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鈴扇霊 二つ目の物語
3
:
ピーチ
:2013/07/08(月) 14:23:57 HOST:em49-252-8-59.pool.e-mobile.ne.jp
「行きたくねぇ………」
「昇っ? ちょっ早くしないと遅れるよ!?」
姉貴が悲鳴じみた声を上げた。
まぁ当然と言えば当然。家の柱にしがみついて梃子でも動かない宣言した俺と一緒に学校行かなきゃいけないから。
「姉貴だけで行っていいよ別に。俺今日だけは行きたくねぇ」
「何でっ!?」
「自己紹介なんか死んだってするかよ畜生」
ごく単純な言葉に、姉貴がぽかんと目を丸くした。
言い忘れてたけど、これは俺の姉貴。名前は文芽。四つ上の五年生。
「もー……昇、いいから行こう? 自己紹介なんて名前言ってよろしくとか言えばいいのよ」
「よろしくしたくねぇし、まず名前なんてわざわざ言う必要ねぇだろ」
「言わないと分からないよねっ?」
どこまでも冷めてる俺に、根気強く諭す姉貴。……このまま姉貴まで遅刻したらさすがにまずいから、仕方なく学校へ向かう。
「……って昇ランドセルは!?」
「いらね。顔出すだけでいい」
「やめてよお願いだから!」
そう言って俺を引っ張って必要なものそれに詰め込んで背負わされて、ようやく再出発。……だりぃ。
「あ、文芽おはよー!」
「あ、おはよ!」
「あれ? その子誰?」
「弟だよ、あたしの」
いきなり知らん顔登場。……姉貴の友達か。
「へぇ、かわいー!」
「でしょ? だってあたしの弟だし?」
「自慢いらないから!」
ふたりで何か言いあった後、姉貴が言った。
「あ、あたし昇を供してまで連れて行くから、先に行ってて?」
「うん、分かった」
そう言って、姉貴が俺に手を伸ばす。
「……別に逃げないし」
「あは、信用できないや。さっきの見た後だから」
手を掴まれて、教室に押し込まれた。
「じゃあ、帰るときは待っててね! あたしが教室に来るから!」
「分かったから叫ぶな!」
俺の言葉に、姉貴が笑ながら元の道を戻っていく。
机に座ってしばらくぼーっと辺りを見回す。
「あ、早いね飛鳥井」
「……………」
いっちばん聞きたくない声が聞こえた。後ろを見ずに答える。
「別に。姉貴が出る時間に出ただけだし」
正確には引っ張り出された。
「へぇ、お姉さんが居るんだ」
楽しそうに笑う天神が、その次に呟く。
「いいな、俺兄さんも姉さんも居ないからな」
「俺は居ない方が羨ましい」
俺の言葉に、天神が目を瞬かせた。
「嫌い、なの?」
「……嫌いじゃないけど。俺のせいで姉貴に迷惑かけるわけにはいかねぇし」
俺の返事に満足したのか、天神がそっかとだけ言って笑った。
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