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国際関係・安全保障論

1627とはずがたり:2008/03/17(月) 16:59:36
>>1625-1627
 同じスラブ系民族としてセルビアを強く支持していたロシアは、「米国の許可なしには独立宣言しない」と公言していたコソボ独立に激怒し、対米報復策としてイランに急接近。ロシアの政府系企業ガスプロムは、米主導の経済制裁を破り、イランの天然ガス田の共同開発を決めた。


 中東情勢を考えれば、ロシアを味方につけることこそ必要だったのに、米国はロシアが嫌がるコソボ独立を許可し、ご丁寧なことにロシアを反米急先鋒のイラン側に押しやった。

 経済的には、ブッシュ政権は前任のクリントン政権が残した財政黒字を最初の3年で大赤字に転落させた。減税と戦争を同時にやっているのだから大赤字になって当然である。

 減税と戦争だけではない。ブッシュ政権はハリケーン対策やメディケア(官制健康保険)でも無節操な財政の大盤振る舞いを続け、膨大なツケを次世代に回そうとしている。事実、メディケアは2018年には制度破綻すると予測されている。

 昨夏以来のサブプライム問題も大失策だ。FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを開始した05年の段階で、ローン破綻が増えることが政府には予測できたはずである。FRBなど金融当局は、それを知っていながら、サブプライムローンの貸出増を抑制せず、結果的に金融危機の被害を深いものにした。

 最近では、FRBのグリーンスパン前議長が2月25日にサウジでの講演で「インフレ緩和のためには(GCCは)ドルペッグをやめるのがよい」と発言し、関係者を仰天させた。GCCがドルペッグをやめたらドルは急落する。グリーンスパンはドルの自滅を誘発する発言をしたことになる。

世界の多極化促す
米国の「自滅政策」

 一連のブッシュ政権の失策は、単なる失策と考えるには度が過ぎている。あえて言えば「故意」に近い。米中枢には国際政治や金融経済の優秀な専門家が多くいるはずだが、なぜか彼らの忠告はほとんど無視されている。

 歴史をひもとくと、ブッシュとよく似た「故意の失策」をしでかした政権が二つある。1970年代のニクソン政権と80年代のレーガン政権である。

 ニクソンは米中間の冷戦を終わらせ、中国台頭の素地をつくった。レーガンはソ連のゴルバチョフと和解して冷戦を終わらせ、東西ドイツを再統一させ、EU統合への道を開いた。ニクソンもレーガンも、財政赤字を急拡大させてドルの自滅を招き、意図的に中国やロシア(ソ連)、欧州(EU)が米国と並び立つ覇権勢力になっていくことを誘発した。

 ブッシュ政権も、同じドル自滅への道を走り、中東大戦争によってイスラム勢力の台頭を早め、世界の多極化を促そうとしているように思える。

 米国の政権が自らの覇権を崩壊させて世界を多極化するという構図は、常識的には考えられない。しかし、共和党の背後にいる大資本家たちにとって、世界経済成長の極が増えることは長期的な投資リスク分散や市場拡大という観点からは、むしろ望ましいことである。

 戦後一貫して対米従属を絶対の国是とする日本政府は、米国の単独覇権が永久に続くかのような錯覚を抱いてきた。だが、これから先は経済的にも政治的にも、米国だけに頼っていれば安泰という状況ではなくなってくる。中東大戦争は、日本にとっても重大な転換点となりそうだ。

(国際情勢解説者・田中宇)


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