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【ミ】『ギャザリング・ガーデン』其の二

257ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/18(金) 00:04:38
>>255(GM)
>>256(今泉さん)

「先生、ご協力感謝します」

カレンを『先生』が無事にキャッチしたのを見届ければ
『ボーダー・リーヴァー』を解除して、入口の方へ振り返る。

カレンが到着すれば、再会の様子を笑顔で見ていたが

     ギュインッ

入口に人影が見えれば表情を戻し、
部屋内と、各々の様子を一瞥する。

タマキの場所を知っていた彼女が
このタイミングで来るということは──

「ひょっとして、あなたはカレンさんを探していたのですか」
「『小鍛冶』さん」

問う。

258『一斤染めの夢』:2019/01/18(金) 00:51:14
>>256 (今泉PC)

カレン:「ホントによかった。ありがとう」

弾んだ声が返ってくる。

少年:「鈴元涼ぉ言いますぅ」

作務衣:「鈴元家お手伝い、円山です」

そういう円山の手には線の繋がれていない黒電話。
それが彼女の右手の上に乗っていた。
攻撃的な雰囲気は三人にはない。

>>257 (ヨロズPC)

『ドウイタシマシテ』

『コール・イット・ラヴ』が小さく頭を下げた。

タマキ:「カレ……ン……」

カレン:「ボクだよタマキ。探したよ、とっても探したんだ」

徐々に意識が覚醒していくタマキ。
カレンはそれに対して笑みを浮かべて話しかけている。

明:「そうね、そこの子を探してたの。ここに迷い込んで、最初に見つけたスタンド使いよ。何か知ってるのかと思ってね」

「……もし私が何か良くないことを企んでるのだと思っているのなら、大間違いよ」

259『一斤染めの夢』:2019/01/18(金) 01:05:22
>>ALL

カレン:「タマキ、一緒に帰ろう」

タマキ:「……なの」

カレン:「え?」

タマキ:「嫌、なの……!」

その言葉にカレンはショックを受けたようだった。
静止、その表現が正しいリアクション。
言葉の意味が理解できないという感じで、だけどどこかそれに納得しているようでもあった。

タマキ:「カレンはまた、私を駅に連れて行くのだわ」

カレン:「な、なに言って……そんな……」

タマキ:「神様に誓えないのだわ。カレンは絶対に、絶対に……!」

するりとタマキが『コール・イット・ラヴ』の腕からするりと抜ける。
着地の勢いで服の間からずり落ちてきた本を掴む。
真っ白い白紙の本。
そこに『Sleeping On The Sidewalk』の文字が浮かぶ。

タマキ:「私は駅になんか行かないのだわ! 私はどこにも行かない! こんな島だって……こんな島にだって……ホントは……!」

空間が歪む。
CGを被せたように倉庫内の風景と何か別の風景が混ざり合っている。
倉庫内から別の建物内に変化し、また元に戻る。
ぐにゃりと倉庫の壁が歪み、そこから別の何かが見えた。
大きな看板だ。
そこに書かれた文字は―――星見駅

タマキ:「嫌! 嫌! 嫌!」

倉庫の壁に向かってタマキが走り出す。
変化していく空間。
今泉の側に存在するはずの扉が見える。
世界そのものが歪んでいる。

260今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/18(金) 02:50:54
>>259(GM)

質問その①
私の側にあるはずの『扉』はなくなっているんでしょうか?
もしくは、見えなくなっているのでしょうか?
それとも、見えているけど、別の壁にも出ているのでしょうか?

質問その②
タマキさんが走っていく先の壁に『扉』が出てきたんでしょうか?

261『一斤染めの夢』:2019/01/18(金) 15:57:19
>>260


今泉PC側の扉はタマキ側にあった壁に変化しつつある。


その認識で正しい。

262今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/18(金) 20:51:59
>>257(ヨロズさん)
>>258-259(GM)

「きっとっ」

「お話を、しないといけないんだと思うんです」
「カレンさんと」「タマキさんと」
「何かあったなら、スタンドとか抜きで、フツーに」

「だから……」

せっかくここまでやってきた事なんだ。
それをなかったことにしちゃ、いけないんだ。

         ギャリリ
            リ

               ガリリリッ!!

ドアに立てた(>>256メール欄)爪を振り下ろす。

「先生、タマキさんを止めてください!」

タマキさんが走っていくところにドアが出る……
それなら、それを『傷がついた』ドアにすればいい。
小さくて浅い傷しかつけられないかもしれない。
それでいい。傷さえつけば、『補修』される。
口でお願いするより早く、先生が向かってくれる。
人間よりずっと速く、先生がタマキさんの行く先に行く。

もしこれで爪が割れたって、あとで治せばいい。
だって先生の能力は、元通りフツーに治す事なんだから。

263ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/19(土) 22:52:49
>>258-259(GM)
>>262(今泉さん)

一連の状況を見て、思案するヨロズ。

「……」

小鍛冶、鈴元、円山は、自分たちと同じように
ここから脱出しようとしている者らしい。
──彼らの言葉を信じるのであれば、だが。


逃げまどうタマキを見て思案するヨロズ。

「……」

先程、タマキの衣服に『接続』した。
つまり、衣服から数秒間ならば
ヴィジョンを出して取り押さえる事も出来るだろう。
──だが今泉は「フツー」に話し合うべきだという。


      ロボット
「やはり、『 私  』は心の機微に鈍いようです」
    
「……『私』に出来ることは、皆さんを」
「小鍛冶さんたちを」
「カレンさんとタマキさんを」

「何より、今泉さんを」

右手を下ろし、そう呟いて

「信じる事だけのようです」

事の成り行きを見守った。

264『一斤染めの夢』:2019/01/20(日) 00:20:46
>>262 (今泉PC)
>>263 (ヨロズPC)

ヨロズは静観を選んだ。
間違いではない。
ロボットが心の機微に鈍いと感じるのならば、それは正しい選択なのだろう。
しかし、この場で取り押さえるという行動をとらなかったこと、他の人を信じるという道を歩んだこと。
それは一つの見方において、優しさと捉えることも出来るものだ。
よしんば鈍くとも、ヨロズは優しい選択をできたのかもしれない。

今泉は行動を選んだ。
間違いではない。
先生のことを今泉は理解している。
壁に出来た傷、爪は……大丈夫、割れていない。
二つの扉が一つに統合され、タマキの前のものだけが残る。
しかし、それは傷つけられた扉。

『今泉サン、イケマセンヨ。爪ニモ、環境ニモ、ヨクアリマセン』

瞬間移動したように先生が扉の近くに現れ、マスキングテープを張る。
それで修復は開始される。

タマキ:「え……」

思わぬ移動にタマキが立ち止まり……いや、ブレーキをかけ損ない尻餅をついた。

タマキ:「コ、『コメトス』!」

カレン:「止めてタマキ!」

タマキの傍に人型のヴィジョンが立つが、動かない。

カレン:「大丈夫……大丈夫……ちょっと寝起きで混乱してるんだよね? 大丈夫だから……」

また、倉庫内の空間が歪む。
ゆっくりと上昇していく感覚がある。
エレベーターの中にいるようだ。
しかし、空間はエレベーターではなく、寂れたホテルの一室のように変化していく。

明:「……これは、整理が必要、かしら」

265今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/20(日) 00:42:21
>>263(ヨロズさん)
>>264(GM)

「いててっ」
「タマキさんごめんなさい、先生が道塞いじゃって」

爪は割れなかったみたいだ。
痛いのは嫌だし、よかった。

私も、フツーに人間だけど。
こころとか、フツーにしか……わかんないけど。
それでも、これはきっとフツーで、おかしなことじゃない。

「先生も、ごめんなさい。これしか思いつかなくって」
「それなら、こうするのがフツーかなって」

タマキさんの『コメトス』を見る。
先生は戦うのは得意じゃない。
殴るための手じゃない。蹴るための脚じゃない。

「わっ、これ」「『エレベーター』!」「じゃなくてっ」
「ホテル……うーん、ますますフツーじゃないですねえ」

「窓の外は海なのかな」

けど、戦うことにはならなかった。
けど……話すにもなんだかフツーじゃない。

窓があったら外を見てみよう。

「えーと」「これ、誰かのスタンド能力ですか?」
「私と芽足さん、あとカレンさんは違いますよねっ?」

「それとも」「……この町だとフツーの事だったりします?」

少し前からこの町にいる小鍛治さんに話を振ってみる。
状況を整理をするためにも、話の中心になってもらいたいのもある。
カレンさんとタマキさんは、まだちょっと落ち着く必要がありそうだし。

266ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/20(日) 22:42:57
>>264(GM)
>>265(今泉さん)

「……」

上昇の感覚。
周囲の空間の変化。
これは『コメトス』の能力によるものなのだろうか。

ともかく、ヨロズはカレンがタマキを
『フツー』になだめられる事に賭けている。
強引に取り押さえたり、言いくるめたりするつもりは無い。

だが、それでもただ成り行きに任せるだけというつもりも無かった。

「整理とは何でしょう、小鍛冶さん」ギュインッ

首だけで小鍛冶の方を向いて問う。

267『一斤染めの夢』:2019/01/21(月) 04:17:46
>>265 (今泉PC)
>>266 (ヨロズPC)

タマキ:「はっ……はっ……はぁ……はぁ……」

タマキが呼吸を整える。
ゆっくりと彼女の呼吸が整うにつれ、『コメトス』が消えていく。
そして、倉庫は完全にホテルの一室に変化した。
今泉は窓から外を見る。
そこには砂浜や海小屋の姿がある。
どうやら先程までいた倉庫がホテルに変わってしまったらしい。

明:「状況と心の整理よ。バタバタしてるとまともに話し合えないですもの」

「それと私たちのスタンドはこういう変化はさせられないわ。それといきなり建物が増えるのは普通じゃないわね」

そう言って小鍛治がベッドに座る。
あの三人のスタンドではない。
だとすれば。

明:「質問するわ。そこの貴方に」

小鍛治の視線がカレンに向けられた。

明:「貴方のスタンドは違うわよね? 空を飛んでいたもの」

「この世界を自由に操れる能力、なら話は別だけど」

その言葉にカレンは首を振る。

カレン:「……本だよ。さっきの本」

268今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/22(火) 00:05:24
>>266(ヨロズさん)
>>267(GM)

タマキさんはとりあえず、落ち着いたのかな。

「芽足さん、外はフツーみたいです」
「この建物だけ変わっちゃった感じで……」

窓の外を見ながら一応伝えておく。

「本……あの『白い本』ですか」「なるほど」

この『島』を作ったのがあの本なら、納得だ。
世界を作る事が出来るなら変える事も出来る。
とんでもないことだけど、それはフツーだ。

問題は本が勝手に世界を作ったのかどうか、だけど。
タマキさんが何か理由があって本の力を使ったなら?
その理由を聞いて、きっとお話しなきゃいけない。

「どうして、この島が生まれて」
「私達がここに迷い込んじゃったのか」

「その本を読んだら分かるのかな」「うーん」
「見てみていいです?」「なんて、軽い物じゃないですよねえ」

今は本はどこにあるんだっけ。タマキさんが持ったまま?
貸してくれるようなものじゃないんだろうけど、一応話に出しておく。

269ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/22(火) 23:20:36
>>268(今泉さん)
>>267(GM)

「なるほど」
「やはり本、ですか」

頷きながら会話を聞く。

「それで、問題はその本を」
「だれがどうやって制御しているかですね」

「『コメトス』が関係しているのですか?」
「それとも、別の第三者の能力でしょうか」

事情を訊きだす。

270『一斤染めの夢』:2019/01/24(木) 00:03:55
>>268 (今泉PC)
>>269 (ヨロズPC)

タマキ:「……いやなの」

覇気のない様子でタマキが白い本を抱きしめる。
落ち着いているが、同時に少し落ち込んでいた。
相変わらず本には『Sleeping On The Sidewalk』の文字が浮かんでいる。

明:「誰が制御してるかって、まぁ私は後乗りでここに来るまでの状況というのを知らないけど」

「私たちも貴方たちもその本を扱えない」

カレン:「『コメトス』は人を眠らせるのが能力です……」

タマキ:「カレン」

カレン「ごめん……」

少しの間静寂が部屋に流れる。
俯き気味に口を閉じるタマキ。
心が移ったのか不安そうな顔をしているのが鈴元と円山だ。
鈴元は懐から出した巾着袋をごそごそとやりだした。

明:「となると消去法的にカレンさんかタマキさんね」

しかし、カレンが本を操っているのだろうか。

明:「私はそこの二人とは面識がないんだけど」

「今泉さんとヨロズさんは何か聞いていないかしら。何があって、こうなったのか、とか」

「私は駅に行こうとしたらここに迷い込んでしまったから、詳しくは分からないのだけど」

271今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/24(木) 01:43:57
>>269(ヨロズさん)
>>270(GM)

「私達もここの事はよく分からないですねえ」
「迷い込んだのは小鍛治さんと同じですし」

「ここに来る前にカレンさんから聞いたのは」

「……あ、言っちゃっていいですよね?」
「言うなとか、言われてないですし」「えーと」
「『タマキさんが作った島』って事くらいですけど」

フツーに、ここで黙ってはいられない。
消去法だから、隠してもすぐわかる事だし。

「なんで作ったのかとか」「どうやったのかとか」
「そもそも偶然作ったのか作ろうとしたのかとか」

「なんで関係ない人が入ってきちゃうのかとか」
「本をどうすれば出られるのか、とかっ」

「そのあたりは聞いてないんですよね〜」
「『何があって』とかは、特に」

タマキさんが悪いとかそういうのじゃない。
もちろん、カレンさんも小鍛治さんも悪くない。

みんなフツーのことをしてるだけなんだと、思う。
私もフツーに帰りたいから、今話すべきことは話す。

272ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/24(木) 23:14:14
>>270(GM)
>>271(今泉さん)

「私が認識していることは」
「今泉さんと同じく、タマキさんが作ったらしいという事と」

「『住民が良い人』」
「『住民が『駅』の存在を信じている』」
「『この空間が星見駅近辺にある』」

「と、これぐらいでしょうか」

スマートフォンを取り出しながら答える。

「これが、タマキさんの意思によるものでしたら」

「まだ、解除していただく為の何か必要な『鍵』が」
「足りていないのでしょうか、ね」

273『一斤染めの夢』:2019/01/24(木) 23:57:40
>>271 (今泉PC)
>>272 (ヨロズPC)

「……そう」

静かにそう呟いて、小鍛治が立ち上がる。
歩みを進め、その先にはタマキとカレンがいる。
小鍛治の冷たい顔がより一層冷たい色を持つ。

「追及を行うわ。貴方たち二人に」

「なんだったかしら、いつか見た記事の話なんだけど、八百ページの長編小説は銃弾を防げるらしいわよ」

小鍛治の右手がピストルの形を作る。
その形は小鍛治明にとって冗談でもなんでもない。

「弾とか銃の種類にもよるとは思うけど、貴方の白い本はそれだけのページ数はなさそうね」

小鍛治が言葉を続ける。

「その本を壊せばいいのかしら? それとも大本から? ごめんなさいね、ことと次第によっては強硬手段でやらせてもらうわ」

「私の目標はすでに、脱出から解決に変化しつつある」

「手段を選んであげるほど、私は優しくもないし、貴方たちを信じる心も薄いわ」

274『一斤染めの夢』:2019/01/25(金) 00:12:51
「証言一『タマキさんがこの島を作った』」
                                        「証言二『住人は人が良い』」
    「証言三『住人は駅の存在を信じている』」
                           「証言四『この駅は星見駅周辺にある』」

                        「復唱完了」

一度口を閉じ、再度小鍛治が話し始める。
カレンとタマキは緊張した面持ちでそれに相対する。

「ここから先は私の見たものと知っていることを言わせてもらうわ」

「『この島に駅はない』」

「『タマキさんはカレンさんが駅に連れて行くと言って逃げた』」

「『住人は駅に向かいたい意志がある』」

一つ一つ確かめるように言う。

「今泉さん、ヨロズさん、現状分かっていないのは何もかもという感じだけれど」

「案外、何があったのかというのは重要だと思わない?」

カレン:「ま、待って……ボクが悪いんです……」

「そう、何が悪いのかも私は分からないのだけど」

小鍛治の態度にカレンたちは委縮しかけているようだ。
話し合いをするためにもカレンたちにこちら側から話しかけるのもいいかもしれない。
現状、小鍛治の立ち位置は良いとは言えない。
もしもその手のピストルがスタンドのショットガンに変わることがあれば、より面倒なことになる。

275今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/25(金) 00:25:25
>>272(ヨロズさん)
>>273-274(GM)

「小鍛治さん、落ち着いてください」
「本を壊して済めば早いですけど」
「逆に出られなくなったりするかもですし」
「本の持ち主を傷つけたりしたらなおさら」

「そういうのは怖いと思いますし」
「そういう流れになるのも怖いんでしょうし」
「怖いと、ちゃんと話せなくなるかも」
 
        スタスタ

「二人とも、フツーにまだ子供ですしねっ」

小鍛治さんの気持ちもフツーなのかも。
けど、ここから出るには逆効果な気もする。
だから間に割って入る。……もし撃ってきたら?
銃なら手足がちぎれたりはしないと思う。
だから、先生がいれば治せる。

それでもまだ攻撃してくるなら先生がやっつけてくれる。

「それで!」

「カレンさんは一体何をしちゃったんです?」
「話し辛いことでも、出来たら話してほしいんですけども」

カレンさんに振り向いて、強引に話を進めちゃおう。
流石に話し出したら小鍛治さんも気が変わってくれるかも。

276ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/25(金) 23:57:36
>>273-274(GM)
>>275(今泉さん)
「私も今泉さんに同意見です」
「暴力はまだ無し、で」

「事情に詳しいのはカレンさんなのだから、カレンさんの話を聞きましょう」

「どうぞ、カレンさん続けてください」
「何故、自分が悪いと思うのです?その経緯は?」

カレンに続きを促す。

277『一斤染めの夢』:2019/01/26(土) 00:20:11
>>275 (今泉PC)
>>276 (ヨロズPC)

鈴元:「明ちゃん」

明:「……じゃあ、貴方たちが追及を。私より貴方たちの方が親しそうだしね」

鈴元:「明ちゃん、言い方ってあるんよ?」

手が下ろされる。
小鍛治は鈴元に服を引っ張られて後ろに下がっていった。

カレン:「……ボクがタマキを駅に連れてこうとして……」

「それが必要だと思ったんだ」

タマキ:「……」

カレンの意志はタマキに拒絶された。
タマキが駅に向かいたくないと言っていたことからも明らかなことだ。

カレン:「……タマキ、いい? 話して……」

タマキ:「好きにするといいのだわ……いつもみたいに好き勝手してたらいいのだわ……」

カレン:「あー……」

「えっと、デリケートなことで、その、あのお姉さん二人だけに話したい……」

「明とかが信用できないとかじゃなくて、えっと」

明:「別にいいわよ、それで」

明と鈴元、円山の三人が壁際により耳を塞ぐ。
それを確認してからカレンが二人に走り寄った。
そして、小さな声で言った。

カレン:「タマキの両親がなくなったんだ」

278今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/26(土) 00:56:35
>>276(ヨロズさん)
>>277(GM)

タマキさんは拗ねてるのかな。仕方ないと思う。
けど、私たちもここから出なきゃいけない。
それも、きっと、仕方ないことだ。

「しっかり聞いておくんで安心してください!」
「もちろん」「言い触らしたりもしませんよ」

「それではお聞きしますっ」

小鍛治さんたちは離れてくれたみたい。
私と芽足さんは、カレンさんの話を

「…………………………………………………………」

「…………へえ」「それは」「とても」
「悲しい気持ちに、なりますねえ」

フツーのことだ。

「…………」

「ゆっくりで……いいので」
「続きも、教えてください」

「『駅』に行って、何をする気だったんですか?」

もしかするとこの場所は。
それでも。
それだから。
そうじゃなくても。

私はフツーに帰りたい。だから話の続きを促す。

279ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/27(日) 21:43:36
>>277(GM)
>>278(今泉さん)

「……」

無言でそれぞれの言葉を聞くヨロズ。

合理的な、あるいは直接的な答えを得るには──

「──。一つずつ、読み解いていくしかなさそうです、ね」

「なるほど」
「ならば」
「何故カレンさんは駅に行くべきと考え」
「タマキさんはそれを拒否した、のでしょうか」

カレンに問う。

280『一斤染めの夢』:2019/01/28(月) 23:30:37
>>278 (今泉PC)
>>279 (ヨロズPC)

カレン:「お迎えが来るんだ」

子供が一人で生きていくのは現実的な話ではない。
カレンはそれを知っている。

カレン:「タマキは両親との折り合いが悪くかったんだ」

「ボクとボクの友達とか、知り合いのお爺さんのお世話になることが多くて……」

所謂家出少女だ。

カレン:「だけど、ご両親が事故で亡くなられて、親戚の人がタマキの面倒を見るって」

「そういう連絡が来て……会いに行くために電車に乗って町から出ようとしたんだ」

「タマキは嫌がってた。でもなんとか説得して、渋々ついて来たんだけど、駅に着くころにはもう我慢が出来なくて」

それで、この島が出来たらしい。

カレン:「白い本はボクが持ってたんだ。あの本の管理をしてた」

「急に文字が出てきて、タマキの手元に飛んでいったと思ったら、もうこの島にいたんだ」

281今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/29(火) 02:01:37
>>279(ヨロズさん)
>>280(GM)

「お話ありがとうございます! それにしても」
「フツーに、難しい話ですねえ」

駅ってそういうことなんだ。
この世界に駅がないのも、当然なんだ。
ここはタマキさんか、タマキさんの気持ち?
それが作った世界なんだから、あるわけない。

それにしても。

「うーん」

「無理に連れて行くのもよくないですし」
「かといって、行かないのも困るんでしょうしっ」
「やっぱり難しいなあ」

これ、私が決めていいことじゃないよね。
アドバイスとか思い付けるかな。

「タマキさんと親戚の人との仲はどうなんですか?」
「いくらお世話してもらえるとはいっても」
「その人達とも折り合いが悪かったら……って」

「それか、星見町に何か思い残しがあるとか……どうですかね?」

親はともかく他の人たちとの関係はどうなんだろう。
知り合いの家にも泊めてもらったりしてるみたい。
それなら新しい人に会うのが嫌!とかじゃなさそう?

タマキさんのことを私は全然知らない。改めて思った。難しい話。

282ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/29(火) 22:38:47
>>280(GM)
>>281(今泉さん)

「…………」

「………………」

「…………………」

「ウ、ウィーン」

黙ってカレンと今泉の言葉を聞いていたヨロズだが、
その顔はいつの間にやら『歪んでいる』。

人間に例えるならば

『喉に何かを詰まらせた様な』 『どうしても納得できない様な』

そんな時の表情に近いだろうか。


「ええ」

「ええとそうですね」
「いくつか質問させてください」
「不快にさせてしまいましたら申し訳ないですが」
「必要な質問だと、考えますので」

顔の形を戻し、カレンに問う。

「本を管理している、と言いましたが常に持ち歩いてらっしゃるのですか?」

「本は、タマキさんの気持ちを反映してこの世界と住民を作ったと思いますか?」

「急に出てきた文字は、読めましたか?」


「そして、ええ、本当に言い間違いや言葉のあやでしたら」
「本当に、本当に申し訳ないのですけれども」

「『お迎えが来る』のに『電車に乗って町から出ようとした』んですか?」

283『一斤染めの夢』:2019/01/30(水) 04:20:29
>>281 (今泉PC)

「ほとんど会ったことはないみたいだよ」

「悪い印象はないけど、いい印象もない、悪い印象がないから行くと決めたけれど、いいんしょうがないから、不安もある」

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、とは言わないけどさ」

カレンはそう答えた。
タマキではない以上、全てを把握している訳では無い。

「思い残しは……どうだろう。ボクはそれが分からないんだ」

>>282 (ヨロズPC)

「別にいいよ。ムッとする話でも答えないと先には進めないからね」

カレンはそう言ってヨロズの質問に答えた。

「外に出る時は持ち歩いてる。あれが大変なものだとボクは聞いてる。だから盗まれないように持ってた」

「ただ、あの本が能力を発動する瞬間を見たのはあれが初めてだ」

カレンは白い本のことを情報として知っていたが、実際にどういうものかは知らなかった。

「あの本がタマキの心を反映したかどうかというのは、ボクの予測ではあるけどイエスと答えるよ」

「どこかに逃げたかったのか、本当はこんな所にいたかったのか」

だが、白い本は島の一部をこのホテルに変えてしまった。

「出てきた字で読めたのは表紙のあれだけだよ。えっとスリーピング云々ってやつ」

白い本の表紙に浮かんでいる文字だ。

「あぁ、お迎えが来るのに町から出ようとした。正しく言えば、お迎えが来るから町から出ようとした」

「タマキが出したお願いなんだ、タマキは町を出たことがないから、ボクと一緒に途中まで行って欲しいと言った」

「町を出て、ほんの数駅向こうに行く。その間にボクと最後の話をする」

タマキはそういう約束をしたのだ。
そこにどんな気持ちがあったかは分からない。

「そして、その数駅先の駅で親戚と合流して挨拶をする」

だから彼らは町を出ようとした。

284今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/30(水) 15:54:44
>>282(ヨロズさん)
>>283(GM)

「芽足さん、悩むとき『そういう音』するんですねえ」
「コンピュータールームのパソコンみたい」
「パソコンも機械ですもんね」

そんなことより。

「タマキさんのこころ」「まあ」
「いい人しかいなくて、綺麗な景色で」
「確かにこんな所、フツーに憧れますけどっ」

フツーの日常の方がいいとはとても言えない。
ずっとここにいたら、そう思うようになるかもしれないけど。

「タマキさんはこの島がすごく好きってわけでも、なさそうでしたよね」
「それに、この世界のひとたちもタマキさんの心を反映してるなら」
「フツーに『駅を探してる人たち』がいるってことは」「そういう事じゃないですか?」

そういうことを言ってた(>>259)よね。
それに、この世界の人たちはみんな『駅』を探してもいる。
永遠にここや、星見町に留まりたいってきもちなら、そんな風になるかな。
町が星見町の見た目になったり、駅なんて探してない人たちになったりしないかな。
真っ白な町は『まだ見たことが無い新しい町』なんじゃ、ないかな。
私にはタマキさんの『こころ』がないから、わかんないけど。

だけど、タマキさんはどこかで『未来』もちゃんと見てる、気がする。
じゃあ『過去』は? 聞いてる限りこの町にすごい愛着がある、っていう感じじゃない。

タマキさんが思い残す『なにか』――――『だれか』がいるとしたら。

「思い残しが、もしあるとしたら」
「ここは『ずっといるための場所』じゃなくって」
「『思い残し』をなくすための場所なのかも」

「最後の話の時間を、少しでも長くするための」「つまり」

「カレンさんっ、やっぱりカレンさんがタマキさんとお話するのが、良いと思うんです」

あらためて、最初に考えていたことを言う。これは、ふたりの問題で、ふたりのお話だと思う。

285ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/01/30(水) 23:36:43
>>283(GM)
>>284(今泉さん)


「ええ、ごく稀に異音がするのです」
「ごく稀に、ですけど」

今泉から少し目をそらしながら答える。

「申し訳ありません」
「『お迎えが来る』という言葉でどうしても」
「シニガミ(音声ボリューム極小)」
「を、想い起こしてしまいましたので」

カレンに深く頭を下げる。

「確かに、今泉さんのいう通りに」
「駅へ行くことを完全に拒否しているようには思えません」

「何か心残りがある、というのが一番妥当な推測だと思います」
「ここまで聴いた限りでは、カレンさんは特別な存在な様ですし」
「我々には解らない様な深い繋がりもあるのかと思います」

「それをここで曝け出すことも、そうしない事も受け入れたいと思います」
「ただ、お二人が後悔しない幕引きである事を、望みます」

286『一斤染めの夢』:2019/01/31(木) 02:46:18
>>284 (今泉PC)
>>285 (ヨロズPC)

カレン:「……」

「……ボクはタマキに幸せになって欲しくて」

カレンはそう呟く。

「この島のことはわからないけど、もしかしたらキミの言う通りなのかもしれない」

揺れる瞳にはなにか感情がこもっている。
それを否定するように頭を振り、笑う。

「やっぱりこれはボクらの問題で、ボクらで話し合わないといけないことなんだね」

287今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/01/31(木) 16:52:51
>>285(ヨロズさん)
>>286(GM)

「奥深いですねえ、ロボットって」

逸らした目は、追わないことにした。

「きっとこの問題には」

「正解とかは、ないと思うんです」
「人間のこころの問題には、正解とかは」

「だけど」

「私達が決めちゃうのは、違うかなって」
「あ。二人が話し合うための手伝いなら、いくらでもしますよっ」

邪魔が入らないようにするとか。
話し合うための場所を探すとか。

そういうことなら、いくらでもしていいと思う。
でも、私達がこの二人の人生を決めるなんて。
少なくとも私には出来ないし、フツーにやらない。

288ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/02(土) 00:35:32
>>286(GM)
>>287(今泉さん)

「……まあ、ともかく」

「我々はカレンさんとタマキさんを再会させました」
「ここから先は貴方達がどうするか、と思うところもありますが」
「今泉さんのいう通り、手伝いならばいくらでもしましょう」
「それとも、まだ何か解決していない問題があるならば、仰ってください」
「単純にじっくり時間をかけたいという事ならば、私はゆっくり待ちますよ」

カレンに告げる。

289『一斤染めの夢』:2019/02/02(土) 23:50:04
>>287 (今泉PC)
>>288 (ヨロズPC)

カレン:「正解はない、か。はは……ボクもまだまだ子供だなぁ」

「いや、時間はかけない。これ以上かけたくないからね」

「だからボクはボクのすることをするから見てて。タマキが怒っちゃったらフォローしてくれたら嬉しいけど」

カレンがタマキの元へと歩いていく。
そして、彼女の前に座り込んだ。

カレン:「……ごめんね、タマキ。ボクが悪かった」

タマキ:「カレンはいつもそう言うの。何が悪いかも分かってなくてもそう言うの」

カレン:「うっ……」

普段の行いが悪いらしい。

カレン:「ま、まぁ、無理強いするようなことをしてたのは本当だからさ……」

「タマキはどうしたい?」

タマキ「……カレンといたいの」

290『一斤染めの夢』:2019/02/03(日) 00:12:39
タマキ:「……どこかでカレンがさらってくれる気がしてたの。またいつもの場所に帰ってこられる気がしたの」

「でもそうはなりそうにないから……カレンは私と離れ離れになるのを選んだのだわって……」

白い本に浮かぶ文字が滲む。
はっきりした文字から水が染み込んだような文字へと変わっていく。
それに反応する様に、この一室の輪郭もぼやけていくようだった。

カレン:「……」

タマキ:「カレンは私のこと嫌いなのだわ……」

カレン:「違うよ」

タマキ:「じゃあ、なんでカレンは私の思うことをしてくれないの?」

カレン:「ボクと一緒にいるのは、普通じゃないんだよ。ずっと、死ぬまで今みたいな生活は出来ないんだ」

「面倒を見てくれる人はいるけど、一生は面倒見切れないんだよ」

カレンの言葉が力なく零れる。
二人は向き合えたが、まだ解決には至れていない。
カレンのフォローをするか、それとも行く末を見守るかは自由だ。

291今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/03(日) 01:11:45
>>288(ヨロズさん)
>>289-290(GM)

「…………」

私がでしゃばるのはきっと違う。

違うけど。 

フォローを、頼まれたし。
それに。

「あのっ」

「た」
          ゲホ

「大切なっ、人、同士なら」

「電車でいくつか離れた駅でも」
「違う町でも」
「また、会えるんじゃないですか」
「カレンさんからでも」「タマキさんからでも」

「今は離れなきゃいけなくっても」

「いつか」「いつでも」

「『ひとりだち』した大人の人が、地元に帰るみたいに」
「なつやすみとかに、親戚の家に遊びに行くみたいに」
「また、フツーに会えばいいんじゃあないですかね」

話を聞いてる限りタマキさんは『二度と会えない』みたいに思ってそうだ。
でも、親戚に引き取られたからって『会えない』なんてこと、ないはずだ。
もしそんなこわい人たちなら、その話をタマキさんはしてるはずだ。

カレンさんから縁を切ろうとしてるなら? 『それはおかしい』。
ずっと一緒にいちゃいけないっていうのは、なんとなくわかる。
それじゃあ、フツーの大人になれない、ってことなんだと思う。
けど、どんなに自立したフツーの人でも、だれかといっしょにいるものだ。

だから助け舟を出さないと良くない気がした。
ゴールを決めちゃいけないけど、隠れてるゴールは見つけなきゃだめだ。

292ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/03(日) 22:25:50
>>289-290(GM)
>>291(今泉さん)

「……」

じっとカレンとタマキを見ながら沈黙。

(難しい、ですね)
(やはり、苦手ですね)
(正直なところ、『全然わからない』)
(言語化出来ない)

しかし、今泉の言葉に「正しさ」を感じているのか、
時折頷いている。

293『一斤染めの夢』:2019/02/04(月) 09:52:24
>>291 (今泉PC)
>>292 (ヨロズPC)

カレン:「未来……」

今泉の発言はカレンにとって間違いなく助け舟だった。
ヨロズのとった静観も、間違いではない。
まだ分からなくてもいずれわかる時が来るのかもしれない。
それは機械的なアップデートではなく、人間的な成長だ。

カレン:「また、会えるよ。約束する」

タマキ:「結局誰かのヒントでそんなこと言うの。でも、いいのだわ」

二人が小指を絡めた。
ここで二人が今生の別れをする訳では無いことを信じて。
いつかの日にまた会えるのを誓って。

カレン:「ずっと一緒だよ、タマキ」

そう呟いたカレンの声は涙で少し濡れていた。

294『一斤染めの夢』:2019/02/04(月) 10:09:48
◆◆◆◆◆

ゆっくりと景色が崩れていく。
まるでアイスクリームか溶けるように、どろどろになって消えた。
気付けば、そこは星見駅の前。
人通りは少なく、暖かな太陽の光が辺りを照らしている。

カレン:「あれ」

タマキ:「戻って……きたのだわ……」

明:「まぁ、帰ってこられたのならいいけれど、ねぇ?」

円山:「ぐすっ……」

鈴元:「……」

明:「他人の人生で泣くのはあまり良くないわよ」

各々好きなことを口にしている。

カレン:「これはこれで、オッケー、なのか、かな……?」

295今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/04(月) 20:58:22
>>292(ヨロズさん)
>>293-294(GM)

助け舟は出したから、私はそこまでだ。
カレンさんとタマキさんにはそれ以上何もしない。
二人が、きっと感動するような約束を交わすのも。
何も言わずに、笑顔にして見守っていて……それで。

「やったっ、戻ってこれましたね!」
「フツーの街並み」「フツーの人通り」

「それにフツーに冬」「寒っ」
「い、けどお日様はよく照ってますねえ」

周りを見渡す。
そうだ、ここは私たちの星見町だ。

きっと白い本が、満足してくれたんだ。

「オッケーだと思いますよ!」
「少なくとも、本はそう思ったんでしょうし」

「それで、みなさんはこれからどうします?」
「フツーに解散ですかね」

「というか今って何時くらいなんだろ」
「時間とかどうなってたのかな、あの町」

スマートフォンの時計を見てみる。
あの白い町で過ごした時間は、現実だったのかな。
少なくとも太陽は出てるくらいの時間みたいだけど。

296ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/04(月) 23:56:53
>>293-294(GM)
>>295(今泉さん)

「………」

ヨロズは、ただ黙って変わっていく風景を見ていた。

見知らぬ景色が、見知った星見町へと戻っていく。


「変わらぬ物は無い、ということでしょうか」

星見駅の駅舎を見上げながら、ぽつりと呟く。

「親愛も、幸福も」
「寂しさも、不安も」

「変わっていく物だから」

見知らぬ島の冒険は終わったのだ。
そこには恐怖も楽しさも、少なからず確かにあった。

「きっと、望む未来を自分で引き寄せていかなければならないのかもしれない」

「……」

「それでも」ギュイーン

首だけを動かして今泉を見る。

「あなたの『フツー』は、とても素敵ですから、変わってほしくないですね」

少し『ロボット』らしくないような、クシャっとした笑顔を向ける。


「さてカレンさん、タマキさん」
「改札まで送りましょうか?」

表情を戻して二人に問いかける。

297『一斤染めの夢』:2019/02/05(火) 00:39:16
>>295 (今泉PC)
>>296 (ヨロズPC)

明:「私たちは帰るつもりだけど」

今泉はスマホを確認する。
あの街での時間が反映されているのか、時間は進んでいる。

タマキ:「そうなのかもしれないのだわ」

ヨロズの言葉にタマキが小さくうなずく。
変わらないものはない。
時の流れと共にあらゆるものは形を変えていく。

タマキ:「少なくとも私の気持ちは変わったのだわ」

カレン:「お誘いはありがたいけど、いくらボクでもこういう時は二人きりでいた方がいいってことは分かるさ」

そういってカレンがタマキの手を握る。
見送りは必要ないのだろう。
だとすれば、ここでいったんお別れになるだろう。
何かかけたい言葉があるのならば、そうするのもいいだろう。

298今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/02/05(火) 07:25:45
>>296(ヨロズさん)
>>297(GM)

時間は進んでたみたいだ。今日中に帰れてよかった。

「…………ありがとうございますっ」

芽足さんにお礼を言う。

「なんだか、今日で芽足さんの印象変わりました」
「そういう顔もするんですねえ」「いい笑顔っ」

                 ニコ ッ

笑顔を返す。芽足さんと同じくらい自然な笑顔を。

私は、『フツー』のままで生き続ける。
それだけは『変わらないこと』じゃなきゃ、いけない。

「ですよね、私も帰り道でしたし」
「それじゃあ……ここで、解散ですね」

小鍛治さんには、そう答えた。
それから目を向けるのはカレンさんとタマキさんの方。
『永遠の別れじゃない』けど、きっと今は二人がいい。

「それじゃあ」

「また、いつかどこかでっ」
「あ! あの携帯の番号、変えないでくださいね!」

そして私とこの二人も、永遠の別れだとは思わない。
だからおおげさなお別れはしないで、今日はここでさよならだ。

299ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』:2019/02/05(火) 22:28:27
>>297(GM)
>>298(今泉さん)

「……では、私もこれで」

カレンとタマキに小さく手を振り、
他の人物達には軽くお辞儀をして

「今泉さん」
「ええ、こちらこそありがとうございました」

今泉には、普段の表情のまま
一際深くお辞儀をして

「また、会いましょう」

帰路へと一歩踏み出した。

300『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 02:24:30
>>298 (今泉PC)
>>299 (ヨロズPC)

カレン:「さようなら」

タマキ:「さようならなの……カレンのお友達のお姉さんたち」

カレン:「あ、番号は変えないよ。ていうか、変えられないし」

タマキ:「カレン……?」

カレン:「あっ……! またねっ!」

二人が手を振って駅へと向かっていく。
別れを告げ、帰路につく。
誰もが帰る場所を持つ。
どれだけ変化しても、自分の場所だけは変わらずそこにある……のかもしれない。

___________________________

「ねぇ、カレン」

「なに?」

「あの街での時間が本物なら、一週間は約束をほったらかしにしたことになるのだわ」

「……ちゃんと、連絡できてる……はず……」

___________________________

301『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 02:46:07
……

     ……

              ……

その後、二人はタマキと優しそうな夫婦を街で見つけることになる。
もしかしたら遊びに町に来たのかもしれない。
それともタマキは親戚ごとこの星見町に引っ越してきたのかもしれない。
答えは分からないが、タマキがこの町のどこかで生きているのは確かだ。

今泉とヨロズはある日、ポストに自分あての封筒が入っているのを見つけた。
その中には手紙と写真と商品券。
手紙には『ありがとう』の文字とカレン、タマキの署名。
写真にはタマキとその家族、それから照れくさそうに笑うカレンの姿がある。
それから、5万円分の商品券。
必要ならば換金してしまうのもいいだろう。

星見町は今日も緩やかに変化しながらも、穏やかに時間が流れている。

今泉『コール・イット・ラヴ』  →『5万円分の商品券』獲得

ヨロズ『ボーダー・リーヴァー』→『5万円分の商品券』獲得

白い本『スリーピング・ オン・ザ・サイドウォーク』→解除

302『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 22:15:22
『白い本』から生まれたスタンド。
永遠に拡大する『街』のヴィジョン。
タマキの優しい人から離れたくないという気持ちを反映しているのか、住人は皆親しげである。
スタンドによる異世界ではあるが、内部と星見町が一部で繋がっている。
拡大するごとに繋がっている部分が多くなる。
いずれは街そのものと一体化してしまうのかもしれない。
あるいは街そのものよりも大きくなるのかもしれない。

その性質は『理想郷』
タマキの行きたい場所、あるいはいたい場所を作り出そうと作用する。
そのため、タマキの精神状態に応じて街自体が変化することがままある。
このスタンドの世界からタマキが抜け出すことは、今いる場所がタマキにとってのいたい場所であることに他ならない。

『スリーピング・ オン・ザ・サイドウォーク』
破壊力:- スピード:-  射程距離:A
持続力:A 精密動作性:- 成長性:-

303『一斤染めの夢』:2019/02/06(水) 22:24:19
【眠る少女】タマキの人型のスタンド。
触れたものを眠らせる能力を持つ。

このスタンドが触れた対象は眠らされる。
この場合の眠るとは一般的な睡眠の状態である。
電子機器などは電源が切れた状態がこれにあたる。
眠った対象は対象への接触で目覚める。
この時、本人の寝起きの良しあしは関係なく、皆普段の覚せい状態と全く同じ状態で目覚める。
電子機器は眠る前の作業状況に戻る。
スタンド発現中に眠らされたなら、発現したまま眠ることになる。

『コメトス』
破壊力:B スピード:C  射程距離:E
持続力:D 精密動作性:D  成長性:C

304『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/03(水) 23:26:04
于時、初春令月、気淑風和、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香

305『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/03(水) 23:58:06
その日のアリーナは熱気に満ちていた。
金網の外、安全な観客席から多くの声が降り注ぐ。
危険が満ちていたこの場での闘いはすでに終わって、司会が自分の名を呼ぶ。
汗ばむ手。
それでも自分の魂をしっかりと握りしめて拳を天に突き出した。

『祝福しろ! 勝利にはそれが必要だッ!』

聞きなれた声が聞こえる。
司会からマイクを奪ったのだろうか。
いや、どうでもいい。
大事なことではない。

『新年度早々来場御苦労。今、諸君の目の前にいる男がアリーナの新たな時代を作る男である!』

『【運命開化】の大槻正を倒したこの男が、諸君の脳に衝撃と興奮をもたらす。退屈な人生の救世主!』

大事なことは。
そう、大事なことは――――

『【ASCENSION CLUB】の超大型新人!』

『【閃く紫電】新元令和』

この手が勝利を掴んだことだ。

306『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 00:06:14
ある日、日沼流月はメインストリート内の喫茶店に来ていた。
食事をしに来たのではない。
別に食事もできるが。

『高収入! スタンド使い募集!』という怪しげな張り紙を発見した。
そこに指定されていたのがこの喫茶店だったわけである。
怖いもの見たさか、それとも収入欲しさか、とにかく日沼はここに来た。
書かれていた席にはすでに人がいる。
窓際の席だ。
二人いる。
片方は髪を一つ縛りにした線の細い青年。
もう片方は青年の隣、奥に座って頭にバンダナを巻いた強面の男性である。

多分、あれを書いたのは彼らなのだろう。
別人という可能性もあるが、時間などの指定も間違っていない。
彼らだ。

307日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 01:19:00
>>306(GM)

「ども〜っ、もしかして遅れちゃってました?」

      イヒヒッ

  ヒヌマ ルナ
「『日沼 流月』で〜す。
 例の、お仕事の話で来たわけなんですけど」

顔色をうかがう。金に釣られたのが半分――――『好奇心』が半分。
反骨の荒野を歩むことに決めた日沼は、裏社会への興味を隠せない。

「あのぉ、これって合法なやつです?
 流月も法に『背く』のはNGっていうかですね、
 というかお二方――――カタギの人ですよね?」

             「なんて。ぷぷ、ウケる……」

               チラッ

顔色を、うかがう。
今多弁になっているのは、この場の雰囲気への焦りもある気はした。

――――――――――――――――――――――――――――――

【外見】
金と銀の中間程度の色の髪。前髪はぱっつん。後ろ髪は背中まで。
数か所が重力に逆らうように跳ね上がっているのが特徴。
服装はオーバーサイズのパーカーに、デニムパンツ。

【持ち物】
財布、スマホ。

【能力詳細】
長ランを着たような人型のヴィジョン。
殴ったものに『痕』を付け、『叛逆の意志』を芽生えさせる。
現在の『叛逆』は『反転』

『サグ・パッション』
破壊力:B スピード:C  射程距離:E
持続力:D 精密動作性:D 成長性:C
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/104

308『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 01:39:26
>>307

青年:「僕はカタギですよ」

そう青年が返した。
白いシャツにスラックス。
古めかしいループタイをつけた姿は線の細さも相まって文学青年といった感じだ。
奥の男は青年と違ってラフな感じだ。
日沼同様、オーバーサイズの服を身にまとっている。
笑うと金歯が見える。

青年:「合法……合法、ですよね?」

強面:「興行だから決闘罪にはならないだろ」

青年:「ですよね……?」

何やらこそこそと話している声が聞こえる。
隠すつもりでやっているのなら台無しであろう。

青年:「だ、大丈夫ですよ! とにかく、お座りください。何か注文しますか? ごちそういたしますよ」

309日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 02:30:12
>>308

「へへっ、どーもどーも」

                 ス トン

「カタギならよかったでェ〜す!
 カタギで合法ならもっといいワケですんで、
 大丈夫ってことで信じさせて貰いますねっ!」

とりあえず、椅子に座る。
青年は……裏稼業の人間、という雰囲気には見えないが、
チーム『桜裏悲鳴』のOGにも地味に見えて怖いヒトはいる。

強面は……どうも、『裏の人間』な気がするが、
青年があえて明言しなかったのだから、
あえて突く気はない。そういう逆張りは趣味じゃない。

(やばいとこ来ちゃったかなァ……
 なんか決闘とか言ってるし! まじ?
 でも30万はめちゃくちゃでかいし、
 ちゃんとした裏の人間がやってるなら、
 『逆に』裏の秩序みたいなので安全かも?)

それに、素人が開く危険なイベントよりは、
本職が興行でやる集会のほうがマシな気もした。

「オッいいんですか! にへ、じゃあお言葉に甘えて〜。
 えっとね、流月はクリームソーダがいいです!
 もしそれがなかったら……『逆に』ミルクティーあたりかな」

            「ミルクティーもなかったら〜〜〜」

                     「……どーしよっかな? ぷぷ、
                       一番高いのにしちゃおうかなァ」

もし自分の近くにメニューがあるなら、手に取っておこう。何か面白いのはあるだろうか?

310『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 03:01:58
>>309

日沼の前の二人は通常であれば一緒にいるような雰囲気ではない。
ライオンとシマウマが隣り合わせに過ごさない様に、住むジャンルや区分が違う雰囲気である。
反逆という道の日沼は男のようであり、だが踏み外さなければ青年の側にも身を置いているようでもある。

青年:「あ、申し遅れました。僕はコハル・トランプです。隣の方が新元号(しんげん ごう)さんです」

お近づきの印に、とコハルが花束を日沼の前に置いた。

手に取ったメニュー表にはクリームソーダがある。
ミルクティーもある。
他にも軽食のほかにハンバーグやオムライス、手作りのハンバーガーなどもある。
『ウルトラスーパーデラックス・ミックス・トッピング』『ジューシービックチーズバーガー』など赤字で書かれている。
前者はクリームソーダなどにつけるタイプのトッピングらしい。
詳しくどういうものかは書かれていない。
多分ウルトラスーパーデラックスなんだろう、知らないけど。
後者はチーズバーガーだ。
多分ジューシーだ。
他にも『常識知らずサンドイッチ』や『恥知らずおにぎり』『親知らずケーキ』などがある。

コハル:「新元さんどうします? 僕は『熱烈歓迎ティラミスセット』にしようと思うんですけど」

新元:「ハムカツサンドのセットで」

311日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 03:39:37
>>310

「コハルさん、新元さんどーもでェす。
 今日はゴチになりまぁ〜〜〜す。
 えーーーっとね、じゃあ流月はクリームソーダと、
 『ジューシービッグチーズバーガー』1つでぇ〜」

「あ、これセットにしたほうがお得じゃん! やっぱセットで!」

とりあえず先に注文をしてしまおう。
核心に入るのは、ウェイトレスが行ってからでも遅くはない。

「とゆーか、このメニュー名……ぷぷっ、ウケる。
 親知らずケーキとかさぁ〜〜〜ッ……へへへ。
 嫌な名前過ぎて『逆に』気になっちゃうワケですよ。 
 食べたら一発で虫歯になる的なヤツなのかな」

                 「注文はしないけど〜」

「ちなみに、ハムカツサンドはハムカツサンドなんです?」

などといいつつ、メニューからそれらしいものを探してみる。
ウェイトレス(ウェイター)が注文を取り終えたら、メニューは閉じるつもり。

312『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/04(木) 12:17:42
>>311

コハル:「『ジューシービックチーズバーガー』とクリームソーダのセットですね」

「ここのメニューの名前、やっぱり変ですよね」

新元:「個性をはき違えてる」

メニュー表はハムカツサンドを含め、それらしい名前のものが並ぶ。
明らかに異物感のあるものがちょくちょくカットインしてきているが。
割合で言えば7:3くらいだろう。
そうこう言っているうちにコハルがウエイターを呼んだ。
よどみなく注文は完了し、ウエイターは厨房の方に戻っていく。

新元:「ここのハムカツサンドは普通のハムカツサンドだよ」

「マスタードとソースのバランスがいいんだこれが。マジで逸品だぜ」

新元が笑う。
お気に入りらしい。

コハル:「で、えーっと、何から説明しましょうか」

313日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/04(木) 23:03:51
>>312

「メジャーに『反すれば』イイってもんでもないですもんね。
 『逆に』置いてるもの自体はメジャーそのものっぽいですし?」

     「『外したい』のかどーなのか」

「味のほうは『外さない』みたいで安心ですけどねェ〜」

メニューを閉じた。
まあ、うまければべつにいい・・・そういうものだ。

「ん〜。流月、なんも知らないから、
 最初っからお願いしてい〜ですか?」

      「『何と決闘するのか』とか」

          「『どこで決闘するのか』とか」

             「『いつ決闘』……ぷぷっ」

「なァ〜んて、決闘するとは限らないワケですけど。へへ、早とちりでした?」

決闘罪、という言葉は、やはり耳に残っていた。
『参謀』を自称する日沼だが、争いごとにすごく抵抗があるというわけでもない。

314『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/05(金) 00:25:23
>>313

新元:「あえて外すこともあるわな」

基本的にはメジャーである。
この異物もアクセントと見れば悪くない、のかもしれない。
親知らずカップケーキだけど。

コハル:「日沼さんにはスタンド使い同士の戦いをして頂きます。私たちは『アリーナ』という組織、あるいは興行のスタッフです」

コハルは仕事の内容についてそう答えた。

新元:「俺の甥っ子の相手を探してる。アリーナの闘士から選んでもいいが……組織内政治的に色々問題もあったりする」

コハル:「日沼さんには関係の無いところです」

新元:「『アリーナ』じゃ、コハル派の地位は低い……」

コハル:「派閥の長とか無理ですって……」

それも日沼からすれば関係の無いところだ。

コハル:「いつ、と言われると少々困ってしまいますね。日沼さんが望むなら今日にでも」

「こういう仕事ですからね、やっぱり辞めたとなることもあります。意思決定のための時間を用意しています」

だから、そう遠くないなら都合のいい日で大丈夫なわけだ。

315日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/05(金) 01:10:07
>>314

「『あえて』って言うなら……
 『ジンギスカンキャラメル』とか?
 ウケ狙いで外すのはありますよね〜ッ」

厨房のほうに何げなく視線を向けたが、
それで異物混入を防げるわけでもない。

「『アリーナ』……『闘技場』ってワケですね。
 スタンド使いの闘技場、それもちっとも『違法』じゃない。
 へへっ、『裏社会感』バッチリしてきたワケですけど」

違法じゃないのは希望だが。

「へえ、『甥っ子の相手』――――」

        「なんかこう、ちょっと、
         お見合いみたいですね!
          ぷぷぷっ…………ウケる」

などと言いながら、少し考えるそぶりを見せて。

「う〜〜〜〜ん」

「あのあの、日にちの前に一応確認ですけどもォ〜〜〜、
 身内同伴で、メシまで奢ってもらって、おカネも出て。
 それで、対戦カードに『政治的』問題アリってコトですけど」

日沼はアリーナの仕組みを知らない。

「これってさ、『勝ち負けは忖度してくれ』ってワケじゃないですよね?」

           「そーいうのとは、逆ですよね?」
 
「『裏』とかなしで甥っ子さんをボコるか、イヤだけどボコられるか、
 勝ち負けは実力次第で、ガチで『戦う』――――それでいいんですよねェ?」

だが、『ケンカ』がある種の『ビジネス』になることは知っている。
そして、そうした種のビジネスには、『黒い疑惑』がつきものだ、ということも。

正々堂々は日沼流月の哲学ではない――――が、『後出しのルール』には『反骨』する。
なので万が一ということも考えて、いまのうちに『勝てばいいのかどうか』は明らかにしておく。

316『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/05(金) 01:33:28
>>315

コハル:「……です」

「ジンギスカンキャラメルは……美味しい、です……」

新元:「お見合いしたけりゃ紹介するけど、止めとけよ。お前と合わんよ。クソ真面目だから」

考えるそぶり。
それから質問。
コハルと新元はそれに頷いた。
疑問は最もだと言うように。

新元:「忖度の必要はねぇ。アイツは真剣勝負で三連勝してる」

「むしろ負けて欲しいくらいだぜ、挫折を知るって意味ではな」

まぁ、そう負けはしないがと付け加えた。

コハル:「僕はアリーナという組織がどんなものかは興味があまりないですけど、自分の管理する場所くらいはクリーンなものにしたい」

「そこは信じてもらって大丈夫ですよ」

317日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/05(金) 02:37:51
>>316

「……まじ? ウケる、味覚って人それぞれですね。
 サルミアッキとかも地元だと美味しいっていうらしいですしね」

あれを美味しいとはお世辞でもうなずけなかった。

「あ〜っ、流月もお見合い婚よりは、
 恋愛結婚希望してるタイプなんで!
 この話は破談ってコトでお願いします」

そして、紹介も受ける気はない。

「な〜るほどね! 強すぎて相手が見つからないってワケ?
 それじゃ、流月がそいつのことボコって挫折させたげますよ」

     ヘッヘッヘ
             「『負けはしない』とか言われると、
              『逆に』勝とうって気になるんですよね〜〜っ」

なにせ今からぶちのめす相手だ。
徹頭徹尾・徹尾徹頭ひっくり返してやるつもりだ。

 「まっ、勝負が始まる前から
  こういうこと言ってるとですよ?
  負けるってのがお約束ですけど――」

              ズギャン!!

「――――流月と『サグ・パッション』は、
 お約束ってヤツを『裏切る』のが好きなんですよね」
 
              「あそうそう、他何かルール説明とかあります?」

318『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/05(金) 21:29:40
>>317

新元:「……やってみな」

金歯を見せながら新元はそう言った。
意に介さず。
慣れたことに対処することのように。
まぁ、闘うのは自分ではない。
あくまで彼の甥である。

コハル:「心強い」

「そうですね。アリーナ、闘技場内に設置する道具などはある程度用意します」

「冷蔵庫とかなら大丈夫です」

319日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/05(金) 23:39:46
>>318

「やってやりますよ。流月、嘘あんまつかないんで!」

やる気にあふれたセリフ――――

「てゆーか、『道具』ですかぁ〜。う〜ん。
 あんまごちゃごちゃすごい仕掛けあっても、
 敵の人の能力次第で『逆用』されそうですしぃ〜
 シンプルなのがいいかな〜とか思うワケですけど」

から一転、スタンドヴィジョンを消し頬杖をつくような姿勢に。

「『柱』とか、そーいう障害物とか?
 あんまケンカの経験とかはないケド、
 なんとゆーか完全に真っ平なステージだと、
 さすがに『策士っぷり』魅せられないかなぁ〜とか」

     「へへ、なんでもイイってなると、
      『かえって』考えるの難しいですね」

正直なところ『スタンド戦』には慣れていない。
自分にぴったりな『ギミック』の考案などは、
日沼にはまだ、すぐに思いつくものではないが・・・

「冷蔵庫――――はナニ? メジャーなんですか?
 試合中に冷やしてるドリンク飲める、みたいな〜〜〜?」

             「ぷぷ、それはないですよねぇ」

あえてコハルが提示した『冷蔵庫』という妙なチョイスに、食いついた。

320『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/06(土) 01:46:23
>>319

やる気のある言葉。
そこから、一見消極的にも見える頬杖の体勢。
自然である。
ケレン味というよりも、日沼流月という個人の持つ自然体。

コハル:「なければないでも大丈夫ですよ」

それもまた選択の一つだ。
『サグ・パッション』は剛力のスタンドだ。
同時に大雑把なスタンドでもある。
大抵の障害物なり設置物は動かせるし、破壊できる。
それは強みである。
相手が仕込みを行うのが得意なら、その準備段階から潰しにかかれる。
あるいは、隠れるという行動を抑制できる。
同時に、細やかな動作が出来ないという弱みも抱えているが。

コハル:「いつだったか、冷蔵庫を用意した対戦があったはずですね」

「ステンドグラスの衝立とかも扱いましたね」

新元:「こっちは刃物を闘技場に用意してもらってる」

「刀をな」

321日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/06(土) 15:30:28
>>320

「ほんとに何でもありってワケですね。
 じゃあ流月も、『パーテーション』とかを〜〜……え?
 はも……刀?? それヤバくないですか〜〜??
 いや、流月、30万円で命売る気はさすがにないってゆーか」

             「『逆』のほうも」

    キョロッキョロッ

          「ほら、だって、『刀』」

話題が剣呑すぎるので声を抑える。

「っ使ってくる相手に、『加減』とかできないですしぃ。
 『サグ・パッション』ってコンクリとか砕けるんで、
 それで刀振り回す相手を思いっきり蹴ったりしたら、
 どっちが勝ってもどっちか死にそうなんですけど〜〜」

「その辺、安全とか大丈夫なワケです?
 いや、『逆に』そのエグさが観客にウケまくってて」

格闘技でも『事故死』はある。
それは、まあ、イヤだが、理解できる。

「それで、『アリーナ』っていうのがこう、
 『裏社会』パワーみたいので揉み消したり?」

「そーいうのセンパイの持ってる漫画で見たんですけどぉ〜……」

だが――刃物など持ち出せば毎回のように死人が出かねない。
興行なら犯罪ではないとは言っていたが、さすがにまずいと思い疑問をぶつけた。

322『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/06(土) 16:37:28
>>321


新元:「こっちが頼んでるのは闘技場内に刀を設置してくれってことだ」

「刀は自前のがある……お前さんが使ってもいいってことだぜ」

それでも刀を相手にするという事実は揺るがない。

コハル:「……治療は致しますよ。スタンドによる治療なので大抵の怪我は治せます」

裏返せば、アフターケアだけが万全の状態。
戦闘中の安全は当然保障されない。
スポーツ化された競技、と言い切れるものではない。

コハル:「痛みや負傷はともかく命は保障させていただきます」

「我々は殺し合いをしているのではないので」

そう言ってコハルが微笑む。
少なくともこういう状況ではそんな風に笑ってみせる必要はないはずだが。
それでもこの青年は不安を和らげるためなのか、笑ってみせた。

新元:「刀で首斬りゃあそりゃ死ぬが、お前ので頭ぶっ叩かれりゃ死ぬだろ」

「加減をしてくれるってのなら、話は別だが」

「俺の知ってる闘士の中には腹切られても死ななかった奴がいるから安心しろよ」

323日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/06(土) 17:01:03
>>322

「えぇ〜〜〜流月、剣道したことないんですよ。
 それに刀って、なんかちゃんとしたやつだと、
 漫画みたいに振り回せる重さじゃないって噂だし」

(『自前の刀がある』のに、『刀を設置』?
 それ、流月に武器くれるだけじゃん。
 騎士道精神みたいな? なんかのゲームで見た!
 ウケる。……いや、怪しい。ぜったい『裏』があるでしょ)

刀をふるう自分がイメージできない。
それで有利になる自分も、だ。
そのあたりは、まあ、『見極める』しかない。

「あ、けがを治すスタンド、ってのもいるんですね。
 よかった〜、とりあえず死にはしないなら。
 死ななくても斬られたりするのは嫌ですけど。
 ……死にはしないってコトで信じますんで〜!」

そういうルールでやっていて、
まじめな性格だというのなら、
首をハネにきたりはしないだろう。
そこは『紳士協定』として信じよう。

「てゆーか流月この前チャリで事故ったとき、
 けっこうな勢いで壁に突っ込んで、
 一瞬死ぬかと思ったんですけど……
 斬られるのってそれより痛いですかねぇ?」

        「斬られずに勝ちたいですねえ。
         観客も斬られるの期待してそうだし」

             ギシ

    「それを裏切りたいですよね」

椅子にもたれかかり、自転車事故で若干残ったあざを見る。
切り傷が目立つところに残ったりすると、本当に嫌だなあと思った。

324『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/07(日) 00:03:27
>>323

現状、刀の設置の理由は不明である。
向こう側からすれば何か仕掛けがあるのか、それともただ武器を提供しているだけなのか。

コハル:「えぇ、絶対に殺させません」

彼らの所属する組織は確かに裏社会といっても過言ではない。
だが、少なくとも映画や漫画のような裏の人間でもない。
……コハルはあくまで自身を裏社会ではないカタギの人間だと認識している。

新元:「存分に裏切ってくれ」

「……多分、自転車よりも数倍は痛いだろうしな」

俺は事故ったことは無いけど、と新元が呟いた。

その辺りで、ウエイターが商品を持ってきた。
新元の元には厚みのあるハムカツサンドと軽いサラダとコーヒー。
コハルの元には『熱烈歓迎ティラミスセット』―――ティラミスとババロアの盛り合わせ。
そして日沼の注文である『ジューシービックチーズバーガー』である。
岩を切り出したような大きめのハンバーグに、マグマのようなチーズが溶けている。
横にはセットのクリームソーダだ。

325日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/07(日) 02:16:59
>>324

「相手の人も死なない感じでお願いですよ」

(とりあえず『刀』は迂闊に触るとヤバいか。
 これで何の仕掛けもなかったら逆にウケるけど)

「おっ、来ましたね〜メニュー。
 超おいしそうじゃないですかぁっ」

          スッ

「カロリーヤバそ〜〜〜。写真撮っていいです?
 このメニューとか『機密事項』だったりします?」

「ぷぷ、普通の店だしそれはないですよね〜」

スマホを取り出しつつ、
クリームソーダを手元に引き寄せる。
写真は、許可されるまでは撮れない。
勝手に撮ってキレられたことがあるのだ。

「対戦は、今日はいきなりすぎるんでぇ〜っ、
 明日か、明後日くらいでお願いできますか?」

      「別に何を準備するワケでもないですけど」

326『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/07(日) 03:10:32
>>325

コハル:「いいですよ」

コハルの店という訳では無いが。

コハル:「では明日で」

「」時間は追って連絡しますから、連絡先交換しときましょうか

327日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/07(日) 03:48:58
>>326

「やたっ。じゃあ撮りまぁ〜す」

           「チーズ」

       パシャ

「あっ駄洒落みたいになっちゃったじゃん!
 ぷぷぷ……そっちのチーズじゃないんですよぉ」

               パシャ            

チーズバーガーを画面に収めつつ、
フォークなりで解体しながら胃にも収める。

「んじゃ、明日ってことで」

「集合場所は、明日もここでいいんですかね〜?
 それか、闘技場の場所に直で行ったほうがいいですかぁ?」

328『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/07(日) 12:14:10
>>327

新元:「何も言ってねぇよ……」

そう呟き、それぞれが自分のものを食べ始める。
チーズバーガーは非常に食べごたえのある一品だ。
何種類かのチーズが混ぜ合わされており、ソースの味も合わさり濃厚な味が口に広がる。

コハル:「明日またここに来てください。闘技場までお送りします」

329日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/07(日) 21:27:35
>>328

「言われるかと思いましたんで〜。
 んじゃ、明日ここに徒歩で来ますです」

         「これウマッ」

             スッスッ

手元や服を汚すことなく、
ハンバーガーを食べ終える日沼。

「あ、メイクとかしてきたほうがいいですかね〜?
 それか、試合前に『メイクさん』とかいたりします?」

「ぷぷ、どうせ汚れますけど……いや笑いごとじゃないですか」

今日は帰ったらセンパイに借りていた『格闘漫画』を読み、
あとYoutubeで『格闘動画』を見るなどしてテンションを上げておこう。

330『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/10(水) 13:33:40
>>329

コハル:「英気を養って下さいね」

ビッグでジューシーなハンバーガーは日沼によって平らげれた。
次は対戦相手を平らげるか、敵の攻撃を食らうか。

◆◆◆◆◆◆

翌日、呼ばれたのは少し遅い時間だった。
格闘漫画と動画による予習は完璧である。
既に来ていたコハルは黒服に身を包んでいた。
正直、似合ってはいない。
そして今回のアシとなるのは黒塗りの高級車だ。
黒服の彼と合わさると怪しさ、あるいは剛力な雰囲気が増す気がした。

コハル:「どうぞ、お乗り下さい。日沼さん」

コハルが後部座席のドアを開けた。
乗り込めば闘技場まで案内されるだろう。

331日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/10(水) 19:01:43
>>330

「こんちゃ〜〜っす。
 うわ、『マフィア』みたいな車ですね〜」

昨日とさほど変わらない服装で現れた。
実際のところは、安物や古い服が中心で、
汚れても問題ないよう心構えはしている。

       「そのスーツ制服です?
         私物じゃないですよね?」

            スィッ

「うわ〜ッほんとに『裏社会』っぽ〜〜〜い」

そういうわけで、車に乗り込む。
シャンデリアとか、ついてたりするんだろうか?

332『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 00:16:57
>>331

コハル:「僕がお世話になった方がこういうのが好きみたいで……厳めしい感じですよね」

「これは……半分制服ですかね。派閥の長になる人とかは割と自由だと思いますけど」

座れば体に感触が伝わってくる。
バスや電車といった公共交通機関や自家用車とは明らかに違う座り心地。
良質という概念を切り取ったような品質だ。
シャンデリアこそないが車内は明るく、ポータブル冷蔵庫の中では炭酸飲料が冷やされている。

コハル:「クリームソーダもご用意しています。お好きでしょう?」

「それと、資料にお目通しをお願いしますね」

運転席に座ったコハルが渡したのは折りたたみ式のバインダーだ。
それを開くと中には闘技場の写真と対戦相手の資料らしいものが挟まれていた。

333『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 00:33:11
ランカー名:新元 令和
スタンド名:『レイ・レイ・ワウ』(Lay Lay Wah)
ステージ:『闘技場』
賞金額:『30万円』
上昇:強くなる
入場曲:ttps://www.youtube.com/watch?v=VeUQk7O-1E4

『ASCENSION CLUB』の新人。
新元流という剣術を扱うスタンド使いです。
その太刀筋は稲妻ともいわれる居合術。
ストレートな人ですよ。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。

コハル:「今でしたら闘技場内に新しく物を置いたりできますけど、どうしますか?」

「これで大丈夫でしたら、このままで闘えますよ」

334日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/11(木) 01:31:08
>>332

「ふ〜〜〜ん、そういう感じなんですね・・・」

あまり面白くはなさそうに、
制服について聞きながら、
シートに思う存分背中を沈める。

「高級車はいいですね〜っ。
 うわ、冷蔵庫までついてるし!
 ウケる……あ、クリームソーダ。
 いや〜至れり尽くせりすぎますけど、
 こーいうのは『逆らって』も仕方ないんで」

「うん、好きです! いただきま〜す」

           ジャリジャリ

素直に好物を食べさせていただきつつ、資料を受け取る。
逆らうのは、自分が逆らいたいと思った時だけでいい。

「ん……令和? ぷぷ、ウケる。ノリノリな名前ですね。
 あ〜そ〜ですね、ギミックとか正直よくわからないですし」

「う〜ん、『障害物』が多いと『かえって』戦いにくいんで。
 あんま刀振り回せないように『柱』並べてもらうとか、
 そーいうのも考えないでもないワケですけども〜」

      「初戦から物に頼るのもシャバいでしょ?
       流月の『知略』をアピールするにしても、
       『結局モノ頼りかよ』って思われるよりは、
       あるものを利用する方がカッコいいっていうか〜っ」

これは、明らかに格闘漫画と不良文化の影響を受けた発言だ。

335『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 02:00:59
>>334

コハル:「じゃあ、このままで試合が出来るように伝えておきますね」

「シャバいかどうかは人それぞれですけど」

口の中にクリームソーダの味が広がる。

コハル:「そういえば、日沼さんはレディースか何かなんですか?」

「いえ、何となくそう思っただけですけど」

336日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/11(木) 02:26:47
>>335

「そーですね、流月的にはどうかなってだけなんで〜」

         「『レディース』ってゆーか、
          まあ、そんな感じですね。
          『桜裏悲鳴』ってチームで」
 
            「流月頭いいんで、『参謀』的なね〜」

質問に軽く答えつつ、車が目的地に着くのを待つ。
さすがに車内をスマホで撮ってSNSに上げる気はしないし。

337『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/11(木) 22:41:50
>>336

車が到着して、日沼は控え室らしき場所に通された。
ロッカールームのようになっているそこにはパイプ椅子が置かれている。
先程のシートに比べれば幾分座り心地が悪い。

コハル:「それでは最後にこちらを」

渡される書類。
それは『アリーナ』にランカー、闘技者として登録するためのもの。

【ランカー名】
【スタンド名】
【異名】(必要なければ空欄でよい)
【入場曲】

338日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/12(金) 00:23:50
>>337

「車はめっちゃ豪華だったのに、
 こっちは庶民的な感じなんですね」

    「『かえって』落ち着きますけど」

          ギィ

パイプ椅子に体重を預けつつ、
書類に目を通し、必要事項を記入する。

         ヒヌマ ルナ
【ランカー名】日沼 流月
【スタンド名】『サグ・パッション』
【異名】『逆作姫(サカサヒメ)』
【入場曲】ttps://www.youtube.com/watch?v=qNBrTOnw0Gw

「別に『ジャニーズ』も『逆裁』も、
 特別好きってワケじゃないですけど〜
 流月にぴったりだと思うんですよね」

              「タイトルとかですよ」

異名については特に触れない。
これについては『自然に出てきた』から、自慢も照れも今はなかった。

339『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/12(金) 22:53:21
>>338

コハル:「なるほど逆転」

「……頑張ってくださいね」

書類をチェックし、コハルが頷く。
どうやら受理されたようだ。
どこかから音が聞こえる。
興行は着々と進んでいるらしい。

コハル:「では、日沼さんの試合の準備が出来たらお呼びいたしますね」

「それまでお待ちください」

頭を下げて、コハルが部屋から出て行った。

340『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/12(金) 23:00:50
アリーナの控室。
日沼の部屋から離れた場所にあるそこに一人の男がいる。
名は新元令和という。
座禅を組み、瞑想をしていた。
傍らには鞘に納められた日本刀。
目の前には蝋燭が立てられている。
薄暗い部屋の中で蝋燭の火が空調の風で揺れていた。

「時間だぜ」

扉の前から声がする。
自分の叔父の声だ。
ゆっくりと立ち上がり、鞘を掴む。

「今行きます」

そう答えて、男は刀を抜いた。
居合。
蝋燭の火を切り裂き、部屋の中は完全な暗闇になった。

「今日の相手は?」

「日沼流月って女の子だよ」

「……女性は苦手です」

扉が開かれた。

341『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/12(金) 23:11:59
時間が来た。
日沼の控室にコハルがやってきたのだ。
扉を開け、長い通路を歩いていく。
徐々に熱気が増していくのが分かる。
人の声が聞こえる。
観客の声だ。
日沼を待っている。
日沼流月の闘いを待っている。
人々の持つ熱量が本物の熱のように伝播してくる。

コハル:「あ、僕はここで失礼しますね。解説とか実況もしないといけないので」

そう言って途中でコハルはいなくなった。
一人で歩く。
道の先にひと際明るい場所がある。
入場口だ。

コハル:「あぁ、すいません。普段なら日沼さんに先に入場してもらうんですけど……」

「今回に限っては赤コーナーから入場していただきます」

確か、コハルは別れる時にそう言っていた。
だから今できるのは相手の入場を観察するのと、どんなふうに入場するかを思案することだ。
他にも、闘技場の観察なども出来るだろう。

342日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/12(金) 23:40:34
>>339-341

           ザッ

「流月さあ、部活とかやらないから、
 こーいう『大舞台』って初めてなワケですよ」
 
         ザッ

コハルと別れる前に、そういった。
それから、一人で通路を歩きながら、
誰に言うでもなく言葉に出していた。

「だから、後入場で良かった。
 さすがにちょっと緊張するし〜」

           ピタ

「どういうものなのか、基準も見ときたいし」

               「さ」

足を止めて――――『令和』を名乗る男を見やる。

343『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/13(土) 00:55:44
>>342

闘技場に立っていたのは新元号であった。
着崩したスーツを身にまとい、手には一本のマイク。

「アリーナにお越しの紳士淑女の皆様方、本日もわざわざご苦労!」

「『ASCENSION CLUB』及び『新元流剣術』が誇りをもってお送りするファイターはこの男!」

音が鳴り響く。
新元令和の入場曲だ(ttps://www.youtube.com/watch?v=VeUQk7O-1E4)
その音響に負けぬほどに新元が声を張り上げる。

「二十四時間、一週間、十二ヶ月、即ち三百六十五日、人生の全時間を武に捧げる男!」

「『大槻正』『昭山和』『平成美』の三人をことごとく切り捨て目下三連勝」

「この男の紫電一閃の一太刀の前にすべての者は一・刀・両・断!」

観客も一刀両断と声に出して斉唱する。
明らかに入場口から感じる熱が増していた。
大きな歓声がうるさい。

「176cm、82kg『閃く紫電』新元令和ァ! 新時代を切り開く令和維新だ!」

来る。
対角線の入場口。
新元令和は叔父の熱に反してゆっくりと歩いて出てきた。
既に抜かれた刀を右手に、鞘を左手に持っている。
袴を履いた和装の男。

「それでは今日の相手にご入場頂こうかァ!」

そう言って新元号が去っていく。
さぁ、入場だ。

344日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/13(土) 15:24:07
>>343

「えっ。身長体重とか言わなきゃダメなやつなのこれ!
 流月、その辺はトップシークレットにしてるんだけど〜っ
 あいつが勝手に言ってるだけだよね。そういうことにしとこ」

              ザッ


         ザッ

「とゆーか観客もノリノリじゃん」 

        「流月、アウェーなのかな」

                「『ひっくり返し』甲斐あるじゃん」

   ――――ザッ


(……あの異名とか、流月で名乗らなきゃなのかな?)

何かアナウンスなどはあるのだろうか――――あるならそれから。
特に無さそうであれば、『入場曲』が流れ始めてから。
入場口から、観客から見えるところまで歩み出る。
そのへんの『きまり』を破るのは『反骨』ではなく、
単なる無秩序……ルールだから破るんじゃない。

    『破りたいルールだけ破ってやる』。

逆巻いた金の髪、オーバーサイズのパーカー、デニムパンツ。
キメた恰好もせず、素のままでいかにもな『サムライ』の相手になってやる。     

      ズギュン

「『サグ・パッション』――――」

「『四連勝』を見に来たヤツらには悪いんだけどさぁ〜〜〜〜〜〜ッ」

          「今日は流月の華々しいデビューを見てもらうからね!」

マイクもない声が聞こえるかは知らないが、自分に言い聞かせる意味もある。
叛逆は無意識から湧く感情ではない。この世界の予定調和にノーを突きつけるため燃やす炎だ。

345『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/13(土) 22:46:12
>>344

『解説という立場でありながら言わせていただきます』

『彼女は今、圧倒的なアウェーの中にいます』

コハルのアナウンスが響く。
観客の声援も若干のトーンダウン感が否めない。

『ですが! ですが、だからこそ彼女は輝きを放ちます!』

『流れに逆らう、空気に逆らう、逆境の中で何かを掴む!』

『三連勝の侍に挑むのは一人の少女』

『彦星と織姫が出会うような衝撃的な一幕を生み出すのはこの新人!』

『逆作姫』

『日沼流月ァァァァァ!』

曲が鳴り響く(ttps://www.youtube.com/watch?v=qNBrTOnw0Gw)

《やってやれお嬢ちゃーん!》

《ぶった切られろォ!》

《カワイー!》

《ヒュー!》

様々な声が鼓膜を揺らす。
対する新元令和は日沼に頭を下げ、鞘に刀を収めた。
戦いが始まる。

346日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/13(土) 23:22:59
>>345

「ね、ね。聞いた? 今可愛いって聞こえたよ。
 ま、流月も自分の見た目に自信なくはないけどね。
 でも、今日そんなにメイクとかしてきてないワケだしさ」

「それに、『やってやれ』って」

             ズギュン


「『アウェー』は『裏切る』」         

「期待は『裏切らない』」

スタンドを発現して、一歩前に出る。
頭を下げ返したりはしない。
『武道』をしに来たんじゃあないからだ。

(刀、出してたのになんでしまったんだろ。
 『居合切り』ってやつだったりする?
 でも、それなら設置してる刀が抜き身なのは変でしょ)

ステージに目を走らせる。
刀が刺さっているタイルに『損傷』はあるだろうか?
つまり、『もともと使っているタイルにそのまま刺してる』のか、
それとも特注の『刺すための穴があるタイルなのか』を見たい。

347『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/14(日) 00:22:29
>>346

『実況、解説はコハル・トランプが送ります』

『それでは、はじめっ!』

日沼は闘技場内に視線を巡らせる。
白い砂がまかれているから分かりにくいが、しっかりとつき立っている。
恐らく、穴を開けられた特殊な床なのだろう。
特殊な刀、という感じではなさそうだ。

「では、一太刀を」

ゆっくりと新元令和が近づいてくる。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

348日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/14(日) 01:55:22
>>347

(無理やり突き刺した感じじゃない。
 つまり『昨日今日用意した床』だ。
 そんな変な『工事』なんてする時間ないでしょ)

「――――よし、やってみよう」

        (……つまり)

             ブンッ

唐突に、前方の地面に『サグ・パッション』の手を振るう。
床を砕いて『剣士』の戦いを牽制するのもだが、
ほかに、確実にしておきたいことがあるのも理由だ。

それは――――『床』が、どのような性質なのか、ということ。

もっと具体的には・・・『床タイル』は『剥がせる物』なのかどうかだ。
その可能性を、考えていた。いわゆる『ギミック』を設置する都合、
床の材質は一定であってはならない。切り替えやすい必要がある。
例えば『冷蔵庫』を置くなら『電源』をどこかから引く必要があるが、
そのために、わざわざ『工事』をしていては『商売』にならない。
今回のように『穴の開いた床』を用意するなどは、なおさらそうだろう。

もちろん『床の性質を変えるスタンド使い』がいる可能性はあったが、
派閥という概念の存在を考えれば、『ステージ』をそれに依存する可能性は低い。
・・・これももちろん、『考え違い』の可能性はあるが、リスクも薄い。試す価値はある。

(どっちにしろ、一手目は『床を砕く』って決めてた。
 『武器』を手に入れながら、相手の強みを奪う。
 ついでに『今後』の布石も打つ。流月やっぱ頭いいわ〜!)

「一太刀もいいけど、『1タイル』なんてのはどう?」

手をふるう位置はタイルの『端』だ。
タイルが土台に『接着』『固定』されている可能性を考え、
それを無理やり『引きはがし』て『サグ・パッション』に持たせるため。

もしアテが外れても、それはそれで床の砕ける破片が生まれるだろう。
その場合は大き目の破片を手に取ればいい。『1タイル』は、『フカシ』になってしまうが。

349『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/15(月) 23:29:28
>>348

       ガゴォン

『サグ・パッション』の腕が振り下ろされる。
床タイルはその膂力によって砕かれた。
柔らかくはないが、少なくとも『サグ・パッション』のパワーからすればその辺りのものと変わらない。
タイルと床を繋いでいたのはボルトだ。
しかし、『サグ・パッション』は無理やりにその拘束を引きはがし、パネルをぶっこぬいた。
宣言通り、一タイル。

《何という金剛力でしょう! 床パネルを引き抜きましたァ!》

「では、太刀とタイル、どちらが、はやいか……」

新元が鯉口を切った。
その瞬間だった。
彼の刀が光った。
恐らく紫の色だったように思える。
そう思った時には、彼は深く、深く踏み込んでいた。
目にもとまらぬ速さの踏み込みである(スB)

「どうしますか?」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

350日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/16(火) 02:30:43
>>349

「よし、上出来――――」

(ってやばい! いきなりこっち来てるし!
 いや、そりゃ刀なんだから来るんだけど。
 来るって知ってるからタイル剥がしたんだ)

           「――――じゃん!」

   トッ

(いや違うっもっと落ち着け流月、
 『いきなり来た』……そうだ、速すぎる。
 いくらサムライでもあんな早く踏み込めないでしょ)

(出来ないはずのことが出来てる。――――じゃない。
 『逆に』考えればいい、あいつの出来る事のひとつはこれだ)

スタンドにはタイルを『前に突き出させる』。
振るうとか、持ち変えるとかはいらない。
引きはがしたまま、それを前に突き出させる。
精密動作性の低さを補うには単純な動作がイイ。

「『速い』のはそっちかもしれないけど、
 『早い』のはこっちなんじゃない?
 『攻撃する準備』の話だけどさぁ〜〜〜ッ」

     「自慢の刀も届かないうちなら棒と同じッ」

(だから『当てるため』にもう一手くらいあるかもしれないし、
 それを見とくためにも、迎え撃つので間違いない、間違いない)

位置変えも考えたが、迎撃と両立すると半端になるし、
タイルを捨ててまで全力回避するよりは、この方が次につながる。

力任せに、タイルを突き出し、接近してくるのを迎え撃つ。
常人ならこれで死んでもおかしくないが、まあ、『小手調べ』になるだろうか。

351『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/16(火) 03:12:04
>>350

《日沼選手、スタンドにタイルを突き出させます!》

        《刀を扱う新元選手相手には有効な牽制です》

「確かに……」

刀という武器の性質上、接近しなければならない。
殴打も接近を必要とするが、投擲などの手段によって射程をカバーできる。
それに、『サグ・パッション』のパワーなら、生身の人間に一撃与えるだけでもかなりのダメージになる。

「……ならばこれにて」

新元令和は跳んだ。
立体的な動きで、日沼の視界の中の新元が大きくなる。
彼が着地したのはタイルの上だ。

《八艘跳びもかくやという華麗な跳躍! 両選手が一気に急接近!》

『サグ・パッション』のパワーであればタイルを問題なく支えられる。
人ひとりが乗ったところでそれは変わらない。
故に、新元は足場にそのタイルを選んだ。

「届けば棒でなく刀と知りなさい」

刀が抜かれる。
抜きながら斬りにかかっている。
先ほど同様なら人を超えた速度の斬撃が訪れる。
距離が詰められたからか、日沼の目にははっきりと彼の刀の変化が見えた。
光ったのは彼の刀そのものではない。
彼の刀は電気を纏っている。
相手は紫電を纏った刀を持っているのだ。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□新□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

352日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/16(火) 05:26:02
>>351

(やばっ!? 速いだけじゃあないっ運動神経やばい!!
 これ能力? 素でやってる? 速いのは能力だけど、
 こういうの『古武術』とかやってたら出来てもおかしくないし)

             (能力なのはこの電気みたいなのだ!)

  (でも)  (この間合いはめちゃ怖いけど)  
 
          (良かったかも。こいつが運動神経よくて。
            普通の相手ならこの手は使えなかったでしょ)

タイルを、迷わず手放させる。そしてスタンドとともに下がる。
手放したことで空いたスタンドの手は――――『拳を握り』構える。

「そういやさ! 『アセンションクラブ』?」

       「『上昇』だっけ、上昇……」

タイルをはがすとき、なぜ『砕いた』のか。
最初から剥がしに行くのではなくなぜ砕いたのか。
――――固定を外すために? それ『も』ある。

「そんなに上昇志向強いならさ〜!
 流月の手が届かないとこまで昇っちゃえ」

         「『サグ・パッション』」

だが、もう一つある。『サグ・パッション』はタイルから手を放した。
タイルは『新元』の体重で床に落ちる。『普通なら』。

           ギュッ

――――『サグ・パッション』には能力がある。
布石は、打った。タイルに叩き込み、印した。(>>348メ―ル欄『印』)
タイルを砕くための打撃は同時に、叛逆の印……『痕』を『刻印』するための物だ!

そして拳を握れば……発動させる。『叛逆』の力を。
上からかけられた体重で、順当に地面に落下するはずのタイル。

       「『叛逆』の旗印だッッ!!!」
 
                        ギュゥゥゥゥッ

体重をかけ続ける限り、『下への力』を入力する限り、『上昇し続ける』タイルになれ。

もし仮に何かの理由で能力発動がうまくいかないとしても、『タイルが落ちて敵の姿勢は崩れる』し、
『サグ・パッション』が拳を構え、下がって多少対処の余地をとれるのも事実としてある。それはそれでいい。

353『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/17(水) 00:21:12
>>352

相手の刀に纏った電気を能力と予想する日沼。
その答えはどうだろうか。

「ん」

手を離し、手を握る。
一見意味のない動作のように見えるがそうではない。
既に刻まれた『痕』がある。
上昇。
与えられた新元の自重によって落ちるタイルが逆にせりあがる。

《こ、これは……! 複雑怪奇!》

「ほう……これは」

下向きに振るわれた刃。
『サグ・パッション』の腕をかすめるがダメージを与える程ではない。

「面白いスタンドをお持ちで」

《まるで重力に逆らうようにタイルが上昇します! これが逆作姫の生み出す叛逆の狼煙!》

不味いと思ったのか後方に新元が飛び退いた。
刀を納め、地面に転がって衝撃を分散する。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

354日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/17(水) 01:45:11
>>353

「っつ! あっぶな! 斬れたかと思ったじゃん……!」

(こいつの能力は『電気の刀』!
 だと思ったけど、それじゃあ、
 刺さった刀はほんとに何?ってなるし)

    「しかも余裕しゃくしゃくだし」

          「面白い〜ッ?」

      (電気……『電磁力』?
        だめだめ、まだ考えても無駄)

「いやいや〜ッ、それほどでも。あるけどね〜ッ
 でも、『令和』クンのスタンドもウケるんでしょ?
 もう4戦目なのにこんなにお客さん来てるんだし」

単純な刀の強化だけで『3連勝』出来るとは思えない。
まだ先があるのだろう。が、それを今判断できる材料はない。

「流月も、エレベーターだけの一発屋じゃないワケだからさ」

「面白いだけで済むかどうか、まだまだこっから『ひっくり返す』」
 
               ブォンッ

新元令和が『降りた』のだから『入力』がなくなり、
タイルは――――日沼と『サグ・パッション』の前に落下してくるはず。

そこに向けて、1歩踏み込みながら、スタンドでパンチを放つ。
砕くためのパンチではない。砕けてもいいけど。狙いは『前に飛ばす』こと。
精密な狙いなんて当然つけられるはずはない(パス精BCD)
けれど、パンチが当たれば、前に飛ぶ。それはまあ、期待していいはず。
手に持つ武器、エレベーターと酷使したタイルを、次は『飛び道具』にするのだ。

355『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/18(木) 01:25:37
>>354

「私も斬ったかと思いましたが……なかなかどうして」

「面白い」

控えめに、新元令和は笑う。
お互いにまだ万全の状態である。

《先ほどまで重力に逆らっていたタイルが落ちてきます》

《日沼選手、そのタイルを打ちぬいたァ!》

タイルは変形しながらも新元に向かって飛んでいく。

「……では最短距離にて」

床に手がつくほどに姿勢を低くし、タイルを避ける新元。
姿勢を起こしながら刀を抜きつつ、再び神速の踏み込み。

《新元選手、再度の接近!》

「逆作姫……日沼さん……」

「ともかく、お覚悟を」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□タ□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。現在も飛んでいる状態

356日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/18(木) 21:46:10
>>355

「斬られる覚悟なんかするわけないでしょ!
 ま、でも、覚悟はちゃんとしてるから。
 『逆』のだけどね…………本気でブン殴る覚悟ッ」

スタンドと共に、やや後退する。
『攻撃』が到達するまでの時間を少しでも稼ぐため。

      「『サグ・パッション』!」

   ギュッ

拳を固く握り締め、迎え撃つように、低く掬うような軌道で殴る。
相手の方が速いにせよ、何もせず斬られる事にはならないだろう。

それに・・・・・・

「それによ」

「そういう『精神論』より『策』で戦う!
 それが、流月の『参謀』たるゆえんだからさァ」

そして、握った拳は再び……発動する。
打撃にて刻む印、叛逆の証(>>354メール欄)
後方に飛んだタイルを…………ブーメランのように引き戻す!
これにより発生する挟撃。もし斬られても、いや斬られたくないが、
それに匹敵するか……それ以上のダメージを負わせてやる。

後退は・・・敵の攻撃だけじゃあない。
この『攻撃』が届くまでの時間を稼ぐ意味もある。

357『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/18(木) 23:14:09
>>356

「精神論?」

「これは心構えというもの」

後退しつつ、拳を振るう。
間違いのない力を行使する。
それに対して新元が取った行動は深追いをしないことだった。

「まさか遊びに来た訳でもないでしょう」

一度上がった姿勢がまた下がる。
刀は完全に抜かれ、低い姿勢のまま新元が右手に持ったそれを構えた。
低い姿勢であれば必然、戻ってくるタイルはそのままに。

《タイルのブーメラン……!?》

新元の頭上ギリギリをタイルが掠める。
日沼に向かってそのまま返ってきている。

「逆作姫、逆さ姫。逆さ……上昇……ふむ」

「では参謀殿、次はそのタイルを掴んで再び投擲しますか?」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□新□□□□□■∴
∴■□□刀□□タ□□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。現在も飛んでいる状態

358日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/18(木) 23:51:17
>>357

(背中に目でもついてるみたいに!
 『読まれた』? それともただの偶然?
 これが能力、って感じはしないけど)

回避された『タイルのブーメラン』。
その『叛逆』を取りやめさせ、
戻ってきたそれをつかみはしない。

「そういう予想されちゃうと、
 『逆らい』たくなっちゃうじゃん!」

実際には逆らうというより、精度の低さを自覚している。
この危急の状況で、わざわざ難しいことはしない。
やることは右手でタイルを床に『打ち下ろす』ことだ。
低い姿勢で突っ込んでくる敵に対する、壁にするかのように。
一応、この時もタイルに『痕』を刻印はしておこう。
動きを止められれば御の字だが、敵も未だ『技』を見せていない。

「そっちはどーすんの?
 また『サーカス』みたいに飛び乗る!?」

(斬られたらまじでやばい……『覚悟』してても痛いものは痛い)

          (けど)

              (刀……狙う価値はある)

だから、左手は空けてある。
先ほどのようにタイルの上を超えてくるか?
それとも迂回するか、タイルを吹き飛ばしてくるか?

上を超えてくる場合、打ち下ろしたタイルを『上昇』させて防げばいい。
迂回と、突破。意識をそこに絞って――――最悪、『反撃』も視野に入れておく。

359『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/19(金) 01:27:06
>>358

敵は三戦を勝ち抜いた闘士である。
戦いの勘というのがあるのだろう。

《日沼選手、自らに返ってきたタイルを叩き落とす!》

タイルがひしゃげて床に落ちた。

《両者決定打を打てないでいます!》

新元は右手側に回り込む。
直線的な前進だ。
刀は既に抜かれている。

《しかしそれは両者が警戒し、力が拮抗していると……あァ!》

横薙ぎに刀が右腕を狙う(スB)。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□タ新□刀□□■∴
∴∴■□□□□日□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。現在も飛んでいる状態

360日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/19(金) 02:44:03
>>359

(来たっ――――右から!
 いや、そりゃそうじゃん。
 左手残してる相手に、
 左から来るわけないんだし)

     (これなら避け――――)

られなくは、ないだろう。
タイルを回り込むように動けば、
当たったとしても刀の振りはタイルに阻害され、
少なくとも腕が飛ぶような重傷は避けられるはず。

(られるけど)

     ダンッ

(ちょっとは当たるかも……!)

そう、動こう。地面を強く蹴飛ばし左上のタイルへ。
直撃は避けたい。カウンターを狙うには敵の攻撃の性質が不明瞭すぎる。
そして――――

(しかもあの刀に近づくことになるッ、警戒しない理由とかない!)

マップ左下の刀。これは、警戒しておく。
当初考えていたような『電磁力による刀身操作』の可能性もある。
あるいは、単純に、何か罠が仕掛けられている可能性だってある。
挟み撃ちのようになれば危険だ。『サグ・パッション』の腕はいつでも振るえるように。

361『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/21(日) 00:41:02
>>360

地面を強く蹴る。
敵の攻撃は未知数。
どんな一撃が来るのかはまだ分からない。


        ブンンッ

《日沼選手、新元選手の一刀をかわすゥ!》

「否、二刀なりや」

そのまま、新元が回転する。
まるで踊るように足を運び、日沼めがけて鞘が振られる。
踏み込み。
日沼との空間を埋めるように新元が動いた。

   バチッ
            バチチツ

衝撃。
痛み、そして痺れがやってくる。

《二段構えの一撃が日沼選手を捉える!》

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□日新□□刀□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。床に落ちている。

362日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/21(日) 02:06:26
>>361(質問)
・鞘の攻撃を受けた部位は、刀で狙っていたのと同じ右腕でしょうか?

363『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/21(日) 03:32:53
>>362

その形になります

364日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/22(月) 08:49:52
>>361

「いッ……」

(斬られてない! 殴られただけ! 斬られてない!
 殴られただけ!? ……違う! 今なんか痺れた!
 電気……刀に電気を帯びさせるだけじゃなくて、
 鞘にも電気を帯びさせられるんだ。そういう能力)

(とにかく…………斬られてはない!!)

       「たァァッ!!!!」

殴られた勢いのまま、スタンド諸共体勢を崩す。
実況の言葉……たしかに『二段構え』と聞こえた。
刀と、鞘。そういう二刀流といったところか。

(…………二刀流なら刀二本じゃダメなの?
 せっかく他に四本も刀置いてるんだし、
 最初から二本刀持って戦う事もできるはず。
 鞘があるのが大事なのかなぁ…………ああ痛ッ)

右腕は動くだろうか?
過度に確かめることはしないが、
感覚は確かめておきたい。痺れの影響もある。

「…………こんのッッッ!!」

言葉がうまく口から出て来ないのを自覚する。
ヒートアップし過ぎているのかもしれない。

(ちょっとクールダウンした方がいいかな……
 ……落ち着きすぎても『逆に』良くないけど!)

ともかく、反撃は……『スライディングキック』だ。
体勢を崩したのは痛みから逃げるためだけじゃない。
敵の視界から消え、滑り込むような蹴りで足を狙うためだ。

それに・・・左腕は敵と逆側、右腕の動きは怪しい。
ゆえに、敵に一番早く攻撃が届くのは脚、というのもある。

365日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/22(月) 08:50:36
>>364(メール欄追記)

366『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/22(月) 21:42:11
>>364

右腕の痛みと衝撃。
筋肉の中に刺すような痛みがある。
痙攣というか、腕がこわばっているのを感じる。
徐々にその感覚は薄まっているが、受けた直後なら行動は難しいかもしれない。

「痛いですか? 痛いのは苦手ですか?」

「だとしたら、申し訳ないですが」

《日沼選手、ダウンか!?》

日沼は体勢を崩す。
攻撃によってでは無い、自発的にだ。
放送席のコハルや新元はまだ気づいていない。

《アァー》
《逆作姫ー!》

観客の声。
まだ、気付いていない。
故に。

ゴウッ

その行動の意図に気付けない。

「んっ!」

新元の左足にキックを叩き込む。
その攻撃や崩した体勢の都合上、日沼は床に体を預けることになった。
新元が後方に弾け飛ぶ。
たしかに当たった、少し手応えが薄い。

「……折れたかと思った」

《これはッ! 知略の一撃!》

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□日□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
タ:タイル。床に落ちている。

367日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/23(火) 00:12:22
>>366

(センパイがケンカでスタンガン食らった話してた。
 どーでもいいから忘れちゃってたけど、
 こういう感じなのかな……! これは確かに痛い)

          (どーでもいいけど……)

(『逆に』どーでもいいことを、
 『あえて』考えた方が、
 クールダウンする気がする)

        ふぅーーーーっ ・ ・ ・

息を深く吸い込み、スタンドの右腕で地面を叩く。
どれくらいのパワーが出るか、一応確かめておきたい。
全力が出るならタイルを砕くことができるはず。
いずれにせよ、殴打の際は『痕跡』を残しておく。

(スタンガン……なら、一発で動けなくなるよね。
 『暴漢』とかに襲われたときに使うんだし、
 ちょっとしびれるだけとかそんな風にはしない。
 スタンド……スタンドで、できる事がスタンガンより弱いことなくない?
 流月の『サグ・パッション』は、人間にも道具にも出来ないことができる)

         (やっぱこいつの能力、まだ『奥』があるでしょ……)

「折るつもりで蹴ったんだけどね〜」

そして、立ち上がる。
この体勢のまま戦うのはさすがにヤバいし、動ける場所で戦いたい。

「流月の『知略』と、『サグ・パッション』の『戦力』!
 今の流月は、一人で『桜裏悲鳴』を体現してるってワケ」

              「いやむしろ超えてるかも。『強さだけ』なら!」

可能であれば、上にタイル2マス〜3マス分くらい動きたいところだ。
刀に囲まれることになるが、それよりは端に追い詰められる方が不味い。

368『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/24(水) 22:10:51
>>367

スタンガン。
サイズ的に言えばスタンバトンといったところだろうか。
スタンガン程度の能力であれば、スタンガンを使えばいい話ではある。
だから現状において相手の力が未知数であるということは間違いではないのだろう。

「ですが、折れなかったのは幸いですね」

刀を納め、日沼の移動を見つめている。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□日□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

369日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/24(水) 23:45:37
>>368

            ザッ
 
「そこは『鍛えてるから効かない』とか、
 ツワモノ感出してくれた方が、
 絶望感で『逆に』盛り上がらない?」

       ザッ

「効いてなかったら困るワケだけどさぁ〜ッ」

(追ってこない、まだ動けないんだ。
 でもこっちも体制整えたかったし、
 無理攻めするよりはまだ堅実でいい!
 無理するのは、勝負所だけでいい……)

無駄口をたたきながら位置を変えた。
叩いた床はどうなっているだろうか?
そもそも腕がまだ動かなかった可能性もあるが。

(刀を……なんでまた納めたの?
 鞘と刀で二刀流がスタイルでしょ。
 居合術とかそういう感じじゃないじゃん)

           (……『充電』してる?)

   ぶおんっ

スタンドに地面を思い切り、蹴り砕かせる。
砕くことはできるはず。粉々は、無理だろう。
つまり、精度の低さゆえ不揃いに砕けるはず。
小さくてもいい、『破片』を飛ばして隙を作りたい。
無理でも『砂』をまき散らして、隙を作りたいのだ。
隙を作り――――刀を抜かせずに接近したい。

なお、スタンドの腕は胸の高さ。最悪、敵の攻撃を右腕で受けられるように。

370『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/25(木) 00:50:22
>>369

叩いた床は歪んでいる。
パワーは戻っているようだ。
『痕』も残せた。

《両者再びにらみ合いの形―――》

「では、少し拍の付くことでも言ってみましょうか」

《先に仕掛けるのは一体どちらか……!》

「鍛えていようとなかろうと、斬れば紙切れ同然」

「すでに三度、実証済みですよ」

新元が鯉口を切る。
『サグ・パッション』が床を蹴り砕く。
それはほぼ同時。
粉々の破片と砂。
それを新元の刃が処理していく。
砂と破片の霧を刃が切り裂き、視覚を確保している。
さばき切れなかった破片が彼の服と肌を切る。

《日沼選手仕掛けた!》

《剛力によってまるでショットガンのように破片を打ち出します!》

「この程度では」

再度の納刀。

「まだ」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□日□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

371日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/25(木) 16:31:14
>>370

「言うじゃん! それを流月が『反証』するまでが1セットだけどねぇ〜ッ」

(あっまた納めた! 別に抜いた瞬間速くなってるとかもないし、
 今みたいに防御するのにも毎回抜かなきゃいけないのに納める!
 多分、これが『電気の能力』のキーになってるんだ……
 ……まさか『裏をかく』ためにわざとやってるなんてないでしょ?)

なってたからどうというわけではない。
どういう能力かもよく分かっていないし、
納刀しなければ電気が使えないとしても、
正直身体能力が高い『剣士』というだけで怖い。

が、ポイントは……『納刀と抜刀』があること。
この敵はいかなる理由かはまだ分からないが、
戦いながら納刀と抜刀を繰り返しているのだ。
そこは事実だ……そこに『勝ち筋』がまず一つ。

(そこに繋げるためには…………攻めて攻めて対応を押し付け続ける。
 こいつが自分の好きに刀を使えないようにすれば良いってワケでしょ)

「これならどうよッ」

      (刺さった刀とか気になるけど、使われる前に……倒せばいい!)

刀を振り終え、納刀した、ごく僅かでもそこに隙の存在を見出して。
思考や言葉より早く、スタンドとともに接近し、特に工夫なく…………腹めがけてブン殴る!

372『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/25(木) 21:02:07
>>371

接近。
先程の攻撃をさばく際に新元は下がらなかった。
あるいは身をひるがえしての回避を選ばなかった。
距離を離すことを嫌った行動なのだろうがこの場合は逆効果だった。
日沼は容易に敵を射程内に収められる。

《新元選手に間を取らせない連打です!》

《今度はその手で一手を打とうとしている》

「正解です」

自嘲気味に新元が言う。
言い終わるが早いか鯉口を切る。
抜かれる刀。
雷を纏った刃が現れる。
だが、抜ききらない。
途中まで刀を抜いた状態で構えられる。

「もう一度、格好つけましょうか」

「その程度の攻略は既に通過しているッ!」

後ろに下がりつつ、腹めがけて飛んでくる拳に刃を合わせに来ている。
衝突すればお互い―――――!

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

373日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/26(金) 00:02:47
>>372

『サグ・パッション』を身に着けたとき、
『日沼流月』は『喧嘩』の必勝術を既に考案していた。
暴力はたいして好きでもないし、抗争をする事もまずない。
だが『叛逆の人生』を歩む中で必要になるだろうから、考案していた。

(嫌だけどこれで決めたらそれ以上痛いのはないし!
 これもそこまで痛くないかもしれないし!
 勝てるかもしれない手をビビッて使わないとかダメでしょ!)

それは『対スタンド使い』を考慮に入れたものではない。
より身近に存在する『危険』――――『対武器使い』。

「にへっ、ノリいいじゃん!」

「だったらついでにさぁ〜〜〜!!
 『サグ・パッション』の能力も攻略してみる!?」

          ガッ

打撃の狙いは『鞘で防がせること』。
それによって『鞘に痕をつけること』。
>>371メール欄『鞘 痕』)

それは『抜き切らない』ながらも、
刃によって迎え撃たれた事で『瓦解』した。
だが――――それなら、『刃を殴ればいい』。
抜き切られていれば振るい返されかねないし、
それはさすがに不味かったが――――
これなら『拳骨に食い込む』くらいで済むだろう。

「『レイ・レイ・ワウ』がどんな能力かは知らないけど〜〜〜ッ」

         「本領発揮まで待つなんて『王道』ッ!
           流月の『外道』でぶっ壊してやるッッ」

『サグ・パッション』の右腕で刃ごと、殴りぬける。
より厳密には『インパクトは刃に当てて』『痕を付け』、
それから拳を上か下に滑らせるように胴体を狙う。
低い精度では難しいかもしれない動き――――いや。
『まっすぐ刃を殴り抜ける』よりは『ブレる』方がやりやすい、と信じる。
しびれて腕の動きが止まれば、胴体ごとぶつかりに行ってやる。

『武器』に『痕』をつけ敵による『入力』に合わせ『叛逆』させる。
シンプルだが『一撃見舞う』に十分な隙を作れる。
これが――――『対武器使い』の必勝喧嘩術の一つだ。

付けた痕は、抵抗されなければそれでいい。
だが『押し返そうとする』とか『切り返そうとする』とか、
余計な『反抗』をするあならば、その刃につけた『痕』を起動し、
その動きを『反転』させる――――『切腹』はさせられないが、『峰打ち』には十分だろう。

374『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/26(金) 01:11:13
>>373

人間が手を握ることで拳を固めるように、スタンドの拳も固められる。
具体的に言えば、自分の放つパワーに負けない程度には硬化出来る。
だから『サグ・パッション』の力ならそれは不可能じゃない。

「ぐッ……! あぁ―――」

《め、命中ー! 日沼選手、一撃を叩き込んだァ!》

よろめくように新元が下がっていく。
日沼の右の手に痛みが走る。
軽く手に刃が突き刺さっていた。
新元令和は一切の抵抗をしなかった。
刃を挟んで拳と彼の腹部がぶつかり合った感触と、先ほど同様の痺れが残っている。
通常、押し込めない位置まで腹を押し込んだような気がする。
が、まだ彼は倒れない。

「おぇ……はは、流石に……近距離型の力はまともに受けると痛いですね」

左手に鞘を持ち続ける。
右手にはもう何もない。

「差し上げます、よ……その刀……今まで……そうしてきました……」

「それと『サグ・パッション』の攻略……ですか……」

「その能力は……『逆さま』にする……力、なら……その刀はすでに……術中……」

「……ひゅぅ……ひゅぅ……」

新元の手が傍の刀を掴んだ。
それをタイルから抜き、鞘に納めようとしている。

「投げますか……? またブーメランを……? それとも、接近……?」

「『レイ・レイ・ワウ』……その攻略を知っておいて、私が刀を納めるのを見送りますか……?」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□新刀□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

375日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/26(金) 01:24:25
>>374

「まずは『一撃』」

「でもここまでは今までの3人も1人くらいはやってるでしょ!
 『刀』をあんたから一本、受け取っちゃうとこまではさ」

「みんなが見たいのはこの先じゃない? どーよっ!」

(いだだだだだっっやっぱ『斬られる』ってヤバイ!!
 いや斬られたんじゃなくて自分からいったけど、
 どっちにしてもやばい! 落ち着いてられない!)

       フゥーーッ  フゥーーーッ 

息をやや荒げつつも、余裕を見せて敵と観客を煽ってやる。

刀はスタンドの、左手に持たせる。
右の拳は振って当てれば鈍器にはなるだろうが、
この状態で剣を握らせるのは不安のほうが強い。

いずれにせよ、刀は持った。
もちろん今から電流が流れるとか、
敵の攻撃の布石であるとか、
そういう可能性も『ゼロ』ではない。

が、ここは彼の『武士道』を信じる。
『不意打ち』は『悪いことじゃない』が、
彼のようなキャラで売るなら『不味い』だろうし。

「それと・・・流月の『叛逆』はまだ見せ切ってない」

         「底見せてないのは――――――
          『レイ・レイ・ワウ』だけじゃあないワケよ」

痕がついているであろう刀を構え、再びの接近を試みる。
この時気を付けるのは『レイ・レイ・ワウ』にはまだ『底』があることだ。
『二本目の刀』――――解釈次第だが『床から抜刀』するようにも見える。

視線の先の敵だけではない、周囲からの攻撃もありえる・・・
特に他の刀を警戒しながら近づき、『猪突猛進』になるのは避ける。

376『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/26(金) 02:16:20
>>375
      《オオオオオオオオーーーーーー》
                        《オォォォォ!》
  《オオオーー》
                      《やっちまえ逆作姫ー!》
         《もう一発! もう一発!》

    《カワイー!》  

《会場の空気を日沼選手が掌握しています》

《新元選手、巻き返せるか?》

手には確かな痛み。
フィードバックによって日沼の手にも血がにじむ。

「ふぅ……」

新元令和は真面目な男らしい。
勝負事の世界であるこの闘技場でも彼は彼の意志を貫き続ける。
……日沼は刀をスタンドの左手に持たせて接近する。
刀にはきっちりと『痕』がつけられている。

「では、底を出していただきましょう」

納刀……鞘に刀が納まろうという瞬間に新元令和が視界から消えた。
余りにも早い動きであった。
人ではない。
それ以上の速度(スB)
半円を描くように、彼の体が地面を滑る。

「いざ……!」

彼の動きが止まる。
納刀はすでに、終わっている。

「今度の刀は一層―――素早く―――」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□新□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

377日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/26(金) 22:41:18
>>376

「ウケてる! 流月、パフォーマーの才能あるのかな〜っ」

痛みをごまかすためにも余計なことを言っておく。

高速移動――――速度も敵の強さの一つだ。
だが、あの滑るような動きは『速いだけ』じゃあない。
おそらく、本当の意味での『能力』なのだろう。

(よくわかんない……電気関係なくない?
 『リニアモーターカー』みたいな原理?
 四本刺してた刀の位置は『レール』を作るため?)

       (謎解いてどうにかなる能力でもないけど)

  (気になりはする)

              グッ

迎え撃つ。

下手に動いても一瞬で詰められるだけだろう。
高速の移動術を持つ相手に『動き回る』よりは、
パワーで勝っている事を活かすため、『迎え撃つ』。

つまり、この状況を・・・『受けて、断つ』。

「『サグ・パッション』」

「観客の期待はッ……『裏切らない』!」

               ブォォンッ

剣士・新元令和のいる方向に向けて思い切り、
回るかのように横薙ぎに刀を振るって――――『迎え撃つ』!

378『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/27(土) 00:42:19
>>377

《踏み込む新元選手! 詰め寄る日沼選手!》

《お互い必殺の間合い!》

迎え撃つ。
力任せな一撃。
対する新元は流れるように洗練された一撃。

「いえ、貴方は裏切る」

「私に負けて……!」

鯉口を切る。
一気に刀が抜かれる(スB)
抜くのと切る動きが一体化している。
斜めに切り上げる動作で新元の刀が横薙ぎに振られる攻撃を迎える。
刃が腕に食い込む。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

379日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/27(土) 01:16:55
>>378

「いやいや裏切らないッ! 裏切るって言われたら、
 よけい裏切らない気分になってきた――――だからッ!」

今。
スタンドは刀を持たない側の手を握った。

『叛逆』の力を――――今!
刀への『入力』・・・『振るう力』を『反転』!
回るかのような横薙ぎの斬撃、その軌道を『反転』!
普通の人間には不可能な、予備動作ゼロの『反転』!

つまり――――『意志に反して動く刀に引っ張られる』ように、
いきなり無理やり体を『逆回転』させて『無理やり攻撃を避ける』。

腕に当たっている斬撃なのだから、
逆回転により腕が令和の刃から離れれば、空振る。
腕に傷は出来るが、斬り飛ばされる前に斬撃から逃れられる。

そして・・・こんな無茶、斬撃をかわすためだけにするわけがない。
そのまま振るう力の入力を続け、『刀に引っ張られ』その場で一回転!

「  『裏斬って』やるッ! 」

                 ・・・その勢いで、『逆側から再度斬り付ける』!!

380『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/27(土) 01:42:27
>>379

全ての動きが逆さまになる。
叛逆の証を媒介し、あらゆるものは反旗を翻す。
根性焼きをしたような痕が消える。
すでに叛逆は始まっている。
独楽が回るように、力強さはそのままで反転する。

《これは! 日沼選手、先ほどまでは確かに振っていた動きが―――》

《逆に!》

「やはり、逆……!」

「ですが、これは無理ですね」

二人の刃が空を切る。
しかしその意味合いは違う。
新元は空振り。
日沼は裏切り。

       ゴシャッッ

新元の体に日沼の刀が叩き込まれた。

381『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/27(土) 01:53:39
新元令和の体が宙を舞った。
といっても、打ちあがったのではない。
まるでダンプカーにはねられたかのように横に低い弾道で飛んだのだ。
体を両断することは叶わなかった。
峰打ちの形になったわけではない。
新元はインパクトの瞬間、刃の前に鞘を差し出した。
それがクッションになり衝撃の身を体に伝えさせた。
新元は突き刺さった刀にぶつかって止まる。
刃が食い込んだらしく、赤い血が彼の服ににじんでいく。
地面に倒れた新元は起き上がれない。

《新元選手、起き上がりません……! 決着か……?》

「は……はは……ははははは!」

笑った。
新元令和が笑った。
血にぬれた背が起き上がっていく。
右腕からも血が多く流れている。
鞘はひび割れていた。
起き上がったものの、明らかにダメージが立ち姿に現れている。
足腰がまともではないのだ。

「強いですね、本当に」

納刀。
左手の親指で鍔を押さえ、残りの指で鞘を支える。
杖のように右の手で背面の刃を掴んだ。

「ますます、斬りたくなってきました……そうすれば新元流は成り上がる。斬り上がる」

「私たちの剣術が強いのだと証明できる……!」

彼が咳ごむと赤黒い塊を吐き出した。
まだ彼は倒れてはいない。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□新□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月

382日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/27(土) 02:47:46
>>380

僅かでも斬られた腕のダメージは無視できない。
だから、慢心せずに、刀を持ち換える。

「ウケてるし……そうだよ、流月は強い!! みたいね」

実戦の経験なんて、ロクにない身の上だ。
それでもここまでやれた。あとは、最後までやるだけ。

「いくらあとから治るっていってもさぁ〜〜〜っ、
 こんなに人のことけがさせるの初めてなんだけど!」

         「でも流月も斬られてるし、
           へへ……ごめんねとは言わない」

              「てか試合だしね!」

   フゥーーーーッ ・・・

ネコ科動物の威嚇のような、
長い息を吐きだして、姿勢を直す。

「それと、流月は特に証明したいものとかないけど!
 でも、『超えるべき壁』だと思われてるなら『超えさせない』」

       「ファンの期待は裏切らないけど、
         『ライバルのファン』は裏切ってやる」

血みどろで笑う『新元令和』を、見据えて立つ。

(後ろの刀と、今持ってる刀で『二刀流』!?
 できてもおかしくはないけど――――
 何にしても、もうあいつは体力残ってないはず。
 あと一撃入れるか、しのぎながら細かいのを当てるか!)

回復する隙を与えるわけにはいかない。
距離を置いて得するのは機動力に優れた令和のほうだ。

ゆえに――――再び。刀に軽く拳を当て『痕』を付けた上で、接近を試みる。

383『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/27(土) 11:04:45
>>382

「私の前に越えるべき壁はない」

日沼と同じように新元も大きく息を吐く。
口の端から漏れる血も気にはしない。
刃に『サグ・パッション』の痕を付ける。
接近。

「切り伏せるものがあるのみ!」

右手に持った刀を振り上げる。
どちらが速いか、変化が起きた。
鞘に納まっていた刀が飛び出した。

《刀の弾丸……?》

その場にいる殆どの人間が弾丸が飛ぶのを実際に見たことは無いだろう。
ただ、そういう感覚だった。
それは速く(スB)、まっすぐに日沼に向かっている。
視界の中の刀が大きくなる。
新元が右手の刀を納刀するのが見える。
刀が間もなく到達する。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□新□□□■∴
∴■□□□□□□飛□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
新:新元令和
日:日沼流月
飛:飛んでくる刀

384日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/27(土) 22:13:58
>>383

         「ちょ、ちょ、これっ」

  (『レールガン』だ!!!)

   「これじゃさ!」

         (いややばい、やばい速い! 考えてる時間ない!
           たぶんしゃべり終えた瞬間には……流月に当たる!!)

「これじゃ、『切り伏せる』じゃなくって、『刺し貫く』じゃん!
 にへへっ、『武士道』も嘘つくことあるんだ……ッ」

軽口を叩きながらも精神は極限まで引き絞る。
むしろ、引き絞ったからこそそういうカルさは口から飛び出たと言うべきか。

             シャッ

ここから生半可な回避など望めるはずはない。『速度』で負けている。
だから『間に合わせる』ために少しでも小さな動きをするしかない。

刀を持つ手を上げ、『その刃で防ぐ』。
打ち返すとかそういうのは考えない。
ただ『刀身で受けて防ぐ』事だけ考える。
だが・・・『ただ受けるだけ』なら、まず失敗するだろう。

高速で飛来する刀を受け止める。それはまだいい。
だが、受け止めたあとそのまま押し込まれたり、
あるいは受け止めた際に弾いた刀が跳ねたり、
そういう『イレギュラー』な要因に対処する? そんな精度あるわけない。

が、当てて、受けるだけならかろうじて出来るだろう――――!
自分自身では打ち返すとかそういう工夫は何も考えず――――ただ受けるだけなら!

             グググッ

そして刀を受けた瞬間、その『衝撃力』の『入力』を『反転させる』ことによって、
『刀を押し込む力と完全に真逆に動かし』――――『自分の意志と関係なく打ち返す』ことなら!

『日沼流月のサグ・パッション』のスペックや判断速度に関係なく――――『弾き返せる』可能性はある!!

385『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/27(土) 23:20:14
>>384

「刺した後に切ってさしあげましょう」

新元は笑ったままそう言った。
迫る刀。
切っ先こそ向いていないものの危険に変わりはない。

《日沼選手何とかこれを弾き……あぁ!》

入力に対しての反逆。
来たものを返す行為。
『サグ・パッション』の能力で刀を打ち返した。
入力された力によっては届かない可能性もあったが、この距離ならば問題は無い。
刃が新元へと戻っていく。
一転して有利な状況。
処理に追われれば隙が生まれる。
だから新元令和は逆に前進した。

《刃に向かって前進したァ!》

左手に鞘、右手に柄。
今までに何度も見たその姿勢のまま新元が踏み込む。
最小限の動きでの開始。
彼の体を抉り、服が破れ、右の肩が露わになった。
だがそれでも踏み込んでいる。

「貴方は、斬られずに勝つつもりでしたっけ?」

「では、次の一撃はどうします?」

既にお互いの間合い。
鞘のヒビから雷が漏れ出ている。
彼の右の手が震えていた。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
右上の物は落ちている。
新:新元令和
日:日沼流月

386日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/28(日) 14:43:49
>>385

上手いこと防げた……のはいいが、『一手』だ。
まだ次の手、その次の手、その次の次の手がある。
一転して『対応を強いられる』側に回らされている!

(やっぱこいつ甘くない……刀がいっぱいあったのは、
 こういう風に刀を使い捨てる技があるからってことだ)

幸いなのは、『手』を介する必要があるということ。
ずっと警戒していた『背後の刀を操る』ような技は、
この敵の性格からしても能力からしても無いと見る。

「流月のこと詰めたつもりでしょ」

(詰められてるけど)

「まだまだ余裕ってとこ、見せたげなきゃね!」

ダメージは圧倒的に相手の方が上だ。
武器は強いが、『手』が無くなれば使えない。
鞘も使う新元令和なら、『両手揃って』初めて本領。
手が潰れても足を使えばいい自分とは重みが違う。

(…………右は無い! 一発目に鞘で動けなくして、
 そこに刀振ってくるはず……全力出せるならともかく、
 あんな風になってる右手じゃそうしないと自信出ないでしょ!)

「流月も…………『サグ・パッション』もッ!」

         「まだちっとも疲れてないってとこ!」

だから、こちらの手は…………出足、初撃は受ける。
その覚悟はする。ダメージのある右手を翳し盾にする。

         ザリ

そしてまずは左の手で、刀を振るって斬りかかる!
軸でない足が振り上がるほど勢いよく踏み込んで、斬る!
この局面、『サグ・パッション』の『能力』は使えない。
拳で打つという動作が隙になる。能力に頼らず……攻める!

387『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/29(月) 01:36:29
>>386

選んだのは右腕での防御。
新元の鞘のヒビから漏れる雷が大きくなる。
右手が震える。
鯉口がカチカチと音を鳴らす。
『サグ・パッション』が左腕を振り上げる。

「いざと言う時ほど……まっすぐに」

そんなことが聞こえた気がした。
構えた右腕……その先、手首に痛みが走る。
当たったのは鞘ではない。
この痛みは、この痛みこそが、『刀』だ。

《斬った!》

日沼の耳に観客の声が聞こえるが、どれも遠く詳細には分からない。
構えた『サグ・パッション』の右手は確かに繋がっている。
が、フィードバックで分かることは、日沼流月の右手首は切断に近い状態であることだ。
『サグ・パッション』が右腕に力を込めた状態故に硬化していたのか、刀の問題か、それとも新元の負傷によって完璧な一撃ではなかったのか。
ともかく、切断には至らない。
しかし日沼の右手首から勢いよく血が吹きでているのは間違いではない。

「まだ……終わりでは……」

虚ろな目をした新元が刀を構えようとしていた。

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
右上の物は落ちている。
新:新元令和
日:日沼流月

388日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/29(月) 02:50:11
>>387

鞘ではなかった。腕をかざしていて、よかった。
読み間違えたという暗い思考は今はいらない。
結果として右腕が実際どうなったのか。考えない。
怪我の功名で致命傷を避けた、そのプラスだけ考える。

「おッ……お、お、おぉぉぉぉーーーーーッッッ!!!!!!」

(手 を、 見たら、 止まる)

    (流月は気付いてないッだから動ける!!!)

           (動いて終わらせてやれッッ)

ほんとはなんて言おうとしてたのかは、分からない。
言葉の形を取らせようとしたら『痛い』にしかならない。
だから喉は思考に『逆らって』意味のない声を上げた。

思考は、まとまらない。
行動は、もう決めていた。

先に決めていた。考えられなくなってもいいように。
だから腕の状態はあえて気にしなかった。忘れた。
それでも、冷たい痛みは好き勝手に追い付いてくる。
だから追い付かれる前に『決めていた攻撃』を放った。
半ば動作も終わった、あとは放つだけの一撃を。

踏み込み動作に伴って振り上げた足で、
そのまま、何も工夫せず、前向きに蹴り付ける。
>>386メール欄 『上げた足で蹴る』)

普通なら決まらない、単純すぎる攻撃かもしれない。
だが、新元令和はすでに負傷しており、攻撃直後で、
かざした腕と刀を振るおうとする腕も無視できないはず。

だから、このフォームとかなんとかの正しさをブチ破る力任せの蹴りを当ててやる。

389『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/29(月) 04:57:59
>>388

「は……はは……次はお腹を斬りましょうか」

日沼は手を見なかった。
生物的本能からの反逆、あるいは痛みからの反逆。
それは逃避ではなく前進。
身にまとわりつくものを振り切る行動。
足を前に出す。
踏み込むためではなく、蹴り込むために。
吸い込まれるように出された足が確実に体を撃ち抜いた。

《止まらない! 日沼選手はまだ止まらない!》

新元の動きが止まる。
彼ももう退かない。
この距離、この距離感こそが両断の間合い。
故に下がらずそこに立ち続ける。
だが、彼の前進は明確な隙を作った。

「まだ……まだ……」

―――地図―――

∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□刀□□□□□刀□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□新□□□□■∴
∴■□□□□□日□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□刀□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□痕□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。強化ガラスか何かが金網と客席の間に立てられている。
∴:観客席。
刀:日本刀。切っ先が床に突き刺さるようにして設置されている。
右上の物は落ちている。
新:新元令和
日:日沼流月

390日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/29(月) 12:57:36
>>389

もう切られたくないな、と思った。言葉にはならない。

日沼流月は『武士道精神』を持ち合わせない。
不良であること、反骨の精神に燃えていること、
そして生まれた家・・・全てが『武士道』とは反発する。
潔く散る事を美徳する気は人生のどの瞬間にも無かった。

だが・・・『瀕死』でありながら前進を続ける、
明らかに薄くなった勝機でも手放そうとしない、
新元令和の姿には・・・『敬意』を払わざるを得ない。
日沼にはその感情の正体は、性格には分からなかったが。

(もうやめときなよとか言えないじゃん。
 流月だってもうやめたいくらい痛いけど、
 これが『戦い』なんだ。ちょっとだけ分かった)

(やっぱ喧嘩はあんま好きじゃないけど)

生まれた明確な隙を逃さない。
日沼流月が望まない『逆転』は無い。

(ちょっとだけ…………『分かった』)

「――――これでッ!!!! 」

        「ッッッ!!!!!」

振り上げていた刀、左腕の刀、蹴りの布石とした刀をそのまま振り下ろす。

               ――――新元令和を、斬り付ける!

391『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/29(月) 18:52:54
>>390

反逆の道。
世の中から見ればそれは曲がった道なのだろう。
きっとこれまでの人生であれば日沼と彼は出会わなかった。
どちらかの大きな曲がり角がどちらかの道の上に重なったのだ。
ある種の敬意を持ちつつ、日沼は刀を振るう。
新元とは異なるその太刀筋。
荒々しいその一撃が彼の右肩から胴に向かって振り下ろされる。

「ッッッ……」

ぐらりと、新元の体が揺れる。
片膝を着き、虚ろな瞳が天井を向いていた。
そのまま体を闘技場の床に預けそうになったものの、彼は踏ん張った。

「まだ……まだ、で……す……」

「新元流」

もはや逆転などない。
彼の手から鞘が消える。
立ち上がり、掴みかかろうとするが手が空を切った。
そのまま新元令和は意識を失った。

《け、決着! 決着です!》

《勝者は、【逆作姫】の日沼流月! 新元令和を斬り伏せて、いま勝利を手にしました!》

叫ぶコハルの声をかき消さんばかりの声援が日沼に飛ぶ。
まるで爆発するかのように発せられる声が混ざり合い、打ち消しあうが日沼を賞賛するという意味合いでは一致していた。

〈凄ェ!〉
〈やったぜ、おい!〉

〈最高だぜー!〉
〈かわいー!〉

何かアピールをしてもいいし、そのまま戻って治療に向かってもいい。

392日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/30(火) 00:00:18
>>391

「――――――これで」

                「おしまい・・・」

「『期待』は裏切らない。
 ……やったでしょ! 流月って最高でしょ!」

       フラァ〜っ

             「あーでも」

「『逆転劇』を期待してたヒトだけは『裏切っちゃった』」

                    「かなッ」

倒れた新元令和ではなく、
観客たちを見て、片目を閉じる。
ウィンクのつもりだったが……あまり余裕はなかった。

               ザッ  ザッ

歩けるところまで歩いて、治療に向かおう。

「こんなこと言っても『逆撫で』するだけかもしれないけど。
 令和クンも強かったよ……………何回も死ぬかと思った」

         「これは『逆』とかない、本気……んじゃ、バイバイ」

それでも、新元には何か言葉を言いたくなって、それだけ口が動いていた。

393『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/30(火) 02:00:04
>>392

閉じた片目。
チラホラと男性客が立ち上がるのが見える。
女性客も称賛の拍手を送る。
雷がなったようなその音に見送られて医務室らしき場所に向かう。
途中でコハルが降りてきて案内と安否の確認に来た。
医務室で白衣の女が立っていて、日沼をベッドに促した。

「コハル、こういう患者の時は応急処置しろと言ったはず」

「まぁ、一瞬だ」

右の手に触れる。
尋常ではない痛みが走ったあと、気づけば右手は完全にくっついていた。

コハル:「お見事でした、日沼さん」

394日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/30(火) 02:37:46
>>393

「イダダダダダッッ、えっ痛すぎ、何、痛すぎ!!!」

           「――――あ、治ってる?」
 
                ブンブン

ろくに状態も見ていなかった右手を振る。
治療に向かってからこの瞬間までの記憶は、正直言ってあいまいだ。

「いや〜〜〜〜痛かった、ほんとに痛かった」

「でも、けっこう……気分よかった。勝てたからね!
 逆に負けてたら最悪な気分だったかな……そうでもないかな」

手首を眺めつつ、そのようなことを、半ば独り言のように返す。

「ともかくさ……にひ、『時代』を塗り替えてやっちゃった」

            「『令和』から『流月』にさァ〜〜〜〜ッ」

                       ヒヒヒッ

395『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/30(火) 02:57:55
>>394

視線を逸らしていた右手首は今までと何ら変わらない形でそこにある。
縫合の跡もなく、なんの問題もなく動いていた。

「勝った方が気分はいいだろうな」

女はそう言った。
本当のところはどうなのかは戦ったことのある人間のみが知っている。
少なくとも医務室の人間は戦いとは無縁の存在だった。

コハル:「じゃあ、四連勝五連勝を狙ってみますか?」

「それこそ一時代を築けますよ」

コハルが笑う。
その時に医務室の扉が開いた。
そこに立っていたのは新元令和と新元号である。

「そっちに向かわせたスタッフはどうした」

号:「令和が帰しやがった。帰る方もどうかと思うぜ……」

令和:「お手を……わずらわせるわけには……」

フラフラとベッドに倒れ込んだ。

396日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/30(火) 04:09:41
>>395

「いや〜流月、ほんとは参謀だからね。
 直接戦うとかは、ま、本業じゃないわけよ、
 まあ、適正はあるのかもしれないけどさ?
 これっきりにするとか言うわけでもないけど」

「時代作るのはほかの人に任せるよ。
 流月は、作るより『ひっくり返す』方が得意だし」

アリーナのファイターとして生きる、という気はない。
痛いのは嫌いだし、殴るのが楽しいとかもない。
戦うのは……悪いことばかりじゃあない。
それにいつか戦う『必要』もあるかもしれない。

ただ、しばらくはいいかな……と独り言ちて、
開いた扉の方を見る。新元令和……生きていてよかった。

「あっ生きてた!? よかった〜〜っ!
 最後思いっきり斬っちゃったから、
 いや斬ったのは試合だから仕方ないケド……」

「もしかして……ってのはちょっと思ってたワケよ!」

フラフラだが、生きているなら何よりだ。
自分もフラフラだったし必要以上に気遣いはしない。

397『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/30(火) 11:49:21
>>396

コハル:「そうですか……」

「残念ですけど、参謀ですから仕方ないですね」

この場での戦いは非日常の中にある。
ここに来るということは、自らそこに身を投げること。
事件に巻き込まれるのとは意味合いが変わっている。

令和:「まだ……しねません……から……」

浅い呼吸を繰り返したあと、無理やり立ち上がり、日沼の方に近づいてくる。

令和:「思えば……まだ、握手を……」

女:「治療が先だ」

女が令和の体に触れると、傷が消えていく。
流れた血も全てが無かったかのように。

令和:「ありがとうございます……改めて」

新元令和は右手を差し出した。

398日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/30(火) 15:41:59
>>397

「これっきりとは言ってないけどね〜。
 まあ、たぶんしばらくはしないけどさぁ、
 お金貰えるし、声援とかはちょっと気分良かったし、
 痛いのが喉元過ぎたころにまた来ちゃうかも!」

などと言いながら、令和に向き直る。
そして……特にタメとか、フリとか無しで、
差し出された手を素直に握り返す。

「こちらこそありがとね!」

            ギュッ

「ね、ね、こーいう『勝負の後に握手』みたいなのさあ!
 昔からちょっと憧れてたワケよ。リスペクトってゆーか。
 体育の授業とかで形だけ、やったことはあるんだけどさあ〜
 それだと『逆に』シラケるっていうか、やらされてる感っていうかね」

「だからさ……手の中に、自分の気持ちってやつが、
 ちゃんと入ってる気がするのは今回が初めてなワケね」

        「そういう『ありがとう』だから」

戦いそのものは別に好きじゃあない。
痛いし、暴力とか自体そんなに好きじゃないし。

だけど戦いに伴う熱とか、声援とか、高揚感とか。
それから――こういう『達成感』『充実感』みたいなのは悪くない。

399『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/30(火) 17:18:26
>>398

手を握り返し、感謝を述べる。
身を削り、危険に身を投じたが故に湧く感情がある。
形だけではなく嘘偽りもないもの。

令和:「で、でしたら良かったです」

号:「照れんなや……」

令和:「わ、私としても少し肩の荷が降りたような気がします」

新元の手がするりと抜けて二人の手が離れた。
はにかむように笑う新元令和は、穏やかで闘技場で見た血に濡れた視線はもうなかった。

令和:「ではこれで、これから反省会ですので。また勝つために、ね」

日沼やコハル達に頭を下げた。
特に用事がなければ彼は帰っていくだろう。
あとはコハルからギャラを受け取れば自由だ。
またいつもの日々が続いていく。

400日沼 流月『サグ・パッション』:2019/04/30(火) 22:05:07
>>399

「んじゃ、またね〜ッ」

何げなく『また』とは言ったものの、
済む世界の違う人間だと思った。
自分ならああも斬られて、次の戦いを考えられるはずもない。

(戦ってなかったらフツーのヒトって感じなのに、
 どーいう人生してたらああいう風になるんだろう。
 流月とはほんとは絶対交わらない線なんだろうな……)

いつもの日々に戻ったら、『新元令和』のような人間はいないし、
自分からそんな世界に飛び込むことも――――まあ、しばらくはないだろう。

「そだ、コハルさん『ギャラ』! 『ファイトマネー』!
 流月さ、『30万のバイト』しにきたワケですよ。
 敬語使うのともども、ちょっと最初のこと忘れちゃってたけど!」

        「それ貰ったら今日は帰っていいんです?
          これ、しばらく安静とかしなくていいワケですかね」

                スッ

手を差し出し、『手首』に視線を一瞬落としてから、そのようなことを尋ねた。

そして・・・

「どっちにしろ……いやぁ〜〜〜〜ッ、濃い経験、しちゃったなぁ」

そう、誰に言うでもなく息とともに吐きだした。

401『ある日のアリーナ-令和-』:2019/04/30(火) 22:42:14
>>400

日沼流月の人生があるように新元令和の人生がある。
ほんの少しの奇跡的な偶然で今日巡り会った。
彼がこの街にいるのなら、またいつか会えるかもしれない。
もしくはまたここに来れば会えるのかもしれない。

コハル:「ギャラはこちらに用意してます」

そう言って、コハルが封筒を手渡した。
厚みのあるそれには確かに30万が入っている。

女:「私の『スティール・ユア・ハート』の治療は即座に終わる。安静にする必要も無い」

「時流に乗って言うなら『葛西百合江、私は失敗しない』」

安静にする必要はなさそうだ。

日沼流月が吐き出した息と言葉が医務室の中に溶けて消えていった。

日沼流月『サグ・パッション』→『治療済み』『30万』獲得

新元令和→『治療済み』

402『ある日のアリーナ-令和-』:2019/05/01(水) 00:13:27
★氏名―新元 令和
★スタンド―『レイ・レイ・ワウ』
★能力―『蓄電』し『放電』する『鞘』
★性別―男 ★年齢―21 ★血液型―A
★髪の色―黒 ★瞳の色―黒 
★趣味―特になし ★身長―176cm 
★好きな映画―座頭市 ★好きな色―黒
★性格―受け継がれた剣術である『新元流』に対して強い誇りを持っている。
★外見―黒い髪のオールバック。
★備考―剣術家。修める『新元流』は大正時代にまでさかのぼると言われている。   

【鞘走る稲妻】新元 令和のスタンド。
鞘の形をしたスタンド。
鞘の内部でスタンドの電気が発生しており、納刀することで刀に電気を纏わせることが出来る。
また抜刀状態では、鞘外部に電流が漏れ出て、本体の能力を向上させる。

長時間の納刀を続けると、行き場を失った電流が暴発することがある。
新元令和はこの爆発的エネルギーを使って最速の抜刀を実現する。

『レイ・レイ・ワウ』
破壊力:B スピード:B 射程距離:E
持続力:C 精密動作性:C 成長性:E

403荒国派、その在り方:2021/08/06(金) 18:25:18
アリーナとはこの町の盾なのか
それとも悪意に対する矛なのか
それは各々の判断に任せられる
そして俺たちはバラバラである

考えは様々で好き勝手している
だから時折、盾や矛が内を向く
派閥というものの必然だろうな
それはどの分野においても、だ

だがそれでいいんだよ、コハル
『平時の混沌』というものもな
『緊急時の秩序』になればいい
俺はそれを美しいとすら思うさ

バラバラのパズルピースを組み
山も海も風景も混ぜて一枚絵に
それこそが、アリーナの強みだ
少なくとも俺はそう思っている

「……あの『アセンション・クラブ』は……」

あいつらはお前に任せておこう
我が派閥の中の混沌としておく
何か問題があれば逐一報告しろ
状況によって俺が秩序を与える

「……分かりました、和国さん」

その名前で呼ぶのはやめてくれ
クソ兄貴を思い出しちまうから
ここでの俺は『和国』ではない
荒国と呼んでくれればいいんだ

404『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/11(月) 21:30:58
ある秋の日のことである。
君は、倉庫街に来ていた。
はじめに君が見たのは、張り紙だった。
その紙に書いてある文言を見て、君はここにやってきた。
そして、なんとなくだが君はここに来ることができるものが限られていることを認識している。
それはこの倉庫街に来ることの難易度の高さ、という意味ではない。
『紙に書かれた文字の性質』によるものである。
スタンド、君はその超常たる能力のもので張り紙の文字が書かれていることを知っているのだ。

「……」

君が倉庫街に来ると、待っていたかのように一人の男が立っていた。
長い黒髪をオールバックにしている、少々強面の人物。
袴に羽織、和装……のようにも見えるが、襟のないシャツを着物の下に着こんでいる。
いわゆる文士スタイルのようだ。

「……」

……君がここに来た理由は彼なのかもしれない。

405真白『ユキカゼ』:2021/10/11(月) 21:58:29
>>404
「ふゥん・・・」

面白いコトが出来るかも、と、期待してここまで来た。
どうやらその考えは、裏切られることはなさそうだ。

「こんにちは」

ウキウキした調子で、男に声をかける。

「『張り紙』を見て来た・・・ッて言えば、良い?」


本体設定:
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050739/160

スタンド詳細:
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1611147374/400
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1518530384/132

持ち物:
スマートフォン、財布(小銭、ポイントカード等)

406『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/11(月) 22:10:29
>>405

「……お名前を聞きましょう」

男は君のほうに視線を向けて、そう言った。
黒い、そこのない沼のような色を持っている瞳。
そこには一切の光がなく、何もかもを飲み込んでいくようだった。

「先んじて名乗りますが、私のことは荒国(あらくに)と呼んでください」

視線を外さず、そう言って。

「……アリーナを知っていますかな?」

407真白『ユキカゼ』:2021/10/11(月) 22:18:39
>>406
(こっわい瞳。思わず息をするの忘れちゃいそう。
 もうドキドキしてる。来てよかった!)

「功刀 真白(くぬぎ ましろ) と、申します」

芝居がかった、大げさな礼をする。

「『アリーナ』・・・ちょっと、聞いたことはないわ。
 ああ、勿論、単語としては知っているけれど。そういうコトじゃないんでしょ?」

408『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/11(月) 22:31:29
>>407

「これはどうも」

返すように跪いて礼をする。
その時になって、やっと彼は君から視線を外した。
なのだが……
彼の周りにある空気はより冷たくなる。
君の身にしみた感覚から思い当たるものは……『抜刀直前』
一太刀が現れる、その瞬間の気配や感覚に近いものが満ちている。

「功刀様、ですね」

「……アリーナとは町の裏。秘密のもの……ですが、漫画や小説の秘密結社とは少し毛色が違うと、私は考えております 」

「……どうぞ。見た方が早いでしょう」

彼が歩き出した。

409真白『ユキカゼ』:2021/10/11(月) 22:42:32
>>408
「ッ〜〜!!」

思わず笑みが浮かび、『ユキカゼ』を発現しそうになる――が、抑える。

(落ち着け落ち着け! 『そういう機会』じゃないんだから、今回は。
 あぁ、でも、こういう人が案内してくれるなら――本当に楽しめそう!)

「そうですね、『百聞は一見に如かず』。
 その言葉通り、まずは見させてもらうとしましょう、荒国さん」

足取り軽く、荒国の後についていく。

410『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/12(火) 00:52:33
>>409

「失礼、少々気が巡りすぎました」

彼について行くといつの間にか君はよく分からないルートでよく分からない場所に着いていた。

「アリーナとは組織の名前であると同時に、ひとつの場所の名前です」

扉を開ける。
するとそこには。



熱気が満ちていた。



言葉として認識できないような叫び声や歓声、落胆の声が聞こえてくる。
そこにいるもの達はメガネやサングラスをかけている。
それはスタンドを視認するために必要なものだ。
だから、それをかけずにいる君と荒国は彼らとは違う存在で、それを周囲は認識していた。
君のいる観客席の向こうにはフェンスで囲まれた闘技場。
そこでは二人のスタンド使いがお互いの攻撃を受けあい、かわしあい、命のやり取りをしていた。

「ここが、アリーナ」

「功刀様は、あそこに立つご自身を想像出来ますか?」

411真白『ユキカゼ』:2021/10/12(火) 07:38:24
>>410
「へぇ・・・!」

フェンスを掴み、顔をギリギリまで近づける。
一目で分かる。『スタンド使い』同士の戦い。
それも、本気の戦いだ。それがショーになっている。

「ええ、ええ。出来る。想像出来るわ。
 とても『楽しそう』! あの張り紙を見てよかった・・・。
 この町にこういう事があるのを、知らないまま過ごすところだった」

フェンスから顔を離して、荒国に話しかける。

「今から『スタート』するの? 私、殆ど飛び込みみたいなものだけど・・・。
 相手も、これから来るのを待つのかな」

412『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/12(火) 21:28:41
>>411

戦っているのは血管のような赤いラインを持つ髑髏の人型スタンドと刀を持った少年だ。
少年が一太刀くわえようと近付いた瞬間、返すように人型スタンドの腕が刀のような形に変化する。
すれ違いざまの決戦を制したのは人型スタンドを扱う方のスタンド使いだった。

「いえ、アリーナもある種の興行。功刀様には闘士としての登録を済ませて頂かなければなりません」

そう言われ、今度は控え室のような場所に移動させられる。
そして、そこに用意されていた諸々の書類に目を通させられた。

「お名前とスタンド名……それから必要でしたら二つ名も……格闘技なんかによくあるあれです」

「試合は早くて明日にはご用意できるかと……」

413真白『ユキカゼ』:2021/10/13(水) 05:41:52
>>412
「む・・・」

折角盛り上がっていたのに・・・と思ったが、仕方ない。
コンディションを整えるなり、やれることをやろう。

「仕方ない。パパっと済ませて、体を休める事にしよう」

カキカキ

   功刀 真白

     『ユキカゼ』

          カキカキ


「二つ名・・・二つ名ねえ。
 うーん・・・私、真白だから・・・マシュマロ・・・『ユキカゼ』で・・・『雪見だいふく』」

  ジュルリ・・・

「おっと、ヨダレが・・・。これは『二つ名』じゃないね・・・」

「えーと、そうだなァ。
 白、雪・・・私の『スタンド』――。
 うん、『銀世界』――で、行こう」

カキカキ

   『銀世界』

       カキカキ

414『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/13(水) 10:27:53
>>413

「承りました」

君の顔色を荒国はうかがわない。
しかし、何となく彼自身即日で決戦を行えないことをもどかしくしているような雰囲気があった。
黒服、アリーナの裏方でありながらも完全に裏方に徹せる性格ではないのか、それとも彼自身が裏方向きでないのか。

「では、これから功刀様はアリーナの闘士と……」

ガチャ

「ん? 使ってたのかよ」

誰かが、入ってきた。
咥えタバコに無精髭の男性。
彼の姿を見て、少し荒国の眉間に皺が寄ってすぐに消える。

「煙原(たばはら)……失礼、少し順序がズレました。彼はアリーナの闘士」

「ひっひっ、荒国の旦那。そう言いなさんな。そこのお嬢ちゃん、闘士候補なんだろ? 見たところかなりやる。座り姿勢からして違う」

ドン、と机が叩かれる。
煙原が君に言う。

「相手が決まってないなら、おじさんとやらないか」

415真白『ユキカゼ』:2021/10/13(水) 21:07:20
>>414
「いいね」

ニヤリと笑みを浮かべて、煙原に返答する。

「そのつもりでここに来たんだ。
 私は何時でも行けるよ」

416『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/14(木) 08:57:56
>>415

「おう、いいじゃねぇか。今日の試合終わりにエキシビションでも……」

煙原がそう言った時だった。
机の上に置かれた煙原の腕を掴む。
掴んだのは荒国だ。
彼はいつの間にか椅子から立ち上がっている。

「……失礼、順序がズレた分を取り戻させていただきます」

「アリーナという組織は一枚岩ではありません。我々のような黒服が派閥を作りそれぞれが興行を行っています」

「彼は私の派閥……『荒国派』が抱える闘士です」

まただ。
また、荒国からあの気配が現れる。
抜刀直前、攻撃的な気配。

「両者の合意が取れましたので功刀様にはここで待機していただきます」

「時間になればお呼び致します……なにか飲み物などが必要でしたら外にいる黒服にお声がけ下さい」

視線が君から煙原へと移る。

「煙原、ここは禁煙だ」

そんなやり取りの後、彼らは控え室の外に消えていった。

417『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/14(木) 09:02:12
それからしばらくして、荒国が再び部屋に戻ってきて。

「失礼、話の途中で忘れていたことがひとつ」

荒国は君の前に写真を差し出す。
それは君が見た闘技場だ。

「能力の関係上などで必要な場合、闘技場に道具などを設置できますが……」

八角形のリング。
そこに道具を設置することができるらしい。

「一応、柱などを用意する予定ですが……功刀様からのご要望があれば」

418真白『ユキカゼ』:2021/10/15(金) 10:30:57
>>417
「うーん・・・今回は初回だし、下手に色々考えるよりもこのまま行ってみたいかな」

「私のスタンドも、道具を使うようなタイプじゃないしね。
 要望は特に無いよ」

こちらから、希望する道具などは特に無い・・・が。

「ああ、相手方の希望した道具とかは先に聞けたりする?
 もちろん、後から要望を変えたりはしないから」

419『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/15(金) 22:13:40
>>418

「いえ、煙原も特に物品の指定はしていません」

「別に教える義務はありませんが、教えない義務もありませんから」

そういって、荒国は控室から消えていった。

……

それから、二十分ほどが経ったあたりだろうか。
コンコンとドアがノックされ。

「功刀様、お時間です」

荒国の声ではない、別の黒服なのだろう。
ともかく君が戦う時間が来た。

さぁ、いこう

420真白『ユキカゼ』:2021/10/16(土) 20:59:48
>>419
「ふぅん」

(あのオジサンはベテランのように見えた。
 それでなお何も希望しないのだから、何もなくてもある程度やりあえる能力か・・・。
 相当な自信家か。後者はないかな〜)

「よし、行きましょう!」

気合十分! 試合場に足を進める。

421『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/16(土) 21:47:52
>>420

通路は静かだ。
黒服は帯同しない、君一人が闘技場に向かって歩いている。
薄暗い通路の中、光が満ちる場所がある。
それは、闘技場。
君が向かう場所。

《本日のスペシャルエキシビジョン》

荒国の声だ。
実況の方にでも回っていたのだろう。

《今日この日この場に来て、対戦相手の誘いを二つ返事で引き受けた》

《今日この日この場に来て、すぐにでもやると了承した》

《そんな闘士を待っていたのでしょう皆様方!》

《闘争とはいついかなる時にでも訪れる! それを理解(わか)っている者!》

呼び込まれている。
君は足を進めるべきなのだろう。

《『銀世界』 功刀真白!》

行こう。
じきに鐘が鳴るのだから。

(指定があれば任意の入場曲が流れているものとします)

422真白『ユキカゼ』:2021/10/16(土) 22:15:33
>>421
ttps://youtu.be/Mbd8Jt4gEBw

『ユキカゼ』を発現し、大きく上に掲げながら入場する。
ここの観客は、そういうパフォーマンスを求めているはずだ。

「始めまして! 観客の皆々様! 私は功刀 真白・・・。
 どうか、私の刀から目を離すことのないよう、お願いします!」

423『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/16(土) 22:43:01
>>422

《ウォォォォォアアアア!》

初めに聞こえたのは歓声だった。

《功刀ー!》
《真白ちゃーん!》
《いいとこ見せてくれー!》

次に聞こえたのは君に向かって投げられた声。
君はその大音響を全身で浴びていた。
ビリビリと肌が震えているのが分かる。
そして、照明が少し落ちて……

《そして、相対するのはこの戦いの仕掛け人》

《皆さんも知っているであろう人物》

《『愛煙気炎の男』 煙原燻!》

ttps://youtu.be/Opwq0C0hjOg

敵が来たる。
その音とともに、観客たちは床を踏み鳴らしている。
それはこの男が積み上げたものなのだろう。

「よう、待たせたな」

424『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/16(土) 22:49:29
《いざ尋常に……始め!》

荒国が発する。
それと同時に煙原は来ていたスーツのネクタイをゆるめる。
そして、傍には人型のヴィジョンが立つ。
戦闘開始だ。



∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□白□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□煙□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原

425真白『ユキカゼ』:2021/10/17(日) 20:43:29
>>424
「期待されてるね。
 お互い、裏切らないようにしよう」

『ユキカゼ』の鞘を左手に持ちながら、ゆっくりと煙原に近づいていく。

(人型スタンド・・・どうだろう。
 私より早いかな。まずは一手、打ち合ってみたいけど)

近づいてこないか、物に触れないか。
人型スタンドの動きは注視しておく。

426『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/17(日) 23:39:00
>>425

「ケツポケにロージンバックっと……」

煙原の傍の人型が腕を振るう、その瞬間だった。

《キタッ》

そして、君の目の前を覆うように煙が立ち込めてた。
真っ白なそれは君の視界を塞いでいる。
敵のいるであろう位置が見えないのだ

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□白□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□柱????柱□□■∴
∴∴■□□□????□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

427真白『ユキカゼ』:2021/10/18(月) 18:09:22
>>426
「むッ・・・」

(煙を生み出す能力・・・だけじゃないだろうけど。
 シンプルに『強い』ね! 五感のうち、視覚と嗅覚を封じられるか!)

移動するスピードはそのままに、MAP中央右側に進む。

(何はともあれ、近づかないと手が出せないのはお互い様・・・のハズ。
 あの煙をどう使って『手を出してくるか』・・・)

428『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/19(火) 01:23:04
>>427

《愛煙気炎の男、それはただの洒落や言葉遊びだけではない!》

《煙原にとっては馴染みの行動、即ち》

《勝ちも負けもいつもここから》

君は進んでいく。
敵の能力の一端を見たのは確かだがどうだろう……
煙が晴れていく。

……

そこに、敵の姿はない

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□白□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

429真白『ユキカゼ』:2021/10/19(火) 19:20:23
>>428
「消え・・・ッ!」

(まさに『煙のように』!
 なら、私も手の内を隠している場合じゃないね)

『ユキカゼ』を腰だめに構えて、深呼吸・・・。
一度、二度・・・。
『深い集中』の元、『理想的な抜刀』の前準備をする。

「私の『一閃』! 入り込むなら、覚悟して!」

430『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/19(火) 22:43:21
>>429

「するってぇとあれか」

ミシ

「それは抜刀ってことかねぇ」

ミシリ

音と共にそれは現れる。
バゴ、と鈍い音がした。
それと同時に『柱が割れた』のだ。
君の体にコンクリートの瓦礫が飛ぶ!(ス精BD)
柱の影からは煙原。
隠れていたらしい。

《圧倒的膂力の一撃! さぁ、功刀様の対応は如何に!》



∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□白□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□煙□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

431真白『ユキカゼ』:2021/10/20(水) 21:21:21
>>430
「そっちか!」

『理想的な抜刀』の準備は完了している。
展開された『色のない範囲』、
そこに入り込んで『ゆっくり』になった『瓦礫』の軌道を見切り、
大きく、直撃コースの瓦礫を『ユキカゼ』の鞘で受ける。

432『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/21(木) 09:28:59
>>431

ズッ……
初めに君が感じたのはそんな感覚だった。
そして次に、骨の奥でミシリと鈍い音が鳴った気がした。
折れた訳では無い。
ただ、受けた鞘から伝わるエネルギーはかなりのものだったということだ(パB)
鞘で受ける、その選択は間違いではなかった。
確かにこの威力の瓦礫を受けていれば再起不能にはならないとしても、かなりのダメージは残っただろう。
しかし『色のない世界』を維持するための構えを解いたとみなされたのかインパクトの瞬間にそれは本来の速度を取り戻したように思えた。
飛距離による威力の減退、それがあった上でその瓦礫は重かった。
君の体は『大きく仰け反った』のだ。

《これはッ! 今のはッ!》

《先に仕掛けたのは煙原だが、功刀様もまた能力の一端を見せるッ!》

そうなってやっと、君の耳に実況の荒国の声と歓声が耳に入ってくる。
皆好き勝手思いも思いに君の能力について話した。
しかしそれもすぐに静寂に変わる。
君の一手に静かな期待が乗せられていく。
そして……

「OKOK」

攻勢、肌が粟立つ感覚。
君が体勢を崩している隙をつくように煙原が突っ込んできている。

《さぁ、勝負はまだまだ始まったばかり》

《進む煙原! では功刀様の一手は……》

《如何に! 如何に! 如何に!》

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□白□□□■∴
∴■□□□□□煙□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

433真白『ユキカゼ』:2021/10/22(金) 08:35:40
>>432
「スゥー・・・フゥー・・・!」

想定の範囲内――ではある。
柱を容易に砕くほどのパワー、こうなることも考えられた。
『のけぞる勢い』には抗う事をせず、無理に体勢を維持せずに、片膝をつく。

「――勝負、だね」

そして、その片膝をついた体勢で煙原を迎え撃つ。
そも、『居合術』とは、着座の『体勢不利』な状況で勝つための技術。
再度、自らの能力を使うために、『納刀』のまま『瓦礫』を受け、タイムロスも無くした。

(でも、タイミング的にはギリギリかな――!)

鞘は左手に。右手を柄に添え、集中! 再度『色のない世界』の展開を試みる。

434『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/22(金) 23:17:40
>>433

体勢を整える。
能力が発動するまでには少しばかりの時間を要する。
しかしまだその正確な時間は煙原には気付かれてはいないはずだ……

《これは……》

再度、展開。
君の周囲が色のない世界へと変わっていく。
だが、そこに割り込むように煙が漂う。
煙原がそれを放たせるタイミングのほうが早かったらしい。
広がるスピードはその能力のおかげでゆっくり(スD)だが。
君の周りを包み込もうと煙が広がってきている。

「ご気分どうかな」

カチッ

「さぁ、勝負だよ」

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□?白□□□■∴
∴■□□□□□???□□□■∴
∴■□□□□□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

435真白『ユキカゼ』:2021/10/22(金) 23:49:03
>>434
「――受けて立つッ!」

煙に紛れて移動、攻撃――それが煙原の戦法と見た。
となれば、自分に出来る、自分だからこそ出来る攻撃!

「斬るッ!」

『視界を塞ぐ』。
これは攻防一体となった手段だ。
目に見えぬ攻撃が恐ろしいのもさることながら、なにより目に見えぬ防御――これが案外、曲者。
思いがけぬ場所にある盾を打ち据えることほど、衝撃を受ける事はない。

(先程の一撃で『コンクリート片』の一つでも手に入れて、盾にしようとしてるの『かも』。
 だけどそれは通用しないよ――!)

立膝の状態から煙の中を狙うのは足を薙ぐ、一閃。(ス精BB
地面スレスレの一撃、例え掠っても、機動力も抑え込める。

436『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/23(土) 02:03:34
>>435

「愛煙気炎ってのは」

「ただの言葉遊びじゃねぇんだよなぁ」

白煙が目の前。
君は地面スレスレに刀を振るう。
それと同時に君の目はとらえた。
大きな、目の前に広がる炎を。
煙が燃焼している。

《気炎万丈!》

《戦う時は力強い!》

姿勢を低くしたため君の的は小さい。
君は刀を振っている途中だ……一応、まだ手応えはない。
今ならまだ切り替えせるか……?

437真白『ユキカゼ』:2021/10/23(土) 10:11:22
>>436
「煙を広げた時から考えてた。
 私の『スタンド』はただ斬るだけ。
 カタチの無いものをどうにかする腕は無くてね」

「薄ぼんやりと手のツテはあった。
 その為に必要なモノはあなたが用意したッ!」

(>>433>>435のメル欄より)
切り替えし、狙いを変える必要はない。
さっき自分が『受けた』コンクリート片。 それ『も』狙いだ!
地面スレスレを狙う刀にて、その表面を削ぐ。(精B
強度に関係なく、薄く斬られたそれは、『煙』を払う『扇』になる!

「ちょいと曲芸じみてるけど、派手な立ち回りは好きでしょう!」

『ユキカゼ』の『刀と鞘』、それで薄く斬った『コンクリート片』を挟み込んで、振り回す。(パス精CCB

(・・・恐らく音的に、ライターで着火してる筈。
 だったらこっちも風で吹き飛ばせる筈だ!)

438『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/23(土) 17:30:03
>>437

振られる刀、豆腐を切るような薄い手応え。
コンクリート片を切断し、君はそれを刀と鞘で挟み込んだ。

《これは……ッ!》

「野暮だぜ旦那」

君がコンクリート片の扇を振り回そうとした時だ。
炎を突っきるように拳が飛んだ(スC)
ぐり、と胃の腑がせり上がる(パB)
腹を打たれたと君が気づいた時にはその体が後方に飛んでいた。
《マシロ!》
観客の誰かがそう叫ぶ。

「お前さんのやることは間違っちゃないよ」

人型のヴィジョンの背後に煙原が立つ。
着崩したスーツ姿の男が頭をかいていた。

「ただまぁ、間に合わなかったねぇ……」

炎は塵のように散っていく。
そして、消えていく。

《火のないところに煙が立つか?》

《煙あるところに火を立てるッ!》

また煙原が距離を詰めてきている。

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□□白□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□煙□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

439真白『ユキカゼ』:2021/10/24(日) 21:10:16
>>438
「ぐ・・・う、が、あ・・・」

吹き飛ばされる体。肺から押し出された空気が言葉にならない音を立てる。

(し、しくったァ! 火をつけるだけが狙いじゃないのか!
 そのまま殴ってくるとはね・・・!)

「・・・まだまだァ!」

『ユキカゼ』の鞘を使い身を起こして、煙原を迎え撃つ体勢を取る。

440『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/25(月) 01:09:43
>>439

距離が詰まる。
煙原が体勢を立て直した君の前に立っている。
人型のヴィジョンもだ。

《強烈な一撃を受けつつも立ち上がる功刀様》

《立たねば勝てぬ、しかし》

《煙原が彼女の壁となるか!?》

「……」

ステップイン。
君の顔を狙って人型のヴィジョンが蹴りを放つ。
下から蹴りあげるように脚が迫る(パス精BCC)

441真白『ユキカゼ』:2021/10/25(月) 20:03:55
>>440
「接近戦で遅れを取るつもりはないよ!」

鞘で蹴りを受ける。
ただ、先程のコンクリート片でそのパワーは理解している。
ただ受けただけでは、体勢を崩されるのは間違いない。

(こっちには真正面から『受けない』技術もある!)

刀での攻防において単純な受けは通用しない。
受けた刀ごと斬られる事もある。正に、今の状況に似ている。

鞘で『斜め』に受け、下から迫る蹴りを『上』にそらす。(パス精CCB
そうしたなら、体勢を崩すのは相手の方だ。
その隙を狙い、刀の方で斬り付ける。(パス精CCB

442『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/26(火) 01:09:16
>>441

敵の一撃は重い(パB)
君の技術を持って対応しないと危険であろうことは間違いない。
折れてしまうかと錯覚するほどの力を受けつつも、君はそれを受け流す。
敵の足が空を舞う。
その隙を一太刀が敵の体を狙う。
そして、それに割り込むように。

「そうら、もう一回」

煙が君の視界を包んでいく。
しかし、確かに手ごたえはあった。
……浅い感覚、まだ敵を倒すに値しない域。
先ほどよりも近く、煙が君の体や顔にまとわりついている。
視界が防がれる。

443真白『ユキカゼ』:2021/10/26(火) 19:31:12
>>442
「ッ・・・!」

(恐らくだけど、煙越しでも相手は私を見る事ができる!
 だから煙の中からこちらの動きを察して、殴りつける事が出来た。
 となれば煙イコール相手の領域だからと距離を置くのは間違い!
 今、確実にそこにいるのだから!)

身を低く、前傾姿勢にしつつ、前に踏み出す。
両手にそれぞれ構える刀と鞘は、十字の形に交差させる。

(攻撃を両手で『受ける』カタチ。
 そしてもし、これを抜けて殴りつけられたとしても即座に斬り込める!)

444『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/27(水) 09:34:59
>>443

ごり、と衝撃が来た。
君が構えた位置に蹴りが来た。
煙の壁が足の軌道にそって広がっていく。
打撃は重いが受ける体勢が整っているのなら問題なく受けられる。

《功刀様、今度は受けきる……次の一手は……!》

スタンドの足が君に押し付けられている間、煙原は動いた。

「はぁ……」

着崩したスーツのジャケット。
その袖のボタン。
照明の光を反射する、その金のボタンがぶつかり合う。

カチッ カチッ

445真白『ユキカゼ』:2021/10/27(水) 21:35:55
>>444
「それが火打ち石代わりかッ!」

また火が来る。離脱・・・の前に、一つ決めさせてもらおう。

(十字受けの『利点』、攻防一体ってコト!)

交差する刀と鞘を狭めれば、それは直ぐに間に挟むものを斬り付ける動作になる。(パス精CCB

(悔しいけれど、能力の駆け引きでは相手が上だ。
 だけどこの距離での攻防なら私も負けてないよ!)

身を引きながら、その動作を行う事で、煙から離脱しつつも攻撃を行いたい。

446『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/28(木) 00:32:28
>>445

《危険を察知したか功刀様、後退!》

《……いや。これは……攻防一体!》

敵の足が切りつけられる。
決着には至らないものの相手を確実に削っている。
しかし、敵もただでは転ばない。

「ふぅ」

着火。
煙を燃焼させながらそれが進んでいく。
蹴りでかきわけられた煙達が燃えて消えていく。
君の顔や服に燃え移る、ということは無いがそれでも燃焼にもろに巻き込まれると危険だろう。

「おじさん、ちょっと疲れてきたなぁ。さっさと終わらせよう」

煙原は距離を広げさせない。

∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱白□■∴
∴■□□□□□□□□煙□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

447真白『ユキカゼ』:2021/10/28(木) 16:48:16
>>446
「運動不足なんじゃない? タバコ吸ってると体に悪いよ!」

『鞘』を持つ手を前に出して、受ける姿勢を取りつつ『納刀』。
そのまま、バックステップで柱を回り込むように移動して、煙の燃焼を避ける。(MAP的に言えば、柱の上を目指す)。
足を切りつけているから、後退と前進の差はあれど、即座に距離を詰められる事はない筈・・・。

(お互い、削られてる。私も何度か攻撃を食らって、今はまだ動けてるけど・・・。
 良いのを食らうか、防御してても、腕が持たなくて、上から潰されるかも。
 『そろそろ決着をつけたい』のはお互い様だね!)

448『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/29(金) 00:27:23
>>447

「いやぁ、燻ってるもんで」

「こう、削りあうのも……つまらねえ」

君は柱の裏に回る。
煙原は無理に追いかけては来ない。
しかし、そのままで済ませるということも無いだろう。


∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□白□■∴∴
∴■□□□柱□□□□柱□□■∴
∴■□□□□□□□□煙□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内。床はコンクリートで、タイルの大きさは1x1m。白い砂がまいてある。
■:観客席と闘技場を隔てる金網。
柱:コンクリート製の柱
∴:観客席。
白:真白
煙:煙原
?:煙

449真白『ユキカゼ』:2021/10/29(金) 01:29:54
>>448
「お互い手の内は探り合った訳だし、そろそろ決めるつもりでしょう?」

追いかけてこない、なら行幸。『三度目』の『集中』、その為の時間が作れる。
柱を正面に見据え、呼吸を整え――『色のない世界』を展開する。

450『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/29(金) 17:41:45
>>449

「そうだなぁ」

煙が流れる。
柱の向こうから、柱ごと君を包むように。

《両者柱を挟み向き合う形》

《近距離での戦闘を得意とするであろう二人……ここからは決まる手があるのか……?》

《決着の時は……近い!》

荒国の声も届かないほどの集中。
再度、色のない世界が展開する。
銀世界に舞うは雪ではなく、白煙。
ミシリ。
そんな音も観衆の声も、どこか遠い位置で鳴っているようで。

「……」

451真白『ユキカゼ』:2021/10/29(金) 21:32:36
>>450
「スゥー・・・フゥー・・・」

(今ッ!)

音がした。柱の軋む音か。
抜刀。切り抜けるのは『柱』の下部、土台に近い部分。(ス精BB

煙原に柱を破壊するパワーが有るのは知っている。
そこから読み解いて、この状況、理想的な一手は何か?
・・・『煙で退路を塞ぎ、柱を破壊してぶつける』。

(・・・と、私は読んだッ! ならばッ!)

先程はパワーによって破壊されたコンクリート片がすっ飛んできた。
だが今回、先んじて土台付近を切っておけば・・・。

(物を殴る、斬る。私も経験があるから分かる。
 『固定されていないもの』は『壊し辛い』。
 必要なのはスピード! だが彼にそれはない!)

『壊す』ではなく『押される』形になる筈だ。

(私の狙いは・・・)

抜刀の勢いのまま、横に転がる。
それは『柱』を、『倒れる柱』を回避する為の動き。

(あなたに押されて『倒れた柱』!
 『重いもの』が倒れ込んだ時、
 その衝撃で巻き起こる風が『あなたの煙』を吹き飛ばす『一瞬』だッ!)

452『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/30(土) 00:51:54
>>451

土台を斬る、それは問題なく成立する。
そして、柱をかわすための移動も。

「ま、そうだわな」

カチ、と音がした。
金のボタン同士がぶつかる音。
炎が広がる。

「居合系のやつってのはだいたい構えからなんかしてくるもんだと思ってた」

「これで、詰みかね?」

君の前で真っ赤な花が開いていく。
熱を発する、火の花だ。

453真白『ユキカゼ』:2021/10/30(土) 22:35:35
>>452
「う・・・そ!?」

(『読んだ』以上に『読まれた』!? 柱には手もかけてないのか。
 これまでの攻防で、『直接』煙に対処する方法がないのは見抜かれてたと思ったけど)

(どちらにしろ柱の向こうを攻撃出来るなら、余計なことしなけりゃ良いって訳ね・・・くっそう!)

煙と熱は高い所に上りやすい。
スタンドのそれに適応されるかは兎も角・・・。
地面に伏せて火を回避したい。

454『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/30(土) 23:00:50
>>453

タイミングが遅れて柱が倒れていく。
読み違いがあるとするならば着火するものと柱を倒すものは別だったということだけだろう。

「……」

《炎! ついに炎が至った!》

地面に伏せる、その瞬間君の体に熱がやってくる。
背や腕の一部に流れ込む痛み。
炎自体は燃焼が終われば消えていく。
しかし痛みや傷は残る。
意識はある、まだ戦うことはできる。

「降参するかい? おじさんそれでもいいと思うけどねぇ」

煙原が君を見下ろしていた。

455真白『ユキカゼ』:2021/10/30(土) 23:22:39
>>454
「いやー・・・」

首を横に振る。

「・・・引き際を弁えないのは駄目でしょ。
 今回は私の負けです。参りました」

両腕でバツを作る。これ以上は見苦しいだけだ。

456『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/30(土) 23:36:45
>>455

「だってよ、荒国の旦那」

《では、決着です》

吊るされていた実況席から荒国が飛び降りてくる。

「では、後は煙原に任せましょう……」

「医務室へお連れします」

※※※

医務室。
ベッドが規則的に並べられている部屋だ。
白衣を着た女が君を迎え、その体に触れるとスタンド能力なのか君の体に着いた傷が消えていく。

「……今回は残念でしたね」

そう、荒国は言った。
言葉以上の意味はなさそうな雰囲気だ。

457真白『ユキカゼ』:2021/10/30(土) 23:44:01
>>456
「文字通り癒される〜って感じ」

「いやー、本当に・・・『スタンド』の何たるかを教わったよ。
 初めてこれを握った時は、自分が最強になったつもりだったんだけどなあ」

がっくりと首を落とす。

「もっと色んな事に対処できるようにならないと。
 勉強になりました」

458『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/30(土) 23:51:27
>>457

「そういうこともあります。スタンドには相性というものがあり今回はあまり噛み合わせが良くなかったかと存じます」

そんな話をしている間にバタバタと担架を持った黒服たちが医務室へと入ってくる。
担架に乗っていたのは煙原だ。

「むちゃくちゃ脚いてぇんだけど。治して?」

ズボンの下から覗く足からは血が流れていた。
フィードバックの傷だろう。

「よう、お疲れさん」

「で、お前さん。うちに来んの?」

459真白『ユキカゼ』:2021/10/30(土) 23:58:20
>>458
「お疲れサマー。
 いや、完敗でした」

深々と頭を下げる。

「うーん、どうかな。私は『楽しかった』けど。
 これって興行なワケで。
 荒国さん、正直盛り上がった? 観客席まで気を回せなかったよ」

460『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/10/31(日) 00:27:14
>>459

「……新人にしてはなかなかだったかと」

「まぁうちの派閥の観客は割合何でも受け入れられますから」

「別の派閥、別の闘士が相手ならまた変わるかと」

荒国はそう言った。
さて、特に用がないなら帰るのもいいだろうし何かしたい話があるならするのもいいだろう。

461真白『ユキカゼ』:2021/10/31(日) 00:47:31
>>460
「色んな派閥があるなら、他の所も見てみたいし。
 それからかな」

一先ず、ここに所属するってことはやめておこう。
自分はこの世界に足を踏み入れたばかりだ。

「修行もしないといけないしね。もう少し腕を上げてきます」

さて、このまま帰れるなら、礼を言ってこの場を後にしよう。

462『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/11/01(月) 00:28:41
>>461

君は礼をし、彼らはそれに応じて言葉を発する。

「気が向けばまたお越しください」

荒国は君にそう言った。
彼の纏う雰囲気は会った時と何も変わらなかった。

君は日常に帰る。
また君は強くなるのだろう。
この合縁奇縁の出会いを経て。

真白『ユキカゼ』→負傷なし

『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』→終了

463『ある日のアリーナ:愛煙気炎の男』:2021/11/02(火) 20:06:41
【愛煙気炎の男】煙原の持つスタンド。
手から煙を発生させる。
煙は摩擦や火による着火が可能

『イッツ・オーケー』
破壊力:B スピード:C  射程距離:E
持続力:C 精密動作性:C  成長性:E


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