したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | メール | |

欧州情勢・西洋事情

2056とはずがたり:2017/05/25(木) 13:40:19

信仰には揺るぎない強さがありますが、それに比べると理性による民主主義は時に自らを疑い、揺らぐこともあるはずで、それがそのときどきフランスの歴史に影響を及ぼすのかもしれません。

フランスはご承知の通り先進国の中でも出生率が高い国であり、その意味では将来を楽観視しているとも言えますが、一方で落ちていくばかりとの指摘は国内からもあるとのこと。失業率は10%、EUの緊縮政策の中で景気は芳しくない状況です。

(フランス国立統計経済研究所(INSEE)は2017年の実質GDP成長率を2016年の1.2%から小幅ながら減速の前年比1.0%予測を発表。ユーロ圏経済の持ち直しで輸出は伸びる一方、内需は民間最終消費支出、民間設備投資ともに鈍化。英国のEU離脱問題、米国トランプ次期政権の政策運営などの外的要因の他、独仏の2017年の国政選挙などで政治不安が広がれば、景気の下押し要因へ。〔日本貿易振興機構(ジェトロ):フランス経済動向〕)

仏大統領の任期は5年、2期まで。現職の与党・社会党のオランド大統領は再選を目指せたのですが、昨年12月に立候補の断念を表明しました。現職大統領が立候補するのは仏政治文化の伝統であったわけですが、それが立候補できないというのですから、これだけを取り上げても今回の仏大統領選には何か異変が起こっていると言えるかもしれません。

支持率の低迷と言えばまだ聞こえはいいですが、実際には「総スカン」だそうで、その遠因の一つには、日本の民進党とオーバーラップする状況でもありますが、選挙公約になかった付加価値税(日本の消費税に相当)の引き上げを実施したことなどがあげられます。

すでに報道等で伝わるように、今の形勢では第一回投票でルペン1位、マクロン2位となっています。いずれの候補者も過半数は満たしていませんので、このままいけばこの二人が第二回での決選投票になる見込みとなります。ルペン支持者はルペン氏への投票の意志が固いのに対して、マクロン支持者は今後意志が変わるかもしれないと回答するなど、その多くがさほど「熱くない」支持の様子です。

とは言え、第二回投票では6割以上の有権者が、ルペン氏の行く手を阻むのではないかというのがもっぱらの下馬評であり、消去法的にマクロン氏を挙げる人も多いため、通常であればルペン氏は負けるはずです。しかしながら、米大統領選でのトランプ支持者同様に「隠れルペン」の存在は否めません。

トランプ氏はそれでもアメリカの伝統的な一大政党である共和党からの出馬でしたが、ルペン氏は所詮、周縁的政党の党首に過ぎません。その点において両者を並列で語るのは的確ではないのですが、そもそも2000年初頭まで差別主義の政党として仏国民からNGを突き付けられてきた国民戦線がここまで仏大統領選に食い込んでくること自体が大異変であることは間違いありません。

その布石としては、党の創始者であり、差別主義者で反ユダヤのジャン=マリ・ルペン(マリーヌ・ルペンの実父)をマリーヌ自身が毅然として党から除名したことが大きく、党内部の浄化を通じて仏政治の主流派へと国民戦線を押し上げようとする、その本気度がうかがえる出来事でもありました。

不思議な事に、除名されて党籍を失った父親は党の「名誉会長」に最終的にはとどまっていますが、現在の政党「国民戦線」とジャン=マリ・ルペンの間が断絶していることはすでに仏社会に知れ渡っているという状況です。

国民戦線の支持基盤は中・低所得者層であり、高学歴ではない層であること、労働者層からの支持については3月の世論調査では他の候補者が軒並み10%台しか取り付けてないところ、ルペン氏は断トツの43%となっていることなどからトランプ氏を彷彿とさせるものはやはりあります。

目下1位と2位となっているルペン氏とマクロン氏、その対峙する構図について本人たちは、マクロン氏は「進歩主義(自身)対 保守主義(ルペンは古臭いというニュアンスこめて)」、ルペン氏は「躊躇なしのグローバリズム(マクロン)対パトリオット(自身)」としています。高所得者層・高学歴層の支持を集める「いかにもエスタブリッシュメントのマクロン」と、それ以外からの支持を集める「いかにも民衆代表のルペン」とわかりやすい状況でもあります。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板