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The world is made of a game
6
:
かるた
◆IGFHp3B3LM
:2012/08/22(水) 00:19:56 HOST:KD027082037068.ppp-bb.dion.ne.jp
「05 About the point, as for reality, a girl is a sword to a hand. 」
(現実はその先を、少女は手に剣を)
目の前の惨状にただ、涙を流すしかなかった。
何でと大声で問えば、生き残るためと誰もが口を揃えて答えただろう。
自分が生き残るために障害物を消す。簡単なことだ。だが、命を消すのは簡単なこと?どうして、どうして。
「リア、悪いが時間がない。目を瞑って…通れるか?」
此処から一刻も早く抜け出さなきゃ、生き残れない。
そんなことわかっている。けれど、私もいつか――――誰かを、あの人みたいにしてしまうの…?
そう考えただけでまたこみ上げるような違和感、嫌悪感、不快感が一気に押し寄せる。
「っ、ふ、ぁ」
声を押し殺しても指の隙間から声が漏れ、静かな廊下に無駄に大きく響いた。
無数の雫が床にぽたぽたと落ちる光景だけが視界に入る。いや、視界に入れたくない。
顔を、上げるのが怖いと、初めて思った。
目の前の惨劇を、ジェイドの顔を、見れない。
「見れない、よぉ…」
弱弱しく、零れ落ちた。
私は所詮、小さな子供なのだと思い知った。
何も出来ない、小さな子供だ。部屋に閉じこもって泣いてるのが精一杯。
なにかしなきゃ?何もできてないじゃない。ばかじゃないの。
こんな状況で夢見るなんて、ただの馬鹿だ。何も、出来やしない。
「リア、お前は、お前を責めるな」
ぽん、と肩に手が置かれた。
そしてするりと離れると、柔らかく私の髪をなでた。ゆっくりと、労るように。
顔は、まだ見れない。
「こんなの見て、辛いのは、誰だって同じだ。怖くて当然だ。女の子で、しかも子供じゃあ、当たり前だ。」
「本当はこんなの見慣れちゃいけねぇ。こんなの見ずに平和な世界で、普通に生きてりゃいいのにな…でも、生き残るにはこうするしかねぇんだ」
「…ごめんな、俺のほうが年上なのに、こんなことしかいえねぇよ」
「…本当、ダメだな」
一つ一つ紡ぎだされる言葉が優しくて、包み込むようで、酷く、暖かくて。
どうしてダメなんだ。呆れてもいいのに。どうして、初めてあった私に、優しくしてくれるの。
「子供とかさ、見てると放っておけないんだ」
私の考えを見透かすようにぽつりと呟く。
「頑張ろう。俺が守ってやる。な、リア」
男性なのに細くしなやかで、それでいて力強い手がそっと頬に触れ涙をゆっくりと拭う。
恐る恐る顔を上げれば綺麗な緑色の瞳とかちりと視線が合い、柔らかく微笑まれる。
「なん、で、私なんか…子供、でも、もしかしたら…あの人を、ころ、した、人みたい、に…っ」
貴方を、危険に晒すかもしれないのに。
嗚咽まみれになりながら問いかけると、笑顔がきょとんとした表情に変わり、少しの間をおいて返答がくる。
「んー…勘だな」
「…勘」
「勘」
真顔でこくりと頷く姿がなんだか笑えてきて、ぷっと吹き出すとなんだよー!と言いながら少し照れくさそうな顔をする。
なんだか格好いいというよりはかわいいその姿にほっと心が安らぐ。どうしてこの人は、こう、優しいんだ。
「…ありがとう…私、凄く怖いよ」
「怖いけど、でも、元の世界に戻りたい。それに、貴方の、傍にいたい。貴方の役に立ちたいっ!」
ばっと身を乗り出すと緑色の目が直ぐ其処まで近づく。
「…オーケイ、とりあえず、ちょっと下がろう」
「ごめんなさい(´・ω・`)」
「んにゃ、謝らないでくれよ。気持ちは、凄くうれしいぜ!」
そういい終える前にジェイドは私の黒髪もまとめてぎゅうっと抱きしめた。
女の私とは比べ物にならない力強い腕に包み込まれ、身動きができない。
「じぇ、じぇいど?」
「リア、一緒にがんばろーな!」
行き成り抱きつかれ、女としては恥ずかしがるべきなのだろうけど、にかっと明るく微笑む姿にそれさえも忘れる。
きっとただ単に嬉しいだけなんだろう。スキとか、そういうのじゃなく。
「…うん、がんばる」
ありがとう、優しい人。
私は、貴方のためなら、がんばるよ。
ゲームなんかに、負けない。
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