したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【過】『武闘列伝』

26 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 22:57:18
151: 東雲 忍『ザイオン・トレイン』 :2015/06/08(月) 23:49:25
>>150 質問

・落ちていた鞘は、いつの間にか透明になりましたか?
 それとも、拾ってすぐさま投げてきましたか?

152: 『尾藤ブラック』 :2015/06/08(月) 23:52:36
>>151

>・落ちていた鞘は、いつの間にか透明になりましたか?
> それとも、拾ってすぐさま投げてきましたか?

見えていないので不明だが、恐らく『後者』と思われる。

153: 東雲 忍『ザイオン・トレイン』 :2015/06/09(火) 00:11:11
>>152 質問

回答感謝します。

・見えていない、というのは周囲や敵の姿を探していたが、
 いつの間にか透明化に気付けなかった、という認識でいいでしょうか?

154: 『尾藤ブラック』 :2015/06/09(火) 00:14:30
>>153

>・見えていない、というのは周囲や敵の姿を探していたが、
> いつの間にか透明化に気付けなかった、という認識でいいでしょうか?


>マイクからの異音が響く中、『尾藤』が消える。
>会場のブーイングは止まらない。

>>148で既に『透明化』している。

155: 東雲 忍『ザイオン・トレイン』 :2015/06/09(火) 00:20:15
>>154 質問

誤解を招く質問で申し訳ありません。

>>140で『鞘』だ、とあったので投擲された鞘は可視化されていると思っていましたが、
 ひょっとして、ずっと『透明化』されていましたか?

156: 『尾藤ブラック』 :2015/06/09(火) 00:23:46
>>155

>・>>140で『鞘』だ、とあったので投擲された鞘は可視化されていると思っていましたが、
> ひょっとして、ずっと『透明化』されていましたか?

別段、床に落ちている段階では『透明化』はされていない。
唯、『尾藤』が手にした瞬間(と思われる)、『透明化』した。

157: 東雲 忍『ザイオン・トレイン』 :2015/06/09(火) 00:34:38
>>150 質問

なるほど、理解しました。最後の質問です。

・『岩板』を砕いた、とありますが、まだロープは健在でしょうか?

158: 『尾藤ブラック』 :2015/06/09(火) 00:38:32
>>157

>・『岩板』を砕いた、とありますが、まだロープは健在でしょうか?

健在。半分は『岩塩棒』と化している。

27東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 22:57:43

>            ―――――バキィッ!

「〜〜〜〜〜があっ!」

走る激痛を、歯を食いしばって耐える。
『不可視』というのは想像以上に厄介だ。例え行動のタイミングが分かっても、反応が間に合わない。
だが少なくとも見える範囲内の『5m』、特に仕掛けはないようだ。
先ほど(>>146)尾藤は接近するように走ってきたようだが、
しばらく隠れた後、姿を表した時(>>148)はあまり移動していなかった。
その時点で何かをしていたなら、そこの周辺ということになる。
また同じ手を使ったことからしても、遠距離攻撃の手段は極めて少ないはずだ。
刀を投擲しなかったのは、やはり『透明化』が解除されるからか。

現在の彼我の距離、『2m』。姿を現した尾藤。
こちらを仕留めに来ているのか。だが、今ならこちらも敵が射程内に含まれる。
現在手にしている『1m』のロープ、そして腕の長さを含めれば一歩の間合いだ。

「ゥオラァッ!」

右手のロープに対する握りを逆にして、端までスライド。強く握りしめ、
前方に踏み込みつつ尾藤の胴体目掛けて横になぎ払う。
半分の『岩塩化』している部分を敵に叩きつけるのだ。
今までの相手の動作から、膂力も速度もあくまで人間の範疇を超えないことは分かっている。
回避するにせよ、防ぐにせよ、見てから反応するのでは十全とはいくまい。

が、何らかの手段で回避されることも想定しておく。その為に『左手甲』は反撃に備えて構えよう。

28 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 22:58:19
透明化を解除し、一足飛びに間合いを詰める尾藤。
そのまま刀を振り下ろすが、その表情が変わる。


         ダッ

                「な、何故だ」
                                        l_/
                          「何故、『見えてい』 ク

                                      ボ
                                      ォ /
                                       ・


                  「強・烈ゥゥ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!

                   硬化した『ロープ』が、『尾藤』選手の脇腹ァ!
                   クリーンヒット! 二遊間を抜ける勢いだァ!」


一瞬にして、浮かべる『焦燥』は『苦悶』へと燃え上がる。
互いに間合いを詰め、縦横に『得物』を振り抜く、刹那。

先制を仕掛けた『尾藤』だが、『ザイオン・トレイン』のスピードは常人を上回る。
何年も何十年も修行をして『剣術』を習得していようと、その速力は『凡人』程度でしかない。
つまり、この一戦においては全くの『無意味』だ。何の『優位』もあるわけがない。
全く当然のように、振るわれた『塩棒』は脇腹を穿ち、真っ二つにへし折れて役割を終える。


                     ドダッ

                                ゴロロロロロロロ―――ーz____


           「無様に転がる『尾藤』選手、しかし刀は離さない!
            ここで離せば勝機はない! 溺れる『尾藤』選手にとっては藁にも等し―――」


                                  スゥゥ...


またしても『消える』。
転がる音が遠ざかりながらも、その姿を確認することは出来ない。
――――『尾藤』の動揺。『何故見えたか』、と問うように嘆いた。
つまり、『ザイオン・トレイン』と違い、『尾藤』の意思一つで『発動』出来る能力ではない……。

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□□↑□□□□□□■∴
∴■□□□□|□□□□□□■∴
∴■□□□□?□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□東□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴

?:『尾藤』の消えた位置。矢印は直前の軌道から予想される『進行方向』。

29東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 22:58:36

「・・・まずは一撃っちゅうとこか」

この打ち合いで判明したことは二つ。
やはり尾藤の身体能力は、人間の範疇に収まる。既に尾藤が構えていても、多少の不利ならば速度差で打ち勝てる。
そしてもう一つは、何より重要だ。尾藤は自由自在に消えられるわけではない。
更にに言うと、自身が消えているかどうかは自分では確認できない。
今この何らかの状況に、尾藤が予想外の何かがあったということだ。

刀による初撃(>>140)では、ヤツは攻撃しながら消えていた。刀の攻撃と同時に解除されるわけではない。
他に先ほどと違う環境と言えば、床に大量の塩が散乱していることか。

すぐ側に落ちているであろう、刀の鞘を左手で拾い上げつつ、人間並に速度を落として北側へと向かう。
(イメージとしては、MAP左方向に一つ分移動し、その後上方向に向かう)
速度を落とすことによる狙いは二つ。
一つは、自身の『岩塩化』を進めて装甲を纏う部分を増やすこと。
人間並の速度で動けば、関節を除いた全身が少しずつ『噴塩』した塩が重なっていく。
そしてもう一つは、集中して音に注意したい。床を転がっている以上、立ち上がる時に
何らかの音がする可能性がある。それなら現在の居場所が分かるはずだ。
這った状態で接近してくる可能性もあるが、それはそれで素早い動きが出来ない。
音がしなければ、また塩による探知を使える。





・ちなみに、ロープは『岩板』が砕けた時にその部分は千切れたでしょうか?
 それとも『岩板』は砕けたが、芯のロープはそのままでしょうか?
・スモークのギミックがある範囲は、MAP下側のみでしょうか?

30 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 22:58:56

      「ウォォォォ―――z_____ッッ!!」


                    ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ!!!!


先ほどまで『ブーイング』の嵐だった観客達も、さらっと掌を返して歓声を上げる。
『東雲』の名を叫ぶ声が響く。しかし、その呼声は『東雲』にとって『逆効果』だ。
『実況』の声も相まって、『音』への注意が乱される。微かな物音は掻き消されてしまう。


      「『東雲』選手、一撃を    ザザァ   ヒットォ!
       人外の膂力で振るわれた『棒のようなもの』、- -ザザァ -ーだが威力は十分!
       『尾藤』選手のアバラは確実にへし折れたでしょう! さぁ、もう後がないか!?」


                   「――――否、身一つならば『守護』の配慮は必然。
                    『受身』、『廻受』、『消力』、いずれも『格技』の基礎基本」


ノイズ混じりのスピーカーから、実況が響き渡る。
その声を尻目に刀の鞘を拾い上げ、早歩きで北方向へと向かう。
一歩、二歩、三歩、『首周り』、『両脛〜足首』、『両前腕〜掌』に『岩塩武装』が完成する。



               スゥゥ...


                  「チッ、さっさと『マイク』を換えろッ!
                   雑音が耳障りだろうがッ!」


追い詰められての悪態か、実況席へ怒鳴りながら『尾藤』が姿を現す。
『尾藤』は既に立ち上がり、刀を構えている。大きな『負傷』の形跡はない。
『塩棒』の損壊によって撃力が吸収されたか、体力は『東雲』と同等といったところだ。


           「ここまで俺を追い詰めたのは、お前が初めてだ。
            褒めてやるが、――――ここからは『真髄』を見せてやろう!」


                              「テメェーこれが『初戦』だろうがッ!」


                              「イキってねェでとっとと攻めろや!」


距離にして『1m30cm』、互いの拳の間合い。
状況は身体能力に勝る『東雲』が有利。会場の心象も『東雲』に向いている。
しかし、刀の切っ先を突きつけ、『突き』を放とうとする『尾藤』は、不敵な笑みを浮かべる。


           「俺が、お前の『能力』を『理解』したとしたら、どうする?」


              ペロォ...


口角に舌先を這わせる『尾藤』。そこには『塩粒』が付着している……。



∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□尾□□□□□■∴∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□東□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴

31東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 22:59:19

(こうまで血の気があるんじゃけぇ、格闘技でもやっとったらええじゃろうに)

にわかに騒ぎ立てる観客の声を耳にして、思う。
もっとも、うるさいのは観客だけではなくて実況もだが。
それに関しては尾藤も同じようだ。能力に音が関係しているわけではないと思うが、
やや神経質にがなり立てている。自分の言葉が中断されるのが嫌いなタイプなのかもしれない。

(…っちゅうか、アンタも初戦じゃったんか)

尾藤の構えは『突き』。動作の前モーションを少なくして、速度差を補おうという考えなのか。
しかし今度は『透明化』を使わない。否、使えないのかもしれない。

>           「俺が、お前の『能力』を『理解』したとしたら、どうする?」

「…だとしても、それがどうしたんじゃ」

攻撃を食らった際に、破片の中の塩を文字通り食らったか。
だが、だからといって『ザイオン・トレイン』は簡単に対策が打てる能力ではない。
強いて挙げるなら、『水』だ。塩は水に弱い。しかしそれが分かったからと言って、
極度に不利になるわけではない。能力だけではない、この格闘性能もまた『ザイオン・トレイン』の強さなのだから。

「フッ!」

左を前にした半身になりつつ、左手に握った鞘を振るい、尾藤の刀身、その鍔近くを狙って横から叩く。
鉄製の鞘の重さは、このパワーでカバーできる。スピードの関してはそろそろ『岩塩鎧』による重さが影響してくる頃だが、
全身に纏わない限りはまだ一般人よりは速い動作ができる。
刀を手放せば上々だが、放さずとも衝撃は尾藤の手元に来る。そうすればスキができる。
尾藤がそのまま突いてくるにせよ、刀を引くにせよ、打撃は当てられるはずだ。
尾藤のここに立っている姿が幻覚でもなければ。

32 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 22:59:37
「そう、これが『鏡花水月』のしんず――――」


                   ベゴォッ!


『突き』を放つ『尾藤』を牽制するように、
『東雲』の振り落とした『鉄鞘』が『尾藤』の『手首』を打ち据えた。
『東雲』の懸念通り、『岩塩武装』を施した肢体の『スピード』は低下しているものの、
それでもまだ常人よりは速い。『予想』しようと、『理解』しようと、『能力差』の前には無力だ。


            「ンガアアアアァァァァァァッッッ!!!!」


                  「最早、『東雲』選手の独壇場!
                   『鬼に金棒』とはまさにこのこと、
                   やはり『鞘』を捨てたのは『死亡フラグ』だァァ〜〜〜ッッ」


              「うおおおおおお!!!!」


                           「東雲!」
                                      「マッスルゥゥゥ――――」


『手甲』によって『握力』こそ減じたせいで、『鉄鞘』の勢いは減じている。
しかし、それでも『尾藤』の左手首をへし折り、絶叫を上げさせるには十分過ぎる。
『尾藤』の突きは『死に体』となり、『東雲』の右側を倒れこむように通り過ぎて行く。


              ゆらぁぁ...


揺れる身体、伸び切った腕、――――『東雲』は『刀身』を無意識に覗き込む。
さながら『湖面』のように嫋やかな『刃筋』、その根本に彫られた『銘』。


              『鏡花水月』


                               「お前、『見たな』」


                    グニャァァァァァァァ......


              「き、消えたァァァ〜〜〜〜〜〜ッッ!!

               『尾藤』、またしてもッ!」


一体、何度目だろうか。『尾藤』は再び姿を消す。
……だが、今度は勝手が違う。


                          シィィ〜〜〜〜ン


『無音』だ。『足音』も、『息遣い』も、『声』も聞こえてこない。
すぐ傍にいるはずの『尾藤』、その『存在』が感じられない――――

33 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 22:59:51
165: 東雲 忍『ザイオン・トレイン』 :2015/06/13(土) 01:13:01
>>164 質問

>>161の下部にある2つの質問に、ご返答頂けるとありがたいです。

166: 『尾藤ブラック』 :2015/06/13(土) 01:16:21
>>165
ごめんなさい。

>・ちなみに、ロープは『岩板』が砕けた時にその部分は千切れたでしょうか?
>それとも『岩板』は砕けたが、芯のロープはそのままでしょうか?

ロープはそのままです。


・スモークのギミックがある範囲は、MAP下側のみでしょうか?

∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□煙□煙□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□□煙□煙□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□煙□煙□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□煙□煙□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□煙□煙□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴

この位置。

34東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 23:00:11

「このケンカ、もらったァ!」

小手を放ち、尾藤の手首をへし折った。それでも刀を手放さない敵の姿勢は見事だが。
しかし自分の有利は揺るがない。
尾藤が倒れ込むのなら、自分は『ロープと鞘』を捨ててマウンティングの
体勢で、刀の間合いを潰し一気に勝負を決めるーーー。

が、その前に尾藤の刀、『鏡花水月』の銘を見てしまう。
途端に尾藤の姿のみならず、今まで尾藤の存在を感じさせていたものがなくなっていた。

(より深い術中にハマっちまったっちゅうことか…!)

この状況、足を止めるのはマズい。
先ほど(>>147)で確認した限り、自分の斜め後方に、またスモークのギミックがあったはずだ。
そちらへと飛び退き、『岩塩鎧』の重量をプラスしたパワーで床を踏み抜く。
誤作動を期待したい。自分だけでなく、敵も視界が利かない状態にすることで難を凌ぐ狙いだ。
またギミックが発動しようがしまいが、なるべくまたすぐに飛び退きたい。
発動した場所に止まっていては、煙幕の効果はないからだ。

35 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:00:29


               ガボォッ!


                            ブシュゥゥ――――z____ッッ!!


飛び退いた『東雲』は地面を踏抜き、『スモークマシーン』を蹴り壊す。
蓄積された『二酸化炭素』は一気に噴出し、白煙を吹き上げる。


              「東雲ッ  ここで『スモークマシーン』を破壊ッ!」


         「                 」


                  「                   」



               「こ、ここでッ   『尾藤』の勝利宣言だァッ!
                『手首』を折られ、身体能力にも劣る中、
                確かに『ホームラン』のポーズを取ったァ!」


                        「『血染め』の刀を手に、未だ『闘志』は十分ッ!」



           「な、何言ってるんだコイツ」

                                 「でも、でもやるんじゃねェのか?」

実況と観客がどよめいている。
姿が見えず、物音が聞こえないのは『東雲』だけだ。
吹き上がった『スモーク』は二人の間を立つ『煙幕』となる、もう少しの間続きそうだ。


∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□煙□□□□□□■∴
∴■□□□煙煙煙□□□□□■∴
∴■□□□東煙□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴

36東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 23:00:43

スモークで何とか時間稼ぎはできそうだ。この間に打つ手を考えなくては。
実況や観客の、尾藤の様子を伝える声が聞こえる。

(…わし以外の人間には、声は聞こえとる、姿も見えちょる)

先ほどまでの自分や、実況の人間の進行度を『第一段階』とするなら、
今の自分の、尾藤の姿も見えず音も聞こえない状況は、『第二段階』というわけか。

姿が見えない以上、ここは全身に『岩塩』を纏い刀を通じなくさせるーーーのは悪手。
尾藤が手にしているのは『血染めの刀』、つまりは『水』に濡れている。
やはり『ザイオン・トレイン』の特性は理解されている。
濡れた刀を前にしては、『岩塩鎧』もただのハリボテとなる。

しかし、自分は今に至るまで一度も刀傷を食らっていない。
つまりその血は、尾藤が自傷したものとなる。今回の『秘匿化』が
どこまで尾藤の存在を消してくれるのか?尾藤自身の身体から離れた血液まで消せるのか?
それが否なら、足跡代わりに見つけられる可能性もある。

ひとまず自身の『岩塩』を解除、スピードを得てとっさの対応力を上げる。
そして両手の『ロープと鞘』を『噴塩化』させ、岩塩を纏い次第、地面に叩きつけ破片を前方に撒き散らせる。
例え足音や姿を消せたとしても、そこに存在がある限り、物体をすり抜けることはできない。
破片を避けて回り込むなら、必然的に尾藤の進行は遅くなるはずだ。

37 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:00:57
実況、観客にまで姿を見せない状況を『第一段階』、
自らにのみ『感覚』を与えない状況を『第二段階』と位置付ける。


                     ――――バシュンッ


自身の『岩塩武装』を解除し、スピードを向上。
両手の『ロープ』と『鞘』に『岩塩』を纏わせ、周囲に撒き散らす。
――――だが、『スモーク』の吹き出す音、互いを分かつ『白煙』、
床に落ちた『岩塩』の細かな状況を知る術は、『東雲』にはない。



               ブ   シュバッ!


       「         」

                       「           」


       「命中ッ!  血の花が咲く! 鉄の雨が振るッ!

        『尾藤』選手の猛攻に、為す術のない『東雲』選手ッ
        『赤い夢』は終わらないィィィ―――――ッッ!!」


『東雲』の右手首、右太腿が切り裂かれ、『出血』を放つ。
鼻先から『風』を感じる。血の滴が頬に付着する。真正面だ。
最短ルートを突っ走り、『真正面』から『東雲』を切り裂いている。
――――恐ろしい話だ。『痛み』を感じず、『痛覚反射』による回避さえ働かない。

だが、『流血』へと『着目』していた『東雲』の観察眼が活きた。
スモークと混じらぬ『赤色』、床に落ちる『血雫』は数を増している。
大まかな位置は、特定出来る。『真正面』だ。

38東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 23:01:11

(『秘匿化』、ここまでかッ!痛みすら感じさせんとは…!)

煙が消えるまでは慎重に攻めてくるかと思ったが、完全に防御は捨てている。
もはや短期決戦ーーーそれも向こうは勝つつもりだがーーーに決め込んだようだ。
動ける内に、決めてやる。

左手の鞘を即座に捨て、右手のロープを奪い、そのまま『真正面』へと向けて横から振るう。
もし右手にまだ、まともに振れる感覚があればそのまま振るう。
同時にロープを『噴塩化』。このロープは『1秒』あれば『岩塩化』する。
敵に巻き付いた状態で止まった場合だ。ましてや、巻き付いたロープが
一周してロープの一部分に接触すれば、そこで完全に岩塩化して『固定』される。
一部分に血液が流れているくらいならば、捉えるのに支障はない。
また服は『血液』を吸い取って、服から絞り出しでもしない限り解除はされない。
全身に血液を纏っている可能性もあるが、どちらにせよ敵の詳細の位置が分かればいい。

固定されれば逃げようがない、数少ない敵を捉えるチャンスだが、
どちらにせよ手応えがあった時点でロープを握ったまま、そこの位置へと肩からタックルをする。
可能ならば、そのまま刀の間合いを潰して至近距離戦へと持ち込む。

39 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:01:30

               ブシュッ

                         ブッ


右手からの出血は夥しいが、『筋』を斬られなかったのは幸いだ。
『東雲』の選択は早い。『鞘』を放り捨て、『ロープ』を振るい当てる。

           ギュ             「こ、これはァァ――――」
             ァ
           /
          ・                          「捕らえたァァ―――」


絡み付いたロープは即座に『岩塩化』し、『尾藤』の動きを留める。
その瞬間、

          「き、さまぁ!」
                            ズァァ!


噴出する『スモーク』も切れ、掻き消える煙から『尾藤』がその姿を現した。
先ほどへし折った『右手首』から『鮮血』を垂れ流しているが
胴体に纏わり付いた『ロープ』からは遠く、流れる血液が染み込まない。
動きを拘束したまま、『東雲』はタックルをぶちかます。


            「お、おごおおおおおお!!!!!」


                          バッグォォ―――z____ッッ!!


片足を負傷したタックルは出足こそ遅かったが、
それでも身動きの取れない『尾藤』を倒すには十分だった。
その場に尻餅を付いた『尾藤』。刀もまた、地面に転げ落ちている。


                            「貴様、見たな――――」


不敵な笑みを浮かべる『尾藤』の傍に、『鏡花水月』の銘が見える。
――――が、先ほどと異なり、『尾藤』の姿は消えない。

40東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 23:01:55

               「もうあんたの言葉は聞かん」

捕縛は成功、ロープは固定された。これでもう尾藤は逃げることはできない。
万が一ここで逃がしてしまえば、こちらは負けてしまうだろう。
だから確実に仕留めるための、追い打ちだ。

タックルで転倒した尾藤に、自身に『噴塩化』を再度施しながら、左足で地面を蹴り胴体の上にのしかかる。
そして自分の重量を『噴塩化』で更に増やしながら、無事な左拳を握りしめ、
尾藤の顔を殴りつける。殴った後は、更に裏拳で殴る。それを可能な限り、奴が気絶するまで繰り返す。

     「お」

                         「ど」

               「りゃあああああああああーーーーーz______ッ!」


殴る前に邪魔になるロープは手放しておく。のし掛かりが成功すれば、どちらにせよ逃げられまい。
仮にのし掛かりの前に逃げられたとしても、ロープは目印になるはずだ。

41 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:02:23


            ニヤリ...


                      「もう一度、だ……。
                       『尾藤真正流』の『ヤワラ』、とくと」


姿が消えたと誤解した『尾藤』は倒れた身体を捻り、
そのまま『足関節』を取って地面へと引き倒そうとするが――――


                     ゴガァッ!


         「乱打、乱打が入る! パウンドによる『死刑執行』ッ!
          止まらない、『東雲』選手は止まらないッ!!」


           ボズッ
                                    ごギィッ


                 「あ、が、ぁんで、 見、 ぇ」


                             「ぇ  ぇ」


ドジョウひげを蓄えた口元が恐怖で歪む。
『岩塩』による武装を施さなくとも、『ザイオン・トレイン』の鉄拳は『凶器』に等しい。

     「お」

                         「ど」

               「りゃあああああああああーーーーーz______ッ!」


                   
                          ボゴォッ!!!


              「グげっ

                           ぐぅぉおおおおおお――z___」



              カンカンカンカァァァ――――z_____ンンッ!!



      「そこまで!」

                      「そこまで、勝者は『東雲』選手です!」


      「なんということでしょう、誰も注目していなかった『ルーキー』がッ!
       あわや『塩試合』になりかけたバトルを鮮やかに収めてくれたッ!」


                「うおおおおおおお!!!」


       「良くやったぞ、『東雲』ェェ――――」


                      「俺は最初から勝つって信じてたぜェ!」


       「私達は『過ち』を正さなければなりません!
        何が『刀』でしょう、何が『サムライ』でしょう!」


       「肩書や経歴など、真の闘いには無意味なのです!
        それは、己の『強さ』だけを信じてリングに飛び込んだ、
        この少年が証明してくれましたッ!」


実況席の『森田』が弁舌を捲し立て、観客達も惜しみない賛辞を送る。
そう、『東雲』は確かに『勝利』したのだ。

42東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2018/11/24(土) 23:02:45

>      「そこまで!」

>                      「そこまで、勝者は『東雲』選手です!」


「・・・はぁっ・・はぁ・・・・!」

実況の声が耳に入り、拳の乱打を止め、立ち上がって尾藤の上から退く。右足が動き辛いかもしれないが、
なるべく早急にだ。死に体の相手にいつまでも乗っているなど、気分が良いものではない。

「・・・・・」

意識はないかもしれないが、尾藤へと小さく頭を下げる。試合中はそれこそ
全力でブチのめす事しか考えていなかったが、終わってしまえば同じ一人の男、怨恨などない。
己の能力に対しての過信が見受けられたが、それでも強敵ではあった。
自らにも反省すべき点は多々ある。彼と戦うことで、それも少しでも理解することができた。
そうして、観客席の方へと振り返る。

>       「良くやったぞ、『東雲』ェェ――――」


>                      「俺は最初から勝つって信じてたぜェ!」

「・・・はン」

調子の良い彼らのセリフに、思わず笑ってしまう。
最初こそブーイングの嵐を浴びせていたくせに、勝てば官軍というわけか、手放しの賞賛を送ってくる。
だが、今ならそれも悪くないと思える。未だ収まらぬ心臓の高鳴り、戦闘の終わったこの場所に立っている高揚感。
これからの行動は観客の為にではなく、自分に敗れた尾藤へ、そしてこの身体の中から湧き出てくる勝利の喜びのために。

                    「ーーーーーわしゃあ、『強い』ッ!!」


          「うおおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーッ」


腹の底から、吠えた。

43 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:02:56

       「『東雲』ェ――――」

                       「『東雲』ェ――――」


大胆な手のひら返しを見せる観客達さえ、許せる余裕が『東雲』にはある。
勝利から沸き起こる『歓喜』のままに、一人立つ『アリーナ』の中心で、吠えた。


                    「――――――わしゃあ、『強い』ッ!!」


          「うおおおおぉぉぉぉぉ――――――――――――ッ」



               ヒュゥ――

                            ヒュゥ―――


その後、『東雲』は指定した口座に『30万円』の振込を確認した。


東雲『ザイオン・トレイン』 → 『右手首裂傷』、『右太腿裂傷』、『左脇腹に打撲』
                   『全治2週間』、『30万円ゲット』。

尾藤『一般人』 → 『右手首粉砕骨折』、『顔面に無数の殴打』。
             『敗北』、――――『再起可能』。

『鏡花水月』 → 『無傷』、『再起可能』。

44 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:03:07
『偽正宗』、史実にて実しやかに囁かれる『名刀殺し』。
『石田三成』が偽装した正宗を手土産に豊臣方への勧誘を行い、
対抗した『徳川家康』もまた大量の『偽正宗』をバラ撒いたとさえ言われている。
江戸時代にもまた刀の性能・評価を記載した『折り紙』を偽装し、
『銘』を潰してまで『名刀』の贋作を作り出した例は枚挙にいとまがない。

無論、どれだけ手を掛けても『凡作』に『偽物』が務まるわけがない。
石田三成は『中興の三傑』とも称された『堀川国広』を贋作者に起用し、
徳川家康もまた無名の刀匠に『正宗』の贋作造りを命じさせた。
擬物の乱舞する『正宗合戦』の勝敗はともかく、時代は『徳川』へと天秤を傾け、
太平の世は『刀』を武器から自身の格を示すための『装飾品』へと役割を変える。

その『刀匠』は自死する間際に一振りの刀を打ち据えた。
現代技術を以っても再現の難しい『鏡面加工』を刀身に施し、『鏡花水月』の銘を彫り残す。
腹を切らずに縊死を望んだ『刀匠』の執念は『遺作』へと宿り、奇怪な力を与える。
その刀を褒め称え、賞賛する度に『姿』を消し、決して見つかることはなかったとのことだ。
時代を越えて数多の持ち主を移り変わり、――――やがて一人の男の手に渡る。

『鏡花水月』、それは儚い幻の例え。
手に取ることは出来ず、例えることも出来ず、まさに『不可思議』。
その美しさを『物語る』度に真実から遠退き、決して本質を示すことはない。
その強さへの『賛美』は『蒙昧』、弁舌の後に『名誉』は残らず。
『語るに落ちる』とはまさにこのこと。

45 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:03:21
刀身を『鏡面』に磨き上げた『日本刀』、その銘は『鏡花水月』。
『刀剣』のスタンド使いであり、『尾藤』自身が『スタンド』を用いるわけではない。
鞘から抜かれている間、『発動条件』が満たされた瞬間に能力が発動する。

『言葉』で『表現』された時、その『姿』を消し去る能力。
『表現』の『字数』に『透過』の持続時間は比例し、
『刀』、程度であれば『数秒』が限界である。
この能力は『尾藤』自身の言葉でも発動が可能だが、それでも『十数秒』が限界である。

真の能力は『銘』を凝視させた際に発動する『五感消失』。
刀そのものである『銘』での『表現』は『透過能力』を最大限に発動し、
姿も音も消し去り、切られた感覚さえ察知出来ない『無拍子』を可能とする。

スタンド名は下記の通りであるが、専門学校を中退した『尾藤』自身が過剰に気にしており、
闘技場の登録名とは別に『鏡花水月』と名乗っている。


『ザ・カレッジ・ドロップアウト』
破壊力:B  スピード:C  射程距離:E(B)
持続力:C   精密動作性:B 成長性:B

46 『尾藤ブラック』:2018/11/24(土) 23:03:37
ランカー名:『鏡花水月』
スタンド:『ザ・カレッジ・ドロップアウト』
ランク:C
ステージ:闘技場
賞金額:『30万円』
備考:
『透過』の能力を持つ『日本刀』。
『鏡面』に磨き上げられた刀身は重く鋭く、何よりも『美しい』。
昨今の『刀剣ブーム』によってにわかに注目を浴びており、『女性ファン』も急増中である。

その戦闘スタイルは『幽玄』。
『透過』と『五感消失』を併用し、神出鬼没の連撃を放つ。
尚、戦闘時には付属品である『尾藤一騎』によって使用される。

47『六道辻』:2021/04/20(火) 19:50:52
      ザァァァァ―――

                      ザァァァァ―――――z_______


                                  |
                                  |
    「まだ十七歳でしょう?」              ..| 摩訶般若波羅蜜多心経
                                  |
                                  | 観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五
          「どんな気持ちでしょうね。        .|
           ……息子さんの為に、       .....| 蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不
                                  |
           見てられませんよ、こんなの」     .| 異色色即是空空即是色受想行識亦復如
                                  |
                                  | 是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄
    「住職から言い出しのですよ。            |
     私では、とても止められませんよ」       ..| 不増不減是故空中無色無受想行識無眼
                                  |
                                  | 耳鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至
          「……ご立派でいらっしゃる。      |
           最後まで務めを果たされて――」  | 無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死


                               ポタッ...


                                           ポタッ...


                                   「世は、世は全て『空』」


.

48『六道辻』:2021/04/20(火) 19:51:07
「『サードマン』の『太田垣』だな?

 俺の名は『尾藤一騎』、アリーナのファイターだ」


放課後、夏休みが明けたばかりの気だるい空気。
『太田垣』が校門を出るとすぐさま、何者かに呼びかけられた。
着流しを纏った角刈りの中年男だ。背中にはギターケースを背負っている。
何処か人を喰ったような雰囲気を醸し出しながら、『尾藤』は近づいてくる。


「わざわざお前を呼び止めたのは他でもない。
 お前、アリーナでの戦績は『一戦一敗』ってところか。

 ――――クククッ、どうした? 戦績は公表されるんだ。
 俺が知っていて何の不思議がある? だが、そうじゃあない。
 『太田垣』、お前は『かませ犬』で終わるつもりか? そう聞いているんだ」


         「お、『太田垣』ぃぃ……。
          そのオッサン誰? まさか知り合い?」


鬼の首でも取ったかのように不遜な喋り方をする『尾藤』。
見るに見かねた『太田垣』のクラスメイトが、おっかなびっくりで話しかけてきた。

49太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/20(火) 19:52:27
>>48
「アー、ウンウン知り合い」
「知り合いダヨー」

クラスメイトには適当言っとく。
どうせ今からお知り合いになるんだ、嘘をついてる訳じゃない。


「アリーナの関係者ッスね?」
「用件は…いや、言わなくてもいい、だいたい察したッス」


「……リングに立て、とおっしゃる?」
「自分、これから『夏休みの宿題』やらなきゃで忙しいんッスけど」


「……先生が大目玉なんで早くやらなきゃなんッスけど…」

50『六道辻』:2021/04/20(火) 19:53:15
>>49
「ま、マジで?
 ……お、お達者でー」

クラスメイトは引き攣った笑いを浮かべ、足早に立ち去っていく。
『尾藤』はそれを一瞥するが、視線はすぐに『太田垣』へと戻る。


>「……リングに立て、とおっしゃる?」
>「自分、これから『夏休みの宿題』やらなきゃで忙しいんッスけど」


     「ハンッ、捨て置け」


     「そして、その答えじゃあ『半分』だ。
      『太田垣』、『勝利』において最も必要なものは何だ?

      ――――『情報』だろうが。
      かの『ゼロ戦』も墜落した機体を回収さえされなければ、
      装甲を犠牲にした機動力を、米軍に悟られることはなかったはずだ」


     「その『情報』を得られる手段がある。――――『観戦』だ。
      チケットを購入し、試合を観戦すれば対戦者の『能力』が解る。
      『対策』を立てれば自身の有利に戦闘を進められる、そういうことだ」


『観戦チケット』、『太田垣』の闘った頃には聞かされていない制度だ。
恐らく、近日になって新しく導入されたシステムなのだろう。


     「『白岡慧観』、C級ファイターが一人だ。
      『太田垣』、コイツのチケットを俺は所持している。
      コイツから情報を剥ぎとって、対戦者に『指名』する。

      このチケットは、お前の『勝利』への切符だ。
      さぁ、どうした?いつまでも『永遠の0』とはいかんだろう?」


                   「――――いつまでも、『永遠のゼロ勝』とはいかんだろう?」


双眸は引き締めたまま、確信的な言葉を次々に繰り出す『尾藤』。
懐から取り出された『封筒』。差し出されたそれこそが『チケット』んあのだろう。

51太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/20(火) 19:54:22
>>50
「…ふゥん……」

見るだけか。見るだけなら…



 《私は良い太田垣です…宿題をやりましょうッス…》
    《先生に、『キミほど提出物出さないやつは先生はじめて見たよ』って言われたでしょうッス…?》
    
   《俺は悪い太田垣だぜ…行っちまえよ…アリーナに行っちまえよッス…》
      《オッサンがわざわざ学校に来て勧誘してくるんだぜッス…?》

     《先生に失望されまッスよ…?》
       
     《お前は期待されてるんッスだぜ…?》


    《このまえ、『今度こそ課題ちゃんとやりまァす!』っていったじゃないですかッス…?》
    《このまえ、『次は勝ちてえ』って言ったろッス…?》


「………」
「先っちょだけ……」
「ちょっとだけだかんな…」

     「見に行ってやるッスよ、『闘技場』…」


終わってすぐに帰れば宿題できる。徹夜すればいいんだ。ヨユーヨユー。

52『六道辻』:2021/04/20(火) 19:54:59
>>51
苦渋の決断をし、『観戦』を選択する『太田垣』。
その英断に満足したか、『尾藤』は口角を吊り上げて笑んだ。


     「『歓迎』しよう、お前の賢い選択を」


           「――――ところで、このチケットも『タダ』じゃあない。
            『五万円』だ。……だが、なあに安いものだろう?

            Cランクのファイトマネーは『三十万円』だ。
            無策で挑んで手痛いキズを負うのと比較すれば、
            『二十五万円』、丸々手に入った方がおトクというものだ」


ここからが『本題』と言ったところか。『尾藤』は身を乗り出す。
ひらり、ひらりとチケット入りの封筒をチラつかせながら、対の掌を突き出す。


     「夏休みはどうだった? 楽しかったか?
      今年は『シルバーウィーク』、『五連休』がある。
      ――――『軍資金』も必要なんじゃあないか?」


(※PLマネーからの出費になりますが、今回はミッション中に『補填』されます。)

53太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/20(火) 19:55:34
>>52
思わせぶりに誘ってからカネを出させるのか…


「…まあ、…断れないッスよね」

金だしたくない!お前出せ!やだやだやだ!とゴネようとも思った、が、
そもそもオッサン相手に勝てる気がしないので従っとく。


  「…ハイ」
 「とりあえずフ○レステ4が欲しいんッスよね」


生活費(五万PLマネー)を生贄に、チケットを受け取ろう。情報は高い。

54『六道辻』:2021/04/20(火) 19:56:09
>>53
「クックックッ、『毎度あり』」


     ペララララッ
                 ――――スゥゥ


身一つで親元を飛び出した『太田垣』にとって、
『五万円』は決して安い金額ではない。なけなしの生活費が消える。
『尾藤』は差し出されたお札を丁寧に数えると、引き換えにチケットを差し出す。


      「じゃあな、『太田垣』。アリーナで会おう。
       この坊主を倒す俺の姿を見届けろ。

       ――――いや、『見る』ことは敵わぬだろうがな」


双眸を細めた『尾藤』の含み笑い、満足気に立ち去っていく。
チケットに記された試合開始時刻は『午後10時』。会場は以前と同じ場所だ。

55太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/20(火) 20:00:22
>>54

あの尾藤とかいうオッサン、背中から自信満々のオーラがあふれ出ている…


  「強いのか…いや、見に行けば分かる話ッスね」
 
「もし弱かったら、俺もカモり返しちゃろっと」



「…よし」
「宿題やるか」

 という訳で、寮に帰って、でも結局すぐ寝てしまったのだ。
このへんの意識の低さが、太田垣が弱いスタンド使いである所以…なのかもだった。

56『六道辻』:2021/04/20(火) 20:01:10
>>55
『尾藤の背中から』溢れんばかりの『自信』を覚える『太田垣』。
それが『矜持』か、はたまた『自惚れ』かどうかは、今夜にも判明するだろう。


               Zzzzzzz

                         Zzzzzzzz


寮の自室へ戻った『太田垣』はグッスリと眠りに就き……。
(宿題以外は)万全の準備を整え、『倉庫街』へと向かったのであった。



            ヒュォォォォォォ―――――z__________



九月の海風は生温い。『太田垣』にとっては久々のアリーナとなるのだろうか。
似たような倉庫群の中ではアリーナの区別は付きにくい。
チケットには『地図』も描かれているが、流石に小さすぎて解りづらい。


               ガラララララララララ ・ ・ ・


       「へーい、ちょっとちょっと!」

 
                「ねぇ、ねぇそこの君!
                 チケット持ってる君!

                 ちょっと押してってくれる?
                 何か滑っちゃってさー、タイヤ取られちゃって」


背後から近付く『車輪』の音。夜闇をかき回す喧しい声が響く。
『太田垣』の背後から声を掛けたのは、タンクトップにローライズジーンズの少女だ。
『車椅子』に座ったまま、その手に『チケット』を振り回して『太田垣』に声を掛ける。

57太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/20(火) 20:02:31
>>56
「うーッい」

 断る理由はあんまりない。
 

「車椅子…ここのハンドル持ちゃいいんスかね」
「……じゃ、行きますぜ…」

後ろに回って、押してやろう。



 「今回の試合は…尾藤VS白岡、っしたか」
  「どんな奴らでしたっけ?」

 
適当に話をふる。

そして座り込んだタンクトップ少女を後ろから見下ろす形になる。
…その…これならなんか、『見える』…?タンクトップだからさ、こう上から覗き込むようにすればさ…

胸元とか、胸元とか胸元とか……?

58『六道辻』:2021/04/25(日) 22:14:15
>>57
「いぇーい、助かるぅー!
 ありがとー、後でコーラおごるから!」

快活な声でお礼を言われる『太田垣』。
ショートカットの少女は、車椅子に反して随分と元気そうだ。


              カラカラカラカラカラカラ・・・


「えーっと、『白岡』さんは『和尚』だよ。
 スタンド名は『エンプティ・エステート』で、
 どーいう能力かは、まだ闘ったことないからなー」


          「あれ、でも『白岡』って聞いたことあるなー。
           ええと、……ほら! 国道沿いのお寺、あそこの住職!」


「『尾藤』さんは消えるサムライ、私も闘ったんだけど。
 んー、でもスッゴく、うーん、能力の差かなー?

 いやー、でもちょっと拍子抜けだったねー、
 あんな無様に負けるなんて、なんでだろーねー」


車椅子を押しながら『好機』を伺う『太田垣』。
暗い倉庫街では相手の姿さえ曖昧だ。だが、先に進めば違う。
『街灯』の明かりを利用すれば、『目的』を達成することは可能だ。


            カァァァァ―――――


一筋の光が『太田垣』に降り注ぐ。白熱電球の明かりが二人を照らし出す。
その眩しさから両目を守るように、視線を下す『太田垣』。


                  ドシュルルルルルッッ!!


「ああ、そうだそうだ。
 『自己紹介』しとかないと、『蓮田淳子』でーす。

 こっちは『スパニッシュ・ブレークファスト』!

 ファスト    ブレイク     スパニッシュ
 『疾く』!  『砕く』!   『情熱的に』!」


『蓮田』はスタンドを纏い、瞬間的に『ターバン』と『武道着』へと変じる。
そうこうしている間に、『アリーナ』へと辿り着いてしまった。

59太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/25(日) 22:14:58
>>58
    カァァァァ―――――

    (凝視する太田垣)

尾藤のおっさんの話?知らん。そんなことより双丘が大事だ。

       

   ドシュルルルルルッッ!!

「なッ」




 …分かってたよ。
 むっさい男、ロクデナシ、金持ちの客が集まるアリーナに、場違いな『車椅子』の『女』。
 たぶんスタンド使いだろうナーとは思ってた…



「(だからって…『憑依装着型』かよ…ツいてないッス。ほんとに神は死んだんだ。)」

…武道着、ターバン…名前も、いかにも『バトル』って感じだ。
覗き込んだのがバレたら飛ばされてたかもしれない…逆に幸運だったと思っておくか…

「ん……『自己紹介』?
 …太田垣…名は『良』ッス…」

「『スタンド』はね、うーんとね、…ヒミツっスね…」


そんなこんなで会場に着いたのだ。チケットで入場手続きをしてしまおう。

60『六道辻』:2021/04/25(日) 22:15:34
>>59
「ええー、ケチくさいなー。
 いいじゃーん、ガッキィー」


ガックリする『太田垣』に対し、『蓮田』は馴れ馴れしかった。
スタンドを纏ったまま、二人はアリーナの入り口に到着する。
閉ざされた鉄扉の前に直立不動の『黒服』が見張りをし、一瞥を向ける。


     「チケットを拝見致します」


                          「はい、これ二人分ね」


     「――――では、どうぞ中へ」

                              ギィィィ――――・・・


二人のチケットを確認すると、すぐに『黒服』は鉄扉を押し開ける。
挨拶もそこそこなのは、誰かに見つからない為の配慮なのだろう。
『秘匿』された『戦場』、アリーナの特性を『太田垣』は再確認する。


    「じゃあ、二階に上がろうよ。
     席は自由だから、狙ってるファイターの近くにしよっか。

     アタシは断然、『白岡慧観』かなー。
     噂によると『非業を背負った菩薩』とか、
     『一子相伝のファイター』とか、スゲー噂多いんだよー」


アリーナの二階観客席は東西に二分され、互いを行き来するには一階を経由する必要がある。
『蓮田』は『スパニッシュ』を纏ったまま車椅子から立ち上がり、それを畳んで端っこに寄せておく。
そして、観客席へと続く階段を登ろうと、手すりに掴まってケンケンを始めた。


    「今日の試合、あの『慧観』が出るとはな……」


            「いいや、果たしてどう出るか……」


               「『尾藤』も災難だな、ありゃあタダじゃあ済まねェぞ……」


ロビーにたむろする観客達の囁き声が響き渡る。
『慧観』の評判について噂立てているが、その雰囲気は妙なものだ。
観客達は熱狂を潜め、やけに『神妙』な口振りだ。

61太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/25(日) 22:16:01
>>60
「暗い。熱い。くさい。」
さすが地下闘技場。


おッ、いいケツ。
…階段から落ちたりしたら可哀想だ。蓮田の後ろについて登ってやろう。



   「…『噂』ァ?  聞いたことないッスね」
  「自分、アリーナ観戦、初めて、なもんで」


  嘘は言ってない。アリーナの『観戦は』初である。



「随分神妙な空気ッスね…客席はいつもこう…では無いッスよね」

  「ッん〜〜〜〜む」
 「自分はァ〜…応援するのは、尾藤サンっスねぇ」
「なんか自信マンマンだし」



『応援するのは』尾藤。『観察』するのは、無論『白岡彗観』。
なんせ、後の対戦相手となるかもしれないから…。


「(オッサンが勝てばそれまでなんだけどな)」
「(まあ様子見だ、様子見。)」


 …試合開始を待つか。売り子が通ったらポップコーンでも買っとこ。

62『六道辻』:2021/04/27(火) 22:32:41
>>61
「なーんか、変な感じッ

 いつもはもっとワーワー騒いだり、
 なんかこう、『粗暴』って空気なのにねー」


               「あっ、ポップコーンッ!
                それとコーラ二つね!」


ヒソヒソ声の醸し出されるアリーナに、『蓮田』も困惑気味だ。
だが、二階の観客席で売り子を見つけると、元気そうに飲食物を注文する。
『太田垣』もポップコーンを買い、『コーラ』を『蓮田』から手渡されると、
ケンケンで移動する『蓮田』をそれとなく注視しながら、座席へと腰掛ける。


         「あの人、すぐ消えるから注意したほうがいいよ。
          私も闘った時、チョロチョロしてて面倒だったし、
          『刀』の話を始めると、三秒か五秒くらい消えちゃうから」


隣に座った『蓮田』がヒソヒソと耳打ちをする。
どうやら『刀』という言葉をキーワードに発現する『透過能力』のようだ。

63『六道辻』:2021/04/27(火) 22:33:09
>>61-62

                         シュゥゥ ・ ・ ・


           \ カッ /
                                     \ カッ /


突如、アリーナの照明が一瞬にして消える。
ポツリ、ポツリと灯る光。それが照らすのは天井から吊るされた『実況席』だ。
そこに陣取る実況者と解説者。二人の男がマイクを手に、朗々とした語りを始める。


   「紳士淑女の皆様、おまたせしましたァ!
    忘れたとは言わせない! あの『悲劇』から半年が過ぎようとしております。
    敢えて多くは語りません。熱戦を見届けた皆様の網膜に、深くふかぁく焼き付いてるでしょう。
    しかし、その『悲しみ』を乗り越えて、ここに一人のファイターが立ち上がったッ!」


『サングラス』の隙間からハンカチをねじ入れ、涙を拭う仕草を見せる男。
実況者の隣に腰掛ける儚げな青年は、悲しげな素面を伏し目にして首を振っている。


   「さぁ、もう涙はおしまいだッ! 笑えなんて言いません、ただ叫んで欲しい! 怒ってほしい!
    そう、激情を胸に『闘って』ほしい! よくぞ来てくれた、『玉泉寺』のダルマ住職ッ!
    赤コーナー、『白岡慧観』ンンン!」

                                       「出てこいやぁ!」


               ブシュォォォ―――――


赤色のLED照明がチカチカと点滅し、それを反射する濃白のスモークが赤く染まる。
スモークの奥から現れたのはずんぐりむっくりとした壮年の『仏僧』だ。
金縁眼鏡を掛けた温和な顔立ち、双眸を閉じてブツブツと何やら唱えている。
浅黒い肌に纏われた『袈裟』、足袋に草履、手にした数珠と、明らかに場違いだ。

そして、入場曲が鳴り響く。
袈裟を纏った太躯に反し、ゴシカルなプログレッシブ・ロックだ。
雄々しさと甘ったるさを使い分けるボーカルの声調、
目まぐるしいアレンジテクニックはサイケデリックという言葉が最適だろう。
先ほどまでの不穏な『噂話』も相まって、物々しい雰囲気を醸し出していく。

入場曲:ALI PROJECT 『六道輪廻サバイバル』
ttp://youtu.be/u3NvNKjXRg4

64『六道辻』:2021/04/27(火) 22:33:30
>>63
「ふうん…消える…尾藤サンが。」

 「…お、そんな事を言ってる間に…」
 「お出ましッスよ『白岡彗観』!!」


> 一連のォ演出ゥ


ムシャ ムシャムシャ


「(すッ すげぇッス…)」

  ムッシャムッシャ

   「(…ま る で 捉 え ど こ ろ が 無 え !)」

「(どーいうキャラ付けだ。サポーターは何やってんスか)」

   ボリボリボリボリ


「何…半年前なんかアリーナでなんか記憶に残る試合があったけど
 なんか白岡さんには悲しいかんじで、なんかその時の怒りで戦ってるかんじ…」


        ズズズズズ

「いったい…何ッス…何だァ?」
「蓮田サンは…どう思う?」 

目が離せねえ。


   パクパクパク

65『六道辻』:2021/04/27(火) 22:34:21
>>64
「さぁー、なんだろう。
 私もこのアリーナに出入りしたのは最近だし……」


『蓮田』も詳しくは解らないようだ。
『太田垣』の指摘通り、『コンセプト』が全く定まっていない。
本来であれば、コーディネーターを兼ねる『運営側』が、
それとなく『調整』でもするのだろう。このデザインで推すつもりなのか、
――――それとも、衣装や入場曲程度の些事であれば、
アリーナ側での『関与』や『助言』も出来ないほどの事情があるのか……。


   ≪そして、対するは『0勝4敗』、後もなければ先も怪しいこの男!
     初戦の勢いはどうしたァ!? 今宵、挽回のチャンスとなるのか!?
     仏の慈悲に縋れるか、明王の怒りに消し飛ぶかッ!?≫


   ≪さあ、『選手入場』です!
    青コーナー、『尾藤一騎』ィ!≫    ≪出てこいやぁ!≫


             ブシュゥゥゥゥ――――z______


『スモーク』の道を割って現れたのは、夕方に顔を合わせた『尾藤』その人。
着流しに『日本刀』を帯びた格好に似合わぬラップのリズム。
眼前にて佇む『慧観』を睨み付けながら、風に揺れるように緩やかな歩調で近づいていく。

入場曲:Diggy-Mo 『サムライズム』
ttp://youtu.be/gZQYHvWEgK8


    ≪決するは『武士道』か『仏道』か、
      初戦は引き分けと成った『慧観』氏の初勝利となるか、、
      『場数』を踏んだ『尾藤』氏の健闘も有り得るか、果たして――――≫


    ≪今回はステージにガジェット無し、コンクリート砂漠でのバトルです!
      互いの実力差がハッキリと出るステージ、これより『戦場』へと変わりますッ!≫


    ≪さぁ、互いに戦意は十分ッ


                             いざ尋常に、始めェッ!≫


          カァァァ――――z_____   ンンッ!!


実況、解説の両人がたっぷりと話し尽くしたところで、『ゴング』が鳴り響く。
『刀』を抜き放つ『尾藤』、一方の『慧観』はスゥゥと息を吸い込んだ。


     ≪『尾藤』選手、カタn  「摩訶般若波羅蜜多心経

                         観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五

     「我が『鏡花水月』は   .蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空ゥゥ―――――」


洞窟を吹き抜ける風の音にも似た、テノールの『朗唱』が響き渡る。
『般若心経』、いわゆる『お経』の類だ。マイクの音さえ掻き消す『念仏』が場内に轟く。

66太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:34:50
>>65
「なんかそうなんか」

 …
  …

  … お…おーきたきた尾藤きた

「は…」
「(は…0勝4敗とかしょっぼ)」


  いや
  …負けたあと、めげずに『3回も』勝負に出たって事だろ
  0勝1敗が言えた義理じゃ無い。…
  ……。


 「…おっと」 「始まってらあ」「ボーっとしてたッス」


「ッスか…ね…念仏?」

…腹から声出してるな。坊主の念仏ってなんかこう、ボソボソしたイメェジがあったのだが…

「うむ、不気味ッスね。逆に」
「…『ギャップ怖え』?」


そうだ、坊主は…念仏唱えてるフリして別の事したりしてない?それは手品やイタズラの常套手段だが…
ポップコーンは齧りながら、注意深く観察。飛び出すのは何だろう。

67太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:35:17
>>66
『慧観』は唯、淀みなく『般若心経』を唱えるに過ぎない。
しかし、それだけの行為で『尾藤』は刀を構えたまま攻められず、
互いに睨み合いとなって時間が過ぎていく。


       ≪こ、これは全くの予想外です!
         なるほど、これでは『尾藤』選手は『消えられない』!≫


       ≪『ザ・カレッジ・ドロップアウト』の発動トリガーを、完全に封じていますッ!
         最早、私達の『実況』さえ耳に入らぬ状態でしょう! なんという策士!≫


       ≪無為に重ねた敗北は己の首を締め上げ、無様にも晒される。
         『多様性』を失った生物は滅びる、脳の劣りし恐竜も同然。
         秀でた一芸を鼻に掛けた道化の末路、憂うが先か嘆くが先か――――≫


『太田垣』はブラフを念頭に置き、『慧観』の観察を続ける。
『慧観』は念仏を唱えながら虚空に手を掲げ、空手に『弓矢』を発現する。
距離を保ったままの『尾藤』に狙いを定め、――――放つ。


                シュッ
                              ――――パァンッ!


        ≪おおっと、ここで『慧観』選手のファーストヒットッ!
          手中に現れたのは『弓矢』、『尾藤』選手の左肩に命中です!≫


        ≪不可思議、あれは幻像にあらぬ実在る器物。
          成る程、器具の創造、野武士に反して『多様』なるか≫


  「『尾藤』さんは自分の『刀』の話を聞いた人から、
   自分と『刀』を見えなくする能力なんだけどさ、

   なるほどねー。じっくり観察されてたかー、そりゃあそうだよねー。
   予め能力が解ってれば、封じる手段なんていくらでも考えられるし……」


『四敗』の重みは誇りや心情の問題には収まらないほどだ。
即ち、『太田垣』と『春上』の試合を観戦していたものなら、
『ザ・サードマン』の弱点を看破し、試合に利用することは容易なのだ。

68太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:35:38
>>67
「って事は…   尾藤サン、…やべーじゃん!」
「これじゃ『完封』ッス」

「弓矢でチクチク刺されて、終わりっ、ッスよ!」


「バッカヤロー動け尾藤ォァー!!」


 おっさん応援してやろ。
 だが『観察』するのは、 坊主の方…『手の内』を晒しているのは敗者だけではない。
 あの白岡とて、スタンド能力をここで晒しているのは同じ。

 あれは『弓矢を生み出す』だけの能力か?何かあんだろ、たぶん。 …見るんだ。




しかし…まあ解説者のよく舌の回ること。なんだあの喋り方。
そんな迂遠な言い方しなくても伝わるって。…しない方が伝わるってば。

 『ふしぎだよぉ、あの弓矢はほんものなんだよぉ、』
 『剣士のおじさんとはえらい違いなんだよ、おにいちゃん!』

「(こういう意味ッスよね、おそらく) (本物…ヴィジョンじゃないのか)」


とにかく観戦だ。何かを掴もう。

69『六道辻』:2021/04/27(火) 22:36:31
>>69
>「バッカヤロー動け尾藤ォァー!!」


          「ビビってんじゃあねェぞ!」


                  「『尾藤真正流』使えやゴラァ!」


『太田垣』の声援を皮切りに、『尾藤』への野次混じりの応援が入る。
『尾藤』と『太田垣』の視線が合う。思いっきり睨み付けられた。
だが、『発奮』にはなったようだ。『尾藤』は刀を逆手に持ち、対の手に『鞘』を掴む。


      ザザザザッッ


                「『尾藤真正流』、――――『野火止』」

                「是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄――――」


『尾藤』は姿勢を低くし、両手に構えた刀と鞘にて顔面と上半身を守りながら、
さながら『蛇行』にも似たスプリンター・ダッシュを見せる。
迎え撃とうと『二の矢』を発現する『慧観』だが、その鏃は定まらない。


     ≪なるほど、弓矢で『足元』は狙いにくい!
       刀と鞘で顔面を守り、弓矢対策は万全かッッ!!≫


     ≪『慧観』氏も良い腕をしているが、あれは恐らく『弓道』の経験か。
       だが、動かぬ的を射抜くだけの儀礼化した『弓道』では、
       ゴキブリの如き『尾藤』の奇歩を捉える術など教練の外よ……≫


          シュゥゥ――――


実況の『刀』という言葉に呼応し、走り抜ける『尾藤』の姿が消える。
『蓮田』の解説通り、『刀』への言葉を聞いた者から、その姿を消す能力のようだ。
だが、果たして今の『実況』が『慧観』の耳に届いているかは解らない。


    「不増不減是故空中無色無受想行識無眼――――」


しかし、これにはたまらぬとでも思ったか、『慧観』は念仏を唱えたまま、背後へと下がる。
弓矢を構えて間合いを維持し続けたまま、後ずさった先にはアリーナの壁だ。
壁を背にし、完全に追い詰められた『慧観』。二人の距離はもう『2m』だ。


                 バシュッ!


我慢の限界に至ったか、『慧観』は遂に二の矢を放った。
しかし、それは『鞘』を掠めるだけに終わる。後一歩で、『刀』の間合いへと納められる――――


        「うおおおおおお!!!!!」


            「尾藤ォォォ――――!!!!」


                  「スパニッシュゥゥゥ――――!!!」


思わぬ活躍に会場は湧き上がり、隣の『蓮田』は空いた紙コップを握り潰して声援を送る。

70太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:37:06
>>69
「わぁーわーわー」
「ワァ―――――ッ!」


わーわー言う。興奮してきた。


「(妥当な策だ…尾藤これ勝てちまうんじゃねえか)」
「(…あれ、そしたら『あの話』はナシィ?)」

まあいいか。実際良いエンターテインメントだ。
5万はちと高いが…試合は良いかんじだ。


 「(…自分だったら…『・ヴィジョンで受け止める』『・どんでん返しで逃げる』所ッスね)」

 「(『白岡住職』…『念仏』で能力潰しを行った奴だぞ)」「(ここで終わるって事は…)」


「…はたして『白岡』…どう出……ッ」

71『六道辻』:2021/04/27(火) 22:37:54
>>70
『ヴィジョンで受け止める』、『どんでん返しで逃げる』、
自身ならどういう対処をするか、『戦闘者』らしいイメージを働かせる。
『防御』か、それとも『回避』か。――――その予想は、外れることとなる。


                「『尾藤真正流』、――――『双柳』」


     ≪『抜かずのナマクラ』とも囁かれていた『尾藤真正流』、
       ここに来て『慧観』選手を追い詰め、刈り取ろうとしているゥゥ――――≫   シ
                                                     ャ
                                                     ラ
     ≪最後に『菩薩』は微笑むかァァ!!!                        ン
       今ッ、刃が振り上げられるゥゥ――――≫                      ・
                                                       .
                                                      .
           ャ      ,/ l /
        ズシ       /" ̄ ーz l |
                    _/    オ   オ  ォ  ―――z______


『尾藤』の勝利を見届けようと刃の軌跡を目で追う者に、その異変は気付けなかった。
気付いたのは『太田垣』を始めとする、『慧観』から視線を外さぬ者が十数名。
二の矢を外した『慧観』の右手は垂れ下がり、その手には何かを掴んでいる。
金属輪のぶつかり合う、澄んだ音色が響き渡った。――――『錫杖』、金属の杖が発現していた。
末端の一方は『壁』から垂直に充てがわれ、金属輪の連なる対の先端は――――


            「ぁ、    ぁ   あ  ん…… ..だァ?」

                                       「ど、どぉ、ぢ」


壁に押し付けられた『錫杖』は突進する『尾藤』の顔面を押さえ、鼻骨を砕いてその勢いを留めた。
刀と鞘で顔面を庇って駆ける『尾藤』は、瞬間的に発現される『錫杖』を視認し、捌くことは出来なかった。
『慧観』は逃げ回った果てに壁際に追い詰められわけではない、
『錫杖』を固定する為に『壁』を利用したのだ。――――『尾藤』を確実に仕留める『カウンター』の為に。


      ≪こ、ここまで、ここまで読んでいたか『慧観』選手ッ!
       『弓矢』への対処に敢えて乗り、『尾藤』選手を油断させたァァァ――――≫


      ≪慢心こそが自害の刃。成功こそがその得物を研ぐ。
        周囲の『歓声』、生じる『麻薬』に身を委ねたが故の悲劇か……≫


     「ば 、  ば ぁ  だ だ」
                                 「ば、だ、    や で――――」


                 ボグォ!!!        「亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得以無」

                                               「所得故菩提薩依般若波羅蜜多故心無」

                                    ゴッ
                                               ガッ!!!

              「礙無礙故無有恐怖遠離一切顛倒夢―――――」


取り落とした刀を拾おうと手を伸ばした『尾藤』、そこに『錫杖』が振り落とされる。
地面に膝を付き、頭を垂れる『尾藤』に容赦の無い『杖の雨』が降り注ぐ。
念仏を唱える『慧観』の目は穏やかだ。さざなみ一つ立たぬ、凪の海原にも似ていた。

72太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:38:55
>>71
「どう出……ッ!」

「……あえて、あえてかァっ!」
「織り込み済みッスかよ!」

 「弓矢、錫杖…。仏像…明王の『持物』スね…?詳しいんスよ自分」


何という目だ表情だ!坊主らしいといえばそうだが、しかしその腕は、杖は!悪鬼を打ち滅ぼす明王がごときッ!
唱えられる念仏は、説法のためではなく、メタ戦法!
白岡、『先を読んでた』…尾藤の倒し方を考えていたであろう事実ッ!まったく何という…ッ

尾藤、マズい。能力を使えないまま、アンフェアな『近接戦闘』をやらされている。
非常にマズい。
というか、負ける…嘘だろ。


「け、決着…?」

 ポロッ

ポップコーンを零しながら行く末を見守る。

73『六道辻』:2021/04/27(火) 22:39:27
>>72
『弓矢』、『錫杖』から『明王』に辺りを付ける『太田垣』。
入場時の『念仏』から『錫杖』でのトドメに至るまで、『計略』の糸で繋がれていた。
『太田垣』はポップコーンを貪るのも忘れ、戦況を見守っている。
自分のを食べ終わった『蓮田』が、残ったポップコーンをしれっと横取りしていく。


       「想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多故――――」


       「ご、どぉ、」

                    「見 ぉ゙ ぉ...」


       「得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜――――」


                    「『鏡花水ーz、l /
                          _/     オ

                               ォ      / 
                                  ン ・                   カ

                                                        ン  /
死に物狂いで拾い上げた『鏡花水月』は、錫杖に打ち据えられる。                  ・
二度、三度、骨肉を打ち抉る音は、破れた血膚を打つ粘った音へ変わり、         カ
見かねた実況席から『ゴング』が鳴り響き、二人は動きを止める。              ァ
                                                     ン/
                                                     ・
       ≪そ、そこまで、『尾藤』選手の『失神』により、
         この勝負、『慧観』選手の勝利ですッ!!≫


       「多是大神咒是大明咒是無上咒是無等等――――」


       ≪お、恐ろしい! 能力の片鱗だけで『尾藤』選手を完封ッッ!
         反撃さえ出来ずに『おシャカ』にされる、これぞ真の『葬式仏教』かァ――――≫


       「いやー、圧巻だったねぇー。
        でも『能力』は解らなかったなぁー、だって道具を出すだけなわけないじゃん。
        もう一段階くらいあるでしょ、なんかこう、弓矢が光って強くなるとか……」


『太田垣』のポップコーンを奪いながら、ざっくらばんとした感想を告げる『蓮田』。
血みどろで運ばれる『尾藤』を見てもノーテンキな様子だが、その鷹揚な態度は少数派のようだ。
周囲の観客は不穏な表情を隠さない。何人かの客は、射抜くような視線で佇む『慧観』を見据えている。
『警戒』と『闘志』の入り混じった熱情、彼らが血を滾らせた『ファイター』だと、『太田垣』は肌身で理解する。

74太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:40:03
>>73

「…あっらァ…」

試合が終わった。…一方的だった。


「…『隠し手』…はまだ残ってそうッスね、蓮田サンの言う通り。」
「…油断ならねえファイターッス…『白岡彗観』」


感じる、獲物を見定める獣のような視線…『白岡』を狙っていたのは、尾藤だけではないという事。
自分も同じような目をしているのだろう…

…何故か尾藤に目をつけられ、『白岡』とぶつけられる事になっていたファイター太田垣。何故。何でだよ。謎だよ。



 「(あとで尾藤サンに会いに行かないとッスね… …色々話したい…。)」
 「(知り合いですって言えば、すぐ面会させてくれっかね…)」
 


「あれ」「ポップコーン」
無くなってら…いつの間に食ったんだっけえ?

75『六道辻』:2021/04/27(火) 22:40:35
>>74
無意識の内に『慧観(エカン)』を睨み付ける『太田垣』。
五分刈りの筋骨隆々の男、緩くマフラーを巻いた甘いマスク、
熱い視線を送る彼らもまた、『慧観』を危険視するファイターなのだろう。
(注:智慧の『慧』に観音の『観』)


         「…あっ、ごっそーさんッ!」


空の容器に手を突っ込み、『太田垣』は怪訝な顔を作る。
チロリと舌を出した『蓮田』は、逃げるようにケンケンで去っていった。


                  ・

                  ・

                  ・


『尾藤』への面会をしようと、ロビーをうろつく『太田垣』。
『尾藤』の名前が記されたチケットの半券を所持しており、
それを見せれば『知り合い』というのも信じてくれるだろう。



               シャラランッ

                              シャラランッ


『錫杖』の硬質な響き、無傷の『慧観』は悠々とロビーを闊歩する。
その表情は大人しい。柔和な笑みを口元に浮かべ、さながら休日の商店街を歩くようだ。
彼に話しかける者はいない。ただ、眉を潜めては遠巻きに見守っている。


                ペコリッ
                           「やあ、いかがでしたかな?
                            怖がらせて、しまいましたかね」


『太田垣』と視線の合った『慧観』は、表情を崩さずに一礼をする。
『敵意』や『悪意』を感じられない、『菩薩顔』とはまさにこのものだろう。

76太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:41:17
>>75
ポップコーン、余ってたら飼いネズミにでもやろうかと思ってたのになァ…などと考えブラブラしていたら

  「(げッ…『住職』!)」


「……」「…コンチワッス」

  「(…場違いッス。マジでなぜボウズがこんな所に)」
  「(怖いつーか訝しいわ)」

「……ウス」


  「(あの錫杖…さっき尾藤をボコボコに殴ってたやつッスか?)」
  「(怖っわ…)」


「……シツレイシタッス」
「……」


やっべ気まずい…菩薩スマイルやめてくれ…
 萎縮するッス。この『いい人』オーラは何だ。


「…」
「ウー…」
「……コ、コンチワッス」

77『六道辻』:2021/04/27(火) 22:41:56
>>76
先刻の惨劇が脳裏に過ぎり、『太田垣』はビビり全開で対応する。
返り血の点々とした『袈裟』に反し、『錫杖』は年季こそあれど血錆はない。
こちらは『私物』のようだ。相変わらず、『慧観』は柔和な笑みを崩さない。


    「今日は、観戦でいらっしゃいますか?
     ……ああ、そのチケット。いけませんね、あの人も。

     きっと、無理矢理売り付けられたのでしょう?
     厄日でしたね。――――どうぞ、此方をお受け取り下さい」


お経を唱えるように朗々とした話し方、人によっては『人格者』にも見えるだろう。
懐から取り出した『万札の束』、恐らくは『アリーナ』の『ファイトマネー』だ。
一枚、二枚、『五枚』を差し出し、緩やかな手刀を切りながら差し出される。


    「怯え、震え、そうしてまで『闘い』を見る必要などありません。
     早く帰りなさい。ここは『修羅道』への迷い道、地獄の交わる『六道辻』。
     子供が興味本位で覗いては、――――『仏罰』が下りましょう」


『太田垣』を一見様と勘違いした『慧観』は、穏やかな表情のまま『太田垣』を『諭す』。

78太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:42:21
>>77
えっ

「あッ! いえ、お坊さんからお金なんてそんなとてもッス!」


まあ無理矢理…とは言わないが、流れでチケット買わされたのも事実だし、よって5万は惜しい…
怯え、震えも無いわけではない。
が、こちらとて『ファイターの端くれ』。

 「(…それに、さっきの試合見たあとだと…)」
 「(どーも無下に出来ないんスよ、尾藤サンのこと。
  自分に話もちかけたのにも理由があんだろうし…)」
 
「(カネもらうのは『裏切り』な気がする…)」


よって金を押し返す。ギューッ。


「…それに子供じゃ無いッス、もうすぐ18歳ッスよ自分!?」

「ん…『六道辻』?」

なんだそれ?

79『六道辻』:2021/04/27(火) 22:44:15
>>78
差し出された紙幣を受け取らず、押し返す『太田垣』。
『尾藤』への義理立てか、ファイターとしての『矜持』か。
『慧観』はそれ以上押し付ける真似はせず、懐へと引っ込めた。


    「18歳ならば、尚の事。
     親御さんも心配しているでしょう、盛り場など以ての外です」


穏やかな口調を崩さず、しかし視線を逸らさない。
もう一言、添えようとした『慧観』へ『太田垣』の疑問が挟まれる。


    >「ん…『六道辻』?」


    「……『六道』、人の迷いを『地獄』の巡り道と例えたものです。
     安楽に満ちた『天道』、苦楽の交じる『人道』、争い傷付け合う『修羅道』、
     欲を満たすだけの『畜生道』、欲さえも満たされぬ『餓鬼道』、
     ――――そして、己の罪を味わう『地獄道』、人の生涯は六道を行き交うが如し」


通りの良いテノールボイスは、『六道』の解説を行う。
このアリーナを『六道辻』と評するということは、
いずれかの『道』と『人道』の交わる場所、そう解釈しているということだろう。


     この『アリーナ』は、喩えるならば『修羅道』そのもの。
     無為の争いで勝敗を分け、勝者は驕り高ぶり、敗者は醜く倒れ伏す。
     そして、勝利を求めて心を擦り減らし、失くした矜持を奪わんと、次の闘いを望む。

     あの男、『尾藤一騎』も無様なものよ。最早、アリーナは彼を必要とはしない。
     『手を抜いた』、拙僧にさえ勝てない『備品』に、『鏡花水月』というファイターは任せられない」


    「哀しいかな、これも『菩薩』の導きよ」


その表情は変わらない。厳しい言葉を告げる時さえ、穏やかさに満ちている。
まるでそれこそが『サダメ』であるかのように、『慧観』の言葉は確信に満ちていた。

80太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:44:48
>>79
「(手抜き…備品…)」
「(残念ながら、尾藤サンがブザマなのは違いないッスけど、)」

「(なんか、こう、エンターテイメント的にその発言は良くないってゆーか…)」
「(アリーナって興行で見世物だし…)」

あんまり良い響きではない…
…いや、止そう。アリーナに対する見解、主義主張は人それぞれだし。




しかし不思議だ…

 「…アリーナが『修羅道』…なぜアンタは、そこにいるんスか……」
  「お坊さんでしょ?ホトケ様とは関係が切れない生き様ッスよね」

「…」 

「…あッ、すみませんッ。ヘンテコな事言っちゃったッスか!?」
「言わなくていいです!自分、難しい事はサッパリなので!」

81『六道辻』:2021/04/27(火) 22:46:27
>>80
不穏な響きに眉を潜める『太田垣』。
その言葉は飲み込みながら、ふと沸いた疑念を口に出す。


    「『虎穴に入らずんば虎児を得ず』。
     一人でも多くのファイターを、『修羅道』から救い出す。

     求める闘いが如何に『無意味』か、結末が如何に『無情』か、
     ――――長話になってしまいましたね、帰るように説教をしておきながら……」


失念していた、と『慧観』は双眸を細めた。何処か、恥じ入った態度を見せている。
『難しいこと』を語りすぎた、それを反省しているような様子だ。


    「若者に口うるさいのは、歳を取った証拠ですな。
     ……車を待たせておりますので、私はもう戻りましょう。

     お若い人、ここに何を求めるのですか?
     『闘争』で得られるものなど、何もありはしないのに」


最後まで穏やかな表情を崩さず、問い掛けを残して『慧観』は去っていく。
ふと、何やら背後が騒がしい。選手控室に通じる廊下から、騒ぎ声が聞こえてくる。


    「む、無茶ですって『尾藤』さんッ!」


    「骨は、折れていない。
     鼻だけだ。だから、離せ……」


    「なんて人だ……。車なら私が用意しますから」


    「要らんわ!」


血を拭ってシャツ一枚に着替えた『尾藤』が、ヨロヨロと廊下を歩く。
その後ろから押し留めようとするのは、セルロイド眼鏡を掛けた頼り無さそうな中年男性だ。

82太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:46:52
>>81
以外とがっちりした、白岡の背中を見送る。


「ナルホド…『救済』のためッスか」
 納得納得。

「…なにを求める…か?」

「(どうしよう俺、完全に『流れ』で戦ってるよ)」
「(意思も何もあったもんじゃねえ…)」

「(試合とかそれ以前に舌戦で負ける…このままじゃ)」
「(理由づけがいるな…)」


おっと、何やら騒がし…


 「……って、びとッ、尾藤サン!」

 「何やってんスかぁ〜ッ! 」
 「無茶は結構ですがまず落ち着きましょうッス、ねね!?」


ドタドタドタと駆け寄る。

83『六道辻』:2021/04/27(火) 22:47:50
>>82
『太田垣』は満身創痍の『尾藤』へと駆け寄る。
『尾藤』は横目で『太田垣』を見遣り、バツが悪そうに視線を逸らした。


  「ハッ、来たか。
   どうだ? 勝算は見えたか?」

  「ああ、貴方は……『太田垣』さんッ!
   ちょっと、この人を押さえて下さい!」

  「もう要らんわ! コイツに会うのが俺の『用事』だッ

   『太田垣』、『勝算』は見えたかと訊いている!
   あの男、『慧観』はこの『アリーナ』で闘う『理由』がある。

   ヤツは『三ヶ月』に渡って、全ての試合を『観戦』し続けた。
   俺の知る腕の良いファイターは二人、いずれもお前と同い年だ。
   だがな、ヤツ等の試合は見られている。スタンドから弱点まで丸裸だッ」


『尾藤』は唾泡を飛ばしながら、ぜいぜいと息を荒げながら、『太田垣』へと熱弁する。
ドアノブを支えにし、やっとのことで立ち続けながら『太田垣』を睨み付ける。

   「良くも言ってくれたな、『バッキャロー、動け尾藤!』とな。
    次はお前の番だ、『太田垣』! お前が『慧観』と闘うんだ。

    ヤツは、ヤツは『アリーナ』を潰そうとしてやがる……!
    『慧観』には、それをする十分な『動機』がある……!」


校門で出会い、余裕ぶった様相とはまるで異なる。切迫した雰囲気だ。
『動機』、先ほど聞いた『救済』とやらで間違いないのだろうか……?

84太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:48:25
>>83
「まず」

 「『勝算』の話ッス…『ほどほど』。」

 「『道具を生む』だけの人間相手なら、
   自分の『スタンド』で十分にヒネれます。」
 「ただ、『白岡』…今日の試合では、能力の『一端』しか見せてない、…かもしれないんで…」

  「『現段階のデータでは勝てると推測できる、だが懸念材料が多い』…って所ッス」


「なので」

 「尾藤サン、何を感じたッスか?白岡の筋力がすごかったとか、ヘンな感覚、とか…」
 「聞かせて欲しいッス。データを少しでも多く持っておきたい…」
 「…あ、無いならイイッス。」



「で…」
「潰すゥ?『動機』ィ?」

「何ですじゃそりゃァ?」

それも聞いておかねば。なにせこの太田垣には『動機、やる気』が足りない…補強したい。
『流されてアリーナ参戦』ではダメだ…

85『六道辻』:2021/04/27(火) 22:49:20
>>84
>『現段階のデータでは勝てると推測できる、だが懸念材料が多い』


             ズ
                     「お前、
              ゥ
                             死ぬぞ」
             ウ


『尾藤』は倒れ込むように顔面を近づけ、ミリ単位で眼を突き合わせる。
血走った眼球、眉間に刻まれた皺、その怒りにも似た『真摯』が有り有りと伝わる。


    「落ち着いて下さいよ、『尾藤』さん!
     いきなり言われても、『太田垣』さんもビックリするでしょうが!」


    「聞けッ! お前が見た『試合』が全てだ!
     『観戦』はお前の『選択』、だからそこまでだ。
     俺はファイターとして、『戦場』での情報を渡す気はない。

     ――――だが、他の情報ならくれてやる。『動機』だ。
     スタンドバトルも『心技体』、ヤツには十分な『心』がある」


それだけ言い残すと、『尾藤』はびっしょりと吹き出す汗を手ぬぐいで拭った。
代わりに、口を開いたのは中年の男だ。彼は、自身を『吉田』と自己紹介する。


    「今から半年前、アリーナを熱狂させる『ルーキー』がいました。
     さながら『狂犬』のようなファイトスタイル、B級ランカーも一目を置く『問題児』。

                 チカラ
     彼の名は『白岡知空』、一切の条件を問わない『喧嘩』を望んでいました。
     そのシンプルさ、豪胆さ、ブーイング以上の『喝采』を以って決着を付けていた」


                 「――――今は、もういません。
                  半年前、彼は試合中の『事故』で亡くなった」


  >アタシは断然、『白岡慧観』かなー。
  >噂によると『非業を背負った菩薩』とか、
  >『一子相伝のファイター』とか、スゲー噂多いんだよー」


                   >「『尾藤』も災難だな、ありゃあタダじゃあ済まねェぞ……」
                   >観客達は熱狂を潜め、やけに『神妙』な口振りだ。


  >忘れたとは言わせない! あの『悲劇』から半年が過ぎようとしております。
  >しかし、その『悲しみ』を乗り越えて、ここに一人のファイターが立ち上がったッ!」


  >「是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄――――」


  >子供が興味本位で覗いては、――――『仏罰』が下りましょう」


『太田垣』の脳裏に『慧観』の噂、闘い、そして穏やかな『笑み』が蘇る。

86太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:49:55
>>85
「とどのつまり…」
「ふ…」

「ふ、  『復讐』 ッスか」



何ということだ。まったくもって尾藤の言う通りである。自分は既に『動機負け』だ。
心が負けたら勝負も『負け』だ。


自分は、住職の言う通り、本来ならこんな不健全、モラルに反した闘技場なぞ潰れてしかるべきとは思う…
思ってしまってる時点でも負けだろう。


『白岡慧観』と『太田垣良』が戦ったとして…
…この調子では『心と体で勝てる可能性』は…


「…うッ」「うう…」



「…」
 
 「…吉田サン」

  「…持ち込み品ッ、および設置物、…」
             

    「『あり』のレギュレーションでやらせていただきたいッ」「ス」 

    「 頼めますかッ!! 」


  『心技体』『まず技で攻めよう』そのために補助が必要だ。
  心の理由づけなぞ死地に立てば何とかなる。自分はノリと伊達の男だから。
  
  太田垣良の『ザ・サードマン』、最大限に生かそう

87『六道辻』:2021/04/27(火) 22:50:53
>>86
『太田垣』は弁戦で勝つための『理由』を求めた。
しかし、人生を賭す理由に『復讐』よりも重い『動機』があるだろうか?
『血は水よりも濃い』、――――『慧観』の背中は厚く、逞しかったはずだ。


> 「…吉田サン」

> 「…持ち込み品ッ、および設置物、…」
             

>   「『あり』のレギュレーションでやらせていただきたいッ」「ス」 

>   「 頼めますかッ!! 」


   「――――ええ、勿論ですとも!」

                             「そうだ、それでいい」


『吉田』は満面の笑みを浮かべ、『尾藤』は醒めた微笑を口元に作った。
己の土俵で張り合う。『技』を活かせる場を作れば、自ずと『勝機』は生まれるに違いない。


   「『慧観』住職が挑戦を受ければ、アリーナを始められます。
    しかし、『知空』さんが生きていれば、貴方と同い年のはずです。
    果たして、住職がこの試合を受けられるか……」


懐からスマートフォンを取り出し、『吉田』は離れた場所で電話を掛ける。
『夜分遅くに失礼します』、という挨拶が控え目に告げられる。会話が始まったようだ。


   「『太田垣』、お前は運の良い男だ。
    『慧観』は三ヶ月前から試合を見続けている。

    ――――つまり、お前の闘いは見られちゃあいない。
    だから俺は、負けた時の『保険』にお前を選んだんだ。
    先の二人では、既に対策を練られているからな――――」


              「ヤツは『一勝一引き分け』、この引き分けの意味が解るか?
               ……『慧観』はギブアップを許さず、対戦相手を『再起不能』にした。

               チェーンソーパフォーマーの『反町』、
               今は持病を悪化させ、総合病院で長期入院になった……」


『アリーナ』への復讐、それが『ファイター』の選手生命を断つことであれば、
それは直接的な『暴力』だけを意味するものではない。
不遜な態度を崩さぬ『尾藤』だが、その双眸が時折、頼りなく揺れる。『恐怖』を覚えているのだ。

88太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:51:21
>>87
「自分は…簡単に『再起不能』にゃならないッスよ」
「そこん所は自信あるッス」


「そして自分のスタンドは、どんな不利でも、負けてなければ『どんでん返し』を起こしてみせるッスよ」


平面を巧みに操り、逃げ隠れと手品が得意な『ザ・サードマン』なら、勝ち筋になんとか繋げる。


「…約束するッス」



「逆に、自分が簡単に負けたとしたらそれは『オレ』っつぅ一個人のせいなんで」
「…だから『オレ』になんか一言ないッスかね…?エールとか…。」


尾藤ですら怖いのなら、自分はその50倍くらい怖いと思うのだ。
現役ファイターによるかっこいい後押しちょーだい。

89『六道辻』:2021/04/27(火) 22:52:11
>>88
「言葉に縋るんじゃあねェ、『太田垣』。
 俺はこれで『五敗目』だが、このままでは毛頭終わらん。

 いいかッ! 負けるのは『恥』でもなんでもねェ!
 だが、負け続けるのは『恥』だ。そして、

 負けてもヘラヘラしてんのは、『恥』を越えて『悪』だと思えッ!
 “簡単に負けたら”じゃあねェだろ! テメェの『心』は死んでンのかァ!?」


両目をひん?いた『尾藤』の強烈な激が飛ぶ。
『矜持』の高さが伺える言葉だ。そして、


               ブワァ――――


     「やりました! オッケーです!
      『太田垣』さん、試合は『一週間後』に行われます。

      その間に持ち物や設置物の『ガジェット』を申請し、
      加えて、ファイター自身の『観戦チケット』を販売出来ます。
      チケットは『3枚』、これ以上はアリーナを通じての売買に――――」


                       「――――『2枚』だ。
                        もう、『予約済』だからな」


『尾藤』が取り出した『紙幣』、一万円札が五枚だ。
紛れも無い、『太田垣』が泣く泣く手渡した生活費だ。

90太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/27(火) 22:52:47
>>89
 グ サッ

「ぐっはァッ!」
心に刺さった。いたたたた。ここまで言われるとは。


「…キッツいお言葉ありがとうよォ…」
 「……OKッス、ケツと心に火が付いた。」

 やるしかない。

 
 「チケットのお買い上げに感謝ッス」
 「…1週間後!最ッ高にエキサイトな試合をお届けしてやるッ!」


「そして打倒『白岡慧観』っ!!乞うご期待ッス」

        「 見とけよ !! 」

91『六道辻』:2021/04/27(火) 22:53:51
>>90
痛烈な鞭を浴び、決意を新たにする『太田垣』。
未だ、『慧観』のスタンド能力は片鱗程度にしか見えていない。
そして、『アリーナ』に挑む気概は、他のファイターを大きく上回るだろう。
スタンドは『精神』の力だ。決して、勝敗と無関係ではないはずだ――――


             ド

                            ド

                  ド


決戦は『一週間後』、『夏休みの友』よりも重い難題だ。
『太田垣』は歩き出す。その道は険しい。『六道』に勝るとも劣らず。

92『六道辻』:2021/04/27(火) 22:54:12
>>91
>全ファイター

┌────────────────────────
│慧観『エンプティ・エステート』……『一勝一引き分け』


│              V S


│太田垣『ザ・サードマン』……『ゼロ勝一敗』
└────────────────────────
       【形式】:Cランクマッチ
       【会場】:常設アリーナ@倉庫街
       【日時】:X月X日  23時より
       【販売】:チケットの申込は対戦ファイター、若しくは『ラクアクア』まで

93『六道辻』:2021/04/27(火) 22:55:21
     ┌─────────────────────────────
     │               敬   ノ土    
     │               言    [ ]   
     │
     │  (株)ラクアクア  吉田殿
     │
     │  下に記す選手の著しい成績不良については、
     │  観戦者の興を削ぎ、興業の不振を招くに留まらず、
     │  同ランク選手との連勝により上位ランクへの挑戦権を得る、
     │  闘技場規定において悪用の恐れがあるものである。
     │
     │  氏においては選手の勧誘及び登録の責任を取り、
     │  備品の交換を含め、選手の成績向上に協力願いたい。
     │
     │  尚、当該選手については闘技場規定である、
     │  『スタンド使いの戦闘』の項目に反する疑いがあり、
     │  改善が不可能だと氏及び運営側が判断した場合、
     │  登録抹消の措置を執ることは留意されたし。
     │
     │                                     以上
     │
     │  【当該選手】:鏡花水月
     │  【スタンド】 . :『ザ・カレッジ・ドロップアウト』
     |  【成績】 .   .:下記の通り
     │          ●東雲『ザイオン・トレイン』
     │          ●反町『チョコレート・ソルティ・ボール』
     │          ●■■■■■■■■■■■■■■■
     │          ●蓮田『スパニッシュ・ブレークファスト』
     │          ●慧観『エンプティ・エステート』

94『六道辻』:2021/04/30(金) 18:53:14
    「何度も、お願いに上がっております。
     坊主の願い一つ、聞き届けては頂けませんか」


ファミリーレストランの『ジョナクン』のテーブル席、座するは四人。
仕立ての良いスーツに身を包んだ『慧観』に相対する、『吉田』、『森田』。
穏やかな笑みを絶やさぬ『慧観』、深々と下げる頭は鈍く輝いている。


    「住職のお気持ちは痛み入ります。
     私個人としましては、いくら悔やんでも悔やみきれない……」

    「しかし、『アリーナ』の試合映像は秘中の秘。
     一目であっても見せるは勿論、お渡しするのは敵いません」


『慧観』よりも深く、『吉田』に至っては卓板に額を擦り付けんとするように。
幾度、このやり取りが繰り返されただろう。周囲も異様な視線を送っている。


    「そう、ですか。やはり、お見せにはならないか。
     ――――あれは、『妹』の子。私にとっては『甥』になります。
     両親が亡くなった『知空』を寺に引き取り、面倒を見てきました。

     いいえ、あれは『食客』。寺にも戻らず、夜の町で『喧嘩』に明け暮れた。
     幾度と心を砕いても解り合えず、遂にはあの『末路』……」

    「死した魂を戻すのは、いかなる『スタンド』でも出来ません。
     そして、『知空』選手との『契約』は、『あらゆる条件を飲んだ喧嘩』――――」

    「聞いていますとも。『死亡』さえも納得に含まれていたと。
     ……理解が及ばない、そこまでして『闘う』理由が何処にある……」

    「貴方達、『アリーナ』も。そこに居続ける『ファイター』も。
     『修羅』に堕ちて、勝敗に拘泥する意味は、
     ――――『知空』は何故、死を覚悟してまで闘いを望んだのでしょう」

    「私達も、何も聞いていません」


後ろめたさのない、ハッキリした口調で『森田』は答えた。
突っぱねるような言葉遣いの『森田』に反し、『吉田』は背中を縮めて成り行きを見守っている。
長い沈黙の後、『慧観』は諦めたように吐息を零した。


    「……やはり、話し合いの余地はありませんな。
     結構、次の試合でしたな。相手は『太田垣良』、スタンドの名は『ザ・サードマン』。
     フフフッ、人が悪い。『東雲』選手や『稲積』選手、まだ『学生』を起用しておられるか」

    「これは、『太田垣』選手からの挑戦状です。
     ……再度、確認します。貴方は『学生』が相手でも闘えるのですか?
                                 . . . . .
     ――――『知空』選手と同い年であっても、あのような闘いが出来るのですか?」

    「無論、女人小人も同様です。
     多少の『痛手』を被らなければ、目も覚めないでしょう。
     あれからいかがですかな? 『反町』選手、『尾藤』選手は」

    「――――その表情から伺うに、もう『闘えない』のでしょうな。
     では、三日後にまた、お会いしましょう。……ここは、私が」

95『六道辻』:2021/04/30(金) 18:53:26
  「……わ、私は、その、試合の映像さえ見せれば、
   それで『慧観』さんの気が済むのでしたら、構わないと思いますが」

  「それはダメでしょう、『吉田』さん。
   我々は『アリーナ』の秩序が第一、全ては『興業』の為に。
   選手のわがままで『情報』を渡すのは、あってはならないことです」

  「し、しかし、選手の摩耗は『アリーナ』にとって不利益のはず!
   既に二人の選手を失いつつある今、このまま『慧観』さんを闘わせては――――」

『慧観』の立ち去った後、座席に相対して話し合いを続ける二人。
おずおずと提案をする『吉田』に対し、サングラスを掛け直した『森田』は冷静に言葉を重ねる。
『スタンド』を視認出来るサングラス、『一般人』でも観戦が出来るように『アリーナ』の用意した道具だ。


              「別に、構わないんじゃあないですか?」


サングラスの奥、『森田』の双眸が光る。
表舞台でも名を馳せた『実況者』、幾多の熱戦を見届けた男。


  「『復讐劇』というのは、いつだってウケの良い題材ですからね。
   それに、あの二人は長くは続かないファイターでしたよ。

   『反町』選手は持病があり、『尾藤』選手は私と同じ一般人だ」

  「せ、選手を使い捨てにする気ですか!?」

  「利益になるからこそ、『アリーナ』は住職を『追放』も『始末』もしない」
   その逆も然り、でしょう? ――――『吉田』さん、『全てはアリーナの為に』」


『吉田』は背筋が凍った。
『人生』を賭した試合なのだと、『稲積』と『小久保』の闘いを理解したつもりだった。
だが、それは互いの『情熱』だけでは済まされない別の問題も孕んでいる。
『見る者』は、『観客』は何を思って他人の『人生』を覗いているのだろうか。


   「ファイター達の士気も上がっている。次の試合も『満員御礼』ですよ
    『ニコラ』、『クァンガン』、『B級』の二人も住職には注目している。
    『吉田』さん。貴方はまだまだ、『興業』の世界には疎いようですな」

                       サードマン
               「――――『 第 三 者 』である限り、
                『悲劇』は至高の『エンターテイメント』なんですよ」


三日後に控えた『試合』は『試合』と成り得るのだろうか。
――――『吉田』は不安と疑念を抱いたまま、当日を迎えたのであった。

96『六道辻』:2021/04/30(金) 18:53:42
あの試合から三日後、決戦の時は訪れた。
『太田垣』は『アリーナ』へと到着し、選手控室へと足を踏み入れる。
もうすぐ、試合が始まる。『アリーナ』には『太田垣』の望んだ『ギミック』があるだろう。


(※スタンド能力、能力詳細、持ち物、服装の記入をお願いします)

97太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 18:56:05
【ファイター】太田垣 良(おおたがき りょう)  スタンドは『ザ・サードマン』。

      リバーサル
【二つ名】『表裏一体』

【能力詳細】ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1311712763/420-42

【テーマ】WILD CHALLENGER/JINDOU  ttps://www.youtube.com/watch?v=_IWg-mmO_6Q

【服装】ネズミ色のワイシャツ、ズボンは黒の制服、ローファー。今日ははりきってピンクの蝶ネクタイつけちゃった。
【持ち物】ボールペン数本(数はGMに決めていただきたい)、胸ポッケに刺す。

【ギミック要求】デカくて重くて四角いやつ…ありったけ転がしておいて欲しい。
       『冷蔵庫』『クローゼット』『箪笥』『仏壇』、何でもいいです。

98『六道辻』:2021/04/30(金) 18:56:30
>>97
「『デカくて重くて四角い』ものですね。
 とにかく、用意はしてみます!

 唯、用意出来る『ギミック』は一つだけですので、
 必然的に『一種類』となります。上手く、その辺りで調整が出来れば――――」


ファミレスだろうか。ざわめいた声が電話越しに聞こえてくる。
何にせよ、準備は承諾してくれた。後は『当日』まで待つだけだ。

                    ・

                    ・

                    ・

『選手控室』の薄い壁越しに、ガタガタと何やら音が聞こえる。
どうやら、大きなものを運んでいるようだ。『太田垣』の目論見通りならば良いが……。
胸ポケットに挿した『二本』のボールペン、重たい金属製と扱いやすいプラスチック製が一本ずつだ。
鮮やかなピンクの蝶ネクタイもバッチリ決まっている。何処に出しても恥ずかしくないだろう。

99太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 18:57:02
>>98
 
  ガタ ガタ…

要求のものの運搬かね…キチンと用意してくれてて安心。


スゥ〜〜〜

  「…」

   フゥ〜〜  〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  〜 〜ッ

意気込みはなんとなく決めた。覚悟に関しては十分に。

3秒吸って、2秒止めて、15秒吐く。落ち着きたい時の呼吸法だ。
これやりながら待とう。


スゥ…

100『六道辻』:2021/04/30(金) 18:57:40
>>99
                 スゥゥゥ――――


丹田に意識を集中させ、呼吸法によって意識を整える。


          フッ

   ≪紳士淑女の皆様、おまたせしましたァ!
    遂に、遂にあの『白岡慧観』がB級チャレンジに王手を掛けましたッ!
    『怒り』、『同情』、歓声は皆様の心のままに! ですが、ですが、それが何でしょう!
    『死別』を乗り越えた『仏僧』にとって、外野の言葉など些事に過ぎるッ!≫


『鳩星』とは異なる、前の試合と同じ『森田』が熱弁を振るう。
腹の底から絞り上げるシャウトに、観客達も思い思いに声を上げる。
――――この試合、『太田垣』は全く注目されていないのだろう。


      「うおおおおお!!!! 『慧観』ンンン――――ッッ!!!」


                  「テメェの試合を息子に魅せてやれよォォ!!!!」


      ≪さぁ、まずは『挑戦者』の入場です!
        赤コーナー、『太田垣良』、出てこいやァ!≫
                                             ――――フッ


会場の照明が全て消え、壁面に埋められたLEDライトが戦場を照らす。
吹き上がるスモーク、ライトに着色された真っ赤な煙が『挑戦者』の道筋を浮かばせる。
『太田垣』の入場だ。姿を現せばすぐに、用意した『BGM』が流れるだろう。

101太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 18:57:55
>>100
「(始まる…スイッチを入れるッ)」


目の前のステージへと、歩む。



「イイッスねェ〜〜〜…喝采、俺のための!」


いっぱい歓声が聞こえる。この太田垣への熱いエールに違いない!
お辞儀してやろう。手も振っちゃおう。ウィンクもしちゃうよ。
観客にはいっぱいサービスしちゃうぞっ。



  「ありがとう…有難うっ…」「ありがとう御座いまスッ」

  「よろしくッ!」

102『六道辻』:2021/04/30(金) 18:58:19
>>101
己の選んだ入場曲と共に、意気揚々と現れる『太田垣』。
ポップなダンスミュージックが刻む軽快なリズム、歯切れの良いパンクヴォイス、
高みを目指す『向上心』よりも、一発当ててやろうという『破れかぶれ』さえ覚える――――

入場曲:JINDOU『WILD CHALLENGER』
ttps://www.youtube.com/watch?v=_IWg-mmO_6Q



       ≪身長170cm、昨今のアリーナを騒がせる『学生ファイター』!
         彼もまた、その波に乗れるのでしょうか!?

         ――――ピンクの蝶ネクタイがイカしてます!≫


     「いいぞー行けー。              「ファイトー!」
      期待してんぞ」
                               「かっとばせー!」


先ほどの熱声と異なる、何処か投げやりな『声援』が飛ぶ。
実況も対応に困ったのか、『学生ファイター』で括られてしまった。
所定の位置に付く『太田垣』、周囲に在るのは『巨大冷蔵庫』だ。
恐らくは『業務用』だろう。スチール製のそれは、直立したひと一人、スッポリ収まるだろう。


   ≪その能力は明らかにならず、未だに『片鱗』を見せるのみッ!
     温存されたパワーは、果たして『開放』されるのか!?≫


   ≪さあ、『選手入場』です!
    青コーナー、『白岡慧観』ン!≫    ≪出てこいやぁ!≫


             ブシュゥゥゥゥ――――z______


青色のLED照明がチカチカと点滅し、スモークを真っ青に染める。
以前と同じ格好で現れた『慧観』、今度は『般若心経』を唱えない。
入場曲も以前と同じ、本人の雰囲気と会わない『プログレ』だ。

入場曲:ALI PROJECT 『六道輪廻サバイバル』
ttp://youtu.be/u3NvNKjXRg4


    「貴方が、『太田垣』さんでしたか。
     ――――ここで、出会ってしまえば、」


                    「……よもや、『容赦』の余地はありませんな」



∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴■□□箱□太□□箱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□箱□□慧□箱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴

103『六道辻』:2021/04/30(金) 18:58:39
>>102
そして…お出ましだ、『白岡慧観』。
相変わらずワケのわからん演出だが…

…あれはもしかして『息子さんの使ってた演出』だったり?
誰かに聞けば分かるかな。


   >「貴方が、『太田垣』さんでしたか。
       ――――ここで、出会ってしまえば、」

    >「……よもや、『容赦』の余地はありませんな」



ならば、是非そうしていただきたい。


     「Come onッ!」

104『六道辻』:2021/04/30(金) 18:58:54
    

    ≪ステージに用意しましたのは『巨大冷蔵庫』です!
      電源こそ入っていませんが、『太田垣』選手はどうやって扱うか!?

      これだけの巨物を扱える、圧倒的パワーを有しているのか――――≫


    「良いでしょう、これもまた『救道』なり。
     安息の有り難み、『病院』にて知るといい――――」


柔らかな語調を崩さぬまま、低い声は真っ直ぐに『太田垣』へ放たれる。
『戦意』を露わにすることなく、緩やかな『威圧感』だけが肌に届く。


    ≪さぁ、互いに戦意は十分ッ


                             いざ尋常に、始めェッ!≫


          カァァァ――――z_____   ンンッ!!


鳴り響くゴング。『慧観』は空手から『弓』を発現する。
大きく引き絞られたそれは、中空より現れる『矢』を番えられ、


          ≪出ましたァ! 『エンプティ・エステート』ォ!
            その片鱗の一つ、『弓矢』の発現ですッ!≫


                 ≪『慧観』選手は弓道の有段者でもあり、
                   地元の高校では指導も行っております!≫


    「南無ッ!」


              ―――――バシュッ!


『太田垣』目掛けて、一直線に放たれた。
『和弓』の射出速度は『200km』前後とも言われ、
ピッチャーの硬球を上回るスピードにて、『太田垣』に迫るッ!

105太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 18:59:09
>>104
「矢ッスかッ…何も対策してねえッス」 
「…それは!」

 スタンド発現、そしてその左手で『キャッチ』、不可能なら逸らす。
 自分のスタンドのスピードは人間以上、そして器用さは超精度!(ス精BA)


 「『対策』なんて要らないからッスよォ…『ザ・サードマン』!」
  「あんたのプレッシャーに負けはしないッ」


で、西にある冷蔵庫に向かう…冷蔵庫の扉はどこに向いている?

106『六道辻』:2021/04/30(金) 18:59:32
>>105
         ズバ
                  シィッ!!


発現される『ザ・サードマン』、放たれる『矢』をキャッチする。
握った矢に引っ張られる感覚は受けるものの、
さながら『キャッチボール』を取る気軽さでキャッチに成功した。


            ≪『太田垣』選手、ガッチリと捕獲しました!
              矢の勢いを逸らす技量、要チェックです!≫


西にある『冷蔵庫』に到着する『太田垣』。
その『扉』は太田垣側の二つは『南側』、慧観側の二つは『北側』だ。
互いに『扉』を付き合わせるように向かい合っている形だ。


              バシュッ!


『ザ・サードマン』の握っていた矢が解除される。

∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴■□□箱太□□□箱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□箱□□慧□箱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴

107太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:03:34
>>106
「よっしゃキャッち…」「ち…」

消えたか…矢の再利用はさせない…と。



 「まあいい…自分は『ついてる』」
 よりにもよって『業務用冷蔵庫』用意してくれたんだ…最高。愛してる。


『サードマン』は『白岡』の方を向き警戒。矢は無駄だぜ…

本体は業務用冷蔵庫の南側に回る。
余裕があるなら冷蔵庫の扉をオープンだ!


    「ツいてるッスよ」「冷蔵庫だなんてなァ…」

108『六道辻』:2021/04/30(金) 19:03:57
>>107
       バカァ!


『太田垣』は幸運に感謝し、『冷蔵庫』の扉を開く。
中身は空っぽだ。脱臭剤一つ入っておらず、電源も切れている。


      「『空っぽ』、ですな」


       ザッ                     シ
                  ザッ          ャ
                               ラ
                               ・.
       ≪『慧観』選手、接近です!        ’
         弓矢を捨て、錫杖に持ち替えて『接近』ッ!≫
                                          シャラ ン
                                               ・ .

       「――――哀しい、ですな。
       貴方の縋れる『武器』は、それだけなのですね」


       ≪生身とスタンド、その戦力差を知って尚、歩みを止めなァァ―――い!!≫


『弓』を解除し、『錫杖』に持ち替えた『慧観』は『太田垣』へと接近する。
その両目は真っ直ぐに『太田垣』を見据え、臆した様子は微塵もない。

109太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:04:18
>>108
「おっしゃる通り。自分のスタンドは、開けた『闘技場』に向かない…」
「戦闘特化でも無いスタンドッスね」


武器は少ない。

「でも…これで十分なんスよ」



一枚の板からも多くの手品を引っ張りだせる、それが『ザ・サードマン』


…… 本体は、冷蔵庫に飛び込むッ!
    本体の背後に続き、『サードマン』も冷蔵庫に入る。で、扉を閉めッ(ス精CA)!

    自分と『ザ・サードマン』は冷蔵庫の中に閉じ込もるのだ!


   「それでは、しばしのお別れ…でもってShowtime!」

110『六道辻』:2021/04/30(金) 19:04:43
>>109
 >   「それでは、しばしのお別れ…でもってShowtime!」


            バタムッ!


     ≪な、な、何を考えているんだァァァ〜〜〜〜〜!?
       『太田垣』選手、引きこもったァァァァ!!!!!!≫


     ≪い、今ほど『解説』が欲しいと思ったことはありません!
       誰か説明してください!? 一体、意味あっての行動なのかぁぁ!!!≫


     ≪これには『慧観』選手も思わず苦笑いィィ―――≫


『太田垣』は冷蔵庫に入ると『サードマン』を重ね合わせ、扉を閉める。
『太田垣』にとっての幸運は二つ。一つは『弓矢』の解除だ。
本来ならば絶好の隙なのだが、それを攻めるだけの武器を『慧観』は用意していない。
もう一つ、扉だ。『マグネット』が切れている。これなら『内側』からでも開くだろう。


               ザッ

                      「摩訶般若波羅蜜多心経」


               ザッ

                      「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五」


               ザッ

                      「蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不」


『慧観』は念仏を唱え、悠然と歩み寄る。
その様子は『太田垣』には解らないが、
近づく足音と朗々とした念仏が聞こえてくる。
狭い空間と相まってさながら、葬式の『遺体』になった気分だ。


∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴■□□箱□□□□箱□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□慧□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□箱□□□□箱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴

111太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:05:07
>>110
待つ。待つ。待つのだ。

手は打った。みんなきっと驚くぞ。
『なんだあれすげえ!』って言うに違いねえ…

 慧観が扉を開くのを待つ。


「(危険が迫ってるのはあんたッス、住職サン…)」


 葬式の『遺体』になった気分だ。…でももし、遺体が突然動き出したら……

「(モチロンびっくりするッスねぇ!ちびるわ!)」

「(…扉が開いたら…数秒待つ。ビックリの後の戸惑いが狙い目。
              …そして慧観の足を狙おう。)」


戦略を練りつつ妄想しつつ待つ。

112『六道辻』:2021/04/30(金) 19:05:39
>>111
               ザッ

                      「異色色即是空空即是色受想行識亦復如」


               ザッ

                      「是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄」


               ザッ

                      「不増不減是故空中無色無受想行識無眼」


『慧観』の足が止まる。
念仏だけが響き渡り、実況の声も止まっている。
どうやら、互いに出方を伺っているようだ。

113『六道辻』:2021/04/30(金) 19:06:06
249 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[] 投稿日:2015/09/19(土) 01:26:25
質問です

この『アリーナ』の床の仕様。

コンクリパネルの張られた床、その下に空間があいている…
…要するに>>10のマップの仕様になっているのでしょうか?

250 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/19(土) 01:27:07
>>249
なっています。

114太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:06:23
>>112
「(緊張状態のうちに!)」

次の作業は数秒かからず終わらせられだろう。
『格納』は一瞬で済むし、サードマンは『両手足』が触れたものに干渉できる。


>>275のメル欄をいったん解除。『サードマン』は、足の触れている冷蔵庫の底面に本体を『格納』。
『サードマン』は…手を前に出し。『冷蔵庫』の『扉裏』に格納。



 「(慧観にとっては…扉を開けたらもぬけの空、ッて状況を作った!)」
 

   「アンタが動くまで、俺は待つッ!」
   「楽しませてやるッス、開けてみな!」

115『六道辻』:2021/04/30(金) 19:07:28
>>114
着々と『脱出トリック』の準備を始める『太田垣』
――――『慧観』は扉を開く様子はない。


     「何してんだよ葬式じゃねぇんだぞ!」


                 「出てこいよ太田垣!」


     「坊主テメェーも攻めろや!」


         「多是大神咒是大明咒是無上咒是無等等」

         「咒能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜」


         「『知空』も愚かでしたが、
          ――――貴方も『無明』が過ぎるようですな」


ブーイングや念仏に混じって聞こえる『スタンド会話』。
冷蔵庫の分厚い壁を抜けて、『太田垣』の心に直接話しかけてくる。


         「多咒即説咒曰」    「掲諦 掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦」

         「菩提薩婆訶 ――――『般若心経』」


ふと、『太田垣』は違和感を覚える。
『音』だ。観客のざわめき、念仏、それが一層『遠く』なる。
まるで何かが『被せられた』かのようだ。


         「『灰身滅智』、その身に味わいなさい――――」


                     ボワァァァ〜〜〜〜〜ッッ!!


              ボボボボボボボボ―――――


――――『熱い』ッ!

116太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:07:47
>>115
     アツっあつつつ熱っ!!
  
[あっちゃ、申し訳ないッ!]

[『ビックリ箱』は相手をノせてからだった!
    この太田垣がステージに出てこないんじゃ興ざめッスね!]

 [これじゃ『メクラ』と罵られるのも当然!]  [詫びるッス]




      アツッ アチチ

  [ちょい待ってて住職…いま…]

 
     アツッ ヤッベーワコレ

  [新しい手品の準備する]
  [もう『無明』なんて言われないよう頑張るッスね]
   


『サードマン』を冷蔵庫の中に出し、慧観とスタンド会話しながら突破口を探そう。
…冷蔵庫の扉を開けよう。少しスキマが開けばいい、床に指先だけでも触れさせられれば。

117『六道辻』:2021/04/30(金) 19:08:07
>>116
軽口を叩きながら慌てる『太田垣』であったが、
意外にもこの『軽口』が戦闘面においても真理を突いていた。
『太田垣』自身の用意した『冷蔵庫』に入り込み、
「さぁ、攻撃してください!」という受けアピールをしても、中々乗ってくれないだろう。
『罠』を仕掛けるのであれば、『罠』と思わせてはならないし、
あるいは『罠』と解っていて手を出さずには要られない『エサ』が必要になるのだ。


            ガバッ

                              ジュォ・・・


冷蔵庫の扉を内側から開き、産まれた隙間から片腕を突き出す。
コンクリートの床には『炎』が燃えている。指先が炎に触れ、反射的に手を引く。
一筋の炎だ。これを避ける形で『床』に触れるのは、そう難しくない。


         ≪レ  は 『梵鐘』で―――――≫


         「逃れられましょうか、この『灼熱地獄』から――――」


分厚い壁に阻まれ、『実況』の声は曖昧にしか聞こえない。
しかし、今ので理解出来た。冷蔵庫に『梵鐘』が被さっている。
そして、この『炎』。今、『太田垣』は『清姫伝説』の『安珍』となっているのだ。
このままでは『焼け死ぬ』、あるいはその前に『酸欠』による窒息死か。


∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■炎□□□□□■∴∴∴
∴∴■┌─┐□□□□□■∴∴
∴■炎│鐘│炎□□箱□□■∴
∴■□└─慧□□□□□□■∴
∴■炎□□□炎□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□箱□□□□箱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴

118太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:08:48
>>117
…このままじゃ調理されてしまう…


「(床にさわれるぞ)」
「(…『サードマン』左手で『一瞬』床に触れて離す…手が燃えたってかまわないッ)」


床に『どんでん返し』『反転』2つをセッティング!『粘着』あり。
『1m(冷蔵庫の横幅)×鐘の直径以下の短さ』を、『ひとつ』、
角度は『南側』へ『俯角度180度』!



   「 (『ザ・サードマン』の、もっとも正統派な使い方…)
     (劇場装置『龕灯返(または強盗返)』の再現ッ) 」

      [どんでん返しッ]  [『プレーン』]  


つまり、冷蔵庫を床ごと下にひっくり返すのだ…鐘からの【脱出トリック】 !!

119『六道辻』:2021/04/30(金) 19:09:08
256 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/19(土) 23:03:18
>>255
どんでん返しは『二つ』とのことですが、
一つは『幅1m×直径以下』、もう一つの詳細を教えて下さい。

257 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[申し訳ないです] 投稿日:2015/09/19(土) 23:05:21
>>256
すみませんミスです。ひとつです。

120『六道辻』:2021/04/30(金) 19:10:11
>>118
『ザ・サードマン』は床に触れ、『どんでん返し』を設置する。
『冷蔵庫』を床下に『格納』する為の能力発動だったが、
――――これは、『発動』するが『作動』しない。
床板を持ち上げて冷蔵庫を傾かせただけで、停止する。


            ガダッ
                         ガグッ


          ォォォオオオオ―――――ンン・・・


原因は『冷蔵庫』の高さと『梵鐘』の半径だ。
日本に現存する最大の『梵鐘』の半径は『2.8m』。(最も、それよりも小さいが)
一方、業務用冷蔵庫の高さは『太田垣』の身長とイコールだ。
冷蔵庫の『高さ』が梵鐘の『半径』を上回り、どうしても梵鐘の『壁』にぶつかってしまう。
反響し、鈍い音が耳にジンジンと響く。

\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄
     .■■
    ■   ■
    ■ 冷 ■
   ■_蔵_■
\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄\_/ ̄

だが、この『失策』は『太田垣』にとっては『幸運』かも知れない。
何故なら、『格納』によって一時的に逃れたとしても、
『慧観』が能力を解除する保証は何処にもないからだ。
――――『慧観』は『引き分け』を厭わない、それは戦績が表明している。

何とか『酸素』が尽きる前に、この『梵鐘』から脱出しなければならない……。
『太田垣』は乏しい『炎』の明かりを利用して床を見る。
『/』に持ち上げられた『床板』だ。そこに『活路』はあるだろうか。

121『六道辻』:2021/04/30(金) 19:10:23
259 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[質問です] 投稿日:2015/09/19(土) 23:56:54
冷蔵庫の高さ < 梵鐘の半径 

   だそうですが、もしかして

冷蔵庫の高さ < 梵鐘の直径

   でもあったりします?確認不能?

260 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/20(日) 00:00:11
>>259
視界が狭まっており、正確には確認できませんが、
恐らくは『梵鐘の直径』よりも『冷蔵庫の高さ』の方が長いです。

122『六道辻』:2021/04/30(金) 19:10:42
261 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[再度質問です] 投稿日:2015/09/20(日) 00:29:42
>>260 回答に感謝します。


先ほど、南方向に床を『俯角』で傾けました。
途中で、冷蔵庫が鐘に引っかかってしまった事により
太田垣から見てから見て滑り台のようになっているはずです。

で、床と『どんでん返し』の間に、スキマ…開いてますかね?
もしや、人が通れそうな感じですかね…

262 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/20(日) 01:04:25
>>261

|        ./\ .|
|      /冷./ .|
|    \/蔵./  .|
|―    \/  ..―|
|::::::::::::::::::::::\::::::::::::::|


「:::::」は床下となります。
現段階では隙間は『梵鐘内部』で完結しており、
このままでは『外』に出ることは敵いません。

123太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:11:13
>>120
アツ、アツ、アツイ モウ限界ッスヨ


 「(…『引っかかっているなら』)」
 「(…『しまえばいい』ッ!)」


反転中の床に、『ふたつ目』の『どんでん返し』設置。
『格納』だ。対象は、太田垣、サードマン入り冷蔵庫。


これで、邪魔なとっかかりはなくなる…
『反転どんでん返し』はフリーになり、ぶじ裏に回れるのだよ!



   [ ひっくり返すッスよッ ]



無事床下に移動できたなら、コンクリ床に設置した『格納』は解除。
(たぶん)涼しい地下空間で、ゆっくり息を吸いたいよ…。

124太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:11:30
すみません
>>233に貼った能力詳細のURLにミスがあったので貼りなおしておきます。
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/netgame/9003/1311712763/420-422

>>233の状態ではGMが能力詳細を全部見る事ができませんでした。
そしてこの所為で、グレーな判定が発生してる恐れがあります。

(全部見てくださっていたならこの話は終わりです)


『サードマン』が『格納』を行った際、被『格納』対象は、
現実と遮断され電波すら届かず、時間、化学反応もない『亜空間』に送られる、
という内容をGMが見れていなかった場合

梵鐘内部に発生している炎が、特別なものでない限り太田垣に届かなくなってしまいます

・炎は特別
・本ミッションに限り、亜空間には熱が通るという暫定的判定
・高熱で、冷蔵庫内部のプラとかが溶けて『平面』が維持できなくなった

…など、何らかの判定をしていただけますでしょうか?
本当に申し訳ありません。

125『六道辻』:2021/04/30(金) 19:12:15
>>124
(※今回、炎については亜空間内にまで影響を及ぼさない、
  即ち『能力詳細』通りでミッション進行を致します。
  よって、現状において判定において変更はありません。

  >>252についても、何となく気付いた程度に留めてください。)


      ギャルッ
                    ――――ガタッ

      ォォォオオオオオ〜〜〜〜〜ンン


引っかかっている『冷蔵庫』を更に『格納』しようとする『太田垣』だが、
>>258と同様、『冷蔵庫』を格納するには『高さ』に等しい『半径』が必要だ。
(170cmの冷蔵庫を格納するには、半径を『170cm』必要とする。)
鉄棒で『大車輪』を行うには、自分の身長以上の『高さ』を必要とするのと同じだ。

この冷蔵庫を『床板』ごと『傾ける』までは可能だろう。
しかし、半回転させて『格納』するのはどうやっても不可能なのだ。
質量のある『冷蔵庫』を横倒しにするのも、このスペースでは現実的ではない。

そして、『反転』によって床板の下に逃げれば『場外』になる。
『亜空間』による『格納』までは認められるかも知れないが、
床下のスペースを這って移動するのは、明確な『ルール違反』だ。
……床としての『体裁』を保っていれば、ちょっと潜るくらいなら認められるだろう。


         ォォォオオオオ・・・


鐘内の温度が上がってきた。酸素も減り、息苦しさも増していく。
このままでは『酸欠』だ。一刻も早く、梵鐘から脱出しなければならない。


    「んだよこれ、試合じゃねぇだろ!」

         「坊主てめぇーナメんじゃねぇぞ!」

    「出てこいよ蝶ネクタイ!」

         「パチカスのガキになりてぇのか!?」


    ≪え、えぇーー、落ち着いてください!
      モノを投げないで! 『太田垣』選手、中々出てきません!

      詳細こそ語れませんが、『ザ・サードマン』であれば、
      梵鐘から出てくるのは容易いと思いましたが、
      何か策あってのことなのでしょうか!?≫


『梵鐘』を通じて遠くに聞こえるが、場内の『ブーイング』もヒートアップしている。
膠着した試合への不満だ。実況の『森田』も何とか観客を宥めようとしている。
恐らく、『森田』は『梵鐘』そのものに『どんでん返し』を付けると勘違いしているのだろうが、
『ザ・サードマン』は『曲面』に能力を発動させることは適わない。


  「……おい、しっかりしろ! 太田垣!

   テメェ、これで終わりなら承知しねぇぞ!」

『尾藤』の怒鳴り声が聞こえてくる。痺れを切らしたのだろう。
――――抜け出せる『策』はある。この『密室』から逃れる『トリック』だ。
『太田垣』の想定から大きく外れたが、『脱出マジックショー』はまだ続いているのだ。

126『六道辻』:2021/04/30(金) 19:13:36
266 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[安心しました。ありがとうございます。] 投稿日:2015/09/21(月) 23:27:20
回答ありがとうございます。
追加で質問です

・扉は、>>262のAAの右側、ですよね?
>>262AAの、冷蔵庫の左右の床( \ )は50×50以上?
・冷蔵庫の床面積は、50×50以上?
・太田垣の肩幅、腹回りは、平均的な17歳少年のものとしてよい?

267 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/21(月) 23:31:05
>>266
>・扉は、>>262のAAの右側、ですよね?
その通りです。
一度『どんでん返し』を解除することで、
任意の方向に傾け直すことが出来ます。

>・>>262AAの、冷蔵庫の左右の床( \ )は50×50以上?
>・冷蔵庫の床面積は、50×50以上?
いずれも『50×50』以上となります。

>・太田垣の肩幅、腹回りは、平均的な17歳少年のものとしてよい?
そちらでも構いませんし、それより小さくしても構いません。

268 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[多々の質問申し訳ない。] 投稿日:2015/09/22(火) 19:39:59
>>267 回答ありがとうございます。

追加で質問です。

・つまり鐘内部の状況は、
 現在までの情報から判断すると
 下画像のようになっている、と見てもよろしい?

ttp://yui.oopsup.com/readfile.php/goldenrectangle/jyoukyou.jpg


   (縦㎝×横㎝で表記)

グリッド線:50㎝×50㎝
緑の円:鐘。厚み30㎝(厚めに設定)
      内部は直径200㎝弱(できるだけ小さめの数値に設定)

灰色の四角:冷蔵庫。大きめに見積もり、100㎝×100㎝とする

青枠:200㎝×100㎝。現在は、これが傾いてる。
   鐘に対しギリギリの大きさに設定。。

黒い四角:50×50。>>267にて確保できていると確認


・また、画像が正しければ、太田垣(20×40×170とする)は、
 冷蔵庫の外に出れそうなのですがどうでしょう??

269 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/22(火) 20:05:14
>>268
図画ありがとうございます。
そちらの図で構いませんし、多少でしたらご自身の都合良く変えて下さい。
また、太田垣PCは冷蔵庫から出ることが出来ます。

127太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:14:09
>>125
[『脱出トリック』]
[再三お待たせしました!が、これで終了。]



   能力解除、床を元に戻す。。

冷蔵庫の下側に出て、東を向き、しゃがむ(燃えるのは気にしない)。

太田垣の真下に『50×100』の『東に俯角180度回転する』『回転軸は横向き』『粘着つき』を設置。それだけのスペースはある。
このどんでん返しを使い、太田垣を脱出させる。床裏にコウモリのようにぶら下がりたいのだ。



 何ィ?『50×50の穴では太田垣が通れなかったら』!?

 対策はある。頭がぶつかる前に、『どんでん返し』をもう一個作るのだ。
 『200×50』『北に向かって90度回転』を前に設置。
 鐘の重量にどんでん返しを押さえられないように、『回転軸』は鐘の外に!

  しゃがんだ太田垣の前面投影面積『40×75』も、これなら通すことができるッ!


[そしてこの『二枚目』は『一石二鳥』ッ!]
[慧観の…立ってる床と被るんッスよ
 慧観の足元を揺るがす…
      上に跳ね上げるッ(パスCB)』]

 
  [俺の『攻撃の意思』!]
  [勝った気でいるんじゃねえぞッ住職!]




ttp://yui.oopsup.com/browse.php/goldenrectangle/reizouko.jpg

128『六道辻』:2021/04/30(金) 19:14:57
271 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/09/23(水) 01:50:04
>>270
遅くなりましたが、質問致します。
軌道や方法については、下記の通りでよろしいでしょうか?
下図は1から2へのものです。


□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□┏━━┓□□□□□
□□□□┏┛□□┗┓③□□□
□□□□┃□┌┐□┃↑□□□
□□□□┃□└┘□┃|□□□
□□□□┗┓太①―→②□□□
□□□□□┗━━┛□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□

                 鐘鐘鐘
              鐘    鐘
           鐘○\  鐘
           鐘 |_. \鐘 _ _ _ _ _ _ _
                ↑    |
                     \_/

                 鐘鐘鐘
              鐘    鐘
           鐘      鐘
           鐘___鐘___
                 |    |○/
              | .   |  ↑ \/
              └→ .! ─┘    ̄

272 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[遅くなりました。] 投稿日:2015/09/23(水) 02:58:04
>>271 きっと違うと思います。分かりにくくて申し訳ない…

図解するとこうなります
ttp://yui.oopsup.com/browse.php/goldenrectangle/状況.jpg

1.しゃがんで、下にこういう平面を作る

2.これをそのまま回転させると、なんか頭ぶつかるだろう

3.なので、前にパッと触れておいて、頭がぶつからないようにする

4.終わると、太田垣は床下にコウモリ様にぶらさがる

 ※図の3番、4番では描けていないが、
 オレンジ色の平面は、(多分)慧観の立ってる所と被ります。

…って事です。

129『六道辻』:2021/04/30(金) 19:16:15
>>127
   「テメェーの料理教室じゃねぇンだよ住職ッ!」


                   「寺に火ィ付けっぞゴルァ!」


   「引きこもってんじゃねェぞ太田垣ィィ―――!!!」


                   「蝶ネクタイ千切られてェのかァアアン!?」


膠着しきった試合へのブーイングが止まらない。
金網を蹴り付ける客まで現れ始める。一歩間違えれば『暴徒』になるのは明らかだ。
念仏を唱えていた『慧観』だが、やがて『梵鐘』から視線を外し、観客の方を向いた。


              スッ


      「今、この会場にいらっしゃる『B級ランカー』は二人。
       『ニコン・C・カラシニコフ』選手、『キム・クァンガン』選手。
       『太田垣』選手の『ギブアップ』を運営側が認め次第、すぐに試合へ移行させて下さい。

       お二人が『急用』を思い出したのでしたら、『C級ランカー』へ残留致しましょう。
       『尾藤』選手を倒した『東雲』選手、ルーキーキラーの『相模』選手、
       この会場にいらっしゃる十五人の『C級ランカー』の方々に、『対戦希望』を致します」


             「皆様が『腹痛』を訴えるのでしたら、致し方ありません。
              長期入院中の『稲積』選手の治療費を負担し、会場へ送迎致すも良し、
              登録抹消をされた『小久保』選手の復帰試合を組むも良し、
              『セクションX』の方々を招致頂くも良し、運営側のスタンド使いを『選手登録』するも良し」


巨躯から発される歌うような低声が場内に響き渡り、ブーイングが鳴り止む。
『慧観』の表情は変わらない。大海の如く穏やかな笑みを浮かべ、そこにさざなみさえ立たない。


             「――――そして、『白岡知空』を殺害したファイター、
              彼との『遺恨試合』を組むも良し、この試合に代わる『マッチング』は様々」

             「聞け、修羅道に堕ちし蒙昧の迷い人よ。
              己に執着し、決別を忘れ、力に拘泥し、
              刹那の『勝利』にしか自己を見いだせぬ者達よ。

              ――――全員、この『地獄』から解き放ちましょう」


その言葉は己の甥を殺害した『ファイター』への果たし状であり、
会場にいる全ての『ファイター』への挑戦状であり、
闘争にのみ存在意義を持つ『アリーナ』への『斬奸状』であった。

130『六道辻』:2021/04/30(金) 19:17:29
>>129
     「挑戦者ァ―――――――――ッ
       アンタ まだ戦えるのかァァァ―――――――ッ!」


         「頼むから奇跡を見せてくれ――――――ッ!」


その最中、祈るような叫びが場内に木霊した。
一人の声援が、静寂に包まれたアリーナを切る。
『慧観』はその声に目を細め、

                l /
               ホ                 「!?」
                ゥ
                      ガクゥ.
               ヴ          \
                                i


突如、片足を引っ張られるようにバランスを崩した。
何が起こったかは解らない。その場から飛び退き、周囲を警戒する。
動揺の色を隠せない『慧観』の双眸、そこに映ったのだ。――――『龍』が。


     ゴ
                     ゴ

      ゴ     ≪い、今ッ!?
              御覧になられたでしょうか!?≫
                                              ゴ     ゴ
             ≪突如、『慧観』選手がバランスを崩しましたッ!≫
                                                 ゴ
             ≪床を這う『炎』が持ち上がり、鎌首をもたげたッ!
              まるで『蛇』、燃え上がる『大蛇』が『慧観』選手に襲い掛かったか!?≫


違う、『炎』ではない。
――――『床』だ。床板の一部が捲れ、炎と共に持ち上がったのだ。
『慧観』は驚愕の色を隠せぬまま、思考は次の可能性へと至る。
“『太田垣』は『梵鐘』から脱し、『床裏』に潜伏していると――――”


             「まさか、侮れぬわ――――」


金縁眼鏡の奥から『梵鐘』を覗き込む。
『解除』すべきか、それとも唯の『ハッタリ』か。
『ハッタリ』と断ずる要因はあるが、そこには『確証』がない。
――――『アリーナ』は、不気味な沈黙に満たされる……。

131太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:18:00
>>130
「ふーッ ふーッ    フゥゥ… 」

     切り抜けられた
     …涼しい。
     ケツとか足にヤケドがあるだろうか?確認しておく

     上の状況は分からない
     が、相手の出方を待つより、こちらから出るべきだろう…
     …この静寂の間にな!


では。
慧観の足元を揺るがした(であろう)平面は、解除し、元の床に戻そう。

『ザ・サードマン』にプラスチックのボールペンを持たせる。

『サードマン』で、太田垣から『100㎝以上』南側の床裏に手を触れる。
(ここまで離れれば、鐘に引っかかることも無いだろう。)
『50×200』の『180度回転する』『粘着付』『反転どんでん返し』設置。


このどんでん返しで、慧観の南南西約3m、リング上に『ザ・サードマン』単体を、

    

 [驚きのォ!  再登場ッスっヨ! ]
    
          [ ジャっ じゃじゃ ジャァ 〜〜〜〜ん ]
     

   スタンド会話しながら登場する。
   観客のスタンド使いのみんなには聞こえるね?

132太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:18:22
>>131
           「じゃかあしいわ、アホんだらぁッ!!」

           「まだ決着はついとらんじゃろうが、他の相手ばっか見とらんで集中せんか!!」

           「『油断』や『慢心』は、相手に、戦いに対する冒涜じゃァッ!!!」

頭上にてファイターの一人が怒声を荒げている。
『太田垣』は自身を確認するが、酷い火傷はない。
だが、長い間『熱』に晒された為、息は乱れ『体力』は低下している。
粘着力があるとはいえ、吊り下げられた体勢では消耗も激しいだろう。


                バシュッ


         ≪解除です! 今、『梵鐘』と『大文字』が解除されました。
           その『全貌』が明らかになるッ! ああっ、酷い有様です!≫


『火炎』と『質量』でダメージを受けた『コンクリート床』に、亀裂が産まれている。
そこには誰もいない。『脱出』に成功した『太田垣』、その所在は――――


    「『地下』に逃れましたか。
     ――――しかし、規定に」

    ≪『太田垣』選手、『地下』へ逃れましたッ!
      ルールによると『地下』はリングアウトとなりますが、

      『ザ・サードマン』は単純な『反転』とは別に、『亜空間』を形成した上で、
      『どんでん返し』を作り出せます! グレーではありますが、合法です!≫


『地下はリングアウト』、『慧観』の指摘よりも早く、『森田』の解説が唸る。
二つの『どんでん返し』の詳細こそ明かされてしまったが、
『どんでん返し』の種別を問わずに『地下』を利用出来るのは、『ザ・サードマン』にとって大きい。


         ギィィ――――

                               バタムッ


        ≪現れましたッ! 満を持して、『ザ・サードマン』の登場です!
          あの『灼熱地獄』から二分弱、長い奮闘でしたが遂に戦場へ復帰しましたッ!≫


        「不思議、ですな。
         何を賭けているわけでも、何に縋っているわけでもない。

         『太田垣良』、その軽薄さの『裏』には、何を隠していますかな?」


戦力に勝るヴィジョンを前に、『慧観』は問い掛けを呟きながら、


                        ガバァ


一歩下がり、傍に置かれた『冷蔵庫』の扉を開ける。

133太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:19:19
>>132
 [ どうしました住職 ]
 [―――――――そこには誰もいませんよ?]

   (よっしゃカッコイイ事言えた)



  [賢いアンタなら、俺の場所はだいたい分かるとおもうッス]
  [対応してみるスか? ]
  

 [でも]
  
[いま、おれのスタンドを無視して扉を開けたッ つまり『隙』なんだよなア―っ!]

 [貰うぜッ
   それともトンチで切り抜けるかァ――ッ!?あ!?]
  


『ザ・サードマン』で『タックル』(パス精CBA) 
打撃を与える、あわよくば冷蔵庫に慧観をブチ込む。

…ただし『錫杖』が発現された場合は、タックル中止で西に回り込む。
尾藤の二の舞はごめんだ。

134『六道辻』:2021/04/30(金) 19:19:51
>>133
           ドヒュッ!


そのスピードを生かし、『ザ・サードマン』は『慧観』目掛けてタックルを仕掛ける。
距離を取っていたこともあり、『慧観』はすぐさま『錫杖』を発現し、


                   ギュバッ!
                                ダダダッ――-


それに対し、すぐさまタックルの軌道を変化させ、西へと抜ける『ザ・サードマン』。
『ザ・サードマン』の身体制御力によるものだ。


       「さて、『屏風の虎』を追い出す方法は思いつきませんが――――」


『慧観』は発現した『錫杖』を片手で持ち、その先端を天へと掲げる。

∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴■品品品□□□□□■∴∴
∴■□品箱慧□サ□箱□□■∴
∴■□品★品□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□□□□□□□□□■∴
∴■□□箱□□□□箱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴

品:ヒビ割れた『コンクリート床』
★:潜伏中の『太田垣』。

135太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:20:08
>>134
[むゥ]
なにやら『面妖』。

[自分の知ってるロボットアニメでは、
    そのポーズで空から稲妻が降ってきたッスね]

 [ まぁーた不思議な事を起こす気ッスか? ]
  […もしかして『念仏』?]
 
まあ良い。殴って前後不覚にしてしまえばいいんだ。白岡のコンサートは中断に追い込んでやる。
それに観客は血をお望みだ。


…もう一度突撃!
片手で上側をガードしながら、今度はパンチだ。狙いは頭。(パス精CBA)

獣のごときスピードの『ザ・サードマン』に、それとも対応してみせるのか?

136『六道辻』:2021/04/30(金) 19:20:40
>>135
           バビュッ


『ザ・サードマン』の鉄拳、それが『慧観』の顔面目掛けて放たれる。
それに対し、『慧観』はガードを構えることはなく、


                   ガギッ!
                             ――――ボグァ!!


『慧観』は『コンクリートパネル』の隙間に錫杖を突き立て、
それを支えにするように『ザ・サードマン』の拳をマトモに喰らう。


         ≪入ったァァァ―――――ッッ!!

           『ザ・サードマン』の一撃、『慧観』選手の膝を付かせるゥゥ――――≫


         「ぅ、
                 ぐぁ ぁ . . .」


吹っ飛んでいない。冷蔵庫を背にし、錫杖を支えにしたからだ。
つまり、『衝撃』の逃げ場が存在しない。『ザ・サードマン』の正確さも功を奏した。


               ブバッ

                           ブシュゥゥゥゥ――――!!!!


         ≪こ、これはァァ――――!?

           『スモークマシン』です! 何故ここで!?
           ああっと、多量だッ! 五里霧中、どうなっているんだァァ―――ッッ!!≫


コンクリートを潰すだけの『圧力』、これは『スモークマシン』にも掛けられていた。
封入されていた『ドライアイス』は熱によって溶け、『錫杖』での一撃で誤作動を起こす。
噴出した煙は場内を満たし、『ザ・サードマン』の視界さえ封じていく。


                 ムワァァァァ――――

                           ゴホッ
                                   ゴボボボボ


それは地下に『反転』によって隠れる『太田垣』も同じだ。
急速に充満する『二酸化炭素』により、『呼吸』を封じられていく。

137太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:21:00
>>136
なんだ?煙…
 「ん ぐっ」
  
   「〜〜〜〜〜〜〜っ!」


これ、『煙幕』!このままでは不利と見て、状況を仕切り直す気かよ!
疲労困憊の俺と、慧観、どちらが長く息が続く…あちらだ。


 「(クソ、思惑に乗るしかねえ)」
 「(『サードマン』来い! …分かるだろ、どんでん返しの場所!)」


★の東横に移動させる。

そしてさっきの(>>272)要領だ。
太田垣の『反転』を解除、近くにもう一個どんでん返し設置で穴を広げ、
本体を地上に出したい。

終わったら、床に仕掛けた平面は解除。床は完全フリーの状態にしよう。



「(慧観とて、前が見えないはず)」
「(むこうが仕掛けてこないなら、
  …床に『縦2m×横1m』『南東に回転し続ける』『反転どんでん返し』2枚。)」


住職の方向を、あおぐ(スB)。無いよかマシだろ。演出としても派手だし…

138『六道辻』:2021/04/30(金) 19:21:43
>>137
               ブシュゥゥ―――― ―― ―


       「クッソ、見えねぇぞこれッ!」


              「いつになったら試合見られンだよォ!」


       ≪そ、それは私にも解りませんッ!≫


互いの姿が朧気になるほどの『煙幕』、
息苦しさを覚えた『太田垣』は『どんでん返し』を解除する。



            グルルっ
                       ――――ガツッ


              『戻 ら な い』



>戦力に勝るヴィジョンを前に、『慧観』は問い掛けを呟きながら、


>                        ガバァ


>一歩下がり、傍に置かれた『冷蔵庫』の扉を開ける。

『扉』だ。開かれたままの冷蔵庫の扉が邪魔をしている。
『冷蔵庫』の重みが『反転』を邪魔し、『太田垣』は復帰出来ない――――


            「一箇所だけ、真新しかったですな。
             ――――『床』が一箇所だけ、『亀裂』が入っていなかった。

            そう、『裏返った』場所が、見えておりましたよ」


『慧観』は『屏風の虎』を追い出すことは出来ない。
だが、『屏風の虎』を『閉じ込める』ことは出来るのだ。
――――このままでは、『息』が続かないッ


                     ガシュッ


何とか『サードマン』を目的地へ回り込ませた最中、
『太田垣』はフィードバックによって何かを『踏みつけた』ことを知る。
……金属音。これは、『眼鏡』だ。『慧観』の眼鏡が落ちている。
素拳による顔面への一撃、確かに『眼鏡』を弾き飛ばしたのだ。


                              シャランッ


『ザ・サードマン』を通じ、『金輪』の擦れる音が響く。

139太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:22:20
>>138
……
 「 うはぁぁ  〜〜〜〜 〜ッ…」




「…流石ッスよ。…アンタやっぱすっげ頭回るわ」
[ホントに『僧職』ッスか…息子さんと同じで、若い頃は喧嘩に明け暮れてたんじゃねえの…?]


 
…息が止まるまで…あと20秒は持たないかね。


 [演出不足ですまないッスね…でも]


 [ 勝負をここで『詰める』 ]
 [ 構えろ カッコ良くいこうぜっ ]
 


   スタンドで、音の方に本日3度目のダッシュ(スB)!慧観の姿を確認したいッ


同時に、前方向へ『ボールペン』を投擲!
当たるたぁ思わないけど、この煙の中、床に落ちて物音くらいは立てるだろう。

『五里霧中』『眼鏡なし』『物音』、それらすべてが隙を作らせるッ!

140『六道辻』:2021/04/30(金) 19:22:46
>>139
>「…流石ッスよ。…アンタやっぱすっげ頭回るわ」
>[ホントに『僧職』ッスか…息子さんと同じで、
>若い頃は喧嘩に明け暮れてたんじゃねえの…?]

『太田垣』にとって、この言葉は『軽口』だったのだろうか。
それとも、熱戦の末に肌身に覚える『感銘』だったのだろうか。


           「――――気付かれましたか」


スタンド会話ではない、生身の言葉。
その独白は金輪の擦れる『金属音』以上に、その位置を詳細に告げる。


                    ドシャッ!


薄まる『煙幕』の中、錫杖の先端が『ザ・サードマン』目掛けて放たれる。
投擲した『ボールペン』は錫杖とすれ違って『何か』に命中するも、軽い衝撃を与えるだけだ。
『隙』など生まれるはずがない。――――だが、先ほどの『音』、そして今の『声』。
位置を知ってからの『突き』に対し、『ザ・サードマン』は駆ける両足を止める余裕が生まれる。
僅かな『一瞬』、小さな『偶然』が作り出した『好機』。――――ここで仕掛けなければ、『負ける』。

141太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:23:14
>>140
足に力を入れる――――
後ろに飛び退く。『バックステップ』だ。『200㎝』後ろに。


┌───────────────┐
│勝とう、という気概はあんまない。  │
└───────────────┘


慧観と距離をとると同時に、地面を蹴った足で『反転どんでん返し』をセット。
『慧観を巻き込む』『サードマンから見て仰角300度』『400㎝×100㎝』『粘着あり』。

『突く』動きの慧観は、既に前へと踏み込んでいる。
…横に回避なぞできまい。そのまま持ち上げられ、『どんでん返し』に乗ってこちらにやってくる!(パスCB)


┌────────────────――───―┐
│まったくもって、罪深いのは知っている。俺はアホだ   |
└──────────‐─┐               └――――
                     |『六道辻』だ。ほんとどうしようもない。|
                    ───────────────┘




     「『再び』だ、龍に足をすくわれな」  


  そして、『ザ・サードマン』は構えよう。『上に飛ぶ』『アッパーカット』の構え…つまるところの『昇龍拳』
  『どんでん返し』(パスCB)に運ばれ、向かい来る、または暴れて落ちてくる慧観に、
  『ザ・サードマン』のパンチ(パスCB)で、挟撃…

  普通のケンカでは見たことない、俺の『どんでん返し』だからできる技。

  
 
     「『どんでん返し』 ―――――――――――『迎え龍』」




   ┌─────┐
   │昂ぶる…   |                               │
   └─────┘

142『六道辻』:2021/04/30(金) 19:24:14
>>141
         ガ
                     ヒュォッ――――


                 ガスッ
                            ボッ!

そのスピードを生かし、『ザ・サードマン』はバックステップで距離を取る。
突きのスピードを上回る『バックステップ』だが、先手を取ったのは『慧観』だ。
『二発』。『胸部』と『腹部』、錫杖の突きによる浅い衝撃を受ける。
通常であれば大したダメージではない。――――が、『呼吸困難』の『太田垣』にとって、


               ガホッ
                         ゴホッ!


『肺』の空気を絞り出され、無理矢理にも『二酸化炭素』を吸い込まされる。
最早、『二十秒』という猶予もない。すぐにでも『呼吸』をしなければ意識を失う。

 ≪ああッ!  今ッ!
   会場の様子が見えましたッ!
   ――――ど、どうした『慧観』選手ッ!?≫

                            _/
                           /
                      グゥゥ・
           グッ

          ≪あれが、『ザ・サードマン』の能力ッ!
            『どんでん返し』、床が一瞬にして『ベタ踏み坂』になりましたァッ!≫

『煙幕』は散って消え、――――『顎門』は開かれる。
跳ね橋のように持ち上げられた『床板』はその舌先に『慧観』を載せ、天へと掲げる。
『どんでん返し』の『粘着性』に足を取られ、『慧観』も咄嗟に逃げるは敵わない。
しかし、『どんでん返し』の末端が『床下』の『基礎』にぶつかり、『慧観』は1.5mの上昇に終わる。
その傾斜は『36度』。一本の「『錫杖』を支えに立つ『慧観』だが、『脳』へのダメージもある。足元はふらついている。


          「ぬ、ぉぉ!」

            「なんというパワー、人一人を容易く持ち上げるッ!
             唯、『逃げる』だけの力にあらずか、――――どう、する?」


散った『煙幕』の中、『ザ・サードマン』は『冷蔵庫』に視線を向ける。
開いたままの『扉』が『どんでん返し』の上に重なっている。
あれが『反転』を阻害しているのだ。『二酸化炭素』は空気よりも重い。
慧観を載せた『どんでん返し』の隙間から、『二酸化炭素』が逃げるのは期待出来ないだろう。


∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |  品:ヒビ割れた『コンクリート床』
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |  ★:潜伏中の『太田垣』。
∴∴■品品品□□□□□■∴∴  |  ∬:『1m×4m』の『どんでん返し』、『上昇』。
∴■□品箱品□□□箱□□■∴  |  ∫:『1m×4m』の『どんでん返し』、『下降』。
∴■□品★慧□□□□□□■∴  | ┌────────────────────┐
∴■□□□∬□□□□□□■∴  | │           ○ .┃               │
∴■□□□サ□□□□□□■∴  | │           / ̄┃               │
∴■□□□∫□□□□□□■∴  | │        、/>  ┃               │
∴■□□箱∫□□□箱□□■∴  | │        ゞ==_┃          ○   ..│
∴∴■□□□□□□□□■∴∴  | │             ゞ==zz、      ̄/\   ..│
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  | │____               ゞ==zz、/ >   ......│
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  | └────────────────────┘

143『六道辻』:2021/04/30(金) 19:24:32
>>142
なんだろう。鼓動が高まる。
体にだんだん、浮いた感覚。
熱いような、冷えたような感覚。

そうか、これが


   昂ぶり――――――


 「(じゃ無ええええええ!!)」
 「(これ『酸素不足』じゃんよ!!!)」

 「(やべえやべえやべえッス)」「(しぬしぬしぬッスやべえッス)」


変なモノローグ付けてる場合じゃねえ!
慌てながら『サードマン』で、まっすぐ冷蔵庫の扉を閉めにいく(スB)!


住職が何か動こうとしたら、下の『どんでん返し』を解除してやろう。
地面が動いている状況でまともなアクションをとるのは、判っていても難しい。


「(負ける前に退避、対処、が太田垣流ッス。気絶したら自分負けるッス)」
「(住職がびっくりしてる間にはやくはやくッ)」

144太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:24:53
>>143
     「太田垣さん、お気張りやすぅ!
     はよう勝って座布団舞わしたりぃ!」


                ド  バンッ!

                    ――――ギャルンッ


命の危機を前に、『ザ・サードマン』は激励を背にして全速力で駆ける。
その勢いのまま、蹴手繰りのように『冷蔵庫』を蹴り飛ばし、
扉を閉めると『どんでん返し』がひっくり返り、『太田垣』は白煙と共に脱出する。
『酸素』の不足は明らかだ。脳裏に霞が掛かり、曖昧な意識で『戦場』を観る。


        「『厚雲地獄』から脱されましたかッ!」


        ≪『太田垣』選手、『白煙』と共にド派手な登場ですッ!
          『慧観』選手の動きを留めた今、
          彼にとっては『モズのはやにえ』といったところなのでしょうか!?≫


『太田垣』の頭上から『慧観』の鶴声が響く。
『体力』と『呼吸』を奪われ、『太田垣』の両脚は覚束ない。
それはスタンドの『精度』にも影響する。『ザ・サードマン』の制御が留まらない……。
(精密動作性:A → 精密動作性:Bへの低下)


                ガッ

                          ギュ
     「ここで仕留めるッ!」
                          オ/
                           ・

『どんでん返し』から飛び降りた『慧観』は、
錫杖の石突を這いつくばった『太田垣』目掛けて振り下ろす。

『四つん這い』になった『太田垣』は、咄嗟に逃げるのは敵わない。
そして、当然ながら『厚雲』の立ち込める『地下』へ逃げるのも敵わない。
――――質量の伴った『落下』は、『ザ・サードマン』で受け止めるには『骨が折れる』。
負傷覚悟で防御に徹するか、――――あるいは何か『トリック』を使うか、だ。


∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |  品:ヒビ割れた『コンクリート床』
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |  ∬:『1m×4m』の『どんでん返し』、『上昇』。
∴∴■品品品□□□□□■∴∴  |  ∫:『1m×4m』の『どんでん返し』、『下降』。
∴■□品箱品□□□箱□□■∴  |
∴■□品太慧□□□□□□■∴  |
∴■□□サ∬□□□□□□■∴  |
∴■□□□∬□□□□□□■∴  |
∴■□□□∫□□□□□□■∴  |
∴■□□箱∫□□□箱□□■∴  |
∴∴■□□□□□□□□■∴∴  |
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |

145太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:25:10
>>144
  「深呼吸する暇もないんスかッ」
  
錫杖を!受けるかッ?
  
危険な賭けだ…ヘタこけば意識を手放すことになってしまう。
『プロレス』と違って、これは(向うにとってはだが)『敵意ある攻撃』なのだし…




  「…無論、『トリック』、…スッ!」




『ザ・サードマン』で、足元から設置。
『1m×2m』『慧観から見て反時計周り』『太田垣、冷蔵庫を巻き込む』『反転』『粘着つき』

 

     「…どんでん…返し」 「  『ハンマー』  」


            [冷蔵庫の鎚に殴られなよなァ――――ッ!!]

…速度が間に合わず、慧観が太田垣の懐に入ってしまっても…それはそれで『良し』。
攻撃は受けるだろうが、そのあと背面を冷蔵庫に抑えられた慧観をタコればいいし…

146『六道辻』:2021/04/30(金) 19:25:40
>>145
     ≪ああっと、『慧観』選手ッ!
       頭上からの強襲だァァ――――ッッ!!≫


地べたに伏せたままの『太田垣』目掛け、『慧観』が襲い掛かる。
石突の先端が迫る中、『ザ・サードマン』は瓦割りのように、地面へ拳打を加える。


         「ぬおおおおッッ!!」


           ガ
             コォ.      /
                \_ .・
                              ゴガッ!!


         ≪決まったァァァ――――ッッ!!
           まさしく『鬼手』、攻防を両取った一撃ィィ――――ッッ!!≫


大質量の『冷蔵庫』が倒れ込み、さながら力士の『ぶちかまし』に等しい。
中空でマトモに喰らった『慧観』は『太田垣』と『ザ・サードマン』の頭上を越え、
コンクリートの地面を転がると南西側の冷蔵庫へとぶつかる。
瞬間的に発現し、自在に動かせる『どんでん返し』とはいえ、
『末端』のパワーを最も伝えやすい『空中』に標的がいなければ、
ここまでキレイには決まらなかっただろう。まさに『千載一遇』のチャンスだった。


         ざわざわ・・・
                            ざわざわ・・・


     「うおおおおお、『太田垣』ィィ―――!!」


            「早くぶっ潰せェェ――――ッッ」


     「ナメてんじゃねェぞ『慧観』!!」

              「いいぞ――――――――ッ
               慧観―――――――――― ッ!」

      「太田垣も!
       このままで終わるなァ―――――――ッ!」


       「見やがれ『慧観』、
        これがアリーナの底力だっつうの!」

         「いいぞォ、『太田垣』ィィ―――!!
          どんどん攻めろォォ!!  踏み潰せェェ――!!」


『太田垣』への声援、『慧観』への罵倒。
ここまでの『慧観』の所業が裏返る。泥を塗られた『期待』は『反感』へ変わる。
『慧観』は『冷蔵庫』を背にして立ち上がろうとするも、剃髪した頭部は濃紫に鬱血している。
クリーンヒットだ。最早、長くはないだろう……。


      「早合点、見誤ったか……」

           「お強い、……ですな。
            手をこまねいていた貴方が、
            今は、もう『奇計』を打つ程に『成長』している」

      「『闘争』とは、ここまで人を強くするのか――――」

147太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:26:05
>>146
「誉め言葉サンキュっスね」
「サンキュです…」


 …


「ちょっと、あの…その…
 言いにくいんでスけど…
『アンタ、何を求めてる』?」



「僧ってのは、もっとこう、説教とかする感じで
 破ァッ!てするのは幽霊退治のときくらいで、でも、だから」



「 『慧観住職』じゃない。『白岡知空』のおやじさん。 」
「 あなたは…欲しているんですか 」

「 意味理由とか、仇とか、黒い心のやり場とか、罰か、なにか具体的な物とか、そういうのを」


  「…なんか、その、話とか」
  「……聞かせてくれ…ますか」
  


 「観客の声がうるさいうちに…」
 「いまなら僕しか聞こえないッス…たぶん」


とりあえずカッコイイ構えをしておいて、
観客には『早撃ち勝負の前の静寂』っぽく見えるよう振る舞っておく。

148『六道辻』:2021/04/30(金) 19:26:36
>>147
「人は、『説法』では何も変わりますまい。
 それは、『知空』の一件で痛感した次第……」


         「私が求めるのは『救済』。
          このドス黒い、『暴力』と『衝動』に汚れたアリーナ、
          一切を『浄化』することが、私の務め――――」


   「そうでなければ、逝った『知空』が浮かばれぬ」


『冷蔵庫』を支えにヨロヨロと立ち上がり、
先刻と変わらぬ苦痛に歪めた表情のまま、『慧観』は語り続ける。
『錫杖』を解除し、『冷蔵庫』を背もたれにしたまま、言葉は続けられる。


   「何故、興味を持ったのですか?
    もう、この身にトドメを刺すのみでしょう」

          「『後味』が、悪いのですかな?
           『理由』を、悲痛な『過去』を背負った敵を、
           語らせずに倒すのは、心が痛みますかな……?」


転がった時に傷口が開いたか、『慧観』の瞼下から血が滲む。
赤黒い液体は傷口に溜まり、やがて一筋の滴道を描いて、垂れ落ちる。


   ≪――――とォ、ここで互いに見合っているゥゥ!!
     呼吸を整え、確実な『トドメ』を刺す気でしょうかァァ!?≫


          ≪やっちまえェェ、『太田垣』ィィ!!≫


   ≪ファイターをナメた『生臭坊主』に『説法パンチ』だっつうの!≫

149【     “         ”】:2021/04/30(金) 19:27:27
      ザァァァァ―――

                      ザァァァァ―――――z_______


大粒の雨が瓦屋根を穿っては潰れ、ひしゃげるような水音が響いた。
非難めいて聞こえた。己の愚行を責める、決して止まぬ罵言に思えた。

    「まだ十七歳でしょう?」          「どんな気持ちでしょうね。
                             ……息子さんの為に

                             見てられませんよ、こんなの」

    「住職から言い出しのですよ。
     私では、とても止められませんよ」    「……ご立派でいらっしゃる。
                               最後まで務めを果たされて――」

    「『喧嘩』でしょう、暴走族同士の殴り合いに巻き込まれて――――」

    「『保護観察処分』ですって、……イヤね」

    「――――少年法なんて、悪党を守るだけですよ……。
     良い子だったよ。アタシみたいなバアさんにも、元気に挨拶してくれて」

    「重いジャガイモ、いつも文句言わずに、持ってきてくれたね……」

    「いや、よねぇ。もう、信じられないわ……。
     なんで、あの子が、『知空』君が、逝っちゃうなんて――――」

何でも良かった。好きに暴れて、粋がって、『悪』になれればサイコーだった。
『白岡観太』はサイコーの悪友だった『小山知空』とチームを組んで喧嘩に明け暮れ、
対立する暴走族とのタイマンがエスカレートし、――――遂には呆気無く死に別れた。


                   スゥゥ...


針のむしろだった。豪雨のように強く、鋭く、冷たい視線に囲まれた。
『付き合わせていた』と気付いてしまった。『悪道』に引きずり込んだと、理解してしまった。


      「(ゴメン、ゴメンな……。
       『チカ』、すまねぇ、――――痛かったよな、キツかったよな)」

         「(『チカ』の親父さんも、すまねぇ、こんなの、辛いよな。

           俺が、俺が死ねば良かった。施設上がりの俺が、
           こんな、みんなに好かれてた、『チカ』よりも、
           バカな俺と、最後までバカやって付き合ってくれた、『チカ』より、
           ――――俺が、俺が死んじまいてェ、

                        ――――ゴメン、ゴメンな……。)」

涙は流せなかった。降りしきる雨が、罪深い自分の代わりに泣いてくれるようだった。

150太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:28:05
>>148
「…」
「自分、ファイターに名を連ねてるワケは」

「『…とあるアホチンの『支払い額』が足りねえから、偶然隣にいる君、ファイターなって稼いでね』
  …って関係者にブチ込まれたから、なんですよ」

「思い入れは無いです…ですので浄化でも何でもどうぞ。白岡さんの気持ちは分かる」
「なんなら手伝うッスよ、アリーナ潰し。」




 慧観の方へ、ゆっくり歩む。


   
 「好奇心…」
 「あなたの事情の、その決意の『裏』」
 「不思議と知りたいんだ、教えてください…」

     
 「とりあえず……『知空』さんの、『死に様』…」

  「『スタンド使い』がそう簡単に死ぬ…ですかね?
   …だれかが『知空』の死を望んでいた、というシナリオだってあるかも…」
  「アリーナの人か、謎の人物か、はたまた本人か…」
  
 「『映像』とか持って無いです…?彼の試合の…遺族なんでしょう?」  





アリーナという『裏の世界』は『もう十分見た』。
そしてこの『白岡慧観』の状況。なんだか不思議な事になっている。

 知りたい、知りたい―――――知りたい。

  【太田垣良 スタンドを求めた理由 : 裏の世界が見たい】



…歩む。

151『六道辻』:2021/04/30(金) 19:28:45
>>150
己が『好奇心』、物事の『裏』に潜む『影』への尽きない興味。
『太田垣良』は湧き上がる『感情』に従い、『慧観』へと歩み寄る。


     「……そうですか。
      未知に惹かれ、自ら足を踏み入れるか」


           ボ

                      ォッ!!


            「――――『無明』が過ぎるぞ、『太田垣』ィ!」


『太田垣』は歩み寄る足を止めた。
無意識の判断だったが、それは間違いなく『正解』だった。


       ゴ

          ゴ
                   ≪『窮地』と見えました、見えたはずでした……!≫
   ゴ                                                ゴ
                   ≪し、しかし、あ、あれは――――≫       
                                                       ゴ
                                               ゴ


      「最早、微塵の『情け』も無用。
       『熱』、『煙』、そんな『枝葉』で止まらぬようなら」


                 「――――『業火』で貴様を滅ぼしてくれるわッ!」

轟音が響き渡り、『慧観』の『足場』が抉るように破壊される。
陥没によって生まれた『大穴』、『慧観』はそこに『浮遊』している。

『慧観』の身体から現れたのは、三面六腕の『阿修羅像』だ。
左右に『歓喜』と『悲哀』、――――その中央に『憤怒』の激情を宿した姿。           ズ
身の丈は『4m』、天井から下がる『実況席』とは頭が付きそうなほどだ。              ラ
                                                          ァ
                                                          ァ
       「この『怒り』が、『火生三昧』となりてお前達を滅ぼす。                /
        一欠片の慈悲もあらずッ!  積んだ屍と骸の山どもがッ」              ̄|_
                                                              /
                    ヴィジョン
                「この『 奇 形 』は、衆目に晒したくはなかった。
                    己の至らなさの顕現、我が『恥』の象徴、それに過ぎぬからよッ!」


『阿修羅像』は三対の『掌』を合わせ、それらも交わりて一対の『腕』だけを残す。
左右の『貌』は砕け散り、中央に位置する『憤怒』の貌だけが『太田垣』を見下ろす。

その表情は『慧観』と瓜二つだ。
否、『慧観』の表情こそが『修羅』の映し身なのだ。
――――流される『血涙』、変貌する『仏面』、己をも焼き焦がす『激情』が双眸に現れる。



∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |  品:ヒビ割れた『コンクリート床』
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |  ∬:『1m×4m』の『どんでん返し』、『上昇』。
∴∴■品品品□□□□□■∴∴  |  ∫:『1m×4m』の『どんでん返し』、『下降』。
∴■□品箱品□□□箱□□■∴  |  穴:床下まで貫通した『穴』
∴■□品品品□□□□□□■∴  |  ?:『幻像』。『4m』の一面二腕の『人型』。
∴■□□太∬□□□□□□■∴  |
∴■□穴穴∬□□□□□□■∴  |
∴■□穴?∫□□□□□□■∴  |
∴■□穴慧∫□□□箱□□■∴  |
∴∴■穴穴穴□□□□□■∴∴  |
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |

152太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:29:49
>>151
「……それッスよ」
凄まじい姿だ。試合の前に見た、穏やかな姿からは想像できなかった。
悪も、果ては自分自身さえも灰塵と化そうとしているのか。



 「…そうそれだ、それですよ!」
 「怒れ!悲しめ!そして曝け出してくださいよ!」


  「『垣間見たぞ』、慧観ンンゥ―――――ッ!!!」



 床にある平面は全て解除。

そして、…深呼吸。ここからは息もつかせぬ怒涛の展開になるだろう。落ち着け自分。肺に酸素を取り戻す。
あわよくば、『精密性の回復』に繋がるかも。




 「…良し」

ステージ中央付近への移動を開始する。東へと走ろう。

 「もっと真ん中の方で、観客にも見てもらいましょうぜ、『俺達』の姿」

153『六道辻』:2021/04/30(金) 19:30:12
>>152
「……それッスよ」

 「…そうそれだ、それですよ!」
 「怒れ!悲しめ!そして曝け出してくださいよ!」


  「『垣間見たぞ』、慧観ンンゥ―――――ッ!!!」


   ≪遂に、遂にその姿を現しました――――ッッ!!

     『エンプティ・エステート』、その真骨頂が明らかになりましたッ!!≫


肺に酸素を取り戻そうとするが、そう容易くは『意識』の回復に繋がらない。
少なくとも、この試合の間はこの『混濁』は続きそうだ……。


        「RUAAAAAAAAA!!!!!」


    ボ         ステージ中央へ逃げるように、『太田垣』は『東』へと駆ける。
                 それに遅れるように、『エンプティ・エステート』は巨躯を乗り出し、
       ボ      『太田垣』の元居た場所へ、組んだ正拳を振り落とす。

    ボ         元々、亀裂が刻まれていたのも災いした。
               その拳は『太田垣』の影を叩くように『床板』を粉砕し、
      ボ       産まれた衝撃は『冷蔵庫』を横倒しにし、周囲の足場さえ砕く。
       ォ/       まさに『天災』、神仏の怒りとさえ形容出来る一撃だ。
        ・


      「『太田垣』ィィ...

       作為の『死』だと、何度も疑ったわ……!
       今も変わらぬ、ならば尚の事ッ  この怒りを知れェェェ――――ッ!」

      「舞台の裏側は、人の『生き死に』の賭かった『鉄火場』よッ!
       その覆いを捲る『覚悟』と『強さ』を以って、拙僧を倒してみせろッ!」

絞り出すような『怒号』が場を震わせ、その眼力は『太田垣』を真っ直ぐに射抜く。
『憤怒』を擬人化したような『巨人』、大樽ほどもある『側頭部』に深い亀裂が産まれている。
あれは『慧観』の負った傷、『鬱血』のフィードバックだ。


∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |
∴∴■品箱品□□□□□■∴∴  |  品:ヒビ割れた『コンクリート床』
∴■□品箱品□□□箱□□■∴  |  穴:床下まで貫通した『穴』
∴■□穴穴穴□□□□□□■∴  |  ?:『幻像』。『4m』の一面二腕の『人型』。
∴■□穴穴穴太□□□□□■∴  |
∴■□穴?□□□□□□□■∴  |
∴■□穴穴□□□□□□□■∴  |
∴■□穴慧□□□□箱□□■∴  |
∴∴■穴穴穴□□□□□■∴∴  |
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |

154『六道辻』:2021/04/30(金) 19:30:30
298 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[] 投稿日:2015/10/07(水) 23:21:15
質問です。

・床下空間の深さは『1.5m』と見てよいでしょうか?

・足元、その周辺に『1.5m×1m』のどんでん返しを作ることは可能そう?
 ひび割れとか穴あきの影響があり難しい感じでしょうか?

299 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/10/07(水) 23:29:23
>>298
>・床下空間の深さは『1.5m』と見てよいでしょうか?
その通りです。

>・足元、その周辺に『1.5m×1m』のどんでん返しを作ることは可能そう?
> ひび割れとか穴あきの影響があり難しい感じでしょうか?
基本的に『□』の部分であれば、可能と判断します。

155太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:30:49
>>154
巨大なスタンドに打ち勝て。
スピードと、僅かな器用さ、…『どんでん返し』。
その『三つ』が『ザ・サードマン』の武器だ。 

「…」





【 粘着付き、反転どんでん返し設置、サードマンの足元に『1.5m×1m』! 】
【 回転方向:『エンプティ・ステート』に向かって回転し続けろ。     】
  
平面がグルグルと回りだし、『ザ・サードマン』はグルグルする。
そして、地面に対して平面が『45°』になった瞬間、
『サードマン』は粘着を振り切って前に飛び上がり(パスBB)…

 その瞬間、平面が持つ回転エネルギー(パスBB)が、『ザ・サードマン』を吹っ飛ばす。これが原理。

 放物線を描いて、サードマンは敵の頭のところまで飛ぶんだ…。



   「はじめて作った…アリーナに来る前に使った…初試合でも仕掛けたっけ…」
   「…さいしょの必殺技だ…」


   「……『どんでん返し』」「……『カタパルト』」



本体は、『エンプティ・ステート』に向かって無謀にも走りだしておく。サードマンの射程距離を保たねば。

 「ブっ飛んで行って、弱点を強く打つ…」
 「『デカブツ』の倒し方ッスよ、作劇の王道パターン…」

156【     “         ”】:2021/04/30(金) 19:31:21
「――――もう、良いでしょう」

日中、人気の有る時に『玉泉寺』へ訪れるのは憚られた。
日が昇ると共に『白岡観太』は『小山知空』の墓前へ向かい、
何をするわけでもなく、『懺悔』と『後悔』を念じるように拝み続けた。
一月、二月、三月が過ぎ、痩せ衰えた背中に夏日の生んだ影が掛かった。

「……もう、止めなさい。
 止めなさい、『観太』さん。――――止めて下さい」

柔らかくも厳かな声色だった。
――――それがキッカケだった。

「解らないんです、どうしたらいいか、わからないんです。
 離れていった、……消えていったはずの『チカ』が、
 昨日よりも、あの日よりも、ずっと大きくなって、強くなって、――――『死なない』んです」


     「……和尚さん、どうすりゃぁ、ぃ いんで っ か?
        お、おれ、何を、―――何をヤメれば、い、……ぃぃっ で すか?」


『小山慧空』は何も言わず、何も答えず、そっとその肩に掌を置いた。
『後悔』、『友愛』、『懺悔』、あらゆる感情が『慟哭』となり、山門に木霊した。

           ・

           ・

           ・

――――翌日からも、『白岡観太』は人目を気にしつつ、『玉泉寺』に足を運ぶようになった。
最初は住職と僅かな言葉を交わし、墓参りのついでに石段の掃除をするだけだった。
やがて、手の足りなくなった住職が何かと手伝いを持ちかけ、その度に頷いては黙々と仕事に励んだ。
最初は眉を潜めていた親族や檀家は何かと苦言を呈するようになったが、
『観太』の頑張りに絆されるように何も言わなくなり、やがては目を掛けるようになっていった。

十年経ち、僧侶となる為の修行を終えた『観太』は正式に『玉泉寺』の後継者となった。
その『法名』は自身の本名と『慧空』住職から一字ずつ取り、『慧観』と名付けられた。
――――彼は名に恥じぬ功徳を積み、周囲に慕われる若僧となっていた。

彼の妹が結婚し、第一児を出産した時、その徳にあやかろうと妹夫婦から『名付け』を求められた。
彼は迷うことなく、毛筆を振るってその名を認めた。


                  『   知    空   』


事情を知らぬ二人は無邪気に喜び、無垢な赤子にその名を与えた。
『小山慧空』はその話を小耳に挟むと、諦めたように儚く微笑んだ。
その老僧が『脳溢血』によって遷化する半年前のことだった。

157『六道辻』:2021/04/30(金) 19:31:48
>>156
        ギュンッ! 


  ≪こ、ここでッ!! 回転しています、『ザ・サードマン』の大回転ですッ!
    し、しかしッ! 『巨漢』を、否ッ! 『巨人』を前に、あまりにも『微力』ッ!≫


          ギュンギュンギュンギュン―――――


        ーz、l/         『回転』を始める『ザ・サードマン』に対し、
          ノ              『エンプティ・エステート』の無情なる『張り手』が襲う。
             ワ         その一撃は『遠心力』を溜めるよりも早く、
              ァ/     .床板ごと『ザ・サードマン』を叩き潰すッ!
              ・

                   ガッ  ボォォォ―――――ンンンッ!!!


     「己の『無謀』を、『無力』を、『無明』を知れッ!

      お前の能力はあまりにも、『薄っぺら』過ぎるッ!」


本体の追走で射程距離を稼ぐ前に、『ザ・サードマン』は『太田垣』と共に上空へと放り出される。
全身を『稲妻』のような衝撃が襲う。床板に守られて直撃こそしていないが、まさに『激震』だ。
吹っ飛ばされるその先、――――アクリル板にて作られた『実況席』、その床へと『激突』するッッ!


             「みッ」

       「見せてくれ――――――――ッ!
        太田垣――――――――――――ッ!」


∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |
∴∴■品品品□□□□□■∴∴  |  品:ヒビ割れた『コンクリート床』
∴■□穴穴穴□□□箱□□■∴  |  穴:床下まで貫通した『穴』
∴■□穴穴穴穴□□□□□■∴  |  ?:『幻像』。『4m』の一面二腕の『人型』。
∴■□穴穴穴太□□□□□■∴  |  太:『ザ・サードマン』のDFで吹っ飛ぶ『太田垣』。
∴■□穴穴?穴□□□□□■∴  |    上空『4m』。
∴■□穴穴穴□□□□□□■∴  |
∴■□穴慧穴□□□箱□□■∴  |
∴∴■穴穴穴□□□□□■∴∴  |
∴∴∴■□□□□□□■∴∴∴  |
∴∴∴∴■■□□■■∴∴∴∴  |

158太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:35:11
>>157
「が  っはぁ」

巨大、超パワー、スピード、能力…ちょっと強すぎやしないかッ
これが慧観の精神性!スタンドパワーどんだけ消費してるんだアイツ!

ひとってこんなに怒れるものなのか?なぜ自分すら焼き尽くそうとする?それほどの罪の意識か?


「とりあえず見せるも何も」
「まずはッ」
 
 「実況と解説のひと、ごめんッスッ」



素直に実況席床に激突、降り立とう。受け身は取る。
実況解説のふたりには我慢していただく。
というか、アクリル床に反転どんでん返しを設置しないことに感謝したまえ。

アクリルの床が頑丈なことを祈ろう。

159『六道辻』:2021/04/30(金) 19:35:30
>>158
『太田垣』は『エンプティ・エステート』のパワー、スピードを再確認する。
精度は『ザ・サードマン』とは比べ物にならない。さながら『ド素人』だ。
スピードも人並みだが、―――――やはりその『膂力』は人智を超えている。


                 ド
                       グシャッ!!


         ≪い、今、『太田垣』選手が到着しましたッ!
           もう誰もがこの試合を予想出来ないでいますッ!≫

            ≪おっ、『太田垣』選手!?
              ここまで来たから、ついでに応えて下さい!≫

         ≪――――『勝算』はあるのですか!?
           あの『巨人』は、私が見たどのスタンドよりも『強い』ッッッ!!!≫


空席になっていた『パイプ椅子』の上、『太田垣』はそれを押し潰しながら『着地』する。
この籠に有るのは、『長机』に『パイプ椅子』が二脚、長机の下には『音響機材』が置かれている。
そして、サングラスが特徴的な実況者の『森田』は、大慌てながらも『マイク』を『太田垣』へと向ける。


        「『森田』ァァァ―――――ッッッ!!!

         『十秒』、差し上げましょう。さっさとそこから失せなさいッ!
         もうそこは『安全圏』じゃあない、『戦場』に入ったぞ!」


巨木の如き『豪腕』を振りかざし、『エンプティ・エステート』を背にした『慧観』が吠える。
その巨体であれば『実況席』にも手が届く。――――即ち、『太田垣』を射程に収めている。



∴∴∴∴■■□┃□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□┃□□□■∴∴∴
∴∴■品品品□┃□□□□■∴∴
∴■□穴穴穴□┃□□箱□□■∴
∴■□穴穴穴穴┃□□□□□■∴
━━━━━━━籠━━━━━━━
━━━━━━━籠━━━━━━━
∴■□穴穴?慧┃□□□□□■∴
∴■□穴穴穴□┃□□箱□□■∴
∴∴■穴穴穴□┃□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□┃□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□┃□■■∴∴∴∴

160『六道辻』:2021/04/30(金) 19:35:45
305 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[先日はレスできず申し訳ない] 投稿日:2015/10/11(日) 13:35:32
>>304

・『パイプ椅子』の座面、50cm×50cmを確保できるでしょうか?
・『長机』はどうですか?

・マップの┃、━は、ワイヤーか何かでしょうか?

306 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/10/11(日) 22:51:53
>>305
>・『パイプ椅子』の座面、50cm×50cmを確保できるでしょうか?
>・『長机』はどうですか?
どちらも確保出来ていません。

>・マップの┃、━は、ワイヤーか何かでしょうか?
鉄骨となります。

161太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:36:04
>>160
フ〜〜〜〜〜ッ フゥ〜〜〜ッ
 ノッソリ 

「え」「何?」「『勝算』?」
「ハハハハハワハハハハハ」
 「とりあえず退避して欲しいッス」 「あぶない」


(急いで考えろ4mの巨体パンチの射程ならだいたい3m『エンプティ・ステート』は3m先長机、パイプ椅子、…は足りない床に設置に意味はあるかこちらの射程は5m真下に敵本体カタパルトの設置は向きがだめだ十秒ならいまスグ何かをなんかなんか)

(いや ……結局…みんな大好きなアレか…)  
   
(マイクに向かってェ)




  「観客のみんなァ〜〜〜〜ッ!
   白岡住職ゥ〜〜〜〜〜っ!
   
   スタンドどうしで『対決』って!  ―――どうッスかねェ!」




『ザ・サードマン』、実況席から降り、東南東の鉄骨を走りゆき、デカブツの前まで。
パフォーマンスが落ちた今でも、精密性は『熟練者』クラス(精密B)はある…なんとかなるだろ。
本体…パイプ椅子を拾っておく。籠の南東に移動。


   「Get setッ… (用意…)」




 あっという間の10秒を過ごそう
  …住職が待つというなら自分も待つ。準備はさせてもらうケド。
  『瞬間』を待つ。



(…慧観のノリが悪くて、10秒待ってくれなかった?『サードマン』はデカブツの前まで行けてないだろう。
パイプ椅子を慧観にブン投げて、のちに本体もダイブ。両者大怪我まちがいなし。
慧観とて、パイプ椅子持った太田垣が見えてるはずだ。きっと身の安全のため10秒待つ。
太田垣の性格が『ノリ重視』なことくらい分かってるだろう。)

162『六道辻』:2021/04/30(金) 19:36:38
>>161
>>307

  「観客のみんなァ〜〜〜〜ッ!
   白岡住職ゥ〜〜〜〜〜っ!
   
   スタンドどうしで『対決』って!  ―――どうッスかねェ!」


  ≪おッ……≫


          「おおおおおおおお―――――ッッ!!!」


差し出されたマイク目掛け、『太田垣』は高らかに宣言する。
何処か『軽薄さ』の抜け切れない声色と態度だが、それでも歓声が木霊する。
それほどまでに、観客の誰もが、この『試合』への正当なる『決着』を求めているのだ。


                         「太田垣さん!お気張りやす!」

   「勝てぇ!!太田垣ィッ!!!」

                         「負けるな――――――――ッ!
                             太田垣――――――――――――ッ!」

      「良ォ――ッ、見せてくれ……見せてやれ! 

         ・・・・オメーの、『大どんでん返し』ってやつを!!」


      「太・田・垣!」
                    「太・田・垣ッ!」

『太田垣』は『パイプ椅子』を掴み、『ザ・サードマン』は『鉄骨』を駆ける。
『鉄骨』は『エンプティ・エステート』の頭上を通っており、『弱点』を十分に見下ろせる。
『天井』までの高さは『1.5m』、必然的に『前傾姿勢』になって走る形となる。


                スゥゥ...


『慧観』と『エンプティ・エステート』は共に両掌を合わせる。
――――『合掌』。指同士を挟み合わせ、自然に両掌を膨らませた『蓮華合掌』。


         「この『蓮華』は、貴方への手向け。
          底知れぬ汚泥の如き『修羅道』にて咲いた、
          一輪の『蓮の花』、貴方の『成長』に似合いし花よ――――」


         ≪さぁ、残り五秒。
           四、三、二、一ィ―――――≫


『森田』はワイヤレスマイクを持ち、腹ばいになって鉄骨を渡る。
冷や汗を掻きながらも、トレードマークのサングラスと職業道具の『マイク』は手放さない。

∴∴∴∴■■□┃□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□森□□□■∴∴∴
∴∴■品品品□┃□□□□■∴∴
∴■□穴穴穴□┃□□箱□□■∴
∴■□穴穴穴穴┃□□□□□■∴
━━━━━━━太━━━━━━━
━━━━━━━籠━━━━━━━
∴■□穴穴?慧サ□□□□□■∴
∴■□穴穴穴□┃□□箱□□■∴
∴∴■穴穴穴□┃□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□┃□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□┃□■■∴∴∴∴

163太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:36:58
>>162
手向け…合掌…

「(合掌を起点に能力発動…とか無い…?)」
「(…ハスって天国に咲いてる花だっけ、そういえば。あとは仏像の台座とか)」

…なんか慧観が自分をリスペクトしてくれたのが分かった。
じゃあこっちも、お辞儀して敬意を返そうか…。





  …慧観とて、頭部の弱点が狙われるのは分かっている。
  デカブツ相手(ちからつよい、おおきい)に『ザ・サードマン』(ちからふつう、はやい)… 
  蚊に刺される前に潰す、でしょう。能力か、殴るか。攻撃こそ最大の防御。

  では、蚊は何をするか。…『飛ぶ』、ジャンプだ。
  ただ、カウント終了後すぐ、デカブツに向かい飛ぶ、では予想もされやすいし芸がない…。


           「つまり」


 『相手が能力や拳で攻撃を開始したとおぼしき瞬間』に、『後ろに落ちる』、
  で、『鉄骨のヘリ』を掴む(鉄骨の断面→エ これの右下を掴む)

 …って策がいいぞ。ハラハラドキドキの曲芸。観客も手に汗握ること間違いなし!

 
   「さぁん」
    「にぃ〜〜ぃ」

        「イチ」

            「READYッ (どん)!」

164『六道辻』:2021/04/30(金) 19:38:31
>>163
   「さぁん」                               「美しい」

    「にぃ〜〜ぃ」                        「故に、」

        「イチ」                     「その華は――――」

                「READYッ (どん)!」


                                ――――グシャッ


             「『握り潰し』、散らしてくれるッ!」


『エンプティ・エステート』は『蓮華合掌』を握り潰し、組んだ両拳を天へ掲げる。
もしも、『ザ・サードマン』が真正面から飛び降りていたら、バレーボールのように弾き飛ばされていただろう。
だが、『ザ・サードマン』は読み通りに足を滑らせ、――――落下ッ!


         ヒュォォ―――――

                                 シュバッ!


                 li!|                             オ 
                 |l      |//○////○//|                 ォ
                   ┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳┳   |il|
                   ┻┻┻┻┻┻┻/┻┻┻   1|             オ
                        \/// ● ////     |il| 
                 i|          〉 /|//.〈       |l       オ
                |li!        .//// .|ゝ //.\                  オ
                 i|


飛び上がったのは『ザ・サードマン』だけではない。
『エンプティ・エステート』も両腕を振り上げながら跳躍し、
その両拳は『天井』へと向かっている。――――『激突』は間もなくだ。

  
       ≪両者、地からの離脱ゥ!≫

         ≪果たして、打つ手はあるのか『太田垣』ィィ――――!!≫


∴∴∴∴■■□┃□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□森□□□■∴∴∴
∴∴■品品品□┃□□□□■∴∴
∴■□穴穴穴□┃□□箱□□■∴
∴■□穴穴穴穴┃□□□□□■∴
━━━━━━━太━━━━━━━
━━━━━━━籠━━━━━━━
∴■□穴穴?慧サ□□□□□■∴
∴■□穴穴穴□┃□□箱□□■∴
∴∴■穴穴穴□┃□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□┃□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□┃□■■∴∴∴∴

165太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:39:17
>>164
「分かってた、読め読めッスねえ!」


阿修羅スタンドは両腕を上げ、
バレーの『オーバーハンドパス』がごとく、サードマンへ当てようとし…外した

もし天井にデカブツの手が当たったら、損傷するかも。
かの『春上』がやったらしい『アリーナ天井ブチ抜き事件』の再来だ、恐ろしや。
瓦礫がたくさん降ってくるだろう

 「(それが起きたら、スタンドはともかく本体は危ない…けど、
  いま、場の主人公は他ならぬ『この太田垣』。胸張ってれば危険物は避けていく。)」
 「(…というのは暴論かも…けど、『サードマン』の操作に集中したいんだ。)」

 

そして、、デカブツは上昇、サードマンは落下して、すれ違ってしまった。
 
 このまま敵の胴体ぺちぺち殴ったって勝てるか怪しい。
 確実にヤるために、弱点を狙うため、復帰の必要がある… 



「(よって、自分の打ち出す手は)」


・本体は仁王立ちで集中。
・『ザ・サードマン』は鉄骨を掴んで、そこから『鉄棒』の要領で上に戻ろう。



阿修羅スタンドが上げた腕…振り下ろすに決まってる。きっと『攻撃』を兼ねた動きのはず。そのはず。
その前までに、なんとしても『復帰』だ!思い出せ、小学生のころの体育感覚!鉄棒ゥ!レッツ曲芸!

166『六道辻』:2021/04/30(金) 19:39:36
312 名前:『六道辻』[] 投稿日:2015/10/14(水) 02:05:29
>>311
>>310にて描写をし忘れていましたが、
『ザ・サードマン』は鉄骨を掴むことに成功しています。
こちらの情報を踏まえて、レスの訂正などありましたら、
行動の修正をよろしくお願います。

313 名前:太田垣良『ザ・サードマン』[] 投稿日:2015/10/14(水) 22:58:28
(かるーく修正と、追記)

>>310
「分かってた、読め読めッスねえ!」


阿修羅スタンドは両腕を上げ、
バレーの『オーバーハンドパス』がごとく、サードマンへ当てようとし…外した

もし天井にデカブツの手が当たったら、損傷するかも。
かの『春上』がやったらしい『アリーナ天井ブチ抜き事件』の再来だ、恐ろしや。
瓦礫がたくさん降ってくるだろう

 「(それが起きたら、スタンドはともかく本体は危ない…けど、
  いま、場の主人公は他ならぬ『この太田垣』。胸張ってれば危険物は避けていく。)」
 「(…というのは暴論かも…けど、『サードマン』の操作に集中したいんだ。)」

 

そして、、デカブツは上昇、サードマンは落下して、すれ違ってしまった。
 
 このまま敵の胴体ぺちぺち殴ったって勝てるか怪しい。
 確実にヤるために、弱点を狙うため、復帰の必要がある… 



「(よって、自分の打ち出す手は)」


・本体は仁王立ちで集中。
・『ザ・サードマン』は『鉄棒』の要領で、上方に復帰。
 『懸垂』で体を持ち上げ、足をかける、それが難しいなら『足上げ腹筋』でむこうに爪先を引っかける…
 

阿修羅スタンドが上げた腕…振り下ろすに決まってる。きっと『攻撃』を兼ねた動きのはず。そのはず。
その前までに、なんとしても『復帰』だ!思い出せ、小学生のころの体育感覚!鉄棒ゥ!レッツ曲芸! がんばれスタンド筋肉!

167『六道辻』:2021/04/30(金) 19:39:55
>>166
               グゥンッ!

『ザ・サードマン』は両腕で身体を起こし、鉄骨の上へと復帰する。
『エンプティ・エステート』の両腕が天井に触れ、


        ガ             『
                       激
              ボ         
                       突
         ボ
                        ッ/ 
            ォ           ・
                         』


破壊された天井の『瓦礫』が『太田垣』の視界いっぱいを埋め尽くす。
この攻撃を『予想』していながら、その手中に『盾』を収めながら、
本体を『守る』行動を一切しなかったのは、完全なる『失態』だ。


        バキャァッ!
                          ボゴォッ!

                バグゥ/
                    ・

身体に無数の『散弾』を受け、『太田垣』は長机に突っ伏せるように倒れ込む。
視線は必然的に『下』を覗き込む形になるが、――――『慧観』の姿は見えない。
先程までは『下』にいたのだ。しかし、降り注ぐ大小の『瓦礫』や『粉塵』、
何よりも肋骨がへし折れる程の『衝撃』による意識の揺らぎ、
そして天井より下がる『照明器具』の破壊により、『慧観』を視認出来ない。


             グ      ――――そして、『エンプティ・エステート』は無傷だ。
              ァ     衝突の衝撃は頭部ではなく掲げた『両拳』に伝わった上、
                    何故か『慧観』は降り注ぐ『瓦礫』から身を守ることが出来たようだ。
             ア      両拳を『振り下ろす』、その様子は上空からの『圧力』で伝わってくる。


数本の『肋骨』、『右肩甲骨』、『両爪先』を粉砕され、意識を混濁させながらも、
――――『ザ・サードマン』と自身の位置は理解している。
つまり、自身との直線上であれば『鉄骨』の上にいる『ザ・サードマン』を操作出来るだろう。
『アクリル板』の足場にはうず高く瓦礫が振り重なるが、『ザ・サードマン』は僅かに浮遊している。
つまり、この場においては『機動力』を維持出来ているのだ。

今の一撃で『電気系統』、『音響配線』は完全に破壊されている。
『満月』の見下ろす中、次の一撃で『勝負』は決する――――

168『六道辻』:2021/04/30(金) 19:40:23
>     「……そうですか。
>      未知に惹かれ、自ら足を踏み入れるか」


>            「――――『無明』が過ぎるぞ、『太田垣』ィ!」


暗闇の中、『慧観』は空手を掲げたまま『エンプティ・エステート』の操作に集中する。
何も見えぬ『無明』、愚かさを罵倒する言葉として『太田垣』に振るった言葉だ。


     「(私こそ、その言葉に相応しい)」


     「(――――解っておりました。
       『知空』の死は、ひた隠しにされるべき『事情』があったと。

       この会場で認められた明朗な『力』ではない、
       陰惨な『暴力』が関与しているのは明らかだった……)」


     「(ならば、『太田垣良』。
       尚の事、貴方を立ち入らせるわけにはいかないのです)」


     「(己の『無明』で二人の『知空』を失った。
       『暴力〈スデゴロ〉』に引き込んだ『知空』、『暴力〈アリーナ〉』に溺れた『知空』、
       貴方まで、『暴力』に魅せられて命を失ってはならない……)」


     「(陋劣な『暴力』を見て、『痛み』を覚えなさい。
       決して踏んではならぬ、『虎の尾』があると知りなさい。

       貴方はきっと強くなれる。この闘いで見せた『成長』がその証。
       ――――しかし、その『強さ』は                       )」

何も手にしていない。
『慧観』は『仏具』を発現せずに『瓦礫の雨』を乗り切っている。
次の『仏具』は『攻撃』に備えている。その為に、『ヴィジョン』で時間を稼いだのだ。


     「その強さは」


                   「この『修羅道〈アリーナ〉』を生き抜く為の力にあらず」


           「己が『人道』を邁進すべき『息吹』なり」


『蓮の華』は泥の中でも咲き誇る。

169太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:40:53
>>168
「はぁー…、はァ〜…   は、ははははははは !!」
「瓦礫、振り下ろし……『意外性』は…まったくない攻撃!それでスリ潰せると思うか…よ!」
「体には届いたが、…俺の精神に届かねえ、揺るがねえ!」


  胴はやられちゃあいない…体幹の制御、できる! 
  あと…手!
  『機動力』を維持できている!『曲芸ショウ』!


「ス…タンドの…素の強さの勝負! …『あんたの力』対…『こっちの…技量』!」



手も足も使って、前に飛ぶ、進むんだ!相手スタンドの腕と腕、間のその空間!
そこはさながら『SASUKEファイナルステージ(綱上りじゃない方)』状態!ゴールは頭だ!



飛ぶように行け!
顎までゆけば、顔が三つあろうとサードマンの正確な位置なんて分かりやしない。
人間が自分の目を見れるか?耳を見れるか?鼻頭だってボンヤリしか見えない!

そこからクライミングだ。
唇を引っ張り、鼻に手をかけ、やたら付いてる怒りジワを掴み。
ついでに目とか蹴っ飛ばしてやって、あの打撲痕をブン殴りに!!


 おあつらえ向きだ!
 達人級、それを超える速度と精密性のサードマンが、突破してみせられる!



  タレント
 「第三者、…太田垣が、慧観…いや…『みんな』の脳髄にクる、かっけえパンチ…届けるために…」

 「応えろよ、その名に…イケるだろ、お前なら!」


        ザ・サードマン
    「 『 第三の男 』! 」

170太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:41:38
>>169
その一撃は『精神』に届かない、揺るがない。
暗闇の中、確かに感じる『エンプティ・エステート』目掛け、
『ザ・サードマン』はその巨躯目掛けて手を伸ばし、一撃を加えようとする。


       ギ        『エンプティ・エステート』は身体を捻らせた。
        ュ        それがなくとも、その膂力は並のスタンドを上回る。

       ア /      つまり、嵐に『真正面』から挑んだ時点で、
        ・        『ザ・サードマン』の辿るべき『道』は一つだった。


              ーz l /
              _/
                  オ 
                        ォ ___
                              /
                               ̄ ̄ ̄ ̄


瞬間、『太田垣』の足場は『爆発』した。
アリーナの連戦にも耐え得る『アクリル板』の天井席は、
さながら『雷』にでも撃たれたかのように木っ端微塵となり、『太田垣』は落下する。
間近に迫る『豪圧』、それを防ぐ手立てはない。――――『祈る』ことさえ敵わぬ一撃。


         バ       巨大な『何か』の上に仰向けに墜落する『太田垣』だが、
                  振り下ろされる『両拳』は痩躯をボロ布のように打ち据え、
            ガ    その『何か』を突き破りながら、『太田垣』は地へと下る。

         ガ       全身の『骨』を砕かれ、『肉』を抉られ、『皮膚』を破られ、
                  数秒の落下が永遠と思える苦痛を『心髄』に浴びせられ、
            ガ    コンクリートの地面に叩き付けられ、『臓腑』が押し潰される。

         ア       そして、その『双眸』に、己が身にて掘削した大穴が映り、
                  全身の折れ曲がった『太田垣』を睥睨する鬼面が焼き付いた。
            ァ 
         /       完全なる『敗北』、『技』を捨てた『太田垣』の末路。
        ・          .――――それは『力』に、『暴力』に屈したのか。


           カツン

                       カツン


        「――――良い、闘いでした」


              「要らぬ重荷を背負い、風任せの喝采に押され、
                  よく、ここまで……立派に闘われた、だから、だから……」


                 ――――グッ


        「もう、ヤメて下さい。……ヤメなさい、『太田垣良』。
         無為な苦しみを捨てなさい。もう、楽になりなさい。
         ――――闘わなくて良いのです。本当に、貴方はガンバった……」


打ち捨てられた身体が引き寄せられ、そのダルマのような巨躯に抱き締められる。
意識の遠のく中、『太田垣』の頬に暖かな滴が溢れ、伝い落ちていく。

171太田垣良『ザ・サードマン』:2021/04/30(金) 19:41:58
>>170
 『ザ・サードマン』を覆う平面、タイルの意匠がボロリボロリと剥がれていく
 
…その下の纏う黒衣もはだけた…… 何も無かった。
 亜空間を操る、がらん胴の、スタンド。
 
 

  
 「まただよ…結局」   


   足りなくて…中途半端で…勢いと調子に乗っても…なんにも、無くて…            


     「届きやしなかったのさ」     



身体が冷たい…勢い、月夜、風、滴る……感じない…
 … 雨… 降ってんのかなあ…おかしいなあ…

172『六道辻』:2021/04/30(金) 19:42:18
>>171
虚ろさを孕んだヴィジョン、『ザ・サードマン』はその役目を終えて消える。
空っぽの『心』を自覚し、静かにその意識さえも空白に変えていく。


         ポタッ

                      ポタッ


『外科医』は病巣を取り去る為には、血に塗れてメスを振るう。
目を覆うような非道な手段を用いながらも、その心には『慈悲』を宿す。
――――人呼んで、『鬼手仏心〈アチャラ・ナータ〉』。







             『太田垣良』は『心』に負けたのだ。







                      ・


                      ・


                      ・



その後、『松前総合病院』に搬送された『太田垣』は、
枕元に厚みを帯びた茶封筒を発見する。
『見舞金』、そう筆文字で書かれていた。


太田垣良『ザ・サードマン』→『全身骨折』、『全治六ヶ月』。
                  但し、『カナディアン・スウィートハーツ』の能力により、
                  『全治一ヵ月』に入院期間を軽減。

                  『精神的再起不能』。
                  『戦意』を強く意識しなければ、
                  リアル時空での『戦闘行為』が不可能となる。
                  いわゆる『イップス』。『フープル』での治療は不可能。
                  復帰は太田垣本人の『戦意』次第。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板