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【ミ】『ギャザリング・ガーデン』其の二

1『誰かさん』:2017/09/12(火) 01:53:18



願わくば 花の下にて 春死なむ その如月の 望月の頃

259『一斤染めの夢』:2019/01/18(金) 01:05:22
>>ALL

カレン:「タマキ、一緒に帰ろう」

タマキ:「……なの」

カレン:「え?」

タマキ:「嫌、なの……!」

その言葉にカレンはショックを受けたようだった。
静止、その表現が正しいリアクション。
言葉の意味が理解できないという感じで、だけどどこかそれに納得しているようでもあった。

タマキ:「カレンはまた、私を駅に連れて行くのだわ」

カレン:「な、なに言って……そんな……」

タマキ:「神様に誓えないのだわ。カレンは絶対に、絶対に……!」

するりとタマキが『コール・イット・ラヴ』の腕からするりと抜ける。
着地の勢いで服の間からずり落ちてきた本を掴む。
真っ白い白紙の本。
そこに『Sleeping On The Sidewalk』の文字が浮かぶ。

タマキ:「私は駅になんか行かないのだわ! 私はどこにも行かない! こんな島だって……こんな島にだって……ホントは……!」

空間が歪む。
CGを被せたように倉庫内の風景と何か別の風景が混ざり合っている。
倉庫内から別の建物内に変化し、また元に戻る。
ぐにゃりと倉庫の壁が歪み、そこから別の何かが見えた。
大きな看板だ。
そこに書かれた文字は―――星見駅

タマキ:「嫌! 嫌! 嫌!」

倉庫の壁に向かってタマキが走り出す。
変化していく空間。
今泉の側に存在するはずの扉が見える。
世界そのものが歪んでいる。

260今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/18(金) 02:50:54
>>259(GM)

質問その①
私の側にあるはずの『扉』はなくなっているんでしょうか?
もしくは、見えなくなっているのでしょうか?
それとも、見えているけど、別の壁にも出ているのでしょうか?

質問その②
タマキさんが走っていく先の壁に『扉』が出てきたんでしょうか?

261『一斤染めの夢』:2019/01/18(金) 15:57:19
>>260


今泉PC側の扉はタマキ側にあった壁に変化しつつある。


その認識で正しい。

262今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/18(金) 20:51:59
>>257(ヨロズさん)
>>258-259(GM)

「きっとっ」

「お話を、しないといけないんだと思うんです」
「カレンさんと」「タマキさんと」
「何かあったなら、スタンドとか抜きで、フツーに」

「だから……」

せっかくここまでやってきた事なんだ。
それをなかったことにしちゃ、いけないんだ。

         ギャリリ
            リ

               ガリリリッ!!

ドアに立てた(>>256メール欄)爪を振り下ろす。

「先生、タマキさんを止めてください!」

タマキさんが走っていくところにドアが出る……
それなら、それを『傷がついた』ドアにすればいい。
小さくて浅い傷しかつけられないかもしれない。
それでいい。傷さえつけば、『補修』される。
口でお願いするより早く、先生が向かってくれる。
人間よりずっと速く、先生がタマキさんの行く先に行く。

もしこれで爪が割れたって、あとで治せばいい。
だって先生の能力は、元通りフツーに治す事なんだから。

263ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/19(土) 22:52:49
>>258-259(GM)
>>262(今泉さん)

一連の状況を見て、思案するヨロズ。

「……」

小鍛冶、鈴元、円山は、自分たちと同じように
ここから脱出しようとしている者らしい。
──彼らの言葉を信じるのであれば、だが。


逃げまどうタマキを見て思案するヨロズ。

「……」

先程、タマキの衣服に『接続』した。
つまり、衣服から数秒間ならば
ヴィジョンを出して取り押さえる事も出来るだろう。
──だが今泉は「フツー」に話し合うべきだという。


      ロボット
「やはり、『 私  』は心の機微に鈍いようです」
    
「……『私』に出来ることは、皆さんを」
「小鍛冶さんたちを」
「カレンさんとタマキさんを」

「何より、今泉さんを」

右手を下ろし、そう呟いて

「信じる事だけのようです」

事の成り行きを見守った。

264『一斤染めの夢』:2019/01/20(日) 00:20:46
>>262 (今泉PC)
>>263 (ヨロズPC)

ヨロズは静観を選んだ。
間違いではない。
ロボットが心の機微に鈍いと感じるのならば、それは正しい選択なのだろう。
しかし、この場で取り押さえるという行動をとらなかったこと、他の人を信じるという道を歩んだこと。
それは一つの見方において、優しさと捉えることも出来るものだ。
よしんば鈍くとも、ヨロズは優しい選択をできたのかもしれない。

今泉は行動を選んだ。
間違いではない。
先生のことを今泉は理解している。
壁に出来た傷、爪は……大丈夫、割れていない。
二つの扉が一つに統合され、タマキの前のものだけが残る。
しかし、それは傷つけられた扉。

『今泉サン、イケマセンヨ。爪ニモ、環境ニモ、ヨクアリマセン』

瞬間移動したように先生が扉の近くに現れ、マスキングテープを張る。
それで修復は開始される。

タマキ:「え……」

思わぬ移動にタマキが立ち止まり……いや、ブレーキをかけ損ない尻餅をついた。

タマキ:「コ、『コメトス』!」

カレン:「止めてタマキ!」

タマキの傍に人型のヴィジョンが立つが、動かない。

カレン:「大丈夫……大丈夫……ちょっと寝起きで混乱してるんだよね? 大丈夫だから……」

また、倉庫内の空間が歪む。
ゆっくりと上昇していく感覚がある。
エレベーターの中にいるようだ。
しかし、空間はエレベーターではなく、寂れたホテルの一室のように変化していく。

明:「……これは、整理が必要、かしら」

265今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/20(日) 00:42:21
>>263(ヨロズさん)
>>264(GM)

「いててっ」
「タマキさんごめんなさい、先生が道塞いじゃって」

爪は割れなかったみたいだ。
痛いのは嫌だし、よかった。

私も、フツーに人間だけど。
こころとか、フツーにしか……わかんないけど。
それでも、これはきっとフツーで、おかしなことじゃない。

「先生も、ごめんなさい。これしか思いつかなくって」
「それなら、こうするのがフツーかなって」

タマキさんの『コメトス』を見る。
先生は戦うのは得意じゃない。
殴るための手じゃない。蹴るための脚じゃない。

「わっ、これ」「『エレベーター』!」「じゃなくてっ」
「ホテル……うーん、ますますフツーじゃないですねえ」

「窓の外は海なのかな」

けど、戦うことにはならなかった。
けど……話すにもなんだかフツーじゃない。

窓があったら外を見てみよう。

「えーと」「これ、誰かのスタンド能力ですか?」
「私と芽足さん、あとカレンさんは違いますよねっ?」

「それとも」「……この町だとフツーの事だったりします?」

少し前からこの町にいる小鍛治さんに話を振ってみる。
状況を整理をするためにも、話の中心になってもらいたいのもある。
カレンさんとタマキさんは、まだちょっと落ち着く必要がありそうだし。

266ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/20(日) 22:42:57
>>264(GM)
>>265(今泉さん)

「……」

上昇の感覚。
周囲の空間の変化。
これは『コメトス』の能力によるものなのだろうか。

ともかく、ヨロズはカレンがタマキを
『フツー』になだめられる事に賭けている。
強引に取り押さえたり、言いくるめたりするつもりは無い。

だが、それでもただ成り行きに任せるだけというつもりも無かった。

「整理とは何でしょう、小鍛冶さん」ギュインッ

首だけで小鍛冶の方を向いて問う。

267『一斤染めの夢』:2019/01/21(月) 04:17:46
>>265 (今泉PC)
>>266 (ヨロズPC)

タマキ:「はっ……はっ……はぁ……はぁ……」

タマキが呼吸を整える。
ゆっくりと彼女の呼吸が整うにつれ、『コメトス』が消えていく。
そして、倉庫は完全にホテルの一室に変化した。
今泉は窓から外を見る。
そこには砂浜や海小屋の姿がある。
どうやら先程までいた倉庫がホテルに変わってしまったらしい。

明:「状況と心の整理よ。バタバタしてるとまともに話し合えないですもの」

「それと私たちのスタンドはこういう変化はさせられないわ。それといきなり建物が増えるのは普通じゃないわね」

そう言って小鍛治がベッドに座る。
あの三人のスタンドではない。
だとすれば。

明:「質問するわ。そこの貴方に」

小鍛治の視線がカレンに向けられた。

明:「貴方のスタンドは違うわよね? 空を飛んでいたもの」

「この世界を自由に操れる能力、なら話は別だけど」

その言葉にカレンは首を振る。

カレン:「……本だよ。さっきの本」

268今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/22(火) 00:05:24
>>266(ヨロズさん)
>>267(GM)

タマキさんはとりあえず、落ち着いたのかな。

「芽足さん、外はフツーみたいです」
「この建物だけ変わっちゃった感じで……」

窓の外を見ながら一応伝えておく。

「本……あの『白い本』ですか」「なるほど」

この『島』を作ったのがあの本なら、納得だ。
世界を作る事が出来るなら変える事も出来る。
とんでもないことだけど、それはフツーだ。

問題は本が勝手に世界を作ったのかどうか、だけど。
タマキさんが何か理由があって本の力を使ったなら?
その理由を聞いて、きっとお話しなきゃいけない。

「どうして、この島が生まれて」
「私達がここに迷い込んじゃったのか」

「その本を読んだら分かるのかな」「うーん」
「見てみていいです?」「なんて、軽い物じゃないですよねえ」

今は本はどこにあるんだっけ。タマキさんが持ったまま?
貸してくれるようなものじゃないんだろうけど、一応話に出しておく。

269ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/22(火) 23:20:36
>>268(今泉さん)
>>267(GM)

「なるほど」
「やはり本、ですか」

頷きながら会話を聞く。

「それで、問題はその本を」
「だれがどうやって制御しているかですね」

「『コメトス』が関係しているのですか?」
「それとも、別の第三者の能力でしょうか」

事情を訊きだす。

270『一斤染めの夢』:2019/01/24(木) 00:03:55
>>268 (今泉PC)
>>269 (ヨロズPC)

タマキ:「……いやなの」

覇気のない様子でタマキが白い本を抱きしめる。
落ち着いているが、同時に少し落ち込んでいた。
相変わらず本には『Sleeping On The Sidewalk』の文字が浮かんでいる。

明:「誰が制御してるかって、まぁ私は後乗りでここに来るまでの状況というのを知らないけど」

「私たちも貴方たちもその本を扱えない」

カレン:「『コメトス』は人を眠らせるのが能力です……」

タマキ:「カレン」

カレン「ごめん……」

少しの間静寂が部屋に流れる。
俯き気味に口を閉じるタマキ。
心が移ったのか不安そうな顔をしているのが鈴元と円山だ。
鈴元は懐から出した巾着袋をごそごそとやりだした。

明:「となると消去法的にカレンさんかタマキさんね」

しかし、カレンが本を操っているのだろうか。

明:「私はそこの二人とは面識がないんだけど」

「今泉さんとヨロズさんは何か聞いていないかしら。何があって、こうなったのか、とか」

「私は駅に行こうとしたらここに迷い込んでしまったから、詳しくは分からないのだけど」

271今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/24(木) 01:43:57
>>269(ヨロズさん)
>>270(GM)

「私達もここの事はよく分からないですねえ」
「迷い込んだのは小鍛治さんと同じですし」

「ここに来る前にカレンさんから聞いたのは」

「……あ、言っちゃっていいですよね?」
「言うなとか、言われてないですし」「えーと」
「『タマキさんが作った島』って事くらいですけど」

フツーに、ここで黙ってはいられない。
消去法だから、隠してもすぐわかる事だし。

「なんで作ったのかとか」「どうやったのかとか」
「そもそも偶然作ったのか作ろうとしたのかとか」

「なんで関係ない人が入ってきちゃうのかとか」
「本をどうすれば出られるのか、とかっ」

「そのあたりは聞いてないんですよね〜」
「『何があって』とかは、特に」

タマキさんが悪いとかそういうのじゃない。
もちろん、カレンさんも小鍛治さんも悪くない。

みんなフツーのことをしてるだけなんだと、思う。
私もフツーに帰りたいから、今話すべきことは話す。

272ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/24(木) 23:14:14
>>270(GM)
>>271(今泉さん)

「私が認識していることは」
「今泉さんと同じく、タマキさんが作ったらしいという事と」

「『住民が良い人』」
「『住民が『駅』の存在を信じている』」
「『この空間が星見駅近辺にある』」

「と、これぐらいでしょうか」

スマートフォンを取り出しながら答える。

「これが、タマキさんの意思によるものでしたら」

「まだ、解除していただく為の何か必要な『鍵』が」
「足りていないのでしょうか、ね」

273『一斤染めの夢』:2019/01/24(木) 23:57:40
>>271 (今泉PC)
>>272 (ヨロズPC)

「……そう」

静かにそう呟いて、小鍛治が立ち上がる。
歩みを進め、その先にはタマキとカレンがいる。
小鍛治の冷たい顔がより一層冷たい色を持つ。

「追及を行うわ。貴方たち二人に」

「なんだったかしら、いつか見た記事の話なんだけど、八百ページの長編小説は銃弾を防げるらしいわよ」

小鍛治の右手がピストルの形を作る。
その形は小鍛治明にとって冗談でもなんでもない。

「弾とか銃の種類にもよるとは思うけど、貴方の白い本はそれだけのページ数はなさそうね」

小鍛治が言葉を続ける。

「その本を壊せばいいのかしら? それとも大本から? ごめんなさいね、ことと次第によっては強硬手段でやらせてもらうわ」

「私の目標はすでに、脱出から解決に変化しつつある」

「手段を選んであげるほど、私は優しくもないし、貴方たちを信じる心も薄いわ」

274『一斤染めの夢』:2019/01/25(金) 00:12:51
「証言一『タマキさんがこの島を作った』」
                                        「証言二『住人は人が良い』」
    「証言三『住人は駅の存在を信じている』」
                           「証言四『この駅は星見駅周辺にある』」

                        「復唱完了」

一度口を閉じ、再度小鍛治が話し始める。
カレンとタマキは緊張した面持ちでそれに相対する。

「ここから先は私の見たものと知っていることを言わせてもらうわ」

「『この島に駅はない』」

「『タマキさんはカレンさんが駅に連れて行くと言って逃げた』」

「『住人は駅に向かいたい意志がある』」

一つ一つ確かめるように言う。

「今泉さん、ヨロズさん、現状分かっていないのは何もかもという感じだけれど」

「案外、何があったのかというのは重要だと思わない?」

カレン:「ま、待って……ボクが悪いんです……」

「そう、何が悪いのかも私は分からないのだけど」

小鍛治の態度にカレンたちは委縮しかけているようだ。
話し合いをするためにもカレンたちにこちら側から話しかけるのもいいかもしれない。
現状、小鍛治の立ち位置は良いとは言えない。
もしもその手のピストルがスタンドのショットガンに変わることがあれば、より面倒なことになる。

275今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/25(金) 00:25:25
>>272(ヨロズさん)
>>273-274(GM)

「小鍛治さん、落ち着いてください」
「本を壊して済めば早いですけど」
「逆に出られなくなったりするかもですし」
「本の持ち主を傷つけたりしたらなおさら」

「そういうのは怖いと思いますし」
「そういう流れになるのも怖いんでしょうし」
「怖いと、ちゃんと話せなくなるかも」
 
        スタスタ

「二人とも、フツーにまだ子供ですしねっ」

小鍛治さんの気持ちもフツーなのかも。
けど、ここから出るには逆効果な気もする。
だから間に割って入る。……もし撃ってきたら?
銃なら手足がちぎれたりはしないと思う。
だから、先生がいれば治せる。

それでもまだ攻撃してくるなら先生がやっつけてくれる。

「それで!」

「カレンさんは一体何をしちゃったんです?」
「話し辛いことでも、出来たら話してほしいんですけども」

カレンさんに振り向いて、強引に話を進めちゃおう。
流石に話し出したら小鍛治さんも気が変わってくれるかも。

276ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/25(金) 23:57:36
>>273-274(GM)
>>275(今泉さん)
「私も今泉さんに同意見です」
「暴力はまだ無し、で」

「事情に詳しいのはカレンさんなのだから、カレンさんの話を聞きましょう」

「どうぞ、カレンさん続けてください」
「何故、自分が悪いと思うのです?その経緯は?」

カレンに続きを促す。

277『一斤染めの夢』:2019/01/26(土) 00:20:11
>>275 (今泉PC)
>>276 (ヨロズPC)

鈴元:「明ちゃん」

明:「……じゃあ、貴方たちが追及を。私より貴方たちの方が親しそうだしね」

鈴元:「明ちゃん、言い方ってあるんよ?」

手が下ろされる。
小鍛治は鈴元に服を引っ張られて後ろに下がっていった。

カレン:「……ボクがタマキを駅に連れてこうとして……」

「それが必要だと思ったんだ」

タマキ:「……」

カレンの意志はタマキに拒絶された。
タマキが駅に向かいたくないと言っていたことからも明らかなことだ。

カレン:「……タマキ、いい? 話して……」

タマキ:「好きにするといいのだわ……いつもみたいに好き勝手してたらいいのだわ……」

カレン:「あー……」

「えっと、デリケートなことで、その、あのお姉さん二人だけに話したい……」

「明とかが信用できないとかじゃなくて、えっと」

明:「別にいいわよ、それで」

明と鈴元、円山の三人が壁際により耳を塞ぐ。
それを確認してからカレンが二人に走り寄った。
そして、小さな声で言った。

カレン:「タマキの両親がなくなったんだ」

278今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/26(土) 00:56:35
>>276(ヨロズさん)
>>277(GM)

タマキさんは拗ねてるのかな。仕方ないと思う。
けど、私たちもここから出なきゃいけない。
それも、きっと、仕方ないことだ。

「しっかり聞いておくんで安心してください!」
「もちろん」「言い触らしたりもしませんよ」

「それではお聞きしますっ」

小鍛治さんたちは離れてくれたみたい。
私と芽足さんは、カレンさんの話を

「…………………………………………………………」

「…………へえ」「それは」「とても」
「悲しい気持ちに、なりますねえ」

フツーのことだ。

「…………」

「ゆっくりで……いいので」
「続きも、教えてください」

「『駅』に行って、何をする気だったんですか?」

もしかするとこの場所は。
それでも。
それだから。
そうじゃなくても。

私はフツーに帰りたい。だから話の続きを促す。

279ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/27(日) 21:43:36
>>277(GM)
>>278(今泉さん)

「……」

無言でそれぞれの言葉を聞くヨロズ。

合理的な、あるいは直接的な答えを得るには──

「──。一つずつ、読み解いていくしかなさそうです、ね」

「なるほど」
「ならば」
「何故カレンさんは駅に行くべきと考え」
「タマキさんはそれを拒否した、のでしょうか」

カレンに問う。

280『一斤染めの夢』:2019/01/28(月) 23:30:37
>>278 (今泉PC)
>>279 (ヨロズPC)

カレン:「お迎えが来るんだ」

子供が一人で生きていくのは現実的な話ではない。
カレンはそれを知っている。

カレン:「タマキは両親との折り合いが悪くかったんだ」

「ボクとボクの友達とか、知り合いのお爺さんのお世話になることが多くて……」

所謂家出少女だ。

カレン:「だけど、ご両親が事故で亡くなられて、親戚の人がタマキの面倒を見るって」

「そういう連絡が来て……会いに行くために電車に乗って町から出ようとしたんだ」

「タマキは嫌がってた。でもなんとか説得して、渋々ついて来たんだけど、駅に着くころにはもう我慢が出来なくて」

それで、この島が出来たらしい。

カレン:「白い本はボクが持ってたんだ。あの本の管理をしてた」

「急に文字が出てきて、タマキの手元に飛んでいったと思ったら、もうこの島にいたんだ」

281今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/29(火) 02:01:37
>>279(ヨロズさん)
>>280(GM)

「お話ありがとうございます! それにしても」
「フツーに、難しい話ですねえ」

駅ってそういうことなんだ。
この世界に駅がないのも、当然なんだ。
ここはタマキさんか、タマキさんの気持ち?
それが作った世界なんだから、あるわけない。

それにしても。

「うーん」

「無理に連れて行くのもよくないですし」
「かといって、行かないのも困るんでしょうしっ」
「やっぱり難しいなあ」

これ、私が決めていいことじゃないよね。
アドバイスとか思い付けるかな。

「タマキさんと親戚の人との仲はどうなんですか?」
「いくらお世話してもらえるとはいっても」
「その人達とも折り合いが悪かったら……って」

「それか、星見町に何か思い残しがあるとか……どうですかね?」

親はともかく他の人たちとの関係はどうなんだろう。
知り合いの家にも泊めてもらったりしてるみたい。
それなら新しい人に会うのが嫌!とかじゃなさそう?

タマキさんのことを私は全然知らない。改めて思った。難しい話。

282ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/29(火) 22:38:47
>>280(GM)
>>281(今泉さん)

「…………」

「………………」

「…………………」

「ウ、ウィーン」

黙ってカレンと今泉の言葉を聞いていたヨロズだが、
その顔はいつの間にやら『歪んでいる』。

人間に例えるならば

『喉に何かを詰まらせた様な』 『どうしても納得できない様な』

そんな時の表情に近いだろうか。


「ええ」

「ええとそうですね」
「いくつか質問させてください」
「不快にさせてしまいましたら申し訳ないですが」
「必要な質問だと、考えますので」

顔の形を戻し、カレンに問う。

「本を管理している、と言いましたが常に持ち歩いてらっしゃるのですか?」

「本は、タマキさんの気持ちを反映してこの世界と住民を作ったと思いますか?」

「急に出てきた文字は、読めましたか?」


「そして、ええ、本当に言い間違いや言葉のあやでしたら」
「本当に、本当に申し訳ないのですけれども」

「『お迎えが来る』のに『電車に乗って町から出ようとした』んですか?」

283『一斤染めの夢』:2019/01/30(水) 04:20:29
>>281 (今泉PC)

「ほとんど会ったことはないみたいだよ」

「悪い印象はないけど、いい印象もない、悪い印象がないから行くと決めたけれど、いいんしょうがないから、不安もある」

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、とは言わないけどさ」

カレンはそう答えた。
タマキではない以上、全てを把握している訳では無い。

「思い残しは……どうだろう。ボクはそれが分からないんだ」

>>282 (ヨロズPC)

「別にいいよ。ムッとする話でも答えないと先には進めないからね」

カレンはそう言ってヨロズの質問に答えた。

「外に出る時は持ち歩いてる。あれが大変なものだとボクは聞いてる。だから盗まれないように持ってた」

「ただ、あの本が能力を発動する瞬間を見たのはあれが初めてだ」

カレンは白い本のことを情報として知っていたが、実際にどういうものかは知らなかった。

「あの本がタマキの心を反映したかどうかというのは、ボクの予測ではあるけどイエスと答えるよ」

「どこかに逃げたかったのか、本当はこんな所にいたかったのか」

だが、白い本は島の一部をこのホテルに変えてしまった。

「出てきた字で読めたのは表紙のあれだけだよ。えっとスリーピング云々ってやつ」

白い本の表紙に浮かんでいる文字だ。

「あぁ、お迎えが来るのに町から出ようとした。正しく言えば、お迎えが来るから町から出ようとした」

「タマキが出したお願いなんだ、タマキは町を出たことがないから、ボクと一緒に途中まで行って欲しいと言った」

「町を出て、ほんの数駅向こうに行く。その間にボクと最後の話をする」

タマキはそういう約束をしたのだ。
そこにどんな気持ちがあったかは分からない。

「そして、その数駅先の駅で親戚と合流して挨拶をする」

だから彼らは町を出ようとした。

284今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/30(水) 15:54:44
>>282(ヨロズさん)
>>283(GM)

「芽足さん、悩むとき『そういう音』するんですねえ」
「コンピュータールームのパソコンみたい」
「パソコンも機械ですもんね」

そんなことより。

「タマキさんのこころ」「まあ」
「いい人しかいなくて、綺麗な景色で」
「確かにこんな所、フツーに憧れますけどっ」

フツーの日常の方がいいとはとても言えない。
ずっとここにいたら、そう思うようになるかもしれないけど。

「タマキさんはこの島がすごく好きってわけでも、なさそうでしたよね」
「それに、この世界のひとたちもタマキさんの心を反映してるなら」
「フツーに『駅を探してる人たち』がいるってことは」「そういう事じゃないですか?」

そういうことを言ってた(>>259)よね。
それに、この世界の人たちはみんな『駅』を探してもいる。
永遠にここや、星見町に留まりたいってきもちなら、そんな風になるかな。
町が星見町の見た目になったり、駅なんて探してない人たちになったりしないかな。
真っ白な町は『まだ見たことが無い新しい町』なんじゃ、ないかな。
私にはタマキさんの『こころ』がないから、わかんないけど。

だけど、タマキさんはどこかで『未来』もちゃんと見てる、気がする。
じゃあ『過去』は? 聞いてる限りこの町にすごい愛着がある、っていう感じじゃない。

タマキさんが思い残す『なにか』――――『だれか』がいるとしたら。

「思い残しが、もしあるとしたら」
「ここは『ずっといるための場所』じゃなくって」
「『思い残し』をなくすための場所なのかも」

「最後の話の時間を、少しでも長くするための」「つまり」

「カレンさんっ、やっぱりカレンさんがタマキさんとお話するのが、良いと思うんです」

あらためて、最初に考えていたことを言う。これは、ふたりの問題で、ふたりのお話だと思う。

285ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/30(水) 23:36:43
>>283(GM)
>>284(今泉さん)


「ええ、ごく稀に異音がするのです」
「ごく稀に、ですけど」

今泉から少し目をそらしながら答える。

「申し訳ありません」
「『お迎えが来る』という言葉でどうしても」
「シニガミ(音声ボリューム極小)」
「を、想い起こしてしまいましたので」

カレンに深く頭を下げる。

「確かに、今泉さんのいう通りに」
「駅へ行くことを完全に拒否しているようには思えません」

「何か心残りがある、というのが一番妥当な推測だと思います」
「ここまで聴いた限りでは、カレンさんは特別な存在な様ですし」
「我々には解らない様な深い繋がりもあるのかと思います」

「それをここで曝け出すことも、そうしない事も受け入れたいと思います」
「ただ、お二人が後悔しない幕引きである事を、望みます」

286『一斤染めの夢』:2019/01/31(木) 02:46:18
>>284 (今泉PC)
>>285 (ヨロズPC)

カレン:「……」

「……ボクはタマキに幸せになって欲しくて」

カレンはそう呟く。

「この島のことはわからないけど、もしかしたらキミの言う通りなのかもしれない」

揺れる瞳にはなにか感情がこもっている。
それを否定するように頭を振り、笑う。

「やっぱりこれはボクらの問題で、ボクらで話し合わないといけないことなんだね」

287今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/31(木) 16:52:51
>>285(ヨロズさん)
>>286(GM)

「奥深いですねえ、ロボットって」

逸らした目は、追わないことにした。

「きっとこの問題には」

「正解とかは、ないと思うんです」
「人間のこころの問題には、正解とかは」

「だけど」

「私達が決めちゃうのは、違うかなって」
「あ。二人が話し合うための手伝いなら、いくらでもしますよっ」

邪魔が入らないようにするとか。
話し合うための場所を探すとか。

そういうことなら、いくらでもしていいと思う。
でも、私達がこの二人の人生を決めるなんて。
少なくとも私には出来ないし、フツーにやらない。

288ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/02(土) 00:35:32
>>286(GM)
>>287(今泉さん)

「……まあ、ともかく」

「我々はカレンさんとタマキさんを再会させました」
「ここから先は貴方達がどうするか、と思うところもありますが」
「今泉さんのいう通り、手伝いならばいくらでもしましょう」
「それとも、まだ何か解決していない問題があるならば、仰ってください」
「単純にじっくり時間をかけたいという事ならば、私はゆっくり待ちますよ」

カレンに告げる。

289『一斤染めの夢』:2019/02/02(土) 23:50:04
>>287 (今泉PC)
>>288 (ヨロズPC)

カレン:「正解はない、か。はは……ボクもまだまだ子供だなぁ」

「いや、時間はかけない。これ以上かけたくないからね」

「だからボクはボクのすることをするから見てて。タマキが怒っちゃったらフォローしてくれたら嬉しいけど」

カレンがタマキの元へと歩いていく。
そして、彼女の前に座り込んだ。

カレン:「……ごめんね、タマキ。ボクが悪かった」

タマキ:「カレンはいつもそう言うの。何が悪いかも分かってなくてもそう言うの」

カレン:「うっ……」

普段の行いが悪いらしい。

カレン:「ま、まぁ、無理強いするようなことをしてたのは本当だからさ……」

「タマキはどうしたい?」

タマキ「……カレンといたいの」

290『一斤染めの夢』:2019/02/03(日) 00:12:39
タマキ:「……どこかでカレンがさらってくれる気がしてたの。またいつもの場所に帰ってこられる気がしたの」

「でもそうはなりそうにないから……カレンは私と離れ離れになるのを選んだのだわって……」

白い本に浮かぶ文字が滲む。
はっきりした文字から水が染み込んだような文字へと変わっていく。
それに反応する様に、この一室の輪郭もぼやけていくようだった。

カレン:「……」

タマキ:「カレンは私のこと嫌いなのだわ……」

カレン:「違うよ」

タマキ:「じゃあ、なんでカレンは私の思うことをしてくれないの?」

カレン:「ボクと一緒にいるのは、普通じゃないんだよ。ずっと、死ぬまで今みたいな生活は出来ないんだ」

「面倒を見てくれる人はいるけど、一生は面倒見切れないんだよ」

カレンの言葉が力なく零れる。
二人は向き合えたが、まだ解決には至れていない。
カレンのフォローをするか、それとも行く末を見守るかは自由だ。

291今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/03(日) 01:11:45
>>288(ヨロズさん)
>>289-290(GM)

「…………」

私がでしゃばるのはきっと違う。

違うけど。 

フォローを、頼まれたし。
それに。

「あのっ」

「た」
          ゲホ

「大切なっ、人、同士なら」

「電車でいくつか離れた駅でも」
「違う町でも」
「また、会えるんじゃないですか」
「カレンさんからでも」「タマキさんからでも」

「今は離れなきゃいけなくっても」

「いつか」「いつでも」

「『ひとりだち』した大人の人が、地元に帰るみたいに」
「なつやすみとかに、親戚の家に遊びに行くみたいに」
「また、フツーに会えばいいんじゃあないですかね」

話を聞いてる限りタマキさんは『二度と会えない』みたいに思ってそうだ。
でも、親戚に引き取られたからって『会えない』なんてこと、ないはずだ。
もしそんなこわい人たちなら、その話をタマキさんはしてるはずだ。

カレンさんから縁を切ろうとしてるなら? 『それはおかしい』。
ずっと一緒にいちゃいけないっていうのは、なんとなくわかる。
それじゃあ、フツーの大人になれない、ってことなんだと思う。
けど、どんなに自立したフツーの人でも、だれかといっしょにいるものだ。

だから助け舟を出さないと良くない気がした。
ゴールを決めちゃいけないけど、隠れてるゴールは見つけなきゃだめだ。

292ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/03(日) 22:25:50
>>289-290(GM)
>>291(今泉さん)

「……」

じっとカレンとタマキを見ながら沈黙。

(難しい、ですね)
(やはり、苦手ですね)
(正直なところ、『全然わからない』)
(言語化出来ない)

しかし、今泉の言葉に「正しさ」を感じているのか、
時折頷いている。

293『一斤染めの夢』:2019/02/04(月) 09:52:24
>>291 (今泉PC)
>>292 (ヨロズPC)

カレン:「未来……」

今泉の発言はカレンにとって間違いなく助け舟だった。
ヨロズのとった静観も、間違いではない。
まだ分からなくてもいずれわかる時が来るのかもしれない。
それは機械的なアップデートではなく、人間的な成長だ。

カレン:「また、会えるよ。約束する」

タマキ:「結局誰かのヒントでそんなこと言うの。でも、いいのだわ」

二人が小指を絡めた。
ここで二人が今生の別れをする訳では無いことを信じて。
いつかの日にまた会えるのを誓って。

カレン:「ずっと一緒だよ、タマキ」

そう呟いたカレンの声は涙で少し濡れていた。

294『一斤染めの夢』:2019/02/04(月) 10:09:48
◆◆◆◆◆

ゆっくりと景色が崩れていく。
まるでアイスクリームか溶けるように、どろどろになって消えた。
気付けば、そこは星見駅の前。
人通りは少なく、暖かな太陽の光が辺りを照らしている。

カレン:「あれ」

タマキ:「戻って……きたのだわ……」

明:「まぁ、帰ってこられたのならいいけれど、ねぇ?」

円山:「ぐすっ……」

鈴元:「……」

明:「他人の人生で泣くのはあまり良くないわよ」

各々好きなことを口にしている。

カレン:「これはこれで、オッケー、なのか、かな……?」

295今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/04(月) 20:58:22
>>292(ヨロズさん)
>>293-294(GM)

助け舟は出したから、私はそこまでだ。
カレンさんとタマキさんにはそれ以上何もしない。
二人が、きっと感動するような約束を交わすのも。
何も言わずに、笑顔にして見守っていて……それで。

「やったっ、戻ってこれましたね!」
「フツーの街並み」「フツーの人通り」

「それにフツーに冬」「寒っ」
「い、けどお日様はよく照ってますねえ」

周りを見渡す。
そうだ、ここは私たちの星見町だ。

きっと白い本が、満足してくれたんだ。

「オッケーだと思いますよ!」
「少なくとも、本はそう思ったんでしょうし」

「それで、みなさんはこれからどうします?」
「フツーに解散ですかね」

「というか今って何時くらいなんだろ」
「時間とかどうなってたのかな、あの町」

スマートフォンの時計を見てみる。
あの白い町で過ごした時間は、現実だったのかな。
少なくとも太陽は出てるくらいの時間みたいだけど。

296ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/04(月) 23:56:53
>>293-294(GM)
>>295(今泉さん)

「………」

ヨロズは、ただ黙って変わっていく風景を見ていた。

見知らぬ景色が、見知った星見町へと戻っていく。


「変わらぬ物は無い、ということでしょうか」

星見駅の駅舎を見上げながら、ぽつりと呟く。

「親愛も、幸福も」
「寂しさも、不安も」

「変わっていく物だから」

見知らぬ島の冒険は終わったのだ。
そこには恐怖も楽しさも、少なからず確かにあった。

「きっと、望む未来を自分で引き寄せていかなければならないのかもしれない」

「……」

「それでも」ギュイーン

首だけを動かして今泉を見る。

「あなたの『フツー』は、とても素敵ですから、変わってほしくないですね」

少し『ロボット』らしくないような、クシャっとした笑顔を向ける。


「さてカレンさん、タマキさん」
「改札まで送りましょうか?」

表情を戻して二人に問いかける。

297『一斤染めの夢』:2019/02/05(火) 00:39:16
>>295 (今泉PC)
>>296 (ヨロズPC)

明:「私たちは帰るつもりだけど」

今泉はスマホを確認する。
あの街での時間が反映されているのか、時間は進んでいる。

タマキ:「そうなのかもしれないのだわ」

ヨロズの言葉にタマキが小さくうなずく。
変わらないものはない。
時の流れと共にあらゆるものは形を変えていく。

タマキ:「少なくとも私の気持ちは変わったのだわ」

カレン:「お誘いはありがたいけど、いくらボクでもこういう時は二人きりでいた方がいいってことは分かるさ」

そういってカレンがタマキの手を握る。
見送りは必要ないのだろう。
だとすれば、ここでいったんお別れになるだろう。
何かかけたい言葉があるのならば、そうするのもいいだろう。

298今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/05(火) 07:25:45
>>296(ヨロズさん)
>>297(GM)

時間は進んでたみたいだ。今日中に帰れてよかった。

「…………ありがとうございますっ」

芽足さんにお礼を言う。

「なんだか、今日で芽足さんの印象変わりました」
「そういう顔もするんですねえ」「いい笑顔っ」

                 ニコ ッ

笑顔を返す。芽足さんと同じくらい自然な笑顔を。

私は、『フツー』のままで生き続ける。
それだけは『変わらないこと』じゃなきゃ、いけない。

「ですよね、私も帰り道でしたし」
「それじゃあ……ここで、解散ですね」

小鍛治さんには、そう答えた。
それから目を向けるのはカレンさんとタマキさんの方。
『永遠の別れじゃない』けど、きっと今は二人がいい。

「それじゃあ」

「また、いつかどこかでっ」
「あ! あの携帯の番号、変えないでくださいね!」

そして私とこの二人も、永遠の別れだとは思わない。
だからおおげさなお別れはしないで、今日はここでさよならだ。

299ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/05(火) 22:28:27
>>297(GM)
>>298(今泉さん)

「……では、私もこれで」

カレンとタマキに小さく手を振り、
他の人物達には軽くお辞儀をして

「今泉さん」
「ええ、こちらこそありがとうございました」

今泉には、普段の表情のまま
一際深くお辞儀をして

「また、会いましょう」

帰路へと一歩踏み出した。

300『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 02:24:30
>>298 (今泉PC)
>>299 (ヨロズPC)

カレン:「さようなら」

タマキ:「さようならなの……カレンのお友達のお姉さんたち」

カレン:「あ、番号は変えないよ。ていうか、変えられないし」

タマキ:「カレン……?」

カレン:「あっ……! またねっ!」

二人が手を振って駅へと向かっていく。
別れを告げ、帰路につく。
誰もが帰る場所を持つ。
どれだけ変化しても、自分の場所だけは変わらずそこにある……のかもしれない。

___________________________

「ねぇ、カレン」

「なに?」

「あの街での時間が本物なら、一週間は約束をほったらかしにしたことになるのだわ」

「……ちゃんと、連絡できてる……はず……」

___________________________

301『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 02:46:07
……

     ……

              ……

その後、二人はタマキと優しそうな夫婦を街で見つけることになる。
もしかしたら遊びに町に来たのかもしれない。
それともタマキは親戚ごとこの星見町に引っ越してきたのかもしれない。
答えは分からないが、タマキがこの町のどこかで生きているのは確かだ。

今泉とヨロズはある日、ポストに自分あての封筒が入っているのを見つけた。
その中には手紙と写真と商品券。
手紙には『ありがとう』の文字とカレン、タマキの署名。
写真にはタマキとその家族、それから照れくさそうに笑うカレンの姿がある。
それから、5万円分の商品券。
必要ならば換金してしまうのもいいだろう。

星見町は今日も緩やかに変化しながらも、穏やかに時間が流れている。

今泉『コール・イット・ラヴ』  →『5万円分の商品券』獲得

ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』→『5万円分の商品券』獲得

白い本『スリーピング・ オン・ザ・サイドウォーク』→解除

302『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 22:15:22
『白い本』から生まれたスタンド。
永遠に拡大する『街』のヴィジョン。
タマキの優しい人から離れたくないという気持ちを反映しているのか、住人は皆親しげである。
スタンドによる異世界ではあるが、内部と星見町が一部で繋がっている。
拡大するごとに繋がっている部分が多くなる。
いずれは街そのものと一体化してしまうのかもしれない。
あるいは街そのものよりも大きくなるのかもしれない。

その性質は『理想郷』
タマキの行きたい場所、あるいはいたい場所を作り出そうと作用する。
そのため、タマキの精神状態に応じて街自体が変化することがままある。
このスタンドの世界からタマキが抜け出すことは、今いる場所がタマキにとってのいたい場所であることに他ならない。

『スリーピング・ オン・ザ・サイドウォーク』
破壊力:- スピード:-  射程距離:A
持続力:A 精密動作性:- 成長性:-

303『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 22:24:19
【眠る少女】タマキの人型のスタンド。
触れたものを眠らせる能力を持つ。

このスタンドが触れた対象は眠らされる。
この場合の眠るとは一般的な睡眠の状態である。
電子機器などは電源が切れた状態がこれにあたる。
眠った対象は対象への接触で目覚める。
この時、本人の寝起きの良しあしは関係なく、皆普段の覚せい状態と全く同じ状態で目覚める。
電子機器は眠る前の作業状況に戻る。
スタンド発現中に眠らされたなら、発現したまま眠ることになる。

『コメトス』
破壊力:B スピード:C  射程距離:E
持続力:D 精密動作性:D  成長性:C

304『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/03(水) 23:26:04
于時、初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香

305『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/03(水) 23:58:06
その日のアリーナは熱気に満ちていた。
金網の外、安全な観客席から多くの声が降り注ぐ。
危険が満ちていたこの場での闘いはすでに終わって、司会が自分の名を呼ぶ。
汗ばむ手。
それでも自分の魂をしっかりと握りしめて拳を天に突き出した。

『祝福しろ! 勝利にはそれが必要だッ!』

聞きなれた声が聞こえる。
司会からマイクを奪ったのだろうか。
いや、どうでもいい。
大事なことではない。

『新年度早々来場御苦労。今、諸君の目の前にいる男がアリーナの新たな時代を作る男である!』

『【運命開化】の大槻正を倒したこの男が、諸君の脳に衝撃と興奮をもたらす。退屈な人生の救世主!』

大事なことは。
そう、大事なことは――――

『【ASCENSION CLUB】の超大型新人!』

『【閃く紫電】新元令和』

この手が勝利を掴んだことだ。

306『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 00:06:14
ある日、日沼流月はメインストリート内の喫茶店に来ていた。
食事をしに来たのではない。
別に食事もできるが。

『高収入! スタンド使い募集!』という怪しげな張り紙を発見した。
そこに指定されていたのがこの喫茶店だったわけである。
怖いもの見たさか、それとも収入欲しさか、とにかく日沼はここに来た。
書かれていた席にはすでに人がいる。
窓際の席だ。
二人いる。
片方は髪を一つ縛りにした線の細い青年。
もう片方は青年の隣、奥に座って頭にバンダナを巻いた強面の男性である。

多分、あれを書いたのは彼らなのだろう。
別人という可能性もあるが、時間などの指定も間違っていない。
彼らだ。

307日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 01:19:00
>>306(GM)

「ども〜っ、もしかして遅れちゃってました?」

      イヒヒッ

  ヒヌマ ルナ
「『日沼 流月』で〜す。
 例の、お仕事の話で来たわけなんですけど」

顔色をうかがう。金に釣られたのが半分――――『好奇心』が半分。
反骨の荒野を歩むことに決めた日沼は、裏社会への興味を隠せない。

「あのぉ、これって合法なやつです?
 流月も法に『背く』のはNGっていうかですね、
 というかお二方――――カタギの人ですよね?」

             「なんて。ぷぷ、ウケる……」

               チラッ

顔色を、うかがう。
今多弁になっているのは、この場の雰囲気への焦りもある気はした。

――――――――――――――――――――――――――――――

【外見】
金と銀の中間程度の色の髪。前髪はぱっつん。後ろ髪は背中まで。
数か所が重力に逆らうように跳ね上がっているのが特徴。
服装はオーバーサイズのパーカーに、デニムパンツ。

【持ち物】
財布、スマホ。

【能力詳細】
長ランを着たような人型のヴィジョン。
殴ったものに『痕』を付け、『叛逆の意志』を芽生えさせる。
現在の『叛逆』は『反転』

『サグ・パッション』
破壊力:B スピード:C  射程距離:E
持続力:D 精密動作性:D 成長性:C
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/104

308『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 01:39:26
>>307

青年:「僕はカタギですよ」

そう青年が返した。
白いシャツにスラックス。
古めかしいループタイをつけた姿は線の細さも相まって文学青年といった感じだ。
奥の男は青年と違ってラフな感じだ。
日沼同様、オーバーサイズの服を身にまとっている。
笑うと金歯が見える。

青年:「合法……合法、ですよね?」

強面:「興行だから決闘罪にはならないだろ」

青年:「ですよね……?」

何やらこそこそと話している声が聞こえる。
隠すつもりでやっているのなら台無しであろう。

青年:「だ、大丈夫ですよ! とにかく、お座りください。何か注文しますか? ごちそういたしますよ」

309日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 02:30:12
>>308

「へへっ、どーもどーも」

                 ス トン

「カタギならよかったでェ〜す!
 カタギで合法ならもっといいワケですんで、
 大丈夫ってことで信じさせて貰いますねっ!」

とりあえず、椅子に座る。
青年は……裏稼業の人間、という雰囲気には見えないが、
チーム『桜裏悲鳴』のOGにも地味に見えて怖いヒトはいる。

強面は……どうも、『裏の人間』な気がするが、
青年があえて明言しなかったのだから、
あえて突く気はない。そういう逆張りは趣味じゃない。

(やばいとこ来ちゃったかなァ……
 なんか決闘とか言ってるし! まじ?
 でも30万はめちゃくちゃでかいし、
 ちゃんとした裏の人間がやってるなら、
 『逆に』裏の秩序みたいなので安全かも?)

それに、素人が開く危険なイベントよりは、
本職が興行でやる集会のほうがマシな気もした。

「オッいいんですか! にへ、じゃあお言葉に甘えて〜。
 えっとね、流月はクリームソーダがいいです!
 もしそれがなかったら……『逆に』ミルクティーあたりかな」

            「ミルクティーもなかったら〜〜〜」

                     「……どーしよっかな? ぷぷ、
                       一番高いのにしちゃおうかなァ」

もし自分の近くにメニューがあるなら、手に取っておこう。何か面白いのはあるだろうか?

310『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 03:01:58
>>309

日沼の前の二人は通常であれば一緒にいるような雰囲気ではない。
ライオンとシマウマが隣り合わせに過ごさない様に、住むジャンルや区分が違う雰囲気である。
反逆という道の日沼は男のようであり、だが踏み外さなければ青年の側にも身を置いているようでもある。

青年:「あ、申し遅れました。僕はコハル・トランプです。隣の方が新元号(しんげん ごう)さんです」

お近づきの印に、とコハルが花束を日沼の前に置いた。

手に取ったメニュー表にはクリームソーダがある。
ミルクティーもある。
他にも軽食のほかにハンバーグやオムライス、手作りのハンバーガーなどもある。
『ウルトラスーパーデラックス・ミックス・トッピング』『ジューシービックチーズバーガー』など赤字で書かれている。
前者はクリームソーダなどにつけるタイプのトッピングらしい。
詳しくどういうものかは書かれていない。
多分ウルトラスーパーデラックスなんだろう、知らないけど。
後者はチーズバーガーだ。
多分ジューシーだ。
他にも『常識知らずサンドイッチ』や『恥知らずおにぎり』『親知らずケーキ』などがある。

コハル:「新元さんどうします? 僕は『熱烈歓迎ティラミスセット』にしようと思うんですけど」

新元:「ハムカツサンドのセットで」

311日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 03:39:37
>>310

「コハルさん、新元さんどーもでェす。
 今日はゴチになりまぁ〜〜〜す。
 えーーーっとね、じゃあ流月はクリームソーダと、
 『ジューシービッグチーズバーガー』1つでぇ〜」

「あ、これセットにしたほうがお得じゃん! やっぱセットで!」

とりあえず先に注文をしてしまおう。
核心に入るのは、ウェイトレスが行ってからでも遅くはない。

「とゆーか、このメニュー名……ぷぷっ、ウケる。
 親知らずケーキとかさぁ〜〜〜ッ……へへへ。
 嫌な名前過ぎて『逆に』気になっちゃうワケですよ。 
 食べたら一発で虫歯になる的なヤツなのかな」

                 「注文はしないけど〜」

「ちなみに、ハムカツサンドはハムカツサンドなんです?」

などといいつつ、メニューからそれらしいものを探してみる。
ウェイトレス(ウェイター)が注文を取り終えたら、メニューは閉じるつもり。

312『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 12:17:42
>>311

コハル:「『ジューシービックチーズバーガー』とクリームソーダのセットですね」

「ここのメニューの名前、やっぱり変ですよね」

新元:「個性をはき違えてる」

メニュー表はハムカツサンドを含め、それらしい名前のものが並ぶ。
明らかに異物感のあるものがちょくちょくカットインしてきているが。
割合で言えば7:3くらいだろう。
そうこう言っているうちにコハルがウエイターを呼んだ。
よどみなく注文は完了し、ウエイターは厨房の方に戻っていく。

新元:「ここのハムカツサンドは普通のハムカツサンドだよ」

「マスタードとソースのバランスがいいんだこれが。マジで逸品だぜ」

新元が笑う。
お気に入りらしい。

コハル:「で、えーっと、何から説明しましょうか」

313日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 23:03:51
>>312

「メジャーに『反すれば』イイってもんでもないですもんね。
 『逆に』置いてるもの自体はメジャーそのものっぽいですし?」

     「『外したい』のかどーなのか」

「味のほうは『外さない』みたいで安心ですけどねェ〜」

メニューを閉じた。
まあ、うまければべつにいい・・・そういうものだ。

「ん〜。流月、なんも知らないから、
 最初っからお願いしてい〜ですか?」

      「『何と決闘するのか』とか」

          「『どこで決闘するのか』とか」

             「『いつ決闘』……ぷぷっ」

「なァ〜んて、決闘するとは限らないワケですけど。へへ、早とちりでした?」

決闘罪、という言葉は、やはり耳に残っていた。
『参謀』を自称する日沼だが、争いごとにすごく抵抗があるというわけでもない。

314『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/05(金) 00:25:23
>>313

新元:「あえて外すこともあるわな」

基本的にはメジャーである。
この異物もアクセントと見れば悪くない、のかもしれない。
親知らずカップケーキだけど。

コハル:「日沼さんにはスタンド使い同士の戦いをして頂きます。私たちは『アリーナ』という組織、あるいは興行のスタッフです」

コハルは仕事の内容についてそう答えた。

新元:「俺の甥っ子の相手を探してる。アリーナの闘士から選んでもいいが……組織内政治的に色々問題もあったりする」

コハル:「日沼さんには関係の無いところです」

新元:「『アリーナ』じゃ、コハル派の地位は低い……」

コハル:「派閥の長とか無理ですって……」

それも日沼からすれば関係の無いところだ。

コハル:「いつ、と言われると少々困ってしまいますね。日沼さんが望むなら今日にでも」

「こういう仕事ですからね、やっぱり辞めたとなることもあります。意思決定のための時間を用意しています」

だから、そう遠くないなら都合のいい日で大丈夫なわけだ。

315日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/05(金) 01:10:07
>>314

「『あえて』って言うなら……
 『ジンギスカンキャラメル』とか?
 ウケ狙いで外すのはありますよね〜ッ」

厨房のほうに何げなく視線を向けたが、
それで異物混入を防げるわけでもない。

「『アリーナ』……『闘技場』ってワケですね。
 スタンド使いの闘技場、それもちっとも『違法』じゃない。
 へへっ、『裏社会感』バッチリしてきたワケですけど」

違法じゃないのは希望だが。

「へえ、『甥っ子の相手』――――」

        「なんかこう、ちょっと、
         お見合いみたいですね!
          ぷぷぷっ…………ウケる」

などと言いながら、少し考えるそぶりを見せて。

「う〜〜〜〜ん」

「あのあの、日にちの前に一応確認ですけどもォ〜〜〜、
 身内同伴で、メシまで奢ってもらって、おカネも出て。
 それで、対戦カードに『政治的』問題アリってコトですけど」

日沼はアリーナの仕組みを知らない。

「これってさ、『勝ち負けは忖度してくれ』ってワケじゃないですよね?」

           「そーいうのとは、逆ですよね?」
 
「『裏』とかなしで甥っ子さんをボコるか、イヤだけどボコられるか、
 勝ち負けは実力次第で、ガチで『戦う』――――それでいいんですよねェ?」

だが、『ケンカ』がある種の『ビジネス』になることは知っている。
そして、そうした種のビジネスには、『黒い疑惑』がつきものだ、ということも。

正々堂々は日沼流月の哲学ではない――――が、『後出しのルール』には『反骨』する。
なので万が一ということも考えて、いまのうちに『勝てばいいのかどうか』は明らかにしておく。

316『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/05(金) 01:33:28
>>315

コハル:「……です」

「ジンギスカンキャラメルは……美味しい、です……」

新元:「お見合いしたけりゃ紹介するけど、止めとけよ。お前と合わんよ。クソ真面目だから」

考えるそぶり。
それから質問。
コハルと新元はそれに頷いた。
疑問は最もだと言うように。

新元:「忖度の必要はねぇ。アイツは真剣勝負で三連勝してる」

「むしろ負けて欲しいくらいだぜ、挫折を知るって意味ではな」

まぁ、そう負けはしないがと付け加えた。

コハル:「僕はアリーナという組織がどんなものかは興味があまりないですけど、自分の管理する場所くらいはクリーンなものにしたい」

「そこは信じてもらって大丈夫ですよ」

317日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/05(金) 02:37:51
>>316

「……まじ? ウケる、味覚って人それぞれですね。
 サルミアッキとかも地元だと美味しいっていうらしいですしね」

あれを美味しいとはお世辞でもうなずけなかった。

「あ〜っ、流月もお見合い婚よりは、
 恋愛結婚希望してるタイプなんで!
 この話は破談ってコトでお願いします」

そして、紹介も受ける気はない。

「な〜るほどね! 強すぎて相手が見つからないってワケ?
 それじゃ、流月がそいつのことボコって挫折させたげますよ」

     ヘッヘッヘ
             「『負けはしない』とか言われると、
              『逆に』勝とうって気になるんですよね〜〜っ」

なにせ今からぶちのめす相手だ。
徹頭徹尾・徹尾徹頭ひっくり返してやるつもりだ。

 「まっ、勝負が始まる前から
  こういうこと言ってるとですよ?
  負けるってのがお約束ですけど――」

              ズギャン!!

「――――流月と『サグ・パッション』は、
 お約束ってヤツを『裏切る』のが好きなんですよね」
 
              「あそうそう、他何かルール説明とかあります?」

318『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/05(金) 21:29:40
>>317

新元:「……やってみな」

金歯を見せながら新元はそう言った。
意に介さず。
慣れたことに対処することのように。
まぁ、闘うのは自分ではない。
あくまで彼の甥である。

コハル:「心強い」

「そうですね。アリーナ、闘技場内に設置する道具などはある程度用意します」

「冷蔵庫とかなら大丈夫です」

319日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/05(金) 23:39:46
>>318

「やってやりますよ。流月、嘘あんまつかないんで!」

やる気にあふれたセリフ――――

「てゆーか、『道具』ですかぁ〜。う〜ん。
 あんまごちゃごちゃすごい仕掛けあっても、
 敵の人の能力次第で『逆用』されそうですしぃ〜
 シンプルなのがいいかな〜とか思うワケですけど」

から一転、スタンドヴィジョンを消し頬杖をつくような姿勢に。

「『柱』とか、そーいう障害物とか?
 あんまケンカの経験とかはないケド、
 なんとゆーか完全に真っ平なステージだと、
 さすがに『策士っぷり』魅せられないかなぁ〜とか」

     「へへ、なんでもイイってなると、
      『かえって』考えるの難しいですね」

正直なところ『スタンド戦』には慣れていない。
自分にぴったりな『ギミック』の考案などは、
日沼にはまだ、すぐに思いつくものではないが・・・

「冷蔵庫――――はナニ? メジャーなんですか?
 試合中に冷やしてるドリンク飲める、みたいな〜〜〜?」

             「ぷぷ、それはないですよねぇ」

あえてコハルが提示した『冷蔵庫』という妙なチョイスに、食いついた。

320『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/06(土) 01:46:23
>>319

やる気のある言葉。
そこから、一見消極的にも見える頬杖の体勢。
自然である。
ケレン味というよりも、日沼流月という個人の持つ自然体。

コハル:「なければないでも大丈夫ですよ」

それもまた選択の一つだ。
『サグ・パッション』は剛力のスタンドだ。
同時に大雑把なスタンドでもある。
大抵の障害物なり設置物は動かせるし、破壊できる。
それは強みである。
相手が仕込みを行うのが得意なら、その準備段階から潰しにかかれる。
あるいは、隠れるという行動を抑制できる。
同時に、細やかな動作が出来ないという弱みも抱えているが。

コハル:「いつだったか、冷蔵庫を用意した対戦があったはずですね」

「ステンドグラスの衝立とかも扱いましたね」

新元:「こっちは刃物を闘技場に用意してもらってる」

「刀をな」

321日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/06(土) 15:30:28
>>320

「ほんとに何でもありってワケですね。
 じゃあ流月も、『パーテーション』とかを〜〜……え?
 はも……刀?? それヤバくないですか〜〜??
 いや、流月、30万円で命売る気はさすがにないってゆーか」

             「『逆』のほうも」

    キョロッキョロッ

          「ほら、だって、『刀』」

話題が剣呑すぎるので声を抑える。

「っ使ってくる相手に、『加減』とかできないですしぃ。
 『サグ・パッション』ってコンクリとか砕けるんで、
 それで刀振り回す相手を思いっきり蹴ったりしたら、
 どっちが勝ってもどっちか死にそうなんですけど〜〜」

「その辺、安全とか大丈夫なワケです?
 いや、『逆に』そのエグさが観客にウケまくってて」

格闘技でも『事故死』はある。
それは、まあ、イヤだが、理解できる。

「それで、『アリーナ』っていうのがこう、
 『裏社会』パワーみたいので揉み消したり?」

「そーいうのセンパイの持ってる漫画で見たんですけどぉ〜……」

だが――刃物など持ち出せば毎回のように死人が出かねない。
興行なら犯罪ではないとは言っていたが、さすがにまずいと思い疑問をぶつけた。

322『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/06(土) 16:37:28
>>321


新元:「こっちが頼んでるのは闘技場内に刀を設置してくれってことだ」

「刀は自前のがある……お前さんが使ってもいいってことだぜ」

それでも刀を相手にするという事実は揺るがない。

コハル:「……治療は致しますよ。スタンドによる治療なので大抵の怪我は治せます」

裏返せば、アフターケアだけが万全の状態。
戦闘中の安全は当然保障されない。
スポーツ化された競技、と言い切れるものではない。

コハル:「痛みや負傷はともかく命は保障させていただきます」

「我々は殺し合いをしているのではないので」

そう言ってコハルが微笑む。
少なくともこういう状況ではそんな風に笑ってみせる必要はないはずだが。
それでもこの青年は不安を和らげるためなのか、笑ってみせた。

新元:「刀で首斬りゃあそりゃ死ぬが、お前ので頭ぶっ叩かれりゃ死ぬだろ」

「加減をしてくれるってのなら、話は別だが」

「俺の知ってる闘士の中には腹切られても死ななかった奴がいるから安心しろよ」

323日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/06(土) 17:01:03
>>322

「えぇ〜〜〜流月、剣道したことないんですよ。
 それに刀って、なんかちゃんとしたやつだと、
 漫画みたいに振り回せる重さじゃないって噂だし」

(『自前の刀がある』のに、『刀を設置』?
 それ、流月に武器くれるだけじゃん。
 騎士道精神みたいな? なんかのゲームで見た!
 ウケる。……いや、怪しい。ぜったい『裏』があるでしょ)

刀をふるう自分がイメージできない。
それで有利になる自分も、だ。
そのあたりは、まあ、『見極める』しかない。

「あ、けがを治すスタンド、ってのもいるんですね。
 よかった〜、とりあえず死にはしないなら。
 死ななくても斬られたりするのは嫌ですけど。
 ……死にはしないってコトで信じますんで〜!」

そういうルールでやっていて、
まじめな性格だというのなら、
首をハネにきたりはしないだろう。
そこは『紳士協定』として信じよう。

「てゆーか流月この前チャリで事故ったとき、
 けっこうな勢いで壁に突っ込んで、
 一瞬死ぬかと思ったんですけど……
 斬られるのってそれより痛いですかねぇ?」

        「斬られずに勝ちたいですねえ。
         観客も斬られるの期待してそうだし」

             ギシ

    「それを裏切りたいですよね」

椅子にもたれかかり、自転車事故で若干残ったあざを見る。
切り傷が目立つところに残ったりすると、本当に嫌だなあと思った。

324『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/07(日) 00:03:27
>>323

現状、刀の設置の理由は不明である。
向こう側からすれば何か仕掛けがあるのか、それともただ武器を提供しているだけなのか。

コハル:「えぇ、絶対に殺させません」

彼らの所属する組織は確かに裏社会といっても過言ではない。
だが、少なくとも映画や漫画のような裏の人間でもない。
……コハルはあくまで自身を裏社会ではないカタギの人間だと認識している。

新元:「存分に裏切ってくれ」

「……多分、自転車よりも数倍は痛いだろうしな」

俺は事故ったことは無いけど、と新元が呟いた。

その辺りで、ウエイターが商品を持ってきた。
新元の元には厚みのあるハムカツサンドと軽いサラダとコーヒー。
コハルの元には『熱烈歓迎ティラミスセット』―――ティラミスとババロアの盛り合わせ。
そして日沼の注文である『ジューシービックチーズバーガー』である。
岩を切り出したような大きめのハンバーグに、マグマのようなチーズが溶けている。
横にはセットのクリームソーダだ。

325日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/07(日) 02:16:59
>>324

「相手の人も死なない感じでお願いですよ」

(とりあえず『刀』は迂闊に触るとヤバいか。
 これで何の仕掛けもなかったら逆にウケるけど)

「おっ、来ましたね〜メニュー。
 超おいしそうじゃないですかぁっ」

          スッ

「カロリーヤバそ〜〜〜。写真撮っていいです?
 このメニューとか『機密事項』だったりします?」

「ぷぷ、普通の店だしそれはないですよね〜」

スマホを取り出しつつ、
クリームソーダを手元に引き寄せる。
写真は、許可されるまでは撮れない。
勝手に撮ってキレられたことがあるのだ。

「対戦は、今日はいきなりすぎるんでぇ〜っ、
 明日か、明後日くらいでお願いできますか?」

      「別に何を準備するワケでもないですけど」

326『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/07(日) 03:10:32
>>325

コハル:「いいですよ」

コハルの店という訳では無いが。

コハル:「では明日で」

「」時間は追って連絡しますから、連絡先交換しときましょうか

327日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/07(日) 03:48:58
>>326

「やたっ。じゃあ撮りまぁ〜す」

           「チーズ」

       パシャ

「あっ駄洒落みたいになっちゃったじゃん!
 ぷぷぷ……そっちのチーズじゃないんですよぉ」

               パシャ            

チーズバーガーを画面に収めつつ、
フォークなりで解体しながら胃にも収める。

「んじゃ、明日ってことで」

「集合場所は、明日もここでいいんですかね〜?
 それか、闘技場の場所に直で行ったほうがいいですかぁ?」

328『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/07(日) 12:14:10
>>327

新元:「何も言ってねぇよ……」

そう呟き、それぞれが自分のものを食べ始める。
チーズバーガーは非常に食べごたえのある一品だ。
何種類かのチーズが混ぜ合わされており、ソースの味も合わさり濃厚な味が口に広がる。

コハル:「明日またここに来てください。闘技場までお送りします」

329日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/07(日) 21:27:35
>>328

「言われるかと思いましたんで〜。
 んじゃ、明日ここに徒歩で来ますです」

         「これウマッ」

             スッスッ

手元や服を汚すことなく、
ハンバーガーを食べ終える日沼。

「あ、メイクとかしてきたほうがいいですかね〜?
 それか、試合前に『メイクさん』とかいたりします?」

「ぷぷ、どうせ汚れますけど……いや笑いごとじゃないですか」

今日は帰ったらセンパイに借りていた『格闘漫画』を読み、
あとYoutubeで『格闘動画』を見るなどしてテンションを上げておこう。

330『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/10(水) 13:33:40
>>329

コハル:「英気を養って下さいね」

ビッグでジューシーなハンバーガーは日沼によって平らげれた。
次は対戦相手を平らげるか、敵の攻撃を食らうか。

◆◆◆◆◆◆

翌日、呼ばれたのは少し遅い時間だった。
格闘漫画と動画による予習は完璧である。
既に来ていたコハルは黒服に身を包んでいた。
正直、似合ってはいない。
そして今回のアシとなるのは黒塗りの高級車だ。
黒服の彼と合わさると怪しさ、あるいは剛力な雰囲気が増す気がした。

コハル:「どうぞ、お乗り下さい。日沼さん」

コハルが後部座席のドアを開けた。
乗り込めば闘技場まで案内されるだろう。

331日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/10(水) 19:01:43
>>330

「こんちゃ〜〜っす。
 うわ、『マフィア』みたいな車ですね〜」

昨日とさほど変わらない服装で現れた。
実際のところは、安物や古い服が中心で、
汚れても問題ないよう心構えはしている。

       「そのスーツ制服です?
         私物じゃないですよね?」

            スィッ

「うわ〜ッほんとに『裏社会』っぽ〜〜〜い」

そういうわけで、車に乗り込む。
シャンデリアとか、ついてたりするんだろうか?

332『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 00:16:57
>>331

コハル:「僕がお世話になった方がこういうのが好きみたいで……厳めしい感じですよね」

「これは……半分制服ですかね。派閥の長になる人とかは割と自由だと思いますけど」

座れば体に感触が伝わってくる。
バスや電車といった公共交通機関や自家用車とは明らかに違う座り心地。
良質という概念を切り取ったような品質だ。
シャンデリアこそないが車内は明るく、ポータブル冷蔵庫の中では炭酸飲料が冷やされている。

コハル:「クリームソーダもご用意しています。お好きでしょう?」

「それと、資料にお目通しをお願いしますね」

運転席に座ったコハルが渡したのは折りたたみ式のバインダーだ。
それを開くと中には闘技場の写真と対戦相手の資料らしいものが挟まれていた。

333『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 00:33:11
ランカー名:新元 令和
スタンド名:『レイ・レイ・ワウ』(Lay Lay Wah)
ステージ:『闘技場』
賞金額:『30万円』
上昇:強くなる
入場曲:ttps://www.youtube.com/watch?v=VeUQk7O-1E4

『ASCENSION CLUB』の新人。
新元流という剣術を扱うスタンド使いです。
その太刀筋は稲妻ともいわれる居合術。
ストレートな人ですよ。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。

コハル:「今でしたら闘技場内に新しく物を置いたりできますけど、どうしますか?」

「これで大丈夫でしたら、このままで闘えますよ」

334日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/11(木) 01:31:08
>>332

「ふ〜〜〜ん、そういう感じなんですね・・・」

あまり面白くはなさそうに、
制服について聞きながら、
シートに思う存分背中を沈める。

「高級車はいいですね〜っ。
 うわ、冷蔵庫までついてるし!
 ウケる……あ、クリームソーダ。
 いや〜至れり尽くせりすぎますけど、
 こーいうのは『逆らって』も仕方ないんで」

「うん、好きです! いただきま〜す」

           ジャリジャリ

素直に好物を食べさせていただきつつ、資料を受け取る。
逆らうのは、自分が逆らいたいと思った時だけでいい。

「ん……令和? ぷぷ、ウケる。ノリノリな名前ですね。
 あ〜そ〜ですね、ギミックとか正直よくわからないですし」

「う〜ん、『障害物』が多いと『かえって』戦いにくいんで。
 あんま刀振り回せないように『柱』並べてもらうとか、
 そーいうのも考えないでもないワケですけども〜」

      「初戦から物に頼るのもシャバいでしょ?
       流月の『知略』をアピールするにしても、
       『結局モノ頼りかよ』って思われるよりは、
       あるものを利用する方がカッコいいっていうか〜っ」

これは、明らかに格闘漫画と不良文化の影響を受けた発言だ。

335『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 02:00:59
>>334

コハル:「じゃあ、このままで試合が出来るように伝えておきますね」

「シャバいかどうかは人それぞれですけど」

口の中にクリームソーダの味が広がる。

コハル:「そういえば、日沼さんはレディースか何かなんですか?」

「いえ、何となくそう思っただけですけど」

336日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/11(木) 02:26:47
>>335

「そーですね、流月的にはどうかなってだけなんで〜」

         「『レディース』ってゆーか、
          まあ、そんな感じですね。
          『桜裏悲鳴』ってチームで」
 
            「流月頭いいんで、『参謀』的なね〜」

質問に軽く答えつつ、車が目的地に着くのを待つ。
さすがに車内をスマホで撮ってSNSに上げる気はしないし。

337『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 22:41:50
>>336

車が到着して、日沼は控え室らしき場所に通された。
ロッカールームのようになっているそこにはパイプ椅子が置かれている。
先程のシートに比べれば幾分座り心地が悪い。

コハル:「それでは最後にこちらを」

渡される書類。
それは『アリーナ』にランカー、闘技者として登録するためのもの。

【ランカー名】
【スタンド名】
【異名】(必要なければ空欄でよい)
【入場曲】

338日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/12(金) 00:23:50
>>337

「車はめっちゃ豪華だったのに、
 こっちは庶民的な感じなんですね」

    「『かえって』落ち着きますけど」

          ギィ

パイプ椅子に体重を預けつつ、
書類に目を通し、必要事項を記入する。

         ヒヌマ ルナ
【ランカー名】日沼 流月
【スタンド名】『サグ・パッション』
【異名】『逆作姫(サカサヒメ)』
【入場曲】ttps://www.youtube.com/watch?v=qNBrTOnw0Gw

「別に『ジャニーズ』も『逆裁』も、
 特別好きってワケじゃないですけど〜
 流月にぴったりだと思うんですよね」

              「タイトルとかですよ」

異名については特に触れない。
これについては『自然に出てきた』から、自慢も照れも今はなかった。

339『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/12(金) 22:53:21
>>338

コハル:「なるほど逆転」

「……頑張ってくださいね」

書類をチェックし、コハルが頷く。
どうやら受理されたようだ。
どこかから音が聞こえる。
興行は着々と進んでいるらしい。

コハル:「では、日沼さんの試合の準備が出来たらお呼びいたしますね」

「それまでお待ちください」

頭を下げて、コハルが部屋から出て行った。

340『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/12(金) 23:00:50
アリーナの控室。
日沼の部屋から離れた場所にあるそこに一人の男がいる。
名は新元令和という。
座禅を組み、瞑想をしていた。
傍らには鞘に納められた日本刀。
目の前には蝋燭が立てられている。
薄暗い部屋の中で蝋燭の火が空調の風で揺れていた。

「時間だぜ」

扉の前から声がする。
自分の叔父の声だ。
ゆっくりと立ち上がり、鞘を掴む。

「今行きます」

そう答えて、男は刀を抜いた。
居合。
蝋燭の火を切り裂き、部屋の中は完全な暗闇になった。

「今日の相手は?」

「日沼流月って女の子だよ」

「……女性は苦手です」

扉が開かれた。

341『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/12(金) 23:11:59
時間が来た。
日沼の控室にコハルがやってきたのだ。
扉を開け、長い通路を歩いていく。
徐々に熱気が増していくのが分かる。
人の声が聞こえる。
観客の声だ。
日沼を待っている。
日沼流月の闘いを待っている。
人々の持つ熱量が本物の熱のように伝播してくる。

コハル:「あ、僕はここで失礼しますね。解説とか実況もしないといけないので」

そう言って途中でコハルはいなくなった。
一人で歩く。
道の先にひと際明るい場所がある。
入場口だ。

コハル:「あぁ、すいません。普段なら日沼さんに先に入場してもらうんですけど……」

「今回に限っては赤コーナーから入場していただきます」

確か、コハルは別れる時にそう言っていた。
だから今できるのは相手の入場を観察するのと、どんなふうに入場するかを思案することだ。
他にも、闘技場の観察なども出来るだろう。

342日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/12(金) 23:40:34
>>339-341

           ザッ

「流月さあ、部活とかやらないから、
 こーいう『大舞台』って初めてなワケですよ」
 
         ザッ

コハルと別れる前に、そういった。
それから、一人で通路を歩きながら、
誰に言うでもなく言葉に出していた。

「だから、後入場で良かった。
 さすがにちょっと緊張するし〜」

           ピタ

「どういうものなのか、基準も見ときたいし」

               「さ」

足を止めて――――『令和』を名乗る男を見やる。

343『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/13(土) 00:55:44
>>342

闘技場に立っていたのは新元号であった。
着崩したスーツを身にまとい、手には一本のマイク。

「アリーナにお越しの紳士淑女の皆様方、本日もわざわざご苦労!」

「『ASCENSION CLUB』及び『新元流剣術』が誇りをもってお送りするファイターはこの男!」

音が鳴り響く。
新元令和の入場曲だ(ttps://www.youtube.com/watch?v=VeUQk7O-1E4)
その音響に負けぬほどに新元が声を張り上げる。

「二十四時間、一週間、十二ヶ月、即ち三百六十五日、人生の全時間を武に捧げる男!」

「『大槻正』『昭山和』『平成美』の三人をことごとく切り捨て目下三連勝」

「この男の紫電一閃の一太刀の前にすべての者は一・刀・両・断!」

観客も一刀両断と声に出して斉唱する。
明らかに入場口から感じる熱が増していた。
大きな歓声がうるさい。

「176cm、82kg『閃く紫電』新元令和ァ! 新時代を切り開く令和維新だ!」

来る。
対角線の入場口。
新元令和は叔父の熱に反してゆっくりと歩いて出てきた。
既に抜かれた刀を右手に、鞘を左手に持っている。
袴を履いた和装の男。

「それでは今日の相手にご入場頂こうかァ!」

そう言って新元号が去っていく。
さぁ、入場だ。

344日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/13(土) 15:24:07
>>343

「えっ。身長体重とか言わなきゃダメなやつなのこれ!
 流月、その辺はトップシークレットにしてるんだけど〜っ
 あいつが勝手に言ってるだけだよね。そういうことにしとこ」

              ザッ


         ザッ

「とゆーか観客もノリノリじゃん」 

        「流月、アウェーなのかな」

                「『ひっくり返し』甲斐あるじゃん」

   ――――ザッ


(……あの異名とか、流月で名乗らなきゃなのかな?)

何かアナウンスなどはあるのだろうか――――あるならそれから。
特に無さそうであれば、『入場曲』が流れ始めてから。
入場口から、観客から見えるところまで歩み出る。
そのへんの『きまり』を破るのは『反骨』ではなく、
単なる無秩序……ルールだから破るんじゃない。

    『破りたいルールだけ破ってやる』。

逆巻いた金の髪、オーバーサイズのパーカー、デニムパンツ。
キメた恰好もせず、素のままでいかにもな『サムライ』の相手になってやる。     

      ズギュン

「『サグ・パッション』――――」

「『四連勝』を見に来たヤツらには悪いんだけどさぁ〜〜〜〜〜〜ッ」

          「今日は流月の華々しいデビューを見てもらうからね!」

マイクもない声が聞こえるかは知らないが、自分に言い聞かせる意味もある。
叛逆は無意識から湧く感情ではない。この世界の予定調和にノーを突きつけるため燃やす炎だ。

345『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/13(土) 22:46:12
>>344

『解説という立場でありながら言わせていただきます』

『彼女は今、圧倒的なアウェーの中にいます』

コハルのアナウンスが響く。
観客の声援も若干のトーンダウン感が否めない。

『ですが! ですが、だからこそ彼女は輝きを放ちます!』

『流れに逆らう、空気に逆らう、逆境の中で何かを掴む!』

『三連勝の侍に挑むのは一人の少女』

『彦星と織姫が出会うような衝撃的な一幕を生み出すのはこの新人!』

『逆作姫』

『日沼流月ァァァァァ!』

曲が鳴り響く(ttps://www.youtube.com/watch?v=qNBrTOnw0Gw)

《やってやれお嬢ちゃーん!》

《ぶった切られろォ!》

《カワイー!》

《ヒュー!》

様々な声が鼓膜を揺らす。
対する新元令和は日沼に頭を下げ、鞘に刀を収めた。
戦いが始まる。

346日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/13(土) 23:22:59
>>345

「ね、ね。聞いた? 今可愛いって聞こえたよ。
 ま、流月も自分の見た目に自信なくはないけどね。
 でも、今日そんなにメイクとかしてきてないワケだしさ」

「それに、『やってやれ』って」

             ズギュン


「『アウェー』は『裏切る』」         

「期待は『裏切らない』」

スタンドを発現して、一歩前に出る。
頭を下げ返したりはしない。
『武道』をしに来たんじゃあないからだ。

(刀、出してたのになんでしまったんだろ。
 『居合切り』ってやつだったりする?
 でも、それなら設置してる刀が抜き身なのは変でしょ)

ステージに目を走らせる。
刀が刺さっているタイルに『損傷』はあるだろうか?
つまり、『もともと使っているタイルにそのまま刺してる』のか、
それとも特注の『刺すための穴があるタイルなのか』を見たい。

347『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/14(日) 00:22:29
>>346

『実況、解説はコハル・トランプが送ります』

『それでは、はじめっ!』

日沼は闘技場内に視線を巡らせる。
白い砂がまかれているから分かりにくいが、しっかりとつき立っている。
恐らく、穴を開けられた特殊な床なのだろう。
特殊な刀、という感じではなさそうだ。

「では、一太刀を」

ゆっくりと新元令和が近づいてくる。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

348日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/14(日) 01:55:22
>>347

(無理やり突き刺した感じじゃない。
 つまり『昨日今日用意した床』だ。
 そんな変な『工事』なんてする時間ないでしょ)

「――――よし、やってみよう」

        (……つまり)

             ブンッ

唐突に、前方の地面に『サグ・パッション』の手を振るう。
床を砕いて『剣士』の戦いを牽制するのもだが、
ほかに、確実にしておきたいことがあるのも理由だ。

それは――――『床』が、どのような性質なのか、ということ。

もっと具体的には・・・『床タイル』は『剥がせる物』なのかどうかだ。
その可能性を、考えていた。いわゆる『ギミック』を設置する都合、
床の材質は一定であってはならない。切り替えやすい必要がある。
例えば『冷蔵庫』を置くなら『電源』をどこかから引く必要があるが、
そのために、わざわざ『工事』をしていては『商売』にならない。
今回のように『穴の開いた床』を用意するなどは、なおさらそうだろう。

もちろん『床の性質を変えるスタンド使い』がいる可能性はあったが、
派閥という概念の存在を考えれば、『ステージ』をそれに依存する可能性は低い。
・・・これももちろん、『考え違い』の可能性はあるが、リスクも薄い。試す価値はある。

(どっちにしろ、一手目は『床を砕く』って決めてた。
 『武器』を手に入れながら、相手の強みを奪う。
 ついでに『今後』の布石も打つ。流月やっぱ頭いいわ〜!)

「一太刀もいいけど、『1タイル』なんてのはどう?」

手をふるう位置はタイルの『端』だ。
タイルが土台に『接着』『固定』されている可能性を考え、
それを無理やり『引きはがし』て『サグ・パッション』に持たせるため。

もしアテが外れても、それはそれで床の砕ける破片が生まれるだろう。
その場合は大き目の破片を手に取ればいい。『1タイル』は、『フカシ』になってしまうが。

349『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/15(月) 23:29:28
>>348

       ガゴォン

『サグ・パッション』の腕が振り下ろされる。
床タイルはその膂力によって砕かれた。
柔らかくはないが、少なくとも『サグ・パッション』のパワーからすればその辺りのものと変わらない。
タイルと床を繋いでいたのはボルトだ。
しかし、『サグ・パッション』は無理やりにその拘束を引きはがし、パネルをぶっこぬいた。
宣言通り、一タイル。

《何という金剛力でしょう! 床パネルを引き抜きましたァ!》

「では、太刀とタイル、どちらが、はやいか……」

新元が鯉口を切った。
その瞬間だった。
彼の刀が光った。
恐らく紫の色だったように思える。
そう思った時には、彼は深く、深く踏み込んでいた。
目にもとまらぬ速さの踏み込みである(スB)

「どうしますか?」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
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∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
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∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

350日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/16(火) 02:30:43
>>349

「よし、上出来――――」

(ってやばい! いきなりこっち来てるし!
 いや、そりゃ刀なんだから来るんだけど。
 来るって知ってるからタイル剥がしたんだ)

           「――――じゃん!」

   トッ

(いや違うっもっと落ち着け流月、
 『いきなり来た』……そうだ、速すぎる。
 いくらサムライでもあんな早く踏み込めないでしょ)

(出来ないはずのことが出来てる。――――じゃない。
 『逆に』考えればいい、あいつの出来る事のひとつはこれだ)

スタンドにはタイルを『前に突き出させる』。
振るうとか、持ち変えるとかはいらない。
引きはがしたまま、それを前に突き出させる。
精密動作性の低さを補うには単純な動作がイイ。

「『速い』のはそっちかもしれないけど、
 『早い』のはこっちなんじゃない?
 『攻撃する準備』の話だけどさぁ〜〜〜ッ」

     「自慢の刀も届かないうちなら棒と同じッ」

(だから『当てるため』にもう一手くらいあるかもしれないし、
 それを見とくためにも、迎え撃つので間違いない、間違いない)

位置変えも考えたが、迎撃と両立すると半端になるし、
タイルを捨ててまで全力回避するよりは、この方が次につながる。

力任せに、タイルを突き出し、接近してくるのを迎え撃つ。
常人ならこれで死んでもおかしくないが、まあ、『小手調べ』になるだろうか。

351『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/16(火) 03:12:04
>>350

《日沼選手、スタンドにタイルを突き出させます!》

        《刀を扱う新元選手相手には有効な牽制です》

「確かに……」

刀という武器の性質上、接近しなければならない。
殴打も接近を必要とするが、投擲などの手段によって射程をカバーできる。
それに、『サグ・パッション』のパワーなら、生身の人間に一撃与えるだけでもかなりのダメージになる。

「……ならばこれにて」

新元令和は跳んだ。
立体的な動きで、日沼の視界の中の新元が大きくなる。
彼が着地したのはタイルの上だ。

《八艘跳びもかくやという華麗な跳躍! 両選手が一気に急接近!》

『サグ・パッション』のパワーであればタイルを問題なく支えられる。
人ひとりが乗ったところでそれは変わらない。
故に、新元は足場にそのタイルを選んだ。

「届けば棒でなく刀と知りなさい」

刀が抜かれる。
抜きながら斬りにかかっている。
先ほど同様なら人を超えた速度の斬撃が訪れる。
距離が詰められたからか、日沼の目にははっきりと彼の刀の変化が見えた。
光ったのは彼の刀そのものではない。
彼の刀は電気を纏っている。
相手は紫電を纏った刀を持っているのだ。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
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∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
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∴■□□刀□□新□□刀□□■∴
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∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

352日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/16(火) 05:26:02
>>351

(やばっ!? 速いだけじゃあないっ運動神経やばい!!
 これ能力? 素でやってる? 速いのは能力だけど、
 こういうの『古武術』とかやってたら出来てもおかしくないし)

             (能力なのはこの電気みたいなのだ!)

  (でも)  (この間合いはめちゃ怖いけど)  
 
          (良かったかも。こいつが運動神経よくて。
            普通の相手ならこの手は使えなかったでしょ)

タイルを、迷わず手放させる。そしてスタンドとともに下がる。
手放したことで空いたスタンドの手は――――『拳を握り』構える。

「そういやさ! 『アセンションクラブ』?」

       「『上昇』だっけ、上昇……」

タイルをはがすとき、なぜ『砕いた』のか。
最初から剥がしに行くのではなくなぜ砕いたのか。
――――固定を外すために? それ『も』ある。

「そんなに上昇志向強いならさ〜!
 流月の手が届かないとこまで昇っちゃえ」

         「『サグ・パッション』」

だが、もう一つある。『サグ・パッション』はタイルから手を放した。
タイルは『新元』の体重で床に落ちる。『普通なら』。

           ギュッ

――――『サグ・パッション』には能力がある。
布石は、打った。タイルに叩き込み、印した。(>>348メ―ル欄『印』)
タイルを砕くための打撃は同時に、叛逆の印……『痕』を『刻印』するための物だ!

そして拳を握れば……発動させる。『叛逆』の力を。
上からかけられた体重で、順当に地面に落下するはずのタイル。

       「『叛逆』の旗印だッッ!!!」
 
                        ギュゥゥゥゥッ

体重をかけ続ける限り、『下への力』を入力する限り、『上昇し続ける』タイルになれ。

もし仮に何かの理由で能力発動がうまくいかないとしても、『タイルが落ちて敵の姿勢は崩れる』し、
『サグ・パッション』が拳を構え、下がって多少対処の余地をとれるのも事実としてある。それはそれでいい。

353『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/17(水) 00:21:12
>>352

相手の刀に纏った電気を能力と予想する日沼。
その答えはどうだろうか。

「ん」

手を離し、手を握る。
一見意味のない動作のように見えるがそうではない。
既に刻まれた『痕』がある。
上昇。
与えられた新元の自重によって落ちるタイルが逆にせりあがる。

《こ、これは……! 複雑怪奇!》

「ほう……これは」

下向きに振るわれた刃。
『サグ・パッション』の腕をかすめるがダメージを与える程ではない。

「面白いスタンドをお持ちで」

《まるで重力に逆らうようにタイルが上昇します! これが逆作姫の生み出す叛逆の狼煙!》

不味いと思ったのか後方に新元が飛び退いた。
刀を納め、地面に転がって衝撃を分散する。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
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∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

354日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/17(水) 01:45:11
>>353

「っつ! あっぶな! 斬れたかと思ったじゃん……!」

(こいつの能力は『電気の刀』!
 だと思ったけど、それじゃあ、
 刺さった刀はほんとに何?ってなるし)

    「しかも余裕しゃくしゃくだし」

          「面白い〜ッ?」

      (電気……『電磁力』?
        だめだめ、まだ考えても無駄)

「いやいや〜ッ、それほどでも。あるけどね〜ッ
 でも、『令和』クンのスタンドもウケるんでしょ?
 もう4戦目なのにこんなにお客さん来てるんだし」

単純な刀の強化だけで『3連勝』出来るとは思えない。
まだ先があるのだろう。が、それを今判断できる材料はない。

「流月も、エレベーターだけの一発屋じゃないワケだからさ」

「面白いだけで済むかどうか、まだまだこっから『ひっくり返す』」
 
               ブォンッ

新元令和が『降りた』のだから『入力』がなくなり、
タイルは――――日沼と『サグ・パッション』の前に落下してくるはず。

そこに向けて、1歩踏み込みながら、スタンドでパンチを放つ。
砕くためのパンチではない。砕けてもいいけど。狙いは『前に飛ばす』こと。
精密な狙いなんて当然つけられるはずはない(パス精BCD)
けれど、パンチが当たれば、前に飛ぶ。それはまあ、期待していいはず。
手に持つ武器、エレベーターと酷使したタイルを、次は『飛び道具』にするのだ。

355『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/18(木) 01:25:37
>>354

「私も斬ったかと思いましたが……なかなかどうして」

「面白い」

控えめに、新元令和は笑う。
お互いにまだ万全の状態である。

《先ほどまで重力に逆らっていたタイルが落ちてきます》

《日沼選手、そのタイルを打ちぬいたァ!》

タイルは変形しながらも新元に向かって飛んでいく。

「……では最短距離にて」

床に手がつくほどに姿勢を低くし、タイルを避ける新元。
姿勢を起こしながら刀を抜きつつ、再び神速の踏み込み。

《新元選手、再度の接近!》

「逆作姫……日沼さん……」

「ともかく、お覚悟を」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□タ□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。現在も飛んでいる状態

356日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/18(木) 21:46:10
>>355

「斬られる覚悟なんかするわけないでしょ!
 ま、でも、覚悟はちゃんとしてるから。
 『逆』のだけどね…………本気でブン殴る覚悟ッ」

スタンドと共に、やや後退する。
『攻撃』が到達するまでの時間を少しでも稼ぐため。

      「『サグ・パッション』!」

   ギュッ

拳を固く握り締め、迎え撃つように、低く掬うような軌道で殴る。
相手の方が速いにせよ、何もせず斬られる事にはならないだろう。

それに・・・・・・

「それによ」

「そういう『精神論』より『策』で戦う!
 それが、流月の『参謀』たるゆえんだからさァ」

そして、握った拳は再び……発動する。
打撃にて刻む印、叛逆の証(>>354メール欄)
後方に飛んだタイルを…………ブーメランのように引き戻す!
これにより発生する挟撃。もし斬られても、いや斬られたくないが、
それに匹敵するか……それ以上のダメージを負わせてやる。

後退は・・・敵の攻撃だけじゃあない。
この『攻撃』が届くまでの時間を稼ぐ意味もある。

357『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/18(木) 23:14:09
>>356

「精神論?」

「これは心構えというもの」

後退しつつ、拳を振るう。
間違いのない力を行使する。
それに対して新元が取った行動は深追いをしないことだった。

「まさか遊びに来た訳でもないでしょう」

一度上がった姿勢がまた下がる。
刀は完全に抜かれ、低い姿勢のまま新元が右手に持ったそれを構えた。
低い姿勢であれば必然、戻ってくるタイルはそのままに。

《タイルのブーメラン……!?》

新元の頭上ギリギリをタイルが掠める。
日沼に向かってそのまま返ってきている。

「逆作姫、逆さ姫。逆さ……上昇……ふむ」

「では参謀殿、次はそのタイルを掴んで再び投擲しますか?」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□刀□□タ□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。現在も飛んでいる状態

358日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/18(木) 23:51:17
>>357

(背中に目でもついてるみたいに!
 『読まれた』? それともただの偶然?
 これが能力、って感じはしないけど)

回避された『タイルのブーメラン』。
その『叛逆』を取りやめさせ、
戻ってきたそれをつかみはしない。

「そういう予想されちゃうと、
 『逆らい』たくなっちゃうじゃん!」

実際には逆らうというより、精度の低さを自覚している。
この危急の状況で、わざわざ難しいことはしない。
やることは右手でタイルを床に『打ち下ろす』ことだ。
低い姿勢で突っ込んでくる敵に対する、壁にするかのように。
一応、この時もタイルに『痕』を刻印はしておこう。
動きを止められれば御の字だが、敵も未だ『技』を見せていない。

「そっちはどーすんの?
 また『サーカス』みたいに飛び乗る!?」

(斬られたらまじでやばい……『覚悟』してても痛いものは痛い)

          (けど)

              (刀……狙う価値はある)

だから、左手は空けてある。
先ほどのようにタイルの上を超えてくるか?
それとも迂回するか、タイルを吹き飛ばしてくるか?

上を超えてくる場合、打ち下ろしたタイルを『上昇』させて防げばいい。
迂回と、突破。意識をそこに絞って――――最悪、『反撃』も視野に入れておく。


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