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おもらし千夜一夜4

1名無しさんのおもらし:2014/03/10(月) 00:57:23
前スレ
おもらし千夜一夜3
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/sports/2469/1297693920/

129名無しさんのおもらし:2014/09/08(月) 00:21:29
わくわく

130名無しさんのおもらし:2014/09/08(月) 13:49:01
羞恥心強い子の我慢は最高だな

131名無しさんのおもらし:2014/09/09(火) 19:45:07
わっふるわっふる

貴殿が書いた作品他にもあったら是非読みたい!

132名無しさんのおもらし:2014/09/15(月) 19:07:22
超期待してるんだけど、そろそろ書いて欲しかったり
途中で止めるのは過疎だからってよくないと思うのです

133名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:09:47
藤花の家についた。時間は9時15分。約束は30分だからこれは少し早すぎた。
目が覚めてから4時間近くもの間、トイレに行きたくて気が気ではないよし子にしてみれば
これでも何度も自分を抑え、電話をかけてもいい時間までじりじりと待ち、出かける頃合いの時間まで
自分に言い聞かせて我慢し、百歩どころか万歩譲ってトイレへの出発を遅らせてきたのだ。
今からもう15分もどうやって待てというのか。
しかし本来は午後に会う約束を、トイレを借りたいという口が裂けてもいえない個人的理由のせいで
乗り気でない藤花に無理に予定を朝に変えてもらった負い目はよし子にある。せめて10時ならという藤花に
それでは試験範囲を押さえるには時間が足りないからとさらに無理を言って早めてもらった結果が9時半。
ここでその約束の時間を15分も勝手に早めて押しかけるなんて許されないだろう。
でもよし子のおしっこ我慢はもう最終局面まできてしまっている。
何度かちびってパンティをかなり湿らせてしまい、新しいのにはきかえているほどだ。

134名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:13:54
おしっこで汚してしまったパンティをはきかえるというのは、行くところまで行ってしまった状態である。
よし子は、小学校の間に何度か保健室のお世話になった以外では、
周囲にばれるおもらしとはいかないまでも、ちびりの範囲を越えて致命的に濡らしてしまったパンティを
駆け込んだトイレに捨てて帰ったり、帰り道に裏道に隠れて目撃は防げたが完全におもらししてしまったり、
自宅のトイレには辿りついたものの、トイレの中で間に合わなかったりと、
人目につかずに済んだだけでパンティをおしっこで汚したことは何度もある。
ただしそんなときには我慢しきれなかったおしっこが全部出てしまっているか、駆け込んだトイレで不特定の他人の気配を
気にする心理的余裕もなく、濡らしたパンティの始末がてらおしっこを済ませてしまったりで、
安心できる自宅で新しいパンティにはきかえる時には、よし子が我慢できなかったほどの激しい尿意は解消されているのが普通だった。
いつおもらししてしまうか分からないほどの尿意がまったく解消していないまま、おしっこで濡らしたパンティを
新しいのにはきかえるのはよし子にとってはかつてないことだった。
しいて言えば、クラス別に順番が決められたことと、途中渋滞がありスケジュールがタイトになったせいで、
トイレ休憩ないまま移動を続けたバスがホテルに着くと、トイレに行く間もなく入浴することになった小学校の修学旅行のときに
よし子は少し似たような状況に置かれたことはある。ぐずぐずせずにただちに入浴しなければならなかった一組女子が
先を争って大浴場の脱衣場の1つしかないトイレに詰めかけるのにももちろんよし子は加わらず、かといって
バスでもトイレ休憩がなかったのに、ホテルに到着し長ったらしい諸注意から解放されやっとトイレに行けるかと思えば
自分達だけトイレに行く暇はおろか部屋に荷物を運ぶ時間も認めず強制的に入浴に急きたてられた酷い扱いに腹を立て、
我慢できなかったこともあって開き直って貸切り大浴場で示し合わせておしっこ競争をくりひろげた十数名の中にも参加しなかった。
一人おしっこを我慢しながら入浴したよし子は、さすがにもじもじ落ち着かないのは隠せなかったけれど
小学校でもたいてい朝から給食がおわる昼休みくらいまではトイレなしで過ごすことの多かったよし子には
我慢できないほどではなかった。
体を洗い清め、新しいパンティをはきながらよし子は大きな違和感があった。普段パンティを下ろすのはトイレで用を足すとき、
つまりパンティを上げるのは用を足し終えたあとのすっきりしたとき。それに比べておしっこをずいぶん我慢した状態でパンティを
上げる感覚は、おしっこをしていいのにおしっこをしないままおしっこをしたことにして自分やみんなをあざむいているような不思議な感覚だった。

135名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:16:38
元々他人の気配が気になっておしっこをすることができないこともあるよし子は、学校でトイレに行くときは
仲良しの友達の前の順番、つまり自分の番のときによく知った子がドアの前で待っている状態ならなんとか安心できた。
裏を返せば、ちょっとした巡り会わせでその並びにならなかった時には、個室には入ってもおしっこをしないまま出ることになる。
そんなときよし子はまわりをあざむいているようなつもりはないし、自分はこういう生き方だから仕方ないと思っている。
それと比べてかなりおしっこを我慢したままで新しいパンティをはいた修学旅行のときの感覚は、自分をごまかしているような
変な気分になった。プールの中でおしっこをしてしまうという考えもないよし子は水泳の授業のあとにもおしっこを我慢しながら
脱いでいたパンティをはくことは何度もあったが、そのときにはそこまで変な気はしなかった。

その違和感の正体が今のよし子にははっきりわかっている。
小学校、中学校とおしっこ我慢で辛い思いをしたことは数え切れない。限界を超えてしまったことも何度かある。
でも心身ともに成長した高1の今のよし子の我慢は、限界を超えておもらしにいたるほどの小さいころの我慢と比べて
何段階か上回っているのは確かだ。小さい頃も膀胱がジンジンうずいておしっこの形が目をつむれば分かるほど
おしっこがしたくてたまらないということはあった。そんな時と比べても今よし子が我慢してるおしっこの方がはるかに辛い。
一時間ほど前、よし子がウェットティッシュで拭き、パンティを替えたとき、前夜からのおしっこがたっぷり溜まった
よし子の膀胱は本当にパンパンで、下腹部が見慣れない膨らみ方をしていた。ひょっとすると高校の帰りにコーヒーショップで
ひたすらおしっこを我慢している頃にはいつもそのくらい膨れ上がっているのかもしれなかったが、
そこまでおしっこを我慢したまま自分の裸体を見る機会はいままでなかった。ちびったおしっこの痕跡をふき取ろうと
かがみ込むと、その動きで膀胱が圧迫されるのがずっしりと分かる。こんないつおしっこがもれるか分からない
今までの人生でも有数のおしっこ我慢をしながら、おしっこを解放することなしに新しいパンティに下腹部をおさめる。
これまた、いつもパンティを身に着けるのとは大きく違う手ごたえ。下腹部のボリュームアップでパンティがきつく伸びきっている。
こんなにまで体も心もおしっこをしたいと切実に訴えているのに、おしっこをすませたあとの、おもらしなんてするおそれは何一つない
すっきりした「つもり」を、新しいはきかえたばかりのパンティはよし子に強要するのだ。
すっきりさっぱりと尿意に悩まされることなどまるでないかのような、白鳥のような優雅な気分。
その裏には一瞬でも気を緩めれば確実に盛大なおもらしが始まってしまいそうな、一瞬たりとも気を抜けない
水面下で水をかくような必死の努力。
このギャップが違和感の源だ。
だが、見方を変えれば、新しいパンティに替えたことがよし子をすっきりした気分にさせ、リフレッシュ感を与えたおかげで
よし子は起床後、いや起床前から続く激しい尿意の責め苦に今もこらえつづけることができているともいえる。

136名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:17:47
あと十数メートルでトイレ!
よし子にとって唯一最大の砦であった自宅のトイレに気を許せなくなってしまった今、
昔何度も使ったなじみのある藤花の家のトイレが最後の希望だ。
姉が出てくるまで、ストーキングの危惧に対し態度を決めるまで、藤花に電話をかけるまで、
そして家を出るまで、どれほど最大の欲求を先延ばし先延ばしにしてこらえてきただろう。
それなのにあと15分は目の前の家を訪ねるわけにいかない。
家の前でじっと佇んでいるなんて不審者だ。それにじ15分もじっとしているなんて想像するだけで気が遠くなる。
なにか気のまぎれることは。15分もあればよし子の家までもう1往復だってできそうだ。
なにか取りに帰ろうか、と自宅を思い浮かべたとたん、尿意の責め苦に疲弊した心身は
条件反射的に自宅のトイレを思い浮かべた。毎日ギリギリの我慢しながらそこだけをめざして帰っていく聖地だ。
よし子の膀胱がきゅんきゅんと疼く。
じっとしていてはもれてしまいそうで、よし子は考えずに自転車を漕ぎ出した。

あてがあるわけでもなく、パンパンの膀胱をかばいながらもじっとしていられずこぎ続ける。
信号にさしかかると、じっと止まっていることを想像するだけでももれそうで、つい青信号のほうに渡ってしまう。
そういえばこっちの道はなんだっけ、と尿意に占有されて回転の鈍った頭脳が注意を促すが、答えは間に合わない。
目の前に開ける景色を見ながらやっと結論に至る。ここは私道だからこっちにいくと行き止まりだったはず。
もう奥まで入ってしまった。Uターンできるほどの道幅もなく、よし子は自転車を降りて向きをかえなければならなかった。
サドルをまたいで大きく脚を上げると膀胱が圧迫される。数時間休みなく戦い続ける括約筋がおしっこの突破をまた許してしまい、
あわてて左手が押さえにまわる。次の瞬間よし子はわれに返って手をおおあわてではなし、きょろきょろとあたりを見回す。
多分見られてはいないはず。よし子は向きをかえた自転車に勢いをつけて飛び乗り、激しくなった尿意にあわせるかのように
やけくそ気味の乱暴なこぎ方で自転車を加速させた。

137名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:18:39
途中、小学校を通った。よし子が数年前に使ったトイレが今もあるはずだ。
学校は休みだが校庭は子供達が遊べるよう開放されている。体育館横のトイレなら校庭からでも行ける。
よし子は小学校のトイレを使いたい誘惑にかられた。校庭で遊んでいるのはほとんどが男の子たちだ。
女子トイレには人がくることは少なそうだ、とよし子は計算をめぐらせる。
だが、高校生のよし子が一人で小学校の校庭に行くのもなんだか変だ。職員室に挨拶にいく?
それに体育館横のトイレに行くとなると校庭の男の子たちの視界を思いっきり横切ることになる。
遊具やベンチや水のみ場はちょっと方向がちがうし、他には倉庫やせまい通路があるだけだ。
部外者のおねえさんがトイレだけ借りて帰っていったというのが子供達全員に一目瞭然になってしまう。
それだけではない。小学校のこっちの門には自転車はとめてはいけないことになっている。狭い門なので
一時的にとめるだけでも目立ってしまうし、子供達も日頃からしつこく言いきかされているはずだ。
ここにとめれば子供達にとがめられ面倒なことになるにちがいない。学校の周りを走りながら、よし子は
校庭につづく西門を通り過ぎた。裏門の駐輪場にとめればいいが、そっちだと職員室がすぐで、どう見ても小学生に
見えないよし子なら声をかけられるだろう。一言や二言のあいさつですめばいいが、話が長引けばその間
じっとおしっこを我慢できるかどうか自信がない。そう考えながら角をまがり、裏門も通り過ぎる。
正門も自転車をとめてはいけない。しかも正門からだと校庭からトイレまで長い距離を横切らなくてはならないし
職員室からも見通しがいい。よし子はやっぱり西門に無断駐輪してトイレだけは借りてしまおうか、それとも
みんなに見られるのんだからやめようかと迷い2周目にさしかかった。だが気持ちの天秤はトイレ目当てなのが
みんなに知られることや無断駐輪のトラブルのマイナスの方が、おしっこから解放されるというプラスを上回った。
よし子は小学校を2周すると藤花の家の方にこぎだした。

138名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:19:31
9時25分。5分前だがこれなら許容範囲だろうと考え、よし子は藤花の家の前で自転車を降りた。
玄関のドアの前まで来て、きょろきょろとあたりを見回し、視線がないことを確認すると
よし子は両手を重ねて股をぐいっとまさぐり、股に手をはさんだまま腰をもじもじゆすった。
何時間も何時間も孤立無援で戦ってきたおしっこの出口にひとときのリフレッシュを与えるためである。
藤花と会ってからしばらくの間、おしっこを我慢しているそぶりも見せるわけにはいかない。
もじもじそわそわと落ち着かなかったり、変な姿勢になったりしていると、トイレが目当てで藤花の家に来たこと、
さらにはトイレを少しでも早く済ませたいので約束の時間を早めたことまで気づかれてしまうかもしれない。
よし子は手をはなしかけてからやっぱりもう一度その部分を揉むように動かし、それからインターフォンを押した。

139名無しさんのおもらし:2014/09/21(日) 13:49:58
更新来てた!
葛藤良い、最後の1行良い! GJ
次の更新が早いことを期待してます

140名無しさんのおもらし:2014/09/24(水) 03:16:46
下腹部膨らんでるという描写がいいね

141割り込みすみません:2014/10/05(日) 23:32:55
目の前の大きな扉に、勇者が手をかける。
重い音を立てながら開いたその隙間から瘴気があふれてくるのを、巫女の少女はすぐさま感じ取った。
勇者、魔法使い、戦士、そして巫女の少女はそれぞれに警戒の姿勢をとる。勇者の掛け声にあわせて、全員が突撃した。

部屋の中は予想通り、瘴気に満ちていた。
人間の体に瘴気が当たり続ければ、それは体内に蓄積しやがて悪影響を及ぼす。勇者たちも例外ではなく、三人の体にたまる瘴気を浄化するのが巫女の役目だ。
魔物に勇者が斬りかかり、その間に戦士が後ろに下がって巫女の少女の浄化を受ける。それが終わると、今度は魔法使いが下がって浄化を受ける。そのローテーションで戦闘が成り立つ。
魔物が予想以上の強敵だったことに一行が苦戦する中、巫女の少女は一人、別の敵とも戦っていた。
浄化とは、瘴気そのものを消し去るわけではない。一度巫女自身の体に吸い上げてから、分解を経て外界に排出される。
主に、尿として。

つまり、必然として巫女の少女は魔物との戦いの中、尿意と戦うことを余儀なくされるのだ。

巫女は戦士の心臓の位置に左のてのひらをあてながら、時折つっかえつつ呪文を唱える。
長い睫に縁どられた瞼はは集中するため、というよりは堪えるようにきつく閉じられている。右手が直接的に抑えないのは服の構造が半分と、巫女としてのプライドが半分。
呪術的な意味の施された服はひとつでも外せばその効果を失い、ただの重い服と成り果てる。そのため、この少女は前の街を出てから数時間の間、用を足すことすらままならなかった。
戦士の浄化が終わり、魔法使いが下がる準備をし始めるのが見えた。
少女の生まれ持った浄化の才能が、早くも戦士から吸い上げた瘴気を分解して、あるべき場所に送り込む。ひときわ強くなった尿意に、裾の広がった巫女服の中で、細い少女の両足がひっきりなしに擦りあわされていた。

142名無しさんのおもらし:2014/10/07(火) 18:55:18
やっぱ割り込んでいいのか悩むよね……
それで、>>141は続くんですか? 続け!

143名無しさんのおもらし:2014/10/08(水) 03:33:25
こりゃ当分割り込まないでおいたほうがよさそうかな

144名無しさんのおもらし:2014/10/08(水) 21:40:44
マジで煽りでもなんでも無いんだけど、途中で投稿止める人って
その後で続き書いてるんだろうか?
一気に書き上げないと逆に難しいと思うんだけど、人によるんかな?

145名無しさんのおもらし:2014/10/09(木) 00:15:21
>>144
人と作品一本の長さによると思う
細かいプロットまで組まず成り行きで造ると途中の展開に行き詰ることが多々ある
そう言うとき時間置いたり、別の話書いてる時にふと良い展開を思いついたりする
でも、思いつかずにそのままになる可能性も少なからずあるわけで……
あと、逆にプロットは確り決まってても、文字として起こすのにどうしても時間が掛かるわけで
リアルの都合で書ききれないんじゃないかな?

どちらにせよ>>138>>141には何とか仕上げてもらいたいね
折角良作っぽいのに、このままじゃただのスレチになりかねないっ言うのは悲しい

146名無しさんのおもらし:2014/10/09(木) 03:12:14
一層割り込みにくい空気に

147名無しさんのおもらし:2014/10/09(木) 17:20:53
そういうことなら、割り込みにくい空気を打破すべく近いうちに割り込んでみる

148141:2014/10/09(木) 20:36:42
戦士が巫女に短く礼を言って、再び魔物の前に躍り出る。
魔物は随分と弱ってきていて、この分なら倒れるまでそう時間はかからないだろう。
そう巫女の頭の冷静な部分が分析するが、同時にそれまで持つだろうか、という懸念もよぎる。
魔法使いが目の前に来て、巫女は思考を切り替えようと準備に取り掛かる。目を閉じて、左手を魔法使いの心臓へ。
しかし、そこから先へ進めない。呪文を唱えようとする唇は固く閉じられ、震えるばかり。空いている右手は、巫女服の布地を力いっぱい握りしめている。
どうした、と魔法使いが声をかけるのとほぼ同時、不意に巫女の左手から力が抜けた。ふらりと芯が抜けたようにその場に座り込んだ巫女は、下を向いたまま動かない。
魔法使いが肩を抱いて巫女を立たせようとするが、少女は顔を真っ赤にして首を左右に振るのみ。

決壊が、訪れた。

勇者や戦士の剣戟の音が激しかったのは幸いなのか、広がってゆく水の音は魔法使いにも、巫女にも聞こえることはなかった。
ただただ静かな水たまりの広がりが止まると、今度はその水面に巫女の涙が波紋を生んだ。

魔物の断末魔が、巫女の耳に遠くの事のように届いた。

149141:2014/10/09(木) 20:38:51
まさか続きコールがあるとは思ってませんでした
というか正直こんなのでスミマセン感がある

150名無しさんのおもらし:2014/10/09(木) 21:24:58
わーい、続き来たGJ!

151名無しさんのおもらし:2014/10/10(金) 02:05:42
>>103の続きなのかな

催促してみるもんだなw>>145

152名無しさんのおもらし:2014/10/11(土) 01:24:26
>>147は?

153141:2014/10/13(月) 12:06:29
>>103さんとは関係ないですすみませんw

154名無しさんのおもらし:2014/10/16(木) 13:29:56
>>147は?

155名無しさんのおもらし:2014/10/16(木) 14:11:53
age
事例の人まだかなー

156事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。①:2014/10/18(土) 23:43:22

――ん……えっと。

朝起きて視線を壁掛けの時計に向けるとそろそろ授業が始まる時間だった。

……。

……。

――って! 遅刻!

明らかに間に合わない。そうは思うが私は慌ててベッドから上体を起こ――せない?
一瞬金縛りにでも合ったのかと思ったが、身体に上手く力が入っていないらしい。
そしてその直後、力の入らない身体を無理に動かそうとしたからなのか
もしくは何か考えたのが原因なのか、視界が歪み、寝ているにもかかわらず頭が揺れているような感覚に襲われる。

「はぁ……はぁ……」

――これって……。

自身の荒い息遣いを聞きながら、状況を理解し始める。

――えっと……、風邪?

動かすのも辛い手を、何とか額の上に乗せると……熱いのかなこれ?
自分の手も額も熱いみたいでよく判らない。

でも恐らく風邪。最近夜中までずっと机に向かってるし……。
此処まで勉強したのって高校入試以来だ。あの時も入試終わって直ぐに熱出した。
でも、テストまではまだ期間がある。あと2週間……。
と言うか、この風邪のせいで学校の授業内容がわからないのは痛手でだった。
重要なことを板書か口頭でしか言わない教師も少なからず居る。

まゆは寝ているだろうし、弥生ちゃんは……ちょっと言い難いがなんだか聞き逃してたり、書き損ねてそうでもある。
なので逆に私のノートを見に来ることも多い。

私は荒い息遣いの中、心の中で嘆息した。

とりあえず、無断で休むわけには行かない。
お母さんは……だめだ。普段ならこの時間寝てるはずだけど、たしか今日は泊りがけの仕事があるとか何とか……。

連絡するには自分からどうにかしないといけない。
無理やりどうにか身体を起こす。関節痛に筋肉痛……とてつもなくだるい。
喉も痛く声もまともに出せそうにない。

――あー、油断したなぁ……こんなになるまで勉強して、結果学校休んでたら本末転倒じゃない……。

声が出せない以上仕方がないので、携帯を手に取り、まゆへメールで体調不良を伝える。

メールが終わると、私はとりあえずベッドからゆっくり降りる。
重い身体を覚束無い足取りで引きずるように部屋を出て、廊下を歩き台所を目指す。
食欲はないが喉の渇きが凄まじいのと、喉の気持ち悪さを何とかしたかった。

台所に着くとコップを手に取り水道水を入れて飲む。

「んっ、ゴホッゴホッ」

喉の痛みに咳き込む。
だけど飲まないわけには行かないし、飲んでるときが辛くても、飲み終われば今より楽になる。
私は一杯飲み、そして二杯目を少しずく喉を意識しながら飲む。
それでも、喉の違和感が気になりもう一杯だけ飲む。

「はぁ…はぁ……」

台所でシンクの縁に手を突きながら荒い息をつく。
喉の痛み余り変わりないが、説明し難い気持ち悪さは多少なり解消された。

あとは市販の薬でも飲もう……そう思い、リビングダイニングへ移動してからそれが無理なことに気が付く。

――だめだ、とてもじゃないけどあの高さのものは取れない……。

救急箱なんて普段使わないから家具の上の高いところに……椅子などを使わないと絶対に取れないところ。
椅子を使えば取れるかもしれないが、今の状態だと怪我する可能性のが遥かに高く感じる。
この状態で怪我、下手をして頭をぶつけるとかすると本当に不味い気がする。

私は潔く諦めて、自室に戻る。
戻ると直ぐにベッドに入り寝てしまうことにした。

157事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。②:2014/10/18(土) 23:44:15
――
 ――

<……ピンポーン>

――ん?

<ピンポーン>

――えっと来客?

怠いし、面倒くさい。無視してしまおう。
時間だってお昼前だし……。

「おーい、雛倉? 先生だぞー」<ピンポーン>

……。意味がわからない。
なぜに先生が……学校はどうしたのか。

仕方がないので、重い身体を引きずりながら玄関へ向かう。
声も出せないのでとりあえず玄関を開けた。

「あぁーなんか物凄くだらしない格好だなぁ」

――そっか、ジャージでしかも髪も酷いし。

そういわれても仕方がない。

「びっくりしただろ? なんたって私も早退してわざわざ見舞いしにきたんだから」

得意げに笑ってみせる先生。
うん、吃驚だ。何故に早退までしてまで家に来るのか。
ちゃんと仕事して欲しい。

「いやー、見学会のとき、なにか奢るって言って忘れてたから、スポーツ飲料水と風邪薬を奢ってやろうと思ってね」

そういえば、そんなこと言ってた……。

……。

私は熱い顔がさらに熱くなるのを感じる。
もしかして、先生は知ってるかも知れない。私の失敗を。
バス会社から座席のクリーニングの話があったとしたら、先生が私に疑惑を向けるのはパーキングエリアでの会話から至極当然なこと。

「とりあえず、お邪魔するよ」

「…っ!」

玄関先から靴を脱いで勝手に家に上がる先生。それを止めようと声を出そうとするが、喉が痛くて出せない。
先生は開いてる扉を見つけ、中を覗き、そこが私の部屋らしきことを確認すると私の方へ視線を向ける。

「あ、ごめん、歩くのも辛い? 声も出せなさそうだし、結構酷いのか」

廊下の壁に手を付きながら歩く私にそう言う。
そして、私に近づき肩に手を回して支えてくれる。

――本当、良い先生なんだけど……。

先生の名前は文城 雅(ふみしろ みやび)。
今年でこの学校にきて3年目で、去年は雪姉のいクラス担任だった人。
私と雪姉の入試点数勝負についても進路指導の関係で知っているらしく
そのせいで私の入試トップの印象が強くクラス委員長に……流石に負けられない勝負だっただけに後悔はしてないけど。

158事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。③:2014/10/18(土) 23:45:06
「はいはい、病人は寝て寝てーっ」

乱暴に……でも最低限の配慮をして私をベッドに寝かせる。
家に人が来てるのに寝てるわけには行かないんだけど、身体がそれを許さず、起きる気力を奪う。

「ちょっと台所でコップ借りてくるわー、どれでもいいでしょ?」

私はとりあえず小さく頷いたが、先生は質問しておいてこっちを見ず部屋を出て行った。
……だったら聞かなきゃいいのに。
本当に適当。前にノリで教師になったとか言ってたし。
でも……正直嫌いではない。時折面倒くさいこともHRで企画してきたりするけど
クラスメイトの殆どがどちらかと言うと好感を持っていると思う。

しばらくして、先生が戻ってくる。

「お待たせ、風邪には水分補給は欠かせないからさー」

そういい、寝ている私の背中に手を入れて起き上がらせて、枕を縦に立て掛け、そこに凭れさせる。

――あー、結構汗かいて蒸れてるのに……凄い迷惑かけてる……。

わざわざここまでしてくれるのも、あの事を知っているから……そう思ってしまう私は少し自己嫌悪する。
私は心の中で首を振り、あの事の事を今は考えないようにする。

「はい、飲んで」

「っ!」<ゴクゴクゴク>

――いやいや、自分で飲むから! 傾けるの早いし! 咳き込んだらどうするのっ!

「っ……はぁ、はぁ……」

何とか飲み切り、呼吸を整える。スポーツ飲料の独特の甘味とほのかな塩見が心地よい。

「あ、まだ欲しい?」

確かに美味しく、心地よかったが、正直別に欲しくなかった。
手か何かで遠慮するジェスチャーをしようと思ったが、もう既にコップに注ぎ始めていた。
断るのも悪い気がして、仕方なくいただくことにする。

<ゴクゴクゴク>

今度は程よい傾け方。先生もさっきのはやりすぎだったと思ったらしい。
飲み終わり、小さく咳き込みながら呼吸を整える。

「まぁ、こんなとこ――あ、薬……水持ってくるわ」

まだ飲ませる気らしい……ちょっとトイレに行きたいし、これ以上飲みたくないのが正直な感想だけど。
でも薬は飲みたい。明日も休むってわけにも行かないし……仕方がない。
それに、折角先生が珍しく優しくしてくれてるんだし、断れない。

159事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。④:2014/10/18(土) 23:45:45
「おまたせー」

そう言って先生がコップに8割ほど水を入れて戻ってくる。
ちょっと入れすぎな気もするけど、薬が食道で引っ掛かるとそれはそれで大変なのだから仕方がない。
自分で飲むために手を出すが「じっとしてなさい」と有無を言わせず飲ませてくる。
看病ではなく介護と勘違いしてるんじゃないだろうか……この人。
結局最後まで傾けてくるので、コップの水に溺れないために、全て飲み干す。……お腹がたぽたぽして気持ちが悪い。
これじゃ、本当にトイレが近くなる……考えてみれば、朝起きた時にも3杯ほど水を飲んだ。1杯200mlだとして1200mlも飲んでしまった計算。
そして、前日の夜、勉強するのに眠気を覚ますためコーヒーも2〜3杯飲んだし、
最後にトイレに行ったのも深夜2時頃で――そのときコーヒーはまだ1杯目を飲んでる途中だった気がする。

……。

そう考えると、急に尿意が強くなった気がした。
寝ている間は尿の生成は抑制されるはずだし、風邪で随分汗も掻いた……。
布団の中で膀胱辺りを軽く押してみる……張ってはいない、けど押している時は鈍い尿意を感じる。
まだ、当分我慢できる。先生がそこまで居座るとは思えないし。
それにどうしても我慢できなければ、恥を忍んで済ませに行けば良いだけだ。

「さてさて、薬も飲んだし寝る寝る! あ、それとも昼に……って薬飲んでから食べさせて良かったっけ?」

私の身体を横に倒しながら言う。多分薬の大半は食後だと思う。
案の定先生は薬の箱を見ながら“失敗した”顔をしていた。

「あ、そういえば今日クラスの係りとか1限目に決めてね」

――クラスの係り……そういえばそんなこと言ってたっけ……。

うちの学校は、1年に2回、つまり前期と後期で係りが変わる。
実際に係りの仕事を行うのは2学期の中間テストが終わってからになる。

「で、結論から言って雛倉はいいんちょさん継続になったぞ」

……まぁ、予想はしてたけど。

「クラスで目を塞いで採決って奴で、賛成8人、反対1人、残りどっちでも良いって感じ」

そうなるだろう。賛成を選べば面倒な仕事を私に押し付けられ、自分がする可能性が減る。
どっちでも良いは、本当にどうでもいいのだと思う。

「そうそう、雛倉の友達の黒蜜と篠坂は賛成だったよ」

……裏切り者――とは言わないけど。まゆはなんだかんだ言っても手伝ってくれるし、弥生ちゃんは元より私に向いてる様なこと言っていた。
少し気になるのは反対の一人だけど……目を塞がせて採決を採るくらいなんだから普通教えてくれないだろう。
というか、賛成の二人を言うのも友達とはいえどうなのかとは思う。

――そんなことより、トイレ……本当に大丈夫かな?

クラス委員長を継続と言う非常に残念なニュースよりも、先生の話が長くなるんじゃないかって心配のが強くなってきた。
できれば先生が帰るまではトイレに立ちたくない。

「――にしても、なにこれ勉強してたの?」

いつの間にか私から少しはなれて、私の机の上に散らばっている教科書を見ていた。

「教科書だけじゃなく図書室の参考書も? なになに〜? 2学期からは優等生の本領発揮ってわけかな?」

私は視線を逸らす。
なんとなく頑張ってるってバレるのが恥ずかしい。

「打倒朝見――ってところ?」

私は朝見さんの名前を聞いてほんの少し身体を強張らせる。
図星を付かれた――だけでなく、そんなリアクションを取ってしまったのは、最近頭から離れない人の名前だったから。

「……そう、頑張んなさいよ。雛倉をいいんちょにしたのは私みたいなもんだし、私のためにも朝見に負けないようにね」

……先生のためには頑張りません。
本気で言ってるわけじゃないのはわかってるけど。

――けど……本当、不味いな……。

尿意の急激な高まり。
座っていても膀胱に感じる重みが一秒一秒増して行くのがわかる。

そして、また別の事を話し出した。
早く話を止めて帰ってもらうために、布団を被って聞いてないアピールをするが効果がないみたいだった。

160事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。⑤:2014/10/18(土) 23:46:37
――
 ――
  ――

「雛倉さん」

「……な、なに?」

私は朝見さんの呼びかけに恐る恐る答える。

「下着見えてますけど?」

その言葉に私はスカートがあるべき下半身に視線を向ける。

――っ!

「……え、あっ! なんで!?」

だけどそこにあるべきスカートがなく、下着丸出しで――下着が見えてるなんて生易しい表現ではなかった。
私は、座り込み上の制服の可能な限り下へ引っ張る。そうすることで何とか隠そうとした。

「大丈夫、それなら見えてませんから。……でも――」

朝見さんは特に動じもせずに話していたが、途中で言い詰まる。
私は真っ赤な顔をしながら彼女の言葉を待つ。

「それじゃ困りますね。下手に動くと下着が見えるので、トイレには行けないわけですから」

――トイレ……あぁ、そういえば私、トイレに行きたかったんだ。

意識したとたんに急激に尿意が膨れ上がる。
もう既に本当に漏れそう。そんな段階まで来てる。
私は引っ張る服の下に片手だけ入れて下着の上から必死に抑え込む。

――や、やだ、本当にでちゃう、もれちゃ――ど、どうしよ…こんな格好じゃ皆に……。

周りから視線を感じて、顔を上げる。
そこにはまゆ、弥生ちゃん、山寺さん、睦谷さんまで……皆私を違った表情で見ている。
その直ぐ前には指で四角を作り楽しそうに私を見る皐先輩も。

【挿絵:http://motenai.orz.hm/up/orz44665.jpg

「ちょ、皐先輩! み、見ないでください!」

私は真っ赤になりそう叫ぶが、見るのを止めてくれない。

「狼さん、ちょっとお手を拝借でーす」

突然横から霜澤さんが出てきたと思ったら、下着を抑える手をつかまれ上に上げられる。

「え、ちょっ――」

焦る私は服を引っ張っていた手を慌てて出口を塞ぐ応援に回す。だけど――

「そんなはしたないこと……やめた方がいいわ」

朝見さんはその手を掴み、霜澤さんと同じように上に上げる。

「あ、ちょ……だ、ダメ離し…んっ……だめ…でちゃう、から、お願い……もれちゃう……あぁやぁ――」

下着の中で大切な部分が抉じ開けられるそんな前兆を感じた。

161事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。?:2014/10/18(土) 23:47:31
――
 ――
  ――

――んっ……あ、あれ?

息苦しさに目を開けると見慣れた天井があった。
自宅。そう理解する。だけどその直後に鋭い尿意を感じて、布団の中でうずくまる様にして両手で局部を抑えこむ。
夢の内容がぼやけつつあるなか、そこが濡れていなかったことに安堵した。でも、まるで夢の中で感じたような鋭い尿意が私を攻める。
抑えこむ手の直ぐ上、手首付近に膀胱がパンパンに張っているのがわかる。

「あぁ……んっ、だめ――……我慢…我慢しなきゃ」

我慢で混乱しているはずなのに、頭の片隅で、声が出せる程度に喉の痛みが治まっていることに気が付く。
同時に、失念していた先生の存在も思い出し、布団から顔だけ出して周囲を見渡す。

――い、いない? 帰ったの…かな? あぁ、ダメ……。

先生はいない。だったら今すぐトイレに行ける。
そう思ったつもりは無かったが、身体が反応して、尿意は引くばかりか強くなる。
普段生成量が少なくなる睡眠中に、これだけ沢山の恥ずかしい熱水が溜まってしまうのは
過剰すぎる水分摂取が原因なのは言うまでもなく、昨夜から一度も排出することが許されていない膀胱はもう限界だった。
両手で抑え、それでも足らず押しつぶすように何度も力を入れる。だけど――

<ジヮ……>

「(あ…っ! や……くぅ…んっ…、待って、こ、ここじゃ……)」

布団の中でしてしまうのはおねしょの直らない子だけ。
私は高校生で、しかも今は寝てすらいない。してしまうわけにはいかない……。

<シュ……>

――んっ!

また抑え切ることが出来ずに下着に熱い感覚を生み出してしまう。
トイレに行かなければ……だけど、今は動けない。動いたら決壊する。
なんとかもう少し落ち着くまで耐えてそれから――

<ジュ…シュワ……>

「あっ……あぁ……」

今度は2回に分けて少し多めに溢れ、ジャージの上にまで染み出し手にそのぬくもりを感じる。
それでも、尿意は一向に引かず、なおも膀胱を震わす。

162事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。⑦:2014/10/18(土) 23:48:17
――だ、だめだ……我慢できないっ!

<バサッ>

私は布団を押し上げて、ベッドから飛び出す。

「あっ、うぅ……」<ジュー……>

だけど、そのままトイレまでは走り出すことが出来ず、噴出す感覚を受けて自室の床に膝を付く。
また今までよりもずっと多い量。ジャージから滴る一歩手前……それほどまでに濡らしてしまった。

こんなになるまで寝ていたなんて……恐らく風邪薬の副作用に睡眠作用があったのだと思う。
寝ている間にせずに済んだのは、私が高校生で、もうそんなことをするはずの無い身体だから。
だけど、おもらしだってしちゃいけないはずなのに、我慢しなきゃいけないのに、直ぐにいけるはずのトイレが部屋を出れば直ぐあるのに。
そこまでの距離が今の私には凄く遠い。

「や――」<ジューーッ……シュワァ……><ピチャ、ピチャ……>

もうおチビリとはいえないほどに溢れ出る。
ジャージの内腿に走る線が広がり面になっていき、服の中では膝まで伝う感覚を感じる。
抑える手からも一滴二滴ではない量がフローリングに叩きつけるように落ち、10cm程度の水溜りまで作る。
手だけでは抑えきれず、踵でぐりぐりと押さえるが、その踵が湿っていく感覚が気力を奪う。

――……だ、だめ、これ以上は……直ぐ横には絨毯だってあるのに、しちゃうわけには――

<ジュッ…ジューッ>

また断続的にあふれ出し、踵を濡らしそのままフローリング流れる。
それでも、グリグリと何度も身体を揺すり、時には息を止めて必死に耐えると、少し尿意が引いていくのがわかった。

「はぁー、はぁ…っ、はぁ」

なんども肩で呼吸して、小康状態の中、自身の状態を理解し、情けなくなる。
だけど、ここでこうしてるわけにも行かない。
全体の1割程度の量を失敗してしまったかもしれないが、未だ膀胱はパンパンに張っていて直ぐに次の尿意が来る。
そうなれば、きっとまた沢山溢れさせてしまう。

私は抑えた状態で前屈みに立ち上がり、覚束無い足取りで部屋を出る。
部屋を出て、玄関側に少し歩けば直ぐに目的の場所。
心の隅で気にしていた、「先生は本当にいないのか」と言う心配は、このとき靴が無いのを見て解消された。
玄関の鍵も閉まっている所を見るに、鍵は扉に付いた郵便受けの中ではないかと思う。

「ぁ……」

そんな余計なことを考えていたためなのか、不意にまた大波が押し寄せ、恥ずかしい出口を攻め立てる。
足を震わせ座り込みたくなる気持ちを殺しながら、必死に息を止め耐える。

<ジュウゥー…シュ――>

それでもトイレの手前と言うこともあり、私の悪い癖が働き、我慢が追いつかず溢れ出す。
必死に抑えても、勢いが弱くなるだけで止まらず、私は完全に止めることはもう無理だと悟り、
そのままの状態でトイレへの扉ではなく、お風呂への扉を開く。
もちろんそこに便器などない。あるのは脱衣所と浴室。
私は雪崩込むように浴室に入るとそのまま倒れこむようにへたり込んだ。

「ぁはっ! んっ――」<シィュゥゥ――>

そして、ジャージを脱ぐ余裕もなく局部が熱くなり、服の中で渦巻くのを感じる。

――あぁ、やっちゃった……おもらしだ……これ。

浴室を選んだのは多分正解だった。極度に湿った服はきっと直ぐには脱げず、個室を酷く汚してしまったに違いない。
浴室なら後始末は簡単……だけど、その選択をしてしまった私が凄く惨めで悔しい。
このあとしっかり片付けをすれば誰にもばれることは無い。
それでも、いくらばれなくてもやはりおもらしであり……。
ワザと我慢したわけでもない……純粋なおもらし。

ベッドを汚さなかっただけ良かったと、風邪で体調が悪かったからだと、心の中で言い訳を繰り返して、
無理やり自分を納得させようと無駄な努力をする。

「はぁ……はぁ……」

熱の籠もった荒い息を何度も吐いて、膀胱に溜まった恥ずかしい熱水を途中止まりながらもすべて服を着たまましてしまった。
気持ち良い……こういうのが好きな人の感覚、わからないでもない。
だけど、やっぱり私は後に残る、なんだか落ち着かない喪失感と惨めな気持ちが好きになれない。
しばらく尾を引いてしまうであろうこの憂鬱な気持ちも。

そんなボロボロの心と熱と我慢でフラフラの身体は直ぐには動かせない。
浴室だけでなく、部屋と廊下にも残る情けない自身の失敗の片付けは、まだしばらく後になりそう……。

おわり

163事例の人:2014/10/18(土) 23:50:29
……様子見していたのもあるけど随分遅くなった。すまない。
待っててくれた方に感謝。ありがとう。

164名無しさんのおもらし:2014/10/18(土) 23:57:58
たまたま開いたら更新が来てた
待ってましたお久しぶりです、挿絵も良いですね

165名無しさんのおもらし:2014/10/19(日) 00:38:01
遂に更新が来たぜ。
待ってました。挿し絵は綾菜の下着の色は黒か紺なのかな。
おそらくこの後の展開は後始末の最中に真弓と弥生ちゃんがお見舞いに来て、おもらしの跡を目撃して、気まずい雰囲気になるな。

166名無しさんのおもらし:2014/10/19(日) 00:57:23
呼ばれてすぐw

挿絵の気合の入り方がすごい
本編より労力かかってるかな

167名無しさんのおもらし:2014/10/19(日) 17:56:18
先生の「なんたって私も早退して」のセリフで他にも早退した人がいてその人も見舞いに来たと思ってるのかな?

168事例の人:2014/10/19(日) 18:17:05
>>164-167
感想とかありがとう。
先生の台詞についてですが、
「私も早退して」は「私も早退して(休む)」と言うことなので
綾菜の「風邪で休む」行為に繋げたつもりでした。文法としてはおかしいけど
日常的にはこういう使い方するかなって……日本語難しい

169名無しさんのおもらし:2014/10/19(日) 18:55:41
「びっくりしただろ? なんたって私も早退してわざわざ見舞いしにきたんだから」

から>>167の疑問が生じるものかな?
それに対する>>168もなんか変だな

170名無しさんのおもらし:2014/10/20(月) 11:12:25
事例の人の書く文章、描写は相変わらず素晴らしい。大ファンだわ。
これからも自分のペースで構わないからぜひたまに投稿してもらいたい。

171名無しさんのおもらし:2014/10/21(火) 14:50:48
>>156-163
待ってました
風邪ひいた女の子の我慢ってすばらしい

172植村 由美:2014/10/21(火) 17:02:24
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173名無しさんのおもらし:2014/10/22(水) 03:17:33
この手の荒らしはどうにかならんのかな
スレ立てとか規制すればいいのに

174名無しさんのおもらし:2014/10/24(金) 17:29:21
空腹とかを感じるタイミングが全く一緒な双子の我慢話を考えたけどオレの文章力じゃ無理だった

175名無しさんのおもらし:2014/10/25(土) 04:03:31
ここで>>147の出番である

176名無しさんのおもらし:2014/10/26(日) 11:12:44
>>174
やる前から諦めてどうするんだ

177名無しさんのおもらし:2014/10/26(日) 19:07:12
おしっこをする前からトイレに行くことを諦めていた少女の話?
なかなか惹かれるなw

CASE1 いつもトイレ禁止されるいじめられっ子、超厳格なスパルタ家庭教師の授業中
CASE2 人前では行きたくても我慢することが習慣化してる育ちのいい子やアイドル
CASE3 多忙等でトイレに行ける時間がとれそうにない
CASE4 大混雑や休憩の時間が短いなどで、トイレに並んでも時間内に順番が回ってこない
CASE5 監禁状態で、どうせ訴えても無駄なので欲求を訴えれば訴えるだけ羞恥プレイ
・・・

で、諦めてた時に限ってその時行こうとしてたら行けたのに、と後で分かったりするわけだね

178名無しさんのおもらし:2014/10/26(日) 21:21:48
つまり総合すると、双子が同時に催して尚且つトイレを諦める話…?

179名無しさんのおもらし:2014/10/26(日) 22:16:42
双子A「私が催したって事は――」
双子B「――Aも催したよね?」
双子AB「「トイレ空いてないだろうからあとで行こう」」

こうですか?

180名無しさんのおもらし:2014/10/27(月) 00:45:08
◆尿道括約筋が開くタイミングが同じ
同時に2箇所開いてないかぎり無事に用を足せない
結構ハードル高いかもな
学校とかの行列が発生するような大人数用共同トイレだとタイミングが完全に揃う可能性は低い
逆に一箇所しかないようなところでも無理
他人に見られてなければ野なり一個室(一便器)同時使用なりで凌げるが

どちらか1人でも開放すると同時開放というのも非常にこわいが
逆にどちらか1人だけでは開かないというのもそれはそれでこわい

さらには同時に同量しか出ないというところまで揃ってしまうと
たまってる尿量や水分摂取量に差があったときに大変なことになる
ただこれは空腹等のタイミングが完全に同じというのとは矛盾しそう

181名無しさんのおもらし:2014/10/27(月) 00:45:38
零歩ちゃんは双子の妹・溺ちゃんに内緒でこっそりジュースを飲んだ。
幼い頃から二人の娘に対する公平さには神経質な母親が
いつでも二人に同じものを同じ量ずつ与えてきた。
零歩ちゃんはりんごジュースが大好きなのだが、溺ちゃんはきらいで飲むのをいやがるので
結局めったに与えてもらえない。
逆に溺ちゃんの好きなオレンジジュースを零歩ちゃんはあまり好きではないのだが、
大げさにいやがることをしないせいで、たいてい母親の選択はオレンジジュースになってしまう。
いつも自分が損をしていると思った零歩ちゃんは、冷蔵庫にりんごジュースがあったのを見つけて
こっそり飲んでしまうことにしたのだ。
残しておいては勝手に飲んだことがばれると思って、500mlのペットボトル一本まるまるのみほした。
冷蔵庫のものがなくなってて、その分ゴミが増えてればばれるのだがそこは子供の知恵。
普通なら、ペットボトル一本を二人で分けても余るほどなので、
ちょっとのみすぎでおなかがたぷんたぷんするほどだったが、
零歩ちゃんは大好きなりんごジュースを久々に思う存分飲めて幸せだったし、日頃の鬱屈が晴れる思いだった。
ところが。
まだ小さい零歩ちゃんにとって、当然ながらりんごジュースは多すぎた。
30分もしないうちに零歩ちゃんは急速におしっこがしたくてたまらなくなった。
変に二人に公平な母親の方針のせいで、二人はトイレに行くのも一緒だった。
二人の家にはわざわざそのために誂えたのか、個室が2つ並んでいて、二人は同時にトイレに行くよう躾けられている。
旅先のホテルなどでは、部屋に便器が一つしかないときには無理やり並んで立ちションさせられたり、
わざわざ個室がいくつもあるところまで行って用を足したりしたし、喫茶店でトイレに行きたくなった時には
*一つしかないから*我慢しなさいと言われたこともある。
零歩ちゃんは溺ちゃんの様子をうかがったが、出掛けに二人でおしっこをすませたばっかりでもちろんトイレに行きたい様子はない。
早く溺ちゃんもおしっこしたくならないかな、と心の中で願う零歩ちゃん。
しかし溺ちゃんが尿意を催すより何倍もの速さで、零歩ちゃんのおしっこ我慢は危険水域をとっくに越えてしまった。
そわそわが止まらず、じっとしていられない。おしっこの出口がじんじんする。
零歩ちゃんは思い切って、溺ちゃんをトイレに誘った。
溺ちゃんとしては全然おしっこなんかしたくないから、なかなかトイレに行こうとしなかったが
零歩ちゃんの様子が真剣なのでやっとトイレに行くことにしてくれた。
黙って1人でトイレに行けばよさそうなものだが、トイレが一つしかないところでは我慢させられたりしてずっと過ごしてきた
2人にとっては、トイレは2人同時に行かなくてはならないものなのだった。

182名無しさんのおもらし:2014/10/27(月) 00:46:19
そうなってくると問題が一つある。この公園には男女共用の、仮設トイレのようなものが一つしかない。
近所のコンビニも多分便器は一つだろうし、そもそも子供だけで勝手に店などに行ってはいけないといわれている。
となると公園から家に戻るのはちょっと遠いので、焦る零歩ちゃんは比較的近い小学校に行くことにした。
2人用のトイレ環境が揃わないと用をたしてこなかった二人は、今までの短い人生のわりにはおしっこを我慢することが多かったが、
今日の零歩ちゃんのおしっこは今までにないほどつらい。
小さい子供が500mlものジュースを一度に飲んだのだから、経験したことのないほどの量が一気にたまってしまったわけだ。
人目はばからず前を押さえて、時々足踏みしながら不規則にあるくせいで、零歩ちゃんはなかなか小学校に近づかない。
自分は全然トイレに行きたくない溺ちゃんはなかなか来ない零歩ちゃんにいらいらして、早くこないと小学校に行くのやめようかなと言う。
そんなこんなで泣きそうになりながら、ようやく零歩ちゃんはめあての小学校までたどりついた。
放課後の校庭には遊んでいる同級生の姿もあった。溺ちゃんがそっちに行こうとするのを必死でひきとめて
体育館脇の外トイレに。もともと使用者の少ないトイレで、思ったとおりたくさんの個室は誰もつかっておらず貸切状態だ。
零歩ちゃんと溺ちゃんは空き待ちのタイミング合わせにわずらわされることもなく、スムーズに個室に入れた。
まにあった!やっとおしっこできる!
零歩ちゃんは一生懸命とざしつづけてきた尿道を心ゆくままにゆるめた。
じわっ。じわじわっ・・・・・・
我慢しつづけた尿道がなかなか開放されないじれったさ。やがて
ぷしゃああっ!
零歩ちゃんの小さい膀胱には無茶なほどの量がつめこまれていたおしっこが、勢い良く噴き出した。

しゃああっ!・・・…

・・・

しぃぃっ!

・・・

しょろろっ!

おかしい。まだおしっこはほんのちょっとだけがほとばしっただけだ。
たまりにたまった量がちっとも減っていないのに、おしっこが続かない。少し間をおいて申し訳程度に数滴飛び散るだけだ。
カラカラとペーパーを取る音がして、続いて流す音がすると零歩ちゃんのおしっこはもう全く出なくなった。
まだぱんぱんの膀胱は全然すっきりしていないのに。むしろおしっこを出してしまったせいで
おなかの中をおしっこが激しくうずまき暴れているかのようで、尿意はおしっこが噴き出す前より数倍はげしい。

183名無しさんのおもらし:2014/10/27(月) 00:47:57
ノックの音がして、溺ちゃんが心配する声がするまで、零歩ちゃんはどうにかしておしっこを出そうと悪戦苦闘していたが
おなかをもみほぐしても、割れ目をいじってみても、おしっこは出ない。
溺ちゃんの声を聞いて、零歩ちゃんはなぜおしっこが出ないのかなんとなく分かったような気がした。
元々そういう体質だったから二人同時にトイレに行くよう躾けられたのか、はたまた躾のせいで二人の体がそうなってしまったのか
二人はジュースをもらえる量も、トイレ待ちの時間も平等なように、おしっこを出せる量も平等に同じなのだ。
家でトイレを済ませてからそんなに時間がたっていないので、ジュースを勝手に飲んでいない溺ちゃんのおしっこは
ほんのすこししかたまっていなかったのだろう。尿意も感じていないのだから、少し出ただけでもいい方だ。
一方の零歩ちゃんはぱんぱんの膀胱が一刻も早くおしっこを体の中から出してしまおうと、強い力で勢い良く送り出す。
でも溺ちゃんの申し訳程度のちょろちょろおしっこの量に追いついてしまうとそこで零歩ちゃんのおしっこは
いったんストップしてしまったのだろう。溺ちゃんの量がおいつくとまた少しだけ零歩ちゃんもおしっこが出る。
これが零歩ちゃんのおしっこが断続した理由なのだろう。そして零歩ちゃんが残りのおしっこが止まってしまった理由でもあるだろう。
幼い頭で漠然とこのようなことを理解した零歩ちゃんは気がとおくなりかけた。
この先、溺ちゃんにたっぷりおしっこがたまるまで、零歩ちゃんはぱんぱんの膀胱から解放されないのだ。

実際は溺ちゃんにおしっこがたまると普段平等に飲み物を飲んでいる零歩ちゃんにも同じ分だけおしっこがたまるので
溺ちゃんがたっぷりおしっこをすませて、零歩ちゃんが同時にたっぷりおしっこできたとしても、
やっぱり差し引き500mlのジュース分のおしっこは残ってしまうのだが、まだ幼い零歩ちゃんにはそこまで想像力はなかったので
残酷な現実を直視せずにすんだ。
あと母親が捨てられた空きボトルと零歩ちゃんの様子から全てを理解して、溺ちゃんをうまくごまかして多めに水分をとらせたので
一日ちょっとでだんだん差をつめることはできたが、
ぱんぱんの膀胱で夜を迎えた零歩ちゃんと、寝る前にもたくさん水分をとらされた溺ちゃんはその夜
小学○年生にもなって盛大におねしょをしてしまった。
零歩ちゃんは翌日も少し残った差分で辛い思いをし、ジュース抜け駆けの自業自得をいやというほど思い知ることとなったのでした。おしまい

184名無しさんのおもらし:2014/10/27(月) 00:48:25
おねしょはおもらしに入らないか。しまった

185名無しさんのおもらし:2014/10/27(月) 00:56:25
これの発展系で

とある人がしたおしっこの量だけしか膀胱内の尿が減らない子たち(複数)
分量の割り当ては元の人の1回ごとにランダムでそのうちの1人に

というのを昔考えた
もしそんな状況になったら複数名の子たちは
元の人に一般人の水分摂取量の最低限人数倍くらいを無理やり飲ませようとする行動に出そう
一見複数人による1人に対するおしっこ我慢イジメのようで、実は複数人の方が困っている状況

186名無しさんのおもらし:2014/10/29(水) 19:23:50
gj
でも個人的には辛くて出したいがために行動するって言うより
やっぱり、出そうだけど、恥ずかしいから出したくないのが好き

187名無しさんのおもらし:2014/11/24(月) 11:03:48
せっかく良い挿し絵があるのにすぐ消えちゃうのが惜しい
併せて読みたいんだよなあ

188事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-①:2014/12/02(火) 20:55:50
「ふぁ〜あぁ……弥生ちゃん、おはよー…」

大きな欠伸をしながら教室に入ってきた真弓さんは、私に朝の挨拶をする。

「おはよう……眠そうだね?」

私はいつにも増して眠そうな真弓さんに、挨拶と質問を投げかけた。
少し怠るそうにしながら軽く手櫛で髪を梳きながら答える。

「うーん、ちょっと漫画夜中まで読みすぎたかな……」

あー、うん。真弓さんらしいどうでもいい理由。

<♪〜〜〜>

真弓さんのカバンから携帯の着信音が鳴る。

「あー、しまった、マナーにしてなかった……ってこの音、あやりんからのメールじゃん」

真弓さんはごそごそとカバンの中を漁る。
どうやらメールらしい。

――雛さん専用の受信音……私も後で設定しておこうかな?

そこまで考えて、雛さんがまだ学校に来ていないことに気が付く。
もう直ぐ授業が始まるのに……真弓さんへのメールは遅刻するといった内容なのかもしれない。

「……あやりん風邪かぁ」

「っ! え? もしかして休んじゃうんですか?」

「んー、とりあえず今日は休むから先生に伝えといてって書いてある」

私は肩を落とす。
私は学校での雛さんとの日常が凄く好きで……。
逢えないとなると……大きなため息を吐いてしまいそうなくらい残念に感じる。

……。

――って違う違う!

私は大きく頭を振る。
残念がるより普通心配が先……自分の事を優先して考えていたことに少し自己嫌悪する。

でも、一度心配しはじめると、今度は凄く心配になってくる。

189事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-②:2014/12/02(火) 20:56:51
「まぁ、メールを送れるくらいには元気って思っておいてもいいんじゃない? それに、多分あやりんのお母さんも昼くらいまでは家にいるし」

私の顔色を見て、真弓さんがそう言う。
相変わらず凄く察しが良い……でも――

「――っていうか、なんで雛さんの家庭事情知ってるんですか!」

私の知らない雛さん関連の情報に何故だが小さな怒りを覚えて、強く返す。
真弓さんは少し驚いた顔をして目をパチパチとさせる。
だけど、直ぐに口の端を吊り上げ、ゆっくり目を閉じて胸を張りながら答える。

「まっ、私はあやりんの“親友”ですから〜」
「わ、私も親友です!」

私は間髪いれずに返す。

「わかってるよ、ただ、家に行ったことないでしょ?」

そう言われて私は返す言葉を失う。

「私は一度だけあるからさ、そのとき聞いたんだよ。多分、家に行ったのが弥生ちゃんでも話してたと思うよ」

真弓さんは「ただ、そう言う話が偶然聞けただけだから」と続けて笑ってみせる。
普段不真面目な態度なのに……私の嫉妬心にフォローを入れてくれる。
本当良い人――明らかにからかわれた気もするけど。

夏祭りで恥ずかしい失敗してしまった時も一緒に帰ってくれて、凄く慰めてくれた……。
そのあと雛さんとの気不味い感じをどうにかしようと
喫茶店でのお茶会――――霜澤さんに偶然会い、なぜか一緒にお茶することになるトラブルがあったけど――――も企画してくれた。

<キーンコーンカーンコーン>

予鈴がなり真弓さんが席に戻ると同時に、廊下を慌しく走る音が聞こえ、担任の文城先生が教室に入ってくる。

「はいっ!! セーフッ!」

予鈴が完全に鳴り止んでからで、全然間に合ってないけど文城先生的にはセーフらしい。
というか先生の立場で廊下を走るのは如何なものかと。

「せんせー、あやりん風邪で休みって連絡貰ったよー」

「え? ……んー、サンキュー黒蜜。えっと、雛倉が風邪で休み――っと、ほかは……大丈夫そうだな」

真弓さんから休みの話を聞いた後、適当に周囲を見渡し出席を確認してから「えーと」と声に出し、堰を一つついて再度口を開いた。

「実はだな、1時間目の授業の時間20分貰って来たんだ……
というのもうちのクラスだけ後期の委員名簿が出てないと怒られた、今からさくさく作るから協力してくれ」

……あぁ、この人完全に忘れてたんだ。

190事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-③:2014/12/02(火) 20:57:38
「んじゃまずは……クラスいいんちょ……前期は雛倉だったか……
面倒だし継続でいいかな? 一応賛成反対の決取るから目を瞑って手を上げてくれ」

――面倒だしって……随分適当。

文城先生が私達に目を瞑る様に指示を出す。
そして賛成の人は手を上げるように指示を出す。
私は迷わず上げた。
雛さんは自分で向いてないって言っていたけど、私はそうは思わない。
逆にクラスで一番向いてるんじゃないかって思う。
でも、自分だけ手を上げてるような不安もあって、私は気が付かれない様に目を細く開く。
私の席は後ろの方で、ぱっと見ただけでも真弓さんと檜山さん、他3人程度が手を上げていた。

「んじゃ次は反対の人ー」

私は手を膝の上に置く。反対の人……いるのだろうか?
いまいち賛成の人数も多いのか少ないのかわからなかったので、このときもダメだと思いながら私は目を細めて見ることにした。

――えっと……あ。

見える範囲に一人だけ、肘を机につけたまま遠慮がちに手を上げる人がいた。
その人は黒髪で長髪の……朝見さんだった。

雛さんと余り仲がいいとは言えない相手。
いや、仲が悪いと言ったほうが適切だろう。
ただ、最近は干渉することをやめて、互いに避けてるような気がする。

避けて関わらないようにしてるはずなのに……なぜ手を上げたのだろう?
他の多くの生徒が両方に手を上げなかったように朝見さんもそうするのが自然……。
彼女は何を思って手を上げたのか……本当に向いていないと思ったのだろうか?

「よーし、目を開けていいぞ。結果は継続だな。えっと次は――」

淡々とこれが続き、実に半数くらいの人が委員継続と言う結果になった……適当すぎる。
最後に何か別の話しをしていた気がするけど、下腹部に溜まり始めた物に注意を奪われ、聞き逃す。
文城先生のことだし、恐らく大したことではないだろうと勝手に決め付けておく。

そんなことより、下腹部に溜まり始めた物の方が心配だ。
それは、朝2杯飲んだ飲んだ牛乳が恥ずかしい熱水へと変わったもの。
普段は朝のHR前か後に済ませるのだけれど、朝、雛さんや真弓さんと話す機会が増えたことで、最近ではHR後に行くようになっていた。
朝のHRと1時限目の間には短いが5分の休憩がある。特に文城先生は話が短く直ぐ終わる場合が多い。
だけど、今日はそうは行かない。次授業の先生が既に来て待機している。休憩は無いだろう。

――あと30分……まだそんなにしたくないし全然大丈夫だよね?

私は結構――というより可也“近い”方だから不安が大きかったのだけど
このあとほんの少し我慢が辛くなった程度で、どうにかお手洗いには間に合った。

191事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-④:2014/12/02(火) 20:58:28
――
 ――

――相変わらず高い冷水機……。

私はそう感じながら背伸びしながら冷水機の水を喉を鳴らして飲む。
体育は苦手――勉強も得意じゃないけど……。

「はぁ……」

満足するまで水を飲み干してお手洗いに向かうことにする。
だけど、お手洗いの前には4人ほど人が居て、直ぐに済ますのは無理そうだった。
いつもなら並んでいても2人くらいで、それくらいなら待つのだけど……次の授業もあるし着替えもしなくてはならない。

――着替えてから別のお手洗いに行こう……。

そう思い私は更衣室で着替えた。

――
 ――

4時限目の現国、35分を過ぎた所。
私はお手洗いに凄く行きたくなっていた。

……理由は簡単。着替えていたらお手洗いに行くのを忘れていたから。

普段体育の時は授業終わって直ぐに行くのだけど
後回しにしたのが失敗だった。
いつも授業の合間に済ませているわけだけど
それは尿意に関わらず行ってる日課であり……つまりはその日課を済まし損ねたって事で……。
加えてちょっと飲みすぎた気はしてた。

――またやっちゃった……。

今朝の事もそうだし、1学期の時も同じように飲みすぎて大変恥ずかしい目にあった……他にも――いやそれはいい。
とりあえず、それを全然学習できてない自分が情けない。

――あと15分だけど……ギリギリかも…言った方がいいよね。――よし!!

万が一間に合わなくなって恥ずかしい目に合うくらいなら……そう思って私はお手洗いの許可を先生に要求する覚悟を決める。
以前の私なら多分そんなこと出来なかった。でも雛さんや真弓さんに会って、ほんの少し変われた気がする。

「せんせー、もれちゃいそうで〜す」

――っ!? ちょ、檜山さん!

檜山さんが最悪のタイミングでお手洗いの許可を得るために手を上げながら…もう片方の手はスカートを抑え、恥ずかしい台詞を吐いた。
当然私は、あんな恥ずかしい台詞の後に続いて「私も行きたいです」とは言えず、
行き場の失った覚悟を恨みに変えて歯を食いしばり檜山さんを睨む。
大げさな格好をしてるけど、きっと私より我慢してない……そんな気がする。

――はぁ……。

私は嘆息する。
恨みを込めて檜山さんを睨みはしたものの、別に檜山さんに非があるわけではない。
だが、こうなってしまっては仕方がない。どうにか昼休みまで我慢するしか……。
そうすれば、恥ずかしい思いをしなくてもお手洗いへ行ける。なんの問題もない。

――でも……う〜…。

自然と足がソワソワと動く。
あれだけ水を飲んでしまったのだから、尿意が強くなるのも当たり前……。
だけど、ここは我慢しかない。

192事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑤:2014/12/02(火) 20:59:06
――
 ――

檜山さんの恥ずかしいもれちゃう宣言から10分が経った。
檜山さんはすでにお手洗いから戻ってきている。
私はと言うと……。

机の下でスカートの前に手を添えていた。

――あう…やっぱり辛いよ……。本当に我慢…出来るかな…?

そう思いながら、添えられた手に力を込め、抑える。
いくら机の下で見られていないとはいえ、はしたない……判っていながら手を離すことが出来ずに居た。

<キーンコーンカーンコーン>

授業を終えるその音に私は顔を綻ばせる。

「あ〜、悪い……キリのいい所まで進ませたいから、あと3分だけ……」

――……え?

私にとって最悪の台詞。
次が昼休みだから少しくらい過ぎても問題ないとでも思ってるのかも知れない。
私には大問題なのに……。

私は心の中でどうすべきか悩み、そして焦る。
この3分は私にとって致命的……だけど、今お手洗いだと申し出ることは
その3分が我慢できないと宣言するのと同義で……とても恥ずかしくて言えたことじゃない。

突然与えられた延長戦に緩んでしまいそうな私のか弱い部分を両手で必死に抑える。
1分、2分……秒針がとてつもなく遅く進む。
汗が噴出す。

――やだ……早く…まだなの?

時間は進まないのに尿意が刻々と強くなる。
後ちょっと……それがこんなにも辛い。
大丈夫…大丈夫だとそう自分に言い聞かせるが、不安が拭えず
その不安がより尿意を強くする。
そして――

――あっ…やぁ……波が!

私の膀胱が悲鳴を上げて中のものを搾り出そうと収縮する。
私はそのイケナイ感覚に身を震わし、前のめりに身体を倒して両手で抑え込む。

<じゎ…>

――っ!?

必死に閉じているはずの足の付け根から、ほんの少し、滲み出るように溢れ出す。
仄かに感じることが出来たそのじんわりとした独特の湿り気に私は焦った。
あと少しで終わる、それからまた3分と言うあと少しの時間。
予定ではギリギリ間に合うはずだった、下着を汚してしまう失敗なんてしなくて済むと思っていた。
だけど、やはりこの3分は私にとって境界線で……急に突きつけられたその状況に対応できずに居た。

193事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑥:2014/12/02(火) 20:59:59
――だめ、絶対だめ……こんな所で…おもらしなんて絶対やだ……。

入学してから今までしてきた度重なる失敗。
その回数はすでに中学3年生の時の失敗回数に並んでいた。
それに……中学の時は一度も誰かに見られる状況での失敗は無かった。
だけど、私は今、少しでも気を抜こうものなら決壊してしまうような状態で
クラスメイト全員に見られる授業中の教室と言う環境の中に居る。
絶対失敗なんて許されない――絶対に我慢しなくちゃ!

――でも……本当にもう……。

ほんの少し湿らせてしまった下着が、再度我慢しなくちゃダメだと決意した私に現実を感じさせる。
我慢できずに溢れさせてしまった事実はなくならず、ただ冷たさに変わるだけ。

「はい、ここまで。延長ごめんね、号令はなくていいから各自休憩して」

そんな先生の声が聞こえた。

――や、やったー! 今度こそお手洗いにいける! ……大丈夫、きっと間に合う!

後はお手洗いまで……そこまで我慢すればいい。
下着を汚してしまったのは恥ずかしいことだけど……誰かにバレることはないはず。

「弥生ちゃーん!」

真弓さんの私を呼ぶ声が聞こえる。

「連れションいこうよ!」

――……ストレート過ぎ。

私は我慢している事を悟られないように装い、軽く頷き一緒に行くことを了承する。
というか、真弓さんを良く見ると寝癖が……寝ていたらしい、いつもの事だけど。

私は机に手を付き立ち上がる。

<ジュッ…>

――え? ……ぁ。

私は動きを止める。
確かに感じた、新たに広がった温もり。
油断……波も来ていなかった為、手を離し、立ち上がるくらい大丈夫だと思っていた。
だけど、立ち上がってみると、背を確りと伸ばすことが出来ないくらい辛い状態であることに気が付く。

「遅いよー。早く行こっ」

「う、うん」

――私、真弓さんの前で……少し…出しちゃったんだ……。

気が付かれていないが、そう思うと恥ずかしくてたまらなかった。

194事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑦:2014/12/02(火) 21:00:55
真弓さんの後に付いて膀胱に負荷が掛からないように軽く前屈みに――――あまり不自然には見えない程度に!――――
なって気を緩めず、慎重に歩く。
……抑えたい。だけどそれを必死で我慢して私は歩みを進める。

私の前を歩く真弓さんが教室を出て左に歩みを進めた。

――え? あれ?

私は混乱する。
この教室から一番近いお手洗いにいくには右に行かなければいけない。

「ま、真弓さん?」

私は平静を装い尋ねる。すると振り向きながら「ん? なに?」と返す。

「お、お手洗いならあっちじゃ……」

「え? 今日工事で1年のトイレは断水でしょ?」

――……断水?
今日行ったけどなんとも無かったはずなのに……。

「朝言ってたじゃん? 12時から1階だけ断水って、だからトイレなら2階でしょ?」

どうやら、私が朝聞き逃していたのはこの事らしい。
真弓さんはそれだけ言うと、また前を向き歩き出す。

私がお手洗いを済ませるには、2階のお手洗いまで行かなければならないということ。
もじもじと足を擦り合わして、スカートの裾を握り締める。

――ま、間に合う……よね?

限界の迫る身体に言い聞かせる。
ほんの少し遠くなっただけ。もう直ぐだから。
だけど油断しちゃダメ。確り我慢しなきゃ。

「ぁ……」

必死に真弓さんに付いて歩くが階段を見て思わず声が漏れる。
だけど立ち止まっていてはいけない。
落ち着いているうちに行かないと本当に間に合わなくなる。
一歩一歩慎重に足を踏み出す。
小さな段差を上るために足をほんの少し高く上げる。
ただ、それだけの動作が膀胱を激しく刺激し凄く辛い。

「はぁ……はぁ……」

辛い……本当に。

195事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑧:2014/12/02(火) 21:01:44
どうにか階段を上り終える。
だけどまだそこはゴールではない。
廊下を歩く真弓さんに必死についていく。

――っぁ……。

不意に感じる尿意が膨らむ気配。

――だめ……まだ、まだなの……。

慎重な歩みから焦りの歩みに変わり、足を踏み出すペースが早くなる。
視界に映るお手洗い……それに私の身体が反応している。
あとちょっと、もう直ぐお手洗い……。

ゾクゾクとした感覚が襲う。
膀胱が小さく収縮して私を追い詰める。
もう、平静なんて装えない。

――も、もう出ちゃう!

私は前を歩く真弓さんの横をすり抜けお手洗いに急いだ。

お手洗いに入ると一番奥の個室が開いていた。
もし塞がっていたらと思うと……。

私は慌てて個室に飛び込み、鍵を――

<ガチャガチャ>

――あ、あれ?

何かに引っ掛かりなかなか鍵が掛からない。
私はよく手元を確認する。

――……え? う、うそ、壊れてる!

目に入ったラッチ錠は、ラッチと受けの位置がずれてしまっていた。
お手洗い……いや、個室と言う空間に来たことで、尿意が一層膨れ上がる。

――どうすれば……そ、そうだ、扉を手で押さえてしちゃえば……。

本来ならそんな大胆で恥ずかしいこと出来ない。でもこのままじゃ本当に我慢できない。――此処まで来ておもらしなんて出来ない!
他の個室もまだ開く気配も無い。だったら……。

私は視線を便器の方へ向ける。

――……っ!

私は頭が真っ白になる。
跨って済ませる和式の便器から扉までの距離。
どうやっても手が届く距離ではなかった。

――お手洗い……凄く遠い……。

それは手が届かない物理的な距離だけじゃなく、済ますことの出来ない状況から出た表現。
身体が震える。恥骨から頭までゾクゾクとした感覚が走る。

196事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-前編-⑨:2014/12/02(火) 21:02:32
――だめ……どうしよう? どうしよう? どうしよう!?

「弥生ちゃん、大丈夫?」

真弓さんの声。
私は思いつく。真弓さんなら……。

私は震える身体を必死で抑えて口を開く。

「ま、真弓さん! あの…お願いがあ――っ……」

<ジュッ!>

私は言葉を途中で止める。
だけど、止めなきゃいけないのは言葉ではない。

<ジュワー……>

抑えこむスカートに染みが広がる。

――うそ…やだ……。

扉に体重を預ける様にして前屈みになる。
止めなきゃ、止めなきゃ……そう何度も心の中でつぶやき、力を込める。
でも、だめ……わからない。どうやったら止めれるのか、どうしたら力がはいるのかが。

「――? ――」

扉の外で真弓さんが何か言っている。
凄く遠くから聞こえる……。

<ジュー><ぴちゃ、ぴちゃ>

押さえて抑えて……どんなに押さえても抑えられない。
スカートに広がる染みはさらに広がり、腿に流れ靴下に染み靴を濡らす。
スカートの奥から雫が落ち個室の床で水音を立てる。

「あっ――っはぁ……んぁ…ぁ……やっ…――と、とま……」

もう、わかってる。
私はまた……。

「え? ちょっと弥生ちゃん……(ごめん、ちょっとそのまま、隠れてて!)」

真弓さんの声……その後お手洗いから駆け出していく足音が聞こえた。
私は真弓さんの指示に従う。従うしかなかった。
私のその恥ずかしい水は7割以上出てしまいながらも途中で止めることができた。でも何の意味もない。
下着を湿らしてしまったのとはわけが違う。

――また、やっちゃったよ……。

視線を落とす。そこには色濃く染まったスカートと私の作った恥ずかしい水溜りがあり……それは言い訳の効かない明らかな“おもらし”で……。
個室に入ってた人達にはバレてるかもしれない……此処を開けられて、恥ずかしい姿を見られるかもしれない。
水溜りの上で必死になって扉が開かないように手で押さえる。
そんな自分の姿が、情けなくて、馬鹿みたいで……目に溜まる涙が静かにいくつも零れていく。

――雛さん……真弓さん……。

親友の名を心の中でつぶやく。
二人に見られたくないのに、恥ずかしいはずなのに……。

それなのに私は、……今、二人に凄く縋りたい……近くに居て欲しい。
そう思ってしまう。

つづく。

197事例の人:2014/12/02(火) 21:04:11
最近『声』が全然仕事してない

198名無しさんのおもらし:2014/12/02(火) 22:01:16
言われてみれば確かに声が全然仕事してないね。 綾菜が風邪で寝込んでる時にこんな事があったのか、あれ?この話って某所で書いてたマンガを小説にしたのかな。あのマンガは好きだったので小説でも読めるとは最高です。後半は一体どんな話になるのか楽しみだぜ。

199名無しさんのおもらし:2014/12/02(火) 22:34:38
待ってました!
弥生ちゃんおまた緩すぎだろと思ったら中学でもおもらしっこだったのか

200名無しさんのおもらし:2014/12/03(水) 08:12:39
弥生ちゃんは恥ずかしがりやでかわいいなあ
やっぱり、我慢する不運な少女の話は最高ですね!

201名無しさんのおもらし:2014/12/03(水) 14:56:42
あげとこう

先を越されていい出せない、カギのせいで目の前の【楽園】おあずけ等
状況の作り方がいいね

202名無しさんのおもらし:2014/12/06(土) 05:46:01
またあげとこう
こんばんがたのしみ♪

203名無しさんのおもらし:2014/12/06(土) 17:13:54

この世界には、『式神契約』というものがある。
『式神』となる人間は術者の魔力を受け、己を使役する術者の盾となり矛となる。
契約が済むと、術者と式神には特別な繋がりが生まれ、感覚を共有しながら共に成長してゆくのだ。



とある修練場に、ひとりの式神の少女が居た。
相方の術者である少女は今ここにはいない。
契約があるとはいえ、四六時中一緒にいるわけでもないのだ。
式神の少女は呪文の鍛錬をしながらも、頭の中は相方のことと、もうひとつのことでいっぱいだった。
相方に対するものは、心配や恋情などでは決してない。あえてそれに名前を付けるとしたら、怒り。
(あの馬鹿、繋がってること忘れてるんじゃないでしょうね…!)
少女のほかには誰もいない修練場の真ん中で毒づくが、それは怒りと同時に湧き上がってきたもう一つの欲求に遮られてしまう。
少女は反射的に両足を包む袴の間に手を差し入れ、それから恐る恐るといった様子で手を放す。正座の状態になった両足は、その姿勢を崩さない程度にもじもじと動いている。


さて、ここでもう少し詳しく『式神契約』について説明しよう。
先ほど述べた「特別な繋がり」とはなにも魔力の受け渡しに限った話ではない。体の感覚――寒さや痛みなども、一方が感じれば自動的にもう一方にも感覚が行く。実際に傷ができるわけではないが、痛いものは痛い。そして、それは、尿意にも適用される法則だった。
つまり端的に言えば式神の少女は、どこかにいる相方の『おしっこ我慢』のとばっちりを受けているのだった。


「み、水の神よ…、っ、敬虔な使徒に、ぁ、力を、さず、けたまえ…っあ、」
目の前に広げた、呪文の書かれた巻物の字を切れ切れに唱える。水、という言葉に小さく反応する。
実際にはほとんど膨らんでいない彼女の膀胱は、まるで危険水域に至っているような感覚を先ほどからずっと発し続けている。
ならば相方が厠に行けばいい話なのだが、生憎と今日は二人に仕事が入っていなかったために、相方は朝からどこかに出かけたままだ。早く厠に、とせっつくことすらできない。
朝、どこそこに行ってくるという話をされたような気はするが、その時は興味もなく聞き流していた。
つまり、どこかに居る相方が自分の意思で厠に行かない限り、この式神の少女は虚構の尿意から解放されることはない。
ここまで強い尿意を抱えた相方が何をしているのか知る由もないが、きっとすぐに厠に行くだろう。そう楽観視してはいるものの、期限の切られない我慢は辛い。

いくら限界が来ようとも、漏らすことがないのは救いだろうか。
それとも、自分の意思で解放されることのできない我慢は苦痛か。

腰を左右に揺らしても、ぎゅっと股間を抑えても、前かがみになっても尿意の辛さは変わらない。
はち切れそうな膀胱を抱えて、今もどこかで『本当の我慢』をしているのは、彼女ではなく相方だからだ。
もしかしたら買い物の途中で催して、厠を探している最中かもしれない。そういう話を聞いたことはないが、意中の相手とどこかを歩いていて、言い出せないのかもしれない。
いいから早く厠に行け、と想像のなかの術者の少女に怒りをぶつけるが、そんなことをしても仕方ない。
極限状態といってもいいほどの虚構の尿意に苛まれた式神の少女は、鍛錬を諦めることにした。

正座の状態から、腰の引けた状態でゆっくりと立ち上がる。途中、強い波が襲ったが、術者は漏らさなかったらしい。更に強くなった尿意がそれを伝えてくる。
巻物をまとめ、所定の場所に片づけ終え、修練場の戸に手をかけた時、『それ』は起きた。
「っ、あ…待って、っ〜〜」
いままでで最大級の尿意に、たまらず崩れ落ちる。漏らすことはないと頭では分かっていても必死で押さえつける。
長い時間我慢させられた尿意は、それが実在していないとしても少女に解放の快楽を感じさせるには十分だった。
時折弱まる排尿感は、もしかして術者は排尿を止めようとしているのか。
それがもどかしくて、無意識に式神の少女は下腹部にぐっと力を込める。ちょうど、自分が排尿するときのように。
数分が経っただろうか。あれほど式神の少女を悩ませた強い尿意はすべて消え、少女は床から立ち上がる。と、同時に違和感を覚えた。
先ほどまでは体に馴染んでいた袴がいやに重い。
恐る恐る少女が目をやると、愛用の袴はちょうど股から下の一部を濃く変色させていた。

204名無しさんのおもらし:2014/12/06(土) 17:21:59
いつか術者ちゃんの側も書きたい

205名無しさんのおもらし:2014/12/26(金) 02:12:41
式神ちゃんめっちゃかわいい

206名無しさんのおもらし:2014/12/26(金) 02:39:33
20日間か…

207名無しさんのおもらし:2014/12/26(金) 15:16:34
過疎ってるなぁ

208名無しさんのおもらし:2015/01/07(水) 16:08:03
あけおも

209名無しさんのおもらし:2015/01/08(木) 00:44:28
事例の人は今
PC(Pee Continence)の調子が悪いんだっけ

210名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:19:50
ぱんぱんっ、と賽銭箱の前で柏手を打ち、頭を垂れる。

(高校受験、失敗しませんように…っと)

菜々美は父親と二人で初詣に来ていた。
いつもは家の近くにある神社に行っているが、今年は高校受験を控えているということで、少し離れた学業成就で有名な神社にお参りすることになった。

(やっぱり有名な神社はすごいなぁ)

神社の敷地の中も外も、びっしりと屋台が立ち並び、通路は人で埋め尽くされている。

「菜々美、どうする?何か買ってから帰るか?」
「うーん…」

(クレープとかあるけど、こんな時間に食べると太っちゃうなぁ…)

辺りの屋台を見回しながらどれにしようか考えていたところ、ぷるるっ、と菜々美の体が震える。

211名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:21:34
(あ、結構トイレ行きたいかも…)

上半身は厚いコートを着込んできてはいるが、下半身は膝丈までのスカートだけなので、身体が冷えてしまっていたらしい。

「うん、食べ物はいいかな。私ちょっとお手洗い行ってくる」
「そうか、じゃあ車で待ってるから」

父と別れトイレを探す菜々美。
しかし、初めて来る神社なので、トイレがどこにあるのかわからない。
うろうろとさまよい歩くうちに、ようやく厠はこちらですという看板を見つけた。

(やっと見つかった…って、うそ、こんなに並んでるの!?)

参拝者の多さもあってか、女子トイレにはパッと見でも数十人以上の列が並んでいた。
中の個室の数は分からないが、このまま並んだら相当待つ事になるだろう。

(うーん、こんなに待つんだったら、早く帰って家のトイレを使ったほうがいいよね)

外の寒さの中トイレを待つよりも、暖かい車の中で家まで我慢した方がいいだろう。
そう考えた菜々美はトイレの列に並ぶのを諦め、急いで駐車場に向かった。

212名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:22:24
車に乗り込んでからしばらくは、尿意を我慢したままどうにか父親と世間話を続けることが出来ていた。
だが、家まで十分程度のところまで来たところで、膝をくるくると手で撫でまわしたり、脚を組み替えたりと落ち着かない様子を隠せなくなってきた。

(うぅ…したい、おしっこしたい…)

もし今学校の授業中だったら、先生に手を上げてトイレに行かせてもらうかもしれない。
奈々美はもうおしっこの事しか考えられなくなってしまっていた。

(がまん、がまん、がまん)

ぷるぷると震えるおしっこの穴に、必死に力を入れて抑える。
すーはー、すーはー、と浅い呼吸を繰り返しながら、それでもどうにか家まであとすこし、外は見覚えのある景色になってきた。

213名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:23:28
しかし、そこで父親が予想外の一言を発した。

「ガソリンなくなってきたから、スタンド寄るぞ」
「えっ、う、うん」

あと数百メートルもまっすぐ行けば家につくという所で、車は右手にあったガソリンスタンドに進入する。
もう少しでトイレに行けると思っていた菜々美は、思わぬおあずけを食らってしまった。

(こんな時に行かなくたっていいのに…おしっこ、おしっこっ…!)

ガソリンスタンドにもトイレはあるだろうが、奈々美はそんな事にも気が回らなくなっていた。
ぎゅっと膝をこすりあわせ、手をひざの上に置いて、奈々美は我慢の延長戦を続ける。

(本当ならもうトイレでおしっこ出来てたはずなのにっ…!)

一瞬、トイレでおしっこをしている自分を想像してしまう。それがきっかけになってか、一際強い尿意の波が菜々美を襲う。

(やっ!)

咄嗟にスカートの上からぎゅぅーっと、両手でお股を抑える。

214名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:25:53
(あ、危なかった…出ちゃうかと思った)

どうにか尿意の波を乗り越えられたが、次の波を我慢できるか怪しいかもしれない。

そわそわ、そわそわ。
まさにそんな擬音がぴったりなくらい、膝をぎゅっと合わせたまま体を揺すっておしっこを我慢する。
ガソリンスタンドを出て数分、しかし奈々美に取っては十分以上にも思える時間で、ようやく家に到着する。

片手でぎゅっと股間を握りしめながら、お腹に力が入らないよう慎重に、かつ手早くシートベルトを外して車から降り、前かがみのままよちよちと家のドアに駆け寄る。
家には母親と妹が残っているので、鍵はかかってない。

215名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:27:28
ドアを開けて玄関に入ると、温かい空気に一瞬体が弛緩する。
ぶるるっと身体が震え、おしっこが飛び出そうとする。

(もうちょっと、もうちょっとだからっ!)

トイレまであと少しという事実で自分を鼓舞しながら、片手でスカートの前を抑えたまま、もう一方の手で靴を脱ごうとする。
しかし、靴紐がきつく縛られている所為でなかなか脱げない。
その間にも、菜々美の膀胱は刻一刻と開放の時を待ち望んで、強烈な尿意を送り続けている。

(も、もう靴脱いでなんてらんない!)

菜々美は靴を脱ぐのを諦め、土足のままトイレに向かって歩き出す。
ひっぺり腰のままトイレの目の前まで辿り着き、ドアノブを一気に引き降ろす。

216名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:28:36
だが、がちゃん、という鈍い音を立ててドアノブは途中で止まってしまった。
見るとドアノブの中は赤く、施錠済みであることを示している。

「お姉ちゃん?おかえりー」

トイレの中から妹の声が聞こえる。

(なんで、こんな時にっ…!)

トイレが空いていればあと数秒でおしっこができるはずだった菜々美に、またしてもトイレのおあずけが下される。
おしっこが出る穴がひくひくと震え、尿道をおしっこが通り抜けてくる。

(だめ、だめ、まだ、だめなのっ…!)

括約筋に必死に力を入れるが、何度もおしっこを抑え込んできた菜々美の身体はもう限界に来ていた。
菜々美の必死の抵抗も虚しく、ちょろ、ちょろとおしっこが溢れでて太ももを流れていく。

217名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:29:06
「ちょ、ちょっと早く出て!」
「んー?わかったー」

カラカラとトイレットペーパーをまき取る音がする。
その間も、菜々美はぷるぷると身体を震わしながら、断続的におしっこを垂れ流し続ける。

(だめ、だめ、だめっ…!)

ガチャ。
トイレのドアが開き、妹が出てくる。

(おしっこっ!)

218名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 01:30:05
妹を肩で押しのけトイレの中に入った菜々美だったが、その真っ白な便器を目にした瞬間、まるでおしっこの穴を塞いでいた栓が抜けてしまったかのような圧倒的な尿意が菜々美を襲う。

(あっ、やっ、だめっ!)

じょろろろろろろ。
スカートを一瞬で黄色く染め上げながら、滝のようにおしっこが溢れ落ち、トイレの床に水たまりを作っていく。

「ちょ、お姉ちゃん!?」

妹がぎょっと目を見開いて、便器の目の前で立ったまま突然おしっこを始めてしまった姉の姿を見つめる。

(やだ、止まってぇ…!)

両手をあてがい必死におしっこを抑えこもうとするが、二度のおあずけを食らってしまったおしっこはもはや止めることは出来なかった。
妹にその一部始終を目撃されながら、菜々美のおしっこはばちゃばちゃと床の水たまりを広げ続けていった。

219名無しさんのおもらし:2015/01/12(月) 02:02:45
ふむ、オーソドックスな良作です

他も期待しています

220名無しさんのおもらし:2015/01/14(水) 08:08:39
やっとトイレにいけると思ったら誰かが入っている
いい展開ですね

221事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-& ◆plUe0InTVs:2015/02/05(木) 19:34:19
「はぁ……」

私は駅に向かって歩く。
結局、保健室から着替えとかを真弓さんに持ってきてもらって事なきを得たが
今回は――――"今回"とか言っちゃう辺り常習犯なのを自覚してて情けない――――そのまま授業を受ける気になれず早退してしまった。

「あぁー、もう、なんで……あぅ……」

私は頭を抱えながら意味のない声を小さく零す。
頭の中に"おもらし"と言う言葉がグルグル回ってる。
何度失敗しても慣れない。恥ずかしさや悔しさ、憂鬱な気持ちやなんとも言えないやるせなさ。
それが複雑に絡み合い、胸が締め付けられているような苦しさを感じる。

――どうして我慢できないかなー、今日だって、隣の個室が開くまで我慢すれば……そうじゃなくても
真弓さんに後一言伝えて、扉を開かないようにしてもらえれば……。

後者の行動はどうしても我慢できそうにない私が取ろうとした行動。非常に恥ずかしい最終手段。
冷静になって考えれば、凄く大胆な行動で……でも、結局それすらも我慢できず……。

「はぁ……」

また嘆息する。わかってる、悪いのは全部私。
飲みすぎたのも、お手洗いに行き忘れたのも、授業中に申告てきなかったのも、我慢できなかったのも全部私。
誰かのせいなんて言い訳しちゃいけない、全部私の責任……。

――あーもう、いいや、早く帰って寝ちゃおう……。

深く落ちていく思考を続けるのが辛くなって、故意に思考を中断させる。

電車に乗り込み、座席に座る。
しばらく私は電車に揺られる。一駅、二駅……。
乗りなれた電車。でもいつもと違う時間。乗車してる人も若干違うし少し違和感のある感じ。
その不思議な妙に落ち着かない感覚を体験することとなった理由……私の失敗。
……考えたくないのに。

「はぁ……」

もう何度目になるかわからない嘆息。
それと同時に、私の小さな下腹部が不快な感覚を感じてしまう。

222事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-& ◆biEzrXRlmM:2015/02/05(木) 19:36:20
――……そっか……全部、出さなかったから……。

尿意。
それは本当に小さな尿意。
だけど、確かに感じる。今は不快で仕方がない。

いつも降車する駅まであと10分と言ったところ。
余裕を持って我慢できる、途中の駅でお手洗いに行くためだけに降車するなんてありえない。
普段ならそう思うべきはずの場面。

――つ、次で一応……降りようかな?

あれだけ我慢した後というのもあって、出口や膀胱を確りコントロール出来る自信がない。
私は電車の扉前に視線を向ける。
そこには一人の綺麗な――でも可愛い服に身を包む女性が居た。記憶が確かなら、私と同じ駅で乗り込んできた人。
その人は、まだ停車するために電車は減速すらしていないのに、扉の前にいる。
そんなに早くから席を立つ意味……。
なんとなく気になりその人に視線を向け続けていると、あることに気が付く。
ソワソワと落ち着きが無く、何か心配してるような表情で、目が少し泳いでる。
それは……尿意を感じて我慢している……そんな風に見える。

それなりに切羽詰っていなければ見せないはずの仕草。だったら何故前の駅で降車しなかったのか。
いや、それ以前に乗車する前になぜ済ませなかったのか。……人のこと言えないけど。

しばらく観察しているとその綺麗な女性はしきりに時計を気にしている。
何か予定があり、途中で降車することを躊躇している……そんな風に見える。

駅が近づき、電車が減速し始める。私も立ち上がりその女性が降りる扉とは違う扉の前に立つ。
私は視線だけを横に向け、女性の様子を見ていると、少し焦った表情で扉に一歩近づいた。

――あ、降りるんだ。我慢できないのかな? それともここが降りる予定の駅?

どのくらい我慢してるんだろう。
今日私が失敗したときよりもずっと沢山我慢してるのかもしれない。

……。

――そんな事考えてたら、私も……。

沢山我慢した後はお手洗いが近くなる。
変に尿意を意識した為に急激に高まる尿意に私は小さく足をすり合わせる。

223事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-3:2015/02/05(木) 19:37:45
――うぅ……は、早く止まって開いてよぉ……。

他人の心配なんて出来ないくらいに急激に高まってくる尿意に私は焦る。
膀胱が張っているわけじゃないから沢山溜まってるわけではない。だけど、膀胱が敏感に小さく収縮する。
抑えたい……。だけど、後ちょっとだし、……やっぱり恥ずかしい。

私は極力大きな仕草にならないように必死に我慢する。
片足に体重を乗せ、もう片方の足を軽く浮かせて内側に押し付ける。
そんな不安定な我慢の仕草をしているとき電車が止まり、車内がガクンと揺れた。

「あっ!」

バランスを崩し、浮かせた足が肩幅程度に開いた状態で車内に足をつける。
同時に溢れ出してしまいそうな感覚を局部に感じて、慌てて両手で押さえ中腰になる。

<じゎ…>

だけど、間に合わずほんの少量ではあるが下着を汚してしまう。

――あぁ、学校の下着なのに……んっ! やぁ!?

下腹部にたまる熱水が暴れる。極度に疲労してしまっている括約筋にうまく力が入らない。
手で何度も抑えなおす。少し治まったらすぐに離すつもりでいたのに……もう離せない。

――は、早く! 早く開いてよ!

ほんの少し前までまだまだ大丈夫だと思っていたはずの尿意に信じられないくらい追い詰められる。

<――扉が開きます、ご注意ください――>

扉が開く前の悠長なアナウンスが聞こえたあと扉が開く。
私は急いで足を前に踏み出す。

――あぁ、そ、そうだ、ここいつもの駅じゃなくて……えっとここのお手洗いって……。

いつもと違う景色、でも何度か降りてお手洗いの場所はわかってるのに、混乱してその場で足踏みして左右に視線を巡らせる。
そんな視界に捕らえたのはお手洗いの表記ではなく、慌てて駆けていく先ほど同じ電車に乗っていた尿意を我慢していたであろう綺麗な女性。
駆け出していった方向にお手洗いがあることを思い出すと同時に、ここのお手洗いは狭く個室がひとつしかない事も思い出す。

――っ……嘘、最悪だよぉ……。

必死で後を追うように駆けるが、彼女の後ろに並ぶことになるのは明らかで、もしかしたら、すでに数人並んでいる可能性も十分にあって……。
良くない今の状況に最悪の事態が脳裏を過ぎる。

お手洗いに入ると、さっきの綺麗な女性が前屈みになって何度も小さく足踏みを繰り返していた。
個室の前で熱い息を何度も吐き、彼女も本当に限界まで我慢していることがわかる。
だけど、私がお手洗いに入ってきたことに気が付き、ほんの少しだけ姿勢を正し、でも手は大切な部分から離さずにじっと個室のほうに向いてしまった。

224事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-4:2015/02/05(木) 19:38:48
――個室の人と……一人の順番待ち……。

たぶん私の番まで5分も掛からない。
大丈夫、我慢できるはず。――しなきゃダメ……。
でも、学校で酷使され続けた大切な部分が待ってくれない。
まだだと分かっているのに膀胱も小さく収縮し出してはいけない恥ずかしい熱水を吐き出そうとする。
身体をくの字に曲げて両手で必死に抑え込む、それなのに――

<じゅゎ……>

――〜〜〜っ!

また溢れ出す、今度はさっきよりも多くその温もりをハッキリと局部の周りに感じる。
それでも膀胱は収縮し続け、我慢する力を失った括約筋が押し広げられる感覚を感じる。

「あぁ……やぁ……」

――だめ、だめぇ……でちゃうでちゃう……またしちゃうの??

立っていることが出来ずしゃがみ込み踵でグリグリと緩みそうな出口を抑え込む。
我慢できそうな感覚を残しながら、それでいて今すぐにでも簡単に開いてしまいそうな異様な感覚。
あとちょっとが凄く遠く感じて、視界が涙で滲む。
一日に2回もおもらしなんてしたくない――したくないけど……。

「だ、大丈夫?」

必死の我慢に顔を伏せていた私に正面から声が掛かる。恐らく個室の前に並んでいた綺麗な女性。
その人の声は私を気遣う内容だった。
……自身の状態を頭の隅で映像に起こして、顔を上げることが出来なくなる。……恥ずかしい。

「えっと、もう少しだけ我慢できる?」

私の状態を察し、目の前でしゃがみ込み肩に手を置く。
伏せたままの視界にその人の足が見える。
もじもじと小さく揺れるその足は、彼女も限界近くまで我慢していることを物語る。

「もうすぐ…個室空くから、もうちょっと…がんばって……」

自身を襲う強い排泄欲を必死に宥めながら、その言葉の意味を理解する。
私は顔を伏せたまま小さく頷く。……頷くしかなかった。
私よりも年上でずっと綺麗なのに、仕草を隠せずに我慢してる……それがどれくらいつらいのか分かっていながら……。

<バシャー>

大きな水音が、個室の奥から聞こえてくる。

「ほ、ほら……んっ、も、もうすぐだからっ」

私はその熱い息遣いの混じった声を聞きながらゆっくり慎重に立ち上がる。
踵が濡れてる感覚がする。下着もさっきよりも広い面積で濡れた感覚を感じる。

225事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-5:2015/02/05(木) 19:39:49
――あと少し、あと少し、ぁ、〜〜っ!

<じゅっ…じゅぁぁ……>

また少し溢れて下着が濡れる。
スカートの上から抑え込んだ手にも少し温もりを感じる。

――これ以上はダメ、絶対ダメぇ……溢れちゃう、おもらしになっちゃう……。

<ガチャ>

個室が開く、私は滑り込むように中に入る。

「ぁ、やぁ…」<じゅぅぅーー>

下着の中でくぐもった音が控えめに聞こえる。もう止められない。
扉の鍵を慌てて掛け、スカートを上げて便器に跨り、同時に下着を下ろした。

<しゅぅーーーー>

便器を叩く恥ずかしい音。
太腿、脹脛に間に合わなかった雫が光る。
下ろした下着はこれ以上濡れようのないくらいに恥ずかしい熱水を含んでいた。

「はぁ……はぁ……」

――これって……少し失敗したって程度……じゃ…ないよね……。

当然これはちょっとした失敗ではなく、完全な失敗――おもらしであり、私は今日だけで2回もそんな恥ずかしい粗相をしてしまった……。
悔しくて、情けなくて、惨めで、滑稽で――

<コツコツ>

個室の外で足踏みの音が聞こえ、私を現実に引き戻す。
同時に、荒い息遣いも……。

――は、早く出ないと……っ!

私の膀胱は思ったとおり10秒程度に空になったが、スカートの前が握りこぶし程度に濡れて変色していて
個室の中も沢山汚してしまっていた。

――か、片付けなきゃ!

そう思い、紙に手を掛けるが、失敗を処理できるほど紙の残りが無い事に気が付く。
カバンに何かあるかも知れないと思ったが、個室の外でしゃがみ込んだときに手放していて、手元に無い。
このまま出たら、沢山失敗しちゃったことがバレてしまう。

226事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-6:2015/02/05(木) 19:40:37
「(やぁ……はぁ……んっ、…んはぁ……)」

外から余裕の無い息遣いが聞こえる。
……恩を仇で返すわけには行かない。
私は最小限の紙を取り、局部と足と下着を軽く拭き紙を便器に落とす。
その後レバーを倒し、下着を上げ――――当然冷たく気持ち悪かった……――――スカートのしみを目立たない横に回して身嗜みを整える。

<コンコン>
「あぁ…は、早く……ねぇ?」

「っ! ごめんなさい、今出ます」

突然催促されて、驚く。私は慌てて鍵を外すとこちらが開く前に、外から開かれる。

「あぁ! もうだめっ!」

その人は滑り込むように入って扉も閉めずに便器に飛びついた。
同時に恥ずかしい音が聞こえ、私は慌てて個室を出て扉を外側から開かないように持った。

「はぁ……はぁ……」<じゅううぅぅーーー>

扉の中から聞こえる勢いのある音。
たぶん私も聞かれていた恥ずかしい音。
私は顔が真っ赤に染まる、人前でなんな恥ずかしい我慢姿だけじゃなく、音消しも出来ずにこんな音まで。
それに、個室の中で溢れさせて……ほんの少し間に合わなくて……。

恥ずかしさから私は視線を下に落とす。

――……え?

個室の外に小さな水溜りを見つける。

――私、個室に入る前からこんなに失敗しちゃってた??

……。

個室の中ではまだ、恥ずかしい音が続いてる。
こんなに沢山……私よりずっと沢山……。
もう一度視線を床に向ける。

……。

可能性の話でしかない。
裏付けるものもまだ何も無い。
だけど……。

――これって、私のせいで……あの綺麗な女性が……?

私が出るのが遅かったから。
私が順番を譲ってもらったから。

こめかみから汗が流れ、唾を飲み込む。
もし本当にそうなら、凄く悪いことをしてしまった。

227事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-7:2015/02/05(木) 19:41:25
<ガチャ>

中から鍵が掛かる音がした。

「あ、あの!」

私は何か言わなくちゃと思い声を上げる。
中からすぐに返事が来ない。……私は続けた。

「ご、ごめんなさい……順番譲ってもらっちゃって」

中の様子が見えないからどうすればいいのか分からず
罪悪感から胸が痛む中ただ、じっと待つことしか出来なかった。
そして一拍の間をおいて中から声が聞こえてきた。

「……"ありがとう"じゃなく、"ごめんなさい"――なのね……」

私が意味を分からずにいると――

「……水溜り見っちゃったんでしょ?」

そう細い声で尋ねられ、さっきの言葉の意味も理解した。
失敗した……"ありがとう"と言うべきだった。――いや、後ろめたさがあった以上、"ありがとう"とは言えなかったと思う。
私はもう一度扉の外で謝る。

「ううん、私が無理せず電車に乗る前に済ませば良かっただけだから……」

中でごそごそと失敗の処理――――きっと気が付かず私の分まで……――――をしながら説明してくれた。
彼女は大学生で、昼からの講義に出るために大学に向かっていたところで
用事があって電車が来るギリギリに駅についてしまったこと、降りる駅は次の駅だったこと、そこまで我慢するつもりだったこと
我慢できそうになくなって、講義に間に合わなくなるけど、この駅で降りてしまったこと。

しばらくして、彼女が出てくる。

228事例8裏「篠坂 弥生」と断水の日。@弥生-後編-8:2015/02/05(木) 19:42:01
「えっと……目立つかな?」

私に濡れているところを涙目で恥ずかしそうに見せる。
黒っぽい色のスカートで、よく見ない限りは分からない。

「だ、大丈夫だと思います……」

それを訊いて、少し安心したような顔をした。
手を荒い、お手洗いを出て駅のホームに向かう。

「もうっ! 今年はトイレ運ないな〜」

彼女は少しワザとらしく明るく言って見せた。
その後、私を見てから少し不思議そうに言う。

「あなた、高校生でしょ? こんな時間に早退かなにか?」

私は肩を跳ねさせる。
でもそれは当然の疑問だと思う。

「えっと……その、…しちゃったんです」

「え?」

「ま、間に合わなくて……その……」

本当のことなんて言わなくてもいいのに……。
そう思いながらも小さな細い声で遠まわしに言ってしまう。

「あっ! ……えっと、ごめん変なこと訊いちゃった……」

気まずい沈黙が続く。

「わっ、私もね……えっと7月始め頃かな? 失敗しちゃったことがあってね……。
しかも、友達の妹の前でよっ! あれは死にたくなるくらい恥ずかしかったぁ〜」

私を励まそうとして明るく、でも真っ赤な顔で話す。
そのとき電車が来る。
そして、ふと疑問を感じて電車に乗る前に尋ねる。

「えっと、これから大学に行くんですか?」

「あ……、私この電車乗っちゃだめなんだ!」

ですよね。

おわり。


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