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Key Of The Twilight

1イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/01(火) 19:01:24
移動してきました。

現在、参加者の募集はしておりません。

86ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/07/30(水) 10:54:08
【絵自体は1月辺りに描き終えてたけど、上手く加工出来ないかで半年程放置してたぽい……結局色着いてないしねww

リマ》切なくなる文章書けんから普通に羨ましいわ、リマの書く恋物語もね。

イスラ》dingoさんタダのオッサンじゃなかった!←

うーん、身体自体は紆余曲折してバロンの下へ、とか考えてたんだけど……

力や魂、神器を制御仕切れなくなって暴走→臨界点超えたら街一つ消し飛ぶぞヤベェ→そうなる前に倒す

とかどうでしょ?

シデンさんは深淵組帰還前の登場でも大丈夫、かな?】

87イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/30(水) 21:11:09
【ヤツキ》上手く加工できない→放置>あるあるww
今度は着色したバージョンのをぜひ!

そう、dingoさんはやれば出来るオッサンなんです(笑)

じゃあ今回の戦闘終わったらイオリがバロンの身体かっさらってく、って感じですかね?
なるほど、じゃあそれでいきましょう^^

何やら返答が煮え切らない様な(笑)何かお考えでもあったのですか?】

88イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/07/30(水) 22:13:44
【バルクウェイ】

「えっと…」

リマに尋ねられたアブセルは、周囲をキョロキョロと見渡し、目を凝らしてみる。

しかし…

「…何も見えない」

辺りに広がるのは闇一色。
人影どころか、それ以外のものも何も見当たらない。

「本当に此処なのか?」

一体セナは何を感じたと言うのだろうか。
アブセルは怪訝な顔で彼に問いかけた。


【ヤツキさんに触発されて自分も←

imepic.jp/20140730/793810
imepic.jp/20140730/793800

サンディとアブセルののプロフを改めて書いてみました。前の板のはもう見れないし…】

89リト:2014/08/01(金) 20:37:02
【過去】

部屋のノックの音と共に入るぶっきら棒な声。
人の出入りには慣れているのか、アブセルが入室しても部屋の主は見向きしない。まるで興味がない、と言うように。

「……」

部屋の主、リトは床に座り、黙々と手を動かしていた。
何をやっているのかと思えば様々な形のものを積み重ねている。積み木のようだ。

それは少し異様な光景に見えた。
リトの年齢はアブセルと同じ。とうに積み木で遊ぶような歳ではない。
歳のわりに体は小さいが、何も話さないし、知能も遅れているのだろうか。

しかし、何の反応は見せなかったものの、アブセルの存在は認識していたらしい。
積み木遊びが一区切りついたのか、不意に立ち上がったかと思えばアブセルの元に歩み寄ってくる。
そして、彼の持つプレートからスープのみ取り上げたかと思えば、ベッドに腰掛け食べ始めた。

90リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/01(金) 20:50:41
トリ付け忘れた…

ヤツキ>>
【色つけようよー、勿体無い!

私は戦闘描写とか苦手だから二人が羨ましい…】


イスラ>>
モザイクww黒執事が急に危ないアニメにwww
いやいや、シエルに精神崩壊させられるなら本望です!さぁ!!どんとこい!!!
呼吸困難だって受けて立つ!!←
楽しそうだけど自分にはシエルが必要←

あぁ、なる程(笑)
芋男は鈍いからなぁ、女性の気持ちに気づく筈もなく(笑)そのわりに失言が多いからミレリアとか怒らせちゃうし。
ですね(笑)ジルはある意味真性の悪です←

そんなww楽しくてもそんな世界嫌だwww
了解しました!

そしてメルフィのことすっかり忘れてたんですがどうしましょう?←

そしてそしてまたまたの美絵!
サンディ可愛い!!
アブセルがイケメンで笑える!!←
そのプロフィール表記いいですね!自分もやってみたいけど絵が描けない!!
てかアブセルのリト大好き感が何とも…(笑)】

91イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/02(土) 11:04:07
【バルクウェイ】

断末魔の咆哮を轟かせ、灰となって散って行く巨鯨。

「案外脆かったか?

いや、この剣の威力が凄まじかったって事か。」

その様子を世界政府本部の屋上から眺めながら、イオリは天叢雲剣の切っ先を前方へ向ける。

「さぁて……後はテメェだけだぜ、ワヅキさんよォ?」

刃の指し示す先、同じく屋上で呻くワヅキへ、イオリは声を掛けた。

しかし、返事が返って来る事は無さそうだ。

様子を見る限り、精神に異常を来しているらしい。

(そういや、あの鯨には莫大な数の異能が収められていたんだっけか……)

依代とも言える巨鯨を失った為に、それらはワヅキへ……あの天使の様な身体へと殺到したのだろう。

だが、如何にあの身体が特別だったとしても、巨鯨が内包していた全ての異能を収める事は出来ない筈だ。

現に、呻くワヅキは正気を失いつつある。

もし、ワヅキの自我が消失し、あの身体に宿る数百、いや数千の異能が暴走したならば……

「不味いな、あんだけの数の異能を制御出来なくなって暴発なんかしてみろ……

このバルクウェイなんて簡単に消し飛んじまうぞ……」

笑みを僅かに苦いモノへと変え、イオリは目を細める。

ワヅキの状態からして、予想する最悪の自体になる可能性は高い。

既に制御仕切れなくなっている一部の異能が身体から溢れ、大気を歪めているのが見える。

(チッ……あの身体、手に入れたかったが諦めるしかねェか。)

「おい赤毛、アンタの力が必要だ。」

ソレから視線を外す事なく、イオリは後方のイスラへと声を掛けた。

「見てわかる通り、あの野郎は自我を失って暴走しつつある。

そうなれば数千の異能が溢れ、この街は消し飛んじまう。

だから、そうなる前に野郎を倒してェ。」

そして、話ながら腰に下げた鞘を一本外し、背後へ投げた。

「だが、あれ程莫大なエネルギーを内包した身体を一瞬で消失させるには一撃じゃ足りねェ。

かと言って、俺が二発喰らわす時間的余裕も無い。

一撃でやらねェと、傷口から溢れ出ちまうからな。」

それは、過去から飛んで来たイスラが所持し、メイヤへと渡して居た神刀、月読。

「受け取れ、元はアンタが持って来たモンだ。

そして天叢雲剣を創れ。

俺が持つ現代の天叢雲剣と、アンタが持つ過去の天叢雲剣。

二本の天叢雲剣で同時に奴を斬り、一撃であの身体を消滅させる。」

そう、今この場には過去と現代、それぞれ二本づつ、計四本の神刀があるのだ。

「先々代、あのヤツキを倒したアンタなら……やれんだろ?

やるぜ、合わせろ!」

イオリが早口で説明している間にも、ワヅキの内に宿る異能と魂は溢れ出さんと蠢いている。

最早一刻の猶予も無い。

イスラの返事を待たず、イオリは天叢雲剣を腰溜に構え、大きく一歩を踏み出す。

地を砕く程の踏み込みから一気に加速、距離を詰め、抜刀。

放たれしは神速の一閃、神斬り。

その一撃は次元を斬り裂き、世界創造すら成すエネルギーを持ってして、ワヅキの左半身を消滅させる。

(右半身は、任せるぞくそったれ!)

92ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/02(土) 11:17:38
【リマ》もうあれだ、着色だけ友達とかに頼むわww

やっぱ男女の違いがそこら辺出るんかねぇ、大した恋愛経験も無いから、甘い文章全く思い浮かばねーww

イスラ》後は下書きで満足あるあるwwww

でもディンゴさんらしい最期だった……っ涙

いや、特に問題は無いす!ごっちゃなるかと思ったけど、きっと大丈夫でしょ!wwww

申し訳ない、やっぱり肉体の方を完全消滅させる方向でレスしたので、後よろしくお願いします。

ゼロの身体のスペアをいずれ出すんで、良ければそっちに乗り換えてもらっても……!

とと、イスラ画伯キター!サンディ可愛いな、そんで持ってアブセルやっぱりデカイ(笑)


さぁ次はリマ画伯の降臨待ちですな!】

93サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:33:06
【バルクウェイ】

初めて聞いたナディアの弱気な声。
サンディは一瞬驚いた様な表情を見せるも、直ぐにふっと口の端を持ち上げて笑った。

「姉御…らしくないね」

そして続ける。

「あたしの知ってる姉御は、いつも大胆不敵で、周りの都合になんて縛られなくて、やりたくないことは絶対にやらない…そんな勝手気儘な人だった」

そんな自由奔放な彼女に憧れていたし、羨ましいとも思った。

「姉御が今一番したいことは何?弟君の側にいて上げることでしょ?
あたしにも大切な家族がいたから、その気持ちはよく解るよ」

彼女なりに慰めて上げようとしているのだろう、サンディは微笑み、ナディアの頭を撫でた。

「大丈夫、姉御は間違ってなんかない」

94ワヅキ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:34:42
【バルクウェイ】

ぶっつけで合わせろと言うのか、無茶を言う。

イオリから月読を受け取ったイスラは、つとバロンへと視線を向ける。
対し、バロンは無言で頷いた。

「あれは儂の肉体。…これらの責任の一端は儂にもある。
もはや身体が惜しいなどとは言わぬよ」

それを受け、イスラは覚悟を決めた風に二つの刀の鞘を抜いた。
顕現した天叢雲剣を腰溜に、イオリと全く同じ構えを取り、力強く足を踏み出す。

勢いよく空を疾る一つの斬撃がワヅキの左半身を。もう一つが彼の右半身を斬り裂き。数多の魂を内包したその身体は、時を超えて実現した、二つの剣の力を以て跡形もなく消滅した。

―――…

ただただ白く、朦朧とした空間に二人の男が向かい合って立っていた。
ワヅキ…いや、ランダは、つい今しがた夢から覚めたかの様な、奇妙な感覚と共にはたと瞬き顔を上げた。

「…バロンか?」

「…ああ」

「何故、お前がここに居る?」

「知らぬ」

相変わらず適当だな、とランダは肩を竦める。
考えられるとしたら、先程の暴走の影響で、神と云う特殊な魂同士、一時的に意識の根が共有したからかもしれない。

「なぜ邪魔をした?」

不意に、ワヅキは尋ねる。

「もう少しで四神様も、仲間達も、故郷も、全てが元通りになる筈だったのに」

バロンは少しの間を置き、ゆっくりと言葉を返した。

「…いくら姿や意思を同じ様に復元させたとて、それはもう嘗ての四神様でも仲間達でもない。見てくれが同じだけの全くの別ものじゃ。
一度失くしたものは元には戻らぬ。
お主は己にとっての都合の良い箱庭を造り上げようとしていただけじゃ」

況してや、彼は多くの人間達を巻き込んだのだ。許されることではない。

ランダは言う。

「…私を倒したところで、どうせ世界の終焉は免れないぞ」

「どうだかのう…何せこっちにはお主の崇拝する、あの四神様より力を授かりし者達がおるでの。やってみぬと解らぬぞ」

ふてぶてしく返すバロンに対し、ランダは目をすがめた。

「……前々から言おうと思っていたが…、どうも私はお前の様な男は好きにはなれない様だ」

「奇遇じゃのう…、儂もお主の様なタイプは大嫌いじゃ」

言ってバロンはニヤリと片頬を持ち上げる。
つられてランダも、くくっと小さく喉をならした。

「……時間だ」

ランダの身体が周りの白に染み込んでいく。次第に希薄になっていく彼のその姿を目に、バロンは動じることなくポツリと口を開いた。

「…さらばじゃ、友よ」

…運命を受け入れられなかった哀しき魂。

95アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:37:36
【過去】

無言でスープを取り上げるリト。
それに対し、アブセルはむっと顔をしかめた。

(……無視かよ)

言ってしまえば彼はいつもこうだ。
殆ど喋らないし、笑わないし、何を感えているのかさえ全然分からない。
そんな所がアブセルがリトを気に食わないと思う、理由の一つでもあった。

無論アブセルだって、まだ幼い一子供に過ぎない。
リトのこと、気にならなかったと言えば嘘になる。
もしかしたら仲良くなれるかもしれない。と、ちらっと考えたことだってあった。
しかし彼は、それを心の奥底に仕舞いこみ、決して表に出そうとはしなかった。…否、出せなかった。

「………」

リトが食事を取っている間、手持ち無沙汰になったアブセルは、ふらふらと部屋の中を見て回った。
使用人の中には、彼の食事に手を貸してやる者もいるみたいだが、アブセルはそんなことはしない。
かわりに玩具箱の中を繁々と覗き込む。

積み木にパズルに粘土に…中には一人では出来ないようなボードゲームなんかもあるが、こいつは誰かとやったことがあるのだろうか。

アブセルの家は決して豊かな方ではなかった。こういった玩具類は買って貰った例しがなく、また自分と彼との格差の違いに悔しくなる。

…家にあったのはこれぐらいだろうか。アブセルは一つのトランプの束を手に取った。

「おい、ちょっと付き合え」

そして、リトにそのトランプを突き付け、言い放った。

「ババ抜きだ。勝った方が王様だからな。今日一日、負けた方は王様の命令に絶対に従わなくちゃいけないんだ。
……俺の言ってること分かるよな?」

なんとか彼をぎゃふんと言わしてやりたい。
その澄ました無表情を崩してやりたかった。

96イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/03(日) 08:40:19
【リマ》
いやいやいや、ちょっと待ってください!落ち着いてください!ww
流石のシエル好きですね。パない(笑)

女心が分からないくせに無意識に女を落とすとか…どういうことだ(笑)
ジルは魔性ですよね(笑)だがそこがいい!←

赤信号理論と同じです。皆で変態になれば怖くない←

そう言えば…(笑)どうしましょう?
ノワール達で連れ戻しに行きます?

ありがとうございます!笑わないであげてww
お、見たい!リマさん絵お上手じゃないですか(*´ω`)
彼の世界はリトを中心に回ってますので(笑)

ヤツキ》
ありすぎて何かもうツラい…ww

ディンゴは割りと動かしやすいキャラでしたからね〜^^

分かりました。気が早いんですが、シデンとイオリの戦闘はどんな感じで決着つけましょう?

了解です!ゼロのスペアの外見って…ジル?でもバロンの身体については一応考えがあるので大丈夫です!

ありがとうございます!そう、図体だけ無駄にデカイんです(笑)】

97イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/04(月) 01:12:36
【バルクウェイ】

二振りの天叢雲剣に依って放たれる、神速の一閃。

それは鏡映しかの様に、寸分違わず同じ軌道を描き、莫大な異能と魂を内包した身体を、塵一つ残さず消滅させた。

「やるじゃねェか、同じ技……神斬りを放つとはな。」

本来ならば奪い、自身の物にするはずだった身体を自らの手でふいにしてしまった。

だが、あのままワヅキの意識が途絶え、異能が臨界点を超えてしまった先を考えるとベターな選択だったのだろう。

跡形も無く消えた身体と、その身に宿った魂にイオリは少しだけ、思いを馳せた。

(どんだけ過去を再現しようと、それは紛い物だ。

終わっちまった可能性に先はないのさ……わかってる、がな。)

失った大切なモノにもう一度、その手で触れたかったワヅキ……いや、ランダ。


彼の心は痛い程わかる、いや、寧ろ自分も同じだ。

だからこそ、イオリもまた、自身が進む道の先には破滅しか無い事を知っている。

「さて、と。

この街を闇に落とそうとした元凶は消えた。

開かれたあの深淵も、吸血鬼の姫や闇の王子が何とかするだろ。」

ワヅキを撃破し、イオリは息を吐き胸をなで下ろす。

既に街に蔓延していた闇も殆どが消え、残るはあの深淵だけ。

「俺としてはさっさとおいとましてェんだが……」

バルクウェイに訪れた目的であるバロンの身体も、異能の武具も消え去った今、イオリがこの場に留まる理由は無い。

だが。

剣を収めぬまま、イオリはイスラへ……いやイスラの背後に立つ者へと声を掛けた。

「タダで帰らさせてはもらえねェか?吸血鬼の姉さんよォ?」

「……当たり前よ、十字界に混乱を齎し、同胞の命を奪ったアナタを私は許さない。」

イオリの視線の先、イスラの背後。

そこには空間跳躍によって現れた吸血鬼が一人……フィアが立っていた。

(魔物を迎撃している途中で感じた氣、間違いなかったわ……)

戦友であり好敵手であり、そして同じ十三人の長老であったレオ。

その敵を討つために、フィアはノワールやジュノスに着いて来たのだ。

魔物との戦いでそれなりに魔力を消費したが、この機会を逃す訳は無い。

成人男性としてはやや小柄なイスラの背後で、フィアは氷剣を握る。

そして、氷剣の切っ先に極冷の凍気を宿し、イオリへと飛び掛かろうとしたその時。

「仇討ちなら全部終わった後に受け
やる。

だが、今はアンタの相手をする暇は無さそうだ。」

一筋の雷光が灰色の空を裂き、イオリへと飛来した。

「出やがったな、デコメガネ!」

ソレを天叢雲剣で斬り裂き、イオリは苦々しくその名を呼ぶ。

「文句あるのかよ、シデンさんよォ!?」

98ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/04(月) 09:50:34
【イスラ》絵描きあるあるbot作るまであるwwww

キャラ的にどのポジションでもやれそうな万能感っ

どちらも痛み分けとかどうで?す

キールを間に立たして、深淵も閉じたし、今は黄龍への報告が先よ、みたいな感じの事を言わせて。

了解した!バロンの完全復活期待ー!

99シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/06(水) 09:33:52
【バルクウェイ】

「貴様に俺の名を気安く呼ばれる覚えはない」

雷光が煌めき、イオリが声を上げたその直後、屋上に一人の男が現れ出でた。
いつもの眼鏡に黒スーツの装い、…シデンだ。

「文句がなければ見たくもない貴様の面を態々拝みになど来ない」

言ってシデンは指先で眼鏡を持ち上げる。
レンズ越しに睨みを利かせた酷薄な視線が、イオリを刺した。

「貴様…鳳凰ではなかったそうだな」

それは虚空城を出る前に、黄龍から耳に触れたこと。
彼は冷やかな語調で先を続ける。

「弟を使っての四神の手引き、召集命令の黙殺、数々の勝手な振舞い。
…そして今回の謀の阻害…」

不意にシデンの身体から電流が迸る。

「黄龍様への謀反と受け取って構わないんだよなあッ!?」

刹那、現れた無数の雷撃が、大気と地面を焦がしながら蛇の如く蛇行し、イオリへと襲いかかった。

100イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/06(水) 09:37:02
【バルクウェイ】

…あれは麒麟。四霊の連中まで来ていたのかと、険しい表情をするバロンの傍らで、不意にイスラはがくりと地に膝をついた。

「イスラ?…大丈夫か?」

「なんとか…」

決して浅くはない怪我での、天叢雲剣のあの一撃。
切れ切れに呼吸をするイスラの様子を見るに、彼も限界であろうことを知る。

「…すまぬ、無茶をさせた。しかし一先ずはここを離れようぞ」

どうやらシデンの目当てはイオリである様だ。今回はこの騒ぎに紛れて撤退させて貰うことにしよう。


【ヤツキ》ねww

なるほど、いいですね^^ではキールさん、その時はお願いします

復活してもあまり役には立たないでしょうが(笑)】

101イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/06(水) 14:51:40
【バルクウェイ】

「悪ィな、俺は元より忠誠なんか誓っちゃいないんだよ!」

酷薄な笑みと、明らかな怒りと共に放たれる雷蛇の群れ。

それをイオリは天叢雲剣の一閃で消し去り、獰猛な笑みをシデンへと向ける。

「俺を鳳凰だと認識し、呼び寄せたのはあの欠陥プログラムだぜ?

ま、お前等も俺が鳳凰であって鳳凰じゃない事に気付かなかった時点で零点だ!」

表向きは冷静沈着、内に秘める激情は自分に勝るとも劣らない。

そして、黄龍への絶対なる忠誠心から来る強さは自分を超える。

イオリはシデンに対し、そう思っている。

そのシデンが今、自分を敵として認識し、牙を向いている。

(正直、分が悪ィが……いつかは刃を交える事になる相手なら……)

戦うしかないだろう。

「そのだっせぇデコメガネ、叩き割ってやるよォ!」

二振りに分かれた神刀を鞘に収め、イオリはシデンへと突進。

抜きはなった新たな刀、 鸞が宿す蒼炎を纏い、迅速の刺突を繰り出す。

更に、纏う炎が数羽の蒼き火炎鳥を生み出し、それら全てが様々な角度がらシデンへと殺到して行った。

102シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/09(土) 14:34:35
【バルクウェイ】

「初めから、貴様は気に入らなかった…」

その目つきも、飄々とした態度も振る舞いも。
いちいち神経を逆撫でられ、その度に不愉快な思いをさせられた。

尤も、シデンにとっては好感を持てる人間の方が、希有な存在であることは確かだろうが。
それでも彼は同じ四霊と云う手前、以前まではイオリに害ある手を出すような真似はしなかった。しかし…今は違う。

「これで心置きなく貴様を潰せると言うものだっ!」

瞬間、爆発的な規模の放電がシデンを中心に周囲に膨れ上がった。
飛来する火炎鳥は全て薙ぎ払われ、襲い来る刃の先と波涛はぶつかり合う。

一瞬の膠着。その僅かな隙がチャンスかとばかりに、イオリの元へ瀑布の如く雷の渦が押し寄せた。

103イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/09(土) 22:43:55
【バルクウェイ】

膠着は一瞬。

火炎鳥を一掃した雷の波濤から続く瀑布の如き雷渦を前に、イオリは目を見開く。

しかし、動きを止める事は決して有り得ない。

魔装を着込んでいたとしても、直撃すれば只では済まない威力を秘めたその雷光に対し、イオリは咄嗟に抜いた神刀月読に因る結晶の障壁を張った。

「コイツはッ」

だが、禍々しい程の輝きを放つ雷渦は障壁を易々と粉砕。

(不味い!!)

轟音と共に屋上に地割れの様な破壊の爪痕を刻み付ける。

それを横目に、イオリは縮地法でシデンの左手へ移動。

障壁のお陰で直撃は免れたものの、決して軽くは無いダメージを負っている。

しかし、それを感じさせない程の速度を持って、イオリは反撃に転じた。

まずは地を這う蛇の如き軌道で屋上を疾駆し、逆手に握った妖刀鸞の逆袈裟斬りを放つ。

更に、逆袈裟の軌道で振り切った刀を正手に握り握り直し、半歩前進。

捻りに因って充分なタメを作り、踏み込みからの袈裟懸けの斬撃と、左手に持つ月読に因る刺突を繰り出した。

ーーーーー

イオリは四霊の一角、鳳凰では無い。

神器となった妖刀鸞に因り、鳳凰と全く同質の力を使っているのだ。

元より、弥都の人間は多少なりとも異能の力を持っては居るが、その力には個人差がある。

勿論、イオリもその例には漏れずだ。

しかし、その力は呪符は印を媒介に術を発動させる程度で、四霊には遠く及ばない。

神刀や妖刀、魔装を纏いやっと、四霊と肩を並べる事が出来るのだ。

……異能力に関しては。

そう、それはあくまで異能に関しての事。

異能の力のみで戦うならば、神刀や魔装か必要となってくる。

しかし、イオリには古来より続く暗殺技術、技を超えた業がある。

研鑽を積み、鍛え上げられた身体は人間の範疇を超えた身体能力を宿し。

長きに渡り研ぎ澄まされ続けてきた業は、並みの異能者ならばいとも簡単に屠れるだろう。

ーーーーー

異能を持たずとも、イオリは強い。

シデンの襲来によって戦うタイミングを逃したフィアは、激戦の余波が撤退するイスラへ届かぬ様、氷で障壁を張りながらイオリとシデンの戦いを見詰めていた。

十字界で、シャムと自分を圧倒したシデンの強さは十二分以上に知っている。

助太刀が無ければ、自分は今この場に立てなかっただろう。

そして、そんな相手と互角の戦いを繰り広げるイオリ。

(だけど……)

両者の実力は拮抗している様に見えるが、あくまでも人間であるイオリの方が僅かに不利だろう。

イオリが人間である限り、四霊であるシデンとは決定的な差が開いたままなのだ。

104セナ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/11(月) 15:08:09
【バルクウェイ】

連れて行けと言うからそうしたにも関わらず、終いには疑いの目を向ける始末。
なら勝手にしろと言っても良いくらいだが、セナはアブセルの発言に腹を立てることはしなかった。

そして、腕に抱くリマを下ろし、前へと歩み出る。

辺りは一見して何もなく、場所を間違えたのか、感じた”何か”はもともと無かったのか。
疑いたくなるのも無理はないが、確かにこの場所に間違いはなく、その”何か”は”ここ”にある。

セナは足を止め、足元を見た。

(下…)

そして立て膝に屈むと同時に手を地に触れる。

”あった”

どうやら自分達が足を着くこの地は最終地点ではなかったようだ。

ならば。

セナは自身の闇を発する。
それは爆発的な量で、離れた場所にいたリマにまでその風がきた。

「セィちゃん…?」

彼が視えない。何かが起こっているのにそれさえ分からず、リマは不安気に声を漏らす。
しかし視えなくて幸いだったかもしれない。
彼女にはあまりにも衝撃的な事が起きていたから。

「…っ」

セナが闇を放出するに伴い、彼の周囲の”地が動いた”。
実際にはそんなもの見えないが、たしかにそう感じさせる何かがあった。
そして、それは間違いではなかった。
歪んだ地から無数の触手が飛び出し、セナの体を捕まえたのだ。
そんな中でもセナは開かれたその地へと手を伸ばし、何かを掴もうとする。
しかし力及ばず。
セナの身は一瞬のうちに地の中へ引き摺り込まれた。

105リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/11(月) 21:30:55
一週間以上レスしてなかった…亀レスすみません(;△;)

ヤツキ>>
どっちにしても色付きが見たい(」°ロ°)」
いや、でも男女以前に自分の頭が固いのも原因な気がする(;-ω-)ゞ
あんま戦闘物の漫画とか読まんからイメージ出来ないのかも…。私が見てるのフォークとナイフで戦う執事だし←

むむ…最近まったく絵描いてない(≡Д≡;)


イスラ>>
ずっと秘密にしてたのですが最近研究室で黒執事好きカミングアウトしまして、以降遠慮がなくなってしまったようで、今日は原作者のブログからシエルが小さい頃タナカと将棋崩しして遊んでたって情報を仕入れて可愛いとニヤけていた← GF関連の漫画買ったらシエルのしおり貰っちゃったとさりげなく自慢したら研究室の子に笑われた←←

天性の才能?フェロモン??←←
ジルの魔性、まさか好かれているとは(笑)

えー怖い←
連れ戻します?あ、まだ利用の価値あるならばジルが回収します(-ω- )/

笑っちゃう、あんな性格なのにイケメンww
神様、美しさ与える人間違えてるww
そんな滅相もない。それに最近まったく絵描いてないので全く描ける気がしません(;-ω-)ゞ
凄いなー、最初は嫌ってたくせに←

106シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/11(月) 22:36:25
【バルクウェイ】

確かに、イオリは人間の中ではトップクラスの実力の持ち主だろう。

先人より脈々と受け継がれし、その血と技。
彼の動きの一つ一つに、気が遠くなる程の歴史と、絶え間ない努力の軌跡を感じる。

だが、しかし…

「そんなもの、真の力を抱く者にとっては無価値に等しい!」

シデンはそれを一笑に付す。

半歩分身体を傾け、逆袈裟を紙一重でかわすと共に、両腕の組織を変化。
"麒麟"の体細胞に紫雷を纏わせ、硬質化させた腕で二振りの刃をいなし、受け止める。

そして、相手の空いた腹部に強烈な蹴りを打ち込んだ。

「どうした?こんなものか、人間?」

武具も史も修練も必要ない。
この差がその証明だ。

107イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/11(月) 22:45:04
【リマ》お、カミングアウトしたんですか。それは良かった^^タナカさんそんな昔からいたのかw
てかリマさんがどうやって黒執事と出会ったのかが気になる(笑)

フェロモンか…なるほど、あり得る…
魔性と言うか、平然と外道を働くキャラが好きでして…あ、別にジルが外道って訳じゃないですよ?←

んー、じゃあ回収でお願いします^^

いや、でもまぁ別にイケメンじゃないですよ。自分が同じ様な顔しか描けないってだけです(笑)
そんな、大丈夫ですよ。描ける描ける(`・∀・)←
まぁ…色々あったんでしょう、心境の変化が】

108アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/13(水) 03:00:29
【バルクウェイ】

「なっ…」

アブセルは困惑に目を丸くした。
セナが何かをした途端、地が歪み。そしてあろうことか、彼はそのまま中に引き摺り込まれてしまった。

そこに駆け寄る時間はなかった。
アブセルがそれらの状況を呑み込む前に、蠢く無数の触手が今度はこちらへと伸びてきたのだ。

「姉ちゃん!」

恐らくは何も見えていないであろうリマ。
アブセルは彼女を咄嗟に庇うも、しかし、それらは易々と二人の身を捉えた。

「ッこの…!なんだよこれっ!」

絡み付いてきた触手がセナ同様、二人を地に引き摺り込もうと蠢いた。

109リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/13(水) 12:13:20
【過去】

何やらトランプを掲げ物申すアブセルに目すら向けず、リトは黙々とスープを口に運ぶ。
途中何度か咳き込むがソレをアブセルが気に留めることもなく。
だんだんと苛立ちを見せる彼の前でリトは結局最後までスープを飲み終える。
そして漸く、アブセルのもとへ来た。

「…」

相変わらず何も口にはしないが、アブセルの申し出を受ける気ではあるようだ。

110イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/15(金) 21:07:28
【バルクウェイ】

人と神。

言葉にすればたったの一言だが、その差は天と地以上である。

人が神と対等に戦うにはまず、神と同じ土俵に登るか、神を人間の土俵へと引きずり下ろすしか無いのだ。

だからこそ、イオリは天使の様に見えた
あの身体を。

長らく封印されていたバロンの身体を欲したのだ。

神の肉体を得、同じ土俵へと登る為に。

ーーーーー

万全の状態から放つ最善の一撃。

ではなかったものの、先の連撃は今現在放てる最速最高の攻撃だった。

しかし、それをシデンは易々と防ぎ切った。

「ハッ、まぁそんな急かすなよ。

とっておきはまだ見せちゃいねぇんだぜ?」

更に、放たれる強烈な蹴りは魔装の防御力を持ってしてもその威力を殺し切れず。

後方に跳び、蹴りの威力を削ぐも内蔵に伝わる確かなダメージは朱となって口端から流れ出す。

それを手の甲で拭い、イオリは刃を鞘へ収め、居合いの型を取った。

その表情は決して明るい物ではないが、鋭い眼光は消えず。

(確かに、ここらが人間の限界かもな……

だが。)

ーーー居合いとは本来、刃を抜かずして相手の撃を抑える技であり、後手を取る待ちの剣術である。

それを迅速の踏み込みと、一切無駄の無い抜刀術により、攻めの技へと転化させ、生まれたのが神斬りなのだ。

その業を、更なる高みへと昇華させた者が居る。

奇しくもその人物は、その業を後世に残す事無く散ったのだが……

「魅せてやるよ、デコメガネ。

俺の業で、テメェを泣きっ面にしてやる。」

イオリは独学で、その高みへと辿り着いた。

鋭い眼光と獰猛な笑み、朱に彩られたその顔は鬼気迫り。

身体から発せられる闘気は大気を揺らす。

そして、一拍の間を置き、イオリは動いた。

半歩の踏み込みから爆発的な加速力で距離を詰め、抜刀し、一閃。

刃が抜かれると同時に、その身体は右へ左へ。

前後左右、上方下方。

更には袈裟、逆袈裟。

計八つの斬撃が、神速を持ってして。

タイムラグなく放たれた。

その業の名はーーー

111アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/16(土) 13:54:17
【過去】

「…お前ってほんっとトロくさいな」

スープぐらい三秒で飲めよ。とアブセルはリトにジト目を向ける。

彼があまりにも遅いから、ついババ札の裏側に小さなキズをつけてしまったじゃないか。
でもこれはズルじゃない。そう…戦略だ。

「ルール、分かるよな?」

…と、聞いてもリトが答える筈もなく。アブセルは適当にルールの説明をしながら、二人分のカードを配分する。
もちろん当然の様に、キズをつけておいたカードはリトの方にやった。

そして―…

「勝ったー!!」

彼がキズに気づいていたかどうかは定かではないが、とにかくババ抜き勝負はアブセルが勝利を収めた。

アブセルは立ち上がり、勝ち誇った様に顎をしゃくってリトを見下ろす。

「約束通り俺が王様だからな。お前は俺の家来だ。ちゃんと言うこと聞けよ?」

さあ、どうしてやろうか。
アブセルは底意地の悪い笑みを浮かべると、不意に

「お手」

と、相手に向けて掌を突き出した。
それはまるで犬か何かにでも芸を命じるかの如く。

【リトのつもりで描いてた筈が何か完全に魔女っ娘にw
imepic.jp/20140816/492500】

112シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/16(土) 20:34:03
【バルクウェイ】

振動する大気がビリビリと肌をなぶる。
なかなかに心地の良い闘気だが…。

「いくらやっても同じことだ!
貴様は俺には勝てない!!」

イオリが動いたその時、シデンもまた雷光を散らし、その場から飛び出した。
刹那、二つの影は交差する。

そして、場に訪れる束の間の静寂。
互いに背を見せ合う形となった状態の中で、不意に、シデンはガクリと片膝を地に落とした。

七対三にセットした前髪がハラリと顔にかかり、眼鏡のフレームが鼻筋で真っ二つに割れ、地に転がる。

「貴様…」

シデンは首を動かし、血走った眼で肩越しにイオリを睨み付けた。
肩や脇腹、裂かれた衣服の下から赤が滴り落ちた。

113イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/18(月) 22:00:09
【バルクウェイ】

交差する雷光と白刃は闘気に揺らめく大気を斬り裂き。

刹那の間に繰り広げられた強者同士の戦いは、互いの背に背を預ける形で終わりを迎える。

「デコメガネ、叩き割ってやったぜ……」

背後に聞こえる乾いた破砕音と、シデンが膝を着く気配を感じ、イオリはニヤリと笑みを浮かべた。

「届いただろ、俺の刃はよォ……」

しかし、その笑みを浮かべる口元は瞬く間に歪み、咳き込むと共に吐き出された大きな血塊が足下を濡らす。

よくよく見れば、その身体……魔装の継ぎ目からは鮮血が溢れ出している。

そして、広がる血溜まりに倒れ込もうとする身体を刀で支え、イオリもまた、肩越しにシデンを視た。

「テメェの雷光も、今までで一番効いたがな……」

互いに倒れる事は無かったものの、双方共に多大なるダメージを負った今。

次に放つ一手が決着の一手となるだろう。

だが。

それを望まず、許す事無い者達が二人の視界に姿を現した。

「……戦いは終わりよ。

神の使いは死に、方舟は消滅した。

開かれた深淵もいずれ閉じてしまう今、この場に残る必要は無いわ。」

イオリの視線の先、肩越しに見える視界に立つ女性。

四霊の一角、霊亀のキールは険しい表情で言葉を放つ。

「それに、今。

アナタを失う訳にもいかないのよ。

これ以上の戦闘は私が許さない。」

「いや、俺が居るから出来ない。

の間違いだろう?」

そして、キールの視線の先。

シデンの視界には赤毛の男、ボルドーが。

「アンタ達も感じてるだろうが、俺の力はアンタらと大差無い。

このまま互いに助っ人が入った状態で戦闘を続けても、双方共に全滅する可能性は高いからな。」

イオリの懐刀でありながらも、イオリを超える強さを持つその男は、苦笑いを浮かべながら続ける。

「どっちにしろ、今はお互い退いた方が身の為だろう?

今はもう命を懸けてまで戦う時ではなくなったしな?」

その言葉にキールは無言で目を伏せた。

しかし、それは肯定の意である。

ボルドーが手出しをしない事を信じ、キールは虚空城への転移術式を起動。

膝を着くシデンに肩を貸し、彼を半ば引き摺る様に歩きながら、そっと耳打ちをした。

「後処理はジルが行うから気にしなくて言いわ。

あの子、何だかやる気みたいだったからね……」

そして。

起動した転移術式の光が二人を包み、眩い光が瞬くと共にその姿はバルクウェイから消えて行った。

114セナ、リマ、:2014/08/18(月) 23:31:21
【バルクウェイ】

これは言ってしまえば荒療治。
自分が深淵の最下層への道を開けば魔の手はリマやアブセルにまで及ぶ。
それは分かっていたが、こうする他なかったのだ。

今自分に出来ることは闇が彼女らを引き摺り混む前に、”彼”を見つけ戻ること。

予想より深くに沈んでいたのは少し誤算だったが、まぁいい。

触手の流れに任せ、セナはその時を待つ。

そして、

見つけた。

漆黒の闇の中に佇む、小さな赤い光。

今まで感じていた”何か”は”これ”だった。

セナは触手に阻まれながらも手を伸ばし、赤くひかるソレを、否、その先の”彼”の腕を、掴み取った。
途端消え入りそうな小さな光だったものが輝きを増し、やがて深淵全てを包み込んだ。

ーーー

何があったのかは分からない。
何かが起きているのは分かったものの、リマには何も見えなかったから。
自分を呼ぶアブセルの声にリマはビクリと身を動かす。
続く彼の呻き声。怖い。
そして魔の手はリマの身にも及ぶ。
何かが体にまとわり付く感覚。リマは最早声さえも出なかった。

(セィちゃん…セィちゃん…)

リマは恐怖に怯えながらも必死にセナの名を唱えた。
先程自分を下ろした際にセナに言われたことがある。
これから先何が起ころうと動ずるなと。
自分で何かしようとせず、じっと耐え抜けと。
心が壊されたら終わりだ。決して自分を失うなと。

セナは何かを知っているようだった。
彼が感じ取っていた”何か”を何であるか分からないとしながらも、おそらく予想はついていたのだろう。
ただ、その場所に赴きたくはない、いや、違う。自分を近づけたくない、そんな様子だった。

(ごめんなさい…)

セナを危険な目に合わせてしまった。
アブセルを巻き込んでしまった。
今のリマに出来るのは、ただセナの言葉に従うこと。

(どうか、無事で…)

意識が飛びそうになる。それを必死に堪え、リマは願う。
赤い光が彼女らを呑み込んだのはそれから間も無くのことだった。

115リマ、ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/18(月) 23:32:43
-----

「そうかな…」

サンディの言葉に、少し気が紛れた。
実際のところはどうであるか分からないが、信じたい。
ナディアは照れ臭そうな表情を浮かべる。

「なんか、柄にもなく…って感じ。恥ずかしい」

自分より背の低い子に頭を撫でられる姿は何処と無く滑稽だ。
自分の姿を客観的に思い浮かべて何だか笑えてしまったナディアは先程までの沈んだ表情は打って変わって明るくなる。

さて、自分に出来ることをしようと気分を一新した矢先、何の因果か事は起こった。

深淵から突如として眩い赤の光が噴出したのだ。
予想だにしなかった自体に唖然とするナディア。
と、その光がやがて消え、そこには新たな事態が舞い込んでくる。

地面に転がる4つの影。
うち、1つの影が身を起こし声をあげたのとナディアがあるものを見つけ口に出したのはほぼ同時。

「セィちゃん!」
「リト…!」

二人はそれぞれ重なり倒れた二つの影へ駆け寄る。
それはセナがリトを庇うように抱く形となっていた。
二人とも意識がない。
リマはセナを抱き寄せ息を確認する…無事だ。

「セィちゃん…良かった…リッちゃんも……」

記憶が所々飛んでいて事の顛末は定かではないがリトを見つけ、地上にも戻れたようだ。
リマは浮かび上がる涙を拭い、後方の、最後の影へと声をかける。

「アブくん、セィちゃんがリッちゃんを見つけてくれた…」

良かった。何はともあれこれで解決である…はずだった。
ナディアの声を聞くまでは。

「ねぇ…」

ナディアはリトの頬に何度も手を触れながら、震える声で呟いた。

「コイツ…冷たい。息もしてない…」

116リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/19(火) 00:00:44
イスラ>>
本当は研究室では一般人として生きて行きたかったのですが、ある日実習施設で撮った集合写真がメールで送られてきて、保存したものを研究室の先生に見せていた時の事です。
研究室の友人が横から携帯を覗き込んでいたことに気づかず何気無くスクロールしてしまったところ、写メった黒執事(原作)がこんにちは。
すぐに別の写真に切り替えたのですが、その子が「今何か見えた(・▽・)」と← 幸いオタクではないけど漫画が好きな子だったのでまぁいいかとカミングアウトしましたσ( ̄∇ ̄;)
タナカさんはずっといますよ〜。シエルの両親殺した刺客に背中をナイフで思いっきり刺されたのに生きてるウルトラじーさんです←
黒執事と出会ったきっかけですか?それはですね、ある日の兄妹の会話から。
自分「最近めっちゃ暇。なんか面白い漫画がないかな(PC弄りながら)」
兄「黒執事」
自分「黒執事だぁ?あ、知ってる、絵だけガンガンで見た。あれやんな。カニみたいな顔した黒い男が紅茶淹れながらニタ〜って笑っとった。」
兄「何それ。」
自分「知らん。でもカニやん。なんかあれみたい、ジャンプの魔界探偵だかなんだかの」
兄「余計分からん。取り敢えず黒執事。」
自分「面白いん?」
兄「知らん。読んだことないし。」
自分「カニやん」
兄「面白いんじゃない?」
自分「でもカニやん」
兄「PC弄ってんなら調べてみりゃいいじゃん」
ってなわけで、調べてみたところ、丁度一話無料立ち読みが出来まして。
取り敢えず読んで見たら…
「何かめっちゃ可愛い子(シエル)おるー!!」
となりました←

恐ろしいフェロモンだ…
いや、それ外道って言ってるみたいなもんじゃないですか(笑)
ジルだってもともとは純粋なんだぞ!←

了解です(pq´v`*)

いや、イケメンですって!アブセルには勿体無い顔!!←
えー無理そう(-ω- )って思ってたら素敵素敵な美絵が!!
リト麗しい!!白い悪魔な下賤動物と契約した魔法少女みたい!!←
色々とあったんですね、ちっこい脳で←】

117リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/19(火) 16:54:05
【過去】

勝負に勝ち、嬉々として命令を下すアブセル。
しかし対するリトは差し出された手に何の反応も示さなかった。
それはアブセルに従いたくない為に拒否していると言うよりは、彼の言葉の意味が理解出来ていないように見えた。
目の前の手とアブセルの顔を見比べたかと思えば、何事もないかのごとく顔をそらしてしまう。

その時、ちょうど部屋に新たな来訪者がやってきた。

「ちゃおちゃお、お姉様がきてやったよ」

現れたのはナディアとヨノだった。
その姿を見るや、リトは持っていたトランプを投げ捨てて二人のもとへ行ってしまう。

「リト、またご飯を残して。ちゃんと食べなきゃ駄目。」

ヨノは部屋を入るとすぐに弟の食事を確認し、困ったように皿を持ってくる。
そしてスプーンで掬って彼に食べさせようとするが、それをナディアが止めた。

「ヨノはすぐ甘やかすんだから。ちゃんと一人で食べさせなきゃ。」

同じ姉妹でも性格も態度もまるで違う二人。
ナディアは呆れたように溜息を吐いたところで、ようやくアブセルの存在に気づいた。

「アブセルじゃない。何?リトと遊んでたの?」

118アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 07:59:36
【バルクウェイ】

暫く、"戻ってきた"と言うことを理解するのに時間がかかった。

「セナ様!」

ジュノスを含めた数人の人影がこちらに駆け寄ってくる。
それをどこか呆然とした面持ちで眺めていたアブセルの目に、不意にナディアの姿が映った。

「お嬢…なんで…」

しかし、そんな疑問もそこまで。
続いて掛けられたリマの声を耳にし、アブセルは完全に我に返り、ハッと視線を動かした。
リトがいる。…良かった、無事だ。

けれども安心するのは早かった。

ナディアが震える声で口を開いた。
それを聞くや、アブセルは急いでリトの首筋に手を、脈を確認する。

そして、一瞬にして色を失った。

「…そんな……」

…彼の鼓動は途絶えていた。

「おじょっ…お嬢!どうしよう…!…ごめん、俺っ…どうしたら…」

アブセルは震える手でナディアの服を握る。
今や彼は完全に惑乱していた。

119シデン ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 20:16:53
【バルクウェイ】

不意に上がる制止の声。
シデンはそこに現れた女性…キールに向けて舌打ちをし、怒気を含んだ目で彼女を睨み付ける。

「ふざけるな、俺に指図をするな」

…と、いつものシデンならば、そう言い張っていたことだろう。

しかし、今回ばかりはさしもの彼も彼女の言葉に従わざるを得なかった。
それは、視界の先に見える男…ボルドーの存在が大きかった為だろう。

だが、苦汁を嘗めさせられたまま終わるシデンではない。

「……次は殺す」

そうイオリに向けて言葉を吐き捨てたのを最後に、彼はキールと共に眩い光の中へと消えた。

120アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 20:18:20
【過去】

従うどころか何の反応も見せないリトに対し、アブセルは当然の如く腹を立てる。

(こいつ…ッ)

絶対ナメられてる。もしくは言葉が通じないのか。

しかしそんな時、この屋敷のお嬢様二人組が部屋に姿を現した。
それを目にするや、アブセルは途端"げっ"と苦い顔をし、
リトと遊んでいるのかとナディアに問われれば、慌てた様子で首を振った。

「ち…違ッ…、誰がこんな奴と…!
変なこと言うなっ、暴力ババア!」

暴力的でがさつなおばさん。略して"暴力ババア"と、アブセルは勝手にナディアのことを命名していた。もしくは"おっぱいおばけ"。
因みにヨノは"おっとりババア"である。

「俺は食器下げなきゃいけないから、そいつが食べ終わるの待ってただけだ!」

そう言いながら、アブセルは急いで散らばっているトランプを集め、片付け始める。

くそう…。
リトに屈辱を与える筈が、この二人が現れたせいでやり難くなってしまった。

121イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/20(水) 20:21:42
【リマ》あらら(笑)さすが友人…気配を消していたか…←まぁ結果オーライな感じで良かったじゃないですか^^
タナカさん刺されたのか;でも元気w
カニやんww
なんか…がっかりだよ!「絵柄が好きでついジャケ買いした」とかの方がまだロマンがあったよ!(笑)

いや、そう言う訳じゃ…。ただ心の内を顔に出さず、涼しい顔で悪行を行うとこが素敵だな、と←
ジルは妹の為に仕方なくやってるみたいなもんですもんね…

そうかぁ…じゃあ次描くときはもっと男らしい顔にします(笑)
え〜残念…「僕と契約して魔(ry」←自分もそれを連想したww
そうそう、ちっこい脳なりにねwまぁアブセルは恵まれてる(様に見えた)リトに嫉妬してるだけなので、リト自身の人格を嫌っている訳ではないのですよ多分。
因みにリトの姉二人に対しては何か照れ臭くてツンツンしてるだけです】

122ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/22(金) 17:33:25
【過去】

「ば…っ」

こいつ、張っ倒してやろうか。
いや、お子ちゃまの言葉にいちいち反応していてはダメだ。ここは歳上らしく、クールに接してやろうではないか。
ナディアは頭に青筋を立てるも、自分にそう言い聞かせ気を抑える。

この餓鬼は邸に来た時から変わらない。口は悪い、態度も悪い、本当イラつく。
ヨノは弟が増えた、なんて喜んでいるが、こんな弟なんてごめんだ。
リトと同い年の子供。弟にとっては良い影響になるかも、とは思っていたが。

「ちょうどいいや。アブセル、私らこれから出掛けなきゃいけないからリトの相手しておいて。」

いや、まだ分からない。ひょっとしたらと言うこともなくはない。
アブセル自身も口ではこう言ってもどうやらリトに興味があるようだし、少し一緒にいさせてみよう。
そう考え直したナディアはアブセルにそう持ち掛けた。

「チャンバラとか、体を動かすやつはダメ。大人しく遊びな。」

123リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/22(金) 18:38:04
イスラ>>
おかげで今回の新巻の付録、店舗で買うのとコンビニで買うのでは違ったので悩んでいたところ、私が買えなかった方のコンビニの付録をくれたんですo(*≧▽≦)o ワーイ♪
タナカさん最強説←
セバスの名前を知った時、カニでなくエビだったと思ったのは言うまでもない←
えー、黒執事はしばらくセバスが表紙だったのでそれはあり得ません(゚∇^d)

褒め言葉として受け取らせていただきます(笑)
いえ、”もともとは”純粋だったのです←

楽しみにしています(pq´v`*)笑
リトは何を願ったのだろうか…(笑)いや〜、いつもウチの子達を素敵に描いていただき有難うございます!
そして自分もその気になったので描いてみました!この前のイスラさんに倣ってナディアのプロフィールをば(*´∀`)
imepic.jp/20140822/668010

成る程成る程、子供らしいですね(笑)

124アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/23(土) 16:31:15
【過去】

なんだ、この二人は出掛けるのか。
それなら心置きなくリトに意地悪ができる。

…なんて、思うこともなく。

「はあっ?なにそれ!?やだよ!!」

ナディアの申し出に対し、アブセルはあからさまに嫌そうな顔をして声を上げた。

「俺もそっちが良い!出掛けたい!連れてって!!」

此所は窮屈でとても退屈だ。
自分だって久し振りに外出がしたい。

125イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/23(土) 16:32:47
【リマ》
それは嬉しい、友人に感謝ですね^^
もうタナカさんとセバスチャン交替しようぜ←
そう言えばエビにもいましたね、セバスチャンが(笑)
だとしてもカニやんは酷すぎますよww

ええ、誉めてます(笑)じゃあ今はもう邪悪に染まっちゃったんだろうか…

背が伸びます様に…?←
いえ、好きで描かせて頂いておりますので(´ω`)むしろ好き勝手にし過ぎと言うか…イメージ崩してそうで申し訳ない;

おおっ、描いて下さったんですか!?ありがとうございます!ナディア美人!!
おとめ座でB型とかイメージぴったり(笑)てか父親嫌いなんですねぇ…;
良ければ他のキャラのも見てみたいなぁ←

年齢の割りに性格スレてますけどね(笑)】

126ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/27(水) 20:48:50
【ALL》バルクウェイ編終わった後、どうするー?】

127イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/28(木) 16:25:26
【取り合えず一息ついて〜…どうしましょうかね?
てか四神組とリト達が合流しましたが、今後みんなで移動となるともの凄い大所帯になっちゃいますね(笑)
なんか理由をつけて何組かに分けた方が良いかなと思うんですが…どうでしょう?

例えばリトやナディアは父母の問題解決してないので、一旦お屋敷に戻るなりなんなり…

フィアは他の仲間を呼んで仇討ちに行くとか?(自分シャムとルドラを久し振りに出したい、あと新キャラでオネェ←)

あとノワールの子供の問題やアグルの兄の仇打ちなんかも解決してないですね。
それから黄昏の塔はいつ立つの?←とか
吸血鬼のオリジンって何?ずっと気になってた(笑)今後出てくるの?とか

…と、まぁ今のところ明確になっているであろう消化すべき問題を上げてみました(-ω-;)】

128ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/28(木) 22:16:39
【オリジン》名前だけ出して本編出さなくて良いかな?位の扱いで考えてたww

黄昏の塔》アグルの仇討ち&闇関係の決着時に闇の巣に建てようかな、とかとか

フィアの仇討ち》やるならこの辺りにオリジン絡めるか……

リトのナディアのお家事情》これは一旦分かれて解決?する方が良いかなと俺も思った

後、思いっきり忘れてたんだけど四凶組が……

最短で完結するならリトナディア達の闇関係組とその他組に分かれて、


闇関係組→お家事情解決→闇の巣へ

その他組→四凶組決着→闇の巣へ

→闇の巣で合流→黄昏の塔出現→アグルの仇討ち→黄龍の根城へ→最終決戦

で大体のフラグは回収出来るかなーと。

メルフィやジルの過去や血統も最終決戦時にフラグ回収出来るんじゃないかと。



129ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/08/28(木) 23:29:14
【個人的には暖めてるネタもあるしもう少し色々やりたいけれど……

とりあえず考えてるのを書いてみると、

バルクウェイへ対黄龍を掲げる勢力が出現→四神組も接収される→選抜試験決闘大会開始→四凶も大会に紛れ込む→異能者を喰い荒らして超強化→四神組と激突→四凶組決着後→キール襲来→キール無双で四神組以外全滅→対黄龍部隊の秘宝をキールが奪取→その秘宝を使って黄龍次なる作戦へ→地殻を捲り上げて外郭を成形→世界を外郭の内側に閉じ込めて闇に閉ざす→外郭上に新世界を創造→世界が暗闇に閉ざされた為に闇が溢れ出す→闇を吸収し闇の巣から黄昏の塔出現→実は黄昏の塔頂上は外郭を突き抜けており新世界を伝って虚空城に乗り込める事が判明→黄昏の塔で闇関連アグルの仇討ち決着→最終決戦へ……

こんな感じなんだけど、完全に俺の想像垂れ流しだったわww】

130イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/08/29(金) 00:14:00
【オリジンそんな軽い感覚で(笑)
まぁフィアの仇討ちの時じゃなくても、ノワール含め吸血鬼関連の話をまた大々的にやるのも有りですね。(オリジン復活するぞ〜みたいな?)

温めてるネタあるなら全部出しきっちゃえば良いですよ!

なるほど、塔からの展開いいですね!アツい!
自分は問題ないです^^
あと折角メルフィやフェミルってキャラがいるので、この二人をもっと有効活用←していきたいですね〜】

131?? ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/31(日) 01:34:46
【バルクウェイ】

化け物達め。

リトを贄として方舟を呼び出したまでは良いものの、”偉業”は成し遂げられず終わった。
欲に塗れた愚かな官僚共は方舟と共に生じた魔物の餌となり、ワヅキもまた、現れた異能によって滅ぼされたようだ。

まったく使えない。
事の顛末を思い返し、裏路地を行く首謀者の一人ヨハンは大きく歯噛みする。
最悪の事態だ。この場は逃れたものの、何か対策せねば。
…あの場所にナディアがいた。此方には気づいていないようだが、気付かれれば決まりが悪い。
今は一刻も早く屋敷へ…

「やあ、おじさん。こんにちは」

しかしポセイドン邸へと急ぐヨハンへ、その歩きを止める声がかかった。
反射的にそちらへ目を向けた彼は、途端息を呑んだ。
その顔が滑稽だったのだろう。
声を掛けた主はクスクスと笑みを零す。

「幽霊でも見たような顔だね」

「トー…」

違う、そんなはずはない。
あの男は死んだはずだ。
なのに何故…

ヨハンの頭にあらゆる思いが巡り、一度は混乱したものの、やがて一つの結論に至った。

「お前はトーマの…!!」

目の前にいる人物の顔は”あの男”そのものだった。
しかし奴は死んだ。何故生きている?
違う、生きているのではない。
たしか奴には息子がいたはずだ。
つまりこいつは---

しかしその答えをヨハンが口に出すことはなかった。
彼が言葉を言い終わらぬ間に突如視界が暗転し、そして、次の時には…

「正解。」

首根を切られ、彼の体は地面に転がっていた。
ピクピクと痙攣を起こすヨハンに近づき身を屈め、声の主、ジルは言葉を続ける。

「ごめんね、方舟の関係者は全て片付けるよう言われているんだ。」

口では謝罪の言葉を述べているものの、それに見合わず彼の目は何処までも冷めていた。

132?? ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/31(日) 01:36:12


「僕ね、知っているんだ」

トーマ、久しぶりに聞く父の名前。
父は10年以上前に母と共に事故で死んだ。
あれは商談を兼ねたパーティに行く為だった。
そのパーティを開いたのがこの男。
事故との因果関係は分からないけど。
その後自分と妹は叔父夫婦に引き取られたけど、叔父は同時に新事業を設け、自分が父から引き継いだ遺産を食い潰した。
もともと才能のない叔父、見事に事業に失敗した。
おまけに借金まで作って…幼い妹を売ろうとしたんだ。
その事業を持ち掛けたのも、妹を金にしようと唆したのも全てこの男。…違うな、叔父に自分達を引き取るよう言ったのもこの男だった。

「妹の件は失敗したけど、僕達がいなくなって安心した?幼い子供達が生きていけるわけないって思ってたでしょ?」

ジルは問いかける。しかし既に目の前の男に息はない。

「残念だったね。」

何処までも汚い男。結局最期は自分で首をしめる形となった。
黄龍の命令がなければ、別に手にかけるつもりはなかった。だって、死んでしまったらつまらないじゃない。あわせるのなら生き地獄に限る。

もうこの男に用はない。
ジルは身を起こすと、物影に隠しておいたものを抱える。
ワヅキの手に渡っていた少女、メルフィだ。ワヅキは使い物にならなかったが、この娘にはまだ価値がある。
今回ジルが黄龍から受けたのは言葉通りの”後始末”。方舟加担者の排除、娘の回収が終わり、後は深淵の処理か。

「面倒くさいな…別にいいけど。」

ジルは呟き、最後にもう一度だけ、ヨハンへと目を向ける。
燃やすとか…”跡形もなく”片付けた方がいいのだろうか。まぁいいや。

「バイバイ。」

餞別だ。
ジルは清々しいまでの満面の笑みを浮かべ、その場から消えた。

133リマ他 ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/31(日) 02:28:17
【バルクウェイ】

どうしよう、など尋ねられても、それは自分が聞きたい。
冷たくなったリトを見つめるナディアはほぼ放心状態だった。
事態を把握したリマも言葉を失っているようで、アブセル以外取り乱している者がいないだけまだマシと言ったところか。

おそらく皆絶望に近い気持ちでいたのだろう。
その中でただ一人、ノワールだけはリトを見据え、別の思いを巡らせていた。
不審げに彼を見るも答えは出ず、モヤモヤが募って行く。
埒があかず、ノワールはリトからセナへと視線を移す。続いて横目に先程の雨による水たまりを見た。

「……」

ノワールはおもむろに取り出したハンカチを水たまりに浸し、その状態でセナへと歩み寄る。
そして何を思ったか、それをセナの顔の上で絞った。

「!」

あまりに突然の奇行にセナを抱いていたリマはギョッとする。
突然すぎて止める間も無かった。
当然水はセナに掛かり、セナは咳き込んだ。
これが目的だったのか、セナは目を覚ましたようだ。

ノワールはリトに向けていた不審な目をセナにもそのままで、腕を組みながら問いかけた。

「どういう事じゃ、説明せよ」

リトは何かおかしいのだ。

「リトは息をしておらぬ。心の臓も沈黙しておる。じゃが、こやつに”死人”を感じぬ。」

呼吸も心臓も止まっているのならすでに生きていないと言うこと。
しかしリトからは上手くは言い表せないが、言わば生気のようなものを感じるのだ。

「リトは死んでいるのか?生きているのか?答えよ」

ノワールは一体何を言っているのか。
多くが彼女の発言に戸惑いを見せる中で、その言葉を受けたセナだけはその意味を理解しているようで、息が落ち着くと同時に答えを出した。

「どちらとも言えない。」

しかし、これもまた奇怪な発言だった。
が、セナはその言葉の後に行動に移す。
地上に戻ってきてからずっと握りしめていた片方の手を皆の前で開く。
彼が持っていたもの、それはルビーの耳飾りだった。これはリトが十字界に落ちた際、そこで出会った閻魔に託されたもの。

「こいつ(リト)は、この中にいる。」

セナの話を要約すると、理屈はわからないが、リトの魂はこの宝石の中に入っているらしい。
深淵に闇の氣力を全て吸い取られ、リトはたしかに死ぬはずだった。
しかし宝石の中に魂が移ったために、完全な消滅までとはいかなかったようだ。
そして彼の体もまた、この宝石による力で守られていた。
深淵で見た赤い光も、地上に戻った際に噴き出した眩い光も、全てこの宝石によるものだった。

「これ(耳飾り)からは別の氣を感じる…。こことは違う…別次元の力。こいつ(リト)はそいつ(力の持ち主)に護られた。」

しかし、ここからが問題だった。

「(リトの体に魂を)戻す方法が分からない…。いずれ戻るのか…それさえも。」

134ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/08/31(日) 22:29:06
【過去】

連れてって、と言われても…
何やら視線を感じ、そちらへ目を向ければ、ヨノが何とも言えぬ表情を浮かべていた。
ダメだ、完全にスイッチが入っている。これは「可哀想だから連れて行こう」などと言い出すに決まっている。
ナディアは溜息を吐いた。

「残念だけど、私たちは遊びに行くわけじゃないんだよ。父さま母さまの二人と知り合いのお屋敷に行くんだ。社交って奴。だからアンタは連れて行けない。」

本当は私だって面倒臭い、などと漏らしながらナディアは何の気なしにアブセルの額を小突く。

「アンタは留守番。そんでもって暇なんだからリトの相手しといて」

135リマ:2014/08/31(日) 22:47:23
素晴らしい流れ、アイデアが素敵…一方で自分は全く思いつかない(。。;)そして毎度の事ながら遅くなってごめんなさい…
リトはちょっと自身を見直す時間、と言うことでしばらく目覚めません。お話に上がっていた通りこのメンバーは一度ポセイドン邸に戻って、リトは寝かせとくことにします(つω`*)

イスラ>>
もう家宝です←
いや、タナカさんはたしかに不死身だけどシエルを護る事は出来ないので(笑)
以前はセバスチャンと言えばエビでした(笑) なんかセバスチャンがカニみたいにしか見えなかったんですよね←

どうでしょう、自分でもイマイチ←
邪悪ではないけど歪んではいますかね(笑)

しょぼいwwそんなのに命賭けたくないwwwしかもそんなことしたらリトの能力ってきっと巨大化w
いやいや全然崩れてないです!むしろピカイチすぎていつもビックリです!!どんどん描いてください!!!←

ピッタリなんだ(笑)ナディアはリトの立場も母親がおかしくなったのも皆父親のせいって見抜いてますからね〜
描きたいのは山々なのですが、次はリトにしようと思ったら上手く描けなくて撃沈しております(;-ω-)ゞ
次のプロフが出来上がるまでには暫くかかりそうですσ( ̄∇ ̄;)
代わりに先日の試験中に落書きしたフェミル置いた行きます←
imepic.jp/20140831/812540

いや、何だかんだ言って自分の気持ちに正直で好感持てますし(´∀`人)

136アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/01(月) 20:43:38
【バルクウェイ】

その耳飾りは確か、ルイとか云う男からリトが授かったもの。
赤く煌くその宝石を視界に、セナの話を耳にしたアブセルは不意に動き、その手から耳飾りを引ったくった。
そして次にそれをリトの手の中に握らせ、自身もまた両手で彼の手を握り締めた。

「リト…、リト…ッ!
頼む…、起きてくれ!目を開けてくれ!」

セナはリトの魂は宝石に護られていると言ったが、今のリトは人形も同じだ。そして、それに対し自分は何も出来ない。

…いつもそうだ。
リトを護りたいと思っていても、実際、邸の中でリトを擁護していたのはナディアとヨノだったし。
旅に出た後だって、マゼンダの洗脳を解いたのも、闇の巣で彼と共に居たのも、深淵からリトを救出したのだって、自分ではない。
自分は役立たずだ。それがどうしようもなく悔しくて、腹が立って、目が熱くなった。

「俺、まだお前に謝ってない…!まだ一度も笑わせて上げれてない!」

しかし、いくら呼びかけてみてもリトからは何の反応も返ってこない。 
アブセルは打ちひしがれた。
リトの手に額を押しあて、小さく肩を震わせた。

「まだ、何も…返せてない…」

137イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/01(月) 21:14:46
【そう言えば忘れてたけど、フロンはもう一回くらいジルに会う機会が欲しいなぁ。そしてそのままジルに葬って頂きたいかも。

リマ》どうぞお気になさらず、ゆっくりで大丈夫ですよ^^
了解です。リマ、セナ、ノワールも屋敷に行くのかな?てかユニは今バルクウェイに居るんですかね?(笑)
あ、あと深淵の封印任せてもいいですか?適当で良いので

家宝てww
そうか…タナカさんが黒執事だったら自分は漫画を買っていたかもしれなのに…←ショタとジジイのコンビってなんか素敵じゃないですか?←
てか何故か大抵の執事ってセバスチャンって名前ですよねwカニと言われれば何となくそう見えなくも…いや、やっぱり分からない(笑)

いい具合に黒いですよね(笑)まあジルが今後どうなるかも楽しみにしてます^^

巨大化wwそれは嫌だwリトなら自由って願いのほうがそれっぽいかな 
え?本当?そんなに褒めてもツバぐらいしか出てこないですよ←

ある意味いろんなことに気づいているナディアが一番辛いのかもしれませんね;
では楽しみにしながら気長に待ってます!
フェミルかわいいぃぃ!(*´ω`*)くまもかわわ←ペン入れ、色塗りはしないんですか?

まさか好感を持って頂けようとは…安心しました(笑)】

138ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/09/02(火) 09:52:30
【んだらば大まかな流れは上記の通りで、リト組は一旦屋敷に戻る感じで良いかな?

良ければ本編レスするお】

139アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/02(火) 20:38:13

【過去】
  
"シャコ−"とは何だろう?何故リトはそれに着れていかないのだろう。…といった疑問を頭の片隅に。
アブセルは小突かれた額に手をあて、どことなく決まりが悪そうに目元を赤らめながら、不貞腐れた様につと顔を背けた。 

「…ケチババア……」

しかしそれ以上駄々を続けることもなく。目線でリトを指し示しつつ、唇を尖らせて言った。

「もういいよ、こいつのこと見とけば良いんだろ。おばさん達はシャコ−でも何処でもさっさと行っちゃえば?」


【ヤツキ》場面変えるってことですかね?
自分は大丈夫ですよ^^】

140リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/02(火) 23:35:11
【自分も大丈夫です、お願いします(>人<;)】

141ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/09/04(木) 21:55:19
【了解した!んだらば近々レスするぜ!】

142レックス ◆.q9WieYUok:2014/09/07(日) 16:46:19
【バルクウェイ】

キールに連れられ、光に包まれるシデン。

転移術式と共にその姿が消えたのを確認し、イオリは血溜まりに腰を落とした。


布地越しに血溜まりの生温さが伝わるが、疲れ果てた身体には、そんな事など今は関係なかった。

「次は殺す、か……」

去り際の台詞を思い出しながら、イオリは顔をしかめる。

今回は双方の痛み分け、決着は着かなかった。

しかし。

(次に殺りあう時は……)

その時が来る事を心の何処かで望みながら、イオリはしかめ面で上を見た。

それと同時に。

曇天を割って、巨大な船が……方舟であった先の巨鯨に勝るとも劣らない程の飛行艇が姿を現す。

それは次々と数を増やし、バルクウェイの上空を埋め尽くして行く。

その光景を眺め、イオリの隣に立つボルドーは口を開いた。

「世界政府に唯一渡りあえる独立空挺師団。

兄貴がその団長だからと言って、気軽に呼び寄せれる訳じゃないが……まぁ、十字界から戻ってすぐ動いたのは正解だった様だな。」

ーーーーー

バルクウェイでの戦いから一週間が経った。

政府高官達とワヅキの野望は潰え、深淵もゆっくりとだが、しかし確実に閉じて行った。

深淵より這い出た魔物の群れは駆逐され、決して少なくはない生存者達は手厚い保護を受ける事となった。

……第801独立空挺師団によって。

巨大飛行艇アイラヴァターを旗艦とした一団の規模は小国家にも匹敵する程であり、崩壊した世界政府に代わりバルクウェイの復興及び政治介入を始めていた。

そして。

その空挺師団長レオール・ランブリッシュの実弟であるボルドーとイオリの口添えに拠って、四神達は居住用兼移動用の小型飛行艇を与えられる厚遇を受けたのだが……

「目を、覚ましませんね……」

中型飛行艇の内部で一番広い、食堂を兼ねた居間で椅子に腰掛けるレックスは一人呟いた。

イスラと同じく、時を越えて来たジュノスと、ナディア達の先祖であるセナとリマ。

付き人のアブセルと、吸血鬼であるノワールとフィアを迎えた一行は大所帯となったが、唯一人、目を覚まさない者が居た。


リトだ。

溢れ出した闇を治める為に深淵へと潜ったと聞いたのだが、事が収束を迎え、皆がそれなりに落ち着いた今もまだ、彼は一人眠ったままだった。

別室で眠り続ける彼の事を考えながら、レックスは先程手渡された書類に目を通す。

「……バルクウェイ復興祭、ですか。」

801空挺師団によって、バルクウェイの復興はかなりのスピードで進んでいる。

そして、その復興支援の一環として、復興祭が開かれようとしていた。

既に街中には簡素ながらもそれなりの数の露店が出ており、街は賑わいを取り戻しつつあった。

更に、世界政府敷地内の庭園には闘技場が建設されている。

復興祭の大目玉として企画された闘技大会は、既に誰が優勝するかを賭けた賭博が始まっており、集金の八割は復興へと充てられる事が決まっていた。

その闘技大会の出場者リストには、何故か知らぬ間に、自分やアグル、イスラやメイヤの名が記されている。

これからどうするのか、それが漠然とすら決まっていない今、大会に出るべきはどうかレックスは迷っていた。

(どうするべきでしょうか……)

143アグル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/08(月) 19:03:07
【飛行艇】

「うっわ、何これ。俺の名前も載ってるじゃん。…書いたの誰?」

大きな欠伸を洩らしながら食堂へと足を踏み入れるや、アグルはレックスの眺めているその書類を横から取り上げ、面倒臭そうな声を上げた。

「儂が申し込んでおいた」

それに対し、間髪入れずに言葉を返したのはバロンだった。
机の上に腰掛けホットケーキを賞味していた彼は、フォークの先をアグルやレックスに向け、ニヤニヤとしながら続けた。

「四霊の連中がまた戻ってくる…なんてことは無いとは思うが…念の為じゃ。
復興支援を兼ねた様子見として、バルクウェイにはもう暫く滞在しておいた方が良い。
闘技大会の出場はその間のボランティアだと思って、大いに祭を盛り上げてやるのじゃ」

ボランティアとは名ばかりの、何か面白そうじゃのう的なノリで申出したのだろうが、
当の本人は呑気にホットケーキの最後の一口を口に放り込み、「さて」と立ち上がった。
傍らにある風呂敷を引き寄せ、背中に背負う。

「すまぬが儂は暫くの間、図書館の方に戻らせて貰おうと思う。
もしかしたら"この身体"をどうにか出来るやもしれぬでの」

言って、バロンは風呂敷の中から一つの果実を取り出し、目を落とす。
それは"生命の大樹"に実る、神を出生させられる果実だ。
バロンはイオリがワヅキと戦っている間、鯨内部の街の神殿に入り込み、ちゃっかりその実を取ってきていた様だった。

「では…後のことはお主らに任せた。
他の者にも宜しく伝えといてくれ」

そしてバロンは再びその実を風呂敷に仕舞い二人に目配せすると、窓から外へ飛び立って行った。

144サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/08(月) 19:04:11
【飛行艇】

一方その頃、メイヤとサンディは飛行艇の上部、甲板の上にいた。

「街…ちょっとずつだけど賑やかになってるね」

今、飛行艇は街の船着き場、水上に停船しており。そこから見えるバルクウェイの様子を眺めながら、サンディはほっと胸を撫で下ろす。

しかし、まだ全ての心配事が消えてなくなった訳ではない。
今回のことで出た被害や犠牲、そしてナディアや彼女の弟のこと…それらを思うと、どうしても素直には喜べなかった。

そんな訳で胸のもやもやは未だ晴れぬままだが、活気を取り戻しつつある街の修繕を行う音、人々の声に気を紛らわせつつ、サンディはつと視線を動かした。

「…で、話したいことって?」

バルクウェイでの戦いの際、"戻ったら話したいことがある"との発言の元、サンディは隣にいるメイヤに目を向けた。


【ヤツキ》場面転換ありがとうございました!】

145ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/09(火) 13:58:34
【飛行艇】

「いつまで落ち込んでんの?」

飛行艇に設けられた一室。
食堂から食べ物を持ってきたナディアは、部屋に入るなり口を開く。
声を向けたのはアブセルだった。

深淵に落とされ、救い出した弟は息をしておらず。しかし彼は決して死んだわけではないのだと、セナは言った。
リトの魂が入っているとされるルビーからは未だ変化は起こらず、結果彼はずっとこうして眠り続けている。

しかし問題は他にもあった。
リトがそうなってからと言うもの、アブセルが彼の側を離れなくなってしまった。
もともとリトにはベッタリだったものの、今までのそれとは様子が違う。
眠り続けている彼の手を握りなが終始俯いていて動かない。食事だって尻を叩いて無理矢理食べさせている程だ。

ナディアは溜息を吐いた。

「あんたがそうしてたってリトは目覚まさないよ?てか男同士で手なんて握ってんな、気持ち悪い。」

なんと言うか、もし仮にリトが今目覚めたとして、まず始めに目に入るのが自分の手を握るアブセルと言うのは、多分、いや間違いなく嫌なシチュエーションだろう。ずっとその状態だったなんて言おうものならトラウマになるかもしれない。

「そんなんする暇あるなら飯食べてきな。あんたまで倒れたら堪ったもんじゃない。」

146リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/09(火) 14:11:35
ヤツキ>>
場面変換ありがとうございました(>▽<)


イスラ>>
ジルにフロン殺させるんですか(笑)

一応、リマセナはついて行こうかなと考えています^∇^
あ、ユニの存在忘れてました…今何処にいるんだろう?←
深淵埋めるのどう纏めようか思いつかなかったのですがヤツキがやってくれました(紃・ω・`)←

黒執事の類は宝物です←
ジジイとショタってシュールすぎるww
てかタナカさんが従者でやるなら白(年寄りだから)執事ではw
なんかカニって思ったんですよね、彼の顔を初めて見た時。

改心…しなさそう←
ジルには幸せになって欲しいです。

あぁ!自由ってのがそれっぽいですね!能力は何だろう?
ツバは出さないでくださいww

もともとナディアはお気楽なんでそれほどでも←
落書きなので、するつもりは無かったのですが…塗ってみました←
imepic.jp/20140909/509930

アブセルはなんか人間らしくて好きです(´∀`)

147アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/09(火) 19:36:19
【飛行艇】

ナディアに声をかけられても、アブセルはピクリとも反応を示さなかった。
リトの横たわるベッドの脇に踞り、動かない。

もはや起きているのかどうかさえ定かではないが、暫くして、顔を押し付けている布団の隙間からボソボソとした声が返ってきた。

「……なんで…お嬢はそんな平気でいられるんだよ…」

その口調からは全く覇気が感じられない。

「旦那様だって…死…」

死んでしまったのに。と続けようとして、彼は途中で口をつぐんだ。
ナディアに気を使ったのだろう。

あの日の翌日、街の路地裏の片隅でナディアの父親が発見された。
魔物にやられたのか、はたまた別の何かか原因は分からないが、遺体は無惨なものだった。

取り合えず遺体を綺麗にして貰い、やっと遺族に返される手筈が整った。
恐らく今日にでも屋敷の者がナディアの父親を引き取りに来ることだろう。

148イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/09(火) 19:39:05
リマ》嫌ですか?←
それならもしくは勝手に自滅します(笑)

そっか、じゃあジュノスも行こうかな…
ユニは…ポセイドン邸に待機させてた、とか…?
ですね^^流石はヤツキさんです

グッズとか集める派ですか?
白執事…かっこいいwてか黒執事の"黒"って何?←
セバスファンが怒りますよw
そうそう、アニメ動画のコメントで知ったのですが、シエル双子説とかあるんですね。確かに夜会の場面とか完全に二人いる…面白い

幸せになって欲しいですね〜…てかしてあげてよぉっ!←

なんですかね〜、自分的には鞭とか使ってビシバシ魔女やキュウベエを虐めるリトが見たい←
誉めてくれた相手に対してツバを吐きかけるのが最近の紳士のたしなみです…嘘です←

ナディアのメンタルが強すぎるw
おぉ!本当に塗ってくださるとは!ありがとうございます!!
フェミル可愛いよ!輝いてるよ!!←プロフも付け足して下されば更に自分は喜びますよ←

リマさんアブセルのこと嫌いかと思ってました(笑)

あ、ジュノスとイスラのプロフが出来たので、良ければ見てやって下さい^^
ジュノスと一緒にいる子は彼の娘ですが、都合により5歳verでお送りしております

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149メイヤ ◆.q9WieYUok:2014/09/10(水) 15:02:35
【飛行艇】

遠くに聞こえる街人の声と、波の音。

時刻は正午過ぎ。

照りつける日差しが水面に反射し、メイヤは眩しそうに目を細めた。

バルクウェイでの戦いから一週間。

深淵を閉じる作業にあたって居た為、サンディと会うのは一週間振りだ。

「小国家並みの軍隊がほぼ全員で復興作業にあたってるから、1ヶ月もあれば街並みも大分元に戻るだろうな……」

甲板の上で胡座をかき、犬の面を手で弄びながらメイヤは口を開く。

そして、サンデの問い掛けに応えようとしたその時。

「新雷時冥弥は闇の子供達計画の唯一の成功者。

闇の子供達計画とは、百年前に開かれた異界の扉から溢れ出た闇の一つ、悪神の力をどうにか使役出来ないかと立案された物。」

フードを被った青年……メイヤの隣に現れたクウラが、メイヤの声に被せる様に口火を切った。

「100年前、当時の当主を失った一族は、勢力の衰退を危惧していた。

そこに運良く権限した闇の悪神を取り込もうとしたのが事の始まり。

だけど、闇の悪神はそう簡単に扱い切れる訳も無く、代々伝わる刀に何とか封じ込めるので精一杯だった。」

その姿をメイヤは横目で睨むも、クウラは話を続ける。

「それから数十年。

一族は悪神の魂の一部を取り出し、人間に宿す術を発明した。

けれど、僅かな一部とあっても闇は人の身体を、精神を汚染して行く。

悪神の闇は人の身体を魔物に変え、元々あった精神を破壊し、狂わせる。」

ならば、闇を宿せる様に細胞を、身体を調整した赤子を用意し、ある程度成長させた後々、悪神の魂と共に偽りの記憶を植え付けよう。

「そして、数百件の適合実験で得られたノウハウを元に、急速培養人格形成技術に因って産まれたのがそこの彼。

シンライジ家現当主の弟ととして人格形成さるてるけど本当は違う。

本当は、母体が自害し、死産した赤子を基に調整された現当主……イオリの実の子。」

そして、話し終えたとばかりにクウラはフードを剥ぎ、海風にその黒髪を靡かせた。

「哀れだと思わない?産まれる事の無かった実の子を知らぬ間に玩具にされた上、その子が自分を兄として認識し慕ってくる。

急速培養と人格形成、更には悪神を宿したせいで寿命は極僅か。

そりゃあイオリは世界の全部を憎みたくなる訳だ。

ま、裏で何があったか知らないままだったイオリも、そこの彼も。

闇の王子も吸血鬼の姫も殺して闇も魔玉も奪って全部全部全部、俺が壊すけどね。」

風に靡く黒髪と凶気に染まる黒瞳は弥都生まれの証し。

どこかメイヤに似通った顔に凶笑を浮かべ、クウラは置き土産とばかりにクナイをメイヤの足下の甲板に投げ、歩き出した。

そのクナイを凝視したまま、メイヤは口を開く。

「……言いたい事はアイツが大体言って行った。

戦いが終わった後、俺とアイツとその兄で深淵を閉じたけど、イオリは何も言わなかった。

なぁサンディ、俺は、どうすれば良い?」

150サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/11(木) 17:12:27
【飛行艇】

クウラから聞かされた事実は思いもよらぬものだった。
サンディはあまりの衝撃に暫く口を利けず。
しかし、クウラが立ち去り、メイヤが言葉を発した後、彼女は言った。

「それって…本当はメイヤはあたしよりもずっと年下だったってこと…?」

話の中でそれが一番驚いた。とでも言う様に目を丸くする。

悪神を宿されたというメイヤの気持ちも、実の子を取り上げられたというイオリの気持ちも、まだ人生経験の浅い…いや、例え幾百の年を過ごしていたしてもサンディには分からない。
それは実際に体験した者でなければ。

どうしたら良いと問うメイヤに対し、サンディは困った風に宙を眺めながら言葉を探した。

「…メイヤ自身がしたいことをすれば良いんじゃないかな…?
例え悪神ってのに憑かれててその人格が作られたものだったとしても、あたしにとってメイヤはメイヤだし…。
それに生まれがどうあれ、今のメイヤはちゃんと自分の意思を持ってる。周りの都合になんか振り回されないで、自分の心に正直に生きて欲しい。
…お兄さん…あ、お父さん…?もきっとそれを望んでる」

そう言ってサンディは笑みを見せる。
しかしそれはどこか無理に表情を作っているかの様な、ぎこちないものだった。

「…って、何か生意気だったね。
知った風な口利けるほど、メイヤのこともシンライジのことも知ってる訳じゃないのに…」

もっと気の利いたことは言えないのだろうか。
その顔から笑みを消し、サンディは目線を下げた。

「でも、ごめん…今のあたしにはこんなこと位しか言えないや」



【そう言えば…吸血鬼達は結局どう動かしましょう?】

151ヤツキ ◆.q9WieYUok:2014/09/11(木) 19:51:40
【ノワールの様子見の為にシャム達が人間界へ→そのままノワールに同行、が無難と言えば無難な気も……

オリジン関係で動くなら、人間界で異質な反応(オリジン)が見られた為調査しに来た、とかとか。

取り敢えず、フィアはバルクウェイに滞在させときまふ、リトセナ組の中で完全に空気だったんでww】

152ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/11(木) 22:33:28
【飛行艇】

最後まで口に出さずとも、アブセルの言わんとしていることは分かった。
ナディアは再び大きく溜息をつけば、そのままの態度で言葉を続ける。

「この件はあの人(父)が絡んでるんでしょ?」

父はあの箱舟とか言うものを呼び出す為の深淵を開く贄としてリトを利用した。
その真意は分からないが、どうやらバロンが対峙した男に加担したようだ。
なら答えは決まってる。

「あの人がやったことで犠牲者も沢山出た。どの道、生きて帰ったとしても罰する必要があった。身内だからって容赦しない。」

それに、とナディアはふとリトを見る。

「この際だからアンタに話しておく。これからうちの家を継ぐのは私じゃない。この子だ。」

これはずっと考えていたこと。
代々ポセイドンの家系として受け継がれてきたが、もとはリマとセナによって繋がれた命。二人は決して、どちらが上で下かなど考えて接してはいなかっただろう。
神の力だろうと、闇の力だろうと、同じ血を引いているのであれば誰からでも生まれる。今回はたまたま同じ親から生まれただけであり、今後自分が闇の子を生むかもしれないし、リトがポセイドンの子を授かるかもしれない。本筋との血が近ければたしかに確率はあがるが、必ずその力のある子を得るとも限らないのだ。現に自分達の母は異能ではあるもののポセイドンでなければ闇の者でもない。
要は当主など誰がなっても同じ、その素質さえあれば。

「もともと私は当主なんて柄じゃないからね。リトがまだ幼いから私が預かってるだけ。」

つまり、

「次期当主を殺めようとした、それだけでも罪が重い。当主暗殺がどれほどの罪か、あんたも知ってるでしょ?」

ただ、気がかりなこともある。
母親の存在だ。
あんな父でも、母にとっては掛け替えのない人。母は、あの人の事をとても愛していたように思う。
父は母の愛を信じられていないようだったけど。二人の心はお互いを向いているのに、何故か一方通行で交わることがなかった。

「ま、どちらにしろだ。私はリトを待ってる。ちゃんと目覚めるって信じてる。落ち込んでいても時間の無駄。あんたもイジイジしないの。」

153ナディア、リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/11(木) 22:34:25
【かこ

154ナディア、リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/11(木) 22:40:24
【過去】

まったく可愛げがない。
ナディアは青筋をたてるも、時間がないのかそれ以上は何も言わず出て行った。

部屋は再びリトとアブセルだけとなり、会話も消える。

そしてリトはと言えば、姉が出て行ったところで全てをリセットしたかのように、アブセルと遊んでいたトランプには見向きもせず、先ほどアブセルが来た時と同じように積み木をいじり始めた。

155リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/12(金) 14:01:55
【飛行艇】

最後まで口に出さずとも、アブセルの言わんとしていることは分かった。
ナディアは再び大きく溜息をつけば、そのままの態度で言葉を続ける。

「この件はあの人(父)が絡んでるんでしょ?」

父はあの箱舟とか言うものを呼び出す為の深淵を開く贄としてリトを利用した。
その真意は分からないが、どうやらバロンが対峙した男に加担したようだ。
なら答えは決まってる。

「あの人がやったことで犠牲者も沢山出た。どの道、生きて帰ったとしても罰する必要があった。身内だからって容赦しない。」

それに、とナディアはふとリトを見る。

「この際だからアンタに話しておく。これからうちの家を継ぐのは私じゃない。この子だ。」

これはずっと考えていたこと。
代々ポセイドンの家系として受け継がれてきたが、もとはリマとセナによって繋がれた命。二人は決して、どちらが上で下かなど考えて接してはいなかっただろう。
神の力だろうと、闇の力だろうと、同じ血を引いているのであれば誰からでも生まれる。今回はたまたま同じ親から生まれただけであり、今後自分が闇の子を生むかもしれないし、リトがポセイドンの子を授かるかもしれない。本筋との血が近ければたしかに確率はあがるが、必ずその力のある子を得るとも限らないのだ。現に自分達の母は異能ではあるもののポセイドンでなければ闇の者でもない。
要は当主など誰がなっても同じ、その素質さえあれば。

「もともと私は当主なんて柄じゃないからね。リトがまだ幼いから私が預かってるだけ。」

つまり、

「次期当主を殺めようとした、それだけでも罪が重い。当主暗殺がどれほどの罪か、あんたも知ってるでしょ?」

ただ、気がかりなこともある。
母親の存在だ。
あんな父でも、母にとっては掛け替えのない人。母は、あの人の事をとても愛していたように思う。
父は母の愛を信じられていないようだったけど。二人の心はお互いを向いているのに、何故か一方通行で交わることがなかった。

「ま、どちらにしろだ。私はリトを待ってる。ちゃんと目覚めるって信じてる。落ち込んでいても時間の無駄。あんたもイジイジしないの。」

156リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/12(金) 14:03:59
【新しいのコピー出来てないの気付かなくて間違えて送信ボタン押してしまった…同じ文2つすみません(泣)そして前日の間違いも重ねてお詫びします(大泣)】

イスラ>>
【別に嫌ではないです(笑)
ジュノスはノワールの監視に着いてくるのはどうでしょう?
子供の存在をリマに話さないようにとか(笑)そして実のところ、セナも知らなかったりします。

成る程、そうしましょう(笑)
呑気にお客様としての待遇を満喫してそうですねw

黒執事はグッズ自体が結構お洒落なので黒執事関係なく素でデザインを気に入って買ったりしてますね(笑)
ガチャなどのマスコットとかはシエルだけGETして終わらせます。でも何故かセバスの辺りが良くてシエルよりも先に出てくるのでいつも何だかんだ言ってシエルとセバスの両方持ってます。←

仕方ないじゃないですか、見えたんだもの。←
黒はセバスを指していて、多分セバスが全体的に黒いことに由来してると思います。(中も外も)
あぁ、もうそんな所まで行っていたのですね。最近忙しくて4話以降全く観ていません←
双子説ですか…懐かしい(´∀`)

…ふっ←

キュウベェにもバシバシするんですかww
何と言う下劣紳士(笑)

ナディアはそう言う人です←
輝きの部分は恐らく自分がやった画像効果なので物理的に見えてますね(笑)
落書きにプロフ付けるのは忍びないので今度描き直します(-ω- )

え、何故wむしろ大好きですよww
自分が嫌いなのはどちらかと言えばリマです。

起こったことをありのまま話しますね。
ネットって広告サイトのリンクタグが出るじゃないですか?
イスラの絵が凄すぎて他のタグに紛れてスクロールする際何の違和感もなく通り過ぎてしまいました←
あれ、無いぞって探したらあった(笑)
そして意外に小さいですね←

ジュノス、良いパパや…(ホロリ
娘ちゃんが何の話してるのか気になるが(笑)足の生えた魚w

157アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/13(土) 03:13:51
【飛行艇】

"リトを当主に"。
それは彼にとっても驚くべきことだったのだろう。
アブセルはゆっくりと顔を持ち上げ、ナディアを見た。

「俺だって信じてない訳じゃないよ…、でも…」

しかしその顔は直ぐにまた下を向いてしまう。

「でも俺はいつか…旦那様がリトのこと理解して、二人が仲良くなってくれたらって…」

そう言うアブセルだって決してあの人に好意を抱いていた訳ではない。
リトのことを傷つけるし、怖いし、今回のことも許せない。
だけど、まだ幼くロクに仕事の出来なかった自分を祖父が引き取り、屋敷に置くことを許してくれていたのはあの人だ。感謝はしている。

アブセルは続ける。

「それに、リトを当主にして…お嬢はどうすんの…?
今度こそ本当に屋敷から出てっちゃうの?」

アブセルはまるで迷子の子供の様な、心細そうな目をナディアを向ける。

「お嬢が出て行ってから屋敷の中は本当に酷くなった…。それ程お嬢の影響力は大きいんだ」

旦那様が死に、奥様は、ヨノはどうなってしまうだろう。リトを当主にして、屋敷の者達はちゃんと彼に付いていくのだろうか。
その上ナディアまで出て行ってしまったら…。

「俺は嫌だよ…、お嬢達家族がこれ以上バラバラになるのやだよっ!」

158アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/13(土) 04:00:05
【過去】

こいつ(リト)は良いよな。あんな美人な姉ちゃんが二人もいて。

彼女達が出ていった先の扉をどこか恨めしそうに見つめるアブセルだったが、不意に背後からの物音を捉え、後ろを振り返った。
見れば、リトがまた何事もなかったかの様に積み木遊びに興じている。

「……変な奴」

ロボットみたいな奴だと内心呆れながら、アブセルは無造作に食事の乗ったプレートからデザートのタルトを取り上げ、そして、ふかふかのベッドに飛び乗りそれを食べ始める。

デザートもベッドもリトのだけど、気にしない。
だって俺、王様だし。

…しかし、リトの相手をする…とは言っても、これからどうしたものか。
彼をぎゃふんと言わすにしても、こいつは滅多なことじゃ動じないし…。

(何か面白いことないかなぁ…)

リトが一番嫌いなものや怖いものって何だろう。
アブセルは暫し思案しながら、タルトを口に運ぶ。
と、不意に頭の中に光明が降り注いだ。

「そうだ!」

ベッドから勢いよく立ち上がり、アブセルはリトに向けて人差し指を突き付けた。

「おいっ、今から街に行くぞ!勿論お前もっ!
直ぐに準備しろ!」

159イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/13(土) 04:01:29
【じゃあノワールの様子見&異質な反応の調査…と言う訳で、後でシャム達がバルクウェイに訪れた場面のレスします^^

リマ》どん☆まい(-∀-)

じゃあその時はお願いします(笑)
あ、そうですね。ノワールとは子供捜索の約束してたし。てかセナがその事実を知ったらどんな反応をするのか…(笑)

してそうwユニはぶれないなぁ(笑)

ガチャまでw欲しいの中々でないですよねw
しかし割と買ってるんですね。そういうグッズって買ったら使用します?それとも保管?

そうね、見えたんなら仕方ない(笑)
なるほど…まんまですねw
もう最終回目前ですよw漫画よりアニメのが双子演出が顕著みたいです。懐かしいってことは…今はもうそんなプッシュされてない話題なのか(笑)

なんですかその意味深な「…ふっ」、は(笑)

うん、知ってた(笑)
物理的+脳内覚醒で更に輝いて見えました←もう大天使が舞い降りて来たような←
マジか、ご丁寧にありがとうございます!

え、そうなの?(笑)嬉しい←
そんなwリマさんの記念すべき一号目のキャラなのに!?;

えwそれは…光栄です…?(笑)あれはもう勢いのまま描いただけです。正直ジュノスの絵のが時間かかってます(笑)
そうですね、初期からイスラは小さい設定でしたので(´ω`)

ジュノスが人魚姫を娘に読んであげてて、すると娘が「それ違う、人魚はこうだよー」…って話してる感じですかね(笑)】

160シャム他 ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/14(日) 01:17:23
【バルクウェイ】

「おいこら下僕ッ!遅れてんぞ、ちゃきちゃき歩け!」

待ち合わせ場所への道すがら、十三人の長老が一人シャムは、後ろを振り返りある人物に向けて厳めしく声を上げた。

その視線の先には同じく長老の一人、大きな荷物を背中に担がされたルドラの姿が…。

「うぅ…くそ…、なぜ余がこんなことをしなければいけないんだ…」

ノワール誘拐騒動から以降。
ルドラはシャムの下僕として荷物持ち、使い走り、はたまたマッサージに至るまで。それはもう都合の良いようにアゴでコキ使われ続けていた。
今まで下位の者達によいしょされ、甘やかされてきた彼にとってはこれ以上とない屈辱だ。

(覚えてろよ…、あのチンピラ眼帯…)

ジーナの元に行ったラディックもこんな感じなのだろうか。いやあの男は謎に適応力があるし、案外今の状況を楽しんでいるのかもしれない。

…そんなことより、

「何でこんなに重いんだよこの荷物!一体何が入ってるんだ!?」

とっくに荷物の重圧に堪え兼ねていたルドラは、足をプルプルと震わし息を切らす。

その怒声に対し、シャムの隣を歩く女性…いや、女性のフリをした男性が艶かしく振り向いた。

「あら、重かったかしら?これでもお洋服とかいろいろ大分少なくさせて来たんだけど〜…って言うか、ルドちゃんったらプルプルしちゃってまるで産まれたての子馬ちゃんみたい、カ〜ワイ〜。お姉さんギュッとしちゃいたいわぁ」

「うるさい!何がお姉さんだ気色悪い!余に近づくなッ!」

全身に鳥肌が立ってしまった。この男…D.Dの発言にドン引きするルドラに向け、再びシャムが口を挟む。

「つーかその姫ちゃん意識した様な喋り方やめろっつったろーが!
向こうでは僕ちゃん、僕ちゃんって泣きベソかいてたくせによお」

「誰が泣くか!
それに"僕ちゃん"じゃない!"僕"だ!」

「二人ともケンカはダメよォ。それから汚い言葉もね。言葉遣いの悪さは顔にも表れるって言うでしょ?」

D.Dが宥めるのも聞かず、口汚く罵り合うシャムとルドラ。
そんな二人を余所に、ふと彼は何かに気がついた。喜色満面と飛び跳ね、手を振る。

「やっだぁ〜、フィアお久しぶり〜!元気してたあ?」

どうやら待ち合わせをしていた相手はフィアだった様だ。
D.Dはフィアに駆け寄り、彼女を抱き締める。そして有無を言わさずその唇に熱いキスをプレゼントした。

161イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/14(日) 01:18:37
【一応オネェのプロフを載せときます^^】

名前:ディーディー(D・D)

男性
十三人の長老の一人

黒髪、緋眼。
ライダースーツの様な身体のラインが出る服装を好んで着ている。
身長+ヒールで2m近い高さ。やせ形。

本人曰く心は乙女。
イケメンと可愛いものが大好き。そしてキス魔。

人間が好きで親交を交えるべく、人間界でバーを営んでいる変わり者。
故郷に帰ることはあまりなく、派閥も持たないが、十字界のことに無頓着という訳でもない。

162レックス ◆.q9WieYUok:2014/09/15(月) 16:06:48
【飛行艇】

「確かに……ナディアさんの弟君の事も気にかかりますし、一旦此処でこれからの方針を話し合うべきですね。」

その話し合いの中心に居るべきであろうバロンが暫くバルクウェイを離れるのならば、彼が戻るまで待つしかない。

なんだかんだ言いながらも、バロンは自分達四神の先導者なのだ。

窓から飛び立つバロンの姿を見送った後、レックスはアグルに声を掛けた。

「と言う訳で、バロンが戻るまで僕はバルクウェイに滞在します。

闘技大会とやらも、折角なので出ましょうか。

……アグルはどうしますか?」

取り上げられた書類を返して貰い、レックスは続ける。

「どうやらトーナメント表を見る限り、組み合わせも大体は決まってるみたいですよ?

一回戦は僕とイスラ、アグルとメイヤ……後は知らない名前ですが、きっと801師団の方々でしょう。

空き枠は当日参加枠でしょうか……」

見た所知り合い同士の組み合わせだが、幼い頃から武術を教え込まれて来たレックスとしては正直な所、嬉しい組み合わせだ。

剣士としては一流以上の腕を持つイスラや、弥都では共に修行したアグル、そして暗殺者であるメイヤ。

手合わせ出来るとすれば、武闘家としての血が騒ぐと言うもの。

ここはバロンの言葉に従い、多いに場を沸かせても良いだろう。

初戦のイスラは先の戦いで大きな怪我を負ったと聞いたが、大会には出れるのだろうか。

思考を大会の事に切り替えたレックスは、手にする書類にもう一度目を通していく。

そんな二人に、見知らぬ男が声を掛けた。

「どうも初めまして。

俺はこの師団の長、レオール・ランブリッシュ。

遅くなったが、挨拶しに来たのだけれど……君達は四神のレックスとアグルかな?」

……男、801師団長のレオールは気さくな笑みを浮かべながら、続けた。

「あぁ、隣に居るのは側近のマルト。

無愛想な奴だが、悪い奴じゃあないんだ。

ととと、イオリから四神の先導者が居ると聞いていたのだが……それらしいぬいぐるみは見当たらないな…?」

163ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/15(月) 21:36:03
【飛行艇】

アブセルは彼なりに、色々と不安を抱え、悩んでいたようだ。

「あんた、麗しき乙女に邸で朽ち果てろって言うの?私だって女なんだから誰かに嫁いで別の家庭を築きたいんだけど」

ナディアの母親は一人娘だった為婿を迎えただけであり、本来であれば娘は嫁ぎ家を出るもの。
一度はそんな事を言って見せるも、ナディアはその顔に笑みを浮かべると不意にアブセルの頭を鷲掴みすると、そのままグシャグシャと乱暴に撫でる。

「あんたは余計な事考えなくていいの。今の状態でリトに継がせるわけないでしょ、何の罰ゲームかっての。」

両親からの扱いやリト自身の気難しい性格もあり、その立場が最悪なことぐらいちゃんと分かっている。
リトが当主として、ちゃんと一族を率いていけるよう基盤をつくってやらなければならない。

ナディアは態とらしく溜息を吐いた。

「当主のくせに邸を放ってほっつき歩く無責任な奴、って思わせようとしてたのに失敗しちゃった。私から漂うカリスマオーラがいけないの。頼りない奴を演じようと思ってもやっぱり頼りにされちゃう。」

どちらにしろ、とナディアは続ける。

「面倒だけど、一回帰って色々片付けなきゃダメかなぁ。母さまのことも、そろそろどうにかしなきゃ。」

ところで、気になっていたことがある。
そう言えば、とナディアは話を変えた。

「あんた達(リトとアブセル)、喧嘩でもしてたの?」

164リト ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/15(月) 21:44:19
【過去】

街へ行く。
そのアブセルの言葉に、リトはふと顔を上げるも、その次は考えるでもなく、言われたとおり出掛ける用意するでもなく、ただ小さく首を振った。

リトは外に出ることを禁止されている。
外だけでない。この部屋から出ることすら赦されていないのだ。
リトはそれが理不尽であることは分かっていない。ただ、言い付け通りにしなければ後であの男(父親)に殴られることを知っているから、この場所から動かない。

リトはそれ以外何の反応も見せず、そのまま積み木を続けた。

165リマ、セナ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/15(月) 22:32:13
【飛行艇】

リマとセナは食堂にいた。
リマは食事をスプーンで掬い、それをセナの口元へ持っていく。

「セィちゃん、少しでいいから…」

リマはセナに食事を摂らせようとしているようだが、どうにも上手くいかない。体が受け付けないらしく、匂いで戻しそうになる。
セナには波がある。沢山食べてくれる時もあれば、こうして全く受け付けないことも。

(体力つけなきゃいけないのに…)

リマは困った様子で目を伏せた。
個室で眠り続けているリト。セナは彼に自分の力の一部を分けた。
いくら魂が護られてるとは言え、リトの体は力を全て吸い取られ生き長らえるものではなかった。少しでも残っていれば自然に力は再生されるが、全くないとなれば話は別である。そこでセナが源である力を分け与えただ。言うまでもなくリトとセナの力は同系統であるため、リトの体にすんなりと馴染んだ。彼に至っては後は自然に彼本来の持つべき量まで力の回復を待てばいい。
そしてセナも分けた分だけの力を回復する必要があるのだが…

「もっと、食べやすそうなもの貰ってくるね…」

リマは言って立ち上がり、セナの側を離れた。

「健気よの」

それを見計らったかのように、新たな声が一つ。
先程までリマが居たセナと対面となる席に、ノワールが登って腰掛ける。

「そなたに尽くし、まこと健気じゃ。そなたは弱々しくなったものじゃの、魔玉とやらの影響か?」

詳しくは知らないが、セナはその身になにやら滑稽なものを封じているらしい。
そしてノワールには其れが彼の体を着実に蝕んでいるのが視える。

「…何故、お前がいる…?」

興味深げに意地悪な笑みを浮かべるノワールに、セナは彼女の問いかけには触れず別の話を振った。

「王子殿はわらわに感心がお有りか?それはそれは光栄な事じゃの。」

身なりは当初の其れとはかけ離れているものの、目の前の少女は間違いなく、かつて黒十字が接触した吸血鬼の姫。
お互いの目的の為にしばしの間行動を共にしていたが、彼女を含めた吸血鬼達はいつしか黒十字から姿を消していた。

「会いたかったぞ、王子殿。そなたにはしかと、けじめをつけて貰わねばの」

黒十字は共に目的を果たすと言いながら、一方の目的を果たした途端手の平を返した。
ノワールの身を封じ、赤子を奪った。
赦さない。

「そなたと、わらわの…」

子供の話を言いかけたところでノワールの視界に嫌なものが入った。
ジュノスが此方を睨みながら近づいてくる。
ノワールは悔しげに歯を噛みしめる。

「邪魔が入りおった…」

166リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/15(月) 22:49:42
イスラ>>
【頑張ります(笑)
セナが知ったら…取り敢えずリマの前から姿を消しますね(笑)
ジュノス大変そうw

ユニは幸せだなぁ←

欲しいと思ってるものに限ってでないんですよねぇ…
断然保管します。アニメキャラのラバストとか首から提げる大学の学生証に付けてる子とかよく見かけるんですが、自分には出来ません…色んな意味で。
代わりにふなっしー付けてます←
てか今週の土曜に黒執事の一番くじが出るんです。ビターラビットメチャクチャ欲しくて…当たるまで引きそうな予感←

仕方ない仕方ない(笑)
目前どころかもう終わってしまったww高校生の時は全話リアルタイムで見てたのに…歳か?←
と言うか自分は真実を知っているので(**-ω-**)

どうしようかなぁと(笑)

何だそれww
いえいえ、つってもどんな絵描くか思いついてないんですけどね←

喜んでもらえて良かったw
リマって何か自分が嫌いな乙女ゲームのヒロイン寄りの性格なんですよね。
リマのモデルになってる子はそんな雰囲気なかったのに…不思議だ。

思いのままであのクオリティ…凄いっ
イスラは態度がデカイだけでしたか←

娘ちゃん…それは人魚じゃない、魚人だ←

てかオカマさんww
イケメンが好きなんだー、へぇーw
この話の何人がオカマの餌食になるのかww】

167メイヤ ◆.q9WieYUok:2014/09/16(火) 23:36:28
【飛行艇】

「俺がやりたい事……」

やりたい事など、無かった。

自身の出生の秘密を知る以前から、人を殺める事しか自分にはなかった。

任を請け、刃を振るい。

人を殺め、眠り、朝が来ればまた新たな任務に就く。

休暇は身体を鍛え、技を研鑽するだけ。

欲しい物も無く、人と関わる事も無く。

考える事すら、無かった。

「……やりたい事、考えた事も無かったな。」

ぎこちない笑みを消し、俯くサンディを横目で見ながら、メイヤは口を開く。

そう、今までの自分には生きて行く上での希望が、楽しみが無かった。

それはシンライジ家の者ならば当たり前だと思っていたが、よくよく考えればそれは自分だけだった様だ。

(イオリは酒や煙草を収集していたし、ユーリは木彫りの彫刻をよく作っていたな……)

任務に就きながらも、他の者は各々何かの楽しみを持っていた様にも思える。

「謝る事はない、俺は今まで何も無かった。

四神を守れと言われたから、そう行動した。

疑問はあっても、何も考えて来なかった。

そのツケが今、来ただけなのかもしれない。」

時間はある筈だ。

深淵を閉じた後、イオリは言った。

用が出来れば呼ぶ、それまでは好きにしろ、と。

聞いた話では、イオリは先の戦いで決して浅くは無い怪我を負い、暫くは動かないらしい。

ならば、自身と向き合い、考える時間位はある筈だろう。

「悪いなサンディ、俺自身が自分の事を考えて無かったのに、どうすれば良いかなんて聞いて。

そんな質問に答えられる訳無いのにな。」

メイヤはゆっくりと立ち上がり、俯くサンディの頭を撫でる。

「正直な所、自分の心すらわからない節はある。

けれど、サンディが励ましてくれてるのはわかる。

サンディお姉さんの有り難いお言葉、大事にするよ。」

そして、彼女の肩を叩いて薄く笑った。

168アグル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/17(水) 01:45:13
【飛行艇】

どうするかと尋ねるレックスに対し、アグルは顎に手を当て"う〜ん"と小さく声を洩らす。

こういうことには余り興味はないが、実力をつける為には出てみるのも悪くはないのかもしれない。

そう思案する傍ら、そこで不意に見知らぬ男に声を掛けられ、アグルはつと視線を動かした。

そこにいたのは気さくな笑みを見せるレオールと言う師団長。
話に聞く限りでは確かボルドーの兄でこの飛行艇を自分達に譲ってくれた人、らしいが…。

「その縫いぐるみならついさっき出てったけど…、暫くは戻って来ないんじゃねーかな」

アグルは言う。

「…なんか用?」

169アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/17(水) 01:56:18
【飛行艇】

軽口と共にナディアが笑顔を見せる。アブセルはそれを眩しそうに見つめ、僅かに表情を緩めた。

「お嬢は…」

昔からちっとも変わらない。

いつだって太陽みたいに眩しくて、皆の中心に居て、彼女が大丈夫と言えば心配することなんか何もなくて。

居心地が良かった。ずっと子供のまま、ナディアやヨノやリト、皆と変わらずに一緒にいれたらどれだけ良いだろう。
…でも、それはきっと自分の我儘でしかないんだ。

現に情態は絶えず移ろい、リトも自分も大人になりつつある。そして、きっとリトは変化を望んでる。

アブセルはリトの手を強く握り締め、言った。

「喧嘩…っていうか、俺が一人で勝手に拗ねてただけだよ…」

そして目を伏せ続ける。

「お嬢がいなくなって…今度は俺がリトを支える番だって思った。でも俺、全然お嬢達みたく出来なくて…」

リトのこととなると、どうも自分は感情の制御が上手く出来なくなる。
善かれと思ってやることの殆どが裏目に出て、いつも彼の足を引っ張ってばかりだった。

「リトは俺に何も話してくれなかったよ…。"これは俺の問題だ"って言って全然頼ってくれないし、俺が愛してるって言ったら凄く怒るし…」

だから、

「きっとリトは俺のことなんか必要としてないんだって…、俺なんかより強い奴も頼れる奴も沢山いたし、そっちの方が良いんだって…っ」

リトの友達は…理解者は自分だけだと思ってた。
けど、当然だけどそんなことは全然なくて。愚かな自分は小さな子供みたいにユニやノワール達に嫉妬した。

「俺、本当はあいつに"俺達"の問題だって言って欲しかった…!もっと頼って欲しかった!
でもそれとは別にリトはどんどん離れて行っちゃう気がして…!怖くて…!
それなら捨てられる前に屋敷に戻してやろうって思って…」

駄目だ…また泣きそうになる。
アブセルは空いた一方の掌で目を覆った。

「…こんなことになるなんて、思わなくって…」

170アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/17(水) 01:57:39
【過去】

「なにお前、もしかしてビビってんの?」

何も言わず小さく首を振るリトに、アブセルは眉をひそめて言う。

リトの行動範囲に制限があることはアブセルも知っている。
ただ彼は、それが単にリトの身体が弱い為だからだと聞かされていた。

「そんなのバレなきゃ良いんだよ、バレなきゃ。
ちょろっと外に出て、旦那さま達が帰ってくるまでに戻ってくれば良いんだ」

言って、アブセルは部屋にある大きめの縫いぐるみをベッドに潜ませ、毛布に膨らみをつける。
…うん、我ながら天才。
使用人達も旦那さま達が出掛けたことで気が緩んでるだろうし、これできっとリトが寝ているものと思うに違いない。

「身体が弱いのか何だか知らないけど、こんなとこにずっと閉じこもってる方がよけい病気になっちゃうって」

アブセルはリトの腕を引き、無理やり立ち上がらせる。
そして先程食事を乗せて部屋に引いてきたワゴンのクロスを捲った。

上の段には食事が、下の段には洗濯物など、別の荷物が乗せられる様にスペースが空いている。
リトなら余裕で潜り込めるだろう。

「ほら、ここに隠れて。俺が外まで連れてってやるから。
もし見つかった時だって上手い具合に誤魔化してやるし」

171ジュノス ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/18(木) 11:26:30
【飛行艇】

ノワールがセナに絡んでいる。それを目撃するや、ジュノスは二人に近づき口を開く。

「セナ様、余りこの方の仰ることを間に受けてはいけませんよ。
どうも彼女は冗談がお好きな様で、口を開けばたわいないことばかりお話されるのですから」

そう言う彼の顔は笑顔だったが、ノワールの方を振り向いた途端その表情は一変。彼女を睨みつけ、「ちょっと…」と耳打ち手招いた。

そして…

「あのことはセナ様達には黙っていてください」

人気のない場所、飛行艇の機関室までノワールを連れてきたジュノスは彼女に向けて言った。

「私にあたるのは別に構いませんが、なにもセナ様やリマさんにまで当て擦る必要はないでしょう。
貴女だって今更あの話を掘り返したところでどうにもならないことぐらい分かっている筈です」

そう、彼女とセナは今、別の時を生きているのだから。
ジュノスは一つ間を置くと、それでも…、と先を続けた。

「もしセナ様達が困る様を見て楽しみたいということであれば、私は貴女を軽蔑します」

172イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/18(木) 11:28:13
リマ》姿を消すwwそれは駄目だw
ジュノスのストレスが溜まっていく(笑)
ユニはもう癒し担当ですねw

それがガチャの法則←
自分も出来ないかも…(笑)ラバストぐらいならまだ許せるけどクリアファイルとか目立つもの使ってる人目撃したら「わあ」ってなる(笑)
てかふなっしー良いなぁw一番くじって結構するでしょうに…(笑)

終わっちゃいましたね〜、自分もリアルタイムは無理です、これが歳か…
え!?そうなんですか?一体どんな事実が…

考えてなかったのかw自分は勝手に予想ついてますよ←

え〜そんな可哀想…w因みにリマのモデルって?

態度がデカいwwそうか、イスラはそんな印象だったのかw
(;゚Д゚)!魚人だったか…←娘はロマンティックよりグロい系が好きな女子なんでしょうねw

取り合えず大体のキャラの唇は犠牲になるでしょう←彼にとってのイチオシが一名ぐらい欲しい所ですが…誰にするかは考え中です(笑)

173フィア ◆.q9WieYUok:2014/09/19(金) 15:10:08
【バルクウェイ】

「元気よ、アナタのキスから唇を守る位にはね。」

昼過ぎのバルクウェイ、市街地からやや離れた公園のベンチで、フィアは同胞の到着を待っていた。

そして、その同胞……自身と同じ、十三人の長老であるDDの熱い抱擁とキスにフィアは苦笑いを返す。

長老同士の交流は基本的にはしないものの、フィアはDDの事が嫌いでは無かった。

寧ろ、レオやシャムの様に好意すら持てる程だ。

……しかし流石に、唇へのキスは嫌だった為、薄氷で防いだのだが。

抱擁から解かれ、挨拶もそこそこに再びベンチに腰掛けたフィアは視線をDDからシャム、そしてルドラへと向ける。

「で、そこの坊ちゃんは何をしている訳?

私、足手まといは呼んだつもり無かったのだけど……もしかして荷物持ちの従者として来たの?

まぁ、世間知らずのお子ちゃまには良い社会経験になりそうねぇ」

蒼の瞳でルドラを眺め、大体の状況を察したフィアはルドラを煽る。

しかし、煽るのもすぐに止め、フィアは話を続けた。

「急に呼んでごめんなさいね、ジーナに連絡したら動けるのは二人だと聞いてね……

取り敢えず、単刀直入に言うとこの人間界で異質な反応があったわ。

十三人の長老に限りなく近く、されど誰の気配とも違う。

強いて言うなら、ノワールの気配をもっと濃くした感じ……」

そして、人間界に二人を呼んだ理由から始まり、十字界を出た後やレオの仇の事、四神やノワール、闇に属する者の事などを大ざっぱにだが、説明した。

「と言う訳で、私は件の反応を追うわ。


二人……三人はどうする?」

174サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/20(土) 01:39:31
【飛行艇】

「ん〜…どういたしまして?なのかな…?」

"お姉さん"と言われ、サンディは何やら照れ臭い様な、くすぐったい様な気分になる。

しかし、あんなのでも一応はメイヤの気分を変えることが出来たのだろうか。
サンディは再びメイヤに視線を向け、言った。

「そう言うのって考えて答えが出る様なものじゃないからさ、何かの切っ掛けでふっと気づくものだと思うんだ。
ほら、例えば今のあたしのやりたいことが…"メイヤのしたいことを一緒に探す"ってのになった様にね」

だからそんなに深刻に思う必要はない、とサンディは笑う。
そして、今度は砕けた様にちろりと舌を出した。

「まぁあたしとしては四神の護衛、続けてくれると嬉しいんだけどね。
…あ、あとメイヤのこと、知れて良かった」

175シャム他 ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/20(土) 01:40:53
【バルクウェイ】

「そこの眼帯が来いと言ったから付いて来たまでだ。
それに余とて歴とした長老の一人ぞ。足手まといに等なるつもりはない」

フィアの発言に対し、ルドラはそう小憎たらしく言葉を返す。

しかし、彼女から件の反応やノワールの説明が入ると、ふざけていた一同も自然と静かになり。
そしてその話が終った後、シャムは「なるほどな…」と頭をガシガシと掻きながら口を開いた。

「俺らもお前に同行する。
元々それを確認する為に来た訳だしよお」

それにD.Dが頷き、続ける。

「ええ、でも出る前に姫の顔を一目見たいわ。あの子、近くに居るんでしょ?」

176レオール+etc ◆.q9WieYUok:2014/09/22(月) 01:48:28
【飛行艇】

「何だって!?モフモフ出来ないじゃないか!」

アグルの応え、バロン不在の言葉にレオールは思わず声を上げた。

それに反応した側近のマルトは、頭を抱えて悔しがるレオールの脇腹を剣の柄でつつく。

「ぐはっ!な、何を……」

「何してるじゃねーよ、モフモフとか
言うキャラじゃないだろアンタは。」

そして、呆れ顔でつっこみを入れながらも、先を促す。

「そ、そうだな。モフモフはまた戻って来た時にお願いしよう。

うむ、居ないならば仕方ないが話を進めよう。」

それに頷き、レオールは話を続けた。

「実はだな、君達四神には俺達……我が801師団に編入してもらいたいと思っているんだ。

元々この師団は、世界の危機に対抗する為に各国の勇士が集って出来た物。

少し前に弟の友人、イオリから話があってな。

黄龍やそれに従う四霊、この世界の秘密や闇の巣など全部聞いたよ。

勿論、それらに対抗する四神の事も。」

そこでレオールは一度言葉を切り、右手をアグルの前に翳し、閃光が瞬く。

光は爆ぜながら微細な紫電を撒き散らし、小鳥の型を成した後、消えた。

「雷神インドラの力を持つ者であり、第801師団長として。

俺は黄龍を倒し、世界を救いたい。

その為に、君達四神に協力するし、君達も俺達にその力を貸して欲しいんだ。」

そして、レオールはアグルの前に翳した掌を前に出し、返事を……握手を待った。

177ナディア ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/22(月) 14:11:42
【飛行艇】

リトに愛してると言ったのか。そりゃ嫌がるだろうな。いやいや待て、そもそもその話を今この真面目な場面で言うか?いや違う、アブセルの目は本気だ。彼にとっては重大事項だったのだろう。
アブセルは良くも悪くも、いつも自分の気持ちに正直だ。

ナディアはやれやれと肩を落とす。

「こいつ(リト)は甘え方を知らないんだ。あんたも知ってるでしょ?両親があぁなんだ、リトは一人で生きていくしかない。」

リトは不器用だから、人を頼ことを知らず、優しくされると戸惑ってしまう。
対して世話焼きな面がある。おそらく彼は自分が求めるのではなく、相手に求められることで人との関わりを作っていくタイプなのだろう。
だからアブセルの事も鬱陶しがりながらも嫌っていないことをナディアは知っていた。
ずっと一人遊びしかしなかったリトが、いつしかボードゲームなどの二人で遊ぶゲームを持ち出すようになっていた。
アブセルが来る時間帯になると態と目のつく場所に其れを置いて、それを見つけた彼が遊びに誘ってくるのを待っていた。
アブセルの存在は、たしかにリトを変えていたのに、彼は気付いていない。

「馬鹿だね、あんたは。」

リトは変わろうとしている。
しかし、その背中を押したのはアブセル自身なのだ。
変わることのなかったリトの生活に、ある日アブセルの存在と言う変化が起きた。
アブセルが、リトに”日常が変化すること”を教えた。
これはナディアすらなし得なかったこと。認めるのは悔しいけど。

「まぁ特別、大サービスで真面目に応えてやるけどさ。
リトにとって、あんたは居て当たり前の存在なんだ。あんたの言うとおりリトは外に出て変わっていったのかもしんないけど、それであんたが置いてかれることはない。なんか色々と可愛い仲間が増えてるみたいだけど、もとの二人が三人、三人が四人、って増えてるだけで、誰かが加わることで一人が消えて二人、三人になるわけじゃない。本質は変わらない。」

て言うか。
ナディアはアブセルの頭を叩いた。

「あんた、うちの弟が誰かをハブにしたり見捨てるような薄情ものだと思ってるわけ?」

それに、

「これは俺の問題。結構なことじゃない。リトが勝手にするならあんたも勝手に動きな。リトの言葉を聞き入れたフリして、「リトを助けるのが俺の問題」とでも言って勝手に手出しときゃいいのよ。もっと賢くなりな、バカちん」

きっとリトは拒まないだろう。嫌な顔はするかもしれないけど、放っておけばいい。

「ほら、いつまでもメソメソすんじゃないの。食堂でも行ってご飯食べて来たら?今ならセナとリマちゃんがいると思うよ、一人が嫌なら一緒に食べてくればいい。」

それにしても…まぁ、これはリトにも言える事だが。

「年頃男子がいつまでも仲良くくっついて…あんたもリトにばっかこだわらないで恋愛したら?まさかソッチの人だったりしないよね?弟はやらないよ。」

178ノワール ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/23(火) 11:47:49
【飛行艇】

「そなたは、わらわばかり責めるの」

ジュノスの言葉を受けたノワールは、怒るでも、悲しむでもなく、ただ静かに、淡として呟いた。

「あれ(メルフィ)は、あやつの子ぞ」

ジュノスがひた隠そうとしても、それは紛れもない事実。
否定しようとしても無駄なこと。

「我が子の行方が分からぬのに、何故あやつは平気でおられるのじゃ。あやつも加担を?」

黒十字の者達は信用ならない者ばかりだったが、セナは違った。自分の意志が無いと言えばそれまでだが、目的の為に態度を偽ることもなければ、虚言を述べることも無かった。
セナは母親から子供、それも乳飲み子を奪うような非情な男ではない。分かってる。しかし、ふと考えてしまう。

「それとも、心を寄せる女の子でないと興味も湧かぬか?」

奴に恋情などない。
ただ悔しいのだ。奴を信用していた自分が。

「あやつを赦せぬ。責任を問うておるのだ。そなたに軽蔑される言われはない。」

179リマ ◆Q4V5yCHNJ.:2014/09/23(火) 14:32:50
イスラ>>
セナには耐え難い事実でしょう。どのツラ下げてリマといるのかって言う←
ジュノス、胃潰瘍になったらリマが助けてあげる←
てか癒しにすらならないならユニの存在意義がないですね(笑)

ガチャ怖ぇ…本当、良い金儲けですよね。
てか以前ハガレンのガチャか何かやって、シークレットが出たんですけど、大総統だったんです。酷くないですか?シークレットが大総統ですよ?誰が喜ぶんだって言うね。
凄いなぁって思いますよねσ( ̄∇ ̄;) ファイルは漫画のイラストだったら好きなんだなぁくらいにしか思いませんが、中学くらいの時クラスの男子が萌え系美少女アニメのファイル常用しててメチャクチャ引いた記憶があります。
てかラバストとかぶら下げてオタクオープンにしてても全然オタクな感じがしない子とかいるんです、あれ何なんでしょうね?生粋なオタクなのに天然の一般人オーラ、羨ましい。
首にはふなっしー、愛用の鞄はくまモンなもので、ふなっしーとくまモンが私の代名詞になっています。性格がふなっしーっぽいんで何方かと言えば皆ふなっしーを見て私を連想するみたいなのですが。ある日研究室にふなっしーのマスコットが飾ってあって、私のものじゃないのに皆私の私物だと思ってたみたいでビビりました(笑)結局本来の持ち主から譲渡されたので私物になりましたが←

一番くじね…発売が発表されたと同時にコツコツと黒執事募金始めて軍資金一万円用意してたんです。
まぁでもお金で引いたのは最初の3回で後は全部今まで10年以上貯めていたポイントでやったんですけど。発売日当日私の頭が弾けて通常のシエルラビットは勿論、ラストワンもちゃんと手に入れましたよσ( ̄∇ ̄;)
後先考えずやっちゃったんで持ち物増えちゃって、急遽100均で大きい袋購入するハメになったのでその日は友達と遊ぶ約束してたのに電車逃して10分遅刻。遊ぶ前から大きな荷物背負って現れた私に友達ビビる。事情を話して笑われる。最強伝説浮上← ってな感じに落ち着きました←
セバスラビットは残念ながら入手出来なかったので、オク慣れしてる別の友達に入札依頼出しています←

それはもう、涙無しには語れない事実が(嘘)

え、どんなww

Dearって漫画のチルハって子です。そして同じ漫画のキサラって子がセナのモデルです。

なんか存在感があるって言うか(笑)
気づいてなかったのかwwあぁ、ありそう(笑)


怖ww
オカマって男臭い人好きだったりしますよね。存命だったらディンゴが最適だったのにww

180メイヤ+etc ◆.q9WieYUok:2014/09/23(火) 19:13:50
【飛行艇】


「俺に付き合う前に、世界を救わないといけないだろう?

それに、護衛を続けるとしてもいつまで経ってもおんぶにだっこじゃあ俺の身が保たないからな。」

子猫の様に舌を出して笑うサンディに笑みを返し、メイヤは歩き出す。

自身の口からでは無いが、胸中に蠢いていたモノをさらけ出せたのは精神的に良かったらしい。

「だけど、今暫くは時間もありそうだし、付き合ってもらおうかな。」

甲板を歩きながら、メイヤはバルクウェイの街中へと視線を向ける。

「あぁそうだ、サンディ。

さっきの話はアグルや猫男爵達には秘密にしておいて欲しい。

レックス辺りが変に気を遣いだしたらこっちが余計辛くなりそうだからな……」

ーーーーー

【バルクウェイ】

「助かるわ、私一人じゃ正直荷が重いと思っていたから……」

話を聞き、頷く三人にフィアは礼を言って軽く頭を下げた。

その様子に、自分自身丸くなったと薄く笑いながら、フィアはDDの問いに答える。

「姫は港の飛行艇の中よ、この位置からなら空間転移で一瞬よ。

なんなら私が皆を姫の元まで跳ばそうか?」

181アグル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/24(水) 01:17:32
【飛行艇】

どうやらこのレオールと言う男は以外にもおちゃめな人だったらしい。

しかし、話題の人物であるバロンは己自身の身体をどうにかする為に出ていった訳だし、戻ってきてもモフモフは出来ないんじゃないだろうか。

…とは思ったものの、アグルはそれを口には出さず、代わりに差し出された掌とレオールの顔を見比べ、そして「悪いけど…」と口を開いた。

「別に俺はこいつら(四神)の一員って訳じゃないし、世界の問題なんてのも正直どうでもいい」

今ここに居るのだって個人的な目的があってのことでしかないし。
アグルは続ける。

「四神は今たまたま行動を共にはしてるけど、多分それぞれがそれぞれ別の思惑を持って動いてる。
純粋に世界を救いたいなんて思ってるの、多分このメガネとアマテラスぐらいだよ」

だから合意を求めるのならレックスにしてくれ、とアグルは言う。
しかし…でも、まぁ…

「俺も個人としてはある程度なら協力しても良いとは思ってるよ。勿論、自分自身の益となる範囲までなら、だけど。
それ以上のことは一切なにもしないし、時期が来たら此処の連中とも別れるつもりだから」

182アブセル ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/24(水) 01:39:09
【飛行艇】

そうだ。リトの性格は知っていた筈だ。
だけど、頭ではそう理解していたつもりが、心がついていかなかった。

「薄情者なんて…そんなこと思ってない、けど…」

それでも少なからずリトを疑ったことは確かだ。
ナディアの言葉を聞くまではずっと不安だった。彼女の声を通して、改めてリトのことを再確認させてもらい、そして漸く安心した。

「じゃあ、俺…居ても良いのかな…?役立たずだけど、まだリトの側に居て良いかな…」

…いや、違う。役立たずだけど、じゃない。強くなろうとしなきゃ。
落ち込んで、泣いて、無力な自分を責めて…そんなのはもう終わりにしなくちゃいけない。

リトが変わるというのなら、自分だって変わりたい。ナディアは置いていかれることはないと言ったが、それでもやっぱり彼とは肩を並べていたいから。

「…お嬢」

不意にアブセルは言う。そして漸くリトの手から自身の手を離した。

「…俺、強くなるよ。
強くなって、当主になったリトや…リトにとっての大切なものを護って上げられる様な、そんな男になる」

だから…と、彼は真剣な目をナディアに向ける。

「弟さんを僕にくださ…」

……間違えた。
お嬢が恋愛しろとか変なことを言うから。
アブセルは空咳で誤魔化し、再び口を開いた。

「ありがとう」

そう、お礼が言いたかったんだ。赤い目を擦りながらアブセルはゆっくりと立ち上がり、部屋の入り口へと向かう。

かと思えば、不意に立ち止まって「それから…」と付け足す様にナディアを見た。

「お嬢は分かんないかもしんないけど、男の友情って恋愛なんかよりもっとずっと深いんだぜ」

そして、にっと歯を見せて笑って見せれば、彼はそのまま踵を返し、扉の向こう側へと姿を消した。

183イスラ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/24(水) 01:40:54
【リマ》それはまぁ…しょうがないですよ。事実を知ってもリマは許してくれますって。…くれますよね?←
リマ優しいw
これからユニの見せ場もっと増えると良いなぁ…(笑)

シークレットが大総統wwそれは酷い話だ(笑)でも自分はちょっと嬉しいかも、カギにつけてポケットにそっと忍ばしときたい←魔除けになりそう←
美少女アニメキャラファイルのあの破壊力よw自分的に好きなアイドルのファイルとか使用してる人もちょっと理解出来ないけど←
取り合えず外見に気を使ってる人はオタクオーラ出てないですよね?
一見お洒落さんなのに実はオタクって子とかむしろ何か良いです、ギャップ萌えです←

てか性格がふなっしーっぽいってどういうことですか?wwリマさん奇声とか発しちゃうキャラなんですか?(笑)
しかしそのふなっしーとリマさんに関しての周りの信頼度は何(笑)

軍資金一万円!?ポイント!?そしてオクまで!?(笑)すごい、想像以上に徹底してますね!
それはもう伝説も作っちゃいますよ(笑)てかリマさんの部屋、大変なことになってそうw

なにそれ気になる、てか嘘ってww

最終的にジルとナディアが引っ付く、そして幸せに暮らす。以上←

セナのモデルは以前聞いたことがありますが…なるほど、wikiで調べたらそのモデルのキャラとリマセナ、共通点が沢山ありますね^^

そうですかね?イスラは真面目で特徴がないのが特徴みたいな平凡キャラを心掛けてたんですけどねw
いや気づいてましたけど(笑)たぶん爬虫類とか虫とか大好きですよ

あー…ガチムチで髭とか大好きらしいですからねぇ(笑)でもどうせ直ぐフィア達以外とは別れちゃうんで、保留にしとこう】

184レックスetc+ ◆.q9WieYUok:2014/09/24(水) 22:11:35
【飛行艇】

差し出した手を、アグルは握る事が無かった。

そして、彼の返事を聞いたレオールは僅かに寂しそうな表情で、手を戻す。

「そうか、君には他にやる事があるようだな。

なら無理強いはしないさ、出会いがあれば別れもあると言う事だ。」

そう、自分も同じ様なものだ。

イオリやその部下、実弟のボルドーとは同じ目的を持つが、その志は違う。

(全員が全員、同じ道を歩める訳では無いのさ……)

レオールはアグルに笑みを向け、話題を変えて続けた。

「まぁ、暫くバルクウェイに居るのなら復興祭を楽しむと良い。

闘技大会も盛り上がる事間違いナシだ、何しろ師団の分隊長達が参加しているからな。

一般参加は二人程だが、軽く見た所中々の実力の様だ。

異能の水使いと仮面の青年だったか……そう言えば君も参加するんだったか?

四神の戦い振りを俺も楽しみにしてるよ。」

そして、それではまた、とレオールは踵を返し食堂を後にした。

その背をマルトも追うが、不意に振り返る。

「あぁ、そうだ。あの天然団長が言い忘れてたんだが……

この中型飛行艇は好きに使うと良い。

何か足りない物があれば遠慮無く言え、馬車でも車でも二台位なら貸し出し出来るからな。

ついでに、闘技大会の一回戦は今夜だから遅れるなよ?」

その言葉を聞き、頷くレックスはマルトの背を見送り、静かに息を吐いた。

「天然みたいですが、なんだかんだで良い人みたいですね……人を纏めるにはあれくらい緩く、いや、人当たりが良い方がいいのでしょうか。」

185サンディ ◆Hbcmdmj4dM:2014/09/24(水) 23:07:19
【飛行艇】

「でも、最近はあたしもちょっと強くなってきた気がするんだ。力の使い方が解ってきたって言うか…
まぁ剣の腕はまだまだなんだけど…」

そう小さく笑いながら、サンディは歩みを進めるメイヤの後をついていく。
しかし、続く彼の言葉を耳にすれば、少し複雑そうな表情を浮かべ言った。

「あ…うん、そうだね…。メイヤがそう言うなら黙っとく…」

メイヤとみんな。両者の気持ちを考えると、正直秘密にしておくことが良いことなのかどうかは分からない。
中には「どうしてもっと早く言ってくれなかったんだ」と思う人もいるかもしれないが…。
しかし、彼がそれを望むのならその通りにした方が良いだろう。

サンディは少し間を置いた後、"ねえ…"と再び口を開き、先の話の中で疑問に思っていたことをメイヤに投げた。

「さっきの人(クウラ)が悪神を宿された人は少ししか生きられないって言ってたよね…?それって本当?どうにか出来ないのかな…?」

それに、

「あの人は何?少しメイヤに似てた様な気もするけど…。何か、みんなを…色んなものを憎んでたみたいだった」


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