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Key Of The Twilight
155
:
リマ
◆Q4V5yCHNJ.
:2014/09/12(金) 14:01:55
【飛行艇】
最後まで口に出さずとも、アブセルの言わんとしていることは分かった。
ナディアは再び大きく溜息をつけば、そのままの態度で言葉を続ける。
「この件はあの人(父)が絡んでるんでしょ?」
父はあの箱舟とか言うものを呼び出す為の深淵を開く贄としてリトを利用した。
その真意は分からないが、どうやらバロンが対峙した男に加担したようだ。
なら答えは決まってる。
「あの人がやったことで犠牲者も沢山出た。どの道、生きて帰ったとしても罰する必要があった。身内だからって容赦しない。」
それに、とナディアはふとリトを見る。
「この際だからアンタに話しておく。これからうちの家を継ぐのは私じゃない。この子だ。」
これはずっと考えていたこと。
代々ポセイドンの家系として受け継がれてきたが、もとはリマとセナによって繋がれた命。二人は決して、どちらが上で下かなど考えて接してはいなかっただろう。
神の力だろうと、闇の力だろうと、同じ血を引いているのであれば誰からでも生まれる。今回はたまたま同じ親から生まれただけであり、今後自分が闇の子を生むかもしれないし、リトがポセイドンの子を授かるかもしれない。本筋との血が近ければたしかに確率はあがるが、必ずその力のある子を得るとも限らないのだ。現に自分達の母は異能ではあるもののポセイドンでなければ闇の者でもない。
要は当主など誰がなっても同じ、その素質さえあれば。
「もともと私は当主なんて柄じゃないからね。リトがまだ幼いから私が預かってるだけ。」
つまり、
「次期当主を殺めようとした、それだけでも罪が重い。当主暗殺がどれほどの罪か、あんたも知ってるでしょ?」
ただ、気がかりなこともある。
母親の存在だ。
あんな父でも、母にとっては掛け替えのない人。母は、あの人の事をとても愛していたように思う。
父は母の愛を信じられていないようだったけど。二人の心はお互いを向いているのに、何故か一方通行で交わることがなかった。
「ま、どちらにしろだ。私はリトを待ってる。ちゃんと目覚めるって信じてる。落ち込んでいても時間の無駄。あんたもイジイジしないの。」
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