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おもらし千夜一夜4
157
:
事例8「雛倉 綾菜」と病気の日。②
:2014/10/18(土) 23:44:15
――
――
<……ピンポーン>
――ん?
<ピンポーン>
――えっと来客?
怠いし、面倒くさい。無視してしまおう。
時間だってお昼前だし……。
「おーい、雛倉? 先生だぞー」<ピンポーン>
……。意味がわからない。
なぜに先生が……学校はどうしたのか。
仕方がないので、重い身体を引きずりながら玄関へ向かう。
声も出せないのでとりあえず玄関を開けた。
「あぁーなんか物凄くだらしない格好だなぁ」
――そっか、ジャージでしかも髪も酷いし。
そういわれても仕方がない。
「びっくりしただろ? なんたって私も早退してわざわざ見舞いしにきたんだから」
得意げに笑ってみせる先生。
うん、吃驚だ。何故に早退までしてまで家に来るのか。
ちゃんと仕事して欲しい。
「いやー、見学会のとき、なにか奢るって言って忘れてたから、スポーツ飲料水と風邪薬を奢ってやろうと思ってね」
そういえば、そんなこと言ってた……。
……。
私は熱い顔がさらに熱くなるのを感じる。
もしかして、先生は知ってるかも知れない。私の失敗を。
バス会社から座席のクリーニングの話があったとしたら、先生が私に疑惑を向けるのはパーキングエリアでの会話から至極当然なこと。
「とりあえず、お邪魔するよ」
「…っ!」
玄関先から靴を脱いで勝手に家に上がる先生。それを止めようと声を出そうとするが、喉が痛くて出せない。
先生は開いてる扉を見つけ、中を覗き、そこが私の部屋らしきことを確認すると私の方へ視線を向ける。
「あ、ごめん、歩くのも辛い? 声も出せなさそうだし、結構酷いのか」
廊下の壁に手を付きながら歩く私にそう言う。
そして、私に近づき肩に手を回して支えてくれる。
――本当、良い先生なんだけど……。
先生の名前は文城 雅(ふみしろ みやび)。
今年でこの学校にきて3年目で、去年は雪姉のいクラス担任だった人。
私と雪姉の入試点数勝負についても進路指導の関係で知っているらしく
そのせいで私の入試トップの印象が強くクラス委員長に……流石に負けられない勝負だっただけに後悔はしてないけど。
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