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おもらし千夜一夜4
1
:
名無しさんのおもらし
:2014/03/10(月) 00:57:23
前スレ
おもらし千夜一夜3
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/sports/2469/1297693920/
179
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/26(日) 22:16:42
双子A「私が催したって事は――」
双子B「――Aも催したよね?」
双子AB「「トイレ空いてないだろうからあとで行こう」」
こうですか?
180
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/27(月) 00:45:08
◆尿道括約筋が開くタイミングが同じ
同時に2箇所開いてないかぎり無事に用を足せない
結構ハードル高いかもな
学校とかの行列が発生するような大人数用共同トイレだとタイミングが完全に揃う可能性は低い
逆に一箇所しかないようなところでも無理
他人に見られてなければ野なり一個室(一便器)同時使用なりで凌げるが
どちらか1人でも開放すると同時開放というのも非常にこわいが
逆にどちらか1人だけでは開かないというのもそれはそれでこわい
さらには同時に同量しか出ないというところまで揃ってしまうと
たまってる尿量や水分摂取量に差があったときに大変なことになる
ただこれは空腹等のタイミングが完全に同じというのとは矛盾しそう
181
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/27(月) 00:45:38
零歩ちゃんは双子の妹・溺ちゃんに内緒でこっそりジュースを飲んだ。
幼い頃から二人の娘に対する公平さには神経質な母親が
いつでも二人に同じものを同じ量ずつ与えてきた。
零歩ちゃんはりんごジュースが大好きなのだが、溺ちゃんはきらいで飲むのをいやがるので
結局めったに与えてもらえない。
逆に溺ちゃんの好きなオレンジジュースを零歩ちゃんはあまり好きではないのだが、
大げさにいやがることをしないせいで、たいてい母親の選択はオレンジジュースになってしまう。
いつも自分が損をしていると思った零歩ちゃんは、冷蔵庫にりんごジュースがあったのを見つけて
こっそり飲んでしまうことにしたのだ。
残しておいては勝手に飲んだことがばれると思って、500mlのペットボトル一本まるまるのみほした。
冷蔵庫のものがなくなってて、その分ゴミが増えてればばれるのだがそこは子供の知恵。
普通なら、ペットボトル一本を二人で分けても余るほどなので、
ちょっとのみすぎでおなかがたぷんたぷんするほどだったが、
零歩ちゃんは大好きなりんごジュースを久々に思う存分飲めて幸せだったし、日頃の鬱屈が晴れる思いだった。
ところが。
まだ小さい零歩ちゃんにとって、当然ながらりんごジュースは多すぎた。
30分もしないうちに零歩ちゃんは急速におしっこがしたくてたまらなくなった。
変に二人に公平な母親の方針のせいで、二人はトイレに行くのも一緒だった。
二人の家にはわざわざそのために誂えたのか、個室が2つ並んでいて、二人は同時にトイレに行くよう躾けられている。
旅先のホテルなどでは、部屋に便器が一つしかないときには無理やり並んで立ちションさせられたり、
わざわざ個室がいくつもあるところまで行って用を足したりしたし、喫茶店でトイレに行きたくなった時には
*一つしかないから*我慢しなさいと言われたこともある。
零歩ちゃんは溺ちゃんの様子をうかがったが、出掛けに二人でおしっこをすませたばっかりでもちろんトイレに行きたい様子はない。
早く溺ちゃんもおしっこしたくならないかな、と心の中で願う零歩ちゃん。
しかし溺ちゃんが尿意を催すより何倍もの速さで、零歩ちゃんのおしっこ我慢は危険水域をとっくに越えてしまった。
そわそわが止まらず、じっとしていられない。おしっこの出口がじんじんする。
零歩ちゃんは思い切って、溺ちゃんをトイレに誘った。
溺ちゃんとしては全然おしっこなんかしたくないから、なかなかトイレに行こうとしなかったが
零歩ちゃんの様子が真剣なのでやっとトイレに行くことにしてくれた。
黙って1人でトイレに行けばよさそうなものだが、トイレが一つしかないところでは我慢させられたりしてずっと過ごしてきた
2人にとっては、トイレは2人同時に行かなくてはならないものなのだった。
182
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/27(月) 00:46:19
そうなってくると問題が一つある。この公園には男女共用の、仮設トイレのようなものが一つしかない。
近所のコンビニも多分便器は一つだろうし、そもそも子供だけで勝手に店などに行ってはいけないといわれている。
となると公園から家に戻るのはちょっと遠いので、焦る零歩ちゃんは比較的近い小学校に行くことにした。
2人用のトイレ環境が揃わないと用をたしてこなかった二人は、今までの短い人生のわりにはおしっこを我慢することが多かったが、
今日の零歩ちゃんのおしっこは今までにないほどつらい。
小さい子供が500mlものジュースを一度に飲んだのだから、経験したことのないほどの量が一気にたまってしまったわけだ。
人目はばからず前を押さえて、時々足踏みしながら不規則にあるくせいで、零歩ちゃんはなかなか小学校に近づかない。
自分は全然トイレに行きたくない溺ちゃんはなかなか来ない零歩ちゃんにいらいらして、早くこないと小学校に行くのやめようかなと言う。
そんなこんなで泣きそうになりながら、ようやく零歩ちゃんはめあての小学校までたどりついた。
放課後の校庭には遊んでいる同級生の姿もあった。溺ちゃんがそっちに行こうとするのを必死でひきとめて
体育館脇の外トイレに。もともと使用者の少ないトイレで、思ったとおりたくさんの個室は誰もつかっておらず貸切状態だ。
零歩ちゃんと溺ちゃんは空き待ちのタイミング合わせにわずらわされることもなく、スムーズに個室に入れた。
まにあった!やっとおしっこできる!
零歩ちゃんは一生懸命とざしつづけてきた尿道を心ゆくままにゆるめた。
じわっ。じわじわっ・・・・・・
我慢しつづけた尿道がなかなか開放されないじれったさ。やがて
ぷしゃああっ!
零歩ちゃんの小さい膀胱には無茶なほどの量がつめこまれていたおしっこが、勢い良く噴き出した。
しゃああっ!・・・…
・・・
しぃぃっ!
・・・
しょろろっ!
おかしい。まだおしっこはほんのちょっとだけがほとばしっただけだ。
たまりにたまった量がちっとも減っていないのに、おしっこが続かない。少し間をおいて申し訳程度に数滴飛び散るだけだ。
カラカラとペーパーを取る音がして、続いて流す音がすると零歩ちゃんのおしっこはもう全く出なくなった。
まだぱんぱんの膀胱は全然すっきりしていないのに。むしろおしっこを出してしまったせいで
おなかの中をおしっこが激しくうずまき暴れているかのようで、尿意はおしっこが噴き出す前より数倍はげしい。
183
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/27(月) 00:47:57
ノックの音がして、溺ちゃんが心配する声がするまで、零歩ちゃんはどうにかしておしっこを出そうと悪戦苦闘していたが
おなかをもみほぐしても、割れ目をいじってみても、おしっこは出ない。
溺ちゃんの声を聞いて、零歩ちゃんはなぜおしっこが出ないのかなんとなく分かったような気がした。
元々そういう体質だったから二人同時にトイレに行くよう躾けられたのか、はたまた躾のせいで二人の体がそうなってしまったのか
二人はジュースをもらえる量も、トイレ待ちの時間も平等なように、おしっこを出せる量も平等に同じなのだ。
家でトイレを済ませてからそんなに時間がたっていないので、ジュースを勝手に飲んでいない溺ちゃんのおしっこは
ほんのすこししかたまっていなかったのだろう。尿意も感じていないのだから、少し出ただけでもいい方だ。
一方の零歩ちゃんはぱんぱんの膀胱が一刻も早くおしっこを体の中から出してしまおうと、強い力で勢い良く送り出す。
でも溺ちゃんの申し訳程度のちょろちょろおしっこの量に追いついてしまうとそこで零歩ちゃんのおしっこは
いったんストップしてしまったのだろう。溺ちゃんの量がおいつくとまた少しだけ零歩ちゃんもおしっこが出る。
これが零歩ちゃんのおしっこが断続した理由なのだろう。そして零歩ちゃんが残りのおしっこが止まってしまった理由でもあるだろう。
幼い頭で漠然とこのようなことを理解した零歩ちゃんは気がとおくなりかけた。
この先、溺ちゃんにたっぷりおしっこがたまるまで、零歩ちゃんはぱんぱんの膀胱から解放されないのだ。
実際は溺ちゃんにおしっこがたまると普段平等に飲み物を飲んでいる零歩ちゃんにも同じ分だけおしっこがたまるので
溺ちゃんがたっぷりおしっこをすませて、零歩ちゃんが同時にたっぷりおしっこできたとしても、
やっぱり差し引き500mlのジュース分のおしっこは残ってしまうのだが、まだ幼い零歩ちゃんにはそこまで想像力はなかったので
残酷な現実を直視せずにすんだ。
あと母親が捨てられた空きボトルと零歩ちゃんの様子から全てを理解して、溺ちゃんをうまくごまかして多めに水分をとらせたので
一日ちょっとでだんだん差をつめることはできたが、
ぱんぱんの膀胱で夜を迎えた零歩ちゃんと、寝る前にもたくさん水分をとらされた溺ちゃんはその夜
小学○年生にもなって盛大におねしょをしてしまった。
零歩ちゃんは翌日も少し残った差分で辛い思いをし、ジュース抜け駆けの自業自得をいやというほど思い知ることとなったのでした。おしまい
184
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/27(月) 00:48:25
おねしょはおもらしに入らないか。しまった
185
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/27(月) 00:56:25
これの発展系で
とある人がしたおしっこの量だけしか膀胱内の尿が減らない子たち(複数)
分量の割り当ては元の人の1回ごとにランダムでそのうちの1人に
というのを昔考えた
もしそんな状況になったら複数名の子たちは
元の人に一般人の水分摂取量の最低限人数倍くらいを無理やり飲ませようとする行動に出そう
一見複数人による1人に対するおしっこ我慢イジメのようで、実は複数人の方が困っている状況
186
:
名無しさんのおもらし
:2014/10/29(水) 19:23:50
gj
でも個人的には辛くて出したいがために行動するって言うより
やっぱり、出そうだけど、恥ずかしいから出したくないのが好き
187
:
名無しさんのおもらし
:2014/11/24(月) 11:03:48
せっかく良い挿し絵があるのにすぐ消えちゃうのが惜しい
併せて読みたいんだよなあ
188
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-①
:2014/12/02(火) 20:55:50
「ふぁ〜あぁ……弥生ちゃん、おはよー…」
大きな欠伸をしながら教室に入ってきた真弓さんは、私に朝の挨拶をする。
「おはよう……眠そうだね?」
私はいつにも増して眠そうな真弓さんに、挨拶と質問を投げかけた。
少し怠るそうにしながら軽く手櫛で髪を梳きながら答える。
「うーん、ちょっと漫画夜中まで読みすぎたかな……」
あー、うん。真弓さんらしいどうでもいい理由。
<♪〜〜〜>
真弓さんのカバンから携帯の着信音が鳴る。
「あー、しまった、マナーにしてなかった……ってこの音、あやりんからのメールじゃん」
真弓さんはごそごそとカバンの中を漁る。
どうやらメールらしい。
――雛さん専用の受信音……私も後で設定しておこうかな?
そこまで考えて、雛さんがまだ学校に来ていないことに気が付く。
もう直ぐ授業が始まるのに……真弓さんへのメールは遅刻するといった内容なのかもしれない。
「……あやりん風邪かぁ」
「っ! え? もしかして休んじゃうんですか?」
「んー、とりあえず今日は休むから先生に伝えといてって書いてある」
私は肩を落とす。
私は学校での雛さんとの日常が凄く好きで……。
逢えないとなると……大きなため息を吐いてしまいそうなくらい残念に感じる。
……。
――って違う違う!
私は大きく頭を振る。
残念がるより普通心配が先……自分の事を優先して考えていたことに少し自己嫌悪する。
でも、一度心配しはじめると、今度は凄く心配になってくる。
189
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-②
:2014/12/02(火) 20:56:51
「まぁ、メールを送れるくらいには元気って思っておいてもいいんじゃない? それに、多分あやりんのお母さんも昼くらいまでは家にいるし」
私の顔色を見て、真弓さんがそう言う。
相変わらず凄く察しが良い……でも――
「――っていうか、なんで雛さんの家庭事情知ってるんですか!」
私の知らない雛さん関連の情報に何故だが小さな怒りを覚えて、強く返す。
真弓さんは少し驚いた顔をして目をパチパチとさせる。
だけど、直ぐに口の端を吊り上げ、ゆっくり目を閉じて胸を張りながら答える。
「まっ、私はあやりんの“親友”ですから〜」
「わ、私も親友です!」
私は間髪いれずに返す。
「わかってるよ、ただ、家に行ったことないでしょ?」
そう言われて私は返す言葉を失う。
「私は一度だけあるからさ、そのとき聞いたんだよ。多分、家に行ったのが弥生ちゃんでも話してたと思うよ」
真弓さんは「ただ、そう言う話が偶然聞けただけだから」と続けて笑ってみせる。
普段不真面目な態度なのに……私の嫉妬心にフォローを入れてくれる。
本当良い人――明らかにからかわれた気もするけど。
夏祭りで恥ずかしい失敗してしまった時も一緒に帰ってくれて、凄く慰めてくれた……。
そのあと雛さんとの気不味い感じをどうにかしようと
喫茶店でのお茶会――――霜澤さんに偶然会い、なぜか一緒にお茶することになるトラブルがあったけど――――も企画してくれた。
<キーンコーンカーンコーン>
予鈴がなり真弓さんが席に戻ると同時に、廊下を慌しく走る音が聞こえ、担任の文城先生が教室に入ってくる。
「はいっ!! セーフッ!」
予鈴が完全に鳴り止んでからで、全然間に合ってないけど文城先生的にはセーフらしい。
というか先生の立場で廊下を走るのは如何なものかと。
「せんせー、あやりん風邪で休みって連絡貰ったよー」
「え? ……んー、サンキュー黒蜜。えっと、雛倉が風邪で休み――っと、ほかは……大丈夫そうだな」
真弓さんから休みの話を聞いた後、適当に周囲を見渡し出席を確認してから「えーと」と声に出し、堰を一つついて再度口を開いた。
「実はだな、1時間目の授業の時間20分貰って来たんだ……
というのもうちのクラスだけ後期の委員名簿が出てないと怒られた、今からさくさく作るから協力してくれ」
……あぁ、この人完全に忘れてたんだ。
190
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-③
:2014/12/02(火) 20:57:38
「んじゃまずは……クラスいいんちょ……前期は雛倉だったか……
面倒だし継続でいいかな? 一応賛成反対の決取るから目を瞑って手を上げてくれ」
――面倒だしって……随分適当。
文城先生が私達に目を瞑る様に指示を出す。
そして賛成の人は手を上げるように指示を出す。
私は迷わず上げた。
雛さんは自分で向いてないって言っていたけど、私はそうは思わない。
逆にクラスで一番向いてるんじゃないかって思う。
でも、自分だけ手を上げてるような不安もあって、私は気が付かれない様に目を細く開く。
私の席は後ろの方で、ぱっと見ただけでも真弓さんと檜山さん、他3人程度が手を上げていた。
「んじゃ次は反対の人ー」
私は手を膝の上に置く。反対の人……いるのだろうか?
いまいち賛成の人数も多いのか少ないのかわからなかったので、このときもダメだと思いながら私は目を細めて見ることにした。
――えっと……あ。
見える範囲に一人だけ、肘を机につけたまま遠慮がちに手を上げる人がいた。
その人は黒髪で長髪の……朝見さんだった。
雛さんと余り仲がいいとは言えない相手。
いや、仲が悪いと言ったほうが適切だろう。
ただ、最近は干渉することをやめて、互いに避けてるような気がする。
避けて関わらないようにしてるはずなのに……なぜ手を上げたのだろう?
他の多くの生徒が両方に手を上げなかったように朝見さんもそうするのが自然……。
彼女は何を思って手を上げたのか……本当に向いていないと思ったのだろうか?
「よーし、目を開けていいぞ。結果は継続だな。えっと次は――」
淡々とこれが続き、実に半数くらいの人が委員継続と言う結果になった……適当すぎる。
最後に何か別の話しをしていた気がするけど、下腹部に溜まり始めた物に注意を奪われ、聞き逃す。
文城先生のことだし、恐らく大したことではないだろうと勝手に決め付けておく。
そんなことより、下腹部に溜まり始めた物の方が心配だ。
それは、朝2杯飲んだ飲んだ牛乳が恥ずかしい熱水へと変わったもの。
普段は朝のHR前か後に済ませるのだけれど、朝、雛さんや真弓さんと話す機会が増えたことで、最近ではHR後に行くようになっていた。
朝のHRと1時限目の間には短いが5分の休憩がある。特に文城先生は話が短く直ぐ終わる場合が多い。
だけど、今日はそうは行かない。次授業の先生が既に来て待機している。休憩は無いだろう。
――あと30分……まだそんなにしたくないし全然大丈夫だよね?
私は結構――というより可也“近い”方だから不安が大きかったのだけど
このあとほんの少し我慢が辛くなった程度で、どうにかお手洗いには間に合った。
191
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-④
:2014/12/02(火) 20:58:28
――
――
――相変わらず高い冷水機……。
私はそう感じながら背伸びしながら冷水機の水を喉を鳴らして飲む。
体育は苦手――勉強も得意じゃないけど……。
「はぁ……」
満足するまで水を飲み干してお手洗いに向かうことにする。
だけど、お手洗いの前には4人ほど人が居て、直ぐに済ますのは無理そうだった。
いつもなら並んでいても2人くらいで、それくらいなら待つのだけど……次の授業もあるし着替えもしなくてはならない。
――着替えてから別のお手洗いに行こう……。
そう思い私は更衣室で着替えた。
――
――
4時限目の現国、35分を過ぎた所。
私はお手洗いに凄く行きたくなっていた。
……理由は簡単。着替えていたらお手洗いに行くのを忘れていたから。
普段体育の時は授業終わって直ぐに行くのだけど
後回しにしたのが失敗だった。
いつも授業の合間に済ませているわけだけど
それは尿意に関わらず行ってる日課であり……つまりはその日課を済まし損ねたって事で……。
加えてちょっと飲みすぎた気はしてた。
――またやっちゃった……。
今朝の事もそうだし、1学期の時も同じように飲みすぎて大変恥ずかしい目にあった……他にも――いやそれはいい。
とりあえず、それを全然学習できてない自分が情けない。
――あと15分だけど……ギリギリかも…言った方がいいよね。――よし!!
万が一間に合わなくなって恥ずかしい目に合うくらいなら……そう思って私はお手洗いの許可を先生に要求する覚悟を決める。
以前の私なら多分そんなこと出来なかった。でも雛さんや真弓さんに会って、ほんの少し変われた気がする。
「せんせー、もれちゃいそうで〜す」
――っ!? ちょ、檜山さん!
檜山さんが最悪のタイミングでお手洗いの許可を得るために手を上げながら…もう片方の手はスカートを抑え、恥ずかしい台詞を吐いた。
当然私は、あんな恥ずかしい台詞の後に続いて「私も行きたいです」とは言えず、
行き場の失った覚悟を恨みに変えて歯を食いしばり檜山さんを睨む。
大げさな格好をしてるけど、きっと私より我慢してない……そんな気がする。
――はぁ……。
私は嘆息する。
恨みを込めて檜山さんを睨みはしたものの、別に檜山さんに非があるわけではない。
だが、こうなってしまっては仕方がない。どうにか昼休みまで我慢するしか……。
そうすれば、恥ずかしい思いをしなくてもお手洗いへ行ける。なんの問題もない。
――でも……う〜…。
自然と足がソワソワと動く。
あれだけ水を飲んでしまったのだから、尿意が強くなるのも当たり前……。
だけど、ここは我慢しかない。
192
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑤
:2014/12/02(火) 20:59:06
――
――
檜山さんの恥ずかしいもれちゃう宣言から10分が経った。
檜山さんはすでにお手洗いから戻ってきている。
私はと言うと……。
机の下でスカートの前に手を添えていた。
――あう…やっぱり辛いよ……。本当に我慢…出来るかな…?
そう思いながら、添えられた手に力を込め、抑える。
いくら机の下で見られていないとはいえ、はしたない……判っていながら手を離すことが出来ずに居た。
<キーンコーンカーンコーン>
授業を終えるその音に私は顔を綻ばせる。
「あ〜、悪い……キリのいい所まで進ませたいから、あと3分だけ……」
――……え?
私にとって最悪の台詞。
次が昼休みだから少しくらい過ぎても問題ないとでも思ってるのかも知れない。
私には大問題なのに……。
私は心の中でどうすべきか悩み、そして焦る。
この3分は私にとって致命的……だけど、今お手洗いだと申し出ることは
その3分が我慢できないと宣言するのと同義で……とても恥ずかしくて言えたことじゃない。
突然与えられた延長戦に緩んでしまいそうな私のか弱い部分を両手で必死に抑える。
1分、2分……秒針がとてつもなく遅く進む。
汗が噴出す。
――やだ……早く…まだなの?
時間は進まないのに尿意が刻々と強くなる。
後ちょっと……それがこんなにも辛い。
大丈夫…大丈夫だとそう自分に言い聞かせるが、不安が拭えず
その不安がより尿意を強くする。
そして――
――あっ…やぁ……波が!
私の膀胱が悲鳴を上げて中のものを搾り出そうと収縮する。
私はそのイケナイ感覚に身を震わし、前のめりに身体を倒して両手で抑え込む。
<じゎ…>
――っ!?
必死に閉じているはずの足の付け根から、ほんの少し、滲み出るように溢れ出す。
仄かに感じることが出来たそのじんわりとした独特の湿り気に私は焦った。
あと少しで終わる、それからまた3分と言うあと少しの時間。
予定ではギリギリ間に合うはずだった、下着を汚してしまう失敗なんてしなくて済むと思っていた。
だけど、やはりこの3分は私にとって境界線で……急に突きつけられたその状況に対応できずに居た。
193
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑥
:2014/12/02(火) 20:59:59
――だめ、絶対だめ……こんな所で…おもらしなんて絶対やだ……。
入学してから今までしてきた度重なる失敗。
その回数はすでに中学3年生の時の失敗回数に並んでいた。
それに……中学の時は一度も誰かに見られる状況での失敗は無かった。
だけど、私は今、少しでも気を抜こうものなら決壊してしまうような状態で
クラスメイト全員に見られる授業中の教室と言う環境の中に居る。
絶対失敗なんて許されない――絶対に我慢しなくちゃ!
――でも……本当にもう……。
ほんの少し湿らせてしまった下着が、再度我慢しなくちゃダメだと決意した私に現実を感じさせる。
我慢できずに溢れさせてしまった事実はなくならず、ただ冷たさに変わるだけ。
「はい、ここまで。延長ごめんね、号令はなくていいから各自休憩して」
そんな先生の声が聞こえた。
――や、やったー! 今度こそお手洗いにいける! ……大丈夫、きっと間に合う!
後はお手洗いまで……そこまで我慢すればいい。
下着を汚してしまったのは恥ずかしいことだけど……誰かにバレることはないはず。
「弥生ちゃーん!」
真弓さんの私を呼ぶ声が聞こえる。
「連れションいこうよ!」
――……ストレート過ぎ。
私は我慢している事を悟られないように装い、軽く頷き一緒に行くことを了承する。
というか、真弓さんを良く見ると寝癖が……寝ていたらしい、いつもの事だけど。
私は机に手を付き立ち上がる。
<ジュッ…>
――え? ……ぁ。
私は動きを止める。
確かに感じた、新たに広がった温もり。
油断……波も来ていなかった為、手を離し、立ち上がるくらい大丈夫だと思っていた。
だけど、立ち上がってみると、背を確りと伸ばすことが出来ないくらい辛い状態であることに気が付く。
「遅いよー。早く行こっ」
「う、うん」
――私、真弓さんの前で……少し…出しちゃったんだ……。
気が付かれていないが、そう思うと恥ずかしくてたまらなかった。
194
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑦
:2014/12/02(火) 21:00:55
真弓さんの後に付いて膀胱に負荷が掛からないように軽く前屈みに――――あまり不自然には見えない程度に!――――
なって気を緩めず、慎重に歩く。
……抑えたい。だけどそれを必死で我慢して私は歩みを進める。
私の前を歩く真弓さんが教室を出て左に歩みを進めた。
――え? あれ?
私は混乱する。
この教室から一番近いお手洗いにいくには右に行かなければいけない。
「ま、真弓さん?」
私は平静を装い尋ねる。すると振り向きながら「ん? なに?」と返す。
「お、お手洗いならあっちじゃ……」
「え? 今日工事で1年のトイレは断水でしょ?」
――……断水?
今日行ったけどなんとも無かったはずなのに……。
「朝言ってたじゃん? 12時から1階だけ断水って、だからトイレなら2階でしょ?」
どうやら、私が朝聞き逃していたのはこの事らしい。
真弓さんはそれだけ言うと、また前を向き歩き出す。
私がお手洗いを済ませるには、2階のお手洗いまで行かなければならないということ。
もじもじと足を擦り合わして、スカートの裾を握り締める。
――ま、間に合う……よね?
限界の迫る身体に言い聞かせる。
ほんの少し遠くなっただけ。もう直ぐだから。
だけど油断しちゃダメ。確り我慢しなきゃ。
「ぁ……」
必死に真弓さんに付いて歩くが階段を見て思わず声が漏れる。
だけど立ち止まっていてはいけない。
落ち着いているうちに行かないと本当に間に合わなくなる。
一歩一歩慎重に足を踏み出す。
小さな段差を上るために足をほんの少し高く上げる。
ただ、それだけの動作が膀胱を激しく刺激し凄く辛い。
「はぁ……はぁ……」
辛い……本当に。
195
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑧
:2014/12/02(火) 21:01:44
どうにか階段を上り終える。
だけどまだそこはゴールではない。
廊下を歩く真弓さんに必死についていく。
――っぁ……。
不意に感じる尿意が膨らむ気配。
――だめ……まだ、まだなの……。
慎重な歩みから焦りの歩みに変わり、足を踏み出すペースが早くなる。
視界に映るお手洗い……それに私の身体が反応している。
あとちょっと、もう直ぐお手洗い……。
ゾクゾクとした感覚が襲う。
膀胱が小さく収縮して私を追い詰める。
もう、平静なんて装えない。
――も、もう出ちゃう!
私は前を歩く真弓さんの横をすり抜けお手洗いに急いだ。
お手洗いに入ると一番奥の個室が開いていた。
もし塞がっていたらと思うと……。
私は慌てて個室に飛び込み、鍵を――
<ガチャガチャ>
――あ、あれ?
何かに引っ掛かりなかなか鍵が掛からない。
私はよく手元を確認する。
――……え? う、うそ、壊れてる!
目に入ったラッチ錠は、ラッチと受けの位置がずれてしまっていた。
お手洗い……いや、個室と言う空間に来たことで、尿意が一層膨れ上がる。
――どうすれば……そ、そうだ、扉を手で押さえてしちゃえば……。
本来ならそんな大胆で恥ずかしいこと出来ない。でもこのままじゃ本当に我慢できない。――此処まで来ておもらしなんて出来ない!
他の個室もまだ開く気配も無い。だったら……。
私は視線を便器の方へ向ける。
――……っ!
私は頭が真っ白になる。
跨って済ませる和式の便器から扉までの距離。
どうやっても手が届く距離ではなかった。
――お手洗い……凄く遠い……。
それは手が届かない物理的な距離だけじゃなく、済ますことの出来ない状況から出た表現。
身体が震える。恥骨から頭までゾクゾクとした感覚が走る。
196
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑨
:2014/12/02(火) 21:02:32
――だめ……どうしよう? どうしよう? どうしよう!?
「弥生ちゃん、大丈夫?」
真弓さんの声。
私は思いつく。真弓さんなら……。
私は震える身体を必死で抑えて口を開く。
「ま、真弓さん! あの…お願いがあ――っ……」
<ジュッ!>
私は言葉を途中で止める。
だけど、止めなきゃいけないのは言葉ではない。
<ジュワー……>
抑えこむスカートに染みが広がる。
――うそ…やだ……。
扉に体重を預ける様にして前屈みになる。
止めなきゃ、止めなきゃ……そう何度も心の中でつぶやき、力を込める。
でも、だめ……わからない。どうやったら止めれるのか、どうしたら力がはいるのかが。
「――? ――」
扉の外で真弓さんが何か言っている。
凄く遠くから聞こえる……。
<ジュー><ぴちゃ、ぴちゃ>
押さえて抑えて……どんなに押さえても抑えられない。
スカートに広がる染みはさらに広がり、腿に流れ靴下に染み靴を濡らす。
スカートの奥から雫が落ち個室の床で水音を立てる。
「あっ――っはぁ……んぁ…ぁ……やっ…――と、とま……」
もう、わかってる。
私はまた……。
「え? ちょっと弥生ちゃん……(ごめん、ちょっとそのまま、隠れてて!)」
真弓さんの声……その後お手洗いから駆け出していく足音が聞こえた。
私は真弓さんの指示に従う。従うしかなかった。
私のその恥ずかしい水は7割以上出てしまいながらも途中で止めることができた。でも何の意味もない。
下着を湿らしてしまったのとはわけが違う。
――また、やっちゃったよ……。
視線を落とす。そこには色濃く染まったスカートと私の作った恥ずかしい水溜りがあり……それは言い訳の効かない明らかな“おもらし”で……。
個室に入ってた人達にはバレてるかもしれない……此処を開けられて、恥ずかしい姿を見られるかもしれない。
水溜りの上で必死になって扉が開かないように手で押さえる。
そんな自分の姿が、情けなくて、馬鹿みたいで……目に溜まる涙が静かにいくつも零れていく。
――雛さん……真弓さん……。
親友の名を心の中でつぶやく。
二人に見られたくないのに、恥ずかしいはずなのに……。
それなのに私は、……今、二人に凄く縋りたい……近くに居て欲しい。
そう思ってしまう。
つづく。
197
:
事例の人
:2014/12/02(火) 21:04:11
最近『声』が全然仕事してない
198
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/02(火) 22:01:16
言われてみれば確かに声が全然仕事してないね。 綾菜が風邪で寝込んでる時にこんな事があったのか、あれ?この話って某所で書いてたマンガを小説にしたのかな。あのマンガは好きだったので小説でも読めるとは最高です。後半は一体どんな話になるのか楽しみだぜ。
199
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/02(火) 22:34:38
待ってました!
弥生ちゃんおまた緩すぎだろと思ったら中学でもおもらしっこだったのか
200
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/03(水) 08:12:39
弥生ちゃんは恥ずかしがりやでかわいいなあ
やっぱり、我慢する不運な少女の話は最高ですね!
201
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/03(水) 14:56:42
あげとこう
先を越されていい出せない、カギのせいで目の前の【楽園】おあずけ等
状況の作り方がいいね
202
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/06(土) 05:46:01
またあげとこう
こんばんがたのしみ♪
203
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/06(土) 17:13:54
この世界には、『式神契約』というものがある。
『式神』となる人間は術者の魔力を受け、己を使役する術者の盾となり矛となる。
契約が済むと、術者と式神には特別な繋がりが生まれ、感覚を共有しながら共に成長してゆくのだ。
とある修練場に、ひとりの式神の少女が居た。
相方の術者である少女は今ここにはいない。
契約があるとはいえ、四六時中一緒にいるわけでもないのだ。
式神の少女は呪文の鍛錬をしながらも、頭の中は相方のことと、もうひとつのことでいっぱいだった。
相方に対するものは、心配や恋情などでは決してない。あえてそれに名前を付けるとしたら、怒り。
(あの馬鹿、繋がってること忘れてるんじゃないでしょうね…!)
少女のほかには誰もいない修練場の真ん中で毒づくが、それは怒りと同時に湧き上がってきたもう一つの欲求に遮られてしまう。
少女は反射的に両足を包む袴の間に手を差し入れ、それから恐る恐るといった様子で手を放す。正座の状態になった両足は、その姿勢を崩さない程度にもじもじと動いている。
さて、ここでもう少し詳しく『式神契約』について説明しよう。
先ほど述べた「特別な繋がり」とはなにも魔力の受け渡しに限った話ではない。体の感覚――寒さや痛みなども、一方が感じれば自動的にもう一方にも感覚が行く。実際に傷ができるわけではないが、痛いものは痛い。そして、それは、尿意にも適用される法則だった。
つまり端的に言えば式神の少女は、どこかにいる相方の『おしっこ我慢』のとばっちりを受けているのだった。
「み、水の神よ…、っ、敬虔な使徒に、ぁ、力を、さず、けたまえ…っあ、」
目の前に広げた、呪文の書かれた巻物の字を切れ切れに唱える。水、という言葉に小さく反応する。
実際にはほとんど膨らんでいない彼女の膀胱は、まるで危険水域に至っているような感覚を先ほどからずっと発し続けている。
ならば相方が厠に行けばいい話なのだが、生憎と今日は二人に仕事が入っていなかったために、相方は朝からどこかに出かけたままだ。早く厠に、とせっつくことすらできない。
朝、どこそこに行ってくるという話をされたような気はするが、その時は興味もなく聞き流していた。
つまり、どこかに居る相方が自分の意思で厠に行かない限り、この式神の少女は虚構の尿意から解放されることはない。
ここまで強い尿意を抱えた相方が何をしているのか知る由もないが、きっとすぐに厠に行くだろう。そう楽観視してはいるものの、期限の切られない我慢は辛い。
いくら限界が来ようとも、漏らすことがないのは救いだろうか。
それとも、自分の意思で解放されることのできない我慢は苦痛か。
腰を左右に揺らしても、ぎゅっと股間を抑えても、前かがみになっても尿意の辛さは変わらない。
はち切れそうな膀胱を抱えて、今もどこかで『本当の我慢』をしているのは、彼女ではなく相方だからだ。
もしかしたら買い物の途中で催して、厠を探している最中かもしれない。そういう話を聞いたことはないが、意中の相手とどこかを歩いていて、言い出せないのかもしれない。
いいから早く厠に行け、と想像のなかの術者の少女に怒りをぶつけるが、そんなことをしても仕方ない。
極限状態といってもいいほどの虚構の尿意に苛まれた式神の少女は、鍛錬を諦めることにした。
正座の状態から、腰の引けた状態でゆっくりと立ち上がる。途中、強い波が襲ったが、術者は漏らさなかったらしい。更に強くなった尿意がそれを伝えてくる。
巻物をまとめ、所定の場所に片づけ終え、修練場の戸に手をかけた時、『それ』は起きた。
「っ、あ…待って、っ〜〜」
いままでで最大級の尿意に、たまらず崩れ落ちる。漏らすことはないと頭では分かっていても必死で押さえつける。
長い時間我慢させられた尿意は、それが実在していないとしても少女に解放の快楽を感じさせるには十分だった。
時折弱まる排尿感は、もしかして術者は排尿を止めようとしているのか。
それがもどかしくて、無意識に式神の少女は下腹部にぐっと力を込める。ちょうど、自分が排尿するときのように。
数分が経っただろうか。あれほど式神の少女を悩ませた強い尿意はすべて消え、少女は床から立ち上がる。と、同時に違和感を覚えた。
先ほどまでは体に馴染んでいた袴がいやに重い。
恐る恐る少女が目をやると、愛用の袴はちょうど股から下の一部を濃く変色させていた。
204
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/06(土) 17:21:59
いつか術者ちゃんの側も書きたい
205
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/26(金) 02:12:41
式神ちゃんめっちゃかわいい
206
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/26(金) 02:39:33
20日間か…
207
:
名無しさんのおもらし
:2014/12/26(金) 15:16:34
過疎ってるなぁ
208
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/07(水) 16:08:03
あけおも
209
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/08(木) 00:44:28
事例の人は今
PC(Pee Continence)の調子が悪いんだっけ
210
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:19:50
ぱんぱんっ、と賽銭箱の前で柏手を打ち、頭を垂れる。
(高校受験、失敗しませんように…っと)
菜々美は父親と二人で初詣に来ていた。
いつもは家の近くにある神社に行っているが、今年は高校受験を控えているということで、少し離れた学業成就で有名な神社にお参りすることになった。
(やっぱり有名な神社はすごいなぁ)
神社の敷地の中も外も、びっしりと屋台が立ち並び、通路は人で埋め尽くされている。
「菜々美、どうする?何か買ってから帰るか?」
「うーん…」
(クレープとかあるけど、こんな時間に食べると太っちゃうなぁ…)
辺りの屋台を見回しながらどれにしようか考えていたところ、ぷるるっ、と菜々美の体が震える。
211
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:21:34
(あ、結構トイレ行きたいかも…)
上半身は厚いコートを着込んできてはいるが、下半身は膝丈までのスカートだけなので、身体が冷えてしまっていたらしい。
「うん、食べ物はいいかな。私ちょっとお手洗い行ってくる」
「そうか、じゃあ車で待ってるから」
父と別れトイレを探す菜々美。
しかし、初めて来る神社なので、トイレがどこにあるのかわからない。
うろうろとさまよい歩くうちに、ようやく厠はこちらですという看板を見つけた。
(やっと見つかった…って、うそ、こんなに並んでるの!?)
参拝者の多さもあってか、女子トイレにはパッと見でも数十人以上の列が並んでいた。
中の個室の数は分からないが、このまま並んだら相当待つ事になるだろう。
(うーん、こんなに待つんだったら、早く帰って家のトイレを使ったほうがいいよね)
外の寒さの中トイレを待つよりも、暖かい車の中で家まで我慢した方がいいだろう。
そう考えた菜々美はトイレの列に並ぶのを諦め、急いで駐車場に向かった。
212
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:22:24
車に乗り込んでからしばらくは、尿意を我慢したままどうにか父親と世間話を続けることが出来ていた。
だが、家まで十分程度のところまで来たところで、膝をくるくると手で撫でまわしたり、脚を組み替えたりと落ち着かない様子を隠せなくなってきた。
(うぅ…したい、おしっこしたい…)
もし今学校の授業中だったら、先生に手を上げてトイレに行かせてもらうかもしれない。
奈々美はもうおしっこの事しか考えられなくなってしまっていた。
(がまん、がまん、がまん)
ぷるぷると震えるおしっこの穴に、必死に力を入れて抑える。
すーはー、すーはー、と浅い呼吸を繰り返しながら、それでもどうにか家まであとすこし、外は見覚えのある景色になってきた。
213
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:23:28
しかし、そこで父親が予想外の一言を発した。
「ガソリンなくなってきたから、スタンド寄るぞ」
「えっ、う、うん」
あと数百メートルもまっすぐ行けば家につくという所で、車は右手にあったガソリンスタンドに進入する。
もう少しでトイレに行けると思っていた菜々美は、思わぬおあずけを食らってしまった。
(こんな時に行かなくたっていいのに…おしっこ、おしっこっ…!)
ガソリンスタンドにもトイレはあるだろうが、奈々美はそんな事にも気が回らなくなっていた。
ぎゅっと膝をこすりあわせ、手をひざの上に置いて、奈々美は我慢の延長戦を続ける。
(本当ならもうトイレでおしっこ出来てたはずなのにっ…!)
一瞬、トイレでおしっこをしている自分を想像してしまう。それがきっかけになってか、一際強い尿意の波が菜々美を襲う。
(やっ!)
咄嗟にスカートの上からぎゅぅーっと、両手でお股を抑える。
214
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:25:53
(あ、危なかった…出ちゃうかと思った)
どうにか尿意の波を乗り越えられたが、次の波を我慢できるか怪しいかもしれない。
そわそわ、そわそわ。
まさにそんな擬音がぴったりなくらい、膝をぎゅっと合わせたまま体を揺すっておしっこを我慢する。
ガソリンスタンドを出て数分、しかし奈々美に取っては十分以上にも思える時間で、ようやく家に到着する。
片手でぎゅっと股間を握りしめながら、お腹に力が入らないよう慎重に、かつ手早くシートベルトを外して車から降り、前かがみのままよちよちと家のドアに駆け寄る。
家には母親と妹が残っているので、鍵はかかってない。
215
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:27:28
ドアを開けて玄関に入ると、温かい空気に一瞬体が弛緩する。
ぶるるっと身体が震え、おしっこが飛び出そうとする。
(もうちょっと、もうちょっとだからっ!)
トイレまであと少しという事実で自分を鼓舞しながら、片手でスカートの前を抑えたまま、もう一方の手で靴を脱ごうとする。
しかし、靴紐がきつく縛られている所為でなかなか脱げない。
その間にも、菜々美の膀胱は刻一刻と開放の時を待ち望んで、強烈な尿意を送り続けている。
(も、もう靴脱いでなんてらんない!)
菜々美は靴を脱ぐのを諦め、土足のままトイレに向かって歩き出す。
ひっぺり腰のままトイレの目の前まで辿り着き、ドアノブを一気に引き降ろす。
216
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:28:36
だが、がちゃん、という鈍い音を立ててドアノブは途中で止まってしまった。
見るとドアノブの中は赤く、施錠済みであることを示している。
「お姉ちゃん?おかえりー」
トイレの中から妹の声が聞こえる。
(なんで、こんな時にっ…!)
トイレが空いていればあと数秒でおしっこができるはずだった菜々美に、またしてもトイレのおあずけが下される。
おしっこが出る穴がひくひくと震え、尿道をおしっこが通り抜けてくる。
(だめ、だめ、まだ、だめなのっ…!)
括約筋に必死に力を入れるが、何度もおしっこを抑え込んできた菜々美の身体はもう限界に来ていた。
菜々美の必死の抵抗も虚しく、ちょろ、ちょろとおしっこが溢れでて太ももを流れていく。
217
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:29:06
「ちょ、ちょっと早く出て!」
「んー?わかったー」
カラカラとトイレットペーパーをまき取る音がする。
その間も、菜々美はぷるぷると身体を震わしながら、断続的におしっこを垂れ流し続ける。
(だめ、だめ、だめっ…!)
ガチャ。
トイレのドアが開き、妹が出てくる。
(おしっこっ!)
218
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 01:30:05
妹を肩で押しのけトイレの中に入った菜々美だったが、その真っ白な便器を目にした瞬間、まるでおしっこの穴を塞いでいた栓が抜けてしまったかのような圧倒的な尿意が菜々美を襲う。
(あっ、やっ、だめっ!)
じょろろろろろろ。
スカートを一瞬で黄色く染め上げながら、滝のようにおしっこが溢れ落ち、トイレの床に水たまりを作っていく。
「ちょ、お姉ちゃん!?」
妹がぎょっと目を見開いて、便器の目の前で立ったまま突然おしっこを始めてしまった姉の姿を見つめる。
(やだ、止まってぇ…!)
両手をあてがい必死におしっこを抑えこもうとするが、二度のおあずけを食らってしまったおしっこはもはや止めることは出来なかった。
妹にその一部始終を目撃されながら、菜々美のおしっこはばちゃばちゃと床の水たまりを広げ続けていった。
219
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/12(月) 02:02:45
ふむ、オーソドックスな良作です
他も期待しています
220
:
名無しさんのおもらし
:2015/01/14(水) 08:08:39
やっとトイレにいけると思ったら誰かが入っている
いい展開ですね
221
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-&
◆plUe0InTVs
:2015/02/05(木) 19:34:19
「はぁ……」
私は駅に向かって歩く。
結局、保健室から着替えとかを真弓さんに持ってきてもらって事なきを得たが
今回は――――"今回"とか言っちゃう辺り常習犯なのを自覚してて情けない――――そのまま授業を受ける気になれず早退してしまった。
「あぁー、もう、なんで……あぅ……」
私は頭を抱えながら意味のない声を小さく零す。
頭の中に"おもらし"と言う言葉がグルグル回ってる。
何度失敗しても慣れない。恥ずかしさや悔しさ、憂鬱な気持ちやなんとも言えないやるせなさ。
それが複雑に絡み合い、胸が締め付けられているような苦しさを感じる。
――どうして我慢できないかなー、今日だって、隣の個室が開くまで我慢すれば……そうじゃなくても
真弓さんに後一言伝えて、扉を開かないようにしてもらえれば……。
後者の行動はどうしても我慢できそうにない私が取ろうとした行動。非常に恥ずかしい最終手段。
冷静になって考えれば、凄く大胆な行動で……でも、結局それすらも我慢できず……。
「はぁ……」
また嘆息する。わかってる、悪いのは全部私。
飲みすぎたのも、お手洗いに行き忘れたのも、授業中に申告てきなかったのも、我慢できなかったのも全部私。
誰かのせいなんて言い訳しちゃいけない、全部私の責任……。
――あーもう、いいや、早く帰って寝ちゃおう……。
深く落ちていく思考を続けるのが辛くなって、故意に思考を中断させる。
電車に乗り込み、座席に座る。
しばらく私は電車に揺られる。一駅、二駅……。
乗りなれた電車。でもいつもと違う時間。乗車してる人も若干違うし少し違和感のある感じ。
その不思議な妙に落ち着かない感覚を体験することとなった理由……私の失敗。
……考えたくないのに。
「はぁ……」
もう何度目になるかわからない嘆息。
それと同時に、私の小さな下腹部が不快な感覚を感じてしまう。
222
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-&
◆biEzrXRlmM
:2015/02/05(木) 19:36:20
――……そっか……全部、出さなかったから……。
尿意。
それは本当に小さな尿意。
だけど、確かに感じる。今は不快で仕方がない。
いつも降車する駅まであと10分と言ったところ。
余裕を持って我慢できる、途中の駅でお手洗いに行くためだけに降車するなんてありえない。
普段ならそう思うべきはずの場面。
――つ、次で一応……降りようかな?
あれだけ我慢した後というのもあって、出口や膀胱を確りコントロール出来る自信がない。
私は電車の扉前に視線を向ける。
そこには一人の綺麗な――でも可愛い服に身を包む女性が居た。記憶が確かなら、私と同じ駅で乗り込んできた人。
その人は、まだ停車するために電車は減速すらしていないのに、扉の前にいる。
そんなに早くから席を立つ意味……。
なんとなく気になりその人に視線を向け続けていると、あることに気が付く。
ソワソワと落ち着きが無く、何か心配してるような表情で、目が少し泳いでる。
それは……尿意を感じて我慢している……そんな風に見える。
それなりに切羽詰っていなければ見せないはずの仕草。だったら何故前の駅で降車しなかったのか。
いや、それ以前に乗車する前になぜ済ませなかったのか。……人のこと言えないけど。
しばらく観察しているとその綺麗な女性はしきりに時計を気にしている。
何か予定があり、途中で降車することを躊躇している……そんな風に見える。
駅が近づき、電車が減速し始める。私も立ち上がりその女性が降りる扉とは違う扉の前に立つ。
私は視線だけを横に向け、女性の様子を見ていると、少し焦った表情で扉に一歩近づいた。
――あ、降りるんだ。我慢できないのかな? それともここが降りる予定の駅?
どのくらい我慢してるんだろう。
今日私が失敗したときよりもずっと沢山我慢してるのかもしれない。
……。
――そんな事考えてたら、私も……。
沢山我慢した後はお手洗いが近くなる。
変に尿意を意識した為に急激に高まる尿意に私は小さく足をすり合わせる。
223
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-3
:2015/02/05(木) 19:37:45
――うぅ……は、早く止まって開いてよぉ……。
他人の心配なんて出来ないくらいに急激に高まってくる尿意に私は焦る。
膀胱が張っているわけじゃないから沢山溜まってるわけではない。だけど、膀胱が敏感に小さく収縮する。
抑えたい……。だけど、後ちょっとだし、……やっぱり恥ずかしい。
私は極力大きな仕草にならないように必死に我慢する。
片足に体重を乗せ、もう片方の足を軽く浮かせて内側に押し付ける。
そんな不安定な我慢の仕草をしているとき電車が止まり、車内がガクンと揺れた。
「あっ!」
バランスを崩し、浮かせた足が肩幅程度に開いた状態で車内に足をつける。
同時に溢れ出してしまいそうな感覚を局部に感じて、慌てて両手で押さえ中腰になる。
<じゎ…>
だけど、間に合わずほんの少量ではあるが下着を汚してしまう。
――あぁ、学校の下着なのに……んっ! やぁ!?
下腹部にたまる熱水が暴れる。極度に疲労してしまっている括約筋にうまく力が入らない。
手で何度も抑えなおす。少し治まったらすぐに離すつもりでいたのに……もう離せない。
――は、早く! 早く開いてよ!
ほんの少し前までまだまだ大丈夫だと思っていたはずの尿意に信じられないくらい追い詰められる。
<――扉が開きます、ご注意ください――>
扉が開く前の悠長なアナウンスが聞こえたあと扉が開く。
私は急いで足を前に踏み出す。
――あぁ、そ、そうだ、ここいつもの駅じゃなくて……えっとここのお手洗いって……。
いつもと違う景色、でも何度か降りてお手洗いの場所はわかってるのに、混乱してその場で足踏みして左右に視線を巡らせる。
そんな視界に捕らえたのはお手洗いの表記ではなく、慌てて駆けていく先ほど同じ電車に乗っていた尿意を我慢していたであろう綺麗な女性。
駆け出していった方向にお手洗いがあることを思い出すと同時に、ここのお手洗いは狭く個室がひとつしかない事も思い出す。
――っ……嘘、最悪だよぉ……。
必死で後を追うように駆けるが、彼女の後ろに並ぶことになるのは明らかで、もしかしたら、すでに数人並んでいる可能性も十分にあって……。
良くない今の状況に最悪の事態が脳裏を過ぎる。
お手洗いに入ると、さっきの綺麗な女性が前屈みになって何度も小さく足踏みを繰り返していた。
個室の前で熱い息を何度も吐き、彼女も本当に限界まで我慢していることがわかる。
だけど、私がお手洗いに入ってきたことに気が付き、ほんの少しだけ姿勢を正し、でも手は大切な部分から離さずにじっと個室のほうに向いてしまった。
224
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-4
:2015/02/05(木) 19:38:48
――個室の人と……一人の順番待ち……。
たぶん私の番まで5分も掛からない。
大丈夫、我慢できるはず。――しなきゃダメ……。
でも、学校で酷使され続けた大切な部分が待ってくれない。
まだだと分かっているのに膀胱も小さく収縮し出してはいけない恥ずかしい熱水を吐き出そうとする。
身体をくの字に曲げて両手で必死に抑え込む、それなのに――
<じゅゎ……>
――〜〜〜っ!
また溢れ出す、今度はさっきよりも多くその温もりをハッキリと局部の周りに感じる。
それでも膀胱は収縮し続け、我慢する力を失った括約筋が押し広げられる感覚を感じる。
「あぁ……やぁ……」
――だめ、だめぇ……でちゃうでちゃう……またしちゃうの??
立っていることが出来ずしゃがみ込み踵でグリグリと緩みそうな出口を抑え込む。
我慢できそうな感覚を残しながら、それでいて今すぐにでも簡単に開いてしまいそうな異様な感覚。
あとちょっとが凄く遠く感じて、視界が涙で滲む。
一日に2回もおもらしなんてしたくない――したくないけど……。
「だ、大丈夫?」
必死の我慢に顔を伏せていた私に正面から声が掛かる。恐らく個室の前に並んでいた綺麗な女性。
その人の声は私を気遣う内容だった。
……自身の状態を頭の隅で映像に起こして、顔を上げることが出来なくなる。……恥ずかしい。
「えっと、もう少しだけ我慢できる?」
私の状態を察し、目の前でしゃがみ込み肩に手を置く。
伏せたままの視界にその人の足が見える。
もじもじと小さく揺れるその足は、彼女も限界近くまで我慢していることを物語る。
「もうすぐ…個室空くから、もうちょっと…がんばって……」
自身を襲う強い排泄欲を必死に宥めながら、その言葉の意味を理解する。
私は顔を伏せたまま小さく頷く。……頷くしかなかった。
私よりも年上でずっと綺麗なのに、仕草を隠せずに我慢してる……それがどれくらいつらいのか分かっていながら……。
<バシャー>
大きな水音が、個室の奥から聞こえてくる。
「ほ、ほら……んっ、も、もうすぐだからっ」
私はその熱い息遣いの混じった声を聞きながらゆっくり慎重に立ち上がる。
踵が濡れてる感覚がする。下着もさっきよりも広い面積で濡れた感覚を感じる。
225
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-5
:2015/02/05(木) 19:39:49
――あと少し、あと少し、ぁ、〜〜っ!
<じゅっ…じゅぁぁ……>
また少し溢れて下着が濡れる。
スカートの上から抑え込んだ手にも少し温もりを感じる。
――これ以上はダメ、絶対ダメぇ……溢れちゃう、おもらしになっちゃう……。
<ガチャ>
個室が開く、私は滑り込むように中に入る。
「ぁ、やぁ…」<じゅぅぅーー>
下着の中でくぐもった音が控えめに聞こえる。もう止められない。
扉の鍵を慌てて掛け、スカートを上げて便器に跨り、同時に下着を下ろした。
<しゅぅーーーー>
便器を叩く恥ずかしい音。
太腿、脹脛に間に合わなかった雫が光る。
下ろした下着はこれ以上濡れようのないくらいに恥ずかしい熱水を含んでいた。
「はぁ……はぁ……」
――これって……少し失敗したって程度……じゃ…ないよね……。
当然これはちょっとした失敗ではなく、完全な失敗――おもらしであり、私は今日だけで2回もそんな恥ずかしい粗相をしてしまった……。
悔しくて、情けなくて、惨めで、滑稽で――
<コツコツ>
個室の外で足踏みの音が聞こえ、私を現実に引き戻す。
同時に、荒い息遣いも……。
――は、早く出ないと……っ!
私の膀胱は思ったとおり10秒程度に空になったが、スカートの前が握りこぶし程度に濡れて変色していて
個室の中も沢山汚してしまっていた。
――か、片付けなきゃ!
そう思い、紙に手を掛けるが、失敗を処理できるほど紙の残りが無い事に気が付く。
カバンに何かあるかも知れないと思ったが、個室の外でしゃがみ込んだときに手放していて、手元に無い。
このまま出たら、沢山失敗しちゃったことがバレてしまう。
226
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-6
:2015/02/05(木) 19:40:37
「(やぁ……はぁ……んっ、…んはぁ……)」
外から余裕の無い息遣いが聞こえる。
……恩を仇で返すわけには行かない。
私は最小限の紙を取り、局部と足と下着を軽く拭き紙を便器に落とす。
その後レバーを倒し、下着を上げ――――当然冷たく気持ち悪かった……――――スカートのしみを目立たない横に回して身嗜みを整える。
<コンコン>
「あぁ…は、早く……ねぇ?」
「っ! ごめんなさい、今出ます」
突然催促されて、驚く。私は慌てて鍵を外すとこちらが開く前に、外から開かれる。
「あぁ! もうだめっ!」
その人は滑り込むように入って扉も閉めずに便器に飛びついた。
同時に恥ずかしい音が聞こえ、私は慌てて個室を出て扉を外側から開かないように持った。
「はぁ……はぁ……」<じゅううぅぅーーー>
扉の中から聞こえる勢いのある音。
たぶん私も聞かれていた恥ずかしい音。
私は顔が真っ赤に染まる、人前でなんな恥ずかしい我慢姿だけじゃなく、音消しも出来ずにこんな音まで。
それに、個室の中で溢れさせて……ほんの少し間に合わなくて……。
恥ずかしさから私は視線を下に落とす。
――……え?
個室の外に小さな水溜りを見つける。
――私、個室に入る前からこんなに失敗しちゃってた??
……。
個室の中ではまだ、恥ずかしい音が続いてる。
こんなに沢山……私よりずっと沢山……。
もう一度視線を床に向ける。
……。
可能性の話でしかない。
裏付けるものもまだ何も無い。
だけど……。
――これって、私のせいで……あの綺麗な女性が……?
私が出るのが遅かったから。
私が順番を譲ってもらったから。
こめかみから汗が流れ、唾を飲み込む。
もし本当にそうなら、凄く悪いことをしてしまった。
227
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-7
:2015/02/05(木) 19:41:25
<ガチャ>
中から鍵が掛かる音がした。
「あ、あの!」
私は何か言わなくちゃと思い声を上げる。
中からすぐに返事が来ない。……私は続けた。
「ご、ごめんなさい……順番譲ってもらっちゃって」
中の様子が見えないからどうすればいいのか分からず
罪悪感から胸が痛む中ただ、じっと待つことしか出来なかった。
そして一拍の間をおいて中から声が聞こえてきた。
「……"ありがとう"じゃなく、"ごめんなさい"――なのね……」
私が意味を分からずにいると――
「……水溜り見っちゃったんでしょ?」
そう細い声で尋ねられ、さっきの言葉の意味も理解した。
失敗した……"ありがとう"と言うべきだった。――いや、後ろめたさがあった以上、"ありがとう"とは言えなかったと思う。
私はもう一度扉の外で謝る。
「ううん、私が無理せず電車に乗る前に済ませば良かっただけだから……」
中でごそごそと失敗の処理――――きっと気が付かず私の分まで……――――をしながら説明してくれた。
彼女は大学生で、昼からの講義に出るために大学に向かっていたところで
用事があって電車が来るギリギリに駅についてしまったこと、降りる駅は次の駅だったこと、そこまで我慢するつもりだったこと
我慢できそうになくなって、講義に間に合わなくなるけど、この駅で降りてしまったこと。
しばらくして、彼女が出てくる。
228
:
事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-8
:2015/02/05(木) 19:42:01
「えっと……目立つかな?」
私に濡れているところを涙目で恥ずかしそうに見せる。
黒っぽい色のスカートで、よく見ない限りは分からない。
「だ、大丈夫だと思います……」
それを訊いて、少し安心したような顔をした。
手を荒い、お手洗いを出て駅のホームに向かう。
「もうっ! 今年はトイレ運ないな〜」
彼女は少しワザとらしく明るく言って見せた。
その後、私を見てから少し不思議そうに言う。
「あなた、高校生でしょ? こんな時間に早退かなにか?」
私は肩を跳ねさせる。
でもそれは当然の疑問だと思う。
「えっと……その、…しちゃったんです」
「え?」
「ま、間に合わなくて……その……」
本当のことなんて言わなくてもいいのに……。
そう思いながらも小さな細い声で遠まわしに言ってしまう。
「あっ! ……えっと、ごめん変なこと訊いちゃった……」
気まずい沈黙が続く。
「わっ、私もね……えっと7月始め頃かな? 失敗しちゃったことがあってね……。
しかも、友達の妹の前でよっ! あれは死にたくなるくらい恥ずかしかったぁ〜」
私を励まそうとして明るく、でも真っ赤な顔で話す。
そのとき電車が来る。
そして、ふと疑問を感じて電車に乗る前に尋ねる。
「えっと、これから大学に行くんですか?」
「あ……、私この電車乗っちゃだめなんだ!」
ですよね。
おわり。
229
:
事例の人
:2015/02/05(木) 19:45:21
①とか②を使うとなぜかトリップに……
あけおめです
230
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/05(木) 20:34:03
覗いたら更新来てたぜ!
弥生ちゃん1日に二回も失敗するとは本当運がないね。そこがいいけど
231
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/05(木) 21:42:16
この女子大学生のシチェ良いね。こうゆうの好きだわ大学生が見られてるのを途中で気付いたらのを考えたら萌えるね。
綾菜も今回のシチェ見たいにならないかなぁ
232
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/06(金) 06:15:52
おっ、きてた
233
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/06(金) 11:30:51
イイハナシダナー
234
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/06(金) 22:28:06
ひょっとして花屋のお姉さんかな?なんにせよ、いつも良作をありがとう!
235
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/12(木) 00:05:08
事例の人が圧倒的で気後れしちゃうな
236
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/12(木) 02:58:25
ほかにも投稿者はいるし、気にすることも無いだろう
そんな理由で投稿者が減ってるとすれば哀しいことだが
実質専用スレみたいな始まり方だったし
事例の人が
>>235
のような意見を気にして投下に影響が出るほうがスレ的にまずい
237
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/15(日) 18:16:32
「じわる」に違う意味を見いだした…
ここの人なら理解してくれる気がした
238
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/15(日) 22:51:04
ま、文脈が出来てる場ではな
239
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 05:03:59
重度の頻尿体質の私にとって、毎週末の礼拝はある種の罰だ。いつもは30分で終わるところ、今日は特に大事な時節なので2時間。始まって10分、すでに尿意は高まっている。神父様の味わい深い説教も耳を素通りしていく。足を組み替えたりもぞもぞさせたりしても尿意はごまかせない。
(説教はもういいから、早よ終わってよぉ)
1時間に満たない高校の授業でさえ毎回膀胱がヤバいのに、2時間の礼拝なんてとても耐えられない。
学校では、授業中に一度はトイレに行かせてもらう。今、そういうことはできない。私が席を立てば、親が周囲から白い目で見られるのだ。
思えば、地味に困るこの体質のせいで今まで損ばかりだった。
中学の修学旅行で訪れた沖縄でも、私一人のためにトイレ付き観光バスを手配してもらったり、夜中に5度トイレに起きたり、海に入って遊んでいるうちに身体が冷え、そのまま許されざる罪を犯したり、といった苦い思い出を作ってしまった。早急に忘れたいと思ってる。
(イエス様、はしたない私を憐れんで下さい)
240
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 05:13:40
水滴が膀胱から数粒降りてきた。そうなってしまうと、お腹に力を入れるのはむしろ逆効果なので、出るに任せるしかない。水滴がパンツに吸われて広がる。きっと染みになっちゃってるだろう。
(ううっ、超みじめだよ)
私が澄ました顔で、既に数度ちびってると知ったら周りの人はどう思うだろう。
もう本当に絶望だ。出した量は相当のものになり、だんだんともわっとしたニオイを帯び始めている。もうちびったとかじゃないレベルだ。死が迫っている。目の前に走馬灯が浮かび、今までの人生での、間に合った場面や間に合わなかった場面が流れる。
(イエス様、私はどうしたらいいですか?)
背に腹は代えられず、席を立つ。案の定、周囲の見知った大人たちがジロジロと私、そして私の両親を見る。肩身の狭いだろう両親に謝りながら、教会堂の離れにあるトイレへ急いだ。長い間耐えたと思ったのに、腕時計を見ると礼拝開始から25分であった。
おもらしでベチャベチャになったパンツを脱ぎ下ろし、色のほとんど付いていないお湯を真っ白な陶器の中に思いっきり注ぎながら、私は神様が自分を頻尿に造ったいきさつについて思いを馳せた。
そして、20分ちょっとというしょっぱすぎるタイムリミットを設定し給うた神様を割とマジで呪った。
241
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 06:30:20
最後の晩餐の時、イエス様はパンツをとり、感謝をささげ、弟子にあたえておおせになりました。
「皆、これを取ってはきなさい。これはあなた方のために渡される私の身体である」
長い晩餐の間、トイレへ立つのは無作法だと考え我慢しつづけ、ついにはしくじってしまった弟子達に
イエス様は慈悲を与えたのです。
食事の終わりに、イエス様は杯を取り、弟子にあたえておおせになりました。
「皆、これを受けて飲みなさい、これは私の血、あなたがたと多くの人のために流されて罪の赦しとなる血である」
せっかく履き替えたパンツが、晩餐が終わるまでにまた濡れてしまった弟子達がいるのを見て取り
イエス様は再び慈悲を与えたのです。
弟子達はワインを飲み、そのいくらかを口からこぼして前にしたたらせ、既に濡れていたパンツをワインで濡れたように
装うことができました。
聖餐とよばれるキリスト教のパンツとワインの儀式は
イエス様の身体と血を分かつという名目のもと、
このような頻尿体質に苦しむ哀れな羊たちに救いを示しているのでした。
242
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 12:47:16
昼休み投下
243
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 12:47:58
急に山に目覚めたお嬢は有り余るほどの金にものを言わせ、上等な登山用品一式をためらい無しに揃えた。
今日はそのお披露目の日。お嬢の山ガールファッションにも気合いが入る。両親譲りの整った顔立ちとスタイルに、付き添い一同はしばし見惚れた。
お嬢の山行の付き添いは、屋敷の若い衆全員だ。南アルプス阿利馬山から西尾根を縦走、珠敷峰の頂きを踏む。初心者にしてはハードなルートだ。お嬢は弱音も吐かず、我々に配慮する余裕まで見せながら一歩ずつじわりじわりと登る。
珠敷峰の頂上まであとちょっとという所で、我々は梯場に到り着いた。ラスト前の最大の難関だ。
「李世が先に昇るわ」
勇ましい勢いで梯を昇るお嬢。我々一同は直下の足場でお嬢の姿を見守る。
しかし、ちょうどお嬢の腰が我々の頭上の高さまで来た時、お嬢の手は止まった。
「お嬢、いかがなさいましたか!?」
捻挫をした? 体調が悪いのか? 我々は急いで救急の準備をテキパキと進める。
「もう昇れないよぉ……」
「何か、支障が!?」
「そうじゃないの……」
お嬢の弱々しい涙声を聞いて、我々は事情を察する。お嬢は「手を滑らせたが最後、3000m下の麓まで落ちちゃうのではないか?」と述べる。もちろんそれは杞憂だ。梯から手を離しても、我々の立つ足場より下に落ちる事はない。
お嬢の小心と泣き虫は18歳を過ぎても未だ治っていなかった。
244
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 12:49:06
「とりあえず下から皆で支えますので、そのまま降りてきて下さい!」
「恩に着るわ」
お嬢の足とおしりを数人がかりでしっかり支える。言葉を探し探し、お嬢をなだめる。お嬢はまだ動かない。昇りも降りもしない体勢でピタッと止まっている。その姿を見て、我々は差し迫った状況なのに笑ってしまいそうになる。
そんな状態のまま数分が過ぎた。 突如お嬢が大声を出す。
「みんな、李世から手を離して!」
むろんそんな無責任は赦されない。我々は支える手に力をいれる。すると、お嬢が全身の力を抜いたようで、おしりのもったりした重たさが急に増した。
「もう、やだぁ……………
…………ぁ、ふぁ………………」
お嬢が声を漏らすと同時に、 我々の手に、頭に、ぬるい雨が降る。お嬢のボトムスがシャワーを浴びたようにひたひたになる。ピチャピチャッ、という水が岩場を打つ音のあと、お嬢の失敗は終わった。自分の無様さを受容できず、お嬢はすみやかに失神し、ふらっと梯から落ちた。……
245
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 12:50:22
我々以外に誰もいない頂き。お嬢は隅のほうの目立たない場所で体に残った水をジョロジョロと放っていた。
あの大失敗のあと、お嬢はぎゃん泣きしながらも梯を昇り切った。一つの事を達成したお嬢を遠巻きに見ながら、それでも我々は、彼女の成長をしみじみ実感していた。
246
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/17(火) 21:01:05
お嬢!我々が紳士だなー
247
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 02:13:12
事例氏応援投下
弾切れです。スレ汚しすみません:
248
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 02:15:03
私はエルサレムにいる。
人として生まれたからにはイスラエルへ行かない道理はない、という両親の思い付きの旅。誰もが知る名所を一通り回る旅に、高校の冬休みを利用し私も連れだって向かう事となった。旅行好きの両親のもとに生まれた出無精の私は、慣れない海外での三日間に一抹の不安を感じていた。
私の最大の問題はトイレ。日本での生活で私は、トイレの位置案内アプリを多用している。日本国内の各都市を網羅し、最寄りのサイトを指し示すものだ。
ただ、イスラエルはもちろん範囲外。アプリがカバーしていない地域を訪れる事は、私にとって自死と同義だ。
「お姉ちゃん、角におトイレがあるぞ? 行かないでいいのか?」
旧市街の埃舞う通りを歩きながら父が言う。
「恥ずかしいからやめて、……まだ大丈夫だよ」
「今行っておきなさい。先週のおつかい帰りみたいになったら大変だわ」
母が直近の失態を持ちだして注意を促す。一緒に付いてきた4歳の弟と7歳の妹は、私に配慮してしらんぷりをしている。ありがたいのと同時に恥ずかしい。弟と妹はトイレが信じられないほど遠い。半日ほど行かずとも全然大丈夫なようだ。トイレの不安があるのは私一人だった。
「もよおしたら、漏らす前にちゃんと言えよ、お姉ちゃん。いつでも寄ってやるから大丈夫だぞ」
直球の言葉に私は赤面した。父はからかっているのではない。マジで言っている。
私の真新しい旅行鞄は、三日分以上の着替えが詰まってパンパンだ。もちろん、予期せぬ事態に備えてのものである。両親にとって、旅行中の私の失敗は想定内なのだ。
朝のうちは、トイレに数度寄ってもらったので、ピンチはなかった。そのたびに弟と妹は待たされて不満そうだったが。昼までに名所のほとんどを回り、お買い物も済ませた。ランチでおなかが満たされるとやっと、イスラエルへ来たという感慨がわいた。
249
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 02:24:20
聖墳墓教会はさすがに凄まじい人だかりだ。それなのに、聖堂の中は人の多さに反して静か。錯覚に陥ってしまった気分になる。イエスの歩いた道、ヴィア・ドロローサの末尾。十字架の上の真理と正対する。
ふいに父が、
「O Jerusalem,Jerusalem……」
と呟いた。そのさまが芝居がかっていたので、そばにいたイギリス人のカップルがニヤニヤする。
母は弟と妹の手をしっかり握り離れないようにしている。
教会の内部を彩る装飾に目を奪われ、私は一人教会内の各部屋を回った。紀行や写真でしか見聞きしなかった憧れの場所に今、自分が居るという事実に胸が高鳴った。旅行に来て初めて素直に楽しいと思った。
教会堂の中央では典礼が絶えず執り行われている。私は伝統的なその儀式を眺めてうっとりした。
250
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 02:29:47
教会の中は簡単に見通せるほどの広さだった。人を見失うはずはない……そう思ってた。
(みんな、どこ行ったの?)
両親、弟、妹。みんなを見失って私は一人だった。心臓が早鐘を打ち、心細さから目が潤んでしまう。周りを見回すが、姿は見当たらない。みんな、もう外に出てしまったのだろうか。私は置いて行かれちゃったのだろうか。
教会の外へ出ると、目の前には砂っぽい異国の街並み。不安がごまかしきれなくなる。
(天にまします我らの父よ……)
思わずとっさに祈る。それしかできなかった。
お腹にたぷたぷと水が溜まってきた。頭が真っ白、そして手のひらの脂汗がひどい。姿勢がつらいのでその場でへたり込んでしまう。
教会の入口で一心に祈りながら地べたに座る私を見て、周りの観光客が手を差し延べる。私が信仰心から感極まり、取り乱していると勘違いしているのだ。私は外国語でなだめられる。彼らの手を取りなんとか立ち姿勢を戻した。
その姿勢がダメだった。
(うぁ……!)
太ももからふくらはぎへ、筋になって温かいものが走る。最初、下着から血を垂らしてしまったのかと早とちりした。でも、血ではない、もっとさらさらした液体だ。父達を探すのに夢中で尿意をすっかり忘れていたが、私は無意識の内におもらし寸前まで我慢していたのだった。恥ずかしさより、湿った下着やタイツが肌にはりついている気持ち悪さの方がまさっていた。
(もう、死ねるわ私)
親切な観光客たちに慰められながら、私は焦点の合わない目でエルサレムの街並みをみつめていた。ローファーの中の足の裏にぶちゅっとした水っぽさを感じながら、今年に入って三度目の信仰否認をした。はっきり意識があったのはそれまでだった。
251
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 12:37:14
水遊びの大好きなお嬢のために我々はマイクロバスでいつもの場所へ向かった。夏に入ってから毎週のようにお嬢にせがまれている。岐阜の山あいの道をしばらく進むと、お嬢お気に入りの水遊び場に到着する。水遊び場といっても、人の見当たらない川の下流の天然の溜まりである。
岸辺に用意したついたての中で水着に着替えたお嬢は待ちきれないとばかりに溜まりへ入る。
「お嬢、水の色の変わってるところへ入ってはダメですよ!」
「承知したわ」
「それから、お疲れの時はいつもの通りアイツが道の駅まで運転しますので、なんなりと」
「ありがと! ねえ、みんなも遊ぼ!」
お嬢は何度来ても非常に楽しそうにするので我々としても連れて来甲斐がある。
252
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 12:41:16
昼、幼い娘を連れた若い夫婦が林道側から溜まりへ入ってきた。溜まりで人を見るのは珍しい。父親は我々を一瞥する。
「ほら、今日はお兄ちゃん達が遊んでるから、また今度な」
「いや! 今日遊びたいの!」
「姫、ワガママ言わないの」
我々は余りにいたたまれないので、帰ろうとする二人を呼び止める。
「占用してしまってすみません、よろしかったら彼女と遊んでやってもらえませんか?
ついたても有りますんで、どうぞお使いください」
母親は明らかに不審な目をしているが、姫ちゃんはとっても嬉しそうだ。
253
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 12:45:24
お嬢と姫ちゃんは直に仲良しになり一緒に遊び始めた。お嬢のふわふわだった髪は濡れてちょっとぺたっとしている。姫ちゃんの両親と我々は二人を岸辺から眺める。
「姫ちゃんは5つなんですか」
「そうなんです。来年は小学生なのに、利かん坊で、気に入らないことがあると大泣きしたりして……」
「お嬢とおんなじだな」
談笑していると、姫ちゃんが不意に我々を呼んだ。
「みんな、李世ちゃんが変!」
お嬢に目をやると確かに顔色が悪い。我々はとっさに足をつってしまったのだと直感した。
「え? 李世なんともないよ? ホントなの、みんな信じて、李世なんともないの!」
お腹まで水に浸かり、屁っぴり腰のまま止まっているお嬢。足をつってしまったのは明らかだ。そのまま一分間、静かな溜まりは時間が止まってしまったかのよう。
目をつむって身体を緊張させているさまはとてもつらそうで見ていられない。我々はもどかしい気持ちだった。
お嬢の頬がホッと緩み、そのままじゃぶじゃぶと岸辺へ歩いてきた。
「なんだかお屋敷に帰りたい気分になっちゃったわ」
「お嬢、足は大丈夫なんですか?」
「足??…………ええ、ええ、大丈夫よ。じゃあ、ついたてでお着替えするね」
目が泳いでいるお嬢。我々につらいそぶりを見せまいとするいじましさが胸を打つ。ついたての中で、鼻歌までうたって。
254
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 12:50:53
「バイバイ、姫ちゃん」
親娘にさよならを言うと我々はバスを発車させた。お嬢の顔には血が戻っており、むしろ頬に赤みがさしているほどだ。お嬢はいつも以上に饒舌だった。
「お屋敷が恋しいの。帰り道、急いでね」
「お嬢、本当に気分はよろしいのですか?」
「ええ、本当に大丈夫。
……遊んだらおなかがすいちゃった、お夕飯が楽しみね」
お尻を落ち着きなさそうに気にするお嬢を乗せて我々は帰路を飛ばした。
「さっきから変なにおいがするの。何のにおいかなぁ?」
「そうですか? 我々には感じませんが……」
255
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 13:42:39
賑わってきたというより
とっ散らかってきたように思えるのはなぜだろう
256
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 17:33:11
失禁描写がアッサリなのがアレだな
257
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/18(水) 19:46:24
確かにもう少し描写が欲しいのは同意だけど、こういうのも嫌いじゃないな
千夜一夜の初期頃はこういう作品のが遥かに多かった
むしろ長編の濃い描写が大作などといわれてた稀な作品だった
258
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/19(木) 00:39:37
1スレ目を思い出す
259
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/19(木) 02:18:55
初期スレ見てきたが勢いとフェティッシュと謎設定に溢れていて笑える
260
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/19(木) 03:40:24
それにくらべると今は・・・
261
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/23(月) 00:02:36
俺は今の方が好き
262
:
名無しさんのおもらし
:2015/02/23(月) 00:53:07
今の看板作品は好き(特に初期)
小説スレとしては申し訳ないがあまり…
昔は珍妙な設定やちょっとした感想のやりとりにもリビドー直撃するようなものが多かった
初期千夜一夜は良くも悪くも独特すぎたな
263
:
名無しさんのおもらし
:2015/03/01(日) 14:11:29
>>256
描写があっさりなせいではないとおもう
264
:
名無しさんのおもらし
:2015/03/21(土) 00:20:46
すっかり過疎ってるな
265
:
名無しさんのおもらし
:2015/03/27(金) 00:58:20
事例さん来て!
266
:
名無しさんのおもらし
:2015/04/06(月) 14:38:52
事例の人忙しいんかな?
急かしてるふうになると申し訳ないけど
267
:
名無しさんのおもらし
:2015/04/06(月) 23:57:40
>>4
EX 3/14
>>16
6前 4/17
>>36
6後 6/1
>>60
追3 6/4
>>73
2.1 7/7
>>84
7 7/21
>>156
8 10/18
>>188
8裏前 12/2
>>221
8裏後 2/5
2ヶ月開きってことも珍しいことではない
調べるためにさかのぼってみたが目次代わりにもなるかな
事例作品以外が思ったよりあって意外だったが
書き手同士の交流はほとんどなかったり
事例の人も感想に対するレスポンスがあったりなかったりいろいろなんだな
268
:
事例の人
:2015/04/07(火) 01:07:58
遅筆で申し訳ない
事例9の文章の方は大方出来上がってますが、挿絵が準備できてないので――遅くても4月中には
感想に対するレスポンスはしたつもりで実際はしておらずタイミングを逃したとか
応答すると長くなりそうな場合、他の方が書き込みにくいかな……と悩んでたり色々です
感想などいつもありがとうございます
269
:
名無しさんのおもらし
:2015/04/07(火) 14:00:09
期待してます!
270
:
名無しさんのおもらし
:2015/04/08(水) 01:54:12
事例の人の挿絵やイラストは
荒削りだけどなんというかこの趣味における萌え要素をしっかり捉えてて好き
271
:
事例の人
:2015/04/17(金) 00:59:17
>>269-270
ありがとう!
272
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。1
:2015/04/17(金) 01:01:03
静まり返った廊下。
校庭では朝の部活動を行う人もいるが、校舎内にいる生徒は極少数。
私は一人廊下に張り出された“結果”を深呼吸して――覚悟を決めて見上げた。
――っ……朝見さん…やっぱり一番左側……。
そのすぐ隣には一番見慣れた自身の名前が見て取れた。
私は嘆息しながら視線を落とす。
勉強で誰かに張り合おうなんて思ったこと高校入試の時を除いて考えたこと無かったが、今回ばかりはちょっと悔しい。
私はその場を離れ教室へ向かう。
自覚できる程度にはゆっくりとした歩幅……。
思った以上に私は落ち込んでいるらしい。
それは順位で負けたことにではなく、たぶん――
「……」
足を止める。
私はそんなにも朝見さんとの仲を回復したいのだろうか。
回復……もとより好感度がプラス側になったことは無いのだろうけど、今の関係は何かと厳しく言われていた時よりも酷く、そして辛く感じる。
そんなことを考えていると正面から朝見さんが歩いてくるのに気が付く。
教室とは方向が違うから一瞬疑問に感じたが、すぐに理解した。
同時に何もない廊下に立ち止まっている自身の不審な行動を理解して慌てて足を前に出す。
そしてすれ違う。
朝見さんは視線を私に向けず――いや、態と視線を外していた。
「はぁ……」
朝見さんに絶対に聞き取られない程度に離れてから胸を撫で下ろしながら嘆息した。
無視されていようがなんだろうがやっぱり苦手なものは仕方がない。
とりあえず仲直りは失敗。
というか、勝つとなぜ仲直りできるのか知らないけど。
――あとで皐先輩に文句言ってやろう……。
「出来ますよ、綾菜さんなら……」とか言う妄言を信じた――わけではなかったけど
無根拠で無責任な態度に無性に苛立ちを感じてきた。
朝見さんが泣きながら――っと言う件も私と朝見さんを生徒会に入れるための方便だったんじゃないかとさえ思える。
今更ながらではあるが、あの朝見さんが泣くとは思えない。
教室に入り自身の席に座る。
時計を見ると朝のHRまであと30分もある。
クラスでも数少ない話し相手、まゆと弥生ちゃんも居ないとなると時間の使い方が分からない。
そんな理由もあって普段はそれなりにギリギリに来るわけで……。
私は席を立つ。クラスメイトが来た時こんな朝早くから無駄に長時間座ってるところとか見られたくない。
だけど、教室を出たところで行くところもなくフラフラと校舎をふらつく。
気が付くと、また中間テスト順位の張られた廊下にまで来ていた。
273
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。2
:2015/04/17(金) 01:01:46
――っ! 朝見さんまだ居る……。
ここで引き返してもいいのだけど、もし後姿を見られたりしたら
明らかに途中で引き返したことになり……なんだかいやだった。
こっちに来てしまったことを後悔しながら、私は可能な限り足音を立てずに後ろを通り過ぎようとしたが……振り向かれた。
「…っ!」
振り向いた朝見さんは目を丸くして驚いた。
「あ――……」
朝見さんは言葉をつむぎ掛け、すぐに視線をそらし口を手で押さえて逃げるようにその場から居なくなる。
何がなんだか分からず、朝見さんが見ていた順位に自然と目が行く。
何度見ても変わらない。一番左が朝見さん、次点で私。
「やっほーあやりん! 何見てるのーって順位発表かー」
私に駆け寄り、後ろから肩越しに話しかけてくるまゆ。
どうして順位に興味のないはずのまゆがここに居るのか少々疑問に思うが
まゆの行動理由は良くわからないことが多いので、気にするだけ無駄かもしれない。
「……おは――」「わぁ! 凄いじゃんあやりん!!」
挨拶を返す隙もなく順位を見ながら後ろから私の肩を持つ。
確かに2位ってだけでも頑張った方だとは思うけど。
「あやりんも1位なんて吃驚だぁー」
――え?
私は1位という言葉に驚きもう一度順位発表を見る。
確かに一番左は朝見さんで、次点で私。何度見ても変わらない。
だけど……私は名前のもう少し上に視線を向けた。
朝見さんの上には1と言う文字。そして私の上には……。
「……1?」
更に横に視線を移動させると3と言う文字が記載されていた。
つまり――
274
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。3
:2015/04/17(金) 01:02:44
――
――
<キーンコーンカーンコーン>
三時限目が終わり休み時間開始を告げるチャイムが鳴る。
私は席から動かず、惚けてしまう。
「おーい、あやりん?」
気が付くと目の前には呆れた顔のまゆがいた。
「……えっと、なに?」
私のその態度に少し困った様にして言った。
「さっきからずっと呼んでたんだけどねぇ……」
「……え、ご、ごめん」
どうやら、呼ばれる声に私が気づいた時には既に何度も私を呼んだ後だったらしい。
そんなに惚けていたとは……失敗した。
『ん……お手洗い……行っておかなくちゃ』
不意に『声』が聞こえてくる。――この『声』は……弥生ちゃんみたいだ。
横目で弥生ちゃんの姿を捉えると、一人パタパタとした動きで教室を出て行くのが目に入った。
トイレ……『声』が聞こえたのだから当然私も催していた。
朝済ませてから行っていないし、『声』を聞くために朝は多めに水分を取っているから当然といえば当然。
「あやりーん?」
余所見をして考え事をしていると不満げな声が聞こえ、私は再度まゆへ視線を向ける。
すると、嘆息した後周囲を軽く見てから小さめの声で言った。
「呉葉ちゃんとバドミントン組むことになったの気にしてる?」
私は苦虫を噛み潰したような……と、まではいかないものの、図星をつかれて視線を逸らしながら無表情を崩した。
さっきの時間で体育祭――――と言っても運動会のような大きな行事ではなく、いくつかのスポーツをクラス対抗でするレクリエーションのようなもの――――の
出場競技を決めることになって、先生の突飛な企画により、全員くじ引きで競技を決めるという非常に迷惑なこと極まりない方法で
私と朝見さんが、バドミントンのダブルスに決まってしまい、どう接するべきかでものすごく頭を悩ませていた。
275
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。4
:2015/04/17(金) 01:03:32
「何があったか知らないけど、仲直り……したいんでしょ?」
私はその言葉に驚いてまゆの方を見る。
「勉強頑張ってたのも、気を引くためなんじゃないの?」
「ち、ちがっ――……そんなんじゃ……」
私は顔に血が上るの感じる。真っ赤になって否定して馬鹿みたい。
実際仲直りできると聞いて勉強してたんだから強ち間違いではないし……。
――というか、勉強頑張ってたのバレてたんだ……。
学校じゃ頑張ってるのを隠していたつもりだったのだけど――
「バレてないと思った? なんとなく分かったし、ノート見た時に確信できたよー」
らしい。恐るべしまゆ。
もしかしたら朝成績の貼り出しを見に来ていたの私の順位を見るためだったのかもしれない。
――ん……。
不意に尿意の波を感じた。
――トイレ行っておいた方がいいかな……。
弥生ちゃんもトイレへ行ったし、めぼしい『声』も今は無い。
このまま我慢を続けても無駄になる可能性も十分にある。
何より、このまま次の授業を受けるには少し尿意が強すぎる。
私は椅子を引き立ち上がった。
「あ、そろそろ行く?」
「……え?」
「だから更衣室でしょ?」
――あ……そっか、次は体育だっけ?
「……体育って今日何するんだっけ?」
「さっき先生言ってたじゃん、体育祭の練習って、だから……あやりんは呉葉ちゃんとバドミントンだろうね」
……。
私は嘆息して肩を落とした。
276
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。5
:2015/04/17(金) 01:04:27
――
――
私はバドミントンのシャトルを拾いながら、少し後悔していた。
――トイレ…行けなかったなぁ……。
四時限目が体育であることを失念していた事と、着替えた後に向かったトイレが混んでいたことで済ませることが出来なかった。
すでにそれなりに辛いと思えるほどには溜まっているし、更に10月中旬にしては少し肌寒い日であり……辛い。
「はぁ……」
嘆息しようと息を吸った時、朝見さんが嘆息する。私は静かに息を吐き、少し視線を落とす。
だけど、会話しないわけにも行かない。「関わらない」と言った朝見さんもこういう時くらいは多少は反応してくれるはず……。
「……えっと、朝見さん……はい、シャトル」
「えぇ、…ありがと」
――……あー、うん、気まずい。
バドミントンの競技に選ばれたのは私たち以外に4人居る。
とりあえず、ダブルスのもう一組の二人と適当にラリーしているのだが……ほとんど会話が無い。
もともと私も朝見さんも他人と話すほうではないし、相手の二人もくじ引きで選ばれただけあって仲が良い訳でもない。
試合形式にしようとか言うこともせず、黙々とラリーしているだけ……。
トイレには行きたいし、気まずいし、誰の『声』も聞こえないし……早く時間が経つことばかり祈っていた。
横目でバスケットの競技に選ばれたまゆを見る。元気が良くて、周りを巻き込んで汗を掻いて楽しんでる。
改めてまゆがいない時の自分のダメさ加減を理解する。
――ブルッ……
尿意の波に身体が震え、そわそわと動かしたくなる身体をラケットを握り締め宥める。
寒さもそうだけどいつもと違う環境で緊張してしまっているのも原因かもしれない。
私は体育館の壁に付けられた時計を見る。
――……あと10分か。……我慢できないわけでもないし、着替えも後回しにすればいいし……頑張ろう。
「はぁ……」
また隣で少し暗い顔で朝見さんが嘆息する。私はそれに気が付かない振りした。
277
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。6
:2015/04/17(金) 01:05:30
<ピーー>
先生のホイッスルの音が聞こえる。
授業終了3分前、どうやらやっと終わりらしい。
「もう良い時間だからそこまでね、今日の日直は倉庫へ使ったものを片付けてから昼休みにしてね」
先生はそれだけいうと体育館を出て行き、それに続くように他のクラスメイトも順番に出て行く。
――日直か……。
今日の日直は朝見さんと檜山さん……なのだけど、檜山さんの競技はミニサッカーなので外で行われていて、この場にいない。
……凄くトイレに行きたいんだけど――手伝った方がいいよね?
視線を朝見さんの方に向けると既に片付けのために行動していて、私も無言でそれを手伝うことにした。
「あやりーん、呉葉ちゃーん手伝うよ」
まゆがそういって私たちに駆け寄る。
朝見さんが小さくお礼を言ったので、私もそれに続いた。
バスケットボールやバドミントンのネット、ポールはともかく、得点板とか使わないなら出さなきゃ良かったと思いながら、片付けを続ける。
朝見さんと狭い倉庫に入り、得点板をなるべく邪魔にならない奥のほうへ入れ込む。
……?
どうも朝見さんがさっきから何か焦っているように見えるけど……。
「ねぇ、ここ置いておくよ?」
倉庫の入り口の方でまゆの声が聞こえる。
「……それで全部?」
「うん、全部かな? 先教室戻ってるねー」
「……うん、ありがとう」
本当は残って居てくれると気まずくならずに済むのだけど……仕方が無い。
片付けの作業を再開する。だけど――
<ガッシャーン>
大きな音が倉庫の扉の方から聞こえて驚き振り向く。
扉が閉まってる……今の音は何かが倒れる音と、扉の閉まる音。
「黒蜜さんよ。多分ポールの置き方が悪かったんじゃないかしら」
「……そうだね」
朝見さんが私に視線を向けずにつぶやいたその言葉に、私は短い台詞を返す。
会話といえるかどうか分からないが、朝見さんから話してくれるとは思ってなかっただけに――ちょっと嬉しい。
278
:
事例9「朝見 呉葉」と聞こえない『声』。7
:2015/04/17(金) 01:06:33
倉庫の中での作業を終えて、まゆが運んでくれた物を倉庫に入れるため、扉に手をかける。
<ガチャン>
「……あれ?」
<ガチャン、ガチャン>
上手く開かず再度何度か引くが、何かが引っかかり5cm以上開かない。
ここ数年前に付け替えられた様な綺麗な引き戸で、今までに私が経験した中では、こんなに開き難いなんて事を感じたことは無い。
私はもう一度引いてみるが、やはり開かない。
「開かないの?」
「……うん…あ、もしかして――」
私は引き戸に顔を近づけて隙間――――開く方でない方――――から外を見る。
そこにはバドミントンのポールと思しきものが心張り棒のようになっており――最悪……開かないわけだ。
私の行動を見て朝見さんも状況を察したらしく、すぐに扉を叩いて、体育館の外の誰かに気が付いてもらおうとするが――
「うそ? もう誰も居ないの?」
体育館からは物音ひとつせず、ただ、扉を叩く音が響いているだけ。
皆が出て行った後、まゆだけが手伝っていたし、誰も居なくて当たり前……。
次がお昼休みなのも運が悪い。
「……携帯もないし……閉じ込められた? っ……」
私は落胆すると同時にことの重大性をある欲求から理解した。
――トイレ……どうしよう……。
片付けなんて本当はしたくないくらいにトイレに行きたかったし、着替えも後にして先に済ませようとさえ考えていたくらいだ。
もし、昼休みの間ずっとこのままなんてことになれば、正直危ないかもしれない。
せめてもう少しまともにバドミントンをしていて、汗を掻いていたならその分体内の水分を失うことになっていたと思うが……。
私は横目で朝見さんを見る。また、朝見さんに恥ずかしい姿を見られるなんて事絶対に避けたい。
出来るなら我慢してること事態気が付かれたくない。
思い出したくも無いバスでのことが脳裏をよぎり、息苦しさと、ざわざわした感覚が私を襲う。
――……冗談じゃない、あんな思い二度と感じるなんてこと……。
……大丈夫、まゆや弥生ちゃんが気が付くはずだ。朝見さんと私が居ないとなれば、更衣室や体育館を見に来る。
そんな時間は掛からないはず、30分――いや、早ければ20分程度で……。
……?
横目で見ていた朝見さんの動きがどうも落ち着いていないように見える。
ついさっきも焦っているように感じたし、閉じ込められたと分かってすぐに扉を叩いたのも、いつもクールな朝見さんらしくなく違和感を感じた。
私と一緒に閉じ込められて苛ついている、もしくは単純にこんな事態になったことに不満があるのか。
「……はぁー…」
バドミントンしている時よりも少し深く嘆息して、不安げな顔をしたあと私の視線に気が付き、慌てた様子で身体ごと後ろを向く。
体育をするために後ろで纏められた髪の間から見える耳が、少しだけ赤くなっているように見える。
私も朝見さんから視線を外して、二人っきりである気まずさ感じつつ、彼女の不信な行動について考え、ある答えに辿り着く。
――……朝見さんも我慢してるんじゃ…?
だけど、その答えには疑問が残る。
なぜなら、仕草に出るまで辛い尿意を抱えている朝見さんの『声』が今の私に聞こえていないから。
私はその答えを否定する。
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