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鈴扇霊 二つ目の物語

1ピーチ:2013/07/08(月) 11:42:15 HOST:em114-51-173-48.pool.e-mobile.ne.jp
連載(?)してる小説「鈴扇霊」の短編的なもの書こうと思います。

とりあえず生暖かい目で見守ってやってください←

2ピーチ:2013/07/08(月) 13:29:30 HOST:em114-51-173-48.pool.e-mobile.ne.jp
―――出逢い―――






「あまかみ……?」
「うん、天の神って書いてあまかみって読むんだ。あすかいは?」
「……飛ぶに鳥、井戸のい」
「あ、そっか。“飛ぶ”に“鳥”であすかって読むよね」
 どんな才人だよこいつ。
 まだ小学校の入学式だってのに、何でそんなこと。
「家で叩き込まれててよかったって、初めて思ったなぁ」
「お前もう俺に話しかけんな!」
 こっちが惨めになってくる!
「え? 何で?」
「何ででも! とにかく迷惑だからだよ!」
 つーか、普通に俺に話しかける時点で頭おかしい。
 大体、天神は能力者だってこと知られてないんだ。わざわざそんなばかなこと……。
「……そ、か」
 苦笑気味に笑った天神が、諦めたように息を吐く。
「じゃあしょうがないね。分かった」
 そう言って、そのまま席について頬杖をついて。
「みんな居るかなー?」
 いつの間にか入ってきた担任が自己紹介を始める。
「―――じゃあ、みんな先生のことは美紀先生って呼んでね」
 そう言って無駄に明るい笑みを撒き散らしながら、坂東(さとう)先生……美紀先生がとんでもないことを言った。
「今日はもう時間がないから、みんなには明日自己紹介してもらおうかな」
「はーいっ!」
「―――………は?」
 三十八人中、三十六人は元気な返事をした。
 ただ、俺と天神は。
「何でお前まで!?」
「俺、自己紹介って嫌いなんだよねぇ…」
 苦手、じゃなくて、嫌い。
 天神の言葉に両目が見開いたのが、自分で分かった。
「何か、他人に知られるっていうのがね…」
 天神と同意見だったけど、とりあえずあっそとだけ答える。
 結局、明日は俺から自己紹介する羽目になった。

3ピーチ:2013/07/08(月) 14:23:57 HOST:em49-252-8-59.pool.e-mobile.ne.jp







「行きたくねぇ………」
「昇っ? ちょっ早くしないと遅れるよ!?」
 姉貴が悲鳴じみた声を上げた。
 まぁ当然と言えば当然。家の柱にしがみついて梃子でも動かない宣言した俺と一緒に学校行かなきゃいけないから。
「姉貴だけで行っていいよ別に。俺今日だけは行きたくねぇ」
「何でっ!?」
「自己紹介なんか死んだってするかよ畜生」
 ごく単純な言葉に、姉貴がぽかんと目を丸くした。
 言い忘れてたけど、これは俺の姉貴。名前は文芽。四つ上の五年生。
「もー……昇、いいから行こう? 自己紹介なんて名前言ってよろしくとか言えばいいのよ」
「よろしくしたくねぇし、まず名前なんてわざわざ言う必要ねぇだろ」
「言わないと分からないよねっ?」
 どこまでも冷めてる俺に、根気強く諭す姉貴。……このまま姉貴まで遅刻したらさすがにまずいから、仕方なく学校へ向かう。
「……って昇ランドセルは!?」
「いらね。顔出すだけでいい」
「やめてよお願いだから!」
 そう言って俺を引っ張って必要なものそれに詰め込んで背負わされて、ようやく再出発。……だりぃ。
「あ、文芽おはよー!」
「あ、おはよ!」
「あれ? その子誰?」
「弟だよ、あたしの」
 いきなり知らん顔登場。……姉貴の友達か。
「へぇ、かわいー!」
「でしょ? だってあたしの弟だし?」
「自慢いらないから!」
 ふたりで何か言いあった後、姉貴が言った。
「あ、あたし昇を供してまで連れて行くから、先に行ってて?」
「うん、分かった」
 そう言って、姉貴が俺に手を伸ばす。
「……別に逃げないし」
「あは、信用できないや。さっきの見た後だから」
 手を掴まれて、教室に押し込まれた。
「じゃあ、帰るときは待っててね! あたしが教室に来るから!」
「分かったから叫ぶな!」
 俺の言葉に、姉貴が笑ながら元の道を戻っていく。
 机に座ってしばらくぼーっと辺りを見回す。
「あ、早いね飛鳥井」
「……………」
 いっちばん聞きたくない声が聞こえた。後ろを見ずに答える。
「別に。姉貴が出る時間に出ただけだし」
 正確には引っ張り出された。
「へぇ、お姉さんが居るんだ」
 楽しそうに笑う天神が、その次に呟く。
「いいな、俺兄さんも姉さんも居ないからな」
「俺は居ない方が羨ましい」
 俺の言葉に、天神が目を瞬かせた。
「嫌い、なの?」
「……嫌いじゃないけど。俺のせいで姉貴に迷惑かけるわけにはいかねぇし」
 俺の返事に満足したのか、天神がそっかとだけ言って笑った。

4ピーチ:2013/07/10(水) 05:32:31 HOST:em114-51-2-136.pool.e-mobile.ne.jp







「飛鳥井ってさ」
 何の前触れもなく、天神が切り出す。
「あ?」
「家族思いなんだね」
「………は?」
 何でいきなり。
「……おまっ、頭大丈夫かっ? なんだって俺が家族思い…!?」
「だってさ、行きたくなくて柱にしがみついてたなら、わざわざ学校までくるわけないじゃん」
「…俺、言ったか?」
「ううん」
 無駄にふわふわした笑顔で首を横に振る天神。……ってじゃあ何で!?
「ま、それは色々と?」
 そう言ったきり黙り込む天神にわざわざ話しかけるつもりもなく、俺はそのまま頬杖をついて窓の外を見る。
「…あ」
 ふとそう呟いた天神が、がたんと音を立てて、血相変えて教室を出て行った。
 ……忘れ物?
 思った直後。
「――――――っ!?」
 唐突に広がった、妖気。
 その直後に一瞬だけ感じた霊気みたいなものは、絶対。
「天神……!?」
 思わずそう言って、俺が教室の外に出た。
「あま……っ」
「双鱗爪闢(そうりんしょうびゃく)、激化影道(げきかえいどう)」
 今までとは打って変わって、静かな声音。
 あっと呟いて、俺は天神を見る。
 それまでの幼さなんかは微塵も感じられず、ただ目の前に居る妖を―――幽鬼を始末しようとしているのが、見て取れた。
「消え失せろ。この地に害を為すものよ」
 瞬間的な爆風が吹き荒れ、一瞬にして幽鬼の姿が掻き消える。
 やがて完全に瘴気が消えてから、天神が苦笑気味に笑った。
「…やっぱ、異能者じゃ駄目かぁ……」
「え……?」
「ごめん、飛鳥井」
 そう言って、俺に小さな笑みを向けて。
「やっぱり危ないって分かった。今後関わらないからさ」
 そう言って片手を振った天神の表情が、何でだろう、凄く鬱陶しげで。
「もう、俺に関わらないでくれないかな?」
 それだけ言って、俺の返事も聞かずにその場を離れた。

5ピーチ:2013/07/10(水) 06:00:30 HOST:em114-51-2-136.pool.e-mobile.ne.jp







「はい、じゃあ早速自己紹介始めましょうか! 昇くんからどうぞー!」
 出席番号順のせいで俺が最初になる。本気でやりたくねぇ。
「飛鳥井昇です、よろしく」
「ずいぶんと早いねっ!?」
 担任が絶句した。
「他に何も考えてないんで」
 俺の言葉に、さすがに困ったように視線を彷徨わせ、やがて諦めたように息を吐いて。
「まったく…お友だちとは仲良くしてね?」
 何がお友だちだよ冗談じゃねぇよ。
 俺の心境なんて知りもしない担任が、次の奴を指定する。
「天神柊一です。……自分の身の安全を考えたら、あんまり近寄らない方がいいと思うので」
 言葉少なにそう言って、あまり笑顔なんかも浮かべずに席に座る。
 さすがに担任が驚いたように言った。
「し、柊一くん? どういうことかな?」
「……あとで、話します」
 苦笑気味に笑った天神がそう言って。
「次が詰まるんじゃないですか?」
 天神の言葉に、担任が仕方なく次を促した。
「井上京太(きょうた)です。よろしくお願いします」
 結局、どいつもこいつも俺と変わんない自己紹介だった。
「じゃあみんな、これから一年間同じクラスのお友だちだからね。色んな人と仲良くするのよ」
「はーいっ!」
 やっぱり三十六人は元気に答えるんだよな。
 ただ、俺と天神が答えないだけ。
 今までの天神とは打って変わって、そいつの表情は暗く沈んでいた。






「……」
 別に、不審者なんかじゃないからな。分かってるよな自分?
 そう言い聞かせながら、俺は天神の後を尾(つ)けていた。
「あれ、柊一くん?」
「あ、こんにちは」
 にこにこと笑顔でしばらく通りかかった女の人と話して、その会話が済んだら学校のように無表情に戻る。
 …ひょっとして、本気で誰ともかかわらないつもりか……?
 と、そこにふわふわとした声が聞こえた。
「お兄ちゃん!」
「へ?」
 思わず間抜けた声を出してしまい、慌てて建物の影に隠れる。
「ただいま。変なものに遭わなかったか?」
「また子ども扱いする! 一葉(かずは)だって……」
「ほら。また言った」
 一葉と言った女の子がはっと口元を両手で押さえた。
「それに、いくら大人びてるって言っても、俺も一葉もまだ子供。子ども扱いするものされるのも、無理ないんだよ」
「でも……っ」
「大人になったら、きっと誰よりも強いんだろうな。一葉は」
 本気でそう思っているように、天神は小さく目を細める。
 と、女の子がこっちに視線をくれた。
「……お兄ちゃん」
「うん、分かってるよ。でも、俺は誰を巻き込むつもりもない」
「え?」
 小さな笑みを返し、ふっとこっちに首を巡らせて。
「―――え?」
 いきなり、周りに黒っぽい膜が張られた。
「ごめん飛鳥井。ちょっと我慢してて」
 そう言って、天神が表情を険しくする。
 ………ちょっと待て、俺気付かれてたの?
 いつの間に?
 天神が苦笑気味に笑う。それを見た女の子が、不審げに俺を見た。
「お兄ちゃん? あの人……」
「俺のクラスメイト。今年のね」
「……そう」
「うん」
 天神が答えた直後、女の子が言った。
「天音お姉ちゃん、呼んだら?」
「え?」
「お兄ちゃんばっかりが攻防やってても勝ち目ないよ。かず……わたしは、まだ不安定すぎるの」
 そう言って今にも駆け出さん女の子を、天神が引き留める。
「大丈夫だよ。限界が来たら、飛鳥井を放り出すから」
 薄い笑みを浮かべてそう言った天神に、女の子が表情を引き攣らせた。
「お、お兄ちゃんそれ……」
「徒人(ただびと)にそれやるほど、馬鹿なつもりもないよ」
 そう言って、天神が黒っぽい“それ”を取り出した。

6ピーチ:2013/07/10(水) 09:14:31 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
【もしピーチさんの祖母がお亡くなりになられたら・・。】


作詞・たっくん   

さよならするのはツラいけどの替え歌です。ではお聴き下さい。



ババアが死んだ〜♪ババアが死んだ〜♪
いい死に顔だ〜♪いい死に顔だ〜♪
さよならす〜するのはつら〜いい〜けど〜♪

寿命だよ♪仕方がない
ピーチが逝くまでごきげんよう♪

ババアが死んだ〜♪ ババアが死んだ〜♪

ピーチ
『私もいつかあの世へ旅経ちます。その日までごきげんよう!』

END

7ピーチ:2013/07/10(水) 09:20:08 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
以前、私に『屁理屈ばかりだな』とおっしゃってた方がおりましたが
その方に一言・・・。

頭文字の『へ』は必要ありません。普通に理屈でいいと思います。
屁を付けくわえるとオナラに理屈という意味になってしまう

オナラに理屈はいりません。

8ピーチ:2013/07/10(水) 09:21:28 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
>>1
屁(オナラ)に理屈はいらないんですよピーチさん
分かりましたか?貴方の考え方は間違っています。

9ピーチ:2013/07/11(木) 04:53:58 HOST:em114-51-3-85.pool.e-mobile.ne.jp







 天神が左腕を軽く前に出す。
「―――行け」
 直後。
 ―――天神の腕から、大量の『妖』が出てきたんだ。
「………え?」
「お、お兄ちゃんっ!」
 女の子が悲鳴じみた声を上げる。
 天神が苦笑した。
「これが一番手っ取り早いと思ってさ。あいつらとは契約済みだし、余計なことすればどうなるか、分かってるはずだから」
「でもっ」
「速やかに、密やかに。だろ?」
 少女がぐっと言葉に詰まる。
「一葉」
「え?」
「奥平(おくだいら)さんに聞いてきてくれないか? あの件はどうなってるんですかって」
 少女がしばらく記憶を手繰るような動作をし、うんと頷いた。
「なるべく早く頼むな」
「分かった」
 言葉少なな会話が終わり、天神の腕から飛び出した妖たちが他の妖を喰らい尽くしたのを見計らって、天神が俺の周りの膜―――っていうか、結界を解く。
 そして。
「どうしたの? 用事?」
 最初に逢ったときと変わらない笑みを浮かべて、そいつは聞いた。
 正直驚きながら、何とか首を横に振る。
「……お前が関わるなって言ったから、どういう意味かと思って」
「あ、それだけ?」
「…あぁ」
 何だと呟いて、天神が言った。
「ここは、まぁ見ての通り俺の家だけど……」
 そう言って、言葉を濁す。
「一葉が帰ってきたら、俺も行くところあるんだよねぇ」
 苦笑気味に笑って。
「よかったら、一緒に来る?」

10たっくん:2013/07/11(木) 15:50:57 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
ババアが死んだ〜♪
ババアが死んだ〜♪


いい死に顔だ〜♪いい死に顔だ〜♪
さよならす〜すの〜は〜ツラ〜いい〜けど〜♪
寿命だよ♪仕方がない

ピーチが死ぬまで
ごきげんよう♪

11たっくん:2013/07/11(木) 15:53:17 HOST:zaq31fa5a1a.zaq.ne.jp
       [さよならするのはツライけど(元)]

ババンババンバンバン♪ババンババンバンバン♪
いいとこだ〜♪いいとこだ〜♪
さよならするのはツライけど
時間だよ♪仕方がない

次の回までごきげんよう!

↑こちらが本来の詩です


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