ

(うわォ)
(可愛い子)
(ああいう格好が似合うのって羨ましい〜〜〜)

通り過ぎる少女の派手な格好に目を引かれ、思わず横目で追う。

(やっぱ『可愛げ』ってある種『才能』よねぇ……
ファッションって『自己』現れだもん。私には縁遠い――)

ふぅ、とセンチな気分に浸っていると――

    トッ トッ トッ

(――ん? 戻って)

「……?」
      「何――」

>「ナンだコリャぁ――――――――――!?!?」

――『大剣』を前に、叫ばれた。

        ・
     「……見……」

  ・・・・
(『見えてる』ゥゥゥ〜〜〜〜!?)

 ド ド ド      ド
       ド ド 

本人からしたら思考の外だったのだろう。
捲し立てられた言葉の意味不明さも相まって思わず固まる。
――というか、そもそも『実体化』しているのでフツーの一般人にも見えるのだが。

806夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 13:08:39
>>805

よく見たら『鎖』が付いてるし、何となく『骨っぽい』し、
見れば見るほど『尖ったデザイン』だった。
『ケン』がトガってなかったら『ペーパーナイフ』だろ!!
つまり、コレは『テガミをあけるためのコドウグ』じゃないってコトだ!!
また『アリス』の『めいすいり』がサクレツしてしまった。
ついに『ハンニン』があかされるジカイをオタノシミに!!

  「ふむふむ――――――」

             ド サ ッ

         「『いいシゴト』してるな〜〜〜〜〜〜」

一通り眺めて満足してから、『大剣』の後ろにいた女性の隣に座った。

「コレってさぁ、やっぱりソラからふってきたの??
 それともジメンからググッとはえてきたとか??」

女性の方に向けて首を傾げると、
リボンの代わりに巻かれた鮮やかな『スカーフ』が揺れる。

「あ!!どっかのイジゲンからショウカンされたのかもしれんね」

       スイッ

「で――――さわってもダイジョーブそう??」

『大剣』を指差し、『持ち主』か少なくとも『関係者』らしい女性に尋ねる。
いや、もしかすると『ハンニン』か??
『アリス』の『カン』では『ちがう』とはいいきれないな…………!!

807アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 13:28:11
>>806
(いや、何なのこの子!?)

言葉の意味も分からないけど距離感の詰め方が尋常じゃあないわッ
というか隣に座られた! 怖い!?

「あッ」

「危ないわよ。その子は私の『スタ――」

手を伸ばす『アリス』に言いかけ、言葉を濁す。

『スタンド能力』――なんて、言っても意味が通じないだろうし、説明するのもムズかしい。
かと言って、『知らないわ』なんて『嘘』を吐くのも――あくまで個人的にだけれど――憚れる。

――というか、意味不明な言葉を言って『同類』と思われても困る!

「ス……」
       「『ス』……」

                プル プル・・・
「…………」


   スタンダァップ
「『突き刺さっている』のは私のよ。
模造じゃあないから、触れたら危ないわ」

数巡した後立ち上がり、『大剣』に寄りかかって答える。謎にネイティヴだ。

808夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 14:01:33
>>807

青いレンズの奥にある瞳が、立ち上がった女性を見上げる。

   「ほうほう」

         「ふむふむ」

               「なるほどなるほど」

女性の言葉を聞き、うんうんと何度か頷く。
納得したらしく、指差していた手を引っ込めた。
ゆっくりと視線が移り、再び『大剣』を見つめる。

「じゃあ――――『あぶなくないようにさわろう』」

           ズ ギ ュ ン ッ

次の瞬間、『アリス』の傍らに現れる『人型』。
多種多様な『光』を連想させる色とりどりの『半透明のリボン』で、
その全身が飾られている。
輝くような『金髪』と、両手には華美な『付け爪』。
『人型の両目』は『青いリボン』で覆われていた。
その姿は『本体のイメージ』を投影したかのようなデザインだ。

           ――――――ピトッ

『ドクター・アリス』が手を伸ばし、指先が『大剣』に触れた。
『ウサギ』がいたら『おいかける』。
『コウキシン』のままにコウドウするのは『アリス』のキホンだ。
『しょとうアリスがく』にものってるぞ。
ちょっとチューイされたくらいじゃとめられないぜ!!

809アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 14:30:10
>>808
(ふ……ふふ……)

(無駄に見栄を張っちゃったわ……)

(いえ、仕方ないわ……アヤメ……今のは『ノーカン』よ。
だって『嘘』はついていないもの……そう、大丈夫、大丈夫だから……)

遠い目をしてブツブツ呟く。心なしか目が死んでいる。
嗚呼、心の『鎖』が縮んでいく音が聞こえる……。 ジャラジャラジャラ…

「えぇっと、お嬢さん?
当たり前だけど、『刃』は危ない――」

           ズ ギ ュ ン ッ

                      「えッ!?」

まるで『本体』を模した様な『人型像』を目で追う――
キラキラとした『金髪』に、『付け爪』に『青いリボン』――

 ・    ・ ・  ・ ・
「な……なに、それ……」

           ――――――ピトッ


触れると、ヒヤリとした感覚が『夢見ヶ先』にも伝わるだろう。
『骨』の様な質感を持った『大剣』は、触れただけでも感じる通り、滑らかで『傷一つ』もなく、確かな『重み』すら帯びている。

そして同時に、『傷一つ』どころか、『指紋』も『薄い汚れ』すら――『使用』した形跡すらない。
『不自然』なほどに『新品』だ。

810夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 15:05:09
>>809

手を伸ばした『アリス』を通して、本体である自身に感覚が伝わる。
『ドクター・アリス』は『超人的四感』を持つ。
常人を超えた『超人的触覚』は、その内の一つだ。

                  ススッ

      「ん〜〜〜〜〜〜??」

   ススッ

何となく『妙な感触』だった。
たとえ『新品』であっても、
どこかしらに『他と違う部分』があったりするものだ。
製造過程で生じた『目に見えない程の微かな傷』などは、そう珍しくはない。
そして、『超触覚』なら、それを感じ取れる。
全くの『まっさら』というのは『不思議』に思えた。

  「――――――おん??」

          シ ャ ラ ァ ン ッ

                 「『アリスのアリス』!!」

『大剣』から手を離した『人型』が、煌めく『金髪』をかき上げる。

「『コレ』ってさぁ、わたしとおんなじヤツ??」

見た目からして『奇妙』なブツだが、実際に調べて確信した。
こういうのは大抵『アレ』だろう。
『経験』で分かる。

811アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 15:29:05
>>810
触れた感覚は間違いなく『実物』だ。
心の目でよく見るまでもなく、『大剣』は確かにその場に『存在』している。

『スタンド能力』で作られたような『物質』ではなく、質量をもった『実体のあるスタンド』――
『スタンド使い』としての経験から、そのことに気づく事だろう。

「お…同じって……『どこ』が?」

だが当の『本体』は、何一つ分からなそうなポカンとした表情で
『金髪』をかき上げる『アリス』と――『アリス』を交互に見る。

「え……」 「えぇっと、つまり……」

「『スタンド能力』――?」

「――って、事、よね? それ」

確認するように、『ドクター・アリス』を指差す。

812夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 15:59:53
>>811

女性が寄りかかる『大剣』と並ぶように、『ドクター・アリス』が軽やかに歩み寄る。

           「――――『うん』」

その『ヴィジョン』は全く異なるが、『精神力の産物』という点では『同じ』だろう。

「『スタンド』っていうのは、だいたい『こういうカタチ』がおおいらしいよ。
 『ソレいがいのヤツ』は…………チョット『めずらしい』!!」

これまで多くの『スタンド使い』と出会ってきた。
『人型が基本形』というのは経験則だ。
『ドクター・アリス』も、その中に含まれていると言える。

「『カタナのスタンド』とかもみたコトあったけど、こういうのはハジメテかなぁ。
 いやぁ〜〜〜〜『セカイはひろい』!!
 『コウキシン』がギュンギュンしげきされてワクワクしちゃうよねぇ〜〜〜〜」

『見た事のないもの』が、まだまだ満ち溢れている。
それを考えると、胸のときめきを抑えられない。
『アリス』である『夢見ヶ崎明日美』にとって、
この世界は紛れもなく『不思議の国(ワンダーランド)』だ。

813アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 16:21:00
>>812
「う、嘘ォォ〜〜〜〜ッ」

    ガガァ――z__ンッ

衝撃の事実を告げられ、ガクッとその場に膝をつき崩れ落ちる。
『スタンドも月まで吹っ飛ぶこの衝撃』ッ

「ふ……」 「フフッ……」

「なるほどね、フツーじゃないの……あっ、そう……」

「いーのよ、別に……慣れっこだわ……そんなこと……」

乾いた笑いが口から漏れる。目が虚ろだ。

プル・・・
     プルプル・・・

「――ズ」
         ・  ・  ・  ・
       「 ズ ル い わ ッ ! 」

  ―――― ガ  バ  ァ  ッ  ! !

「えぇ〜〜〜っ
なにその子、可愛くない?」

「なにその『髪』! サラサラじゃない!」
                             「『シャンプー』何使ってるの?」
   「凄いキラキラしてる!」   「『リンス』は!?」

「『付け爪』もつけてるのね!?」
                   「目元の『リボン』もキュートだわっ?!」

  きゃああああ〜〜〜〜っ

不意に起き上がり、『アリス』に詰め寄って一気に捲し立てる。

814夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 17:10:52
>>813

膝から崩れ落ちる女性を見て、『ドクター・アリス』が近付いていく。

   「おっと??」

            キィィィ――――――――……………………ン

その直後、不意に『音量』を上げられたせいで、鋭敏な『超人的聴覚』に響いた。
『超聴覚』のデメリットだ。
ほんの少しだけ驚いたが、これくらいなら大した事はない。

   「ソコにきづくとはナカナカやるな!!」

            「――――わたしも『きにいってる』!!」

                    ビ シ ッ

『ドクター・アリス』がポーズを決めつつ『Vサイン』をしてみせる。

「『サイショ』のトキは『こんなカンジ』じゃなかったけどさぁ。
 でも、アレはアレでスキだったぞ!!
 こう…………『ムキシツ』というか『チュウセイテキ』というか…………」

     「『もうみられなくなった』のはおしいな!!」

ふと『以前の形』を思い出す。
『医者』を思わせる無機的な佇まいの『それ』は、
『ドクター・ブラインド』と呼ばれていた。
現在の姿は『光ある世界』の旅を経て『本体に追い付いた結果』だ。

815アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/09(月) 22:54:28
>>814
「……ハッ」

「…………コホンッ」

「ごめんなさいね、いきなりはしゃいじゃって」

軽く咳払いをし、取り繕い冷静を装う。今更であるが。

「前は違ったの? でも――――」

『精神』が変わるなんてあるのかしら――言いかけ、言葉を止める。
そう言えば、『謎の部屋』から退出する去り際、そんな事を言われてたかもしれない。

(強く願い続ければ――なんて、言ってた気がするけど)

チラリと太陽のように無邪気に笑う『アリス』を一瞥する。
『無機質で中性的』な見た目が、『理想の姿』に変貌するというのは
『心境の変化』というには察するに余りあるが――
初対面の女の子にそれを問うのも失礼だと思い、深くは聞かなかった。

「――『良かった』わね」

816夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/09(月) 23:30:25
>>815

『スタンド』は『精神の象徴』だ。
簡単には変わらないとはいえ、それでも変わる事はある。
しかし、『印象が一変するような機会』は、そうそう訪れないだろう。

「『よかった??』ってきかれたら、
 『うん!!よかった!!』っていっちゃうね〜〜〜〜」

    「だから――――うん!!よかった!!」

一片の曇りもない満面の笑顔で、淀みなく言い切った。

「つーワケで!!『あるひガラッとかわるコト』もあったりしてさぁ」

         ――――――ソッ

『本体のアリス』の片手が『大剣』の表面に添えられる。

「この『ケン』だって、ジツはそうかもしんないし。
 まぁ、くわしくはわかんないけど」

「でも、もし『かわった』ら、また『みてみたい』なぁ」

傷一つない『刃』に映り込む女性と自分を見つめる。
『スタンド使いとの出会い』は『アリス』を『不思議の国』へ誘う『ウサギ』。
『今日のウサギ』も、なかなかに『刺激的』な趣きだ。

817アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/10(火) 22:38:34
>>816
「フフ……どうかしら。
『剣』が『ウサギ』や『ネコ』になったりはしないと思うけど」

純真無垢な笑顔に微笑み返す。
『刃』に映る『アリス』と『自分』が、まるで『鏡合わせ』の様に
その『純真さ』とは『正反対』に見えた。

「それに――私は『大人』だもの。
そう簡単に変われないわ」

『傷一つ』――『表情一つ』変わらない様な無粋さに――
『嫌味』の様な、皮肉めいた『本音』しか語れない自分に、ちょっぴり後ろ暗さを覚える。

――『でも』、

「――ありがとね。
気を遣わせたみたいだけど、貴女『優しい』のね。そういうの『好き』よ」

818夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/11(水) 02:10:42
>>817

『鏡』は『不思議』だ。
まるで『もう一つの世界』があるように見える。
初めて目にした時は、思わず手を伸ばしてしまった。
『鏡の国のアリス』みたいに、そこを通って『向こう側』に行ける気がしたから。
指先に触れたのは、やっぱり『冷えた感触』だけだったけど、
『いつか行けるかもしれない』という気持ちが、心の片隅に残り続けている。

「うんうん、わかるわかる。
 『オトナはイロイロある』っていうしさぁ〜〜〜〜。
 『アレ』とか『コレ』とか??
 あ!!『ソレ』もあるか!!」

だけど、今の所は『もう一つの世界』に行く予定はない。
『この世界』が『不思議』に溢れているからだ。
世界を構成する『全て』が『新鮮な驚き』に満ちている。

「じゃあさじゃあさぁ、そのナカに『アリス』もいれといてよ。
 またドッカでバッタリあったら『アイサツ』したいから」

その時、鋭い『超人的聴覚』が『遠方の音』を捉えた。
何か『面白そうな事』が起きそうな気配。
すなわち『ウサギ』だ。

「わたしは『アリス』で『ユメミン』で『アルカラ』で『ヴォーパル』で――――」

「『サイショのナマエ』は『ユメミガサキ』の『アスミ』!!
 スキなのをえらんでイイぞ!!」

やたらと多い『名前』を列挙し、自らのスタンドと共に『駆け出す態勢』に入る。
『アリス』は『ウサギ』を追う者。
『不思議の国への入口』は見逃せない。
だから、まもなく走り出すだろう。
『好奇心』の赴くままに。

819アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/11(水) 02:58:11
>>818
「……そう。
いっぱい『名前』があるのね、貴女には」

羨ましそうに言い、今にも飛び出しそうな『少女』を見る。
忙しく興味が移り変わるこの『少女』は、今もどこかへ駆け出すのだろう。

「じゃあ、えーっと……『アスミちゃん』?」

「私の名前はアヤメ。『カワチ アヤメ』――私の事は、アヤメでいいわ。
カワチさんって、少し余所余所しいから」

『アスミ』が向く方に同じく視線を向け、静かに見送る。

「また会えたらいいわね。
私も、また貴女と『アイサツ』したいもの」

いってらっしゃい、と別れを告げる。

820夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/10/11(水) 14:57:54
>>819

『呼ばれた名前』を聞いて、明るく天真爛漫な笑顔を返す。

「おっ??『そのナマエ』をえらぶヤツは、さいきんナカナカいないぞ!!」

        タ ッ

  「さては『チガイのわかるオトナ』だな??」

           タッ タッ タッ

                 「まったね〜〜〜〜〜〜」

話している途中で駆け出し、『大剣』と『アヤメ』から遠ざかっていく。
その足取りは軽やかだ。
『対照的な二人』の出会いは、こうして幕を下ろした。

821アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/11(水) 17:53:36
>>820
「……行っちゃった。
元気な子ね。羨ましいわ」

軽やかに駆け出す『アスミ』を見送り、思い耽る。

 ・ ・ ・  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「新しい『自分』を重ねていく――」

「……そういう『変化』も、あるのね」

――私は『嘘』が嫌いだ。
自分を曲げている様で、心が捻じ曲がっていく様で――

でも、どこまでも駆けていく『少女』は違って見えた。
どれだけ凄惨な『過去』があっても、決して自分に『嘘』をつかず、それを受け入れ、楽しんでいるかのようだった。
自身が如何様に『変化』しても、『偽らず』――『変わらず』――『真っ直ぐ』に突き進む。

「私にはできるかしら?」
                「……いいえ、きっと無理ね」

『自分にはできない』――『しない方がいい』。
『変化』に囚われたような、『諦観』にも似た感情が、自分自身にそう告げる。

「――帰りましょう、『アルビオン』――」

『唯一』の名を呼び、『大剣』を消す。
『無骨』で、『荒々しく』て、『可愛げのない大剣』――

「――でも、いつかきっと――」

駆け出す『少女』とは反対方向に歩き出す。
『新しい人生』は、これからだ。

822白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/15(日) 12:36:51

湖畔公園――――バス停付近のベンチに腰かけ、人を待っていた。

「……」

待つというのは空白の時間だが、
『待っていてほしい』と言われれば、いくらでも待てる。
『指針』は進むことだけではなく、止まることも決めてくれる。

    パラ

手持ち無沙汰な時間には、本を読むことにしていた。
『菓子作り』のための、レシピと完成写真が載った本。
レシピもまた『指針』。その通りに作れば出来上がるのが性に合う。

  
               ブロロロロロロ


やがてバスが来た。

待ち人が乗っているかもしれないし、1本あとかもしれない。
本から顔を上げてじっとそちらを見ていると、本に添えていた栞が地面に落ちた。

                 『待っている』トーリは、それを目で追わない。

823アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/18(水) 22:49:45
>>822
「はぁ、はぁ……間に合った」

バスが来るのに少し遅れ、一人の女性がやってくる。
肩で息を切らし、乗り込もうとするが……

    ヒラ

「……あら?」

地面に目を向けていたためか、本から栞が落ちるのを目にする。

「栞……落ちたわよ?」

栞を拾い上げ、少女の目の前に持ってくる。

824白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/19(木) 05:37:13
>>823

「……」

バスに向けていた蒼い視線が、声に引き戻された。
ミルクティーの色をした髪を揺らして、そちらに振り向く。

「ああ……気づいていませんでした。
 ご丁寧に。拾ってくれて、ありがとうございます」

                       スッ ・・・

立ち上がって、小さく頭を下げて女性から栞を受け取る。
手慰みに作った、青と緑の押し花の栞。

             ・・・ ブロロロロロロ

             そしてバスは通過していく。

「……ああ」

誰も降車を選択しなかったのに加え、
恐らく『立ち話をする二人組』と見られたのだろうか?
真相は定かではない。だが。

「トーリのせいで。ご迷惑を、おかけしてしまいましたね」

人を待っていただけのトーリとは違い、
この女性がバスに乗ろうとしていたのは明白だ。

「申し訳ございません。
 何か。その……トーリに、埋め合わせはできるでしょうか?」

表情に出ないバツの悪い感情と共に、もう一度、少し大きく頭を下げた。

825アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/19(木) 23:44:21
>>824
「ふふ、いいのよ、別に。
それじゃあーー」

肩で息を整え、栞を渡して優雅に微笑む。
ふふ、カワチアヤメはクールに去るわ…

             ・・・ ブロロロロロロ

                 「げ」

……去れなかったわ。

「やってしまったわ……次のバス、何分後かしら?」

バス停の時刻表を一瞥する。

「え? あぁ〜〜〜……」

「いいのよ、気にしないで。
『丁度休みたかった』の」

深々と頭を下げられて気まずそうに僅かに逡巡するが、笑いかけながらベンチに腰をかける。

826白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/20(金) 04:20:42
>>825

「それは」 「そう」
「でしたか。……ありがとうございます」

食い下がって問いただすのは失礼にあたる。
それを理解できる程度の社交性はある。

「次のバスまでは。
 だいたい、10分くらい待つみたいです。
 …………お邪魔でしたら。
 トーリは向こうのベンチへ行きますが」

卑屈になっているというよりは、
トーリは他人を敬い、『従』を重んじる。

「ですがお邪魔でなければ……
 トーリを。時間つぶしの相手にしていただいても」

だから、『出来る事』を伝えているのだ。少し上を見て、そこから続ける。

「『動画サイト』や……『SNS』より、
 面白い話かは、自信はありませんが……
 『意外と話しやすい』と、トーリは……言われる事が多いのです」

怜悧な目つき、表情のない顔、すらりと伸びた背に沿う長く整った髪。

「どちらがいいか、『お任せ』しても、よろしいですか?」

ともすれば人を寄せ付けない容姿だが、その内面は――――そうでもない。

827アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/20(金) 11:53:32
>>826
「邪魔だなんて……そんな意地悪をいう様に見えるかしら?
確かに、ちょっとキツそうな性格してるって言われるけど……悲しいわぁ……」

「気を使わなくていいわ。
休みたかったのは本当だもの。どうせなら、少しお話ししましょう」

律儀に謝罪してその場を離れようとする少女へ、少しいたずらっぽく笑う。

「『面白い話』……うーん……」

口元に手を当て、考える。
物凄く礼儀正しいし、こんな真面目そうなイイ子に
「じゃあ何か面白い話してよ」なんて女子大生みたいな普茶振りするのも可哀想だ…なんて思った。

  ウ―――ン ・ ・ ・

少し考え、そういえば、と思い出す。

「トーリちゃん……だっけ。あ、私はアヤメっていうの。よろしくね」

「貴女もバスに乗らなかったみたいだけど、大丈夫だったの?」

828白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/20(金) 17:53:16
>>827

「人を見かけて判断するのは、トーリは良くないと思っています。 
 ただ、急ぎだったら……気分を損ねているかもしれない、と」

     「そう。思っていました。
      でも、違いました。
      ……よかったと、トーリは思います」

                フ

口元にだけ笑みが浮かぶ。

    シラキシ
「はい。白岸・ノエル・トーリと申します。
 ぜひ……トーリ、と。名前で呼んでください。
 アヤメさん。よろしく、お願いします」

         スッ

小さく会釈し、バスの去った方ではなく、
『来る方』の道に視線を向けた。

「トーリは。あれに乗ってくる人を待っています。
 待ち合わせ時間は、いまから、15分あと。
 バスダイヤが、乱れなければ……次でも間に合います」

                ・ ・ ・

まだバスは来ない。

「トーリは少し。早く、来すぎてしまったのでしょうね」

            フゥ ・・・

息を少しだけ吐き出しながら、
開いたままの、手に持った本のページに視線を落とす。

              製菓の花形、ケーキの章。
              写真は美しい翠玉が並ぶ、
              形の整った小さめのタルト。

「学校の友人と、この近くの『カフェ』に行くんです。
 ……ちょうど。このページにあるような、ぶどうのタルト」
「それから。今の季節には、なしのショートケーキ……」

白い指先をその写真に添え、説明を補足した。
湖畔公園の周りにはこじゃれた飲食店もちらほらと見受けられる。
混雑店なので、開店に遅れないように――そうお願いされて、早く来たのだ。

「……アヤメさんは、バスで。どこに行かれるのですか?」

829アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/22(日) 09:34:14
>>828
「じょ、冗談だってば……真面目なのね、トーリちゃんって」

安堵するように笑うトーリを見て、
意地悪な事を言った自分にちょっと罪悪感を覚える。

「『カフェ』か〜〜……そういえば、あんまり行ってないかも。
……いいわねぇ、おしゃれで……」                  チラリ

「わっ、綺麗〜〜〜! まるで宝石みたい!」

「あっ! これも美味しそ〜〜! この苺乗ってるヤツ!
クリーム盛り盛りでカロリーヤバそ〜〜〜」

   ・ ・ ・ ハッ
              「…………」

「……コホン」

「ごめんなさい、はしゃいじゃって」
                      「だって、美味しそうだったし……つい……ソノ…」
 
添えられた写真を見て、思わずきゃっきゃとはしゃぐが、
すぐにハッと我に返り、一瞬顔を背ける。

「私は……ちょっと駅までね。
散歩――というより、まあ、『運動がてら』に、森の方までね。今帰りなの」

830白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/23(月) 00:45:53
>>829

「トーリは。よく言われます。ですが、冗談も結構好きです」

真面目くさった返事だ。

「この、イチゴのケーキ。トーリは実際に作ってみました。
 たしかに美味しかったですし……とても、クリームが多くて。
 トーリは食べた後、しばらく他の物を食べる気が起きませんでした。
 美味しかったですし、作るのも楽しかったので、後悔はしていませんが」

     「お店のケーキなら、そうはならないのに。
      ……トーリは、レシピ通りにしか作れませんから、
      きっと。もっと、深い工夫があるのでしょうね」

『アヤメ』が見るケーキに視線を落としながら、感想を述べる。
この本は製菓本であり、ケーキ類もどれも『作れる』レベルのものだ。

「……いえ。トーリが好きな物を、
 アヤメさんも好きで。トーリは嬉しいです」

             フ

笑みを浮かべる。本音だった。好きなものが共通するのは良いこと。

「『運動』」
「このあたりは。ジョギングや体操をしている方も、よく見かけます」

              「……」

ふと、頭をよぎるのは――――夏に『斑鳩』と見つけた『練習の痕』。
勿論、アヤメと結びつけるようなものではない。

「『森』のほうには……危ない人も、出るようです。
 以前……木に。たくさん、刃物の傷痕がありました。
 ……剣道か何かの、練習なのかも、しれませんけど」

「トーリがする心配では。ないかもしれませんが……
 人気が少ないところは、気を付けてくださいね」

むしろ、気遣いだった。
湖畔公園は広い。『森』のように人通りの少ない場所も、時々存在する。

831アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/23(月) 10:25:26
>>830
「……私も好きよ、貴女みたいな素直な子」

からかい半分、本音半分で返す。
年下みたいだし、余裕ぶってやろうという自分の細やかな『見栄』だ。

「へぇー、お菓子作りができるの? 手先が器用なのね。
私なんか不器用だから、そういうのは全然――」

関心しながら相槌を打っていると……

> 以前……木に。たくさん、刃物の傷痕がありました。
> ……剣道か何かの、練習なのかも、しれませんけど

「……え゛っ」

『気遣い』の言葉に、何故かギクリと固まる。

「そ、そうなノ……ふ、ふゥーん……
『知らなかった』わ―――っ、全ェ然!」

「この辺りも、案外物騒なのね……」


――実は、先程まで自身の『スタンド』の具合を確かめるため、
人気の少ないところで『大剣』や『鎖』を振り回していたのだった。

冷静に考えれば、自分が『スタンド』を自覚したのはつい最近で、
彼女が言っている『刃物の傷』とは時期的に合わないだろうと気づくのだが……

「……わ……」

「……私じゃあナィヮョ……?」

罪悪感と嫌悪感に駆られた様に、
視線を逸らしながらしどろもどろと呟く。

832白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/23(月) 12:45:07
>>831

「……ありがとうございます。トーリは嬉しく思います」

素直である事はとりえだった。

「手先が。それほど器用ではなくても、
 『素直』にレシピ通りにすればできるから、お菓子作りは好きです。
 タルトは。少し大変ですけど、ビスケットや、ゼリー……バナナケーキ。
 アヤメさんも、やってみればきっと――――」

            「……」

菓子作りについての話をいったん止めたのは、
『刃の痕』についての妙な反応に対してだ。

「あの。……そうなのですね」

『時期的に合わない』ことを、トーリは知らない。
アヤメがいつからスタンド使いなのかなど知る由もないからだ。

(『悪いこと』をするために、それをしたとは思えない)

『あなただったんですか?』とは言わない。
それを言ってほしいわけではないのだろう。
本当に、虚を突かれたのだろうし――――
訓練をすることが悪いことだとも思えないからだ。

「……」

               ジ ・・・

少しだけアヤメの顔を見つめる。
そして視線をわずかに下げて。

「トーリは。……素直なので。
 アヤメさんじゃないというのは、そうなのだろうと思います」

それから、真面目な顔で、そのようなフォローをした。フォローになっていないかもしれない。

833アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/23(月) 13:44:39
>>832
「う……うぐ……っ」

「ぐぬぬ……」

ジッと此方を見据える『トーリ』。
どこまでも真っ直ぐに見据えてくるその『視線』が、
まるで何もかも見透かされている様で――自分を諫めているかの様で、罪悪感で心が圧し潰されそうになる。

「うっ……うぅ……」
             「そのォ……」

――そして、やや間を開けてから、
はぁ、と大きく息をつき、決心して逸らしていた視線を『トーリ』に向ける。

「――ごめんなさい」

深々と頭を下げる。
                  ・ ・ ・ ・ ・
「ちょっと、ちょっとだけ……『嘘』を吐いたわ。ごめんなさい。
上手く説明できないし、信じてもらえないだろうけど――」

「その……『試したかった』の。
一週間ぐらい前に――(なんて言っていいのか、ムズかしいけど)――ちょっと『大きなもの』を手に入れちゃって」

まるで悪戯が見つかった子供が、
親の叱られたくない一心で顔色を伺いながら喋る様に、弱弱しく懺悔する。

「それで――振り回したり、投げたり、叩いてみたり……つまり、『具合』を知りたかったのよ。
どんな事が出来て、出来ないのかって……で、でもっ! 誰かに危害を加えようとか、そんなつもりは全くなくて!」

「……まさか『見られてる』なんて思ってなくてぇ……」

834白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/23(月) 15:44:55
>>833

「……いえ。こちらこそ。すみません。
 トーリは『勘違い』をしていたようです。
 『一週間前』なら、それは――――トーリが見た物とは、違います」

「トーリがそれを見たのは、夏のころなのです」

秋の深まった――――冬との境目の風が冷たい。

「それを先に言っていれば、アヤメさんが『嘘』をつかずに済んだのに」

罪悪感があった。
もっと開き直られるならまだしも――『アヤメ』の懺悔する様子が、
嘘をつきなれた大人がするようなソレとは大きく違うものだったから。

「――……トーリも。新しい物を手に入れたとき、練習をします。
 その中で、練習に使う材料を無駄にしてしまったり、
 ものを壊してしまったりも、することがあります。
 アヤメさんがしたことは。トーリは、それほど悪いことだとは、思いません」

                 スッ ・・・

「……」

言うべきことを言うのは苦手ではないが、するべきことを決めるのには時間がいる。
少しだけ間をおいて、本をたたんで膝の上からおろし、ゆっくり立ち上がった。
日差しが影を作る。

                    ジャ    キン

広がる鉄の翼、『ダムゼル・イン・ディストレス』が、その影を広げた。

「『これ』を――――手に入れたときも。『練習』を、する必要がありました」

        「自分に。何ができるのか。
         それがわからないと――――
         どこまで歩けるのかもわからないから」

『それ』をひけらかすことは好まないが、ことさらに隠し続けるつもりもない。
殆ど直感ではあるが、『アヤメ』の言っているのが『そういう意味』なのは分かる。

「トーリも。歩く先に迷う前に……自分で迷わず出来る、それをしたのです」

少なくとも、それを見せることで拾える何かがあるなら、素直に見せるのが良いのだろう。

835アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/23(月) 16:22:33
>>834
「まあだからと言って自然破壊が許される訳でもないけれど、
貴女は素直でいい子なのに、私だけそーゆー誤魔化しって、やっぱり気分良くないっていうか――」

>『一週間前』なら、それは――――トーリが見た物とは、違います

「…………え?」

「……」

「え?」

変な声が出た。

「そ、そう……勘違い……だったのね。
いや、正確には違うんだろうけど……」

「……『磔』にして欲しい気分だわ、本当……」

フフ、と自嘲気味に笑う。
なんだか空回りしている自分に少し嫌気がさした頃、自身に日影が差すことに気づく。

                    ジャ    キン

「う、わぁ……」

広げられた『鉄の翼』に、目を丸くして驚く。

「ス…スタンド……?」 「…貴女も、なのね」

836白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/23(月) 18:05:53
>>835

鉄の翼は明確な『実体』を持ち、背中と繋がっている。
『アヤメ』の能力とも違うが、『夢見ヶ崎』のそれとも違う。

   囚われの乙女
「『ダムゼル・イン・ディストレス』」

名をつぶやく。自分から名づける名前ではないな、とトーリは思っている。

「……はい。トーリ『も』……スタンド能力を、持っています。
 自慢というわけではありませんし、それだけで、
 トーリとアヤメさんが『同じ』だとも思いません。
 それでも、お互いに。共通する点があるのは、大事な気がします」

トーリが知る限りスタンド使いは『限られている』が、
決して、それだけを理由にラベリングされる特質ではない。
 
                ガコ コ コ

ゆっくりと翼を畳みながら、『時刻表』を見た。

「『磔』……」
「そうされたら、帰れなくなってしまいますね。
 ……もうそろそろ。次のバスが、来てしまいそうです」

『道』の向こうにまだ車体は見えないとはいえ、
時間通りであれば、もうじきに到着するだろう。

「アヤメさん。お休みを助けられたか、トーリは分かりませんが……お話が出来てよかったです」

             ペコリ

重い翼を背負ったままでお辞儀をして、やや前のめりになった。それから、翼を消してしまった。

837アヤメ『ジ・アルビオン』:2023/10/24(火) 18:33:25
>>836
「『翼』の……『スタンド』……」

「……素敵ね、天使みたいだわ」

率直な感想を述べる。
見てくれこそ『鉄』で出来た、ともすれば優雅さよりも力強さが際立つ『翼』だが
ふわりと飛び立ちそうな出で立ちは、目の前の少女の気品も相まってどこか美しさを感じた。

「――『ジ・アルビオン』」

     ―― ズ ン ・ ・ ・

返答する様に、掌を翳してその名を呼ぶ。
重々しい、『骨』の様な質感を持った『大剣』が自身の傍らに出現する。

「貴女と違ってこんなナリだから、ちょっと恥ずかしいけど……これが私の『スタンド』よ」

近づいてくる車の音に気づき、同じく『大剣』を消す。
間もなくして、目的地までのバスが来た。

    ブロロロ・・・
             ――キキッ

「いいえ、お礼を言うのはこっちよ。
お話に付き合ってくれてありがとね、楽しかったわ」

「カフェ、楽しんできてね」

『トーリ』へ礼を言い、乗車しようと足をかけて一瞬止まる。

「……これからは、その……『練習』も、ちょっと気をつけるから。
またね、『トーリ』ちゃん」

笑いかけ、手を振り別れを告げると、帰路へ着く為バスへ乗り込んだ。

838白岸・N・トーリ『ダムゼル・イン・ディストレス』:2023/10/25(水) 04:05:10
>>837

「ありがとうございます。
 ……『スタンド』を褒められるというのは、
 トーリはくすぐったいような気持ちです」

『ダムゼル・イン・ディストレス』がどこから来た、何に由来する力であれ、
『白岸・N・トーリ』の精神と不可分な物である事には変わらない。

「『剣』を持った天使も、信仰の世界には……いるそうです。
 『実体』を持った、重さのあるスタンド。
 トーリは……なんとなく、他人のような気がしません」

『そういうタイプ』が珍しいことは『知っている』。

「実際トーリたちはもう、少なくとも、『他人』ではないのですが」

            フ ・・・

「はい。楽しんできます。
 アヤメさんも……練習お疲れ様です。気を付けてお帰りください。
 それと……また、お会い出来たら、トーリは嬉しく思います」

            スッ

「練習の場に居合わせたら、その時は。
 トーリも、お付き合いいたします」

頭を下げて、バスに乗る背を見送る。
それから――――バスを降りてきた学友と合流し、目的地へと歩いて行った。

839赤月『サクソン』:2023/10/25(水) 19:36:57

        シャッ
             
              「・・・・違う」 

  ザザッ!!
 
     「これも違う・・・・」

地平の果てに太陽が沈みかけた黄昏時
疎らに木々が散在する林野で一人の少女が金剛杖を振り回していた

        ズザッ!

                ヒュッ!!

彼女の服装は学生服
意匠からは清月学園の中等部である事が推測できる

何らかの棒術を模した動きに見えるが、その動作はどう見ても稚拙
しかしながら套路には一貫性があり、何らかの『達人』の動きを手本としている事が伺える

840尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/25(水) 21:43:35
>>839
「わあ!」
赤月の近くでびっくりしたような声が響く。

「びっくりしたにゃー!
 カンフー映画の人みたい!」
そう言いながら、セーラー服の少女が赤月を見ている。

841赤月『サクソン』:2023/10/25(水) 22:56:54
>>840

>「わあ!」

「・・・・・・・・・っ!?」

突然の大声に振り回していた棒の軌道が僅かにズレる
大きく円弧を描いていた先端がガッ!と地面に食い込み・・・・

      ババッ!!

              「しまっ・・・・!?」

大きく泥が舞い上がった
泥の塊が飛沫を伴いながら尾藤の方へと向かっていく

842尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/25(水) 23:17:35
>>841
「にゃっ!?」
驚いた表情を浮かべる風花。
自分に向けてドロの塊が勢いよく飛んでくるのだ!

「仕方ない…にゃあ!」
突然彼女の手から『何か』が飛び出して

スパァン!!

飛んできたドロの塊を
彼女は一振りで横へとはたき落としてしまった。

「やー、危なかった!
 まぁこれくらいならへっちゃらだけど」

「でも、いちいちクリーニングに出すなんて面倒だからにゃー。」
そういう彼女の手には先程までなかったであろうものがあった。
『薙刀』のようなものである。

843赤月『サクソン』:2023/10/26(木) 00:55:16
>>842

「な、に・・・・・・?」

飛んで行った泥の塊をはたき落す『何か』
棒を握る少女の視線が、闖入者が持つ『薙刀』へと移動する
だが、その表情は不可解な物を見つめるようなものではなく、
どちらかというと、「どうしてこんな場所に?」とでも言うような、
偶然の出来事に驚くような・・・・そんな形だ

「・・・・・すまない。つい手が滑ってしまったようだ
 怪我はないか?」

言いながらも、視線はちらちらと『薙刀』の方へ
逆上して襲い掛かってくる事を警戒しているのだろうか

844尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/26(木) 20:12:36
>>843
「わー、びっくりしたー!」
風花は全く気にしていないかのような表情である。
どうやら彼女は回避することに成功したようだ。
そして彼女は『薙刀』をそのまま持っている。

「別にー?気にしないでいいにゃ。
 あんなのへっちゃらだし!
 とりま、服が汚れなくってよかったかにゃー」
そう言って自分の服をアピールする。
清月学園のものとは違う制服のようだ。

「んで、」
そう言って『薙刀』をゆらゆらと揺らしながら返事を返す。

「さっきの動きかっこよかった!
 一体何の特訓?もしかしてカンフー映画とかに挑戦するの?」
じっと視線を赤月に集中させてくる。
初対面にもかかわらずかなり馴れ馴れしい。

845赤月『サクソン』:2023/10/26(木) 21:15:34
>>844

「あ、ああ・・・・それは良かった」

気になる点はいくつもあるものの、尾藤の話す勢いに圧される赤月
戦いの場であればどれだけ威勢の良い相手を前にしても動じないのだが、
彼女の前ではどうにもやり取りの調子が狂ってしまう

「『棒術』だ」

頭に浮かんだ言葉がそのまま流れ出る
いつもであれば、(下手なりにも)上手く誤魔化す事を考えるのだが

「『棒術』の達人の動きを以前目にして、それ以来練習をしている
 ・・・・まあ、彼の動きに比べると全然追い着けている気はしないのだけども」

「それよりも、君も何か・・・・『武術』を嗜んでいるのか?」

『薙刀』の方に視線を向ける
この武器が、突然手の中に出現した事については今は言及しない

846尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/26(木) 21:48:03
>>845
「ほうほう、棒術の特訓かぁ。
 あたしも棒とは違うけど、ちょーっとだけ自信あるにゃ」
そう言ってニッコリとする。

「彼って誰のことかにゃ?
 どんな俳優さん?」
彼、というのに興味を持っているようだ。

「武術?ほほう、なぜわかるのかにゃ?」
その手に『薙刀』を持ちながらニヤリとする。

「ってぇ、見えちゃってるのかにゃぁ?
 これ、とか」
そう言ってちょっと切っ先を赤月に向けてくる。
攻撃しようという気配はなく、まず当たらないだろうが
少々危ない動きだろう。

847赤月『サクソン』:2023/10/27(金) 09:35:59
>>846

ズカズカと内側に踏み込んでくるような尾藤の物言いに
警戒心を抱く間もなく受け答えをする赤月

しかし・・・・『彼』の事はどう表現するべきか
戦場で抱いた情はあった。だがそれも自分の一方的な思い込みに過ぎなかった
『戦友』と呼ぶには断絶が強く、『他人』と呼ぶ程希薄な関係性ではない

ならば・・・・

「『知り合い』・・・・だ
 腕の立つ『棒術』の達人が知り合いに居て、その真似事」

これもまた上手い言い方とは言えないが、それでもそれが一番近いだろう
数秒間の思考の後に絞り出した答えを返す

「むっ・・・・!!」

              バッ!!

刃の切っ先が自分に向けられた事で、ようやく『危機感』のスイッチが入った
実際に斬られるかどうかなどは関係ない、戦場においては可能性が発生した時点でそれは『危機』だ
・・・・・些か、スイッチが入るのが遅かった事は否めないが

とにかく、咄嗟に後ろに跳び退き、先端を地面に向ける様に『棒』を構える

「その言い方・・・・やはり君はスタンド使いか!
 私を・・・・『殺し』に来たのか!?」

848尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/27(金) 18:09:12
>>847
「わーお!びっくり!」
構えられた棒を見て彼女はすぐに刃を引っ込めた。

「もー、本当に見えるかどうかって
 確かめてみただけだにゃー!
 殺しだなんてとんでもないにゃ!」
そう言うと同時に薙刀は一瞬で消え去った。

「見ての通り、あたしは平和主義者だからにゃ
 流石にやりすぎたと思ってるから、そんなに怒らないでね?」
警戒する赤月の様子を見つつも
彼女の様子は特に変わることはない。申し訳無さそうな表情を浮かべてはいるが
その口調に慌てた様子もない。

「あ、知り合いの棒術の達人の話だっけ?
 その話もっと詳しく知りたいんだけどにゃー?」

849赤月『サクソン』:2023/10/27(金) 18:27:18
>>848

「む・・・・」

引っ込められた刃と、戦意がない事を示すように消え行く『薙刀』を見やる
この状況で武器を下ろさなければ、それこそ戦争だ
そう思いながら、己が握り締める『棒』を一旦脇に引っ込める

「・・・・こちらこそすまない
 最近警戒しなければならない事が続いて気を張り過ぎていたようだ」

彼女の表情に「む?」と引っかかる部分は感じるものの
追及するのも厄介と感じたのか、意識から流して謝罪の言葉を口にする
武器を構える事はないものの、視線からは警戒している様子がうかがえる

「それ程面白い話ではない
 私の近くに『棒』の扱いに長けた達人が居て、私はそれを真似しているだけの話だ
 まあ・・・・そうは言っても・・・・」

   虚空に向けて、改めてブゥン!と金剛杖が振るわれる

「駄目だ・・・・全然違う」

「ああ・・・・
 付け焼刃にもならない、という結論が出ただけの話だ」

850尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/27(金) 18:43:02
>>849
「気にしないでいいけどにゃ。いきなり切っ先を向けるのはヤバかったし。
 しかし、そんな警戒しなきゃいけないことが続くなんて
 一体何があったのかにゃ?すっごく大変なこととか?」
赤月の様子をうかがうように見つめてくる。

「達人の真似事はー…
 確かにそうだにゃ」
そう言って大きくうなずいた。

「真似事ではいつまで立ってもその達人さんのようにはなれない!
 素人ながらあたしはそう思いますにゃ。」
結構容赦なく、風花は告げる。

「まぁ、棒術を学ぶなら
 その人から教わるのが一番だと思うんだけどにゃー。」

851赤月『サクソン』:2023/10/27(金) 18:55:21
>>850

「ああ、それは・・・・」

               「・・・・・っ!」

     「いや・・・・見ず知らずの人間に語る様な話じゃない」

口調のせいだろうか、彼女の前ではどうにも上手く警戒が働かない
・・・・『人を殺した』という事実を、思わず口に出してしまうところだった

「いや、やはり、そうだろうな
 道理ではわかっていたのだけど、どうにも身体を動かさずにはいられなかった
 一朝一夕に強さを得る事なんて出来ないと、わかっていたはずなのに」

自嘲するような素振りでそう口にする

「君の言う通り、本当の『技』を手にするのであれば当人に教えを乞うのが一番だろう
 だけど・・・・・」

数秒の間
口にするべきか、しまいか、悩んでいたのだろう

「・・・・酷い怒りを買ってしまった
 原因ははっきりしている。私の不義だ
 理由は言えないけれども、怒られて当然の事をしてしまった」

その時の事を思い出したのか、気落ちししゅんとした素振りを見せる
意外と心が弱いのかもしれない

852尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/27(金) 19:17:04
>>851
「んまぁ、他人に言えないことなら誰にでもあるから
 そこはしょうがないにゃー。」
風花はそれ以上聞こうとするようなことはしなかった。
興味があるのかどうか、それは彼女の表情からは伺いしれない。

「つまり、その人と喧嘩をしてしまい
 教えを請うことが出来ないということなんだにゃー?
 仲直り…はまぁ出来てなさそうだけど、いずれするといいかにゃー。
 他に、知ってる人でそ〜言うのができる人は居ないのかにゃ?」
そう言ってまた表情を伺ってくる風花。
気になっているのだろうか

853赤月『サクソン』:2023/10/27(金) 19:33:44
>>852

「そんな事・・・・出来るわけがない」

仲直りという部分に関して、ぼそりとそう呟くように言う
そこに含まれているものは確かな『確信』
諦念や感情によるものではない、絶対に不可能だ、という確信めいたものが表情から読み取れる

「ああ、そんな事はいい
 でも、同じような事が出来る人なんて・・・・あ」

『武術の達人』という枠組みで記憶を思い返した時、赤月の脳裏に一人の少女の姿が浮かんだ
自暴自棄になったあの夜、自分を叩きのめして止めてくれたあの人を

「居る。棒術じゃない、剣の達人が
 でも、あの人とは連絡が取れないし、どこにいるのかも・・・・」

854尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/27(金) 20:07:31
>>853
「なんとまあ、そこまでこじれちゃってるのかにゃ?」
深刻そうな表情を赤月から感じられたが
風花はいつもの調子であった。

「剣の達人とも知り合いなのかにゃ?
 見かけによらず、いろんな達人さんと知り合いなんだにゃー?」
どこか感心した様子で答える。

「ふーんふんふん、剣の達人とも連絡が取れないかにゃ?
 なら、他にどんな達人さんと知り合いなのかにゃ?」
興味があるのだろうか
どこか楽しげに聞いてくる。

「あたしは薙刀しか出来ないけどにゃー。
 棒術とは流石に違うかにゃー?」

855赤月『サクソン』:2023/10/27(金) 20:15:40
>>854

「そんな事言われても・・・・」

仲が拗れてしまった事について、言い訳をするでもなく口をもごもごとさせる
先程の物言いとはまた違う、年相応の拗ねた態度だ

「君は・・・・私の事を『達人コレクター』か何かとでも思っているのか?
 そうそう『他の達人』に心当たりなんてあるわけがないだろう」

「でも」

「そう言う君は『薙刀』が出来るという事でいいのかな?」

スタンドとは精神が生み出すヴィジョンだ
その形が『薙刀』の姿を取っているという事は、それ相応に『技量』があってもおかしくはない

「そんなに言うなら『薙刀』の技を見せてみせてくれ
 根掘り葉掘り質問攻めにしたんだ。それくらい良いだろう?」

856尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/27(金) 20:45:07
>>855
「ん、いやー、なんだか見た目の割に大人びてるにゃーと思って
 もしかして色んなすごーい人と知り合いだからかにゃって考えたのよ。」
と、軽い調子で答える。

「もちろん、と言っても今ここにあるのはスタンドだけだけどにゃー。
 それでもいいということなら…見せてあげてもいいけどにゃ?」
そう言って右手を水平に構える。
いかにも薙刀をもっているかのような動作だ。

「もちろん、危なくなるようなことはしないけどにゃー?」

857赤月『サクソン』:2023/10/27(金) 21:00:36
>>856

「む、むぅ・・・・? 大人びている・・・・!?
 あ、ああ・・・・確かにそう、見えるかも、しれないけど」

大人びていると言われた事に嬉しそうな様子を見せる
・・・・その様子が一層に子供っぽく見えるかもしれない

「構わない。見せてくれ」

858尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/27(金) 21:24:08
>>857
「お世辞ではないにゃー。」
と一言告げる。

「了解しましたにゃー!
 それじゃあもう一回見せてあげちゃうよー!」
そう言ってニッコリ笑うと
右手をぐっと握る。

『ハーベストムーン・メランコリー』

ドギュゥン!!

次の瞬間には右手から、きれいな花飾りの付いた薙刀が
再び現れた。

「それじゃあよーく見ておいてねー?
 うっかり『見えなく』ならないようにこっちも気をつけるから」
そう言うと同時に

ビュオッ!!
先程ののんきさとは裏腹に、素早い動き(スB)で薙刀を華麗に振るう。
その動きはどちらかと言うと『演舞』と言うが似合いそうな、どこか優美な雰囲気を醸し出している

859赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 00:25:03
>>857

(美麗だ・・・・戦う為、というよりも観賞用のようなそんな趣がある
 スタンドは精神の表れ・・・・とはいえ、見た目だけで判断するのは早計か)

「綺麗な動きだ・・・・」

刃が辿る軌跡をなぞるように、向けられた視線が流れていく
うっとりという擬音が似合うくらいに、赤月の視線は『薙刀』に惹きつけられる

「技量というものにはこういうものもあるのか」

860尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 00:51:52
>>859
「にゃはは、そう見えるかにゃー?」
そう言ってまた舞い踊るように薙刀を振るう。

シュッ
「棒術は専門外だけど、あたしが思うに…

 ギュルッ
 力任せだけでは、うまくいかないと

ズシュゥ
 考えられるにゃー」

そして、鋭い突きを見せる。

「しなやかさも大事かも、しれないにゃ。」

861赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 09:44:44
>>860

「う、む・・・・・」

舞踊の如き刃の冴えに目を奪われながらも、何故か歯切れの悪い言葉が続く
そして、尾藤の演武が一区切りついたところで改めて言葉を返す

「いや・・・・すまない、やはり参考にはならなさそうだ」

それは申し訳なさそうに静々とした態度の謝罪の言葉であった
これだけでは誤解を与えてしまうと思ってか、すぐさま次の言葉を継いでいく

「ん・・・・違うんだ。君の技量を侮っているわけではない
 ただ、君の動きと『彼』の動きは・・・・その・・・・性質が違う」

「例えるならば『剛』と『柔』
 稲妻の動きと風雨の動きが違うように、二人の動きは芯からしてまったくの別物だ
 どちらが良いとか、悪いとか、そういうのは無いけど・・・・」

困ったように首を擦りながら言う

「私の眼には『彼』の動きが焼き付いてしまっている
 下手に別のものを入れると、それこそ混ざり合って全てが台無しになってしまいそうで・・・・」

「・・・・・・・・ごめん」

862尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 11:13:03
>>861
「あら、参考にならないかにゃ?」
赤月の言葉を聞いてその手を止める。

「なんとも残念な話だにゃ。
 参考にしたい人の動きと違ったってことなんだねー。」
そう言うとともにその手に持っていた薙刀のスタンドを消した。

「色々なものを学ぶのも勉強になるかと思ったんだけどにゃー
 そういうことならしょうがないにゃ。」
頭をかきながら答える。

「しかし、その人はそのー
 随分とパワフルな人のようですにゃー。
 めちゃ強だったりするんだろうにゃ。」
そう言って微笑んだ。

863赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 11:32:32
>>862

「ごめん・・・・」

わざわざスタンドの『技』を見せてくれたのに、と申し訳ない気持ちがいっぱいになる
今の自分には謝る事しか出来ないのだが

平時であれば、尾藤の『演武』から何か強さを学び取ろうと興味津々で喰らい付いただろう
だが今は、『村田』という男の光が目に焼き付いた今の赤月には
それ以外の強さがどうしても障害となってしまう

(スランプ、というやつなのだろうか・・・・
 村田の事が気になって仕方がないのは)

>「しかし、その人はそのー
> 随分とパワフルな人のようですにゃー。
> めちゃ強だったりするんだろうにゃ。」

「・・・・・・・!!」

「ああ、そうなんだ!
『彼』はとても強く、放つ一撃などは落雷のように激しい!
 それに勘も良くて、私の知らない間に敵を一人仕留めて・・・・」

「ん、んんっ!」

『彼』を褒められたのが嬉しかったのか嬉しそうにその話をする赤月
だが、『彼』の話を途中までしたところで、自分が『裏側』の話を尾藤にしてしまっている事に気付く
咳払いをして誤魔化そうとするが・・・・遅いかもしれない

864尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 12:20:44
>>863
「きにしないきにしない。
 あたしは少なくとも気にしてないにゃー」
そう言って手を振った。

「あ、結構嬉しそうじゃないかにゃー?
 そんなにスゴイ相手を…」
一瞬『敵』という言葉を聞いて会話を止める。

「その敵ってのは
 一体何のことか気になるかも…」
風花から表情が消えたかのように見えた。

「教えてくれないかにゃー?
 その人はもしかして、すごーい仕事をしてるとか?」
だが、直後にいつもの調子に戻った。

865赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 14:02:09
>>864

          スゥ・・・・

「それは、言えない」

尾藤の顔から表情が消えた瞬間
はっ、と気が付いたように赤月の声が低くなる

あるいは、尾藤の調子が変わらなければ迂闊にも多くの事を漏らしていたかもしれない
だが、尾藤の様子の変化は赤月にとって、我に返らせるに十分な要因となった

「『彼』について語るのは、まあいいけど
 それ以上の事は・・・・そう・・・・」

「もはや失ってしまった『信用』だけども、それ以上に『彼』に嫌われてしまう
 それは・・・・嫌だ」

866尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 14:09:52
>>865
「仲違いしたかと思ったら
 なんだかんだ信頼してるっぽいね。その人のこと」
どうやら感心しているようだ。

「まぁ、その敵についてはあたしも聞かなかったフリするにゃー。
 あたしもまぁ、色々あるからにゃ。」
色々、という言葉は何を意味するかは
風花は答えることはなさそうだ。
先程の表情が消えた様子は、少しただ事ではなかったような気もするだろう。

867赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 14:44:21
>>866

「信頼・・・・それはそうだ
『彼』は強いし、頼りになるし、なによりも正しい」

「裏切ってしまったのは私の方だ
 だからこれ以上の裏切りは許されない」

少しの間瞠目する

「君だってそういう経験はあるんじゃあないか?
 信頼する人を裏切ってしまって、どうにもならないこと
 嫌われたくない人に嫌われてしまうのを恐れる事・・・・そういうの」

868尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 15:08:33
>>867
「裏切り、裏切りね〜
 果たして何をすることが裏切りとなるのかにゃ〜?」
そう言ってジロジロと見つめてくる。

「そういう経験ん?
 あーえっと…どうだったかなあ?」
そして少し考え事をする家のようにうつむく

「……ある、かな。」
顔を上げた彼女の表情は
先程までの笑顔とは想像がつかないほどに

「あそこにいなきゃいけなかったのも
 きっと、そのせい。」
表情が消えている。冷たい顔になっている。

869赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 15:24:59
>>868

それを聞いたのは、些細な、ちょっとした世間話のつもりであった
だが・・・・目の前の彼女から表情が消え、深刻な、真に迫った答えが返ってくるのを見て
赤月は僅かに居住まいを正し

「ああ・・・・」

「ようやく、君の顔が見えた気がするよ」

そう、真正面から言う


        「・・・・・・・・・・・。」


   「赤月」
               「赤月ナカレ」

「それが私の名前だ
 良ければ、君の名前を聞かせてもらっても?」

870尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 15:42:20
>>869
「他人に見せるような顔じゃないよ。今のはね」
そう言って少し目を閉じる。
風花にもあまり誰にも言えないような過去があるのだろう。
彼女からはただならない雰囲気のようなものもある。

「赤月ナカレね。
 あたしの名前は尾藤風花。
 それがあたしの名前。」
言葉少なになりながら答える。

「ふー…はー…」
そこまで行ってから、表情を変える。

「さっきのあたしのことはみんなには内緒にしてくれないかにゃ?」
元通りの笑顔で彼女は返事を返した。

871赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 15:57:02
>>870

「フウカ・・・・風花か」

あまりにも自分とは対照的な相手でありながら、
彼女の中には自分と似た雰囲気を感じた

それは・・・・先ほど見かけた彼女の素顔に関係があるのだろうか

   (いや・・・・)

            それも余計な詮索だ

「元より、言うつもりはない
 ・・・・秘密の共有というわけではないけど、私の方こそ
 先ほどの話は他では言わないでくれるとありがたい」

色々と余計な事を言ってしまった気もするし、と
今更ながら後悔の念が沸いてきた

「・・・・・深々と話し込んでしまったな」

872尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 16:29:49
>>871
「よろしくね〜」
風花はまた、以前のような顔で接している。
彼女の本当の顔は、今も隠されているようだ。

「もちろん、秘密は言わないのが自分の主義なんだにゃ〜
 仲良く秘密を抱え合おうにゃ。」
と言ってニッコリと笑った。
風花は赤月の考えていることには気づいていないようだ。

「そうだね〜。あたしは色々話ができて楽しかったにゃ〜。
 それにスタンドもちょっと使えたし、そこはよかったかも。」
彼女はスタンドを人前で振るえたのは少し楽しかったようだ。

「ま、多少は参考にしてくれると嬉しいかにゃ。」
自分の演舞もなにかの参考になれば、とは思っているようである。

873赤月『サクソン』:2023/10/28(土) 16:51:20
>>872

「ああ、秘密の抱え合い、だ」

実際の所、お互いに後ろめたい物を抱えた人間同士なのだ
ひょっとしたら彼女もまた、何かこの街に対して害を及ぼす者なのかもしれない
自分と同じように・・・・

(いや・・・・考えるのはよそう)

「ありがとう。ほんの少しだけではあるけど、参考になったよ
 縁があればまた会おう・・・・尾藤風花」

お互いに抱えた『秘密』によっては、
もしかしたら次に会う時は『敵』となっているのかもしれないし、死んでいるかもしれない
だが、この出会いそのものは・・・・それほど悪いものではなかった

そう思いながら、赤月はこの場を去って行った

874尾藤 風花『ハーベストムーン・メランコリー』:2023/10/28(土) 16:54:39
>>873
「そうそう、シークレットな者同士、仲良くしようにゃー」
そう言って彼女は微笑んだ。

彼女が果たして敵なのかどうか。
それはうかがい知ることは出来ないだろう。

「参考になったなら良かったにゃ。
 じゃあナカレちゃん。
 いずれまたお愛しましょうにゃー。」
彼女はいつものようにほほえみながら赤月を見送っていく。
いずれ二人になにかあるのか。それは誰にもわからない。

「…あの子って」
そうつぶやきながら、風花もその場を去っていく。

「ちょーっとあたしとにてる…かも。」

875名無しは星を見ていたい:2023/10/30(月) 18:25:29
暖秋とはいえ日が沈むと肌寒く、夕刻の湖畔に人気はない。
それでも、何か用事があるのかただ通りがかっただけなのか、湖畔を訪れた人間がいるのならーー

ーーー-ドスンッ

「ぐぎゃあッ!?」

何か重いものが地面に落下する音、次いで『女の悲鳴』。
森林区域の奥の方から、そんな2つの音が聞こえてくるだろう。
悲鳴の方は、野生動物の鳴き声に聞こえなくもなかったが......
ただならぬ予感を覚えたのなら、声の主を探しに森に分け入ってみてもいいし、
『動物がケンカしてるだけ』で済ましてさっさと家に帰るのも自由だ。

876ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/10/30(月) 23:16:56
>>875

 ガサッ

 湖畔の水、ペットボトル。
及びビニール袋に入れて『悲鳴』へ近寄る。

此処はオレの住処だ。勝手に住んでる不法だが、更に不法を犯される筋合いは無い。

877????『??????・??????』:2023/10/31(火) 10:52:24
>>876
木々の間に歩を進めれば......さほど時間を要さず、倒れた『それ』が見えてくる。

「......う」

『女』だ。野生動物ではない。
長い白髪を四方八方に飛び散らせ、うつ伏せで倒れ伏している。
土に汚れたワンピースから伸びる手足には、小さな擦り傷がいくつも見える。

周囲に人や獣の気配は感じられないが、それ以前に──
女の身体と共に地面に散乱した『鎧のパーツ』が君の目を惹くかもしれない。
兜、手甲、胴体部、脚部......バラバラになった『西洋甲冑』が、女の周囲で黄金に煌めいている。
『ファンタジーやメルヘン』でしかお目にかかれないような代物だ。

「ゔううぅぅ......」

ところで、女には意識があるようだ。地面に手を付き、苦しげに上体を持ち上げ、辺りを見渡して......

「あ」

目が合った。垂れた前髪の隙間から、濁った瞳が君の顔を見据えている。

878ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/10/31(火) 12:43:48
>>877

(……スタンド…………使い)

いま現在、『ノエ』の服装は顔まで隠せるレインコートと緑柄の湖畔の森に
溶け込みやすい色のズボンで、顔は包帯で隠している。
 そちらがファンタジーであるなら、こちらは『ハロウィン』と言った容貌だ。

(こいつは……『どっち』だ……?)

『フリー』の使い手、それは数多く居るだろう。ノエでない頃ならば
出会う人は少なからず居た。知らない使い手と巡り合うのは、そう不思議でない。

だが、逆に『組織』に属してれば勝手が違ってくる。

今は、ノエは唯一の追いかける人物を例外として、人の目につきたくない。
 それが、過去に追いやってしまった大切な人物であっても、だ。

(だが、見過ごす訳にも……オレにそんな資格は無いが)

「大丈夫……か?」

 「怪我してるのか?」

 そう、短いながら本心で気遣って声を掛ける。
スタンドの装飾については指摘しない。あえて、見えてると告げて
自分も同じ使い手であるとひけらかす気はノエに無い。

 (……『白髪』、か)

 ふと、過去の憧憬が一瞬思い浮かんだ。だが、目の前の人物の脅威を
推し量れない為に、警戒が勝って直ぐに回想とも言えないヴィジョンは消える。

(……いざとなれば、闘う事も止む無し、か)

879小野塚遥『ブリリアント・レジリエンス』:2023/10/31(火) 14:26:53
>>878
「…………」

女はノエから視線を外すことも、言葉を発することもなく、ゆっくりと立ち上がる。
そして、静かに腰のポケットに手を差し入れ……

プスッ

取り出した『紙パック酒』にストローを刺し……

ゴクッ ゴクッ ゴクッ

ひとしきり中身を呷ると……

「──こんばんは」

挨拶をした。
実は内心、唐突に現れた『ミイラ男』にビビり散らしているのだが──
ビビりすぎて却って表情には出ない。茫洋とした顔でキョロキョロと辺りを見回している。
『一旦落ち着こう』と考え、ひとまず飲酒をした次第である。

「いや、ちょっと『木登り』をしてたんだけど……落っこちちゃってね。
うへへ……大きな怪我は無いみたいだから、大丈夫。ありがとね」

心配されたことで少し警戒心が解けたのか、だらしない笑顔を浮かべてもう一口酒を飲む。
年齢は20代半ばか後半。長身だが、猫背のせいで縮こまって見える。
『黄金の鎧』を見られていることには気づいていないようだ。

「ハロウィンパーティーでもあったのかい?それとも、そっちこそ怪我人なのか。
どちらにせよ、早く帰ったほうがいいな……冷えるだろ、この辺」

言いつつ、ちらちらと地面に落ちた『鎧』を見やる。自分はまだ帰る気はないらしい。

880ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/11/01(水) 18:22:19
>>879

一瞬、女(小野)の腰のポケットに手を差し込む動作にピクッと
包帯男の全体が微かに揺れた。だが、ストローに刺すのと
飲み干すのを見ると、少し圧を利かせるような緊張感は薄れた。

>どちらにせよ、早く帰ったほうがいいな……冷えるだろ、この辺

「……オレは、此処に住んでる」

 「雪が降るまでは……暮らしてる」

流石に冬になれば、あの子(ナイ)の暮らす家を間借りするが
 あそこは、あの子の家だ。色々と返せない程に恩を与えて貰ってる故に
気にしなくて良いと言われても、オレには我が物顔で言質を呑んで
永住しようと思う程に厚顔無恥にはなれない。

「怪我してないなら結構だが……あんたこそ早く帰るべきだろ。
オレと違って、家があるならな」

 ホームレスと知って、目の前の女性がどう反応するだろうか?

本格的に、訳ありか危険人物かと邪推して距離を置こうとするかも知れない。

それなら構わないし、却ってそれが良いだろう。
 オレのような奴に関わっても、碌な目には起きない。今までの過去がそう証明してる。

881小野塚遥『ブリリアント・レジリエンス』:2023/11/02(木) 01:13:16
「……君、なんか大変そうだね。ポケットに手を突っ込んだだけでそんなに警戒しなくても……
ナイフでも出すと思った?命を狙われる覚えとかあるのかい?」

女は空になった紙パックを握り潰し、ポケットにしまった。
しまったのと同じ手でもう1パック取り出す。

「ふゥーン……『自然に囲まれた暮らし』ってやつ?素敵じゃあないか。
寒さを凌げる場所があるなら、一年中そっちで暮らせばいいのでは──と、思わなくもないけど。
近くに教会があるし、炊き出しのときは便利かもね」

なにやら一人合点しつつ、散乱する『鎧』の間を縫ってふらふら所在なく歩き回る。
『面白いものを見つけた』とでも言いたげに細められた目の奥からは、
好奇と警戒心のない交ぜになった視線がノエに向かって注がれている。

「あたしはこの通り、アルコールのおかげで全身ポカポカなので問題ないさ。
君も飲む?というか、飲める年齢?包帯のせいで分かんないな」

そう言いながら、女はノエの方に近付いてくる。
警戒が未だ解けないのなら、もしくは単に酒がいらないのなら、
一言「いらない」と言えば女の足は止まるだろう。

882小野塚遥『ブリリアント・レジリエンス』:2023/11/02(木) 02:13:37
>>881
>>880(安価忘れ)

883ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/11/02(木) 22:08:18
>>881-882(レス遅れ失礼しました)

>命を狙われる覚えとかあるのかい?

「……心当たりは、ある」

 『動画』 『夢魔』 『刀傷』

全て、オレがオレになる前に遭った出来事。刀傷については
今は小林より、彼の方が深く命の削り合いの修羅場に身を置いてる事だろう。

他の二つ、特に動画について……また、アリーナがそれを受けて
消息不明の人物に対処するかも、今の自分には判断つかない。
 だが、生きていると断定して周知になれば不味い事になるのは確かだ。

>近くに教会があるし、炊き出しのときは便利かもね

「あぁ……教会……『教会』は……そうだな」

 ―今も、元気で暮らしているのは判る。ずっと、遠くから見守ってる

 「…………うん、頂くよ」

この女性は、色々と見てて心配になるが、危険では無いだろう。

 全て演技かも知れないと疑心暗鬼に、警戒して世捨て人を務め
人との関わり合いを極力無くした方が遥かに安全なのは承知だ。

 だが、それをして解決するだろうか? 責任は、贖罪は果たせ晴らせるか?

逃避は、あの時、あの小林の命が終えた瞬間で終えるべきだ。

 パック酒を受け取ったら、そのまま口につける。好意は無碍にしない。

 「…………酒も久しぶりだな。昔は、親友と犯罪だって知りつつ飲んだ。
ひょっちゅうじゃないし、苦味しか感じられなくてジュースで割って
本当に付き合い位で2,3回で後は炭酸飲料だけで馬鹿話をして……」

 彼は、あいつは今……小林を失って何を想ってるだろうか。

オレが心配出来る資格など無い。先に裏切り、失望させた。
何時か元通りの鞘に収まれる等と望めない。

 「……懐かしいな……」

口の中には、あの頃よりも酒の味には慣れた筈だがソレ以上の
苦みが広がった気がした。同様に心にも同じ味が染みるのは、気の所為でない。

「……有難う、美味かったよ」

「…………オレは、ノエだ」

礼と、遅くながら名乗り出る。ご馳走して貰った以上、名も明かさないのは失礼だ。

884小野塚遥『ブリリアント・レジリエンス』:2023/11/03(金) 00:14:29
>>883(こちらも度々レス遅れましたので、お気になさらず)
「アッハッハッハ、あるんだ。でも裏社会の人間って雰囲気じゃないよねえ」

裏社会の雰囲気とやらを知っているのかは定かでないが、とにかく大笑いしている。
散らばっていた『鎧』はいつの間にか消え失せていた。

「羨ましいな。あたしは誰かと一緒にお酒飲むの、今日が初めてだよ」

自分は自分で新しいパックを取り出してちゅうちゅうやっている。いくつ持っているのだろうか。

「へェー.......おいしいの?これ。君がそういう舌の持ち主でよかったけど」
「何回飲んでも苦いなーとしか思わないんだよね」
「ジュースみたいな味のやつとかは、ジュースみたいな味だからおいしいんだけどな」

飲み終わったノエの空きパックを受け取り、踵を返してその辺の木におもむろに近付いていく。
木の陰にはレジ袋が置いてあった。空の紙パックやらワンカップやらでいっぱいのようだ。
3つのパックを袋へ放り込むと、女はノエの方へ向き直り、なぜか恥ずかしそうにけらけら笑った。

「飲まなきゃ酔えないからなあ」

「あ、あたし小野塚(おのづか)ね」
「それが本名だとは思わないけど、命を狙われてる人の素性は追求しない方がいいかな?
また『木登り』してるときにでも会うことがあるかもね。ノエくん」

885ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/11/03(金) 17:19:17
>>884(お付き合い有難うございました。宜しければ、こちらで〆ます)

>裏社会の人間って雰囲気じゃないよねえ

「…………人は見た目じゃ判断出来ないさ」

 アリーナに身を投じて、そして一生の対価で周囲を巻き込むのを良しとせず
自死に赴いた小林は、果たして裏か表か?
 中途半端なままに、コインのどちら側も見せれず沈没した者は、もはや人非ず
生きた亡者と言えるだろう。

>あたしは誰かと一緒にお酒飲むの、今日が初めてだよ

「……あんたは良い人間だろうし。きっと、オレ以外の奴と
酒を飲む機会は十分あるよ、これから」

 少し、呆れの音色はあった。向こう見ずで、不審な人間にこうも
明け透けな態度を取る人物に心当たりは……いや、少なくとも似た性格の
人物は知っている。彼女は、今は何処のワンダーランドを渡り歩くのか?

>また『木登り』してるときにでも会うことがあるかもね。ノエくん

「……ああ、またな」

 小林は、この町の人が好きだった。善意の為に無償でも自分が
愛する人の為に動いてくれる、この町の誰もが。

 少なくとも、ノエも。目の前の人物が、その愛する側の一人だと想い願ってる。

立ち去りつつ、また悲鳴が聞こえたら戻るんだろうなと苦笑も包帯の下から
浮かべながら、意識を切り替えて空に浮かぶだろう月を見る。

 「……『蝙蝠の男』」

「…………手掛かりを得る……難しいな」

 今は歩くしかない。暗闇の中を。

886小野塚遥『ブリリアント・レジリエンス』:2023/11/03(金) 21:18:45
>>885(了解です。交流ありがとうございました)
「そりゃそーだね。包帯グルグル巻きのミイラ男くんがこんなにまともなワケだし」
「君こそ、相手を見た目で判断してるんじゃないかい?あたしが『良い人間』だなんて......いくらあたしの顔がかわいいからってさあ」

ゲラゲラ笑いながら、女はレジ袋を持って木々の向こうに去っていった。
......そして、もうノエに声が届かないだろうと確信できたところで、ぴたりと立ち止まる。

「やっぱりお酒って便利だな」
「どんなに変なことしてても、『酔っ払い』ってだけでみんな納得してくれる。
まあ、『木登り』ってのはあながち嘘でもないけどね」
「──『ブリリアント・レジリエンス』」

名付けたばかりの名を呟くと、『黄金の鎧』が女の両脚に装着された。
瞬間、身体が空中に『打ち上げられる』──女はそのまま樹冠近くにある太い木の枝に
ドスンと腰を下ろし、バランスを崩して手足をバタつかせつつ、なんとか姿勢を安定させた。

「うわっ、とと......よし、今度は成功。何事も練習だね」

ふうと息を吐いて幹に寄りかかる。
流石に持ち合わせが尽きたらしく、酒を取り出すことはしない。
自覚したばかりの『能力』を使いこなすための実験の一環ではあったが......木に登って何をする訳でもない。
ただボーッと、月を眺めている。

「.............」

朝になる頃には、女の姿は消えているだろう。

887パンドラ『ブレインボックス・P』:2023/11/04(土) 12:27:30
11月の序盤、秋の行楽シーズン

10歳くらいに見える、
銀髪の少女の髪を涼しい風が揺らしながら歩いている…はずだった

おかしい…!
もう11月なのに暑すぎる!気温25℃はあるぞ?

888パンドラ『ブレインボックス・P』:2023/11/05(日) 20:49:35
>>887
この暑さは流石に異常だろう…
あっちの親子なんか11月なのにかき氷を食べてるぞ
ちょっと封印されている間に地球の温暖化はそんなに深刻になっていたのか?

パンドラはエクリプスに居た頃の事を思い出す
11月といったら、ちょっと肌寒くなる時期
少し早い気もするが、みんなでクリスマスの計画なんかを立てていたものだ

懐かしさに浸りながら、かき氷を食べるパンドラ
かき氷を食べながらパンドラは思う

封印から目覚めてすぐの頃、今の時代のかき氷を食べてみた
ちょっと高級な店のふわふわのかき氷だ
天然氷を使用し、練乳をたっぷりかけて
アイスクリームやフルーツをトッピングした大盛りかき氷だった
あれはあれで美味いし、専門店ではああいうのを頼むのも良いだろう

だが、思い出補正というのもあるのか
今食べているような粗削りのジャリジャリのかき氷がパンドラは好きだ

エクリプスに席を置いていた頃に仲間達と食べたかき氷だ
お気に入りのシロップはブルーハワイの上にレモンをかけた奴
ラムネっぽいブルーハワイの上に、甘酸っぱいレモンが乗っかっているのだ

かき氷のシロップは色と香料が違うだけで、全部同じ味だというが
実際の所、香りが味覚に及ぼす影響は非常に大きい

今食べているかき氷のシロップの香りで、あの頃の記憶が思い出される
嗅覚は脳の海馬と密接に関係していて、香りによって記憶が呼び起こされるのをプルースト効果という

あの頃に戻りたいな…
暑い夏のかき氷を噛みしめ、口の中で溶かし甘酸っぱい思い出に一人浸るパンドラだった

889美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/12/18(月) 17:23:31

現在、H市内全域に設置されている『屋外拡声器』は『464基』。
星見町内にあるのは、おそらく『二桁』程度だろうが、
その『数』が『プラン9・チャンネル7』の『力』なのだ。
『防災無線』というのは、
『学校』・『市役所』・『公園』・『図書館』・『公民館』など、
『人が集まる場所』に配置されており、『広域情報発信』には都合がいい。
一基当たりの『伝達距離』は『およそ半径300m』。
今まで『情報収集能力』の方に目を向けてきたが、
『キャリアアップ』を目指す為には、スタンスを根本的に変える必要がある。
『プラン9・チャンネル7』の強さは『情報拡散能力』だ。
この分野で『右に出る者はいない』。

       ――――――キィッ

駐輪場に停車するのは、カナリアイエローの『ベスパ』。
ここ自然公園の一角には『鉄柱』が存在し、
その天辺に『スピーカー』が搭載されていた。
『120m先』から視線を向けると、美作の肩に『機械仕掛けの小鳥』が発現する。

  《『1001-111(イチゼロゼロイチ・イチイチイチ)』》

突如として『屋外拡声器』から響き渡る『スタンド音声』。
平坦で抑揚のない機械的な声色だ。
『謎めいた放送』は『半径300m内』にいる『スタンド使い全員』に聞こえただろう。

     《『1001-111(ナイン・セブン)』》

『奇妙なメッセージ』を残し、『屋外拡声器』は再び沈黙した。

          ド ル ン ッ

同時に『ベスパ』が発進し、駐輪場から急速に離れていく。
いきなり『ショー』を開催したとしても、首尾よく人が集まってくれる保証はない。
まず下地となる『話題作り』が必要だろう。
その為に、こうして町中に『興味を引くような情報』をバラ撒く。
小規模組織や起業家が行う『ゲリラ・マーケティング』の手法だ。

890ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2023/12/30(土) 12:48:56
2023年最後の夜
何かうさぎっぽい感じの少女が
雪見だいふくを食べながら月を眺めている

町にたまに出没するその姿を見るのは吉兆か不吉か

891夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/12/30(土) 16:51:51
>>890

アリスっぽいスタンドを従えたアリスっぽい少女が、ウサギっぽい少女の隣に座っている。

「だから、わたしは『アリス』だから、ひび『ウサギ』をさがしてるワケよ。
 で、あちこちの『ウワサ』をたどって、ココまできちゃったんだよね〜〜〜〜。
 『ウサギどし』おわるまえにあえてよかった!!」

ようやく見つけた『ウワサのウサギ』。
アリスはウサギを追う者。
コレをのがしたらツギはねえぞっつーカンジで、たったイマきたぜ!!

「なんかチョット『めずらしいニオイ』するな??
 その『ゆきみだいふく』って、このフユだけのキカンゲンテイとか??」

『ゆきみ』は『冷却保存された死体』だが、『ドクター・アリス』の『超人的嗅覚』は、
何となく『生きている人間とは違う匂い』を捉えていた。

892ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2023/12/30(土) 18:31:13
>>891
「そう…
 良かったね」

何か知らないが隣に座っていて話しかけて来るアリスっぽい少女だが
折角探し当てたうさぎの対応は塩だ

そもそもこの町に居る事が稀なので、
会おうと思って会えるうさぎではないが
会ったところで不思議の国に連れて行ってくれるかは微妙だ

見かければ幸福になれるだとか、不幸になるだとか
足を千切って奪えば幸せになれるだとかの噂があるが、
何故そんな噂が出回るのか不明だ

匂いを嗅いでみると、確かに生きた人間とは違う匂いがする
しかし腐臭だとかそういった匂いはしない

「わたしにはあなたの方が珍しい人に見える」

まぁ、アリスを自称して日々ウサギを追いかけている人間は
控えめに言ってかなり珍しい、レア人間だ

「…食べる?」

雪見だいふくは残念ながら期間限定とかではない
至って普通の雪見だいふくだ

2つある雪見だいふく、1つを分けるだけでもかなり太っ腹といえる

893夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/12/30(土) 19:11:48
>>892

詳細は分からないが、とにかく変わった匂いだった。
この前『ヘンなガイコツ』と遭遇した時に、
『腐敗した肉の臭い』を嗅いでしまったが、そういうのは感じない。
ヒシヒシとつたわるフシギなカンカクがアリスのセンサーにギュンギュンきてるぞ。

「サンキュー!!
 マフユにソトでたべるユキミだいふくも、けっこうオツなものかもしれんね。
 ナニゴトもやってみないとわからない!!」

『ドクター・アリス』の手を使って、雪見だいふくを受け取る。
ウワサのウサギと出会えた事自体がラッキーなので、塩対応であっても気にならない。
むしろ塩が混ざる事で、雪見だいふくの甘さが引き立つというものだ。
バランスのとりかたがわかってるな。
このウサギ…………タダモノじゃない!!

「ウサギさんってユキミだいふくがスキなの??」

必然的に寒空の下で食べる訳だが、
ゆきみを探して駆け回ったせいで体温が上がっていたから、ちょうど良かった。

894ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2023/12/30(土) 20:54:41
>>893
腐敗臭といったものは感じないが
冷却されているためか、冷たい氷のような匂いは感じるかもしれない

いるかどうかも分からないものを探して走り回るのも大分アレだが
上がった体温を下げるにはちょうど良い…のだろうか?
雪見だいふくの味も市販の普通のもので、普通に美味い
塩味はついていないが気分的には塩がかかっているのだろうか?

>ウサギさんってユキミだいふくがスキなの??

「さあ?」

多分自分の事を聞かれているのだろうが
自分の事なのにどこか他人事のようだ

895夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2023/12/30(土) 22:38:56
>>894

自分は走っていたから寒くはないが、この少女は違うだろう。
真冬に屋外で雪見だいふくを食うのは若干の奇妙さはあるが、
これまで遭遇してきた数々の不思議に比べれば普通だ。
『それだけなら』だが。
独特の匂いと合わせると、これらが無関係とは思えない。
つまり、アリスのキョーミをそそるソンザイってコトになるな!!

「みつけたらラッキーとかアンラッキーとか、あとナンだっけ??
 あしチョンぎったらハッピーになれる??
 そんなハナシを『コミミ』にはさんでさぁ〜〜」

雪見だいふくを食べながら、ここまでの過程を思い出す。
始まりは街中で聞いた噂話だった。
人々の会話を『超人的聴覚』で拾いながら歩き、今に至る。
夜まで掛かってしまったが、目的は達成した。
だが、フシギたんていアリスにキュウソクはない。
つぎなるジケンがアリスをまっているのだ。
そう、アレはサムイふゆのよるのコトである。
わたしがなじみのカフェにいくと、
マスターがいつもの『ハチミツいりホットミルク』をだしてくれた。
しばらくすると、わたしあてにイライのデンワがあったのだが、
それはヒジョーにキミョウなモノで…………。

「そういうのってメイワクしてる??」

ついでに『もう1コくらいふやしてみる』ってどう??

896ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/01/01(月) 19:41:20
>>895
普段町内にいない奴を町内を探し回って見つけたというのは
それ自体が超ラッキーな気がするが

もう一個増やすといっても何を増やすというのか
増やしてどうするのか

「別に」

そんな噂もあるが当の本人にはどうでもいい事のようだ
大抵の人間はそんな噂を聞いたくらいでわざわざ探し回ったりはしないが
本当に極稀にいる隣の女のように血眼になって探し回る人間を見かけると
そんな噂を真に受けてお疲れ様…って感じになるが
申し訳ないだとか感動だとかそんなものは一切感じない
アホな事してんなこいつ、ってなるだけだ

それにしても、こんな一言二言しか返事しない奴と話してて楽しいだろうか?


                  ゴーン

そんな話をしていると除夜の鐘がなる
卯年が終わりを告げ、辰年になった

にゅっ

鐘の音が鳴ると立ち上がり、頭からうさぎの耳のようなものを出し耳を澄ます

897夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2024/01/01(月) 20:25:33
>>896

アリスこと夢見ヶ崎明日美は、日頃から『見た事のないもの』を追い求めているのだ。
その為に『ドクター・アリス』を使って、常に情報収集を行っている。
別にゆきみだけを探し歩いている訳でもなく、見つからなければ他の何かに興味が移るだけ。
しかし、見つかった。
ゆきみは、なかなかの高ランクに位置する『不思議』だろう。
超レアな存在を発見したら、気分もアガるというもの。
口数が少なかろうと、一緒に雪見だいふくを食べられたのは嬉しい。

「じゃあ、『ウサギとアリスがそろったトコをみたら2ばいハッピーになる!!』ってウワサもツイカしとこ!!」

『ウワサ』をふやすにきまってんだろ!!
そんだけあるんだったら、もう1コくらいふえてもイイよね??
リユウがあるかって??
コキュウしたりシンゾウがうごくコトにリユウがいるか??
いらねーよなぁ〜〜〜〜??

「おっ??ナニそれ??『オトがよくきこえる』とか??アリスも『ミミのよさ』はジマンだぞ。さわっていい??」

いきなり現れた『ウサギの耳のようなもの』を指差しながら、素早く立ち上がった『ドクター・アリス』で、まじまじと観察する。

898ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/01/02(火) 18:49:12
>>897
「アリス?」

アリスを自称する少女が提案する変な噂
このレアな二人が揃った所を見るのはもはや奇跡のような確率だろう

噂を増やすのは良いのだが、その噂を広げるのはアリス本人なのか?

「うん、別に良いよ」

良いよ、というのは噂を増やす事についてか
耳を触って良いという事なのか?

       ゴォーン       ゴォーン

鐘の音に合わせてぴょこぴょこと耳が動く

夢見ヶ崎が『ドクター・アリス』を出し、観察すると
ゆきみもまた、『ドクター・アリス』を観察する

『ドクター・アリス』の感覚なら分かるだろうか?
その耳がドライアイスのような超低温である事を

899夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2024/01/02(火) 19:35:13
>>898

おそらく新しい噂を作った本人が、気まぐれに誰かに話すのだろうが、
それが実際に囁かれるようになるかは別の話という所だろう。

「うわ!!メチャクチャひやっこい!!
 ナツにであいたいウサギグランプリ・ナンバーワン!!」

『ドクター・アリス』には『超人的触覚』があり、
その中には『温度感覚』も含まれている。
二人は比較的近い距離にいるので、触らずとも『冷気』の強さを測る事が出来た。
むしろ、ドライアイス並みの超低温に触ったら尋常じゃなく冷たく感じただろうから、
うっかり触らなくて正解だ。

「そのピョコピョコするの『アリスのアリス』はできないなぁ〜〜〜〜」

         クルクルクル

小首を傾げた『ドクター・アリス』が、ヴィジョンの『金髪』を指先で弄りながら、
『ウサギの耳』が動く様子を興味深げに眺める。

「あんまりみたコトないカンジの『スタンド』なんだよねぇ〜〜〜〜」

世の中の全てがスタンドで説明できるとは言わないが、
『ドクター・アリス』が見えているのだから、やっぱりスタンドなんだろう。

900ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/01/03(水) 15:42:52
>>899
「よく分かったね」

アリスの目の前にいるのは存在そのものがスタンドだ
その冷たいうさみみに触っていたら凍傷を負っていただろう
とんでもない罠だ
アリスのスタンドがアリスじゃなかったら大惨事だ


                ゴォーン

108回目
除夜の鐘の音が止まった
ふと、公園に備え付けられている時計を見る

「もうこんな時間」

先程までのんびりしていたゆきみが時計を見た途端にあくせくし出す

901夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2024/01/04(木) 18:47:49
>>900

ドライアイスに素手で触れてしまったら大変な事になる。
『ドクター・アリス』の危機察知能力の高さのお陰で助かった。
アリスじゃなかったらひっかかってたな!!

「――――『ウサギどし』おわっちゃったね」

鐘の音を聞いてから同じように時計を見上げて、ぽつりと呟く。
時間を気にし始めたゆきみに、アリスを導いた白ウサギのイメージが重なる。
きっと何処か行く所があるのだろう。
何となくそう思った。
見るからに不思議な存在であるゆきみは何処に向うのだろう。

「あのさぁ、とちゅうまでついてってイイ??」

その先に待つのは不思議の国か、それとも別の何かか。
もう夜も遅いのだが、せっかくだから追えるだけ追ってみたい。
何故ならアリスはウサギを追う者だからだ。

902ゆきみ『ブランシュ・ネージュ』:2024/01/05(金) 16:30:09
>>901
「お好きにどうぞぉ」

せかせかと駆け足気味に移動する姿は、
動く度にうさみみをゆらゆら揺らして、
どこかぴょんぴょんと跳ねる兎を彷彿とさせるかもしれない

何かを急いでいるうさぎについて行くアリス
その行先は不思議の国か?
それはご想像にお任せよう

ただ一つ、夢見ヶ崎はこの後幸運に見舞われる事になる…
かもしれない

903村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/23(火) 19:57:25
  ヒョッ
           バシィ ッ !
      ドサッ

 「これで今日の分は終いか。」

自然公園の奥、郊外に近い森林に風切り音が響き、一瞬遅れて鳥が落ちる。
仕留めた『ヒヨドリ』を拾い上げ、脚を紐で括る。これで『5羽目』だ。

 「こんなところで役に立つとは思ってなかったな。」

『メイク・センス』・・・『ディズィー・スティック』の新たな能力。
棒の先端に石を『接着』し振るうことで、『投槍器』や『投石機』のように強力な投石を可能にする。

 「『猟期』もじきに終いだ。サボった分は取り返さねえとな。」

904呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/01/24(水) 18:36:11
>>903


     「しゅッげェ〜」




パチパチパチ

自らのスタンド能力を用いて狩猟に勤む村田の背後、
緑とピンクに染めた派手な髪色をツインテールに纏め、
露出の高いゴシックパンク調の服装に身を包んだ派手な女子高生がいた。
地面に敷いた1人用のレジャーシートに腰を下ろし、
村田の絶巧たる技術に感嘆の声と共に拍手を送る。


「ちゅか、ちゅかァ〜〜、
 今のもンのすげェ〜〜、ヤバない?
 
 ばっひゅん!って棒ッきれ振るったら
 『とりっぴぃ』達がボドッ!ボドッ!って堕ちてきて、
 キザシちゃんビックリしちッたあァァ〜〜」



「ねェ〜?」
          
          トテトテ トテトテ
トテトテ トテトテ

レジャーシートに腰掛ける女子高生の太腿の上には、2体のギャング風の『パペット人形』が寝転んでおり
まるで自らが意思を持つように所在なさげに太腿の上を動いていた。

905村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/24(水) 21:24:55
>>904

 「こんな奥まったとこで『レジャー』すんのが流行ってんのか?」

 「この間も、様子のおかしな女がテント張っていたしな。
 今日も見るからにマトモじゃなさそうだが」

異質な声に振り返った後、あきれたような声をあげる。
この辺りは鳥獣保護区ですらない区域。『イノシシ』が出たっておかしくないのだ。
妙な軽装も気になるようだが、この点については万年学ランの村田が言えた立場ではない。

 「おれももうじき帰るとこだ。
 悪いこと言わねえから、アンタもさっさと片づけしたほうがいいぞ。
 日もそんなに長くねえからな。」

906呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/01/24(水) 22:15:53
>>905


「はぁぁぁ〜?なんですけどォーーッ。
 初対面のイタイケ?なジョシコーセー捕まえてさァ、
 マトモじゃないなんて、めっちゃ失敬じゃん?」



          「ん」

          「おいでおいで」


太腿の上で遊ばせていた『バッド・アイデア』に手を通し、
手袋代わりにして指先の暖を取る。


「この辺ッてば、
 寧ろ昔からキザシちゃんの遊び場だしィー?
 星見の小中学生なら野外学習でェ〜ッ
 一度はお世話になる場所だしィー」


    「日課?
     いや月課かにー」

「月課の『ペット』のお散歩に来ただけなのに、
 すンげェ〜〜おバカちゃん扱いされてぇ〜〜、
 キザシちゃんショックゥーー、はぁ」
 
         「だよねェ」

がっくしと肩を落とし表情を曇らせ、
いじけた表情のまま手に嵌めたスタンドのパペット人形に話しかける。

907村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/25(木) 03:28:53
>>906

 「『シーザーサラダ』より派手な色の頭しといて笑わせやがる。
 その程度のことを気にするような奴は、わざわざこんなところ来ねえし、『そんな身なり』しねえ。」

まともじゃない呼ばわりに傷ついた風の女を鼻で笑って続ける。

 「ついでに言うと、おれみたいなのを見つけたところで
 『通報』することはあるかもしれねえが、話しかけたりはしねえよ。」

・・・・・・

 「そういや『まともな女』ってのにはとんと縁がねえな。
 だいたいアホみたいに気がつええか、どっかしら『おかしい』かのどっちかだ。」

ハァ―――――――― ・ ・ ・

 「な〜にが『花の高校生活』だ、聞いて呆れるぜ。
 改めて考えちまうと、急にテンションに下がってきちまったな〜」

杖代わりの棒に体重を預けて独り言つ。
ふとした拍子に女っ気のない生活をしていることに気づくと、少々『くる』ものがある。

 「もうちっと真面目なフリして『高校デビュー』するんだったかなぁ〜〜〜〜っ」

908呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/01/25(木) 08:50:23
>>907


   「ふふん」


「さては、キザシの全身から滲み出てるゥ、
 『ワル』のオーラに気付いちッたァ〜〜?」


ドヤ顔。ご満悦な表情を見せる。
ご機嫌な様子のまま身体をゆらゆらと揺らす。


「髪色だってチョー、カワイイでしょォ〜〜ッ。
 友達の梢やレイちゃんからは評判よくないけど、
 やっぱり『ワルちゃん』たる者、
 見た目からバッチリキメないとねェ〜」


          「何ぃ?」


「『棒ニキ』ってばァ〜、なんだかしょんぼり?
 恋の悩み?ガッコの悩み?どしたのー?」

        
            ポンポン


「『門限』あるからそんなに遅く居れないけど、
 キザシで良ければお話し聞こうかぁ?
 アベマの『恋リア』みたいに膝並べてお話ししよッ!」


「ほら、おいでおいでッ!」

909村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/25(木) 21:39:16
>>908

 「そうさなあ。」

 「『後悔』はねえが、『悩み』くらいはある。」

こういうものは『口にする』のが大事だ。相手が『サラダボウル』だろうが『ゴムのアヒル』だろうが。
懐から煙草を取り出して、火をつける。

 「ダチのことさ。仕方がなかったとはいえ、喧嘩別れにしちまった。
 おれたちは『ねじれの位置』だった。向いてる方向は同じ癖に、立ってる場所が違ってた。
 『それがいい』と思っていたんだ。事が起こっちまう前までは。」

 「同じ方向を見ていても、立つ場所が違えば見えるものは違う。
 見えるものが違えば、見落とすものもないと思っていた。
 だが違った。結果おれはダチ自体を見落としていたんだ。」

息を吸い込んで吐き出す。紫煙が薄く立ち上って、ほどけて消えていく。

 「これを聴いたら、野郎は『それは違う』『何も見ていなかったのは自分だ』と、そう言うかもしれない。
 だが結果はこのザマだ。この通りのありさまだ。あいつの責任だけにはできねえ。」

 「おれもあいつも、互いをダチだと思っていたくせに、互いのことを見てもいなかった。
 『こいつなら大丈夫』だと思い込んでな。まったくお笑いだ。」

フフ・・・

 「ま、今更どうにもなりゃしねえことだ。」

910呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/01/26(金) 06:03:56
>>909


     「うッわァ」


「ミセーネンの喫煙だァ〜!
 棒ニキ、ワッルゥ〜〜〜ッ!!

 買う時、ネンカクされない?
 ガッコで吸う時はやっぱ屋上とか行くのォ〜?
 突発の持ち物検査とかドキっとしない?
 匂いでバレないようにガム噛んだりするのぉ〜?」
 キヒヒッ!!
 棒ニキもワルよのぉ〜〜ッ!!」



村田の点けた煙草に嫌悪を示す事はなく、
むしろ逆に「珍しいモノを見れた」と好奇の眼差しを向けており、
付け睫毛、アイシャドウ、カラコン等、ありとあらゆる手段で盛りに盛られ、
西洋人形かアニメのキャラクター顔負けの大きさになった瞳で、
燻らせ空に消えゆく紫煙の流れを追う。



          「ンン〜」


サスッ サスッ

首を傾け、頭に疑問符を浮かべるが、
ハッとした表情を見せ手に嵌めた『バッド・アイデア』を解除し、
その空いた両の手でまるで子猫を扱うかのように、
村田の頭を形に沿って、ゆっくりと、優しく撫でる。



「キザシちゃんッてば、
 難しい事はよーワカらんけど、
 こーやってお話聞く事と慰める事はできるよ」


         「なでりなでりって」


「バイトのお給料も入ったし、
 キザシちゃんの奢りで『10円パン』でも
 一緒にモグモグするゥゥ〜〜?
 
 あッ、でも『男の子』はやっぱ『唐揚げ』とか『ラーメン』の方が好きぃ?」

911村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/26(金) 14:49:43
>>910

 「思ってるよりバレねえもんだ。他人に興味がねえのさ。
 バレたところで辞めねえが。」

フゥ―――――――・・・

 「こいつが肺に回ってるうちは、余計なことを考えずに済むからな。」

煙草をくゆらせながら、されるがままにされておく。
拒否する理由も今はない。

 「オゴッてもらうほど金には困ってねえが」

・・・

 「『甘いもん』が食いてえ。」

912呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/01/26(金) 16:33:35
>>911



      「おっ」

      「おっおっ」

      「おおォォ〜ッ」


村田の頭から手を離し、
スマホを取り出し情報収集する。

「良いじゃん良いじゃん。
 棒ニキ、イケるクチだねぇぇ〜ッ。
 10円パン?韓国ワッフル?
 クロッフルゥ〜ッ?
 激サムだけどあえてのサーティワンとかあァ?

 何食べるかァ〜、
 ハイパー迷う君じゃあんねェ。
 あッ、そーだ。『スイパラ』でも行く?」

            「あッ」


「せっかくだしキザシちゃんとライン交換しよ。
 呉羽萌(クレハキザシ)ッ!
 広島の『呉』に、ぱたぱたの『羽』!
 んでんでんでぇーーッ、
 「メイドさん萌え〜」の『萌』と書いて『キザシ』と読むナリいィーーッ」

913村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/26(金) 21:46:28
>>910
 
 「あァ〜〜〜〜」

胃の容量に限度がある以上、人間の生涯食事の回数には限度がある。
妥協したものを食う気はない。


顎に手を当てて考えるそぶりを見せながら、『端末』を手渡す。
初期アイコンのままのアカウントに『村田瑛壱』の名前が踊るのが見えるだろう。
 
 「『パフェ』はパスだろ。他の女と食いに行く予定がある。
 『フルーツパーラー』もダメだ。こないだ騒ぎ起こしちまったからな。
 寒ぃから『アイス』もナシってえとどうだ〜〜〜〜?」

『暖かい甘味』というだけですでに限られる。
『焼き菓子』か『汁物』だ。そのなかで『時期がいい』のは・・・

 「『汁粉』だな。
 『舟和』いって『汁粉』に『クリームソーダ』つけて、シメに『芋羊羹』だ。」

914呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/01/26(金) 22:19:48
>>913


    「おッ」

シュポッ

ラインの交換を済ませ、
確認がてらファニーなウサギのイラストのスタンプを送る。


「いいじゃん、いいじゃん。
 キザシちゃん和菓子って、
 あーんま食べないから楽しみ。

 間にクリームソーダーを挟んで、
 『ワヨーセッチュー』ってやつ〜〜?
 よいちょ、よいちょ」


立ち上がり敷いていたらレジャーシートを畳んで、
背負っていたバッグの中に仕舞い込み出発の準備を済ませる。


「んじゃあ『エーちゃん』行こうぜェ〜〜ッ。
 あァァ〜んまあぁ〜い!
 お汁粉の為に街へ繰り出そっかぁぁ〜」

915村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2024/01/28(日) 00:56:07
>>914

 「どうせ『星見駅前』にあるだろ。なけりゃあ大通りで探すか。」

ズ ギュ !

端末を確認した後、『ヒヨドリ』を括った縄ごと『棒化』する。
戻りがけに湖畔の『鴨撃ち小屋』にでも置いていけばいいだろう。

 「『好きなもの』を食いたいだけだ。特に考えてねえよ。」

とはいえ『甘いもの』なら何でもいいわけでもない。
村田なりのこだわりがあるが、語って聞かせるほどのことでもない

 「ハア、行くか。」

聞きなれない呼び名にため息をつきながら、手すり代わりに『棒』を差し出して促す。
さほど時間はかからないだろう。

916真白『ユキカゼ』:2024/01/29(月) 08:58:37

 コン   コン

「・・・・・・」

自然公園傍、あまり人の寄り付かない森の奥で、
白いジャージの少女が大木に相対していた。
その手には、一振りの『刀』。
白い鞘に収められたそれで、何かを確かめるように木を叩いている。

917赤月『サクソン』:2024/01/29(月) 12:04:39
>>916

「ん・・・・」

森の中、棒術で扱うような『杖』を片手に歩く者が居た
清月学園の学校指定ジャージを着たその姿は部活の練習を思わせるが勿論違う
『棒』を使った武術、その動きの確認をとここに来たのだが・・・・その途中で真白の姿を見かけた

「ぁ・・・・・・・・。」

先日、歓楽街で起きた一件もあり、声を掛けようとも思ったが声は出ない
彼女が身に纏う空気・・・・それがあまりにも真剣で声を挟む余地がなかったからだ

代わりに彼女の背後、少し離れた位置から動向を見守る

918真白『ユキカゼ』:2024/01/29(月) 12:31:59
>>917
視線の先、真白は眼の前の木を見上げていた。
その目は、どこか相手を慈しむようなモノだ。

「・・・・・・・・・」

赤月が見守る中、そう時間もかけず、真白は次の動作に入る。
目を閉じ、腰に『日本刀』を添えた。確かあれは真白の『スタンド』だったか・・・。
そう思った次の瞬間、深呼吸を終えた真白の周りから『色が消えた』。

919赤月『サクソン』:2024/01/29(月) 13:11:58
>>918

「・・・・・・・・!?」

はっ、と息を呑む
剣を構える優美さ、立ち居振る舞いから感じる気迫、いやそれ以上に・・・・!

(斬られる・・・・!!)

直感的に、そう感じた
色を失った世界の中で呼吸すら忘れて・・・・

ただその光景を見つめていた

920真白『ユキカゼ』:2024/01/29(月) 13:25:00
>>918
数秒か、或いは数十秒か、赤月は呼吸も忘れて真白の構えを見やる。
木々のざわめきすらも、色と同じように消えたと感じる静寂の中。
・・・・・・唐突に真白は構えを崩した。

「ふぅー・・・・・・」

真白は力抜き、完全に脱力しているように見える。
全力疾走の後のように汗をかき、大きく息を吐いていた。
だが、眼の前の大木は、変わらずそこに佇んでいる。
やや、拍子抜けしたかもしれない。

921赤月『サクソン』:2024/01/29(月) 13:31:03
>>920

     ────っ!!

いっそ呆気なく思える程の脱力
予期した『その瞬間』は訪れず、世界は再び音を取り戻す

「はあ・・・・っ! はぁ・・・・っ!!」

          ドスッ!

突然緊張から解放された事に足がよろめく
持っていた杖を地面に突く事で倒れるような失態は防いだが
その代わりに真白にも聞こえるくらいの大きな音が上がるだろう

922真白『ユキカゼ』:2024/01/29(月) 20:32:59
>>921

 ビクッ!!

鳴り響いた音に、恐る恐る振り向いた。
見てはいけないものを見られてしまったかも――という恐れ。
だが、音を出した本人、赤月を見てそれも直ぐに霧散する。

「・・・・・・赤月さん?」

見知った顔で良かった、という安心と、何でここに、という疑問がブレンドされている。

923赤月『サクソン』:2024/01/29(月) 20:57:13
>>922

「真白・・・・・・・・」

額に滲んだ汗を拭い、
先ほどまでの無様を取り繕うように表情を引き締める

「隠れ見る様な真似をしてしまってすまない
 君の鍛錬の邪魔になってはいけないと、そう思って・・・・」

「気が散る様なら遠くに行くけれども?」

身を包むジャージ姿、右手に携えた棒
真白とは違うながらも、何らかの訓練の為に訪れた事が察せられるだろう

924真白『ユキカゼ』:2024/01/29(月) 21:14:38
>>923
「あー・・・」

その姿をみて、察する所がある。
なるほど、人目につかない鍛錬をするなら、ここはうってつけだ。
実際、自分もその通りである。

「全然! 気にしなくていいよ。
 別に・・・気合を入れた訓練、って訳じゃないしね」

大きく手を振って、赤月の言葉を否定する。

925赤月『サクソン』:2024/01/29(月) 23:59:25
>>924

「君はそんな風に軽々しく言うけど、
 立ち居振る舞い・・・・所作だけでわかる
 やはり君は途轍もない達人なのだろう?」

そう言ったところで首を大きく横に振る

「いや、そんな事を言いに来たのではなかった
 少しだけ君に聞きたい事があって」

「真白・・・・君に妹さんはいるか?」

926真白『ユキカゼ』:2024/01/30(火) 19:02:09
>>925
「・・・ま、刀の腕前に関しては謙遜するつもりはないよ。
 知りたいことがあったら何でも聞いてください」

赤月の褒め言葉に、大げさに頭を下げる。

「・・・? えっと、妹?」

続く赤月の言葉を聞いて、首を傾げた。
急に家族構成を聞かれるとは思っていなかったからだ。
だが・・・・・・。

「うーん・・・ごめん、妹は居ないなあ。
 赤月さんの妹の事で何か相談?」

自分に、妹は居ない。
だが、
 、、、、、、、、、、、、、、、
「お姉ちゃんならいるから、
 もし妹の気持ちが知りたいなら、私に聞いてください」

自分は妹だ。胸を張って、相談に応じよう。

927赤月『サクソン』:2024/01/30(火) 20:16:27
>>926

その業前が遥か高みにある事を自覚しながらも
気負った様子も、それをひけらかす様子もなく、ただ自然体であり続ける
真に達人と言える彼女の振る舞いに、心の深い所で感服の念を抱いた

「・・・・・そうか、君に妹さんは居なかったか
 いや・・・・実はこの前、君と似た雰囲気の女の子に会って・・・・・」

> 、、、、、、、、、、、、、、、
>「お姉ちゃんならいるから、
> もし妹の気持ちが知りたいなら、私に聞いてください」

「あ・・・・・」

その瞬間、赤月の頭の中で何かが噛み合った音がした
『彼女』の事を『妹』だと思ったのは何故か・・・・? 
『彼女』が余りにも弱そうに見えたからだ。『彼女』が余りにも小さかったからだ

でもそれが過ちだとしたら・・・・?

「『功刀・・・・初雪』・・・・・・・・」

あの時名乗り合った彼女の名前を、改めて口にする

928真白『ユキカゼ』:2024/01/30(火) 20:28:52
>>927
「私に似た雰囲気の女の子・・・?」

もし同じぐらいの腕前の剣士がいるなら、
是非立ち会いたい・・・なんて思いが一瞬頭を過る。
だが、どうやらそうではないようだ。

「ああ、雪姉(ゆきねえ)と会ったの?
 まあ、同じ町に住んでればそういうこともあるか・・・」

「どうも、初雪お姉ちゃんの妹、真白です。
 似てるってよく言われる。姉妹だし」

勿論、真白は赤月と初雪の間に何があったのか知らない。
あくまでもにこやかに、自分との関係を伝えてきた。

929赤月『サクソン』:2024/01/30(火) 21:01:24
>>928

「悪いことを言ってしまった・・・・」

あの日の後悔に瞼を伏せながら呟く
もしも・・・・自分が彼女の立場であったのなら
自分よりも体格が大きく、強そうな『妹』が居たとして、
誰かに勘違いされたとしたら・・・・きっと・・・・・

(『悔しい』・・・・と、そう思うに違いない)

『兄』や『姉』とは年少の『きょうだい』を護る者だ
その理を護れず、『弱い自分』のままで居るしかないとすれば・・・・
それは強く己の心に圧し掛かる、だろう

「初雪さんの事を・・・・君の妹だと思って・・・・
 それで彼女の心を・・・・傷つけてしまった、のだと思う・・・・」

たどたどしい言葉でそう伝える

930真白『ユキカゼ』:2024/01/30(火) 22:16:59
>>929
「あー・・・」

なんとなく想像がついた。
自分の知り合いが姉と出会ったなら、
勘違いする可能性は確かに大きいだろう。

「うーん・・・確かに、雪姉にそのワードは不味かったかもね。
 私よりちっちゃいの、少し気にしているんだよなあ・・・」

昔から病気がちな自分の姉は、純正健康優良児な自分とは比べるべくもなく、体格的な部分で劣っている。
そこを刺激されると、ちょっと機嫌が悪くなりがちなのは自分の認識する所だ。

――あるいは真白が預かり知らぬだけで、体格以上の劣等感があるのかもしれないが――

ともかく。

「まあ、でも、そこまで気にする事はないって。
 こういうの、何ていうのか・・・・・・『初見殺し』って奴だよ、うん」

要するに、避けられない地雷を踏んだ事を後悔しても仕方ない、という話だ。

931赤月『サクソン』:2024/01/31(水) 00:27:22
>>930

「『初見殺し』・・・・か」

『初見殺し』だから仕方がない、そんなのは対処しようがない
口で言うのは容易く、実際に普通に生きている分にはそれで問題はないのだろう
だが・・・・

(『村田』も・・・・ あの時、余計な事を言わなければ)

思い出すのは『あの夜』の事
小賢しい立ち回りの真似事をしようとして、彼の不興を買ったあの日
もう一度彼に会い、ある程度の和解をする事は出来たが・・・・

(『あの夜』の出来事は・・・・私の立場を大きく変えた)

(この街の『敵』へと・・・・)

「・・・・・・・・・・・・・。」

「ううん、『初見殺し』の言葉で納得するわけにはいかない
『いくさ場』においては、『初見』の対応で全てが変わってしまう事だってありえる」

そう語る赤月の表情は浮かない・・・・
いや、浮かないを通り越して深い『闇』のようなものが見える
まるで何か・・・・取り返しのつかない決断をしてしまったかのような・・・・

932真白『ユキカゼ』:2024/01/31(水) 20:42:19
>>931
「え、ええ・・・?」

赤月の落ち込みように、少し困惑する。
確かに、体格のひ弱さを気にする人間に掛ける言葉としては、間違っていたかもしれない。
だが、そこまで悩み、苦しむような事だろうか?
加えて、『いくさ場』というワード・・・。姉が、赤月に切りかかった訳でもないだろう。

「ええっと・・・・・・もしかして、赤月さん。
 私のお姉ちゃんの事以外にも、何か『やっちゃった』・・・感じ?」

とすれば、可能性が高いのは『これ』だろう。
姉とのやり取りから想起される、似通ったトラブルがあったのだろう。
・・・トラブル多いな、この子。 と、真白は思った。

933赤月『サクソン』:2024/01/31(水) 22:02:12
>>932

「・・・・・は、はは、やはり君には全てバレてしまうか、真白」

「実はそう・・・・なんだ」

はあ、と溜息をつきながら近くに会った倒木に腰掛ける
気落ちしながらも、少しだけほっとした表情で話を続ける構えだ

「『戦いの場』に私はいた
 ともに戦う者と、戦うべき相手、双方がいた
 そして・・・・結果は私たちの勝利、痛手を負う事なく、その者を打ち倒した・・・・」

『殺した』という事実は言わない
この場で言うべき事でもないと感じたからだ

「だが・・・・その時私は『戦友』の矜持に背く行いをして
 ・・・・結果的に『彼』との絆を壊してしまった
 その時の失敗については謝る事が出来たけれども、いまだに尾を引いてしまっている・・・・」

苦笑するような笑みを浮かべて顔を上げる

「どうしてだろう。君の前だと落ち着いて色々な事を話してしまう
 まるで・・・・年長者、そう『師』の前に居るかのように」

934真白『ユキカゼ』:2024/02/01(木) 16:27:16
>>933
「流石に・・・師匠とまで言われると、こそばゆいな・・・。
 私なんてまだまだ。技が先行しているだけの、ヒヨッコだし」

自分も同じく、赤月の隣に体を預ける。
そして、少しだけ頭を悩ませて、言葉を続けた。

「うーん・・・赤月さんは『間違いたくない』・・・・・・って事なのかな。
 自分も、他人も傷つけたくない・・・っていう。
 勿論、それは大事なことだけど」

「・・・・・・でもさ、完璧にそれをするのは『無理』じゃない?
 人間関係でも、戦いの中でも、人は絶対に間違えるんだよ。
 じゃあ、後は『ごめんなさい』をして、『取り返す』しかない・・・。
 赤月さんはそれが出来ているんだから、良いんじゃないかなあ」

それは・・・『甘い』考えだという事も出来る。
真白という少女は、何かを永遠に失った事も、失わせた事もない。
多少、血気盛んだとしても、根本は恵まれた環境と才覚を持つ少女だ。

「それに、もし『絶対に間違えない』としたら、
 これから自分が何をするのか、『全部知ってる』って事だよね。
 そういう人生の『攻略本』は、私は要らないかな、って」

935赤月『サクソン』:2024/02/01(木) 23:00:27
>>934

「完璧じゃなくても・・・・いい・・・・」

真白が語った言葉を鸚鵡返すように呟く
今のままでも良い、過てばそれを正せばいい
それは社会を生きる上で問題なし、当然の正論ともいえるだろう・・・・だが

「それでは・・・・『遅い』んだ」

返って来たのは、強い『拒絶』の意思
音が鳴く程に強く噛み締められた口元がその意志を物語る

「私には、もう時間は・・・・」

顔付きに浮かぶ『闇』が深まる

936真白『ユキカゼ』:2024/02/02(金) 20:24:12
>>935
「・・・・・・赤月さん」

眼の前の少女の抱える『闇』の中身を、真白には分かるはずもない。
だが、それを抱える彼女が、今にも『壊れそう』に見えた。
他人に僅かでも傷を負わせる事を良しとしない、意志の頑なさ――。
それは、ほんの僅かなヒビでも入れば、全てが砕ける脆さにも繋がると思えたのだ。

「誰かを、アナタの言葉で傷つけた――。
 それ以上の事が、あったんだね」

絶対に『話したくない』――という事はない、と踏んだ。
もしそうであるなら、この場で、自分にポツリとも心の内を漏らすことは無い筈だ。

937赤月『サクソン』:2024/02/02(金) 20:53:33
>>936

「私は・・・・」

真白のその言葉に、赤月は否定も肯定もしない
だが・・・・嘘を付くのが苦手なこの少女にとって、沈黙は雄弁に真実を語る

年頃の子供の様に涙を流したり声を震わせる事はなく
ただ意志の込められた瞳だけが心の内の『想い』の大きさを表していた

「『決めた』・・・・だけだ・・・・」

「・・・・・・・・・。」

「真白、君に一つだけお願いがある」

938真白『ユキカゼ』:2024/02/02(金) 21:14:44
>>937
「・・・・・・」

今まで何度か、『悩んで』いた赤月の相談に乗ったことがあった。
戦いに挑む前。そして、戦いを終えた後・・・。
その時の彼女と、今の彼女は違う。
『決めた』、と。そう言った。だからこそ、苦しんでいる・・・。

「・・・・・・何かな?」

彼女のお願い。それを、聞こう。

939赤月『サクソン』:2024/02/02(金) 22:10:35
>>938

「私は・・・・いずれ、この街の『敵』になるかもしれない」

突拍子もない言葉ながら、どこか『確信』しているような口調
冗談や勘違いの類ではない。少なくとも彼女にとっては・・・・

「その時は」

「君に」

「・・・・斬って欲しい」

940真白『ユキカゼ』:2024/02/02(金) 23:40:11
>>939
「・・・分かった」

何故、も。どうして、も。そういう言葉は要らない。
斬ってくれ――というのなら、そうしよう。
自分には、それが出来る。刃を向ける事が出来る。

「『ありがとう』。私を頼ってくれて。
 何があっても、最後には必ずそうする」

「でも、だからこそ・・・・・・よく考えて欲しい。
 アナタが『何か』に『傷』をつけた事も、つけられた『傷』も、
 本当に、取り返しがつかない事なのか・・・」

941赤月『サクソン』:2024/02/03(土) 15:17:55
>>940

「ありがとう・・・・」

あの夜・・・・『マテリア』を殺害した時、一つの『答え』を得た
それは己自身の『終わり』についての問いかけ・・・・その答えだ

『宗像』に問われた時から迷い続けていた
この『復讐』が終わった時、自分は果たしてどうなるのかと
『マテリアの死』が示した
何もない。『虚無』の果て。何一つ残さない『最期』こそが己の終わりなのだと

だとしたら・・・・

「君に討たれるのであれば、納得できる」

────安心した。
これで、後始末を任せる事が出来るのだと
真白がこの街を護ってくれるのなら、何も迷う事無く『この街の敵』となる事が出来る


    (己の──『復讐』を果たす為に)


>「でも、だからこそ・・・・・・よく考えて欲しい。
> アナタが『何か』に『傷』をつけた事も、つけられた『傷』も、
> 本当に、取り返しがつかない事なのか・・・」

「・・・・取り返しなんて、つくはずがない」

「『私の全て』を奪われた、この痛みに」

「取り返す術(すべ)なんてものは、存在しない・・・・」

942真白『ユキカゼ』:2024/02/03(土) 20:31:07
>>941
「・・・・・・」

そんな事はないと、言葉を発するのは簡単なことだ。
しかし、その言葉のなんと薄っぺらな事だろうか。
耐え難い『痛み』の本質を知るのは、その当人しか居ないのだから。

「・・・今日、偶然だけど、会えて良かった」

それは紛れもない本心だ。重荷を背負った――等と、思うことはない。
自分の存在が、彼女にとって少なからず救いとなったのだから。

「次に会う時も・・・・・・またこうやって、話が出来ると良いね」

これもまた、本心である。その日が来なければ良いという気持ちもある。

943赤月『サクソン』:2024/02/03(土) 20:43:54
>>942

「・・・・すまない」

思わず話し過ぎてしまった、と己の行いを自省する
・・・・秘密の漏洩を気にしているのではない

いくら『師』のように慕っている人物とはいえ、
先程吐露してしまった感情は他人が預かるには余りにも重すぎるものだと思ったからだ
・・・・真白がどう考えているかはともかく

「願わくば・・・・その時はまだ『刃』を向け合う関係性じゃあない事を祈ってる
 また、穏やかな日の光の下で会う事が出来たなら・・・・嬉しい」

以前とは異なる、深い『闇』を抱えた少女はその言葉を残してこの場を去った

944真白『ユキカゼ』:2024/02/03(土) 21:01:29
>>943
「・・・・・・」

立ち去る赤月の背中を、その場で見送った。

「街の『敵』・・・・・・か。
 どういう意味かは、分からないけど」

手の内の『ユキカゼ』を撫でて、呟く。

「止まれない・・・のかな」

やがて日が落ち、森が暗く染まるまで、そこに佇んでいた。

945朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 00:12:16
今日はこの時期には珍しく暖かい日和。
思わず眠気を誘うような温度である。
眩しすぎない程度の日差しもまた、眠気を誘う。
(スヤスヤ)

…そんな日の公園のベンチで鼻提灯を出さんほどの勢いで居眠りをしている少女がいるようだ。

946鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 14:49:52
>>945

(…………具合でも悪いのかしら?)

眠り込んだ涙音に近付く一つの人影。
ボリュームのあるフリルをあしらったブラウスと、
ドレープが効いたスカートを身に纏い、パールのネックレスが胸元を飾っていた。
手にしたバッグは『エルメス』の代名詞として知られる『バーキン』だ。
ハイヒールサンダルが地面を軽く蹴り、ロングウェーブヘアが優雅に揺れる。
その姿は『お嬢様大学生』と呼ぶに相応しい。

(――――ち、違う!これは『体調不良』なんかじゃあない!)

(『居眠り』してる…………!!
 信じられないわ!こんな所で『熟睡』してるだなんて!)

(だからといって、このままにしておく訳にもいかないし…………)

少女の隣に座り、スマホを取り出す。

      ジリリリリリリリリ!

『目覚まし時計の音』を再生し、目を覚まさせようという作戦だ。

947朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 16:28:44
>>946
傍らに誰かがいることは全く気づいていない。
それくらい涙音は熟睡していた。

「スヤスヤ……」

そのままゆっくりと眠りこけていた涙音であったが

      ジリリリリリリリリ!
突然聞こえてきた目覚まし時計の音を聞いて

「ふぁっ!?」
びっくりして飛び上がる!
その瞬間に

ボスッ!!

「げふっ!!」
立ち上がった勢いか、近くで飛び出していた手すりにしたたかに鳩尾をぶつけてしまった!

「あうー…あいったー…なんでまた…」
また座り込んで軽くうずくまってしまう涙音。
強烈な目覚めのあまり、まだ近くに愉子がいることは気づいてなさそうである。

948鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 17:09:21
>>947

次の瞬間、目の前に予想外の惨事が飛び込んできた。

(ま、まさかこんな事になってしまうなんて……!
 でも、起こさないのも不親切だったし……。
 すごく痛そうだけど、お腹にアザが残らないかしら?)
 
心配ではあるものの、どう話しかけるべきか思い悩んだ。
原因を作ったのは自分なのだから、なかなか気まずい。
しかし、無言のままでいるというのは、もっと気まずかった。

(なるべく自然な態度で……なんでもない風に……)

         スゥ〜

(平常心……平常心……)

密かに深呼吸してから、おもむろに口を開く。

「――――大丈夫?かなり強く打ったみたいだけれど」

そう言いつつ、手にしたスマホはバッグの中にしまってしまう。

949朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 17:27:33
>>948
「うー…ん?あ。」
少しうずくまっていたが、ふと隣から聞こえた声に振り向いた。

「あぁすいません。大丈夫ですこれくらい。
 まぁ、今回は比較的マシな方というか…
 その、いつものことなものですから。」
そう言って頭を下げる。
いつもそんな被害を被っているというのも心配になるだろう。

「さっき聞こえた音は何だったのかなぁ…
 じゃなくて、お騒がせして申し訳ありません。」
といって頭を下げた。

「うー…ん?」
そして少し顔を見つめてくる。

「あ、もしかしてあなたは…?」
じっと見つめてくる。知り合いだと気づいたのかもしれない。
見ると涙音の制服にはジャラジャラとお守りがぶら下がっている。

950鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 18:07:43
>>949

心の中に生じる動揺は表に出さず、
あくまで『鵲家』の令嬢らしく、優雅な微笑みを浮かべてみせる。

「あら、そうなの?ふふふ、大変なのね。だけど、無事で良かったわ」

(そんなに何度も痛い思いをしているの?
 今回は私のせいでもあるけど、なんて運の悪い……)

      (…………『運が悪い』?)

ふと、ここで何かに気付き、『大量のお守り』を見つめる。
『鳩尾の災難が多い少女』の話は、『身内』から聞いた覚えがあった。
年の離れた『従姉妹』から。

「あなた……もしかして……」

思い出したのは『朱鷺宮笑美』の『娘の名前』だ。

「『涙音さん』――かしら?」

同時に、涙音も隣に座る人物の素性が分かるだろう。
『母親の従姉妹』である『鵲愉子』。
笑美の持つ『穏やかさ』と『激しさ』が、
あたかも別の形で現れたような性格である事は、涙音も知っている。
大抵の事は笑って流すが、その『ストレス』を内側に溜め込んでしまい、
本人しか知り得ない『累積値』が限界に達した時、
誰にも予測不可能なタイミングで『突然キレる』のだ。
こうして実際に顔を合わせるのは、かなり久し振りの事だった。

951朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 18:30:22
>>950
「…もしかしてその…
 愉子さんですか?」
何かを思い出したように声を上げた。

「あぁ、そうか…久しぶりですね。
 最後にあったのは…小学生の時以来でしたか?」
少し記憶が曖昧なようだが、彼女のことは覚えているようだ。
まだ少し小さい頃に実家に顔を出したような気がする。
彼女はどこか自分と似ている部分があるように涙音は感じていたのである。

「…ええそれはもう。運の悪さは相変わらずなので。
 今も高確率でこういう被害にあってしまいますね。
 まぁなんというかなれちゃったぶぶんもありますけど」
そう言ってお腹をさする。
以前あったときに比べて、その『不幸』に関してどこか前向きになっているように見える。

952鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 19:10:11
>>951

「あら!やっぱり『涙音ちゃん』なのね!
 すっかり大きくなってるから、全然気付かなかったわぁ」 

       「フヒヒヒヒィ」

涙音だと分かると声色が明るくなり、昔のように親しみを込めた呼び方に変わる。
そういえば笑美に会った時、自分も『大きくなった』と言われた。
今度は、こちらが言う側になった形だ。

「涙音ちゃんは中学生になったって聞いてるけど、
 丁度あの頃の私と同じくらいじゃないかしら?」

『今の涙音』と『当時の自分』を重ね合わせ、
思わず感慨深い気持ちに浸ってしまう。

「小さい時から『鳩尾』には何か当たっていたものねぇ。
 それは相変わらずみたいだけど…………」

前向きになれたなら何よりだ。
その『きっかけ』は何だろうか?
もしかすると…………。

「ところで……涙音ちゃんも『見える』んですって?」

         ズギュンッ

「――――『パラダイス・イン・フレイム』が」

『近代ヨーロッパ』の『砲兵』を思わせるヴィジョンが、愉子の傍らに現れる。
区分としては『第一次世界大戦』に当たるだろうか。
同じ『軍事系』のイメージを持ちながらも、
涙音の『フォートレス・アンダー・シージ』や、
笑美の『トループス・アンダー・ファイア』よりも『古い時代』なのは、
『源流』である『鵲家』の人間である事が影響しているのかもしれない。

953朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 19:41:22
>>952
「フヒヒ、なんだかすごく馴染み深い感じがします。」
そう言って涙音も微笑んだ。

「そういえば、愉子さんも大きくなりましたねー。
 って、年齢差を考えると大人なんですよね。」
そう言って頭を下げる

「まぁ確かに…ずっと鳩尾になにか当たったりそんな調子なのに
 何だかんだ、慣れちゃうものなんですよね」
少し複雑そうな表情で答える。
スタンドを手に入れてからというもの、彼女の不幸に対しての考えはだいぶマシになったようだ。

「見えるって…!」
質問を返そうとするより前に

 ズギュンッ
愉子のスタンド『パラダイス・イン・フレイム』が発現する。
その見た目は砲兵…涙音と似ている気がする。

「…ちょっとびっくりしましたけど、驚きました。」

ズギュン!!

「愉子さんも『スタンド』を発現させていたんですね。」
答えるように涙音もスタンドを発現させた。
その見た目は日本兵を思わせるライフルを所持したスタンド。
愉子のスタンドに比べてあとの時代、第二次世界大戦の頃を思わせる見た目だ。

「私のスタンドは『フォートレス・アンダー・シージ』と言います。
 なんか…似てますね。スタンドの見た目とかが」

954鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 20:29:32
>>953

今は素手の状態だが、『パラダイス・イン・フレイム』の能力は『火炎放射器』。
背中に装備された『タンク』が、それを物語っている。
この中には、文字通り『燃料』が収まるのだ。

「あなたのお母さんにも見えたから、涙音ちゃんも見えると思ったのよ。
 私の方は『最近』なんだけど……」

「友達に勧められて『願掛け』をしたら、見事に叶ったの!
 ふふふ、凄いでしょう?」

『力を得られる願掛け』がある。
そんな話を友人から聞かされた事が、愉子にとっての『きっかけ』だった。
実際は『ただの冗談』だったのだが、年齢の割に純真な所がある愉子は、
それを真に受けたばかりか、本当に『力』を手に入れてしまったのだ。

「『似た姿』になるのは『血筋』かしら……。
 こうして見比べてみると、なんとなく『納得』できる気がするもの」

『ライフル』、『機雷』、『火炎放射器』。
三体とも『兵器』を扱う『兵士』のヴィジョンなのは、そういう『血統』なのだろう。
本体である愉子自身も、銃撃戦や激しいアクションが出てくる映画を好む。

「笑美さんと並んで、三人で写真を撮ってみたいわね。
 『スタンド』を一緒に写せないのが残念だけれど」

この場に揃った『新旧の兵士』を眺めながら、そのように思うのだった。

955朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 21:10:32
>>954
「ああ、そうだったんですね…
 お母さんともあったんですか。
 それでスタンドのことを色々と…」

「願掛けっていうと…
 やっぱり愉子さんも誰かから能力をもらったんですか?」
涙音は少なくともそうであった。
彼女の様子を見る限り誰かからもらった。或いは能力を覚醒させたというのが近いかもしれない。

「そういえば、お母さんのスタンドもそんな感じでしたね。
 お母さんもああ見えてミリタリー映画が好きらしくって…
 私はもうちょっとコメディ系が好きですけど。」
こうしてみると、やはり家族だと感じられ、どこかほほえましい気分になってくる。

「スタンドを撮影できるカメラ!なんて便利なのがあったらいいんですけどね。
 あるいは、写真にスタンドを写せる能力か…」
といって並び立つ2つの兵士のスタンドを見て考えた。

「多分、私が一番最初にスタンドを手に入れたから、
 私が先輩ってことになりますね!」
その表情はどこか楽しげだ。
母の笑美は少なくとも自分が目覚めた当初は見てていなかったのは確認済みだ。

956鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 21:43:41
>>955

「あら?涙音ちゃんは誰かにもらったの?
 私は『信じたら出てきた』から……」

実のところ、『願掛けに効果があったかどうか』は不明だ。
あるいは『自己暗示』のせいとも考えられる。
『願掛けをすれば力が得られる』と、愉子自身が本気で信じていた事が、
『スタンドの発現』を促したのかもしれない。

「そういえば、涙音ちゃんは『スタンド使いの先輩』なのね。
 困る事があったら、『涙音先輩』を頼りにしようかしら?」

スタンドに関しては、まだまだ知らない事だらけだ。
おそらく涙音は様々な体験をしているのだろう。
確信に満ちた口ぶりで分かる。

「じゃあ、その時の為に『連絡先』を交換しましょう?
 学校の授業で分からない所があったら遠慮なく頼ってね。
 『愉子先生』が『家庭教師』をしてあげる」

『パラダイス・イン・フレイム』を解除し、バッグからスマホを取り出す。
その画面には『目覚まし時計アプリ』が表示されていた。
さっき涙音を叩き起こしたものと同じなのだが……。

957朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 22:16:53
>>956
「信じたら出てきた?
 …てことは元々あったのが覚醒したみたいな…」
少し考え事をしながら答える。

「あぁ、実を言うと私は誰かからもらった感じのスタンドなんです。
 多分、もらったみたいな認識だと思います。
 『刺青』を彫ってもらったことで手に入れたというか…」
涙音はとある人物に彫ってもらった刺青によって能力を獲得した。
今となってはその人はどこにいるかも分からないが…
少し言いづらそうなのは、女性が、見えづらい位置とはいえ刺青を入れてもらったことは流石に他人に話しづらいのだろう。

「まぁ先輩って言ってもそこまで戦ったりとかしたことないですけど…
 それならぜひともよろしくお願いします!」
彼女の様子はどこか嬉しそうだ。
先輩と言ってもらったのが理由だろうか。

「私はそこまで勉強がわからないわけじゃ…
 まぁ、いいか」
彼女の取り出したスマホを見て、涙音もスマホを取り出した。

「ぜひともお願いします。『愉子先生』」
といってアドレス交換を行う。

「…て、そのアプリ。さっきの音はそれですか?」

958鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/02(土) 23:01:26
>>957

「『人それぞれ』あるのねぇ……。笑美さんも違うのかしら?」

(い、『刺青』ですって!?刺青って、あの刺青!?涙音ちゃんが!?)

『涙音が刺青を入れた』というのは、かなり衝撃的な告白だった。
そういうものには『不良』のイメージがあったからだ。
しかし、昔は笑美も荒れていたような話を、『実家』で小耳に挟んだ事もある。
それを考えると、これも『血筋』なのかもしれない。
他でもない愉子だって、キレると『汚い言葉』を口走ってしまうのだから。

「あらあら――――『バレちゃった』」

今は相手が身内だと分かったので、さほど動揺はしない。
コツンと頭を叩く仕草をしながら、ペロッと舌を出す。
こうした子供っぽい部分も『純真さ』の表れだろうか。

「でも、公園で居眠りするのは危ないわ。
 誰が来るか分からないんだから。
 今回は『鳩尾』だけで済んだけど、次からは気を付けなさいね」

(ふぅ……本当に何事もなくて良かったわ……)

そして、お互いの連絡先交換も無事に完了した。

「気を取り直して、一緒に『お茶』でもいかが?
 涙音ちゃんと久し振りに会えたから、色々お話したいの」

「ほら――『ここ』なんてどう?」

スマホを操作し、『カフェの写真』を表示させる。
どうやら近くにあるらしい。
以前、笑美と一緒に行った店だ。

959朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2024/03/02(土) 23:29:05
>>958
「お母さんはたしか…
 誰かと、名前は忘れましたけど…相談したら能力が手に入った
 というふうなことを言ってましたね。」
能力を得る方法は人それぞれのようにも思えるような話だ。
涙音にとってもどこか興味深い気がする。

「あー、やっぱり…ちょっとびっくりしました。
 …それについてはすみません。
 なんというか今日は暖かくてつい…」
どこか恥ずかしそうに涙音は答える。
こうして落ち着いて眠ってしまうのも、自分が比較的落ち着いてきたからだろうか。

「これからも気をつけていきますよ。
 警戒は怠ってないつもりです!
 まぁいざというときにはスタンドがありますし。」
といって、自分のスタンドを指さした。

「ちょうどいいですね。私も色々お話がしたいところでした。
 今何をしてるのかなーとか。」
といって嬉しそうに手を叩く。

スマホを覗き込むと、そこにあるのはお洒落なカフェである。
「おー、いいですね。おしゃれなお店です。
 ぜひ、行きましょう。」
と言って微笑んだ。
愉子に合わせて歩き出すことだろう。

「こういうところだと、ミルクティーとかですかね。
 ヨーグルトケーキ…なんてものあるんですねー。」
どこか楽しみそうな様子であった。

960鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/03/03(日) 19:14:14
>>959

(眠っていたらスタンドも使えないでしょうに…………)

そんな風に思ったが、注意ばかりしていて、
うるさい従叔母(いとこおば)だと思われたくない。
心の中だけに留め、口に出すのは止めておこう。
こうした些細なストレスの積み重ねが、
理解しがたいタイミングでキレる要因になっているのだが。

「私は清月学園の『大学部』に通っているのよ。
 涙音ちゃんと同じ学校という事になるわ」

「実家が用意してくれた進学先があったんだけど、
 一度くらいは一人暮らしもしてみたかったから……」

「この町には笑美さん達もいるから、何かあった時には相談できるでしょう?
 だから、両親も許してくれたの」

実家では『箱入り娘』で在る事に徹し、
上手く『自己主張』できなかった愉子にとって、
『大学進学』は『自分の殻を破るチャンス』だった。
この機会を逃せば、二度と変わる事は出来ないだろう。
そうした『一大決心』を経て、実家が用意した進学先を断り、
ここ『星見町』にやって来たのだ。
選んだ理由は『朱鷺宮家』が暮らしているから。
『同じ町に親族がいるから安心』という根拠があったからこそ、
両親を説得できたと言ってもいい。

「それならケーキとミルクティーのセットを頼みましょうね」

       「フヒヒ、愉しみだわ」

年の近い従姪(いとこめい)と従叔母(いとこおば)。
知らない人間が見たら、あたかも姉妹のように思えただろう。
少しばかり複雑な親類である二人は、共に肩を並べて歩くのだった。

961呉羽萌『バッド・アイデア』:2024/03/04(月) 17:57:14


「ちゅか、ちゅか〜!!」


黒地をベースに緑とピンク色のスリートーンカラーの髪色に、
パンキッシュな意匠が施された制服に身を纏った
派手な容貌の女子高生が、
公園のベンチに腰掛け『お弁当』を食べている。


「くっそ寒いじゃんかぁ〜〜ッ!
 てか、キザシちゃん料理上手すぎじゃねぇー?
 この豆腐ハンバーグとか絶品なんですけどぉー?
 誰かに食べさせてあげたいんですけどー?」

962『ザ・モーニングマウンテン』:2024/03/13(水) 11:48:16
(※これより、『ザ・モーニングマウンテン』にて『朝山』『木崎』コンビにて活動する際の
名前として活動させて頂きます。仮に交流して下さるPCが一対一でどちらかに接する際は
要所で柔軟に対応させて頂きます)

 【対応してくださる方々へ】

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1655987686/319

「さーて! 木崎くん! とりあえず、この『海浜公園』の清掃を
二人で頑張るっス! 本当だったら、何時も悪の首領メンバーのムーさん
エッ子先輩、のり先輩も来てくれる筈だったスけど。今日はどうも定期テストが
近いようだから残念無念で二人だけっス! また暇が出来たら紹介するっス!」

 元気な少女の言葉に、和やかな空気を纏いつつ少しだけ十字の絆創膏が貼られた額を
撫でて少し年下の少年が呟く。

 「…………清掃活動……ぼくの魔法使いに、関係あるかな?」

「勿論っスよ! 掃除をすれば身も心も良い事したなーって気持ちになるし
こー言う天気の良い日は人と会える可能性もあるっス! 何より、魔法(スタンド)使いって
色々出歩いてるだけでも偶々ばったり他人だったり知り合いでも鉢合わせる事が
実は多いんっスよ、ここだけの話っスよ!」

 「へー……」

 木崎君は、ちょっと納得してるか不明ながらも頷いたっス!

とにかく、今日は掃除っス! 海浜公園のゴミと言うゴミを拾い集める為に
ゴミ袋もいっぱい持ってきて、自分も木崎君も竹ぼうき持ってるっス!

やっぱり、魔法使いに箒は欠かせないっスもんね!
 
 さーさー悪の活動及び魔法使いの修行っス!

963一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/03/13(水) 19:54:27
>>962
「あっ! 朝山さんだー! お久しぶりです!」

ゴミ拾いをしていると遠くから朝山を呼ぶ声がする。
それは『アルモニカ』事件で共闘した一抹のものだった。
黒い何かが入ったビニール袋をスタンドに持たせて朝山に駆け寄ってきた。

「ゴミ拾いなんて偉いじゃないですか! それに元気そう!」

久しぶりの戦友に会えて嬉しいのか距離が近い。
一緒に居る木崎が気になるのかチラチラと見ているが引っ込み思案なので話しかけられないようだ。

964『ザ・モーニングマウンテン』:2024/03/14(木) 11:33:23
>>963(レス遅れ失礼しました)

「おーっ!! これは、我が盟友の『いちまっつん』じゃないっスか!
本当に本当の久しぶりっス。元気そうで、こっちこそ安心したっスよ!!
 なんか色々と魔物の所為で大変だったらしいじゃないっスか!」

 「あ! 木崎君、こっちはいちまっつんで、私と同じスタンド使い仲間で
以前は凶悪な敵とも一緒に戦った仲間なんっスよ!
 いちまっつん! こっちは、木崎君っス! いちおースタンド見えるけど
スタンドは出せないんっス」

 
元気よく朝山はペラペラと笑顔で隣の少年を指して全身で色々と感情を
表現しつつ紹介する。

 「……うん。ぼく、木崎 ゆだね」 「よろしくね」

 少し、ぼんやりとした感じの少年。額に十字の絆創膏を張ってるのが特徴だ。

竹ぼうきを持たない手で握手をするためか片手を差し出す。

 「……君も、朝山さんと同じ、仲間なんだ」

 「……どう言う、力を使えるの? 朝山さん見たいに強そうな人の形?」

965一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/03/14(木) 17:14:21
>>964
「夏のクリスマスの件は私の不手際なのに助けていただいてありが
 とうございます…」

今でも思い返すと少し気持ちが沈む出来事だったが最近は少しマシになった方だ。
しかし、かつてに戦友と久しぶり会えたことで沈んだ気持ちが上向きになってきた。

「スタンドが見えるのにスタンドは出せない…?
 じゃあ、木崎さんは袋を持ったスタンドが見えてるのかな」

一抹の隣に佇む十字架の意匠を各部に持つ筋肉質な人型のスタンド
が木崎に手を振る。
明らかに近距離パワー型だがスタンド使いではない木崎にそれ以上のことは分からないだろう。

「私の『ディヴァイン・インダルジェンス』は近距離パワー型で
 かなり器用なスタンドですね。
 そして、滅多に居ない『精神干渉型』の能力を持ちます」

「既に二度成長して第二のスタンド能力も使えますよ。
 能力は『悪感情』の『鎮静』とさらに深い精神の『鎮静』」

「隠し武器も有って…えいっ!」

『ディヴァイン・インダルジェンス』の両手の甲から刃が飛び出した。
初見であれば知らずに串刺しにされそうな刃が引っ込んでいく。

「今のが『慈悲の刃』。『無痛』の斬撃を得意とする切り札。
 今みたいに突然生やして串刺しにしたり斬るのが主な役割です」

「戦闘向けのスタンドかと言われると怪しいですけど十人以上は
 『慈悲の刃』で斬ってます!」

スタンド使いは能力を隠すものだが一抹はそういった意識が希薄らしく自分のスタンドについて全て語った。
見た目と裏腹に好戦的なのか相当な数の修羅場を経験しているらしい。

966『ザ・モーニングマウンテン』:2024/03/15(金) 18:52:52
>>965(レス遅れ失礼しました)

一抹のスタンドの振る舞い、名前。必要な『召喚』に対するものは
それとなく強請る必要もなく開示してくれた。

 ――だが、この悪の首領はそれ位じゃ満足しないっスよ!!

「うわーーー! いちまっつんは、十人ぐらい、もうバッタバッタと
なぎ倒してる経験があるんっスね! 木崎君、私たちも負けてられないっスよ」

『ディヴァイン・インダルジェンス』の振る舞いに、大きくリアクションをする
朝山に対して、ゆったりと弛んだ笑みと共に眉を軽くハの字に変えつつ
木崎は告げる。

 「うーん……そこは勝つ気は、ぼくには無いかな。
えっと、いちまっつ君? ぼくの事は木崎って呼び捨てで良いよ……同じ歳ぐらいだし」

「スタンド、見せてくれて有難う。すごく、強そうだね。
ぼくね、お母さんを見つけるのに、お金を稼いでいて。それで朝山さんに
手伝ってもらってる最中なんだ。初対面で、図々しいと思うけど。
 いいバイトとか、お手伝いって知ってる?」

 木崎は、魔法使いの件はぼかしつつも、真実を告げる。
実際、彼は自分の母親を探す為に魔法(スタンド)使いになろうとしてる。
 そして、その過程でお金は大事だ。何をするにも元手が社会では必要なのだ。

967鷲見 健治『2NDハンド・ファイア』:2024/03/15(金) 20:08:11
>>966
「私は毎年のように夏頃になると命の危機に…
 木崎くんは私みたいなスタンド使いになっちゃ駄目ですよ!」

自分のスタンドのネタバラシをするなどスタンド使いとして0点な振る舞いだが一抹は生き延びている。
単にしぶといだけなのか? それとも本当に修羅場を生き残る力量の持ち主なのか? それを知るのは音仙だけである。

「木崎くんもお母さんがいないの? お金…お金か…」

「そうだ! 小林 丈って人を探して欲しいです!
 私の義兄…? 血の繋がりも無いし、家族でもないけど大切な人!」

ポケットからメモ用紙を取り出しペンをスタンドに渡すと何かを書かせ始めた。
ほんの少しすると清月の制服をバンカラマントのように着こなす風変わりな男の絵が書き上がる。

「私のスタンドは精密動作性が異様に高いから写真の真似事もでき
 るのです!」

「この男性を探してくれるなら…『70万』有るけど幾ら欲しい…?」

人探しにお金を出そうにも相場が分からないので朝山さんと木崎くんに欲しい額を聞く。
『10万』程度は二人に出せるが足りないようなら最大で『40万』は出しても良いかもしれない。

968『ザ・モーニングマウンテン』:2024/03/15(金) 20:53:26
>>967

>この男性を探してくれるなら…『70万』有るけど幾ら欲しい…?

「ぼく、お金はそりゃ、いっぱい欲しいけど。人探しでそんなに
いっぱいは貰えないよ。見つけれたとして一万程度で良いよ。ね? 朝山さん」

「そうっスね! 小林先輩については、私も今度小角っちが風邪治ったら
探すの手伝って貰おうって思ってるし。いちまっつんも吉報は大船に
乗った気持ちで待っていて欲しいっスよ!!」
 
 朝山も、木崎も、そこまで金銭欲が高い方では無い。
沢山あればいいなーっと朝山は考えるが、基本的に自分の力あるスタンドを
悪用して名声なり何かを得ようと考えない性質だし。木崎は木崎で心中の
思考は読めないものの、堅実な動きを重視してる感じがある。

見つけれたら、小林の事は見つけると約束をしつつ、木崎は更に言葉を続ける。

「あと、ぼくね。お金も大事だけど、他にちょっと探してるのあるんだ。
『蝋燭』なんだ。朝山さんは、仏壇の良ければ持ってくるって言うけど。
出来れば、特別な感じのが、ぼくは欲しいなって思うんだ……」

 『小道具』 魔法によって作成された物品。

他の競争する二人が、いま何処まで成果を上げてるか分からないが
出来る限り、質の高いものを揃えるべきだ。木崎は朝山のスタンドを知り
朝山の体験談や友人から、魔法(スタンド)使いは彼女と連れ立って散策
していれば、今のように『呪文(スタンド名)』『詠唱内容』を獲得するのは
左程難しくないと思っている。

 なら、散策して量を稼ぐより。じっくり質を高めるべきだ。
それも、なるべく。難しい入手経路にチャレンジした方が良いだろう。

 (ハート君も、テレビの中では難しい事に挑戦してた。
…………お母さん)

 「もし、知ってたら教えてね……ぼく、頑張って人探しもするから……」

969一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/03/15(金) 22:28:44
>>968
「よし! じゃあ、前金として『1万』あげます!」

懐から出したボロボロの手作り財布から『1万』を取り出して木崎くんに差し出す。
まぁ、順調に行けばまた年内に酷い目に遭ってなんだかんだでお金が手に入るからだろう。

「『蝋燭』? お義父さんが古い木蝋を持ってるけど要るかな?
 古い物を集めるのが大好きな人だから変わった物がありますよ!」

「それとスタンドが見えるなら多くのスタンド使いと出会って様々
 スタンドを見て、知って、感じると良いです」

「知り合いにスタンド使いが居るのですが連絡先を教えましょうか?」

長くスタンド使いをしているだけあってスタンド使いの知り合いなら沢山いる。
『アリーナ』方面への連絡先は2つ知っているが街の裏側を知るにはまだ早すぎる。

970『ザ・モーニングマウンテン』:2024/03/15(金) 23:44:15
>>969(ご協力感謝します。宜しければ、次で〆させて頂きます)

>よし! じゃあ、前金として『1万』あげます!

>『蝋燭』? お義父さんが古い木蝋を持ってるけど要るかな?

「……いいの? いちまっつ君。
……うん、ありがとう。小林先輩って人のこと、頑張って探してみるよ。
 それと、『木蝋』も、譲ってくれるなら、嬉しいな」

魔術的な蝋燭と言えば、ハンズ・オブ・グローリーだとか
目にした事ないが、蝋燭を発現出来るスタンド使いだとか居れば入手したいが
前者も後者も限りなく得るのは難しい。年代物の木蝋であれば問題なく
魔術的な代物として実用的だし、木崎としても有難いのだ。

 >知り合いにスタンド使いが居るのですが連絡先を教えましょうか?

「そりゃ、いいアイデアっス! 木崎くん、こりゃー是非
紹介して貰うっきゃないっスよ!! 流石は、我が悪の軍団の優秀なる先兵っス」

調子の良い事をのたまう悪の首領に、僅かに苦みを交えつつ笑みを崩さない
少年は、一抹に深く頭を下げた。

 「うん、お願い……ぼく、今はなにも返せないけど。
いちまっつ君に絶対いつか借りを返すよ。もし、ぼくが無理そうだったら
朝山さん、代わりに、お願いしてもいいかな?」

魔法(スタンド)使いになれるかは、三分の一だ。
 なれなくて死ぬ事はない。けど、なれた方が恩も返せるし一抹に対し
木崎も同じ仲間として共通意識も抱えられる。

 魔法使いになるのは、母の方が一番大事なものの、なろうとする
理由が増えた。それは、決して悪い事ではない。

971一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/03/16(土) 00:23:18
>>970
「ちょっと待っててね。『インダルジェンス』で良い感じにして
 お義父さんから木蝋を貰って来るから…」

そう言った一抹は何処かへと走り出して行ってしまった。
しばらくすると木蝋4つを手に一抹が帰ってきた。
どうやら『インダルジェンス』で『良い感じ』にしてきたらしい。

「はい、木蝋4本です。かなり古いから事前に使えるか試してね!」

「あとは、ひま…違う、手が空いてそうなスタンド使いの知り合い
 は宗像さん、朱鷺宮さんぐらいか…」

「夕立先輩はブラコンで忙しいだろうし、夢見ヶ崎先輩は圏内に
 居るか怪しいし、風歌さんは生きてるかどうか…」

「北落は…『最中派』だし…」

宗像さんは歴戦のスタンド使いだし、朱鷺宮さんは柔らかい雰囲気の人だったから大丈夫なはずだ。
宗像さん朱鷺宮さんの連絡先をメモ用紙に書いて木崎くんに託す。

「あっ! 宗像さんの能力は派手だし凄いけど誰か死ぬから見れない
 かもしれない…」

「あの能力を受けて生還できたら凄いよ…」

宗像という人物の見敵必殺なスタンド能力を見る機会があった一抹も闇が深い気がしなくもない。
他のスタンド使いが一抹のようにスタンド能力の全貌を見せてくれるかは朝山と木崎次第だ。

972『ザ・モーニングマウンテン』:2024/03/16(土) 19:02:16
>>971(ご協力有難うございました! これにて〆ます)

 >宗像さん、朱鷺宮さんぐらいか

「あ! いちまっつんも、ときみーと知り合いなんっスね!
この前、小石川おねーさんや他のみんなで、夏の事件で
お疲れ様パーティでも色々と盛り上がったんスよ!
 宗像って人は、あんまり良く知らないっスね。これを機に
仲良くなる為に、さっそく後で電話してみるっス!」

「てっちゃん(鉄)先輩は、確かに今は忙しそうっスよね。
まぁ、いちまっつんに頼りすぎるのも悪いっスから、これだけ手伝ってくれただけで
十分っス! 小林先輩の事は吉報を楽しみにしていて欲しいっスよ!」

 朝山としては、一抹から能力も披露して貰ったし『木蝋』も貰えた。
あとは残り五人の使い手と、そして召喚の為に何か特別な衣装も欲しいところだ。
 そこは、実力と色々バイトを募集するなり……これから頑張るべきだろう。


「うん……いちまっつ君、色々と有難う。
 今日は、もう行くけど。また今度、時間があったら遊ぼう」

 木崎も、そう緩んだ笑顔を崩さないままに一抹に礼を告げて
朝山と立ち去る。……最後まで、朝山も一抹も訂正しないので
木崎には、一抹の正しい名前を覚えないままだったのは蛇足と言うべきか。

 とは言え、悪の首領と少年の道中は始まったばかりだ……。

973一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2024/03/16(土) 19:31:51
>>972
「えぇ…そ、そんなにパーティを開ける程にスタンド使いが…?
 もしかして五十人規模のスタンド使いに私は救われた…?」

お婆さんの家で三人。学生寮で自分を止めに来ただけでも四人。
クリスマス決戦で六人。そして、『アリーナ』の人達。
今更ながら本当に自分は多くの人達に救われたと思う。

「うん! またね! ぼくは友達がいないから何時でも大丈夫!」

朝山さんと木崎くんに手を振り終えると一抹は再び『陸のワカメ』集めに戻った。
こうしてちょっとズレた名前で一抹を呼ぶ友達が増えたのだった。

974甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/04/20(土) 08:29:32
すっかり暖かくなってきた時期
公園にも色とりどり、種々雑多な花々が咲いている
そんな花の中でも地味な存在…タンポポ

そのタンポポを何故か引き抜いて集めるあま公

975甘城天音『ビター・スウィート・シンフォニー』:2024/04/21(日) 20:05:21
>>974
後日

松本「へぇ〜これがたんぽぽコーヒーかぁ」

たんぽぽの根を水に晒しアク抜きして
更にそれを切り刻み天日干しをする
そして焙煎してドリップする事でコーヒーの代用品が出来上がる

松本「へぇ〜、やっぱりコーヒーとは違うけど
   これはこれで美味いもんだ」

コーヒーよりも苦みは少なく
ちょっと香ばしく甘味も感じるそんな味だ
コーヒーというが、どちらかと言うと麦茶に近い

角砂糖を2粒程とミルクを入れて飲むあま公

あま「……」
松本「おっ、気に入ったかい?」

阿部マリア「けどコーヒーじゃありませんわよね?」

あま松本「「…………」」

マリア「あら、そろそろ刺身にたんぽぽを乗せるバイトの時間ですわ!
    ほら貴様ら、さっさと行きますわよ!!!」


         ____
       /      \
     /  _ノ  ヽ、_  \
    /  o゚⌒   ⌒゚o  \   今日からまた、
    |     (__人__)    |  刺身の上にタンポポのせる仕事が始まったお…
    \     ` ⌒´     /
              終
            制作・著作
            ━━━━━
             ⓃⒽⓀ

976鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/04(土) 17:48:11

自然公園に近い『河原』。
今は夕方で、水面が夕日を反射して煌めいている。
辺りは閑散としており、人の気配はない。

     ザッ ザッ ザッ…………

そこに歩いてくる『ロングウェーブヘア』の優雅な人影。
ボリュームのあるフリルをあしらったブラウスに、
ドレープが効いたスカートを身に纏い、パールのネックレスが胸元を飾る。
まさに『お嬢様大学生』という形容が当てはまりそうな容貌だった。

          キョロキョロキョロ

『エルメス』のバッグを手にして、注意深く周囲を見渡す。
これから行おうとしている事は『秘密の愉しみ』なのだ。
誰かに見られてしまうと少々都合が悪い。

             「フヒヒヒヒィ」

外見に似合わない不気味な笑い声を漏らしながら、
バッグを開けて『中の物』を引っ張り出す。
それはコンパクトに折り畳まれた金属製の品物だった。
高級バッグから出てくる物にしては、あまり似つかわしくないように見える。

977りん『フューネラル・リース』:2024/05/05(日) 06:57:33
>>976
今は5月、丁度鈴蘭が見ごろの時期だ
ついこの間、5月1日は鈴蘭の日だった
ここにもそこら辺に鈴蘭の花が咲いている

              屋根よーりーたーかーい

そして今日は5月5日、子供の日

こんな日は
頭 に 鈴 蘭 が 咲 い た 少 女
が歩いていても何の不思議も無い
星見町じゃそれが常識なんだよ

                  こいのーぼーりー

その鈴蘭の擬人化のような少女が
鯉のぼりセットを持って自宅である自然公園へ帰ろうと
この河原を通りかかる

鵲にはまだ気付いていないようだがどうする?

978鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/05(日) 10:05:03
>>976

『進学』の為に引っ越してきたばかりの鵲愉子は、
まだ星見町について詳しく知らない。
もし気付いていれば、擬人化された鈴蘭が歩いている光景に驚愕しただろう。
だが、確認を済ませた事で安心して警戒が緩んでしまい、
りんの接近を許す結果となっていた。

    ガチャ

          ガチャ

                ガチャ

完全に油断したまま、金属製の何かを組み立て始めた。
それはチタン製の『焚き火台』だ。
軽量で持ち運びに便利なソロ用である。

(人の目は気になるけど、この『火遊び』は止められないわ……!)

        「〜〜〜〜♪」

上機嫌な様子で鼻歌を唄いながら、
木の枝や松ぼっくりを拾い集め、次々と焚き火台に投入していく。
現在『19歳』の鵲は、
『20歳』という節目を目前に控え、密かに思い悩んでいた。
『鵲家』の一員としての立場から、
あまり『自己主張』をしてこなかった自分を反省し、
『心の殻』を破りたいと。

   思い付いたのは『火と戯れる事』――――。

       「フヒヒッ」

                 ゴソッ

愉悦の笑いを漏らしながら、バッグから取り出した『着火剤』をセットする。

            バチッ!

手にした『ファイヤースターター』から火花が散った。
『フリント式』と呼ばれ、回転するヤスリで発火石を擦る事で着火する。
ライターと似た構造のアウトドアギアで、『お気に入り』のアイテムだ。

979りん『フューネラル・リース』:2024/05/05(日) 14:40:49
>>978
油断からかりんの接近を許してしまう鵲
そう、りんはすぐ近くまで来ていたいたのだ

河原であれば、
万が一ボヤ騒ぎになってもすぐに消火は可能
安全も保障されている事から
りんも特にその行為を注意する事もなく近付いていた

そして、すぐ背後を通りかかる

「こんにちは〜」

何気なく声をかけて通り過ぎる
ただそれだけのはず…だった!

パチッ

   チリチリ

何かが、焼ける音がする

りんはまだ気付いていないが、
鯉のぼりが小さな火を灯しながら煙を立ち昇らせている

めっちゃ近い位置に居た事で偶然小さい火花が飛んできて燃え移ったのだ!
普通こんな事は起きないだろうが何か凄い低確率の悪運を引いてこうなったんだよ

だが不幸中の幸いだ
火花が燃え移ったのが鈴蘭だったらもっと悲惨な事になっていた
草タイプに炎タイプは効果抜群だから

980鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/05(日) 15:45:43
>>979

多分たまたま景気良く火花が散ったとか、この日の風向きの影響とか、
そんな感じの原因なのだろう。
親族である『朱鷺宮涙音』も、
鳩尾に何かが飛んでくるというピンポイントな不運に襲われているのだ。
それを考えれば、鯉のぼりに火が燃え移る事だって、
十分に有り得る事故かもしれない。

     ビ ク ッ !

           「え、ええ――――こんにちは」

                ニコォ〜〜

表面上は優雅に微笑み、平静を装って挨拶するが、内心では激しく動揺していた。

(み、『見られた』……!こんな近くに『子供』がいたなんて……!
 うぅ……何とかして誤魔化さないと……!
 そ、そうよ!『友達』を待っている事にすれば……!
 『一人焚き火』よりは自然に見えるはず……!
 ついでに『友達の影響で始めてみました』みたいに振る舞っておくのよ……!
 さり気なく周りを見て『友達を捜しているフリ』をして……)

「…………まだ来ないのかしら」

以上のような発想に至り、わざとらしく呟きながら周囲を見渡す。
りんの手元から煙が上がっている事に気付いたのは、その時だった。
見間違いかと思って二度見するが、やはり燃えているではないか。

    「『火』!『火』が!『火』が点いてる!!」

鯉のぼりを指差し、りんに伝えようとする。
近くには水が豊富にあるので、消火活動は簡単なはずだ。
不測の事態が起こらなければ…………。

         パチッ 

            パチ パチ パチ…………

ちなみに焚き火台も心地良い音を立てて燃えているが、
こちらは消す必要はないだろう。

981りん『フューネラル・リース』:2024/05/06(月) 18:01:31
>>980
「え?」

パチ
パチパチパチパチ

何か拍手でもするかのような音が聞こえる
その音がする方へと顔を向けると…

「あああっ!鯉のぼりが焼き魚に!!!」

幸いにも目と鼻の先にはたっぷりの流水が
鯉のぼりをそこに投げ込めばいい話なのだが…

バシャーーーン

勢い余って自分毎川へダイブ!


               ゴボボボボ

982鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/06(月) 18:53:53
>>981

「こ、鯉は淡水魚だから臭み消しが必要なんじゃない?
 料理酒とか……じゃなくて、早く消さないと!」

まぁ、川に突っ込めば解決するので大丈夫だろう。
そう思って見守っていた。
しかし、りんの行動は愉子の想定を超えていた!

  「えっ――――――」

           「えええぇぇッ!?」

いきなり川に飛び込むりんに驚愕!
お陰で火は消えているが、今度は人命救助が必要だ。
もし水深が深ければ、服が水を吸って溺れてしまうかもしれない。

    「――――『パラダイス・イン・フレイム』!!」

            ズ ギ ュ ン ッ

愉子の傍らに『タンク』を背負った人型が発現する。
その姿は『近代ヨーロッパの砲兵』を彷彿とさせた。
『朱鷺宮親子』を含めて『鵲家』の血を引く人間は、
『軍事』に関係するスタンドを持つ事が多いらしい。

       バッシャアァン!!

りんを追い掛けるようにして、『パラダイス・イン・フレイム』が水中にダイブ!
小さな身体を両手で掴んで、素早く陸まで引っ張り上げる(パス精CBC)。
とりあえず焚き火の近くに連れて行って乾かそう。

983りん『フューネラル・リース』:2024/05/07(火) 17:48:00
>>982
綺麗な水で育てられた養殖物なら臭みも少ないだろう
鯉のぼりは養殖物かは分からないが
人が作った物なら養殖物かもしれない

いや、そんな事より


『パラダイス・イン・フレイム』が水中にいる子供の体を掴んだ
気を失いながらもその手には鯉のぼりを死守している!
何故そこまで鯉のぼりを守ろうとするのか…

「う…うぅ…」

そして無意識の行動なのか
自身を抱える『パラダイス・イン・フレイム』の腕を条件反射で掴む
・・・・
スタンドである『パラダイス・イン・フレイム』の腕を

984鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/07(火) 18:59:22
>>983

『スタンドに触れられるのはスタンドだけ』。
その程度の知識なら愉子にもある。
こちらから触れる事は出来ても、向こうから触れる事は出来ないはずだった。

    「掴めた!このまま引っ張り上げて――――」

            ガ シ ッ

         「 は ! ? 」

次の瞬間、再度の驚愕に目を見開く。
まさか『掴み返される』とは……!!
もし、りんの『頭の花』を良く確認していれば、
もう少し違った反応になっていたかもしれない。
『火遊び』を目撃された事による動揺や、
『鯉のぼり炎上』に気を取られてしまい、
そこまで注意が回らなかった。
しかし、今は救出を優先すべき場面だろう。

        ザバァッ!

りんを抱えた『パラダイス・イン・フレイム』が川から上がる。

「――――だ、大丈夫!?」

りんを焚き火の近くに座らせ、スタンドの手で『エルメスのバッグ』に触れる。

           ズズズズズ

バッグの内部に『見えない基部』が形成され、
鉄パイプに似た質感の『ノズル』が伸びていく。

  ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!

そこから放射されるのは『1700度』に達する『スタンド火炎』。
すなわち『火炎放射器』だ!!
上向きに『ノズル』が伸びている『エルメスの火炎放射器』を、
りんの側に置いておく。

「『火』は多い方が乾くのは早いはず……」

『燃料供給』していない状態なので、今はガスバーナー並の勢いしかないが、
濡れた身体を乾かすには丁度いいだろう。

985りん『フューネラル・リース』:2024/05/08(水) 15:01:00
>>984
焚火とスタンドの炎で乾かされるりん
夕焼けと炎に照らされる白い鈴蘭がゆらゆら揺らめいている

『パラダイス・イン・フレイム』の『火炎放射器』から放射される炎
通常物質には燃え移らないのだが
りんはその体質上、触れれば燃え移るかもしれない
取り扱いには注意が必要だ

「ん…」

少し乾かしていると目が覚めたりん

「あれ?鯉のぼりは?」

すぐそこにある鯉のぼりを探して手元を動かす
そこには火炎放射器と化したエルメスのバッグが…

986鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/08(水) 17:22:18
>>985

りんの身体がスタンドに干渉できるなら、
『スタンド火炎』が燃え移る可能性は大いに有り得そうだ。

(良かった、目が覚めたみたいで)

ようやく落ち着いたところで『鈴蘭』を観察する余裕が出てきた。
変わったアクセサリーにも見えるが、妙にリアルな感じがする。
まさか本物の訳はないと思いつつ、作り物にも見えない。
しかも『パラダイス・イン・フレイム』に触れたのだ。
きっと何らかのスタンド能力ではないだろう。

(…………気になって仕方がないわ)

『鈴蘭』の事を尋ねようとするが、
りんの手が『火炎放射器』に近付こうとしているのが見えた。

     「『一時停止』」

               ピタ………………

『火炎』を出す為には『放射』を意識する必要がある。
逆に言えば、意識しなくなれば止まるという事だ。
よって、一時的に『放射』を中断するのが手っ取り早い。

「あなたも『スタンド』を持っているのよね?
 今、私の能力で『火』を増やして乾かしていたの。
 あまり近付くと危ないから、もう少し離れていた方がいいわ」

        スッ

「私の不注意で焦がしてしまって御免なさいね」

『パラダイス・イン・フレイム』で鯉のぼりを拾い、りんに差し出す。
焼き魚という程ではないにせよ、ちょっと焦げ目が付いているかもしれない。
どちらかと言うと軽く炙った感じだろうか。

「それにしても『火花が飛んで燃え移る』なんて、まるで『涙音ちゃん』みたい…………」

低確率の不運に『従姪』を重ね合わせ、つい独り言を呟いてしまう。

987りん『フューネラル・リース』:2024/05/08(水) 20:56:29
>>986
「あぁ、鯉太郎
 日焼け止めを塗っておけばよかったね…」

一家の大黒柱と思われる黒鯉の鯉太郎

「あっ、でも元から黒いし誤差だよね!」

問題はそこか!?

ちなみに
母親は鯉子、息子は鯉次郎、娘はジェニファーと言う
鯉次郎は長男なのに何で次郎なのかというと
実は彼には兄が居たのだが鯉こくにされて食われてしまったからだ


「あ、あのおねえさんが助けてくれて…」
「あっ…」

そこでようやく『パラダイス・イン・フレイム』に気付いたりん

「かっこいい!
 おねえさんスタンド使いですか?」

>それにしても『火花が飛んで燃え移る』なんて、まるで『涙音ちゃん』みたい…………

「涙音ちゃん?」

聞き覚えのある名前に反応したりん
ちょっと珍しい名前だしひょっとして同じ人か?

988鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/09(木) 10:47:21
>>987

鯉のぼり一家に秘められたドラマを知っていれば、
悲劇を乗り越えて逞しく生きる姿に、思わず涙をそそられていたかもしれない。

「そ、そうね。被害が少なくて何より……」

うっかり焦げてしまったが、元が黒いから目立たない。
まさに『不幸中の幸い』。
このような出来事に見舞われる機会は、愉子にとっては珍しくなかった。
従姉妹の笑美は『幸運』に恵まれ、従姪の涙音は『不運』に付き纏われている。
そして、愉子は『悪運』の強いタイプなのだ。

(……これも『血の繋がり』かしら)

「まだ慣れていないのだけれど、『スタンド使い』の一人よ。
 私の『パラダイス・イン・フレイム』は『火炎放射器』を持っているわ」

   ボォォォォォォォォォォォォォォォォッ

安全が確保できた事を見届けてから『放射』を再開する。

「あなた、涙音ちゃんを知っているの?」

意外な反応に興味を引かれ、反射的に問い返した。
鵲愉子は朱鷺宮涙音の親戚なので、どことなく似通った雰囲気が漂っている。
ただ、『従姉妹の子供』である涙音から見ると『五親等』であり、
注意深く観察しないと分からないだろう。

989りん『フューネラル・リース』:2024/05/09(木) 17:45:40
>>988
「お、おぉ」

   ボォォォォォォォォォォォォォォォォッ

『火炎放射器』から放射される炎を見て驚く

「あったかいねぇ〜♪」

燃え盛る炎に手をかざして暖を取るりん


>あなた、涙音ちゃんを知っているの?

「同じ人かは分からないけど、
 この前喫茶店で涙音ちゃんっていう子に会って」
「チーズケーキをくれたお礼に、その子におまもりをあげてぇ…」

>鵲愉子は朱鷺宮涙音の親戚なので、どことなく似通った雰囲気が漂っている。

趣味は人間観察です

「あ、おねえさんちょっと涙音ちゃんに似てるかも…」
「くしゅん」

そこまで言うと小さくくしゃみをするりん

990鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/09(木) 18:52:44
>>989

焚き火と火炎放射のダブルファイヤーが、りんの身体を乾かしていく。
気温が上がっているとはいえ、まだ寒暖の差が激しい時節だ。
我ながら、こういう時には便利な能力だと感じる。

「――――『似てる』…………?」

りんが口にした一言を耳にして、自分の予想が当たっていたらしい事を悟る。

「フヒヒッ、それも当然の事かもしれないわね。
 あなたが知っている涙音ちゃんは『朱鷺宮』っていう名字でしょう」

「私の名前は『鵲愉子』。
 きっと『親戚』だから似ているんでしょうね。
 少し難しいかもしれないけれど、『涙音ちゃんのお母さん』が、
 私の『従姉妹』に当たるのよ」

年が近いのは涙音の方なのだが、
『涙音の従姉妹』ではなく、その母親である『笑美の従姉妹』。
十人に聞いたら十人が間違えそうだ。
パッと見だけだと分かりにくく、あまり見かけない親族関係と言えるだろう。

「この町に引っ越してきたばかりで、知り合いも少なくて……。
 あなた、涙音ちゃんの友達みたいだし、私とも仲良くしてくれる?」

『パラダイス・イン・フレイム』が、
バッグの中から串と袋入りのマシュマロを出す。
串にマシュマロを刺すと、回しながら火で炙り始める。
だんだんと甘い匂いが香ってきた。

991りん『フューネラル・リース』:2024/05/10(金) 18:58:50
>>990
ブルッ
「うぅ、さむぅ〜…」

>少し難しいかもしれないけれど、『涙音ちゃんのお母さん』が、
>私の『従姉妹』に当たるのよ

「涙音ちゃんのお母さんの?」

御多分に漏れず、
りんもその年齢に惑わされる一人だった
ただ、珍しい親族関係ではあるが
そんなの人それぞれだし、根掘り葉掘り詮索する事じゃないだろう
気になると言えば気にはなるが

>この町に引っ越してきたばかりで、知り合いも少なくて……。
>あなた、涙音ちゃんの友達みたいだし、私とも仲良くしてくれる?

「うん!
 うちでよかったら…」

>串にマシュマロを刺すと、回しながら火で炙り始める。

「あぁ^〜
 マシュマロぉ〜」

目の前で炙られるマシュマロの甘い匂いに意識をかき乱されるりん
焼きマシュマロは簡単そうに見えて案外シビアだ
ちょっと炙っただけで結構すぐに焦げてしまう
技術が必要って程でもないだろうが、良い焼き加減を覚えるにはある程度の経験が必要になる

992鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/10(金) 19:54:54
>>991

ここで焦がしてしまったら、鯉太郎の二の舞いになってしまう。
近すぎず遠すぎない距離をキープして、慎重に火を通していく。
目指すは、こんがりキツネ色だ。

       ジュゥゥゥ…………

「フヒヒ、ありがとう。
 この町でスタンド使いの友達が出来るのは初めてよ」

涙音や笑美は親戚であり、
友達という表現が適切かどうかは微妙なところなので、
実質りんが第一号になるだろう。

          ソッ

「乾くまで少し掛かるでしょうし、一緒にやってみない?」

りんの反応を見て、マシュマロを何個か刺した串を手渡す。
種類は定番のプレーンだ。
バーベキュー用の大きなサイズでボリュームがある。

「…………そういえば名前を聞いていなかったわねぇ」

           クルクルクルクルクル

串を回しながら、無意識に『鈴蘭』の花に視線が向く。
朱鷺宮家と鵲家の親族関係よりも珍しい光景だ。
しかし、焼き加減の事を思い出し、またマシュマロに意識を戻した。

993りん『フューネラル・リース』:2024/05/11(土) 14:21:48
>>992
鯉太郎は元々黒いから軽傷で済んだが
真っ白なマシュマロが黒焦げになったら台無しだ

>乾くまで少し掛かるでしょうし、一緒にやってみない?

「良いの?ありがと〜」

にっこにこでマシュマロの刺さった串をもらう

「じゃあお返しに…」

そう言ってお返しを取り出すが

「あっ…」

川に濡れてびしゃびしゃの柏餅
さすがにこれをお返しにするわけにはいかない

そもそも、これは鈴蘭餡を包んだ鈴蘭柏餅なので
鵲が食べたら死ぬんだが、うっかりそれを失念していたりん
柏餅がびしょ濡れになっていたのはむしろラッキーなのか

「あ、でも焼き柏餅も美味しいかも!」

串に柏餅を刺して焼いてみようとするりん


>…………そういえば名前を聞いていなかったわねぇ

「りんだよぉ〜」

朗らかというか、のんきそうな間延びした顔と声をしている

994鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/11(土) 15:31:33
>>993

せっかくの柏餅を食べられなかったのは不幸だ。
しかし、毒物が混入されていたなら、それを口にしなかったのは幸運だろう。
危うく毒殺されかけていたが、『不幸中の幸い』で命拾いしたらしい。

「柏餅を焼いた事はないけれど、お餅を焼いて食べるのは自然だし……。
 そう言われてみると美味しいかもしれないわ」

串に刺さった柏餅とマシュマロ。
あまりお目にかかれない珍妙な組み合わせだ。
そうこうしている間に、こちらは焼き上がりつつあった。

「りん――『りんちゃん』ね。よろしく、りんちゃん」

キツネ色に焼けたマシュマロをかじる。
外側はカリッと内側はジュワッとした食感。
中々いい感じの仕上がりだ。

「ところで、りんちゃん……『それ』って本物……?」

頭の『鈴蘭』を見ながら、りんに問い掛ける。
『パラダイス・イン・フレイム』に触れていた事もあるし、
彼女自体がスタンドに近いのだろうか。
世の中そういうスタンドもあるのかもしれないと考えていた。

995りん『フューネラル・リース』:2024/05/11(土) 18:37:26
>>994
「今はこれしかないけど、
 美味しかったら今度作ってあげるよ
 
      鈴 蘭 焼 き 柏 餅 ♪」

りんのマシュマロを焼く手付きは中々手慣れたものだ
美味い具合に綺麗な焦げ目付けているが
一緒に焼いている柏餅はマシュマロとは違う
焼くのは別々にした方が良いかもしれない

>ところで、りんちゃん……『それ』って本物……?

「そうだよ〜
 えへへ、綺麗でしょ?」

ちょっと自慢気に笑いながら鈴蘭を揺らしている

996鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/11(土) 19:44:19
>>995

りんが放った衝撃的な一言に、思考が一瞬フリーズする。

      「――――――………………え?」

(ま、まさか『鈴蘭入り』……!?でも、鈴蘭って『猛毒』じゃあなかった……!?)

最初は聞き間違いかと思った。
しかし、こんなに堂々と言ってるのだから、おそらく間違いではないのだろう。
その気持ちは嬉しいが、だからといって食べる気にはなれない。

「あっ!そ、そろそろ出来たんじゃない?」

慌てて話を逸らしつつ、改めて鈴蘭の花を眺める。

(やっぱり本物……。頭から花が咲いてるなんて不思議な子ねぇ……)

スタンドが超常的なものである事を差し引いても風変わりだ。
いや、自分が知らないだけで、実は意外と多いのか……。
いずれにしても、まだまだ学ぶ事は多い。

「お友達になれたのだし、私の連絡先を教えてあげるわね。
 また今度、一緒にバーベキューしましょう」

とりあえず『学び』の第一歩だ。
ハイブランドのケースに収められたスマホを取り出す。
普通なら連絡先交換するのだが、りんのスマホは無事だろうか……?

997りん『フューネラル・リース』:2024/05/12(日) 16:03:49
>>996
良い感じにマシュマロが焼けてきた
表面は狐色に焼けて、甘い匂いが漂ってくる
だが柏餅はちょっと焼きが足りない

「いただきま〜す」

マシュマロを人齧りすると
カリッという音とともに甘いトロトロが口の中に流れ込んで来る

「あちっ」

甘くて美味いが、熱々の液体なので気を付けないと
舌を火傷してしまう
火傷した

>お友達になれたのだし、私の連絡先を教えてあげるわね。
>また今度、一緒にバーベキューしましょう

「バーベキューかぁ、良いねぇ
 今度は涙音ちゃんも誘ってバーベキューしようよ」

「あっ、柏餅焼けたみたい」

マシュマロとは違う、
柏と餡の匂い独特の匂いが漂ってくる

998鵲愉子『パラダイス・イン・フレイム』:2024/05/12(日) 16:38:45
>>997

りんに連絡先を教え、あちらからも受け取れるのであれば、聞いておく事にしよう。

「あらあら、それは楽しそうねぇ。
 涙音ちゃんのお母さん――笑美さんも誘ってみましょう」

マシュマロを齧りながら、りんの提案に賛同する。
鈴蘭さえ混入していなければ、至って平和なバーベキューになるだろう。
今後のレジャーの予定が増えるのは歓迎だ。

「そろそろ服も乾きそうで良かった。
 あのままだと風邪を引いていたんじゃあない?」

おそらく食べ終わる頃には、完全に乾いているはずだ。

(一応、さっきの事は私にも責任がある訳だし……)

川に飛び込んだのはりんだが、鯉のぼりが燃えた直接の原因は愉子だ。
それは不幸な事故だった。
しかし、同時に良い事もある。

「でも、そのお陰でりんちゃんと知り合えて、
 こうしてお話できたんだから、『不幸中の幸い』だわ」

もしかすると、これは鵲愉子の体質が招いた出会いだったのかもしれない……。

999りん『フューネラル・リース』:2024/05/13(月) 15:30:37
>>998
スマホの防水加工は完璧だ
どこも異常もなく滞りなく連絡先の交換は出来た
柏餅も防水加工にしておけばよかったのに、どうしてしなかったの?

「ふあぁ〜、あったかくなってきた」

暖かい焚火にアチアチのマシュマロ
服も乾いてきて体も心もぽっかぽかだ

「焼いた柏餅も良いねぇ〜」

柏餅も表面のカリッとしているがとても柔らかく
熱された餡は甘さが増して感じる
それに鈴蘭の味が良いアクセントになっている
今度みんなにも食べさせたいなぁとりんは思った

「うちも愉子と知り合えたから
 川に飛び込んで良かったよ〜、えへへ」

一歩間違ってたら大惨事だし笑い事ではないのだが


そろそろ夕日も沈み、本格的に夜が始まる時間
闇の中で灯される火はこう、原初的な何かを感じさせる
見ていると落ち着くというのもいれば、テンションが上がるのもいるだろう
そんな焚火を囲んで二人がどんな話をしたのかは、想像のお任せしよう


5月5日の主役なのに焼却処分されかけた上に
川にぶち込まれずぶ濡れなった哀れな鯉のぼり君の事も想像に任せよう


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