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商業・流通

3808とはずがたり:2018/09/03(月) 21:32:21
>>3807
「しまむら」はなぜいまEC化に踏み切ったのか
 そもそも、「しまむら」がこれまでECに躊躇してきた理由は、以下の3点であったと推察される。(>>3806)

 ①近隣ロードサイドの金太郎飴的規格店舗をパート主体で運営して営業経費率が26.1%(18年2月期)と極めて低く、不動産費負担の重いテナントチェーン(営業経費率は40%以上)のようなECのコストメリットが見出せなかった。平均単価が900円程度と低いためECの出荷コスト/宅配コストも吸収し難く、店舗販売より高コストになる可能性が高かった。

 ②生産地で仕分けられた色・サイズ点数組み合わせパッケージを店別に組み替えて通過するだけの「しまむら」の物流センターには在庫が存在せず、ECで受注した商品は店舗在庫を引き当てるしかないが、それでは店舗の消化管理精度が狂いかねない。今回のEC進出では納入業者の在庫を引き当てているようだ。

 ③売り切り御免の一蒔き投入ゆえ店在庫の奥行きもなく、EC受注に引き当てれば売れ筋が欠品して店舗の売上が減少し、ECの注文を想定して店在庫を積めば消化管理精度が維持出来なくなるリスクがあった。

 つまり、ECを手掛けようとすれば在庫を積んだフルフィルセンターを別途に設けるしかなく、運営コストが店舗の水準に達するまで(経費率低減が加速度的な自社運営ECでも年間売上200億円以上)多額の赤字を垂れ流す覚悟が必要。それでも「しまむら」がECに踏み切ったのは、店舗売上の落ち込みがあまりに急激だったからだろう。

 18年2月期で「しまむら」は全店売上高が前年比98.7%(既存店は97.0%)と09年2月期来の前年割れに陥り、今期に入っても既存店売上は4月が101.4と浮上しただけで、3月は94.4、5月は92.3、6月は88.3、7月も88.8と落ち込みが加速している(参考>>3764-3765 >>3684 )。

 単価の落ち込みも止まらず、『このままでは低価格ECに食われてしまう』という危機感からなりふり構わずEC進出に踏み切ったのではないか。とはいえ、営業経費率が26.1%と極めて低いしまむらにとって、35%以上とみられるZOZOTOWNの売上手数料では大幅な採算割れが危惧される。

「しまむら」に覚悟はあるのだろうか
 そもそもZOZOTOWNに乗るメリットがあるアパレル業者というのは、利幅の厚いオリジナルコンテンツを高コストなテナント店舗や百貨店で販売するSPAチェーンやブランドメーカーであって、ロードサイド中心に低コスト運営する“プラットフォーマー”たるしまむらはビジネスモデルが違う。

 ZOZOにとっても単価が低いしまむらの手数料率は高くせざるを得ず、ブランドイメージも足を引っ張るから条件を優遇する理由が見当たらない。

 つまり、しまむらは他者コンテンツを乗せて低コストに販売する“プラットフォーマー”であり、ZOZOTOWNというECプラットフォームに乗ってはバスにバスが乗る屋上屋で、コンテンツ供給者(しまむらの納入業者)にとっては二重に流通コストを負担させられるだけで何のメリットもない。

 自社運営ECで数百億円売らないと現状の店舗販売並みのコストには収まらないから、売上拡大による運営コスト低減が望めない定率手数料のZOZOTOWN出店は取りあえずお勉強がてらやってみようという域を出ないし、納入業者の負担を考えれば急速な拡大も難しい。

 楽天など他ECモールへの出店も同様で、遠からず壁に当たって出直さざるを得なくなるのではないか。

 店舗流通のプラットフォーマーがECをやるなら自らプラットフォーマーになるしか成算はなく、多額の初期投資を要しても自社ECを構築するしか選択はない。

 それが解らない経営陣ではECの成算はないし、それが解るまでお勉強していては時代の波に取り残されてしまう。セブン&アイHDでさえ試行錯誤を繰り返してオムニチャネル化に苦戦しているのだから、しまむらが壁を越えるのは至難と思われる。

小島 健輔


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