この点において気になるのは、アベノミクスの理論的支柱と目される浜田宏一・内閣官房参与(米イエール大学名誉教授)が、金融緩和の効果を高めるためには財政政策の拡大が不可欠との見方を示し始めたことだ。ロイターなどのインタビューによれば、米プリンストン大学のシムズ教授(2011年ノーベル経済学賞受賞者)らが提唱する「物価水準の財政理論(FTPL:Fiscal Theory of the Price Level)」に触発されたものだという。
人民銀と監督当局は昨年後半以降、短期金利の押し上げや債券市場のレバレッジ解消、不動産投機に絡んだ資金調達の抑制など、本土金融システムのリスクを抑える措置を講じてきた。その結果、債務頼みの借り手はシャドーバンキングを活用せざるを得なくなった。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスの推計によれば、中国のシャドーバンキングは約8兆5000億ドル(約920兆円)規模。当局はまたシャドーバンキングのリスク低減も図っている。
徐氏は「バランスを取って慎重に踏み外さないように進める必要」があると指摘。その上で、「中国債券市場を死ぬほど強く締め付けたからといって、借入必要額も抑制されるわけではない。むしろ、当局の目が行き届かないところでの調達へと追いやることになる。結局のところ、債券市場のリスクは減少するかもしれないが、金融システム全体のリスクは増大するだろう」と述べた。
原題:China’s $8.5 Trillion Shadow Bank Industry Is Back in Full Swing(抜粋)