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国際関係・安全保障論

1■とはずがたり:2003/01/22(水) 12:15
経済畑出身の私の鬼門,外交・安全保障を考える。
適宜,憲法談義・世界経済等もこちらで。

3936とはずがたり:2016/07/03(日) 22:41:16
米日台比越に依る(ABCD包囲罔並の)AJTFV包囲罔を当然形成したい訳だが,台湾資本は経済的に中国に依存して居て有形無形の圧迫に弱いと云う恨みがある。その視点がこの記事にはない。台湾に尖閣と太平島以外の南シナ海を抛棄させるのは独立の承認があるくらいでないとダメであろうかねぇ。そういう意味で平和外交研究所とか良いながら一戦交えないと実現不可能な事書いてるきらいがある。。

南沙を巡る争いは、台湾存続の命取りになる
http://toyokeizai.net/articles/-/94868
領有権巡り「フィリピンが敵」という自己矛盾
美根 慶樹 :平和外交研究所代表 2015年12月02日

台湾の防衛政策には一種の自己矛盾が潜んでおり、その扱いを誤れば米国との関係が不安定化し、台湾の命取りになりかねない。その矛盾をあぶりだしたのは、南沙諸島での中国の埋め立て工事に関する、フィリピンの国際仲裁裁判所への提訴だった。

10月29日、同裁判所は管轄権を認める決定を行った。平たく言えば、同裁判所は、提訴された案件について門前払いをせずに審理することを決定したのだ。

台湾が割って入って中国を支持

これに対し、中国は仲裁裁判所には管轄権がないとの立場である。台湾は訴えられていた当事者ではなかったが、10月31日と11月2日の2回、仲裁裁判所の決定は承服できないとの外交部声明を発表した。台湾はフィリピンと中国の争いに自ら割って入り、仲裁裁判所の決定に反対したのである。つまり、中国を明確に支持する形になった。

台湾がこのような声明を出した背景には複雑な領有権問題がある。南シナ海には南沙諸島、西沙諸島、東沙諸島および中沙諸島があり、いずれも島と岩礁から成っている。このうち西沙諸島は中国が、東沙諸島は台湾がそれぞれ実効支配している。中沙諸島の主要な岩礁であるスカーボロー礁はフィリピンと中国の間で領有権が争われている。

もっとも複雑なのが約20の島と岩礁から構成されている南沙諸島であり、全体についてフィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、中国および台湾が領有権を主張しているが、実効支配は別で、島、あるいは岩礁ごとにいずれかの国が支配している。

中国が最近埋め立て工事を行ったのはそのうち赤瓜礁(ジョンソン南礁)、永暑礁(ファイアリー・クロス礁)、渚碧礁(スビ礁)、美済礁(ミスチーフ礁)などである。

台湾が実効支配しているのは「太平島」だけだ。

実効支配していても他国が領有権を主張してくることがあり、現実に衝突も起きている。

このような状況は南沙諸島以外でも起きており、南シナ海全域において衝突が起きている「活火山」と、主張の対立はあるが表に出ていない「休火山」があるわけだ。「太平島」は休火山の一つである。

なぜ全域の領有権を主張しているのか

さらに問題なのは、東南アジア諸国と違って中国と台湾は南シナ海全域について領有権を主張していることだ。これには歴史的経緯がある。

国民党政府は台湾へ逃れてくる以前の1947年に、南シナ海のほぼ全域を11本の点線で囲み、中華民国の領域だと主張し始めた。「十一段線」と呼ばれていたものだ。

中国は1953年に、それから2本を取り除いて9本にした。これがいわゆる「九段線」だ。このような変更を加えたのはフランス、後には米国と戦っていたベトナムの立場に配慮し、一部を譲ったためであったが、南シナ海のほぼ全域を領土だと主張していることに変わりはなかった。

その後も中国は「九段線」の主張を維持しており、台湾は「十一段線」の立場を変えていないが、台湾は、中国と違って、そのように大風呂敷を広げると台湾に不利になることを認識し、「太平島」だけの実効支配にとどめていた。つまり、南シナ海全体については領有権主張を表に出さず、公海であることを受け入れている振りをしていた。

3937とはずがたり:2016/07/03(日) 22:41:31
>>3936-3937
台湾の防衛のためには米国の助けが不可欠であり、そのためには南シナ海であろうと台湾海峡であろうと、米国の艦船や航空機が自由に行動できなければならない。しかるに、台湾がもし「十一段線」の主張を持ち出すと、現在の中国のように米国の自由な行動を妨げる恐れがあるからだ。

もしさらに状況が悪化して、この海域で米国の影響力がなくなれば台湾はたちどころに中国に併合されてしまうだろう。それは大多数の台湾人が望まないことだ。

したがって、台湾は今回のような声明は本来できないはずだが、フィリピンが仲裁裁判所に提訴すると、黙視出来ず、仲裁裁判反対の声を上げてしまった。しかも1回では足りずに2回も行った。その結果、これまで蔵の中にしまい込んでいた南シナ海全域に対する領有権主張が表に出ようとしている。

中国は台湾の声明を歓迎

台湾の世論にもナショナリズムがあり、もっと強く主張すべきだという声もある。台湾人の中にはフィリピンの提訴に憤っている人がいるし、人気サイトのWe talkで、台湾には国連のような抗議していく場がないと嘆く人もいる。

国民党系の聯合報(11月2日付)は、政府はフィリピンの提訴に対して「ただ認められない、受け入れられない」としか言い返せないでいると、その弱腰を批判している。

一方、中国では台湾の声明を歓迎する声が上がっている。中国にとって南シナ海や台湾海峡から米国の影響力を排除することが重要課題であり、中国と同じ立場を表明した台湾の声明は中国にとって強力な援軍となるからだ。

しかし、米国は、この台湾の動きを問題視した。当然だ。台湾における米国在台湾協会(大使館に代わる代表事務所。日本の「交流協会」に相当する)は台湾の指導者に接触し、みだりに動くべきでないと話しているそうだ。実際にはそれ以上のこと、つまり、台湾が南シナ海に対する歴史的主張にこだわると、米国の台湾防衛に対するコミットメントに悪影響が出ることなども示唆しているはずである。

念のために記しておくが、国民党政府は防衛政策を変えたのではない。カーター国防長官が11月7日、米国が台湾に対する義務を履行することを再確認する発言をしたのに対し、台湾国防部の羅紹和スポークスマンはカーター長官の発言を積極的に評価し、「台湾の防衛能力が向上することは台湾海峡の平和的発展に寄与する。米国の政策にも合致する」と述べている。これは台湾の防衛について米台の方針が一致していることの重要性を再確認する発言であり、従来から維持してきた台湾の防衛政策は変わっていないことを示している。

今後の台湾の政治にとって、台湾海峡のみならず南シナ海も、また、東シナ海も大きな問題だ。

国民党は、今回の声明を見ても「十一段線」にこだわっている。しかし、それは中国大陸を取り戻した場合に主張できることであり、台湾を中国から守らなければならない現状ではそもそも無理な主張だ。国民党が今後もこのような主張を維持していくと防衛政策の矛盾をさらに拡大させる危険がある。

米国・日本側の陣営に加われるか

一方、民進党の考えは明確でないが、大方の見方どおり来年の総統選挙で政権に復帰すれば、いずれ南シナ海についての態度を問われることになろう。民進党としても台湾のナショナリズムを無視できないが、同党には中国大陸を奪回したいという気持ちはもともとなく、その点では米国と歩調を合わせやすい。

これは台湾が台湾として存続し、それ以上拡大しないことを意味しており、中国大陸から離れることを意味する台湾独立とは別問題だ。

国民党政権は南シナ海だけでなく尖閣諸島についても領有権を主張している。台湾における政権交代によって尖閣諸島に対する態度にも変化が生じてくるか。速断はできないが、民進党が国民党のように膨張主義的でなければ、台湾防衛に関する米国との矛盾だけでなく、尖閣諸島に関する日本との矛盾もなくなる関係にある。

台湾を中国の脅威から守るためには、武力統一を認めないという米国のコミットメントが不可欠であり、それを揺るがせないためには南シナ海に対する領有権主張は過去の遺産として放棄することが望ましい。そして、中国の違法な行動に対抗する国際的連帯の形成に努めている米国と日本に参加することが台湾の利益になるはずである。現在のところ、歴史的経緯を無視するわけにはいかないかもしれないが、台湾が向かうべき大きな方向は明確ではないか。


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