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国際関係・安全保障論

4828とはずがたり:2017/11/21(火) 13:33:45
>>4827
 北朝鮮がテロ支援国指定解除を望んだのは一にも、二にも経済効果、即ち以下6項目での経済的恩恵であった。

 第一に、国際金融機関から借款を取り付けことにあった。
 ベトナムの場合、94年2月に経済制裁が全面解除される前の93年8月にクリントン大統領が国際金融機関による対ベトナム借款供与を承認しており、1年後の94年10月にIBRD(世界銀行)の1億5千万ドルの開発融資及びIMFの5億3千6百万ドルの構造造成プログラム融資支援を受けたことがあった。

 第二に、米輸出入銀行による対北交易及び投資米企業に対する支援であった。
 米輸出入銀行の支援が実現すれば米企業は対北輸出時、保険恩恵を受けることができる。北朝鮮商品の購買時には輸出入銀行の保証を受け、金融機関からの購入資金の借り入れも可能となる。そうなれば、対北取引は促進される。中長期年払い輸出資金を輸出入銀行から直接借り入れることもでき、機械設備の輸出も容易となる。

 第三に、先端技術の対北輸出制限の緩和であった。
 二重用途品目に対する対北輸出統制が緩和されることによって軍事用に使われる恐れがあるとして交易禁止対象品目となっていた先端技術製品の輸出が従来よりも容易になる。

 第四に、米政府による対北援助の増加であった。
 北朝鮮に対する援助の規制が解かれれば、北朝鮮が困難をきたしている食糧、医薬品など基礎生産物資援助が増えるものと予想される。これまでは人道的な次元の民間機構の支援に過ぎなかったが、これからは米政府の公式的な支援が可能となる。

 第五に、対北金融取引の増加であった。
 北朝鮮との禁輸取引が認められることで米朝間の金融取引はこれまでの単純送金次元から抜け出し、幅広い商業金融取引が行われ、決済も容易になる。

 最後に、北朝鮮に納める税金に対する控除の恩恵であった。  
 米国の国内税法により北朝鮮で得た所得に対する税金は控除対象に含まれることになり、北朝鮮に投資した米企業及び北朝鮮に派遣された米国人に対する税金控除の特恵が可能となる。これは、米国の対北投資企業に対する二重課税防止協定が締結されるのと同じ効果を及ぼすので対北投資条件を有利にする要因となる。

 テロ支援国指定から解除されても、北朝鮮が核とミサイル開発を断念せず、再開したことで制裁は緩和されることなく、その後、オバマ政権下での制裁強化や国連安保理による9回にわたる制裁で▲すべての武器禁輸▲北朝鮮との貿易のために公的・私的な金融支援の禁止▲金融取引停止などありとあらゆる制裁が科せられたことでテロ支援国再指定による経済制裁の効果は薄い。

(参考資料:国連安保理の9回目の制裁決議で今度こそ、北朝鮮は手を上げるか!?)

 それでも、その影響は大きいと言える。北朝鮮をテロ支援国に再指定し、さらなる制裁を科すことで第三国政府や企業に対して合法的に北朝鮮との商業・外交関係を断つようプレッシャーを掛けることができるからだ。
 
 北朝鮮の対外イメージは一層悪化し、国際的孤立が一段と深まるのは必至で、北朝鮮の出方が注目される。


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