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【過】『武闘列伝』
32
:
『尾藤ブラック』
:2018/11/24(土) 22:59:37
「そう、これが『鏡花水月』のしんず――――」
ベゴォッ!
『突き』を放つ『尾藤』を牽制するように、
『東雲』の振り落とした『鉄鞘』が『尾藤』の『手首』を打ち据えた。
『東雲』の懸念通り、『岩塩武装』を施した肢体の『スピード』は低下しているものの、
それでもまだ常人よりは速い。『予想』しようと、『理解』しようと、『能力差』の前には無力だ。
「ンガアアアアァァァァァァッッッ!!!!」
「最早、『東雲』選手の独壇場!
『鬼に金棒』とはまさにこのこと、
やはり『鞘』を捨てたのは『死亡フラグ』だァァ〜〜〜ッッ」
「うおおおおおお!!!!」
「東雲!」
「マッスルゥゥゥ――――」
『手甲』によって『握力』こそ減じたせいで、『鉄鞘』の勢いは減じている。
しかし、それでも『尾藤』の左手首をへし折り、絶叫を上げさせるには十分過ぎる。
『尾藤』の突きは『死に体』となり、『東雲』の右側を倒れこむように通り過ぎて行く。
ゆらぁぁ...
揺れる身体、伸び切った腕、――――『東雲』は『刀身』を無意識に覗き込む。
さながら『湖面』のように嫋やかな『刃筋』、その根本に彫られた『銘』。
『鏡花水月』
「お前、『見たな』」
グニャァァァァァァァ......
「き、消えたァァァ〜〜〜〜〜〜ッッ!!
『尾藤』、またしてもッ!」
一体、何度目だろうか。『尾藤』は再び姿を消す。
……だが、今度は勝手が違う。
シィィ〜〜〜〜ン
『無音』だ。『足音』も、『息遣い』も、『声』も聞こえてこない。
すぐ傍にいるはずの『尾藤』、その『存在』が感じられない――――
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