政府の観光支援事業「Go To トラベル」が22日から始まることに、沖縄県内の観光関係者からは「観光回復のきっかけに」と期待の声が上がる。新型コロナウイルス感染者が出ていない宮古島市内でも多くの来島を望む声がある一方で、感染者の多い東京からの旅行者が「住民から白い目で見られたくない」などの理由でキャンセルするケースも相次いでいる。(宮古支局・知念豊、南部報道部・松田興平)
徳島市の徳島グランドホテル偕楽園は6月中旬に営業を再開した。宿泊料を割り引く県の「とくしま応援割」事業などに期待を寄せていたが、利用客は50人ほどで19日以降の客室稼働率は15%程度。今月22日から始まる国の観光支援事業「Go To トラベル」について住友武秀社長(84)は「経済を回す対策を取っても窮状は改善されない。行政には給付型の助成金拡充を望む」と訴えた。
徳島県内観光地も客足回復への道のりは遠い。6月19日に営業を再開した鳴門市の観光遊歩道・渦の道は、今月17日までの来場者数が1万1065人と前年同期の3割ほど。三好市西祖谷山村の「祖谷のかずら橋」は6月1日の営業再開以降、客足が例年の4分の1程度と低迷している。市まるごと三好観光戦略課は「『Go To トラベル』で巻き返せればありがたい。今は感染対策に力を入れるだけだ」としている。
衆院国交委で答弁する新型コロナ感染症対策分科会会長の尾身茂氏=2020年7月29日午前、岩下毅撮影
政府の観光支援策「Go To トラベル」事業の開始時期について、新型コロナ感染症対策分科会の会長を務める尾身茂氏は29日、政府に対し、判断に時間をかけるよう事前に分科会として提言していたことを明らかにした。しかし、政府には採用されなかったという。専門家の意見を聞きながら事業を進めるとしていた政府の説明と矛盾しかねない。
新型コロナウイルスの影響で低迷した観光需要を喚起する国の事業「Go To トラベル」のスタートから1週間が過ぎ、1日は夏休みに入って初の週末となった。観光客増の回復に向けた期待から一転、京都市内の観光地では依然として客足はまばらなまま。新型コロナ感染者は全国で再び増加しており、迎える側には不安の声も上がる。
ずさんな制度設計により、旅行業界と利用者となる一般市民の両方から悲鳴が上がっている「Go To トラベル」キャンペーンが7月22日から開始された。ここへきて新型コロナウイルスの市中感染が広がる中、東京都民への適用や、都内での滞在が認められない「東京外し」といったスッキリしない出足となった一方、「4連休中はほぼ満室だった」と答えるホテルもあり、一定の効果があったことも伺える。
Go To トラベルは、7月22日のキックオフ時点で、運営窓口となる事務局が立ち上がっておらず、見切り発車だった。その結果、利用者はとりあえず全額を支払い、チェックアウト時などに宿から交付される「宿泊証明書」を使って、後日、補助金分を請求することになった。しかも「東京外し」も起こり、手続きは非常に複雑だ。
静岡県東部を拠点とする宿泊業界団体の関係者に、この連休の「成果」について尋ねてみると「予想より多かったという答えと、少なかったとの答えがほぼ半々」ということだった。なんとも判断に困る結果だったわけだが、むしろ意外だったのは、「東京都内からの利用もそれなりにあったが、お客さまもGo To トラベルの適応外と承知だったこともあり、トラブルはなかった」「(割引申請に必要な)宿泊証明書を用意して渡そうとしたが、『要らない』と言う顧客も結構いた」との回答だった。
一方、九州で古くから温泉地として知られる大分県の湯布院にある旅館関係者にGo To トラベル開始後の状況を聞いたところ、「日頃から、首都圏からの来客は多くないため、東京外しはあまり影響がない」としながらも、「先の水害で、この地域で有名な旅館経営者一家が濁流にのまれるという不幸なニュースが全国に流れた。湯布院の中心地はほぼ大丈夫なのに、由布市の被害と聞いて、キャンセルしてしまった人も多かった」と述べ、「水害からの復活という課題ものしかかり、廃業してしまう旅館さんが出るかもしれない」と下を向く。
7月30日に入手した「Go To トラベル事業 宿泊事業者情報登録承認リスト」は28日付で1万756者(原文ママ)掲載されており、pdfで110ページに上る膨大なものだ。細かくみていくと、◯◯市、▲▲町といった自治体の名称そのものが登録されていたり(公営宿舎があると予想される)、民宿経営者とみられる個人名があった。
Go To トラベルの話題がマスコミで大きくあおられたことで、巷(ちまた)では「旅行をする」という行為そのものを否定する声も上がってきている。その上で、現場で顧客との最前線に立つ人々が「キャンペーンの対応で疲弊する」という本末転倒な状況が膨らみつつある。コロナの感染は都市部を中心に再燃する兆しはあるものの、旅行業界では「キャンペーンで大勢の人々が来てくれることを望む」というのが本音だろう。
新型コロナウイルスの影響により衰退した経済再生の刺激策として、政府主導で実施される「Go To キャンペーン」の全貌が見え始めました。観光や宿泊業だけでなく交通にも恩恵は大きそうですが、活用には事業者の工夫も必要です。
国の資料に見えた助成対象「高速バス往復+いちご狩り」
新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの便が運休した高速バスですが、2020年6月現在、運行再開の動きが続いています。まずは帰省客などの利用に回復が見られ、そして国による観光振興策「Go To キャンペーン」も8月をめどに開始される予定とされており、今後は観光客の利用回復も見込まれます。
その「Go To キャンペーン」について、『観光経済新聞』など専門紙は、「調整中の内容も多い」としたうえで、宿泊を含む旅行商品のほか、日帰り旅行にも国による半額の補助を予定と伝えています。補助のうち約7割は旅行代金の割引に使われ、残りは旅行先の飲食店、交通機関などで使える「共通クーポン」として付与される予定とのことです。
それでも、大手私鉄系の旅行会社では、パッケージ商品を用意している例があります。たとえば京王観光は、京王バス東などが運行する高速バスと、河口湖温泉(山梨県富士河口湖町)や昼神温泉(長野県阿智村)の旅館をセットにした「バス&宿」シリーズを用意しています。この商品は、そのままで「Go To キャンペーン」割引の対象になると考えられます。
「Go To キャンペーン」と異なり、旅行会社を通すことなく、個人がバスと宿を別々に手配した場合にも助成を行えるよう、自治体が施策を設計すれば、先に挙げた事業者以外の高速バスも対象にできそうです。自治体が立案する必要があるので、バス事業者と自治体の普段からの関係の深さや、各事業者から自治体への提案力も問われます。
個人観光客が使いやすい高速バス路線と、それに宿や現地の観光を上手に組み合わせて販売する流通網、というのは、実は以前から求められていたことなのです。一時的な需要回復策にとどめるのではなく、これを機に、個人旅行者が、自身の興味に基づき自分のペースでもっと自由に旅行を楽しめるようになるための改革が始まることこそ、「Go To キャンペーン」の真の目的と言えそうです。
SNSで”旅自慢”はしたいけれど、炎上はコワい…コロナ禍で悩みつつも密かに旅する人々がいる(写真:アフロ) ※画像はイメージ
新型コロナウイルスの影響により、海外はもとより国内の旅行すら、誰もが思う存分行けない、できない、楽しめない状況が続く。国が主導する旅行キャンペーン「Go To トラベル」が現在実施中ではあるものの、感染者数が多い東京発着および東京在住者を対象除外としたのに加え、全国的にも感染者数が依然多い状況では、胸を張って旅行に行こうという気分になれない人も多いだろう。
特に、東京では「Go To トラベル」から除外された影響で今、空室が多くて安く泊まることができる。都内の某ラグジュアリーホテルでは、客室の稼働率が一時期は1割台まで落ち込んでいたのが、6月後半から5割程度まで回復したとも聞いた。客層は、以前にはほぼ見られなかった近隣都県からの家族連れが多いとのことだった。
国が「Go To トラベル」を行っているのもあり、旅行自体を非難することはできないし、旅行者を一方的に責めるのもいかがなものかと思う。ただ、地方自治体が独自の非常事態宣言を発令し、地方に感染が確実に広がっている現状を見ると、「本当に今、旅行をしてよいのか」という質問への答えは、旅のプロからしても「今はできれば止める、まだ近場なら、感染対策は万全に、3密を避けて…」という感じだ。どうしても行くなら「くれぐれも気を付けてくださいね」としか言えない。旅行は本来、心の底から楽しむはずのもの、だが今は心境複雑、モヤモヤした気持ちが消えず、今後の旅行についても当面は「コロナ」が付きまとう。
「Go To キャンペーン」について説明する赤羽一嘉・国土交通相=7月10日午前、東京・霞が関
新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業界を支援する政府の「Go To トラベル」について、国土交通省は25日、割引商品の販売を始めた7月27日から8月20日で、少なくとも延べ約420万人が利用したと発表した。赤羽一嘉国土交通相は「7、8月はそれなりに効果があった」と強調したが、野党などからは疑問視する声も相次いだ。
Go Toイートの概要
新型コロナウイルスの影響で客足が落ちている飲食店を支援する「Go Toイート」事業を巡り、農林水産省は25日、委託する48事業体を選定したと発表した。このうち都道府県単位で実施する事業では14都道県で決まっておらず、9月に再び公募する。開始時期については感染状況を踏まえて検討を続けるが、終了は来年3月末と決まっており、開始が遅れれば政策効果が弱まる懸念がある。
観光庁は1日、観光支援事業「Go To トラベル」対象の宿泊施設23カ所で、新型コロナウイルス感染者31人の宿泊を確認したと明らかにした。8月31日時点で旅館やホテルからの報告を集計。24日時点の16人から2倍近くに増えた。31人のうち、GoTo割引を利用していたのは6人で、施設での感染や、クラスター(感染者集団)の発生はなかったとしている。
西村康稔経済再生担当相は2日の記者会見で、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の対象に東京都発着の旅行を追加するかどうかについて、都が都外への旅行の自粛を呼び掛けていることを踏まえて判断時期を見極める考えを示した。都が酒類を提供する23区内の飲食店に15日まで時短営業を要請していることも念頭にあるとみられ、追加は9月後半以降になる公算が大きい。
町中心部と鍾乳洞のある日原地区をつなぐ日原街道。お盆期間を過ぎても、多くが都内ナンバーの車で混雑が続いた(画像の一部を加工しています)=8月26日、東京都奥多摩町日原
国の観光支援策「Go To トラベル」の対象から東京だけが除外された今夏、自然豊かな西多摩地域が大勢の観光客らでにぎわった。その混雑は、奥多摩町では夏休みを過ぎても続く。影響は地元の人たちの生活にも及んでいる。
ここで注目したいのは、Go To トラベルに組み合わせて使うこともできる自治体や旅行サイト独自のキャンペーンだ。
例えば札幌市は、市内に宿泊することで飲食店等で使える3000円分のクーポン「さぁ!サッポロ泊まってスマイルクーポン」を用意している。Yahoo!トラベルでは初めての予約で10%のポイントなどが付与され、楽天トラベルでは1000円分のクーポンがもらえる。いずれも期限や条件などを含めてGo To トラベルを申し込む際に確認がマスト。出張に使うのもいい。
もっとも、Go To トラベルは事業者などの支援が本来の目的のため、市価の半額相当では、従来の割引サービスを利用する方が得というケースもある。いろいろ比較して、格安商品やマイルやポイントなどと組み合わせて上手に使いたい。
GoTo効果で予約好調な山口市湯田温泉の老舗旅館「松田屋ホテル」
政府の観光支援事業「Go To トラベル」を巡って、宿泊施設の間に「格差」が生まれている。新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業の支援策で7月22日に開始。旅行代金が35%割り引かれるとあって、お得感が強い高級宿への予約が集中する。一方、ビジネスホテルなど手頃な値段の宿は閑古鳥が鳴き、不満の声が上がる。
<Go To トラベル> 新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ観光業界への国の振興策。関連予算は約1兆3500億円。国内宿泊、日帰りツアー代金の50%を支援する。35%分の代金割引から始まり、10月1日以降は残る15%分を地域共通クーポンとして受け取り、旅先や隣接都道府県にある飲食店、土産物店、観光施設などで使えるようになる。10月1日から対象に都民の旅行と都内への旅行が加わる。
中国新聞社
4連休最終日の22日、福岡県太宰府市の太宰府天満宮は参拝客など大勢の人が訪れた。新型コロナウイルス感染者数の減少や観光支援事業「Go To トラベル」もあってにぎわいを見せた。(撮影・佐藤雄太朗)
秋の4連休は22日に最終日を迎え、新型コロナウイルス感染拡大の影響で客足が落ち込んでいた九州の観光地は、政府の観光支援事業「Go To トラベル」を利用した観光客ら大勢が訪れ、久しぶりににぎわいを見せた。各交通機関は終日混雑した。手探りで観光と感染防止の両立を図る関係者からは、安堵(あんど)の声が聞かれた。
7月の豪雨で被災した大分県由布市の湯平温泉では、営業を再開した17旅館がほぼ満室。湯平温泉観光協会によると、加盟する旅館には消毒液を配布。一部の旅館は3密(密閉、密集、密接)回避のため、予約数に上限を設けた。協会の麻生幸次会長(51)は「『Go To トラベル』のほか、復興を支援したいと県外からのリピーター客も目立った」と話した。 (徳増瑛子、井中恵仁、山口新太郎)
備品を入念に消毒するホテル「ゆの森」のスタッフ。東京追加を前に感染対策の徹底を改めて心掛けている=18日午後、日光市湯元
政府の観光支援事業「Go To トラベル」のスタートから22日で2カ月が経過した。栃木県内は高価格帯の宿泊施設を中心に利用者を集めている半面、低価格が売りの宿では苦戦が続き、明暗が分かれている。10月1日から割引対象に東京発着旅行が追加される。期待を寄せる施設がある一方、条件が合わず事業に参加できない施設からは、条件の見直しを願う声も出ている。
旅館ロビーでマスクや検温機器を準備する豊年万作の従業員=大子町袋田
政府の観光支援事業「Go To トラベル」に、10月から東京都発着の旅行が対象に加わる。例年、茨城県の入り込み客数の1割は都内からの観光客が占めることから、秋の観光シーズン本格化を控えた“巨大市場の開放”に、県内の観光業界は期待感を膨らませる。ただ、新型コロナウイルス対策のさらなる徹底は急務で、各事業者は準備を加速させている。
■需要喚起に
7月下旬に「Go To トラベル」が始まって以降、同事業を活用したツアーを企画してきた茨城交通(水戸市)。10月に東京都発着の旅行が対象に加わることで、同社の担当者は「観劇やテーマパークなどのツアー企画が組めるようになり、需要を喚起しやすくなる」と期待を込める。
ただ、県民の県内旅行需要は高い。リゾートホテルを中心に「那覇とま〜るクーポン」や国の支援策「Go To トラベル」など、県内旅行助成を活用した県民も多く、観光施設では4連休、例年の10%程度だった入場者が40%弱まで回復。南都の運営するおきなわワールドでは20日、入場者数が60%を超え、約3割が地元客だった。