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パープルストリーム・ファンタジア 幸運の紫水晶と56人の聖闘士

241ピーチ:2012/09/17(月) 11:00:54 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

お、天音が手当てされてる!

あいつ基本的に他人の怪我移す癖あるから、良かったらそこまで治してやってくれ☆←余計なこと頼むなw

242彗斗:2012/09/17(月) 18:24:42 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
うん、分ったw←((ぉい

やたら天音ちゃんに酷い事をしてる割には意外に主人公だからね……

243ピーチ:2012/09/17(月) 19:11:06 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

どーもデスww←

別にもっと酷いことしても………

最悪な作者ね、あんた

天音―――!?

244彗斗:2012/09/18(火) 19:52:08 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
仕方ないよ。そりゃあ……何たって突飛な事を考え付くバカだもん☆ byノゾミ

その事に関しては言い訳も出来ない……ノゾミの言った通り、色んなところで色んな事を思いつくので

寝る前とか、登校中とか、授業中とかww←((ぉい

挙句の果てにリョウ達の様な悪の方向の主人公なんてのも考え付いたんですよ……

因みに暗殺者ってのは既にもう二人ほど居りますが……あんなレベルでは無い(?)と思います(手品師さんの技術には劣るけどねww)

245ピーチ:2012/09/18(火) 20:35:53 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

おーす!ここで初めて登場だけど、オレ様宮神 霊、よろしくな!

暗殺者かァ、オレ様には負けるだろなァー

えっと、ノゾミって奴だっけ?主人公?そっちはまだ文才あるからいいんだろーけどさァ、オレ様なんか最悪だぜ?

なーんでこんな作者に遊ばれるようになっちまったんだろーなァ?

246彗斗:2012/09/25(火) 20:17:26 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
霊くんよろしくね〜☆

作者に恵まれてないのはのはこっちも一緒だってw

基本的に私達の方は都合を合わせる為だけに良い様に遊ばれてるんだよ……

この馬鹿作者に比べて……アスカちゃんの作者は口調は確かに荒いけどキャラで遊んだりしないから羨ましいよ〜(泣)

247彗斗:2012/09/25(火) 22:18:37 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
第58色 紅の双翼・蒼紅の鉄槌
「ひ〜〜〜っ!! 何で私が追い駆けられなくちゃいけないの〜〜!?」
 ノゾミは現在、黒一色の得体のしれない化物に追われていた……と言うのも数分前……この屋敷を彷徨っていた最中、いきなり黒い波に追い駆けられ始めたのだ。魔法を放とうにも体勢的にも無理がある為、蹴散らそうにも蹴散らせない。
 人間は基本的に体の構造上、スタミナがある為、その上限を超えるとへたばって動けなくなる。だがこの怪物はスタミナの上限どころかスタミナと言う言葉さえ知らないのかと思える程、ノゾミに追い付いてしまいそうなぐらいのあり得ない位のスピードで走り続けている。簡単に言うとこの怪物は常に周囲からエネルギーをもらっているのかどうかは知らないが、疲れを知らないのだ。
「このままじゃ……あの中に呑まれちゃうって! もー! ラルド達はいったい何をしてるのよ〜!?」
 そう叫んだ刹那、銀の閃光が黒の巨壁を打ち砕き、銅と金の烈光がちりじりになった怪物の群れを後形も無く地面ごと消し飛ばした……その時ノゾミは何事かと後ろを見やったがすぐに察しがついた、奴らが来たのだ。
 そして奴等と判るや否や開口一番、こんな言葉を発した。
「おっそ〜い!! 主人の危機にやっと助けに来るんじゃ遅いのよ!!」
 勿論の事、罵倒の一声である。それを聞いた時、砂煙の中から金、銀、銅の三つの影が出て来てそれぞれが主である筈のノゾミに文句を言い始めた。
「……一つだけ言っておく。俺たちが来なかったら死んでたのは一体全体、どこの誰だ?」
「全く……お前の我儘にはホトホト呆れるしかないぜ……そんなんじゃハヤテにだって嫌われるかもな」
「……全く持って同感だ。いい加減、その我儘な性格を直す事を勧めるぞ」

―――ドスッ!! バキッ!! ドカッ!! キ―ン……チュドォォン!!

 腹部やら顔面やらに怒涛の拳を入れて動けなくなった三人に強力な爆破魔法を浴びせかけるノゾミ……もしもこれがハヤテ等の生身の人間だったら……恐らく首から下が飛んでいるレベルだろう……。
 だが生憎、ノゾミが最大限の魔力を注いで放った渾身の爆破魔法も三人をボロボロの黒い燃えカスにする程度しか効果が無い。そこに関しては流石しょっちゅうボコボコにされているから……とでも言うべきだろうか……。頭に付いた黒い灰を払って銀髪を覗かせたラギアが煙混じりの咳をした後、声を荒げてこう言った。
「やっぱりか!! 助けてやったのに結局、俺たちは大爆破(フルバースト)の刑なのか!?」
「肉体がちょっとでも残っていただけでも奇跡とでも言えそうな極刑だったぞ……さては、殺そうとしていたな?」
「だな。あれはいつも俺たちに向けてる様なレベルじゃ無かったしな……はたまた恐ろしい奴だ……」
 それぞれが髪に付いた灰を払って口々に文句や悪口を言う。だがそれ以上の文句や悪口はこの三人の主が許さなかった。
 優しそうな表情を作ったものの…半ば脅しに近い様な口調で三人にこう言った。勿論の事、目は優しそうな視線なんかでは無い。
「今度は灼熱地獄の刑にしてあげようか? それとも……猛毒沼の中で溺れ死にたいの?」
「「「スミマセンでした。この様な言葉はもう二度と、絶対に言いません……」」」
 その言葉を聞くなりいきなり三人はノゾミに土下座から平謝りの体勢になって命だけは助けて欲しいと必死になって懇願したそうだ……

248ピーチ:2012/09/27(木) 20:10:32 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

………あのさァ、あんまりオレ様に馴れ馴れしくしない方がいーよ?

油断した隙に殺るってのは暗殺者の…………

はい霊君黙ってよーねー?

ごめんね慧斗さん! あの殺人バカのことは気にしないで!!

249彗斗:2012/09/28(金) 20:17:29 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
だいじょーぶだって! いざという時は……アレがあるからね☆

そろそろアンタも黙ろうか?

こっちのバカを優先してスルーした方が身の為の様に思えるけどねww

250ピーチ:2012/09/28(金) 20:42:03 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

初めまして! 神瀬 緋織です!

……アレってなんですか、何か怖い気がするの、あたしだけですかね?

って言うか、何か先に馴れ馴れしくしてたのは宮神君の方ですよね、何かすいません……

251彗斗:2012/09/29(土) 18:40:39 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
緋織ちゃんだね? こちらこそよろしく! 俺はハヤテ、簡単に言うと……ノゾミの下に敷かれてる奴……と言った所かな?

……あ、それと後一つ、「アレ」については今後、絶対に触れないようにね。 お互いの身の為だから……

それに、馴れ馴れしくしたのはどっちかって言うと……こっちのバカだね。誰にでもフレンドリーな奴だから色々な面倒事もやたらと起こすんだよ……

252ピーチ:2012/09/29(土) 20:19:12 HOST:i121-118-221-80.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

ハヤテさん、ですね。宜しくお願いします

ノゾミちゃんに敷かれてる……大変ですね、何か…

いやでも一応、宮神君の方も「よろしくな!」みたいな感じで言ってますし

253彗斗:2012/09/30(日) 03:38:51 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
その敷かれてるって言葉は出来たらあまり言わないで欲しいな……(←傷ついてる)

それと……何となくだけど今さっきのあの二人の会話って、どっち共が軽かったような気がするけど……?

254ピーチ:2012/09/30(日) 17:58:31 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

あ、ごめんなさい

…ですね、じゃあ、お互い様ってことで?

255彗斗:2012/10/07(日) 19:31:12 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
そうそう、どっちもどっちって事にしとけばいいよ。

……あ、それと俺が今まで関わってきた人物のカウンセリングって奴を作者が企画してるらしい……実は俺には誰にも知られてない秘密の趣味が……((殴

それ以上は絶対に言わさん。殺してでも言わさんぞ!! 色々忙しい……今週は忙しさのピークだってのに……親煩い。パソコン没収。ゲームは禁止……いつか復讐してやる……(怒)

256ピーチ:2012/10/08(月) 20:12:27 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

それ以上聞きたい!! 是非とも聞かせてくれ!

……パソコン没収? ゲーム禁止…? パソコンは納得いかない!!

257彗斗:2012/10/08(月) 21:00:57 HOST:opt-183-176-175-56.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
残念ながらこれ以上は言えないんだな〜これがw(モガフガモガ……←ハヤテがこれ以上要らん事を喋らんように猿ぐつわをされてる)

根っからのゲーマーにはこれはこれは地獄の様な事なのです……(泣)

258ピーチ:2012/10/08(月) 21:05:29 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

ハヤテ君可哀想でしょ!? 明らかに!?

あたしはゲーマーじゃなくてpc依存症だからなー……←

259彗斗:2012/10/15(月) 10:39:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
架空の人物だからこんな手荒な事も出来ちゃうww(さらっと言ってのけちゃいましたww)

私の場合はpc依存症+ゲーマーですので両方の内、片方が欠けても禁断症状が出る始末ww

260ピーチ:2012/10/15(月) 17:34:34 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

まさかの禁断症状!?

あ、あたしだったらpcと小説かも←

261彗斗:2012/10/17(水) 23:16:48 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
禁断症状って言っても普通のレベルではないよww

酷くなったら普通に人に殴り掛かったりガラスを片手で割ってみたりとか……うん、明らかに白と黒の私が二人居るねww

262ピーチ:2012/10/18(木) 06:59:05 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

いやいやいやいや!? 怖いからねそれ!?

白はいいけど黒は……止めてくれぇー!!

263彗斗:2012/10/18(木) 19:37:44 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第59色 神に遣わされし者達
 一つだけ……たったそれだけの事だが一つだけ言える事がある。それは恐らく、二人居るうちの片方しか思っていないと思うが……
――何故、自分達はこんな仕事を受けたのだろうと……
 心の底からこんな感情が込み上げてくるのは生まれて初めてだろうな……と昇は考えていた。と言うのもつい先ほどまで変な四人衆と会話をしていて突然、書物を持たされてこんな山奥に飛ばされたのだから無理もない。
「……おい、柊一。一つだけ良いか? お前、一体さっきから何してる?」
 昇の向く視線の先には……上半身がスッポリと大地に深々と突き刺さったままの体勢で足をばたつかせている柊一本人だった……
 恐らく、柊一と昇は高い所から気を失った状態で落とされ、運良く昇だけは突き刺さりはしなかった……と言う事だろう。
 柊一は早く抜いてと言わんばかりに両足をばたつかせているが、昇には何の事かサッパリの様だ。そのまま放置しているのが何よりの証拠だ。
「もしかして……早く抜いてくれって言ってるのか?」
 その言葉を聞いて柊一はそうだというメッセージを込めて足をばたつかせた。どの行動も同じ様にしか見えないのは気のせいと割り切って欲しい……。
「そうならそうと早く言えよ……なっ!!」
 力任せに引いた為かズポッ! と豪快な音と共に柊一の上半身が姿を現した。やはり土に埋まっていた事もあってか妙に土の色が肌の色に写っている様に見えなくもない。
 柊一は大きなため息をついてから、昇に話しかけた。
「あれ? ここってどこ? 昇は知ってる?」
「知るかっ! 大体ここも知らない異界の場所だろうが!!」
 その質問の返答は聞きもせずに、柊一はまた新たに質問をしてきた。
 その内容は正直に言うと……呆れるどころか信じられもしない話しだった
「ねぇ昇? どうも僕にはあそこに天使が見えるんだけど……ここって天国?」
「だーかーらー!! それは無ぇって言ってるだろう?! 大体天使なんている訳……」
 と言いながら後ろを振り向くと……何と昇も柊一も目を疑う様な事態になっていた……
 此方にこそ気が付いていないがそこに居るのは明らかに背中に翼が生えた七人の人間だったのだ!!
――簡単に言い換えれば……七聖徒である。

264彗斗:2012/10/18(木) 19:44:07 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
自分でも分ってるけど……止められないんだな〜これが

一度リミッターが外れでもしたら諦めるまで停止しないからね……自分自身で禁断症状の制御は出来ないんだよねw

265ピーチ:2012/10/18(木) 21:14:14 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

あたしもあるそういうこと!!

たまに部活中に暴走して顧問に止められるw

…………出た。おそるべし、柊一の天然。

一つ訂正いーでしょうかー

柊一は基本的に「僕」は使わないよ←文句でごめん…

昇は何気に鋭い所あるよ、柊一には負けるけど←

266彗斗:2012/10/19(金) 22:42:43 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
あ……やっぱりですか……(←書き込んだ後に気が付いた)

あーしまったぁー!! 柊一君は僕なんて使わないのに―!! って一人でパソコンの画面に向って叫んでましたww

267ピーチ:2012/10/19(金) 23:06:46 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

しょーがないしょーがないっ!←何の慰めにもならんw

柊一は優しいながらに俺だからね! それに昇の方はいい感じだったよ!←

268彗斗:2012/10/20(土) 13:32:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
昇君の方は掻きなれてますのでそう言って頂けると幸いです……

さて、屋敷の方の大騒動もあと一息!! この大騒動の後、事態は思わぬ展開に……!?

269彗斗:2012/10/20(土) 13:41:22 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
そろそろ屋敷をブッ壊してまでの大騒動も収束が見えて来ました☆(いや〜長かった長かった……)

ただしホッとするのもつかの間、何と事態は思っていたよりも事が大きかった……!?

鍵となる人物は……レオン殿下! そして……レオンしか知らない誰にも明かさなかった真実が明らかに……

ps
新しい場面に移るにあたって……一つお願いがあるのですが、ソフィア様の世界観に会った私オリジナルのキャラを出しても良いでしょうか!?

返事を待ってます☆

それと……ウチのバカ達が屋敷壊したりしてスミマセン!!m(> <)m

270心愛:2012/10/20(土) 16:04:12 HOST:proxy10029.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

いえいえ、屋敷なんて財力と権力駆使すればすぐに直りますよきっと!

レオンですかー!
それは楽しみですw

柊一くんは天然と鋭さを合わせ持ってるのかな?
難しいですね(´ー`)


どうぞどうぞ、新キャラでも何でもお好きなようにやっちゃって下さい!

271ピーチ:2012/10/20(土) 17:03:41 HOST:nptka103.pcsitebrowser.ne.jp
慧斗さん〉〉

マジかw

まさかの昇が書き慣れてるんだ←

ここにゃん〉〉

うん、柊一は鋭い時めっちゃ鋭いけどたまに冗談抜きでアホらしいこと言う←

272彗斗:2012/10/21(日) 19:36:03 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
それじゃあ……お言葉に甘えて新キャラ作らせてもらいます☆

財力・権力……あれ? 権力に至っては何処かの誰かさんと酷似してる様な……(気のせいか……?)

ピーチさん>>
こっちの方でも口調の荒い奴ならいくらでもいますからね(でも口調が荒い奴に共通してる事は全員可哀そうなキャラww)

いよいよ登場のレオンについても色々と考えておかなくては(汗)

273彗斗:2012/10/21(日) 20:02:30 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第60色 町の異変と大騒動
「……やたら下の人達が煩いわね……」
 リョウカは苦々しく呟いた後、出来る限り背伸びをして首を出して下の様子を見てみた。見てみると、とんでもない量の人が道でごった返している……。このままでは下手に表に外出は出来ないかな……と、リョウカは見下ろすのを止めて、ん〜と背伸びした。
 とその背伸びをした時とほぼ同時のタイミングで一つの噂話が聞こえた……
「なぁ、アンタ。知ってるかい? どうやらこの町に黒くて人みたいな姿をしていて顔はオオカミみたいな化け物がいるって噂。今、王家直属の軍隊のイルファーレも必死になって捜索しているそうだよ。何たって死傷者すら出てる始末だからね」
(ん?! 今…化物の話が……!)
 リョウカは必死になって耳を傾けた。続け様に次の話が飛び込んでくる。どうやら住民達の話題は何処を見てもその例の化物の話の様だ。
「あぁ、知ってる知ってる! 前の化け物でしょ? この調子だとひょっとしてあの悪魔と恐れられた―――をイルファーレに呼び戻すんじゃないのか?」
 ――悪魔? 誰の事かしら? と真剣になって耳を傾けて見るが肝心の名前の部分が喧騒によって掻き消されて上手く聞き取れなかった。
 信じようにも信じられないのが旅行先に来てまでこんな内容の話を小耳に挟む事だった……恐らくこの事をリョウやリョウキに話せば……良い顔はしないだろう。
「あぁ……それと……」
 と耳打ちをする程度の声量で話し相手の住民にもう一人の住民がコソコソ話を始めた。
 勿論の事この程度の声量ならばだが、リョウカが聞き逃す事はない。
「ここだけの話だぞ……どうやらこの町にはその化け物を倒してくれる三人の人物が潜伏しているらしい……下手にその奴らの行く先を邪魔をしようものなら……無残に八つ裂きにされると聞いた。イルファーレはそいつ等の行方を捜しているとも聞いたぜ。いやはや恐ろしい話だ……」
「よせって、この真昼間にそんな恐ろしい話しするなよ……おちおち夜の外にも歩けねぇじゃねぇか」
 ……何で……私達ってこんな時に限って良い様に使われるのかしら? とリョウカは自分で自分の運命を呪った。そのイルファーレとか言う組織からも追われているとなれば……どうすればいいか……
「どうしようか……この娘も連れて行かなくちゃいけないし……兄さん達とも連絡が着かないし……」
 チラッと目配せした先には天音の姿があった。いくら自分達の責任とは言え、この状態のまま見捨てる訳にもいかない。
 残された選択肢は……ここでイルファーレに見つかって休日を棒に振るか、このまま天音を見捨てるか……リョウカの選択はとうの昔に決まっていた。
「仕方が無いわね……それじゃ折角の休日を無駄に過ごしますか」
 そのままリョウカはまだベッドに横たわっている天音の隣りに座りこんで兄達の帰りを待つ事にした……いつ見つかるか分らないある種の恐怖と闘いながら……

274心愛:2012/10/21(日) 20:17:03 HOST:proxy10063.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

お、《イルファーレ》も絡んできましたね!


ちなみにレオンは基本、自分の専属護衛の《イルファーレ》を一人二人付けて行動しますw
騎士団長のクラウスが多めでしょうか。


レオンの口調は癖が少ないぶん難しいかもなので、『幸福の歌』のレオンとイルゼの話とか、大変恐縮ですが『愛の花束』のルイーズとクロードの話なんかをちらちらっと見ておいていただければと←


がんばってください!

275彗斗:2012/10/21(日) 20:49:50 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
はい! それじゃあ頑張って行きますよ〜!!(この頑張りが空振りに終わる事を恐れながらww)

そこの辺りを参考にしながらぼつぼつ作る事としましょう(まだ何も出来てないからww)

イルファーレとなると……かなり組織的には大きいですね、さて休日を無駄に振るか、そのまま隠れ続けるか……ある意味この三人衆とイルファーレのやり取りは見物です☆

276心愛:2012/10/21(日) 21:52:42 HOST:proxy10057.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

《イルファーレ》はたった12人の小さな私設騎士団ですけど、レオン殿下が王立騎士団から直々に引き抜いた精鋭さんたちですからね!
レオンの身辺警護から戦争から人の捜索まで何でもやっちゃいますよ(^-^)/

277彗斗:2012/10/24(水) 21:27:59 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
やはり……レオンの為なら何でもしちゃうのかww

さすがイルファーレ……でも相手は……半分人間じゃないも同然な奴らばかりですからね……上手い事見つかるかな?

278彗斗:2012/11/08(木) 19:29:57 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第61話 魂の追憶 〜エレメント・メモリアル〜
 この場所は嘗て栄華の道を歩いていた……無い物は無いと言っても過言ではないぐらい栄えている場所、すると空に薄っすらと色んな色をした大群が街に近寄って来る……その様子を……一人の青い風船を持った幼い少女はただ意味も分らず茫然と見つめていた。
 そして次の瞬間……街は……一夜にして滅び去った。その大群の力によって……何も言わずに浮かんで行く血の赤で染められた紅い風船がその惨状を物語っていた。
―――私は……生きている!!
 一瞬にして廃墟と化した瓦礫の中から幼い少女は這い出してからそう強く思った。目の前に滅茶苦茶になった亡骸が転がっていたとしてもそれを恐ろしいとは思わなかった。そして道と思しき場所の傍らに座り込みひたすら考えた。その幼い頭で……何が起こったのかそして、これから何をすればいいかを……
(何をすれば……何からすれば……)
 そう考えているだけで二日過ぎた。殆ど動かない為、空腹にはならなかった。謎の壊滅から三日目を告げる朝日が出たその時、彼女の心の中である一つの答えが出て来た。
――憎悪・憤怒・怨恨……そして復讐。
 そう、人間に対する怒り・恨み・憎しみ!! 復讐という目的が幼い彼女の心の中で渦巻き始めた……その対象は……あの組織……怪獣を倒す為ならどんな方法も問わない冷酷非道な組織「アルデュレフ」。恐らくアイツらが極秘に作った兵器でこの町ごと吹き飛ばしたのだろうと幼い少女は考えた。
「フッ、フフッ。フフフハハハハハッ!!」
 この瞬間こそ、少女が完全に狂気に呑まれた瞬間だった。その瞳には幼い子供に宿る独特の煌めきなど微塵も感じさせない寧ろその瞳にはその逆である狂気が纏わりついていた……!
「死んだ死んだ! 私以外みんなみ〜んな死んじゃった!! フフハハッ!!」
 その狂気に満ちた幼き者の悲痛な叫び声が廃墟と化したビル群の隙間に空しく木霊した……。
――――――――――――――――――
(……そして今、私は……生まれ変わってここに居る!!)
 ルミナスはそう強く思った。その顔には幼き頃から変わらない狂気に満ちたおぞましい笑みが顔一面に広がっていた……。
 だが、今の彼女は……幼かったころとは違う。何故なら…………
――狂気は殺意に、憎しみは殺戮欲に、憎悪の対象は……全人類へと変わってしまっていたのだ。

279彗斗:2012/11/09(金) 19:43:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第62話 救出劇
「……でよ、あそこで走り回ってる人影を助けりゃいいんだな?」
「いやだからこうしている間にも死にそうになってるって!! 追い駆けられてる人ぉ!!」
 上空で念を押す緑色の髪を持った少年とその言葉に一々ツッコミを入れている橙色の髪を持った少女は救助対象を目の前としていながらこの期に及んで口論となっていた……
「大丈夫だって! あれはただ単にじゃれてるだけ……」
 その発言を耳にした途端、急に変な疲れに襲われガクッと龍の背中に頭を垂れ下げた。
 暫くして頭を持ち上げた後、本気で深々と嘆息しながら呆れ混じりに呟いた……
「……一つ聞いていい? アンタの頭の中ってどうなってるの? ちょっと見せて欲しいわね……」
「ん? 今何か言ったか?」
 どうやら当の本人には聞こえていないらしい。それだけが唯一の救いと言うべきだろうか……
 誤魔化しも兼ねて少女はこう返事をした。
「別に何でも無いわ。さ、早くしないと……助けようとしている人間が目の前で……」
 と言いながら横を振り向くと……彼の姿が無い。慌てて前方斜め下を覗くと……物凄いスピードで急降下している彼が居た……
「…………本当に頭蓋骨をかち割って中身を見てみたいわ……案外プリンだったりしてね……」
 この行動にはホトホトあきれ果てたのだろう。彼女はそのまま高度を下ろして大群の後ろを陣取った。前方斜め上には緑髪ことダンの姿が映っている……と不意にダンが右手を挙げて振り下ろした。
(今だっ!!)
 その瞬間、橙髪の少女ことレンが龍に指示を出して目の前の大群に黄色の電撃光線を浴びせ始めた。すると、彼女の計算通り大群がこっちを向き一斉に襲いかかって来た。
「ん? 後ろを見て!! ほら、龍が……!!」
「ふざけんなぁぁぁっ!!! 今この状況でウソをって……ええぇぇぇぇ!?」
 明らかにパニックに陥っているサツキはランに言われるがまま全力疾走しながら後ろに向き直った後、困惑した。いや、正しくはするしかなかった。
 龍の様な化物に乗った人間などお伽話の世界だと思っていたからだ。
 だが、メテオは目の前で起こっている光景をちゃんと認識していた。その意味を呑みこんだ後、自力で融合を解き皆に重要な事を伝えた。
「みんな安心しろ! アイツらは俺の仲間だ!!」
「お前には一体どんな知り合いがいるんだぁぁぁ!? この状況で知り合い紹介かぁ!?」
 どうやらサツキにとっては余計に混乱を招く事だったようだ……と、勝手に一人で喚くサツキを無視してメテオは残りの三人に説明した。
「アイツらは俺が元々住んでいる世界にいる英雄達だ。まぁ……簡単に言えば自分達と同じだと思っていてくれ」
「「「いや、このタイミングで説明されたら余計に訳が分らないんですけど!?」」」
 そうこうしている間に無言で走っていたクロードがぽつりと一通りの要約をした。
「成る程……つまり、あの二人の男女は貴方の旧友と言う事で解釈はあっているか?」
「あぁ……大体それで合っている」
「「「「この状況で分ったんかいっ!?」」」」
 この男、一体どんだけ冷静な分析力を持っているんだ……!? とサツキは驚きの余り声も出ない……
 とそのツッコミの後、背後にあった黒い壁が見事に消し飛んで二体の雄々しき龍が五人の前に降り立った……

280彗斗:2012/11/10(土) 07:21:27 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第63話 妖と公爵
 今この町は混乱の最中にある。だが、幸いにも民衆は殆どその騒ぎを知らない。その事にこの者は腹を立てていた。
「……何故このようなチマチマとした事しかやらない? 貴様等の考えは一体何だ」
 この様な言葉を目の前に跪いている男女二人を後ろに従えている一人の二十半ばの年齢だろうか、血の色にも似た髪の男に向って言い放った。
「もう一度問う、お前達の考えとはなんだ? 答えなければ……」
「ずばり、結論から申しますと……王国内部からの破壊を計画しております。言い換えますと……王国自身の自滅です」
 この男もとんでもない事を企てる男だ。その冷酷な表情からして……恐らく、目的の為なら手段を選ばないタイプだろうと推測できる。
 ただ、その男の主はそのやり方が気に喰わない様だ。
「だから……か。未来人の手まで借り、挙句の果てには冥国に居る選りすぐりの戦士の情報を盗み偽物を作らせたのも……全て手はず通りか」
「全く持ってその通りでございます。後しばらくお待ちになって頂ければ……必ず」
 冥国から絶達のデータを盗み、偽物を作らせた張本人は……この男だったのだ。最後に……その者は期待の念を込めてか込めずにかこの様な口調で男を励ました。
「なら……それで良い。私の計画には……紫水晶(ヤツ)が必要なのだ。ライラック公爵よ……期待しているぞ」
「私めにお任せを……必ず遂げて見せます」
 ライラック=イフリート公爵は軽くその場で一礼してその場から立ち去った……残されたのは……影になっていて見えないがイフリート公爵に指示をしていた彼、一人である。
 彼は嘲笑的にイフリートを独り言で評した。
「結末を知りながらその身を捧げる若き夕星(せきせい)……か見せて貰おう、その王国に対する恨みと怒りを……」
――――――――――――――
 イフリートは音も立てずに廊下を歩いて行く。二人の重臣を連れて……ふとそこでイフリートが立ち止まる。それに合わせて重臣も立ち止まり主人の顔色を伺う為なのか一言こう言った。
「ご主人……どうかなされたのですか? 御気分が優れないとか……」
「いや、唯……俺はお前たちにすまないと思っている。これだけは謝らせて欲しい……アイリス、バーサー……すまないな、こんな事に撒きこんでしまって」
 二人の重臣、アイリス=ベルハーツとバーサー=イルナ―ドはかける言葉を失った……彼の自責の念があまりに強過ぎたのだろう、言い返すに言い返せない心情だった。
 だが、あえてここで言葉をかけなければ……思ったのか。旧友として、友と言う立場から二人は言葉を綴った。
「イフリート、それは可笑しいでしょ? 言う事を間違えて無い?」
「?」
「それにだ……俺たちは友達なんだろう? それなら俺たちは何処までも一緒さ」
 その言葉にイフリートは少し救われた様な気持ちと……平和に俺たちが過ごす為にはこの方法しかないんだと言う現実を改めて実感した。
 その方法は……王国への復讐。
「わかった。それじゃ行くとするか……王国をブッ壊しに!!」
「えぇ!」
「あぁ! 行こうぜ!」
 そして……その三人の影は暗闇の中へと姿を消していった…………
「ふっ……甘い、そして……純粋過ぎる」
 彼はその暗闇に消えていく影を見ながら人知れず呟いた……その人物の名は……操鬼だ。
 何故、彼だけが此処に…………?

281彗斗:2012/11/10(土) 07:24:30 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
最後の方の操鬼の口調が分らなかったので適当に合わせてしまいましたスミマセン!!

勿論操鬼もですが他の御一行の口調と特徴を書いて頂けませんか?

282ピーチ:2012/11/10(土) 09:32:09 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

ごめん忘れてた!!

めぐみ…「〜わよ」とかはあんま使わない。天音ほどではないが、髪がものすごく長い。

みなみ…めぐみとゆうきには基本的に敬語。敵と見なしてるものにはむちゃくちゃ言葉遣い悪い。髪の長さは足の付け根辺りくらいまで。

ゆうき…めぐみと同じく「〜わよ」とかはあんま使わない。みなみと髪の長さは同じくらい。

操鬼……女。元は人間だった霊。アクアに才能を見込まれ、人としての魂を売った。

アクア…めぐみを取り込もうと目論んでいる妖。が、最終的には消滅する。

…かな? アクアは「〜わよ」とか使ってもいーよー! …多分アクアは怨念だけで甦ったのかなぁ?

283彗斗:2012/11/10(土) 13:32:55 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
え……操鬼は女だったのかっ!? それは今初めて知った……

残念ながら復活原因は怨念だけでは無いんだな〜これが

怨念だけならともかく今回はピーチさんには申し訳ないけど……桁違いに二人とも強くしております。

まぁこの二人はラストに戦う相手ですからね。それなりに強くなって貰わなきゃいけませんから。

それに……今回だけと言う事で……アイツが二人に色々な事をしていますのでとんでもない事が出来る様に……

284彗斗:2012/11/10(土) 14:28:11 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第64色 闇色の妖術師と三つ子の暗殺者
「今帰ったよ。どう? そっちの具合は?」
「それが……ちっとも良くなって無いのよ」
 リョウキが扉を開けて拠点にしている部屋に帰って来た。どうやら、その様子からしてイルファーレの妨害には遭っていない様だ。
 そして……そこから時を暫く開けて開け放っていた窓の方からももう一人の兄が帰って来た。最も……窓からと言うのもおかしな話だが……。
「あらよっと! どうやらその様子じゃまだまだ良くなって……」
 と言葉の途中でリョウは何かに勘付いた。いや、正しくは今更、勘付いたと言った方が良いだろう。
 この少女の……様子が変だと言う事に……
「……ほ〜う? コイツは知らなかったな……まさか……」
 リョウはそう言いながら少女の方向への歩みを止めてはいない。……だが、彼の右手には……あの大鎌がしっかりと握られていた。
「ちょ……ちょっと……リョウ兄ィ?」
 リョウカの声も振り切って、リョウはそのまま彼女が寝ているベッドの隣りまで歩いた。そして……大鎌をベッドに向けて大きく掲げて……
――ブゥゥン!!
 その大鎌を……何と! 彼はベッドに向けて振り下ろしたのだ!! 勿論の事だが、ベッドには天音が寝ている。彼は、わざと天音の心臓部分に当たる様に鎌を振り下ろした!
「えっ!? 危な……!?」
 リョウキが驚きの声を挙げたその瞬間、天音は横に素早く転がりベッドを挟んで反対側に落っこちてしまった……。そう、まるで寝ているふりをしていた様な身のこなしだ。
「「…………」」
「どうだ? 流石に寝ているケガ人に武器を振り下ろすとは思わなかっただろう? なあ……神代天音さんよ!」
 その様にリョウが問いかけてもベッドの向こうに転がり落ちたまま何の変化も無い。寧ろ、その虚無を楽しんでいる様にも見て取れるほどだ。
 ……やはり、俺の勘違いだったのか? と考えた矢先、女の声がした。
「まさか……そんな手荒な事をするとはね。れっきとした暗殺紳士かと思ってたけど……違ったみたいね」
「ふん! 人生、思い切った事をしないと自分の殻は破れないんだよ!」
 リョウはいきり立ってその言葉に対して言い返した。暗殺を業としている者はそう簡単に自分の道を否定されたくないだろう。何しろ……その道が自分の生き様そのものなのだから……
「まぁ……それもそうね。貴方達にとってそれこそが生きる道って事かしらね」
 そう言い終わったと同時に彼女はスッとベッドの影から立ち上がった。
 その元気そうな様子を見てリョウは少しだけ嘆息を覚えた……
「あのなぁ……元気なんだったらスッと目を覚ましてハイ元気ですって俺たちとしては言って欲しいんだが……」
「あら? 貴方たちじゃない。先に私をここに連れて来たのは。それに……」
「「それに……?」」
 リョウカとリョウキは天音の最後に言った言葉を繰り返した。それで彼女は勿体ぶったのだろうか? かなり間を開けてからこう言った。
「貴方達が面白く見えたから観察しただけよ」
「これだから女はいやなんだ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」
 リョウはその場で頭を抱えて大きな声で嘆き始めた……

285彗斗:2012/11/10(土) 16:54:51 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第65色 時空大戦開幕 〜逆襲の大空〜
「……何だこの感覚、まるで怒りがこの国を包んでいるかのような……」
「何かとんでもなく大きな気配があるわ……気を付けて」
 ヒースとナギサは不自然に歪んだ気配を察して赤黒く染まった空を睨みつけていた……とその時、何かが急に目の前から切りかかって来た!
「っ!」
「はっ!」
 二人は間一髪でその斬撃を避けて剣らしきものを弾き、少しだけ間合いを取る。と、そこに立っていたのは……
―――――――
「なんか……嫌な事しか起こらねェ気がするなァ……」
「このまま嫌な予感でいてくれたらうれしい事極まりないけどね……」
 ジル、ユーリエも山の中で急に変に歪んだ気配を察し背後にあった赤黒い渦が出来ている空を睨んでた……。その時、ユーリエが口を開く。
「戻った方がいいみたいね」
「今回ばかりは珍しくお前と同じ考えだ」
 二人は互いの顔を見た後、頷き合ってから、来た道を戻り始めた……
―――――――――
「なんだこの妙な空気は……」
「皮膚の感覚が……痛い」
「気を付けろ……この空気尋常じゃねぇぞ!!」
「「「えぇ(はい)」」」
 クロードも少し不快な表情を見せ赤黒く渦巻き曇ってゆく空を見詰ていた……それは不幸の予兆か或いは……破滅へのカウントダウンか。どちらにしろこの王国全土が……混乱する事態となるのには変わりない事だから……
――――――――――――――――
「ん? なぁにあの空の色……」
 リョウカが指さした場所には紅く紅く透き通った空が広がっていた……
「これまた厄介な事が起こりそうな予兆ね」
 リョウカの隣りに立ってぽつりと天音は呟いた。リョウキも肩をすくめて呆れ気味にぽつりと一言。
「こりゃ、何としてもメテオを見つけて協力しないと不味いって訳だ」
「……ひとまず外に出よう。話はそれからだ」
「え!? ちょっと……何するのよ!」
 いつの舞にやら立ち直ったリョウが天音を背負いながら窓を飛び出す。それに続いてリョウキ、リョウカも続け様に飛び出した。
――――――――――――――――――
「ねぇ……昇? 今度は空が……」
「あのなぁ……悪い冗談はよせって……!?」
 その空を見た昇もその質問を言いかけていた柊一も絶句した……
「と…とにかくアイツらの様子見だ!」
 とチラッと天使たちに目配せしてみたが彼等も慌てている。
「どうするの? 話しかけるの?」
「仲間は一人でも多い方が良いに決まってる!! ここは勇気を出して……」
 昇は柊一を引っ張りながらすたすたとその天使の集団の方向に歩いて行った……
――――――――――――――――――
 各自でそんな動きがあった直後、突如上空に巨大な人間のホログラムが現れた!!
 そのホログラムは仮面を付けていて顔は分らない。と、おもむろにそのホログラムに投影されている人物は話しだした。
「我が名はイフリート。王家にならこの名が分るだろう。なら察しはついている筈だ。我は……復讐に来たのだ!! この王国に!」
 イフリート……と名乗るホログラムに投影された男は高々と復讐を宣言した。
「 ……イフリート……まさか彼が……」
 王宮にある窓から街の様子を眺めていた一人の少年は固く唇をつぐんだ。

286心愛:2012/11/10(土) 17:29:45 HOST:proxyag082.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

おおう! なんか壮大な復讐劇が……っ?

何回も繰り返してますけど、この人数を同時に操れる彗斗さんには尊敬の一語しかないです(*´д`*)


ローエンシュタイン王家にも何か複雑な因縁があるみたいですね←


頑張ってください!

287彗斗:2012/11/10(土) 22:48:43 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
はい! もうそれはそれは大き過ぎる復讐劇の始まりでございます。

勿論、ピーチさんのキャラ達も大きな戦いの渦に……

それと……この作品には別作品のゲストが四人ほどちょこっと……?
 
まだまだ登場していないオスヴァルトにクラウスにティルダに……後……後……誰だっけ(笑)

何名か忘れてる気が……ww

……ま、まぁそれはともかくとして……新しいメンバーを加えて新スタートを切る新章「王国転覆計画」シナリオについてもどうか御期待下さい!!(あまり期待しない方が身の為d(ドスッ)……byノゾミ)

288ピーチ:2012/11/10(土) 23:08:42 HOST:i121-118-222-157.s11.a046.ap.plala.or.jp
慧斗さん>>

どんな復讐劇だどんな復讐劇なんだぁー!?←

まさかの巻き込まれるんだ天音達w

ま、頑張れ←おい

289彗斗:2012/11/10(土) 23:26:34 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
☆新章 王国転覆計画篇☆
第一乃策 警告
「……一難去ってまた一難ってわけね……」
 突如としてナギサとヒースの前に現れた三人の奇怪な人間達……どの人物からも人間らしい感情が籠っていない。
 その人間達の放つ異形の雰囲気にヒースはギョッとして一瞬だけ立ちすくむ。だが、その様な状況に陥ったとしてもなおヒースの心の中で戦いの炎が再び燃え上がった!
「……だが、その方が逆に燃えたりしないのか? 俺はするぜ! 思いっきりな!!」
「……ハッ!! やっぱり人間って奴には、奴の様に煩くて闘う事しか知らないかの様な馬鹿共が何処にでもいるらしいな」
「ウガッ! 何だ……あそこに居る奴の発言を否定できない俺がいる……!?」
 その男の発言は、どうやら的はいている様だ。それに引き換えナギサは……極力隙を見せずに用心する事しか出来ないが……思考は使える。
(コイツ等……いきなり現れておいて……何者?!)
 ナギサが腰に差している剣を取ろうとしたその時、三人目の男がやれやれ……といいたげな表情でナギサに向って問いかけた。
「おっと誤解はしない方が良いぞ? 俺たちはまだ何も闘うとも言って無いからな」
「? ……一体アンタ達は……」
 とナギサが言い駆けた瞬間一陣の強い風が吹き過ぎようとして二人とも目を瞑って開けてみると……
 居なくなっていた。しかも後形も無く……
「先程の質問には答えておこう。俺たちは「ZERO・NOIDO」お前達の敵では無いがあちら側でも無いと言う事を忘れるな」
 何気なく過ぎ去った風は彼の言葉の末尾を見事に消し去ってしまった……

290彗斗:2012/11/11(日) 07:13:12 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>
この作品に出て貰ったからには、勿論の事思いっきり巻き込まれて貰いますっ☆

結末に関してはまぁそう焦らずに……まだまだ「始まったばかり」なんですから(笑)

その代わり天音ちゃんには日ごろのストレス発散にはもってこいだと思うけどねw(ポジティブに考えればあの二人組への厳しさはある程度軽減されるかも?)

291彗斗:2012/11/11(日) 08:16:26 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二乃策 白銀の月輪、黄金の日輪
「……なんかえらい事になって無いか? 俺は気のせいとしたいんだが……」
 半分泣き事が混じっている様な口調でラギアは静かにぽつりと呟いた……だがそう現実は甘く無い、街には……あの時街を襲った時の様に大群が送り込まれていた。唯、決定的に違うのは……その送り込んで来る量だ。
 目で見ただけでも前の時の5倍は軽く越えている……
「……はぁ、何でこう私達が七人全員揃った時は七人揃って面倒事に巻き込まれるのかしら……」
「それは、決まっている。大抵こう言う流れはお約束だからな」
 それはそれで、ある意味答えになって無いと思いながらもノゾミはある呪文を唱える……この呪文は……時空転送だ。
 次の瞬間、ノゾミはある場所へと消え去った……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ハァッ……ハァッ……ハァッ」
 一人の住民が街を逃げ惑う、一斉に振って来た大群にその場に居た人間を彼を覗いて皆殺しにされたのだ。彼は腰が抜けてしまっているのか、歩みがぎこちない。
――ザッ…………ザッ………ザッ……
 死を告げる足音がじわじわと迫って来る……ここには運悪く一緒に逃げている人はいない。もうここまでか……と彼はじっとその足音が近づいて来るのをただ無言で待った。
――ザッ…ザッザッザッ
 足音はもうその角をまがった所まで迫っている、明らかにいつ聞いてもこの音は……人間の足音では無い。
 彼は力無く頭(こうべ)を上げて前方を見据えた。するとそこには……二人の見た事も無い様な歪(いびつ)な人が立っていた……
(これでやっと楽になるのか……?)
 そう思って彼は唇をグッとつぐんで次に来る一瞬の痛みを堪える準備をしていた……がその勝手な空想は無駄に終わる。
 何時まで経ってもその痛みがやってこないのだ。恐る恐る目を開けると……そこには全身銀の貴族衣装で金髪の髪を持った青年と同じ様な全身金の貴族衣装で銀髪の髪を持った青年二人が立っていたのだ。
(い……何時の間に……)
 人の気配さえ感じ無かったこの辺りに人がいる筈は無い。ならどうやって彼等は現れたのだろうか……そんな事迷う暇などないとでも言う様に二人の青年はあり得もしない速度で星人の懐に飛び込んで……
――ドスゥン!! ドガッ!!
 二人同時に二体の星人を殴り付けたのだ! 勿論速度の関係もある為、物凄い勢いで殴られた後後ろにあった建物の瓦礫の中に一瞬で消し飛び動かなくなってしまっていた……
――刹那
 正にその言葉が正しい。一寸の隙も与えない圧倒的な力とスピード、命を助けられた彼はその二人の青年に駆け寄ろうとしたが……瞬きをした瞬間、砂煙を残して何処かに消え失せてしまった……
「い……一体彼等は……?」
 その時、砂煙を巻き上げる程の風が吹き一切れの紙が助けられた男の顔にへばり付いた、その紙をとって内容をよく見ると……
「礼には及ばないぜ。弱い物の見方になるのが、当たり前だからな!」
 とだけ書かれていたのだ……彼はその辺りを見渡したが……それらしき人影はまたとは見なかった。
 また次の追手が来る事を恐れた男は急いでその場を後にした……
「これで良かったんですか? またあの二人と逸れてしまいましたけど……」
「いいんだよ。時期に会える筈だから焦る事はねーよ」
 二人の金髪銀髪で貴族格好の青年は走り去っていく男を見ながら一人ボソッと呟いた。
「生きておけ……そうでもしないと誰かを悲しませる事になる」
「……全く持ってその通りです」

292彗斗:2012/11/11(日) 13:27:18 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第三乃策 天使との交渉
「あのすみませ〜ん!」
 まず柊一がそのグループの中にいるリーダーらしき少女に声をかけた。まぁ当然の事ながらリーダーの少女が返事をする前にその近くに居た少年が聞き返してきた。
「あん? 何でこんな所に人が……? お前等ここで何してる?」
 流石に今さっきからずっと様子を見ていたともいえず柊一は適当な嘘付いた。
 昇はにしては大変珍しく、彼女等に話しかけた後、一言も言わずに黙って隣で立っている……
「ちょっと山で迷っちゃって……僕たちはある人を探してるんですが……この人知りませんか?」
「! おいバカッ! この人達に見せた所で何にもなる訳……!」
 流石、天然の柊一と言った所である。味方と判定出来ていない人物に向ってこの様な人の紙を見せての聞き込みなど相当の天然にしか出来ない離れ業である……だが、昇の心配は無駄に終わった……
 二人ともかなり驚く結果となったのだ。
「!? コイツは……クロス!? おい皆、コイツ……似てねぇか?」
 一人の少年がそう言ったのを引き金に皆が寄ってたかって集まり始めた。そして先程、柊一が話しかけた少女が今度は昇に話しかけて来た。
「……貴方達もこの人を探してるの?」
「ま……まあ色々あってな……ん? ちょっと待てよ? 俺たちも? と言う事はアンタ達もか?」
「ご名答、私達は後からこの地に来たのよ。だから……私達にもる場所までは……」
「でも、あの人一体何だったのかな? これをクロスにって……」
 そう言いながら取り出したのはあの時、四人衆から渡された重要な書物だった。渡された時とほぼ変わらない状態でどうやら柊一が保管していたようだ。
「? 何その手紙みたいなの?」
「!! おいセン! それロイダーからの手紙じゃないか?!」
「はははは!! おいクウ! 冗談がきつ過ぎるぜ!」
 セン……と呼ばれたリーダーの隣りに居たクウと少年は驚愕の色を浮かべてその書物を指差した……だがセンを始め他のメンバーはそんな事は無いと笑っている……
 それなら本当の事を話そうと考えた昇はロイダーの手紙を手に取り、一歩前に出てこう説明した。
「確かにそこの奴の言うとおりだ。コイツはロイダーからクロスに宛てた手紙だ。コイツを渡すように俺たちは言われた。勿論、人質にも似た物を取られてな……」
「人質……!? まさかそんな事をしてまで見ず知らずのアンタ達にロイダーはそんな事を任せたのか!?」
 昇はその問いに首を横に振った。実際の所、人質を取られてはいない。人質に似た状況になっているためだ。そこの弁解は柊一が取り次いだ。
「人質を取ると言うか……それに似た状況になってるんだ。今、その人質がこの場所の何処かに居るんだよ」
「……成る程な。要は大切な人を探してるって訳だ」
 その後クウは話に割って入って来てチラッとセンに目配せした……センは最初はその目配せの意味が分らずポカーンとしていたが、
「天使さんの仕事ってのは変なのを退治するだけじゃないよな?」
 そのクウの一言で全ての察しが付いたのか、すぐに笑顔を作ってこう言い返した。
「まさかアンタにそんな事言われるとはね」
 そして昇達の方に向って笑顔で自己紹介を始めた。
「まだ名乗っても無かったわね。私は七聖徒のリーダーであるセン、「来島 恒」よ。よろしくね」
 そして他のメンバーもセンにつられて自己紹介を始めた。
「そんで、俺は副リーダーのクウこと「七星 九龍」だ! ヨロシクな」
「私は「咲間 楓」。特に何もコメントは無いから次宜しく」
「あ、それじゃ……僕はリュウこと「榎戸 貴琉」。どうか宜しくね」
「あ、次あたし? え〜っと……あたしはサイって言うんだけど……ホントの名前は「浚季 彩奈(ざらき あやな)」って言うの……お願いだから本当の名前で覚えてね!!」
「それじゃ次は俺だ、俺は……自己紹介が苦手だから名前だけって事で……名前は「最果 冽璽(さいはて れつじ)」ヨロシクな」
「……最後に私、私は「棘 輝鞠(いばら てまり」名前、覚えとく程度で良いから……」
 一通り自己紹介が終わったのか二人の方を向いてコクリと頷くセンを見て昇は
「よっし! それじゃ、あの町に向って行こうぜ! 探してる人に会う為に!」
 壮たからかと宣言した、これは……天音が居ない所為からだろうか……?

293彗斗:2012/11/11(日) 20:37:32 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ここから先の展開が……書かれていたノートを失くしてしまった!!

300を目前にして……一切のストーリーが浮かばなくなった私はどうすりゃいいんだ……!?

今私の頭の中にあるのは新しい作品のキャラ達の原案とストーリーのみ……四作同時進行はちょっと気が引けるし……どうしようか……

294彗斗:2012/11/12(月) 21:32:20 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
シナリオが浮かばないけど……何とか更新ぐらいは出来る……! それなら見つかる時まで……アドリブで!!(おいっ!! byハヤテ)
――――――――――――――――――――――――――
第四乃策 人間殲滅作戦
「アイリス、時間的にはそろそろか?」
 イフリートはたまたま近くに居たアイリスに声をかけて返事を仰いだ。だが帰って来たのはその質問の答えでは無かった……
「イフリート……アンタあの宣言流した時、あんな口調で良かったの? あたしとバーサーは思いっきり腹を抱えてその場で笑い転げてたわよ(笑)」
「……もういい、お前には何も頼まない。バーサーも同様だ(怒)」
 親友とも呼べる存在の人間にまさか腹を抱えて笑われるとは思いもしなかったイフリートは、少し怒った様に短くアイリスにそう告げると手元にあるスイッチを押した……
「さて……気を取り直して……一気に崩壊させるとするかな……この禍々しいこの腐り切った王国を!!」
 その大きく見開かれた眼(まなこ)には……復讐と言う名の狂気しか映り込んでいなかった……。
――――――――――――
「ん? 何だこの轟音……?」
「ギ―クのベルグが居るからこんな音がしてるんじゃないのか?」
 ジャッジの適当な受け答えは無視してクロスが耳をすませる……どうやらこの音は……上空から聞こえる音の様だ。従ってベルグの奏でる轟音では無い。
「……あの赤黒い渦から何か出てきてますけど……」
「…………あの様子からして……明らかに大砲だな。だが……妙にデカイな」
「もしかして……あれでこの辺り一帯を吹き飛ばすんじゃ……」
 リアスとネクロ、そしてサエリヤからその言葉を聞いた瞬間クロスの頭の中にある一つの結論が浮かんできた。
――この戦いは……この国に恨みを持つ物の仕業だと!
 とすれば街の半分を影で覆う程巨大な大砲を使う訳が無い、これはこれで説明が行くだろう。だが問題はあの大砲にどうやって近づくかだった……
(翼さえあれば……あの距離へ行く事も造作じゃないのだが……)
 魔術を使えばノゾミ達でも行く事は出来るだろう。だが、それでは辿り着いたとしてもその大砲を破壊する為に使う魔力が残っている保証は無い。かと言って、ここで自分達が出て行けば一層騒ぎが大きくなるだろう……
(!! そうだ、アイツらなら……出来る)
 そう考えたクロスはネクロ、サエリア、リアス、ジャッジ、リアスの五人の協力を得る為に、一から作戦の手はずを指示した。
「みんなよく聞いてくれ! 今、私達はマルグリットの領土内にいる。それはノゾミ達、ナルキ達、そして……メテオの旧友達や七聖徒も同じはずだ。そこで……」
「そこで……? なんだ?」
 ネクロが聞き返してきたが勿体ぶっているのかいないのか中々口に出そうとしない……その時、ネクロの頭の中に一つの答えが出て来た。その言葉を早速口にする。
「ひょっとして……全員を引き合すのか? 俺たちの力で……」
「勿論だ。そうでもしないと……ソフィア嬢は護れないからな」
 やはり……か。とネクロは心の中で苦笑した。クロスの考える事はときたま付いていけない時がある。だがその方法しかないのなら無理だとしても付いて行くしかないだろう……
「……なら、まずセン達との連絡を優先しないとな」
「あぁ、その通りだ。その通信の回復についてはギ―クのみが不在なのでネクロ、サエリア、リアスの三人で当たってくれ。俺はジャッジに話がある……」
「?」
 キョトンとしているジャッジに肩を回してコソッと耳打ちを始めた……だがその内容を聞いたジャッジは驚愕する……
「何だと!? それは不可能じゃないのか?!」
「やってみる価値は無いとは言えない筈だ。今はこれにかけてみるしかない」
「…………わかった。それなりの手はずは整えておく」
 そう言ったっきりジャッジは奥に引っ込んで座禅を組み静かに瞑想をし始めた……
「それじゃ皆。各自、勝利へとつなげる為に頑張るぞ!!」
 クロスはその宣言を高らかと告げてから現場の視察へと消えて行った……

295彗斗:2012/11/14(水) 22:01:01 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第五乃策 死の絶対座標、破滅の刺客
「……まず、あれを壊すしかねぇな。話はそれからだと思うぜ、どうせアイツらは納得しねェだろうしな」
「それに関しては賛成だ。あれを壊してから話を付けた方が……説得力はある筈だ。お前はどう思う?」
「…………」
 肝心の三人組のリーダーは黙りこくっている……。大体この様な時にこんな考え方をしていると言う事は、客観的にこの事態を見下していると言う事だ。だが、客観的でないと見えない事実が在る事も、また事実なのだが……
 中々結論を出さないリーダーの様子を見かねたのか、最初に口を開いた少年はリーダーらしき人物の後頭部を掴んで半分脅し文句の様な口調でこう言った。
「早く結論をださねぇと……この首をもぎ取っちまうぜ?」
「……そんな事をしても俺が動じないと知っていてか?」
「チッ!」
「Ω(オメガ)その辺にしておけ……」
「黙ってろΣ(シグマ)」
 Σ(シグマ)と呼ばれる少年の忠告を他所にΩ(オメガ)と呼ばれる少年は腹いせに握っていたリーダーの頭を握りつぶした……自分の仲間、しかも自分達のリーダーを殺すとは、何と残虐なのだろうか……だが少年は飛び散った血飛沫に一つも顔色を変えずその頭を握り潰された少年を見下ろして冷たくこう呟いた。
「いい加減元に戻れよ。∞(ループ)」
 頭を握りつぶされてそこに横たわっている少年の名は∞(ループ)。この三人のチームの名は「ZERO・NOIDO」。そう、この三人はナギサとヒースに脅しをかけて来たあの三人組だったのだ。
 その言葉をかけた直後、∞の潰された頭の部分が徐々に再生し始めたのだ! 果てる事の無いほぼ完璧なまでの永久的な命を宿す者、これが∞の由来だ。
 因みに、Σは賢い者の意味を、Ωは最強且つ最凶の戦闘能力を持つ者と言う意味で付けられた名らしい。
「短気な所をいい加減な直せ。おかげで記憶が一部飛ぶ所だった」
 ∞は立ち上がりながらブツブツとそう呟き再び考え込み始めた。それを許せなかったのか今度はΩが自分の腕を服の袖に引っ込めて、∞のこめかみに突き立てた。
 その手から出て来たのは……なんと物を握っている手では無く、∞の顔がすっぽり入る位の大きな大砲だった。
「……お前は少しやり過ぎだ。周りの人間を俺と同じ様に考えている。昨日だっていちゃもんを付けて来た盗賊を一つ後形も無く消したところだろう? それだからこの国で化物が出たなどと騒がれるんだ」
「フン! 第一、相手が先に手を出したんだ。当然の結末さ」
 Ωは気味が良い様な笑みを浮かべてその喧嘩を吹っ掛けて来た盗賊団を嘲笑っている様な感じがする……
 その様子を見たΣと∞は同時に頭を抱えて短く嘆息した……。
「大体そんな価値観があるから何でも見境なく殺してしまうんだろうが……」
「物の考え方が変わるきっかけが在ればと思ってここに来たのに……何て事だ……」
「だぁぁっ!! そんな事をねちねちと言う物じゃねー!! ……結論はどうするんだ?」
 何故か二つに増えた大砲を二人のこめかみに突き付けていた……流石に自分と同じ立場でないΣは∞に助けを求めた……いざ、こう言う時にΣは頭の回転が速い。
 Σは∞とは違い生き返る事は出来ない……仕方無しに後回しにしていた結論を自らの口から言う事にした。
「あぁ、分った分った。壊しに行くぞ。あの大きな大砲を」
「よっし!! じゃあ行こうぜ!」
 そのまま大砲を両手に戻しそのまま飛び去るΩ、それに続いて∞、Σと三つの赤黒い空に飛び出していった……結果、逆襲の一色に染まった空に宵闇、桔梗、紅蒼(せきそう)である三が、尾を引いて光る流星の様になっていた……

296彗斗:2012/11/22(木) 18:03:36 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第六乃策 破壊と破滅
「……このままで良いのかよ、お前の弟二人に好き勝手やらせておいた上にアテナにまで抜け駆けされてんだぞ?」
「…今は待つ。それだけだ」
「……なら何故アテナの抜け駆けを止めなかった。それは明らかにお前の不注意だぞ」
「やりたい奴は好きにすればいい。俺は止めもしなければ、早く行けと急かしもしないだけだからな」
 白一色の変化の無い空間で三人のイレギュラー達はそれぞれの顔を眺めながら話しこんでいた。勿論の事この三人は柊一と昇に書状を託したあの三人である。名をそれぞれ向って右から無表情その物の様な顔をしている人物が滅壊神 ロイダー、その隣に居る明らかにへらへらと客観的にこの事態を見つめている人物が半骨神 スカル、そして威厳の塊としか言いようのない位の威圧感を放っている人物が皇帝神 カイザーである。
 とここで、フッとスカルがソフィア達の世界を映している鏡をチラッと見てから鏡を指差した。
「あれは放って置いたら流石に不味いだろ……俺が行って来ても良いか?」
「……その必要は無い」
 そう言いながらロイダーはスカルの提案を却下して鏡を別の方向にターンさせた。すると、そこに映っていたのは∞達の三人だった。彼等を見て、ロイダーは……
「この自体によく似た事件が来ると予測していた。だから手は廻してある」
「フッ……お前の心配は取り越し苦労だったにすぎないと言う事だ」
 カイザーは鼻でスカルを笑った後、凄まじい殺気を放つスカルをスルーしてロイダーに向き直った。
「あのイフリートとか言う男、下手をすれば俺たちの予想を裏切る事態を引き起こしかねない。どうする? 今の内に八つ裂きにするか? 滅んで行く姿をのんびりと眺めるか?」
 その言葉にロイダーは声を上げずに口角を上げて笑いこの先の事態を頭の中に思い浮かべた……と同時に笑っていた顔とは対照的に苦虫を噛み潰したような表情を見せ、苦々しく吐き捨てる様に返答した。
「お前の言う事はよく分るが、今俺達だけが早合点して動いたとしてもアイツ等には分る筈もないだろう。先程も言ったが、今はその時が来るまで待つしかない」
「ケッ、どうせその間にお前の弟達に手柄を全部横取りされるに決まってるぜ! それでもいいのかよ」
「何度言えばいい、俺たちは下手にあの世界にはいけないんだ。そこをわきまえろ」
 短くはなったその一言でスカルを秒殺した後ボソリと人知れず考えた……
(もし……カイザーの言う事が本当なのなら紫水晶に蓄積しているアレを使われると大変不味い事になる……下手をすれば……いや、下手にしなくてもあの世界が消し飛ぶ事になるやもしれないな……)

297彗斗:2012/11/22(木) 18:55:44 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第七乃策 放たれた妖
「……あの変な大砲要塞から何か出て来てるけど……?」
 リョウカが指差したその先には黒い…と言えばいいのか赤黒いと言えばいいのかおびただしい数の異形としか言いようのない化物が飛び降りていた……
「あ…あれ? ひょっとして俺の目はこんなに逝かれちまったってか?」
「間違いであってほしいけど……どうやら敵は本気どころか殺意剥き出しの様ね……」
 その様な事を口々に呟いていたがそのゴタゴタを掻き消す様にリョウは背負っていた天音を屋根の上で下ろしぽつりと呟いた。
「五秒だけ……待ってろ。すぐにかたを付けて来る」
 その瞬間、天音は自分が聞いた言葉を疑う暇も無く空に浮かんでいる無数の妖が一瞬にして無残に引き裂かれていく様を自分の目で目の当たりにした……
「……四秒弱か…ざっとこんなものだな」
「最近の化物は面白味の欠片も無い奴等ばかり……倒すたびに腕が鈍って行きそうです……」
「もっとこう強いのはいないのかしら……困ったものね」
 常人ならこんな事はあり得ない。いくら天音でも限界がある。天音の頭の中では既に目の前に居る三人に対する結論が頭の中に出ていた……
――この三人……唯者じゃない…!
「……貴方達、そう言えば名前を聞いて無かったわね」
「確か…そうだったっけな。俺の名前は「嵜良 澪」この中のリーダーだ」
「そして僕が「嵜良 凌悸」。一応この中ではサイドで戦ってます」
「最後に私が「嵜良 涼香」! 私は結構、戦線で戦ってる事が多いかな……? まぁとにかくヨロシクね☆」
「えぇ、分ったわ。リョウカちゃんと……銀髪君」
「「いや、その呼び方だとどっちか分らないけど!?」」
 天音は然程取り合う様子も無く赤黒い大空を見渡した。こんな血よりも赤く闇よりも黒い色の空は見た事が無い。天音は誰だってそうだと思っていた。そして何か妙な気配を感じて上を見た瞬間……!!
――見えない透明且つ巨大な何かが天音の上に落下して来た……

298彗斗:2012/11/22(木) 23:45:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第八乃策 流星の共鳴
「…? 今、誰か俺を呼ばなかったか?」
 メテオはその場に居る全員に確認した。サツキを始めダンもレンもランもユウもミオも全員が首を横に振った。
「……じゃあ一体誰が俺を……!」
 考え過ぎかと思った矢先、またあの声が聞こえた。どうやら街の方向の様だが……声の主がハッキリとしていない。眼を閉じて静かに辺りの気配を感じ取る……そして、
――メテオ! ここだ、俺達を助けてくれ!!
 その直後、メテオは一瞬の内にその場から消え失せていた……
―――――――――
 影妖鬼 イザナギ。リョウ達が居る世界でも発見、または討伐依頼が届くのは稀な標的(ターゲット)である。間一髪で天音を助け出し、天音が下敷きにされる事態は免れた。この類の化物となるとまず違うのは身体能力、知能辺りと言った所か。何よりも怨念だけで動く他の化物とは違い、イザナギには意思がある。つまり、人間の心を宿した化物であると言う事だ。攻撃パターンは本来なら、空間を突き破って放つパンチや弾丸程度の大きさの呪怨塊と呼ばれる塊を流星群の様な量とスピードで此方にぶつけてこようとしたりと様々な攻撃パターンがあるが今回に限ってはその常識は通用しないと考えても良いだろう。しかも今回は、仲間を八つ裂きにされて怒っているのか顔にある地獄の黒炎の鎧の部分から蒼い炎が少し覗いている。
「こんな厄介な奴を手懐けたのか、イフリートって奴は……」
「……こんなに大きい妖っている物なのね」
「僕たちの世界じゃこんなのがゴロゴロと……」
 イザナギは地獄の黒炎の鎧に身を包んでいてちょっとやそっとの攻撃ではダメージ一つ与えられない。そこでリョウ達は決まってある行動を取る。
「水だ。奴の鎧に水をぶつけるんだ!」
 幾ら地獄の黒炎と言われても炎である事に変わりは無い。だからこそ纏っている炎の力を払い除け、鎧にヒビを入れやすくする為なのだ。だが……
「……生憎こんな奴の相手をするとは予想して無かったから水に関係する物は一切持ってきてないよ……」
「……私も右に同じよ」
 自分が水関係の携帯アイテムを持っている筈も無い事ぐらいは自分で熟知している。そこで、別の手段に出た。
「……とにかく足を払って胸に輝いているあのコアを破壊しろっ!!」
 そのまま三人がイザナギに向って行く中、イザナギは三人に目を向けていなかった。向いている視線の先には……天音だ。勿論の事、天音も負けていない。イザナギの威圧感の倍はありそうな威圧…と言うよりも威嚇と言う方が正しい視線を投げかけている。
「……アイツってあんな顔が出来たんだな」
 リョウがこう呟いたのに対してコクリと声も出さずに頷く二人、天音は三人の方を見ずに睨みあったまま言葉を残した。
「―――三人共、死にたくないなら余計な手出しはしない方が良いわよ」
――ザワリ……
 リョウは暗殺者特有の寒気を感じた。そう、それはまるで……天音が自分達と同じ様な殺気を放っていたからかもしれない。とそう思った刹那! イザナギが突然、天音を握り潰そうと腕を伸ばしたのだ!
「! まっ……!」
 間に合わない、今の距離では到底、天音を助ける事は出来ない。三人全員が諦めかけたその時、一つの蒼い閃光が走ったと同時に聞いた事のある懐かしい声が聞こえた。
――やっぱりお前か、俺を呼んでいたのは……
(この声は……メ…テオ……?)
――ドガァァン!! バキキギギ……
 イザナギは力一杯天音の居る場所を民家の屋根ごと握り潰した。木や煉瓦の砕ける音がする……とその時、化物を挟んで反対側から一つの声が聞こえた。
「な〜にボサッとしてんだ? リョウ、リョウキ、リョウカ! 目の前に敵がいるってのにバカかお前等は」
「「「メ……メテオ!!」」」
 その化け物の背後に立っていたのは蒼い髪と瞳、そして聞き覚えのあるその声を持った人物……従僕(フットマン)の服を着たメテオが天音をお姫様だっこをして悠然と立っていたのだ!!

299彗斗:2012/11/26(月) 18:28:51 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第九乃策 妖の声
「……何で私がこんな事されてるのかしら?」
「おっと、こう言うのは好きじゃ無かったかな? お気に召さなかったんなら謝っとくよ」
 天音の不満に対してメテオは謝罪の言葉を述べた後、天音を下ろしてから焦った様な口調でこう続けた。
「だけども、今はそんな状況じゃない。現にこの王国が破壊されてるんだ、ここでそう呑気な事はやってられない」
「……わかったわ、一応礼は言っとくわよ。青髪君」
 メテオはその呼び方は満更でもない様な笑みを天音に返してから、イザナギに向き直りジッと目線を外さずに見据えた。リョウ達もメテオの隣りに立っている。その時、メテオがフッと声を出した。
「……コイツ……俺たちの知ってるイザナギじゃないぞ」
「「「え!?」」」
 確かに目の前にいるのはイザナギと同じ外観、攻撃方法から対処法まで全く同じのイザナギであるがメテオは俺達の知っているイザナギとは違うと言った。これはどう言う事なのか……続け様にメテオが口を開いた。
「確かにコイツは外観や攻撃方法は本物と一緒だ。だけどな、コイツ……中身が違う。中身は全くの別物だ!」
「それってつまり……」
「イザナギの鎧に身を固めた偽物……って事ですか!?」
「冗談はよしてくれよ!? 大体どうやったらあの黒い炎を纏った鎧が装着できるんだよ?!」
「……確かに、あの青髪君の言う通りかもね。強ち間違いじゃないと思うわ」
 その話しに突如、割って入ったのは天音だ。そして天音はその鎧を着込んでいる正体に心当たりがあった。その正体は……もう決まっている様なものだ。天音はその単語を口にした。
「……妖よ。妖がこの化け物に化けてるのよ」
「? 妖……ですか」
 いまいちピンとこない三人は放置して天音は自分が立てた仮説を話し始めようとした時! イザナギが急に暴れ始めたのだ!!
 その様子にピンと来た天音は別の漠然とした仮説を立てる。
(この様子からして……イフリートとか言うあの男に何かをされた人物が内部で抵抗してるのかしら……? それなら!)
 と考えた矢先、天音は懐から鈴と扇を取り出し、メテオ達よりも一歩前に歩み出てメテオ達にこう言った。
「……この化け物に憑いている魂を祓うわよ。ちょっと危なっかしい感じがするけど……協力してよ?」
「……チッ、仕方ねぇな今回だけだぜ」
「わかりました、出来る限りアシストします」
「オッケー! 任せてよ!!」
「それじゃ、何とかしよう。最早一刻の猶予も無いからな」
 それぞれの返事を聞いた後、五人は、偽物のイザナギの暴走を止めるべく猛然と足元へとダッシュした。

300彗斗:2012/11/26(月) 20:22:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
☆300レス到達! ちょっとしたゲストも色々登場スペシャル☆
桜「……何で私たちなのよ。これ、私達の出て無い別の作品じゃない!」
爽「まぁまぁ、そう怒るなって。俺達の作品ができてからこの企画を思いついたらしいぜ?」
彗斗「そう言う事で今回の300レス到達記念は……」
桜「私、桜と」
爽「この俺、爽と……」
彗斗「作者の彗斗でお送りしまーす!!」
――――――――――――――――――――――――――
桜「で、早速本題に触れるけど……アレ、何よ」
爽「確かに何だよ、ちょっとしたゲストも色々登場って……」
彗斗「あーあれね、あれはこの作品に登場s……」
麗奈「紹介が遅ーい! 待ち切れないから出て来たわよ!」
桜・爽「うわっ!?」
彗斗「……案外、麗奈って短気だったのか。ま、まぁ何はともあれこの、麗奈もこの進行役として加わって頂きましょう!!」
爽「で、作者は何を言いかけてたんだよ?」
桜「確かに、そこは気になるわね」
麗奈「実は私も何も聞かされてないから気になるわよ」
彗斗「……妨害しといてその発言は無いだろ……コホン、実はここに集まったメンバーには共通点があります。それは……」
爽「それは……?」
桜・麗奈「やたらと勿体付けてくる作者ね……」
彗斗「ゲストとしてこの作品に登場するキャラ達です! 勿論ここには招待して無いけどブライトやシャインも登場するよ☆」
桜・爽・麗奈「……面倒事が一つ増えた様な気がするのは気のせい……?」
彗斗「そ…そんな事言わずにこの作品はかなり長いからね!(下手すると書いているシリーズの中では断トツかも……)それだから色々ゲストと化も必要になって来る訳で……」
桜「……もういいわ。アンタの戯言とか言い訳とかは聞き飽きたから」
爽「んじゃ俺達はこれで……」
彗斗「おーい!? これだけだと内容が薄っぺらくなっちゃうからもうちょっとここに居てよね!?」
麗奈「……で次の話す内容は?」
彗斗「あっと、そうでした。次の内容はこの章に登場した王国に恨みを持っていると思われる男、イフリートとその一味についてちょっと説明しておけばと思います」
爽「おっ? 面白そうじゃん! もうちょっとここに残ってこうぜ桜」
桜「はぁ……これだからアンタは……」
彗斗「現在の話では王国の上空に突如現れた巨大な大砲、それを巡ってイフリート側の謎の軍団とノゾミ・アスカ・リョウ・サツキ率いるチームが激突する……と言うのが今までの話、ここからは今まで表立って動かなかったルミナス、夢幻博士等も動き出し事態はとんでもない方向へ……と言うのが今考えているシナリオです☆ あと勿論、レイフォード、クラウス、ルイーズ、ティルダ、レオン殿下等々と言ったキャラ達も続々登場と言う訳ですのでお楽しみに☆」
桜「……私達が出て来る幕なんて一つも無い気がするけど……」
爽・麗奈「そ〜だそ〜だ! ウソだったのか〜!!」
彗斗「いや、だからすぐに出すとは言ってない! この章には麗奈達が出て貰う事にするよ。桜ちゃんが面倒臭そうにしてるからね」
麗奈「それなら納得☆」
桜・爽「そこで納得するのっ!?」
彗斗「そうそう、この話が始まった時に疑問に思った人もいるかも知れません。何故シュオン様やソフィア様が最初に登場するキャラ……にならずにヒースになったかと言うと……」
麗奈「……と言うと……?」
桜「……そろそろ鬱陶しくなってきたから封印して口でも封じましょうか」
爽「そうそう、俺も大砲で作者をドカーンと……」
彗斗「……二人ともそう言うの実際にやったらエライ事になるの分ってるよね? ……話を戻します。ズバリ! ヒースが一番傍観していて可哀そうだったからですww」
桜・爽・麗奈「何!? 最後の「ww」って!? しかも傍観って何様だ作者(コイツ)!?」
彗斗「ま、何はともあれ他にもメテオの活躍、天音ちゃん達御一行の言動や神様たちの行動にも注目です(笑)」
桜「……ま、いいわ。(笑)ってのが気になるけど……見逃すとしましょうか」
爽「そうだな。一々ツッコミ入れてたらキリが無いもんな」
麗奈「それじゃ、そろそろ……」
彗斗「こんなグダグダスペシャルをご覧いただきありがとうございましたー!!」
桜・爽・麗奈「いや、そんな事にしたの作者(アンタ)だろっ!!」

301彗斗:2012/11/27(火) 20:11:40 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十乃策 妖怪祭り
「……な、何これ……」
「…………俺に聞かれても分るはず無いってわかってるよな? それに俺の肩をガッチリと掴むの止めような?」
 ナギサ、ヒース達の方もあの三人との会話の後、気持ちの悪い妖達の襲撃を受けていた。勿論の事だが、周囲をあっと言う間に包囲されてしまっている程の数だ。後一つ言える事と言えば、皆揃ってヒース達を殺そうとしている事に変わりない事だけだ。従って、この量を相手にしなくてはいけない。
 流石にこの状態に危機を感じたヒースは食い込む程の握力で肩を握って涙目になっているナギサに協力を促した。
「……相手はやる気満々みたいだし、俺達も応戦するしかないだろ? それに……あの屋敷にはソフィア嬢が居るからな。奴等はソフィア嬢が目的だと考えられるから何としてもここで食い止めなくちゃ不味い事になりかねないしな。取りあえずナギサ、俺の肩から手を話してくれよな?」
 そう言われて素直に肩から手を話したものの、涙目になっているのは変わりない。グロテスクと言う表現が一番似合っている奴等の姿は正直に言うと長い時間は見られない物だ。
「だ……だってさ、こんなの斬ったりするの? ちょっと勘弁願いたいんだけど……ダメ?」
「ダメな物はダメだ。正直言うと俺だってこんなのを斬ったりするのはご免被るな」
 そう言いながらもじりじりと間合いを詰めて来る集団を前に、ヒースとナギサは背中合わせになり周囲の何処からでも攻撃に備えれる体制に入った。その直後、ヒースがぼそりと呟いた。
「……俺の掛け声と共に攻撃を始めろよ? 準備はいいか?」
「えぇ、いつでもオーケーよ」
「よし、それじゃ……かかれっ!!」
 猛然とヒースは走っている途中で剣を抜き目の前に居た妖を切り付けた。とここである事にナギサは気が付く。
――霊体の敵をどうやって斬るのかと……
「あ……ヒース、幽霊って斬る事が出来ないわよ」
「……それを先に言えぇぇ!!?」
 そのやり取りの後、二人は同方向にダッシュして霊体の体を通り抜けて包囲を脱出し、そのまま走り去ろうとしたが……霊体の追跡を撒ける筈が無い。瞬く間に追い付かれてしまった……
「あ……これは不味いかも……」
「何で俺はあの時斬れもしない相手を攻撃できると思ったんだろうなぁ!? この状況なら素直に逃げろぐらい言えよな!?」
「いや、あの時は気が動転してて……」
 妖達の攻撃を避けながら平然とそんなやり取りをしている二人……常人ではないナギサならともかく、ヒースもそれについていけるとは……流石、日ごろ体を鍛えているだけはある。ごちゃごちゃとその辺りでやり取りが続いていたその時!
――ヒュッ!
 二人の走っている延長線上に一つのお札が投げられた。そして何処からともなく一陣の風と共に声が聞こえて来た。 
「浄結界! 二眼封印!!」
 その瞬間、ナギサとヒースの周囲に居た妖達が瞬く間に動かなくなってしまったのだ……不意に走るのを止めて辺りを見渡すと……一人のナギサと同い年ぐらいの少女が立っていた。
「……よくあの数の鬼神を相手に生きていたわね……しかも無傷でって……」
 呆れの感情が混じった言葉を吐き少女は此方に近づいてきた。幸いナギサにもヒースにも聞こえていない声量だった為、二人には聞こえていない。
「……そうだ、自己紹介して無いわね。私は折谷 晶。アンタ達が良ければ私を連れていてくれないかしら。出来る限りの事なら力になるわよ?」
「…………いきなりすぎて何が何なのか分らないんだけど……」
「……俺も同感だ」
「はぁ……仕方ないわね。一から説明すると……」
 アキは目の前で状況を呑みこめていない二人に向って、今起きた状況と自分についての詳しい事について説明をし始めた……

302彗斗:2012/11/28(水) 20:35:04 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十一乃策 イフリートの目的
 ここは、王室の一角であるとある部屋。その部屋の持ち主であるレオンは神妙な顔つきで外に浮かんでいる大砲を見続けていた。
「……なぜ、なんだろうか……なぜ彼は……」
 ふと気を紛らわせるためにこんな事も呟いてみたが大した効果も無い。時だけが刻々と徒に過ぎてゆく。
 とその時、フッと背後に小さな人影が現れた。その人影はレオンにどんどん近付いて……とうとうレオンの真後ろにまでやってきた。そこでようやくレオンがその気配に気付き後ろを向くと……
「ルイーズどうしたんだ?」
「いや、何となく兄様から不安そうな雰囲気が漂っていたから……ちょっと様子を見に来ただけじゃ」
「そうか、それなら丁度良いルイーズに話があるんだ」
 レオンは自分の後ろに立っていた小さい王女であり自分の妹「ルイーズ」にある話を聞かせた……
――――――――――――
 今から数百年前の事、この国が未だ今ほど大きく無かった時代の話だ。勿論その頃には今の様な統率力は当時の王家には無かった為、戦いが絶えなかったと言われている。そして、その小さかった王家に仕えていた三人の臣下達がいた。
 その一人の名はエルソルド=グライン。また、彼は王国成立当初から王の元について革命を指揮した事から「革命者」と呼ばれ民衆にも慕われていた。そしてもう一人の人物はライラック=イフリート。勿論この人物も庶民出身と言う事もあった上、国にある物を大切にしていたことから「愛国賢者」と呼ばれ民衆から慕われていた。そしてもう一人賢者と呼ばれ民衆に慕われる臣下が居た、その人物の名はジクラス=フリート。彼は三人の中で一番の戦略家で色々な戦いを彼の力で乗り越えて来た。その事から民衆からは「竜王(ジークフリート)卿」と呼ばれ皆から尊敬のまなざしを浴びていた……
 がいつの時か、ジクラスが病に倒れ帰らぬ人となり、王家の臣下として残ったイフリートとグラインは当時の国王を交えて今後の国の行く末について議論したと言う。イフリートは国外の協力や武器を手に入れて他国に負けない国をつくれば、時間が経てば従う意思を見せる国が出て来る筈だと主張した。だが一方でグラインは自国の兵力を増やす事によって他国を力で抑え込むことを提案した。
 ここで二人が対立し、民衆の中にもイフリート派とグラン派と言う様な派閥が出来てしまった。その事態を重く見た国王は民衆に愛されていたイフリートの提案を採択。
 だがその直後、グラインは国王にある事を耳打ちした為に形勢が逆転。イフリートは民衆に知られない為に極秘裏で処刑、グラインの提案を採択して戦乱の渦はとんでもない位に大きくなり、何十年と続いた戦乱も終止符が打たれ現在の王国の姿になりそこから力を持って来た者が今の貴族階級の人達となった……と言う事である。
――――――――――――――
「な……何じゃと!? あのイフリートとか言う男は元はこの王国の家臣じゃったと言うのか!?」
 ルイーズはひとしきり話し終えたレオンに疑問をぶつけた。レオンはその通りとでも言いたそうに首を縦に振った後、みのけがよだつ様な事を言った。
「そう、つまり……私達ローエンシュタイン王家を消滅させようとしていると言う事だよ」
 そういってのけた後、顔が青くなっているルイーズにある古臭く薄っぺらい書物を渡した。その書物を見てレオンは呟く。
「その書物にはイフリートとその仲間達が書いた最期の言葉が記されている……」
 その言葉を聞いた後、ルイーズは恐る恐るそのページを開くとそこには……
―――――「この王国に……復讐と混沌を……」ライラック=イフリート
 とだけ書かれていた。しかも怒りの余りにか書きなぐった痕跡すら見て取れる。よほど王家に裏切られた怒りが強かった心の現れなのか……次のページには二つの最期の言葉があった。この書かれた内容も恐ろしい物だった……
――「この世に生れし者は破滅の道を辿る、そして最期は滅び去る運命のみが待ち構える」バーサー=イルナ―ド
――「狂気に触れし者、全てを混沌へと導く者、そして闇と光を見違えた者。全て身を滅ぼす道を辿らん」アイリス=ベルハーツ
 憤怒と憎悪。その言葉がこの遺言達の意味をあらわすのに相応しいと言っても過言ではない。ルイーズは足が震えている事に今、やっと気が付いた。その書物をパッと取り上げ、もとあった位置に収めながらレオンはどこか悲しげにぼそりとまた呟いた。
「これが……王家に対する当然の報いと言うのなら……受けて立つしかない……そうだろう? ルイーズ?」
 ルイーズを見るレオンの瞳には……悲しみの色しか映っていなかった……。

303彗斗:2012/11/29(木) 19:02:09 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

無理やりルイーズとレオンを登場させてしまった第十一話。何となく違和感が残るのはこの二人の口調。

何がどう違うのか分らないので心愛さん、ご指摘お願い致します!!

304心愛:2012/11/30(金) 12:35:33 HOST:proxyag119.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

…やー、まさかこんな壮大かつすごいお話にしていただけるとは(~_~;)
「そーいや国の名前どうしよ、マ、マリ、マル……マルグリットでいっか!」と超適当に決めてた自分の頭を殴ってやりたい←



え、そうですか?
違和感なくするっと読めちゃいましたけど(・∀・)

ヒースのソフィアの呼び方は「御嬢様」で、「ソフィア嬢」はルイーズとレオンですよってとこ以外は特に…。


無理に言うなら、
「……ああ、ルイーズ。どうしたんだ?」
「そうか、それなら丁度良い。実はお前に話しておかなくてはならないことがあるんだ」

みたく(違いよく分かりませんけど)、レオンは次期王様らしくゆったり余裕を持った感じで喋るかなーと。

あとレオンは、シュオンに対抗できる数少ない男で怖いもの知らずなところがありますので、ただあきらめるっていうよりは、少し前向きと言いますか、そういう姿勢やセリフも、後からでも付け足してもいいかなっとちょっとだけ思いました( ´∀`)


でも、ほとんど完璧だと思いますよ! ルイーズもばっちりです!

305彗斗:2012/11/30(金) 18:37:18 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>
そう言って頂けたら幸いです……

何故か単なる登場をと思っていたのに結構重みのある内容になってしまって、内容に押しつぶされていないかと無駄に変な心配をした訳です(笑)

ついでに後一つ程書ききれなかった箇所を続きにポロっと書いておきますのでそちらもお楽しみに☆

306彗斗:2012/11/30(金) 19:40:10 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十二乃策 消滅手段
「……クロス、この脅しの様な事態。絶対に裏があると考えて良いだろう」
「? ネクロ、それは一体どういう事だ?」
 ネクロはスッと音も無くクロスの隣りに歩み寄りある疑問が残る点について片っ端から挙げていった。その内容を聞いてクロスも納得した
「確かにネクロの言う事には一理ある、イフリートの経歴を遡って調べてみても、どうして「愛国賢者」と呼ばれて愛されていた者が民衆たちを襲って殺しているのかが理解できない。それに武器一つ持っていない連中がどうやって王国を消すのかも分らないしな」
「……魔法と言う考え方はあるが……それは不可能か?」
 ネクロはダメ元でクロスに聞いてみたが、意外と気が付かなかったらしく少し考えてから首を縦に振った。
「確かに。イフリートは外国の文化などに興味があった上に、自らも国外の物を収集していたと聞いている。もしかしたらその収集した物の中に魔法系列の書物が混じっていたのかも知れないな」
「それなら……魔法に関係する物を所有していたとしてもこの巨大になった王国を消すほどの魔力が有るのかどうかだが……考えにくいか」
「そう考えた方が妥当だな。元は一般人、たとえ扱えたとしてもナルキ達の部下程の実力だろうと見えるしな」
 魔法を使って王国を消滅させる……仮に魔法関係の書物を持っていたとしても、そんな事は不可能に等しい。もし、彼が魔法を会得したとしても元が一般人なので大した戦力にもならないと考えた方が妥当だと思えるからだった。それならまた壁に突き当たる事となる。一体どうして武器を一つも持たない彼らが強大に膨らんでいる王家に喧嘩を吹っ掛けたのか……?
「……そう言えば、カノンから連絡があった。かろうじてアイツらとの回線は生きていた」
「で、その内容は?」
「紫水晶(アメシスト)と呼ばれる一人の女性を奴等に関係する輩が狙っていたとの事だ。何か参考にならないか?」
「わかった。少し考えさせてくれ……ついでにその紫水晶(アメシスト)とか言う女性について調べてみるとしよう」
 そう言った後、クロスはネクロを元の場所に戻して別の場所に消え去ってしまった……その場所は……時空書物館である。
 ここにはかつて関わった場所に関する過去のデータや未来に起こる事を記している本を集めた施設、勿論ここにはクロスのみしか入れない事になっている。
「さて……一体何がどうなってるのか……整理しておく必要があるな」
 クロスとしては空間移動(スペース・トリップ)していた際に襲撃して来た奴等の正体の特定もしていない状況だった為そちらも並走していると言う形で調査を進めていたが一向に進展の欠片さえも見つける事が叶わずにいた。
(また新しいワードを見つけたんだ。奴等の特定の手がかりになってくれと祈るしか無いがな……)
 絶望的な気分になりながらも、クロスは一通り、紫水晶(アメシスト)の事、及びイフリートの身辺調査を始めた……がこれと言った手掛かりはつかめない。ここで何かを見落としている気がしたクロスは席を外して一旦調べ挙げた情報の整理を頭の中で始めた。
(ここ最近ソフィアと呼ばれる人物はシュオンと結婚している……それと、彼女の瞳には自分の意思に関係なく、幸せを与える力があると……ん?)
 ここでクロスの頭の中に一つの疑問が浮かび上がった。過去に王国全土を騒がせた紫水晶騒動。その後、シュオンと結婚したソフィアは自身の瞳の能力を使う事が無くなり今は、彼女自身が幸せに包まれている……と言う事は。一つの結論がクロスの頭の中を過った。その途端、余裕が焦りに変わった。
「!! な……何だと!? イフリートはこんな事を目論んで……っ!!」
 クロスは調べかけている物をその場ごとそのまま放置して仲間達の元へと飛んで行った。あの時、彼は何に気が付いたのだろうか……そしてイフリートは何を企んでいるのだろうか? クロスはその時、心の中でふとその自分なりに考えた結論を呟いた。
(まさかとは思っていたが……イフリートはソフィア嬢の体内に蓄積しままにある幸福のエネルギーを悪用し自らの力に変えようとしている……!! それは流石に不味い事になる!!)

307彗斗:2012/12/02(日) 17:40:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十三乃策 月光と聖灰
「……で俺達はバラバラになっちまったって訳だ。だが、デルトは運良く俺達の近くに居たからノゾミ達と離れずに済んだんだ」
 ナルキは隣を歩いているカイとカノンに彼らが空間転移して気絶していた時の話をしていた。その話しを聞いてカノンも驚きを隠せずにいた。
「それじゃあ……キルシアさんやソルディさんも……?」
「あぁ。アッサリと俺達も撃沈だ。クロス達はどうなったのか知らないがな」
「……一つ良いですか? あの時、クロスは「歪みが出来ている為に俺達の住んでる世界に化物がやって来た」……って言ってましたよね?」
「あ、あぁ……そ、それがどうかしたのか?」
 少し真剣みを帯びた質問だったので、流石のナルキも少しばかりタジタジとした。そこでカノンもカイが言いたい事に気が付いた。そこでフッと声が漏れる。
「……アテナさんの所、大丈夫なのかしら……?」
 その言葉を聞いた時、ナルキは瞬発的に頭を働かせ今まで起きた事の状況整理を始めた。あの時襲撃を受けて、ノゾミ達と逸れてそれぞれ散り失せてしまった。となると、この国に侵入する事を誰かが拒んでいたと言う事になる。だが、その妨害がまともに出来なかった為に、偽物の紘と雹を使って第三者がナルキ達を攻撃して来たという事になる。……と言う事は…そこでナルキの結論がまとまった。
(奴等は俺達の息の根を止めようとしてくるに違いない。勿論、クロス達もノゾミ達も一人残らずだ。後、俺の残しておいたニセの置手紙を読んだ頃だろうから、セン達もここに来る。とすると七聖徒も一人残らずって事か……)
 相手は相当大きな組織に違いない。ナルキの知っている人物の中で、時空干渉が出来るのはメテオとクロスのみだけだからだ。従って、相手は高度な時空移動技術を持っている可能性と誰かの後押しを貰っている可能性が浮かび上がった。その考え込んでいるナルキを見てカノンが一声かけた。
「あの……ナルキさん……?」
「ん? あぁ、すまないな。少し考え事をしていたんだ。それと……ここからはお前達だけで行動して欲しい。俺はスピッツやレーナ達を見つけないといけないからな」
「……分りました。十分気を付けて下さいよ。大怪我して帰ってきたら何をしてもナルキさんのそばからノゾミが離れようとしないんですから」
 その言葉を聞いて少し笑いを含んだ笑みをカイに返してくるりと背を向けた。そして、一つの笛の首飾りをカノンに渡してからこう言った。
「……この事は秘密だぞ。俺は今から援軍を呼びに行く。それまで待てなかったらこの龍笛を吹け。そうすればお前達が頼れる仲間がやって来る筈だ」
 そう彼はカノンに言い残した後、一瞬にして大空に飛び去ってしまった……
――――――――――――――――――――
「ナルキ、俺達はこれからどうすりゃ良いんだ?」
 ここは王国上空、一人で飛行していたナルキの隣りに金銀の青年たちが現れた。まず、口を開いたのは金髪で銀の貴族衣装に身を包んだ青年だ。その青年にナルキはこう返答した。
「俺がお前達の言っている麗奈とか言う奴を連れて来る。だがその代わりにこの人間達の安全を優先して欲しい」
 そう言った後、ナルキは彼等にノゾミやソフィア達全員の写真を手渡した。それを見て口を挟んで来たのは銀髪の青年だ。
「あれ? この人は……ナルキさんが言ってた人じゃないですか。……まぁ、別に支障は無いんですけど」
「それなら良い。とにかくこの人物達の誘導と合流も図る様に願いたい」
「「御意に」」
 二人は顔を見て頷き合うとそのまま空中で四方に飛散していった……

308彗斗:2012/12/06(木) 20:47:10 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十四乃策 協力要請
「成る程ね……つまり、貴女もクロスに……」
「えぇ、そう言う事になるわ」
「だ…誰だ? そのクロスとか言う奴は……?」
 大体の事情は呑み込めたのはナギサのみ、一方でヒースは何の為に自分達を助けたのか事態が分っていない様だった……ヒースの言葉に呆れて嘆息を漏らしながらアキは、一言こう罵った。
「全く……何処の世界にもアホってのは居るみたいね」
「全く事情が分らない俺に普通そんな事言うかぁぁぁぁ!?」
「煩い、それと……さっき戯言を吐いた黒髪のアンタ、名前は?」
「……ヒース=ユーゼル。ヒースとでも呼んでくれ」
 秒殺された為なのか、ヒースはツッコミなども一切せずに暫く沈黙した後、やけに素直に返答した。そのヒースの顔を仰ぎ見た後、二人の前に立ち、こう言った。
「私はクロスの極秘命でここに居るの。ナギサちゃんの話からして命令した筈のクロス自身がここに赴いているとすれば……事態は相当深刻な状態になっているって事になる。だからあなた達の力を貸して欲しいの」
「……分ったわ。貴女に来るように言ったとなると、恐らくクロスもかなり焦ってるみたいね。私は協力しか方法が無いと思うけどね。ヒースは?」
「あれだけ言われたのは癪に障るが……。状況が状況だしな、仕方がねぇ、協力してやるよ」
 ここで四の五の言っている場合ではない事は確かな事なのだ。このままでは遅かれ早かれ、郊外にある村々や別の国にまで影響が出てしまう。ここで何としても食い止めなければならないのが彼の望みだ。
 アキはヒース達の返事を聞いて少し安堵の表情を見せたかと思えば、また真剣な顔つきに戻った。
「それじゃ、誰か他の味方の人と連絡できる人はいないかしら?」
「それなら……ここに無線があるけど……」
 と言いながらナギサは懐からもしもの時の為にとクロスが各自に持たせておいた小型の無線通信機を取りだした。
「ありがとう。……で、ここからなんだけど……リーダーって誰かしら?」
「え〜っと……このハヤテって人よ」
 この状況下でこんなに焦り一つ見せずによくこんな事が出来るな……とヒースは思ったりしたが口に出してもまた秒殺されるだけ無駄だと割り切って口を出さないようにした。そしてヒースが見ていると……ハヤテと連絡が奇跡的に繋がった。
「……もしもし?」
「貴方がハヤテね?」
「そうですけど……これナギサの通信機ですよね?」
 困惑しているハヤテを納得させる為にアキはこう言った。
「そうよ、今ちょっと借りて話をさせて貰ってるの。私の名はアキ。私もあなた達と同じ様にクロスの命を受けてここに来たのよ。私に力を貸してくれないかしら?」
「…………言いたい事は分りました。それと、ナギサに代わってくれませんか。仲間の無事を確認するのもリーダーの仕事ですから」
 その言葉を聞くとナギサに通信機を返してその様子を見ていた。どうやらナギサと相談している様だ。ここでこの国の出身の様な気がするヒースに色々聞いてみる事にした。
「ところで……ヒース、だったわね。この国はしょっちゅう戦争をしてるの?」
「いや、そんな事は一切して無い筈だ。だが……」
「昔はしていたかもしれない……でしょ?」
 先の言葉を言われて言う言葉が無くなったまま立っているヒース。ここである事がピンと頭に浮かんだ。
「……まさか、俺にイフリートとか言う奴を知らないかと聞いてるんじゃないか?」
「当たりよ。まさか貴方に言い当てられるとは思っても見なかったわ」
「……若干バカにした言い方がまた癪に障るが……まぁいいか」
 アキの小馬鹿にした発言がヒースの癪に障った様だが、あえてヒースはスルーする事にした。スルーせずにツッコミを入れたとしても恐らく黙殺か或いは秒殺の可能性があるからだった。
「それじゃ話題を元に戻そうかしら。これは私が調べた事だけど……貴方はこの国の王家が隠してる真実を知ってるかしら?」
「……? レオンハルト殿下が隠している事……?」
「その様子だとこの事に関する事柄は欠片も知らないみたいね。じゃあ教えてあげるわ……この事件に関係する王家とイフリート達の一連の因縁を……」
 そして彼女はヒースにレオンが語ったのと同じ事を話し始めた……

309彗斗:2012/12/07(金) 18:20:56 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十五乃策 裂鬼刃解放
「チッ! コイツ暴れまわって手が付けられねぇぞ!!」
「死角がある筈だ! どんなに強い化け物でも必ず弱点は見える筈だ!」
 メテオの言う事も然程当てにならないこの状況。どう打開し、天音のアシストをこなせるかによって勝敗の白黒がはっきりと決まってしまう……
 その上、この化け物を鎮めるのに肝心な天音に怪我を負わせる訳にはいかない……それならどうすればいいのか……
(いや、周りの言う事に振り回されてちゃ何も出来っこない。考えろ……良い策を考えるんだ……)
 リョウは必死に思索を頭の回路に巡らす、がとても良い物は思い浮かばない。それよりかも相手の暴れ方のせいで尚更近づけなくなっているのだ。
 焦りだけがリョウの心の中に伝わって来る……
(あんなに暴れちゃ手の付け様が……ん? そうか!)
 ある事を閃いたリョウはイザナギの両脇に立っている建物に目を向ける。そして……思い切った行動に出たのだ!!
「奴の両脇にある建物を打ち壊せ!! そうすれば奴の動きは鈍る筈だ!!」
 リョウのかけ声に反応して二人は顔をリョウに向けてコクリと頷いた。そして両脇にある建物の内部に入り込みある技を二人同時に別々の建物に仕掛けた。
「裂虎裏連斬!!」
「ダブルソーサラースラッシュ!!」
 同時に化物の両脇にある建物に嫌な音が走った。それを見たリョウは思わずニヤリと笑みを浮かべてしまう。程無くして二人が出て来た後、リョウはメテオに声をかけた。
「やるぞ。アレ!」
「……仕方ないな、一ちょやってやるか!!」
 二人はおもむろに両手を重ねて一つの呪文を呟いた。
「「降臨せし星の光、神秘の力を携えし星屑の力を我に注げ!! メテオライド!! バンギス・アサシン!!」」
 二人が高々と掲げた両手は青白く光り二人を包みこんだ……そして、眩いばかりの蒼い光を残してその場に現れたのは……銀河色の髪をした一人の少年だけが立っていた……
「……久しぶりだね。バンギス・アサシン」
「ホ〜ント。何年ぶりなのかしら?」
 嬉々とした二人の表情に少し口角を上げて笑うアサシン。手にした大鎌には流星の刻印が施されていた……
 そして彼は高々と一つの言葉を告げる。
「正義を持ちながら悪に心を染めた者の末路だ! 今ここで罪の数を悔いるがいい!! 震撃砕掌!」
 手を地面についた瞬間、両脇の建物がイザナギに凭れかかり始め……そして。砂塵と共にその煙幕の中に消えて行った……

310彗斗:2012/12/15(土) 13:41:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十六乃策 闇色と煌めく二つの閃光
 倒壊した建物の下敷きになってしまったイザナギらしき化物は、建物の圧力で思う様に身動きが出来ていない。
 とその頃合いを、チャンスと見たリョウは天音に声をかけた。
「今しかない! コイツを黙らせるなら今がチャンスだ!!」
 コクリと頷いた天音は身動きできていないイザナギの偽物に颯爽と近づき、懐から二つの道具を取り出した。
――リン……
 鈴の音がその辺り一帯に静かに且つ冷たく響く。とその時、天音はある声を聞いた。
(俺を…早く止めて……!!)
 天音は一瞬立ち止まり周囲を見渡すが、辺りにはメテオとリョウ達の四人しか姿は無い。一般の人間達はとっくの昔に何処かに避難していた筈だ。
「気のせいかしら……? 今さっき誰かの……」
「! やばい! 天音ちゃん! 前を見て!!」
 リョウカの言葉に反応して前を見たと同時に目を疑った。いつの間にかイザナギが瓦礫の山から抜け出し、天音を握りつぶそうと手を伸ばしていたのだ!!
「っ! ま…まず……」
 最期の言葉を言おうとしたその時! いきなり天音の後ろから飛び出した銀の斬撃波と金の光球の嵐がイザナギの伸ばした手を引っ込ませた!
「最近やたらと私は人に助けられたりするわね……一応、礼は言っとくけど」
 天音はそう言いながら後ろを振り向くとナルキと話をしていた例の金銀青年二人が立っていたのだ。と銀髪の青年が片手をスッと前に出し、イザナギに向ってパチンと指を鳴らした……するとたったの数秒である変化が起こったのだ!
――ドガッ! ドガッ! シュルルル……ガッ!
 地中から飛び出した金色と銀色の鎖がイザナギに巻き付き、再びイザナギの自由を奪った。その直後に金髪の青年がある言葉を天音達五人にかける。
「ブルメテウス=メテオ、嵜良澪、嵜良凌悸、嵜良涼香、神代天音とはお前たちの事だな?」
「いかにもそうだが……何故俺達の名前を……?」
 メテオがそう聞き返すと、金髪の少年は答える気もなさそうな感情が籠った言葉で短くこう答えた。
「今は問いかけ合いをしている時ではない。俺達としても急ぎの用があるからな……」
 そう言いながら金髪の青年は天音に顔を向け、イザナギを指差しながらポツリと一つ呟いた。
「良いのか? その化け物が苦しんでるぞ?」
「! 言われなくたって分ってるわよ」
 天音は再びイザナギの近くに駆け寄り鈴と扇を構えた。
 とその時、銀髪の少年が気を利かせたのか眩いばかりに輝く金色の鎖を操作してイザナギの足を払った。
――ドドーン!!
 地に倒れた頃合いをチャンスと見た天音は化物の体に飛び乗り首の付け根の辺りに鈴を置いた。
(こんなに大きい物に試した事は無いけどやってみるしかないわね……)
 天音はそんな事を考え込みながら、小さく且つ力強く囁いた。と同時に扇を赤黒く染まった大空に掲げる。
「古より護られし光と闇……」
「こ…れで……良い」
 イザナギによく似た化物は、一寸の身動きもせずに呪文を唱え終わるのを待っていた。今まで色んな妖を封印する為にこの術を用いたがどの妖も、全員暴れていた。だがこの妖だけは違っていた。
 そう、この妖が空に向けていた眼差しは、全ての苦しみから解放される様な眼差しで赤黒い大空を仰ぎ見ていたのだ。
「その共存を望まぬモノなら……」
「私…の…本……当の、目的を……果た…せるか……ら」
 途切れ途切れに呟くその言葉には満足した感情が籠っていたこの結末で十分だと……この言葉は憑依されている者が思っている事なのか、それとも……妖自身が思っている事なのか……それは分らない。
 ただ、どちらにせよこの妖は自分達に危害を加えかねない危険の塊である事に変わりは無い。だからこそ今、芽が生え出して間もない内に排除しなくてはならないのだ。ただその事を、重々天音は理解していた。
 そして無感情に術の最期の言霊を綴った。
「桜吹雪の舞にて闇よりも深き場所に……封印されよ」
 その術を唱えた直後、魂が抜けた様に動かなくなった巨体はジワジワと変な音を立てて崩れ去った……その崩れ去った後には……一人、女性の姿をした者が倒れていたのだ。
「……やっぱりか、コイツは……」
 メテオはちいさく呟きながらその倒れている女性の姿をした者に近づいて行き、隣で立ち止まる。天音はその隣で立ち尽くしていた。ハッと我に返りメテオに問いかける。
「彼女が……どうかしたの?」
「あぁ……コイツは、神か仏みたいな奴かも知れねぇな」
「!?」
 訳が分らないと言いたそうな顔で天音はメテオの横顔を見詰ていたが、メテオはフッとこんな事を言い始めた。
「要するに……コイツは何者かに操り人形にされていた神様の類みたいな者かも知れないって事だよ」

311彗斗:2012/12/20(木) 16:38:02 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
補足

上にある話に出てきた女性は、このままでは力が使えないと考えたとある方の為に急遽追加した新キャラでございます。(気が付いた人はいると思う……)

名前までは明かしませんが彼女の設定等を書いておきます。

???
 突然、変身を解いて天音達の前に現れた謎の女性。実体でありながら神であるメテオ達とは違い、一応霊体らしく触ろうとしても簡単に体を貫通してしまう。(しかし実体になろうとすればなる事も出来る)
 彼女自体も変身が解けた衝撃で、記憶を失くしており。一時的に天音達について回る事に。

 この急遽追加したと言う事もあり設定も穴だらけかもしれませんが生温かい目で見守って頂ければ幸いですm(_ _)m

312チェリー:2012/12/20(木) 19:10:11 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
厨坊(ペイン)>>1

313チェリー:2012/12/20(木) 19:14:20 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
〜最凶を超越えた僕からの助言〜

厨坊、努力しろよ。

314チェリー:2012/12/20(木) 19:48:46 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>1(ペイン)は、ラノベ作家目指してるの?

315彗斗:2012/12/29(土) 03:08:15 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十七乃策 タイム・バグ 〜暗殺者と門番の密約〜
「……一体何がどうなってんだ…偽物のイザナギと言い、あの化け物の数と言い、この異変全部がおかしなことになってるぞ……?」
「!! ……この状況……タイム・バグに似ている……?」
「「「タイム・バグぅ?!」」」
 リョウがふと口にした疑問に対して思い出した様にメテオは「タイム・バグ」と呼んだ。その返答に反応してリョウ達三人は、即座に反応した。その煩い声にメテオと天音は耳を塞ぐ。
「ちょっと煩いぞ……とにかく一から説明するとだな……」
 「タイム・バグ」について簡単に説明するとこうなる。
 まず時間の流れが一つ、縦に走っているとする。するとその時間の流れに沿って空間が形成され、時が経つにつれて一つの世界が出来上がるのだ。
「まぁ、この世界を「A」と呼ぶ事にするぞ。となると、この世界の他にも同じ方法で誕生した、数多の世界が存在する事になるんだ……」
 そう言いながら皆に解りやすい様にメテオは、棒きれで地面に絵を描き、一つのまとまりに「A」と記した。
 そして他に世界を示す丸いまとまりを他に三つ描き、それぞれに
「B」、「C」、「D」と書き込んでからメテオは顔を上げて、全員の顔を見る。
「そこの金銀のお二人さんは知っているだろうが、お前らには説明しとくぞ」
 と言いながら天音やリョウ達を指差しながら言った後、「A」と「B」の二つの世界を消して隣同士にもう一度描いた。
「勿論の事だがお互いを隔絶し合っている訳だから……当然、時間の流れるテンポも違ってくる。……と言う事は、だ」
 そこで言葉を切った後、メテオは二つの世界をまた消して、合体させた。その様子を見ていたリョウ達は真剣にメテオの顔を見ている。
「何者かによって合体した世界にはある物が残る、それは何だ? リョウ、答えてみろ」
「はぁ!? いやいやいや……この類の問題は全然詳しくない俺が分るってのか!?」
 口調にもいきなりすぎた為か焦りが見えている。その慌てる仕草を見ながら、メテオは笑って答えた。
「だな、その答えは御尤もだ……と言いたいところだが、コイツは誰でも簡単に分る事なんだよ」
「「「!?」」」
「天音とか言ったな? 今さっきの説明で恐らく大体は分ってるんだろ? こいつ等にちょっと教えてやってくれ」
 メテオは人の心を見透かした様に天音に回答する様に振った。チラッと目線をやった三人の表情からして殆ど訳が分っていないらしい……小さくため息をついて、天音は言われた通りに回答した。
「仕方ないわね……蒼髪君の説明からして、テンポの違う二つの世界がぶつかると、時間衝突が起こって、簡単に言ってしまえば「時の歪み」が発生する。因みにこれが蒼髪君の言っていた「タイム・バグ」で、そのうち放って置いたら……衝突って言うぐらいだから「世界同士の融合」が始まるって訳ね?」
「まぁ、大体はそんな所だな。取りあえず……俺は今から行くところがあるが……付いて来るか?」
「行く行く!! 皆行くよね?」
 リョウカの行動のテンポには正直付いていけないな……と思いながらもリョウは首を縦に振った。リョウキもリョウと一緒に首を縦に振っている。天音も、表情からしてそれに異論はなさそうだ。
 だが、金銀の二人組は首を縦に振らなかった。
「あ〜……すまねぇな。俺達はまだちょっとやり残してる事があって……」
「すみません……僕たちはちょっと同行は出来ないかと思いますので……合流は後ほどと言う事で」
「え〜……まぁいっか、それじゃまたね☆ え〜っと名前は……」
 リョウカが名前を言おうとした時、二人は顔を見合わせて小さく笑った。そして、思い出したかのような口調で銀髪の青年が最後にこう言ったのだ。
「僕たちとした事が、まだ名を名乗っていませんでしたね。僕の名は「シャイン」。僕達は仲間を探してる所なのですが……月色の髪の少女を見かけていませんか? 僕達の仲間なのですが……」
 暫くの間、リョウ達や天音、メテオも考えたがそれらしき色の髪の少女を見てはいない。皆の言葉を纏めてリョウが言う形になった。
「すまないな。生憎の所だが俺達はその人はみていない……で、そっちの金髪は……?」
「あぁ、俺か? 俺は「ブライト」とでも呼んでくれ。それと……この世界に後一人、厄介な奴が紛れ込んでる。ソイツには気を付けろよ」
 そう言い残した後、二人は赤黒い大空に飛び去ってしまった……
(厄介な奴……? 一体何の事なのか……まぁ、後で考えた方がよさそうだな)
 リョウはブライトの言葉を反芻してみたものの、結論に至る事は無かった。

316彗斗:2012/12/30(日) 11:17:46 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十八乃章 流星と天使と暗殺者
 正直な話、センはホトホトあきれ果てていた。暇潰しが出来ると言う事で、全員揃ってやって来てみたまでは良いが、肝心の手紙を書き残していったクロスにも、はたまたクロスを始めとする神々の一人にもあえていない……おまけに、クロスの兄ことロイダーが絡みの二人を抱え込むことになってしまっているのだから……
 今、セン達が居る場所は王国の上空、広過ぎて捜索が困難な事が玉に傷だが、道には迷わない筈だと自身満々に言ったクウのアイデアである。
「全く…何処の誰かしら? これをすれば誰かは見つかるって言ったのは?」
「スミマセンでした。センお嬢様に手を煩わせる様な真似をして本当に申し訳ありませんでした……」
 センの逆鱗に触れる前にクウは平謝りを繰り返す。その様子を端から見ていた柊一や昇達は……
「何処にでもああいう奴はいるもんなんだな」
「ん〜……似てると言えば似てるかもね……心当たりが無い事は無い」
 昇も柊一もセンの姿に彼女の面影を感じていた……と同時に平謝りを続けているクウに哀れみさえ感じるのだった……
((まるで俺達と天音を見てるみたいだ……))
 昇と柊一がクウに哀れみの意を示している時、人気の無くなっている筈の地上に何かを見つけたテマリが皆に伝えた。
「あそこに何かいるわよ。人……みたいだけど確認した方が良いんじゃないかしら?」
 テマリの提案にセンに目線が一斉に注がれる。平謝りを続けていたクウも謝り続けるのを止めて、センの近くに立っている。
 暫く頭を掻いて考えていたセンがおもむろに指示を出した。
「その人らしい物体を確認した方が良さそうね。もし一般人だったら困るし……見に行くわよ!」
―――――――――――――
「……で、コイツはどうするんだ?」
「決まってるだろう。お嬢様の所に連れて行くだけだ」
「お嬢様……? 一体誰の事よ?」
「ソフィア嬢。紫水晶(アメシスト)と言った方が伝わりやすいか?」
 メテオは先程の戦闘からずっと気を失っている女性を背負いながら今の主について話し始めた。
「……成る程な。どうりで見た事無い服装をしてる訳だ……」
「私、その人知ってるわよ?」
「「「「ハイッ!?」」」」
 いきなりの知ってる人発言に一同は驚きを隠せない。真っ先にこの事についてリョウが言及した。
「なら何でその事を先に言わないんだよ!? 此処に来た事あるって先に言えば良いだろうが!?」
「その時は記憶が混乱していたから思い出せなかったけど……此処にある彼女のお屋敷になら行った事ぐらいあるわよ?」
 その発言に頭を抱えるリョウ。まさか今になって此処に来た事がある発言をするとは……完璧に不意を突かれたのだろう。
 続いてリョウカが色んな事を聞いていた。
「へぇーそれなら此処の街には……」
「来た事は……多分あったかしら。それははっきりとは覚えてないけど……」
「……ま、とにかくお嬢様の屋敷に行く事にするか……」
「あ〜〜っ!! メテオじゃない!!」
 突如として、上空から聞き覚えのある声が聞こえた……メテオは恐る恐る上を見たと同時に信じられないとでも言う様な顔で、彼女等の名前を呼んだ。
「セン!! それに七聖徒……! お前等。留守番は!?」
「こんな手紙がクロスの居た場所に置かれていたから此処に来たって訳よ」
 そう言いながらセンはあの時、見つけた置手紙をメテオに投げつけた。高速で飛んできた手紙を受け取り内容を見たと同時に納得した顔になった。
「……あれ? そこに居るのは……天音?」
「ん? あぁっ!! 天音!」
 天音は聞き覚えのある二人の声を聞いて少し嘆息した……
「やっぱりアンタ達も居たのね……でもどうしてアンタ達がこの人達と……」
 柊一と昇は、天音が居なくなった時から今に至るまでの詳しい経緯を天音に洗い浚い話した。その話しの中にロイダーの名が出た時、メテオは……
「何で兄貴が……? しかもアテナやスカルやエンペラーまで……何が起こっていると言うんだ?」
「詳しい説明は彼の兄達と合流した時にするわ。とにかく、私達もその紫水晶のお嬢さんに会いたいしね」
 その言葉を聞いて、メテオは暫く考えた……そして口角を上げてセン達に結論を伝える。
「わかった、ならお前達も俺の行くところに来いよ。連れてってやるから」
 メテオの言葉に皆が頷いた時、その辺り一帯にいた全員が瞬時に消え去った……

317彗斗:2013/01/01(火) 00:34:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
謹賀新年!! お正月ズペシャル!

「……この服で良いよね? 似合ってるよね?」
 そう言いながら服を着替えるボックスの中でゴタゴタと言っているのは……誰なのだろうか。
「そろそろ出て来て下さい! 早く始まっちゃいますって!!」
「いや……もう始まってるんだけど…」
「あ…本当ですね……早く出て来た方が良いと思いますけど……」
 そして…そのボックスの前で三人の少女たちが、早く出て来るように急かしている……といきなりボックスの中から誰かが飛び出してきた。
「正直な話、似合うかどうか分らなかったんだけどこんな感じでどうかな?」
「おぉ! すごくいい感じで似合ってますよ? ねぇ? 皆さん!」
「確かに、凄くいい感じで似合ってます」
「この格好も悪くないわね……」
 今この場に居る少女たちに共通している事は……何故か全員和服であると言う事。これにはいまだに、誰も納得していない。
「アスカちゃん、ソフィアちゃん、天音ちゃん……何で私達全員和服になってるの?」
 ノゾミはこう聞いてみたが、アスカもソフィアも天音も、全員口を揃えて同じ事を口にした。
「「「さぁ…全然……」」」
「お正月だからって事にしとこうかしら……仮にも作者は日本人だし……」
「仮にもって言葉が引っ掛かるけど……まぁスルーしても良いかしら?」
 天音は確認の言葉を、ノゾミを除く二人に求めた。そう言うとソフィアもアスカも口をそろえて言った。
「多分……良いと思う」
「良く分らないけど……深く追求しない方が…」
「……ソフィアちゃんの言う事に一理ありね。あえてノゾミちゃんの言った事は、スルーしておきましょう」
 アスカとソフィアの言う事に従って、簡単に割り切った天音はあえてその結論を選択した。
 ただ…ここで最大の疑問が残った。それは……
――故にこの面々でのお正月スペシャルなのか……と言う事である。
「何の為の物なのかしら……? このイベント……」
「ただ話をさせたかった……なんて言う下らない作者の思い付きだったら私は本当に消し飛ばしますよ」
「あの…言ってる事が平穏では無い気がするんだけど……」
 暫くは無しに参加せずに考えていた天音は頭の電球に明かりが灯った様だ。そしてその考えを皆に話した。
「多分…この作者がやりたかった事は……(ゴニョゴニョ)」
「な〜るほど! その為に……」
「納得は出来ますよね。やりたかった気持ちも分らないでもないですけど……」
「ノゾミさん達の作者は時折、こんなことをするんですね」
「え〜っと、一つ言っとくけど…ソフィアちゃん……この作者(バカ)に限ってそれは当り前なの…(当たり前どころの話では無いかも……)え〜っとそれでは最後になりました! せ〜のっ!!」
「「「「今年一年改めまして宜しくお願い致します!!」」」」
「後、勿論の事ですが……協力して下さっているソフィアちゃんの作者様である月波s…じゃなかった(汗) 心愛さん!!」
「それって作者様に失礼じゃないですか? ……気を取り直して、天音さんの作者様であるピーチさん! そして我らが彗斗の作品を見て下さっている皆さん!!」
「「今年一年良いお年を送れる事を願っています!! そして、今年一年間また宜しくお願いします!!」」
「私達からもお願いするわよ」
「皆さん、これからも宜しくお願いします」
「「「「では……さようなら〜!」」」」

318心愛:2013/01/01(火) 10:23:17 HOST:proxyag103.docomo.ne.jp
>>彗斗さん

あけましておめでとうございます!

ソフィアにも和服を着せて戴きましてありがとうございました……!
ミレーユには着せたことはあれど、和服スキーのここあはソフィアたちにも着せてみたいでも世界観的に無理がある……と涙を呑んでおりましたので嬉しいですありがとうございます!


コラボが完結したので、邪気眼少女とソラの波紋もよろしくお願いしますと新年早々浅ましく宣伝して立ち去りますw


今年もよろしくお願いします!
彗斗さんと皆さんにとって、良い一年になりますように(o^_^o)

319彗斗:2013/01/01(火) 11:40:12 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
心愛さん>>

こちらこそ明けましておめでとうございます!!

今年一年この駄目になっている作者を宜しくお願い致します!

正直な話……この更新を済ませた後「あ…流石にちょっとやり過ぎたかも……」と独り言が出てしまいました(笑)

でもこの様なコメントをして頂けたら幸いです(*^_^*)

今年一年よいお年を☆

320ピーチ:2013/01/01(火) 18:29:12 HOST:EM1-114-84-225.pool.e-mobile.ne.jp
慧斗さん>>

明けましておめでとうございます!

ソフィア様たちが着物! 意外と似合いそうなのが……!

天音は通常通りだよねー!

321彗斗:2013/01/01(火) 19:07:02 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
ピーチさん>>

明けましておめでとうございます!!

勿論の事ですが、天音ちゃん通常通りの服装で登場して頂きました☆

着物にしてみようと考えたのは…元を辿ると天音ちゃんの影響かな……

何か正月に合う物 → 天音ちゃんの着てる和風の着物 → 正月に丁度良い服装だ!! とつまらない連想をしてしまったのが今回のスペシャルに繋がったと言う訳ですww

まぁそんな話はさて置き……今年一年宜しくお願い致します!! それと、良い一年をお過ごしください☆

322彗斗:2013/01/02(水) 14:48:25 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第十九乃策 大合流
 天音やリョウ達はメテオの力によって、エインズワーズ邸に一瞬で移動して来た……だが移動して来た場所が…メテオにとって不味かったようだ……シェーラがいた。
「リョウ!! コイツの面倒宜しく頼むぜ!!」
 背負っていた女性を預けて、彼女の居る方向とは逆の方向に風を切る程のスピードで走り出すメテオ。
 この屋敷に初めて来た時、それを実際に体験しているのだからメテオ本人も結末をよく熟知している筈だ……
 やはり後ろから前回よりも三倍は優に超えているスピードで、シェーラが近づいて来ていた……だが、目の前は行き止まりになっている。諦めかけていたその時、メテオの脳内にある電球がピカリと光った!
 土壇場で思いついたメテオは、行き止まりの壁の近くにまで走った後、大きく跳躍し壁を軽くキックしてシェーラの後ろを取ったのだ!
――ビターーン!!
 予想的中、壁に激突したシェーラ。その衝撃で気を失ってしまった様だ……。壁にぶつかって、のびているシェーラをお姫様だっこして自分の部屋に空間移動して寝かせておいた。
 クルリと振り向いて歩きだそうとしたが踏み出そうとした足が動かない……蒼い顔をしながら、メテオは自分の行った事を今更ながらに悔いた。
 何故かと言うと……シェーラは目を瞑ったまま、しっかりとメテオの片足首を掴んでいたのだ!!
 数秒間だけ、反応が遅れていたら……恐ろしい事になっていただろう。瞬間移動した為に、メテオの足首を掴んでいる手ごたえが無くなったを感じたシェーラはムクリと起きて少々残念そうな顔をした……
―――――――――――――
「よっと…待たせたな」
 メテオは謝罪の意を述べた後、天音達は少々驚いた顔をしていた。
「おい…今さっきコイツを追い駆けてたのって……」
「早すぎて顔はよくは見えなかったけど……髪の色でよく分ったよ」
「恐らく…いや、絶対に今さっきのはシェーラちゃんね……こんなのを追い駆けてるとは……思いもしなかったわ」
「やっぱり知り合いだったか…その様子からすると……あり得ないほどの豹変ぶりだったみたいだな……」
「それはどうでも良いけど……この物騒な代物はどうにかならないのかしら……」
 天音はチラリとリョウ達に目配せをした。その視線に気が付いたリョウは女性を背負ったまま、こう言い返した。
「どうするもこうするもって……どうにもならないぞこれは!?」
「……ねぇ…話は変わっちゃうけど…何か変な空気が流れてるんだけど……私の思い過し?」
 リョウカの言う事は間違って無いだろうと、辺りを警戒しているメテオ。と、その時! 後ろから何かが抱き着いて来た!!
「みつけましたよ〜!! ……あ、天音さん、柊一さん、昇さん、お久しぶりです!!」
「……久しぶりなのは分るけど……その行動は何なの…」
 メテオの背後から飛びついて来たシェーラ、絶対に放す気はなさそうだ……とその時この騒ぎを聞き付けた人物がやって来た……
 何と運の悪い事にハヤテやダン達がやって来たのだ! すっかり絶望的な気分になっていた所に……さらなる追い打ちがやって来る……
「えっ!? メテオじゃない!! アンタどうしてこんな所で……!」
「ただいま〜…ってシェーラちゃん!? 何がどうなって何してるの!?」
 ナギサとアキが帰還して来た所だったのだ! 事態は時が経つにつれて、悪い方に悪い方に泥沼化している……とここで頼りになる救世主がついて来ていた。
「! ヒースーッ!! シェーラを何とかしてくれ―!!」
 取りあえず事情が分らないヒースは色んな事を聞いていた……と、その騒ぎに紛れて四人も人数が増えている事に気がついた……
「! お嬢様! シュオン! なんで此処に!?」
「……何か大変そうですね…」
「…あ、害虫とユーリエもいるからね」
「俺もちゃんと名前で呼んで欲しいんだけどなァ!?」
「……シェーラちゃん…一体何してるの?」
 ヒースが引き剝がすのに手間取っているのを横目で見ながら、今までの経緯をシュオンとソフィアに全て説明した。
 シュオンはその話しを聞くと…チラリとハヤテに目配せをした。目配せに気がついたハヤテはコホンと咳払いをしてシュオンより一歩前に出てこう言った。
「……外に行っていたのなら…ノゾミを見てないか? アイツ急に居なくなって……」
 メテオはハヤテの言葉から推測して……一つ嫌な予感が脳裏をよぎった……ハヤテの耳を貸して貰い、ゴニョゴニョと耳打ちをした。
「ちょっと寄り道しちゃったけど……連れて来たわよ!!」
 突如、何処からともな声が響き、いきなり廊下の空間を裂けて人間らしきシルエットが姿を現した。
「全部コイツから聞いたわ。これは…どうやら不味い事みたいよ!!」

323彗斗:2013/01/02(水) 22:02:59 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第ニ十乃策 未完成のチーム
「とにかく……今いるメンバー全員に言っとくわ。この戦い……何か裏があるってね!」
「「「「「「!!」」」」」
 その場に居た全員がその一言にビクリと反応する。特にアスカやリョウ、サツキ等のメンバーが特に反応した。
 その様子を見てノゾミは一つため息を漏らした後、頭を掻きながら話を続ける……
「一つ…これはこの屋敷の人間には話し難い事なんだけど……」
 と言いながらノゾミは頭を掻く事を止めて、ある一点を指差した……ノゾミが見つめる一点には……ソフィアの姿があった。
 ソフィアを指し示した意味をハヤテ達はいち早く察した。
「…まさかとは思ってたけど、敵の狙いはやっぱり……!」
「そうソフィアちゃん、あなたのその能力よ…ここに居るクロス達がその事について教えてくれたの……」
 一同の間に衝撃が走る……敵の狙いはハヤテ達の言った通り、ソフィアだった……クロスはその事についての詳しい経緯を調べ上げ、この結論に達したと……ゆっくりと伝えた。
「…だが、敵の狙いは思考する所によると…「ソフィア嬢自身」では無いんだ。それだけは分って欲しい」
「そ…それはどう言う事なんですか?」
 ソフィアも流石に怖いのだろう。偶然やって来たハヤテ達がついていたし幻だったとは言え、沢山の人が殺された。貴族同士の争いを見慣れていた事はあってもこれだけは流石にこたえる筈だ。
 ソフィアの問い掛けにコクリと頷いたクロスは、ゆっくりとその返答をした。
「簡単に言うと、敵の戦力はソフィア嬢が敵の手に落ちるか落ちないかによって勝敗が決まる事を意味している筈だ。その箇所を逆にとれば……」
「圧勝出来る可能性があると考えてる。でももしも、クロス達に見込まれた私達がこれだけ揃って勝てない相手だとしたら……」
 いつにも無く真剣に皆に問いかけるノゾミ。と、その時サツキがその言葉を続けた。
「元々強いかどうかは分らない。だが敵の手に落とさない事が此方が有利に闘う為の必須条件であり、そこのお嬢さんが此方にいる限りは、此方に風が吹いている……と言う事か?」
「だけどよォ……今明らかに王国ごと敵が目ェ付けてる奴を消そうとしてるのは一体何の為なんだァ?」
 ジルの問い掛けも尤もであり、そこが最大の謎であった。普通ならこんな大掛かりな事をする前に、ソフィアを此処から奪い去ってから王国を消す方が妥当なのではないか……と。
 その問いかけはリョウの一言でおおよそ解決できた。
「これは……おそらくこの国の一番偉い人に圧力をかけていると考えるべきだな」
「…と言う事は……まさか……」
 ヒースは嫌な予感しかしていないながらもそこまでは言葉にできたがその先の言葉は出ない。代わりにメテオがその言葉を言った。
「イフリートとか言う奴が、もしかしたらレオンハルト殿下に圧力をかけている可能性がある……と言う事か…」

324彗斗:2013/01/07(月) 16:55:38 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二十一乃策 荒れ果てた街の中で……
「……酷い。誰がこんな事を……」
 破壊され尽くした街を見てハッと息を呑んでいたのは…他でもないイルゼだ。
 その前を二人、デルトとセイラが歩いていた。
「これは再興不可能なレベルにまで痛めつけられてるな…周囲の国も防御態勢に入ってるだろうし……」
「……助けは来ない…のね」
 ただ周囲に見える物と言えば……瓦礫の山だ。後、少しだけだが死人の匂いもしている……あまりこんな場所には居たくないのが現状だが、道も分らないほど破壊されていては迷わない訳がない。
 何処かに人がいれば救助はするが…まず命の保証は出来ないだろう。この状況でいつ敵に襲われてもおかしくないからでもあった。
「!! 何かの気配……!?」
「敵の反応か?!」
「そんなの分る訳ないでしょ!? 全く…私は気配探知しか出来ないの!!」
 セイラは取りあえず物陰に隠れる様に指示を出した。そうでもしなくては、敵であった場合の対処が出来ない。
 その感知距離は最初の反応箇所は、5㎞先だったのが急に500m先まで縮まった。
「うそっ…この速さは信じられない……もうそろそろ来るわよ!!」
――その矢先、宵闇・桔梗・紅蒼色の三つの光が王宮の方向目指して飛んで行った……
「い…今のは一体……?」
「魔法系列の類じゃねぇとなると……あれか」
 デルトは、ゆっくりとセイラの方に向きながら尋ねた。セイラ自身もちょっと信じられないと言った顔つきでその返答をした。
「えぇ、信じられないけど……恐らくジェット飛行の類ね」
「アイツらか……? だがそれにしては人数が少ない気がするが……」
「とにかく急ぐに越した事は無いわ!! 行きましょ! イルゼさん!! デルト!」
「え?! えぇ…」
「ったく……取り越し苦労だと思うがな…」
 荒廃した街に迷っていた三人は新たな道しるべを見つけ、再び歩き出した。目指す場所は……イルゼを持つ人の居る王宮。そう、レオンハルト殿下の元だ。

325たっくん:2013/01/08(火) 12:52:48 HOST:zaq31fa4b53.zaq.ne.jp
どうせなら
メテオスマッシュとか叩き込みましょうよ

326彗斗:2013/01/09(水) 20:47:49 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第ニ十二乃策 王家の秘策
「…ここが王宮…だな?」
「間違いない。座標もちゃんと一致している」
「じゃ、王様に洗い浚い吐いて貰おうか」
 王宮に降りた三つの影、それぞれの特徴は宵闇・桔梗・紅蒼の影だと言う事、即ち…デルト達の頭上を通過したあの三人だ。
 王宮に近づいた途端、イルファーレの団員が行く手を阻む。
「貴様…何者だ!」
「今は怪しい者を通すなと殿下から仰せつかっているんだ。用があるのなら後にしろ!!」
「……ここは俺の出番だ」
 そう短く言うと、二つの集団の間に立ったのは∞だ。立ちはだかった瞬間、∞の瞳が怪しく鈍く光り二人をジッと見据えた。
「…一般人にその技は…」
「細かい事は良いんだよΣ。コイツなりのやり方に任せておけば」
 そう言っている間にイルファーレの団員二人の瞳に輝きが失せた。そして二人の輝きが失せた途端、∞に向って跪き二人揃って同じ事を言った。
「ようこそ…∞様……」
「洗脳完了…少し手荒だとは思うが悪く思わないで欲しい」
 その様な事をボソリと呟いた∞はΣとΩを連れてその二人を案内役に王宮に入った……とそこに三つの影がニュッと木の葉の乗った頭を出した。
「今さっきのは……?」
「サッパリわからねぇな。イルゼ嬢はどう思う?」
「さぁ…でもあの三人…レオンに会いたがっている様に見えましたが……真意を確かめる必要がありそうですね」
 イルゼは首を傾けて少し考える様な仕草をした後、頭に乗っている木の葉を払い落し、ブルッと払い落した後三人は王宮の門から入って行った……
――――――――――――――――
「殿下、お客様をお連れしました」
 一人だけ人数を減らしたのか∞は、ΣとΩを連れて部屋に入った。そこには悠然と椅子に腰かけている少年がいた。
 その少年を見てΩが早速言葉を発した。
「お前さんがレオンハルト皇太子様……か?」
「その口のきき方は無いだろ……この人に直接聞かない限り俺達がどうしなくてはいけないかが分るんだからΩは少し黙ってろ」
「まぁ、それはともかくとして……次の君達は何の用かな?」
「単刀直入に聞く。アンタの精神構造を見て確信したよ。誰かに脅されてるんじゃないか?」
 その単刀直入過ぎる発言に少し驚いたかの様な仕草を見せたレオンは暫く止まった後、不意に笑い出した。
「いきなりな事を聞く人だね。王家がこんな事に動じていたとなっては恥になると思っていたが……既に君たちに見抜かれていたと…言う事かな?」
「そう思っていても構わない。だが今なら遅くは無い……とにかく会って欲しい奴らがいる。一緒に来てもらえるか?」
 ∞はそう言いながら近づこうとした矢先……一筋の針の様な物が飛んで来た!
 瞬発的に後ろに飛び退いた∞は辺りを見回し、その様子を見ていたΩが一言呟く。
「……アンタに懐いている用心棒がいるみたいだな…」
「そりゃあ、命を助けられた人に対する礼儀ってもんが有るでしょ!」
 スッと降りて来た人影はレオンの前に立っていた。その人影は本来この場所に居ないと思っていた……人物だった。
「私はレーナ! レオンさんの用心棒に雇われた魔術師よ! いざ…勝負っ!!」

327彗斗:2013/01/09(水) 20:48:05 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第ニ十二乃策 王家の秘策
「…ここが王宮…だな?」
「間違いない。座標もちゃんと一致している」
「じゃ、王様に洗い浚い吐いて貰おうか」
 王宮に降りた三つの影、それぞれの特徴は宵闇・桔梗・紅蒼の影だと言う事、即ち…デルト達の頭上を通過したあの三人だ。
 王宮に近づいた途端、イルファーレの団員が行く手を阻む。
「貴様…何者だ!」
「今は怪しい者を通すなと殿下から仰せつかっているんだ。用があるのなら後にしろ!!」
「……ここは俺の出番だ」
 そう短く言うと、二つの集団の間に立ったのは∞だ。立ちはだかった瞬間、∞の瞳が怪しく鈍く光り二人をジッと見据えた。
「…一般人にその技は…」
「細かい事は良いんだよΣ。コイツなりのやり方に任せておけば」
 そう言っている間にイルファーレの団員二人の瞳に輝きが失せた。そして二人の輝きが失せた途端、∞に向って跪き二人揃って同じ事を言った。
「ようこそ…∞様……」
「洗脳完了…少し手荒だとは思うが悪く思わないで欲しい」
 その様な事をボソリと呟いた∞はΣとΩを連れてその二人を案内役に王宮に入った……とそこに三つの影がニュッと木の葉の乗った頭を出した。
「今さっきのは……?」
「サッパリわからねぇな。イルゼ嬢はどう思う?」
「さぁ…でもあの三人…レオンに会いたがっている様に見えましたが……真意を確かめる必要がありそうですね」
 イルゼは首を傾けて少し考える様な仕草をした後、頭に乗っている木の葉を払い落し、ブルッと払い落した後三人は王宮の門から入って行った……
――――――――――――――――
「殿下、お客様をお連れしました」
 一人だけ人数を減らしたのか∞は、ΣとΩを連れて部屋に入った。そこには悠然と椅子に腰かけている少年がいた。
 その少年を見てΩが早速言葉を発した。
「お前さんがレオンハルト皇太子様……か?」
「その口のきき方は無いだろ……この人に直接聞かない限り俺達がどうしなくてはいけないかが分るんだからΩは少し黙ってろ」
「まぁ、それはともかくとして……次の君達は何の用かな?」
「単刀直入に聞く。アンタの精神構造を見て確信したよ。誰かに脅されてるんじゃないか?」
 その単刀直入過ぎる発言に少し驚いたかの様な仕草を見せたレオンは暫く止まった後、不意に笑い出した。
「いきなりな事を聞く人だね。王家がこんな事に動じていたとなっては恥になると思っていたが……既に君たちに見抜かれていたと…言う事かな?」
「そう思っていても構わない。だが今なら遅くは無い……とにかく会って欲しい奴らがいる。一緒に来てもらえるか?」
 ∞はそう言いながら近づこうとした矢先……一筋の針の様な物が飛んで来た!
 瞬発的に後ろに飛び退いた∞は辺りを見回し、その様子を見ていたΩが一言呟く。
「……アンタに懐いている用心棒がいるみたいだな…」
「そりゃあ、命を助けられた人に対する礼儀ってもんが有るでしょ!」
 スッと降りて来た人影はレオンの前に立っていた。その人影は本来この場所に居ないと思っていた……人物だった。
「私はレーナ! レオンさんの用心棒に雇われた魔術師よ! いざ…勝負っ!!」

328彗斗:2013/01/09(水) 20:48:44 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
二回書き込みをしてしまいましたが片方はスル―でお願いします

329矢沢:2013/01/10(木) 10:49:32 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
この記事シカトしてるから大丈夫

330たっくん:2013/01/11(金) 12:47:00 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
↑糞スレ立てんな

と言いたいとこだが・・我慢するよ
それが大人だ

本音は嫌いだからな俺

331たっくん:2013/01/11(金) 12:49:15 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
糞スレやめよう
皆が迷惑だよ

332矢沢:2013/01/11(金) 12:49:45 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
たっくんは何時か死亡する。

333たっくん:2013/01/11(金) 12:50:54 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
皆が迷惑だ
頼むから糞スレ立てないでくれ頼む

まあ今回だけ大目に見てやろう

334たっくん:2013/01/11(金) 12:51:25 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
たこ足頼むぞ

335矢沢:2013/01/11(金) 12:52:04 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>333おめでとう、君は何時か死ぬ。

336たっくん:2013/01/11(金) 12:53:58 HOST:zaq31fa5b92.zaq.ne.jp
こんな糞スレ立てられんじゃ
皆の立場がないよ
良スレ立ててきた俺らの立場がよ

もうちょっとマシな小説書けないのかよ
見ずらいよ

目つぶっとくよ

337矢沢:2013/01/11(金) 13:02:22 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>336
死ね

338矢沢:2013/01/11(金) 13:02:41 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>336
失明しろ

339矢沢:2013/01/11(金) 13:03:02 HOST:ntfkok217066.fkok.nt.ftth4.ppp.infoweb.ne.jp
>>336
おまえにアベンジする

340彗斗:2013/01/14(月) 10:50:35 HOST:opt-115-30-133-28.client.pikara.ne.jp
第二十三乃策 仲裁役
 いきなり王宮にやって来た三人組、しかしその一方でレオンも手は打っていた様だ。レオンの打っていた策はレーナを自身の用心棒として雇っていた事だ。
 そこについては∞も誤算だったと言うべきだろう。
「…取りあえず説得してみる。二人は下がっていてくれ」
「「了解した」」
 ∞はΩとΣを入口付近にまで後退させて、レーナと一対一になるように仕向けた。怪しげにレーナの手の内で光っている銀の針を見て∞はある事を懸念した。
(毒などが塗られていなければ闘いやすいが……相手は機敏な上、身のこなしが軽く、攻撃する速度が速すぎて見えない……一体どうすれば……?)
 問題はレーナの持っている銀色の針に毒が塗られているか否か、と言う事なのだろう。もしも塗られていれば一発掠っても命取りになる上、神経毒も混入されていればハッキリ言って命は無い。
 だが逆に塗られていないのなら、数枚∞の方が手数は劣るものの力の差で圧倒は出来る。そう踏んでいたのだが……予想外の出来事が起きた。
――ドゴォォン!!
 突如として背後から聞こえた轟音に、顔を聞こえた方に向けてしまったのだ。だがそこには計算外どころの話でない事態に陥っていたのだ。
 待機させていた二人が何者かの襲撃を受けたのだ。
(! 何だと!? ……一体何事…!?)
 前方からの気配を感じ、∞が前を向いた時には……指の間に針を挟み、クローを使う様な要領で襲いかかってこようとしていたレーナの姿があった……
(……速い!? 避け切れるものではないぞ?!)
 と諦めかけていたその刹那! ――――全ての轟音が止まり辺りが一瞬で静かになった……
 勿論の事だが、Ω、Σ、その二人と争っていた二人も止まり、目線を部屋の中央に向けていた。ΩもΣもそうだった。
 寸前で戦いの手を止めたレーナも∞の背後をジッと見つめていた……
(一体……何があったと言うんだ……?)
 ∞も皆が向いている方向を見ると……一人で白煙の中、灰色の髪をした青年が灰色の巨剣を背中に背負って立っていた……そこにレオンがその青年に声を掛けた。
「……まさか、君がナルキと呼ばれている人……だね?」
 青年はレオンの言葉を聞き、顔を下に向けたままゆっくりと立ち上がった……そして顔を上げて大きくその場にいた者全員に宛てたメッセージを口にした。
「……まぁその通りだな。あの夜、クロスから聞いたんだろ? それなら一通り事情は分ってる筈だ。こいつ等と共に一緒に来て貰おうか」
 そう言った後、ナルキは∞達三人に向って同じ様な事を口にした。
「勿論、お前達三人にも来てもらうぜ。ロイダー達について洗い浚い知ってる事を全部吐いて貰わないといけないからな」


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