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国際関係・安全保障論

3297とはずがたり:2015/07/31(金) 23:40:15
>>3296-3297
 2つ目は、コスタリカに“援軍”をつけることだ。万が一どこかが攻めてきたとしたら、これはコスタリカに対するというより「平和主義に対する脅威」と捉えられる。そんな平和主義国家が攻められているのだから、助けないわけにはいかないという論理ができあがるのだ。それを利用してコスタリカは、例えば1955年に起こった隣国ニカラグアからの侵攻に対して米州各国の支持を取りつけ、ニカラグアに国際的圧力をかけて補給を絶ち、侵攻を防いだ。これがコスタリカの「防御」のやり方である。

 3つ目は、防御だけでなく「攻め」にまで踏み込み、コスタリカの言うことを他国に聞いてもらうことだ。

 1980年代、隣国ニカラグアで内戦が起こった。米ソ冷戦の代理戦争の意味合いもあったこの内戦で、双方の当事者から味方になるよう迫られたコスタリカは非常に困った。一方の当事者は反政府軍とそれを組織した米国で、これに逆らえばあっという間に潰される。実際、米国に逆らって潰されなかった国など、当時のラテンアメリカではひとつも存在しなかった。

 他方、ニカラグアの反政府軍と戦っているサンディニスタ革命政府に逆らえば、その軍隊が陸続きの国境を越えてコスタリカまで攻めてくるという現実的脅威があった。ここでコスタリカは、双方を説得する必要に迫られた。

 そこで「非武装」という立場を利用し、1983年に「積極的中立」を宣言する。これは、どちらの味方にもつかないかわりに、仲介者として積極的に関わることで紛争を終わらせます、ということだ。当初米国はこの宣言に賛同しなかったが、欧州各国含め他の主要国がコスタリカの立場に賛意を示したため、結局米国も飲まざるを得なかった。

 こうしてコスタリカの「非武装による安全保障体制の強化」は一応の完成を見た。一連の歴史を見てわかるのは、安全保障政策において使うべきは「軍事よりも頭」だということだ。現在日本政府・与党が提出している「平和安全法案」は果たしてそのどちらを向いているのか、考えなくてもわかるだろう。 <文/足立力也>

【足立力也】
コスタリカ研究家、北九州大学非常勤講師。著書に『丸腰国家』(扶桑社新書)『平和ってなんだろう』(岩波ジュニア新書)『緑の思想』(幻冬舎ルネッサンス)など。現在、『丸腰国家』キャンペーンを全国書店で開催中(八重洲ブックセンター、丸善ジュンク堂書店、戸田書店、平安堂、谷島屋、勝木書店、文教堂書店、明林堂書店、リブロ、明屋書店などの各店舗にて)。


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