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The world is made of a game

4かるた ◆IGFHp3B3LM:2012/08/20(月) 14:38:35 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp


  「03 Does wolf take the hand of a rabbit? 」

(狼は兎の手を取るか)


入り口に入って数分もせずに、見知った後姿を見つけた。
どこか狼や犬などを連想させるような短くカットされた綺麗な銀髪に真っ黒なスーツ。片手に握られたハンドガン以外は少し前に見た姿と変わりない。
下手に近寄るのは得策ではないと思いながら、変な安堵感を感じてしまう。

「…あ、あのっ」

結城を振り絞って声をかけてみると、その後姿は警戒の色を見せずにゆっくりと振り返ってくれた。
ぼさっとした髪とは裏腹に猫のような釣りがちな瞳が此方を映し出し、その瞳の美しさに見ほれてしまいそうになる。
まるで宝石のように眩く透き通る優しげなエメラルドグリーンは鎮静効果でもあるようにゆっくりと心をほぐしていく。

「何か用か、お嬢さん」

人懐っこそうな笑顔を浮かべながら男性は一歩ずつ慎重な動作で歩んでくる。

「えっと……なんで、冷静で居れるんですか?」

実を言えば話しかける理由などなく、ただ単に、気がつけば声をかけていたような感じだ。
戸惑いながら口をついて出た言葉は確かに自分の中にある疑問の一つで、平然と笑顔を見せる彼が不思議でならなかった。

「…いや、俺も意外と冷静じゃねーよ…お嬢さん、見たところ学生だろ?俺も大学生なんだ…戦闘なんて一度もしたことねぇ、一般家庭の生まれさ」

ひとつのことを言い終えるたびに表情がころころと変わる。
冷静じゃないと寂しげに笑い、自分も学生であることを伝え世間話をするように微笑み、そして戦う術などないと苦痛そうに顔をゆがめた。
感情が表に出やすいらしい。

「………あの、その…よかったら一緒にいかせてくれませんか?」
「…一緒にっていうと、この迷路を出る協力をする、と」
「はい。私も、戦う術なんて何一つないんです…甘え、ですけど、一緒に居させてくれませんか。術はなくとも、元の世界に帰るために…術を身につけることも受け入れます」

つまり、武器を手にし、自分の手を血に染めることだって厭わない。
不安は拭いきれない。しかし、帰る為なら何でもする。その子とを伝えるために、彼の緑の瞳から1秒たりとも目をそらさない。


「…オーケイ、人数が多いほうがこっちも助かる」

男性は穏やかな笑みを浮かべると先ほどよりも少しだけ速度を上げて近寄り、黒い髪を柔らかくなでてくれた。
慣れないスキンシップに戸惑いながらもその手がやけに優しいような気がして表情がほころぶ。
もしかしたら、慎重に近づいてきてくれたのは私のことを考慮してくれていたのかもしれない。確信はないがそうだったら、凄くうれしいな。

「俺はジェイド・フィリアナ、嬢ちゃんは?」
「リア、リア・アンバーです!」
「んじゃあ宜しくな、リア」

優しい声が私の名前を呼ぶ。それだけで、やけに安心できた。


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