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The world is made of a game

1かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/17(金) 06:22:52 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

(世界はゲームで出来ている)


始めましての方は始めまして、そうでない方はこんにちは。
かるたと申します。
今回は暇つぶし程度にのんびりと何か書きたいなーと思い、昔思いついたネタを中二バリバリで目も当てられない状態ながらも書いていこうかとスレを立てました。中二こわいね。

*注意点*
・この小説は適量のファンタジー要素・戦闘、グロ要素・鬱展開が存在します。苦手な方は回れ右してそのままもう一回して、振り返って帰ってください。
・でもかといって戦闘wktk!とかはせずのんびりとお読みください。
・暇つぶしでまったりやっていくので、更新は不定期ですがご了承ください。
・読者の方が不快になるようなお言葉、書き込みはご遠慮ください。

以上です、それでは一話の書き溜めすらしていないので、まったりとお茶でもこぼしながらお待ちくださいまし。

2かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/18(土) 00:46:04 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

  「01 The girl was perplexed calmly. 」

(少女は冷静に、困惑した)



ずきりと、何かが痛むような気がした。
気がしただけで、何が、何処が、どう痛むのかはわからなかった。
けれど動かそうと思えば体は何処も正常に動き、目の前の現状を見るため、ぱちりと目を開いた。
まず目に入ったのは、綺麗な青空だった。


「…ここ、は」

ゆっくりと体を起こすと自然と視線は下に向くわけで、地面が可愛らしい黒と白の市松模様の床であることがわかった。
しかしそれ以外に建物らしきものなどはなく、ただ青い空と地面だけが長々と続いている景色だけ。
怪しく思いながら立ち上がると、見慣れた黒い学生服が目に入る。いつも通う、高校の制服。
黒い自身の髪を揺らしながら、とりあえず、歩くことをきめた。

「私…そう、確か…友達の家に良く途中、何か、拾ったの」

そう思い出した途端、ぎゅっと握っていた手に何かの感触が宿る。何か、握っている?
何か掴んだ覚えなんてないし、元から持っていたとしか考えにくい。
恐る恐ると開くと、それは小さな子猫のキーホルダーだった。

「これだ、拾ったの。…ショコラに、にてたから」

これを拾ってからの記憶が無い。この、昔飼っていた子猫に良く似ているキーホルダーを手にしてからは。
何がなんだか良くわからないが、立ち止まっていてもしょうがない気がする。


暫く歩くと、前方に人影を見つけた。あれは、銀色の髪。

銀色の髪に真っ黒なスーツを着た、恐らくは男の人だ。がたいからしてそんな感じ。
取り合えず何でも情報がほしい。近づこうと声をかけようとしたところで、ぐらりと、眩暈がする。
いや、違う。足元が歪んでいるんだ――――そう、気がつく頃にはもう遅く。


目の前の光景が、天地のように一変する。

地面は黒ずんだ土くれ、空は禍々しいワインのような紫色。ぐにゃぐにゃと歪んでいて気持ちが悪い。
まるでゲームのような世界観に、変に冷静に気味が悪いなあ、と思ってしまう。

しかし、思ったより体は正直らしく、行き成り変わった世界にひっと恐怖を含んだ声が漏れた。


「なに、これ、なんで…?なんで、」


『ようこそ、プレイヤー諸君』


マイク越しに響くその声は、まるで、神様気取りの道化のようだった。

3かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/19(日) 06:35:25 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp


  「02 Who Where on earth whispered that it was the beginning of hunting? 」

(狩りの始まりだと囁いたのは、一体どこの誰だったか)


プレイヤーとは一体なんなのか。それよりもこの世界はなんなんだ!

頭の仲がこんがらがって仕方ないほどに困惑しているのに、何も考えられないほど真っ白にもなっている。
訳がわからない。ああもう、まるで無理やり鞄の中に詰め込んだイヤホンのようだ。
しかしそんなこともお構いなしに道化は語りを続ける。


『唐突出申し訳ないが、君たちにはゲームをしてもらおう。私の勝手ですまないのだが、此処は大きな迷路になっている。其処から出ないと、もとの世界には出られないね』


申し訳ない程度で済む話じゃないと思いながらも言い返せるほどの威勢も、気力もない。
しかも出られないって冗談じゃないよ、声も出ない。


「はあ?しんじらんねえ…最悪だ」

先ほど声をかけようとした銀髪の男性が前方にいるのを見つけ、そして苛立ちの篭った表情が目に映る。
辺りを見渡すと何人かの人を見つけることができ、自分以外の人間がいることに安堵し、同時に得体の知れない人間への恐怖が溢れる。
深い紫の妖艶な美女や、黒髪の少年、青い髪を束ねた幼い女の子など、沢山の人がいた。

「あらぁ、私は楽しそうですきよォ?」

ふわふわとしたバイオレッドの髪をなでながら美女が艶を含んだ色っぽい声でそう呟く。
一つ一つが美しい仕草の彼女に同姓の私でも少しうっとりとしてしまうが、今はそれどころじゃない。

一体自分のみに何が起こっているのか、何一つわからない。


『この迷路にはいくつもの武器や回復薬を用意してある。それらを駆使して、迷路を抜け出すことが元の世界へ帰る最も近い道だ。他人を蹴落として進むも、手を取り合って進むも君たち次第さ』

悦を孕んだ声に、きっと、声の主はにやにやと無様な私達の姿を見て笑っているんだろう。

『さあ、始めようか?ルールは簡単、”抜け出せ”』


その一言が言い終えられる前に、何もなかった平地に大きな迷路の入り口が出現する。
悠々と気取っていた他の人たちもそれには驚いたようでみな動きを止め、それをまじまじと見つめていた。

「んー…でも、武器があるってことは、早いもの勝ちってことよねェ」

先ほどの美女が赤い紅の乗った唇を笑みに歪ませながらぼそりと呟く。

「皆が行かないなら私がいくわァ…ふふふ、楽しくなってきそうじゃなァい」

こつこつとヒールの音をながらしながら女性は入り口へ何の躊躇もなく入っていくと辺りをきょろきょろと見渡しながらも、さも何度も通っているかのように、迷い一つなく歩いていった。
後姿が見えなくなったあとも止まることのない靴音でわかる。

そのあとを続いて何人かの人々が入って行き、残りの人数が少なくなってくる。
先に入ったほうが有利ということは目に見えているが武器なんて扱えるかわからないし、中には既に武器を持った人間がいるかもしれない。
そんな恐怖に足がすくみ、上手く動けない。


「ふむ、そろそろ時間も時間じゃ、妾も行くとするかのう」

凛とした幼い少女の声が響き、私の後ろから小さな足音が聞こえてくる。
深く重みのある青のきめ細やかな髪を二つに束ねた女の子は恐らく声の主と思われ、颯爽と私の横を通り抜けると迷路の入り口で立ち止まり、ふわりと髪をなびかせながら振り返る。

夜の空を映し出したような真っ黒な瞳が此方を捉え、数秒ほど観察するようにじっと見つめると、つばを返して入り口に入っていった。
一つ一つの動作が流れるように美しく、古風な口調もあいまってどこか東国で見た絵画に出てくるような、大昔の姫気味のような印象を与えられた。
私の半分程度しかない身長に似合わないその凜とした姿に呆気をとられるが、此処で立ち止まっていて何になるのか。

「…生きなきゃ、生きて、帰らないと」

私は、何一つ不自由のない、平凡で、けれど、幸せな人生を歩んできたんだと思う。
両親を愛していたし、学校も凄く楽しかった。大好きな友人に囲まれて、当たり前の子とだと思っていたけど幸せだった。
だから、そんな生活を、こんな理不尽なわけのわからないゲームに奪われたくない。失くしたくない。

震える足をなんとか動かして進む。

怖さが消えたわけじゃない。けど、此処で何もせずに終わるよりはいいと思った。
意外と私は度胸のある人間なのかもしれない、と、やけに冷静になりながら、気がつけば走り出していた。


「何が出来る?…何かしなきゃ」



これが、私の戦いの始まりだ。

4かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/20(月) 14:38:35 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp


  「03 Does wolf take the hand of a rabbit? 」

(狼は兎の手を取るか)


入り口に入って数分もせずに、見知った後姿を見つけた。
どこか狼や犬などを連想させるような短くカットされた綺麗な銀髪に真っ黒なスーツ。片手に握られたハンドガン以外は少し前に見た姿と変わりない。
下手に近寄るのは得策ではないと思いながら、変な安堵感を感じてしまう。

「…あ、あのっ」

結城を振り絞って声をかけてみると、その後姿は警戒の色を見せずにゆっくりと振り返ってくれた。
ぼさっとした髪とは裏腹に猫のような釣りがちな瞳が此方を映し出し、その瞳の美しさに見ほれてしまいそうになる。
まるで宝石のように眩く透き通る優しげなエメラルドグリーンは鎮静効果でもあるようにゆっくりと心をほぐしていく。

「何か用か、お嬢さん」

人懐っこそうな笑顔を浮かべながら男性は一歩ずつ慎重な動作で歩んでくる。

「えっと……なんで、冷静で居れるんですか?」

実を言えば話しかける理由などなく、ただ単に、気がつけば声をかけていたような感じだ。
戸惑いながら口をついて出た言葉は確かに自分の中にある疑問の一つで、平然と笑顔を見せる彼が不思議でならなかった。

「…いや、俺も意外と冷静じゃねーよ…お嬢さん、見たところ学生だろ?俺も大学生なんだ…戦闘なんて一度もしたことねぇ、一般家庭の生まれさ」

ひとつのことを言い終えるたびに表情がころころと変わる。
冷静じゃないと寂しげに笑い、自分も学生であることを伝え世間話をするように微笑み、そして戦う術などないと苦痛そうに顔をゆがめた。
感情が表に出やすいらしい。

「………あの、その…よかったら一緒にいかせてくれませんか?」
「…一緒にっていうと、この迷路を出る協力をする、と」
「はい。私も、戦う術なんて何一つないんです…甘え、ですけど、一緒に居させてくれませんか。術はなくとも、元の世界に帰るために…術を身につけることも受け入れます」

つまり、武器を手にし、自分の手を血に染めることだって厭わない。
不安は拭いきれない。しかし、帰る為なら何でもする。その子とを伝えるために、彼の緑の瞳から1秒たりとも目をそらさない。


「…オーケイ、人数が多いほうがこっちも助かる」

男性は穏やかな笑みを浮かべると先ほどよりも少しだけ速度を上げて近寄り、黒い髪を柔らかくなでてくれた。
慣れないスキンシップに戸惑いながらもその手がやけに優しいような気がして表情がほころぶ。
もしかしたら、慎重に近づいてきてくれたのは私のことを考慮してくれていたのかもしれない。確信はないがそうだったら、凄くうれしいな。

「俺はジェイド・フィリアナ、嬢ちゃんは?」
「リア、リア・アンバーです!」
「んじゃあ宜しくな、リア」

優しい声が私の名前を呼ぶ。それだけで、やけに安心できた。

5かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/20(月) 18:49:17 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

※流血・微量のグロテスク表現注意



「04 For a girl, about reality, reality is the point. 」

(少女は現実を、現実はその先を)


頼れる人が居る、ということは意外にもとても頼りになるらしく、錘を抱えたように重かった足も自然と軽く感じる。
安易な人間、いや、人間とは安易な生き物なのかもしれない。

迷路を進んでいくと遠くから銃声が聞こえた。
やはり誰かと出くわさずに迷路を進んでいくのは難しそうだ。
しかし立ち止まってもいられない。戦闘を歩くジェイドの後ろを警戒しながら進むと、いきなりジェイドが角を曲がったところで立ち止まり、前方を向いたまま左手を此方にむけ止まれと合図する。

「…見ないほうがいいんだが…まあ、どっちにしろ通る道か」

白く端麗な顔を歪めながら手を下ろす。
声色や目の前の光景を見るその表情から先にはあまりいいものがあるとは思えないが、言動から察するにどちらにしろ目にする時間が延びるだけ、とのこと。
リミットは少ない。一歩、踏み出す。


鼻を突く醜悪な鉄の臭い。腹からこみ上げるような吐き気。
圧迫されるように頭がずきずきと痛み、まるで、見てはいけないと警告を出しているようだった。

散乱する、赤。


真っ赤な血だまりの中に一人の男が横たわり、掻き毟ったような深い傷から体中に満ちていたであろう血が噴き出し、夥しい鉄の匂いをあたりに充満させていた。
腕は引きずり回されたようにぼろぼろで、足は正常な向きに向いていない。顔は、見るに耐えなかった。

腹の中身を全てぶちまけそうになった。

只管な不快感が脳内を汚染し、しかし責め立てるように悲痛な現実だけを眼にシッカリと映し出していた。
謎の声が発した、武器という一言。それで用意に予想できたじゃないか。
武器は何をするためにある?身を守り、そして身を滅ぼすものだ。

体中から力だ抜けてその場にへたり込み、弱弱しく背を丸めた。


「…酷なことしたけど、慣れてかないと、俺ら生き残れねーよ」

顔は見ずとも上から降り注ぐ声色でわかった。彼も、苦しいのだと。
それはそうだ。彼も、一般人だ。

でも、それでも、



「なんで、こんな…?」

6かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/22(水) 00:19:56 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp

  「05 About the point, as for reality, a girl is a sword to a hand. 」

(現実はその先を、少女は手に剣を)


目の前の惨状にただ、涙を流すしかなかった。
何でと大声で問えば、生き残るためと誰もが口を揃えて答えただろう。
自分が生き残るために障害物を消す。簡単なことだ。だが、命を消すのは簡単なこと?どうして、どうして。


「リア、悪いが時間がない。目を瞑って…通れるか?」

此処から一刻も早く抜け出さなきゃ、生き残れない。
そんなことわかっている。けれど、私もいつか――――誰かを、あの人みたいにしてしまうの…?
そう考えただけでまたこみ上げるような違和感、嫌悪感、不快感が一気に押し寄せる。

「っ、ふ、ぁ」

声を押し殺しても指の隙間から声が漏れ、静かな廊下に無駄に大きく響いた。
無数の雫が床にぽたぽたと落ちる光景だけが視界に入る。いや、視界に入れたくない。
顔を、上げるのが怖いと、初めて思った。
目の前の惨劇を、ジェイドの顔を、見れない。

「見れない、よぉ…」

弱弱しく、零れ落ちた。

私は所詮、小さな子供なのだと思い知った。
何も出来ない、小さな子供だ。部屋に閉じこもって泣いてるのが精一杯。
なにかしなきゃ?何もできてないじゃない。ばかじゃないの。
こんな状況で夢見るなんて、ただの馬鹿だ。何も、出来やしない。


「リア、お前は、お前を責めるな」

ぽん、と肩に手が置かれた。
そしてするりと離れると、柔らかく私の髪をなでた。ゆっくりと、労るように。
顔は、まだ見れない。

「こんなの見て、辛いのは、誰だって同じだ。怖くて当然だ。女の子で、しかも子供じゃあ、当たり前だ。」

「本当はこんなの見慣れちゃいけねぇ。こんなの見ずに平和な世界で、普通に生きてりゃいいのにな…でも、生き残るにはこうするしかねぇんだ」

「…ごめんな、俺のほうが年上なのに、こんなことしかいえねぇよ」

「…本当、ダメだな」

一つ一つ紡ぎだされる言葉が優しくて、包み込むようで、酷く、暖かくて。
どうしてダメなんだ。呆れてもいいのに。どうして、初めてあった私に、優しくしてくれるの。


「子供とかさ、見てると放っておけないんだ」

私の考えを見透かすようにぽつりと呟く。

「頑張ろう。俺が守ってやる。な、リア」

男性なのに細くしなやかで、それでいて力強い手がそっと頬に触れ涙をゆっくりと拭う。
恐る恐る顔を上げれば綺麗な緑色の瞳とかちりと視線が合い、柔らかく微笑まれる。

「なん、で、私なんか…子供、でも、もしかしたら…あの人を、ころ、した、人みたい、に…っ」

貴方を、危険に晒すかもしれないのに。

嗚咽まみれになりながら問いかけると、笑顔がきょとんとした表情に変わり、少しの間をおいて返答がくる。


「んー…勘だな」

「…勘」
「勘」

真顔でこくりと頷く姿がなんだか笑えてきて、ぷっと吹き出すとなんだよー!と言いながら少し照れくさそうな顔をする。
なんだか格好いいというよりはかわいいその姿にほっと心が安らぐ。どうしてこの人は、こう、優しいんだ。

「…ありがとう…私、凄く怖いよ」

「怖いけど、でも、元の世界に戻りたい。それに、貴方の、傍にいたい。貴方の役に立ちたいっ!」

ばっと身を乗り出すと緑色の目が直ぐ其処まで近づく。

「…オーケイ、とりあえず、ちょっと下がろう」
「ごめんなさい(´・ω・`)」
「んにゃ、謝らないでくれよ。気持ちは、凄くうれしいぜ!」

そういい終える前にジェイドは私の黒髪もまとめてぎゅうっと抱きしめた。
女の私とは比べ物にならない力強い腕に包み込まれ、身動きができない。

「じぇ、じぇいど?」
「リア、一緒にがんばろーな!」

行き成り抱きつかれ、女としては恥ずかしがるべきなのだろうけど、にかっと明るく微笑む姿にそれさえも忘れる。
きっとただ単に嬉しいだけなんだろう。スキとか、そういうのじゃなく。

「…うん、がんばる」


ありがとう、優しい人。

私は、貴方のためなら、がんばるよ。


ゲームなんかに、負けない。


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