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鈴扇霊 二つ目の物語

4ピーチ:2013/07/10(水) 05:32:31 HOST:em114-51-2-136.pool.e-mobile.ne.jp







「飛鳥井ってさ」
 何の前触れもなく、天神が切り出す。
「あ?」
「家族思いなんだね」
「………は?」
 何でいきなり。
「……おまっ、頭大丈夫かっ? なんだって俺が家族思い…!?」
「だってさ、行きたくなくて柱にしがみついてたなら、わざわざ学校までくるわけないじゃん」
「…俺、言ったか?」
「ううん」
 無駄にふわふわした笑顔で首を横に振る天神。……ってじゃあ何で!?
「ま、それは色々と?」
 そう言ったきり黙り込む天神にわざわざ話しかけるつもりもなく、俺はそのまま頬杖をついて窓の外を見る。
「…あ」
 ふとそう呟いた天神が、がたんと音を立てて、血相変えて教室を出て行った。
 ……忘れ物?
 思った直後。
「――――――っ!?」
 唐突に広がった、妖気。
 その直後に一瞬だけ感じた霊気みたいなものは、絶対。
「天神……!?」
 思わずそう言って、俺が教室の外に出た。
「あま……っ」
「双鱗爪闢(そうりんしょうびゃく)、激化影道(げきかえいどう)」
 今までとは打って変わって、静かな声音。
 あっと呟いて、俺は天神を見る。
 それまでの幼さなんかは微塵も感じられず、ただ目の前に居る妖を―――幽鬼を始末しようとしているのが、見て取れた。
「消え失せろ。この地に害を為すものよ」
 瞬間的な爆風が吹き荒れ、一瞬にして幽鬼の姿が掻き消える。
 やがて完全に瘴気が消えてから、天神が苦笑気味に笑った。
「…やっぱ、異能者じゃ駄目かぁ……」
「え……?」
「ごめん、飛鳥井」
 そう言って、俺に小さな笑みを向けて。
「やっぱり危ないって分かった。今後関わらないからさ」
 そう言って片手を振った天神の表情が、何でだろう、凄く鬱陶しげで。
「もう、俺に関わらないでくれないかな?」
 それだけ言って、俺の返事も聞かずにその場を離れた。


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