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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

156進撃の名無し:2014/07/31(木) 19:22:59 ID:2GnQ2kgk0
リヴァイ「せめてあと1年続けて、来年辞めるか……だな。そうすればさすがに生徒達も諦めてくれるだろう」

ペトラ「じゃあ、まだ猶予期間はある訳ですね。卒業式は一緒に過ごせるんですね」

リヴァイ「ああ。まあ、ペトラ達の代はきっちり見送るつもりではいたよ。そこは安心していい」

そう、言い切った瞬間、ペトラ先輩がまた泣き出してしまった。

リヴァイ「お、おい……どうした? ペトラ?」

ペトラ「良かった……卒業式、一緒に出られるんですね? 本当に良かった…」

リヴァイ「あ、当たり前だろ。俺の性格、知ってるだろ。キリの悪いところで辞めるのは性に合わないんだよ」

ペトラ「はい……!」

と、泣き笑いでペトラ先輩が答えたのがとても印象的だった。

良かった。ペトラ先輩、少し落ち着いたみたいだ。

ミカサ「あの………」

と、その時、傍観者に徹していたミカサが声をかけた。

リヴァイ「ああ、ミカサもいたのか」

ミカサ「こっそり居ました。その、どうしても辞めないといけないんですか? リヴァイ先生」

リヴァイ「辞めた方が、解決すると思ったんだが」

ミカサ「いえ……その……私の経験上、それはかえってまずいのでは、と思ったんですが」

リヴァイ「え? それはどういう意味だ?」

ミカサ「…………女の執念を舐めてはいけません」

と、ミカサがまるでホラー映画のような顔つきになって言った。

157進撃の名無し:2014/07/31(木) 19:32:35 ID:2GnQ2kgk0
ミカサ「確かにリヴァイ先生が教師を辞めてしまえば、表面上はハンジ先生の嫌がらせは少なくなるかもしれません。しかし、リヴァイ先生の見えない部分で、必ず精神攻撃はこっそりしてきます」

リヴァイ「何……?」

ミカサ「結婚したら、尚更酷い陰湿な精神攻撃をしてくる可能性もあります。私は、リヴァイ先生自身が目を光らせて、生徒達を見張っている方がまだマシだと思うんですが」

リヴァイ「な、そ、そういうものなのか?」

ミカサ「(こくり)………女って、怖いんですよ? ククク………」

やめてえええ! 夏の怪談みたいに話すのはやめてくれえええ!!!

本気でガクブルしながらそれを聞いていたら、

リヴァイ「そ、そうか……そういう可能性もあったのか。すまん。俺もちょっと浅はかだったな」

ミカサ「よおおおく考えた上で、決断された方が良いかと。ククク……」

だから、ミカサ! 脅し過ぎる!!

でも、その言葉はリヴァイ先生に響いたみたいで「分かった」と答えてくれた。

リヴァイ「貴重な意見をありがとう。エルヴィンにも話してもう少し、煮詰めてから今後の事を考えてみる」

ミカサ「その方が宜しいかと……(ニヤリ)」

リヴァイ「ああ。そうする。じゃあな」

と、言ってリヴァイ先生は職員室に帰って行った。

ペトラ「み、ミカサ……ありがとう」

ミカサ「いえいえ。私は女性の味方なので。リヴァイ先生が辞める方が個人的には嬉しいですが、ハンジ先生が可哀想な目に遭うのは、ちょっと」

ペトラ「うん。そうだよね。女って、怖いもんね」

ニファ「うん。怖い怖い」

女同士で「怖い」言い合う姿って、奇妙だな。

自覚しているからこそって事なのかな。不思議だな。

158進撃の名無し:2014/07/31(木) 19:45:07 ID:2GnQ2kgk0
そんなこんなで、ひと騒動は何とか収まったけど、正直、心臓に悪かった。

女のああいうの、生で見たの初めての経験だったからな。

教室に戻りながらオレはミカサに言った。

エレン「とりあえず、良かったよな。リヴァイ先生の件、保留になりそうだな」

ミカサ「うん。一番いいのは、リヴァイ先生が必要以上に女子生徒に優しくしない事だと思うけど」

エレン「自覚ねえんだろ? 難しくねえか? それは」

ミカサ「これからは、自覚するべき。嫁を一番優先するべき」

と、ミカサは「むふーっ」と言い切っている。

ミカサ「もしくは、もっとリヴァイ先生のダメで悪い部分も生徒に見せるべき。皆、美化し過ぎているので、イメージダウンをさせるべき」

エレン「あーそれはオレも思ったんだけど、エルヴィン先生が「諸刃の刃」って言ってたしなあ」

ミカサ「でも、それはエルヴィン先生の判断であって、リヴァイ先生自身の判断ではないので、リヴァイ先生にその件を話してみても良いのでは?」

エレン「…………」

そっか。それもそうだよな。

肝心な事を忘れていたぜ。ちょっとオレも慎重になり過ぎていたかな。

エレン「そうだな。ミカサの言う通りかもしれねえ」

と、オレは納得して、今度その機会があればリヴァイ先生に話してみようと思った。

そう思いながら、2人で教室に戻るのだった。

159進撃の名無し:2014/07/31(木) 19:50:11 ID:2GnQ2kgk0
リヴァイ先生が辞めるに辞められない状況に。
社会人の常識、足りてないリヴァイ先生ですみません。
(でも実際、職種によってはすぐには辞められないんですよ)

という訳で、波乱の修羅場編はお終い。
続きはまた。ノシ

160進撃の名無し:2014/07/31(木) 20:16:55 ID:albK3mqw0
ニファ△

ミカアニ至高だけどミカペトニファの美少女3人もなかなか…フヒヒ
ん?ミカクリサシャもいいし、ミカアニユミのクール組み合わせも良い
ああ、とにかくミカサが可愛いのか

161進撃の名無し:2014/07/31(木) 20:39:33 ID:c9c8rUKA0
俺のミカサは本当にかわいいな

162進撃の名無し:2014/08/01(金) 06:13:11 ID:aWt04tI20
ニファとミカサ、すごくいいわー
オルペトも期待
>>1のオルオ、格好良くて好きだ

163進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:18:38 ID:oClsVUdU0








10月9日。この日は雨だったので体育は中止になり保健体育の方の授業になった。

男子は当然、リヴァイ先生の授業だったんだが、リヴァイ先生の授業は割とサクサク進んで、予定よりも早く終わってしまい、10分くらい時間が余ってしまった。

リヴァイ「あー…時間が余ってしまったな。早めに切り上げるか」

と、リヴァイ先生の場合は先の方の授業をやる、という事は殆どない。

時間が余った場合は残りの時間をオレ達生徒にくれるんだ。そして自分は寝る。

だからこの日もそうなるだろうと思っていたのに。

アルミン「あの、リヴァイ先生」

リヴァイ「何だ。何か分からない部分があったのか? 珍しいな」

アルミンが疑問を挙手して問う事は滅多にない。授業中の「確認」の質問は良くやるけど。

それだけ理解力が速いからだ。でもその時のアルミンはニヤニヤしていて、

アルミン「教科書には載っていない、授業、やって貰えませんかね?」

とか言い出したから、皆、一斉に「ヒューヒュー」言い出した。

リヴァイ「あー……つまりアレだ。そういう下世話な話が聞きたいのか?」

アルミン「はい。その通りです。お願いします(頭下げる)」

アルミンの勇者っぷりに男子から拍手喝采が起きた。

リヴァイ「何が聞きたい。言っておくが、俺も教えられる部分は限られるぞ」

アルミン「教えて貰える部分だけで十分です。是非」

リヴァイ「しょうがねえ奴らだな。全く……」

と、苦笑するリヴァイ先生だった。

リヴァイ「この年齢の男子が考える事なんざ、ひとつしかねえが………何から聞きたい?」

アルミン「リヴァイ先生自身の武勇伝を是非」

リヴァイ「………どれくらい、ヤッたかって事か?」

アルミン「加えて、そのテクニックの伝授も是非」

リヴァイ「んー……」

と、リヴァイ先生は少し考えてから言った。

164進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:20:05 ID:oClsVUdU0
リヴァイ「人数だけで言えばもう、覚えてねえな。ただ、10代の頃はかなりの数をこなした。20代の頃は仕事が忙しくなってしまってその数は減ったが、それでも月1くらいでは必ずやっていたかな」

おおおおお……

どよめいた。すげえ。リヴァイ武勇伝だ。

アルミン「彼女とつきあった数も相当ですか?」

リヴァイ「うーん……俺の場合、彼女と呼んでいいのか微妙なラインの女もひっきりなしに誘いかけてきたからな」

と、全人類の男が嫉妬する台詞を言い放ったので、男子が全員動揺した。

ジャン「くっ……なんて羨ましい!」

ジャンの目が赤くなった。しょうがねえだろ。リヴァイ先生モテるんだし。

リヴァイ「ただまあ、半年以上続いた数だけで言ったら、片手に数えるほどしかいない。他の女は、俺の体目当てで誘ってきただけだったのかもしれん」

アルミン「やっぱり、体が凄いとモテますか?」

リヴァイ「そういうもんじゃねえのか? 身体は鍛えないと女にはモテないだろ」

おおおおおお……

やっぱりそこでもどよめいた。いや、いちいち反応し過ぎだとは思うけど。

ジャン「はい! モテる秘訣を教えて下さい!!」

リヴァイ「は? 無茶言うな。俺もモテようと思ってこうなった訳じゃねえよ」

ジャン「で、でも……なんかコツみたいなのはないんですか?」

リヴァイ「コツって言われてもな……」

リヴァイ先生の場合はモテようとしてモテている訳じゃねえからすげよな。

いつの間にか女性が寄ってくるんだ。吸い寄せるフェロモンが出ているのかもしれない。

リヴァイ「…………コツかどうかは分からんが、女が喜ぶ事はしてやった方がいいと思うぞ」

ジャン「と、いうと?」

リヴァイ「一番効果的なのは、頭、ポンポンか。後は、手を握ってやったり。それくらいでいいんじゃないか?」

ジャン「は、ハードル高いっすね……(ズーン)」

リヴァイ「いや、そのくらいの事も出来ねえならモテたいとか言うな。基本じゃねえか」

ライナー「つまり、基本が大事であると」

リヴァイ「何でもそうだろ? 基本をおざなりにしては何も出来ん」

そういえばミカサも頭ポンポンとかすりすり好きだよな。

犬みたいにしてやると途端に大人しくなるし。

リヴァイ「あとはまあ、荷物を代わりに持って行ってやったり。体の変化に気づいてやったりか。調子が悪そうだったら無理はさせないし、機嫌がいい時は調子を合わせてやるといい。それから……」

おや? なんかだんだん饒舌になって来たな。

アルミンがメモ取り出した。勉強熱心だな、おい。

165進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:21:20 ID:oClsVUdU0
リヴァイ「髪型とかも気にかけてやった方が喜ぶな。機嫌が悪い時はなんか甘い物を食わせろ。腹いっぱいにさせたらとりあえず落ち着くからな。それから……」

どんどん項目が増えていく。あれ? 意外とリヴァイ先生って、その辺のテクニック、意識してやっているのか?

リヴァイ「理不尽な事を言い出す時は流されろ。抵抗してもどうにもならん。ただ、あんまり我儘を言い過ぎる女は付き合うな。疲れるからな。後々しんどいぞ。適度な我儘は可愛いが、度が過ぎると可愛くねえ。それと……」

熱心だな。なんかリヴァイ先生の女性遍歴が垣間見えてきた気がする。

リヴァイ「相手の趣味にある程度、合わせてやった方がいいか。ケーキバイキングは基本らしい。絶対1度は連れて行きたいが、なかなか言い出せないデート先らしいぞ。ついていくのに勇気がいるかもしれないが、そういう「試練」とも思えるデート場所にも付き合ってやった方がいいな」

おおおお。そうなのか。

女の好みのデート先に合わせるか。オレの場合は山登り決定だな。

リヴァイ「昔、そういう意味でわざと「子供向け少女アニメ」の映画館デートに連れて行かれた事もあったな。内容がさっぱり分からんまま観終わったが、相手の女は「本当に一緒に観てくれるとは思わなかったwww」と爆笑していたが、その後はずっと機嫌が良かった。たまにそういう理不尽な要求をしてくる女もいるが、まあ、そこはつきあってやれ」

面倒見が良すぎる。すげえ。俺には真似出来ねえな。

リヴァイ「あと、女は基本的に冷え性の奴が多いから、外でのデートの時は、上着をこっちでもう1枚くらい用意してデートした方がいいぞ。冬とか、くそ寒い時期にミニスカートはいてハイヒールはいてくる女もいる。たまに「アホなのか?」と思う薄着の女もいたが、風邪ひかせたら可哀想だからな。コートをもう1枚くらい持って行った方がいい。……あ、学生には車がないから難しいか。大学に入ってから注意しろ」

と、先の事まで心配してくれるリヴァイ先生だった。

リヴァイ「ただ、女にも千差万別で、この方法を使えば必ず相手が喜ぶとも限らない。その辺りは「勘」の世界になってくるから、とりあえず会話して、相手の性格を掴む事をまず重要視した方がいいと思うぞ」

アルミン「まずはデータを収集して、分析するんですね」

リヴァイ「その通りだ。別に女に限った話じゃねえけどな。お前らの事も、俺はそれなりに観察して分析して、出来る限りうまく教えられるように心掛けてはいる」

おおお。夏合宿の野球と料理の事を思い出すぜ。

リヴァイ「正直言えば手間のかかる手法だが、俺自身、考え抜いた末の方法だ。うまくいく場合もあるし、失敗する事もある。ただ、どちらにせよ、その時に得た経験は次に活かせる。それを繰り返していけば限りなく、正解に近い「悔いのない選択」が出来るんじゃねえかと思っているが」

アルミン「なるほど。そうやって、ハンジ先生の事も、選んだわけですね」

リヴァイ(ぶふーっ!)

いきなり話題を転換したものだから、リヴァイ先生がうっかり吹いた。

ヒューヒューの嵐だった。さすがにちょっと照れている。

リヴァイ「アルミン……お前なあ……」

アルミン「いやあ、本命はそっちが聞きたくて。釣りました」

リヴァイ「ああ、そうだったのか。いや、その……なんだ。改めて問われると照れるな」

と、リヴァイ先生がガチで照れていた。ぷぷー!

ニヤニヤが止まらねえぜ。暫くはこのネタで遊べるな!

リヴァイ「まあ、そうだな。ハンジの事は、その………なんだ」

急に歯切れが悪くなった。すげえ。落差がすげえ。

リヴァイ「その………何から話せばいいんだ。分からん」

アルミン「ハンジ先生のどこが好きなんですか?」

リヴァイ「どこって…………その………」

おおおお。貴重な反応だぜ! 面白い!

リヴァイ「……………俺が出来ない事や、持ってない部分を持っているところ、かな」

アルミン「というと?」

リヴァイ「俺は口が悪い方だからな。昔はよくトラブルを起こす……今でもたまにやらかすが、とにかく問題の多い教師としてよく保護者に怒られたんだよ。そういう時に、ハンジが間に立ってくれることが多くてな。あいつがいなかったら、教師生活はこんなに長くは続けようとは思わなかったと思うんだ」

と、リヴァイ先生はしみじみ言う。

166進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:23:44 ID:oClsVUdU0
リヴァイ「あとは、事務処理や手続きなどの処理能力の速さは職員の中でもベスト3に入る。女性の中ではトップだろうな。仕事早いんだよ。あいつ。家事仕事はてんでダメだけど。学校の仕事は俺の倍以上、早く出来るんだ」

アルミン「へーそうなんですね」

リヴァイ「ああ。後はそうだな。その……しょっちゅう笑顔でいるところもだな」

エレン「笑顔?」

ちょっと意外だった。へー。

リヴァイ「ああ。あいつ、喜怒哀楽が激しいからな。基本的に笑っている事が多い。ムードメイカー的存在なんだ。ハンジがいると、職員室が明るくなる。そういう部分も、多分、好きなんだと思うが」

と、心底、恥ずかしそうに答えている様子がすげえ面白かった。

誰かこっそりスマホで録音してねえかな。今の言葉、ハンジ先生にこっそり聞かせてやりてえよ。

リヴァイ「後はその…………まあ、触り心地がいいところも、好きだな。ついつい、触ってしまいたくなってしまって、その…」

おおっと、これ以上言わせたらいろんな意味でヤバいんじゃないか?

リヴァイ「………もうやめるぞ。この辺でいいよな? もう10分経ったよな?」

アルミン「まだあと5分ありますよ?」

リヴァイ「もう後は自習にしておけ! 俺は寝る!」

と、言って顔を伏せて逃げるリヴァイ先生に皆「えー」の声をあげた。

アルミン「まだまだ聞きたい事、沢山あったのにね」

ジャン「だな。エロい話も聞いてみたかったのに」

リヴァイ「……………」

マルコ「ははっ……まあそこは、ね。聞かせられない部分なんじゃない? ハンジ先生との、そういう話は」

リヴァイ(びくん)

あ、なんか反応したぞ? リヴァイ先生。

アルミン「だろうね。あれだけ劇的にくっついたんだし。きっと毎日、やってるんだろうね。いいなあ」

リヴァイ「…………やってる訳、ねえだろ」

アルミン「え?」

リヴァイ「教職舐めるなよ? 忙しさ、半端ねえんだぞ。特にこの時期の、筆記学科の担当教員の忙しさを。生徒の問題作りの為に睡眠時間削って活動しているんだぞ。そんな最中、手なんか出せるか!」

と、理不尽に怒っている。

ジャン「え……じゃあ、結婚の約束はしたけど、してないんですか?」

リヴァイ「ああ。だからあんまり煽るな。こっちもいろいろストレス溜まっている最中なんだよ」

ああああその気持ち、すげええ分かる。

こう、我慢せざる負えない状況で、煽られると、ムラムラ止めるのきついよなあ。

お預け期間中って事なんだろうな。可哀想に。

167進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:25:44 ID:oClsVUdU0
リヴァイ「まあいい。ストレスついでに、セックスの話もついでにしてやろう。そういう下世話な話も聞きたいんだろ?」

一同「「「イエス!!」」」

リヴァイ「やれやれ。何から聞きたい? 女をイカせるテクニックでも話せばいいのか?」

アルミン「是非」

リヴァイ「ふん……100人女がいれば、全員やり方が違うとしか言えないからな。ただ、傾向を導き出して対策を練る事は出来なくはない」

おおお。なんか急に授業っぽくなった。

黒板使って説明してくれるんだ。すげえ。

リヴァイ「俺の勧める方法の一つが、『女の肌は服を着せたまま1時間は触れ』だな」

アルミン「1時間もですか?」

リヴァイ「も、じゃない。最低1時間だ。いけるんだったら、2時間でも3時間でもいい。服の上からゆっくり触ってやれ。いきなり脱がすなよ。そっちの方がウケがいい」

ジャン「すげえ耐久レースじゃないですか」

リヴァイ「何言ってる。この程度は準備運動にもならん。途中で嫌がるような女の場合は別だが、この方法は10人中7人はまず嫌がらないぞ」

アルミン「は、7割は嫌がらないって事ですか?」

リヴァイ「あくまで俺の主観だがな。せっかちな女は別にして、大体の女は「ムード」を重視する。これは女の体の緊張を解す効果もあるが、血液の流れを良くする効果もあるし、女を「半覚醒」状態に持っていくのに一番効果的な方法だと俺は思っている」

アルミン「半覚醒……うたた寝状態って事ですか」

リヴァイ「そうだ。まずそこにもっていかない事には先に進めない。眠りそうで眠らない状態まで持っていって、初めて仕掛ける準備が整う。やり過ぎて爆睡する女もたまにいるが、その時は寝かせてやれ。そっちの方がいい」

アルミン「ええええ……それ、お預けじゃないですか」

リヴァイ「1回や2回は失敗しろ。何事も経験だ。勿論、このやり方を嫌がる女もいるからな。その違いは、濡れやすさで判断するしかない」

ジャン「濡れやすさ……(ごくり)」

一気に生々しい話になって来た。皆、真剣に聞いているな。

リヴァイ「ちょっと触っただけですぐ濡れる女と、そうじゃない女がいるって話だ。その辺の違いを区別するには経験が必要だ。感覚的な物だから口じゃうまく説明出来ない。だからとりあえず、ゆっくり仕掛けてみて最初は様子を見る事を勧める」

おおおおお。何か凄く為になったな。

リヴァイ「焦るなよ。焦ったら負けだと思え。若いうちはガンガンやりたくなる気持ちは俺も分かるが、女の体は男が思っている以上に傷つきやすい。やり過ぎて、病院に通う羽目になった女子生徒も多数知っている。勿論、中絶も含めてだ。やりたいだけなら、せめて年上の経験の豊富な女を選べ。同年代でやる場合は、特に経験値ねえんだから、女の方に出来るだけ合わせてやれよ」

アルミン「は、はい……」

リヴァイ「……とまあ、こんな話はテストには絶対出ないから覚える必要もねえけどな。後、絶対外には漏らすなよ。特に他の先生達には内緒だ。また俺が怒られてしまう」

ぷぷっと笑いが起きた。リヴァイ先生、結構他の先生から怒られているんだな。

168進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:30:01 ID:oClsVUdU0
リヴァイ「他に聞きたい事はあるか? なければもう授業をお仕舞にするが」

アルミン「最後にひとつだけ」

リヴァイ「何だ」

アルミン「その………リヴァイ先生って、結構ムッツリだったんですか?」

リヴァイ「ああ? 別に隠していたつもりはないが、俺の本性はただのエロ親父だぞ。38歳にもなるおっさん捕まえて何言ってやがる」

アルミン「いえ……なんかかえってほっとしました。女子の間では、神格化されているし、そういうリヴァイ先生の部分を今まで知らなかったので」

リヴァイ「女子の前で猥談はさすがにやらねえが、そういうのが好きな女子には多少リップサービスしてやる事もあるぞ? 少女漫画のヒーローじゃあるまいし。あんまり美化され過ぎるのも困るんだが」

と、本当に困った顔をしていたリヴァイ先生だった。

そしてチャイムが鳴った。授業終了の合図とともに教室を出ていくリヴァイ先生を見送って、オレはアルミンに言った。

エレン「アルミン、お前は本当に勇者だな……」

アルミン「いや、まあ、僕もまさかここまで本格的に答えてくれるとは思ってなかったけどね。為にはなったよね」

エレン「ああ。為になり過ぎる程なったぜ。授業より真剣に聞いちまった」

アルミン「授業の内容忘れてしまいそうな勢いだったよ。またリヴァイ先生の特別授業、やってくれないかな。すっごい聞きたい……」

エレン「その気持ち分かるぜ。リヴァイ先生の過去も含めていろいろ聞きてえよな」

と、いろいろアルミンと一緒に話したら女子が教室に戻って来た。

今、女子の顔を見るのがちょっと照れくさい。

さっきの生々しい話の直後だから特にそう思ってしまう、オレとアルミンだった。

アニ「ねえ、黒板の文字、何?」

アルミン「え?」

アニ「何で『女の肌は服を着せたまま1時間は触れ』なんて書いてあるの?」

うあああああ?! リヴァイ先生、黒板消し忘れてる!!

いつものリヴァイ先生なら絶対やらないミスだ! やっぱり調子おかしいんだ!!

アニ「一体、何の授業していたのさ。……不潔」

アルミン「ご、誤解だよ!! その、そういうのじゃないから!」

アニ「じゃあどういうの? 何をお勉強していたの? ん?」

アルミン「ええっと、エレン! ほら、アレだよね?」

エレン「おう! アレだよ! その! アレ!」

アレって何だよ?! 無茶ブリすんなよ!!!

アニ「へーアレで通じる程、隠したい授業だったんだあ」

アルミン「いや、その……」

アニ「ふーん……やっぱり、いやらしい男だねえ。あんた達は。ククク……」

アニ、ノリノリで弄ってるだけなのかな。顔は笑ってるぞ。

そしてアニは黒板の文字をさっさと消してしまったのだった。

169進撃の名無し:2014/08/01(金) 09:44:44 ID:oClsVUdU0
リヴァイ先生の特別授業編でした。
とりあえず、ここまで。一旦区切ります。続きはまたノシ

170進撃の名無し:2014/08/01(金) 12:40:39 ID:aWt04tI20
エロ親父キターー!!
アルミンはホントいい性格してるなw
特別授業は1年男子にか
ハンジ先生に手取り足取りかと思ってドキドキしたわ(笑)

171進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:17:07 ID:oClsVUdU0
>>170
エレン視点だとリヴァイ×ハンジのエロシーンの様子を実際に見せるのは難しいですね。
番外編で読みたい方がいれば、リヴァイかハンジの視点でエロシーン書いてもいいんですが。
需要有るのかな?

まあ、保健体育の特別授業でハンジ先生無理やり連れて来てモデルにするという手も……。
ハンジに殴られるので没ですね。すみません(笑)。

172進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:18:30 ID:oClsVUdU0





そんなこんなであっという間に中間テストが終わり、四者面談の期間に突入した。

第一回目の進路相談になるわけだが、放課後、1人ずつ時間をとって教室で話し合う事になる。

オレは18日(土)の放課後になった。10分程度話し合うので、そう長い時間話す訳じゃないけど、濃厚な時間を過ごす事になる。

順番は名前順だ。だからアニとアルミンの方が先に相談を受ける事になる。

同じ日に進路相談を受ける予定だったので、オレとアルミンとアニは放課後、廊下で待っていた。今日は7人やる予定なので、クリスタ、コニー、サシャも進路相談のメンバーで放課後、残っている。

オレは廊下で椅子に座って待っていたんだけど、アルミンが相談を終えるなり、物凄く落ち込んだ顔で教室から出て来たのでびっくりした。

どうしたんだ? すっかりしょげているぞ?

アルミン「はー……」

その場でしゃがみこんで自己嫌悪に陥っている。何かあったんかな?

エレン「どうしたんだ? アルミン」

アルミン「あー……ごめん。後で話す。エレン、次だから。教室に入りなよ」

エレン「あ、ああ……」

何か言われたんかな。怖いな。

そして親父と一緒に教室に入ると、教室にはキース先生、エルヴィン先生が待っていた。

キース「どうぞ。お席に」

グリシャ「お世話になります(ぺこり)」

一礼して、向かい合って話し合う事になった。まず何から話すんだろう。

キース「まずはエレン君の学校内の成績と活動内容について説明させて頂きます」

キース先生の評価はまあまあ良かった。学業も中の上。部活動も積極的に参加しているしクラスでの友人との仲も良好。たまに一部の生徒と喧嘩をする事もあるが、それを除けば概ね問題ないという判断だった。

グリシャ「また喧嘩しているのか? 中学生じゃないんだぞ?」

エレン「うっ……向こうがたまにふっかけてくるんだよ」

キース「まあ、子供のじゃれあいみたいなものですよ。隣の席の男子生徒とはよく口論をしているようですが、問題になる程ではありません」

グリシャ「ならいいですが……」

ううう。まさかそんなところまで親父に報告されるとは思わなかったぜ。

キース「進路については、今のところどう考えておられますか?」

グリシャ「出来るだけ息子の希望に沿う形にはしたいと思っています。学費などの面は問題ありませんので、海外も含めて視野に入れています」

キース「それは頼もしい言葉ですね。エレン、良かったな」

エレン「はい……」

確かに頼もしい親父だとは思う。

173進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:20:16 ID:oClsVUdU0
キース「大学進学を考えられるのであれば、この辺の文系の大学などがお勧めですが…」

と、一応、オレの成績に合わせたお勧めの大学をいくつか教えてくれた。

キース「ただ、既に職種を考えておられるなら、それに合わせた大学を早めに選ばれた方がいいでしょう。何か、具体的に希望する職種などはありますか?」

エレン「あの、エルヴィン先生に勧められた職種でいくつか気になった物があるんですけど…」

と、一応エルヴィン先生の名前を出して、エルヴィン先生に目で合図すると「うん」と頷かれた。

エルヴィン「いいよ。言ってごらん」

エレン「はい。その……体力の面でまだ不安はあるんですが、それさえ克服出来れば『消防士』や『レスキュー隊』『自衛隊員』等の特殊な仕事が向いているかもしれないという話だったので、その辺を視野に入れてみたいと思うんですが」

キース「意外な進路だな。その手の仕事は過酷だぞ。精神的にも肉体的にもかなりハードな職種になるが……警察官等ではダメなのか?」

エレン「えっと、エルヴィン先生は『人の命を助ける仕事』でかつ、多少危険を伴う物でも大丈夫なのでは、という話だったので……」

キース「ふむ……」

と、キース先生は考え込んだ。

キース「人の命を助ける仕事で言えば、一番は「医者」だと思うが、お父さんの跡を継ぎたいという気持ちはないのか?」

エレン「頭足りないから無理ですよ。オレの成績じゃ医者なんて無理です……」

キース「いや、初めから諦める必要はないぞ。私は今のエレン程度の成績から、後半、急激に伸びて医者になった生徒を何人か知っている」

エレン「え……? 本当ですか? それは」

キース「ああ。勉学は、一度伸び始めるとぐんぐん伸びるぞ。何より君の場合は、お父さんという強い味方がいる。医者も十分、進路のひとつとして考えていいと思うぞ」

エレン「医者ですか……」

意外な答えだった。無理だと思っていたのに、背中を押されるなんて思わなかった。

エルヴィン「私も、エレンには医者の適性もあると思っている。むしろ危険度の度合いで言えば、医者の方が過酷かもしれないね。その辺は、お父さんの方がよくご存じだとは思いますが」

グリシャ「ええ。正直言えば、医者なんて、死に急ぎ野郎がなる職種だと思っていますよ」

エレン「お、親父……」

グリシャ「自分がいつ、病にかかるか分からない場所に常にいる訳だからね。精神的にも肉体的にも過酷だよ。でも、私はこの仕事を誇りに思っている」

と、親父がとても男らしい顔つきになった。

グリシャ「選択肢はそのあたりになりそうですかね。どの職種を選ぶにしろ、大学進学はまず間違いない感じですね」

キース「そうですね。特に医学系でいかれるのであれば、早めに大学を絞った方がいいかもしれませんが、その辺は後半の成績次第になるでしょう」

グリシャ「分かりました。ありがとうございます」

エルヴィン「まだ時間はありますので、次回の四者面談の時に詳しい話を進めていきましょう。では今日はこの辺で」

グリシャ「はい。今日は本当にありがとうございました(ぺこり)」

と、簡単な進路相談になったけど、ここでオレに新しい選択肢が増えてしまった。

まさか『医者』も視野に入れて話す事になるなんて思ってもみなかった。

そして教室を出て、落ち込んでいるアルミンに声をかけた。さっきの事が気になったからな。

親父は忙しいから「先に帰らせてもらうね」と言って帰って行ったけど。

エレン「アルミン。もう終わったぞ。さっきの話、聞かせてくれ」

アルミン「ううう……あのね。実は……」

と、アルミンは項垂れてしまって、

アルミン「エルヴィン先生にずばっとはっきり、「アルミンは医者には向いていない」って言われちゃったんだ」

と驚く回答がきたのだ。

174進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:22:51 ID:oClsVUdU0
エレン「えええ? 何でだ? 成績いいのにダメなのか?」

アルミン「成績は十分すぎる程、足りているけど問題はそこじゃないんだって」

と、ますます落ちこんでいった。

アルミン「マーガレット先輩の家でアシスタントした時の事、覚えている?」

エレン「ああ。覚えているぞ」

アルミン「その時の事、エルヴィン先生もマーガレット先輩本人から話を聞いたらしくてね。その時の、エレンの様子を聞いたって言ってて。その時エレンの行動の方が、医者として適正がある証拠なんだって。あの時、僕は何も行動を起こさなかったし、加えて先に帰ったでしょ? それは自分が可愛い証拠じゃないのかって。人の事より自分を優先する性格の人間が、医者としてやっていくのは難しいんじゃないかって言われたんだ」

エレン「ええええ……でも、それはアルミンの「立場」ってものがあるだろ。オレは別にちょっとくらい休んだって問題ないし、特待生と普通の生徒を同じように考える方がおかしくないか?」

アルミン「僕もそう思ったんだけど、そういう問題じゃないらしいんだ。エルヴィン先生曰く、僕が医者を希望する理由そのものが間違っているって。おじいちゃんの件、話してみたんだけど。それは僕自身が気に病む必要性はない事なんだって」

エレン「んん? ちょっと意味分かんねえんだけど。もうちょっと詳しく言ってくれよ」

アルミン「うーん……あのね。僕はおじいちゃんが「僕」の為にガンの治療を受けずに死んじゃったって「思い込んでいる」可能性があるって言われてね」

と、アルミンは目を閉じながら言った。

アルミン「エルヴィン先生曰く、それは違うんじゃないかって。おじいちゃんは「僕」の為じゃなくて「自分」の為にあえてガンの治療を受けずに死んだのかもしれないって。そう言ったんだ」

エレン「自分の為に……」

アルミン「ガンの治療はね。お金もかかるけど、それ以上に「苦痛」を伴うんだって。だから、ガンになってもあえて治療を受けずにそのまま死ぬ事を選ぶガン患者だっているんだって話だよ。つまり「死」に対する選択を、苦痛の中で延命するより、自然に任せて「安らか」に死ぬ事を選んだんじゃないかって。勿論、本当の意味で安らかに死ねた訳じゃないんだろうけど。でも、どっちの道を選ぶにしろ、苦痛を伴うのであれば、その期間が「短い」方をおじいちゃんはあえて選んだのかもしれないよって、そう言ってくれたんだ」

すげえ。エルヴィン先生。たったそれだけの情報でそこまで読み取る事が出来るのか。

エルヴィン先生の観察力と洞察力の凄さを改めて感じてしまった。

アルミン「だから、僕はおじいちゃんの死に対して気に病む必要はない。むしろそのせいで、僕自身の人生の選択の「足枷」になっているのなら、それはおじいちゃんの望む事ではないんじゃないかって、あくまでエルヴィン先生の主観の話だけど、そう言ったんだよ」

エレン「そうだったのか……」

アルミン「あくまでそれはエルヴィン先生の話だし、本当は違うかもしれないよ。でも、今となっては真実は分からないんだ。おじいちゃんがどういうつもりで死んでいったかなんて、もう聞けないし。僕はおじいちゃんの異変に気付けなかった自分に対する、贖罪のつもりで医者になろうとしていただけだったのかもしれない……」

エレン「ううーん……」

それの何が問題なのかイマイチ分からねえけど。

175進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:24:40 ID:oClsVUdU0
でもエルヴィン先生は「向いてない」ってはっきり言ったって事は、やっぱりそうなんだろうな。

エレン「だったら、他に何が向いているって言われたんだ?」

アルミン「僕の場合は『弁護士』の方がまだ適性があると言われたよ。僕、ほら、ずる賢いところあるじゃない? あと口も悪いし。自分が可愛いし。姑息で陰湿だし。悪い事ばっかり考えるし」

エレン「おいおい、それはいい過ぎだぞ。自分で自分を追い詰め過ぎるなよ」

アルミン「うん。でも、事実だからしょうがないよ。でもそういう「自分を守ろうとする」感情っていうのは、誰にでもあって、弁護士の場合はそれの究極の職業とも言われたんだ」

エレン「自分を守る……」

アルミン「そう。そういう感情が分かる人間でないと、人の弁護も出来ないとエルヴィン先生は言っていたよ。確かに僕は口だけは自信があるから、そっちの方が向いているのかもしれないけど……」

と言って、アルミンはやっと両目を静かに開けた。

アルミン「正直言えば、凹んだよ。まさかこんな風に自分の希望を真っ向から否定されるとは思わなかったし。キース先生は「言い過ぎなのでは?」と言っていたけど。エルヴィン先生、全然平気な顔をしていたよ。「これでもオブラートに包んで話していますよ」だって。エルヴィン先生、普段と全く変わらない表情だったのが、逆にちょっと怖かったよ」

エレン「そうなんだ」

アルミン「うん。エルヴィン先生って、その辺の感情の「機微」みたいなのを余り気にしない性格なのかもしれないけど。なんていうのかな……マッドな印象を受けたよ。相手がどれだけ傷つこうが自分には関係ない。みたいな。だからこそ、人の適性を客観的に見つめる事が出来るのかもしれない」

そういう風に分析できるアルミンの方がすげえよ。

普通だったら「エルヴィン先生むかつくー!」で終わるんじゃねえか?

アルミン「そういう訳だから、ちょっと、今、頭の中、ふらふらしていてね。うん。進路についてはもう少し時間をおいてから改めて考えてみるよ」

エレン「おう。そうした方がいいな。エルヴィン先生が反対したって、本当に医者になりたかったら、医者になればいいじゃねえか。オレ、アルミンの方が医者になった方がいいとずっと思っていたんだし」

アルミン「僕はエレンの方が医者になった方がいいと思うけどね。適正あるって言われたんでしょ?」

エレン「頭が足りればの話だよ。オレ自身は『消防士』『レスキュー隊』『自衛隊員』のうちのどれかでもいいかなって思ってるしな」

アルミン「その辺も適正あるって言われたんだ。すごいね。幅が広いや」

エレン「んー『人の命を助ける仕事』についた方がいいみたいな事を言われたんだよ。多少危険でも、やっていけるんじゃないかって。まあ、オレ、自分の母親を目の前で亡くしているからな。やっぱり、人が死ぬところはもう見たくねえんだよ」

アルミン「そっか……」

エレン「でもぼんやりでも道が見えて来て良かったと思うぜ。後は時間をかけて絞っていくだけだ。勉強もして、体力もつけねえとな」

と言ってオレは立ち上がった。

エレン「そういえばアニはなんて言われたんだろうな? ちょっと聞いてみるか?」

アルミン「うん。聞いてみようか」

アニもアニで「うーん」と悩んでいる様子だった。

176進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:27:11 ID:oClsVUdU0
エレン「よお! アニはどうだった?」

アニ「うーん……」

エレン「悩んでいるみてえだな。職種、決まらなかったのか?」

アニ「いや、そういう訳じゃないんだけど、ちょっと意外な進路を勧められたからさ」

アルミン「アニは何が向いているって言われたの?」

アニ「看護師」

アルミン「看護師?! ヤバい! 似合いすぎるよ!!」

エレン「ああ。似合うぜ! 注射器持ってるアニ、似合いすぎるぞ!!」

アニ「変な意味で想像しないでよ。そういうコスプレ的な意味じゃないんだから」

アルミン「ああ、ごめんごめん。でも何で?」

アニ「うーん。まず、体力が人よりある事と、意外とその「優しい」気質を持っている事。人の事を割とよく観察している事。必要以上に人と関わらないようにしている事。集団行動より、1人での行動に耐えられる事。所謂、自分の判断で動くって事だね。他には……安定した収入、かな」

アルミン「へーなるほど。それだけ言われれば確かに合ってる気がするよ」

アニ「でも私、看護師なんて考えた事もなかったから、びっくりしてね。ぼんやりと洋服関係の仕事でもしようかなって思っていたくらいだから、斜めからの提案で面喰っているんだ」

エレン「オレも似たようなもんだぞ。頭足りれば医者いけるって言われたんだし」

アニ「ああ、そうなんだ。じゃあもしかしたらいつか、一緒に働く事になるかもね」

アルミン「羨ましいな〜エレン〜」

エレン「え? いや、そりゃあそうなったら楽しいかもしれんが、まだ分からんだろうが」

アニ「アルミンはなんて言われたの?」

アルミン「僕の場合は適正で言えば『弁護士』あたりかなって。ただ、医者にもまだ未練があるから、もうちょっと考えてみる」

アニ「そうなんだ。アルミンの場合はどっちでもいけそうだね」

アルミン「うーん。どうなるか分かんないけどね。あくまでエルヴィン先生の判断だし」

アニ「でもエルヴィン先生ってそういうの、凄く客観的に人を見るから、結構当たってる気がするよ」

エレン「まあな。そういう意味じゃ進路指導の先生としては合ってるよな」

アニ「うん。そう思うよ」

ガララ……

あ、クリスタが出て来た。あんまり顔色良くねえな。

177進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:28:56 ID:oClsVUdU0
クリスタ「ううーん………」

エレン「どうだった?」

クリスタ「あのね。私、自分の進路を真っ向から否定されちゃった……」

アルミン「クリスタも? 何て言ったの?」

クリスタ「看護系かな。そういう人を助ける仕事をしてみたいと思っていたんだけど、向いていないって」

エレン「アニと逆なのか。何でだ?」

クリスタ「その………イイ人だって思われたくてやるんだったら、やめた方がいいって」

エレン「イイ人? ん? イマイチ意味が分からんな」

アルミン「見栄の為にやるんだったらやめろって話?」

クリスタ「うーん。私自身はそうは思ってないんだけどね。ただ、ちょっと私は『人に対する過剰なサービス精神』のようなものがあるって言われてね。やるんだったら『芸能関係』の方が向いているかもしれないって言われちゃった」

アルミン「芸能?! それって、女優とかアイドルとかモデルとか?」

クリスタ「まあ、そうなるのかな? 確かにモデルは1度だけやった事あるけど、私、演劇部に所属している訳でもないし、いいのかなあ?」

アルミン「全然問題ないよ!!! なんなら今からでも演劇部に移籍したら……」

クリスタ「いや、それは無理だよ。私、野球部マネージャーを本格的にやり始めているし。今は弓道部よりそっちの方がメインになっているんだ」

アルミン「そうなんだ……(シュン)」

クリスタ「確かにミスコンの時も、いろいろ考えすぎて失敗しちゃったしね。男子にウケる事ばっかり考えて、自分の意志がなくなっていたのは本当だし。でも、エルヴィン先生はその考え方を否定はしなかったの。むしろ、そういう『サービス精神』を利用した職業を目指した方がいいかもしれないって言われてしまって……加えて私は『マニュアルがないと不安になるんだろう?』と言われたし、女優も視野に入れていいって言われたんだよね」

エレン「へーそうなんだ。そういうもんなのか」

意外な進路だな。クリスタは「女優」に向いているのかもしれないのか。

エレン「劇部の様子、見学してみるか? 別に部活動はしなくてもいいからさ。空気に触れるだけでも大分違うんじゃないか?」

クリスタ「うーん。そうだね。それも有りかもしれない。今度、見学してみるよ。皆の練習風景を見せてね」

アルミン「大歓迎だよ!!!」

あ、今度はコニーが出て来たぞ。あいつ、なんて言われたんだろ。

コニー「あああああ……くそおおおおお」

コニーも何か言われたっぽいな。

178進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:53:05 ID:oClsVUdU0
コニー「野球選手一本じゃダメなのかよーうーん」

エレン「コニーも進路を否定されたのか」

コニー「否定じゃねえけどさー。野球一本に絞ってプロ野球選手になりたいって言ったら「怪我したらのたれ死ぬけどいいの?」ってずばっと言われた」

エレン「まあ、怪我したらプロ続けるの難しくはなるよな。それで引退する選手だっているんだし」

コニー「そおだけどさあああ。それ言い出したら、プロの道、いけなくねえ? 保証なんて何もない世界だけど、でもそれでも好きだから野球するんじゃねえか。他の道なんて考えた事もねえよおお」

と、コニーが頭を悩ませている。

コニー「オレ馬鹿だからさ。野球以外の事、ほとんど何もしてねえんだよ。勉強だってギリギリだし。自慢出来るのは体力ある事くらいだぞ?」

エレン「いいじゃねえか。体力ねえと出来ねえ仕事は沢山あるぞ」

コニー「そおかあ? 例えば何だよ」

エレン「オレが勧められた『消防士』とか『レスキュー隊』とか『自衛隊員』だよ。この辺は体力の方が必須だからな。コニーもいけるんじゃねえの?」

コニー「ああ、そういう意味かーいや、でもなああ。野球選手になりたいんだよ。オレは!」

アルミン「じゃあエルヴィン先生は野球選手以外だったら、何が良さそうって言ったの?」

コニー「ううーん。野球以外だったら『保育士』とか? 男だけど。オレ、下に妹と弟いるからさ。子供の面倒を見るのは得意なんだよ。子供と遊ぶのは好きだしな。後は『宅配業者』とかだな。単純な肉体労働系もいけそうだって言われた。引っ越し屋とかだと、頭使うから向いてないみたいだけど。そんな感じだな」

アニ「保育士、いいんじゃないの? 私、合ってると思うけど」

コニー「ええええ? そうかあ? いや、でもなあ。うーん」

と、コニーも頭を悩ませている。

コニー「野球選手以外の道はまだ見たくねえっていうか、夢はまだ持っていたいというか。来年の甲子園出場が、オレの将来を決めると言うか。せめてベスト8までは残りたいというか……」

エレン「まあそんなに思いつめるなよ。野球選手でいきたいなら、今はその夢を追いかけていればいいじゃねえか」

コニー「だよな! よし、そうしよう! エルヴィン先生には悪いけど、今はまだ諦めねえぞ!」

と、いう訳で次はサシャが出て来たぞ。

179進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:55:16 ID:oClsVUdU0
サシャ「むふー」

サシャは機嫌が良かった。希望が通ったのかな?

サシャ「エルヴィン先生はいい先生ですね! とてもいい話を聞けました!」

エレン「サシャはなんて言われたんだ?」

サシャ「ええっと、ですね。私の場合はあまり学業に力を入れる必要はないと言われました。それよりも、今持っている「スキル」をこのまま高めてそれを利用した仕事に就いた方がいいとも言われました。私、いろいろバイト経験があるので、社会に出る時にそれが有利になるし、父の仕事なども手伝っているので、経験は十分だと言われました。なので、今やっているフォトショ関係の仕事、漫画家さんのアシスタント等ですね。そういった「芸術」関係の仕事が向いているかもしれないと言われました」

アルミン「意外だね。インドア関係でいいんだ」

サシャ「そうですね。肉体労働も嫌いではないんですが。私の場合、マイペースにやれる仕事の方がいいみたいです。人と深く関わってする仕事より、個人の能力を生かした方がいいだろうって言われました」

エレン「そういうもんなのか。良かったなサシャ」

サシャ「はい! 学業に力入れなくていいって言われた事で、父がびっくりしていましたが、何となく察してくれました! これで「勉強しろ!」と必要以上に言われなくて済みます。むふふふ」

先生としてそれ言っちゃうのってどうなんだと思わなくもないが、サシャの場合は確かに違う能力を伸ばした方がいいのかもしれないな。

そんな訳で初日の四者面談は1時間過ぎた程度で全員分が終わった。

他のメンバーはまた後日だな。ミカサは最後の方になる筈だ。

今日の結果をミカサに話しながら家に帰ると、ミカサは「すごい」と驚いていた。

ミカサ「エルヴィン先生はやはり凄い。人の事を良く見ている」

エレン「やっぱり先生になるだけあるな。皆、いろいろ悩んでいたけど、アニとかは思ってもみなかった方向を提示されたんだぜ? オレもある意味そうだけど。それって、やっぱりエルヴィン先生じゃねえと出来ねえよな」

ミカサ「うん。私はなんて言われるんだろう。ドキドキする」

エレン「ミカサの場合はいろいろ選択肢を提示してくれるかもしれないな。頑張れ」

ミカサ「うん。頑張る」

と、ミカサがちょっと赤くなった。可愛い。

…………。えええい! 家の前(玄関前)だけど、まあいいや!

180進撃の名無し:2014/08/01(金) 14:57:00 ID:oClsVUdU0


チュ……


ミカサ「!」

エレン「悪い。今、したくなった」

ミカサ「んもう……(照れてる)」

エレン「だって、ミカサが可愛いのが悪い……」


ゾク……


あれ? なんか急に寒気が……


グリシャ「エレン? ルールは破っちゃダメだよ?」

エレン「?!」

後ろを振り向いたら、何故か親父とおばさんが並んでこっちを見上げていた。

え? え? 親父、先に帰っていたんじゃなかったのかよ?!

ミカサの母「今日は帰りを迎えに来て貰ったの〜学校帰りにね。そのまま買い物もしてきたのよ」

グリシャ「ああ。今、帰って来たところだ。偶然だね。車の音、聞こえなかったのかな?」

エレン「うぐぐぐぐ」

すいません。見過ごしていました。それだけミカサの方に集中していたんで。

グリシャ「晩飯のおかず、1個減らすよ。今日だけは多めに見るけど、次はないよ」

エレン「は、はい……(シュン)」

という訳で、やっぱり親父に怒られたりしながらその日は終わったのだった。

181進撃の名無し:2014/08/01(金) 15:35:13 ID:oClsVUdU0









10月20日。四者面談2日目。

ジャンが面談を受けた後、物凄く唸っていた。

エレン「大丈夫か? お前もなんかエルヴィン先生に進路否定されたのか?」

ジャン「いや、否定はされていないんだが……」

ジャンは廊下の椅子に座って腕を組んで悩んでいた。

ジャン「公務員を希望するのは構わないけど、一口に公務員と言っても幅が広すぎるからもう少し絞った方がいいって言われた」

エレン「そうなのか。公務員ってそんなにいろいろあるんだ」

ジャン「あーなんか、土木、水産、地域観光、あとなんだっけ。所謂、部署が物凄く幅広いから、勤務先次第では自分が全くやった事のないジャンルの仕事とかバンバン回される可能性も高いから、そういうのに耐えられる? って聞かれてな。オレはすぐに「出来ます」って言い返せなかったから、目指すんだったら、警察とかの方がまだいいかもしれないって言われたな」

エレン「ははは! 斎藤役で警察官やった甲斐があったな。縁があるんじゃねえの?」

ジャン「うーん。斎藤役をやってる時、物凄くしっくりきたからな。案外、合ってるのかもしれないが……」

と、ジャンがぐだぐだ言っている。

ジャン「でも警察官も結構激務って聞くよな。出来れば土日は休める仕事の方がいいけどな」

エレン「んーでも、ジャンの場合は一番は「安定した収入」なんだろ? それだったら、警察官でも良くねえか?」

ジャン「うーん。まあ、悪くはないんだろうけどな。ただ警察に入るなら、格闘……柔道か剣道か空手か。習った方がいいとも言われたな。実践で使うだろうし」

エレン「習えばいいじゃねえか。そういうのは大学入ってからでも習えるだろ」

ジャン「そうだな。一応、大学には入ってみようかとは思う。キャリア組目指す訳じゃないけど、演劇部の事をしながら習い事はちょっと無理だしな」

エレン「ジャンの場合は公務員無理だったら、大手の企業とか、中小企業のサラリーマンでも別にいいんだろ?」

ジャン「まあ、出来れば潰れない会社に入りたいけどな。どうしようもない時はそうなるだろうな」

という訳で、2日目の四者面談はそんな感じで終わった。

10月21日。四者面談3日目。

ハンナも唸っていた。どうやら進路を否定されたようだ。

ハンナ「ううーん。お嫁さんになりたいとか言ったら「離婚されたらどうするの?」って返されてしまった」

ああ、所謂永久就職希望か。女の子らしいな。

オレは別にそれでも構わないと思うけど。ハンナって彼氏いたっけな?

10月22日。四者面談4日目。

ヒッチが浮かれていた。サシャみたいにいい事でも言われたかな。

ヒッチ「水商売でいいです♪ って言ったら、親泣いたけど、エルヴィン先生は「いいんじゃない?」って言ってくれて助かったわー。止められるかと思ったけど、案外いい先生だね!」

マジか。それでいいのかヒッチ。夜の花道いくのかあいつ。

ヒッチ「まあ、親がどうしてもダメっていう場合は「花魁」目指すけどね。そっちにも興味あるんだ〜♪」

もうあいつの天職な気がしてきた。まあ、いいか。

ベルトルトが赤面していた。何だろ? 変な反応だな。

ベルトルト「まさか僕が『秘書』とか『マネージャー』とか向いていると言われるとは思わなかったな……」

おお、そうなのか。あ、でもそれっぽい感じはするな。

ライナー「いいんじゃないか? ユミルとコンビ組んだ時もサポート役がうまかったと、ユミル自身が言っていたぞ」

ベルトルト「そ、そうなのかな」

ライナー「ああ。たまにドジだが、悪くない。ってユミルが言っていた。お前は影に徹する仕事がいいのかもしれんぞ」

なるほど。目立つのが苦手なベルトルトらしいな。

182進撃の名無し:2014/08/01(金) 15:56:27 ID:oClsVUdU0
10月23日四者面談5日目。

マルコが唸っていた。エルヴィン先生、とことん唸らせるなあ。

マルコ「まさか『心理カウンセラー』とか『精神科医』とか『スポーツ監督』とかその辺を勧められるとは思わなかったなあ」

ジャン「えらくジャンルが離れているな。なんか共通するところあるのか? それは」

マルコ「ああ、えっとね。僕は所謂、「相談役」に向いているって事らしいよ。女房役っていうのかな。まあ、捕手やっていたし、元々そういう気質なんだろうけど、表にガンガン出るタイプじゃないけど、陰で他人に知恵を授けたり、後押ししたり、後は采配したり? そんな感じの事が得意みたいだから、それを活かせる仕事はどうだ? って言われたね」

ジャン「悪くねえんじゃねえか? オレもよくマルコには相談ごとするしな。アドバイスは的確だし」

マルコ「うーん。でも、僕は建築関係の仕事をしようかなって思っていたんだよね」

ジャン「だったら、建築関係のアドバイザーとかはどうだ? くっつけちまえば」

マルコ「! そんな業種、あるのかな?」

ジャン「設計の段階で相談していろいろ決めるだろ。住宅の設計士にでもなれば?」

マルコ「ジャン! 頭いいね! それいいかもしれない!」

と、マルコも進路の先が見えたようだ。

マルロ「………政治家か」

ヒッチ「?! えらくでかい夢を言い出したね。え? それを勧められたの?」

マルロ「政治に関する仕事、がいいかもしれないと言われた。一番いいのは政治家だろうが、しかし公務員を目指していたんだが、まさかそっちを勧められるとは思わなかった」

ヒッチ「超ウケるwwwwwいいんじゃない? 夢はでっかくいこうよwwww」

マルロ「笑われてもな……いや、本当にどうするべきだ。これは」

マルロ、大きい男だな。頑張れ。

ミーナ「うううん。普通のOL希望だったのに、飲食店を勧められてしまった。個人で経営する方がいいかもって。組織に属するよりそっちの方がいいかもって言われた」

ハンナ「そうなんだ。でも、いいんじゃない? カフェ経営とか。似合いそうだよ」

ミーナ「確かにコーヒーとか紅茶は好きだし、甘い物も大好きだけどーOLも捨てがたいのよね」

ハンナ「職場恋愛とか?」

ミーナ「う……バレたか」

こっちの2人は結婚の方を重要視しているようだな。

183進撃の名無し:2014/08/01(金) 16:25:28 ID:oClsVUdU0
そしていよいよミカサだ。何言われたんだろうな。

ミカサ「……………」

あれ? 浮かない顔だな。ダメだしされたのかな。

ミカサ「ううーん」

エレン「何言われたんだ?」

ミカサ「旦那になる男と同じ職業がいいかもしれないって言われた」

エレン「ええええ? なんだそれ?」

ミカサ「えっと、私の場合、職種に拘る性格ではないので、愛する人と一緒に生活出来さえすればいいから、本当に何でもいいそう。で、あれば、結婚相手と似たような職業、もしくはいっそ同じ仕事に就いていいんじゃないかって言われた」

エレン「えええええ……それって、オレ次第って事か?」

ミカサ「そうなってしまう。エレン、ごめんなさい」

エレン「いや、いいけどさ。いいのか、本当にそれで」

ミカサ「部活動を決めた時もそうだったので、概ね問題ないかと」

エレン「あ、そう言えばそうだったな。いや、でも、1個くらい適性の職業なかったのかよ」

ミカサ「あえて言うなら『農家の嫁』と言われてしまった。農業が向いているそう」

エレン「そうか。農業か……」

ミカサは確かに作物育てるの好きだもんな。

ミカサ「エレンは今のところ『医者』か『消防士』か『レスキュー隊』か『自衛隊員』くらいを見ているのよね」

エレン「ああ、医者はまあ、成績次第だけどな。多分、相当頑張らないと難しいとは思うけど」

ミカサ「私は本当に、自分のやりたい事が特に「ない」状態なので、エレンと同じ仕事を選択してはダメだろうか?」

エレン「うーん……本当にそれでいいのかなー」

責任重大だな。オレ、ミカサの人生も抱える事になるのか。

いや、でも、そうだよな。ずっと一緒に生きていくつもりなら、それくらい抱えなくてどうする。

エレン「本当に、それで後悔しないな? ミカサ」

ミカサ「うん。後悔しない」

エレン「分かった。だったらオレも覚悟を決める。出来るだけ早いうちに進路を絞るから。それまで待っててくれ」

ミカサ「うん」

ミカサが小さく微笑んだ。嬉しいのか。こんな程度の事で。

なんか幸せだった。ミカサの反応が。こんな事でも。

手、繋ぎたくなった。急に。

だから、手をすっと、握ったら、ミカサがびっくりした。

ミカサ「エレン?」

エレン「いや、なんとなく。手、触りたくなった」

ミカサ「うん……」

ユミル「廊下で急にイチャイチャするのやめてくんねえ?」

エレン「うわああびっくりした! ユミルか。もう終わったのか?」

ユミル「あーまあ、一応な」

ミカサ「ユミルはなんて言われたの?」

ユミル「あーうー」

何だ。歯切れが悪いな。

184進撃の名無し:2014/08/01(金) 16:35:36 ID:oClsVUdU0
ユミル「エルヴィン先生、あの人馬鹿なんじゃねえかなって思うんだけど」

エレン「え? 何言われたんだよ」

ユミル「………女社長になったらどうだって言われた」

ミカサ「お、大きい……!」

ユミル「でかすぎるだろ!!! どう考えても! 現実的じゃねえし。アホだろ。あの先生」

エレン「いやいや、案外そうでもないかもしれないぜ? ユミル、社長になったらいいじゃねえか」

ユミル「だから、「何の」社長だよ!! 社長って一口に言っても、いろんな企業があるだろうが! 私は「それ」を聞きたかったのに「それは何でもいいと思うよ。ピンときた物を取り組めば」とか何とか。分かりにくくてしょうがねえ!」

と、頭を抱えていた。

ユミル「私はそんなでかい夢なんてねえんだよ! とりあえず、生きていけさえすればそれでいい! その為なら、多少犯罪ギリギリの事でもやってやんよ!!! アウトでもバレなきゃいいと思ってる! とにかく金を稼ぎたい!! その手段を聞きたかったのに、あの先生はもうおおおお!」

うーん。これだけ意欲的なら「社長」に相応しいと思うんだが気のせいか?

ミカサ「では、ユミルが好きな事をすればいいのでは?」

ユミル「好きな事?」

ミカサ「そう。ユミル自身が興味を持つ事をすればいい。何か、ないだろうか?」

ユミル「私が興味あるのはクリスタに関する事が殆どだからな……」

ミカサ「では、クリスタを綺麗にする為に化粧品の会社を立ち上げるとかはどうだろう?」

ユミル「………あーそういう事ね。なるほど。それだったら、悪くないかもな」

と、ちょっと落ち着いたようだ。

ユミル「女性に関する会社とかいいかもしれないな。ありがとう。ミカサ。ちょっと取っ掛かりが見えたよ」

と、手を振って去って行った。

ユミル、本気で会社立ち上げる気かな。いやでも、案外やり手だから本当になっちまうかもしれない。

185進撃の名無し:2014/08/01(金) 16:56:43 ID:oClsVUdU0
最後はライナーだった。ライナーもまた唸っていたな。

ライナー「いろいろ多すぎて困ったな。適正が有り過ぎるそうだ」

エレン「有り過ぎるって、どれくらい?」

ライナー「まず体力のいる仕事だと『警備員』『警察官』『自衛隊員』『スポーツ選手』『消防士』等だな。ただ『教師』『塾の講師』等の子供と関わる仕事も大丈夫らしい。後は『農業』『漁業』等の体力勝負で地域に根づく仕事も大丈夫らしいが……これだけあると、何を選べばいいのか分からなくなってしまった」

才能が有り過ぎるのも問題だな。

ライナー、オールラウンダータイプだからかえって選ぶのが困るんだよな。

ライナー「じっくり考えるしかないか。選択肢の幅が多い方が悩む事になるが仕方がない」

と言ってライナーも去って行った。

そんな感じで第一回目の進路相談はそれぞれいろんな思いを抱え、無事に終わったのだった。

そして翌週の月曜日。10月27日の体育の日。

その日は天気も良好で、外でテニスの授業をやっていた。

一応、硬式テニスだ。テニヌを思い出しちまうけど。笑ってはいけない。

その日は皆、リヴァイ先生の様子がおかしい事に気づいた。

妙に肌艶が良かった。というか、機嫌が良すぎて気持ち悪い。

常に口元が上がっているし、なんていうか、たまに思い出し笑いをしている。

エレン「……………」

あー。なんとなく、皆も気づいている。

昨日は第4日曜日だった。確か体操部の活動も月1でお休みの日だ。

中間テストも進路相談も終わったし、ちょっと一息お休みが取れたんだろう。

多分、アレは、やったな。ハンジ先生と。

エレン「あの、リヴァイ先生。今日はご機嫌ですね」

一応、カマをかけてみると、

リヴァイ「ああ。そうだな。すまん。ついつい。にやけてしまってな」

エレン「イイ事でもあったんですか?」

リヴァイ「最高の夜だったよ。昨日は久々に、楽しめた」

と、言い切ったので確信した。やったんだな。遂にやったんだな!

エレン「あー………それはおめでとうございます」

思わず言っちまった。なんか、つい。

リヴァイ「ありがとう。………ふふっ」

やっぱりリヴァイ先生、浮かれている。超浮かれている。

186進撃の名無し:2014/08/01(金) 17:22:50 ID:oClsVUdU0
リヴァイ「ハンジがあんなに可愛い女だとは知らなかったな。もっと早く手を出しておけば良かった」

惚気きた!! 授業中だって事、完全に忘れているぜ! リヴァイ先生!!!

エレン「なんか今までと随分変わりましたね。リヴァイ先生」

リヴァイ「自分でもそう思っている。こんな風に浮かれる自分は初めての経験だ」

エレン「ちなみに、どんな感じで迎えたんですか?」

参考までに聞いておこう。ミカサとの、予習の為に!

リヴァイ「スイートホテル、一泊だけ宿泊してきた。エルヴィンとピクシス先生からの宿泊券のプレゼントを貰ったからな。早速使わせて貰ったよ。そういう豪華な場所で夜を過ごすのは初めてだったらしく、慌てふためくハンジの顔は面白くてな。ついつい、いろいろ苛めてしまったよ」

ドSだ! 今、はっきりとドSの顔をした!

大人の夜だな。すげえ。オレには真似出来ないけど。

リヴァイ「あいつの反応がいちいち新鮮だった。こっちがいろいろ教えてやったらその都度「こんなの知らないよ!」とか「ちょっと待って!」の連続でな。いやはや、追い詰めるのが楽しくてしょうがなかった」

エロ! なんかもう、調教しているようにしか聞こえない。

皆、こっそり会話聞いているみたいで、ぶふっ! と吹いていた。

エレン「まるで調教しているようにしか聞こえないんですが」

リヴァイ「調教? いや、そんな生易しい言葉じゃ足りないな。これからゆっくり10年分のツケを支払わせる。あいつの過去の男達を全て忘れさせてやるくらいに、俺のやり方を仕込むつもりでいる」

うわあああ。ちょっと怖いくらいリヴァイ先生、変態発言しているぞ。

鳥肌が立ってしまった。ここまで凄いといっそ潔いけどな。

とまあ、リヴァイ先生はすげえ浮かれていたけど。

10月29日。生物の授業の時のハンジ先生はリヴァイ先生のような感じではなく……

ハンジ(ぼーっ)

エレン「ハンジ先生?」

ハンジ「はいはい?! 何かな?」

エレン「教科書逆さまに持ってますよ?」

ハンジ「うわああああ!? ごめんねええ?! ぼーっとしてた!」

と、調子が狂っているようだ。

授業はちゃんとやってくれるけど、ちょっとした「間」が出来ると「ぼーっ」としてしまうようで、困っている。

187進撃の名無し:2014/08/01(金) 17:43:10 ID:oClsVUdU0
そしてたまに赤くなって、息をついて、思い出しては顔を隠して忙しい。

授業が終わった後、オレはハンジ先生に声をかけた。

エレン「だ、大丈夫ですか?」

ハンジ「うん。今のところは大丈夫。大丈夫だけど……」

エレン「けど?」

ハンジ「いつまでこの状態が続くのかなあ? もう、地に足がつかないような「ふわふわ」な感じがあの日以来、ずっと続いているんだよね。ねえ、これが「トキメキ」ってやつなのだとしたら、君達、よほど心臓が強いんだね……」

エレン「まあ、そうですね。でもオレ達も、そんなもんですよ? ハンジ先生」

ミカサ「確かに。しょっちゅう、ふわふわします……ので」

ハンジ「そうなんだー凄いねえ。君たちの方が若いのに。こういうの、先に経験していたんだね。予想以上に、とんでもない経験だよー」

と、うるうるするハンジ先生だった。

ハンジ「リヴァイとの初エッチ、6時間もかけられるとは思わなかったよー。今まで経験したものが全部、馬鹿みたいに思えるよー」

エレン「ろ、6時間って?!」

長げえええ! え、そんなに時間かかるもんなのか?! 1〜2時間くらいのイメージだったんだけど

ハンジ「うん。全部でそれくらい。勿論、途中で休憩込みだけど。いろいろ凄かったんだよ……」

ミカサ「本当、エロ親父……やっぱり変態教師だったか」

まあ、ミカサは最初からそう言っていたな。当たっていたんだな。アレ。

ハンジ先生は顔を隠して俯いてしまった。

ハンジ「恥ずかしいよーいつまでこんな状態続くのかなー怖いよー」

と、その時、昼休みになってリヴァイ先生が生物室に来た。

リヴァイ「ハンジ。一緒に昼飯食うぞ」

ハンジ「はいいいいいい! (ドキーン☆)」

リヴァイ「何、そんなにおっかなびっくりしてやがる。そんなに俺が怖いのか? (ニヤリ)」

ハンジ「滅相もございません! いや、本当、大丈夫だから! その……ああああああ!?」

無理やり引っ張られて生物室の外に連れて行かれた。

どうやら2人は一緒にお昼を食べるらしいが…。

まさかとは思うけど、リヴァイ先生、昼休みとかも学校でやったりしてねえよな?

一瞬、そう思ったけど。あえて突っ込むことは止めておいた。……当たっていたら怖いからだ。

そんな感じで、10月は文化祭やら中間テストやら、進路相談やらでバタバタして終わっていった。

11月になると少し生活も落ち着いてきたので、そろそろミカサに打診してみる。

エレン「ミカサ」

ミカサ「何?」

エレン「そろそろ、オレ達、初デート、しないか?」

ミカサ「する!」

即答するミカサにオレは微笑んだ。ま、オレ達はオレ達のペースでいかないとな。

そんな風に思いながら、お互いにニヤッと笑ったのだった。

188進撃の名無し:2014/08/01(金) 17:46:29 ID:oClsVUdU0
という訳で、リヴァイ×ハンジは無事にゴールしました。
今日はここまでにします。次回はエレンとミカサの山登りデートだ!

189進撃の名無し:2014/08/01(金) 20:34:31 ID:/t7hU82A0
ミカサくそかわいい、いや本当。旦那次第とか最高だよあんた!

190進撃の名無し:2014/08/02(土) 02:48:31 ID:qHfx80Dw0
おお初デートくるー!
デートは当日より当日を待つ楽しみもすごくワクワクするよね
デートを夢見る乙女なミカサ
何を着ようとか、アニやクリスタに相談したら可愛い

リヴァイはうかれてるんだろうけどちょっとキモイwww

191進撃の名無し:2014/08/02(土) 09:27:35 ID:qFTl47gc0
山登りデートやった!
突然の雨とかラッキースケベが待ってるんだろうなw

エロはともかく、リヴァイ先生視点の番外編は見たい
エレンじゃないが、ニヤニヤしそう
…すいません、エロもお願いしまつ

192進撃の名無し:2014/08/02(土) 10:32:11 ID:8SmJZqTg0
リヴァハン長かったからそろそろエレミカがみたい

193進撃の名無し:2014/08/02(土) 14:04:48 ID:jl/nRLqY0
>>192
お待たせしてすみません。デート編でがっつりいきますよ(笑)

194進撃の名無し:2014/08/02(土) 14:16:22 ID:jl/nRLqY0








11月2日。日曜日。その日は晴天だった。

気候も真夏のような暑さはなく、だんだん涼しくなってくるこの季節。

紅葉も色づいてきて、山登りには最適な季節になった。

オレとミカサは初めてのデートに「山登り」を選択した。

女の趣味にある程度合わせた方がいいという、リヴァイ先生の特別授業を参考にする事にしたのだ。

山登りをするのは初めての経験、という訳でもないが、相当久しぶりだった。

確か、小学五年生の頃、「少年自然の家」とかいうイベントがあって、皆で山登りした以来じゃねえかな。

なので山登りに必要な物とかはミカサと一緒に話し合って装備を大体決めた。

今回登る山は初心者向きのもので、駅から1時間半くらいで着く近場の山を選んだ。

朝の6時には家を出発して、8時頃にその山のスタート地点に着くと、そこには結構、いろんな人達が集まっていた。

エレン「おおおお……やっぱり行楽シーズンなだけあって、結構、人がいるな」

若いカップルだけでなく、熟年の夫婦や家族連れなどもいた。

皆、似たような格好でわいわい言いながら山に登ろうとしている。

今日は山登りが目的なので、オレの服装もそれに合わせた長袖長ズボン。あと帽子をかぶっている。

勿論、ミカサも似たような格好だ。白い長そでのTシャツにジーンズ姿だけど、ミカサは足なげえから、すげえ似合っている。

195進撃の名無し:2014/08/02(土) 14:48:02 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「まずは参拝コースを歩いてみよう。エレン」

エレン「おう!」

神宮参道を歩くのんびり参拝コース。というものがあって、今回はまずそれをなぞってみる事にした。

銅鳥居をスタートして、神宮奉幣殿までの石段の参道をのんびり歩いて登るコースとあったので、初心者には向いているだろう。

参道の周辺には沢山の坊舎跡や名所が見られるとも案内にあったので、楽しみだ。

歩いてすぐ、財蔵坊と呼ばれる民俗文化財を見る事が出来た。内部を見れるのは土日だけとあったが、時間が午前10時からとあったので、中を見る事は出来なかったが、山伏が生活した当時のままの姿を残しているその建物を見て、ミカサは「おおお」と感嘆の声をあげていた。

ミカサ「すごい。古い建物がそのまま残っている」

エレン「歴史を感じるよなー」

と、まるで修学旅行に来た時のようなノリで感心しながら歩いていく。

次は庭園を見た。旧亀石坊庭園と呼ばれるそこを見たり、山道の歴史館みたいなところも有ったけど、博物館関連はやっぱりまだ開いてなかった。来るのが早すぎたみたいだ。

そして最後は神宮奉幣殿にたどり着いた。この山の中心的な建物で、朱塗りの柱が目を引く大きな建物だった。

国の指定重要文化財なんだそうだ。結構、格好いい。

やっぱりこういうところに来たからには拝まないとな。

御賽銭入れて、手を合わせてみる。何を報告するかな。

んー。進路を早めに決めたいので、どの職業が一番いいか教えて下さい!

………なんてな。まあ、他力本願な願掛けをしてみる。

いや、本気で言ってる訳じゃねえよ? こう、ヒントくれ! くらいのノリだ。

ミカサ「よし! エレン、ここから本番」

エレン「だな」

次はここから山頂まで登っていくコースだ。時間にして大体、75〜90分くらい歩くコースになるらしい。

神宮奉幣殿から中岳に向けて出発する。下宮を通過して、杉木立の中、石段を登っていく。

エレン「ほ! ほ! ほ!」

ミカサ「エレン、飛ばし過ぎると後で疲れる」

エレン「わり! テンション上がってきたからさ!」

と、石段をぴょんぴょん飛びながら先を行く。空気がうめえな。自然の中はやっぱりいいな!

そして20分くらい登ると、一の岳展望台が見えた。ここで小休止出来るみたいだ。

エレン「どうする? 一回休憩するか?」

ミカサ「うん。ちょっと水を飲もう」

という訳で小休止。慌てる必要はないからな。ゆっくり行くぜ。

ミカサ「ふう……(お茶飲んでいる)」

リラックスモードのミカサが超可愛い。こう、ほっとするよな。

ミカサ「な、なに…? (ドキッ)」

エレン「いや、可愛いなーと思って見てた」

ミカサ「んもう……(照れる)」

あーもう、いいな! こういうの! デート最高!!

196進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:08:56 ID:jl/nRLqY0
展望台からの景色も最高だった。晴れて良かったぜ。

自然の中にいると、気持ちも落ち着いてくる。こう、すかっとする感じだ。

展望台にはオレ達以外の人も小休止しているので、あまり露骨なイチャイチャは出来ないが、山頂についたらミカサと少しくらい、エッチな事もしていいよな? ダメかな?

とか思いながら景色を眺めていたら、ミカサもこっちを見て、

ミカサ「エレン、そろそろ行こう」

エレン「おう!」

5分くらい休憩して再開。杉木立の中をまたずんずん登っていく。

あ、途中でベンチもあった。やっぱり休憩所は適度に備えられているようだ。

でもオレ達はベンチはスルーして(というか先客がいたので)先に進んだ。

鎖を使って登る箇所があった。ミカサを先に行かせて、お尻を持ち上げてやる。

ミカサ「ひゃん! んもう、エレン……!」

エレン「いや、落ちない様にと思ってな」

ミカサ「いきなり触られるとびっくりする……」

エレン「悪い悪い(ニタニタ)」

ミカサ「んもう……(赤面)」

とまあ、そういう事もやりながら、先に進む。

中津宮を通過した。大体目安通りに登れているかな。45分くらいでここまで来た。

今度は下りの道だ。こけないように注意しながら先を行く。

再び石段の道が開けてきた。よいしょ。どんどん登っていくぞ。

産霊(ムスビ)神社に到着した。ここまでで75分。大体予定通りだ。

水場があったので、そこで水も頂く事にした。冷たい水が超気持ちいい!

先を行くと、上宮が見えてきたぞ! あともうちょっとだ!

上宮中岳山頂に着いた。ここまでで90分くらいだ。

山頂の広場に着いた。やったー! 予定通り着いたぞー!

ミカサ「着いた……」

エレン「おう! 着いたな! 到着だ!」

ミカサ「結構、意外と人がいる」

エレン「みたいだな。この山、結構人気あるんじゃねえの?」

ミカサ「かもしれない。初心者向きの山登りに案内されているだけはある」

エレン「記念写真撮ろうぜ! ほら、ミカサ! よってよって!」

と、言ってオレ達は広場で(ガラケーだけど)記念撮影した。

エレン「今、何時だ?11:00くらいか。9:30分くらいから出発したからそんなもんか」

ミカサ「少し早いけど、お昼にする?」

エレン「そうだな! 昼飯食おうぜ♪」

お楽しみの昼飯時間だ! やっほーい!

197進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:16:39 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「おにぎりとか、卵焼きとか、ハンバーグとか、お煮しめとか」

エレン「基本の弁当きたー! ありがとうな! ミカサ!」

ミカサ「では、手を拭いて……(おしぼり持参)」

エレン「(吹き拭き)いっただきまーす!」

ミカサ「頂きます」

もぐもぐもぐもぐ。うめええええ! 超うめええええ!

なんだこれ?! いつもにも増して飯が超うめええええ!

やっぱり自然の中で食ってるせいかな。空気もうまいし、運動した後だし。

余計にそう感じて、ミカサも頷いている。

ミカサ「ね? 贅沢なデートになった」

エレン「ああ! ミカサの言ってる意味が分かったぜ! こりゃ贅沢だな!」

飯がうまく食えるっていうのは、最高だよな! 本当に!

持参した水とかお茶も適度に飲みながら、オレは腹いっぱい飯をかきこんじまった。

エレン「美味かった! 超美味かった! これは本当に、いいデートだな!」

ミカサ「うん。私もお弁当を作った甲斐があった」

エレン「ありがとうな。いつも、本当にありがてえよ。ミカサ」

ミカサ「うん……どういたしまして」

うるうるしているミカサが超可愛い。

ああもう、周りに人いなければ、ここで押し倒してキスしてハグして一気にやっちまうぞ! 外だけど!!

でも自重する。例の誓約書の件、まだ解決していないからな。

198進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:30:34 ID:jl/nRLqY0
エレン「そうだ。ミカサ、例の誓約書の件なんだけどさ」

ミカサ「うん」

エレン「エルヴィン先生曰く「親父の謎かけ」って言っていたけど、どう思う?」

ミカサ「んー……」

エレン「オレ、そういうのあんまり得意じゃねえからさ。ミカサの考えを先に聞きたいんだ」

ミカサ「文章を、そのままあえて、捉えるとすれば、だけど」

と、前置きをして言った。

ミカサ「エレンからの接触はダメで、私からの接触がOKだと仮定すれば、もしかしたら、やっていい事を制限しているのかもしれない」

エレン「やっていい事を制限?」

ミカサ「うーん。例えば、エレンのアレを、私の口でその……するのまではOKとか?」

ぶふううううううう!

危うくお茶零しかけた。ミカサ! オブラートに包み切れてねえぞ!

真っ赤になってオレは答えた。

エレン「いや、まあ、確かにそれは文面上は違反じゃねえけどさ。そんな事されたら、オレ、理性吹っ飛ぶぞ? 無理だぞ? 一気に最後までやっちまうぞ?」

ミカサ「やっぱり無理?」

エレン「多分、無理だと思うぜ。いや、ミカサがどうしてもやりたいって言うなら、我慢してやらなくもねえけど」

ミカサ「じゃあしよう(キリッ)」

エレン「即答かよ! え? 何、ミカサ、抵抗ねえの? そういうの?」

ミカサ「むしろしたくて堪らない(キリッ)」

エレン「そうなのか……いや、意外だったな。なんかそういうのって、あんまり女の方からしたがらねえイメージがあったからさ」

ミカサ「そうなの?」

エレン「んーそういうエロ本ばっか見てきたせいかな。嫌々やらされている奴とかの方が多いもんな」

まあ、その嫌そうな顔がかえってそそるという事情もあるんだろうけどな。

ミカサ「エロ本? (ぴくっ)エレン、エロ本を所持しているの?」

エレン「うぐっ……!」

しまった! 墓穴掘った!! 言うんじゃなかった!

ミカサ「エレン、どんなエロ本を見ているの? どういうのが趣味なの? (ゴゴゴ)」

エレン「お、怒るなよ!! アルミンから貰った奴とかだよ!! 中古本だから! アルミンが置く場所困るからって、引き取っただけだけだから!」

199進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:40:03 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「本当に? 本当にそうなの? <●><●>」

いかん! また例の目つきになってオレに迫ってくる! 話逸らさないと。

ええっと、リヴァイ先生の特別授業だと『機嫌悪い時は甘いもの』食わせろだったな。

あ、チロルチョコが確かあった筈! よし、ミカサの口に押し込もう!

ぐい!

咄嗟にポケットのチロルチョコを取り出して封をあけてミカサの口の中に押し込んだ。

ミカサ「!」

エレン「イライラしたらダメだろ? チョコでも食って機嫌なおせ」

ミカサ(もぐもぐ)

あ、ちょっと顔色が良くなった。すげえ! さすがリヴァイ先生だ!

特別授業を前もって聞いていて正解だったぜ!

ミカサ(ごっくん)

ミカサ「…………誤魔化されたような気がする」

エレン「あんまり気にするな! とにかく、その……オレとしては、そりゃあやって貰えたら嬉しい限りだけど、そこまでで自重出来るかが、自信はねえかな」

ミカサ「そう……(シュン)」

エレン「なんていうか、こういうのって「ここまで」って決めてやろうとしても、そこまでで済まない気がするんだよ。そういうスイッチが入ってしまうと、オレ、どんどん調子に乗っちまうからさ」

ミカサ「それは私も同じかもしれない」

エレン「だろ? だから、多分、それは違うような気もするんだ。答えが微妙に違うような……」

ミカサ「では、誓約書を交わした「理由」から推理してみよう」

と、ミカサが言い出した。

200進撃の名無し:2014/08/02(土) 15:58:22 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「おじさんは恐らく「私とエレンの間にうっかり子供を作らせない為」にこの誓約書を誓わせたと思う」

エレン「そうだな。そこを一番、親父は心配していたからな」

ミカサ「でも、今の避妊具は性能がいいと言われているので、よほどのドジをしない限りは、ちゃんと使いさえすれば妊娠はしないと思う」

エレン「だよなあ。不良品を使わない限りは多分、大丈夫だと思うんだけどなあ」

ミカサ「私もそう思う。それこそ、何万分の1の確率の話だけで、こんな誓約書を作らないと思う」

エレン「つまり、妊娠の問題だけじゃねえって事なのかな」

ミカサ「恐らくそうだと思う。そもそも妊娠させない為なら、枷は私にも及ぶ筈」

エレン「そうだよなあ。意味ないんだよな。オレだけだと」

あー分からん。親父は一体、何が言いたいんだろう?

ミカサ「エレンからの接触はダメで、私からの接触はOKだと考えるとすれば、それはまるで私の方が主導権を握るような話のように思える」

エレン「あ、まあ……そうなるな。ん? 主導権……」

主導権。なんか、その言葉を聞いた瞬間、ちょっと思い出した。

リヴァイ先生の特別授業だ。

リヴァイ『焦るなよ。焦ったら負けだと思え。若いうちはガンガンやりたくなる気持ちは俺も分かるが、女の体は男が思っている以上に傷つきやすい。やり過ぎて、病院に通う羽目になった女子生徒も多数知っている。勿論、中絶も含めてだ。やりたいだけなら、せめて年上の経験の豊富な女を選べ。同年代でやる場合は、特に経験値ねえんだから、女の方に出来るだけ合わせてやれよ』

これって、つまり。まさか。そういう意味だったのか?

ミカサ「エレン……? どうしたの?」

エレン「あ、いや……もしかして、だけどさ」

オレの中で仮説が組立て上がっていく。間違っているかもしれないけど、今はこれしか思い浮かばない。

エレン「親父、もしかして、セックスの主導権をミカサに握らせたかったんじゃねえのかな」

ミカサ「え……?」

エレン「今、ミカサが言った通りの意味かもしれねえ。多分、きっとそうなんじゃねえかな」

201進撃の名無し:2014/08/02(土) 16:11:56 ID:jl/nRLqY0
思い出せ。何故親父があれだけキレたのかを。

あの時の状況を。墓の前での出来事を。

エレン「親父はもしかして、オレの方が強引に、ミカサにキスするところばっかり見ているから、ミカサの方の気持ちを心配しているのかもしれねえ」

ミカサ「え? え? どういう事?」

エレン「つまり、ミカサがオレに「流されて」付き合っているんじゃねえかって、心配しているんだよ。きっと」

ミカサ「ええええええ!? (ガーン)」

ミカサが凄い顔になった。凄くショックを受けているようだ。

ミカサ「そ、そんな事ないのに。私は、エレンが大好きなのに……(涙目)」

エレン「いや、でも、誤解している可能性は十分にあるぞ。親父、オレの方からキスするところばっかり見ているような気がするし、オレの方から告白したって言ったし、ミカサの気持ちがどの程度なのか、測っていたんじゃねえかな」

ミカサ「だとすれば、つまりセックスのサイクルを決める決定権を私に委ねている…と?」

エレン「かもしれない。いや、本当にそうなのかは、まだ分かんねえけど。でも、そう考えれば誓約書の意味が通じる気がするんだ」

オレの方から接触してはいけない。

でも、ミカサからならの接触はOKだと仮定すれば。

その意味は、それ以外にあり得ない気がする。

ミカサ「では、もしかしたら、「危険日」を避けてやれば、セックスをしてもいいっていう意味なのかしら」

エレン「え?」

ミカサ「そう考えれば辻褄が合う気がする。もしもエレンに主導権を渡せば、私はそういう時でも、求められたらきっと、うっかり応えてしまう。でも、エレンの側からは女の生理のサイクルは分からない。そこをコントロール出来るのは、女の私しかいない」

エレン「つまり、妊娠しづらい時期であれば、所謂「安全日」って呼ばれる期間であれば……」

ミカサ「や、やってもいい……?」

お互いに、その答えにたどり着いて、手を握り合った。

エレン「多分、それだ!!! 親父はそれに気づかせる為に、謎かけみたいな事をしたのか!!」

ミカサ「エレン、家に帰ったらおじさんと答え合わせしよう!」

エレン「ああ、そうだな! あーなるほどな! 何か分かった気がするぜ!!」

202進撃の名無し:2014/08/02(土) 16:29:06 ID:jl/nRLqY0
回りくどい方法で縛った理由も分かった気がする。

つまり、オレの方が我慢している状態で、ミカサの方が我慢出来なくなった時に、その意味が伝わる様に。

ようやくオレ達の「枷」が1個外れるように、誓約書をかわさせたんだ。きっと。

エレン「くっそおおおお親父めええええ!」

なんかこう、踊らされたような気持ちもなくもないが。親父らしいやり口だと思った。

親父には一生敵わない気がする。こういうところ、本当すげえよ。

ミカサ「では私は明日から基礎体温計で基礎体温を測らないといけない」

エレン「ん? なんだそれ」

ミカサ「そういう道具がある。女のリズムを測る道具。ちょっと面倒臭いけれど、それがあれば、妊娠しやすい時期としづらい時期を大体把握する事が出来る」

エレン「そうなのか」

ミカサ「ただ、データを採る為には一月から二月程度の情報が必要なので、すぐには結果が出ない。生理のリズムだけで計算する事も出来なくはないけど、正確な情報が知りたいのであれば、やはり基礎体温は調べるべき」

エレン「おう。なんかその辺はミカサに任せるぞ」

ミカサ「うん。任せて欲しい。早ければ、12月以降にはリズムが掴めると思う」

エレン「じゃあ、来年になれば、オレ達、出来るのかもしれないのか」

ミカサ「かもしれない。勿論、おじさんに確認した上での話だけど」

よしゃああああああ! これで一歩前進だ!!!!

暗闇が晴れてきたような気がした。ああもう、早くうちに帰って親父に直接確認してえええ!!

203進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:18:55 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「でも、今日は確かおじさん、お仕事……」

エレン「あ、そうだった。なんか出張行ってるって言ってたな」

親父は医者だから、医学関係の発表会とか研究会とかの出張で全国あちこち出かける時もある。

今日と明日は家にいないんだ。だからすぐには確認出来ない。

電話で言うのもアレだしな。仕事邪魔する訳にはいかないし。待つか。

エレン「あーもう、うずうずするけどしょうがねえか」

ミカサ「うん。しょうがない」

エレン「まあでも、こういうの、わくわくして待っている時間っていうのも大事だよな」

きっと。階段を登っていくように。一個ずつ。

問題をクリアしていく事が、きっと大事なんだと思うんだ。

ミカサ「うん。焦る必要はない。私はずっと、エレンの隣にいる」

エレン「………」

やべえ。うるっとくるだろうが! そんな事言われたら!

あーもう。これから先、どうしようかな。

エッチの件はまあ、1歩前進したとはいえ、まだ進路の事、決めてねえし。

ミカサはオレと同じ道を行くと言っている。

だったら、オレ自身がミカサにどうなって欲しいのか。考えないと。

消防士は……もし万が一、ミカサが火傷したら嫌だから没だな。

自衛隊員は……似合いそうだな。隊服。でも確か、自衛隊員って全国を回るんだよな。

勤務先次第では遠距離恋愛になっちまう可能性もあるよな。それはちょっときついかもしれない。

レスキュー隊……悪くはねえと思う。そういうの、オレ、向いてるらしいし。

最後に医者。

エレン「……………」

204進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:20:30 ID:jl/nRLqY0
イメージした瞬間、びびっときてしまった。

白衣を着て、聴診器持って、診察するミカサを想像して、正直、きた。

萌えてしまった。レスキュー隊も悪くはねえんだけど。

女医っていう響きに、オレの心は躍ってしまって、その……。

馬鹿だと思うけど、正直言って、アホだとは思うけど。

進路の中で一番、ミカサになって欲しい職業は「女医」だった。

エレン「……………」

こういう決め方って、本当は良くねえかもしれない。

だけど、男って、案外単純に出来ている生物で。

エレン「ミカサ、あのさ……」

ミカサ「何?」

エレン「オレ、もしかしたら、無理かもしれないけどさ……」

無謀かもしれない。やめとけって止める理性の声も聞こえるけど。

オレの本能は「女医」を選んだ。ああ貶すがいい。むしろ本望だ。

女医の姿になったミカサを、オレは見てみたい。

だから。

エレン「医者の道、チャレンジしてみてえかも……」

ミカサ「医者? おじさんの跡を継ぐの?」

エレン「出来るんだったらな。ミカサも、一緒に医者の道、進んでみるか?」

ミカサ「エレンがその道を進むのであれば、私は何処でもついていく」

微笑んだ、ミカサの顔がとても綺麗で。

オレも一緒に微笑んだ。

エレン「正直、無理かもしれないけどな。でも、オレ、やるだけ、やってみるよ」

ミカサ「うん。一緒に頑張ろう。エレン」

と、言ってオレ達はじっと見つめ合った。

熱っぽい視線を交わして、唇が近づく。その刹那……

205進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:29:21 ID:jl/nRLqY0
ハンナ「すごくきれいな場所だねー来てみて良かったね。フランツ」

フランツ「ああ。綺麗だね……ハンナ」

見知った声が聞こえてびっくりした。そっちの方を振り向くと、

うおおおお何だ?! フランツとハンナも山登りデートしに来たのか。

え? でも、フランツって野球部じゃねえ? いいのかサボって。練習大丈夫なのか?

ハンナ「うん。たまには気分転換した方がいいよ。思いつめると良くないって」

フランツ「ありがとう……ハンナ」

ハンナ「いいよ。で、話したい事って、何?」

フランツ「………」

何だ。顔が赤いぞ。まさか……

フランツ「あの……ハンナ。単刀直入に、言うけど」

ハンナ「うん」

フランツ「つきあって、くれないかな。僕と」

ハンナ「え?」

フランツ「だから、その……おつきあいして下さい!」

ハンナ「いいの? でも、野球部、大変だって…」

フランツ「ハンナの応援があれば頑張れる気がするんだ。だから……」

ハンナ「本当に、私でイイの?」

フランツ「ハンナじゃないと、ダメなんだ!」

ハンナ「フランツ! (がばっ!)」

おおおっと?! 山の山頂で告白かよ! 何で遭遇しちまったオレ?!

ミカサ「おおお……ここはデートスポットでもあると書いてあっただけはある」

エレン「そうなのか?」

ミカサ「うん……でもまさかこんなところで2人に遭遇するとは思わなかった」

エレン「オレもだよ。いつの間にあいつら、そういう事になっていたんだ?」

ミカサ「委員会、ではないだろうか。2人は同じ委員に所属していた気がする」

エレン「そうだったっけ? まあ、接点があるならそうなったのも頷けるか」

2人はくっついたばかりで人目も憚らずイチャイチャし始めた。

おおおおおい。ちゅっちゅすんなー。周り見ろー。

人の事は言えないけど。アレだ。人がおっぱじめると、何かアレだな。

自分の事は棚に上げたくなるのが不思議だよな。

206進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:40:38 ID:jl/nRLqY0
まあいいや。あっちの馬鹿夫婦は放置しよう。今は自分の事を優先だ。

エレン「そろそろ、下るか? 天気、夕方から崩れるかもって予報で言ってたし。長居はしない方がいいだろ」

ミカサ「うん。そろそろ下ろう」

という訳で、フランツとハンナには声をあえてかけず、オレ達は先に山を下る事にした。

同じ道を下るだけだから道に迷う事はなかったけど、急に雲の様子が怪しくなってきた。

エレン「やべ……予報より早く雨、きそうだな」

ミカサ「少し急ぐ?」

エレン「だな」

という訳で、ちょっと早歩きで下っていると、


ザーザーザー


あともうちょっとってところで雨が降り出してしまった。

エレン「あーもう、運がない」

ミカサ「エレン。展望台で雨宿りしよう」

エレン「そうだなー」

軽く濡れた服をタオルで拭いて雨宿りする。

人の気配はなかった。恐らく、他の人は山頂か別の場所で雨宿りをしているんだろう。

エレン「…………」

雨で少し体が濡れたせいか少し寒そうだ。

ミカサが一回だけ小さなくしゃみをした。

エレン「大丈夫か?」

ミカサ「大丈夫。ちょっと寒いけど」

エレン「………」

ごくり。生唾を飲み込んだ。

人が来たらまずいけど。でも、ミカサの手が少し冷たかったから。

だから。

オレはミカサを自分の方に引き寄せて、服の上から、ミカサの体にそっと触れた。

207進撃の名無し:2014/08/02(土) 17:56:28 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「え、エレン……(びくん)」

エレン「寒くないか? 少し、体冷えてるぞ」

ミカサ「これくらい平気……(ぽやーん)」

ミカサがうっとりしているのが分かる。

雨は、通り雨なのかどうか分からないけど、まだ降り続けている。

小雨になるまではここで休憩するしかない。

その時、オレはまた、リヴァイ先生の特別授業を思い出した。


『女の肌は服を着せたまま1時間は触れ』


それを思い出した瞬間、オレの中で、せき止めていた何かが外れた音がした。

雨が止むまででいい。ミカサの体を温めてあげる為に。

自分に言い訳しながら、これは、そういう意味じゃないって、言い聞かせながら。

自分に嘘をつきながら、オレはゆっくりと、ミカサの体に触れた。

ミカサ「エレン? その……」

エレン「寒くねえように、触るだけだ。大丈夫」

ミカサ「うん……」

嘘だけどな。でも、その嘘にミカサも気づいている。

服の上から、触るだけだ。ゆっくりと、ただ、それだけ。

エレン「擦るだけだ。こうすれば、寒くねえだろ」

ミカサ「う、うん……あっ……」

ビクン……

跳ねる身体が感じている事を表す。ミカサ、やっぱり相当敏感なんだな。

腰の周りと、脇腹の辺りを中心に手を動かして、優しく撫でるだけなのに。

太ももとかも、服の上から触ってみる。少しだけ湿っているのは、通り雨に濡れたからだ。

だけど、その湿り気が余計に興奮を呼んで、オレは、太ももの内側にも指を入れた。

ミカサ「あ……ああ……」

2人の荷物はとっくに床に置いている。

触るだけなのに。ミカサの顔がどんどん、赤くなっていく。染まっていく。

ヤバい。楽しい。すげえ楽しい。

でも我慢だ。服の上から触るだけだ。それ以上の事は、しない。

208進撃の名無し:2014/08/02(土) 18:05:20 ID:jl/nRLqY0
本番は1時間以上もこれ、やるんだよな。すげえ耐久レースな気がするけど。

辛いけど、それをやりたくなる気持ちも分かる。触るだけで十分、ミカサ、感じてくれているんだ。

ミカサ「ああっ……エレン……ん……」

両目を閉じてくたっと力が抜けていくミカサにオレはキスをしてしまった。

あれ? ちょっと待って。ええっと。

いかん。キスはするつもりなかったのに。あれ? 体が勝手に。

ミカサ「ん……は……はああっ……」

まずい。ミカサの感じ方がどんどん、本格的になってきている気がする。

舌を絡ませると、唾液が零れた。人の気配は、まだない。

雨の音を聞きながら、オレ達は展望台の中で、静かな行為に耽っていった。

誰も来ない。雨降ってるせいかな。でも、人が来ても良さそうなのに。

来るかもしれない。見られるかもしれない。その予感があるのに。

ゾクゾクした。その背徳感が余計に、背中から、押してくる気がして。

いかん。ダメだ。これ以上、触ったら。

でも、ミカサの汗の匂いとか。運動したての、匂いが鼻腔をくすぐって、捉えて離さない。

ミカサから発するフェロモンみたいなものにまとわりついて、オレはどんどん、自分の手を動かしていった。

ミカサ「あああっ……ん……」

声、出さない様に必死にかみ殺しているのが、かえってそそる。

手をミカサの背中の方に回して、オレは尻の方にも手をのばした。

服はまだ脱がせてないんだけどな。服の上からでも、感じ過ぎだろ。ミカサ。

209進撃の名無し:2014/08/02(土) 18:40:44 ID:jl/nRLqY0
ミカサの両腕がオレの背中に回ってきた。ぐっと、離さないと言わんばかりに。

固定されてしまった。オレも抜け出せない。唇が、ミカサの鎖骨に当たる。

汗が溜まっていたから吸い上げた。ちゅるっと、舌を使って舐めてみる。

塩味が少しだけした。でも、美味しいって思っちまう。

脇腹とか、擦っていたら、ブラジャーらしき感触が分かった。

外したい。ホックどこだ。服の上からでも外せないかな。

あった。これだな。あ、なんかもう、大分、緩んでいる。これは、いけるか?

ふわっと。した感じがあった。あ、今、拍子でうっかり外れたみたいだ。

ミカサが大きく息を吸い込んだ。胸の感触がより鮮明に分かった。

白いTシャツだから、下着が透けて見える。エロい。もう、ダメだ。

手をシャツの中に入れる。胸に直接触れてみる。ミカサは全然抵抗しない。

以前、「抵抗しちゃったら怪我させるかもしれない」とか言っていたのが嘘のようだ。

あれは杞憂だったんだな。今のミカサは、オレに全てを委ねている。

胸の突起を探した。あった。そこに微かに触れると、ミカサの体が大きく跳ねた。

ミカサ「あああっ……」

両足が、もじもじし始めたのが分かった。でも、足は閉じたままだ。

まだ開けなくていい。オレは完全にミカサに覆い被さって、両目を閉じた。

雨音は、まだ止まない。人の気配も来ない。誰も止めに来ない。

ドキドキする。誰かにバレるかもしれねえってのに。オレは。

中指の腹の部分で、胸の突起に、そっと触れてみたんだ。

ミカサ「はああ……ああっ」

ミカサの声がだんだん大きくなってきた。これ以上、喘がせるとまずい。

だからつい、またキスをして、声を出させないようにして、胸を触った。

何だよこれ。まずいって。こんなの、楽し過ぎるだろ。

痙攣しているのが分かる。ビクビク震えている。もっと、もっと触りたい。

210進撃の名無し:2014/08/02(土) 18:54:03 ID:jl/nRLqY0
胸の突起を抓ってみた。軽く、だけど。

すると、ミカサがもっと力が抜けたのが分かった。

ふにゃふにゃになっていくのが分かる。

ミカサ「え、エレン……あっ……ダメ……なんか、くる……」

エレン「え?」

ミカサ「それ以上、したら、私……ああ……あああああっ!!!」

一度、大きくバウンドしたのが分かった。え? まさか、まさか?!

ミカサがぐったりして気を失った。え? 本当に? 今の刺激で、イったのか?!

早くねえか? え? 予想していたより早い展開で、オレは困惑した。

でも一応確認して見たくて、ミカサの下着をちょいと確認させて貰う。

エレン「!」

すげえ、濡れていた。なんていうか、指にまとわりつくくらいに。糸がひいてやばい。

えっと、これって、もしかして、アレなのか。

ミカサは、リヴァイ先生の言っていた2種類のタイプの女の「クイック」側の女だっていう事で間違いないのかな。

つまり、普通の女より濡れやすい体質って事でいいのかな。

いや、そうだよな。きっとそうだ。多分、そうだ。

これだけの短い時間でイク感覚を味わったんだから、きっとそうだよな。

ミカサが起きない。気を失って、動けないでいる。

オレの息子も準備万端過ぎて困り果てているけど。

雨はまだ止まない。今、ここに避妊具がある訳じゃないし、これ以上は今日は勿論、無理だけど。

しょうがねえ。眠ってるミカサをオカズに全部一気に出してしまおう。

エレン「っていうか、オレ、ダメだろ」

親父に確認してから手出すつもりだったのに、結局、約束、破っちまったな…。

いや、まあ、今日の事は黙っていればバレないとは思うけど。

自己嫌悪に陥る。いかん。早いところ、親父に確認しないと、取り返しのつかない事をやらかしそうな気がする。

自分の息子の方の処理を済ませると、ようやく雨音が止んできた。

人の気配が復活してきた。危なかった。ミカサが速くイッたおかげで助かったけど。

もっと盛り上がっていたら登山客にモロバレしていたところだった。

211進撃の名無し:2014/08/02(土) 19:05:14 ID:jl/nRLqY0
ミカサ「は…!」

短い時間、気を失っていたミカサが目を覚ました。

ミカサ「わ、私は何を……(赤面)」

エレン「ごめん、ミカサ……」

ミカサ「エレン……」

エレン「こんなに一杯触るつもりはなかったんだけど、やってるうちに、加減が効かなくなってきて、つい」

ミカサ「ううん。大丈夫…それは大丈夫だけど……(赤面)」

ミカサはもじもじしながら言った。

ミカサ「下着、濡れてしまったので、着替えていいだろうか。着替えは持って来ているので」

エレン「あ、あああ……もちろんだ」

オレはミカサを見ないようにして、外の奴らに見せない様に大きなタオルを壁にしてやった。

そして下着を取り換えたミカサは言った。

ミカサ「どんどん酷くなっている……」

エレン「え?」

ミカサ「私、濡れるのが早いみたいで、すぐこうなるの。ごめんなさい……」

エレン「あ、いや…別に謝る事じゃねえよ。っていうか、立てるか?」

ミカサ「ふ、ふらふらする……」

エレン「少し休んでいくか。ごめんな。ついつい」

ミカサ「大丈夫。大丈夫……(赤面)」

212進撃の名無し:2014/08/02(土) 19:11:23 ID:jl/nRLqY0
と、言ってミカサは少し俯いて、

ミカサ「今日の事は、おじさんには内緒にしよう」

エレン「そうだな。内緒にしねえといけねえな」

罪悪感はあるけど。でも、やっちまったもんは仕方がねえか。

ミカサ「出来るだけ早いうちに誓約書の件を確認しよう。でないと、私もいろいろ辛い……」

と、ちょっとだけ涙ぐむミカサに、オレはよしよしと頭を撫でてやった。

そんな訳で、オレ達の初デートはその、うっかり、一歩進んでしまったけど。

オレ達にとって、そろそろ限界が近づいているのもひしひしと感じてしまった。

もう、いい加減に一つになりたいと、体が訴えているんだ。

親父が心配するのも分かるけど。でも、だからといってこのままでイイ訳がない。

そんな複雑な思いを抱えながら、オレ達はゆっくりと下山した。

苦い思いを抱えながらだけど、でも。

オレとミカサはお互いに手をしっかり握り合い、その手を離す事は決してなかったのだった。

213進撃の名無し:2014/08/02(土) 19:15:12 ID:jl/nRLqY0
リヴァイ×ハンジとは全く逆の状態に陥っているエレン×ミカサでした。

エレンが遂に約束破り始めちゃったよ。バレたらやばいよ!?
というところで続きます。ではまたノシ

214進撃の名無し:2014/08/02(土) 20:30:35 ID:xZSE/pr20
濡れやすいミカサとか可愛すぎる
いかせまくって焦らしたいわ…

215進撃の名無し:2014/08/02(土) 22:12:25 ID:qFTl47gc0
むふー!とか、んもう!とか、
ミカサの反応可愛いわー

しかしエレミカ進展早ぇな!
最近の高校生はこんな感じなのか

216進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:24:23 ID:6ZK.Jc620





ミカサが白衣を着ていた。ちょっと大人っぽい。

ミカサ『はい、エレン君。調子はどうですかー?』

おおお。なんか凄く子供目線で話しかけて来た。ん?

つーか、オレ、子供の姿になっている?! え? 小さくなってるぞ?!

あ、これ、夢か! 身体は子供、頭脳は大人のアレの状態になっているようだ。

エレン『はーい! 元気です!』

ミカサ『うん。じゃあ、お口開けてね』

おおおお。なんかこういうの、久々だな。あーん。

腹とか触診されてこそばゆかった。ミカサ、小児科の女医になっているのか。

いいなあ。いいなあ。似合ってる。すげえ可愛い。

デレデレしていたら、今度は別のオレが出て来た。

エレン2『ミカサ先生ー! 抱っこー!』

ミカサ『えええ?』

エレン3『オレもオレもー!』

ミカサ『んもうーわんぱくねえ』

と、言って、オレと同じ顔した小さなオレが集団にミカサ先生にタックルかまして押し倒した。

皆、好き勝手にミカサの上に乗って、キャッキャ言って遊んでいる。

あーもう。オレ、ちょっと自重しろよ。気持ち分かるけどさ。

ミカサ『あん! もう、そこは、触っちゃダメよ。あん!』

と、時々甘い声をあげてくねくねしている。

ああああ! もう一人の小さいオレ達がおっぱい揉みまくってるぞ! けしからん!

217進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:31:18 ID:6ZK.Jc620
エレン2『えへへ〜おっぱいもみもみ〜』

エレン3『おっぱい、大きいね〜ミカサ先生!』

ミカサ『こら! もう、そんなに触っちゃダメだって言ってるでしょ? あん……ああっ』

おいおい。ちょっと待て。何か、え?

こらあああ! 子供の悪戯の度合いを越えて来てるぞ!

もう一人のオレ達がどんどん増えて来て、ミカサの上に乗りかかって好き勝手に触り始めているんだ。

エレン『おい、やめろよ! ミカサ……先生、嫌がってるだろうが!』

エレン2『嫌がってないよ。気持ちいいよね? ミカサ先生』

ミカサ『い、嫌がってるのになあ…もう…(赤面)』

いや、嫌がっているように見えないのは分かるけど。こっちも照れるけど。

待て待て待て。こら、白衣脱がすな! もう一人のオレ達!!

エレン3『おっぱい吸っていい?』

エレン4『おっぱいすいたーい!』

エレン5『オレ、太もも枕にするー!』

好き勝手にやり過ぎだああああ!

あ、でも、ミカサは全然抵抗してねえ。むしろ赤くなって照れる一方だ。

ミカサ『やん……もう……ああっ……こら、んん……あああん』

服脱がされて、乳首吸われても抵抗しねえ。なんだこの夢。本当にけしからん。

218進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:41:32 ID:6ZK.Jc620
小さなオレ達に両方のおっぱい吸われても、太もも枕にされても全然嫌がってねえ。

むしろどんどん、喘いで気持ち良くなっているミカサに、オレも、その、見入ってしまって。

エレン6『なんか、変なおもちゃ見つけたー(ブーン)』

エレン『?!』

それは大人のおもちゃだああああああ!!!

ダメだダメだ!! それだけはダメだああ!

エレン6『これ、どうやって使うんかな? えい! (ぐいっ)』

と、言って振動している大人のおもちゃをミカサの股につきつけて、遊び出す小さなオレ。

ミカサ『いやああああん……ダメっ……それは、ダメ……あああっ!』

子供の無邪気な悪戯で済むレベルじゃねえから!!!!

オレはおもちゃを奪ってやろうとしたんだけど、抵抗されちまった。

エレン6『なんだよーこれ、オレのだからな! 勝手にとるなよ!!』

エレン『馬鹿! そんなおもちゃで遊ぶな!』

エレン6『そんなのオレの勝手だろー?! お前、これ使いたいならちゃんとそう言えよー!』

エレン『そういうんじゃねえし!!!』

エレン2『あ、パンツ濡れてる。おもらししているみたいだー』

エレン3『脱がせてやろうぜー』

うわあああああ!! ちょっと、お前ら、暴走すんなあああ!

どっちを止めればいいか分からなくなり、混乱していると、

エレン6『よいしょ(ブーン)』

小さなオレがおもちゃを股に直接当てて振動させ始めたもんだから、ミカサがどんどん、喘いじまって。

ミカサ『やあ…だめ……そこは、らめえええええええ!!!!』





エレン「うあああああああああああああああああ?!」






目が覚めて絶叫した。朝、だった。

エレン「はあはあはあ……」

夢で良かった。つか、何なんだ今の夢は。

いやらしい夢の中でも、特にエロかった。いやもう、本当に。

エレン「いい夢なのか悪い夢なのか判断つかねえ」

小児科女医のミカサは可愛かったけどな。でも、アレはエロ過ぎた。

ミカサは小児科だけはいかないように説得しよう。エロガキにまとわりつかれたら、あいつ、本当に抵抗出来ない気がする。

219進撃の名無し:2014/08/03(日) 01:48:26 ID:6ZK.Jc620
とりあえず顔洗おう。今日は午後から演劇部の部活動の予定が入ってるしな。

時間は……ああ、もう午前11時か。結構寝倒していたんだな。

昼飯食って、準備して学校に行くと、いつものメンバーが大体音楽室に揃っていた。

あれ? でも、珍しくペトラ先輩が音楽室に来ている。

なんかすげえ落ち込んでいるな。体育座りで隅っこにいるけど。

エレン「ペトラ先輩、どうしたんですか?」

ペトラ「!」

ジャン「馬鹿! そっとしとけ!!」

エレン「え?」

ペトラ「うああああああ! (*壁を額にエンドレス殴打)」

エレン「?!」

なんだ?! 急に暴れ出したぞ?!

壊れたおもちゃみたいな動きしているな。

アルミン「あーあ。折角、一回収まったのに。今、ノゲノラのステフ状態なのに」

エレン「は? なんだそれ」

アルミン「ええっとね。詳しい事情は、エルド先輩から聞いて」

と、視線を動かすと、ちゃかりエルド先輩も遊びに来ていた。

220進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:01:43 ID:6ZK.Jc620
エルド「や! 久しぶり。すまんね。最近、こっち来れなくて」

エレン「いや、もう受験生なんだから仕方ないですけど。ペトラ先輩どうしちゃったんですか?」

エルド「あー……新しい恋の兆しに混乱している真っ最中……とでも言えばいいかな」

エレン「誰かに告白でもされたんですか?」

エルド「そんな生易しいものじゃないよ。………オルオとうっかりベロチューやっちゃったんだって」

エレン「え?」

ミカサ「え?」

さすがのミカサも一緒に驚いてしまった。

エレン「何がどうなってそうなったんですか? え? キスしちゃったんですか?」

エルド「ああ、まあ……事故チューに近いんだろうけどな。なんか、雰囲気に流されちゃったんだって」

ミカサ「雰囲気に流された程度で、ベロチューは普通しないのでは?」

エルド「まあ、そうなんだけどな。そこはほら、ペトラは「事故チュー」に処理したいみたいだからそう言ってみただけだ」

エレン「えええ……」

一体、何がどうなっているんだ?

ペトラ先輩はある程度、額を壁にぶつけた後、また体育座りをして落ち込んだ。

ペトラ「違うの。オルオとキスしたのは、そういうつもりじゃなくて、その……あいつが急に優しくしてきたもんだから、つい、その、なんか嬉しかっただけで、そういうつもりは全くなくて、っていうか、何であの時、私、抵抗しなかったの? オルオを受け入れちゃったの? オルオの事は嫌いじゃないけど、リヴァイ先生の件が終わった直後にこれって、おかしくない? 私、尻軽過ぎない? っていうか、私の想いってそんなに簡単に変わるようなものだったの? 私、ずっとずっとリヴァイ先生の事が好きだったのに、何でオルオとキスしちゃったの? うわああああああああ?!」

ダメだアレ。なんかもう、完全に壊れているぞ。

221進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:18:12 ID:6ZK.Jc620
ブツブツブツブツ言い続けて自分の感情を吐き出しているけど。

ちょっと怖いくらいにおかしな状態になっている。

あれは今、下手に触らない方が良さそうだな。

エレン「ええっと、とりあえず、大体のあらすじを教えて貰えませんかね?」

エルド「あー。ペトラがハンジ先生、ぶった時の事は覚えているよね?」

エレン「まあ、現場見てましたしね」

エルド「んで、その後も、ちょっと1組の女子の間でゴタゴタがあったみたいでね。ペトラ、クラスで完全に孤立しちゃったみたいなんだよ。まあ、元々ペトラはちょっと浮いているところあるんだけどな。ますますそれが酷くなっちゃって。一人ぼっちで意地張っているところに、オルオが「お前がどれだけ周りに嫌われようが、オレはずっとお前の味方だからな」って言ったらしくてね。それにちょっと、絆されちゃったみたいで。オルオが、宥めていたら、ペトラ、ちょっと泣いちゃったみたいで。それで、グラッと。お互いに、その……ってやつ」

エレン「へーいい話じゃないですか。それの何が悪いんですかね?」

エルド「いや、本人的にはそこまでお互いの距離が近づくなんて思っていなかったみたいでね。ただ、体が自然にそう動いちゃった感じだから、お互いに混乱の真っ最中って感じだ。オルオの方はグンタが宥めているよ」

ミカサ「なるほど…」

そうなのか。でも、かえって良かったんじゃねえか?

オルオ先輩、ペトラ先輩の事、好きみたいだったし、こっちもくっついちまえばいいのに。

でも、ペトラ先輩はそれを受け入れられないようで、

ペトラ「っていうか、初めてだったのよ?! 何で初キスをオルオにあげちゃったの私?! もういっそ、途中で舌を噛み切ってやれば良かった! あいつの舌、中に入って来たし! あの時、噛んでやれば良かったのに、何でそれをしなかったの?! っていうか、何で意外と気持ちいいとか思ったの?! あいつ、そういうの手慣れてたの?! 女たらしだったの?! あいつ、彼女とかいたっけ?! そんな話、聞いたことないんですけど?! もしそうだとしたら、私は何人目なわけ?! あああああああ?!」

うわああ。ペトラ先輩、ダメ過ぎる。

ペトラ先輩って元々、カッカすると口悪いから、言っちゃいけないところまでつい漏らしちゃうタイプだけどさ。

心がダダ漏れ過ぎて可哀想だ。どうにかならんのかな。アレ。

222進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:30:48 ID:6ZK.Jc620
ミカサ「…………何故か既視感を覚える」

エレン「え?」

ミカサ「まるで、リヴァイ先生とハンジ先生のよう」

エレン「ああ、そうかもな」

ミカサ(こくり)

キスしても、すぐには認められないんだろう。何かと理由をつけて暫くはお互いに認めなさそうだ。

オレ達は短距離ランナーカップルだけど、オルオ先輩達はまさしく、リヴァイ先生達に近いカップルのような気がする。

第二の長距離ランナーカップルが誕生するのかな。くくくっ。

エルド「ペトラ。その辺にしておけよ。皆、困ってるぞ」

ペトラ「は! そうね。ごめんなさい……」

やっと我に返ったのか、ペトラ先輩が顔色を戻した。

ペトラ「ええっと、今日は皆に、お願いがあって来たのよ」

アルミン「お願いですか?」

ペトラ「そう。リヴァイ先生の結婚式についてなんだけど。もともと、その時期って、演劇部では「冬公演」という形で自主公演を行っていたのね。でも、今年はリヴァイ先生の結婚式と日程が重なるから、いっそ結婚式で劇をやって貰えたらなって、思ったのよ」

マーガレット「まーその方がいいですよね。体育館でやるなら、ホール押さえる金も浮きますしね」

ペトラ「うん。私達3年も、手伝えることがあれば出来るだけ手伝うわ。準備期間は短いけど、文化祭のような大掛かりな劇じゃなくていいから、公演を行ってほしいのよ」

と、あくまで「お願い」という姿勢でペトラ先輩が言った。

223進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:52:12 ID:6ZK.Jc620
ジャン「結婚式で演劇ですか。珍しいですけど、オレ達らしくていいかもしれないですね」

アルミン「準備期間は、文化祭の時よりかえって余裕あるかもね。今回はクラスの出し物の負担がないわけだし」

ペトラ「あ、それもそうね。確かに冬公演の方が、ゆっくり準備出来るか。でも、あまり尺を取る劇じゃない方がいいと思うけどね。何か、こういうのやってみたいっていうのないかしら?」

エレン「ん〜」

結婚式に相応しい劇、かあ。

なんかこう、皆で楽しめるようなのがいいよな。きっと。

ミカサ「恋愛物をまた、やる、とか?」

エレン「あ、やるんだったら、ラブコメの方がいいんじゃないか? コメディ要素を入れようぜ」

ミカサ「なるほど。その方が新鮮でいいかもしれない」

アルミン「ラブコメかあ……」

アニ「ん? アルミン、何かアイデアがあるの?」

アルミン「いや、そういうジャンルなら、僕、割と好きだから、脚本やってもいいかなって」

アニ「いいの?」

アルミン「前回は準備期間があまりに短かったからね。いきなりやる自信はなかったけど、今回は準備する時間もあるし、頑張れば何とかなるかな。エルヴィン先生に台本の書き方を習いながらやれば、だけど」

アニ「いいと思うよ。というより、台本書ける子も育っていかないと、エルヴィン先生ばっかりに負担かける訳にはいかないよ」

アルミン「それもそうだね。うん。ちょっとずつだけど、僕も頑張ってみるよ」

という訳で、オレ達は次の「冬公演(リヴァイ先生の結婚式)」に向けての新しいスタートを切った。

ペトラ先輩は、まだ「うあああああ?!」と時々唐突に叫んでは凹んでいたけれど。

ま、そのうち時間が解決するだろ。自然となるようになる。

そう思いながら、オレとミカサは一緒に苦笑を浮かべていたのだった。

224進撃の名無し:2014/08/03(日) 02:58:57 ID:6ZK.Jc620
そんな訳でオルオ×ペトラも発進しました。カップル誕生(?)かな。
とりあえずここまで。続きはまたノシ

225進撃の名無し:2014/08/03(日) 08:54:40 ID:T.AiUBCM0
オルペト待ってた!
ツンデレの典型やっぱり可愛いよ

冬公演なんてあるのか、面白い
エルヴィン先生のタレコミで、リヴァハンの裏話を寸劇にしたれw
泥酔リヴァイ先生とか

226進撃の名無し:2014/08/03(日) 12:43:16 ID:6ZK.Jc620









11月4日。火曜日。火曜日の1限目は世界史のエルヴィン先生なので、アルミンが授業後、台本について相談していた。

すると、エルヴィン先生は「いいアイデアだねー」とニコニコしていた。

エルヴィン「だったらいっそ、リヴァイとハンジの物語を劇にしちゃおうか」

アルミン「え? いいんですか?」

エルヴィン「あの2人の馴れ初めそのものが既に「ラブコメ」だからね。本人達は恥ずかしがるだろうけど、自分達を一度、客観的に見て、どれだけアホな事やっていたのか自覚させた方がいいと思うよ?」

エルヴィン先生、超悪い顔している。過去最高の悪い顔だ。

アルミン「では、エルヴィン先生の知っているエピソードを基に話を考えていけばいいですね」

エルヴィン「取材なら私だけでなく、他の先生達の話も聞いていいと思うよ。きっと皆、喜んで協力してくれると思うな」

アルミン「分かりました。ではその方針で固めてみたいと思います」

という訳でアルミンもエルヴィン先生と同じくらい悪い顔になった。

でも、台本の内容がもしリヴァイ先生にバレたらどうするんだろ?

エレン「練習風景、見せないようにしねえとリヴァイ先生にバレるかもな」

アルミン「あーそうだね。出来るだけこそこそ練習やろうか」

エレン「あと、問題はリヴァイ先生役を誰がやるか、だな……」

アルミン「ハンジ先生は、エレンがやったら? 身長近いし、髪も今なら長いから丁度いいし、エレンなら出来そうじゃない?」

エレン「ああ、まあ、やってもいいけどさ。女役って言っても、ハンジ先生は中性的だからやり易いだろうしな」

たまに男みたいな仕草しているしな。ハンジ先生自身が。

アルミン「んー身長で言うと僕かアニになっちゃうけど、アニは元々、舞台に出るのが苦手だし……でも僕はちょっとリヴァイ先生とはイメージ違うし」

エレン「んーま、後で決めるか。その辺は。台本出来てから煮詰めようぜ」

アルミン「そうだね。そうしようか」

という訳で、大体の方針が固まったのでとりあえず安心だな。

227進撃の名無し:2014/08/03(日) 13:04:48 ID:6ZK.Jc620
そして次の授業は日本史だった。ナイル先生の授業だった。

アルミンは早速、授業後に取材を開始していた。ナイル先生は「ふん」と笑っていた。

ナイル「ああ……あの2人は最初からいろいろとアレだったな」

アルミン「アレとは?」

ナイル「ある意味伝説の教師達だよ。入学式に滑り込みセーフでヘリコプターを使って登校してくるわ、窓から教室に入ってくるわ……常識という物がないのかってくらい、破天荒なことばかりやらかしていたよ」

エレン「あ、窓から教室に入っていたってのは本当だったんですね」

OBの人達が笑っていたアレだ。

ナイル「ああ。いくら身体能力があるからって、スタントマンじゃないんだから。流石にやめろと私が怒鳴ってやったよ。遅刻しそうになったのは、ハンジ先生の髪を朝から無理やり洗っていたからだ、と言い訳していたが……あの頃からリヴァイ先生自身、ちょっとアレだったな」

と、遠い目をするナイル先生だった。

ナイル「確かにハンジ先生は最初からその、ちょっと臭い先生ではあったし、社会人として、清潔にしていないのを我慢出来ない気持ちも分からんでもないが……リヴァイ先生がそれを改善させる理由なんてどこにもないんだがな。普通は放っておく問題だ」

放っておけなかったからこそ、愛情があった証拠なんだろうな。

ナイル「ま、話せるのはそれくらいだな。他のエピソードは他の先生達から聞きなさい」

アルミン「はい。ありがとうございました」

という訳で1個目のエピソードをGETしたのだった。

228進撃の名無し:2014/08/03(日) 13:37:27 ID:6ZK.Jc620
次は数学のディータ・ネス先生だ。実はディータ先生はもう一人いらっしゃるので、数学の先生の方は皆、「ネス」先生呼びだったりする。

ネス「ああ。リヴァイ先生とハンジ先生の馴れ初めね。再現劇やっちゃうのか」

アルミン「まあそうですね。その方が面白いかと思って」

ネス「ふふふ……だったら、あのエピソードは外せないな」

アルミン「とっておきの話があるんですか?」

ネス「あるぞ。臨海学校のエピソードだけど。学校主催の、生徒達は2年次に毎年行っている物なんだけど。その時の引率だったリヴァイ先生とハンジ先生がね、もうそりゃあ凄かった」

と、懐かしむようにネス先生は言った。

ネス「生徒の一人が、海で溺れていたんだ。それを真っ先にハンジ先生が助けに行った。でも、助けに行ったハンジ先生の方も、流されて溺れてしまったんだ。リヴァイ先生がミサイル並みの速さで追いかけて、生徒とハンジ先生を両方、助けたんだよ」

アルミン「へー。スーパーマンみたいですね」

ネス「2人いっぺんに助けるくらいだからな。でも、その後も凄かったぞ。ハンジ先生、呼吸していなかったし、リヴァイ先生、迷わず人工呼吸をやって蘇生させたんだよ」

アルミン「ヒューヒュー♪」

エレン「生徒の方は助かったんですか?」

ネス「勿論。生徒の方は別の先生が蘇生して、すぐに助けられたけど。その時、リヴァイ先生、迷わずハンジ先生の方を先に人工呼吸し始めたからな。本当は、生徒を先にするべきところなのに。あの時ばかりはハンジ先生を優先したんだよ」

アルミン「まあ、それは当然ですよね。その時は他の引率の先生、いたんでしょう?」

ネス「まあな。でも、あの時のリヴァイ先生、すっごい必死だった。もうあの頃からきっと、ハンジ先生の事、好きだったんだろうな」

アルミン「なるほど……いいエピソードが聞けました。ありがとうございます」

ネス「もういいのかな? ま、一人1個ずつ聞いていけば、結構集まると思うぞ」

という訳で、次は昼休みを挟んで古典のキッツ先生だ。

229進撃の名無し:2014/08/03(日) 14:24:16 ID:6ZK.Jc620
キッツ「ふん……あの馬鹿夫婦の事なんぞ、話す事はない。見たままを演じればいいだろう」

アルミン「そこを何とかお願いします。出来るだけ古いエピソードが欲しいので」

キッツ「古いエピソード………では、あいつらがまだ着任して間もない頃の話が聞きたいのか?」

アルミン「出来れば是非」

キッツ「ふん……教師になりたての頃のあやつらは、本当にいろいろとふざけておったぞ。学校で生徒達と夏休みにこっそり花火をしおってな。ぼや騒ぎを起こして大目玉食らっていた事もある。ハンジ先生は『化学実験の補習です!』と嘘ばっかり言っておったが、さすがに事が露見した時は2人とも、始末書を書かされていたよ」

えええええ。花火事件の主犯格ってリヴァイ先生とハンジ先生だったのかよ!!

キッツ「クビにならなかっただけでも有難い話だというのに。それでもあの2人は反省の色がなかったな。『自分達が学生の頃はOKだったのに…』とかなんとかブツクサ言っていたが。常識を知らなすぎる2人だったな」

と、嫌そうな表情でキッツ先生もまたエピソードを残してくれた。

エレン「リヴァイ先生が元ヤンだったっていうのは、本当みたいだな」

アルミン「あーなんか、その辺の悪い事はセーフみたいな感じだね」

リヴァイ先生のその辺の線引きが面白いな。18禁はダメだけど、花火はOKなのか。

そして音楽の授業のダリス先生にも話を聞いてみた。キッツ先生と似たような苦い反応だった。

ダリス「そうだな。あの2人は着任した年からずっと、じゃれあっているような関係だった」

アルミン「具体的には?」

ダリス「リヴァイ先生は、今は体操部の顧問をやっておられるが、最初の頃は柔道部の顧問をやっていたんだ。その時、技を見せる時に、ハンジ先生を連れて来て、生徒に寝技の講習なども行っていたよ」

アルミン「という事は、リヴァイ先生は柔道の師範の免許も持っておられるんですか」

ダリス「柔道だけではない。剣道も空手も有段者だ。大学時代にその手の格闘系の資格を全部取りつくしたと言っていたので、着任した当時はそっちの指導に明け暮れていたよ。ハンジ自身も、空手の有段者の筈だから、身体能力はあるが、毎回モデルにしていたのは、今思うとわざととしか思えないな」

アルミン「ですよねー(棒読み)」

ダリス「リヴァイ先生も不器用な先生だからな。理由がないと、ハンジ先生に触れなかったんだろう。ま、同じ男としてその気持ちは分からなくもないが」

アルミン「なるほど。貴重なお話、ありがとうございました」

と、いう訳で今日のところはこんなもんかな。

だんだん面白いエピソードが集まってきてニヤニヤしてきた。

でも、これだけ濃密なエピソードだと、リヴァイ先生役をやる奴と、オレの絡み、相当多くなるよな。

アルミン「んーいっそさ、リヴァイ先生役はミカサにやってもらった方がよくないかな」

エレン「え?」

アルミン「だって、結構アクロバティックなシーンと、濃厚なラブシーン、やる事になりそうだよ? ミカサ以外、無理じゃないかな」

エレン「あー」

まあ、人工呼吸とか、そういうシーンもやるならそうなるか。

エレン「打診、してみるか。今のミカサなら、舞台も大分慣れたみたいだし。やってくれるかもな」

という訳で、その件をミカサにも話してみると、

ミカサ「え、エレンとキスシーン、やるの…? (ドキドキ)」

エレン「人工呼吸のシーンとか入れるみたいだぞ。やるとすれば、オレ達でやるしかないような気もするんだが」

ミカサ「了解した。あのクソちびを演じて見せよう(キリッ)」

あ、意外とやる気満々だった。ちょっと意外だな。

エレン「いいのか? ミカサはリヴァイ先生、嫌いなのに」

ミカサ「嫌いだからこそ、演じてやる。リヴァイ先生をとことん恥ずかしがらせられると思うと……ククク……」

嫌がらせするつもりなのか。ああ、なるほどな。

エレン「分かった。じゃあ、その方向で皆とも話していこうか。今回は、メインのキャスティングオーディションは無しでも良さそうだな」

アルミン「うん。皆、賛同してくれると思うよ。むしろ君達以外では出来ないと思うし」

という訳で徐々に方針が固まって来た。

そして演劇部のメンバーもアルミンの提案に同意して貰えたのでこれで心配はいらない。

後はエピソードをどんどん集めていけばいいな。

230進撃の名無し:2014/08/03(日) 14:53:08 ID:6ZK.Jc620
11月5日。水曜日。1限目は数学でネス先生だったけど、もう聞いたので、次は2限目の公民のゲルガー先生に話を聞いた。

ゲルガー「あー2人のエピソードか。うーん。いろいろあり過ぎて何から話せばいいんだろうな?」

アルミン「とりあえず、1個思いつくものがあれば是非」

ゲルガー「だったら、酒飲み比べ大会の時の話がいいかもしれない」

アルミン「酒飲み比べ大会?」

ゲルガー「まあ、職員同士で飲み会をやる時もあるんだが、その時、誰が一番飲めるか競い合った事もあるんだ。ちなみにその時の優勝者はエルヴィン先生。準優勝はピクシス先生だったけど。3位はハンジ先生だったんだ」

アルミン「その辺のメンバーはお酒強そうなイメージですもんね」

ゲルガー「エルヴィン先生、すごいザルだからな。俺も飲める方ではあるんだが、エルヴィン先生には勝てないよ。で、其の時、俺、初めて泥酔したリヴァイ先生を見たんだけど……」

そう言えば、泥酔させると面白いみたいな事言ってたな。エルヴィン先生。

ゲルガー「なんかもう、リヴァイ先生、20杯が限界値だったみたいでな。それを越えた途端、豹変して、ハンジ先生に濃厚に絡むようになってしまってな。こう、くっついて離れなくなっちまって。子供かってくらいに。これはまずいって事になって、慌ててハンジ先生が蹴り入れて気絶させていたけど。エルヴィン先生曰く、『泥酔すると本性が出るよwww』って事らしいから、多分、そういう事だったんだろうな」

なるほど。エルヴィン先生がニタニタしていた理由ってそういう事だったのか。

もしかしたら、賭けをしていた時に言っていた「根拠」っていうのはコレの事だったのかもしれない。

つまりエルヴィン先生は昔から知っていたんだ。

リヴァイ先生の潜在意識の中に「ハンジ先生」が深く眠って居た事を。

だから、100万賭けても平気な顔していたんだな。納得したぜ。

ゲルガー「ま、其の時の大会は4位がリヴァイ先生で5位が俺だったんだが。上位3人の容量は桁違いだったな。酒強すぎて羨ましいくらいだよ」

アルミン「なるほど。いいお話が聞けました。ありがとうございます」

ゲルガー「いやいや。この程度の事なら大したことねえよ」

と、ゲルガー先生も苦笑をしていたのだった。

231進撃の名無し:2014/08/03(日) 15:38:37 ID:6ZK.Jc620
3限目は地学だ。モブリット先生の担当だけど。

さすがにモブリット先生に問いただすのは酷なので、スルーしようとも思ったんだけど。

なんていうか、キノコが生えているのかってくらい、ずっとじめじめしていたから、つい、声をかけちまった。

エレン「あの……モブリット先生、大丈夫ですか?」

モブリット「あははは……大丈夫だよ。うん。全然、大丈夫だから(げっそり)」

エレン「ご飯、食べてますか? とりあえず、寝てますか?」

モブリット「うん。3日に1回はちゃんとご飯食べているから大丈夫……」

うわあ。それは大丈夫な状態ではないな。

エレン「…………」

そっとしておくしかないのかな。まあ、目の前で好きな人が結婚宣言したら、憔悴してもしょうがねえか。

エレン「あの、モブリット先生」

モブリット「なんだい? (げっそり)」

エレン「その、モブリット先生から見て、ハンジ先生って、どこが魅力的だったんですかね」

モブリット「んー」

ふと疑問に思ったから聞いてみたんだけど、モブリット先生は意外とあっさり答えてくれた。

モブリット「優しいところ、に尽きるかな。ハンジ先生にどれだけ助けられたか分からないよ」

と、言っていた。

モブリット「教師として着任して間もない頃、仕事を捌けなくてアプアプしていた時とかに、ハンジ先生は必ず『大丈夫ー? 手伝おうかー?』とか、『飲み物いるー?』とか『元気出してね! ファイト!』って言ってムードを作ってくれたと言うか。職員の中では皆のムードメイカー的存在だったんだ」

あ、リヴァイ先生と同じ事言ってる。

やっぱり、そういう部分って、惹かれるものなのか。

モブリット「実際、どうしようもない時に何度か仕事を手伝ってくれた事もあったしね。女性なのに男性より仕事を捌くの早いんだ。その上、明るくて、可愛くて、笑っていて。年上だって事を忘れそうになるくらい、チャーミングな女性だと思ったよ。たまにドジやるところも可愛かった。ああああああ…(ズーン)」

しまった。いろいろ思い出して落ち込ませてしまったようだ。

エレン「すんません。思い出させて」

モブリット「いや、いいよ。時間が解決してくれるのを待つしかないね。こればっかりは……」

という訳で、モブリット先生は背中を丸めながら教室を出て行った。

4限目は生物だ。ハンジ先生、今日は何か凄く綺麗だな。

格好はいつもの白衣だけど。髪型がちょっと違う?

こう、くるんとねじって頭を盛っている。着物を着る時の髪型に近い。

アニ「今日も髪型違いますね。ハンジ先生」

ハンジ「ん? ああ……なんか、最近、リヴァイがヘアメイクにはまっちゃってねー。私の髪で遊ぶようになっちゃったんだー。毎日、いろいろやってくれるよ。これもその試作品だね」

と、照れ臭そうだった。

232進撃の名無し:2014/08/03(日) 16:04:35 ID:6ZK.Jc620
そして自分の顔を指さして、ハンジ先生はちょっと自慢げに言った。

ハンジ「実はこのメイクもあいつに全て任せちゃってるんだ。もう完全に『全自動リヴァイ』って感じ? いやーあいつと付き合う事がこんなに楽チンだとは思わなかったね。今までもいろいろ頼っていたけれど、今はもう、あいつ無しじゃ生きていけないくらい、楽な生活を送らせて貰っているよ。もう、本当にどうしようwww」

むしろそれが狙いなのでは? とも思ったけど、まあいいや。

ハンジ先生も実は惚気たいんだろう。顔にそう描いてある。

そんな感じで幸せ新婚気分のハンジ先生の授業が終わると、午後の5時限目は英語の授業になった。

修業が終わってからアルミンがキース先生にも取材していた。

キース先生もまた、苦笑を浮かべている。

キース「あー再現劇をやるのか。ふん……今更な気もするがな」

アルミン「昔からずっとあんな調子だったから、ですか?」

キース「それもあるが、職員の中ではあの2人の掛け合い夫婦漫才は有名だったからな。もう見慣れたというか、今更再現劇を見ても「懐かしいな」としか思わないと思うぞ」

アルミン「いや、そこを再現して、2人を冷やかすのが目的なので」

キース「ふん……まあ、それならいいが。そうだな。ハンジとリヴァイの職員の席は隣同士だから、朝や放課後の職員会議で居眠りするハンジにいつも、リヴァイが足を踏んだり、脇腹つついたりして起こしていたりしていたな」

ぷぷぷ。ありそうな話だな。

キース「それでも起きない時は、髪の毛引っ張ったり、耳引っ張ったり。だんだん過激になって、一回間違えて胸をつついてしまって、ハンジが「んにゃああ?!」と奇声をあげた事もあったな。あの時のリヴァイの顔は傑作だった。胸をつつくつもりはなかったらしいが、脇腹狙ったらしいが、逸れて間違えて触ってしまったそうだ。職員室は一瞬でざわめいたよ」

リヴァイ先生、それ、わざとやってないよな?

事故に見せかけたイチャイチャのように思えなくもない。

キース「勿論、すぐさま『すまない』と謝っていたけどな。あの時のリヴァイの困惑顔は今思い出しても笑えるな」

とまあ、キース先生は「ククク」と笑っていた。

そして6限目は美術。ピクシス先生にも話を聞いてみる事にした。

ピクシス「エルヴィン先生から話は既に聞いている。再現劇をやるんじゃろう?」

アルミン「はい。今、取材をしている最中です」

ピクシス「話したい事は山ほどあるがのう。どのエピソードを暴露しようかのう…(ニタニタ)」

と、手をわきわきしてうずうずするピクシス先生だった。

233進撃の名無し:2014/08/03(日) 16:36:19 ID:6ZK.Jc620
アルミン「あの、ゲルガー先生から聞いたんですけど、リヴァイ先生って泥酔すると本性が出るって、聞いたんですけど」

ピクシス「そうじゃの。20杯を越えると、豹変するぞ。あやつは」

アルミン「その辺のエピソードをもう少しお聞きしたいんですが」

ピクシス「よいぞ。リヴァイは泥酔すると、必ず「ある女」について話してばかりおった」

アルミン「ある女……ハンジ先生ではないんですか?」

ピクシス「まあ、最後まで聞け。その女とは、教育実習生時代に会っていた同期の教習生でな。自分がトラブルを起こした時に、間に入って助けて貰ったそうなんじゃが、其の時に名前や連絡先を聞きそびれて、実習期間を終えてしまったそうなんじゃ」

ああ、そういえばモブリット先生とハンジ先生とリヴァイ先生の3人が揃って学生食堂に居た時にその話はしていたな。

ピクシス「いつか礼を言わねば……そう思い続けているうちに、その女に密かな恋心を持つ自分に気づいたそうでな。ずっと「もう1度会いたい」とぼやいておったんじゃ。………つまり、その「助けて貰った教習生」というのが、ハンジであったんじゃが、あやつ、それにずーっと気づいておらんでのう」

エレン「ああ、最近になってやっと気づいたみたいですよ。ハンジ先生と確認し合ってましたし」

ピクシス「ほほう? いつの間に。それは良かった。そういう訳じゃから、リヴァイの潜在意識の中にはずっと、その若い頃のハンジの姿が眠っておったのじゃ。あやつが何故、ハンジを捕まえて髪や体を洗おうとしていたのか、これで分かるじゃろ?」

エレン「つまり、綺麗にした姿のハンジ先生を、無意識に求めていたと?」

ピクシス「その通りじゃ。そもそも、再会した時に気づいても良さそうなもんじゃけど、あやつは馬鹿だからの。ずっとそれに気づかず、若い時のハンジに惹かれた自分からずっと逃げておったんじゃよ」

アルミン「なるほどー。もう、その時点で本当は恋に堕ちていた訳ですね」

ピクシス「酒を飲ませたら、そう白状したからの。本人は泥酔した時の記憶は毎回無いそうだが……」

と言ってニタニタしている。

ピクシス「リヴァイとハンジの教習時代の頃に会っていたわしから言わせれば、リヴァイはアホとしか言えん。そもそも、その助けて貰った時点で連絡先くらい交換しておかんのが悪いんじゃ。あやつ、自分から行くのが本当に、下手過ぎる」

エレン「え? それって、もしかして……」

ピクシス「ああ。教習時代、あやつらはこの講談高校に教育実習生として来たんじゃよ。わしはハンジの方の担当教官じゃったが……リヴァイは当時の自分の担当教官をぶん殴ったからの。あの時はわしもいろいろ大変じゃった」

と、過去を懐かしむようにそう語る。

ピクシス「殴られた方の教官は、さすがに自主退職していったがの。しかしあの時、ハンジは言っておった。「何で男のあいつが、セクハラにあそこまでキレるんだろう?」と疑問に思ったらしくてな。それからじゃ。ハンジの方からリヴァイによく話しかけておったんじゃが、リヴァイは不器用な男でな。最初は会話もうまくいかず、困惑するばかりじゃったよ。それでも実習期間が終わる頃にはやっと少し仲良くなったようでな。わしはそれを見てほっとしておったんじゃが……あやつら、本当に馬鹿じゃのう」

と、クククと笑っている。

234進撃の名無し:2014/08/03(日) 16:55:46 ID:6ZK.Jc620
ピクシス「リヴァイが23歳、ハンジが20歳の時じゃったな。教習時代に出会った2人が、4年後、まさか同じ職場で一緒に働き出すとは、これはもう、運命としか言えんじゃろ」

エレン「そうですね。もう、神様の采配にしか見えないです」

アルミン「あれ? ちょっと待って下さい。2人は同期なんですよね。という事は、リヴァイ先生って大学卒業してからすぐ、教員になった訳じゃないんですよね」

ピクシス「そうじゃの。年表にすると、こんな感じになる」

と、言ってピクシス先生はわざわざ2人の歴史を紙に書いてくれた。


    リヴァイ      ハンジ

17歳 高校中退    14歳 中学2年生

18歳         15歳 中学卒業&講談高校入学(担当エルヴィン)

19歳 大検受ける   16歳

20歳 大学入学    17歳

21歳 柔剣道資格取得 18歳 高校卒業&大学入学

22歳         19歳

23歳 教育実習受ける 20歳 教育実習受ける

24歳 大学卒業&就職 21歳

25歳 (土方仕事等) 22歳 大学卒業&大学院入学

26歳         23歳

27歳 教職スタート  24歳 大学院卒業&教職スタート

235進撃の名無し:2014/08/03(日) 17:25:10 ID:6ZK.Jc620
ピクシス「これを見ると良く分かると思うんじゃが、リヴァイとハンジはかなりの神ががり的な縁で出会ったのじゃよ。普通は3年という歳の差のズレがあれば、同じ時期に教育実習を受けること自体が難しい。それを、リヴァイは高校中退や大検等で奇跡的にズレを起こし、ハンジと同時期に教育実習を受ける事になってしまった」

エレン「確かに。これを見ると、まるでリヴァイ先生がハンジ先生に合わせたかのようですね」

アルミン「本当だ。ハンジ先生に寄せていってるみたいに見えるよ」

ピクシス「じゃろう? まあ、ここにもうひとつの神がかった縁も加えて初めて2人の運命が動き出す訳じゃが」

エレン「あ、エルヴィン先生の事ですね?」

ピクシス「そうじゃな。このリヴァイの19歳の時、エルヴィンはリヴァイと出会い、奴を召し抱える覚悟で説得したんじゃ。大学に行かせる事を」

エレン「あーやっぱり、エルヴィン先生、割とガチでそう思っていたんですかね」

ピクシス「まあ、そうじゃな。あやつは冗談では動かない奴だし。本気でリヴァイに惚れ込んでしまってな。「あいつが女だったらな…」が口癖じゃったな。しかしまあ、たとえ同性だろうがそれだけ惚れ込める相手に出会えた事は、幸せな事じゃ。リヴァイはエルヴィンの人生を大きく変えたんじゃよ。あやつ自身も、教職を続けるべきか否か悩んでおったからな。若い頃は」

アルミン「そうだったんですか……」

ピクシス「ああ。リヴァイとの出会いがなければとっくに教職をやめて、博打打ちにでもなっていただろうとエルヴィンは昔、良く言っておった。リヴァイを教職に引きずり込んだのは、エルヴィンじゃが……エルヴィン自身、リヴァイに大きく救われたのだと思うぞ」

エレン「へー」

なんか凄いなあ。人に歴史ありって感じだぜ。

ピクシス「なのに、そこから先がグダグダでのう……折角運命が動き出すと思ってこっちはワクワクして待っておったのに、あやつら、ちーっとも先に進まんのじゃ! 1度だけ、リヴァイが30歳の年の12月に2人で旅行に行ってきた時は「遂にキター!」とぬか喜びしたもんじゃ。2人で旅行に行って、全く手出さんとか、本当にピー(自主規制)ついてんのか? と当時は思ったもんじゃよ」

アルミン「あはははは……」

エレン「まあまあ、結果オーライですよ」

ピクシス「まあ、其の時の2人の旅行のエピソードがひっそりと「種」を植え付けていたとは、わしも知らなかったからの。遅咲きの恋にはなったが、無事に花が咲いてほっとしておるよ」

と、満足げに話し終えてピクシス先生は言った。

ピクシス「少し長話をしてしまったようじゃの。あまりいっぱいエピソードを話しても、劇の中で再現するのは難しかろう。使える部分だけ拾って、あやつらを悶絶させる劇を公演してやってくれ。わしは楽しみにしておるぞ」

アルミン「はい。沢山話して頂けてありがとうございました」

という訳でピクシス先生のエピソードが一番内容が濃くて面白かった。

今日のところはここまでかな。だんだんいろいろエピソードが集まって来たな。

アルミン「うーん。尺が短い方がいいって話だったけど、これだけボリュームあると削る方が難しいよね」

エレン「だな。でも、その辺はエルヴィン先生と話し合いながら決めたらいいんじゃねえか?」

アルミン「そうだね。うん。あともうちょい頑張ってみるよ」

という訳で、その日の取材はそこまでで終わったのだった。

236進撃の名無し:2014/08/03(日) 17:29:38 ID:6ZK.Jc620
という訳で、
リヴァイ×ハンジをミカサ×エレンで演じるという冬公演になります。
エロシーンも少しやっちゃうかも? ぷぷぷ(笑)

ちょっと疲れたのでこの辺で。続きはまたノシ

237進撃の名無し:2014/08/03(日) 19:10:30 ID:pKM6e7GQ0
ハンジがミカサじゃないんかい!!w

238進撃の名無し:2014/08/03(日) 20:42:30 ID:T.AiUBCM0
エレミカ公開イチャラブわくてか
ミカサのエレン愛とリヴァイのハンジに対する執着が相まってすごい劇になりそうだw

239進撃の名無し:2014/08/04(月) 01:33:40 ID:YSQTQJRw0
11月6日。木曜日。1限目の世界史のエルヴィン先生が授業後に「調子はどう?」とアルミンに聞いてきた。

アルミン「はい。順調にエピソードが集まっています。ピクシス先生の話が一番濃いお話でしたけど」

エルヴィン「だろうね。ピクシス先生は私と同じくらい2人の事を気に病んでいたからね。早く2人の子供が見たくて今からうずうずしている筈だよ」

アルミン「子供……で思い出しましたが、あの、個人的に聞いてもいいですか?」

エルヴィン「ん? 何を?」

アルミン「エルヴィン先生自身が、リヴァイ先生が19歳の時に出会った時のエピソードです。リヴァイ先生に惚れ込んだ理由が気になってしまって」

エルヴィン「え? 話していいの? 引かない? 大丈夫? 私、本当にバイの人間なんだけど」

アルミン「あ、はい。それは既に知っているので大丈夫です。これはあくまで取材ですので」

エルヴィン「分かった。そういう事なら、進路指導室で話そうか。ちょっと長い話になるからね。放課後、いいかな」

アルミン「分かりました。では放課後で」

という訳でエルヴィン先生の話は一旦保留にして、次は、3限目の現国のイアン先生に話を聞いてみた。

イアン「ふむ。リヴァイ先生とハンジ先生のエピソードか。私は他の先生方に比べたら、ここに赴任してからまだ年月が浅い方だから、そう詳しく2人の事を知っている訳ではないが、前に一度、居酒屋で偶然、2人と遭遇した事があるぞ」

アルミン「へーそうなんですか。2人で飲んでいたんですか?」

イアン「みたいだな。ハンジ先生の方がかなりテンション高く酔っぱらっていてな。リヴァイ先生の方が車を出していた様子だったから、リヴァイ先生は飲んでいなかったようだが、最後はおぶって連れ帰っていたようだよ。其の時のリヴァイ先生、凄く困った顔をしていたけれど、何だか照れ臭そうだったね」

アルミン「へー何かいい事あったんですかね」

イアン「んーどうだろ? 確かあの日は9月頃だったかな。ハンジ先生、9月生まれだから、もしかしたらささやかな誕生日会でも2人でやっていたのかもしれないね」

アルミン「あ、なるほど。ハンジ先生の誕生日お祝いを2人でしていたのかもですね」

イアン「正確な日付までは覚えていなくてね。すまないね。メモしておけば良かったけど」

アルミン「いえ、十分です。恐らくそれで合っていると思いますので」

イアン「ふふ…再現劇、楽しみにしているよ」

そしてその日の6限目は再び保健体育の授業が行われた。

時間がまた、10分くらい余ってリヴァイ先生が「やれやれ」という顔になる。

リヴァイ「その期待する目つき、やめろ。第二回目の特別授業、やって欲しいのか?」

アルミン「是非お願いします! (頭擦りつけ)」

リヴァイ「全く……お前らも本当に下世話な話が好きだな」

アルミン「思春期なので(キリッ)」

リヴァイ「まあ、気持ちは分からんでもないがな。さて、今回は何の話が聞きたいんだ?」

アルミン「次は、服の上から肌を触った後の事を是非」

リヴァイ「服を脱がす時の作法か。分かった。では、そのやり方もいくつか教えてやろう」

とまた、黒板を使って説明し始めた。

240進撃の名無し:2014/08/04(月) 01:36:01 ID:YSQTQJRw0
リヴァイ「これはあくまで俺の自論になるが………『服は中途半端に脱がした方が面白い』だな」

アルミン「中途半端……半脱ぎの方が好みって事ですか?」

リヴァイ「基本はそうだが、それだけじゃない。脱いだ服を使えば、相手の動きを少しだけ制限する事が出来る」

ジャン「動きを制限……(ごくり)」

リヴァイ「完全に固定する訳じゃないが、女が「動きづらい」と思わせるような脱がした方をした上で、直接肌に触れていくと、相手は大抵、困った顔をする。抵抗したいけど、服を破るような激しい抵抗は出来ないし、かといって、完全に固定されている訳ではないから、自由もある。この真綿で包む様な感じが、割と好評だったのでな。俺の場合は「バンザイ」をさせた状態で、服はそれ以上脱がさないで、責める」

脱いだ服を利用するなんて、思ってもみなかった。へええええ。

リヴァイ「ズボンとかだと、尚更それがやり易いな。足首辺りを半固定した状態で触ってやると、相手は「早く全部脱がせて欲しい」という感情と「このままでいたい」感情の板挟みになるようでな。大抵、困った顔になる。暫くはその状態で焦らして遊んで、飽きた頃にやっと全裸にしてやる感じだな」

おおおお……皆、何故か小さく拍手をした。

リヴァイ「ただ、何度も言うが「せっかちな女」にこれをやると、逆にキレられるから注意しろよ。全員がこの方法を好む訳じゃない。俺が話しているのはあくまで「スロータイプ」の女に対する対処方だからな」

エレン「では、せっかちタイプの場合は、どんな感じになるんですか?」

ミカサの場合はどう考えても「せっかち」な気がするので一応聞いてみる。

リヴァイ「あー……せっかちな女、俺は勝手に「クイック」タイプと呼んでいるが、そういう女の場合は、むしろ裸からスタートした方がいいかもな」

エレン「裸から……」

リヴァイ「風呂でも先に一緒に入って、それこそ風呂場でやってもいいし、服を着ないままベッドインしてもいい。とにかく濡れるのが早い女もいるから、そういう女の場合は遠慮しなくていい。男のペースでガンガンいった方がかえって喜ばれるぞ」

エレン「へー……」

リヴァイ「ただ、クイックタイプは女でありながら、身体が男性的であるとも言える。だから結構、本番で頑張らないと満足出来ずに消化不良起こす場合もあるから、頑張れよ」

エレン「は、はあ……」

何故か応援されてしまった。ん? ジャンがこっち見てる。

ジャン「てめええ……まさかとは思うが……」

エレン「え? あ、いや、今のはあくまで参考までに聞いただけだぞ?!」

しまった。今の聞き方だとミカサが「クイック」だとばらしたようなもんか。まずい。

ジャンの目がまた真っ赤に染まり始めている。しまったな。

リヴァイ「ただ最初の頃は男側が「十分に濡れた」と勘違いする場合が殆どだから、クイックタイプのセックスは最初は絶対、お勧めしないぞ。そのやり方に付き合わされて、女性器に擦過傷を負う女も多い。所謂、擦り過ぎだな。ヒリヒリするようなやり方は後々、女側に負担をかけるから、「十分に濡れた」と判断する方法を、もう少し詳しく説明する」

と、リヴァイ先生はもう一つ、言葉を書いた。

241進撃の名無し:2014/08/04(月) 02:20:39 ID:YSQTQJRw0


『指が3本が簡単に入る状態になるまでは挿入は絶対するな』


リヴァイ「中指、薬指、人差し指を合わせたくらいの大きさを軽く試して入れてみて、痛がるうちは絶対、奥まで入れるな。それはまだ、準備が整っていない証拠だからな。濡れているからもう大丈夫だろうと勘違いして、一気にいく馬鹿がいるが、それは女の方が我慢しているだけだからな。以前、女に直接、愚痴られて俺も初めて知ったんだが、7割の女は、挿入時の「痛み」を我慢した状態でセックスに大抵、臨んでいるそうだ」

アルミン「それって、スロータイプの数字と合致しますね」

リヴァイ「よく気づいたな。つまり、やり方が合ってない状態であっても、女側がそれを言い出せず、痛いと思いながらも「演技」で気持ちいいふりをしてくれている場合もあるんだよ。男を傷つけない為の優しさだな。でもそれを鵜呑みにして、合ってないやり方を続ける男も多い。俺がこの事を知ったのは、俺自身がもともと、男だけど、スロー寄りのセックスが好みだった為だ。クイックタイプのセックスばかりやっていた女とやった時に「こんなの初めて!」と驚かれてな。詳しく話を聞いてみたら、そういう事だったと聞いて俺も初めは驚いたもんだ」

エレン「へー。リヴァイ先生、スローの方が好きなんですか」

リヴァイ「まあな。10代の頃はクイックが殆どだったが、20代に入ってからはスローの方の面白さに目覚めたんでな。時間はかかるが、達成感の大きさで言ったら、スローの方が断然いい」

何か思い出したのかな。今、一瞬、すげえエロい顔になったぞ。

リヴァイ「インスタントのカップ麺と、手打ち麺くらいの味の差があると言っていい。腹減っている時なら、早く食える方を優先するかもしれんが、そこはぐっと我慢して、一度、手打ち麺を食ってみろ。もうカップ麺は食えなくなるぞ。手打ち麺の深い味わいに病みつきになる」

エレン「へー」

リヴァイ「スローの方は、イク感覚を重視するセックスではないから、最終的に繋がる事を目的とはしていない。やれない時はやらなくてもいい。それくらいの楽な気持ちで臨むんだ。でも、そうやってまったりと進めた先に、女の方が徐々に、心身ともに全てを預けてくれる瞬間が必ず、くる」

心身ともに、全てを預ける瞬間、か。

リヴァイ「その瞬間の女の美しさは、言葉じゃ表現うまく出来ないな。いきなりスローでやれと言っても、10代の頃は難しいだろうから、無理には言わないが、少なくとも、セックスをする際は女側がいろいろ我慢している場合もあるという事は、男としては知っておいた方がいいぞ」

と、言いながら今度はちゃんと黒板の文字を消している。そろそろ時間だ。チャイムが鳴った。

リヴァイ「という訳で、今回の特別授業もテストには全く出ないから覚える必要性はないぞ。適当に聞き流しておけ。以上だ」

という訳で第二回目の特別授業が終わって、リヴァイ先生が教室を出ていくと、アルミンは「凄いねえ」と驚いた。

アルミン「なんか、びっくりする事ばかり聞かされたね。女の人が「演技」しているとか何とか」

エレン「ああ。演技されたら嫌だよな。嘘はついて欲しくねえけど」

その辺は男の手腕にかかっているんだろうな。俺も頑張らねえと。

そんな風に思いながら、放課後を迎え、次はエルヴィン先生の話を聞く事になった。

オレとアルミンが先に鍵を貰って進路相談室で待っていると、後からエルヴィン先生がやってきた。

242進撃の名無し:2014/08/04(月) 04:04:30 ID:YSQTQJRw0
お馴染みの紅茶を出してくれた。紅茶を頂きながら、エルヴィン先生の昔話を聞いてみる。

アルミン「まず、お聞きしたいのは、「何処で」リヴァイ先生と初めて遭遇したのか、です」

エルヴィン「ああ。あれは忘れもしない。リヴァイが19歳になった日の12月25日。リヴァイがゴミ捨て場に捨てられていた「子猫」を腕の中に抱いて、自分自身もゴミ捨て場に蹲っていた時の事だ……」

と、遠い記憶を呼び覚ましながらエルヴィン先生は言った。

エルヴィン「その時のリヴァイは、何だかやつれていてね。目に光がなかった。ただ、子猫を抱いて、まるで母親のように子猫を撫でていたけれど。それは子猫の為にやっているというより、自分を慰める為に撫でているように見えたよ。私はこんなクリスマスの当日に、何故こんなところで蹲っている少年がいるのか、気になってね。夜だったけど。こっちから話しかけてしまったんだよ。『一体、何をしているんだい? こんなところで。補導されるよ?』って聞いてみたら、あいつ『俺はもう19歳だ。来年になったら20歳になる。もう子供じゃねえんだよ』と言い返してきてびっくりしたよ。とてもそんな年齢に見えなかったからね。中学生くらいにしか見えなかったんだ。当時のリヴァイは」

ああ、今も十分若いもんな。30歳でも通りそうな外見しているもんな。

その頃からそんな感じだったんだろうな。きっと。

エルヴィン「何か事情があるんだろうか、とも思ったが、一応、『保護者の方はいないのか?』と聞いてみたんだ。そしたらリヴァイは『初めからいねえよ。俺はいつも一人だった』と、言ってね。恐らく孤児だったのかな。リヴァイには血の繋がりのある人間がいないようだった。だからか、少し他人に対して壁があるようにも見えたけど。私は一応、当時、教職に身を置いていたし、このまま見過ごすのも悪いかなとも思って、どうしようかなって暫く考えていたんだが……」

そしてその直後、エルヴィン先生は笑った。

エルヴィン「あいつ、その後に『この子猫、あんたが飼ってやってくれないか? 俺はこいつを助けてやれない』と言ってきてね。私は犬猫を飼う趣味はなかったから、困ってね。『それは無理だよ』ってすぐ答えたら、『そうか……』と言って残念そうに俯いてね。そして『俺にまともに就職する能力があれば、こいつを養ってやれるんだがな……』と、自分に対する憤りを漏らしてね。その瞬間、私は今まで経験したことのない『何か』が降りて来たのを感じたんだ」

エルヴィン先生が少し興奮しているのが分かった。頬が少しだけ赤く染まっている。

エルヴィン「私はリヴァイに聞いたんだ。『就職していないのか?』って。そしたら『高校中退したような奴は、どこもまともに雇ってくれない。運よく採用されても、トラブル起こしてすぐクビになる。所持金も、残りわずかだ。あと一か月、これだけで生き延びられたら奇跡だな』と言って出した金は1000円札1枚だけだった」

アルミン「そんな極貧状態に追い込まれていたんですか…」

エルヴィン「世の中は厳しいよ。確かに高校を中退したような奴に対しては、風当りが厳しい。そんなもんだよ。世の中は」

エレン「…………」

エルヴィン「その当時のリヴァイは言ったよ。『こうなったらもう、生きる為にヤクザにでもなるか』ってね。私は慌てて止めたよ。『ヤクザなんて、やめておけ』って。そしたらあいつ、『だったら、他にどうすればいいんだ? あんた、他に生きる方法を知っているのか?』ってね。私は即答出来ない自分に気づいたよ。確かにヤクザなんてなるもんじゃないけど、だけど、それ以外の進路を提示して、彼が人間らしく生きられる方法を思いつかなかった。教職についているというのに、答えが何も思い浮かばない自分に気づいてね。自分に愕然としてしまったんだよ」

アルミン「いや、それはエルヴィン先生だけじゃないですよ。きっと、他の人だってそんな事を急に訊かれても、即答なんて出来ないですよ」

エルヴィン「アルミン。ありがとう。確かにその通りだと思うよ。でも当時の私は、その事がショックでね。所謂、綺麗事の中で生きていた自分に気づいて、凄くそんな自分が嫌に思えたんだ」

と言って、エルヴィン先生は続けた。

243進撃の名無し:2014/08/04(月) 04:07:27 ID:YSQTQJRw0
エルヴィン「でもその後すぐにリヴァイは『すまん。あんたに聞くような事じゃなかったな』と言って立ち去ろうとしてね。私はその瞬間、リヴァイが本当に死地に赴く軍人のように思えて、思わず奴の手を握ってその足取りを止めてしまったんだ」

エレン「………」

エルヴィン「リヴァイは怪訝な顔をしていたよ。『子猫、引き取ってくれるのか?』って言ったけど、私は『いや、引き取るのは君自身だ』と何故か、即答してしまってね。リヴァイは『は?』って顔をしていたけど。もう、私も勢いで言ってしまったんだ。『子猫ごと、君を引き取ろう。うちに来い』って言って、殆ど無理やり、奴を家に連れ帰った。リヴァイはパニック状態に陥っていたよ。訳も分からず、拉致られたようなものだからね。でも私もその時、何故か『天啓』のような物が降りて来たのを感じてね。いや、正直、大人としてやってはいけない事なんだろうけど、とりあえず、子猫はうちのマンションで飼う事にしたし、リヴァイには無理やり飯を食わせた。あいつも腹は減っていたから、渋々食ってくれたけど。そこからだな。私は何とかリヴァイを口説き落として、教員用の自分のマンションでの同居生活をさせる事にしたんだ」

うおおおい。本当にこの先生、リヴァイ先生、拉致っていたんか!

「監禁」はしてねえけど。「拉致」はやっていたのか。いろいろ危ない先生だな。

エルヴィン「当時のリヴァイは大分、混乱していたよ。何でいきなり連れて来られたのか分からずにいたからね。だから最初は『俺は言っておくけど、男に抱かれる趣味はねえからな? 手出したら、殺すぞ』と言ってきてね。思わず、ドキッとした自分もいたけど、その当時はまだそこまで自分の気持ちに気づいていなくてね。一応『そういうのじゃないよ』とは言ったけど。最初は信じて貰えなかったね」

そりゃそうだな。オレでも同じ事思うな。

エルヴィン「私はとにかく、彼に合うと思われる適性を探したかった。だからまずは何かを彼にやらせてみる必要性があった。そして彼の事を調べていくうちに、彼は私が講談高校に着任する前年に講談高校を中退している事が分かった。すれ違っていたんだよ。その事を凄く憤る自分もいたけれど、でも、ゴミ捨て場でリヴァイを拾えた自分の幸運にも感謝した。私はとにかく掴んだチャンスを活かしたくて、まずは私の趣味のひとつであった、演劇に携わらせてみたんだ」

エレン「それがリヴァイ先生の初めての「裏方」だったんですね」

エルヴィン「そうだよ。当時の私は裏方のリヴァイを注意深く観察したよ。彼は体力もあったし、呑み込みも早かった。頭も悪くない。協調性は少し欠けるけど、でも、不器用だけど真面目で誠実だった。地味な作業も苦にならないようだし、根気強さも持っている。これだけの有能な人材なのに、何故トラブルばかり起こしてクビになるのか。最初は分からなかったけど、後でそれが分かったよ。リヴァイは「魅力的過ぎる」からだって」

エレン「え?」

エルヴィン「所謂、痴情の縺れによる人間関係の方のトラブルが起きるんだよ。好かれ過ぎて、劇団員の女性メンバーがどんどんリヴァイに堕ちていった。リヴァイの方から手を出している訳じゃないのに。なんだろうね? そういうフェロモンでも出ているのかな。とにかく、リヴァイはいろいろ面倒事に巻き込まれる気質があるようで、その度に、男と喧嘩したり、チーフとも口論したり。その時のリヴァイは一か月程度で『もう辞める!』と根をあげちゃったけど。でも、それで大体の原因は分かったから、後はそれを改善すれば何とかなると思ったんだが……」

エルヴィン先生が紅茶を飲んで一息ついた。

エルヴィン「よく考えたらそんなの、改善の仕様がないって気が付いたよ。だって『人に好かれ過ぎる』なんて、どうやって改善するんだ? って思ってね。リヴァイの場合は特別、イケメンって顔じゃないのに、そんな状態になるって事は、やっぱりそれはもう、あいつの「気質」がそうさせているとしか思えなかった。だから、私も当時は頭を悩ませたよ。いっそアイドルでもやらせた方がいいのかなって思ったけど。そんなのをやらせたら、ストーカー被害に遭うのは目に見えていたし、危ないからやらせられないよね」

エレン「まーその通りですよねー」

教師になってもその吸引力は健在だ。芸能人だったらもっと酷い事になっていただろうな。

244進撃の名無し:2014/08/04(月) 04:44:10 ID:YSQTQJRw0
エルヴィン「うん。だから当時の私は本当に頭を悩ませた。リヴァイ自身もいつまでこの生活が続くんだろう? って顔をしていてね。怪訝な表情のまま私と一緒に生活していたから、早いところ、彼の適性を探してやりたかった。そんな時だ。彼が演劇ホールの中にいた、迷子の子供を肩車して、親を一緒に探してやってる風景に出くわしてね。見ず知らずの子供の為に肩車までしてやって、一緒に探してやっていた。その時は、幸いすぐ親御さんが見つかったけど。その時、私は聞いたんだ。『何故、そんな面倒な事をした? 迷子センターにさっさと連れて行けばいいだろう?』って。そしたら、あいつ、なんて言ったと思う?」

エレン「想像がつかないです」

エルヴィン「私もそうだった。そしたら『肩車すれば、見つけられるかなって思った。親も探している筈だし。迷子になった地点からあまり動かない方が、見つかる確率はかえって高いんだよ。こういう時はちょっとじっとして、様子を見る方がいい。それでも見つからない時は、さすがに迷子センターに預けるけどな。まあ、俺もよく迷子にはなるし、子供の気持ちも分かるから一緒にいてやった方がいいかなって思ったんだよ。余計なお世話かもしれんが』って、照れくさそうに言っていたんだよ」

アルミン「へー」

なるほどな。子供が好きって言うのは、そこで分かったのか。

エルヴィン「その時のリヴァイを見て私は二度目の『天啓』を受けたような心地になってね。リヴァイはきっと、そういう仕事が向いていると、当時の私は思い込んでしまってね。もう、これはやらせるしかない。ってなってしまって。リヴァイを酒に酔わせて、契約書書かせて、大検受けさせて、無理やり大学に行かせる事にしたんだよ」

この辺の強引なところは本当、怖いよなあ。エルヴィン先生。

思い込んだら一途なのかな。リヴァイ先生、パニック状態だったろうなあ。

エルヴィン「リヴァイは『ふざけるな!!! よりにもよって何故、教職になんかつかないといけないんだ!!!』って最初は抵抗していたけどね。でも私も引かなかった。リヴァイにはきっと、教師という職業が向いていると思った。私なんかより、他人の気持ちを慮る気質があるし、何より人に好かれる気質を持っている。体力もあるし、真面目な性格だ。体育教師であればきっとやれると思った。だから無理やりとある体育大学に行かせる事にしてね。その資金は全て私が出す事にしたんだよ」

アルミン「もうリヴァイ先生自身もベルトコンベヤーに乗せられちゃったんですね」

エルヴィン「まあね。リヴァイの事だから、一度契約書を書かせてしまえば、それを反故にはしないだろうと思った。渋々だけど、大検を受けて一発合格して、大学の寮に住まわせて、その後は離れて暮らしたけど。1〜2年程度かな。大学に入る前まではリヴァイとは一緒に生活していたんだよ」

エレン「でも、大学卒業してから、すぐには教師にならなかったんですね」

エルヴィン「ああ。大学を卒業したら、以前よりは働ける窓口も増えたようだから、初めは土方仕事や宅配、あとトラックの運転手とかかな? たまに劇団のアルバイトもしていたようだよ。裏方のね。いろんな職業を掛け持ちして、大学資金に利子までつけて、金を返そうとしてきたけど、私は受け取らなかった。それよりも『さっさと諦めて教師になってよ』と口説いてね。私はリヴァイと一緒に仕事をしたくて堪らなかった。その頃かな。ようやくこの気持ちが、ちょっと人より異常だって気づいて、自分でも困ったんだけど」

気づくの遅いなー。エルヴィン先生もあんまり人の事言えねえぞ。

245進撃の名無し:2014/08/04(月) 05:20:25 ID:YSQTQJRw0
エルヴィン「でも、リヴァイはそっちの気は全くないし、むしろ気持ち悪がっているのを知っていたから、さすがにそれを自分から言い出す勇気はなくてね。ちょっと切ない気持ちにもなったけれど、リヴァイもようやく重い腰を上げて『分かった。そこまで言うなら教師を試しにやってみるが、無理だと思ったらいつでも辞めてやるからな』と言って、ようやく私と同じ講談高校に着任したんだ。それが偶然、ハンジの着任した年と重なってね。まあ、その後の事は、もう既に知っているだろうけど。2人があんな感じになっちゃった訳で。私は「早いところくっつかないかな」と思っていて。息子でも娘でもいいから、貰えないかなって、虎視眈々と企んでいた訳だよ」

すげえ人生設計だよな。エルヴィン先生、いろいろすげえ。

アルミン「じゃあもし万が一、リヴァイ先生がエルヴィン先生の気持ちに気づいて、それに応えちゃっていたら、こっちの二人がくっついていた可能性もあった訳ですね」

エルヴィン「リヴァイが男もいける口だったら、の話だよ。もしもの可能性を追っても仕方がない」

エレン「でも、エルヴィン先生、一度も告白していないんですよね? もし告白していたら、リヴァイ先生の気持ちが動いていた可能性あったかもしれないですよね」

エルヴィン「うーん。殴られるのがオチじゃない? 縁切りされる方が怖いよ。そんな事をされたら、私は生きていく意味を無くしてしまう」

と、さらりと言うあたり、エルヴィン先生も問題ある先生だなあと思った。

エルヴィン先生、冷たいようで情熱家な部分もあるんだ。

一途なんだよな。それでいて、目的の為には自分の気持ちも簡単に犠牲に出来るんだ。

エレン「そうですか……でも、リヴァイ先生は『専業主夫』になるのが夢のひとつだって言っていたから、パートナーになる人間って、仕事を持っている方の方が良かった訳ですよね」

エルヴィン「ははは……あれは冗談じゃない? リヴァイなりの」

エレン「んーまあ、そうかもしれませんが。でも、その、エルヴィン先生が進路指導室に来る前に、その、リヴァイ先生自身が『目を逸らしていた事を突き付けるな。俺も薄々、そんな気配は感じる事があったんだが、見ないようにしていたんだぞ』って、言っていたんで、なんとなく、気づいてはいたようでしたよ?」

と、オレが言ってやった瞬間、エルヴィン先生の顔が固まってしまった。

アルミン「え? リヴァイ先生、そんな事を言ってたの?」

エレン「ああ。ミカサと進路指導室に行った時、リヴァイ先生とハンジ先生が今後について話し合っていた時だな。放課後、2人がいろいろ話しているところ、オレ達、聞いちまって。その時に…」

エルヴィン「え……じゃあ、リヴァイ、薄々、私が例の告白をする前から、気づいていたって事?」

エレン「だと思いますよ? きっと。あの感じだと、ずっと前から薄々気づいていて、あえて目を逸らしていただけだったんじゃ……」

エルヴィン「………………そうか」

エルヴィン先生が両目を瞑ってしまった。堪えるように。

エルヴィン「ずっと隠していたつもりだったが、薄々気づいていたのか。リヴァイの奴は……」

エレン「いや、無理でしょう。どう考えても。エルヴィン先生の行動自体が、それを気づかせるに十分な事をやってますからね」

エルヴィン「うううーん。ねえ、もしかして、だけど。押したら、押し倒せた可能性、あったのかな? 私は」

エレン「うううーん。どうなんでしょうかね。それこそ、本人に聞かないと分からないですけど。ただ、何もしなかったのは、ちょっと勿体なかったような気もします」

アルミン「エレン、応援しちゃうの?!」

エレン「いや、そうじゃねえけど! でも、エルヴィン先生もなんか可哀想だなってつい、思っちまってな」

ここにも隠れた恋があった訳だろ? いや、同性同士だけど。

オレはそっちの趣味は分からんが、だからと言って、恋心そのものは否定したくねえ。

246進撃の名無し:2014/08/04(月) 05:38:24 ID:YSQTQJRw0
なんていうか、エルヴィン先生もエルヴィン先生で問題だらけだろ?!

いや、オレももし、リヴァイ先生と同じ立場だったら、「ごめんなさい」しかしねえけど!

エルヴィン先生、頭を抱えちゃって、

エルヴィン「うーん……やっぱり、1回くらい拝み倒してやらせて貰った方が良かったのかな」

と、ちょっとだけ赤面して誤魔化す様に舌を出した。

エルヴィン「いや、でも私も決めたんだ。私はあの2人を見守るってね。2人の幸せを壊してまで自分のエゴを通せないよ。そもそも、そういう道を選ぶわけにはいかないし。仕方がない事だ。リヴァイが幸せになれる方を、私は選んだんだよ」

と、言った後、驚く声が、聞こえた。

リヴァイ「お前、馬鹿じゃねえのか」

エルヴィン「!!!!」

ハンジ「ごめーん、ちょっと出るに出れなくなってね。てへ♪」

エルヴィン「!!!!?????」

奥のソファから人影が出て来た。ソファに隠れていたようだ。

2回目かよ!!! え? でも、オレ達が入った時は鍵、かかってたんだけどな。

リヴァイ「合鍵。進路指導室、鍵は2つあるだろ? ちょっとハンジとここでこっそりイチャイチャさせて貰っていたんだが、まさかお前らが後から入ってくるとは思わなくてな」

ハンジ「エルヴィン〜この間のお返しだよ〜私を騙したお返しだよ〜うふふふ〜♪」

エルヴィン「…………やられた」

エルヴィン先生が顔を覆っている。珍しい。エルヴィン先生が出し抜かれるなんて。

247進撃の名無し:2014/08/04(月) 06:06:47 ID:E7j3qB6M0
リヴァイ「やれやれ。何を考えているのか良く分からん奴だと思っていたが……まさかそこまで考えていたとは」

エルヴィン「………………」

エルヴィン先生が珍しく動揺しているのが分かる。顔が少し赤い。

やべえ。なんでこう、オレ、こういう場面に遭遇してばっかりいるんだろ?

まあ面白いからいいけどな。うん。

リヴァイ「エルヴィンがそこまで俺の事を考えて行動していたとは思っていなかった。予想以上に驚いたぞ」

エルヴィン「…………リヴァイには言うつもりなかったんだがな」

リヴァイ「仕方がないだろ。もう聞いちまったんだ。ただまあ、エルヴィンのしてくれた事は、今でも感謝しているし、それに対する『借り』もまだ俺は返していないからな」

エルヴィン「………うん」

エルヴィン先生、リヴァイ先生の方を見れないでいるようだ。

これ、やっぱり本気だったんだな。おどけて誤魔化していただけだったんだ。

リヴァイ「さすがに一発やらせてくれっていう頼みはきけないが、そこまで言うなら、仕方がねえな。エルヴィンの望みをひとつくらいは叶えてやらんといかんよな」

エルヴィン「え?」

リヴァイ「娘が生まれる保証はないが、善処はしてやろう。ただし、娘が嫌がった場合は許さんぞ。実力でちゃんと、落として見せろよ。ロリコンの名にかけて」

エルヴィン「え? 本当に、いいのか?」

リヴァイ「あくまで『産まれたら』の話だがな。先の事は分からん」

エルヴィン「じゃあ、本当に…?」

リヴァイ「くどい。俺が約束を破った事、あったか?」

その瞬間、エルヴィン先生が本当に嬉しそうに、顔をあげた。

エルヴィン「ははは……待ち望んだ甲斐があった。本当に。ありがとう。リヴァイ」

リヴァイ「ふん……(照れる)」

ハンジ「あーもう、リヴァイ可愛いー! 顔赤いよ?」

リヴァイ「うるさい。いちいち指摘するんじゃない。俺もどうしたらいいか分からん」

ハンジ「照れちゃって♪ でも危なかったねー。私、もしかしたらエルヴィンにリヴァイを先に取られていた可能性、あったって事だよね?」

エルヴィン「いや、それはない……」

ハンジ「いやいやいや、分かんないよ? 人生なんて、転がった先にどうなるかなんて! だってリヴァイのこの反応、みてよ! 満更でもない顔してるじゃないの!」

リヴァイ「ハンジ! お前は俺の嫁になるんだろうが! ふざけた事を言うんじゃねえ!」

ハンジ「いや、それは分かってるけどさ! でも、なんか私もいろいろ切ないんだよ? エルヴィンにはすっごくお世話になったしさ。エルヴィンにもちゃんと幸せになって欲しいもの!」

リヴァイ「それは俺も同じだが……だからと言って、俺がその……応える訳にはいかんだろうが」

ハンジ「あーうん。でもなんか、エルヴィンならしょうがないかなーって思う自分もいるんだよねー」

リヴァイ「おい、冗談でもそんな事を言うな。エルヴィンが本気にしたらどうする気だ」

248進撃の名無し:2014/08/04(月) 06:28:46 ID:YSQTQJRw0
ハンジ「いっそ、新居に3人で暮らしちゃう? そしたら良くない? ダメかな?」

リヴァイ「アホか!!! エルヴィンが居た堪れないだろうが!!」

エルヴィン「いや、私は、その……2人さえ良ければ、同居も構わないとは思っているが」

リヴァイ「!!!」

ハンジ「じゃあいいじゃん! 一緒に住んじゃおうよ。んで、子育ても手伝って貰えばいいじゃない」

リヴァイ(頭痛くなってきた……)

あ、今、言葉に出してないけど「頭痛」している顔だな。

ハンジ「どうしてもだめかな? 私、エルヴィンとも一緒に住んでもいいと思ってるよ。だって、エルヴィンはもう、リヴァイの「父親代わり」みたいなもんじゃない。私にとっても、その感覚に近いんだよ?」

リヴァイ「いや、確かにやってもらった事は「父親」みたいな事だが、エルヴィン自身がその……俺にそういう気持ちがあるなら、それは父親とは呼ばないだろうが」

ハンジ「そうだけどさー。うーん。リヴァイは本当に、そういう同性愛ってダメな人なの?」

リヴァイ「……………………今までのアプローチしてきた同性愛の奴らは、体目当ての奴らばかりだったからな。エルヴィンのような真剣な想いを聞くのは、俺だって初めてなんだよ」

と、リヴァイ先生自身、少し混乱しているようだった。

リヴァイ「と、いうより、エルヴィンに始まった事じゃないが、どうしてこう、俺は皆に愛されているんだか良く分からん。ペトラも、ニファも、オルオもそうだ。俺はそんなに大した事はやってないんだが、真剣な想いを受ける度に、どうしていいのか分からなくなるんだぞ」

あ、その3名の気持ちも薄々気づいていたんだ。リヴァイ先生。

リヴァイ「そういう意味じゃ、俺を嫌ってくれるミカサの方が余程、プレッシャーがない。あいつは遠慮なくこっちをぶった切ってくれるから、一緒に居て本当に楽だった。たまに癒される事すらあったぞ。もっとお前ら、俺を嫌ってもいいんだぞ!?」

意味不明な事を言い出した。リヴァイ先生、大丈夫か?!

249進撃の名無し:2014/08/04(月) 06:54:13 ID:YSQTQJRw0
ハンジ「そんな事言われてもー。リヴァイがモテキャラなのがいけないんじゃないの」

リヴァイ「俺は顔だって普通だ。むしろ不細工な方かもしれんと思っている。イケメンキャラならともかく、なんでこんな事態になるのか毎回訳が分からん!」

ハンジ「中身がイケメンキャラやってるからでしょうが。あんたのたらしスキルって、相当なものだよー?」

リヴァイ「人をホストみたいな呼び方するな。俺は水商売の男じゃねえよ」

ハンジ「いや、そっちでやっていく才能もきっとあるよ? リヴァイは」

リヴァイ「俺は教師にならなかったら、美容師になりたかったんだが………なんかいつの間にか教師にうっかりなっちまったけど」

ハンジ「あ、だから髪洗うの上手いんだねー。ヘアメイクもその名残り?」

リヴァイ「髪を切るのも好きだが。悪いか」

ハンジ「いやいや、別にいいよ? リヴァイらしくて」

リヴァイ「とにかく、そういう事だから。俺は、その……そんな風に好かれる価値なんて、自分にはないと思っている。だから、どうしたらいいのか……」

エレン「あの、リヴァイ先生。ちょっとこれ、見て貰えませんか?」

さすがにちょっとイラッとしてきたので、オレは以前撮って見せた写メを本人に見せた。

あの面白い顔だ。反応がすげえ楽しい奴。

すると、リヴァイ先生自身もうっかり「ぶは!」と吹いてしまって、

リヴァイ「酷い顔してやがるな……こんな顔していたのか。あの時は」

エレン「ええ。酷い顔でした」

リヴァイ「そうか……こんな顔されたら、確かに写真撮りたくなる気持ちも分からんでもないが」

エレン「ですよね? 分かって貰えました?」

リヴァイ「ああ。そうだな。これも、俺の一部なんだな。むしろこっちの間抜けな俺の方が真実に近いような気がするぞ」

エレン「だったら、これを公表してみませんか?」

エルヴィン「! エレン、その件は……」

エレン「エルヴィン先生、気持ちは分かりますが、最終的な判断を下すのはリヴァイ先生自身です」

エルヴィン「……」

250進撃の名無し:2014/08/04(月) 07:04:14 ID:YSQTQJRw0
エレン「リヴァイ先生は、常々言ってますよね。『俺はそんなに綺麗じゃない』とか、今も『好かれる価値はない』とか、たまにイラッとするくらい自虐的になるんで、いっそ、もう、全部出しちゃいましょうよ」

リヴァイ「全部、出す…?」

エレン「ええ。その上で、皆が慕ってくれるならもうそれは、真実の「愛」だとは思いませんか?」

リヴァイ「…………」

リヴァイ先生が考え込んでいる。意味が通じたかな。

リヴァイ「それは、ファンクラブの件も含めてって事だよな?」

エレン「そうです。もちろん、そのせいで逆にリヴァイ先生のファンが増える可能性もありますが、少なくとも、限りなく真実に近い「リヴァイ先生」を出した上で寄ってくる場合は、先生の危惧する「美化され過ぎた自分」が愛されている訳ではないと思うんですけど。ダメですかね?」

リヴァイ「…………いや」

リヴァイ先生はすぐに納得した様だ。

リヴァイ「その手があったな。何も隠す必要性なんて何もない。むしろジャンジャン出していい」

エルヴィン「リヴァイ、でも、それは……危険だよ」

リヴァイ「何故だ。今のこの「気持ち悪い認識」の方が余程変な状態だぞ。皆、俺を何だと思ってやがるんだ」

エルヴィン「でも、リヴァイ……」

リヴァイ「俺はただの元ヤンの体育教師だ。もうすぐ39歳にもなるおっさん捕まえて、皆、メルヘンチックな幻想を抱くな。愛される側のプレッシャーも少しは考えろ」

エルヴィン「う、ううう……(ぐうの音も出ない)」

251進撃の名無し:2014/08/04(月) 07:17:14 ID:E7j3qB6M0
リヴァイ「エレン、良くやった。あの時は『何勝手に撮ってやがる』と思ったが、ちゃんと理由があったんだな」

エレン「まー衝動的に撮りたくなったのは事実ですけどね。利用出来るかどうかは、リヴァイ先生次第でしたけど」

リヴァイ「分かった。ファンクラブの件も含めて、少し案を煮詰めよう。エルヴィン。その件も含めて、今後の事を少し話したい。この後の時間をくれ」

エルヴィン「はー……(頭抱えている)」

やっちまったって顔しているけど。オレは知らない。決めたのはリヴァイ先生自身だしな。

エルヴィン「どーなっても知らないよ? 私は一応、1度止めたからね?」

リヴァイ「ファンが増えようが減ろうが構わん。とにかくアレだ。皆、俺に対してキャッキャし過ぎるんじゃねえって話だ。そういう意味じゃ、ハンジくらいだぞ。そういう欲目がないのは」

ハンジ「まあねー。こいつ、本当時々、殺したろかってくらいムカつくしねー」

リヴァイ「お互い様だろうが! お前もちょっと知恵を貸せ!」

ハンジ「はいはーい」

という訳でオレとアルミンは進路指導室を追い出された。

後は野となれ山となれって感じだな。

アルミン「えーっと、大体、揃ってきたかなー」

と、ずっとメモに集中していたアルミンがノートを閉じた。

エレン「書けそうか?」

アルミン「うん。大丈夫だと思うよ。後は……出来れば高校時代のリヴァイ先生の情報がもう少し欲しいかな」

エレン「あーそんな古い情報、他に誰か……」

1人、いた。ハンネスさんだ。

エレン「ハンネスさんにも取材するか。確か、元ヤン時代のリヴァイ先生を一番知ってる筈だぜ」

アルミン「そうなんだ。よし、次はそっちに行ってみよー」

と言いながら、移動するオレ達だった。

252進撃の名無し:2014/08/04(月) 07:25:47 ID:YSQTQJRw0
という訳で、かなーりエルリ入っちゃってすみません。
最初に表記するべきか迷ったんですが、ネタバレっぽくなるのも嫌だし、
と思い、あえてカプ表記の中には予め入れませんでした。

ふざけているように見えて、
ちゃんとエルヴィン先生、リヴァイ先生の事、好きだったんですよ。って事で。

253進撃の名無し:2014/08/04(月) 08:51:29 ID:gxXBFpCg0
毎朝このスレを覗くクセがついた…
BLはともかく10年(16?)来の恋を実らせたんだから同居は勘弁w

(てか、けっこん)

254進撃の名無し:2014/08/04(月) 08:55:07 ID:gxXBFpCg0
途中送信スマン

てか、結婚間近で過去の女性遍歴を嬉々として教授するあたり
やはり変態教師…<●><●>

255進撃の名無し:2014/08/04(月) 17:23:00 ID:E7j3qB6M0
ハンネスさんを探して、職員室近くの廊下を2人で歩いていたら、偶然、ハンネスさんに出会った。

良かった。丁度良かったぜ。ちょっと声かけてみよう。

エレン「ハンネスさーん!」

ハンネス「おう、エレンとアルミンか。部活はどうした?」

エレン「今、台本の制作中で取材して回っているところなんだよ」

アルミン「クリスマスの冬公演に向けて、再現劇をやろうと思っているんで、ハンネスさんの知ってる事も聞きたいと思って」

ハンネス「俺の知ってる事? 何を話せばいいんだ?」

エレン「リヴァイ先生の元ヤン時代の話。補導していたんだろ? その時の事を出来るだけ詳細に」

ハンネス「あーなるほど。そこから追っていくわけか」

と、ハンネスさんは腕を組んで懐かしそうに答えてくれた。

ハンネス「リヴァイ先生は、よく1対多数の喧嘩に巻き込まれる事が多かったな。俺達警官が現場にたどり着く頃にはもう、殆ど勝負はついていてな。俺と目を合わせるなり、しょっちゅう逃げていた。こっちもおかげで足腰は随分と鍛えられたもんだよ」

エレン「へー。一匹狼って感じだったんですかね」

ハンネス「んーどうなんだろうな? ただ何度かリヴァイ先生が『リヴァイ総長』って呼ばれている場面に出くわした事もあったから、恐らくグループの頭を張っていたんじゃねえかなとは思うぜ。本人は『その呼び方、止めろ』って良く言っていたが、下の子達と思われる奴らに慕われている様子を見かけた事は何度かあった」

エレン「リヴァイ総長って……」

なんかそれっぽい気がする。ヤンキーの頭やっていたのかな。


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