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欧州情勢・西洋事情

1とはずがたり:2014/05/26(月) 18:46:47
平沼騏一郎や福沢諭吉に限らず西洋・欧州・EUその他あの辺綜合スレである。

前スレhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1116784031/l50より欧洲ネタを独立。

歴史ネタは西洋史スレhttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/study/2246/1165050511/l50

2055とはずがたり:2017/05/25(木) 13:40:06

現場主義の経済学岩本沙弓
極右政党を右派ポピュリズムへと転換させたルペンの本気度
http://www.newsweekjapan.jp/iwamoto/2017/04/post-28.php
2017年04月12日(水)18時15分

<投票が近づいたフランス大統領選の選挙情勢を概観する前編。現職オランドは、付加価値税(日本の消費税)の引き上げで総スカンをくらった>

昨年はブレグジット国民投票、トランプ政権の誕生と「まさか」の連続だったわけですが、二度あることは三度あるかもしれない?ということで、間近に迫ったフランスの大統領選につきまして。

お恥ずかしい限りですがワタクシは一切フランス語がわかりませんし、仏文化への素養もほぼ皆無という状態だったにもかかわらず、最近になってフランス情勢に触れるようになったのは、ほかでもない平素何かと活動をともにしている堀茂樹・慶応大学名誉教授のおかげです。

もともと欧州関連の良質な情報が圧倒的に少ない情況下で、今回の仏大統領選の話題にしても国内メディアで取り上げられる内容は極めて限られているわけですが、3度目の「まさか」の可能性が出てきた現状、取り敢えず把握しうる限りの正確かつ最新のフランス情報が渇望されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、今回の内容は先日開催された市民のための勉強会である「オイコスの会」(堀教授とともに共同代表を務めております)での堀教授の講義「2017年のフランス共和国大統領選挙」の概略をお伝えできればと思います。

トゥール・ド・フランスでご覧の通り、フランスの国土は山あり平野ありの六角形をしています。その中心の上寄りにパリがあり、面積としては日本より広いですが、人口は日本の約半分の6500万人となっています。

単一民族ではなく、オリジンは様々という意味では少し米国に似ていると言えるかもしれません。六角形の国土の右上からベルギー、ドイツ、スイス、イタリア、下には地中海、左下にスペイン、海峡をまたいで英国にぐるっと囲まれています。

社会文化的に、パリを含む上から下までの中央部分のベルト地帯(人口・面積の2/3を占める)と、それ以外の周辺地域では様相がかなり違っており、エマニュエル・トッド氏の言葉を借りれば中央ベルト地帯は「南米っぽい」、平等主義でヒエラルキーに屈しない気質。それ以外の周辺地域は「ドイツっぽい」気質でどちらかと言えば日本的でもありお堅いとのこと。

つまり、非常に保守的なところでそうでないところがフランスにはあり、多様であるがゆえに一体感と分裂とに揺れやすくもなります。ちなみに、外資系の工場などが生産拠点を移してきて上手く稼働、定着するのは周辺地域だそうです。

統治形態は民主主義ですが、国家の体制は国王や天皇のいない共和制を敷いています。英語で共和制は「republic」ですが、public=「公」、reはラテン語のRes=「もの」であり、語源を辿れば「公のもの」との意味になります。特殊利益よりも公共の利益に重きを置く発想です。現在は第五共和政(1958年の国民投票により承認された新憲法で成立、ドゴールが大統領へ。王権を停止した1792年から第一共和政がスタート)で、政教分離を原則としています。

例えば米大統領の一般教書演説などでは頻繁に「God Bless America(神のご加護を)」とのフレーズが出てきます。こちらはいわば宗教を精神的支えとした民主主義を象徴しているのに対してフランスは元来、反民主主義的で君主制に戻したいと考えていたカトリックやローマ教会などの宗教の影響力と対立してきたという歴史的背景があります。宗教のバックボーンに基づかない、理性による民主主義を掲げていると言って差障りないでしょう。

2056とはずがたり:2017/05/25(木) 13:40:19

信仰には揺るぎない強さがありますが、それに比べると理性による民主主義は時に自らを疑い、揺らぐこともあるはずで、それがそのときどきフランスの歴史に影響を及ぼすのかもしれません。

フランスはご承知の通り先進国の中でも出生率が高い国であり、その意味では将来を楽観視しているとも言えますが、一方で落ちていくばかりとの指摘は国内からもあるとのこと。失業率は10%、EUの緊縮政策の中で景気は芳しくない状況です。

(フランス国立統計経済研究所(INSEE)は2017年の実質GDP成長率を2016年の1.2%から小幅ながら減速の前年比1.0%予測を発表。ユーロ圏経済の持ち直しで輸出は伸びる一方、内需は民間最終消費支出、民間設備投資ともに鈍化。英国のEU離脱問題、米国トランプ次期政権の政策運営などの外的要因の他、独仏の2017年の国政選挙などで政治不安が広がれば、景気の下押し要因へ。〔日本貿易振興機構(ジェトロ):フランス経済動向〕)

仏大統領の任期は5年、2期まで。現職の与党・社会党のオランド大統領は再選を目指せたのですが、昨年12月に立候補の断念を表明しました。現職大統領が立候補するのは仏政治文化の伝統であったわけですが、それが立候補できないというのですから、これだけを取り上げても今回の仏大統領選には何か異変が起こっていると言えるかもしれません。

支持率の低迷と言えばまだ聞こえはいいですが、実際には「総スカン」だそうで、その遠因の一つには、日本の民進党とオーバーラップする状況でもありますが、選挙公約になかった付加価値税(日本の消費税に相当)の引き上げを実施したことなどがあげられます。

すでに報道等で伝わるように、今の形勢では第一回投票でルペン1位、マクロン2位となっています。いずれの候補者も過半数は満たしていませんので、このままいけばこの二人が第二回での決選投票になる見込みとなります。ルペン支持者はルペン氏への投票の意志が固いのに対して、マクロン支持者は今後意志が変わるかもしれないと回答するなど、その多くがさほど「熱くない」支持の様子です。

とは言え、第二回投票では6割以上の有権者が、ルペン氏の行く手を阻むのではないかというのがもっぱらの下馬評であり、消去法的にマクロン氏を挙げる人も多いため、通常であればルペン氏は負けるはずです。しかしながら、米大統領選でのトランプ支持者同様に「隠れルペン」の存在は否めません。

トランプ氏はそれでもアメリカの伝統的な一大政党である共和党からの出馬でしたが、ルペン氏は所詮、周縁的政党の党首に過ぎません。その点において両者を並列で語るのは的確ではないのですが、そもそも2000年初頭まで差別主義の政党として仏国民からNGを突き付けられてきた国民戦線がここまで仏大統領選に食い込んでくること自体が大異変であることは間違いありません。

その布石としては、党の創始者であり、差別主義者で反ユダヤのジャン=マリ・ルペン(マリーヌ・ルペンの実父)をマリーヌ自身が毅然として党から除名したことが大きく、党内部の浄化を通じて仏政治の主流派へと国民戦線を押し上げようとする、その本気度がうかがえる出来事でもありました。

不思議な事に、除名されて党籍を失った父親は党の「名誉会長」に最終的にはとどまっていますが、現在の政党「国民戦線」とジャン=マリ・ルペンの間が断絶していることはすでに仏社会に知れ渡っているという状況です。

国民戦線の支持基盤は中・低所得者層であり、高学歴ではない層であること、労働者層からの支持については3月の世論調査では他の候補者が軒並み10%台しか取り付けてないところ、ルペン氏は断トツの43%となっていることなどからトランプ氏を彷彿とさせるものはやはりあります。

目下1位と2位となっているルペン氏とマクロン氏、その対峙する構図について本人たちは、マクロン氏は「進歩主義(自身)対 保守主義(ルペンは古臭いというニュアンスこめて)」、ルペン氏は「躊躇なしのグローバリズム(マクロン)対パトリオット(自身)」としています。高所得者層・高学歴層の支持を集める「いかにもエスタブリッシュメントのマクロン」と、それ以外からの支持を集める「いかにも民衆代表のルペン」とわかりやすい状況でもあります。

2057とはずがたり:2017/05/25(木) 13:40:36
>>2055-2057
仏メディアはマクロン支持が強いようですが、良し悪しの評価は別として、個別政策であるテロ対策(刑務所の増設)、税制(中下層の減税、付加価値税の引き上げナシ)、経済政策(総需要政策)、通貨政策(ユーロと自国通貨の共存)など具体的に掲げるルペン氏に対して、弁は立っても具体的政策がイマイチ不鮮明なマクロン氏とでは、マクロン氏の分は悪いのではないかというのが堀教授の見立てでもあります。何より、政権を本気で取りに行く凄まじい意志がルペン氏からは見て取れるとも。

ちなみに、ルペン氏率いる「国民戦線」が主張する「移民排斥」が日本国内では誤解されることが多いようですが、彼らのいう「移民排斥」はいわゆる民族主義的なものではありませんし、「純血主義」などとは全く違います(移民は次々と仏国籍になるため、昔からフランスの住民人口中、外国人の比率は約6〜7%)。両親とも外国人で本人も移民でも、フランス国籍になっていれば、就職や公共住宅への入居などの際には「国民優先」の方針で「優先」される側になるという具合です。

前述の通り、本当の意味で人種差別的だったのはかつての国民戦線の党の創始者であり、その頃の残党は党内に多少残ってはいるにせよ、マリーヌが党を引き継いだ現在、かつての国民戦線のイメージからは随分と変わってきた点が日本国内の報道では欠落しているようです。

ところで、最新の動向では、2位のマクロン氏の勢いがここのところ停滞気味になり、代わりに左派のメランション氏の勢いが増してきています。「秀才」マクロンは若さと新しさでブームになりましたが、皮相さがバレてきているそうです。ルペン対マクロンが差し詰めトランプ対クリントンなら、ルペン対メランションはトランプ対サンダースの様相となります。

メランション氏についてはルペン氏以上に日本での情報が枯渇していますので、その人となりや政治信条に関しては、つい数日前に開催されたマルセイユでの選挙集会の様子を紹介するのが端的かと思われます。地中海を背景に立ち、昨年シリアから海を渡って逃げてきて溺死した難民たちのことから語り、皆でしばし黙祷。

途中では、「メランション!メランション!」と歓呼する聴衆をたしなめ、「あなた方が支持するのはメランションではなく、『共通の未来』(メランションの団体「屈しないフランス」は政策を説明した冊子を『共通の未来』と題しています)という政策プログラムなんだぞ、あなた方自身が自立して行動しなきゃならんのだ」と発言。

最後は「平和」のための候補として立つと宣言し、経済危機に苦しむギリシャへの連帯のしるしに、ギリシャ人詩人が非常に具体的な表象で平和を歌う長い詩(詩人ヤニス・リッツォスの詩)を朗読して、それをもって締めくくるという具合でした。

「もし決戦がルペンVSメランションならば、時代は完全に反グローバリズム。その上で、特殊主義と普遍主義が対決する人間観の闘いになる」との堀教授のツィートは、そのマルセイユでの演説を受けてのコメントでもあります。

メランション氏の支持率急上昇で仏大統領選の行方はますます混沌とし、予測不能の様相を呈してきましたが、「まさか」の展開で仮にルペン氏が勝利となった場合には、右派ポピュリズム(政治思想・姿勢)は政権に手が届くのに、なぜ左派ポピュリズムは及ばないのかがあらためて問われることになりそうです。


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