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Key Of The Twilight

113イオリ ◆.q9WieYUok:2014/08/18(月) 22:00:09
【バルクウェイ】

交差する雷光と白刃は闘気に揺らめく大気を斬り裂き。

刹那の間に繰り広げられた強者同士の戦いは、互いの背に背を預ける形で終わりを迎える。

「デコメガネ、叩き割ってやったぜ……」

背後に聞こえる乾いた破砕音と、シデンが膝を着く気配を感じ、イオリはニヤリと笑みを浮かべた。

「届いただろ、俺の刃はよォ……」

しかし、その笑みを浮かべる口元は瞬く間に歪み、咳き込むと共に吐き出された大きな血塊が足下を濡らす。

よくよく見れば、その身体……魔装の継ぎ目からは鮮血が溢れ出している。

そして、広がる血溜まりに倒れ込もうとする身体を刀で支え、イオリもまた、肩越しにシデンを視た。

「テメェの雷光も、今までで一番効いたがな……」

互いに倒れる事は無かったものの、双方共に多大なるダメージを負った今。

次に放つ一手が決着の一手となるだろう。

だが。

それを望まず、許す事無い者達が二人の視界に姿を現した。

「……戦いは終わりよ。

神の使いは死に、方舟は消滅した。

開かれた深淵もいずれ閉じてしまう今、この場に残る必要は無いわ。」

イオリの視線の先、肩越しに見える視界に立つ女性。

四霊の一角、霊亀のキールは険しい表情で言葉を放つ。

「それに、今。

アナタを失う訳にもいかないのよ。

これ以上の戦闘は私が許さない。」

「いや、俺が居るから出来ない。

の間違いだろう?」

そして、キールの視線の先。

シデンの視界には赤毛の男、ボルドーが。

「アンタ達も感じてるだろうが、俺の力はアンタらと大差無い。

このまま互いに助っ人が入った状態で戦闘を続けても、双方共に全滅する可能性は高いからな。」

イオリの懐刀でありながらも、イオリを超える強さを持つその男は、苦笑いを浮かべながら続ける。

「どっちにしろ、今はお互い退いた方が身の為だろう?

今はもう命を懸けてまで戦う時ではなくなったしな?」

その言葉にキールは無言で目を伏せた。

しかし、それは肯定の意である。

ボルドーが手出しをしない事を信じ、キールは虚空城への転移術式を起動。

膝を着くシデンに肩を貸し、彼を半ば引き摺る様に歩きながら、そっと耳打ちをした。

「後処理はジルが行うから気にしなくて言いわ。

あの子、何だかやる気みたいだったからね……」

そして。

起動した転移術式の光が二人を包み、眩い光が瞬くと共にその姿はバルクウェイから消えて行った。


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